運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-11-27 第15回国会 参議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月二十七日(木曜 日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            木下 辰雄君            千田  正君    委員            青山 正一君            玉柳  實君            片柳 眞吉君            木下 源吾君            松浦 清一君   政府委員    外務省アジア局    長       倭島 英二君    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  達磨君    常任委員会専門    員       岡  尊信君   説明員    調達庁不動産部    長       川田 三郎君    水産庁長官   塩見友之助君    水産庁漁政部長 伊東 正義君   参考人    千葉内湾漁業    協同組合連合会    長       篠崎 長次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○水産政策に関する調査の件  (防潜網及び演習場に関する件)  (防衛水域に関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 只今から委員会を開会いたします。先ず理事補欠互選の件を議題に供します。先般理事の割当が変更になり本委員会緑風会と第一クラブになりました。つきましては理事松浦清一君より理事辞任届委員長あて提出されております。この松浦清一君の理事辞任を許可することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないものと認め、許可することに決定いたしました。  この際理事補欠互選を行いたいと存じますが、これは成規の手続きを省略いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないものと認めまして、私より理事木下辰雄君を指名いたします。   —————————————
  5. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に本日の議題となつております防衛水域に関する件を議題に供します。本問題につきまして日本遠洋底曳網漁業協会から陳情のために多数お見えになつております。なお防潜網の件につきましても千葉県より代表がお見えになつております。それから演習場の問題、更に先ほど三陸方面を襲いました地震に対する被害の問題につきまして宮城県議会から代表のかたがお見えになつておりますが、順次陳情を伺うことにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めまして順次陳情を伺うことにいたします。それではちよつと速記をとめて下さい。    午後一時四十二分速記中止    ——————————    午後二時四十四分速記開始
  7. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは速記を始めて下さい。千田委員
  8. 千田正

    千田正君 先ほど外務省国際協力局長の御説明によりますると、日米安全保障条約行政協定一端として駐留軍日本に駐留しておつて演習その他の必要上、陸上若しくは海上の面においてそれを使用する場合において、それが現地民或いはその他の産業に被害を与えた場合においては、日本国内においてこれを補償すべきであるという御答弁がありましたが、勿論我々といたしましてはこの国際条約に基いてそれに協力する姿が当然日本の政治に反映することは勿論のことでありますけれども、いやしくもそういう協定が行われた以上は、その被害地或いは被害を受けるところのそうとた漁民若しくは農民或いは農地或いは漁区、こういう問題に対して十分に日本国民納得の行くような方法において協力しなかつたならばこれは完全なる協力と言えないと私は考えるのであります。そういう点からいたしまして、農業問題はさておきまして、只今本日各漁民代表のかたがたから陳情を聴くと誠に今までの過程は悲痛極まるものであり、当委員会におきましてもしばしば陳情請願等においてよくその点を了承して、当該官庁であるところの水産庁に向つてはその点を十分に政府に申入れるよう我々は要求してあつたのでありまするが、幸い本日は水産庁長官がお見えになつておりまするから、今までのそうした面におけるところの外務省或いは大蔵省その他折衝すべき範囲内においてどういう程度において折衝されておるか、且つ又今後どういう方向によつてこの問題を解決して行くかという点につきまして水産庁長官の御答弁を煩わしたいと思います。
  9. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今千田委員からの御質問に対して、行政協定関係水面提供に関する部分の日本側の小委員長をやつておりました漁政部長は、この面の直接折衝をずつとやつておりますので、折衝経過等につきましては漁政部長から代つて答弁を述べさして頂きたいと思います。
  10. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私代りまして御答弁いたします。今の補償の問題でございますが、この前の国会にこの行政協定によりまして一定水面を提供して、そこで漁業の操業を制限する場合の補償をする法律を御審議を願つたのでありますが、この法律を出しますときの前提といたしましては、行政協定の二十五条にあるのでございますが、提供した水面内の被害について損失補償する、これは全部日本側負担するのだということで法律を出したわけであります。そのときに国会でいろいろ御質問がありまして提供した水面以外に被害があつた場合にはどうするんだという実は御質問があつたのであります。防潜網のごときはこれに該当する場合だと思います。これにつきましていろいろ我々政府の内部で検討したのでありますが、これは速記録にも載つておりますのではつきりしておるんでありますが、当時大蔵省当局としましては、提供水面以外の損失については全額日本補償するということは自分らは考えておらん、これは北大西洋条約にも引用しておられますが、一部は駐留軍にも負担してもらうということでそういう交渉を至急に先方として、それに基いて法律を近く出したいというような答弁大蔵省でしておられます。で、我々としましてもあの法律を作りました場合の前提として、提供水面以外に起きました損失につきましては大蔵省当局と同じような考え方で、例えばこれは日本国内法でそういうようなことをした場合に日本国内において補償するということがあれば、駐留軍一緒補償するというような規定が十八条にございますので、それに基いた法律を作ろうということて今大蔵省その他と交渉いたしております。だだ大蔵省としましては、今のところ向うと負担の歩合もはつきりしておらんので、今直ぐ法律を出すのはどうか、それで将来は法律を出すが、それまでは大体それと同額の見舞金ということで法律が出るまではこの問題を措置して行きたいというようなことになつておりまして、目下我々のほうとしましても、法律そのものについて大蔵省保安隊外務省にもお話し申上げておりますが、成るべく早い機会に法律を作つて正式な補償ということに持つて行きたい、それができるまでは大体漁業権許可権等につきましてはすでに法律ができて補償基準がありますので、それと大体軌を一にしたような計算方法見舞金を出して行つたらどうだろうか。法律ができるまではというような考えです。
  11. 千田正

    千田正君 この前の経過は今の漁政部長説明でわかりましたが、併し先ほど陳情された千葉県の代表の言葉を借りていえば、一人当り一千円というようなことは常識において判断しても甚だこれは我々は納得行かない。而も農業と違つて漁業はあらゆる自然の現象に向つて、いつ操業しなければならないかわからない状況の下において、生活を維持しつつその漁業に従事しなくちやならない。そういうような損害査定において、十分に水産庁が手を尽しておるかどうか、この点については、現地水産庁といたしましては十分に調査行つて、或いは漁民の声、そういうものに対してのいろいろな方面調査は行届いておつたかどうか、その点についてはどうです。
  12. 伊東正義

    説明員伊東正義君) その点は過去におきまして、補償の額が非常に少かつたということは私ども認めます。今までやりましたのは、平均としますと一人当りたしか六千三百円でございます。二度に亘つて出したのでありますが平均しますと六千三百円くらいで、決してこの額は多いとは思つておりません。実は片貝等に行きましてスラム街のような所にも我々は行つて見ました。そしてこの金額は決して我々は多いとは思つておりませんので、今度できました法律によりますと増額の補償もできるというようなことになつておりまして、補償基準というものははつきりいたしておりますので、今後の補償につきましては何とかもつと数倍程度のものを増額して補償ということをやつて行きたいというふうに考えております。
  13. 千田正

