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1953-03-03 第15回国会 参議院 厚生委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月三日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            中山 壽彦君            堂森 芳夫君            谷口弥三郎君            一松 定吉君   委員外議員            木村 守江君            竹中 七郎君   政府委員    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   参考人    広島医師会代    表       原田 東岷君    長崎医師会代    表       光武 種助君   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (保険医監査に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今から厚生委員会を開きます。  今日は社会保障制度に関する調査の一環といたしまして、保険医監査につきまして、参考人として広島医師会代表原田東岷君長崎医師会代表光武種助君の御両君を煩わしております。  なおこの保険医監査に関する問題につきましては、国会に対して陳情書が出ております。まだこれは委員会に付託にはなつておりませんが、陳情を受けております関係もありますから、早晩こちらへ付託されるものと考えております。順次参考人の方の御発言を願いますが、御発言を願う前に当りまして、ちよつと私から御挨拶を申上げておきます。参考人の方遠方をわざわざ御苦労願いまして、誠に有難う存じます。広島県並びに長崎県から厚生委員長宛にもいろいろ陳情書が出て参つております。又私信で会長からもいろいろ事情を承わつております。どうぞ先般来の監査の件につましてのいろいろの問題、その他相当問題があるのでありますから、これについて詳細に御陳述を願います。のみならず又この保険医指導監査につきましては、医師会側としていろいろの御意見もあろうかと思います。併せてそういう点も承われば非常に結構だと存じます。  それではどうぞ広島医師会代表原田東岷君から御発言を願います。
  3. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 私広島医師会原田でございます。医師会保険担当理事をいたしております。このたびは広島県の監査問題につきまして陳情いたしましたところ、早速御採択を頂きまして、本日我々の陳情をいたしますることを御審議願うということを、厚く御礼申上げます。  さて陳情書につきましては、本日は敷衍御説明をいたし、できますれば我我意見をお聞き取り願いたいと思うのであります。順序といたしまして、お手許に広島医師会から発行いたしておりまするところの医師会速報というものがございます。この五十六号と五十七号に、この事件の前後の事情が詳しく書いてございます。その五十六号の三頁に、陳情書の全文が載つております。五十七号の一番終いの頁に、医療協議会に本問題がかかりましたときの、私が広島医師会長答申いたしました実情調査の総論が載つております。それから同じく第五十七号の三頁に、医療協議会答申が載つておりますが、答申最後建議をいたしております。県知事に対する建議をいたしております。それも御参考にお読み願いたいと思います。  ざて昨年十月に広島県において行われました保険医指導監査でございますが、この監査が非常にひどいものであつたということを先ず申上げたいのであります。我々が指導監査という名前において把握いたしておりまするところの概念を遥かに逸脱いたしました、甚だしく非民主的な監査であつた。そのために広島県の各地からこうごうたる不満の声が上りまして、こういうふうな監査が行われるのであつたならば、広島県の保険医は安んじて医療に従事することができないという訴えが、広島医師会代議員会の席上で訴えられました。その声に応じまして我々はここに陳情いたすことになつたのであります。  この前後の事情について申上げます。広島県におきましては、すでに昭和二十五年秋、即ち十月頃から従来の保険課医師会の協調の態勢が崩れて来た、意思が非常に疎隔して来た。と申しますのは、保険医指導とか、或いは審査、そういう面におきまして医師会を排除して保険課だけで行おうとする意図が現われまして、我々は当惑したのでございます。その後一昨年十月に広島県の地方監査がございました。そのとき或る保険医の見た患者さんで、これは中野八十八という患者さんを保険課の方が調べに行きまして、この人が畑に出ておりましたところをつかまえまして、いろいろ受診状況等について聞いたのでありますが、そのあと白紙を出しまして、その末尾に判だけ押してくれ、こういうことを要求したのであります。その方は偶然警察官でありまして元警部補を勤めた方でありまして、白紙に判を押すということは我々はまだ聞いたことがないが、どうなるつもりであるかということを質したんだそうであります。ところが、我々は役人だから決して悪いことはしないんだから、今聞いたことを帰つて清書するから判を押しなさいということを言つたのであります。併し白紙に判を押すということはあと責任を負いかねるという旨を申して、ついに判を半ば強制的に押さされたのでございます。その後にその係員の方が帰つて調書を作られたのでありますが、後に非常にそれが誤つていたということがわかつたのであります。内容が非常にゆがめられておつたということがわかりまして、我々は保険課長にこのことを抗議を申入れました。保険課長も以後絶対にそのようなことはしないように、摘発的な監査はやらないということを約束されたのであります。ところが翌年の昨年十月、今度は厚生省監査があつたのであります。そのときのことをやや詳しく申上げたいと思います。昨年の十月二十二日厚生省高塚技官長崎県を経て広島に来られた。そして監査が行われるということを数日前に我々は知り得たのであります。その監査に先立ちまして、保険課長は課員を督励して十三、四名の保険医の診療した患者数百名について事前調査行なつております。どういう調査をしたかと申しますと、その患者の所に参りまして、近い者でもニカ月前、古い者では十一カ月前の患者につきまして、病気が何であつたか、いつからいつまで見てもらつたか、どういう注射とか内服とか、注射を何回やつてもらつたか、そういう点について詳細に聞き取りをされたのでありますが、患者は古いことでありますので、正確なことはわかりませんがという前提の下に証言をし、或いはこの証言をお断りした者もあるのでありますが、とにかく調書を作る必要があるからと言つて調書を作り、捺印して出しております。併しその際に多くの場合においてどういうわけかわかりませんが、身分を明らかにされなかつたことが多いのであります。従つて患者のほうでは税務署の役人が来た、こういうふうに誤認して、その先生に迷惑がかかつてはいけないから見てもらわなかつたとか、或いは余り診療を受けたような覚えがありませんとかいうように、あいまいに言葉を濁した人もあります。又保健所から結核戸別調査をしに来たかと誤まつて自分が結核であると就業停止をされはしないかという慮りの下に、その結核にかかつた事実を申立てなかつたという例もあります。又その調査目的というものが多少ともあいまいにされておりまして、これがどういう結果を起すということは一切殆んど言われておらなかつたのであります。又調査行つた係員の方は、大抵二十才から二十五才ぐらいの若い所員でありまして、医学的の知識は全然ない人が多いために、我々から見れば一目でわかるような滑稽な誤りが、聞き間違い、調べ間違がありまして、それはいずれも違反の烙印を押されて調書に書かれているのであります。又患者は騒音のある事業場の片隅とか、或いは廊下、或いは道端で尋問されておりまして、甚だしい場合に至りましては、本人が留守でありまして、奥さんが代つて多分このくらいの治療を受けたのじやないでしようかといつたことが、本人証言として捺印の下に提出されている、それが違反の事実として挙げられている、こういう事実もございます。ここでちよつとお伺いするのでございますが、その事実の一々証拠をここで提出するのでございましようか、ただ一応お話して、必要によつて提出したらよろしうございましようか。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 一応お話願つて、あなたのほうではそれについての事実のなには、証拠書類はお持ちになつているわけなんですね。
  5. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 持つております。
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや又あとで御提出願うといたしましよう。
  7. 原田東岷

    参考人原田東岷君) はあ。こういう調査が非常に秘密のうちに行われまして、それが集計されまして、その調書に書いてある診療内容と、その保険医が提出いたしました請求書内容との食い違いというものは、全部不正事項として掲げられているのであります。
  8. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと御注意申上げます。若しあなたが御説明なさる上に、一々の個々の例証を引いて御説明なさるほうが都合がいいようなれば、その証拠書類を同時におやり下されば結構です。
  9. 原田東岷

