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1953-03-11 第15回国会 参議院 人事委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員門田定藏君、高田なほ子君及 び赤松常子君辞任につき、その補欠と して吉田法晴君、金子洋文君及びカニ エ邦彦君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     千葉  信君    委員            溝口 三郎君            吉田 法晴君            カニエ邦彦君            紅露 みつ君   委員外議員            高田なほ子君   政府委員    内閣官房長官 菅野 義丸君    人  事  官 入江誠一郎君    人事委員事務総    局給与局長   滝本 忠男君    調達庁労務部長 中村 文彦君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    調達庁総務部財    務課長     志賀 清二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給与問題に関する調査  の件(給与準則に関する件) ○日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案衆議院送付) ○連合委員会開会の件 ○国家公務員等に対する退職手当の臨  時措置に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは只今より人事委員会開会いたします。  今日上程されておりまする案件は、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する件律案び日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案、以上予備審査二件でございますが、そのほかに国家公務員給与問題に関する調査並びに公務員制度に関する一般調査の二つの案件が上程されておりまするが、この際御希望によりまして最初調査案件に関しての質疑があるそうでありまするから、この点から質疑のあるかたは順次御発言願いたいと思います。只今出席になつておられますのは、政府委員としては入江人事官であります。  それからあらかじめお諮りいたしますが、委員外議員高田なほ子君から委員外の発言を求められておりまするが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは……。
  4. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) この際お尋ねをいたしたいことは給与準則の問題でありますが、給与準則についてはかねてから人事院が何かと作業を進められておられるような御様子を伺つております。大体給与準則はどういうような時期に御提出になるのか、おおまかな時期をお差支えない範囲でお示しを願いたいと思います。
  5. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 給与準則につきましては、先般来極力作業を進めまして、関係人事主任官なり関係組合のほうへも御覧に入れましたが、まあ大体見通しが付いて参りましたので、できますれば来週にでも勧告いたしたいと思つております。
  6. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 来週大体作業終つて来週頃出すと、こういうような御答弁でございましたか。
  7. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) さようでございます。できますれば来週勧告するような取運びにさして頂きたいと思つております。
  8. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そういたしますと、今御承知のように国会に五大重要法案が出ておりますけれども、この間に最も私たちとしては重大関心を持つ給与準則本国会中に上げると、こういうふうなお考えでいらつしやいますか。
  9. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 人事院といたしましては、作業が終了いたしますれば、国家公務員法義務もございますので、勧告さして頂きたいと存じまするけれども、これを政府がどういうように取扱われますか、この国会で具体的にどういうふうに御審議が進められますかは人事院といたしましては確たる見通しは付いておりませんのでございます。
  10. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) この問題はやはり人事院が主体になる問題であつて、当然政府の動きの中にその問題は解決されなければならないと思いますが、人事院としては本国会中にどうしてもこれを上げてもらいたい、上げさしたい、こういう積極的な意欲を持つていられるのか、或いは政府考え方如何によつて如何様でもいい、こういうふうな態度でおられるのでしようか。
  11. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) もとより人事院といたしましても成行きが如何様でもいいということは、考えておるわけではございません。併しながら政府なり国会のいろいろな御都合もあることでございますから、勧告をさして頂きまして政府なり国会のお取扱にお願いいたしたいと思つております。
  12. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 来週中に作業が完成するというように大変に手取りよくお運びになつていらつしやるようですが作業の中で一番問題になつている点、今日残つている点、その点をあらましお話願いたいと思います。
  13. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 大体すでに御存じかと存じますけれども、細かいことはこれは別でございまするけれども、案の大要につきましては大体でき上りまして、関係方面御覧に入れておるわけでございます。ただ御存じのように、教職員俸給表だけがまだ最終的にきまつておりませんで、これがまだ成案も得ておりませんような状態であります。これにつきましても、できますれば先ほど申上げました通、り、来週勧告をさして頂くまでには成案を得たいと思つておるような次第でございます。
  14. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) その審議過程かたがた問題になつているのは例のややこしい二本建、三本建という問題でございますが、人事院としてはこの作業過程でそれらの調節をどういう方向に持つて行こうとされるのですかね。
  15. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 現在のところこの問題は、御存じ通り二本建、三本建として世間に言われておるわけでございますけれども、これは御存じ通り大体において高等学校教職員のかたと中小学校教職員のかたとの俸給表をどういうふうに作成すべきかという問題でございまして、大体従来から御存じ通り或る程度論議されておりますので、現在これを仕上げいたします場合には、おのずから最終的にどういうふうにきめるかということになつて来ると思います。その問題につきましてはまだ人事院としましては決定の運びに至つておりませんので、現在の段階におきましてどういう方向に向いて進めておるだろうかということにつきましてはまだ御報告をいたし得る段階になつておりませんような次第であります。
  16. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 非常に問題を醸した点なのですが、来週中に完成するということになれば人事院としてはその腹案をもうお持ちになつているのではないかと思うのです。その腹案の最も重要な点ですね、お差支えない程度で御発表頂きたいと思うのです。
  17. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 折角のお尋ねでございますので、現在きまつておることは申上げたいと存じますが、御存じ通りこの問題は大体どういうふうな俸給表を作るかということは今まで論議を尽されておる問題でございまして、結局俸給表の細かい問題を最後にどういうふうにきめるべきかということできまる問題でございますので、最終的にきまりませんとちよつと御報告をいたしかねるような状況でございまして、只今段階では暫くお待ち願いまして、勧告の際に御報告させて頂くというふうにさせて頂きたいと思います。
  18. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) それじやもう一問だけ。総裁は、給与の二本建、三本建の問題については、すでにいろいろの研究過程で、私共も総裁に御研究願つてつたわけでありますが、給与はやはり一本という形で行くのが正しいということは今日なおもつてお変えにならないと思うわけですけれども、そういう基本的な考え方を今日お捨てになつたというわけじやないのですか。
  19. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 総裁がどういうふうに考えておられますか、私も確たることを存じないのでございまするけれども、この俸給表を一本とおつしやいますか、高等学校義務教育との間においてどういうふうにそれをかみ合わして作成すべきかということを現在検討いたしておりますような段階でございまして、総裁が今この問題について一つ方針の下にすでにきまつておる方針の下に何らかそこに作業を進めておるというふうには私は何も聞いておりませんでございます。
  20. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そうすると、人事院作業というのは基本的な態度というものはなくて、その都度いろいろな要望に応えてどんなふうにでも、言葉が大変過ぎる言葉だと思いますけれども、その都度やはり基本的な考え方というものは変えられて行くものなのですか。
  21. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 実はその点或いは申上げ様が悪くて誤解をお招きいたしたと思つて恐縮いたしますが、総裁が一本建、一本といいますか、一本という問題でこの問題を研究しておるだろうかというようなお尋ねのように伺いましたので、そういう一つの現在きまつておる前提の下に作業を進めておるわけではございませんことを申上げたわけで、高等学校義務教育職員との関係をどういうふうにかみ合わして俸給表にいたしますかということにつきまして現在いろいろ検討しておるような状況であります。
  22. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) その問題が最後に残つている問題で、それが片付けばこれで全部作業は終り、こういうことになるわけですね。
  23. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 細かいところは別といたしまして、大体においてさようでございます。
  24. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) それじや又後刻ゆつくりお伺いしたいと思つております。
  25. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは只今出席になつておられます政府委員は、菅野長官人事院滝本給与局長調達庁中村労務部長の二君が御出席になつておられます。それからもう一人大蔵省岸本給与課長も御出席だそうでございますから、先程のお話合いによりまして駐留軍労務者に対する退職手当案件から、順次御質問のあるかたは……。
  26. 千葉信

    委員長千葉信君) 速記を止めて。    〔速記中止
  27. 千葉信

    委員長千葉信君) 速記を始めて下さい。
  28. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは大蔵省のほうに一つ伺いたいと思いますけれども、ついでに菅野さん、一つお願いします。先ず先に政府としてこの駐留軍労務者が当然これが職を離れたときに、一応その身分講和条約発効とともに、駐留軍労務者が現在のこの立場に身分変つた、このときにすでに支払つてやらなければならん問題であると我々は考えておる。然るにその一片の頼りにもならんような紙切を渡して今日まで来ておるということは実にその怪しからん。怪しからんということでなく、これはもう労務者に対して長い間その進駐軍労務者として使つてきたそれらの人たちに対して、非常な不利益を与える結果になるというように私は考えておるのです。そこで勿論その計算表に基いて、五分の利息をつけるということにはこれはさまつておるのですがね。この頃のようにこう物価がインフレインフレになつて参りますると、そのときにすでにもらつておいた金であれば、五分の利息をつけてもらわなくても、これは一例に過ぎんと思いますが、洋服一着買えたものが、シヤッとぱつちしか今度もらつた分では買えないということになるのだね現実には……。それじや結局汗みどろになつて働いた労務者諸君に対して極めて不親切であり、まあ早く言えばペテンにかけたようなことになるのだね。そこで政府はこれに対してやはり速かに、今まで一年間遅れたことはこれはしようがないとしても、ここでやはりきれいに決済して払うべきでないか、こう思うのです。そこで一つ官房長官は、一体どういう具合に政府を代表してお考えになつているか、一つ聞かして頂きたい、こう思いますがね。
  29. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申上げます。もとの占領軍労務者、現在駐留軍労務者になつておるかたがたは、成るほど勤務の状況等、或いは職場等は同じでございまして、ずつと継続しておるような外形になつておりますが、一つ占領期間中であり、一方は独立国としての条約に基く駐留軍労務を提供しておるのでございますから、その性質は全然違うのでございまして、法律上、又事実上、先般の平和条約発効と同時に退職いたしたものといたしまして、そのときの退職手当を、今カニエ先生のおつしやるように、昨年の四月二十八日に払うべき性貫のものであると、政府も固く信じております。併しながらそのときに全部支払いいたしますと、相当の額になりまして、資金的にも準備ができなかつたために、両院の議決を得まして法律を通して頂きまして、そして今後実際上その人たち退職されるときに年五分の加算をつけて支払いをいたすということに現在の法律はなつておるような次第でございます。併しながらこれは只今仰せのごとく、当然一年くらい前に払うべき性質の金でございまするから、政府といたしましても実際退職のときまでこの支払いを延期するということにつきましては、心苦しく思つておりまして、でき得ればこれは成るべく早く支払いたいというつもりを持つております。ただ併しこれを一時に支払いますということになりますと、相当金額が要るのでございまして、これにつきましては調達庁資金では到底賄い切れないのでございます。従いましてでき得れば政府といたしましてはこれを二回ぐらいに分割して支払うことができないものだろうかということを今考えております。一回に全部ということはできないまでも、できるだけ早い機会に、先ず第一回分、半分くらい支払いを済まして、資金準備ができ次第それに続いてすぐに又支払いたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 資金のまあ準備ができなければというお話で、聞いておりますと、如何にもこの金繰り政府としては苦しくて、につちもさつちもいかないようなふうに聞えるのです。そこで一体このどのくらい金が、金繰りかつかんために二度払いにせんならんということになるのですか。どのくらいですか金は。
  31. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答えいたします。細かい数字は私存じておりませんが、私の今まで聞いておりましたところによりますと、現在の調達資金によりましては、借入金限度というのがきまつておりまして、五十億だと思いますが、その五十億の限度内しか借入金ができないのでございます。ただこれで、この制限の以内でしたならば、到底一回に支払いをすることができないのでございまして、あと二十億余りはどうしても殖やさなければ支払いができないというような状態のように聞いております。勿論これは資金関係でございまするから、或る一定の期日にアメリカ駐留軍のほうからの支払いがあるということを予想しての上でございました。これが又なくなりますと、その資金が足りなくなりますが、このアメリカ支払いは極力早くするように交渉いたしておりまして、或る一定の日までに支払いがある、こういうことを予想しての計算によりますと、只今申上げたような数字になるやに伺つております。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十億、まあ今の何ではそういう数字になるのですが、仮にこれが五十億ということになつても、私はこの二十億を操作ができないので、今日まあ食うに事欠いておる労務者に渡すべき金が二回に区切らな払えんというようなことに私は思えないのですこれは。これは結局政府が経費を投ずる、これはやらんならんと当初副長官が言われたように、当然その支払うべき性質のものであるから、どうしてもこれはやらんならんという熱意があれば、私はできるのじやないだろうか、ということは、まあこれはいつも私が言うことですが、政府は一体年間国家公務員の幹部、それから政府のこのだらしのないいわゆる行政ですね、こういうことにおいて一体年間どのくらいの不当な金を流出しておるかということですね。するとこれは二十億や十億じやないのですね、これはなかなか何ですよ、会計検査院ちよぴりとその一角だけを報告して来ただけでも、二十四年度が八百十六億七千七百万円ほどあるのですからね。八百億円、八百何十億という金に対してですよ、片一方にそんなこと、だらしのないことをやつておいて、そして片一方は、そこは払わんならん労務者退職金を二十億払えません。そういうふうなことはね、これは国民に本当にこういう事情であると言つて話したつて、納得しませんよ。これはどうしたつて納得できるわけがないじやないか、片一方に切詰めておやりになつてつて、そしてもうどうにも無駄はございませんと、政府はこれだけ努力をいたしおりまして、なお一つお気の毒でございまするが、一つ働いておられるかたがた退職金ちよつとお借りしなければやり繰りがつきませんと言うなら、これは話がつくのだね、これは今のあなたの答弁はそうでしよう、ところがそうじやない。だらしなく汚職汚職、涜職々々、もうもう鼻持ちもならんような悪いことをして、そうして何百億という国民の血税を濫費しておきながら、ここで退職金の二十億のやり繰りがつきません、二度に区切つて払わなければと、一体どの面下げてそういう厚かましいことを我々に言えるかということだ。僕は実際それは余り誠意がなさ過ぎる。それは余り副官房長官聞えませんということになつて行くのだね、これではね、だから私はこの二十億をやはりやり繰りして、この際一つ政府は肚をきめてね、そうして当然この金は何じやないですか、退職のときには駐留軍のほうとしては、代金を支払うときに、退職金の割合も含めてやはり払つてくれていると思うのですね、どれだけ払つておるか、それは知りませんが、とにかくその中に加算していると思うのですよ、だからいわばその加算して当然に払つておるやつをですよ、やり繰りがつかんからと言つて、てめえのほうでそれを流用しておいて、片一方においてそういうふしだらな行政をやつておる。それでもう払えんと、ようそんな厚かましいことが僕は言えると思う。だから結局労働者がやはり食えんからへたり込まざるを得ない、やむを得ずストライキもやらんけりやならん、こういう形になつて来ているのですよ。だからこのくらいの金に対してはやはり政府は責任を以て、そういうようなことも君らもやらんどつてくれ、我々も一つ努力して、しかじか幾日になればそのくらいの余裕はつく、払うからというのならいいが、二回払いにしてくれなんてそんな馬鹿なことはちよつとおかしいですね。どうなんです、二十億を何とか一つ努力して、政府大蔵省にやかましく言つて出そうという決意があるのかないのか、どうなんですか。
  33. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今カニエ議員のおつしやつた会計検査院批難事項等の点につきましては、誠に遺憾な点でございまして、政府としてもこれについては自粛して、ますます行政方法について検討をしなければならんという決意を固めております。併し二十億の金が足りないから、これを何とかそういうふうな、一方においては不正な、或いは妥当でない支出が行われているその金を考えれば、何とかできるだろうというようなお話のように伺えたのでございますけれども、借入金限度というのは法律できまつておるのでございまして、これはやはり法律を直さなければ実行できないのでございます。法律は、仮に両院の御同意を得て直すといたしましても、この限度を余り拡げますと、今度は駐留軍のほうの支払いを促進する上において、どうも結果がよくないのでございます。そういう資金余裕というものは作らないでおくということが、むしろ駐留軍支払いを促進し、できるだけ早く支払つてもらうことを交渉する上においては有利なようになるわけでございまして、政府はこの労務者退職手当支払いについて誠意がないというようなお話でございましたが、私どもはできるだけのことをして、これを何とかしてやりたいというので、閣議にもすでに二回ぐらいかけまして、関係大臣が相談をして、何とかこの際できないかということを検討した結果、只今申上げましたように、現在の資金繰りから行きますと、一回は無理であろうけれども、せめて二回ぐらいならば何とかできるだろうというような結論を得たのでございます。併しながらこれは勿論法律を直さなければならないのでございまして、只今国会のほうで一回払いという法律改正案が出ておることも承知しておりますが、政府のほうとしては、この一回は資金関係上到底できないので、できればこれを緩和して頂いて、政令で定めるところによりというくらいにして、先ほど申上げましたように二回ぐらいに分割支払いをしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。政府といたしましても労務者のことを十分御同情申上げるばかりでなく、又政府としましても年五分で金を借りているようなことでございますから、成るべく早く清算をしてしまいたいという気持は同じでございます。ただ何分にも一度に相当金額が要るものでございますから、そういうふうな方法をとらざるを得ないということは残念に思つている次第でございます。  なお最後お尋ねの、占領軍当時すでに蓄積してあつたはずであるということについての答弁は、ちよつと私数字を承知しておりませんから、調達庁のほうからでもお答え申上げます。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで政府が五分の利息払つて借りているようなものですからという今の副長官お話ですが、同じ五分の利息で借りているのなら、政府が何も今日食うに困つているような労務者から借りずに、何とか市中銀行からでも借りて、そうしてその市中銀行なら市中銀行日銀なら日銀に五分払つて、そうしてそつちこつちの労務者の困つているほうのやつを先に片をつけてしまうというようなことは、やれば私はできるのじやないかと思うのですがね。困つておるほうのやつを何も借りておく必要はない。だからそういうように、それじや半分のところは政府措置によつて半分払う、あと残つた半分の二十億なら二十億は、しようがないから、これは一つ政府市中銀行なら市中銀行からお借りになつて、そうして労務者に返してやるとか、或いは政府が返すからという保証を銀行にしてやれば、銀行で何とか融資をするとか、先ずそんなところは政府でどうにもできなんだ、そういうような努力がなされてこそ初めて労務者が、そこまでも努力をしたが、市中銀行が或いは日銀が、どうしても策がないためにやれんのだということになれば、これは又納得するすべがあると思うのです。だからそういうようにこの際やはり、ならん話でなく、なる話で一つ考えになつてはどうか、そういうような措置はできないのですか。
  35. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 労務者から借りていないで金融機関から借りたらいいじやないかというお話でございますが、それは先ほど申しました調達資金借入金限度というものが法律できまつておりまして、これを直さなければ形式的にはできませんのと、又実質的には、先ほど申しました通り、これを拡げるということはその目的のためならいいのですけれども、どうしても駐留軍支払いがルーズにしやすくなるので政府としては成るべくその限度は拡げたくないという気持を持つておる次第であります。
  36. 吉田法晴

