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1952-12-15 第15回国会 参議院 人事委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十五日(月曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員千葉信君辞任につき、その補 欠として、木下源吾君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     門田 定藏君    理事            カニエ邦彦君    委員            北村 一男君            木下 源吾君            高田なほ子君            紅露 みつ君   委員外議員            千葉  信君   政府委員    内閣官房長官 菅野 義丸君    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室長事    務代理)    久田 富治君    人  事  官 入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付) ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは只今より委員会を開催いたします。  本日の議題は、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案であります。  先ず特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につき大蔵政務次官から提案理由説明を願います。
  3. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  特別職職員給与については、従来一般職職員給与との権衡考慮いたしまして、その職務と責任に応じて定められていたのでありますが、今般人事院勧告に基き一般職職員給与改訂等がなされることとなりましたので、特別職職員につきましても一般職職員と同様にその給与改訂すると共に、期末手当及び勤勉手当の制度を設けることとし、特別職職員給与に関する法律に所要の改正を加えようとするものでございます。  次に改正の要点を簡単に御説明申し上げます。  第一に 内閣総理大臣等給与につきましては、一般職職員給与改訂権衡を図り俸給月額を現行の二割五分乃至三割七分程度増額することといたしました  第二に、従来単独法によつて定められていた年末手当及び臨時手当を、一般職職員給与に関する法律と同様、この法律にとり入れ、内閣総理大臣等には期末手当を、秘書官、侍従等には期末手当及び勤勉手当を支給することといたしました。  第三に、日本学術会議会員等給与は、現在日額二千二百円の範囲内において手当が支給されているのでありますが、これも一般職非常勤職員である委員、顧問、参与等と同様、日額三千円に改めることといたしました。  なお、右の外その他若干の規定の整備を行なつたのであります。何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 門田定藏

    委員長門田定藏君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 速記を始めて。  それでは委員外議員千葉信君から発言の要求がありますから、これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 御異議ないものと認めます。
  7. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 官房長官か副長官御出席なさらないのですか。
  8. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 只今両方共会議を開いておりまして、ちよつと席が外せんそうでありますから、お待ちを願えればですけれども……。
  9. 千葉信

    委員外議員千葉信君) ちよつと速記をとめて下さい。
  10. 門田定藏

    委員長門田定藏君) ちよつと速記をとめて。    午後一時五十八分速記中止    ——————————    午後二時十七分速記開始
  11. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 速記を始めて。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に関し御質問を願います。
  12. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 菅野さんにお尋ねしますが、この前お尋ねしておきました本年五月現在の平均給与はわかりますか。
  13. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 先般の当委員会でお尋ねになりました数字をお答え申上げます。本年の五月一日の実績を申上げますると、国家公務員平均給与は一万五百二十二円になります。その内訳を申しますると、俸給が八千百十三円、扶養手当が八百九十三円、勤務地手当が千百八十円、それに特殊勤務手当三百三十六円が入りまして、合計一万五百二十二円、こういう数字になつております。
  14. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そうしますと、人事院勧告が本年五月一日現在で切替えられるといたしますと、これは一万五百二十二円から、人事院勧告金額切替えられるという計算になるわけですか。そういたしますと、政府提案して参りました原案によりますと、実施は十一月一日からに延期されて、それだけ公務員にとつて不利益を招いているという条件と、それからもう一つは五月一日に人事院勧告通り切替えられた場合と、政府原案による切替差額というものは、これは八百八十七円、公務員諸君切替のときに実際上不利益をこうむる、こういう計算になるわけですね。
  15. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お話のように人事院勧告は一万三千五百十五円の平均給を五月に遡つて支給すべきであるという趣旨でございまするので、只今申上げました平均給を一万三千五百十五円から引いて見ますると、丁度二千九百九十三円、約三千円、五月においてべースアツプをすべきであるという数字になります。政府の案は今回一万二千八百二十円にしてございまするが、現在の十一月の平均給は、一万七百十四円という数字であることは先般お答え申上げた通りでございますので、その差額は二千百六円であります。それで十一月現在におきまして一万三千五百十五円、人事院勧告平均給政府の一万二千八百二十円の差額は、僅か七百円ばかりのものでございまするので、実施期関係を入れますと、只今申上げたような数字になると思います。
  16. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そうしますと、御答弁なされた数字の点から言いましても、先ほど私が申上げたように、人事院案とそれから政府案との開きは、実施が遅れたということ以外に、実際上八百八十七円の開き勧告人事院案の中にはあるという結論になるわけですね。
  17. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) ちよつと迂闊でございましたが、八百八十七円という数字計算方法をよく聞きとれなかつたのですが、もう一回……。
  18. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それはこういう計算になるわけです。人事院勧告金額では一万三千五百十五円という金額ですし、政府原案は一万二千八百二十円という計算になるわけです。この差額が六百九十五円ということに相成るわけです。ところが人事院の言う一万三千五百十五円というのは、本年五月一日現在で切替えられた場合の切替額でございまして、その当時の公務員の実際の平均給与只今お話通り政府の御説明でも一万五百二十二円ということになるわけですから、従つて五月から十一月一日までの間に百九十二円という給与額自然増嵩があつたわけです。そういたしますと、これは一万三千五百十五円と政府案の一万二千八百二十円というものの差額六百九十五円と、それから五月から十一月一日までの給与上昇額がこれ又公務員不利益を招いた数字として六百九十五円に加算されなければならない。そうなりますと、それを加算すれば、金額の上では表面上は六百九十五円であるけれども、実際上公務員不利益を招いた金額はそのほかに更に百九十二円というものがある。そうなると、この合計額が八百八十七円と、こういう計算になるわけですから、計算上はつきりこういう数字になるわけです。
  19. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 百九十二円というのは本年五月から十一月までに至る間に昇給その他で以つて平均給上つた数字でございますので、これは不利益になるということがちよつとわからないのでございますが。
  20. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それは五月に切換られて、一万三千五百十五円に切換られた場合でも、これはもう少し本俸なんか上りますから、それ以上に上昇したと思うのですが、併しこれは切換られなかつたために、単に百九十二円の平均給与上昇という形になつておるわけですから、従つて政府のほうで今度一万七百十四円に対して、これを切換えて一万二千八百二十円にしたといたしましても、公務員の実際上の給与は五月現在で政府が同じ給与増加額を以つてすれば、一万二千八百二十円にはならなかつたはずなんです。そういうことになりますね。
  21. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) そうです。
  22. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そういうことになりますと、厳密に一体公務員人事院勧告政府案との開きにおいて不利益をこうむつ金額というのは、勧告金額政府原案金額だけではなくて、そのほかに更に五月から十一月までの自然に上昇したその金額も加えて計算されなければならない、こういうことになるのじやないですか。
  23. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) そういうふうにもとれるのでございまするが、これはもう一つの見方は、五月に一万三千五百十五円になるべかりしものがならかつたのであるから、五月から十月までのその差額公務員の何といいますか、損失といいますか、貰うべきものが貰えなかつたと、こういうふうにもとられるわけでございまして、これはまあどういうふうに計算いたしますか、百九十二円というのは現実に職員給与として増加しておるのでございまするから、むしろこの五月に一万三千五百十五円にいたしましたと仮定して、その差額から百九十二円を引いたものがむしろ公務員のとるべかりし金でもつてとれなかつた金、こういうふうになるのじやないかというふうに思うのですが。
  24. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 非常にこれむずかしく考えられているようですが、非常に私に言わせれば、簡単な理窟だと思うのです。五月に切替られていれば、これは恐らく十一月までの間に本俸関係か何かから言つて百九十二円程度自然増加にはならないでもつて、これよりも金額が多くなつていたはずなんです。ところが切替られなかつたために百九十二円という自然上昇にとどまつたわけですから、従つてこの分はやはり表面人事院勧告政府案開きだけの金額公務員のこうむつ不利益ではなくて、実際上公務が五月から十一月までの間に上昇した金額というものは、これは公務員政府の今度の原案によつてこの数字計算して計上されなければ、人事院勧告案政府原案との厳密な金額比較は出て来ない、こういうことになると思うのです。
  25. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) どうもその辺がよく私わからないのでございますが、百九十二円というのは、成るほど人事院勧告を五月に遡つて採用しておれば、もう少し多い自然増加になつておるであろうと、これは全く仰せの通りでございますが、併し少いながらも現在ベースで、即ち一万六十二円のベースで百九十二円の増加を来たしておるのでございまするから、これは不利益とは私どうしても考えられないのですが、不利益と言いますか、人事院勧告との差とは考えられないで、むしろ人事院勧告を五月に採用したと仮定いたしまして、そのときにこの昇級その他で以てどのくらい平均給が十一月まで上るかということを計算しまして、それから百九十二円をとつた額が、これが政府案人事院勧告案との違いになる数字じやないか、こういうふうに思つております。百九十二円のそのものではないように思われます。
  26. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それではこういう聞き方をすれば簡単になると思うのですが政府のほうでは十一月に公務員給与を一万二千八百二十円に切替えようとしているわけであります。人事院勧告通りに一万三千五百十五円に本年の五月に切替えられていれば、そうすればこれは十一月現在一万三千五百十五円ではなかつたはずであります。つまり一万三千五百十五円の中に、実際の今の給与自然増加を来たしている百九十二円以上に自然増加を来していたはずなのであります。併しそれは一応この際はつきりとしない数字でありますから、その辺は一応計算しないといたしましても、一万三千五百十五円に百九十二円程度のものは必ず上昇していたに違いない。そういうことになるわけであります。そういたしますと、十一月現在における政府案による切替えによる公務員不利益というものは一万三千五百十五円と一万二千八百二十円だけの差額だけではなく、そのほかの百九十二円と、或いはそれ以上にあるものもあつたかも知れない。併しそれは入れなくて、明らかに百九十二円だけは不利益を蒙むつているということが言えるのです。従つてこれは政府案人事院勧告案との開きに対して、それに百九十二円だけプラスして公務員の実際の損害額として計上されなければならない。こういうことになると思うのでありますが、これは私ははつきりしていると思うのであります。
  27. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今の御質問でよくわかりました。誠にお説の通りでございます。つまり一万三千五百十五円を五月に実施しておれば、少くとも百九十二円以上、百九十二円プラスアルフアというものが当然十一月一日現在上つておらなければならん。それが一万三千五百十五円と今回の一万二千八百二十円の差にプラスした額が政府案勧告案の違いである。確かにお説の通りでありまして、そういう計算になると思います。
  28. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そうしますと、その金額最低限度が八百八十七円、これが政府案人事院勧告案との開き金額、これにプラスアルフアが必ずついていたということは御答弁によつてもわかりました。この辺は一応このくらいにして次に御質問申上げます。  その次には御承知のように、現在の情勢ではどうも米の消費者価格は上りそうな気配が濃厚であります。それから又ガス運賃値上りということも考えられなければならない問題ですが、政府は今度の原案をお作りになつたときに、この国民生活に影響する、特に公務員諸君生計費に影響する影一響率をどの程度にお考えになられたか。
  29. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 誠に御質問通りでございまして、人事院勧告には、今回の補正予算に出しておりますような米の消費者価格改訂、それから来年の一月から実施を予定されて、目下法律案を国会に出しておりまするところの鉄道運賃値上り、或いはその他地代、家賃であるとか、そういうふうな値上りは考えておりません。そこで政府は今回の給与改訂をいたしましたにつきましては、それを計算いたしましたところが、基準になりますところの二級三号のいわゆる理論生計費の中に約百円、正確に言いますと九十六、七円になりますか、それを加うべきであるという結論になつて参つたのでございます。そこで今回は二級三号のところは勧告は四千七百円になつておりますが、それに百円加えました四千八百円にいたしまして、それぞれそれを基準にして俸給表を作つておるような次第でございます。なおその百円の詳細につきましては、若し御質問があれば審議室長のほうからお答え申上げます。
  30. 千葉信

