運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-11 第15回国会 参議院 厚生委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            長島 銀藏君            常岡 一郎君            谷口弥三郎君            一松 定吉君   政府委員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省社会局長 安田  巖君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君   参考人    東京都民生委員    連合会副会長  田中 覺造君    全国社会福祉協    議会連合会民生    委員部長    長田 宥一君    全国社会福祉協    議会総務部長  中川 幽芳君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○民生委員法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○食品衛生法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開きます。  日程を変更しまして民生委員法の一部を改正する法律案を議題にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 改正法律案につきまして、今日は参考人のかたのおいでを願つております。長田宥一君田中覚造君、中川幽芳君のお三方に参考人として御出席を願つております。  先ず参考人からこの民生委員法の一部を改正する法律案に対する御意見等を伺いたいと思います。どなたか……。
  4. 長田宥一

    参考人長田宥一君) 只今御指名がございましたので、少し意見を述べさせて頂きとうございます。  只今審議を願つております民生委員法は過去約二年有余いろいろ改正が論議されたのでございますが、いろいろな情勢で今日まで延びておつたのであります。この間民生委員のいわゆる現場で働いております我々どもが、この本法改正がどういう方向で行くかということに非常な注目をしておつたのでございますが、幸いに今回厚生省の御意図改正案が上程されるようになつたのでございますが、この方向も我々が今までいろいろ諸先生方にお願いして参りました方向に参つておりますので、本法案は一刻も早く御通過を願いまして、我々の現場で働いております者の立場はつきりとさせて頂いて活溌に社会福祉事業協力できますようなことにして頂きたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) この法律内容につきましての御意見等がございませんか。
  6. 長田宥一

    参考人長田宥一君) 今まで過去私どもがいろいろの会合を持ちましていろいろ検討して参りまして、その殆んど大部分を厚生省のほうでお取上げを願つたよう考えられますので、若しこのままお通しが願えれば非常に幸いだとかように考えております。
  7. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他の参考人のかたには………。
  8. 田中覺造

    参考人田中覺造君) 只今長田君から申上げましたように、この法案を一日も速かにお通し願いたいだけであります。その理由は二年有余の間この空間になつておりますのは、どこに原因があつたかと申しますと、推薦母体に欠陥がありまするが故に、だんだんとかようになつたことと私は信じておるのであります。  今回の法案を拝見いたしますと、この点に重点を置いて改正いたしておるように拝見しますので、この法案通過実施されることに相成りますれば、民生行政並びに民生福祉事業に貢献することが多かろうと存じます。是非さようにこの法案を御決定願いたいと存じております。
  9. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 中川さんは。
  10. 中川幽芳

    参考人中川幽芳君) 只今二人から申上げられました通り、この民生委員法改正につきましては、協議会といたしましては全国民生委員代表者にしばしばお集りを願いまして、それで極めて民主的に或いは又市町村の実際の市町村でお働きになつているかたがたの御意見というものを十分取上げまして、殊に国家の政策といたしますところの公的福祉事業との関連というものが如何にあるべきかということで、いわゆる実際活動かたがたの面の意見を忌憚なく検討いたしました結果、実は私どもといたしましては、しばしば国会の皆様がた或いはお役所のかたのほうにいろいろ陳情を申上げたわけであります。大体今回の改正法律案を拝見いたしますと、いろいろの関係がございましようが、大体そういうふうに民主的に進めて参りました方向考えかたというものが一応取上げて頂いておるというふうに、まあ私ども考えておるわけでございます。そういう意味から申上げますと、その今の法律案を一日も速やかにお通しを頂くほうが、我々といたしましても、民生委員の御活動推進する上に、非常に便利ではないかと考えております。社会福祉事業法というものが別にで章まして、社会福祉協議会というものの活動市町村にまで及ぼうとしておることもございます。特に市町村におきましては、御承知のように施設が少うございまして、民生委員さんが何と申しましてもその中核として御活動を願うことになろうかと思います。そういうことから申上げますと、やはり市町村の実際的な活動をやつて頂く民生委員さんに、ともかくも今までのもやもやとした空気でなしに、はつきりした意図を持つて改正法律案を一日も早くお示しをして協力を頂くということが、全体の社会福祉推進のためにもなるのではなかろうかというふうに考えておりますので、御先生がたの御審議の上、一日も早く若しお通しを頂ければというふりに考えておるわけでご場ざいます
  11. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 参考人のかたに対して御質問はございませんか。
  12. 山下義信

    山下義信君 参考人のかたがお三人とも本法のこの改正案内容について満腔の賛意を表せられて、一刻も早くその通過を要望されたのでありますから、我々といたしましても参考人のかたの御意見を尊重いたしまして、速やかに審議をいたしたいと存ずるのでありますが、折角出席でありますので、最近の民生委員の実態といいますか、そういうことも承わつておくというのが審議の上に非常に参考になり、又いいのではないかと存じますので、もう我々といたしましても従来の経緯も同僚諸君においてもよく御承知であります。それで旧来のままでありましたニカ年ほどの間の民生委員かたがたは、一体どういうふうなことをしておられましたでしようかという点ですね。  それから今一つ社協連中川部長に伺うのは、社協連民生委員との協力状態、大体でよろしうございますから、今の現状一つ承わつておきたいと思うのでございます。
  13. 長田宥一

