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1952-11-06 第15回国会 参議院 人事委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月六日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  委員氏名    委員長     カニエ邦彦君    理事      千葉  信君            加藤 武徳君            三浦 辰雄君            溝口 三郎君            木下 源吾君            森崎  隆君            紅露 みつ君   —————————————   委員の異動 十月二十四日委員木下源吾辞任につ き、その補欠として門田定藏君を議長 において指名した。 同日議長において松野鶴平君及び山縣 勝見君を委員に指名した。   委員長補欠 十月二十四日カニエ邦彦委員長辞任 につき、その補欠として門田定藏君を 議長において委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     門田 定藏君    理事            カニエ邦彦君    委員            加藤 武徳君            三浦 辰雄君            千葉  信君            森崎  隆君   国務大臣    内閣官房長官  緒方 竹虎君   説明員    内閣官房長官 菅野 義丸君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長就任挨拶理事辞任及び補欠選任の件 ○調査承認要求の件 ○国家公務員給与改訂に関する件   —————————————
  2. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 只今より人事委員会を開催いたします。  会議に先立ちまして一言申上げたいと存じます。不肖私このたび人事委員長就任いたしました。率直に申上げまするが、私は初めてのことでありますし、一向この人事委員会の様子もわからんのであります。今後運営上委員各位に御迷惑をかけることがあるかとも存じます。どうかこの点十分御理解して頂きまして、皆さんの深き御理解と御支援によりましてこの重責を全うしたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。  甚だ簡単でございまするが、これを以ちまして御挨拶といたします。  なお引続きまして、前委員木下源吾君、鈴木直人君、田方進君の辞任に伴いまして、新委員松野鶴平君、森崎隆君を御紹介申上げます。  次に、理事千葉信君から理事辞任の願いが出ております。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは千葉君の理事辞任を許可することに決定いたしました。つきましては、只今理事辞任されました千葉君並びに鈴木直人君の補欠互選いたしたいと思いまするが、互選方法は如何いたしましようか。
  4. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 理事補欠互選方法は、成規の手続を省略してその指名を委員長に一任されんことの動議を提出いたします。
  5. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 三浦委員動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは委員長理事松野鶴平君並びにカニエ邦彦君を指名いたします。   —————————————
  7. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 次に調査承認要求の件についてお諮りいたします。国家公務員給与問題に関する調査、及び公務員制度に関する一般調査の二件であります。右要求議長に提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それではさよう決定いたしました。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  9. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは速記を始めて。  人事院勧告についての説明人事院給与局長に御説明願います。
  10. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 人事院は去る八月一日に給与水準並びに給与計画改訂につきまして国会並びに政府に対しまして勧告をいたした次第でございますが、その内容につきまして御説明申上げます。  先ず勧告主要点でございます。第一に俸給表金額を一七%乃至四九%、平均的に申しまするならば約三割増額する勧告であります。それから次にこの新らしい給与水準は五月一日からこれを改訂してもらいたいというふうに希望いたしておるのでありますが、この俸給表改訂だけでなく地域給改訂もいたしたいと存じておりまするし、又特殊勤務手当等につきましてもその適用範囲を広め、或いはその額を引上げるというような措置をやりたいというふうに存じておるのであります。そういうことを併せましてすべて五月一日に我々の計画適用されるといたしまするならば、公務員一人当りこの計画は一万三千五百十五円と、こういうことに相成るわけでございます。一般俸給表におきましては今回は給与水準を上げるという点に主眼を置きまして、余り立ち入つてその給与体系等の変更を試みようとするものではないのであります。ただ四級のところにおきましては如何にも不合理がございまするので、四級の俸給の幅を一号だけ前進するということにいたしたのでございます。昇給期間につきましては従前通りといたしたいと考えております。先ほど勤務地手当のことをちよつと申上げたのでありまするが、本年五月六日の参議院の修正議決というものがございます。いわゆる参議院案なるものがあるわけであります。この案はその趣旨を斟酌いたしまして近い機会に勧告するということが両院協議会において御決定になつたのでありますが、人事院におきましてはその趣旨を体しまして現在作業をいたしておりまするが、この作業はおおむね完了に近い状態にございます。  それから現行臨時手当、年末手当を統合いたしまして名称を期末手当ということにいたしたい。六月及び十二月にそれぞれ給与月額の半カ月分を在職期間に応じて支給するように改訂されたいということを申したのであります。又勤務成績というものが従来給与上余り考えられていないという憾みがございまするので、この勤務成績を或る程度勘案いたしまして、勤勉手当奨励手当、こういう制度を設けたい、これが勧告主要点でございます。