    委員外議員千葉信君) そういたしますと、政府としては今度の原案作成の場合に、当然予想される米価改訂ガス運賃引上げ等を勘案されて、人事院勧告にはなかつたけれども政府としては基準になつている二級三号の俸給額には特に百円というものを、そういう生計費の影響を考慮して加算したという御答弁でございますから、私はこれは全く政府としては御立派な方針だと思います。ただお話通り、そいう方法が講ぜられたということは、私も存じておりますけれども、若しガス運賃米価値上りというものを考慮して人事院勧告した二級三号に百円程度というものを加えなければならなかつたのですから、そういう考慮は単に二級三号だけの職員、若しくは一号から八号までの職員だけに対して、そういう必要があるということではなくして、それ以外の職員に対しても、それ以外の号俸に対しても、同様な考慮が当然とられなければ足りなかつたと思うのですが、その点はとられたのですか。
  31. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この点は、今回の給与改訂の特徴とも申すべきものは物価値上りをカバーするという程度給与改訂ではないのでございまして、これは実際C・P・I、C・P・S等を御覧になればわかりますが、昨年の十月、即ち現在の一万六十二円べースが実施されました昨年の十月を基準にして、本年の十一月一日のC・P・Iは、これを見ますると、僅かに一・五%の引上げになつているに過ぎません。C・P・Sのほうは八・三%上つているに過ぎないのであります。従いましてこの物価値上りというものをカバーするというならば、その程度給与改訂でいいのでございますが、一方民間給与のほうを見ますると、昨年の十月に比べますると、定期的な収入額は一八%、それから総収入額で見ますると二〇%余増加いたしております。そこで政府民間給与上つた率だけは、この際公務員給与も上げよう、こういうことを一応の標準にいたしたのでございます。これを厳格な意味で以て申上げますと、一万六十二円を基準にしまして、それに二〇%を上げればいいわけでございまするが、一応現在の平均給に対しまして二割の引上をいたしたのでございます。というわけは、勧告のほうは御承知通り、初めから理論生計費民間給与に全く同じようにすべきであるというのが、勧告の一貫した方針でございます。ところが昨年の十月におきましても、公務員民間給与との間には多少の開きがあつたのでございまして、今回勧告をそのまま入れますると、昨年の十月において開きがあつたのが、今回一挙に民間平均給与と同じになつてしまうわけでございまして、従いまして結論としては、民間給与増加の率以上に公務員給与増加する。こういう結果になるわけでございまして、結局昨年の十月に民間給与との開きがあつたよりか幾らか少い程度で、まだ民間給与との間に開きがある程度で、公務員のかたがたにも我慢して頂きたいというのが政府の案でございます。  以上のような次第でございますので、お話のように米価或いは運賃等値上りというものは、各級について考えなければならないのでございますが、これは一応通俗的な意味の、最低理論生計費のところには加えましたが、その他のところではまだ物価騰貴をカバーする以上の給与改善的な分子が相当程度含まれておりますので、それによつてつてもらつて、今回は我慢して頂く、こういうつもりで以て、別にその調整は加えなかつたような次第でございます。のみならず勧告に対して約一割以上も違うのでございまするから、当然理論生計費などのところも四千七百円よりも下廻るべき数字になるわけでございますが、それをむしろ勧告理論生計費よりも百円も上げておりますので、つまり下級のほうの給与勧告よりもよくなつております。又よくならないまでも、その差が非常に接近しております。従つてその差は上級のほうの俸給表調整を加えまして、上のほうでは勧告よりは非常に離れておりまして、それで以つて調整をいたしたのでございまして、いわば額といたしましては少いのでございまするが、下に厚く上に薄くというような方針で作つておるような次第でございます。
  32. 千葉信