    参考人長田宥一君) 私から前段の御質問に対しましてお答えいたします。その後民生委員は例の生活保護法改正によりまして、「求められたときは、」というあの文字が入つてつたために、一時民生委員はこの生活保護から手を引いてもいいのだという空気末端までも強かつたのでございます。それがために禍いされたと申しますか、民生委員がほかにたくさん生活援護等仕事がたくさんあるのにかかわらず、この生活保護法第二十二条の条文によつて求められなければ仕事をしないのだ。求められなければ積極活動をしなくてもいいのだというふうに解釈し、又とられていたために、民生委員が一時手を引かざるを得ないような状態になつてつたのでありますが、併し社会福祉協議会の設立と同時に、民生委員中核体となり、社会福祉行政推進すべきだという厚生省なりその他の行政官庁の御指導のために、民生委員は欣然社会福祉協議会活動推進して参つたのであります。で、民生委員の独得の持つておりまする職務について、協議会中心活動をして参りまして、そして現在では協議会本当推進体となつて活動をしているわけであります。全国的な流れといをましても、いろいろ当初は民生委員活動が削減されたような感がございましたが、併しそういうような御指導の下に協議会中心とした民生委員で行こうという方針で、いろいろな協議会活動の全分野についての協力をしているわけなんであります。又民生委員の持つ独得のいわゆる精神活動におきましても、その後はずつと連絡を取つてつておりますので、現在におきましては、欣然一体となつて社会福祉行政に参加しておりますということが申上げられるわけでございます。
  14. 山下義信

    山下義信君 わかりましたが、今民生委員社会福祉主事社会福祉事務所協力している現状程度はどういう程度のことを協力しているのでしようか。
  15. 長田宥一

    参考人長田宥一君) 各地方によつているく違つておりますが、大体最近は統一された方向に向つて来ております。例えば福祉主事福祉事務所のやつております仕事は、科学的、理論的な仕事が多いので、我々民生委員が過去十年間望んで参りましたことは、科学的、理論的な仕事を余りに負荷されておりましたために、こういう点で何とか当局専任主事を置いて頂きたいというようなことを要望して参つたことが、一昨年の福祉主事の設置について、福祉主事の登場によつてこの煩が省かれたわけなのであります。それでそういう面はすべて福祉主事によつてつておりますが、各地方のいわゆる末端福祉主事との協力の方式というものは、或いは町村単位福祉主事民生委員との協議会を持ち、或いは又懇談会を持ち、それから或る地方におきましては、生活扶助申請が出ますと、それが直ちに民生委員のほうへそれを廻して、民生委員はこれによつて意見書を添えて福祉主事に提出する。福祉主事はこれを科学的、理論的な面から考えて、これを又民生委員協力を求めるということをやつている地方が相当多くなつて参つているのであります。それで又他の地方におきましては、月に一回ずつ両者の協議会を持ち、懇談会を持つというような地方もございますし、或る又地方におきましては月に一回乃至二回の要援護者をも交えた懇談会を持つているような所もございますが、この協力関係は、現在のところ当初考えましたよりは、現在は非常にスムースに行つているということが申上げられるわけでございます。
  16. 山下義信

    山下義信君 大体大変結構なようで安心したのでありますが、その実際の実情はあなたのほうの資料でもありまして、後日にでも頂戴ができ得ますれば後日頂戴したい。つまり言い換えると、社会福祉事務所からまあ進んで調査を依頼したような状況がある。それから又今おつしやつたように、非常にその中に重大ないろいろな保護決定等についても、それとなく相談されたというような事例があつた。或いは又殊に重要なのは、従来保護をしておつたのを取消す。つまり保護を変更するというようなときにも相談したような事例がある。一体それが全国的にどれだけの件数であるか、或いは又被保護者発見と言いますか、それの報告というものを民生委員諸君が進んで福祉事務所に通達をしたような件数がどれだけあるのか、又それを福祉事務所発見通告、つまりこれらは保護を加えるべきものだと言つて福祉事務所報告をして通告をした、それらが保護決定を受けた件数が何%くらいあるだろうかというような程度は、恐らくあなたのお手許で最近の一年なら一年、ああいう状態になつてから後のデーターが若しありましたら、後日でよろしうございますから資料として委員会へ御提出下さいまして我々に分けて頂戴したいと思います。大体その状況につきまして、何かお述べ下さることがあれば、この点承わりたいと思います。
  17. 長田宥一

    参考人長田宥一君) 只今指摘状況は、後刻又帰つていろいろ調査等によりまして、確実な明確な数字をお示ししたいと思うのでありますが、現在そういう面でやつております。私自身は実は末端民生委員でございますが、中央のほうの民生委員部長も務めさして頂いておるのでございますが、私の持つております町におきましては、今御指摘のことを、これから申上げるようにやつておるわけなんでございます。例えば申請福祉事務所へ出て参りますと、それを福祉主事がこれを調査いたしまして、調査ができ上りますとその担当民生委員にそれを協議して参ります。その協議して参りました時にいろいろまだあなたのほうの調査についてはこういうまだかくれた収入があるとか、或いは又あそこの家は家賃を出しておると言つても、まだ家賃を出していないはずだというような、本当の細かいことは、民生委員のほうが実は知つておるわけなんで、一応民生委員と、担当福祉主事とがそれを協議しております。その上で、福祉事務所長協議に基いて扶助決定をして頂いておるわけなんでございます。それから、なお又先ほど申上げましたように、毎月一回の要保護者についての福祉主事民生委員協議会も開催しております。現在それは私の持つております担当区域でやつております例でございますので、はつきりしたことは申上げられるわけなんでありますが、その他全国的なことにつきましては、いずれ帰りまして正確な数字を出します。
  18. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御質疑はありませんか。
  19. 中川幽芳

