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説明員(
遠藤鉄二君) 今回の
等級改正の根本的な
考え方といたしましては、先ず第一に
運賃負担力に重点をおく、
運賃負担力を
品物の
価格によりまして評価するということが第一の
原則であります。
次に、第二の
原則といたしましては、
運送原価の問題であります。これは普通のワムであるとか、トムであるとかいう貨車に積んで送ります場合に、
原価が大して差がないのであります。で、そういう通常の
経費で
運送できる物については、特に
原価のほうは
考えない。但し
冷蔵車でありますとか、活魚車でありますとか特別の物を使い、特別の
輸送を手配するというような、
運送原価がほかの
貨物と比較いたしまして
特段な差異ある物については
原価の点も考慮するというのが、
原価に関する
改正の第二の点でございます。
次に、第三といたしましては、国民の
日常生活上不可欠の
消費物資につきましては、
特段の
措置を講じて低い
運賃を課するような
措置を講ずるということが第三の点であります。
こういう
三つの基本的な
考え方を
国鉄総裁の
諮問機関でありますところの
等級審議会、
国鉄総裁が
考え方をこの
等級審議会に諮問いたしまして、
審議会からそういう
答申が出て参
つたのであります。それを
国鉄が尊重いたしまして
事務を進めて参わました。
審議会の
答申には勿論今私が簡単に申上げたようなことでなく、相当に細かく
答申が出ておるのでありますが、それに従いまして私
ども仕事を進めて参
つたのであります。そうして
審議会には
国会議員の
かたがたも、それから各
業界の代表の
かたがたも大勢出て
委員に御
就任願つているのでありますけれ
ども、全部の細かい
品目については
審議会で一々
査定をして行くということは容易なことではないのでありまして、そういう
考え方で
作業の進め方をきめて頂きまして、個々の
品物に対する当てはめはこれらは、当然
国鉄がやることではありまするけれ
ども、併しながら
農林省、通産省、お
役所のほうの御
意見を十分に入れてや
つたらどうだと、こういうことで
農林物資につきましては、
農林省の
官房長さんが
審議会の
委員でもございましたし、又
農林省内部じおまとめになる
関係のかたでもありますので、
官房長さんのほうを相手といたしまして、
農林物資につきましてほ
査定を進めて参
つたのであります。
事務的には非常に何回も、殆んど連日的にお打合せをや
つたのでありますか、大きな問題として残りましたのが、この
木材の問題と
鮮魚の問題が先週まで持越して来てお
つたのでありますが、それも先週のいつでありましたか、
ちよつと日にちを忘れましたが、先週
話合ができまして、
農林物資といたしましては、全部私
どもといたしましてはお
役所との御
相談は済んだものと、こういうように
考えておるのであります。尤もいろいろそれは各方面からの御注文はございます。
等級を
改正すればどの
業界からも成るべく安い
等級にという御
希望が非常にたくさん出るのでございまして、その
要求に全部
国鉄として応じるということは、これはもう到底できないことでもありまする上、や
つておりませんけれ
ども、お
役所のほうとの
交渉といたしましては
意見の一致を見たと
考えております。そうしてでき上りました恰好でございますが、
水産物関係について申上げますと、活魚でありますが、これは鯉のようなものであります。生きたままを運ぶのであります。比較的
値段も高い
品目でありますが、こういう高いクラスに入
つております。それから
鮮魚、
冷凍魚につきましては、歴史的に申上げますと、
鮮魚は戦前におきましては
運賃指数一二三というように高いところにおかれてお
つたのであります。当時は塩干魚のほうがむしろ安くて、
鮮魚のほうが比較的高い
運賃が課せられてお
つたということに
なつておりますが、それがだんだんと
鮮魚、
冷凍魚につきまして、レベハを下げて参りまして、一昨年の四月に
鮮魚を
上中下と
三つに分けまして、
下級魚と言いますか、
大衆魚でありますが、
鮮魚の八割までがこの
下級魚に入るのでありますが、これにつきましては二十五年までは九五の
指数であ
つたのでありますが、一昨年八五に下げましたわけであります。それから今回は
国鉄といたしましては八五を
据置きで、
特別等級の二十一級に入れるつもりでお
つたのでありますが、
水産庁の御
希望が非常に強か
つたのでございまして、いろいろ勘案いたしまして、
国鉄としては相当の
減収になりますけれ
ども、まあ御
希望に応えまして二十二にこれを入れたのであります。
国鉄原案が八五でございます。
農林省との
交渉の結果が八〇・六に
値下りということに
なつております。それから従来
下級魚につきまして五百キロ以上の
運送の場合、五分の
運賃を引いておるのでありますが、それは今後も引続いて実施をするということであります。それから
上級の魚は、これは
生活必需物資という考慮をいたしておりませんで、それでありますので
価格から見まして四のところにはまるのであります。四級にはまりました結果別に公共的な
割引措置を講じておりませんために、従来と比較いたしまして
値上りとなるという結果に
なつております。それから
上級下級を混戴いたしました場合は七級で九五、これは現在も九五でありますので変化がないわけであります。
冷凍魚につきましては同じであります。
塩魚は
下級を二十一級、
上級四、干魚についても同じであります。その他細かい
品目につきましても
水産関係をここで全部書き上げましたので、これを
御覧を願いたいと思うのであります。しじみ、
あさりにつきましては、これは大した数ではございませんけれ
ども、
農林省のほうから、こういう
食糧等につきましては
運賃の一割
値上げを入れて、実際の
値上り率が三割以下になるように
措置を講じてもらいたい、こういう御
希望がございましたので、
次官会議等におきましてそういう
お話があ
つたということは私も承わりました。その
考えによりまして
作業いたして参りました。しじみ、
あさりが
等級の
数字におきましては二七%の
値上げになるのであります。それを当分の
聞五分減という
措置を講じまして
ぴつたりと運賃一割
値上げを入れまして、
値上り率が三割になるような
措置を講ずるつもりでございます。あとはそう大量のものはございませんが、するめなどでありますと、これは従来
運賃が一四五という
指数であ
つたのでありますが、これは戦後非常にするめが高値を示しまして当時の
事情によ
つて一四五という高い
運賃を課せられてお
つたのでありますが、最近
値段も下りましたし、そういうようなことで今回は一一〇で、二四%の
値下りになる。大きなものといたしましては、さようなことに
なつているのであります。
それから
冷蔵車につきましは、
等級審議会の
答申もありまして、特別の
料金を頂くということにいたしたのであります。その率を一割ということで低く押えました。
実質価値から申上げますと一割にはとどまらないのでありますけれ
ども、急激な
運賃の
変更がないようにということで一割にとどめまして、その見合いというほどのはつきりしたものでもありませんけれ
ども、
列車指定の
割増を従来の三割から二割に下げまして、その
料金の
割増の問題におきましては、
水産業界には別に御迷惑にならないようにと
考えておるのであります。以上でございます。