○
説明員(
津田弘孝君) 私
只今御紹介にあずかりました
国鉄の
営業局長の
津田でございます。
只今委員長から今回の
国鉄の
貨物運賃の
改正、又これに伴いまして
国鉄といたしまして計画をいたしております
貨物の
等級改正につきまして
鮮魚関係等におきましてどういうふうにな
つておるかという話があ
つたのでございますが、具体的に
鮮魚はどういうふうにな
つておるかということを申上げまする前に、何が故に今回この
貨物等級改正をするに至
つたかというような問題につきまして極めて
概略お話を申上げなければならないというふうに考えておるのでございます。現在の
貨物の
等級制度は実は
昭和五年に大
改正があ
つたのでございまして、その後戦争中の
昭和十五年でございましたか、その当時の
経済事情等に基きまして一部
改正された点はございますが、これは極めて小
部分でございます。
昭和五年のものが今日においても大
部分そのまま踏襲せられておるということでございます。ところが最近に至りましていろいろと
等級改正につきましての御
要望が非常に各
産業から強いものがあります。前回の国会におきましても
貨物等級につきまして新らしい時勢に即応した合理的な、又
消費部面にバランスのとれた
等級改正をすべきである。それが
運賃改正の前提であるというような強い御
要望がございましたのであります。実は今までもそうい
つた新らしい合理的な
等級を確立いたしたいというふうに
国鉄といたしましては考えてお
つたのでございますが、何分にも後ほど申上げまする
等級をきめます際に最も
重点を置かれまするところの
物価が変動止むところを知らなか
つた、
経済が安定いたさないために
物価が安定しない、
従つて等級を作りたいにも作りようがなか
つたというような情勢であ
つたのでございますが、まあ幸いに最近におきまして
経済も安定いたしました、又
物価もほぼ安定をいたしましたので、この機会にかねての各
産業からの御
要望であり、又
国鉄といたしましても考えておりましたところの
等級改正を今回断行しようということに相成
つた次第でございます。で、この
等級改正は各
産業に対しましていろいろな
意味におきまして非常な
影響を及ぼしますことでございます、又
国民生活にも重大な
影響を及ぼしまするものでありますので、
国鉄といたしましては飽くまでとれが
国鉄の独善に陥ることを避けまするために、この春に
国鉄総裁の
諮問機関といたしまして
貨物等級審議会という
委員会を設置いたしたのでございます。で、この
委員会には各
産業の代表的なかた、勿論
水産界からも入
つて頂いております。
農林関係からも入
つて頂いております。それから
学識経験者、それから農林省或いは通産省というような
物資担当の官庁の青往者にもお加わり願いまして
等級審議会を設置いたしました。この四月以来何回も非常に熱心に慎重に御研究を頂きました結果、先頃御
答申を頂いたのであります。その
答申は
二つあ
つたのでございまするが、これを要しまするのに、
等級改正につきましてどういう
要素に
重点を置いて、どういう
物差で
等級改正をするかという点でございますが、
等級審議会の御
答申によりますると、先ず第一には各
物資の
負担力に基いて
等級を考えるべきである、この
負担力に基いて
等級をきめるということでございますが、若干蛇足になるかも知れませんけれども、例えば
国鉄の
旅客輸送につきましては、御
承知のように
一等、二等、三等というような
等級がございます。併しながら
一等、二等は三等に比べて車も
設備もいい、その
代り通賃も高いというようなふうにな
つておるのでございますが、その
貨物の
等級はこの
旅客の場合と違
つておりまして、それぞれ
物資の
負担力に基きましてその分に応じて
鉄道の
貨物運賃を
負担して頂く。
つまり何と申しますか、
共同経済制度とでも申しますか、そうい
つたようなことで、例えば
輸送の
コストの面から見ましたならば、非常に
高級品を運びます場合と、非常に安い
砂利のようなものを運ぶ場合と余り
コストの点においては違いはないのでございますが、
繊維製品のごときはそれ
自体が値段が高い、又
砂利、石灰石のごときはそれ
自体非常に安いものであるというような
関係から申しまして、それぞれの
物資の
負担力に応じて
鉄道の
貨物運賃を
負担する、こうい
つたような
制度をと
つております。その点が著しく
旅客の場合と異な
つております。又
トラックは、
日本でも
トラックのごときは別にそうい
つた負担力に応じて
運賃を取るということはございませんで、何を載せようと一日日車借りられれば何千円というようなふうに相成
つておる、この点が
旅客関係或いは
トラック関係と著しく
貨物につきましては違
つておる点でございます。で、
等級審議会の御
答申の第一も先ず
物資の
負担力に応じて、まあ
負担力は