    参考人原田東岷君) はあ、じやちよつとこれを……そうしてこういうふうな厖大な資料にでき上りまして、そうしてこれは先ず厚生省に持参されまして、厚生省意見によつて大体の求刑というものが……求刑と言いますか、要求取消とか戒告とか、そういうふうな求刑意見保険課長が聞いて帰つて、それを医療協議会に提出されたのであります。  ちよつと前後いたしましたが、監査の当日の模様を申上げたいと思います。監査官高塚技官は前日に到着されて、翌日の九時から監査を始めるということになりまして、直ちにその日に各保険医通知が送られたのでありますが、その後に至りまして予定が変りまして、午後からやろうということになつたのでありますが、この予定変更通知保険医には通知されなかつた。多くの保険医は朝九時に参りまして午後の二時三時まで待たされておるのであります。それに対して医師会代表といたしまして、私は医師患者を持つておるのであるからこういうふうな時間の変更のあつた場合には直ちに通知をされるべきではないかということを抗議したのでありますが、そんなはずはありませんということで一言の下に黙殺されたのであります。先ず第一の保険医が呼び出されまして、石井という若い保険医でありましたが、高塚技官はその人のカルテ請求書とを暫らく見ておりまして、又保険医の顔を睨みつけて暫らく、五分間くらいおつたのでありますが、いきなり、何でこんな悪いことをするのだ、ここへ嘘を書いてあるじやないか、こういうふうにきめつけたのであります。従つて保険医は何のことを言われたのかわからないで、目をぱちくりしておつたのであります。そうすると続けて、この患者は片側しか気胸をしていないのになぜ両側やつたように嘘を書いたのだ、こういうことを言われた。保険医は急を衝かれたので初めは何のことかわからなかつたのでありますが、そういうはずはないということを抗弁いたしました。併しながら矢継早に非常に憎悪に満ちた面持ちで叱りつけられた、こういう実情でございます。従いまして保険医は何を言つているかわからない、真青な顔になつてぶるぶる震えておつたのでありますが、余りのことに私も非常に憤慨いたしましてその監査の休憩を求めまして、保険課長に今までこういう非常識監査を受けたことがない、事実がこうではありませんか、ということを一言も質さずに、なぜこんな悪いことをしたか、こういう非民主的な監査はないと思う、こういう屈辱を受ける理由はないから即刻監査をやめて頂きたい、私の責任においてほかの保険医は本日は帰つて頂きたいと思う、こういう申入れをしたのでございます。それに対して保険課長は、全く私も横で聞いていてはらはらとしております、余りひどいと思います。併し私からもそのことはよく申入れますから保険医を帰えすことだけはやめてほしい。こういう発言がありましたので、又会を再開いたしました。併しやはり同じ態度で、変りません。そこで私は技官がそうおつしやつておりますけれども、これは事前調査というものが必ずしも真実ではない、誤つた例があります、と言つて昨年の例を引こうといたしましたが、君は誰だ、発言は許さないと言つてそのまま制止されたのであります。こういうふうにして監査は約十五分で終つて、お前は三カ月ほど医師会長指導を受けろと言つて終つたのであります。併しながらその後に出て来た保険課資料には取消という要求が出ておるのであります。そこらにも非常に我我が不審に思う点があるのであります。そのほか高塚技官の言動については、私は筆記しておつたのであります。一々言葉を筆記いたしたのであります。又あとからほかのところで行われた監査言葉をその保険医並びに医師会長から聞いてここに二、三書いてございますが、いずれも違反容疑に対して質すということは一度もされない。なぜこんな悪いことをしたのだ、ザルブロ一本が十本に分けてあるじやないか、こんなことで俺の眼がごまかせると思うのか、俺は監査で何年も飯を食つているのだぞ、こういうようなことであります。そうして保険医がたまたま恭順の意を表して済みません、済みませんとやつておりますと満足して早く事実だけを叱りとばして終るのでありますけれども、骨のある保険医がそれに抗弁いたしますと、よし、お前がそういうなら、あと三十枚カルテを預かる、ちよつとでも間違いがあつたらどうするか、こういうふうな恫喝的な言辞を以て暗に事故を承認しろというふうに言われたのであります。又その当時は何のことかわからなかつたが、あとで思い出して保険医事情説明に行こうとした場合に、もう手遅れだと言つて歩み去つたという例もございます。要するに想像ができないような非常に乱暴な態度で終始したのでございます。中にも一老医、お年寄りのお医者さんがありましたが、これはあと調べまして全く無実なのでありましたけれども、この人のごときは抗弁したばかりに非常な激しい怒りを買いましてそのためにそのお医者さんがあとで三日ほど寝込んだ、腹立ちの余り寝込んで、こんなことをするなら、死んでも保険医はやらんと言つて辞退届を提出しているのであります。そういうふうになつた叱られたお医者さんの調書をここにお廻しいたします。たつたこれだけのことなんであります。それが監査状況でございます。  その事後処理について申上げますと、その結果は保険課長によつて集計されて、その後の弁明は一切聞かれなかつたばかりか、その日に監査官から何ら質されたことのなかつた事項がたくさん附加えられて、医療協議会の席上にもたらされたのであります。そうして今お廻しした紙の下から三番目に書いてございますが、不正請求内容という欄が作つてございます。不正請求容疑ではなくて、不正請求内容という欄にその保険医が全然関知しない、或いは否定された、又見せられたことも聞かれたこともない事実が多数に列記してあるのであります。それがあたかも本人が認定したような恰好になつて医療協議会に提出されております。その個々の事実につきましては、その後一カ月に亘りまして、私が丹念に反証を挙げております。こういうふうに医療協議会で決定された罪悪として県知事名前を以て、取消七名、戒告二名、注意五名、こういうものが処分諮問事項として医療協議会に示されたのであります。こういうふうな措置によりまして我々次のような疑問が起つたのであります。大体日本国民憲法において基本的人権が保障されております。そして訴えられる場合には速かにその事因を告げられ、弁護機会を持つことができるように了承しておるのでありますが、この医療協議会は法廷ではありませんけれども、今回の監査処理に関しては、全くその憲法精神は蹂躪せられておる、本人は全然知らないことが罪状として挙げられておる、而も弁護機会もなしに断罪されようとしているというところに、非常な我々は怒りを覚えたのであります。要するに保険医日本国民以前のものであるという疑いが起るのであります。なぜかかる悪意のある監査が行われたかということもいろいろ考えてみたのであります。単に保険医狩りというスリルを味うためか、或いはこれを以て医師会の頭を押えるためか、或いはこれを以て一般の保険医を恐怖させて、それによつて保険運営を円滑にし、保険経済を安定させるという意図があるのか、そういうことまでも我々は疑わざるを得なかつたのであります。  次に私は昭和二十四年、二十五年に亘りまして、保険課から委嘱されて、指導監査行なつたことがございます。私はそのときに指導監査の本義に鑑みまして、保険医の方に悪いところは指摘いたしましたが、これはこうじやありませんか、こうなさつたらどうですか、非常に事務量が多くて、これを要求するのは無理かも知れないが、最小限これだけのことは整理しておかなければ義務が務まりませんという指導をいたしました半面において、あなた方の御不満はいろいろありましようが、どういう点が御不満でしようか、治療方針についてもいろいろ厚生省の示めされたものがありますが、それについてどう御感想を持つておられますかというふうに懇談のうちに保険運営について我々は深い示唆をくみとろうとして監査をやつて参りました。その結果、処分に値いする人も出ました、出ましたけれども、その人たちは非常に感謝の念を持つて、今後は絶対に間違いのないようにしますというふうな納得ずく指導監査をやつて来たと私は思つておるのでございます。こういうふうな指導監査と、先ほど申しましたように泥棒扱い監査とその違いはどういう結果をもたらすものであろうか、泥棒扱い監査は果してその保険医自身に対して悔悟をせしめる力があつたであろうか、或いは保険医全体に対して保険医療に対する協力心を呼び起させるものであつたであろうか、こういうふうな点については、おのずから明らかではないかと思うのであります。  以上のような考えから今度の監査が、非常に広島県の保険医社会保険に対する協力精神を阻害したという事実があるのでありますが、今後はそれをどうしたらいいかということもいろいろ考えて見たのでありますが、現在中央において、こういうことがあえて不思議でないという考え方が若しあるといたしましたならば、これは幾ら我我が協力しようと思つても、駄目であるという結論に到達せざるを得ないのであります。従つて保険監査という一つの、小さいことのようでありますが、この問題は社会保障問題全般に亘る重大な要素を含んでいるのじやないかというふうに考えるのでありまして、どうか国民代表であらせられる厚生委員のかたがたにこの問題を深く掘下げて頂きまして、できますれば現地に調査にお出で下さいまして、この問題の本当の盲点をお衝き下さい。将来の社会保障運営の上に、保険医が安んじて医療をやつて行ける方向をお示し下されんことを希望するのでございます。  最後に我々医師は科学的な技術者であります。又生命を救済する担当者でございます。従つて医学がすべての基調になつて、我々は行動しているのでありますが、現在の社会医療は、これは社会医療でありますために当然いろいろな事務的な面もございますし、又経済的な制約もありまして、自由診療と同じようにできるとは思いませんが、それにいたしましても飽くまで医師の本分は、患者を助けるということが主な目的であり、事務はそれに附随するものであるということを深く確信しておるのでありますが、現在の状況では事務が第一であつて医学はどうでもよろしいという考えを持たざるを得ないような段階にあるのではないか、我々は実際どうしていいかわからないのであります。こういう点につきまして、どうか皆様の深い御関心、高邁な指導理念を御教示願いたいと、深く希望する次第であります。
  10. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御苦労様でした。  それでは次に光武君の御陳述を願います。この際ちよつと御報告いたしますが、只今曾田医務局長並びに久下保険局長政府側からこの席に御出席になつております。それから今日は委員外議員として竹中君、有馬君、木村守江君もお出でになると思うのでありますが、の御出席がありますが、必要に応じて発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。  それでは光武君お願いいたします。
  12. 光武種助