    千田正君 あと一点だけお伺いしますが、漁民の多くの人達は補償をくれというのではなくて、我々に生活の資料を与えよ、生活するところの途を与えよ、補償を要求しておるのではないのだと。併しながら日本の国が国際協定の下に基いて日本国民として協力しなければならない、止むを得ない、併しながら我々の納得の行くような方法において一応とにかく協力するような態勢を整えて欲しいというのが恐らく全漁民の声であろうと思うのであります。恐らく補償を要求しようというのは最後の段階である。そういう点から考えました場合において、只今の御説明のような非常なる零細漁民が多いところにおいては、然らば生活の道を立てる場合において如何なる方法において転業施策なんかをやつておるか。こういう面におきましては、水産庁はどういうふうに考えておられますか。或いは今の私が簡単に申上げますると、最も働かなければならないところの、稼働的にいわゆる活用しなければならんところの漁期において演習が開始された。今日働かなければ千円か五百円とつて来て親子五人なら五人が食つて行くということはできない。その保障として一カ年を通じて六千円ぐらいのものをもらつたのでは食つて行けない。そういうような場合において、一体その生活保障はどういうような方法によつてつて行くか、この点を納得の行くようなやり方をやらんと、日本憲法の言う通り日本国民は最低の生活保障されてあるということがはつきり憲法に謳つてあるが、そういう面においてどういう施策をしたならば納得の行くような態勢を以て、而も国際信用を保ちつつ日本の国のいわゆる独立を全うし得るかという大きな見地から言つても、これは単に漁民の苦しい声だけだというて見逃がすわけには行かないと思うのでありまして、その点につきましては水産庁としましては、或いは転業或いは何かの方法によつてこうした一片のことばかりでなく、恐らく何カ年か続けられるであろうと予想されるところのこの問題の解決をどういうふうに運んで行くか、この点についてはどう考えておるか。
  14. 伊東正義

    説明員伊東正義君) この点でございますが、我々としましては先ず第一番に努力することは、或るときに例えば千円でございますか、一定の所が全然二十四時間中毎日仕事ができんというような事態が起らんように、成るべく午前中でやめてもらいたいとか、或いは日をおいてやつてもらいだいとかいろいろなそういう取極をすることが先ず第一、こういうことで向うと交渉はしております。  それから転業の問題でございますが、これはなかぐ困難な問題がございまして、今計画的にどうということは考えておりませんが、一つやりました例を申上げますと、大村湾等におきましては過去において相当爆撃をやつおりましてなかなか操業できん。それであそこで漁業をやるということは大体考えないで、今国でやつておりますところの例の特別会計の金融を活かしまして、そこの漁民組合の自営という形でさばのはね釣に出て行くというような船につきましても、積極的に優先的に融資をして行くというようなほかの漁業への転換でございますが、そういうようなことも考えております。又全般的にこれをとりましてどうというところまではやつておりませんが、個々現われた一つ一つの問題につきましてはそういうような方法で何とか解決をして行く。併しその前提には成るべく漁業季等にはかたまつて漁業をして、漁業ができなくなるというような事態にならんようにというような構想を持つております。
  15. 千田正

    千田正君 外務省伊関局長にお伺いするのでありますが、只今水産庁交渉過程を聞くと、日本の国だけが負担するのじやなく、或いは防衛費一端としてこういう問題を解決して行こうという意向大蔵省にある。こういうような説明でありますが、あなたの考えとしまして、外務省としましてはそういう方向に向つて果して予算の裏付ができるかどうか。そういう見当についてはどうでありますか。
  16. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私が先ほど申上げましたのは、施設として提供した場合は日本だけでいたします。行政協定十八条の公務による第三者に対する損害という場合には、分担率を定めてまして補償するということになつておりますが、これは一応日本側で払いまして、そうして米軍側分担する比率に応じましてそれを日本のほうに払戻するという形をとるのでありまして、この分担比率につきましては合同委員会できめるということになりまして行政協定ではきめておりません。合同委員会のほうでは大体の比率米軍との間にきまつておりますが、これは近くできます国連協定のほうにおいても同じ問題がございます。その両者比率一緒にしようという考えがございますので国連協定ができますのを待ちましてそのほうもきめたい、こう考えておりますが、大体の比率両者の間に話合がついておりますから、日本側のほうで先に立替えて払つておくのでありますから、払う分には支障がないのであります。
  17. 青山正一

    青山正一君 只今千田委員の問題に関連いたしまして、私からも一つ質問申上げたいと思いますが、先月の二十四日に私からこの演習の問題とか或いは更生後の問題につきまして総理大臣質問書を出したわけでありますが、その質問に対して三十一日に回答書があつたわけであります。その回答書を見ますると、これは多分伊関さんの関係のほうが書いたものだと私は思いますのですが、こういつた問題を解決するのは地方庁と、それから地元関係者意見は十分尊重してあるというような返答があるわけなんです。で私の考え方としてですね、従来の行き方は関係当局が一方的に事を進めて、これに重大なる関係のある住民意向が十分に尊重されていない。又完全な了解を得ないままに計画を強行しておられる。そのために事態を徒らに重大化せしめておる、こういうふうに考えておるわけなんですが、この点について外務省なり或いは水産庁のほうで、地元と十分な了解をつけてあつたものかどうかという問題、つまり外務省それから水産庁との話合十分納得行つておるかどうかという問題、それからそういつた問題について地元へ十分に通達したかどうかという問題、こういつた問題について一つ質問を申上げたいのであります。  それから第二点として、これは千田委員と問題が重複するかも知れませんが、こういつたその計画があるとするならばこれによつて生ずる有形無形損害、いわゆるこれは漁業権補償だと思いますが、それとそのほかに関係住民生活保障するに足る、いわゆる生活保障、こういうこの二本建に適切な措置を講ずるようなお気持で進んでおるかどうか、この点について一つ外務当局なり或いは水産庁にお聞きいたしたいと思います。
  18. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今の地元との連絡問題についてお答えいたします。我々海域演習分科会でいろいろ区域を向うと相談したのでございますが、意見は実は大体県を通して聞いております。それでこれは従来から平和条約が締結される前からでありますが、地区につきましては、まあ話合がつかなければずつと向うが使つておるというような形になつておりますので、これにつきましては一々県の意見は聞かんで、まあ従来通りというような点につきましてはこつちだけの責任でやつたものもございます。併し特に新らしい問題でありますとか新らしい演習をやるとかいうようなことがあります場合には、これは非常な問題がありますので必ず県の意見は聞いてやつております。ただ県の意見を聞きます場合にも、県当局といたしましては自分のほうはやつていいという県は一県もございません、これは。それで我々としましても県の責任というのではなくて、やはり中央の責任できめて行くというような態勢をとりまして、特に新らしいような点につきましては県の意見を聞きましてやつております。
  19. 青山正一

    青山正一君 外務省はどうなのです。
  20. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 只今漁政部長の御説明と特に変つた点はございません。新しく演習地その他大分この条約発効後に新らしい土地をとつたケースもございますが、未だ曾つてその強制措置をやつたことはございません。すべていろいろと折衝には時間をとりましたが最終的には地元の同意を得て今までのところは来ております。
  21. 青山正一