通常価格を以て示されるのでありますが、それの第一の
要素といたしまして
等級を考えるべきであるというのが第一の点でございます。第二番目には、
輸送の原価というものを第二の
要素、第二の尺度としてやるべきである。これはちよつと御
説明を加えまするが、
鮮魚なんかに著しい
影響がございますが、例えば
鉄道の持
つております貨車などで魚を運びます冷蔵車或いは野菜なんかを運びますところの通風車一これは風通しのいい車でございますが通風車、こうい
つたものは、この貨車を作りまする製作の製造費にいたしましても或いは又これを
輸送いたしまする際の
コストにいたしましても或いは貨車の回転率というような点を考えましても一般の貨車よりは値段も高うございますし、回転率も悪いというような
関係からいたしまして経費を余計に要するわけであります。そこでこうい
つた特殊の貨車を使うような場合におきましては
等級の上におきましても考えるべきであるというような
輸送原価、
輸送コストを第二の尺度としておきめにな
つたのでございます。
次に第三点の
要素といたしましては、何と申しますか、公共的な考慮ということができるのでございますが、第一の
負担力という尺度、第二の
輸送原価という尺度に照らし合せまして、
一定のクラスイフイケーシヨンができるわけでございますが、更にそれを公共的な見地から位置を考えるという、第三の
要素といたしまして公共的な考慮という点が
答申の第三番目でございました。ところでこの第三番目の公共的な考慮、公共性に基く調整措置という点が後ほど申上げることと非常に関連があるのでございますが、まあすべていろいろなものに盆一性を持
つていないものは殆んどないのでございますが、従来
鉄道の
運賃或いは
鉄道の
制度につきまして公共性の故に
運賃の
負担を軽減しておるというようなものが
旅客にも
貨物にも非常に多いのであります。
旅客につきまして申上げますならば
鉄道の定期
旅客運賃というものは非常な
コストを割
つた運賃を以て
輸送させられておる。それから
貨物につきましても下級の
物資につきましても原価割れをして
輸送をしておるというようなことで、いろいろな国家の
産業上或いは社会政策上に必要な見地から申しまして、
鉄道の
運賃なり
鉄道の
制度なりにこの公共性のしわ寄せがされておるというようなことが事実あ
つたのであります。そこでこの
等級を今度新らしく再編成する場合に当りまして、この公共性に基くところの調整措置というものはできるだけ小
範囲に、極めて限定せられた
範囲に限るべきであるというような点から、特にその
答申の中に公共性に基く調整措置というところの項に、一般社会生活上日常不可欠の消費
物資たる米、麦、小麦粉、生の野菜、味噌、醤油、大衆魚、薪炭等として特別
等級に編入するというような御
答申を頂いておるような次第でございます。いずれにいたしましてもこうい
つた三つの尺度、
つまり負担力と
輸送原価と公共性、この三つの尺度に照らし合せまして現在の
等級表、これはこの一冊にあらゆる
物資が分類されてあるのでございまするが、この
貨物等級表の具体的な
物資につきましてそれぞれの新らしい
等級を当てはめて見たのでございます。勿論これは
鉄道だけでなしに、農林省或いは通産省とも十分お打合せをしつつ、こうい
つた新らしい
等級表を作る作業に入
つたのでございますが、さてこうい
つた三つの尺度につきましては
審議会におきましても何らの御反対もなか
つたのでございまするが、具体的な
物資をさて当てはめて見ますると、この
等級は高過ぎるとか、或いは従来に比しまして、著しく
運賃負担が多いとか、いろいろなお話なり御意見が出ておるのでありまして、目下これらにつきましては、理論的にはこうい
つたようなことに相成るが、又実際問題から申しまして、現在に対しまして余り大きな
運賃負担の増になるというようなものにつきましては、
関係各省とも相談いたしまして、目下できるだけの
範囲内におきましてその調整を図
つているというのが、
貨物等級改正につきましての全般的な議論と申上げることができると思うのであります。で、それでは具体的問題に入りまして、一体
鮮魚がどういうふうにな
つているかという点でございますが、先ずこの
鮮魚につきましては、従来の
等級がどうな
つていたのが今度の
等級でどう
なつたかという点を申上げたいと思うのでありますが、従来の
等級表によりますると、ここでちよつと申上げたいのでございまするが、従来は
貨物の
等級が基本
等級といたしまして、五
等級あ
つたのでございます。で、それに対しまして、先ほど申上げました公共的な理由から、これにまあ割引
等級とでも申すべきものを考えまして、それを九
等級にいたしております。本来そのものが
負担力の面から見ますると、五
等級の五に入るところであるけれども、それは公共的な社会政策的な
意味を考えまして、それを九
等級に入れているというような場合があるのでございますが、従いまして現在の