    吉田法晴君 具体的な支払方法につきましてお話になつておりますが、その前に伺いたいのですが、昨年の四月二十八日に払うべきであつたということは、まあはつきりおつしやつたわけですが、問題は、労働者に支払うべき退職金、或いは金額には間違いないのですが、労働基準法によりますと、給与は現金で月々支払わなければならん。これは私が言うまでもなく、従来金券とか或いは現物とかで支払つて来られたことを防ぐために、労働基準法に明文を設けたわけですが、国家が、或いはこれは間接になるかも知れませんが、労働者に支払うべき金額を一札入れて借りておる、こういうのは、労働基準法の建前から言いますならば、これは間違いだ、違法だと思うのであります。そういう金の都合で借りておくということが許されるのかどうか、これはまあ人事院もおられますから、あと伺いますが、私は、政府としては、よもそういうことが許されるべき性質のものであるとはお答えにならないと思うのでありますが、そうするならば、これは支払うべき方法考える、払えないような法律をこしらえて借りているのだ、こういうお話だけれども、法律を作るならば政府から払えるような法律を提出して両院の承認を求められるというのが建前であろうと思うのでありますが、この退職金の本質についてどういう工合にお考えになつておりますか、先ず承わりたいと思います。
  37. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 給与とか、退職手当も同様でございますが、労務者に対するそういう性質支払いは、勿論これは現金でやるのが当然でございまして、殊に給与につきましては、生計の唯一の収入になつておるのでございまするから、これを計算書のようなもので以て支払うというようなことは、これは法律上も又道徳上も許さるべきことではないと思います。問題になつておりますのは、給与は、引続いております者については給与は現金で払つておるのでございまして、その点は今直ちにその生計に困るという問題は起らないと思います。それからそのときにやめましたかたにはこれは勿論現金で退職手当をやつております。ただ、引続いて仕事を駐留軍に対してやつておられるかたがたに対して、退職手当だけ、今度退職するときまで支払いを猶予してもらつておるような次第でございます。これは私労働基準法退職手当の点がどう書いてあつたかはつきり覚えておりませんが、まあ法律的にはどうであろうとも、これは確かに吉田議員のおつしやるように現金で支払うべきものでありまして、又時期も退職した直後に払うべきものであるということは先ほど申上げ通りで、政府もそう信じております。ただ、政府法律で以て一応例外を認めて頂いて今日に及んでおるのでございますが、この法律につきましてもこれは退職するときまで払わないでもいいということになつておりますが、これをできるだけ早い機会に分割払いをいたしたいと、こういうつもりになつておる次第でございます。
  38. 吉田法晴

    吉田法晴君 現金で退職金も支払うべきものだということはまあお認めになつたのですが、念のために申上げますが、例えば臨時工を使うとかそういうことで、職業安定法違反ということで、民間の臨時工或いはそういうものを使うことは一度整理されたわけですが、ところが或いは山林労務者であるとか、いろいろな面に、そういう、法律を蹂躙することを国がやつて来られた。これはまあ山林労務者については公署ということでまあ片付いたわけですが、この問題についても退職金について政府が先ず法律の精神と申しますか、労働法の精神を蹂躙するようなお手本をお示しになつておられるのじやないか、こういうふうに考えるわけです、現金で払うべきものを労務者から借りる、こういうことを国が手本を示すということは私は甚だ怪しからんと思います。現金で支払うべきものだというならば現金で支払い得るような法律的な措置を講ぜられることをやられなければならないと思う。建前は払うべきものだということを認めながら、払うべき法律をお作りにならないというところには、根本的に、政府としてのあるべき態度でないものが出ておるように考えられますが、その点重ねて基本的な態度の変更について、改訂の意思がないかどうか伺いたい。
  39. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 現在のこの問題に対する法律は、御承知の通り駐留軍労務者が実際にやめる場合に年五分の加算をして払うという建前になつておるのでございまして、この点について、これは事の条理上非常に妥当でないという御意見については私も同感でございます。従いまして政府も成るべく早くこの支払いをやるということに決心いたしまして、先般来いろいろ検討をいたしました結果、一回では無理であるけれども、分割払いならばできないこともないので、そういうふうに法律を直したいということを考だておるのでございます。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 現金で払うべきだ、現金で払わないで借りて置くことが間違いだということを認められるならば、多少緩和しても、とにかく現金で半分払つて半分をその次の機会に払う、言い換えるならば、半分は暫く借金で残す、こういう態度は出て来ないと思う。前の法律の妥当でない点をお認めになるならば、これは金額は二十億の借入金限度に関連いたしましようとも、直ちに直されるのが当然の措置ではないかと思うが、そういう方法について法律案の修正をするなりなんなりの措置をとられるのが今の政府態度ではないかと思うが、その点は。説明を聞いても納得行きませんが、どうですか。
  41. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お話は御尤もでございまして、一回に払うことが望ましいのでありますが、先ほど申上げました通り、いろいろこの点については検討をしたのでございますが、やはり一回で支払う資金をこの際調達するということは無理であるという結論になりまして、理想的ではございませんが、併し今後退職するときに一度に支払うという現在の法制の上の建前よりもずつとよくなつているのではないかと思われるのでありますが、そういうふうな中途半端になつたということは政府としてもこれは最善の法とは考えておりません。
  42. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 現金支払いということはこれは原則でありますからくどく申しませんが、日米間のこの問題でありますが、日米間における労務者に対する現金支払いの問題については、それ相当の国と国との間で側らかのはつきりとした契約というものが結ばれているのではないかと思うのですが、その内容ですね、はつきりとお示しを願いたいと思うのですが。
  43. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) お尋ねの点につきましては一昨年の六月に契約を結びまして、その中には給与一切は実費でそのままこちらから要求を出しまして償還されるということでございます。  それから退職金その他につきましては、管理費と言いますか、我々のほうでは管理費と称しておるのでございますが、その管理費の中に或る程度の見込を立てまして、それを蓄積して行くという建前から一人当りいくらというふうな見当でやつております。併しながら、これにつきましては特に退職金というふうなことではなく、管理費の内訳の中にそれを見込んでいるということになつております。
  44. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 現金を支払う根本的な理由に基いて今日までそういう方法をとつて来られたというお話でありますが、それは又御尤もなお話であろうと思います。そうすると今まで一人当り一カ月にいくらという単価を出して、それが蓄積せられていると思うのですが、その中には当然今度支払われるというこのいわゆる。五というような利子というものを含まれておるのか、おらないのかというところが一番問題点になると思うのです。一体一人当りの一カ月の単価というものはどのくらい見込まれているか。その中に蓄積されたものの中に一体利子なんというのが含まれているのか、いないのか、ここを明確にして頂きたい。若し数字がおわかりにならなければ利子が含まれておるかおらないかという点だけでもよろしいです。
  45. 千葉信