    参考人光武種助君) 私は長崎県の光武でございます。このたび監査の件に関しまして、日医を通じてお願いいたしました件がお取上げ頂きまして、御審議頂くことになりましたことを衷心より感謝いたします。只今監査の件に関しましては広島代表より縷々御説明がありましたことと大同小異でございますが、一応長崎県における監査実情その他について申上げたいと思います。で、昭和二十七年の十二月十二日で、長崎県の医師会決議いたしまして、このたび高塚技官によつて行われた監査指導監査言つているが、指導監査ではないこういうふうな非民主的な監査官監査を拒否するという意味の決議をいたしましたのでございますが、その内容について御説明申上げたいと思います。  昭和二十七年の十月十五日から三日間、長崎市及び島原佐世保におきまして、同技官監査が行われたのでございますが、その監査態度に関する結果が、この結果として現われたのでございまして、これは単なる一技官個人的責任に帰するものであるか、或いは又法の不備によつてこういうふうなものが招来されたものであるか、いずれにしても今回のような非民主的、時代逆行的な暴力監査の方法、或いは精神社会保険運営に対しまして将来忌むべき暗影を投ずるものがあるとすれば、これは一官吏の更迭というような単なる操作にとめず、その招来する源泉と称するものを十分に究明してそうして抜本塞源的な方途を確立して頂きたいというふうなことを希望するものでございます。で、監査は前記の三市におきまして、十五名の保険医に対して行われたのでございます。その監査のときにおける同君の態度は明らかに官僚独善、傲慢、非礼、横暴の限りを尽して、常識を逸脱した非民主的の行動でありまして、従来指導監査言つておりますけれども、絶対に指導的の好意は微塵も認められないばかりでなく、極端な摘発的の態度を露骨に示した行為であつたのでございます。で、このたびの監査に立会いました被監査地区の郡市医師会長、或いは幹部は高塚技官態度に対しまして非常に憤激いたしまして、又このことを報告を受けました会員の不満はついに爆発いたしまして臨時県医師会代議員会を開くまでに発展した次第でございます。  今回、この監査に関する決議内容ができ上りましたその拠点となるようなものをお示しいたしたいと思います。先ほど広島県の代表からお述べ下されましたものと内容大同小異でございます。で、監査に当つては、被監査医事故と思われることが、何の冷静的に釈明を求められようとすることもなく、先ず一喝をきめ込んで、そして被監査者が狼狽することを主とし、そしてそれも保険課事前に、秘密裡調査した患者調書医師カルテ、或いは診療報酬請求書と照し合せて一致しない傾向があるときには頭から不正視されたということであります。併しこの患者調書なるものは、患者個々のことにつきまして、数カ月以前の非常に不十分な記憶を辿つて作られたものでありまして、その真実性というようなものがどの程度であるかというふうなことも常識上推測にかたくないところであります。又診療所における月末、或いは転記のあつた締切りの前後に、いろいろな所見とか、或いは請求点数を数日分一括して記入した形跡があるときには、事の如何を問わずに、これは直ちに付け増し請求であるというふうにきめつけられ、又架空の請求、即ち実際に診療しないものを診療したもののように請求してあるというようなふうなことできめつけられた。或いは本人分の診療日数が家族分の診療日数よりも平均して非常に長いと、これは無診投薬、即ち患者を一々見ないで投薬をしているんじやないか、いい加減に投薬しているんじやないかというようなふうに断定されてしま、又取調べ態度が非常に高圧的でありまして、尋問する態度は、旧時代の検事か或いは警察官が犯人を取調べているような感があり、老医や或いは年長者に対しましても非常に傍芳無人でございまして、お前とか或いは貴様とかいう非礼極まる言動をなしまして、これでも常識ある人かというふうなことを疑われる程度であつたのでございます。又保険医が数カ月前のことでございまして、十分その内容を思い起すことができない、或いは又同一の診療所でありまして、ほかの医師も一緒におつて、そのほかの医師が診療したことで、自分がそれを釈明できないというふうなことや、或いは奥さんや、或いは看護婦などが記載したことに対しまして答弁が少し鈍る、不明瞭である、明瞭を欠くというときには、頭から弁解のための弁解はするな、何も不正をしていないとするならば、この一カ年の分を洗つてしまうというふうなことで、非常に仕方なくも保険医が承認を押付けられるというふうな態度があつたわけでございます。又、自分は三カ年間もこういうふうなことを調べつているのが商売だから、カルテの雄急な小細工にはごまかされない、なぜこんなさもしいことをするのか、或いは注射をしなければ患者は来ないのか、或いは回虫保有者に駆虫剤は給付外だ、なぜ薬売りの真似をするのかというふうなことを言つているのでございます。で、以上のごとく高塚技官監査態度は、如何なる観点からするも、民主的の常識人の監査態度とは認められないのでございまして若し将来再びこのような監査が続行せられるとするならば、社会保険の円満な発展は誠に望むべくもないと思うのでございます。それでこの際万難を排して禍根の招来するところを十分に究明して頂きたい。そして保険医の一方的に義務のみを担わされ、権利を認められていないような現行の保険法の修正、或いは改善を強くお願いしたいというふうに考えるわけでございます。  それから監査に対する我々の意見について少し申上げてみたいと思います。で、従来医師会は、非常に慎重と熱意を以て保険医の仕事に専念努力して参つたのでございますが、現在の保険課、或いは保険当局の態度は、指導の点を第二として摘発的監査を頻繁に強行して、その保険医を威圧し、診療点数の引下げを強行しているというふうな感が非常に強いのであります。昭和二十六年以降の連続的に行われました本省監査並びに地方監査において特にこの感じが深いのであります。昭和二十七年の一月に行われました監査に関する医療協議会の決定が、原案が、指定取消の案が十三対一で否決せられたというふうな実情によつて考えられますのも、保険者側の態度が如何に保険医を威圧するがごとき峻烈なる独善的な原案であつたかということが察知されると思います。監査に先立つて保険課では先ず課員を総動員して患者の実態調査なるものが行われるのでございますが、患者の多くのものは、事実が数カ月以前のものであり、又多くは記憶が不十分でありあいまいな証言をなすものもあり、又この結果がどんなに重大なることになるのであるかというようなことも十分認識せずに、ぼんやり課員の指図に従つて署名捺印されたごときものが多数あるのでございます。又一部負担金の支払等につきましても、自分の思い違いをそのまま証言したものであつて医師会側調査によりましてこれが誤りであつたというふうなことが証明された結果、監査者が詫状をとられたというふうな実例もございます。右のような程度の調査秘密裡に集計されてできたものが調査書となつて出て来るのでございまして、これが診療録や請求書と相違した点は詳細な調査、質問もなくて違反と決定せられるような傾向が多く、又高塚技官のようなものは、頭から威圧して弁明の余地を与えない状態であるというのでございます。以上のような不正確な資料に基いて監査され、而も被監査者の連盟或いは関係団体の代表弁護機会も与えられない、ただ一方的の威圧によつて自己の資料が決定せられるような、人権を無視した卑劣なる監査法には、者人は絶対に承服することはできないのであります。保険医に対する指定取消というものは、保険医の生活権を奪うような重大な問題でございます。このような重大な案件を決定するに当つてこのような粗漏なる一方的な調査資料を以て決定することは誠に不当で、ございまして、私たちは強く反対するところでございます。  右のようなことによりまして将来保険の監査というものについては次のようなことをお願いしてみたいというふうに感じております。保険区療の指導監査を全面的に医師会に委譲して頂いて政府はこれを監督する、医師会は自主的に責任を以てこれの運営の万全を期するように努力するというふうなことにしたならば、現在の社会保障の一環である社会保険医療の将来に対する進展は非常にいい結果になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。以上簡単でございますが申上げる次第でございます。
  13. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 有難うございました。それから光武さんに伺いますが、何か今広島のほうからお出しになりましたような参考資料のようなもので、皆さんにお目にかけるようなものがございますか。若しお持ちのようならばお廻して見て頂きますから……、  それではお二人の御発言がありましたので、これに対しまして御質疑がございましたらどうぞ御質疑を願います。
  14. 山下義信