で、申上げるまでもなく、人事院勧告におきましては俸給表を変えるということが主眼でございまするが、その俸給表を変えまするのにいわゆる標準生計費民間給与調査というものを二大支柱といたしまして、その上に組立てておるということになるのであります。で、人事院標準生計費というものはいわゆるマーケットバスケット方式によりまして組みました食糧費、そのほかは総理府統計局におきまして調査されておりまする消費者実態調査というものから衣料費でありまするとか、或いは住居費でありまするとか、或いは雑費でありまするとか、そういうものを導きまして計算いたしました数字を合せまして単身成年者標準生計費を算定すると、こういうことになつております。それで主要点であります食糧費について申しまするならば、従来経済安定本部におきまして国民食糧需給計画というものがあつたのでありまするが、今回はそういうものが策定されませんのでそれを使うことができない。むしろ我々はこの実態として国民が幾ら消費しておるかというそういう実態に着目いたすほうがよろしいのではないかというふうに考えまして、厚生省でやつておりまする国民栄養調査の結果から実態として国民が消費しておりまするカロリーをとるということにいたしたのであります。で、この際に公務員と最も近似的に考えられまする東京都における農家を除きまして、いわゆる非農家の一人一日当り摂取カロリーというものが千九百九十五・六カロリーということになつております。この数字を用いたわけであります。成人換算率といたしまして〇・八二九という数字を用いましたので、従いまして成年単身男子というものは二千四百七カロリーということに相成つたのであります。この二千四百七カロリーという数字は、これは従前我が国におきまして軽労働に従事いたしまする場合の単身成年者必要カロリーというもので二千四百カロリーということが常識になつてつたのでありますが、最近厚生省におきましてはこれを二千五百カロリーというふうに考えておられるようであります。併し終戦後におきまして労働組合等要求に掲げられました数字も二千四百カロリーであつた。まあ我々は数年後にしてこの二千四百七カロリーに達したのでありますが、まあこのことはやはり経済の回復に伴う現象であるとはいえ従前に比して七十一カロリーも増しておるということはやはりこの際公務員給与を改善する上に非常に役立つのではないかというふうに考えておる次第であります。で、食糧費は従来より七十一カロリー増した二千四百七カロリーということを基礎にしておるのでありますが、そのほかのマーケットバスケット品目別、或いはそのウェイトというものは、従前通り、実際に国民が消費しておりまする実情をよく見まして、それにマッチするような組方をいたしておる。その他のやり方につきましては、昨年度の勧告の場合におけると同様であります。これは食糧費以外の問題についても同様でございます。そのようにいたしまして計算いたしました結果、地域給の附かない地域における成年単身者一人当りの一カ月の標準生計費というものは、税金そのほか各種の負担金等も含めまして四千七百円という数字を得たのであります。これを従前通り二級三号における標準生計費といたしました。二級三号というところは、おおむね十八歳者というものの平均のところであるというわけであります。尤も、最近学校を卒業いたしまして入つて来る頃におきましては、例えば新制高等学校を卒業したところが二級三号ではないのであります。まだ高いのであります。併しながら、現在公務員として在職されまする者の平均を申しまするならば、やはり二級三号あたりが平均年齢十八歳になつておるという現実の統計資料に基きまして、四千七百円を従前通り二級三号に据置こうということになつておるのであります。  それから民間給与調査におきましては、これは昨年度の調査と殆んど大同小異でございまするが、なお統計精度を高めるという工夫を技術的にいたしております。それと同時に必ずしも公務と対比するのが適切でないというような職種につきましてはこれを除外いたしております。又対比するのが適当であるというものにつきましては若干加えておるのであります。まあその結果我々は民間給与調査は昨年度に比べまして一層精度が増しておる、こういうふうに考えておるのであります。その結果を整理いたしまして、そうして各級別平均給与というようなものを求めた次第であります。これと標準生計費とを組合せまして、いわゆる通し号俸の一号からずつと七十号まで、或いはその上まで入れるというやり方によりまして、この基本給の基礎となる通し号俸をきめたわけであります。一般俸給表そのほかの特別俸給表もすべてこの通し号俸を使つておるのでありまするから、この通し号俸のそれぞれの号俸を当てはめまして一般俸給表そのほかの俸給表を得ておる。このようにいたしまして我々の勧告いたしました俸給表ができ上つた次第であります。我々の勧告俸給表金額を上げるということが主でございますが、併し先ほど申上げましたように、特殊勤務手当適用範囲を拡げるということと、それからその金額引上げるということがあるのであります。扶養手当につきましては、これ又民間給与調査の結果から、現行程度がおおむね民間扶養手当と大体バランスがとれておるという結果を得ましたので、今回はこの扶養手当につきましては、制度を改めるということはいたさないということにいたしたのであります。勤務地手当につきましては、先ほど申上げました通り参議院案なるものを斟酌いたしまして、現在作業を進めておりまするが、これはおおむね完了に近い状態にある、こういうことであります。  以上のようにいたして算定いたしました人事院給与勧告というものは、これは民間給与というものに合せる。それよりも上でもなく下でもなくということになつておりまするし、又標準生計費そのものもこれはいわゆる理論生計費ではないのであります。例えば二千五百カロリーとるのがこれが理想であるから、従つて二千五百カロリーとるというものでなく、実態として国民が消費しておる状況をそのまま移しとるということを基礎にして計算いたしている。これ又民間から特に上げよう、下げようという意図のあるものではございません。従つて人事院勧告というものは、これは何らそこに作為が加えられまして、上げようとか下げようということにはなつていないのであります。従いまして、この勧告が実現されるということは最も望ましいところでありまするし、又この勧告が実現されないということになりますると、これは説明は誠に苦しいことになるのではないかということに考えられるのであります。勧告の自然の性質といたしまして、統計資料をとりまするのにどうしても時間のズレがあるということが一点あると思います。そのほかに実際この問題が取上げて検討いたされまするのは、国会が開かれておる期間であります。そのためにも国会が随時開かれるというわけにも参りません。これ又ズレのある問題になつたのであります。そういうことを勘案いたしまするならば、少くとも人事院勧告が実現されまするように十分御理解頂きまして、この問題を御検討頂くようにお願いいたしたいと思う次第でございます。
  11. 門田定藏