    青山正一君 この問題に関連いたしまして、私の国元の内灘村にこの房州の片貝の問題と同じような問題が、皆さんも御存じのように惹起しておるのであります。只今のお話によると、地元の完全なる了解の下に新しい問題は解決して行くのだ、こういうふうに御返答があつたわけでありますが、私の国元林屋国務相がそのために地元了解を求めに行つているのでありますが、若し地元了解がどうしてもつかない場合においてはこれはどういうことになるのですか、その点について一つお聞きいたしたいと思います。
  22. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) どうしても地元了解がつかない、而もどうしても必要であるという場合には特別法がございます。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 防潜網それから演習による漁業被害の問題につきましては、たびたび委員会で問題になりましたし、今日も又質疑応答が続けられておりますので、細かい註釈を交えることをやめて、私は端的にお伺いしたいのですが、前の第十三回国会の終ります直前に私は本会議でこの問題について緊急質問を行いました際に、岡崎外務大臣が私の、防潜網それから演習による漁業被害が非常に大きいので、防潜網を例えば撤去するとか、或いは演習地漁業被害のないような方面に変えてもらうというような建前交渉をすることはできないのかという質問に対して、外務大臣は現在の日本政府考え方なり、とつておる態度というものは、防潜網を撤去したり或いは演習地変更してもらうという建前交渉をしておらない。そこで日米合同委員会ですか、そこでやつぱり補償の問題について実際に漁業被害がどの程度のものであるかということを調べて、そうしてその補償額負担割合日本とアメリカとどういう割合負担するかということについて話合を進めておる、こういう答弁を頂いたので、私は再質問をしてそれでは今できた漁業損害に対する補償法律では、完全に漁民生活というものは保障されないので、これを撤去したり或いは演習場変更したりする方向に向つて一つ努力をしてもらいたいということを言いつぱなしになつて会議が終つたわけなんです。今までの質疑応答経過から判断をして、今日本政府態度というものは、依然として防潜網を撤去してもらいたいという、或いは演習地変更してもらいたいという態度話合を進めているのではないとこう了解されるのですか、そうなんですか。
  24. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 先ほどもお答えいたしましたが、防潜網につきましては撤去してほしいという交渉を続けて来ておるわけであります。併しこれは私は見通しとしましては困難じやないか、向うのほうも軍事上どうしても必要だということを申しております。ただ最終結論というものはまだ出しておりません。これは先ほども申上げた通りであります。又演習地につきましてもこの撃ちます方向を変えるとか、いろいろとこれは漁政部長のほうは詳しいのでありますが、先ず最も被害少い所へ持つて行くというので変える方向交渉しておりますが、必ずしもうまくは行つておりません。これはいろいろな軍事上の理由もございますし、又漁業だけでなく航路の問題があるとか空を飛ぶ飛行機の航路というようないろいろなことがございまして思うようには変つておりませんけれども、変え得る範囲ではなるべく被害少い所へ変えるよう、こういう交渉をいたしております。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 あとでお伺いしたいと思うのですが、結局今の防潜網をそのまま存置し、又演習場をそのまま存置しておくということに政府努力にかかわらずなるかもしれませんが、私は希望しておきたいことは、やつぱり補償の点も考えるのと並行して、今の防潜網の撤去、それから演習地変更等についての交渉に最大の努力を払つてもらいたいということをお願い申上げておきます。そうしてお手許にお持ちでしようけれども、日本週報の第二百二十八号にこの防潜網、それから演習による漁業損害というものが詳しくこれの数字が出ておるわけなんですが、演習被害による損害が大体において十六億円、それからその他演習に関連をした損害を加えて合計二十一億円になるという数字がここに出ておるわけです。それから防潜網関係は横須賀、佐世保東京等関係で二十三億円損害をこうむつておる。合計四十四億円になつておる。それから佐世保のほうの関係ではやはり八千百万円という数字が出ておりますから、大体四十五億円が演習それから防潜網による漁業被害だとこいう数字が出ておるわけですが、こういう数字水産庁は肯定しておるわけですか。
  26. 伊東正義

    説明員伊東正義君) その数字そのものは我々は肯定いたしておりません。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますとこの数字の根拠をはつきり出して来るというのは、どういう方法最後水産庁はおつかみになるわけですか。
  28. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 我々のほうとしまして損害算定をいたす場合に、これは調達庁主管でやられるわけなんであります。我々は協力しておるのでありますが、大体今までのやりかたは県から被害報告をとるということが一つ方法としてやつております。それからそのほか我々のほうにも全国の海区調整委員会別の実は漁獲高の集計というものがございます。過去二、三年とつておりますので、そういうものも参酌して又数字調整をやつて行くというような方法只今までは被害算定いたしております。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますとそういう方法によつて年間被害が判明するのは、年間のいつ頃にはつきり統計が現われて来るわけですか。
  30. 伊東正義

    説明員伊東正義君) までは補償金支払い方終戦処理費支払い方が年一回というやり方でやつておりました。それで二十六年度分につきましては、実は三月になりまして十二月分までを集計しまして、それから一部推定を下して年一回に払つたというような方法で実はやつたわけであります。今度の法律によりますとこれは年一回ということは何もきまつておりませんで、漁業権につきましては事前に払うような法律調達庁のほうから出ておりますが、これは被害算定等につきましては今後はあの法律に基きまして、調達庁漁業権等につきましては個人と交渉してやつて行くというような形になつております。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 その損害補償損害高査定をしたり、或いは損害額を決定したりする行政上の主権といいますか主管というものは水産庁にありますか、調達庁にありますか。
  32. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今の法律建前で行きますと、調達庁ということになつております。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 漁業の実態をはつきり把握しておらない調達庁がその査定をするということになりますと、今御答弁になられましたように各府県知事報告をされて、その損害額査定について誤りなく処置することができるでしようか、その点水産庁の御見解を承わりたい。
  34. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 法制的には今申上げたようになつておるのでありますが、過去におきましても常にこれらと最も関係のあります農林省が中心になりましてやつて、その結果を調達庁にお願いするというような形で過去においてはやつております。今後におきましても法制的にはそうなつておりますが、常に我々としましても調達庁のほうに意見を述べまして、調達庁が勝手にそういう御査定をおやりになるということがないように話合はしております。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 府県知事から報告された被害額というものについて再調査を行うことはございますか。
  36. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私のほうから説明するのも何でありますが、今までも再調査をやつたことは何度もございます。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと府県知事のほうから報告された損害額というものは、水産庁の再調査によつて多くなつたり少くなつたりするということがあると思いますが、今までの経過では多くなつたほうが多いのですか、少くなつたほうが多いのですか。大体の見当でよい、概念だけつかんでおきたいと思います。
  38. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 個々のケースでどうということをはつきり覚えていないのでありますが、総額において殖えたか減つたかという御質問なんでありますが、傾向としては私は若干減つたほうが多いのじやなかろうかと思いますが、今はつきり申上げられません。
  39. 松浦清一