    委員外議員千葉信君) まあ御答弁民間賃金の点にまで触れられたようですが、私が御質問申しているのは、一応政府として物価上昇程度を勘案して、下級公務員に対しては或る程度考慮を加えて、それが百円程度加算になつたのである、こういう御答弁ですが、私の質問は飽くまでもその範囲にとどまつて、それならば、なぜ単に下級公務員対してだけそういう措置をとつて、大多数の公務員諸君に対してはそれを著しく異なつやり方を今度とつたのか、私はこの点に極限してお尋ね申したわけでございまして、民間給与との比較理論の問題になりますと、これは又別の角度から……。私ども一応この問題はこの問題としてとり上げなければならないと思います。今政府民間給与ということをおつしやいましたけれども政府のとられている、政府の把握している民間給与水準自体に対しても、私は疑念を持つておりますし、又政府が一応の考慮対象とされた人事院勧告の中にある民間給与の捉え方も、私どもは疑義を持つておるのであります。御承知通り人事院民間給与の捉え方は、非常に弱小中小商工業者対象としているという点に一つの脆弱な、弱い点を、脆い点を持つていることははつきり言えるのでありまするが、この点はこの点として、私ども民間給与との開きの点については、又私どもは別な角度からとり上げる必要があると思います。まあ併しそれはそれとして、今お尋ね申上げている物価とそれから標準生計費関係、特に下級公務員上級公務員中級公務員等との給与関係から言いますと、こういう人事院勧告一つの正しい、正しいかどうかは別として、人事院一つの理念に立つて給与体系なり俸給表勧告を、政府のほうでは殊更下級職員に対して、物価値上り、米とかガス運賃値上りというものを考慮しながら、中級者上級者に対してその考慮を加えなかつたことは、私は非常に遺憾だと思うのです。殊に今度もそうですが、私ども曲解すれば、これは恐らく曲解とおつしやるかも知れないが、曲解するとすればいつでも問題になつている上下の格差というものを、倍率の開きを縮めるという考え方で、ほんの少しばかり下級公務員に対して給与を増額するというやり方をとられる場合が往々ある。而もこのたび政府の百円ずつ人事院勧告に対してプラスせられたために、そのために有利になつている、その利益を亨受している公務員諸君の数というものは、全体のたつた一万四千人にしか過ぎないのです。たつた一万四千人の公務員だけに対してこういうあめをしやぶらせておいて、而も実際上は非常に公務員の数も多いし、又実際上公務を運営する場合に、一番中堅的になつて働いている四級、五級、六級という諸君は、こういう政府の温い親心から除外されている。こうなりますと私どもは果して額面通り政府は温い親心をもつて人事院勧告に更に百円プラスしたのだということを、このままでは受取れないという気持にならざるを得ないのです。これは我々ばかりではない。公務員全体の諸君気持であると思う。こういう点で私は今度の人事院勧告されたものに対して、その給与体系、特に俸給表に対してまで、政府のほうが一方は引下げ、一方は引上げるという混乱したやり方をされたということを、むしろ百円ずつのプラスということ自体に対して、そういう意味から賛成できないという気持にならざるを得ない。これは後ほどゆつくりこういう問題について、その対象審議する場合になつたとき、俸給表審議する場合になつたとき、とり上げてみたいと思う。  そこで今日は一応総括的な質問ということであるので、次にお尋ねしたいことは……。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 千葉さん、それに関連して私にちよつと聞かせて頂きたい。百円の計算基礎というものを一遍聞かせて頂きたい。どういう親心か、今の質問に対してちよつと一つお願いいたします。
  34. 久田富治

    政府委員久田富治君) 只今の御質問に対しましてお答え申上げます。主食の値上り、これを金額にいたしまして二十三円とふんでおります。それから精米それから外米が五円というようになつております。これはどういう計算になつているかということは、数字を細かく申上げてみますると、精米値上りが九・七%、それからその精米生計費中に占める割合が四・四三%、それで生計費からのはね返りを概算いたしますと二十三円というようになつております。以下同様の計算でいたしましてガス値上りが十八円、それから旅客運賃値上りが十二円、地代家賃の値上りが七十八円、合計いたしまして百三十一円、こういう値上りになつているのであります。で、この百三十一円の値上りは、生計費つまり生計費の中で占める割合でございますが、これを勤務地手当を支給しない地域、これに換算いたしますれば、大体百円になりますので、従いましてまあ概算といたしまして百円というふうにしたのでございます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 一点ちよつと脇に落ちませんので、お尋ねいたしますが、主食の値上り二十三円というのですが、常識的にこれは考えてみますと、八十八円の内地米が一升九十六円五十銭に値上りになつているわけですね。外米は本当はどういうように値上つておりますか。そうすると、現在の配給は一ヵ月のうち十五日配給されるわけですか。そうすると、この二十三円というのはどうも計算が合つて来ないのですが、どういうことですか、これは。一升ですらすでに八十八円から九十六円五十銭というような十幾円の値上りを示しているのです。それにもかかわらず二十三円というのは、これはどうも腑に落ちないのですが。
  36. 久田富治

    政府委員久田富治君) これは標準生計費、独身男子のその実際の配給実績というものに基きました或る時点を抑えましたものでございますが、その時点、その期間につきましては確かではございません。私ちよつと忘れまして、あとで正確にこれを八月の配給実績でおさえましたか。その点あとで調べまして御報告を申上げますが、その或る期間だけの、精米の配給実績のあつたその期間の数を利用いたしまして二十三円と出たのでございます。ですからその或る時期に精米の配給実績が多ければ、例えば只今十五日という日数を御指摘なさいましたのでございますが、それが二十日となればもう少し多くなりますし、二十日でなくて、十日しか、三分の一しか精米が来なかつたとなれば、もう少し少くなるということから出ておるのでございます。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の御答弁はやはりかなり資料があやふやのように考ちえられますので、もうちよつと腑に落ちる資料を頂戴することを希望いたしまして終ります。
  38. 久田富治