    委員長門田定藏君) 只今官房長官がお見えになりました。
  12. 千葉信

    千葉信君 その前にちよつと滝本さんに、人事官がお見えになつておりませんから、簡単な部分についてだけ御質問申上げたいと思うのですが、今の御説明にもありましたように、人事院当局としては、いろいろ標準生計費とか、民間給与基礎において基準になる給与額を四千七百円ということにして勧告されておりまするが、この場合に一つ問題となると思われることは、御承知通りこれは人事院としても国民消費生活水準国民生活水準というものから、特にずば抜けて公務員をよくするというようなこともなく、又これに劣るものであつてはならないという考え方は、これは当然人事院として持つているだろうと思うのです。  そこで第十三国会における池田大蔵大臣説明によりますと、現在の日本国民生計費状態を見ると、今やエンゲル係数は五三%に回復したということをはつきり大蔵大臣国会説明しておる。ところが今人事院のほうから勧告されておる基準給与四千七百円の給与額のうちの二千六百三十円というものが食糧費として一日当り八十六円二十二銭を要するという計算の上に出ております。ところがこの場合の満十八・六歳になる中等度の教育を受けた成年男子が、この給与では、エンゲル係数は明らかに五六%に、食糧費一般国民生活水準よりも低くなるということになると思うのですが、この点については人事院はどうお考えになつておりますか。
  13. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 私はこのエンゲル係数というものの使い方にいろいろ問題があるのではなかろうかというふうに考えております。人事院におきましては標準生計費を算定いたしまするのに、食糧費部分につきましてはマーケットバスケットというものを用いまして算定いたしております。そのほかの部分につきましては、これは消費者実態調査から導くというふうにいたして作成いたしております。従いまして全体といたしまして、こういう場合はエンゲル係数ということを問題にするべきであろうかどうかということが、やはり一つ問題になるのではなかろうかというふうに考える次第であります。従いまして我々の計算におきましては、食糧費に関する部分に関する限りはこれは一般消費者水準に合致しておる。又そのほかの部分につきましてはこれはやはり消費者実態調査から導いたものでございまするから、それ又一般状況に合致する。こういうふうに解釈しております。
  14. 千葉信

    千葉信君 エンゲル係数の問題のある点については、これはいろいろ論議があるようであります。併しそういうことになりますと、今の人事院答弁から言いますと、余りに厳格に調査をしたために、つまりマーケットバスケットによる食糧費計算というものにはこれ又非常に問題のあるところなんですが、余りに人事院が精密にマーケヅト・バスケットによる食糧価格等調査をやつたために、今政府説明しておるところの国民生活水準よりも引下げられた水準において給与勧告を行なつたということになると思うのです。この点について人事院はもう少し公務員の利益を擁護するという立場から、広い視野に立つてこの問題を考える必要がありはしないかと思うのです。この点について人事院は将来十分考慮する余地があるかどうか給与局長立場からお伺いしたいと思います。
  15. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 現在のところ我々の標準生計費考え方は妥当なものであるというふうに一応考えております。併しながらこれを固執して、これ以外のものであつてはいけないということを考えておるわけではないのでありまして、絶えず研究をいたして参りまして、よりいい方法が見つかりまするならば、そういうことを採用するにやぶさかではありません。将来に亘つて十分研究いたしたいというふうに考えております。
  16. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは局長に対する質問がなければ給与改訂について官房長官及び官房長官に対し御質疑を願います。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 官房長官にお尋ねするのですが、御承知のように人事院勧告は八月一日になされておるのですが、それも勧告内容では五月から実施すると、こういうことが勧告されておる。先ず何はともあれ現在の公務員が非常に苦しい状態にあるということはこれはまあ事実であると思うのですが、そういつた苦しい状態にあつて、そうして而も人事院勧告が八月になされて、今もうすでに年は暮れようとするような時期になつてつて、これが勧告実施措置がとられていないとすれば、それは全く公務員にとつては非常に困ることでございます。そこで勧告実施を先ずいつおやりになるのか、差詰め……、どういうお考えになつておるかということ、それから勧告に対して時期はいつからそれを実施するつもりであるかということ等について先ずお聞きしたいと思うのです。
  18. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私官房長官でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  只今の問題でありまするが、総選挙その他いろいろな事情で遷延いたしておると思いまするし、又生活実情につきましては只今お話のあつたこともほぼ私認識いたしております。ただ今就任早々只今のところは専ら副官房長官研究してもらつておりまして、私まだ実は頭に入つておりません。で、今日のところは副官房長官から御答弁申上げたいと、かように存じます。どうぞ御了承願います。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこれをまあ勧告が幾らであるとか、どうとかという問題でなく極めて常識的な点をお伺いするのですが、成年十八歳の、まあ親がかりにしろ、何にしろ成年男子の一日の生活費がどのくらいあれば食えて行けるかということ、これはまあ官房長官も子供もお持ちでしようし、又世間のことも御承知になつておると思うのですが、大体どのくらいあれば一体食つて行けると、最低でどのくらいあれば食つて行けると、官房長官はどのくらいあれば一体食つて行けるというようなお考えでしようか。
  20. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これも一つ一今までの研究がどこまで行つているか存じませんし、又食い違うといけませんから副官房長官答弁願いたいと思います。
  21. 森崎隆