    委員長千葉信君) 只今答弁になるかたは調達庁の志賀財務課長説明員です。
  46. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 只今御質問の退職手当の五%のあれが入つているかということでありますが、これは退職手当そのものとしては入つておりません。それでその代りに国の資金を使うという建前からしまして別に金利をとつております。これが管理費の中に五・五%という金利を入れております。結局はそういう関係からしましてそれに引あてになるものがあるということは言えると思います。
  47. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そうすると只今の志賀財務課長お話によりますと財源的には含まれているのだという御説明であつたと思うのです。そうですね。財源的にはあるのだ。
  48. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 完全にあるということは申上げかねるのですが、一応そういうものが見られるということが言えると思うのです。
  49. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そういたしますとこの利子の問題は当局が何ですか、手形みたいなものを労務者の方に渡されたときに、財源としてやはり一応そこに蓄積されている総額の中にそれを含まれているから、それを動かせば大体恰好がつく、こういうふうなお考えをお持ちになつているようにも今の御答弁でお察しができるのですが、そこら辺のお気持はどんなふうであつたのですか。
  50. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 只今申上げました通りで、大体そういうふうに運用でできるというふうに御了承願いたいと思います。
  51. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そこで重ねてお尋ねしたいのですが、労務者に証文のようなものだけおあげした、そうして現金操作のときになるべく早い時期に渡すといつて今日になつても渡らない、こういうのでありますけれども、ただ紙だけそれを渡されたのではなくて、やはりそこにはつきりとした覚書とか、或いは協約というふうなものを立てて約束をして、これを御了解頂いているのではないかと思うのですけれども、何かそういう覚書とか協約とかいうようなものは全然なくて、ただ口約束だけであつたのですか、どうでしようか。
  52. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 只今の御質問は各個人とそういう約束をしているかという御質問かと存じますが、個人とは特別の約束はいたしておりません。それからこの手渡しました紙は実は何と言いますか、証書というふうな性格のものではございませんので、一応そうした計算書というふうな意味合いのものでございまして、新たに将来退職する場合におきましては、四月二十八日までの分はこれだけになりますという計算書という性格のものを各人に渡したという形をとつております。それから労働組合などとの交渉の席におきましては、これは我々としましては法律がさようになつておりますので、或る程度の話合いは十分にいたしております。その上で実は百七十四号の法案を今出すようになつたのでございまして、組合とは或る程度の話合いはして来たわけであります。
  53. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) ここが私は重大だと思うのですが、少くとも労働組合がそういう団体交渉という形ではないにしてもあなたと、特別調達庁の責任者とそういう話合いになつたというようなことは、ただ単なる口約束だけでこれが終つたとは考えられないのです。私はこの経過については十分詳しいことは知りませんが、洩れ承るところによると調達庁労務部長が、この退職手当に際して覚書を交換されているということを私は聞いているのです。覚書の内容は明確に存じませんが、これもまた仄聞するところによると補正予算又はドル返還を促進して支払うというような覚書が交換されているやに聞いているのでありますが、そういう事実はあつたのかないのか、その覚書があるとすればその覚書の項目というものについてはどういうお考えをお持ちになつているのか、この点を明確に伺いたい。
  54. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 当時の記録でございますが、労働組合との団体交渉の席上或いはその結果におきまして覚書の取交しをいたしております。勿論そのときにおきまして我々がはつきりした見通しがありましてやるならば、さような覚書も必要ないのでございますが、我々といたしましては誠意をもつて先ほど官房副長官からお話もありましたように、本来ならば例がないのでございますけれども、労務者も直ちに職場を離れる事情でもございませんし、又その国家の財政事情その他から見ましても、必ずしも容易な問題でございませんので、我々といたしましては、従来の労務者退職手当の扱いの趣旨精神なりをよく考慮いたしまして、できるだけさつぱり早期に労働者の意向を十分に汲んだ措置のできるようにいたしたいという気持から、かような覚書も書いたような次第であります。でありますから、我々といたしましても今回の衆議院の御提案につきましても十分誠意をもちまして当つたのでございますが、先ほど御説明がありましたように、遺憾ながら今日なお我々が当時思つておりましたようなことが完全に実施し得ないという次第でございまして、この点につきましては非常に申訳ないと思いまして、実は今日まで努力して参つたのでございまするが、国家のいろいろな諸種の事情にも制約されまして遺憾ながら私ども当時の約束も十分果し得ないという今日の現状でございます。
  55. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 御誠意のほどは十分にわかります。併しこの問題を解決するためには御努力をなさつたという過程で最も打開しなければならない問題点というものは確かに財源的にあられたと思うんです。これは補正予算の場合でも又同じであつたろうと思うんですが、その打開しなければならない険路はどういう点にあつたのですか、この点を私は伺いたいんです。
  56. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 勿論資金が当時にしましても約九十億予想しなければならんような退職金でございますので、そのほかに月々の支払いまで計算しておかなければならず、それから又支払つたものも償還の時期その他も考慮しなければなりませんので、相当多額の金の準備が必要でございます。従いまして今日御承知の通り特別調達資金設置令によりますと五十億の借入財源の幅がありますが、それらにつきましても或いは枠の拡張とか或いは先ほども御指摘がありましたような償還を一日も早く手に入るような途を講ずる、或いは軍から特別の考慮を払うような措置とかいうような問題につきましても、まあいろいろと方法考えた次第でございます。併しながら今日までなおそれらにつきましての見通しが立ち得ないというのが今日までの現状でございます。
  57. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 行政協定の二十五条によつて組まれておる六百五十億の資金の中にこの駐留軍労務者に関する費用というものは何らかの形で入つているのではないのですか。
  58. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 只今詳細なことははつきりわかりませんのですが、私が聞いておりまするところによりますと、そういう経費は米側が負担する、米側のドルで負担するというふうにまあ承知いたしております。
  59. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先ほど高田委員からのお話に関連いたしまして、進駐軍の労務者国家公務員身分を失つた場合に、身分を失うからこの際退職資金をもらいたいというようなお話が当時あつたやに私ども聞いておりますが、今のお話で参りますと覚書があるというように伺つたのでございますが、昨年の十二月の衆議院の委員会で調達庁長官はその当時に労働協約があつたんだ、そして労働者と話合いをして、それを更新して又同じような労働協約があるような御答弁があつたのでございます。私は労働協約という字がありましたから疑問に思つたんですが、特別職の者は国家公務員でも団体交渉をやつて労働協約を結んでも差支えないのかどうか。若し差支えないならば、その労働協約が予算を拘束するような協約まで調達庁長官は結んでもいいのか、そうして年五分の利息をつけて債務を皆負うのだというようなことが労働協約に若しあつたとしたならば、そのときに財政法の十三条か財政法の十五条によつて、債務の負担の決議を国会に出さなければいけなかつたのじやないか、その手続がやつてつたのかどうか。そうしてそういう労働協約を、予算を拘束するようなものをやつてもいいのか。私は進駐軍の労務者退職したのだから、それは当然退職金は出してもいいのだ、出すべきものは出してもいいのだが、当然に国家公務員身分を失つたから、特別職の者でも当然に退職手当を請求する権利があるかどうかということは、特別職の定義からそういうことがすぐ言えるかどうか、その点も伺わせて頂きたい。
  60. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 長官が見えませんので、その間の事情につきまして私から申上げます。当時特別職でございましたが、従いまして国家公務員法そのままの適用がございませんで、枠が外れて来まするので、我々としましては関係労働組合と団体協約をいろいろ取結んでおります。従つてこれは国家公務員法の建前から言いますれば、何ら反するものではないと考えております。それはまあ人事院のほうの御意向はわかりませんけれども、我々としてはさように考え措置しておつたのであります。なおその協約の中に、只今の御質問の御趣旨も十分呑み込めんのでありますが、その中に退職金を五分の割増をつけるという約束をやつでいるかというふうに私、お聞きしたのでありますけれども、さような協約内容のものを結んでいるわけじやございません。ただ交渉の過程におきまして、そのようないろいろな折衝はございました。併し勿論法律通りませんければ如何ようとも我々は措置ができませんので、法律の確定前におきましては、我々がさようなことを十分に考慮するように努力をするようなことにつきましては、言葉の端には出ておりますけれども、法を無視したさようなこと、或いは国会を無視したような協約というものはいたしておりません。
  61. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 法を無視したというようなことを言われたのですが、労働協約でそういうものは結ばなかつたのだ、それは覚書でやつたんだ。併し覚書のほうの項目はそのまま実行するようにして行つたというならば、労働協約はやらなくともそれと同じような内容の交渉をやつたということは、そうして国が債務を負うのだ、そうしてその予算上の手続はしてなかつたのじやないかというようなことは、法を無視したというか、法を守らなかつたという疑いはないのでございますか。
  62. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 只今の覚書の点につきましてのお尋ねと思いますが、覚書につきましては、我々は先ほども御説明をいたしました通りできるだけ本来の、先ほど御指摘のありました基準法の趣旨なり何なりを考慮いたしまして、速かな時期にこの退職金労働者の手に渡るような考慮をしたい、それも我々としましても、いわゆるそういう努力をするというふうな趣旨で申しておりまするので、はつきりと必ずそういたすというふうなことにはいたしておりませんのでございます。これはいろいろとご批判もあると思いますが、我々といたしましても、さような規制を受けられておりますので、それらを全然度外視して約束するということはできんのでございますので、我々といたしましても、そこは十分に労働組合にも理解して頂きながら交渉をいたしておるわけであります。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほどは協約があるようなお話し、突込まれると協約ではなくて何か別の協定、こういう御説明、協約という名前が付いておりましようと、付いておりますまいと、そこに約束があることは間違いないと思う。実質的に協約があるということもお認めになる。菅野長官は、そばで聞いておられて話が矛盾があり、政府の建前が悪いことはお認めになると思うのですが、どうなんですか。
  64. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) その間の事情は私よく承知しておりませんから何とも申上げられませんが、私が今そばで聞いております。ところによりますと、溝口さんのお聞きになつた協約できめました内容と、それからいわゆる覚書で以て取交して約束した内容とは少し対象が違うように感じたのでございます。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 名前は覚書と言われようと、協約という名前が付けてあろうと約束に間違いはないじやないですか、労働に関する約束ならば、これを労働協約というのに一向差支えないんじやないかと私は思うのです。それから支払うべき建前が約束せられておるならば、その約束が戻行できるように予算上のと言いますか、資金上のと言いますか、措置を講ずるのは当然じやないか、こういう溝口さんの御質問があつたのに、それについてはできるだけ努力をいたしておりますというお話しでありますけれども、何でも法律を作りさえすれば無理がきくんだ、こういう建前は政府としてとらるべきじやないではないか、だから支払うべきものならば法律がどうなつておろうと、支払いが可能のように法律を作つて資金上の措置をさせて支払うのは当然じやないか、それについて財政上の負担という話が出ておるけれども、なされておらないことは事実であります。それを今の政府考えでは、半分だけ支払つて半分はなお借りておこう、こういう筋の通らん法律改正をなおやろうというようなお話しでありますが、それは根本的に言つて間違いではないか、支払うという約束に従つて支払うようにせらるべきじやなしかとしうのが私どもの議論であります。その点どうなんですか。
  66. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この問題につきましては、私の考えは先ほど申上げました通りで、只今吉田さんのおつしやるのは御尤もでございます。ただ先ほど来御説明申上げておりますように、これは要するに資金の問題でございまして、資金がなければ幾ら法律上一括支払5と言いましても又支払不可能ということになりまして、資金と裏腹の問題でございます。資金のほうをいろいろ検討いたしましたが、現在のところではどうしても一括支払には不足するという結論になりましたので、法律上一括支払ということは非常に望ましいことでありますけれども、まあ今後退職したときに支払うよりか数等改善されるであろうと思われるようなつもりで早急に半分ぐらいは払つて分割払をしたい、こういう結論になつておるのでございまして、誠に仰せのごとく筋が通らないと言えば通らない法律になりますが、併し現状のままよりか多分によくなるようにも考えられるのであります。又先ほど来調達庁のほうからお答え申上げましたように、そういうように法律上は一応退職するときに支払えばいいようになつているけれども、調達庁としては事情もよくわかるから、できるだけ早い機会に支払をするということに努力しようという約束があるようでございますが、これはまさにその約束は実行しているのでございまして、調達庁といたしましても、関係の省等にずつと長い間打合せをいたしまして、できるだけ法律を早く改正して支払いができるように努力して参つたことは、私はつきりと証言できる次第であります。以上申上げます。
  67. 吉田法晴