    ○山下義信君 この問題は昨年の十二月に緊急質疑の形で、当委員会保険医監査問題として本員から提出いたしましたのに関連いたしまして、たまたま具体的に長崎広島両県下に起きました、只今参考人陳述せられましたような具体的な容易ならざる事件が発生いたしまして、本年二月の当厚生委員会でこの問題が同僚中山議員から当局との質疑応答の形を以て行われたのであります。本日は特に厚生委員会は多数の議案を抱えておりまする最中にかかわらず、この問題の重要性に鑑みまして、委員長は特に緊急に当厚生委員会を開かれまして、問題の糾明に乗り出されましたことは、これらの事件に関係いたし又この問題の口火を切りました私どもといたしまして、委員長の取扱に感謝する次第でございます。私どもの意見は先ずあと廻しにいたしまして、参考人陳述に対しまして若干の御質疑をお許し願うのでありますが、私は実に容易ならん問題であると思うのであります。殊に本員は医師ではないのでありまして、その職域の利益を代表するものでないのでありますが、言い換えれば極めて中立的な立場のものでありますけれでも、そういう立場の私どもにとりましても、ことは容易ならんように思うのです。然るにこれらの問題を取上げまして以来の当局の態度並びに私は率直に言つてこういう問題を抱えている医師会諸君の方面のこの問題の見方、或いは極く簡単に、軽易に考えているのではないかとさえ思われるのであります。これは後刻に廻しますが、容易ならんことに私は思うのであります。殊に昨日すでに御承知のごとく、当国会におきましては一議員、否一国の首相の申しました暴言に対して峻厳なる現国会の意思表示をいたしているのであります。これはそういう重要な地位にあるものであろうと、或いは厚生省の一技官であろうと、身分の高下、職務の軽重に差はありません。暴言を以て人民に接するという非民主的態度、そういうことは当然許しがたいことでありまして、私どもそういう意味におきましてこの問題は重大に取扱いたいと考えております。或いは場合によりましては後刻御協議を願いたいと思いまするが、この問題の解決がつくまでは政府の提出いたしましたる保険関係の法案の審議は私どもはその進行を許さない考えであります。そこで参考人に私は伺いますが、只今広島県の医師会代表原田君からこまそれと実情の御陳述があつたのでありますが、私どもが聞くところによりますと、保険医のほうにも相当不在診療が多いということをしばしば耳にするのであります。又政府と思われるそういう筋からときどき発表せられる資料、或いは数字等も、そういう印象を受けることがありまするが、一体実情はどうなんですか。本当は、表面はきれいなようなことを言つているが、実は相当不正診療をする医師が多いのではないかという印象を、私ども国会の者じやない、一般世間がそう印象づけられているのじやないかと思われる節がある、率直に言つて……。私はこの際承わりたいと思う。若し又そういう不正診療をするような保険医があるというような場合には、医師会は従来どういうような対策をいたしておつたかということを私は聞いてみたい。
  15. 原田東岷

    参考人原田東岷君) お答えいたします。昨年でありましたか、厚生省が兵庫県だと記憶しておりますが、実態調査をされまして保険医の六〇%は不正をやつているということを新聞紙或いは雑誌に発表されたことがあるように記憶しております。これらについても私はいろいろ調査をいたして見たのでありますが、厚生省考えられる不正という概念と、我々が不正と考えている概念との間には非常な差異があるということを申上げたいと思うのであります。即ち我々は不正ということは、悪意或いは故意を以て事実でないことを請求して不当な利得を得る、こういうことを大体不正というふうに考えております。併し厚生省考えておられる不正という意味は、我々の調査によりますと、又今回の事件において不正として挙げられておる点がたくさんございますが、単なる書き間違い、計算違い、或いは悪意のない過誤、或いは記録の不備、こういうことは全部不正とされております。又現在の社会保険に関しまする法令が非常に無理な点があります。一例を申しますと、入院患者の場合には、十二点という規定がございますが、現在は会社の社長さんでも被保険者になつております。或いは県庁の部長、課長でも被保険者であります。そういう方々は、社会保険が標準としておりまするところの二等病室では体面が保てないので特等に入られるかたがございます。多くの病院では、官公立病院、日赤病院あたりでも特等病室は八百円とか千円とかいう入院料を取つておりますが、そういうところに入つた場合、これは当然その差額は徴収しておるはずでございます。社会保険できめられた十二点の金額より多い部分は本人から徴収しておるはずでございます。これは公然の事実であります。然るに兵庫県の実例におきましても、これは全部不正診療というふうにされておるやに聞いております。  又今回の監査におきましても、先ほど申しました罪のない間違い、こういうものが全部不正に取上げられておる、こういうことを先ず申上げたい。又先ほども申しましたように、不正ということの確証がなくて、本人も否定しておるのにかかわらず、容疑だけで不正と断定しておるのが大部分なのであります。又もう一つ申上げたいのは、現在の社会保障関係の医療保険はいろいろございます。健康保険、国民保険、労災保険、又生活保護、こういうよくな医療保険がたくさんございますが、これはそれぞれ内容において異なつた点があります。法規において異なつた点があります。そのうちの健康保険だけについて申上げましても、先ず御注意願いたいのは、一人の患者を見ましてその患者の診療に要した費用を請求して、その報酬を受けるまでの道筋には、先ず診療録、カルテというものを書かなければなりません。又請求書というものを書かなければなりません。又請求明細書というものを書きます。又それに更にいろいろな附属した書類が必要でございます。これを計算してみますと、それらの書類に書き込まなければならない事項が七十項目以上ございます。欄が七十以上ございます。又そのカルテにいたしましても、その経過などに至りましては、毎日々々書き込まなければならんこと、これは普通診療でも同じでございますが、それから請求書を出しますためには、必ず平均点数とか、或いはいろいろな統計を要求されおります。又一つの治療というものに対して請求するためには七百に余る点数表というものがあります。又一つの薬を使うにいたしましても、何千種類という薬の品目を挙げた薬価基準というものを記憶しておるか、或いはその本を一々渉猟するのでなければ、請求書が書けないのでございます。もう一つ申上げますと、結核とか性病とかいう病気に対しては、それぞれ厚生省の定めました治療指針とか、治療基準というものがございます。又高価薬、例えばクロロマイセチンとか、オーレオマイシンとかテラマイシンとか、そういう薬に対しましては、どの病気には使つてもいいが、どの病気にはいけない。又使う場合にはこういう使い方をしなければいけない。やかましい規則がございます。従つて保険医になりましても、大学を出まして間もない人でありましたならば、この社会保険事務を覚えるためには一月や二月や三月では絶対に覚えることはできないのであります。先ず一人前の保険事務ができるようになるには一年以上を要すると我々は考えております。又この社会保険に関する法令は日々刻々に改正されております。こういう社会医療であるがための非常に厖大且つ複雑且つ難解を極める事務量保険医には負わされておるのであります。これを完全にマスターするということは、医学を学ぶに等しい努力を要するものであると思います。従つて今回の監査におきましても、事故があつたという保険医は、大抵は若いお医者さんか、或いは宮公立病院に勤めておつて新らしく開業した人とか、或いは県境の山の中の診療所の先生で講習会なんかを受けたことのない先生方、そういう方が事故を起しておるのであります。悪意のある詐欺的な行為を行なつたと我々が断定できる方はないのであります。併しながら先だつて香川県でも問題が起つておりますが、医師といえども不正な又悪徳な保険医がないとは申上げません。又その傾向があるのじやないかと思われる保険医は、我々の医師会の会員の中にも若干はございます。これは率直に認めたいと思います。そういう保険医をどう善導するかということが現在の社会医療の問題に最も大事なことじやないかというふうに考えるのであります。
  16. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。それであなたのほうの地方では、その保険医指導教育というようなものについてどういうことが行われておりますか。どういう程度までされておるか。又医師会保険医指導教育というものにどれだけの関係をしておるかというようなことを簡単に一つ。
  17. 原田東岷

    参考人原田東岷君) じや簡単に申上げます。
  18. 山下義信

    ○山下義信君 これは長崎のほうも一つ簡単に答えて下さい。あなたのほうの地方ではどうですか、長崎のほうは。
  19. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 終戦前は医師会指導監督をやつております。終戦後に至りまして厚生省指導監督の責任を持たれたようでございます。但し厚生省に全面的な責任があるのか、或いは地方長官にあるのか、その点は我我はつきりわかりません。現在指導教育ということは、保険課がときどき医師会の役員とか、基金事務所の人がたを連れて、各地に講習会に年に一度ぐらい参つておりますが、これはまあほんの申訳的なものでございまして、実際において、保険医指導というものは現在といえども医師会がやつております。但し法的には医師会には保険医指導する責任もなければ、又権利も与えられておらないのであります。又その指導に要する費用は、全部医師会持ちであります。一昨年までは若干の旅費などが、基金から支給されたのでありますが、去年以来、一切医師会持ちでございます。
  20. 光武種助