    政府委員久田富治君) よくわかりました。早速調べさせて御報告申上げます。
  39. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それからその次にお尋ねしたいことは、政府が今度の原案人事院勧告を切下げて原案を出して参つたのでありまするが、その提案理由説明によりますと、財政の許す限度におきまして努めて人事院勧告を尊重する建前の下にと、こういうことであつたのです。まあ財政の許す限度を口実にしたということについては、一応これは毎回論議されておる点でありますから、それは一応それとしても、又今度も政府のほうでは建前を尊重したと言いながら、人事院勧告の建前も尊重していない部分があるのです。特に二つの点においては、例えば今問題になりました俸給表の増減の問題、これは御承知通り基準になつている二級三号の職員だけの場合に限らず、人事院が行つた第一回の国家公務員給与等実態調査を基準として、各々各級毎の家族構成人員等を十分検討して見ますると、その家族数に応ずる標準生計費においても、一応これは体系立てられているし、体系立てられた上に立つて人事院のほうから勧告がなされている。それを下級職員に対しては増額して、上級職員に対してはむしろ甚しく減額措置を行なつておると言わなければならん。それからもう一つの特徴は、どういう立場から考えて見ても、理論的にも又実際上からも管理者に対して超過勤務手当に該当するものを特別調整額という形で、人事院勧告自体にも明白にはない条件を取入れております。御承知通り管理者に対して超過勤務手当を支給することはいいか悪いか、正しいか正しくないかということは、相当論議があろうと思うのです。而も等しく本省の課長級というようなことに限定して考えて見ましても、実際上超過勤務に該当するような勤務をしておる人もおりまするけれども、事実上超過勤務に該当するような勤務を全然やつていないというような、非常に区々まちまちな現状です。そういう場合も、実際、実情に対して考慮を払うことなく、超過勤務の特別調整額というものを政府のほうでは今度出して来ております。これは人事院のほうではどういう説明をするか知りませんが、少くとも表面上は人事院勧告にも意見の具申にも、このことが明白に出ておりません。そういう点から申しますと、政府のほうで財政の理由に藉口して、人事院勧告を減額しておるばかりではなくて、又ぞろこういう給与の立て方、体系というようなものに対して、政府では政府独自の立場において、人事院の考えを修正しておるというやり方を今度も取つております。一体どうしてこういう二つの条件に対して政府のほうではこういう措置を取つたのか。そうして政府のほうでは人事院勧告を本当に尊重する気持を持つておるのか。そういう態度を貫こうとしておるのか、どうなのか。この点も合せて御答弁を承わりたいと思います。
  40. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) お答え申上げます。提案理由説明に申上げました人事院勧告を尊重し云々ということは、政府気持といたしましては嘘偽りのない、全く文字通りその気持でございます。今その理由を申上げますると、勧告は八月になされましたところの一万三千五百十五円のそれと、それから先般行われましたところの地域給の勧告、それからその後十一月の末になりまして、人事院給与改訂に関する意見が出ております。これも三つ合せて政府は尊重する態度に出たのでございますが、今御指摘の二点について申上げますると、ベース改正の点については、これは財政全般の考慮が最も強く働らくところでございまして、政府は本来ならば財政の点さえ許せば、勿論この人事院勧告を全面的に取入れるべきがこれが本筋でございまして、これを下廻る額を以て給与改訂原案を出すということは実に残念であるわけでございますが、併し現在の国の財政から申しますると、どうしてもこの程度で以て我慢して頂かなければならんような実情でございます。そういうような結論になりまして俸給表を作りますときに、人事院のカーブをそのままに、その差額だけの率を間隔を放して引いたならば、非常に妙なことになつて来るのでございまして、勿論上下の差は十一・六、勧告通りでございますが、下級公務員のほうは理論生計費にも及ばないというようなことになりまするので、これはなんとしても不合理でございまするので、理論生計費のところは、つまり基準になるところは先ほども申上げましたように、百円の増額を新たに加えて調整をし、上級のほうからそれを補つておるような形にいたしたのでございます。従いましてそのまま人事院勧告を採用すれば、勿論問題はないのでございますが、それより下廻る数字で以て原案を作ると、どうしても政府案のような形にならざるを得ないということになるのでございまして、御了承を願いたいと思うのでございます。  それから第二の点の特別調整額の点につきましては、只今意見の申出の中にもないようにお話があつたのでございますが、十一月の二十七日でございましたか、人事院から出て来ました今回の法律改正に対する意見の中にははつきり出ております。政府給与改訂につきましては、専門に研究をし又実施の任に当つておりまするところの人事院の意見は、これは全面的に尊重する建前をとりまして、何か新らしいことをしようとか、或いはこういう点について自分のほうで何か決定をしようというようなときには、常に人事院の意見も聞いておるのでございますが、今回は人事院の意見書にはつきり出ておりまして、結局人事院の意見と政府と違いますところは、ベース改正の額と実施期日だけの違いで、その他は全部地域給にいたしましても、その他の新らしい制度にいたしましても、全部人事院の言う通りでございます。この点ははつきり申上げておくわけでございまして、財政に関係のあるところだけは遺憾ながらその通りにはならなかつたのでございますが、その他の点につきましては、或いは又地域給の財政に影響すると言いましても、比較的少額のものにつきましては、全面的に人事院勧告を尊重いたしたような次第でございます。
  41. 千葉信

