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カニエ邦彦君 それで、ただね。あなたそういうようなことを奥さんがやり繰りして、まあ、そりや、父さん、行けますよと言われて、ここへ来てぺらぺらしやべ
つているように思うのだが、実際はそれで、そのあなたがやね。実際行けると言うのならば、十一人で一体この漬物ばかり食
つているわけに行くまい。それでめしを一人前平均にして大体何杯ぐらい食うか。それから漬物だ。漬物をどのくらい食うか。それから一週間にいわしは一尾ぐらい食うているか。大体肉はもう全然、それならば食えるか食えんか、一週間に一遍肉は食えるか食えんか。そうや
つて一体その考えで行つたら、東京都でですよ。あなたが言われるように、この
人事院の
勧告している十八歳青年男子の体力を維持するのに八十六円三十四銭四厘で行けるかどうか。現在ね。そりやただあなたは行けると言われるけれ
ども、行けるというから、僕は行けるなら一体一週間で幾ら、一週間分を献立を言うて見い。併しそれは言えないとあなたは言うんだ。言えないはずなんだ、ただうちで奥さんが、お父さん、行けますよ。始末すれば行けますよ、贅沢はできませんけれ
ども、始末すれば行けますよ。ああそうかということでここへ来て、しやべ
つておられるとしか僕には思われんのですよ、現実に。会館に僕は泊
つておるのですよ。而も光熱費はただですよ。毎日僕は自分で米を炊いて、それから下へ下りて行
つて野菜、肉を買うて来て毎日始末して食
つて見て、八十何円では行けないんだ。勿論会館の、議会の真中は高いのか知らんけれ
ども、とにかく行けないんですよ。だからそれで積算して、作り上げて
人事院勧告を下廻
つて、それで
政府はこれでよろしい、そういうような理窟は、私はどこへ行
つても成立たんのじやないかと思うのですね。私はだから、それはもう少し、なかなか官房副書と言えば忙がしい職で、そう帰
つておかずの詮索まではや
つていられんけれ
ども、併しそれをよく聞いて、大体自分が何を食
つておるか、一週間何を食
つておるか。それからまああなたがたは恐らく弁当持で来ておられるわけじやないでしよう。ここの食堂で食
つておるか、どこかで食
つておるのでしようが、それにした
つて勿論あなたがた八十円や百円じや行きませんよ。併し家におる十八歳青年男子がそれで行けるかというと、これは行けないと思うのです、現実には。それは今言われるようにめしとそうして味噌とそれから漬物と塩と、これだけ食
つておれば行けるでしようよ。併し行ける、行けんと言うことは、これはまあそういうものであれば行けますが、普通の人間並みに食うとなると、なかなか実際問題として行けないんじやないか。そこで私の言うのは、
公務員の
給与はそれじや
人事院の
勧告でもなお行けんのに、なお更
政府がこれ以下にちびつたら食えんじやないか。それは食えますよ。食えるは食えるけれ
ども、統制のときのように買いに行くと言つた
つて、魚もろくなものはない。そうして贅沢のもの買うと言うた
つて配給ではない、というときにはいいですよ。ところがこの頃のように買いに行けばずらつと何でも市場に並んでおるんですよ。そうすれば、
公務員だけが、ああ食いたいな、買いたいな、眺めるだけで塩と味噌とめしで眠
つているというわけには、
ちよつと私はいかないんじやないかと思う。実際問題として。だからそういうような結果が、もうまるで鼻持ちのならんような、この頃の役人と言えば、全部じやないんですが、大概もう悪いことをせねば損だ、取るものを取らなければ損だというようなことに
なつちや
つたのですね。だからその点はよほどやはり
政府としても考えなければ、あらゆる面において、
国家公務員の
給与を増したからインフレになるとかいうような、今日のいわゆる経済規模の上に立
つて、
国家公務員の
給与を
ちよつぴりばかり殖やした
つて、インフレの要素になると私は思わないですよ。問題じやない。そこへ以て来て、このくらいの財源は、財源にしても、それから何にいたしましても、やろうと思えば
政府はやれるのですよ。やろうと思えば……。やらないところに問題がある。やろうとしないところに問題がある。だから
一つのそれはあなたに一問一答式でここでつべこべ聞いて見たところで、苦しまぎれな
答弁するだけで、何にもならないから私は聞きませんけれ
ども、よほどそれは考え直して、やはり少くとも
国家公務員が自分の職務と責任を完全に果し、そうして社会的にも体面を保てるような
給与にしなければならない。あなたがたは、今はどうか知らんが、昔の局長、本省の局長ぐらいになれば女中の一人ぐらい置けたのですよ。子供や何かはやはり教育は五人あ
つても、上の子は大学ぐらいはやれたのですね。今日では一体、古参の局長、課長の
給与で女中を置いたり書生を置いたり、或いは又子供の五人もあ
つて完全に教育してやるということはできないのですね。現実に恐らくできないと思うのです。だから悪いことをするのですよ。だからそういう点をよほど
政府としては……。だから何にもこの
給与が私は……これで
人事院の
勧告で多いとか上廻
つてどうとかというようなことをあなたがたが言うが、
政府はそういう点に慎重な
考慮をやはり払
つて、何はともあれ、国の重要行政を司
つているのですから、安んじて働けるような
給与をやはり上げるようにしなければならん。それに一体これで食えるとか、いや私のところは十一人でありまして家内が八十何円で食えますとかそんなことは言いなさんな。それはよほど考えておやりなさい。