    松浦清一君 恐らく私はそう判断をしておつたのですが、府県知事は直接地元の実態を調べ、又地元漁業者の報告を聞きましてその損害総額というものが報告されるわけなんです。一番業界に近い建前から、これは根性悪く言えば近いからちよつと水増しをするということがあるかも知れませんけれども、一番近いところを調べて報告されるので、而も水産庁の係官のかたが現地行つて調べられても、その行つた人の判断の仕方にもよるし、いろいろ調べ方にもよつて正確にその額をはじき出して来るということが困難であろうと思うのです。又これはそのほかのものと違つて特に漁獲高のその被害というようなものは、なかなかこれは算定はむずかしいでしようけれども、今までいろいろ陳情を承わりましたように、一年に一人について千円しか補償されないとか、或いは三百円しか補償されないというようなことでは、これはもう議論の余地がない問題なので、今度新らしい法律補償されるという場合にはこんなささやかな額ではないと思いますが、その点やつぱり漁民の人たちが希望しておることは、とにかく生活がやつて行けるようにしてもらいたい、もつと切実な言葉で表現して言えば握り飯でもいいから食つて行けるようにしてもらいたいというのが、只今陳情一緒にお伺いした通りなんでありますから、その点については予算の関係もいろいろありましようけれども、私どもは根本的な考え方として日本をやはり防衛しなければならん、行政協定ができてアメリカの軍隊が駐留をしておるということは、こういうことは賛成、反対は別問題として、ともかくもこれは現実の問題であります。から、そのことのために漁民だけが特別の損をしなければならんということはないと思います。やはり日本国民の共同の責任においてこれは負担をしなければならん損害でありますから、特に予算の請求等に対しては強くその点を主張されて、俗によく言われて来た正直者がばかを見るとか、おとなしい者がばかを見るというようなことのないように、特段の一つお計らいを願いたいと思うのです。  それから例の朝鮮の海域の問題なんですが……。
  40. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) その問題はあと一つよく話を聞きたいと思つております。これを済ましてから……。
  41. 木下辰雄

    木下辰雄君 今松浦委員質問に関連して、ちよつと私疑問の点がありますからお尋ねしますが、只今漁政部長の御答弁では、大体損害額調達庁査定をして、それが再調査をして十分無理のないところでやるということをおつしやいますが、そうして金額が決定したら予算措置をすると思いますが、予算が通つてそれから支給するまでに相当時間がかかりますが、それはどうですか、被害があつてから調査をして予算をとつて渡すまでの間の期間は一体どのくらいかかるんですか。
  42. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 予算は今年の防衛費の中に入つております。それで新しく特にこの損失補償の予算要求ということは補正予算等においてもやつておりません。それで先ほど申しましたように予算はあるのでありまして、それを今調達庁のほうであの法律に基きまして省令を作られ、取扱要綱を作つて今やつておられるわけであります。法律から行きますと、例えば漁業権については演習をする前に金を払うというようなこともあの法律はなつておるわけであります。今までは先ほど申上げましたように、一年一回というようなことでやつておりましたが、今後のやり方は年に何回も払うというような形で、そうためて延しておいて払うというようなやり方では今後はなくなつて行くだろうというふうに考えます。
  43. 木下辰雄

    木下辰雄君 その損害賠償に対して土地及び漁業権、それから海面の使用と二つありますが、それに対する予算措置が九十三億ということを聞いておりましたがそれでは足りない、だからして仕方がないから非常に少く渡さなければならんというふうな前に説明がありましたが、一体足らん場合の予算はどうするんですか。その範囲内で打切るんですか。実際においては九十三億が八十億もらつたとして、こういう場合において不足額はどうするのですか。これを水産庁に一応伺いたい。
  44. 伊東正義

    説明員伊東正義君) どうも私からこの問題をお答えするのは余り適当ではないと思いますが、我々としましては今おつしやいましたように、九十数億というのは今年の予算にあるということを言われております。ただこれは大蔵省交渉しましたときも、そのうちで漁業が幾ら、農業が幾ら、何が幾らと積み重なつて九十何億という算出基礎は我々は一回も見せてもらつたことはないのであります。この九十三億で間に合うのかどうかという問題でありますが、我々としましては実は予算要求する立場は我々のほうにはございませんので、実際補償の段階になりましてその金額で間に合わんというようなことがあつたらどうするかということですが、我々としましては極力何とかしてくれと言つて大蔵省なり調達庁に頼む以外にはないと思つております。
  45. 木下辰雄

    木下辰雄君 調達庁はどうですか。
  46. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) 九十二億の日本側負担分の防衛支出金の中からお話のように漁業補償もいたすわけであります。これが若し現在の補償見込額よりも殖えまして九十二億が足らないという事態が起りました場合は私は予算要求をいたします。又現在の見通しといたしましては、いわゆる陸上の不動産のほうの土地の借上げ、全部そういうものと同じ枠の中に入つておりますから、陸上のほうの予算に若し余裕ができればそのほうを廻すことによりまして、漁業補償について九十二億の中で総合的に賄える限りは賄つて参りますが、これは見舞金の時代と違いまして、国にそれだけの債務ありと調査が結論づけられました場合は、債務でございますから予算上はむしろこれを増額して頂く責任が主務庁にあり、又大蔵省としてもその客観情勢を把握されましたら、やたらにこれを削減することはないと信じます。
  47. 木下辰雄

    木下辰雄君 その九十二億という大体の概算は何を標準として最初おきめになりましたか。
  48. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) この算定の基礎につきましては大蔵省当局がいたしますので、私どもその細目については一応わからないと申上げるよりほかはないのであります。ただ今までの調達経費の内容から申しますると、不動産の接収費が八十六億程度まで見込まれまして、そのほかのものがどういう事態になつて要求されるかが当時といたしましてはわかりませんで、大蔵省においても相当の推算を加え、あとの六億のところが加わつたものと存じておりますが、当時の不動産の需要額というものはこれも推定でありまして、その後の日米合同委員会等における調達要求、そういうものの現在出て参りました数量というものを今後だんだんと確定して参りまして、計上が適当であると思うものは先ずものの面においてその範囲を決定いたしまして所要の予算を組んで行く考えでございまして、何とかただ九十二億で押しつけようという考えは持つておりません。
  49. 木下辰雄

    木下辰雄君 それでは被害調査が正確であると認めた場合においては全額を補償するということに承知していいのですね。
  50. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) 被害の状況を見ます場合の補償は、大まかに申しますならば漁業の純所得、つまり水揚げのあら利益と、それから必要の経費を引きましてそれの八〇%を補償と見る、そういう大きな計算の標準はできております。あとは技術的の細目を県庁によりまして調べて頂く、それを調達庁水産庁と御協議の上査定する、こういうことであります。
  51. 松浦清一

    松浦清一君 朝鮮海域の問題はあとでお話があるそうですからそれは別にしまして、あと若干のことを御質問申上げたいのですが、昨日日本漁業者の大会が行われましていろいろ決議をされたようでありますが、現在の日本の水産業界から許可料をとるということが甚だ不当であるという決議がされて、水産庁からも係りのかたが御列席になつておられたようでありますが、その点についての水産庁の御見解を公式の席上において一応承わつておきたいと思います。
  52. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 松浦君に申上げますが、うこれは今日の議題になつておりませんから、明日開会をしたいと思いますから、明日又ゆつくりやつて頂きたいと思います。
  53. 松浦清一

    松浦清一君 それでは濠洲のアラフラ海の白蝶貝の採集……。
  54. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それもその前に時間もありませんが、朝鮮水域の問題を先にやつて、それが済めば持つて行きたいと思いますが、今の議題になつておる防潜網演習地域の問題についてもう少し御質問なり何なりございませんか。
  55. 松浦清一

    松浦清一君 そうするとその朝鮮海域の問題が済んだあとでやりますか。
  56. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 時間があればやりたいと思います。なければ明日にしたいと思つております。
  57. 千田正