    吉田法晴君 法律上支払うべきものであるということはまあお認めになりましたが、あとは実際の資金上の問題でありますが、この資金上支払ができんという点について、なお私ども疑問が持てるのですが、先ほどの御説明を聞いておつても管理費の中に含まれている、ただその管理費のやりくりと申しますか、借入れもしなければならんし、現実に金がない、或いは支払つてしまつたのではあとの償還が云々というお話もあつたのですが、そこで私はこの問題について、資金の点については駐留軍との折衝において、例の政府の弱腰が感ぜられるように思うのでありますが、払うべきものならば何とかやりくりをして、これは間接雇用云々という点はともかくといたしまして、調達庁が仲に入つているのでありますから支払をして、あと償還の促進を図るならば不可能な問題ではないかのように感ずるのであります。その点につきましてもう少し、困難ではありましても不可能ではない。法律上支払うべきものならば支払つて、溝口さんのお話もありましたが、筋の通らないものは国として速かに支払つて、そうしてそのあと措置あと措置として講ずると、こういう建前にならなければならないと思いますが、その辺了解に苦しみますので、もう少し御説明を願いたいと思います。
  68. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 調達基金に関する只今の御質問に対しまして大体最近の運用の状況を簡単に説明してお答えにしたいと思います。  昨年の末項までは調達基金の償還の状況は非常に悪かつたのであります。大体二カ月半ぐらいのちに償還されるというような状況であつたわけであります。当初この調達基金を設定いたしましたときに想像しましたのは、大体一月半ぐらいで返る、こういう見積りであつたそうであります。従つてそれが去年の春頃はそういう事情でありましたので非常に困難を極めまして、昨年中は改善に努力をしましたが、昨年の十一月頃までは殆んど進行をしなかつた言つてもいい状況でありました。その後いろいろと日米双方で話合いをしまして、具体的にどういうふうな問題が引つかかつているかということを調べまして、最後に償還のされない理由を調べました。それによりまして、その理由を解決することによつて急に早くなりました。只今状況では大体翌月は返るというふうな状況にまで好転したわけであります。ただ問題は現在の状況で言いますと、翌月返るのでは回転資金がどうしても二カ月分要るわけであります。現在大まかに申しまして、大体月に四十六億の所要額があるわけでありますが、これが二カ月といたしますると約九十数億になるわけであります。それに加えまして各分散した労監事務所が相当多数ありますので、場所ごとにいろいろ突発事故がありますので、それの余裕を見ますると、それに約十億を足した約百億が大体要るということになるわけであります。当初の調達資金は七十五億でありますので、当然それでは賄い切れないという現状でありまして、目下も国庫余裕金を二十七億借りているような状況であります。従つてこの状況を更に改善すべく、日米両方で現在も話合いを進めておるわけでありますが、大体その月に返るようにしたい、こういうことで両方とも誠意を以て打開しようということで目下やつております。これが若し実現いたしますると、一カ月分の余裕が出て来るということにまあ見込まれるわけであります。現在の状況はそういうふうな状況でありますので、管理費のこれは一般的な償還の状況でありますが、管理費につきましては、これはおのおのいろいろの事項によりまして単価を一応想定しまして、それを集計したもので、一人当り現在は四千六百二十九円ということで償還を受けているわけであります。この管理費はその該当科目のものに支払をしておるわけであります。これはときによりまして増になり、或いは減になるというふうな事情がありまして、現在そのうちの修正をすべき点も相当あるのでありますが、新契約の改訂も今やつておりますので、その際にそれを全部片付けたい。適正なパーセントにしたい、こういうふうに今やつておることであります。
  69. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、これはお話を聞いておりますと、大体通常の運営と申しますか、或いは管理の実態で改訂がなされておる。そこで例えば月月何名やめる、そこでその退職金支払云々というならば可能だといつたような運営の中で支払つて償還するという、こういう建前ならば可能だと思うのでありますが、全員が昨年の四月二十八日、身分が切り変つた、そこで労務契約が一応切れた、退職金を支払うべきだということならば、この運営の方法の中で到底支払ができんかと思います。二十八日に全員について退職金を支払うべきだ。こういうことが確認されれば、そのときに支払われたでありましようし、今でも政府のほうへ折衝をして、これだけは支払うべきだ、これは臨時のものですね、臨時のものですが、当然支払うべきものだとして支払う建前をとるならば、問題は片付くのではないか、こういうように考えられるのですが、どうなんですか。
  70. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 只今の御質問の内容が私に了解つかない点がありますが、大体今回支払う退職金性質でありますが、この中には米軍負担の分もありますし、又日本側負担の分もあるわけであります。従つてもともとこの日本側負担の分はこの米軍の償還のほうからは見込まれない、日本側自体の資金のうちから払つて行くということになるわけであります。今一時に払うということを、仮にする場合を考えますと、どうしても現在の資金ではやれない、資金の運転ではできない。若しそういうことになりますと、借入金を全部フルに仮にしたとしましても、それではとても収まらないというふうな状況であるわけであります。
  71. 吉田法晴

    吉田法晴君 なおわからんところがあるのですが、昨年の四月二十八日、大部分は米軍の負担すべきものでしようが、支払うべきものであるということが確認され、そして支払う点について交渉が進められますならば、或いは一時立替で、或いは償還ということも考えられましようが、少くともそのときに支払わなければならんという態勢がとられたと思うのであります。ところが先ほどの説明を聞いていると、月月支払、月々償還というような建前をとつておるのじやないか、だからいつまでたつても払うべきものを、やりくりの中で半分は払うけれども、あとは支払えん、こういうことになつておるような印象を受けるのです。そこでアメリカ側と四月二十八日支払うべきものであると、一括一時に支払うべきものであるということが確認せられれば、あとは問題は片付くのではないか、頬かむりをしてというか、口では支払うべきものだということが言われておるけれども、一時に支払うべきものであるという点についての米軍側との折衝が、そのとき十分なされないのではないか、或いは確認されなかつたのではないか、問題は一時逃れで、ですから、それは折衝によつては基本的な線は今までも出たであろうし、或いは今からでもなされるならばその問題は片付くのではないか、こういうように御答弁から伺えるのですが、この点はどうなんですか。
  72. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) この退職金の額のうち、日米負担の割合が先ず第一にどういうふうになつているかという点で、これは正確ではございませんが、我々が非常にラフな計算をしまして見ますと、大体二対一の比率で日本側の負担分が多いわけであります。当初七十五億の資金を設置する際に、この資金は将来はこういう日本側負担の退職金というものを払い得るように考えられておつたということを私も聞いておるわけでありますが、米軍側の負担につきましては、その当時は幾らということは、その月に設置して後に債務が発生したものでありますので、その見込みは当初はなかつた。それからそれが昨年の四月二十八日に一けり付けてみますると、二対一の比率で大体合うということにはなるわけでありますが、その頃は全体としての運営が付きませんので、一時延期をするということになつたことに了解しております。現在もそれでは米軍のほうの退職金相当する積立がどのくらいあるかということになるわけでありますが、この数字につきましては、正確には実はまだはつきりしていないのでありますが、およそこの三月の末で大体七億くらいの積立金としてはあるというふうになるのじやないかというふうに見ておるわけであります。
  73. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 退職金アメリカと日本の負担の割合が二対一ということでありますが、七十五億だか、九十億だか、まだその点ははつきりわからないようですが、とにかく二対一であると、私の考えるのは、多分終戦処理費でやつたまでは日本の全部負担だつた、あれは二十六年の七月までだつたと思いますが、それ以前のものは、退職金を出すならば、これは当然日本の政府から退職金を出す、その後の一年分がアメリカのほうで負担するのだと、そこでそういうふうになりますと、この附則の三項ですか、これでやりますと、五分の利息を付けて払うとかいうような法律になつておりますが、これはアメリカも承知しているのですか。アメリカの負担の分に対して、それは何か協定でも、あなたのほうの言われた覚書でもあつて、日本の法律アメリカがそういう退職の制度を承認するということがありますか。なおこれに関連して伺いたいのですが、只今防衛支出金のアメリカの負担ですか、二十七年の六百五十億のうちの四百四十億くらいが労務費なんです、二十万人に対する……。それに対して、自然退職退職手当というものがおよそ私は六億くらいが予算上計上されていると思うのですが、二十万人の労務者、一年には一万人くらいの自然退職が出て来るので、アメリカの負担しておる予算の六億くらいは年度内にはおよそ使つてしまうのじやないか。そうすると、アメリカのほうで急に二十五億の金を一遍に出せと言つても、アメリカでは出す財源を、何か一般に使う労務費の四百四十億の中から割いてでも出すという結果になるのじやないかと思いますが、その辺のお見通しを伺いたいと思います。
  74. 中村文彦

    政府委員中村文彦君) 今の五分の割合の問題につきましては、これは日本の国内的な問題でございまして、向うとの完全な了解と言いますか、さようなものについては付けておりません。ただ先ほども財務課長から申上げました通り、管理費の中でこれに見返られるようなものがありますので、それを利用してやつて行くということをしております。
  75. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 少しわからなかつたのですが、七十五億と仮定いたしまして、そのうちの二十五億はアメリカの負担の分なんだということを、先ほど御説明があつたのですが、今度五分の利息を付けて出すとか、退職資金を出すとかいうことについては、アメリカとは何も協定はしてないのだと、そこでこの前の衆議院の人事委員会速記録を私は拝見したのですが、ますますわからなくなつて来るのは、七十五億を一遍に出すのだと、それにはアメリカから立替のお金が百十六億ぐらいあるから、それを成るべく二月、三月のうちまでに七十五億ぐらいを返してもらいたいのだと、それは現在アメリカ労務費を日本で立替えておるのを返してもらうのだが、返してくれるか、くれないかは最終的な決定はまだわからないようですが、そうして返してもらえば、七十五億は菅野さんのお話の一遍か一遍で返してもらうのだと、返してもらつた金は、日本の防衛支出金の中には労務費というようなものは私は計上してないのではないかと思う。何かの金を流用してでも退職金を、アメリカの負担分まで日本で返すようなことに考えてやるのかどうか。アメリカのことは何も考えていないので、日本政府の負担すべきものは若し財源があるならば出すというなら、予算の項目を防衛費支出金の中に立てて、そうして五十億だけ払えばいいのだと、アメリカのほうはこれから交渉して、日本政府はそういうふうにしたのだから、アメリカも五分の利息を付けて二十五億の金を一遍に返してもらうようにという折衝をなさらずに、百十六億返してもらつてアメリカのほうの分も何も七十五億は皆四月二十八日に区切つて日本は返すのだと、そんなやり方は私はおかしいのではないかと思う。どうも前の速記録を拝見すると、アメリカの負担の分と日本の負担の分を区分しておる。そうして国内法でアメリカにもそれをやらしたかと思つたから、私は協定があるのかと思つた。協定はないという。そうして今の御説明では、七十五億アメリカの分まで日本は払うのだと、防衛支出金の中にはそんな予算はないのだと、何かのやつから削つて回転資金にすると、結局その退職金というものを一遍に払うというのなら、私はどうしても補正予算を出して明朗にして払う必要があると思う。この法律が昨年の暮に議員立法で出て来たのですが、菅野さんのお話でも、成るべく早くこういうものは返したいと、これは誰でも早く返したいというのは無理もないと思いますが、議員立法で出して来たのです。これは尤もだから、七十五億アメリカにまだ立替分を返してもらえるのか、もらえないのか。強硬に私は返してもらつたらいいのだろうし、そのうちで五十億はきちんと日本政府が出した、あとの二十五億というものはアメリカに出させるのだというような交渉をお進めになるのが筋道じやないかと思いますが、その点について調達庁のほうから伺いたいと思います。
  76. 千葉信