    参考人中川幽芳君) 山下先生から御質問がございました社会福祉協議会との関係でございますが、これは先ほど長田部長からも申上げたものと関連をいたしておりますが、要するに現在におきましては、結論を申上げますと、社会福祉協議会あり方というものは、やはり公私社会事業推進するのには、正しい方向であるということは全般的に御理解を頂いておるということを申上げられるだろうと思うのでございます。従来長い間公的扶助関係をされておりました関係上、一面から考えますと、その公的扶助関係にやはり主力を注がれますために、ほかの方面に広く出て頂くという面が、或いは忘れられておつたのではないかと思いますが、こういうふうに公私の区別がはつきりいたしました関係上、いわゆる民生委員制度の濫觴と申しますか、創始の、いわゆる先覚者かたがたがお考えになりましたような、地域福祉増進或いは防貧という広い面に、民生委員がいわゆる自由闊達に働く。なお公的扶助の余力を以て協力するというような建前を最近ははつきりと認識して頂いておるようでございます。従いまして、この社会福祉協議会民生委員さんの関係は、或いは地方によりましてはいろいろの関係が残つているところもあるかとも思いますが、全般的に申上げます場合におきましては、極めて有効に進んでいると思うのでございます。ただ将来私ども社会福祉協議会といたしましては、この民生委員さんが、いわゆる社会福祉の何と申しますか、先達として地域の住民のかた、その皆様がたまでこの社会事業理解協力をして頂くというような意味においての先達としての役割というようなものを、強く果して頂きたいというようにも考えておりますし、又社会福祉関係者のお集り中核になられまして、その地域におきますところの、いわゆる地域としての要請、ソシアル・アクシヨン、そういうようなところの活動にまで民生委員さんに指導的な役割を演じて頂いたらいいんじやないかというような考えを以ちまして、今日我々は全国的にブロックにわけて指導もいたしておりますし、十分そういう政府なり社会福祉協議会考えかたをお呑み込み頂いておりますが、間々いろいろなことがございましても、時間的に解決をしているだろうというように考えている次第でございます。
  20. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 一つお尋ねいたしますが、今後の民生委員指導訓練というようなものについては何か御意見は持つておられますか。
  21. 長田宥一

    参考人長田宥一君) いろいろ民生委員指導訓練につきましては、協議会民生委員部といたしましてもいろいろ考えているわけなんでございます。それにその後の社会情勢が丁度ブランクでありました約二年半にはいろいろ変つておりますので、諸先生方のいろいろな新らしい御指摘もございますので、この面については十分考えをいたしているわけなんでございます。若しこの法案通りましたときには、これを契機としまして、新らしい知識を注入した民生委員としての働きを十分呑込ませるための研修会講習会等をしばしば持ちたい。現在も今持つておりまして、毎月今までずつとやつて参りましたブロックのほかに、今九州、四国が来月早々やることになつているわけでございます。この点につきましては、なおいろいろ私ども意見といたしましては、国なり都道府県において民生委員訓練については十分な関心を持つて頂きたい。でき得れば相当なことに対する予算をも御考慮を願いたいということは考えているわけなんでございます。  現在の計画といたしましては以上のようなことで、希望といたしましては、国なり県なりのそういう関心を十分高めて頂きたいということなんでございます。
  22. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 参考人のかたに対しての御質問はもうございませんか。では参考人のかたに併せて政府側に対しての御質問がございますれば……。
  23. 山下義信

    山下義信君 今後のこの改正案重点は、生活保護法附則で書いて、そうして民生委員協議会のことも書いてもらつて、又民生推薦会等組織のことも御配慮がありまして、私も大変結構に思うんですが、併しこの問題は従来から長い間の懸案であつたのでありますので、この際折角提案の御理由にもありますように、従来とかく不明瞭であつたものを明確にするのだという御趣旨でありますので、この折角の機会でありまするから、只今大体は提案の御理由で承わつたのでありまするが、民生委員の「求められた」という字句を削つて協力ということを積極的にするという御趣旨である、その協力というものの内容と申しますか、そういう点を一つ具体的に明確にできればお示しおきを願いたいと思うのであります。これが一点。  もう一つ関連して、民生委員協議会のお仕事もここで明確にされてあるのでありますが、これが少し伺つてみねばわからんと私の思いますることは、協議会任務を非常に消極的にしておるように見えるのです。お心持はよくわかりますが、どうしてこういうふうな程度に消極的にしておかれたか。つまり私の質問は、民生委員そのもの職務については積極的にこれを改めるという方針をおとりになり、その民生委員職務執行の上に置かれてある民生委員協議会任務の上には極めて遠慮して、何かに輝かるように非常に消極的にこれがされてあるというところが、少し本員は腑に落ちないのでありますが、従いまして、民生委員協力内容、即ち従来「求められたときは一とあるのを、わざわざ削られたのでありますから、幾らか清新濃刺たる協力態勢を要望するものと見なければならない。そこで、でき得ればその協力の具体的な内容をこの際明らかにして頂いて、そして民生委員協議会あり方につきましても、当局が期待しておりまする線はどういうところにあるかということも明確にしておくことがいいのじやないかと思いますので、この点を一つお尋ね申上げておきます。
  24. 安田巖