    参考人光武種助君) 現在指導の方面につきましては、保険課でやつておりますのは、長崎県におきましては、保険医指定前の講習というふうなものを保険課が主催しまして、そうして私のほうはこれに参加して医療治療方面に関することをやつております。その他の面に関しましては、昭和二十六年頃までは一年に一回か、或いは二回ぐらい医師会が主として指導を県下に出張いたしてやるときに、保険課からそれに便乗的に御参加になる。これも先ほど広島県からおつしやつたように、申訳的なものだと思います。昨年度におきましては、長崎県におきましては、最も保険医指導に力を尽しまして、万遍なく隅々までやるというふうなことを目途といたしまして、事故防止に対する対策というふうな大きな題目を掲げまして、昨年の前半におきましては、県下に全部参りました。御承知の通り長崎県は非常に離島が多うございますから、その方面にもできるだけ浸透するように指導して参りたい。そして各郡市単位に保険理事というふうなものをこしらえまして、絶えず県医師会の本部と連絡いたしまして、全県下における保険のいろいろな状態も伝えますし、又各地方において起つておる実態もよく報告を受けまして、非常な熱意を持つて保険医指導に任じておりまするし、その経費の点も県医師会から大部分の費用を出しましてやつておる実情でございます。なお先ほど証拠の書類があればということでございますが、今度の高塚技官監査に関する医療協議会は、現在まだ長崎県では開催されておりませんので、その原案の資料とかというふうなものも、県医師会といたしましては、正式に示されておりませんので、その点はまだございませんので、出していないのでございます。
  21. 山下義信

    ○山下義信君 いま一つ聞きたいのですが、広島県では、この問題が起きた結果ですね、今監督官庁といいますか、又医師会といいますか、この問題が起きたあとの現状はどういうふうになつておるか。又長崎県のこの問題が起きた後の医師会態度、或いは又どういうふうに医師会の事後の収拾関係というものがなつておるかということを、現在の状況原田君から述べて頂きたい。
  22. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 今度の高塚監査は、十四名の保険医に対して行われたのでありますが、その以前に広島自体として、実態調査という名前で実際は監査行なつております。それが合わせて六十一名になります。その六十一名のうちで七名の取消要求がございました。先ほど申しました通りです。この七名だけについて医療協議会が審議をいたしまして、その結果二名が三カ月の取消、五名が三カ月の取消ではあるけれども、未熟が主であるというので、六カ月間指導の結果を見る、執行猶予ということになつております。それからあとは注意でございます。戒告が三名ございます。あとは全部注意となつております。この医療協議会においては、医療協議会の総会を二回、小委員会を二回、合計三十数時間に亘りまして審議されたのでありますが、その結果、医師のほうにも欠点があるというので、以上のような処分が決定されたのでありますが、なお個個の、先ほどお示ししました速報第五十七号の第三頁にありますように、この答申に附帯しまして、医療協議会建議がされております。というこの内容は、要するに指導は今まで適正に行われていないから、医師会が主になつてこの指導をやつてもらうようにしたほうがよろしい。それから監査については、このたびはその態度が必ずしも適当でないと思うから、今後はその人選に注意してもらいたい。又訓練を積んだ人が監査に当らなければいけない。こういう建議が出ております。県知事はその建議に基きまして、県の更正予算で、県医師会保険医指導を行わせるための予算措置をやつております。なお、広島医療協議会は二十四名の構成でございますが、我々は、我々と申しますのは、療養担当者代表として出ておる四名は、一月二十一日附を以て全員辞退しております。
  23. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 長崎の御状況を一つ。
  24. 光武種助

    参考人光武種助君) 長崎県におきましては、今度の高塚技官監査以後、幹部のかたは勿論のこと、保険医の全部が憤激しておりまして、このことに関しまして、このたびは慎重に、不当の制圧を受けてはならないというふうなことで、従来は医療協議会がありますと、その直前に保険課のかたと、それから医師会の幹部とちよつと話合うというふうなことで医療協議会に持ち出されておりましたが、そんなふうなことではいけない。十分に本人の意思も確かめ、弁明も聞き、或いは関係団体の弁護する弁明も聞き、そうして保険課の者も医師会の者も十分納得した線を以て医療協議会に出て、そして医療協議会に諮つてこれを決定することにしようというふうなことに大体意見がまとまつておるのであります。それで只今医師会におきましては、裁定委員会というふうなものも強力に活動しておりまして、この面におきましても、十分本問題を取上げて現在審議をいたしております。で、先ほども保険医の中に悪い者がおるのではないかというふうな御質問でございますが、私たち多くの保険医の中に二、三はそれはおる。いないとは申上げません。併しながら現在まで放送されました者は、如何にも保険医の中には悪い者が多いのだというふうな考えを受けるような発表の仕方が多くて、そのために国民の皆様が非常に誤解を持つておられるというふうに感ずる次第でございます。それでは真実に詐欺的行為と称するというものは、これは殆んど、絶無ではございませんが、僅少でございます。併し例えば計算の間違いであるとか、或いはちよつとしたことで事故になるように、現在の監査に関するいろいろな規則がなつておるのでございますが、その戒告とか、或いは注意とかいうふうなものまでも一緒に取り集めて、非常にたくさんの数を違反者として挙げられて、それを新聞紙とかラジオとかで放送される結果、国民の皆様がそういうふうに非常に悪い者が多いのだというふうなことに誤解されて、そういうふうな結果になつているのじやないかというふうに考えております。それから監査の面でございますが、或いは指導の面でございますが、これはやはり一番関係のあるものは医師会でございまして、将来は医師会の自主的責任を以て指導も行い、或いは監査責任を以て行うようにしたならば非常にいい結果が上るのじやないかというふうなことを考えております。
  25. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私から一言お伺いする前に申上げてみたいと思います。只今も兵庫県で、例えば六〇%の不正があつたとか何かというのが新聞に載つたとか言いますが、これは私はいつも言つているのですが、この監査をされるような方は、まあいろいろ問題がある方のみでございますから、その問題のある方の監査をしてみて、そのうちの六〇%に悪いのがあつたのだということでありますからして、全体の、例えばいつかあつたことでございますが、福岡県で百何十人を調べてみましたら六十何人か悪いのがあつたから、それじや保険医の中に六〇%から不正があるというようなことを発表したことがありますが、私はそのときに早速抗議したのでありますが、福岡県の医師は二千人以上いるので、そのうちの百六十人が少し間違いがあるからというので、それを調べて、六十何人だから、本当に六〇%とかいう発表をする場合には、必ず検査人員のうちの何%、或いは監査人員のうちの何%ということを言うてもらわんというと、如何にも一般の人が聞くと、保険医には不正医者ばかりがたくさんいるというように聞えるからしてそういうことがないようにというふうによく言つておるのでありますが、只今の御質問の六〇%が、或いはひよつと間違えて……、これは無論そうお聞きにならんと思いますけれども、念のために申上げておるのでございます。なお私が特に御質問をしてみたいと思うのは、いろいろ今回の監査の模様が極めて高圧的で、而も二十五年度頃までやつてつたと。最近のその後の情勢が非常に違うということをよくお話になつたので、大分わかりましたが、今後これから先どういうようなふうにしたならば、今までのお答えの中にも少しは出ましたが、どういうようなふうにしたならば、こういう事件は起らぬ、どうしたほうがいいという御意見をお話を願えたら結構と思いますが、どちらからでも。
  26. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 全面的な社会保険をどうするかということにつきましては、ここで申上げる限りではないと存じますが、それにいたしましても、現在運営面から医師会を殊更に排除しようという傾向があつてはならないということを先ず申上げて置きたいと思います。又監査に関してどうしたらいいかということは、先ほどからも縷々申しました中にございますが、特に強調したいと思いますのは、監査事前調査でございますが、現在は患者の記憶が唯一とばかり申しませんが、最大の証拠患者の記憶に頼つておるようでございますが、これを一例を申上げます。私が昨年の六月に胃潰瘍の手術をいたしました患者が休養証明書が紛失いたしまして再交付を私のところに申出て来まして、そのときにあなたは十六日入院しましたねと言いましたところが、いいえ十三日しか入院しておりません。それで体温表から何から全部調べてみますと、どうしても十六日です。それでよく聞いてみますと、ああそれは私の感違いで手術をしたのが三日目で、その翌日から数えて明日で二週間になるというときに退院したから十三日と覚えていたのですと、こういうふうなことを証言したのがあります。こういうふうに患者の記憶というのは、その監査のために記憶しているのじやございませんので、これを一々事故として挙げましたならば、医者の立つ瀬はないのであります。こういうふうに患者の記憶を唯一の資料とするようなことでなしに、大きな眼で見て社会医療というものを、全体二千人の保険医がおりますれば、その二千名がより協力できるようなふうに指導して行く、みんなが心から協力して行けるというふうな雰囲気を以て指導しなければいつまでたつてもこの問題は解消しないものだろうと、こういうふうに考えております。
  27. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 原田君に申上げますが、今谷口委員から今後どういうふうにしたらこういう事例が減少するか、そういうことの具体的な御質問があつたようですが、それについては。
  28. 原田東岷