等級は九と、それから更にもう
一つ考えなければなりませんことは、
鉄道の貨車は十トン車にいたしましても、十五トン車にいたしましても、
一定のスペース、物理的なスペースがございまして、それ以上には積込めない、従いまして非常に、例えば軽いもの、極端な例で申しますれば、まあ寒天というようなものは、積もうにも十五トン車なら十五トン車になかなか十五トン一ぱい一ぱい積めないという、物理的にも積めないのであります。で、そういうものに対しましては、私ども軽量減トンと、そうい
つた軽いかさばるところの
貨物に対しましては、減トンをトン数、
等級の上で操作をいたしておるのであります。そうい
つた軽量
貨物に対する特別な考慮から、その九つの
等級を更に軽量
貨物のために、十、十一という
等級を設けまして、前申上げましたのを入れますと、一から十一まで
等級があるわけでございます。基本
等級が九と、それを公共的な考慮、政策的な考慮から九つにしており、そして軽量
貨物に対する考慮から更にそれを十一にしておるというのが現在の
貨物の
制度でございます。で、これを指数の点から申上げますると、この一級、現在の
貨物の一級は二五〇という指数にな
つております。それから九級が六八という指数、これが一番の最下位でございますが、更にこれを先ほど申しました軽量
貨物のために、特に十、十一級というクラスを設けまして、その十一級というのが五三という指数に相成
つておるのでございます。で、今度新らしい
貨物等級制度ではどういうふうにしたかと申しますると、この一から九までのと申しますか、普通の
等級、普通
等級といたしましては一から十二ということにいたしたのであります。それからそれに対しまして、政策的な見地、まあ政策的な割引をするものにつきましては、先ほど
等級審議会で
答申を頂きましたああい
つた数種の
物資に限定をしなければならんということでございまするが、そうい
つた政策的な考慮をすべき公共的な措置を講ずべきものといたしまして、特別の
等級を三つ、この十二のほかに作
つておるのでございます。それから先ほど申上げました貨車一ぱいに積込めない軽いかさば
つた貨物、軽量
貨物につきましては、現在の
等級表ではこの
等級の上で考慮しておる。先ほど申上げました十、十一というクラスを設けております。で、今度はそれをやめまして、軽量
貨物につきましては、それぞれ
一定の方式によりまして実際の貨車に積んだ場合に、小型貨車に積んだ場合、中型貨車に積んだ場合に、それぞれの場合に応じまして、一トンニトン、場合によりましてはミトン、極めて僅かな例でございますが、四トン減トンするというような操作をいたしております。で、要するに現在の
等級制度はまあいろいろな沿革がある、いろいろな
内容が一本の一から十一までの
等級の中に組込まれているのでございまするが、今度はその組込まれている
要素を
一つくはつきり
等級表の上ではつきりと出したいという点が新らしい行き方の骨子であるのでございます。そこでさつき指数の点を申上げましたが、今度はどうな
つているかと申しますると、今度の一級が二〇〇でございます。従いまして上級
貨物につきましては、若干下
つて来ている。それから一番下の十二級、これが七五ということにいたしております。従来の六八に対するものが七五にな
つているという点を申上げたいと思うのであります。そこで今、
等級の話と指数のことを申上げたのでございますが、以下
鮮魚につきましてどういうふうにな
つておるかという点を
等級と指数とによりまして申上げたいと思うのでございます。
先ず
鮮魚の、下級
鮮魚、従来七級、これが
改正等級では二十一級、先ほど私は特別
等級が三つあると申上げたのでございますが、それはまあ
鉄道の部内の便宜上二十一、二十二、二十三と番号をふ
つたわけであります。これは別に二十一という字に
意味があるわけではありません。そうい
つた番号をふ
つたというふうにお考え願いたいと思います。
従つて下級
鮮魚は従来七級、指数が八五のものが
改正等級では二十一級ということでございます。指数は八五でございます。それからそうして下級
鮮魚が一番皆様がたが御関心をお持ちになる点でございまして、この点は従来とも指数の点におきましては全然変りはないのであります。それから中級の
鮮魚が従来が六級、指数が九五のものが、今回は新
等級の四級になりまして、指数が一一〇、それから従来の上級
鮮魚は現行の五級で一〇〇でありましたものが、今度は
改正の四級で一一〇ということになります。中級と上級とを今度は合せまして、新
等級では四級という位置にいたしまして二〇、
つまり非常に上級な魚、中級な魚につきましては若干高くな
つておるけれども、大衆の生活必需
物資であるところの大衆
鮮魚については、現在何ら変りはないという点は私どもは特に考慮を払いました点でございます。なおこの下級
鮮魚につきましては、それを米と同じ