    委員外議員千葉信君) この特別調整額の問題については、これは人事院に対しても併せて御質問申上げながら、これから私どものほうとしても承服できるまでお話を承らなければならないと思います。ただ今御答弁のありました中で、標準生計費等の関係から、二級三号の職員等に対して増額処置を講じたということを言つておられますが、これは菅野さんも御承知だと思うのですが、今度の勧告の基底になつている人事院勧告案の考え方の中には、例えば二十一号、五級七号の職員は二人家族だという考え方に立つておられます。それから二十八号の六級七号の職員は三人家族で平均年齢は大体三十歳が基準になつておる。こういう考え方になつております。同じく三十一号の七級の四号は四人家族で年齢は三十三歳、三十三号の五人家族の職員は年齢が三十七歳でこれは八級の一号です。こういう職員の家族構成になつているという考え方、これは御承知通り国家公務員等の給与の実態調査の中から出て参つた大体のはつきりした基準でございます。そういうものの上に立つて考えられている勧告標準生計費金額というものが、勿論これは二級三号の職員は四千七百円という形で考えられておりますけれども、併し二十一号の二人家族の職員に対して八千五百九十円という標準生計費に立つて勧告は出されております。それから又二十八号の標準生計費は一万一千四百六十五円、三十一号は一万二千九百円、三十三号は一万三千七百九十五円、こういう考えの上に、こういう標準生計費の上に立つて人事院俸給表なり、それから又地域給の問題等を考え併せて勧告をされておる。ところがこれらの号俸に対する政府案を見ますると、地域給の額を加算しても、なおこの標準生活費に達しないというのが今度の政府案なんです。これは若し数字の要求があれば、その数字はいつでも私はここで明らかにできる用意を持つておりますが、こういう点に対しては、二級三号だけは標準生計費のことを考慮して増額したなんということを、幾ら政府のほうで言われても、それ以外の大多数の公務員諸君に対する考慮が全然払われず、逆に切下げられておる。こういうことになりますと、標準生計費を盾にとられる只今の御答弁は、私どもは二級三号若しくは一号乃至八号俸以外の点については、政府はそういう言葉を口にする資格はないと思う。以上に対して政府はどうお考えでありますか。
  42. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 勧告案俸給表の作りかたにつきましては、私ども理論生計費と言いますか、標準生計費計算にして出したのは二級三号だけでございまして、その他の各級ごとの俸給は御承知のように人事院民間給与の実績調査をやりまして、それによつて相応した職務と責任があるものの給与に合せた、こういうふうに私は聞いているのでございますが、従いましてぎりぎり一ぱいの理論生計費というのは二級三号のところであつて、その他は民間給与に合わしたと、こういうふうに聞いているわけであります。
  43. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 民間給与に合わしたとおつしやつても、その民間給与の把握のしかた自体が、人事院人事院なりに違つた水準で捉えているし、政府政府で又異つた水準で捉えているし、そこには非常に問題があると思うのです。併しそれはそれとしても、今の御答弁では単に二級三号を、一応これは例えば政府給与等を決定される場合の一つ基準として捉えられておりまするけれども、併しその二級三号が基準として取上げられるためには、それ以外の号俸に対しても同様な考慮が払われているという基準の上に立つてでなければ、二級三号だけを基準であるからと言つて、この点だけに考慮を加えたのでは私は何にもならないと思います。こういう点まで細かくなりますと、これは政府案を検討すれば、検討するほどいろいろな角度から矛盾が出て来るのです。併しこの問題については一応私は今日はこのくらいにして、この次に逐条審議に入つた際に、明細にこういう点については御答弁を願いたいと思います。
  44. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の千葉先生の御質問ちよつと関連して一点聞かしてもらいたいと思います。  標準生計費に合わせたのは二級三号で、あとは職務と責任に、それらのものを勘案して考えてと、こういうようなお話でありまするが、私お伺いしたいのは、そういう理窟も一応成立つと思うのですが、然らばこの人事院の十八歳の給与額数字で言うと五千三百七十円になつておりますね。十八歳独身の五千三百七十円、この内訳は申上げるまでもないと思うのですが、食糧費二千六百三十円、衣料費が六百三十円、光熱費が三百三十円、住居費四百八十円、雑費千三百円と、こういうまあ常識では考えられないような数字が、これが人事院勧告の十八歳独身者の数字のように考えているのですが、飽くまでこの人事院勧告を尊重して標準生計費に合せて組まれたというようなお話でありますが、然らばこの十八歳独身者の人事院勧告五千三百七十円のこの内容を、政府はどういうふうに把握して、そういう数字を出してこれを組まれて行かれたか、誠にお手数でございますが、具体的に数字を上げて、その点だけ御説明頂きたいと思います。
  45. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 勧告に載つておりまするところの二級三号の標準生計費を出すために、勤務地手当の付いておる東京におきまして、五千三百七十円という数字が出ておりまして、それに対してそれぞれ内訳が書いてございます。これにつきましては、詳細な人事院のほうから資料も出ておりまして、この計算の根拠も出ておるのでございまするが、詳しいことは人事院のほうからお聞き取り願えれば、まあ非常に結構だと思いますが、政府といたしましては、かねがねこういう種類の数字であるとか、或いは民間の実績調査による数字であるとか、そういうようなものは、何と言いましても人事院の組織と、それから科学的の調査方法が、現在の政府機関の中では最も完備したものであるというような見地から、又かねがね人事院の意見については、政府は手先の修正をすべきじやないというような当院のいろいろなお話もございまして、政府のほうとしては成るべくこの数字をそのまま尊重する建前をとつております。従いましてあの細かい点については、私共も御説明申上げるまでに至つておりませんが、この五千三百七十円に対しまして、先ほど政府委員のほうからお答え申上げましたように、百三十六円というものを加えまして、これをその勤務地手当を付けない場合に換算いたしましたのが四千八百円という数字になるわけであります。なお詳しい資料に対します説明は、人事院からのほうが適当ではないかと考える次第であります。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと人事院のほうになつたのですが、政府はその人事院勧告を飽くまで尊重するというのですから私は伺つたのです。  第二点、ちよつと先ほどのやはり御質問に関連してお伺いしたいのですが、民間賃金ということを大変言われまして、私もこの民間賃金というものについてのお考え方については、一応敬意を表するのでありますが、計数的に言うと、民間賃金でも、何ですね。二十六年度、二十七年度の比較を見ますと、約一六%の値上り数字で言うと、二十六年度が一万九百三十三円、二十七年度が一万二千七百二十二円というように、一六%の値上り民間賃金の平均指数の中に出ておるようでありますけれども政府はこの値上り一六%という数字を、これは全然いじられなかつたのでしようか、どうなんでしようか。
  47. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 民間給与の調査は人事院がいたしたのでございまして、その民間給与の調査をいたします場合におきましては、大体一職場に百人以上ぐらいの人を使つておるところを調べたのでございまして、先ほど千葉委員から、非常に小企業が多いというお話がございましたけれども国家公務員比較する場合でございまするから、割合に大企業が多いわけでございます。これは尤も見方によりまして、小さ過ぎるという観点もあると思いますが……。そうしてその民間給与の実際の額に合わせて、これは平均額でございますが、その実際の民間給与に合わせて公務員給与をきめべきであるというのが勧告でございます。政府はそこまではとても行かないから、民間給与値上りをした程度までは公務員給与を値上をすべきであるという建前をとつたのでございます。それで只今値上の率のお話がございましたが、昨年の十月、即ち現在の給与ベースがきまりました昨年の十月から本年の十一月ごろまでの推移を見ますると、民間給与のうち、定期にもらつております給与、これが一八%価上りをしております。それからそのほか賞与であるとか、そういつたような定期的でないものの全給与を考えますると、二一%ぐらいの値上りになつております。そこで政府はその民間給与値上りまでは、少くとも公務員給与を値上をしたいと、こう考えまして、十一月の現在の平均給に対しまして二〇%の値上をすると、こういうことをきめたのでございます。従いまして、人事院勧告は、額において公務員給与を一致させるというのが本旨でございますが、政府のほうは民間給与の額までは行かないけれども民間給与が上つたくらいの上り方は国家公務員にやりたい、こういう趣旨でございます。これはなぜ一致しないかと言いますると、昨年の十月に一万六十二円ベースをきめたときに、すでに民間給与公務員給与とは若干の差がございます。従いまして今回もそれに近い差が民間給与とある。これならば国民も御承認、了解して頂けるだろう、こういうふうに考えまして、その程度の値上にいたしたような次第でございます。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 よく御説明はわかりましたが、実際においては、公務員は去年の十月からもうストツプしているわけですからね。理窟から、数字から言えば、成るほど一八%から二一%くらい、少しは動かして考えられたと言うが、実際においては公務員はもう去年十月からストツプしているわけですから、あなたのおつしやるようには、うまくは上つておらんということになるのじやないでしようか。どうなんですか。
  49. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) このべースという観念が、非常にあいまいな観念でございまして、御承知通り、或る一定の時期の平均給を言うに過ぎないのでございます。昨年の十月に、国会の御承認を得ました法律による一万六十二円ベースというのは、その当時のその職員に当てはめれば、丁度平均給が一万六十二円になるということでございまして、現在におきましては、昇給であるとか、昇格、その他によりまして、この平均給というものはどんどん上つてつておるのでございまして、十一月一日におきましては、一万七百十四円というような数字になつております。決して一万六十二円で以てストツプしておるわけではないのでございまして、昇給等はあるのでございます。従いまして最も理論的に申しますると、一万六十二円に対して二〇%の値上りをすればいいわけでございまするが、それでは途中でもつて値上りをした民間給与の均衡が如何かと思われますので、現在の平均給一万七百十四円に対して二〇%の値上をして、その点をカバーしたようなわけでございまして、実際におきましては公務員平均給与というのはどんどん上つておるような次第でございます。
  50. 高田なほ子

    高田なほ子君 どんどん上つているという実感をどういうふうに把握していらつしやいますか。私どもは甚だそのどんどん上つているということについては疑問を持つている。例えば神奈川県あたりの地方公務員あたりは、昇給、昇格なんていうのは半分くらいしかしていない。あとは全部ストツプしている。こういうふうなわけですね。あなたのほうはどんどん上つているというふうにおつしやると、実情とよほど違つているわけですが、もう私、質問はこれで打切りますが、その実態の把握の仕方をどういうふうにしていらつしやるのですか。一応実情だけを聞かせて頂きたい。
  51. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 仰せのごとくなかなか上り方が少いので、先ほど千葉委員からも叱られたところでございますが、ただこの昇給は法律にも書いてありますように、俸給間差の額によりまして、年限がきまつております。この程度の昇給は、これは予算的にも見ておりまして、国家公務員のほうにおきましては、法律にきめられた昇給は、特別の事由のない限りはやるようにいたしております。勿論この平均給の上るというのは、昇給ばかりではないのでございまして、例えば新らしい人を取りますというと、だんだんとこの平均給が下るような傾向があります。又昇給はどんどんやりましても、古い人が辞めて、新らしい人が入りますと、全体の平均給というものは下つて参ります。従つてこの七百幾らという金が全部これは昇給であるか、如何かということは、或いはこれ以上になつているかも知れませんし、又これ以下であることもあり得るのであります。まあそんなようなわけでございます。地方公務員のことはよくわかりませんが、国家公務員におきましては、大体法律にきめてありまする期間では、特別の理由のない限りは昇給できるように常々心がけておるような次第でございます。
  52. 千葉信

