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カニエ邦彦君 そこで今の
給与から実際行きますと、先ほど
官房長官が言われたように
政府としてはやはり財源の問題も伴うからということは、これはわかるのです。ところが実際の
給与の
状態は今度の
勧告、新らしく五月一日
実施されたいという
人事院の一万三千五百十五円
水準、これの
基礎にな
つておるものは、十八歳の
成年男子が一日の食費だけですが、八十六円三十七銭四厘というので、今の何が実は大体組立てられているのです。現在支給されておるものは、十八歳
成年男子が、これは去年ですが、去年の五月のものが未だに行われておるんですが、これが八十二円二十銭で食
つて行ける、こういうことなんです。そこで去年八十二円二十銭、今年が八十六円三十七銭四厘ということで一体田舎であ
つても、東京都は勿論食
つて行けませんが、田舎であ
つても、如何に部屋住みの若い者であ
つてもこれでは食
つて行けないというような
数字だ、常識的には。
人事院のほうにこれを
説明させますと、これはいろいろ今言つた
カロリーの
計算とか、そういうもので積上げて来るとこういうことになるという
説明はしているんです、一応は。併し我々は技術屋でもなければ事務屋でもないんで、政治家として勤労大衆の
立場から来ておる
国民代表の
立場から
考えて見て、これでは行けないんじやないか、実際問題としては行けないんじやないか。そこで現在もら
つておりまする一万六十二円というものがこの前
人事院から一万一千二百六十五円の
勧告がされたんです、それをまあ
政府が
予算財源云々ということで一万六十二円が
実施されておるんです、現在。そこでこれではまあ新らしい
給与の差額が、物価差等ができたというので今度は一年たつた八月にやはり五月一日から一万三千五百十五円という今の
人事院の
勧告が出たわけです。ところが去年の一万一千二百六十五円という
人事院勧告に対して
実施されたものが一万六十二円であ
つて、差引千二百三円というものは
人事院勧告よりは少くずつと来ておるわけです、去年の五月からずつとそれで
公務員は来ておるんです。そうすると一年間で丁度一万四千四百三十六円、一カ月分以上というものは
人事院勧告よりは実際
実施額が少く来ているんですね。
公務員の側から見ると去年分だけでもそれだけのつまり貸しが
政府にできている。
人事院勧告そのままもらうとすればそれだけ貸しがすでにできているんだと、そこへ今度は五月一日から
人事院が
言つている今の食
つて行けないような八十六円三十七銭四厘というような
成年男子の
生活費、これで行
つて一万三千五百十五円にな
つている、これが未だにつまり
実施されていない。
実施されていい理由としてはいろいろと政変があつたり、それから内閣が変つたりして遅れているという
事情もありましようけれ
ども、いずれにしてもそういうことで年々つまり
ちよつと削られ、
ちよつと削られてその削られた分が年々溜
つて行くんです。だんだんと溜
つて行きますから、そこに
民間給与との大きな開きができて、なお
国家公務員並びに地方
公務員の
生活がより以上苦しいという
状態に来ておると思うのです。例えば昭和十四年頃の、これは
官房長官十二分に御
承知であろうと思いますが、
公務員の初任給がたしか四十七円ぐらいであつた。今は五千七百円にな
つておりますけれ
ども、その時分にはお米が大体四俵くらい買えた。今の
公務員の初任給で行きますと、お米が百五十円の闇としても一俵が
ちよつとむずかしいのです。四斗ですから一俵は
ちよつとむずかしい。それほどつまり開きが出ておる。だから出て来た上に今
説明したように年々少しずつ削られて行くやつが溜り溜るものですからなお更や
つて行けないという
事情に追詰められて来る。そこへ今度の
人事院勧告が出ているわけなんです。そういう点をよほど今度は
政府としても、又自由党、与党としても、選挙に公約されておる
通り、
公務員の
給与は今度
引上げるのだというようなことを選挙でやはり
国民は公約されておるのですから、
政府の財源のほうでもいろいろなやり繰りの点お困りであるけれ
ども、これ以上つまり
人事院勧告を又ちびるというようなことがあ
つたのでは非常に又その借金が溜
つて来るという形になるのです。現在のこの
人事院勧告そのままに仮に
政府が
実施されても、今私が申上げるようにこの
内容は十八歳
成年男子の食費が八十六円何がしというような
基礎の上に立
つているのですから、完全に
実施されてもその
状態なんです。実際は……。ところが実際問題は
政府でまあいろいろおやりにな
つて財政面でお困りになるというようなこともあろうけれ
ども、とにかく国の行政の手足になるところの
公務員ですからこれがやはり食
つて行けるように、少くともその子供の教育ぐらいは十二分につけてやれる
給与でなければ、どうした
つて年々やはり汚職に次ぐ汚職、涜職に次ぐ涜職ということがやはり行われるのです。この点は十二分にやはり新
官房長官としてはお
考えにな
つて頂いて、そうして
給与の面ではできるだけやはり食
つて行けるようにしてやる、その代りにはもう悪い者に対しては断乎としてそのほうを取締
つて行くというようなことでないと、我々
国会でいろいろ官吏の汚職やそういうものをやるのについても、ついそのこと自体は悪いけれ
ども大体
公務員がついつられて悪いことをするということは、こういつた食
つて行けないような
事情に置かれているからというようなことをついやはり
考えるのです。だからどうしても
公務員に対するところの追及がやはり鈍
つて来るということになるわけです。
従つて今回の
給与に関しては特に
一つ官房長官がお
考えにならんと、やはり少くとも昔の
公務員の
状態ですね、まあ
局長或いは本省の課長ぐらいになれば子供が四人ぐらいできても上の子供は順次最高の大学の教育をしてやれるというような
状況にならんければ困るのです。今の
状況では本省の
局長や課長ぐらいのクラスで子供の五人もできて、上の子供を大学にでも入れようと思
つても大学にはとてもやれないのです。教育すらも満足にできないのです、実際問題では。昔はそんなことはなか
つたのです。可もなく不可もなく三十年もまじめに勤めれば老後は賛沢はできんけれ
ども安易に暮して行けるし、子供も人並みな教育がつけてやれるというのが昔の
公務員の
状態だ
つたのです。今ではそんなことはできないわけです。今私が
説明したようなことから年々年々
公務員の
給与が幅が狭まれて行つたということで追詰められておる。そのほかにいろいろ原因は敗戦というような大きな問題もありますけれ
ども、併し今日日本が独立国と
なつた以上は、少くともそういつた
状態に戻して行かなくちやならん、私はこう思うのです。その点について
一つ官房長官はできる限り閣議等において
公務員のいわゆる
生活ということを
一つお
考えを願いた、こう思うのです。一応この点について何か
官房長官の御
意見があれば承わ
つておきたいと思います。