    政府委員安田巖君) お答え申上げます。  初めの民生委員職務内容と申しますか、協力の範囲と申しますか、そういうことの御質問でありますが、今度の改正重点は、只今山下委員が仰せになりました通りでございましてそういう点を実は重点といたしたわけでございます。ただそのほかに、御承知のように、一昨年の十月に福祉事務所ができましてから、民生委員の権限が具体的に変つて参りましたことは事実でございまして、従来の市町村補助機関から協力機関に変つたというのが一番大きな問題であります。ところが、それに伴いまして民生委員法改正しなければならん問題が一つつたのでございますが、まあいろいろな事情でそれが今日はできなかつたというような実情でございます。そこで、先ほど参考人のかたからも御説明がございましたけれども、どうもやはり福祉事務所の側におきましても、或いは民生委員の側におきましても、自分たちが一体どの程度仕事をやり、協力をしたらよいかというようなことがはつきりいたしません。そういうことで、区分の上で、もやもやしておつたことは事実であります。それからもう一つは、中には非常な誤解がございまして、厚生省民生委員法というものをその後改正をいたさないというようなことで、どうも厚生省民生委員というようなものを相手にしないのではないかというような、非常な危惧を持つておられる向きもございます。まあそういう意味で、只今山下委員が御指摘になりましたような改正の要点でありますけれども、同時にこういうふうに法律改正なつたということで、民生委員さんのほうにも、何と属いますか、非常にこれではつきりしたと、我我も大いにやりたいというような気分が出て来るのではないか。そこも私はこの法文に現われない大きな重点ではないかというふうに考えております。  それから、この職責の問題でございますが、福祉事務所ができまして、公的扶助につきまして福祉主事が責任を持つというこの前提は変らないのでございますけれども、併し、民生委員さんが協力して頂かなければなりませんことは、実はたくさんあるわけでございます。被保護者、被養護者発見というようなことにつきましても、これは民生委員さんにお願いしなければならんような点が多々ありますような実情でございます。或いは、その他公的扶助を受けた以外でも、ボーダー・ラインの層の人がたくさんあるわけでございます。こういうかたがたは、何かの契機によりまして被養護者のほうに落ちて来るわけでございます。そういう人たちに対する指導というようなことにつきましては、これは民生委員さんに期待しなければならん点が多々ございます。まあいろいろそういうような点を考えておる次第でございまして、なおこの法律が施行されましたならば、そういう点につきましても、私どもは更に具体的な点を考えまして、一緒に仕事をやつて参りたいと思つております。  それから、協議会任務が積極的でないというようなお話がございましたが、私ども別にそういうつもりはなかつたのでございまして、若しそういうふうな御気持を持たれるようなことが書いてございましたら、誠に申訳ないのでございますが、従来の民生委員協議会任務を成るべくそのまま活かしたいという気持でございます。  なお、そのほかに「民生委員職務に関して福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当ること。」というようなことも書きましたし、それからなお又「市町村長及び福祉事務所その他の関係行政機関の職員は、民生委員協議会出席し、意見を述べることができる。」というような規定はつきり書きまして、なお又「市町村区域単位とする社会福祉関係団体組織に加わることができる。」というようなことも書いてあります。  最後にお述べになりましたような点は、先ほど中川参考人からお話がございましたけれども、現在の市町村における福祉事業というものは、市町村社会福祉協議会というものがございまして、市町村における関係者、或いは市町村当局、その他学識経験者が、すべて自分知識経験その他持つておるものを出し合いまして、その地域をよくして行こうというふうな考え方で進んで来ておるのであります。併し、片方には又民生委員組織がございまして、民生委員さんの力というものが非常に強いということは事実でございます。これも福祉協議会の中で民生委員さんがよほど本気になつて働きを願いませんと、福祉協議会のほうも私はうまく行かんのではないかと、こういうふうに考えております。又同時に、そういう力を持つたかたぞれが福祉協議会と別にお働きをなさいましても、これ又同じ町村でありますからうまく行かない。そこでこういう規定を入れまして福祉協議会趣旨を活かして、なお又民生委員さんのかたがたも従来の立場から更に広い視野に立つて当該市町村におけるところの、そういつた仕事を立派にやつて頂きたいというような趣旨が入つております。私どもといたしましては、そういう意味で、消極的と申しますか、まあいろいろ前に書いてございましたことよりは若干新味を持たしたようなつもりで実は案を作つたのでございます。
  25. 山下義信

    山下義信君 大体御趣旨は了解できるのですが、丁度社会局長の御所管ですから、今の点でもう一つ承わつておきたいと思うのです。現在の社会福祉事務所、従つて社会福祉主事、その社会福祉主事社会福祉事務所活動状況がどうであろうかということをいつも関心を持つておるわけであります。換言いたしますというと、あの制度でこの生活保護業務というものが完全に遂行されつつありや否や、社会福祉主事も定員数設置せられてある、又その人よろしきを得てある、又その活動も万遺憾なく行われつつありや否やということも承わりたいのであります。或いはそれらの設置が不十分であり、又その活動にとかくの批判があり、手落ちのようなことが若しありとするならば、或いは手落ちというと語弊があるが、十分でない、社会福祉主事のみを以てしては、社会福祉事務所のあの組織のみを以てしては、この段階においては完全とは言い得られない。いわんやサービス等においておやということになりますると、この際求められてということを削りました意義を活かす上におきましては、十分に協力させなくちやならん。私はそう思うのであります。それで殊に実情にややもすると沿わないような事例等が起きて、殊に漏給等のようなことが頻々として各地にあるというようなことがありましては、生活保護業務の上に遺憾な点もあるわけでありまして、一方翻つて行政当面の社会福祉事務所並びに社会福祉主事の今日の組織状況の上において、相当民生委員の積極的な協力態勢を求むる必要がありや否やという点について、御当局の御所見を承わつておきたいと思うのです。
  26. 安田巖