    委員外議員千葉信君) ちよつとさつきお尋ねをすることを失念いたしましたから、お尋ねしたいのですが、政府のほうでは、いろいろ新聞報道なんかによりますと、年末手当は大体一ヵ月分という、そういう考え方だつたようですが、これは恐らく政府のほうとしては、現行法律で年末手当を五割出して、あとは勤勉手当を五割出すからと、まあそういうおつもりだつたろうと思うのですけれども、ただこの際にそういうやり方をされて問題になりますことは、年末手当は現行法律で今日支給されるのですね。そうして勤勉手当は今度の新らしい法律が、法律改正が行われてから、勤勉手当が〇・五ヵ月分出る、こういうふうに了解していいのですね。
  53. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) さようでございます。年末手当は現行法で、本日、十二月十五日附で以つて出しますが、勤勉手当のほうは、この法律通りませんと、出す根拠がございませんので、この法律の通過と、それから補正予算通りました上で出したいと、かように考えております。
  54. 千葉信

    委員外議員千葉信君) その場合に、勤勉手当の支給は、十二月十五日に在職する職員ということになつて法律の施行が公布の日からということになつていますが、この点はどういうふうに……。
  55. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この点は附則で以て語つておるつもりでございまして、若しこの法律が十五日までに通らない場合のことを考えまして、十二月十五日とあるのはこの法律が施行後五日以内というふうに読替えるような次第であります。
  56. 千葉信

    委員外議員千葉信君) それはそれで結構ですが、大体問題になりますことは年末手当は今の給与水準で、現行法で〇・五ヵ月分出るわけですが、勤勉手当は仮に実際上〇・五ヵ月分出るというようになりましても、これでは新らしい改正された給与の、十一月一日から改正された給与の一ヵ月分ということにはならないわけですね。
  57. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) この点はこの法律通りますると、給与改訂が十一月一日に遡つて適用になるわけでございますが、現行法でも十二月十五日に在勤するものに対しましてそのときの俸給なり勤務地手当なり扶養手当の何分ということになつておりますので、追給ができると思います。
  58. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 人事院勧告をまあ完全実施ができないということは、政府は財源が許さないからと、こういうことですが、財源が許せば人事院勧告までは実施するというのか、或いは人事院勧告では政府としてはまだ給与が低いとこういう考えをしておるのか、その点はどうなんでしようか。
  59. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) かねがね人事院勧告は、これは上にも下にもしないで尊重しろというのが当委員会の御意見のように伺つておるのでございまして、政府は差当り、たとえ財源が許し、その他の点を考慮してこれが可能で、これを全部採用することが可能であるといたしましても、これ以上の給与を組むという資料を整え、或いは説明をするだけの機構なり或いは調査をいたしておりませんのでございますから、最高が勧告の額であるとこういうふうに考えております。
  60. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、人事院のこの勧告を最高の額としておると、それまでは財源が許せばこれはでき得る限りこの分は実施をしたいと、こういうことだと、こういうことでいいのですね。
  61. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) ちよつとこれは言葉の足を掴まえて誠に恐縮でございますが、財源とばかりは言えないのでありまして、財政一般、その他の点を考慮してと、こう申上げておるつもりでございます。財源のみではないのでございますから……。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじやちよつと今疑問になつて来ましたから……、政府案はもうこれは完全実施できるということになりますね。あなたの御答弁をひつくり返すと……。そうですね。人事院勧告は財源がないから実施できないのだ、それなら何が実施できるのですか。
  63. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 人事院勧告通り実施は、これは財政その他各般の点を考慮しまして、困難でございまするが、それより下廻つておりまするところのこの法律にいう給与改訂は、これは完全に実施するつもりでございます。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、ちよつと私よくわからないのですが、まあ一つ教えてもらいたいですが、今度の給与の基本給の二割引上げですね。それから年末手当〇・五ヵ月の増額、こういうことでしよう。こういう給与改訂に伴う関係経費は、実際においては相当額に上るものを、自治庁あたりの推算によると、非常に実際の経費とは差額ができて来ておるように、私聞いておるのですが、なぜそういう差額が出て来ておるか。而も承わるところによると、相当多額の差が出て来ておるということのために、大分いろいろ論議がされておるのを聞いておるのですが、ここら辺の経緯をちよつと数字を挙げて話してもらいたいと思うのですが、私もよくこの点わかりませんので……。
  65. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今の御質問は多分こういうことだと思います。国家公務員、本日議題になつておりますのは政府一般職職員給与に関する法律でございまして、国家公務員につきましては、勿論政府といたしまして、この法律改正は完全に実施し得る予算的な措置、その他を準備いたしておるわけでございますが、只今の御質問は恐らく地方公務員給与に対して財源不足額を平衡交付金で補つておりますが、その平衡交付金の割当をするときに、実際に地方公務員給与の改善をカバーするだけの金が行つておらない。こういう点はどういうわけであるか、こういう御質問であろうと思うのでございますが、その点につきましては、これは二十六年度の補正予算と二十七年度の予算を編成いたしますときに、地方公務員給与を、大蔵省、文部省或いは地方自治庁等が共同して実績調査をいたしたのでございます。その結果、これは勿論全部の地方公務員ではないのでございまして、標準になる府県の各地方公務員について抽出して検査をしたのでございまするが、その結果によりますると、例えば都道府県の一般職員は三百四十八円、教員は三百四十九円、それから市の一般職員は九百九十二円、それから警察職員は七百三十四円、こういうように同じような経歴の、同じような仕事をしておる国家公務員に対して割高になつておるということがわかつたのであります。そもそもこの地方公務員給与というのは、国家公務員給与に準じて各地方公共団体がきめることになつておりまするが、その比較をしますと、こういうふうに地方公務員のほうが高いという実際の数字が出ておりまするので、政府が平衡交付金を計算する場合におきまして、これだけの数字を差引いた額で以て計算をして平衡交付金を交付しておるのでございます。従いまして若し平衡交付金で給与金の改善を行おうとするならば、これだけ低い額で以て給与の改善をしなければならないということになるわけでございますが、そこまでは、政府のほうで以てとやかく言うのではないのでございまして、これはもともと地方公共団体に任されておることでございますので、これをどうしろ、こうしろというのではなく、その財源不足額を補填する平衡交付金を計算する上において、割高になつておるという事実を認めまして調整を加えておる。こういうわけでございます。
  66. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 実は質問はもう済んでいたのですが、今給与の専門家で専門的に研究されておる菅野さんからの御答弁としては、誠に受取り難い御答弁がありましたので、ちよつと菅野さんに聞いてみたいのですが、これはまあ例えば自治庁のかたがただとか、実際の公務員給与の問題だとか、或いは俸給額の問題なんかを、何と言いますか、或る程度観念的に考えておる人たち、それから又実際に深くこの問題を掘下げて考えておられないかたがたの御答弁でございましたら、私はあえて意に介する必要もないと思うのでございます。相手が菅野長官ですから、私はこの点はどうしても聞いてみなければならないことになつちやつたのです。一体平均給与額なんというものの場合に、今もお話がありましたように、地方公務員の場合には三百四十八円高いとか、或いは教職員の場合には三百四十九円高いなどということを言われて、それから平衡交付金の交付額、或いは地方起債額の問題が今大きな問題になつているようですが、一体菅野さんはそういうふうに教職員諸君が三百四十九円高いとか、地方公務員が三百四十八円高いというそういうこと自体は、むしろそういうふうに平均給与というものは違うというのが当り前で、同じだということはおかしいのじやないかと思うのですが、菅野さん、この点どう考えますか。
  67. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) これは私、国家公務員給与についてはかなり勉強したのでありますが、地方公務員のことはどうも私よくわからないのでございまして、大蔵省等で調べたことをそのまま信用するのでございますが、この自治庁、文部省、大蔵省が共同して調査いたしましたときのことを私が聞いておりますところによりますと、人員構成ということによつてこれは平均給が変るというのは、これは当然のことでございますが、その点の調整をいたしまして、決して簡単な算術平均的なものではなく、一定の経歴、年齢、家族の数というようなものをとりまして、それから仕事の種類、そして比較をいたしましたように聞いております。従いましてこの各地方公共団体の本当の全体の算術平均をとりますと、これはもう各地方によつて違いがあるのは当然でございますが、そういう非難を受けないように心がけて調査をいたしたというふうに聞いておるのでございます。ただ実際の私調査をいたしたものでないものでありますから、若し何でしたらば、大蔵省のほうからでも後日詳細に説明を願いまして……。
  68. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 問題は今言うように人事院勧告ですね。勧告政府としてはそれで満点だ、満点だということは、人事院勧告で現在の国家公務員給与はそれでいいんだという考えなのか。とにかくそれでは十分ではないが、いろいろ諸般の事情でやむを得ないんだと、こういうことなのか。その点はどつちなんです。
  69. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 御承知のように人事院勧告は先ほどからしばしばお答え申上げておりますように、国家公務員の年齢或いは仕事の種類、責任の程度というようなものと、民間の企業の同じような条件を具備している人たちの給与とを比べまして、それと同じものにしたのであつて、これは少くとも国民も皆承知してくれるであろうという考えかたからやつておるのでございまして、若しこれを民間給与の平均の額より以上に公務員給与をやるとしたならば、これは税金を払つておりますところの国民も恐らく納得しないのじやないかとも思われるのでございます。従いまして、政府といたしましては、人事院勧告数字というのは、これは本当にあるべき姿、或いは望ましい額でございますが、農村、農民の生活状態を見ますにつけましても、又本日本会議でもつて問題になりましたような中小企業の人たちの生活を見るにつけましても、又今日の甚だ豊かでない国家財政の現状、殊にこの給与改訂ということがほかに及ぼす影響、例えば郵便、電信、電話、鉄道運賃の値上げというようなこと、いろいろのことを考えてみまして、やはり政府案ぐらいの値上げで以て暫らく公務員諸君にも我慢してもらうのが妥当ではないかと、こういうふうに考えておる次第でございまして、只今の御質問勧告案以上にやるべきかどうかということは考えておらないような次第でございます。
  70. 高田なほ子