    委員長千葉信君) 只今御質問のありました点に対する答弁について、特にこの際中村労務部長に申上げますが、今これから御答弁されるその御答弁の内容等については、あと調達庁長官が、あれは下僚が言つたことで責任がないとか、あれは少し食違つていたとかいうようなことのないように、飽くまでも調達庁長官の完全な代理として御答弁願う必要があると思うのですが、そういう立場で御答弁願えますか……、溝口委員お尋ねいたしますが、如何なさいますか、中村労務部長の答弁で結構ですか、中村労務部長のお話では、どうも自分としてはそこまで責任を持つて答弁は不可能という状態だからと……。
  77. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 責任を持つて答弁にならないなら私はお伺いする必要はないので、私に御相談なさるまでもないと思います。責任を持つて答弁してもらいたい。
  78. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは、溝口君の質問は長官がお見えになつてから答弁されることがお互いに適当だろうと思うのです。そこで私は又前に戻りまして、菅野長官にお伺いするのですが、結局いろいろ閣議等を二回も開いて検討されて来た結果、こういうことになつたというお話ですが、一体具体的にこういうようになる過程においてどのようなお話がなされたか伺いたい。どういうふうないろいろ議論が出た結果止むを得ずこうなつたと、これを具体的に言つてもらわんとちよつと判断に苦しむのですが、先ずそれが一つと、それからもう一つは、その結果半金は何がしのものを幾日までにこれを支払う、そうしてあとの分を今度は幾日までにどうして払うかというようなことを具体的に御説明をしてもらいたい、この二点ですね。
  79. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) ちよつと閣議の内容をここで申上げることはお許し願いたいと思いますが、ただ調達庁を主管しておりますところの戸塚労働大臣は、この問題について非常に熱心に大蔵大臣とお話合いになり、他の国務大臣も、これは理論的には誠にお気の毒であるし、早く支払うべきものであるというふうな意見で、何とかこの早期支払の方法はないものかといつて協議を進めたような次第でございまして、大蔵省におきましても、閣議ばかりでなく、事務的にもいろいろ考えて下さつたようでございますが、要するにこの問題は、資金をどういうふうに回転して、そうしてその支払に充てるかということに尽きると思うのでございます。先ほどからいろいろお話がありまするように、一定資金を成るべく効果的に働かせるためには、どうしてもその回転の速度を早めなければならん。そのためには駐留軍のほうの支払と言いますか、償還と言いますか、これを早くしてもらわなければならんので、この方面に全力を尽して調達庁のほうでは交渉をいたしております。その負担の点につきましては、後ほど調達長官がいろいろお話になると思いますが、とにかく負担のあとの問題は別として、できるだけ早くこの支払をするためには、現金がなくてはなりませんから、その点を解決するのが一番初めじやないかと思つて、そこに意を用い、集中していろいろ協議して参つたのでございます。そこで第二の問題といたしまして、いつ頃払えるかという点でございますが、これも詳しい計数上のことは、私又聞きのことでありますから、若し違つておりましたら調達庁のほうから直して頂かなければなりませんが、私の聞いておりますのは、四月二十七日が現在の議員提案の法律案の支払日になつておりますが、それまでに半分くらいは大丈夫らしい。で、そのあとの半分はできるだけ早い機会に払う、その詳細のことは政令に譲つて法律の文面で以てはつきりした月日を書くことは御猶予願えるかどうだろうか、こういうような結論になつたように記憶しております。要するに問題は、資金がどういうふうに回転するかという見通しでございますので、どうしてもこれは法律で以てきちつと月日をきめるということになりますると、相当安全の度を得なければなりませんからあとになります。そこでその資金ができたら一日も早く払うということに、この政令に譲つて頂ければ非常に都合がいいのじやないかと思つております。
  80. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 菅野さん、政令で定めてもらえば都合がいいのじやないですか、それはこれ以上ぬらりくらりでやるのは、あなたのおつしやる通りそのほうが都合がいいですよ、これは当然……。ところが払つてもらうほうの側から見れば、極めて頼りないということになるのだな、これは……。のみならず、これはいずれ他の委員からも追及になるし、又重要な問題でしようが、御承知のように昨年の暮において、国家公務員給与に関する法律のときにも、これは明らかに国会の意思として決定して、そうして速かに改訂するということが法律になつているのだな。これは政令じやない、法律になつている、その法律になつておるやつすらも政府は二十八年度予算の編成の以前に、国会では意思表示がなされて法律になつておるのだな。だから当然に二十八年度予算を組むときには、忠実にその法律を守らなければならん。政府はそれすら守つていないのだよ、問題はこれは重要な問題だ、又法律無視をやつているのだ。政府はいわばこの法律で歴然と明らかに国家公務員給与はこれを改訂する、速かに改訂するものであるということを法律で謳つておるものすらも、今日においてそういうようないわゆる不誠意極まることを平気でやつておいて、今度又この退職金は政令に任してもらつたら結構でございます、ようそんなばかなことが言えるな、あなたは一体年は幾つになるのか、私はそういうばかなことで参議院の人事委員会を瞞着して通ろうというような横着な根性を直して来て、そうしてもつとやはり厳粛な態度で、やはり誠意のある方法を示してもらわんければ、お互いに了解ができない。これでは殊更に事情もよくわかつて、今の溝口委員言つておられる点においても私は質問しようと思つている。去年から疑問がある、これは……。併しながらそういうことをつべこべと言つておるよりは、その日その日に困つている労務者のほうに早く金を……、やはりこれはおだやかに解決すると思つて、実はそういうことは余り申上げずに早く何とかならんのか。政府のほうで早くこれを支払うことができないかということを私は言つておるので、それに対して議員立法が出され、そうしてこの退職金でストライキをやるというのは、私はやるほうもおかしいが、やられる政府自体もおかしいのだと思うのだ。賃上の闘争じやないのだ。労働組合は当然もらうべき退職金をストライキをやつて得ようとする、座り込みをやる。それをやらされて国会は見るに見かねてここに議員立法を持つて来た。そうして、しようがないと漸く尻を上げて話をまとめて行つたら、そのまとめて来た話が何のことはない、四月、いわゆる二十七日までには半分払う、半分はいつやらわからんとしますと、早い機会に……、そんなことでは誠意があるとは思えないが、菅野さん、どうですか。そういう点も誠意があるとあなたは思つておられるのかどうか、その点お聞かせ願いたいと思うのですがね。
  81. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 私は先ほどから、つたない言葉を並べまして、極力政府の心中を伝えようと思つて答弁申上げておるのですが、私並びに政府が誠意を持つておらない、人事委員会を瞞着しておると、つもりであろうと言われたことは非常に私心外に存じます。私は決してこれを支払わないで済まそうとか、一日延ばしにしようという考えは全然持つておりません。冒頭に申上げ通り、これは法律上は今後退職するときに支払えばいいということになつておりますけれども、これでは事の筋合いから言つても道理に合いませんし、又こうして延ばすということは労働者諸君にとつて不利益であるから、成るべくこれは早く支払いたいというので以て、先般来縷々申上げておるようにいろいろ検討しまして、漸くここまで結論を得たのでございまして、成るほど一括支払が可能であるという結論にはなりませんけれども、併し分割支払、とにかく法律改正して、そうして一日も早く支払をしようという誠意はお認めを願いたいと思う次第であります。
  82. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、それならあとの半分はいつ支払えるかということをやはり明確にされるべきじやないですか。
  83. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) これも先ほど御説明申上げ通り、これは資金の回転と、余裕のでき工合によるのでございまして、これがはつきりしなければいついつということは申上げられないのでございます。先ほどから調達庁のほうで御説用申上げております通り、相手のあることでございまして、相手が少し支払を遅延しますというと資金は枯渇して参ります。然るにこれをいついつまでというふうに基準をきめてやりますことは、これはどうしても責任は政府としてはできないことでございまして、この点は資金の融通が付き次第、できるだけ早い機会に払うということを一つ審議を願つて政府の誠意をお認め願いたいと思うのであります。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 相手のあるというお話でありますが、政府の口の上の誠意で相手になすりつけられてしまいましたけれども、先ほど説明を聞いておりますと、溝口さんのお話のように五十億程度は日本側の責任で、二十億程度がアメリカ側の責任、そうすると日本側の責任と、それから資金運用の責任において支払わるべきだということは一応明らかにせられた。相手側の責任に逃げられることはないと思うのですが、お話を聞いておりますと、七十億或いは七十五億になるかも知れませんが、この回転資金を設定したときにはそれで大体賄える、こういうように考えられたんじやないかという節がある。そこで閣議に持出されても、前の話があるから七十億のほかに更に拡げることについて調達庁としても言いかねるといつたようなことで躊躇された、或いは議に取上げられなかつたんじやないかというような感じがするんですが、七十億程度を設定されたときには、それで支払えると政府として考えておられたんですか、その点を一つつておきたい。
  85. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この負担の問題につきましては、これは後ほど調達庁長官のほうから御説明申上げると思いますが、私の申上げましたのは、現実に支払いする現金というものは、この調達基金のフアンドの中から出さなければならないんでございます。後ほどの負担は別といたしましても、どちら側の負担にしましても、その現金はフアンドから出さなければならない。そうすると、そのフアンドには一定の枠がございまして、これを出すにはそれ相当余裕がなくては出せません。それには相手の償還と言いますか、支払を早くしてもらわなければならない、こういう意味で以て申上げたのでございます。それで七十億とか、七十五億のフアンドを作るときに、これで一応は支払えるという目算を以て作つたのかという御質問でございますが、勿論その当時これだけの金が、基金があれば通常の支払いには事欠かないというつもりで以てやつたであろうと思います。併しながら先ほど申上げましたように、そのときに期待いたしましたのは、大体一カ月半ぐらいで以て回転するということを予定したのでございまするが、それからだんだんと支払いが悪くなつて来まして、二カ月、三カ月とかかるようなものが出て来た。そこでその基金では足りなくなりまして、借入金をするというポツダム政令を出して、借入金限度をきめてあるわけでございます。それが現在五十億という枠になつております。
  86. 吉田法晴

    吉田法晴君 調達庁のほうに伺いませんでしたが、答弁を願いたいと思うのですが、七十億或いは七十五億で支払いができるものだと考えておつたとするならば、予想は一カ月半ぐらいだつたけれども二カ月にもなつたこともある、併し最近はよくなつた、そこでその線によつて支払いができるものだと考えるという先ほどの答弁とは多少矛盾をして来ると思うのですが、なお政府として七十億或いは七十五億、借入金五十億を加えますと百二十億或いは百二十五億になるわけでございます。そうすると予想が違つてつたのか、予想が違つてつて、それで足りないとするならば二十八年度予算を組むときに解決して出て来らるべきであつたろうということを私ども考える。その点について誠意は持つていると言いながら、その誠意は二十八年度予算編成の際には示されなかつたのではないか、こういうような疑問を持つのが一点。それからもう一つ、仮に今挙げました百二十億なり、或いは百二十五億というものがあるとするならば、その中から所要金額は七十億或いは七十二億程度でしようが、税金を差引きますともつと少くなるでしよう。そうすると、それがどうしてできんかという数字も出て参る、或いは今後の夏季手当とか、その他を心配されているのかも知れませんが、解決しようとするならば、それはそれで予算を組まれるべきであつたろうと思います。二十八年度予算を審議している際でありますから……。それからなお又それに代るべき措置を講じて支払えるような措置をするのが、誠意があるのならば当然じやないか。実際に七十億或いは七十五億の基金を設定するときの見通しと、それから現状からする支払能力その他について、調達庁のほうから一つ答弁願いたいと思います。
  87. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 当初七十五億を設定いたしましたときは、大体それで間に合うものというふうに考えられておつたと承知しております。それからその後運営が予想のように行かなくて、二カ月半も三カ月もかかる、こういうことになりますと、一カ月、当時大体三十億から四十億かかつたと思いますが、それの三カ月分、まあ三カ月であれば三カ月分要るということになるわけなのでありまして、それだけの資金が寝ることになるわけでありますので、当初の七十五億では非常に、実際問題として管理費を向うからもらいましても、なお且つ運転がきかないという事情がありまして、借入金措置をとつたと承知しております。その後この償還の期日を早めるということが一番の眼点でありましたので努力をいたしました結果、現在は大体翌月返る、こういうことに改善されたわけであります。更に我々が努力しておりまするのは、翌月でなくて当月返るようにということを目下努力しているわけであります。そういたしますると、仮に現在の状況考えますると、丁度満一年の四月二十八日頃が一体どうなるかということを推定したわけでありますが、現在のままの状況でずつと進んだ、こうしますると、約五十億ぐらいの未償還があるということに推定がされるわけであります。その内訳としまするのは、大体いろいろ問題があつて、両方の意見が合わないで今それを協議しているものがあります。そういうものはすでに払つてあるわけでありますので、これについては償還が遅れているということになるわけであります。そういうものと、それがほんの一部でありますが、あと毎月の分が翌月の十日に支払つておりますが、この十日に支払つた分が四月の末には返つて来ないということで、一カ月分が一応見込まれているわけであります。そこまで大体努力すれば、現在のままの状態を維持することができる。更にこれを多少でも短縮して行くように効果があつたとすれば、更に縮まる可能性があるというふうに我々は期待いたしているわけであります。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 五十億ぐらいは現状で未償還で残るだろう、それの改善には努力されている。そうすると、四月の二十八日或いは四月の末でもかまいませんが、それで七十億か七十億を少し越すかも知れませんが、実際に支払うとすれば課税がありますから、それから五十億或いは半減すれば三十何億ということになりましよう。それが支払能力がないとは考えられんのですが、その辺はどうですか。
  89. 志賀清二

    説明員(志賀清二君) 支払能力の点でありますが、これは基金としましてあるのが大体当初七十五億でありまして、それから仮にこの五十億が抜けておるということにいたしますると、二十五億が残る計算に大まかに言えばなるわけであります。これは実は五月分を通常四月の二十八日頃に各地へ送らんと五月の十日に支払ができないわけであります。そういうものを送りますのと、それからこれは今まで問題になつておりますような点を改善されたということを考慮すると言いましても、全体的に五十億がなくなるということはとても見込めないわけで、現在の二十五億を差引きして、単純に二十五億としましても、二十五億の範囲でしか考えられないということになりまして、実際の約七十五億の支払があるとしましても、翌月の支払分が約四十六億かかりますので、それを考慮しますと、やはり全部払えないと、こういうことになるわけであります。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は……。
  91. 千葉信

    委員長千葉信君) ちよつと、その前にお諮りいたしますが、先ほど溝口委員から非常に重要な問題について御質問がありました件については調達庁長官のほうから責任ある答弁が必要だと考えられます。今連絡がございまして、調達庁長官はゼネラル・ミルバーンと日米労務基本協約に関して会談中である、而もこの会談は今日の五時頃までかかるかも知れない、こういう話でございましたので、若し爾余の問題等について特に緊急に御質問がある事項があれば別ですが、今日はこの案件と、もう一つ退職手当に関する法律審議をする予定で政府委員出席も要求して今出席されておりますので、若しお急ぎでなければ、この次の問題に……。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 速記をとめていいから、もう少しとにかく政府の誠意を伺いたい。
  93. 千葉信

    委員長千葉信君) ちよつと速記をとめて……。    午後三時四十五分速記中止    —————・—————    午後四時六分速記開始
  94. 千葉信

    委員長千葉信君) 速記を始めて。  それではこの法案については、去る九日労働委員会のほうで当人事委員会と連合審査の決定をしているようでありまするが、当委員会として、これを必要と認めれば、労働委員会と連合審査をすることに取り運びたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 千葉信