    森崎隆君 官房長官にお聞きいたしますが、今の事情もよくわかりますからあとから官房長官のほうにいろいろ具体的な御質問ができると思いますが、国務大臣としての官房長官となられたといたしましてこの六十日間の会期の間にベース・アップをするかしないかという大綱の問題であります。これに対して補正予算の配分が大体どのように大掴みに現在考えられつつあるか、又これに対して大蔵大臣はどういう御意見を持つておるか、又総理に対してどういう打合せをしたか、官房長官自身としてはやはり副官房長官その他のかたがたと給与関係お話も一度や二度は打合せなり、意見聴取なりをなさつたと私ども拝察するわけです。そういう観点に立つて大綱の点、もつとその点がはつきりせなければ今度六十日の会期の間に人事院勧告案に基いて政府国家公務員給与改訂についての法案を出すつもりであるかどうかというような大綱についてはこれは責任上副官房長官にお任せあるべき問題ではなく、官房長官自身でこういう点はやはりお答えを頂きたいと思います。その大綱だけ一つあなたの口からお聞きしたい。
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) できるだけ補正予算に間に合せたいというつもりで急いで副官房長官研究をしてもらつております。
  23. 森崎隆

    森崎隆君 大体今度の会期の間に予算を補正いたしまして法律案を出される予定でいられると確認してよろしうございますか。
  24. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) まだ私大蔵省と打合せを全然いたしておりません。
  25. 千葉信

    千葉信君 官房長官にお尋ねします。官房長官は新任でございますから、こういう具体的な問題について一一御質問を申上げても今の例から言いましても容易に具体的なお答えは得られないようでありますから、私は官房長官が答えられる限度において御質問申上げたいと思います。御承知通り八月一日に人事院のほうから公務員給与は一万三千五百十五円にすべきだという勧告がなされ、而もその実施は五月一日に遡るべきだという勧告になつております。ところがその後第十四国会も開かれ、又第十五国会になりましてからもうすでに御承知のように大分時日も経過しております。勿論その間に解散或いは組閣というような問題もありましたけれども、併し一方実際に窮迫する生活の中に苦しんでいる公務員立場からすればこれは非常に由々しい問題なんです。実際上もう人事院のいろいろな科学的な検討の結論から言つて五月一日から三割程度現在の給与改訂しなければならないという、そういう結論が出ていて、而も何らその実施に対しては今以て具体的な政府のほうでは結論を出しておらない。而もいつそれが国会に出るかわからないという恰好で、補正予算の編成さえも今のところ国民の前に何ら明らかにされておらない。こういうことになりますと、これは私ども国会議員立場から言いましてもこのままでこの問題を荏苒と見過しておるわけには行かないと思うのです。そして又官房長官もこの問題を所掌しておられる立場からやはりこの問題に対しては相当責任を痛感しておられるはずだと思うのです。そこで今人事院のほうから八月一日に勧告されました給与改訂勧告は、これは従来の慣例と言いますか、従来の例から見ますと、大体政府のほうで立案検討して国会法案を提出されておりますが、併し一方私ども立場から言いましても現在の給与法を改正するための改正案を提案する権利を持つております。従つて政府が今日なお荏苒としてこの問題に対して具体的に手を着けないとすれば或いは場合によつてはそういう現在の給与法改正案国会議員の提出で国会に提出されるかも知れない。事実その問題が具体的に今日行われる場合があるかも知れない。一体そういう場合を官房長官はお考えになつておられながら給与の問題を取扱つておられるのかどうか、先ずその点を承わりたいと思います。
  26. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 公務員生活状態に対しましては、私任官前からも深い同情を持つております。従いましてこの問題はできるだけのことをしなければならんという考えを持つておりますが、数字の点につきまして私全然今予備知識を持つておりません。政府は無論これを荏苒放擲しておるわけではないので、副官房長官は前から就任しておりまするし、相当程度研究もいたしておると思います。若し私の答弁を補足する意味におきまして、どの程度研究をしておるかということを申上げることが御審議の上に便宜であれば、副官房長官からお答えをいたさせたい、かように考えております。
  27. 千葉信

    千葉信君 補足して御説明願うことはあとで又副長官のほうに直接お尋ねをいたしますが、今の御答弁は私の質問に対してポイントを外してお答えになつておられるようですが、議員提出法案給与法改正案として提案される場合をお考えになつておられるかどうか、そういう場合にはどういう方針でこれに対処されるかお尋ねしたい。
  28. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今申上げましたように、予算のほうは私全然まだ聞いておりませんので、予算の許す限りでぎるだけなにいたしたいと思つておりまするが、それ以上今ちよつとここでお答えができないのでございます。
  29. 千葉信

    千葉信君 私のお尋ねしておるのは、議員提出法案として給与法改正案が出たりする場合を政府は考慮されておるかどうか。それから又そういう場合にはどういう態度をおとりになるおつもりであるか。この程度のことは私は幾ら御新任でも御答弁になれると思いますが、如何ですか。
  30. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) その前に十分の研究をいたしたいと思つております。
  31. 千葉信

    千葉信君 併しその前と言つても、今日あたり若し出ることがあつたらどうなさいますか。
  32. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) さような準備は持つておりません。
  33. 千葉信