    高田なほ子君 私も、誠にあなたの御答弁も苦しいと思うのですが、そりやもうちつと何とかいい御答弁が欲しいのですがね。この人事院の十八歳独身者一日の生計費が平均して八十六円三十二銭でしよう。八十六円三十二銭で食べて行けるか行けないかということは、やはり政府のかたもお考えになつて民間がこうだからああだからというようではなくて、もう少し食べられる給与を支給してやらなければならんといつたような、もつと幅のある御答弁が頂きたいと思うのですがね。それは言えないですか。
  71. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 多少私事に亘つて非常に恐縮でありますが、八十六円何がしで以て実際にやれるかどうかということを私は実は家庭で以て調べたのでございます。私は大学生の十九歳の人を田舎から預つておりまして、その人の食費を丹念に調べてみたのでございますが、私のところは家族が非常に多いものでございますから、割安になつているかも知れませんが、八十六円何がしで以てやれないことはない。尤も私のうちが非常に粗食でありまするから、そうかも知れませんが、食費で以て八十六円何がしという数字でできないことはない。ただおやつなんかに金を使いますと、これはとても足りない額でございますが、単なる食費といたしますれば、大体そのくらいで以て足りるというような計算が出ております。これは一つ人事院のほうから説明すべきでございまするが、ただちよつと実験をいたしました結果を申上げて置きます。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 副長官さんの御答弁はわかるのですけれども、食費だけならばいいのですよ。八十六円三十二銭というのは食費から、衣服費から、住居費から、光熱費から全部で生命を支えて八十六円三十二銭ですから。それならば、食費だけで八十六円三十二銭という計数は出るかもわからないですよ。それはおかしいですよ。
  73. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の、菅野さん、あなたは、まあえらい実験したように自信ありげに言つておられるけれども、あなたのところは一体毎日おかずは何ですね。何を食つています。(笑声)大体一週間割りに言つてみて下さい。ざつくばらんに何を食つているかということを……。
  74. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 詳細に私述べることはちよつとむずかしいのですけれども、先ほど申します通り、私のところは十一人家族でございますから割合に……、尤も家内の貧乏世帯をやり繰りする上において、非常な慎重な考慮で以てやつているようでございまして、少しでも安いところへは足にまめを作つても買いに行くというような方法をとつております。併しまあ私が見ましても、そう勿論賛沢はできませんが、学生の、運動をして青年の体力を維持するに十分であるように考えているわけでございます。
  75. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで、ただね。あなたそういうようなことを奥さんがやり繰りして、まあ、そりや、父さん、行けますよと言われて、ここへ来てぺらぺらしやべつているように思うのだが、実際はそれで、そのあなたがやね。実際行けると言うのならば、十一人で一体この漬物ばかり食つているわけに行くまい。それでめしを一人前平均にして大体何杯ぐらい食うか。それから漬物だ。漬物をどのくらい食うか。それから一週間にいわしは一尾ぐらい食うているか。大体肉はもう全然、それならば食えるか食えんか、一週間に一遍肉は食えるか食えんか。そうやつて一体その考えで行つたら、東京都でですよ。あなたが言われるように、この人事院勧告している十八歳青年男子の体力を維持するのに八十六円三十四銭四厘で行けるかどうか。現在ね。そりやただあなたは行けると言われるけれども、行けるというから、僕は行けるなら一体一週間で幾ら、一週間分を献立を言うて見い。併しそれは言えないとあなたは言うんだ。言えないはずなんだ、ただうちで奥さんが、お父さん、行けますよ。始末すれば行けますよ、贅沢はできませんけれども、始末すれば行けますよ。ああそうかということでここへ来て、しやべつておられるとしか僕には思われんのですよ、現実に。会館に僕は泊つておるのですよ。而も光熱費はただですよ。毎日僕は自分で米を炊いて、それから下へ下りて行つて野菜、肉を買うて来て毎日始末して食つて見て、八十何円では行けないんだ。勿論会館の、議会の真中は高いのか知らんけれども、とにかく行けないんですよ。だからそれで積算して、作り上げて人事院勧告を下廻つて、それで政府はこれでよろしい、そういうような理窟は、私はどこへ行つても成立たんのじやないかと思うのですね。私はだから、それはもう少し、なかなか官房副書と言えば忙がしい職で、そう帰つておかずの詮索まではやつていられんけれども、併しそれをよく聞いて、大体自分が何を食つておるか、一週間何を食つておるか。それからまああなたがたは恐らく弁当持で来ておられるわけじやないでしよう。ここの食堂で食つておるか、どこかで食つておるのでしようが、それにしたつて勿論あなたがた八十円や百円じや行きませんよ。併し家におる十八歳青年男子がそれで行けるかというと、これは行けないと思うのです、現実には。それは今言われるようにめしとそうして味噌とそれから漬物と塩と、これだけ食つておれば行けるでしようよ。併し行ける、行けんと言うことは、これはまあそういうものであれば行けますが、普通の人間並みに食うとなると、なかなか実際問題として行けないんじやないか。そこで私の言うのは、公務員給与はそれじや人事院勧告でもなお行けんのに、なお更政府がこれ以下にちびつたら食えんじやないか。それは食えますよ。食えるは食えるけれども、統制のときのように買いに行くと言つたつて、魚もろくなものはない。そうして贅沢のもの買うと言うたつて配給ではない、というときにはいいですよ。ところがこの頃のように買いに行けばずらつと何でも市場に並んでおるんですよ。そうすれば、公務員だけが、ああ食いたいな、買いたいな、眺めるだけで塩と味噌とめしで眠つているというわけには、ちよつと私はいかないんじやないかと思う。実際問題として。だからそういうような結果が、もうまるで鼻持ちのならんような、この頃の役人と言えば、全部じやないんですが、大概もう悪いことをせねば損だ、取るものを取らなければ損だというようなことになつちやつたのですね。だからその点はよほどやはり政府としても考えなければ、あらゆる面において、国家公務員給与を増したからインフレになるとかいうような、今日のいわゆる経済規模の上に立つて国家公務員給与ちよつぴりばかり殖やしたつて、インフレの要素になると私は思わないですよ。問題じやない。そこへ以て来て、このくらいの財源は、財源にしても、それから何にいたしましても、やろうと思えば政府はやれるのですよ。やろうと思えば……。やらないところに問題がある。やろうとしないところに問題がある。だから一つのそれはあなたに一問一答式でここでつべこべ聞いて見たところで、苦しまぎれな答弁するだけで、何にもならないから私は聞きませんけれども、よほどそれは考え直して、やはり少くとも国家公務員が自分の職務と責任を完全に果し、そうして社会的にも体面を保てるような給与にしなければならない。あなたがたは、今はどうか知らんが、昔の局長、本省の局長ぐらいになれば女中の一人ぐらい置けたのですよ。子供や何かはやはり教育は五人あつても、上の子は大学ぐらいはやれたのですね。今日では一体、古参の局長、課長の給与で女中を置いたり書生を置いたり、或いは又子供の五人もあつて完全に教育してやるということはできないのですね。現実に恐らくできないと思うのです。だから悪いことをするのですよ。だからそういう点をよほど政府としては……。だから何にもこの給与が私は……これで人事院勧告で多いとか上廻つてどうとかというようなことをあなたがたが言うが、政府はそういう点に慎重な考慮をやはり払つて、何はともあれ、国の重要行政を司つているのですから、安んじて働けるような給与をやはり上げるようにしなければならん。それに一体これで食えるとか、いや私のところは十一人でありまして家内が八十何円で食えますとかそんなことは言いなさんな。それはよほど考えておやりなさい。
  76. 千葉信