    委員長千葉信君) それではさよう決定いたします。
  96. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは次に、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について、順次質疑のあるかたから御発言を願いたいと思いまするが、その前に、この際政府に対して一応私から御注文を申上げたいのであります。  先ほど来この委員会で審議をしました経過の中でも、今日調達庁長官はお見えになつておられないし、代理で出て来られた中村労務部長のほうからは、最も重要と思われるような質問に対しては、責任を持つて答えられないという状態でございまして、こういう形では我々として安んじて質問を続けることができないのみならず、今日は午後一時からこの委員会を開催するについて、官房長官にも出席を求めてありますし、調達庁長官にも出席を求めてあつたのに御出席がない。おまけに今日は、政府委員諸君は、人事官を除いて一時の予定が一時五十分になつてやつと御出席になられるというような状態では、政府の提案している法律案案件等について、政府が少くとも積極的でないという状態があつて、非常に遺憾に存じますので、この点については十分政府としても今後注意されんことを私から特に御要望申上げておく次第であります。  それでは次に、どうぞ退職手当の法案について、只今菅野長官並びに入江人事官がお見えになつておりまするし、更に政府委員として大蔵省岸本給与課長が御出席ですから、順次御質問をお願いしたいと思います。
  97. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この前の委員会のとき、資料をお願いいたしたのでありますが、御配付頂けるでしようか。
  98. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 先般の資料は、行管のほうに連絡いたしまして、委員会に直接お届けをいたすようにしておりますが、まだ届いておらないのかと思います。
  99. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 資料を頂きましてから……、定員減は欠員の範囲内だけでやるんだと、そうして四月以後は自然退職をしてもそれには退職手当は出さないんだと、行政整理について、ということになると、退職手当という項目は二十八年度は全然使用することはないのだということに、資料を頂けばなるように私は考えておりますが、その点は資料を配付して頂いてから御質問をいたしたいと思います。  もう一点岸本さんにお伺いいたしたいのですが、退職手当臨時措置法の第一条の目的及び効果というのですが、それは給与と恩給との目的に関連しておるからお尋ねいたしたいのでありますが、給与は、これは在官中の職務に対する反対給付として生計費及び職務給として給する、恩給は、恩給の根本原則で、退官後においても退官当時の条件に応じて将来生活を維持するに必要な金額を交付するということになつているのですが、国家公務員法のほうでは退職手当のような項目はなかつたと思いますが、恩給法と給与法とが完全に法律にあるような目的で支給するということになると、退職手当というのは、第一条の中に給与に関する目的は書いてないのですが、これはどういう意味で退職手当というものは出すようになつておりますか、その概念のようなものがあつたらそれをお伺いしておきたいのです。退職したときに特別の報酬だというようなことで出す性質のものかどうかということでございます。
  100. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 退職手当の性格につきましては、この法律には何も誕つてないのでございますが、私どもといたしましては、まあ退職手当は、第一には退職後におきます或る一定期間の生活の保障を確保することを目的とするものであると、かように考えております。勿論退職手当のほかに、恩給或いは共済年金というような制度もございます。これによつてまあ生活が保障されるということは、一面で言えるのでありますが、私どもは現在の段階においては、この恩給と退職手当、これを両方合せたもので生活を保障して行きたいという点が第一点。それと同時に、退職手当は、これはいろいろ議論がございますように、在職期間中における勤労に対する褒賞と申しますか、長く働いていたから御褒美と言うと語弊がございますが、そういうような褒賞的な意味を持つて或る意味では出されるわけであります。完全なる生活保障でありましたら、これは定額で出せばいいわけでありますが、やはり勤続年数に応じて支給をいたしておるわけでありますが、これは考え方といたしましては、勤続褒賞という意味を含んでおるわけでございます。こうした二つの意味合いを持ちまして退職手当を出しておるわけでございます。ただこれはやはり在職中における給与でありますとか、或いは他方法律ではつきり目的を調われております。恩給或いは共済年金、こうしたものの金額と比較して考えなければならん問題でもあろうかと考えます。日本の国全体が非常に経済力を回復いたしまして国民の生活水準全部が上つておるというような段階におきまして、従いまして給与も完全な給与になる、或いは恩給も完全に老後の生活を保障できるというような段階におきまして、退職手当というようなものが要るかどうか、これは又そのときになつて考えなければならん問題だろうと考えます。現在民間におきましても厚生年金制度がございますが、これは現実に働いておらない、その場合にも、退職手当は出ておるわけでございます。この民間における退職手当相当するものが、公務員における退職手当と恩給年金を合せたものと、そういうような意味合いを以て支給するというわけでございます。
  101. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 退職手当というものは、今まで長い間勤続した者に対する報酬のような性質があるのだということはよくわかるのですが、それと関連して、恩給や何かが不足しておるから、その生計費の一部を補給するような意味でもやつておるのだというようなことになりますと、恩給の百五十分の五十というような率と、今度の退職手当の勤続年数を入れた支給率、そういうようなものと関連して、合せて行けば生計費に間に合うのだというような思想を以て、ああいう今度の標準のようなものをおこしらえになるのか。そういうことを明確に意識の上でおやりになつておるのかどうか。これは実は今朝私予算委員会の公聴会で、公述人が恩給制度について御意見をお述べになつたので、そのときに恩給の根本原則についてお伺いいたしたのでございますが、現在の支給額の率等について、根本的の恩給制度をやる場合には、いろいろ観点もあるのですが、例えば一律に三分の一というような率でなくて、上のほうはもつと率を下げて、そうした非常に今生活給さえ支給できないようなときには、その率を上げるというようなことが恩給の根本原則としてはいいのではないかというような御意見があつたのでございますが、それができるまでは、何か退職手当が今のような御意見で恩給の不足の分を補うのだというような考え方があると、私は今度の率や何かについて、例えば六級とか七級とかいうようなところでやめた人は、現在の本法に対して何割になりますか、そういうものを掛けてやつても非常に少いのではないか。そうすると、今までの率を大体修正なさつて行かなければならないのではないか。そこら辺を、生活費の補給をするのだということになりますと、私は給与を、これは給与の問題は改めて菅野さんからお伺いいたしたいと思いますが、実際に一般に安定のある中堅階級の方は非常に少いのではないか。これは国の財政上止むを得ないからといつて切るのなら、よくその説明を納得するようにして頂くならば、これはまあ止むを得ないのではないか、我慢する点もあるのではないかと思いますが、そのたびに一年に二百億も余分に廻すといつたつて、これは補正予算なんか出すことはなかなかできない。今度だつて、成るべく速かに給与改訂をするのだと言つても、補正は出さないのだということで頬被りをするということになつて、うやむやのうちに葬られるというようなことになつておるようですが、私はそんなものを一年に二百億出せというようなことは、今の財政上できないというなら、退職金は一体一年に幾らくらい見込まれておるか知らんが、二十億なら二十億のところにもう二、三十億くらいも余分に出したつて、そうしてそれを非常に不足しておるところの率を上げるなんていうような操作をすれば、公務員のかたも、今は不足していても退職資金のそこらだけででも見てもらえるのだというようなことになれば、どこか納得して行くところがあるのじやないかと思うから、そういう率や何かについて、非常に困つている中堅階級があるのだ、上のほうの十四級、十五級のかたも、それから六級、七級のかたも同じ率で行くことは、恩給法でも将来は直して行つたらいいのじやないかということを公述人の今井さんも言われておつたのです。私も同感だと思います。財政上足りないと思うなら、なし崩しにその人の退職した以後のことを十分に見て行くのだということにするとか、根本的に私は勤続年数とか何かによつての率を大蔵省のかたも慎重にお考えになつて頂ければ非常に幸いだと思う。そういう点について御意見をお伺いしておきたいと思います。
  102. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 最初に恩給制度についての改正の点ですが、今の恩給制度のよくない点、これを現実の給与の体系と関連してお尋ねがあつたのでありますが、将来の恩給制度というものをどう持つて行くか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、現在は国家公務員法に基きます新らしい年金制度というものを人事院で研究中でございます。私どもも研究はいたしますが、人事院勧告を待つて考えてみたい、かように考えておるのであります。  その前にお話のありました、恩給が非常に低いからこれを補うために退職手当をやるというようなふうに私は申上げたかと思いますが、これはそのときに申上げました通りに、国民全体の生活レベルが低い。従つて公務員が同じように低い。それは国民全体の問題である。従つて国民全体のレベルが上つて来る場合には、こうしたいろいろな、種々雑多な支給が必要になつて来るのじやなかろうか、こういうふうに申上げたのであります。これと関連いたしまして恩給が低いから退職手当で補うのだと、如何にも恩給と退職手当と相関関係があるかのように申上げましたが、これは一つには、民間においては御承知のように厚生年金保険制度がございます。これは本年度あたりから先ず僅かな数字が出て来るわけでありますが、あと何年か先にならなければ動き出せない制度でございます。従いまして民間においては、現在の段階では退職手当一本ということに相成つております。この退職手当の支給率、或いは支給額というものを労働省或いは人事院でおやりになつた研究や調査に徴しまして、我々はそれを参考といたしまして、公務員の方面におきましては別に恩給も出ておるという点を考慮に入れて退職手当の支給率を重ねて考えてみたいと思います。従いまして恩給が低いから退職手当を出すという意味を申上げたといたしますれば、これは取消しさして頂きたいと思います。恩給と退職手当を合せたもので民間の退職手当の支給率と比較したいと、こう申上げたのであります。
  103. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私の質問なり希望は、給与水準が民間よりか幾らか低いから、それで退職手当で一部を補うのだというふうに伺つたのですけれども、私の特に希望する点は、一般水準でなくて、特定の階級の人が非常に少いのなら、そしてそれが一番不平不満を持つているのなら、そこの階級の人をできるだけ救済するのだという趣旨でやるなら、一律の給与率でなくて、もう少し変つた点をやつて頂くなら、非常に不遇な階級の人たちの分を幾らかでもカバーして行くことができるのじやないか、そこで今朝の予算委員会の公聴会の今井さんのお話でもそういうことが根本的の問題なんで、そういう場合には一定の財源しかないのなら、上の級の人の率は幾らか減じても、そういうところを平均化する必要があるように私の質問に対しては答弁なさつておいでになつたのです。私は全く同感だと思つてつたのですが、何かこういう制度をおこしらえになるについて、そこら辺までお考えになつて頂ければ非常に結構だと思います。一般に生活水準の低いのは当り前だとしても、その中でも殊に低い階級がある。そこの階級のことを考えれば、一律の支給率が少し変つて来るのではないか。併しそのために上つて来る金額というものは、そうたくさんに国家財政に影響するようなものじやないのだ。一遍に給与を引上げるなんていうことは不可能でも、その十分の一ぐらいのものがあれば、これはなし崩しに職務に対する報酬というものを、幾分でも面倒を見ておるというようなやり方をとるべきではないかと私は考えるものですからお伺いいたしたのです。
  104. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) まあ退職手当に伴うことになりますが、共済制度或いは恩給制度、それの金額をどうすべきか。成るべく低額的な部分を多くして平均化の程度を近付けて行く。それが社会保障制度の考えで、そういう内容に持つて行く。或いは勤続年数を長く勤めれば恩給も上るが、それを退職手当を重点にして考えるときは、これはなかなかむずかしい問題でございます。やはり恩給なりの新らしい制度を考え、その段階において総合的に考えたいというふうに考えます。
  105. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 人事官の御出席だから、人事官に一言お伺いしたいと思います。今回出ました退職手当臨時措置法案、三月三十一日で切れるのを二十八年度以降継続して実施するようにするという改正法律案が出ておるのですが、その第一条におきまして、恩給制度とか、その他の給与制度と関連して、新たな恒久的な給与制度ができるまでこの法律は存続するのだというようになつておるようでございます。そこで恩給制度につきましては、これは人事院で運用を考えることになつておるのと、その制度を研究して成るべく速かに政府国会に提出するのだということが公務員法にあるのです。公務員法ができまして以来五カ年になるわけでありますが、恩給の根本的改正の成果を国会にお出しになる時期が早晩来ておるのではないかと思いますし、又それの勧告を待つてこの退職手当臨時措置は解消するのかどうか知りませんが、それまで存続しておくので、いつまで存続しておく必要があるかという問題ですが、五カ年ももうおやりになつた。二十八年度中にでも根本的な恩給制度なり給与制度を確立することを国会政府人事院勧告するのだというなら、現在の臨時措置法というものを時限法規にしてしまつて、一年限りだというようなことになれば、これは一年間にどうしても人事院は根本的に給与制度を勧告しなければいかんという責任もお持ちになれるではないかと思うが、いつになつたら恒久的の給与制度ができるかという、それまではこの法律を存続しておくというのは、少しどうも緩慢過ぎると私は思うのでございますが、一番根本になるのは、恩給制度が確立すれば、今のような臨時措置法は要らないということになれば、速かにお出しになつて頂く決心がおありになるわけですか。それがはつきりすれば臨時措置法案というものは二十八年だけでいいんだ。今年恒久的制度ができるまであの法律を置いておく。二十八年度には行政整理は、出血は一つもないんだというなら、なぜ整理退職手当なんというものを法律に入れておいて、いつでも伝家の宝刀を抜いて役に立たせるというようなああいう条文を、おどかしの条文をおくか。二十八年度だけはおかないほうが公務員は安心しているんじやないかと思うんですが、そういう関連で恩給制度の勧告をいつお出しになるというお見込を伺うことが、退職手当臨時措置法案を審議する上に私は重大な問題だと思いますから、今日御出席をお願いしたのでございます。そのお見込をお伺いいたしたいと思います。
  106. 千葉信