    政府委員安田巖君) お答えいたします。現在も福祉事務所がやつておりまする仕事が完全に行つておるかどうかというお話でございますけれども、私どもいろいろ骨を折つてはおりますけれども、まだ不十分な点が多々あるということを申さざるを得ないと思います。と申しますのは、人員が足りないということが一つございまして、ここで二十八年の一月の調べによりまするというと、市部におきましては私どもが求めておりまする基準に対して一〇二・八%職員を充足いたしておりますけれども、郡部におきましては八八・二%でございます、平均いたしますと九二%ぐらいになるのでありますが、まだもう一息だというような状況であることは事実であります。従いまして個々の福祉事務所におきまして、そういう人員の不足或いは仕事の量が多いものでございますから、過労のために病気になつた者等もございますので、そういう点で私は必ずしも御満足の行くような状況でない所が相当ありはしないかということを実は心配いたしております。併し、御承知のように福祉事務所ができましたのは何しろまだ一年半ぐらい前でございますから、もう少しやはり新らしい制度でございますので、長い目で見てやらなければならんということも考えなければならん。で、一昨年の十月当初或いは昨年の前半期等と比べますと、最近はまあ充足状況もだんだんよくなつて参りますし、仕事にも慣れて参りまして、非常にいい成績を挙げている所が殖えつつあるということを実は私ども喜んでおります。併しいずれにいたしましても民生委員かたがた、こういうかたがたは社会的な地位もあり、経済力もございますし、或いは又多年そういう仕事に従事されました御熱情、御経験等も十分でございますので、そういうかたがたの御協力というものは私どもは十分一つ仰がなければならん、又福祉事務所の職員にも私言つておるのでありますけれども、まあいろいろやはりおのおの特長があるのでございまして、福祉事務所の職員は若くて、そうして技術とか知識とかいうようなことにつきましては、いろいろまあ最近新らしい教育を受けておる、そして又最近要求されますような細かい基準を当てはめるというような仕事は、これ又民生委員さんにお願いしてもこれはできないことでございます。で、私はお互いに一つ秀れたところは尊敬し合つて頂いて助け合うというような気持になつて頂くことが第一だと、そういうふうなことを私は福祉主事のほうに申しておるようなわけでございまして、今後この法律ができますというと、いろいろと従来の行掛りというものがこれで一応ピリオッドを打たれますからして御期待のような点はうまく行くのではないかと、こういうふうに考えております。
  27. 山下義信

    山下義信君 当局がその点率直に所見を披瀝されましたことは、私は非常に多とするのであります。どうか十分今の御趣旨民生委員を御活用願いたいと思うのであります。私は思うのに先ほど参考人の述べられた中で非常に重要な点があるのは、社会福祉事務所民生委員にときどき相談してくれるところがある、こういうことなんです。或いは民生委員意見を十分取入れてくれるところがある、まあ大体においてはスムーズに行つていると、こういう御陳述があり、非常に安心するわけなんでありますが、そこで非常に大事だと思われるのは、従来民生委員協議会におきましては、相当いろいろなことの決定につきまして重大な役割をいたしておつた。今度その協議会折角存続させられた、これは当局の親心だろうと私は推察する。で、そこで例えば第二十四条の一項の第三号で「民生委員職務に関して福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当ること。」、こういうことがある。連絡とは何をするのかということなんです。それで連絡という言葉はいろいろに解釈できるわけなんでありますが、いろいろこの改正案につきましても、又当局は詳細な御指示や施行についてお示しがあることだろうと思うのでありますが、折角この三号等が置かれてあるのでありますが、この連絡ということも相当私どもは解釈を意義ある解釈にして頂きたいと思う、こういうものが当局が心配されるように、行政機関になつてもいけず、曾つてのようなことでもいかんが、折角置く以上はそれが無意味な機関では、民生委員個人の積極的協力意味をなさんのです。それで先ほどちらちら出た言葉に本員はこれはヒントを受けたのでありますが、正式に相談はしなくても、相談と言つても従来民生委員保護決定に相当する力があつた、そういうことに近づくという意味でなしに、社会福祉事務所仕事を円滑に万遺漏なくやつて行く上において、相当これを用いる、できるだけ弊害のない程度に用いるといういろいろなケースにおいて、民生委員の智恵、経験や識見を参考にしようというようなことを相当活溌にやる、それで調査やその他のことも言うまでもないことであるが、よく意見を聞くというようなことを、指導の上において、運営の上において、いささか従来の眠つている現状から、非常にいい意味協力態勢を期待して行くということになりますと、これはときどき、本員はときどきという言葉を使いますが、できるだけしばしばときどきなんです。これは一つ大いにこの個々の「連絡に当ること。」というこの意味も広義に深く解釈されまして、進んで当事者のほうでも意見を求められるように、諮問するという言葉は使いたくないんでありますが、できるだけ活用されるということになりますと私は非常に違うと思う。それでそこの限界が非常に微妙でありますが、私はそれ以上表現に苦しむのでありますが、わかつている。当局者と私どもともわかつている。これは参考人担当職員にもわかつているのでありますが、そういう点につきましての当局の今後の御指導方針というものを私は承わつておくほうがいいのじやないかという気持がするので、あえて質問の形で御所見を求めておきたいと思うのです。
  28. 安田巖