    千葉信君 極く通念的な問題ですが、官房長官も御承知のように現在の国家公務員法によりますると、公務員の罷業権、争議権を制限することによつて、その代償として公務員の利益を保障する、擁護するという責任人事院に負荷されておりますし、又そういう立場から国家公務員法の第二十八条が勧告する人事院の権利を保障しております。そういう意味合いから言いますと、例えば人事院勧告いたしました勧告案なるものの比重というものは、公共企業体における仲裁と殆んど同価値を持つものでなければならないと思いまするし、諸外国の例なんかを見ましても、勧告とか、或いは裁定という言葉が使われておりまするけれども、争議権等に対して諸種の制限を加えておる場合にとられる仲裁制度、或いは勧告制度なんかも実施された場合には、これに対して十分これを尊重し、完全にその裁定を実施し、勧告実施するという建前をとつておるようでありまするが、遺憾ながら日本がまだ民主国家の水準に達していないせいか、従来これらの裁定や勧告が尊重されておらないという状態が今日までの状態でありましたが、併し今度新らしく組閣されました第四次吉田内閣のこの問題に対する態度としては、一体国家公務員法に対して、特にその勧告に対してどういう態度をおとりになる御方針であるか、この際官房長官のお考えを承わつておきたいと思います。
  34. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 十分に尊重いたすつもりでおります。問題は一に財源との関係でありまして、公務員法に対する給与の問題につきましては、どとまでも尊重して参りたいと、そういうつもりでおります。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほど官房長官に私お伺いしたのは、官房長官がまだ御就任になつて日も浅いし、そうしてこういつた数字のことや、それから専門的な人事行政のことについては、これは十二分にまだ御承知になつていないように見受けられるので、そういつたことの質問を避けて、極めて常識的なことを実はお伺いしたわけなんです。そこで部屋住みの学校を卒業して役所に入つて来る十八歳の男子の一日の食費は、百食べて行くのがどのくらいかかるのかということを実はお聞きしておるのです、私は……。それが大体始末して行けば一日百円くらいで行けるか、或いは又百五十円くらいで食つて行けるか、或いは又それ以下で行けるかという大体常識的な点はどういう工合にお考えになつておりますかということです。但しそれはまあお答えなつたからといつて、それに挙足をとつてどうこうというわけではないのです。ただ官房長官として如何に現在の公務員が食えないような状態給与が置かれ、ておるかということを私は知つて頂きたい。こういう意味でお伺いをしておるわけなのです。勿論我々人事委員を長くやつておつた者が、ここでいろいろな人事行政の点、或いは給与の問題について御質問を申上げても、それはなかなかお答えにくいだろうと思うのです、実際問題としては……。ただ形式的に言えば、政府の番頭である官房長官が如何なることといえども答えられんとはなんだと、こういうことになるわけなのですが、併し実際問題としてはそうだろうと思います。併しながら如何に官房長官に新らしくなられたとはいえ、世間並な常識くらいはお持ちになるはずだ、常識的にお考えになつてどうかという点をお聞きしているのです。大体今は非常に物価は横這いになつたと言われておりますけれども、一日どのくらいで食つて行つたら一体食つて行けるか。着る物やそれから家賃、電燈ということは別にして、食うだけでどのくらいで行けるだろうか、こういうことをお伺いしているわけなんです。
  36. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 一般水準として私申上げるだけの知識を持つておりませんが、私が十八歳、二十歳くらいの若い者を世話しておりますその自分の経験だけを申上げますれば、五千円ぐらいでやつております。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今の給与から実際行きますと、先ほど官房長官が言われたように政府としてはやはり財源の問題も伴うからということは、これはわかるのです。ところが実際の給与状態は今度の勧告、新らしく五月一日実施されたいという人事院の一万三千五百十五円水準、これの基礎になつておるものは、十八歳の成年男子が一日の食費だけですが、八十六円三十七銭四厘というので、今の何が実は大体組立てられているのです。現在支給されておるものは、十八歳成年男子が、これは去年ですが、去年の五月のものが未だに行われておるんですが、これが八十二円二十銭で食つて行ける、こういうことなんです。そこで去年八十二円二十銭、今年が八十六円三十七銭四厘ということで一体田舎であつても、東京都は勿論食つて行けませんが、田舎であつても、如何に部屋住みの若い者であつてもこれでは食つて行けないというような数字だ、常識的には。人事院のほうにこれを説明させますと、これはいろいろ今言つたカロリー計算とか、そういうもので積上げて来るとこういうことになるという説明はしているんです、一応は。併し我々は技術屋でもなければ事務屋でもないんで、政治家として勤労大衆の立場から来ておる国民代表の立場から考えて見て、これでは行けないんじやないか、実際問題としては行けないんじやないか。そこで現在もらつておりまする一万六十二円というものがこの前人事院から一万一千二百六十五円の勧告がされたんです、それをまあ政府予算財源云々ということで一万六十二円が実施されておるんです、現在。そこでこれではまあ新らしい給与の差額が、物価差等ができたというので今度は一年たつた八月にやはり五月一日から一万三千五百十五円という今の人事院勧告が出たわけです。ところが去年の一万一千二百六十五円という人事院勧告に対して実施されたものが一万六十二円であつて、差引千二百三円というものは人事院勧告よりは少くずつと来ておるわけです、去年の五月からずつとそれで公務員は来ておるんです。そうすると一年間で丁度一万四千四百三十六円、一カ月分以上というものは人事院勧告よりは実際実施額が少く来ているんですね。公務員の側から見ると去年分だけでもそれだけのつまり貸しが政府にできている。人事院勧告そのままもらうとすればそれだけ貸しがすでにできているんだと、そこへ今度は五月一日から人事院言つている今の食つて行けないような八十六円三十七銭四厘というような成年男子生活費、これで行つて一万三千五百十五円になつている、これが未だにつまり実施されていない。実施されていい理由としてはいろいろと政変があつたり、それから内閣が変つたりして遅れているという事情もありましようけれども、いずれにしてもそういうことで年々つまりちよつと削られ、ちよつと削られてその削られた分が年々溜つて行くんです。だんだんと溜つて行きますから、そこに民間給与との大きな開きができて、なお国家公務員並びに地方公務員生活がより以上苦しいという状態に来ておると思うのです。例えば昭和十四年頃の、これは官房長官十二分に御承知であろうと思いますが、公務員の初任給がたしか四十七円ぐらいであつた。今は五千七百円になつておりますけれども、その時分にはお米が大体四俵くらい買えた。今の公務員の初任給で行きますと、お米が百五十円の闇としても一俵がちよつとむずかしいのです。四斗ですから一俵はちよつとむずかしい。それほどつまり開きが出ておる。だから出て来た上に今説明したように年々少しずつ削られて行くやつが溜り溜るものですからなお更やつて行けないという事情に追詰められて来る。そこへ今度の人事院勧告が出ているわけなんです。そういう点をよほど今度は政府としても、又自由党、与党としても、選挙に公約されておる通り公務員給与は今度引上げるのだというようなことを選挙でやはり国民は公約されておるのですから、政府の財源のほうでもいろいろなやり繰りの点お困りであるけれども、これ以上つまり人事院勧告を又ちびるというようなことがあつたのでは非常に又その借金が溜つて来るという形になるのです。現在のこの人事院勧告そのままに仮に政府実施されても、今私が申上げるようにこの内容は十八歳成年男子の食費が八十六円何がしというような基礎の上に立つているのですから、完全に実施されてもその状態なんです。実際は……。ところが実際問題は政府でまあいろいろおやりになつて財政面でお困りになるというようなこともあろうけれども、とにかく国の行政の手足になるところの公務員ですからこれがやはり食つて行けるように、少くともその子供の教育ぐらいは十二分につけてやれる給与でなければ、どうしたつて年々やはり汚職に次ぐ汚職、涜職に次ぐ涜職ということがやはり行われるのです。この点は十二分にやはり新官房長官としてはお考えになつて頂いて、そうして給与の面ではできるだけやはり食つて行けるようにしてやる、その代りにはもう悪い者に対しては断乎としてそのほうを取締つて行くというようなことでないと、我々国会でいろいろ官吏の汚職やそういうものをやるのについても、ついそのこと自体は悪いけれども大体公務員がついつられて悪いことをするということは、こういつた食つて行けないような事情に置かれているからというようなことをついやはり考えるのです。だからどうしても公務員に対するところの追及がやはり鈍つて来るということになるわけです。従つて今回の給与に関しては特に一つ官房長官がお考えにならんと、やはり少くとも昔の公務員状態ですね、まあ局長或いは本省の課長ぐらいになれば子供が四人ぐらいできても上の子供は順次最高の大学の教育をしてやれるというような状況にならんければ困るのです。今の状況では本省の局長や課長ぐらいのクラスで子供の五人もできて、上の子供を大学にでも入れようと思つても大学にはとてもやれないのです。教育すらも満足にできないのです、実際問題では。昔はそんなことはなかつたのです。可もなく不可もなく三十年もまじめに勤めれば老後は賛沢はできんけれども安易に暮して行けるし、子供も人並みな教育がつけてやれるというのが昔の公務員状態つたのです。今ではそんなことはできないわけです。今私が説明したようなことから年々年々公務員給与が幅が狭まれて行つたということで追詰められておる。そのほかにいろいろ原因は敗戦というような大きな問題もありますけれども、併し今日日本が独立国となつた以上は、少くともそういつた状態に戻して行かなくちやならん、私はこう思うのです。その点について一つ官房長官はできる限り閣議等において公務員のいわゆる生活ということを一つ考えを願いた、こう思うのです。一応この点について何か官房長官の御意見があれば承わつておきたいと思います。
  38. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 公務員生活の深刻な状態只今お話通りであります。私も全然同感であります。私も実は家族に公務員を持つておりますので、公務員生活がどういうものであるかということは、一端にしろ承知いたしております。ただこれはもう私結局誰もその趣旨に反対なものはないのであつて、財源との睨み合いじやないかと思いますが、敗戦のあとやや回復に向いつつありますけれども、問題はそこにあるのじやないかと、私はまた細かい事情は聞いておりませんけれども、できるだけの努力をいたしたいと存じております。
  39. 千葉信