    委員長千葉信君) 只今の御質問に関連して、私からも一緒にお尋ねしておきたいと思うんですが、御承知の通り今度政府のほうから出て来ました退職手当に関する臨時措置法、これは今まで限時法という状態で過去三年続けられて来た退職手当に関する臨時措置について、今度はこれが当分の間ということで、今までよりもむしろその法律効力の期間が延長されるという状態がはつきり出て来ておる。これについて、私ども現行の退職手当に関する臨時措置法等においても、はつきりこの法律は昭和二十八年度から総合的な退職給与制度等を確立するまでの間、従つて二十八年度には新らしい総合的な退職給与制度を実施するんだという建前に立つていたし、又そういう約束がこの法律を通じて政府を公務員、或いは国民と公務員との間にそういう前提に立つた約束があつたんです。で、我々としては過去両三年、すでにそういう来年から総合的な退職金制度を実施するんだといつていつでも延長されて来たんですが、今度の場合はそれが逆に、今度提出されておる法律案の有効期間はむしろ延長されるという考えに立つておるんですが、そういう不当な方針に対して、前の委員会でこれを追及したところが、一体どこにそういう総合的な恒久的な退職給与制度を成立せしめるための条項があるのかといつて具体的にその理由を聞いたところが、その答弁の中ではつきり言われたことは、遺憾ながら人事院から恩給制度に関する、退職年金等に関する勧告がまだ出ないために、そのためにこういう措置をとるほか余儀ない実情だ、こういう御答弁があつたんです。私どもとしてはその御答弁をそのまま承服するわけではないんですが、併し一方から言いますと、人事院の立場としても、今溝口委員からお話があつたように、もうすでに国家公務員法ができてから五年以上を経過し、而も人事院は恩給制度等の確立について調査研究し勧告をするという責務を持つておるはずなんです。それが今以て勧告されておらないという事情を考えますると、私どもこの際、その政府答弁に関連して、人事院方針なり態度というものを明確にされる必要があると思います。関連して一つ願います。
  107. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今国家公務員退職年金制度と給与制度の問題につきまして縷々御指摘並びにお尋ねがございましたので、その問題につきましての従来の私どものほうの研究の経過並びに勧告させて頂きます見込時期につきましてお答えをさして頂きます。  恩給制度と申しまするか、退職年金制度につきましては、只今御指摘の通り国家公務員法ができまして以来、相当期間に亘り未だ勧告いたすことができませずに参つておることは大変恐縮しておるんでございますが、実はこの問題につきましては、御承知の通り昨年大体人事院としての素案を得まして、前のことも御存じ通り災害補償制度の提案並びに勧告の前例に倣いまして、昨年社会保障制度審議会に非公式でございますが、御相談いたしました。その社会保障制度審議会におきましてたびたび私どものほうから御説明をいたし、又或いは御質問もありましたりした結果、大体の御審議をせられまして、昨年の暮でございましたが、尤も、この問題は国家公務員退職年金制度のみならず、他の年金制度につきましても、一括して非公式ながら御回答がございました。御回答の内容につきましては、大体御存じのところでございますが、大体において社会保障制度を基礎にいたしまして国家公務員の年金制度なり、或いは厚生年金なり、その他軍人恩給の問題などを含めて考える必要があるというようなことを基礎にいたした意見でございますが、それらの意見を得ましたので、人事院といたしましても、早急に前に大体の成案を得ました案を再検討いたしまして、只今御指摘のございましたようにこの退職年金制度を勧告いたしますことは、国家公務員法によつて課せられましたる義務でもございまするので、実は成るべく早く勧告させて頂きたい乏思つております。その見込の時期でございますが、ありていに申上げますると、先ほどいろいろお尋ねのございました給与準則の問題についてずつと最近作業を進めておりまして、これも大体見通しが立ちましたので、これと併行して、勿論現在もやつておりますけれども、早急に最後の研究を遂げまして、まあこれが今後一カ月で終りまするか、或いは二カ月ぐらいかかるかそこのところは、御承知の通り何にしても恒久立法でございますので、はつきりした期日を申上げかねまするが、大体その見当の下に勧告させて頂きたいという方針審議を進めております。どうぞ御了承を得たいと思います。  なお次に給与制度の問題でございまするが、只今大蔵省給与課長からもお話がございましたし、溝口さんからもこの退職年金制度及び給与制度についてのその辺についてお話がございましたが、給与制度につきましては、先般国会でああいう立法の御決議がございまして、人事院といたしましても給与制度をできるだけ更に一層合理化する必要があるという見地の下に研究をいたしたわけでございまして、その一つの結果として今回、先ほど申上げました給与準則と申しまするか、職務の分類制による従来よりも更に職種ごとに合理化された給与制度を中心にいたしまして、只今いろいろ溝口さんから御指摘のありました各階層における俸給の頭打ち、その他の結果から来る給与上の齟齬などが起りませんように、極力合理化いたしたものを大体成案を得まして近く御覧に入れたいと思つております。さような次第でございますからどうぞ。
  108. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一点お伺いいたしたいのですが、只今入江人事官お話で、できるだけ早く根本的な制度についての御提出に御努力というお話を承わつたのですが、その根本的な制度をやるにつきまして、私一点お伺いしたいのですが、恩給の根本原則が、先ほど申しましたように、退職後でも適当な生活を維持するに必要な所得を与えるのを目的としているのだ、併しそのやり方としては、保険数理を基礎にして計画しているのだ、で、私の承知しているところでは、現在恩給亡国というか、恩給が非常に余計になつてしまつて、国の財政がなかなかうまく行かないので保険経理でやつて、公務員の国庫の納付金の率を百分の二をもつと上げて国は損をしないというような根本の方法でやつて行くことになりまして、恩給の根本原則で適当な生活を保障するのだということは、これは相容れないような結果になるのじやないかというように考えるのでございますが、そこで御承参知のマイヤースの勧告と言いますか、それは日本の恩給制度が非民主的で金がかかり過ぎるのだ、事務が煩項であるというようなことを指摘して、そして日本の恩給制度は保険経理に基いたような統一したものをやれというような勧告があつたように伺つておりますが、人事院総裁が先般本会議でもマイヤースの勧告通りのような答弁をしていられたので、そういう根本方針でおやりになるかどうか。私は先ほど岸本さんにもお尋ねいたしましたように、今朝も予算委員会で公述人に恩給の制度についてお伺いいたしたのですが、今度の恩給法の改正では、旧軍人の恩給をやることが主な目的である、私は内容を知りませんが、それは大体公務員の恩給に右へならえして行つたんだ、そして右へならうことにしたけれども、その階級差なり、勤続年限にはいろいろな問題があることと、軍人の階級のは四、五階級低くしてきめたというふうな点もあつたようですが、大正十二年に恩給法ができまして、その当時は退職した当時の本俸の百五十分の五十を支給して、そうすると恩給権者は退職後でもどうかこうか内職でもすれば生活は二人世帯であればできて行けるのじやないかというようなことで、大体三分の一というような率がきまつたのじやないか。そうして主人が死んでから妻、寡婦が一人残つた、それは本俸の六分の一あればどうかこうか生活ができて行つたんじやないか。ところが最近は誰に聞いても、月給が少いということはよく言いますが、恩給じや飯が食えないという言葉のほうが私は多いんじやないかと思う。これは相変らず百五十分の五十が基本の率になつていて、そして戦前における本俸に比べるものが現在では基本給なんだ、その基本給も六級、七級、八級という程度は、普通の民間の給与に比べると二割か三割低いのだ、そのベースのうちの八割ぐらいの本俸に対して三分の一というふうな率を一律に今やつて、それから又四、五級落して軍人のをやつて行くということ、恩給で適当な生活を維持するに必要な所得を与えるというその方針も、保険経理上それでなければできないのだというような結論になつたようにも御説明がとれたのでございますが、マイヤースの勧告というのは、これは人事院ではやはりそれを尊重して御研究になつたんでしようが、マイヤースというかたが日本に来られて恩給制度を研究なさつたときに、現在の給与制度がどんなふうに日本の公務員にはなつておるのだということは根本的に検討なさつて、その説明を人事院ではお聞きになつたのかどうか。ただ金がかかり過ぎる、非民主的だ、だから保険経理に基いて統一した恩給制度をこしらえる、例えば人事院総裁もそのような同じ意味の答弁を本会議でなさつていられるのですが、そこら辺も社会制度審議会で一体この百五十分の五十なら右へならえというような、公務員の恩給制度について根本的に御検討があつたのか、なかつたのかと私は伺つたのでありますけれども、それは余りはつきりした御答弁を伺わなかつたが、恩給の根本原則が、公務員法の百八条か何かにある通りになりますと、退職手当の率の問題が相当にむずかしい問題があるのではないかと思いますが、マイヤースの勧告は、アメリカ人なんで、アメリカでは今の日本のような給与制度で生活費も足りないような給与ではないと私は思いますが、それの何分の一だか、恩給制度等も適当な保険経理でやつておるかも知れませんが、根本的に日本の現状はそういうように違うのなら、そこの根本を一つ、恩給制度を御研究になるといいと思うのですが、恩給の根本原則、恩給法の御研究をお願いいたしておきたいと考えております。それで今御研究の根本方針は、いわゆるマイヤースの勧告などが基本的なベースになつているのかどうかということをお伺いいたしておきたいと思います。
  109. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今の点御尤もな御指摘でございますが、実は人事院只今研究いたしております年金制度は、勿論このマイヤースの勧告を、何と申しまするか、発端といたしまして、その線に沿つておることは事実でございますけれども、併し今お話通りアメリカの一般の給与制度と日本のその実情とは大分違うところがございますので、その点は我々マイヤースの勧告を、マイヤースがおられた頃からそういう折衝は続けられたそうでございますけれども、いわゆるマィヤースの勧告というものをよほど修正と申しますか、修正いたしまして、日本の実情に即するような線に只今成案を急いでおるわけであります。  それにつきまして簡単に根本の原則と申しますか、方針と申しますか、それについてちよつと申上げますと、この年金の問題と退職金の問題と、それから現在在職中の公務員の給与の問題、これはちよつと別に考えなければならん部分もございまして、退職年金を出すからといつて、現在の公務員が生活に困るというふうになりましてもいけませんので、やはり現在は現在で一つの基準による生活をなし得るような状況にいたしますると共に、退職後の生活につきましては、只今お話通り本人の退職或いは死亡のときの条件に適応いたしまして、適当なその後の生活を維持するような金額考えるようになるのだと思います。そこでその退職時の条件に応じた適当な生活を、退職後の本人或いは死亡後の家族にどの程度の一体それでは額と申しまするか、保障することが適当かということが一つ問題になるわけでございます。この点につきましては、やはり只今お話の、例えば退職時の俸給の三分の一でございますとか、一律に三分の一なら三分の一というものを永久に維持するということは必ずしも合理的でない点がございまして、やはり公務員の退職にも、比較的若いときに退職いたします者と年をとつて退職する者とがございます。又在職年数が非常に短くて退職する者と長くて退職する者と、その前者の場合におきましては、比較的、公務員であつた者といえども若干の生活能力があり得るわけでございまするから、そういう者につきましては、退職年金のみだけでなく生活を維持し得る方便を獲得し得ることも若干予想され得るところがございます。まあそうかと申しまして、例えば三、四十年も勤務いたしまして、退職後殆んど生活能力がなくなるという場合には、これはそういうかたぞれが退職年金によつて大体の生活を本人並びに家族がなし得るように考えなければならん、そういう見地から今度御覧に入れる案がどういうふうになるか、只今のところでは断定いたしかねますけれども、先般社会保障制度審議会へ協議いたしました案は、漸次率が殖えるようなことになりまして、例えばこれはそのときの案でございまするから、今度の確定案ではございませんけれども、一番最終と申しまするか、最終には約八割、つまり退職時の俸給の八割くらいに達するように、併し若いときには比較的少いというふうな線で生活を維持するという線と、又退職した公務員が年若くしてただ退職金だけに頼つて暮すということも又避ける必要がございますから、まあそういうようなことも考えるのでございます。  それから次に保険数理の点でございますが、これは御存じ通り、現行の恩給法は大体国庫納金がございますけれども、建前としては国家が恩給を負担するというふうな建前になつておるわけでございます。それを保険数理と申しまするか、やはり合理的に公務員も在職中に将来の退職後の退職年金に対する費用負担をいたしまして、その費用負担をいたしまするものと、国家が負担いたしまするものとで後の退職年金を賄つて行く。これは御存じ通り現在の厚生年金その他のものについても若干そういうものが、度合の問題は別として、そういうことになつておるのでありますが、ただそれにつきまして、そうかと申して、それを国家公務員に非常に負担を多くしまして、その負担の多い度合において保険数理をやりますることは、又現在の在職中の生活に非常に影響いたしまするから、その程度につきましては十分慎重に考えまして、保険数理の目的を達しながら合理的な線で、保険数理ということと大体両方で、できるだけ合理的な線を打出したいということでやつております。
  110. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私、今朝予算の公聴会で伺つたときに、これは現在の公務員の恩給は百七億くらいなんです。そうして公務員の納金は百分の二の率であつて、五十億くらいになる。それをもう倍くらいにすれば納金と恩給と大体同じになるような数字なんです、説明では。そうすると、保険数理と言うか、経理から言うと、国は恩給を出す必要は何もないので、給与の中からそれだけ割いてそうしてやれば、国の財政は少しも損をせずに恩給を出せるような勘定になるらしいのです。そうすると百分の四出せば国は何も損をしないのだ、そんなようなふうに、速記録を御覧になればおわかりと思いますが、そういうことを公述をしていられる。私は非常に不思議に考えるので、恩給はそういう保険経理で国は一文も損をしないのだというのですが、そこまでよくお考えになつて頂きたいと思います。