    政府委員安田巖君) 折角山下委員が非常に微妙な表現を用いられて御質問になりましたのを、私、又率直に申しましてお気に障わるかも知れませんけれども、まあこの保護の責任というものでございますが、これはやはり一つはつきりしておかなければいかんと思います。従いまして協議会保護の開始なり廃止、停止をする場合にかけなければやれないというようなことにつきまして、御希望のある向きがあるやに聞いたこともあるのでございますが、これは私どもはそういうことを、この法改正によりまして、いたすつもりは実はないのでございます。併し従来も、先ほどからいろいろ皆様も申述べられましたように、ややもすると民生委員保護の実施機関との間の連絡協調というものがうまく行つていない。そこで、例えば一番連絡協調のやりいいのは、こういう定期的に開かれるところの協議会等に出席することが一番であります。で、今度の協議会任務の中に、実はそういつた実施機関のほうの側も出席することができる。と同時に又協議会のほうも連絡に当るのだということを言つておるのは、実はそういうことなんでございますが、でまあ、いろいろ民生委員さん、皆立派なかたがおられるわけでございますが、中には又選挙等によりまして半数以上変るというようなこともございますし、まあいろいろな問題がある場合もございますが、例えばこの協議会福祉事務所の人が出席いたします。そうして、どこそこにこういうふうな困つた人があるのに、あれを放つておいちやいかんじやないかというような話が出る場合もございましよう。或いは、あすこのところへこんなにたくさん扶助をしているけれども、あすこの家ではこういうふうな儲け口があつてつているというような話もすることができるかも知れません。それから又福祉事務所のほうの職員が出て行きまして、最近のいろいろな問題につきましてお話をすることが、民生委員さんが職務を執行して行く上に非常に参考になるということもありましよう。そういうふうに実際的にはいろいろな問題があると思います。とにかく、お互いに出て話合うということによりまして、私はそういう点がうまく行きはしないか、こういうふうに考えておる次第でございます。御質問に対しまして、御期待に副うような答弁ではないかも知れませんけれども、そういうようなことでございます。
  29. 山下義信

    山下義信君 いや、それでいいのです。私は誤解してもらつちや困る。民生委員仕事を、補助の決定に成るべく喙を容れさせるようにしたらどうかという意味言つているのじやない。それとは似て非なんです。そうじやない。それで、今の保護の責任ということは、もう言うまでもないことです。従つて協力というのですから、それでその協力ということをする、個々が協力するのだが、個々が協力するというものの職務の便宜上に協議会という一つの集合団体を法律が認める。法律が認めるならば、私が最初に質問をいたしましたように、民生委員のその積極的協力を、その職務の遂行上便宜のいい一つの段階的な協議会という機関を認めるのです。これは飽くまでも民生委員協議会であつて、これは行政機関でもなければ補助機関でもない。それがこの民生委員協議会というものも協力機関でなければ平仄が合わん。個人に協力させるのだ。それで、その個人の民生委員が集まつた協議会も、これも協力機関でなくちやならん。ところが、今度協議会というものに強力な性格を持たせるというと、非常にそこに重大な疑義等が生じては相成らんのである。これが行政機関的なものにもなつてはいかない、補助機関的なものになつていかない、こういう考慮がなされて、個々に連絡であるとか、いろいろその他の民生委員自体の処理機関とし、そこに関係行政官吏が出席をして意見を迷べられることができるようにできておつて、この程度にされてある。これもその趣旨趣旨で通るのであります。従つて私が言うのには、こういう協議会等において、いろいろむずかしいケース、今局長の答弁されたうちにもあるわけなんです。あらゆる場合にというのではない。できるだけ福祉主事等が思案に困る、言換えますれば、法の決定者が迷うといつたような事例、或いはアンバランスになつているような事例といつたようなことがあるときは、大いに協議会に、できるだけ、そこが連絡というのか、公式に諮問せよというのではなくして、十分連絡を緊密にすることが民生委員協力態勢を、職務を積極化する上においていいのではあるまいか。そういうふうに解釈して誤りないでしようかということを私は伺つたのでありまして、前段局長の憂慮せられまするような、補助の決定に容喙をするところまで一部に要望せられる、それらの意見とは本員は本質的に違うのです。そういう趣旨で申しましたのでありますので、重ねて御答弁は求めませんが、そういうふうに十分の御考慮を得たいと、私はこう思う。  最後に一つ伺いますのは、協議会の設置の費用等はどういうふうになるのでしようか。それから費用のことを尋ねましたから、ついでに民生委員指導訓練費というものは今どうなつておりますか。昭和二十八年度の予算ではどういうふうになつておりますか。又将来増額するというような考えがあるかどうか、今参考人民生委員指導訓練について十分やつて行きたいという要望があつたのですが、昭和二十八年度には民生委員指導訓練費を幾ら当局は計上しており、将来これを十分強力にやつて行く上において、予算の増額の必要があるかどうかということです。それから民生委員協議会の経費関係はどうなつているかという点を二点だけ承わつて置きたいと思います。
  30. 安田巖

    政府委員安田巖君) 民生委員協議会の費用は、現在は都道府県が支弁をいたすことになつております。この費用につきましては、平衡交付金の中に入つておるわけでございます。  それから今度、只今審議つております法案によりますというと、予算の範囲内でその一部を補助することができるということになつておりますが、二十八年度の予算には実は入つておりません。
  31. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を止めて下さい。   (速記中止〕
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや速記を始めて。
  33. 山下義信

    山下義信君 今の関係の予算のことを承わつたのでありまするが、明年度の厚生省予算にはないということであります。平衡交付金のほうに関係費目が計上されてあるということでありますが、これは民生委員法によりますというと、今度の改正案によりましても第二十六条と第二十八条の関係から申しますと、厚生省予算にないということは私はおかしいと思う。おかしいばかりではない。法律規定から行けばこれは「補助することができる。」とあつて当然国の補助というものも計上されていなくちやならん。折角民生委員法というものをこういうふうに大変いいほうに多年の要望に副うて改正せられました以上は、政府といたしましても民生委員活動の上に国費の負担を考えるということは当然であると思う。当局に要望しておきますが、私はこの際社会局長も本員と同様に考えられますかどうか、今のままでよろしいかどうか、そういう点を、局長の意見をこの際求めておきたいと思います。
  34. 安田巖