    参考人原田東岷君) それは長崎県の医師会のかたも申されましたように、医師会には現在この調査する権限がございません。この保険医は少しおかしいと思つて調査する権限もございませんし、又これを処罰することもできないのであります。又そのように要求もされておらないのであります。殊更に排除されておるということの傾向があるということを先ほど申しましたが、要するにこれは社会医療というものは、厚生省保険局と医師会というものが、中央でもう少し手を握つて頂かなければいけないのだ。そうして、その方針を地方まで及ぼして頂かなければいけない。例えば中央医療協議会というものがございますが、この中央医療協議会の仕事の第一項には、明らかに保険医指導監督に関する事項の諮問に答え、或いはみずから建議するという仕事があるはずなんでございますが、私寡聞にして中央医療協議会において、そういう根本的な問題が検討されたということをよく知らないのでございます。この医療協議会或いは厚生省の当事者と申しますか、現在責任のある保険局の方々と医師会というものが、中央において意思の疏通を図つて社会医療というものの向上に邁進されるということを深く希望する次第でございます。
  29. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかに御質問ございませんか。
  30. 竹中七郎

    委員外議員竹中七郎君) それじやちよつと伺いますが、戦前には医師会で大体そこの県その他の、このかたが実際ちよつといろいろ怪しいという人が大体医師会でわかつてつて、それでその人に対して医師会のかたがときどき、保険指導者が行きまして、そうしてこうしていかん、ああしていかんと言つて教えておつた。それが今のように医師会がタッチできないような状態になつたところに問題が起つている。それであるから、監査と申しまして、保険課なり或いは中央の厚生省から出て来てぴしぴしとやる。これでますます離れて行くと私は考えますが、そういう点はどんなふうに、やはり権限はないけれども、いろいろ御指導になつておられますかどうですか。
  31. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 審査会というものが基金事務所の中にございまして、この審査会の審査員というものは、現在療養担当者代表即ち大体医師会代表というものが三分の一、保険者代表、皆医者でございますが、保険者代表が三分の一、公益代表が三分の一、こういうふうな構成になつて審査をいたしておりますが、この審査会を通じて医師会保険医の間違つている点、或いは知識の足りない点を指導いたしております。これは熱心にやつておりますので、毎月その請求書を見まし場て、間違つておる点、或いは方針にうなずきかねる点がある場合、こういつたときには一々通知を出しまして、こういうふうにしてもらいたい。ああいうふうにしてもらいたい。こういうふうな指導医師会が主体になつていたしております。又医師会速報というものがここにございますが、これを通じまして今度こういうふうな規定が変つたということ、或いは点数が変つたということは医師会通知しております。こういうふうな自主的な協力は従来、現在ともにいたしておるのであります。
  32. 光武種助

    参考人光武種助君) 長崎県におきましては、指導の面に関しましては私たち医師会の幹部が基金の審査会に陪席いたしましていろいろな、審査委員としてのいろいろな意見を聞きまして保険医の過ちだとか、或いはいろいろな傾向を承わつて、そうして医師会としてそういうふうな面の是正をされるように指導をいたしております。これは全面的に強力にやつております。なお、監査の件でございますが、先ほど申上げましたうちにあると思いますが、やはり現在のような監査の方法ではますます保険医の心が冷たくなつて離れる。こういうふうなことでは社会保険の万全なる発展は期し難い。やはり保険医の熱意或いは関心が非常に強くあつてこそ伸展するものであるというふうな考えから、それともう一つは、保険医の関与しておるものは、医師会というような大きな団体がございまして、この医師会監査の件を全面的に委譲して頂いて、医師会責任においてやる、そういうふうなことにしますならば、現在保険課のほうから出て来て監査して頂いておるよりもより実際的な、そうして又都合のいい運営が行くんじやないか。それでいろいろなことがありましても、医師会内部で自主的にやるものであれば、悪質な者でも必ず恥じて再びそういうふうなことがない。或いはどうしてもこれは直らないというものは自主的に涙を呑んで刀を振うということもあるでございましようが、そういうふうなことがより一層現在のような監査の方法よりもいい結果をもたらすのではないかというふうなことを考えておりまして、できるならばこの方面の実際的の運営ができるような方法を願いたいというふうに考えております。
  33. 竹中七郎

    委員外議員竹中七郎君) もう一つお伺いいたしますが、あなた方のほうでは、まあ市、郡医師会というもののほうが大体その会員の中で、この郡ではこういうものを出しちやいかんというわけで非常に何と申しますか、自分の市、郡の過誤というか、不正というものを除去したい、こういうわけでやつておられるのでございましようが、その医師会々々々にいろいろの役員を作りまして監査をやつておるのでしようか。そしてそのためにその郡から一人でも出すということは自分の不名誉だ、そういうふうな立場で、そういうブロックブロックに何とか、そういうふうな自主的な操作と言いますか、何かそういうふうのことのための会でも作つておられますか。
  34. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 広島県においては、五つ市がございますが、この五市においては整理委員会というものを持つております。これは医師会の費用で運営しておりますが、毎月の請求書を基金事務所に出します前に、市に住んでおります役員でない一般の保険医が替りばんこに整理委員会に参りまして、他人の請求書を見て、これが違つておるじやないか、この方針は間違つておるじやないか、こういうふうな付箋を付けて、それを基金事務所に出す、こういうふうな方法によつてお互いが自粛する方法をとつております。郡におきましては、これは非常に離れ離れになつておりまして、こういう方式をやりますことは、提出期日に間に合いかねる点がありますので、郡では行なつておりません。併し現在我々は保険医指導ということを全面的に取上げる場合には、こういうふうにすべきだという詳細な計画を作成中でございます。例えば竹中議員からおつしやいましたように、各郡、市の医師会の中に社会保険のエキスパートを集めて、それが隣組式に十人、十五人の保険医を集めては研究会をやるとか、或いは指導をやる、こういつた方法を相当な費用をかけて医師会でやろうというふうに考えております。今いろいろな案は持つておりますが、まだ検討中でございます。
  35. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは、私から二、三簡単にお伺いいたしますが、監査のときに、医師会の幹部のかたは監査にお立会になりますか。お立会になるとすると、それはどういう資格でお立会になつておられるのでしようか。その点を一つお伺いしたいのですが。どちらからでも結構です。
  36. 光武種助

    参考人光武種助君) 現在立会つております。で、資格というふうなものは、これは法制化されたものではないと思いますけれども、やはり医師会代表いたしまして、そうして不当なる処置を受けることがないように、それから又実際にその内容を知りたいために立会つております。
  37. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) その場合に、医師会の立会者として相当御発言をなさることはできるのでしようか。又その不正と言われておる者についての若干の弁護をしてやるというようなことは許されておりますか。
  38. 光武種助

    参考人光武種助君) 従来はそういうふうのときに、例えば被監査者が十分説明ができないというふうなとき、中立の立場にあつて、こうこうするというふうなことを監査者にいろいろ申上げることもございますが、そういうふうなことが許されておりましたが、今度の高塚技官の場合は、殆んどそれが許されなかつたというふうなことになつております。
  39. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もう一点伺いますが、そういう場合に今度高塚技官の場合に、医師会側からお立会になつた者に対しても、先ほどいろいろ暴言のようなお話がございましたが、そういう言葉づかいに不穏当な言葉がございましたでしようか。
  40. 光武種助

    参考人光武種助君) やはりあつたと記憶しております。
  41. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからもう一つ、原田さんにお尋ねいたしますが、これは谷口委員から御発言もありましたが、六十一名が事前監査をされたわけですね。その中で十七名が対象になつたということのように拝承したのですが、現在広島県の医師会員は幾らございまして、そうしてただ六十一名だけを事前監査したのでしようか。もう少し広範囲にその事前監査をいたしたものでございましようか。その点。
  42. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 広島県の医師会員は千六百名おります。それで六十一名と申しますのは、昨年の夏以来、病院又は入院患者を持つておる診療所を四十何カ所実態調査ということをやつたのでございますが、併しそれに監査を含めてやつておる。それから六十一名のうち十四名は高塚監査によつて特別な調査をいたしておるものでございます。そういうわけでございます。
  43. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからもう一つ伺いますが、この数字は高塚監査で出ましたのですが、これより以前に、過去において監査もあつたと思いますが、そういうときにはどれくらいな不正と呼ばれて対象になつたものがございましようか。それと今度の高塚監査におきまして、ほかの保険等の不正と言われたものとの比率と申しましようか、数字でございますが、広島県では十四名だが、併し山口県ではどうだ、或いは岡山県ではどうだという数字の点は御研究になつておられましようか。
  44. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 昭和二十五年、二十六年にはおのおの二回ずつ監査がございまして、一回は厚生省監査であり、そのときは大村秀三郎技官が来られました。おのおの一回ずつ県の地方監査がございました。合せまして三十数名の監査が一年に行われておりますが、その結果取消処分なつた者は、二十五年二名、二十六年一名でございます。これは一人は被疑者でございます。これはもう問題になりませんが、又地方監査においては、従来我々が監査をやつておりまして、やはり取消処分の者が出ております。それから他県との比率ということは現在調査いたしておりませんので、お答えできかねます。
  45. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 長崎県のほうにおいては、そういう点は、ございましようか。
  46. 光武種助