    委員外議員千葉信君) カニエ君の言うことも尤もだと思うのですが、今僕は菅野さんの御答弁を聞いて、それで菅野さんの答弁では、八十六円じやとつても食つて行けないという答弁菅野さんがされたように思うのです。御承知のように菅野さんの場合、御家族が十一人となつているのですが、家族か十一人で、而もそのうちのもう一人かどうか知りませんが、よそから預つている、そのもう一人が別だとすれば十二人になる。その十二人の家族を構成しているその一人の食糧費が八十六円もかかつているのでは、人事院勧告から計算しても何にしてもそうですが、全然それじや菅野さんのところで八十六円かかるということでは、ほかの人は食つて行けないとおつしやつたと同じである。それはどうしてかと言うと、一人家族の場合、独身者の場合には四千七百円で、そうして食糧費が一日当り八十六円。政府のほうからそれに百円足したようですが、併しいずれにしても八十六円ということになる。菅野さんはその八十六円で、自分の家の学生の一人の食糧費はやつと賄える、併し標準生計費なんかのはつきりした調査によると一人の場合には四千七百円という標準生計費で、その中で食糧費は考えられている。ところがそれでは五人家族の場合は、これも五倍になるかというと、そうではない。三人家族の場合でも、これの三倍になると一万四千百円という計算になるのですが、標準生計費から見ろと、五人でもそれだけの標準生計費にならない。三人の場合には三倍すれば一万四千百円という金額になるのですが、実際上三人の場合には一万千四百六十五円で標準生計費が賄つて行けるという計算なんです。それから五人家族でも、一人の三倍の一万四千百円よりも低い一万三千七百九十五円というのが、五人家族の場合の標準生計費であります。ところが菅野さんの場合、今承わつていると、十一人とか十二人とかというそういう御家族ですから、標準生計費はそれだけ考えると少くなるわけです。而もそれが八十六円も食糧費に掛つているという状態ですと、これはもう十二大家族なら四千七百円の十二倍しなければならんということになるのですが、標準生計費はそういう数字を出していない。ですからそういう点から考えますと、菅野さんの今の御答弁では、とても四千七百円の標準生計費では食えないと菅野さんが言われたことだと思う。そういう気持一つ今後の給与の問題をお考え願いたいと思います。
  77. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今のお話一つ、あなたも官房副長官で辛いだろうが、併し実態はそうなんだ。理窟はつべこべ言つているが、本当はそういうことなんだ。人事院勧告というものも、人事院もよほど政府に遠慮をして、苦しがつて漸くでつち上げた。これよりは削れぬというところで出したやつが、こんなものであろうと思うのであります、実際は……。そこでよほどそういうことを頭に入れて一つつて頂かんと困る。政府の考えなければいかんということ。  それからもう一つ一般職とそれから特別職との予算定員、それから現在員、最近の新らしい人員ですね。それをちよつと資料を出して頂いて、それから今度は各級号ですね。いわゆる各級にあてはめてみて、その人員が何名ほどになつているかということ、その資料をちよつと出して下さい。
  78. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今の御要求の資料は早速調べて提出いたします。それから先般言わずもがなの御答えをしいろいろ御心配をかけましたが、私の申上げましたのは人事院のほうで、この点は詳しくお答え申上げべきことでありますけれども、ただそうとつぴもない数字ではないという一例に申上げたのでありまして、もともと非常に例外的な大家族でございますので、これは余り一般的な例にはならんように思いまして、その点は取消しておきます。  なおカニエ委員から理論生計費も下廻つてというお話でありましたけれども、その点は政府のほうはむしろ上廻つておるのでございまして、この理論生計費のところだけは百円だけ多くなつております。
  79. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私は理論生計費のところだけと言われますけれども、そんなところだけ上つても問題にならんと、そんなところで実際に給与をもらつておるのは、今の全公務員のうちで何人だということなんですよ。当てはまつている人はそんなにいないでしよう。恐らくそういうことにならないですか。だからそんなものは全体の何十万の公務員のうちでほんの僅かなんですよ。だからそれよりもやはり一番余計適用を受けておる公務員が、やはり今言われるように、もつといい条件にならんと駄目でしよう。だからあなたの御答弁は僅かちよつぴりと鼻糞を煎じて丸めたほどの部分だけを、ちらつと目の前にぶらさげて説明されるけれども、そうじやない。もつと大きな部分であなたの言われるようによくしなければならん。こういうことを言うのです。だからそれはあなたの言われておるように、いい部分と言われるのも結構ですよ。まあ、政府の何でしよう。副長官としては又御尤もな御答弁でございますよ。(笑声)
  80. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは他に御意見がないとしますれば、本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十四分散会