    政府委員安田巖君) 民生委員指導訓練に要する費用につきましては、関係当局協議いたしまして努力をいたしたいと思います。
  35. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御発言ございませんか……。それでは本日は本案につきましては一応この程度にいたします。  参考人のかたに申上げますが、お忙がしい中をおいで下さいまして、いろいろ御発言願いましてありがとうございました。   —————————————
  36. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 引続きまして食品衛生法の一部を改正する法律案についての質疑を続行します。これにつきましては、今日は大蔵省の大村主計官が御出席になつております。それから厚生省は楠本環境衛生部長が見えております。
  37. 一松定吉

    ○一松定吉君 藤原委員質問することになつてつたようですが、今ほかの委員会に出ておるので私要点だけ質問しておきます。  ほかでもありませんが、この輸入食品に関しまする検査に従事する人々の知識経験の十分でないことによつて、食料品の検査が不十分であり、若しくは人が少いがために検査が十分に行われないということで、不良食品の発見に支障を来たし、従つて不良食品を八千五百万同胞にこれを配給する結果、或る者は死亡し、或る者は疾病に冒されるというような重大なる結果を招来することは、厚生省から我々に配付されたところの「輸入食品の全品検査の制度の必要性について」という雑誌のうちに明らかになつておる。そこで問題になつたのは、そういうような輸入食品を検査する機関を拡大し強化し、人物等も適当な人を配置して、万遺漏なきを期する必要があるのではないか。これについては人員の配置、人員の増加、それからそれらの知識経験を持つている有能な士、こういうような者を配置し、海外に出張せしめるについて、十分相当の予算がなければならんのに、本年度の予算等について、そういうことが十分でないように思われるということが、昨日この委員会で問題になつていたのです。それについて、大蔵当局のそういうことに関する予算の支出についての一つ意見を承わつて見たいというのでおいでを願つたのですが、それを一つ説明なすつて下さい。
  38. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 輸入食料品の検査につきましては、実は二十六年の八月以来厚生省におきまして相当やるようになつております。それまで御承知通りいろいろ事故もあつたのでございますが、その後に厚生省におきまして輸入食品の衛生検査をするようになりましてから爾後は、相当減つて参つたと存じております。而も二十七年度に入りましてからは、従来輸出入食品につきましては、輸出食品検査のほうは、輸出食品取締法等の関係もございまして重点を置いてやつてつたのでございますが、これは二十七年度に入りましてから、相当輸入検査のほうに重点をおけるようになつておりまして、現在では輸入食品の二五%程度は衛生検査を実施しておられるようでありまして、大体この程度ですと、衛生検査の上から行きまして、或る程度円滑に行くのだというふうに私ども了解しております。勿論只今質問通りに、食品検査につきましては、全面的にやりますことが最も完全でございます。それがいいのでございますが、それをやります効果と、それに要する経費と手間とを勘案いたしまして大体現在の程度でほぼ目的は完遂できるというふうになつておりますので、二十八年におきまして、千百万円程度の予算を計上してございます。  それから職員の増員等のお話もございましたが、この点につきましても一応現在の職員で以て二五%程度、一応或る程度満足の行く検査ができておるように了解しております。
  39. 一松定吉

    ○一松定吉君 これはあなた、実情本当によく承知しておつてそういう答弁ができるのですか。若しそうであるとすると、この厚生省の我々に配給した資料というものは、まるで嘘の資料を我々に配給したことになる。この第六ページで……お持ちになつておりますか。
  40. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 今朝配付されました……
  41. 一松定吉