    参考人光武種助君) 長崎県では、昭和二十六年でございますが、六十名の被監査者で、そのうちの六〇%が事故ありと言われまして、その中で指定取消の原案が五人であつたかと思いますが、医療協議会の結果は三人になつております。その決定のときに、非常に医療協議会委員のかたから、何と申しますか、御意見がありまして、到頭採決をしてしまつた。そのときに十三対一で原案が否決されたというふうなことで、ございまして、やはり常識的に考えまして、非常に強圧的な案であるというふうな感じが深いわけでございます。それでそういうふうなことで、比較的風評とか、或いは実際の平均点数とかによつて、その高いものを監査されるというふうなことで、事故の挙がるその数字については、先ほどお話がありましたように、高いけれども、全般からはそうではないというふうなことと、それから実際にはそんなにひどくない、ちよつとした事故だと思われるものも、そんなふうにひどくやられまして、あたかも悪い者ばかりだというふうな感じをするような感じが非常に深いというふうなことでございます。それから今度の高塚技官監査に関する件は、まだ医療協議会があつておりませんので、それの処分とか何とかは決定しておりません。その点に関するなにはわかりません。それから他県に対する比率というふうなものもよくわかつておりません。
  47. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではもう一つだけ原田さんに伺いたいのですが、先ほど、二十五年以来、県の保険課医師会との協調の態勢がうまく行かなかつたというお話を承わりました。これは現在まで続いておりますでしようか。そういうふうに調整の態勢が崩れるという原因はどこにあるようにお考えでしようか。
  48. 原田東岷

    参考人原田東岷君) 現在まで続いて最悪の状態に立ち至つております。その原因といたしましては、永野現課長が就任されて以来のことでございます。その原因は、社会保険全体と医師会と協力して行こうというお気持がなくて、監督はおれ一人でやるのだという気持が何かにつけて、小さいことでございますが、現われる。例えば、小さいことでございますが、従来指導講習に我々が参つておりましても、それの費用はないと言つてみたり、又値切つてみたり、もう一つ、国民保険のことがございますが、国民保険の契約単価が、広島県が全国でも一番悪いうちの一つだと思うのでございますが、この単価の契約を陰に陽に妨げる。妨げると言うのが悪ければ、組合が上げようと思つても許可しない。九円でなければいけないというふうな指導をされるということが、絶えず末端から苦情が出て来る。こういうふうないろいろな小さい問題があります。又保険者側、健保連とか、国保連とか、そういうほうに言われることと医師会のほうに言われることが常に食い違つておる。首尾一貫していないというので、非常に信頼の念が薄れて来た。こういうふうなこまそれした事情がございます。
  49. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからもう一つ関連してお尋ねしますが、そういう関係にありますというと、この事前審査をされるときに、厚生省から高塚技官等が行つた折に、それが多少誇大に言われておつたというふうな傾向はございませんか。
  50. 原田東岷

    参考人原田東岷君) それが大いにあるのでございます。今度の監査問題に関しまして我々が決意しております点は、厚生省技官の暴言もございますが、その基礎になつ事前調査と事後の処理が非常に悪意的であるということが一つの原因になつております。
  51. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 長崎県には、そういう点につきましてありますか。
  52. 光武種助

    参考人光武種助君) 長崎県におきましては、やはり今広島県でおつしやつたような点がございまして、今度の高塚技官事件は、非常に突発的でございましたので、いろいろよく承知いたしませんが、例えば国保の単価の協定にいたしましても、末端の保険者側は社保並みに値上げをするというようなことにきめておるのにもかかわらず、保険課長が行つてそれを突き崩して許可しないというようなこと、そうして我々医師会の幹部に対しましては、きれいな顔をして、私は医師出身ではないかと言つて、保険の連合会の者が怪しむほど医師会のほうの肩を持つというようなきれいな顔をしていた。それからいろいろ保険の運営に関しまして、いろんな相談をするときも、自分のほうの説を出して、これを頑として聞かない。こういうふうなことだつたら、協議でなくて自分一人のことであれば、事前にいろいろ話してもらわなくてもいいというふうな、医師会側の非常な憤懣もありまして、現在まではうまく行つているというふうには私自身感じておりません。
  53. 山下義信

    ○山下義信君 本日は参考人から実情を聴取するということが主でありまして、今まで詳細に承わつたわけでありますが、政府に、実は委員長を通じて両局長の出席を求めましたのは、陳述人の陳述を政府も聞いておくがよかろうと考えて、出席要求をいたしておつたのであります。従いまして、只今参考人陳述を聞いて、私どもが政府に問い質す点は、各委員ともお互いに非常にあると思うのでありますが、時間も移つておりますので、且つ又問題の重要性に鑑みまして、短時間では質問も終了しないのであろうかとも考えるのでありますが、ただ一点だけ政府にこの際質疑することをお許し願いたいのですが、それは行政官が……
  54. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは速記始めて。  では暫らく休憩いたします。午後一時半から再開したいと思います。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  56. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや休憩前に引続きまして委員会を開きます。  休憩前に山下委員発言が保留されておりまするで、先ず山下委員発言を許します。
  57. 山下義信

    ○山下義信君 休憩前に議事進行に関しまして発言を求めたのでありますが、休憩中理事会の打合せがございましたので、その線に従いまして一、二当局にこの際伺つておきたいと思うのでありますが、  第一点は、行政官の監査に関しまする法的根拠、先ず健康保険法におきまする監査の法的根拠につきましてお示し願つて、大要御説明を願いたいと思います。
  58. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保険医監査に関します直接の根拠になりまするのは健康保険法第九条ノ二に「行政庁保険給付ニ関シ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該官吏吏員ヲシテ診療録其ノ他ノ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得」という規定がございます。この規定によりまして、ここに「行政庁」とございますのは、従来から厚生大臣及び都道府県という解釈に相成つております。近く地方自治法の改正によりましてその点はなお法令上明確になる予定でございます。  それから被保険者に対しまする調査の権限は、その前の九条でございまして、「行政庁ハ必要アリト認ムルトキハ被保険者ノ異動及報酬並ニ保険給付ノ決定ニ関シ当該官吏吏員ヲシテ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ勤務場所ニ就キ関係者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得」、かような規定でございます。なお関連の規定を御参考までに申上げますると、健康保険法第四十三条ノ三の第三項に「第一項ノ規定ニ依り指定ヲ受ヶタル保険医又ハ保険薬剤師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ健康保険ノ診療又ハ薬剤ノ支給ニ関シ都道府県知事指導ヲ受クベシ」という規定がありまして、これが一つと、それからもう一つは、四十三条ノ四の規定が大体関係がございますが、一番直接関連のございますのは、四十三条ノ四の第三項でございます。「保険医及保険薬剤師ニシテ前項ノ規定ニ依ル療養ヲ担当スルノ責務ヲ怠りタルトキハ都道府県知事之が指定ヲ取消スコトヲ得」、こういう規定がございます。監査をいたします主たる目的は、保険医が四十三条ノ四第一項に定めまするところの、厚生大臣の定むるところによつて被保険者及び被扶養者の療養を担当しているかどうかということを調べるためでございまして、その責務を怠つたと認めます場合は、行政庁である都道府県知事が場合によつては指定を取消すことができる、こういう規定がございます。これらの関連規定の九条及び九条ノ二の法律の根拠に基きまして監査が行われておるのでございます。
  59. 山下義信

    ○山下義信君 そうしますと、今の局長の御説明ですと、健康保険法の第九条の御説明があつたのですが、この九条の「行政庁」というのはこれを厚生省と知事と両方を指したものとそういう御解釈ですね。
  60. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お尋ねの通りでございます。
  61. 山下義信