    千田正君 これは調達庁に聞きたいのですが、漁獲高とか、そういう問題に対する漁業権とか、この不動産等の補償でありますとか、人間が誤つて傷害を受けたり何かした場合はどんな補償をやられるわけでありますか。
  58. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) 不動産部の所管ではないのでありますが、一応わかつております点についてお答えいたします。これは行政協定の十八条による補償というのがございます。これによつて軍の不法行為であるか、又公務上の行為に基くかそういう原因が明らかになりました場合には、一応日本政府でその補償金を出しまして、軍側に責任があると考えますときは軍のほうに代つてつて、又日本政府に対する補償をアメリカ政府からもらう、そういう考えであります。
  59. 千田正

    千田正君 査定の率はきまつておりますか。
  60. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) きまつております。ただ非常に細かい、例えば人が亡くなりました場合は百万円を出し、けがをした場合は病院の費用をどうするというふうに、極く細かい部分に入りましてもその方法が規定されております。
  61. 青山正一

    青山正一君 ちよつと先ほど陳情者に一つお話を承わりたいと思いますが、先ほどあなたからのお話によりますと、補償は大体少い、こういうふうなお話、それから奥村さんのお話によりますと、一人当り二百円とか三百円というふうなお話を承わつておるわけでありますが、漁政部長のお話によりますと六千円と、こういうふうなお話なんで、大分違うふうになつておりますが、一つその点をはつきりして頂きたいと思います。
  62. 篠崎長次

    参考人(篠崎長次君) その点は補償金を分ける場合は、大体水産庁独自の考え方で分ける率をきめたとは考えられませんが、私たちはとにかく率をきめる中には入つておらない。ですから仮に船主、網主、たとえばあぐり船を持つております船主に対して何万円、どの漁業に対してどのくらい、こういうふうに分けられるのであります。そうして私の申しますのは身体一つで働いております漁師は、奥村さんのおつしやつた額くらいを、それしかもらつておらん。それが千葉県が一番多いのです。それで以て水産庁のほうでは全国に対せば一人六千円の手当というかも知れませんが、併し本当に身体を以て海で働いておる漁業者はそれしかもらつておらん、こういうことになるのであります。
  63. 青山正一

    青山正一君 水産庁にお尋ねしたいと思いますが、私も現地に行きましていろいろそういつた問題を聞いておるわけなんですが、水産庁のほうでは一つにまとめて県のほうへやつて、そして県のほうでいろいろ按分しおるというふうなことを聞いておるわけですが、そのために今陳情者のおつしやるような現実的な問題が生れて来るのじやなかろうかと思うのですが、それで水産庁あたりで、例えば船主にどうとか或いは従業員にこうとかいうふうなことで、何か一つのめどを立てて、何か考え方法があるのですかどうですか。それとも県に全部任せてそういつたことがあつても知らぬ顔の半兵衛をきめこむわけですか、その一点と、又今後どういうふうに一体進むのか、その点について承わりたい。
  64. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今までのやり方は、県に補償委員会というものを作りまして、その県の補償委員会がきめて払うというやり方でやつております。それで今私の申上げました六千数百円というのは二回に払いましたものの合計でこれは全国の平均でございます。今お話のありましたように補償が非常に少い。多いとは言いませんが、あぐりでありますと四、五十万円船主のほうへは出ておるというような恰好になつております。私の申上げましたのは平均でございます。今後のやり方は私のほうで言いまするより調達庁のほうからお話になつたほうが適当かと思います。
  65. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) 今後の補償やり方につきましては、県庁側から関係する漁業組合単位に対しまして組合員の損害になる漁業所得を算出して頂きまして、これを組合員別の損害額として計上されましたものを、ただその組合単位にまとめてお渡しする、従つてその内容といたしましては、個々の組合員の受取る額がきまつております。これが現実に渡るように私どもは十分注意して参りたいと考えております。
  66. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私から一言お尋ねしたいのですが、只今までの補償の問題は過般第十三回国会において制定されました法律に基いての補償であります。これに該当しないところの、例えば防潜網の問題、これは漁業の制限をしておらないという意味において補償の対象にならない。これは見舞金でこういう性格のものは処置をするということになつていたと思いますが、その見舞金の予算というものはあらかじめどれくらいが組んであるか、そうして又その見舞金の支出についての算定比率はこの法律に定めてあるところの比率と同率のものであるか、この二点を川田部長にお尋ねいたします。
  67. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) お答えいたします。見舞金の予算は現在見舞金として幾らという枠には組んでございません。九十二億の防衛支出金の中から彼此融通して若し出すことになりまする場合は出すということであります。それから防潜網につきまして現在見舞金を出すということについてはまだ調達庁といたしましてはそのお話を伺つておりませんが、若し実際の被害額があるという資料が出て参りました際は、元ず防潜網そのものの漁業制限的な投錨禁止という地区は、これは告示にも出ておりますくらいで、何とかこれを漁業制限と同様に扱うという解釈が若し確立いたしますならば、そのまま漁業制限の補償方法によつて補償することも可能かと存じます。ただ一つでもこれを補償いたしました場合に、防潜網によつて影響ありと現在主張されております東京湾の内湾一帯の損害はこのままになり、一方だけが支出されるということになりますと、何となく片手落であつて、心理的に補償されなかつたかたがますます不満を感じられると存じますので、私どももこの防潜網関係する一団の損害主張に対して十分の研究に尽力いたしまして、解決せられんことを望んでおります。
  68. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) もう一点伺いますが、防潜網を敷設したために従来そこを通つてつて来ておつた魚が非常に入れなくなつて来たということにつきましては、生物学的にも魚の習性といつたようなことから研究されるべき性格であつて、さほどむずかしい問題ではないと思うのであります。従つて仮にこれが被害があるといたしましても、現在の状態では漁業を制限しておるという法的の法文になつていない。従つて法律の面からいうと補償をする段階にならない。これに類するものが他にあると思いまして、この法律を審議する場合に私は三、四回に亘つてこの問題をいろいろ討議いたしたのでありますが、当時の法律案ではついにそれを修正するに至らずしてこの法律ができたのであります。先ほどどなたか政府委員のかたのお話にこれを補足するといいますか、単独の法律か、さようなものに対して法律考えておられるような言葉がありましたが、当然直接漁業を制限するということでなしに、その施設によつて制限されておる結果は同じであるという場合に、これを救済する法律がどうしても必要だと思うのでありますが、その法律を作るということに対して現在はどういう段階にありますか、調達庁のほうでおわかりでしたら伺いたいと思います。
  69. 川田三郎