  111. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今の問題は速記録を拝見いたしませんとちよつとわかりませんが、私ども只今の計画では、これは勿論最終案でございませんけれども、大体従来の国庫納金百分の二、数字が間違つておりますればあとで訂正させて頂きたいと思いますが、たしか百分の二だつたと思います。今度は百分の三・五というふうに大体予想しておりますが、それでも今お話しの通り、百分の二の負担を百分の三・五にいたしましても、現在半分くらいの何と申しますか、公務員自身の負担によつて大体国家負担は殆んど要らなくなるのではないかというふうな御意見のようでございますが、どうもそういうふうになるようには私たちには了解いたしておりませんので、その点或いは大蔵省給与課長のほうがお詳しいかと思いますが、大体給付費のたしか現在一五%だつたと思いますが、それを二五%ぐらい……現在は二割見当だそうですが、これもちよつと数字が間違つておるかも知れませんけれども、今度は給付費が二、三〇%程度になる。二割ともう少し殖えるかも知れませんが、負担が殖えまするけれども、決して本人の負担部分というものと国家負担部分というものがそれほどえらい近寄つたというふうには、現在の段階としてはなりにくいのではないかと思つております。
  112. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 なお速記録が出ましたら一つ研究して頂きたいと思うのです。非常に私不思議に思つておりますからお願いいたしたいと思います。  時間が非常に遅れましたけれども、もう一つ高田委員の質問に関連いたしましてお伺いいたしておきたいと思いますが、近いうちに給与準則を御提出になるようですが、そのうちで未解決の問題に教育職員の問題があるように伺つたのですが、義務教育学校職員法が定員定額で大分問題になつておると思いますが、速記録等で拝見いたしますと、文部大臣も言われておるのだが、どんな山の中の教職員のかたでも、大都会の教職員のかたと同じような職級で同じような職務と責任を持つておるような教職員のかたには同じ給与水準をやるべきなんだということで、予算を定員定額で組んでおるわけです。予算の上から申しますと、小学校の職員の本俸は三十三万人の分について、ベースは一万七千円くらいになつておる。中学校の教職員のベースは本俸で一万三千円くらいである。公務員の昨年改訂しましたベースは、本俸では九千九百円であるということになると、小学校の教職員の方は公務員よりか二割くらい本俸は上なんですね。私は義務教育職員の方にそれだけ出されるのは非常に結構だと思います。俸給が少いんです。併し又府県ではそれが足りなんで、一人三百四十七円足りなんで、それだけ府県が負担している。今度は現員現給で、二万人の欠員はこれを減らさなんでいて、そうしてその間でやりくりをして五十三万人の定員について五十万人でやつて行くから減らさないのだということで、普通の公務員のベースとは非常に違うんで正す。そして今度は給与準則で教育職のやつをどういうふうにおやりになるかという問題がある。大都会の教職員と同じ職給で同じ責任を持つておるものを当てはめた、国立学校の小学校、中学校の教職員は二千五百人、その方々は大体資格のある方なんだ、その方々の本俸は平均すると一万二千円になつているそうです。それと丁度山の中の義務教育の職員の五十三万人の本俸は丁度一万二千円くらいになるというのでございますが、非常に国家公務員との間にアンバランスが出て来る。その職階級というようなものがもとになつて、それに号俸をおいていると思うんですが、今度の給与準則に入れられるのは、まだおきまりにならないようですが、大体中学校、小学校の教職員の対象は、二千五百人の今の実態なんかを考えられてやつていられるのだと思いますが、今度義務教育の職員が国家公務員なつた、五十三万の教職員が殖えて来る。そうすると二十八年度は府県の負担だから、職階級も教育委員会に委任して現在通りつて行くといいますか、私はまあ国家公務員にして地位と待遇を保障して安心して職務に従事させるという趣旨はいいと思う。現在の給与は少しも減らさないのだということもいいと思うんですが、これ又先ほどの公務員との非常なアンバランスが出て来ることが予想されると思うのですが、そこで五十三万人の中で七万人くらいの人が資格がない人なんだからということが或る新聞に出ておりました。小学校の教職員は七万人くらいが無資格者だ。それから中学校の十八万人の中二万人くらいは無資格者だ。北海道は一万九千人の予算定員の中で四割が無資格者なんだ。そういう職階級をおきめになる場合に一級から十五級あるのですが、そこで一遍お伺いしておきたいのは、公務員では局長とか、課長課長補佐、係長、係員といつたような級別で格付ができているのですが、教職員のほうは何か標準があるのでございますか。係長、課長、局長というような職級にそういうなにがあるのか。私は恐らく二千五百人の国立学校の教職員には無資格者はないと思う。そういうのを若し将来調整なさるときに、今無資格者は職級とすれば一体その中に入るのか、入らんのかということ、どういうふうに取扱われるのか。義務教育職員法に関連しても、私は国家公務員の職級との問題とも大きな問題があるのじやないかと思う。大体資格者、無資格者というのはどういうふうに格付をおやりになるのか。これは今度は文部大臣が格付するのだから人事院は権限を取られちやつた。皆さんは考えなくていいかも知れませんが、文部大臣は文部大臣のほうで格付をやる。それでそれは県の教育委員会に委してしまう。小学校の先生が十三級、十四級という格付になつてもいいのかどうか。それは人事院じや訂正することもできないのでございますか。国家公務員法の根本原則にああいうことを謳つてある。それは五十何万人というものは人事院はどういう権限もないということになるのでございますか。その点をお伺いしておきたい。
  113. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今教職員の何と申しますか、職階給与から起ります等級の問題でございますが、これは御承知の通り教職員は現在特例がございまして、現在も大体一般の国家公務員とは系列が違つておりますわけでございます。それでまあ現在は勿論俸給としては何級々々という、一つの便宜として現在の一般公務員の等級と申しますか、級を使つておりますけれども、今度はそれをまあ合理化いたしまして、一般行政職はもとより、ほかの問題も同じでございますが、一般公務員と教育職員とを区分いたしまして、教育職員のほうはこの校長級でございます。校長級とそれから教諭級でございます。教諭級とそれから後は助教授と申しますか、そういうものと大体三段階だけに分けるような計画がございます。どうもそういう関係上、今のお話の教諭という一つの等級におきましては、教諭が更にたくさんにこう分れまして、そこで今の御指摘のように、国家公務員との関係において、とにかく係長とか課長級とかいう、そういう場合は起りませんで、大体まあ教諭という一つの広い等級の中におきまして、自然に一定の学歴とか或いは経験年数による給与なり、称号が進むというような建前になつております。この理由は、御承知の通り、教諭であります以上は、比較的学歴の低い教諭でございましても或いは経験年数の低い教諭でございましても、又学歴の高い者でございましても、教諭には違いございませんから、その教諭というものの中を更にこの階級で区別することは面白くございませんので、俸給の建前としては、教諭ということを一本にいたしているわけでございますから、その点は御心配して下さる不合理というものは、一般公務員との間には起らんのじやないかと存じております。それから無免許の問題は、実は私も甚だ申訳ございませんので、詳しいことを存じませんけれども、或いは教員免許状の、最近と申しますか、御存じ通り各府県で出されております臨時免許状と申しますか、仮免許状に至りますまでの臨時免許状あたりに該当するのじやないかと思つておりますが、こういう部分は教諭というところへは入りませんで、下の段階の助教諭というふうな資格に入るのじやないかと思います。尤も多少、私の申上げます臨時免許状に該当するほかに更に無免許の者がございますが、その点ちよつと只今存じませんで、実情を又調べまして研究いたします。なお級別、まあ従来の格付、今後の職階の格付の問題でございますが、格付の問題は勿論府県の教育委員会がおやりになるわけでございますけれども、まあ大蔵省のほうで予算面上から或る程度統制をされるようなことになつております。でございますから、結果においてはそう不都合は起らないのじやないかと思います。と申しますのは、格付と申しますのは、今お話申上げます通り、一般行政職式に細かく分かれておりますと、非常に問題が起りますけれども、教諭は教諭一本、校長は校長一本、或いはその下の助教諭一本ということになります。でございますから、そこに細かい格付上の紛糾は起らないのじやないかと存じておりますが、なおこの点、給与局長から詳しく御説明することにいたします。
  114. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ちよつと簡単に、時間がないですから。私はそこに非常にむずかしい点があるのじやないかと思うのですが、今年は定員定額でやつて、そうして非常に給与が高いから欠員を二万人くらいおいてやりくりすればどうにかなるのだということを言うて、今年は首切りは教員についてはやらないのだということを政府は言うておるのでございますが、そこで五十何万人の中で九万人くらいの無資格者があるのだ、田舎のほうへ行きましたら、長い間先生をやつてつたのだが、まだ免許状を取つていないというので、年齢の相当多い方なんかが、給与や何か多い方があるのじやないかと思うのです。それを今入江さんのお話では、校長、教諭、助教諭を入れて、給料の多い者でも助教諭の中へ入れてしまうというと、来年になるとはつきり格下げになつて来る。今一万五千円の俸給をもらつておる人は一万円をもらうということになつてしまうのではないかと思うのでございます。だからそれは県の教育委員会に任せるようなことになる。そうすると職階制の根本原則をあれまできめていても、何のことだか職階制なんというのはわからないことになつてしまう虞れがあるのではないかと思うのです。  なおもう一つ国家公務員法の一番私は根本原則で必要なのは、任用の根本基準だと思つておりますが、それは国家公務員法のできた根本問題なんで、推薦や選考ではいけないのだ。だから公開の競争試験によるという原則があつて、これは人事院でおやりになつたと思うが、それが今度の職員法では現在の教育委員会の選考でいいのだというようなことになる。そうすると国家公務員法の原則というものは、殆んど今日のものでは任免の原則も職階制の原則も、どうもどこに一体公務員法を守つて行くという趣旨があるのか、そこの点に非常に私は疑問があると思うのですが、人事院としてはどういうふうにお考えになりますか。そういう原則を守らない法律を通すのだから……。
  115. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 先ず最初の任用のことでございますが、任用のほうは御承知の通り国家公務員法はまあ何と言いますか、競争試験又は選考ということになつておりまして、いわゆる公開競争試験をいたすことに不都合な職種につきましては、経歴その他の合理的な選考によつてこれを選ぶということになつておりますので、そういう関係上、選考によることが必要でございます場合には、必ずしも競争試験によらないということが国家公務員法の原則に反するわけでないということは、一応御了承願いたいと思います。  そこで教職員でございまするが、教職員におきましては、御存じ通り教員の免許法というのがございまして、これが大体教職員の学歴の基準によりまして、それぞれ仮免許状一級、二級と、一つの基準によりまして厳格な免許状を与えまして、それによつて資格を交付することになつておりますので、従つて選考と申上げましても厳格な法律による免許制度によつて動いておるわけでございますから、これがいわゆる極端に申せば自由任用式に情実によつてどうこうなんということは絶対にあるまいと存じております。  それから先ほどの給与の問題でございますが、私もいわゆる無免許者という者の実態を本当につかみきつておりませんので、或いは申上げることが間違つておるかとも思いますけれども、先ほどちよつと申上げましたように、例えば臨時免許状を交付しておる者が下の助教諭の階段に属するから、その場合に給与が減るのではないかということを御心配して頂いたかと思いますが、この点は各等級によつて、職階でございますから非常にその等級ごとの俸給の差等をつけることがまあ一つ考え方でございますけれども、やはり厳格に職階制を適用いたしますと、今度非常にそこに不都合が起りますので、その等級ごとに相当な生活級的な途、一つの俸給の幅を作りまして、実情に矛盾しないようにいたしておりまするので、只今御指摘のようなことが等級として起るか起らないかは別問題といたしまして、格付によりまして、従来無免許のものが仮に一等級下になるということがありましても、現在の俸給の現給を減さなければならんということの恐らく事実は起らないのじやないかと存じます。  なお給与局長から更に御説明を申上げたいと思います。
  116. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 給与準則におきまして、現行給与法の適用になつておりますものを切り替えます際には、先ず現給保障という線がございます。従いまして仮に、根本的に申しますと、格付が上の等級と下の等級と分れる場合、下の等級に参るようなことがありましても、なお且つ現在の俸給というものはこれは保障されるということになると存じます。  それから教職員の問題でございますが、本年一年間につきましては、現行通りつて行くということが言われておるようでございまするから、本年一年間については、そういう法律通りましても、そういうことになるものと我々は了承いたしております。  なお今後給与準則というものが制定された暁におきまして、教育職員がばらばらになつて困るではないかという点でございまするが、これはやはり給与準則にがつちりときめて参りまして、そうして給与上の操作を委任いたします点は明確にして行きたいというようなことを考えておる次第であります。従いまして御心配のような点がないように努力をいたしたいと思つております。なお詳細につきましては近く給与準則勧告さして頂きまするので、そのときに具体的に御説明申上げたいというように思つております。
  117. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは本日の委員会は、なお、退職手当に関する臨時措置法等の関連が、人事院退職年金法等の勧告に関連して法案自体がいろいろ問題を含んでおります。又こういう臨時措置をしなければならなかつた理由として退職年金法等の勧告が遅れておるという条件で取上げられておる以上、なぜその勧告が遅れているかというような事情も、先ほどの御答弁だけでは簡単には承服しかねるようでありまするし、勿論これは人事院の責任ももう少し追及もされ明らかにもされなければならないと思うのですが、むしろ問題は、これは私どもの推測する限りでは、政府側のほうにその責任の大半があるという考え方を持つておりまするし、又そういう意味でこの問題に関する質疑の通告を一議員から受けておりますので、この問題等については、更に次の委員会で続行することにしたいと思います。次回の人事委員会は十三日の午後一時から開会をすることにいたします。  なお、先ほど御決定願いました労働委員会との連合審査の日程等については、この際委員長に御一任を願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 千葉信

    委員長千葉信君) それではさよう決定して、本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後五時二十二分散会