等級に付けろというような御意見も一部にはあるのでございますが、これは又後に御
説明をすることにいたしたいと思います。
その次に冷凍魚でございますが、冷凍魚の下級、これは現在七級、指数が八五のものが
改正等級で二十一級、指数が八五、これも何ら変りがございません。それから中級の冷凍魚、従来の六級、指数九五が、
改正では四級の一一〇、それから上級の現在五級の一〇〇が、
改正では四級の二〇。これも
鮮魚と冷凍魚は同じに考えておるのでございます。
塩魚は、現在下級塩魚が七級で、指数が八五、それが
改正等級の二十一級で八五と、この点も従来と変りはございません。それから中級が、七級の八五が、今回は四級の一一〇ということにな
つております。
それから乾魚、それが従来下級の乾魚が七級の八五が、
改正の二十一級でこれは先ほど申上げました貨車に減トンを付しまして、小型貨車につきましてはございませんが、中型貨車、十五トン貨、車につきましては一トン減トンをいたしまして七九という数字にな
つております。従来よりも下級の乾魚につきましては下
つておる。それから中級の乾魚につきましては、従来七級の指数が八五が、今回は
改正の四級にいたしまして、減トンを小型につきまして一トン、中型につきましてニトンの減トンをいたしまして九六と、これは若干上
つております。それからするめの例をとりますと、これは非常に下
つております。現行
等級では三級で指数一四五でございましたものが、
改正等級では四級で指数が二〇、一四五が一一〇に下
つておるのでございます。かつお節に至りましては、更に下り方が著しいのでございまして、従来の二級、指数が一九〇のものが、
改正では三級の一三〇と、実に六〇の指数の差で、従いまして
運賃負担も下
つて来ておるのでございます。まあそうい
つたような次第でありまして、今申上げまするようなふうに、今回の
等級改正におきましては、大衆魚に対しましては、特に従来の
運賃と変らないような措置をと
つたという点を御了承頂きたいのであります。それから、従来
鮮魚関係につきましては、
鮮魚及び冷凍魚の
貨物等級適用方という大綱の達しを
国鉄で出しまして、高い
等級の、従来上中下とございますから、その高い
等級の魚と低い
等級の魚と一緒に積んだ場合にはどういうふうにするとか、或いは上中下の三品を積み合した場合にはどうするかという非常に複雑な規定があ
つたのでございまするが、これが実際の適用上、
鉄道の現場の
貨物係等におきましては、上中下の区別が現実の問題としてなかなかつきにくいものもあるのと同時に、又この
計算法が非常に複雑でございます。一遍や二遍読んだのでは、何が書いてあるか我々でもわけがわからないくらい非常に複雑な
制度にな
つておりまするので、今回は、この従来の複雑な方式をやめまして、
鮮魚、冷凍魚につきまして、従来の下級魚と中級魚を混載したような場合には、七級賃率、これは九五という指数になるのでございますが、そうい
つたような七級の賃率、混載賃率というものを特別に設けたのでございます。そのほか
鮮魚につきまして御参考になります点は、今回の
運賃改正に伴いまして、サービスの改善、
制度の
改正等、
貨物関係につきましては、従来各方面から御
要望のありました点は、殆んど網羅的にこれを取入れたのであります。そのうち特に魚に
関係のありまする事項といたしましては、従来列車指定の場合には普通の
運賃に対しまして三割増を取
つてお
つたのでございまするが、今回はそれを二割増に改めたのでございます。それから、冷蔵車を使われるような場合には、普通の賃率に対しまして一割増の賃率を頂くことにな
つております。
従つて、列車指定をされて、そうして冷蔵車に積まれた場合におきましては、二割、一割の合計で今までと変りありませんが、
鉄道の配車の都合等からいたしまして、冷蔵車が配給にならない、止むを得ずに普通の貨車が配給に
なつたような場合には、従来は列車指定だとそのまままるまる三割でございますが、今回は二割で済む。又列車指定もされない場合におきましては、勿論普通の賃率だけしか頂かないということに相成るわけでございます。そういうふうなのが大体
鮮魚について申上げる点でございまするが、往々ごの
等級改正につきまして業界のほうから御議論のありまするのは、魚は生活必需
物資である、かるが故に米と同一
等級に入れるべきであるというような御議論が非常に多いのでございまして、米は今回の
等級改正に当りましては、勿論従来と同じように、一番下の一番安い
等級の二十三級、割引
等級のうちの二十一、二十二、一十三の最下位の二十三という
等級にいたしておるのでございます。魚の公共性、或いは生活必需性という点につきましては、
国鉄といたしましても何らの異議はございませんでございます。併しおのずから米との間におきましては、生活必需の
程度がおのずから異なるのではないかというような考えを私どもといたしましては持
つておるのでございます。以上。