    千葉信君 あと一つだけ官房長官に、これは官房長官が歴代の官房長官とは比べものにならない大官房長官であるという、そういう認識の上に立つて御希望を申上げると同時に、この際お考えを承わつておきたいと思います。御承知通り今まで問題になつておりまする公務員給与改訂の問題にいたしましても、御承知通り人事院勧告し、その勧告によつて政府が財源措置等を考慮しながら最終的な法案の作成をする、こういうことになつておりまするが、併し勧告されましたその勧告案を検討し、政府の態度を決定するところはやはりこれは官房長官なり総理大臣であろうと思います。現在までのやり方を見ておりましても、その勧告案に対する態度をどう決定するかということについては、最終的には官房長官のお手許で決定されまするし、又実際上もここに同席しておられる菅野副長官が主としてこの問題を担当しておられたようでありまするが、併し新聞記事なんかによりましても、例えば十月三十日の朝日新聞の記事なんかを見ましても、給与ベースの改訂等について人事院案の検討を行なつて主として作業をしているところは事実上は大蔵省の主計局の給与課らしい事実がある。これは実際上そうなんですが、そういう事実があるのです。勿論大綱を決定する場合には総理府で決定し、或いは官房長官なり副長官のところで大綱的には決定するかも知れませんけれども、併し実際上は殆んど大蔵省の属僚任せという恰好が歴然としてあると思います。ですから今申上げた日付の新聞記事等によりましても、例えば給与改訂について大蔵省はこういう考えを持つておる、或いはこういう財源措置を講ずるということについて検討中である、公務員給与引上げは本年十月から平均千五百円程度引上げで、一般会計百五、六十億円、一人当りは千五百円くらいのことを大蔵省のほうでは考えておる、こういう記事が出ておるくらいなんです。勿論そういう事務的な考え方だけに左右されておるはずはないし、又特にこの問題に対しては練達堪能の菅野副長官が主としてやつて来られたようですが、併し菅野副長官の手許において実際の給与改訂をどうするかということについて人事院案の検討を行なつたり、或いは又財政上どういう支障が仮にあるにしても、最低限度はこの程度給与は支給しなければならないという裏面的な考え方をまとめるなんということになれば、やはり菅野副長官のところにもそれぞれのスタッフなり陣容がなければ適正な最終的な決定というものはむずかしいと思います。そういう意味合いからいつて、一体今までのやり方がそのまま官房長官立場からも是認されるとは容易に考えられないのですが、一体そういう陣容のようなもの、例えばもつとこういう問題を掘り下げて官房長官のお手許で研究されるような機関なり若しくは又そういう機構の方向へ持つて行くような考え官房長官はお持ちになつておられるのかどうか、この点を先ずこの際若し御意見がありましたら承わつておきたいと思います。
  40. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これは言い逃れでも何でもないのでありまして、今菅野副長官のところでどういうスタッフを以て研究しておるか、実は迂潤な話でありますが知つておりませんが、今のお話趣旨は私は御尤もと思いますから、研究の結果必ず不十分であることを認めましたならば十分に補充して行きたいと思います。  ちよつと新聞記者会見をこれからやりますのでこれで中座いたしますが、お差支えございませんか。
  41. 門田定藏