    ○一松定吉君 この第六ページの四行目から「輸入食品は、こうした食品検査一般についての制約及び限界に加えて、現在の検査制度、これに伴う人員及び予算措置等の下では必要件数の一割程度について検査を実施し得るに過ぎず大部分の輸入食品は何らの検査も受けず、消費者の手に渡されている実情であつて、その安全性を保障し得るのは極めて狭い範囲に限られるものであることを知らなければならない。  従つて将来、輸入食品による事故を出来るだけ少くするため、税関検査等の如く、日本に輸入ざれる食品について全品目に各輸入事例毎に捕捉し、検査する検査制度を確立することが必要であり、不可欠であると言わねばならない。」こういうようにやつて、つまり今のような制度の方法では必要件数の一割程度よりほか検査ができないというのです。だからして大部分の輸入食品については何らの検査も受けずして消費者の手に渡されておるという実情だと言う。そこでこういうような弊害を除去するためには、税関検査等のごとく、日本に輸入される食品について全品目に各輸入事例ごとに捕捉し、検査する検査制度を確立することが必要であるから、そういうようにしなければ完全の検査ができない、こういうことで、この厚生省の我々に配付した資料には、あなたの今のお話であるとすると、検査はここで、今の人員で十分であり、予算も一千一百万円もあればいいのだということで、これで果して責任を持つた答弁と言えますか。それを場一つお伺いしたい。わからなければ、わからんと言つて、或いは調査が不十分なら不十分だと言つて厚生省がそういう資料を配付しておるならその点についての具体的な調査をするとか、調査をした上で適当な時期に答弁をするということなら我々は了解するのだが、然るにあなたのように、厚生省のこういう資料を抹殺して、予算も一千一百万円あれば十分である、人もそれでよろしいというようなことでは、まるで我々は狐につままれたような話を聞くことになる。もう一遍一つ答えて下さい。
  42. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) この厚生省の配付された資料は、これは昨年の今頃にお作りになつたのだと思います。只今輸出入食品検査をやつておられますのは、輸出と輸入と両方やつております。従いまして、或る程度最近では私ども輸入のほうに相当重点を置いて来ておるように了解しております。従いまして必要件数の一割というのは当時の資料によつて書かれたのだろうと思いますが、最近では二五%程度つておるのだと了解しております。
  43. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 只今厚生省で発行いたします資料の点に関しまして、大村主計官のお話との間に若干の食い違いを御指摘されたわけでありますが、只今大村主計官からも御答弁がありましたように、この資料は昨年の資料でありまして、その当時はまだ輸出検査を重点において実施をいたしておりました。と申しますのは、占領直後から、私どもといたしましては輸入検査を実施いたしたかつたのでありますけれども、これはGHQの関係等もありまして、その実施に至りませんでした。その当時はすべて輸出検査一点張りで実施する態勢で職員を確保しておつたのであります。併しながら考えてみますると、国内の公衆衛生の観点からいたしますれば、輸出検査よりもはるかに重要なものは輸入検査でありますので、たまたま二十六年になりましてGHQの了解を、求めまして、初めて輸入検査を実施することになつたわけであります。その後輸出検査のほうにつきましては、これ又GHQの了解を求め、又一方では占領政策が解除されましたのを機会に輸出のほうを大幅に削減をいたしまして、現在は極めて僅か、限られた輸出検査だけを実施いたしておりまして、その余りました人員、職員、挙げて輸入検査を実施いたしておるのであります。従いまして現在では只今御答弁がありましたように、二五%程度を必上要品目について実施をいたしておるのであります。従つてその資料の食い違いは古い点でありますので、どうか一つ御容赦を願いたいと存じます。
  44. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうするとますます私はおかしくなるのだが、厚生省から我我が渡された資料によると、十ページの次に輸入食品全品目検査実施要領(案)というのがついておる。この案について、その案の一番お終いには「国立輸出入食品検査所及び支所の設置につき国会の承認等を求めるほか、厚生省設置法の改正を行う。」とある。そうして七に、「本検査は 年 月より実施する。」とある。こういうことはまだ行われておらんのじやないかね。行われておるのならおるように正しい資料を我々に渡さなければ、こんな行われてもおらんような要領の案を作つておいて、そうして実際に行われておるのだという答弁をするのはどういうわけだ。
  45. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答え申上げます。只今指摘の点はいちいち御答弁申上げますが、私どもが昨日もこの席でお答えを申上げましたように、理想から申しますれば、全品検査をいたしますことが最も安全であるということは昨日申げた次第であります。ただ国家財政等の観点からそこまで行かなくてもいいのじやなかろうかというわけで、その後現在のように決定をいたしたわけであります。併しながら私どもといたしましては、勿論理想は全品目検査にありますのでこの資料を作りました。昨年の約一カ年前にはこれらの点について研究をいたしておつたわけであります。従つて、そのときのいわゆる資料がここに出まして甚だ恐縮をいたしておるわけでありますが、この点を一つ御了承頂きたいと存じます。
  46. 一松定吉

    ○一松定吉君 ますますおかしくなる。そうすると何ですか、これも反古になつたというのですか。
  47. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 反古というわけではございませんけれども、これは理想的の案としては、私どもは現在もこのように考えておりますが、ただ私もこの資料がお手許に行くことは意外であつたのでありまして、何かの間違いで、半ば反古同然の資料がお手許に配られたと、こういうことになります。ただ問題は、恐らくこの資料は今までどれくらい輸入食糧によるところの事故があるかという実績がここに表になつて書き流されておりますが、かような点につきましては、これは実績でありますからして、今も変るところはないのでありまして、かような参考資料に資するためにお手許に行つたものかと考えておりますが、……。
  48. 一松定吉

    ○一松定吉君 それなら私希望する。こんなものを以て我々論議するのは無用ですから、今あなたがおつしやつたような、最近の現実に即した資料の御提出を求めます。その御提出になつたものでこの問答を続行します。反古のようなものを委員に与えて、これを基礎にして我々が質疑するなどということは、我々議員をまるで愚弄するようなものではないか。今あなたのおつしやつたような、現実に即するような輸入食品検査制度の必要性について調査資料をここに提出してもらいたい。現実のそれを元にして質問しなければ役に立たんじやないか。この質問はこの程度にとどめます。一体そんな反古同様のものを我々に与えて、それを資料にして我々が質問する、昨日からそのことについて質問したことは反古になる。その資料の提出を急速に求めるということで、この法案審議はそれが出るまで私は中止してもらいたいことを動議いたします。谷口さんどうです。
  49. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 異議ありません。
  50. 一松定吉

    ○一松定吉君 さように願います。無用な、君のいうような反古のようなものや、まるで嘘のものを議員に対して出して議員がそれを元にして議論することは……、それはもう過ぎ去つたことである、今進歩している、その進歩している資料をお出しなさい。
  51. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 今一松委員の御要求の資料直ぐあなたのほうで出して頂けますか。
  52. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 弁解がましくなりますが、実はこれは厚生省としては全く関知しない間に出て参りました資料でありまして、かような点につきましては如何にしてこれが流れたか、目下当局において調査をいたしております。従いまして、これは決して、これを以て参考資料に差上げた意思は毛頭ないのでありまして、参考資料は別にお手許にかねて法案提出と同時に参考資料として、法律案参考資料としてかような品物を差上げてございます。
  53. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと速記止めて。    〔速記中止〕
  54. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて、それでは本日はこの程度にいたしまして散会いたします。    午後零時二十六分散会