    説明員(川田三郎君) 調達庁といたしましては、現在の漁業制限の法律の主務庁になつております。従つてこの法律の修正案を提案するという際には立案をいたす所存でございます。又現在あらゆる場合を考えましてできる限りの準備はいたしております。併しこれは業務の実態が水産庁の所管に属するものでありまして、終戦処理費的各種予算の所管庁が調達庁であるために予算運営の便宜上調達庁に属しておる事務でありますので、十分水産御当局と連絡の上、若し法律改正の提案をいたす際には私どものほうで至急にその準備をいたす所存でございます。
  70. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それではこの二つの問題は大体この程度で打切ります。   —————————————
  71. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 最初に戻りまして、防衛水域に関する件を議題として進みたいと思います。丁度アジア局長がお見えになつておりますので、当委員会におきましては、去る十月三十日でございましたか、第一回の委員会を聞きましたが、その際には成規委員会でなしに、懇談会の形においてこの問題を研究いたしたのであります。その後相当この問題については進展もあり、変化もあつたのではないかと思いますので、その後の情勢についてアジア局長から御説明を頂きたいと思います。
  72. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) この防衛水域の問題につきましては、この前の打合会のときでも大体のことを御説明申上げ、それから昨日の漁業関係の大会のときにも、一応業者の皆様に御説明をいたしましたので、大体のところはおわかり願つておるかと思いますが、実はこの件につきましては、まだ交渉中でありますのと、それから昨日もちよつと御説明を大会のところでしたのでありますが、政府が発表を差控えておるのは、結局現在いろんな発表をいたしますと、むしろ反撃を食らう関係にありますので、発表を差控えておるということを昨日もちよつと申上げたのでありますが、実は相当立ち入つて交渉の内容ということになりますれば、それについて御説明なり御質問がございます際には、秘密会の方法によつて頂くことが現在の段階では適当ではないかと思いますが、その点をお願いしたいと思います。
  73. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 委員のかたにお諮りいたしますが、只今秘密会にしてもらつたら詳しく話ができるというのでありますが如何いたしましようか。
  74. 木下源吾

    木下源吾君 秘密を要するような部分だけ抜いて、その当らないところは一つ話して頂きたい。
  75. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それを抜くと余り聞きたいところが出んのではないかと思いますが。
  76. 千田正