    委員長門田定藏君) どうぞ。
  42. 千葉信

    千葉信君 菅野さんにお尋ねいたしますが、あなたにはくどくと申上げる必要はないと思うのですが、一体政府としては給与改訂に関する現行法律の改正案をいつ頃国会にお出しになるおつもりであるか、その時期を先ず承わりたいと思います。
  43. 菅野義丸

    説明員(菅野義丸君) お答え申上げます。先ほど官房長官からお答え申上げましたように、現在におきましては今検討中でありまして、いつということはお約束できないのでございますが、今回の会期中に補正予算を出すということがきまりました場合におきましては、そのうちで最も大きい問題の一つはベース改訂の問題であると思います。従いまして政府もこれにつきましては非常に慎重に、殊に今後の給与を決定するのでありますから、来年度予算の見通し等もつけないとこの問題はきまらないのであります。従いまして補正予算と同時に、来年度予算の大体の大綱くらいは見通しをつけまして提出いたしたいと考えておりまするが、少くとも今月の終り頃には出したいというつもりで以て目下作業を進めております。
  44. 千葉信

    千葉信君 この問題の解決は公務員諸君にとつて非常に重要な問題で、一日千秋の思いで待つていると思うのですが、併し従来いろいろこの問題に関しては新聞なんかにも取上げられて、どの程度改訂が行われるかというようなことについていろいろ記事が出ておりますが、何といつてもこれは最終的には官房長官の手許で決定されることだと思うのですが、一体その作業の中心に立つておられる菅野副長官の現在までのこの問題に対して検討された今日の状態から言つて、その改訂の時期等についてはどういうお考えで今作業を進めておられるか、その改訂の時期です。
  45. 菅野義丸

    説明員(菅野義丸君) 勧告は御承知通り五月一日から実施しろということになつておるのでございますが、先般来いろいろお話がありましたように、法律の改正を要する給与の体系といたしまして、実は法律案を提出する機会が今日までなかつたわけでございます。通常国会は八月の末に召集されしましたが、それは二、三日にして解散になりまして、その後総選挙ということになりまして、その後この特別国会が開かれたのでありますが、この国会には何としても出したいというつもりで以て現在作業いたしておりますことは先ほど申上げた通りであります。然らばいつから実施するかというお尋ねでございますが、これは財源等とも非常に関連がございます。仮に本年の補正予算で以て生み出し得る財源がきまつておりました場合におきまして、それを遡れば遡るほどその財源というものは、毎月にならしますと少くなりまして、ベース改訂は少くなるというような結果になります。勿論ベース改訂は財源のみを考えてやるのではないのでありまして、むしろ財源は二の次でございますが、財源がきまつた一定額の場合にはそういうふうな結果にもなりますので、将来のことを主としてきめるこのベース改訂におきましては、成るべく財源の許す限りにおきましては一月のベースの上り方を多くしたいという気持も持つております。併しながら法律が通つたならばその翌日からというような考えもございませんので、その間の調節をどういうふうにするかということについて今計算をいたしておる最中でございまして、折角のお尋ねでございますが、何月から実施ということはまだちよつと見当がつきかねるような次第でございます。御了承願いたいと思います。
  46. 千葉信

