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政府委員(久下勝次君) それでは
内容の
説明を申上げます。
昨年本
法律につきまして、御
審議御可決を頂きまして、四億五百万円の
予算を執行して参つたのでございます。結論的に申上げますると、今日まで貸付申請を受取りまして貸付が決定をいたしました額は、四億五百万円の
予算がありますにもかかわらず一億八千六百万円でございます。この申請をして参りました
保険者の数が五百八十七ございます。結局これはいろいろ検討いたし、又本
法律の御
審議の際にも話がございました
ように、貸付の条件が非常に厳格であるということに主たる原因があるものと
考えざるを得なかつたのでございます。私
どものほうでこの
法律に基きます貸付を受け得る資格のあると認められる
保険者の数は二千三百余になるのであります。それが厘かに四分の一足らずの五百八十七
保険者に貸付が決定したに過ぎないというふうな程度にとどま
つておるのでございます。この条件のうち特に問題となりまするのは、
昭和二十六年度末に存在いたしまする各
保険者の赤字につきまして、その半額を貸付
対象額とするということにな
つておりまして、あとの半額の赤字につきましては貸付を受けました
保険者から資金を調達して療養費の支払をしなければならないという
ような
規定にな
つておりました関係が、一番さ
ような貸付の成果を挙げ得ませんでした
欠陥であると
考えた次第でございます。そこで本
法案の中心になりまする
改正の点は、この貸付の率を上げて、
保険者として調達しなければならない金額を減らして行くという
ような点でございます。即ち従来は貸付
対象額の五割を貸付けることにな
つておりましたのを、
当該の条文を
改正いたしまして、貸付
対象額を八割まで、つまり三割増額するということにいたしました次第でございます。この点につきましては、
予算的な
措置も政府部内で了承を得まして、目下
予算の御
審議を頂いておる
ような次第でございます。
それからもう一つは、
昭和二十七年度におきまして、この
制度か発足をいたしたのでございまするけれ
ども、一応これによ
つて若干ながら過去の赤字が解消され、
国民健康
保険が再建されるということを狙りたのでありまするけれ
ども、併しながら
国民健康
保険の行
保険者等、大多数の
保険者が非常に
財政的に困難に陥
つておりまして、過去の赤字は解消いたしましても、将来に亘
つての健全なる
財政措置を裏付けるものが今日までなかつたと申してもよいのであります。ところが
昭和二十八年度におきましては、すでに御案内の
ように療養給付分に対する一割五分の給付費の国庫補助が出ることになりました関係上、その裏腹となる過去の赤字となるものにつきまして歩調を会せて行く必要が
考えられたわけでございます。その
意味におきまして
現行法によりますると、
昭和二十六年度末に存在する赤字を
対象としておりました。その後
昭和二十七年度中に免ずべき赤字につきましては貸付の
対象にならないことにな
つておりましたのを、さ
ような療養給付に対する補助が出ました関係の裏腹といたしまして、
昭和二十七年度末に存在をする赤字を含めて貸付ができる
ようにいたしましたのでございます。さ
ようなことに基きまして、
昭和二十八年度
予算には第一年度として四億六千万円の
予算が計上されることに相成
つております次第であります。なお
昭和二十七年度末に存在をいたします赤字につきましては、二十八年度、九年度、三十年度の三カ年度に分けまして、従来の条件と同じ
ように三カ年に分けて貸付をいたす計画でございます。
それからもう一つこの際に附加えて申上げておきたいと思いまするのは、今申上げました
ように、
昭和二十八年度の
予算は四億六千八百万円に相成
つておりまするが、二十九年度は二億七千三百万円、三十年度には一億三千万円、合計八億七千二百万円の
予算を計上することによ
つて、この条件に該当いたしまする
保険者の赤字を解消をいたしたいという
考えでございます。
なお附加えて最後に申上げたいと思いまするのは、そういたしますると、
昭和二十七年度にすでに貸付を受けました五百八十七の先ほどの
保険者であります。この
保険者につきましては、そうした特別
措置がとれない虞れがありますので、この点は
昭和二十七年度にも、以上申上げました貸付の条件の緩和をいたしまして、二十七年度すでに貸しましたものについても、更にあとの三割を追加して貸付をいたしたいという
考えでございます。こうするごとによりまして
昭和二十七年度にも以上申上げた新たなる
方針を適用する
ように
法案を
改正して頂きまするならば、二億三千万円
予算が不用になる見込になりますものが、先ず前段の三割余分に貸付をするということによりまして三億二千万円ぐらいはそれだけで貸付ができることになります。あとの残りの八千万円ほどの金につきましては、恐らくこうした条件緩和によりまして新らしい申請も出て来るだろうと思います。取急いで御
審議を煩わしまして、本年度中に、三月末までに申請書をとり、貸付の決定をいたしたいと思います。そうすることによ
つて本年度
予算、先に申上げました四億五百万円の
予算を全額貸付ができる
ように処置をいたしたいという
改正を含めておる次第でございます。なお貸付をいたしまする
対象条件のうち、もう一つ問題にな
つておりました
保険料の徴収成績が七割以上でないと、この
制度による貸付を受けられないということにな
つております。この点は
改正法律案を衆議院で御
審議を頂きます際にも、衆議院
厚生委員会におきまして、いろいろ御
意見がございまして付帯決議として、この貸付条件のうちの徴収成績七割以上ということにつきましては、
法律の第三条に特別な
理由のありますものについてはこの条件に該当しなくても貸付が成し得るということにな
つております。この特別の
事情の運用をできるだけ緩和をしてやることにいたしまして、そうしてこの
昭和二十八年度に予定しております四億六千万円の
予算が本年度と同様に不用額にならない
ように
措置がしてもらいたいという
ような付帯決議がございました。私
どもといたしましても、この点は
財政当局とも話合いまして了承をいたしました次第でございます。従いまして
法律の
改正の表面には、その点は当然現われないのでございますけれ
ども、第三条並びに第四条の関係にございます「災害その他特別の事由」というこの特別の事由をできるだけ広く解釈をいたしまして、
予算総額が有効に使え、これによ
つて保険者の赤字ができるだけ広く解消する
ように処置する所存でございます。
以上
法案の個々の条文に触れませんでございましたけれ
ども、大体の筋道を申上げまして御
説明に代えた次第でございます。