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松浦清一君 私はめつたに感謝をしたりお礼を言つたりすることはないのですが、昨年のブリストル湾の蟹
漁業がいろいろと準備態勢が整つおつたにかかわらず、日米加
漁業条約がまだ発効しないという理由で取りやめとなりました。その際いろいろ事情があつたでし
ようけれども、甚だ遺憾に
考えておりましたところが、今回は日濠間の
漁業条約が締結をされておらず、まだ具体的に
交渉も進められておらないにかかわらず、アラフラ海の真珠貝の採取事業が、
先方の外交
当局との折衝によ
つて、実現されるというところにお運びを頂いたことを、甚だ
日本の水産
業界のために結構であると思いまして感謝をしております。そこで伺いたいのですが、
只今の
千田委員の、この業を成功せしめるために、融資等の斡旋についての御考慮があるかどうかという
質問に対しまして生産部長から、
業界のいろいろ準備的な
結論を持
つてそれに対応して善処をするという御
答弁を頂きましたので、重ねて御
質問を申上げる要はないかと思いますが、私が今まで承知いたしておりまする事情では、大体五十トンの採取船を新造するためには九百万円の建造資金がかかる。そこで給料の支払い、それから食糧、保険料或いは燃料等の立替え、そういうまだ貝を採らないうちに相当の費用が準備費用としてかかるわけなので、その漁獲の費用を各業者が捻出をする、自己資金によ
つて賄うということはなかなか困難であろうという事情から、協同組合的な
性格を持つた
一つの会社を作る、採取船のほうから二千五百万円、それから発起人のほうから二千五百万円、五千万円を以て
一つの協同組合的な
性格を持つた会社を作ると、こういうことの準備が進められて、その会社から新規に建造する船舶に対しては、建造資金として約七割の六百三十万円程度の融資をし
ようという計画を立てておる。この
ように聞いておるわけなんです。若し九百万円の建造資金に対して七割の融資を図るということになれば二十五隻で、全部新造するとしますと一億五千七百万円ほどの金が要るわけなのです。会社は五千万円でありますから、会社の持
つておる金で建造資金に廻し得るものは大体推定をして三千万円程度しかない。そういうことになりますと一億二千万円
余りの融資をいずれかの
方面から求めざる限り、この船を造るということはなかなか困難であ
つて、而もこの業者は
戦争が済みましてから今日に至るまで、或いは又遡
つて戦争中からすでにこの業が中絶されてほかの
方面に転業した人もありまし
ようけれども、一日も早くこの仕事ができることを念じ、又その待機をしておつたという形で極めて自己資金が不自由であるという人たちがこの
業界の実態であるというふうに私は聞いておるわけなんです。そういう観点から今予想されている採取総量、それから価格等から行きまして、大体推定五億円という巨額の収獲がまあ目標とされているわけなんですが、而もこの採
つて来る貝の輸出先はアメリカでございますから、
日本の経済を自立するために支障にな
つておる点は申上げるまでもなく、やはりアメリカのドルが非常に不足しておる、ポンドが過剰でドルが不足しておるという現況が
日本経済目立の障害にな
つておることは、これはもう申上げるまでもないので、たとえ一ドルでも、十ドルでもアメリカのドルを獲得するということが、
日本の経済を自立せしめる根本的な要素である。こういう点から
考えまして単に業者の人たちがその業によ
つて生活をするということ以外に、
日本の財政経済の自立の
建前から
言つても、この業に対しては相当の援助を与えるべきである、こう私は
考える。この
方面からどの
ようにして融資を図ればいいかということについては、これはもう
業界と
水産庁当局の打合せによ
つて然るべきだと思いますが、手持ち資金を全部の業者が出すより、全部の業者が自己の力の限度においてなし得る融資に対する
努力をして、なお及ばざるときは開銀なり納付金をして、低利にして而もやや長期の金融をなし得る
ような
措置をとることに対して具体的なお
考えがありましたら、今
千田委員にお答えになりましたが、
努力するということであると
了解してよろしうございますか。