○溝口三郎君 もう一点お伺いいたしたいのですが、
只今入江人事官の
お話で、できるだけ早く根本的な制度についての御提出に御
努力という
お話を承わ
つたのですが、その根本的な制度をやるにつきまして、私一点お伺いしたいのですが、恩給の根本原則が、先ほど申しましたように、
退職後でも適当な生活を維持するに必要な所得を与えるのを目的としているのだ、併しそのやり方としては、保険数理を基礎にして計画しているのだ、で、私の承知しているところでは、現在恩給亡国というか、恩給が非常に余計にな
つてしま
つて、国の財政がなかなかうまく行かないので保険経理でや
つて、公務員の国庫の納付金の率を百分の二をもつと上げて国は損をしないというような根本の
方法でや
つて行くことになりまして、恩給の根本原則で適当な生活を保障するのだということは、これは相容れないような結果になるのじやないかというように
考えるのでございますが、そこで御承参知のマイヤースの
勧告と言いますか、それは日本の恩給制度が非民主的で金がかかり過ぎるのだ、事務が煩項であるというようなことを指摘して、そして日本の恩給制度は保険経理に基いたような統一したものをやれというような
勧告があ
つたように伺
つておりますが、
人事院の
総裁が先般本会議でもマイヤースの
勧告通りのような
答弁をしていられたので、そういう根本
方針でおやりになるかどうか。私は先ほど
岸本さんにも
お尋ねいたしましたように、今朝も予算
委員会で公述人に恩給の制度についてお伺いいたしたのですが、今度の恩給法の
改正では、旧軍人の恩給をやることが主な目的である、私は内容を知りませんが、それは大体公務員の恩給に右へならえして行
つたんだ、そして右へならうことにしたけれども、その階級差なり、勤続年限にはいろいろな問題があることと、軍人の階級のは四、五階級低くしてきめたというふうな点もあ
つたようですが、大正十二年に恩給法ができまして、その当時は
退職した当時の本俸の百五十分の五十を支給して、そうすると恩給権者は
退職後でもどうかこうか内職でもすれば生活は二人世帯であればできて行けるのじやないかというようなことで、大体三分の一というような率がきま
つたのじやないか。そうして主人が死んでから妻、寡婦が一人残
つた、それは本俸の六分の一あればどうかこうか生活ができて行
つたんじやないか。ところが最近は誰に聞いても、月給が少いということはよく言いますが、恩給じや飯が食えないという
言葉のほうが私は多いんじやないかと思う。これは相変らず百五十分の五十が基本の率にな
つていて、そして戦前における本俸に比べるものが現在では基本給なんだ、その基本給も六級、七級、八級という程度は、普通の民間の
給与に比べると二割か三割低いのだ、そのベースのうちの八割ぐらいの本俸に対して三分の一というふうな率を一律に今や
つて、それから又四、五級落して軍人のをや
つて行くということ、恩給で適当な生活を維持するに必要な所得を与えるというその
方針も、保険経理上それでなければできないのだというような結論に
なつたようにも御説明がとれたのでございますが、マイヤースの
勧告というのは、これは
人事院ではやはりそれを尊重して御研究に
なつたんでしようが、マイヤースというかたが日本に来られて恩給制度を研究なさ
つたときに、現在の
給与制度がどんなふうに日本の公務員にはな
つておるのだということは根本的に検討なさ
つて、その説明を
人事院ではお聞きに
なつたのかどうか。ただ金がかかり過ぎる、非民主的だ、だから保険経理に基いて統一した恩給制度をこしらえる、例えば
人事院総裁もそのような同じ意味の
答弁を本会議でなさ
つていられるのですが、そこら辺も社会制度
審議会で一体この百五十分の五十なら右へならえというような、公務員の恩給制度について根本的に御検討があ
つたのか、なか
つたのかと私は伺
つたのでありますけれども、それは余りはつきりした御
答弁を伺わなか
つたが、恩給の根本原則が、公務員法の百八条か何かにある
通りになりますと、
退職手当の率の問題が
相当にむずかしい問題があるのではないかと思いますが、マイヤースの
勧告は、
アメリカ人なんで、
アメリカでは今の日本のような
給与制度で生活費も足りないような
給与ではないと私は思いますが、それの何分の一だか、恩給制度等も適当な保険経理でや
つておるかも知れませんが、根本的に日本の現状はそういうように違うのなら、そこの根本を
一つ、恩給制度を御研究になるといいと思うのですが、恩給の根本原則、恩給法の御研究をお願いいたしておきたいと
考えております。それで今御研究の根本
方針は、いわゆるマイヤースの
勧告などが基本的なベースにな
つているのかどうかということをお伺いいたしておきたいと思います。