    千田正君 我々委員といたしましては、現在朝鮮水域或いはその他の水域とのいろいろな問題もあり、且つ又それを十分に政府当局からの説明を伺つておきたいと思いますので、秘密会に入ることの動議を出します。
  77. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは秘密会にすることに同意を願います。外部のかた、新聞記者のかたの御退席を願います。    午後三時四十五分秘密会に移る
  78. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 実はこの関係を詳しくこれから申上げたいと思いますので、秘密会をお願いいたしまして、先般の衆議院のときにも秘密会をお願いいたしまして約一時間に亘つて申上げました。実は甚だ勝手でございますが、五時に今日はどうしても私自身が会わなければならん、そしてその関係は賠償の関係なんですが、どうしても処理しなければならん件がございますので、更に私今日は大体一時間くらいに亘つて説明を申上げようかと思つておりますが、そのあとでいろいろ又御質問がございましたら又明日のときにでもそういう恰好で御質問をあれするということにして頂きまして、私できれば五時十分前くらいに一つ今日は退席さして頂きまして、次の機会更にいろいろ御質問がございますればお答え申上げようと思います。今日は十分最初からお話を申上げます。こう考えております。  この朝鮮との関係では、実は筋の通らんことがもう重なつておりまして、関係の皆様もそうでございましようが、直接交渉に当つております我々も微力の点は重々承知しておるのでありますが、どれくらい努力をいたしましても、筋の通らん問題、腑に落ちん問題がたくさんございます。その腑に落ちんその結果を申上げればおわかり頂くかと思いますが、この水産の問題も同様でございます。先ず第一に、筋の通らん問題として、我々があらゆる努力を続けております問題は、李承晩ラインの問題でございまして、これが結局は現在防衛水域の問題とからんで、むしろそのほうがうるさい問題になつております状況であります。従つて、先ず最初に李承晩ラインの問題を一口我々の従来の交渉関係、現在の問題というのを申上げたいと思います。御承知の通り、李承晩ラインは今年の一月十八日に向うが声明をいたしまして、而もこの声明はまあいろいろな関係はございましたでしようけれども、当時日韓交渉をやろうということで、その関係漁業問題を取上げようということがすでに日韓双方にわかつておりました。そうしてそういうのを見越しまして、韓国側が一つ自分の権利擁護をやろうということを考えた、当時又このマツカーサー・ラインの問題、あれが取除かれるかどうかといういろいろな問題がございまして、それで結局はそういうことにヒントを得たものだろうと思います。けれども、要するに李承晩ラインというものの宣言をやりまして、勿論当時この李承晩ラインというものは、例えばアメリカの例だとか南米なんかの諸国の例を引いて、これが国際先例があるのだということを先方は申しましたのであります。けれども、これは実際の現在の国際関係から申しますれば、こういうようなこれにぴたつと合うような先例は一つもありません大陸棚というようなものに対する韓国の主張というものは、海底の資源、鉱物資源等の問題のみならず、その大陸棚の上を浮浮遊する魚族というものに対しても主権を及ぼそうというようなそういう国際法上の試みはこれが最初であります。従つて政府といたしましては、この李承晩ラインにつきましても、当時そんなものが国際法上認められるものではないし、又日本政府としてもこれを認めるわけには行かないということをすぐさま抗議をいたしました。そういうことをいたしましたあと、向うもどうせこういうようなものは相談ずくでなければできないということを承知しております。従つてまあ希望の表明と申しますか、政策の表明と申しますか、その程度にまあ取扱つた模様であります。而もその後二月から四月にかけましての日韓間の漁業交渉におきましては、何とかこの李承晩ラインに書いたようなことを日本側に認めさせるという気持でおつたことは確かであります。併しながらその案の中には、李承晩ラインの一方的な宣言が日本との間で効力を生ずる、或いは国際法上これが支持し得るものであるということは一回も申しておりませんし、又こちらのほうがしよつちうこれを打倒しておりましたから問題にはなりませんでした。従つてまあ向うはそういう希望を持つてつたのでありますけれども、日韓会談のときの漁業関係では勿論そういう問題は問題にならない。李承晩ラインをこれを実際認めるということは問題にならない。従つてまあそのことも一つの原因となつて漁業関係の話はつかなかつたわけであります。その後今年の李承晩ラインを声明しまして漁業関係の日韓会談は話がつかなかつたのでありますが、暫く鳴りをひそめておりました。それで日本のほうの各漁船もその漁期に従つて朝鮮近海に出ておられたようでありますが、最近その後問題になりましたのは、八月の中頃と九月の初めに日本の漁船が二、三隻向うに臨検を受けまして、で、そういうことがありまして、結局は向うは臨検をするのに実は済州島の或る港に連れて行つてひどく取調べた。而もそれは普通国際間に認められておる領海三浬以外の地点でそういうふうにつかまえて行つた。こちらもそれに抗議いたしますし、向うも最初返すつもりでおつたようであります。ところが実はその後そういう船が二、三つかまつたということで、これは何か業界の御希望もあつて政府のほうでは何か現地一つ保護しようじやないかという案が進みまして、水産庁の船、それから海上保安庁の船、これは何ら武装をしておりません、武装していない船をまあ現場にやつて、何か朝鮮側の監視船その他が変なことをやるならば現場で話をつけるように、保護するようにしようじやないかということが政府の案で大体固まりました。九月の半ば過ぎにはそういう船を出そうということになつてつたわけであります。ところがその監視船がまあ大体こういう方向で船を航行さして歩かしたらいいだろうというような恰好で、日本側考えておりました監視船の歩く航路というものは、地図に示しますと一つの線をなすわけでありまして、その線がたまたま向うが言つております李承晩ラインというものの中を通つて、済州島と朝鮮半島との間を通つて行くようなことになつてつたわけであります。従来の水産庁の船はしよつちうマツカーサー・ラインがあつたときにもそれを通つてつたわけでありますけれども、それを通るということが向うに知れますと、あと大変朝鮮側のほうで憤慨をしたものでありまして、九月に入りましてからその問題を中心にして大分わあわあ云つて、もうそういうことで日本の船が来るからもうその近所にいるその他の船でぶつ放して、大げんかするなり、もう撃つたつていいじやないかということで、大変いきまいたということが当時の空気であります。まあそういう恰好でその李承晩ラインの問題があつたわけであります。ところがたまたま朝鮮戦線で又俘虜の問題について現地のいろいろな問題が動いて、そういう当時クラーク大将が現地に行かれたのが九月の二十日過ぎであります。向うヘクラーク大将が行つてそういう軍事状況なんか話をされて帰つて来られての話に、どうも俘虜の問題についてどうしてもいろいろ調べて見ると、朝鮮半島の南のほうに二つ三つの小さな島に俘虜を置いておくらしいのでありますが、その俘虜が北鮮を通じていろいろ騒ぐのが漁船のような恰好でいろいろ通じて陸のほうに持つて来る。どうしても軍としては今後の俘虜の問題を処理する上において、一度あの近所を広く取締つて行かなくちやならんという意向を持つておるというような話を聞いたわけであります。それでそれは取締るといえばどういうことになるか。あの近所には当時日本の船が三百隻くらい出ておつたときでありますが、大変な日本漁業の利益関係があるわけだから、変なことになるとまあ大変なことになるということで、いち早くそういうことを耳にしました我々としましては、水産庁のほうにもお願いして、如何にこれが日本漁業関係が深いかということを説明をしたわけであります。そしてこの現在の国連軍に対する連絡というものは、アメリカの政府を通じ、アメリカの政府機関と申しますとここの大使館でありますが、大使館を通じて話をするということになつておりますので、我々は国連軍への話というものは現在アメリカ大使館を通じてやつておる。そのアメリカの大使館にいろいろ事情を話をし、日本のアメリカの大使館には丁度漁業の専門家のネヴイルという人もいたわけでありまして、従来からよくいろいろなことを日本漁業関係を知つているその人も、まあ日本の利益ということが十分考慮に入れられるように一つそれはしようじやないかということが、最初の米国の大使館の係官等と我々との話だつたのであります。それで間もなくそういうことになるかなと思つて我々も説明をして十分了解を求めておつたのでありますが、突然に、突然と言いますともう我々が予期したよりも早く、九月の二十七日に釜山の現地のほうで何か防衛水域というものが宣言せられたということがこちらのほうの二十八日の朝の新聞に出ました。これはもう大変なことだ、一体どういうことになつたのだということで、一体我々が話を受けたのが二、三日の間ですから、そこで初めて何か軍の措置がとられたということを政府は又承知し、実はここのアメリカの大使館もそれでびつくりしたような状況であつたのであります。併しとにかく何か新聞に出た程度ではさつぱりわからない。一体どういう性質のどういう根拠に基いて、どういう性質のことが行われるのか、それからその近所にはたくさんの日本の船が行つているのだけれども、その船がその地方に入つてつた際にはどういう取扱を受けるのか。これも至急に知りたいということで、政府は二十九日の朝長い第一の書簡をアメリカ大使館に出しました。それには今申上げましたような本件発表の正式の写しをほしいとか、或いは本件措置の法的関係はどういうことになつているか、それから立入禁止区域の設定であるのか或いは危険区域ということであるか、或いはそこへ入つた船舶にはどういう処置をつけるか、それからその範囲はどういうことになつているかということを尋ねましたあとで、日本に更にどういう利害関係が生ずるかということを地図その他資料等を整えまして添附しまして出すと同時に、更にこの言い方の如何によつては、この防衛海域のやり方如何によつては、これは従来、従来と申しますか、最近韓国のやつている李承晩ラインというような問題とこんがらがつてしまつて、大変面倒な問題を起すと思われるからして、この関係についても承知したいということでお尋ねを出したわけであります。それを出しましたあと、実は書面のみではございませんので、何回もそれについて口頭の説明なり連絡をいたしまして、一日も早くこの返答がほしい、そうして何とかその返答の内容は、要するに日本漁業に余りへんな影響を及ぼさんようにしてもらいたいという希望を申述べておつたのでありますが、結局それに対する返事というものが約二週間かかつて来たわけであります。この二週間かかつたということが、その間にはこの問題について現地の連絡もやつたでありましようし、又日本側から数回に及ぶその書面のみならず口頭でもいろいろ希望の表明なり交渉をいたしましたので、この問題については米国の本国にもいろいろ報告され、本国の意向も伝えられなどいたしました結果が、十月の十三日に最初にアメリカ側から返答が参りました。