    千葉信君 実施の時期によつてはその間の調節を考えるということでありますが、これはこういうふうに了解して差支えございませんか。例えば本来なら五月から改訂しなければならないけれども、併し財源等の関係、只今官房長官のほうから財源の問題は二の次だというお話がございましたが、全くその通りだと思うのですが、併しどうも政府の従来のやり口を見ておりますると、言葉ではそういう表現をせられておられるけれども、実際上は何でも財源に鶏口しておられる形跡が濃厚なんです。併しそれはそれとして財源の問題から五月から実施しなければならないものをやむを得ず八月から実施をする、こういうことに仮になつた場合には、五月分から八月分までの赤字に対しては何らかの措置を講ずるというような意味の調節という言葉であるかどうか、この点をもう少しはつきり承わりたいと思います。
  47. 菅野義丸

    説明員(菅野義丸君) 五月から実施すべきものを八月に仮になつたといたしますると、それは主として財源の関係であると思います。従つてその五、六、七の三カ月分の何らかの措置をするということはやはり財源の問題になりまして、若上それができるならば五月から遡つてやるにもちつとも差支えないわけでございまして、実施を五月からやるということも申上げませんが、仮に五月以降の或る月からやつたとして、その間の調節を必ずほかのほうでやるという約束も実はできかねるような次第でございます。この問題はいつからやるかということをきめて、或いはどれだけのべース・アツプをするということをきめて、そうして財源と見合して具体的の案を作るよりいたし方ないと思いますので、もう暫らく御容赦をお願いしたいと思います。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 併し大体官房長官が今まで大蔵省と折衝されて、大体のところはわかるんじやないですか。例えばベース・アップに対してはどの水準まで今の大蔵省の見解では行ける、或いはそれを何月頃からならば大体実施できるものである、今の財源というものが大体もうきまつているのですから、それ以上これはやり繰りすればどう変るかは別問題として、今の財源の範囲においてはどんな程度のものであるかということは、これは副長官は大蔵省等からもお聞きになつておるし、最後的には政府考えも入れて、どう決定するということは別として、その程度のことはわかつていなければ官房長官は勤まらんわけじやないですか。
  49. 菅野義丸

    説明員(菅野義丸君) 本日は国政の御調査でございますからざつくばらんに申上げますが、先ほど千葉委員からもお尋ねがあつたのでありますけれども、この給与改訂をします作業の順序といたしましては、大蔵省は主として財源の方面からやつております。それからふだん公務員給与予算執行の面から調査をいたしておりますので、そういう資料を集めておるのであります。そうして今回のような補正予算を出す場合におきましては、先ず大蔵省としてはどれだけのベース・アップが妥当であるというようなことを一応きめます。そうして内閣のほうと相談して、内閣のほうは又人事院その他と話合つたものを以て大蔵省と協議をするのでございますが、従来決して大蔵省の言う通りになつておるのではないのでございまして、私のところも僅かな審議室のスタッフしか持つておりませんけれども、いろいろ人事院等から資料を頂いたり、或いは各方面の民間企業等を調べたりしていろんな資料を持つておりまして、又独自の考えも持つておりますので、相当な激論をいたしまして(内閣で以てきまるのは大蔵省の省議がきまつても相当の時日を要するのが例であります。で、本日のところはまだ実は大蔵省の省議決定というところまで行つておりません。従いまして先ほどお話が出ましたように千五百円であるとか、千三百円であるとかいうような額が新聞に出るのは、事務的に大蔵省の事務官がやつております作業数字が出るのでありまして、これはこの政府の決定とは何らの関係ない、本当にいろいろな案作るその一つ数字が出たというものじやないか乏私は思います。こういうような状態でございまして、大蔵省のほうの省議として、このくらいの案が最も妥当であるということがきまつておらないのでありまして、目下のところはそういう段階でございますので、これ以上申上げられないような次第でございます。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これは官房長官相手にのれんと押合いをしているようなことでも困るので、もう少し一つ急いで、政府のほうもできる限り早い時期にやつて頂くということで、又追つて官房長官のほうでも大体の輪郭が見えて来れば、一応御連絡を私のほうへ願つてもいいし、私のほうも絶えず連絡申上げますから、一つ急いで実現をするということに努力されたいということで、今日はこの程度で……。
  51. 千葉信

    千葉信君 菅野さんにちよつとお尋ねしておきますが、問題になつておりました北海道の公務員に対する石炭手当の追加支給の問題について、その後菅野さんのほうで北海道の炭価の実情等についてお調べになられ、或いはこれに対する方針等についてその後どういうふうにお考えをまとめておられるか、その点についてお伺いしたい。
  52. 菅野義丸

    説明員(菅野義丸君) 先般参議院でもつて御審議のときにその話が出まして、大蔵省で実は今調べております。その後の炭価の様子については、大蔵省で調べておりまして、資料ができましたらば国会のほうに御報告することになつております。私のほうとしましてはあのときお約束に従いまして若しその資料が今回の石炭手当改訂を要するような数字になつておるならば、是非今回の補正予算には考えて頂きたいということを強硬に主張しております。
  53. 門田定藏

    委員長門田定藏君) それでは他に質問がなければ、本日はこれで散会いたします。    午後零時十九分散会