その返答の要領はこれも大体従来から関係の業界等には申上げておりますし、皆様にもこの前も或る程度説明を申上げましたので御存じのことと思いますけれども、アメリカ側の手紙には先ず国連軍の発表文がついておりまして、この発表文は、今日はちよつと発表文そのものを持つて来ませんでした。この前の衆議院水産委員会の秘密会ではそれを差上げたわけでありますが、この次持つて参ります。この発表文の大体の要旨は新聞に出た通りでございます。その発表文だけでは実は意を尽さんこと多々ございますので、それに対しアメリカの大使館から説明を数点加えております。その説明は要するに向うの発表がありましたあと日本政府が文書並びに言葉を以ていろいろ交渉し明らかにしてもらいたいという点のうちの或るものについての説明を加えて来たわけであります。それによりますと、まあ範囲は大体新聞等に出ました範囲でございます。  それからこの区域の性質でありますが、その性質の書き方が甚だぼんやり書かれております。それは実はいろいろ交渉の結果なんでありますが、つまり封鎖区域というものについて最初の司令官の発表には防衛海域ということが書いてあつて、それの性質ということがはつきり書いてありません。軍事上こういうものを引くのだということが書いてある。それで日本側としましては、そういうことならば軍事上差支えない範囲において入つていいのじやないかという交渉を続けて来たわけであります。ところがその性質の問題について尋ねたのでありますけれども、余りはつきり書き過ぎると、結局は軍事上ということになれば立入禁止ということに結論が来て参るということで、これは警戒区域だということに持つて行こうというのが我々の交渉の主眼点であつたのでありますけれども、それははつきり書けない。それで結局アメリカ側の返事といたしましては、その性質の問題では二つの言い方をして参りました。一つは無害又は統制された交通のためには船が入つてよろしいという言い方でありまして、ちよつとそれを読んでみますと、説明を簡単にしますためにその要領を読みますと、「友好国又は中立国船舶の同海域の無害又は統制された通過に干渉することは国連軍の下に行動している海軍の意図ではない。但し陸海軍事行動が附近に行われる場合その必要上又は慎重な配慮として当該船舶の針路変更を行わしめることはある。」、つまりこの問題は無害で統制された航路、これはどういうものをいうかということで、更にこれを質問したのでありますが、要するにはつきりした目的を持ちまして日本から軍需品を運んで釜山に行くとか、或いはほかのほうの関係で或る目的を持つてそこをほかの関係の船がどうしても通行するとか、その一つの目的を持つて歩く船については、軍事上差支えがあるときには変更してもらうが、そうでないときは通つてよろしいというのが一つの書き方であります。  それから第二の書き方は、「併し乍ら、前記以外の船舶で」、ここは漁船等が入るわけでありますが、「併し乍ら、前記以外の船舶で同海域に立入り又は海域内において発見され、その存在が国連軍の陸海軍事行動の遂行を阻碍する要素になると認められるものは退去するよう警告される。」、この書き方は持つてつた書き方でありますが、先の統制された航海をする船以外の船、つまり漁船はこれに入る、そういう漁船がその海域内においで発見され、又その存在が軍事上、俗な言葉で言えば邪魔になるときには出てもらうことにするぞという書き方、それで実はこれならばしめたということで、実は我々喜んだわけであります。それでその存在が軍事上邪魔にならなければ出ていいというそれならば我慢ができるということで喜んだのでありますけれども、更にそれじや船を出そうということに一時は大変喜んだわけであります。ところがこれがそう簡単には行かんということにその後なつて参りまして、困つておる状況であります。もう少し詳しく申上げますけれども、そういうような書き方でありますけれども、実は入つてもらうというのが建前でない、入つて来るというのが建前である。併し誤つてつたりなんかした際に、軍事上邪魔になるときは出てもらう。ところがそれについていろいろ日本側の理由を説明いたしましたところが、その近所をうろうろしてやつている、やれれば入つていいじやないかというところまで話は又持直して参りました。ただ書き物としてそれが書けない。それでそういうところまでその後の交渉で持つて来たわけであります。それで実際上追出されることがあるぞということを了解の上で出たらいいじやないか、それを一つつてみたらどうかというところまで持つて来たわけであります。それから更にその次の向うの説明に附け加えますと、ここへ入つてつても、どんな船でも拿捕されることはない。つまり無茶に暴力を以て抵抗したり、或いはこうしろというのに暴力を以て抵抗するというような場合には、何所か連れて行つて、そんなことをしちやいかんということで連れて行くかも知れませんが、拿捕されることはしないということを言つております。その程度で最初の手紙の返事が参りましたそれではやはり我我のほうとしては余りはつきりしない。併しながらこちらでいろいろ交渉いたしました結果、追い出されるのを覚悟で出て行つたらいいじやないかということでありましたので、政府はそれではもう大体その辺に出られるという建前一つ協力方針を考えようというのがこちらの態度でありまして、実はそういう恰好ですぐ第二の日本政府の手紙を書いたのでありますが、その日本政府の手紙の要点は、趣旨として国連軍の作戦に日本協力しておるのであるから、この問題についても方針としては協力をする。それで協力をしますということ、それからその協力をするについて、問題の海域へ船が出る際には、誤解を受けたり、或いは不審な行動があるというような疑いを受けないために船にいろいろしるしをしたり、或いは身分証明書のようなものを持たせたりします。それから更にあらかじめこういう軍事上の行動がある、或いはこういうような演習があるということの警告を受けるならば、その地方には或る一定の期間出ないようにしてもよろしい。成るべくそれは協力する意味においてそういうふうな措置をとつてもよろしい。併しあらかじめこれは通知してもらいたいということ、それから更にこの監視という問題について、韓国側の船は一体どういう立場に立つか、これは監視をする際に韓国側の船がやるのではいろいろな面倒を起す場合、誤解を起す場合があるからして、米軍が直接やつてもらいたいということを申入れました。それから勿論日本側と韓国側との船が無差別なように取締りを受けるものと思われるが、そうかということで、協力するという建前にいたしたのでありますが、そういうふうに更に念押しをしたわけであります。それに対して米国側としては又更に大分研究をしまして第二回の返事が十一月の四日に参りました。その十一月四日の返事も実はこれは余りはつきりした返事にはなつておりません。但しその十一月の四日の返事と、それから最初の我がほうからの第二番目の手紙の間に、マーフイー・アメリカ大使がいろいろ我がほうのこともよく考え了解をし、そうして結局現地の軍と話をして、なんとかこの事態を少し緩和するように努力するからということで、マーフイー大使が十月の二十八日から三十日にかけて調査に行かれたわけであります。その結果先ほど申しましたような書きものの建前として、その防衛水域ということが、なんと申しますか、立入禁止でないのだということをはつきり書くことはこれはできない、軍の建前としてできない。併しながらその建前はつきりしないままにしてなんとか日本側漁業関係にも余り害がないようにするためにやつてみようじやないかというところまでは話を持つて行つてもらつたわけであります。従つて米国の第二の手紙においては、我がほうから尋ねておりました無差別にこれを適用されるならば無差別に適用されるという点と、それから成るべくこの防衛水域というものは短期間にしてもらうという点、それから関係国の利害を成るべく害しないように施行してもらうというようそうな点を、そういうふうなアメリカ側の意向、国連軍側の意向をアメリカ側を通じて第二の手紙で我々承知したわけであります。それで実際問題としましては、最初の防衛水域というものは全然立入ができないかどうかという問題については、まあ行つてみて、そうして出ろといわれたら又出ることにして出たらいいじやないかというところまで話が来まして、或る程度骨が抜けて来た。で更に実は、軍の上のほうの話としましては、十月の末頃にその辺まで話が行つたのでありますが、何しろ軍の命令、それが実際に艦船に乗つておる兵隊或いは米国側の兵隊或いはその米国側の兵隊の監視の下に、或いはコントロールの下にある韓国側の船というものにそういうことが徹底するのは暫らく時間がかかる。従つてどういう状況になつておるか、その状況を見ながら更にこの事態の緩和をして行こうじやないかというのが、十月末から十一月現在までにかけての本当の了解であります。  ところが実はその後の発展でありますけれども、一方韓国側といたしましては、この防衛水域の宣言せられたということに便乗をいたしまして李承晩ラインというものの宣言がこれは正当化されたのだ。更に我々はこれを今後やつて行くのだということに態度はつきりいたしまして、そういう通牒を九月の二十六日に日本政府にしておりますし、日本政府といたしましては九月の二十九日に、そういう韓国側の態度というものは従来も言つているように到底日本としては認められないということはすぐ反駁はしております。申し落しましたが、米国の最初の手紙のあとに、この防衛水域は何ら李承晩ラインのこととは関係がないと書いてあります。口では決してそういうものを正当化したり、実証するのを助けるつもりは毛頭ないということを言つております。併しながらとにかくだんだんまあ実際問題として、少くともアメリカの大使だとか、それから軍の上のほうとの話の関係では防衛水域もそう長くやるつもりはないし、それから更にその実施の仕方も全然入れん、入つたら厳罰に処する、或いは拿捕する、或いは射つというようなことは毛頭ないのだから、できれば発表せずにおいてもらいたいということであつたわけであります。関係の向き並びに議会並びに業者の関係には、大体こういうような交渉の内容になつておる、こういうところへ来ておるというふうにあらゆる機会で説明をしておるわけであります。多少順序がごたごたしましたけれども、右のような次第でありまして、特に何かこの関係につきまして、更にお尋ねがありますれば、説明を付加えたいと思います。
  79. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これにて秘密会を閉じます。    午後四時二十八分秘密会を終る
  80. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) なおお諮りいたします。只今の秘密会の会議中、特に秘密を要し、参議院規則百六十一条によつて会議録から削除すべきものがありましたら、委員長において適宜削除したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ございませんようですから、さよう取計らいます。  それでは本日の会議はこれで散会いたします。    午後四時二十九分散会