    ○山下義信君 そうするとあれは、行政庁の中に都道府県知事というものが含まれておるということになりますと、第九条に基くこの検査の当該官吏の質問又は検査の権限は、別に都道府県知事に委任の条項はなくてもこの九条でやれると、こういう解釈ですね。
  62. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) さようでございます。なお先ほどちよつと申加えたのでありますが、前は行政官庁という表現になつてつたのを、地方自治法の改正に関連しまして行政庁という言葉に変えたいきさつがございます。そうして行政庁という言葉は必ずしも実は厚生大臣と府県知事のみという原則的の解釈を受けて来ないのでありますが、従来から行政官庁という言葉は国及び国の機関としての地方長官……当時の言葉で申しますれば地方長官を指しておりました。その解釈がずつと続いておつたのであります。それを最近、今度の国会に恐らく提案になると思うのでございまするが、地方自治法の改正といいますか、運営と申しますか、そのほうの関係から地方自治法の中で健康保険法の九条及び九条ノ二で申します行政庁というのは厚生大臣及び都道府県知事であるということを法律の中に、地方自治法関係に明記することに相成つております。
  63. 山下義信

    ○山下義信君 これから、今後の改正がそうなりまして、第九条の行政庁が厚生大臣並びに都道府県知事を含むということになりますと、第十一条の解釈がおかしくなつて来て、あそこで以て委任をする行政庁なるものは何を指すかという疑義が生じて来ますので、厚生大臣又は都道府県知事という解釈をすればそうなるでしようけれども、少し無理がある。今後の改正に待つべきということであればそうあらねばならんと思うのでありますが、そういう法の解釈よりは、私はこの第九条に指してあるところのこの条文を見ますと、当該官吏吏員はこの被保険者を調査いたしますときには、若しくは被保険者たりし者について調査いたしますときには、その者の「勤務場所ニ就キ関係者二対シ質問ヲ為シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得」とあるのでありまして、その被保険者若しくは被保険者たりし険の勤務場所以外での質問とか帳簿書類等の検査は本法においては許していないように解釈せざるを得ないと思うのでありますが、それはどう考えられますか。
  64. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私どもの解釈は、被保険者につき……と実は読んでおるのであります。
  65. 山下義信

    ○山下義信君 もう一度おつしやつて下さい。どういう意味ですか、あなたのは……。
  66. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 「官吏吏員ヲシテ被保険者」、これを少し無理かも知れませんが、当該官吏吏員をして被保険者につき或いは被保険者たりし者の勤務場所につきと……。
  67. 山下義信

    ○山下義信君 それではあなたのは、上のほうの被保険者というのについてはどこでも、道路でも……、場所等は指定はなくして、被保険者たりし者については、それのみに限つては勤務場所について調査させるのだと、上の現在の被保険者はどこででも調査はできるのだし、曾つての被保険者たりし者については勤務場所だけその調査の場所が指定されてある、こういう解釈ですか。
  68. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私どもはそういうように解釈をいたしておるのであります。
  69. 山下義信

    ○山下義信君 それはどういうわけでそういう解釈をされているのですか。
  70. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) と申しまするのは、被保険者につきましてこういう質問ができないということでありますと、実際問題として勤務場所に参りましても、その勤務場所では被保険者それ自身には何も聞くことができないということでありますと、例えば異動とか報酬とか、前段に調査をいたしまする内容事項が書いてございますが、こういうことが恐らく目的を達し得ないのだろうと思つております。
  71. 山下義信

    ○山下義信君 それはそういう議論になりますと、被保険著たりし者についても同様ではありませんか。勤務場所以外には尋ねることができんということになりまして、調査の不便を感ずるならば、現在の被保険者たる者も被保険者たりし者も、これは同じものではないですか。あなたの解釈は少し無理だと思いますが、従来そういう解釈を厚生省はとつて来ておられますか。そうすると被保険者たる者についてはどこでも調査ができる、被保険者たりし者については勤務先に限るのだと、今後そういう解釈を以て調査して行くと、本法に関する施行細則その他調査の規定はそういうことになつておりますか。これは委員の中には一松先輩の、専門家もいられるのでありますから、これは一つ十分御検討を願いたいと思います。
  72. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 只今庶務課長から注意がございましたので、私の説明を訂正をさせて頂きます。  私の読み方は成るほどよく考えて見ますると、そういう解釈をするのは無理だと思います。被保険者又は被保険者たりし者の勤務場所に就き関係者に質問ができると、こういうことがございますので、「関係者」ということの中に被保険者も含むと、こういうふうに解釈を訂正させて頂きます。
  73. 山下義信

    ○山下義信君 それはもう「関係者」は局長のおつしやる通り被保険者又は被保険者たりし者、並びに被保険者の異動、報酬、或いは保険給付の決定等についてそれらの関係者全般を網羅することは言うまでもない。関係者の解釈は同意であります。今解釈を変えられましたからそれでよろしいのでありますが、私の申しますることは、保険の監査をするについて法律でちやんとどこで監査をせいということが指定されております。犯罪の捜索ではありません。犯罪の捜索は居宅であろうと道路上であろうと、その者がどこにおつても、随時随所で調査をすることができる、質問することができる、そういうことは検察官に与えてある権限であつて、検察官といえどもその検察官たる証票を示して、その理由を示さなければ、至る所で、どこでも、広汎に随所随時に喚問或いは質問することは許してない。でありますから二の保険の監査について、特に被保険者について特定の問題について質問させるのに、場所はどこでもかまわん、寝ておる所であろうと出先であろうと、お客様と対談中であろうと、そういう広汎な監査の場所の権限が与えられておるはずはないので、これは労働者を被保険者の対象にしておるのでありますから職務場所がある。でありますから当然法律は調査する場所の指定がしてある。今回問題になつておりまする地方の監査の不当のことについての当該官吏の監査振りを見るというと、この法律で定めたる以外の場所において被保険者若しくはそれらの家族等に対して質問やその他のことをいたしておるということでありますが、若し事実そうであるとするならば、私は法律の規定に反しておる、違反行為であるということを考えるのでありますが、その点局長はどう解釈なさいますか。
  74. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 法律の根拠に基きまして権限の行使としていろいろ帳簿書類を調べたり検査をいたしましたり、或いは質問をいたしましたりすることは仰せの通りに法律の定めるところに基かなければならないと思つております。ただ併しながら実際の問題といたしましては、法律的な論議をいたしますれば、便宜勤務場所以外の所で御本人がこれを拒むことなく応対をして頂ければ、それをいたしたことが私は必ず直ちにこの法律の違反であるとは考えられないと思うのであります。勿論その場合には相手方は、そういうことを訊問されましても答えないということができるという権限はあると思いますけれども、そういうような場所で聞いたことがこの法律違反であるということに私は直ちにはならないと思つております。
  75. 山下義信

    ○山下義信君 私はこの法律に規定してあるところの、ちやんとその権限が与えてあり、又一定の制限が加えてある、それ以外のことをすることは法律違反ではないかと、こう言うのです。それ以外のことであつても、相手方が承知しておれば法律違反にならぬと、こう言う。今相手方が承知している場合を言つておるのではない。私がお尋ねしておるのは、この法律に規定してある以外のことをした場合には法律違反にはならないかという、私は遵法精神言つておる。法律に書いてある以外のことをするほうが正しいのであつて、そのほうをすることが便利であるならば、その通りに法律できめたらいいのだ。この法律にきめてあるほうがこれが正しい行き方なんだ、そうでしよう。ですからこの正しい、法律にきめてある行き方をするのが、これが遵法精神なんだから、これが不便だから、それ以外の方法が便利だからそれをやるのだということ、これは別問題、それはこの法律の便、不便の論争なんだ。私がお尋ねするのは、この法律の規定以外の質問、検査の行為をすることは違法にはなりませんか、こういうことを言つておる。違法にならないのならば、この第九条に基いてあなたのほうで省令或いは施行細則等において、これを曲げてもいい、或いは拡張解釈をして、こういうふうに書いてあるけれども、こういうことをしてもかまわんのだというところの施行上の注意が出ておらなければならん。そういう注意もなくして、法律にはこう書いてあるが、相手方が承諾さえすればどのような検査方法をとつてもよろしいのだということはどこから出て来る。そういうことを言うならば法律はなくてもいい、言い換えれば法律無視論だ。でありますから法律にはこう書いてあつても、或いは場合によつてはこういう方法をとるならばこういう検査の方法もできるのだという幅を持たせるならば、或いはこの法律の施行細則その他においてそういう運営上の、或いはあなたのほうの通牒か何かなければならん。ただ単に法律の解釈の幅を拡げるということでは行政の運営はできないのじやないかと思う。もう一度尋ねますが、法律の定める以外の検査の方法をとることは違法行為なりや否やということだけお答え頂きたい。或いは只今局長の言われたような運営上の幅を持たせ、そういうことを認めるというならば、あなたのほうの施行細則或いは通牒等にそういうことをお示しになつておるかどうかということをお尋ねしたい。
  76. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私も職権で、権限に基いて被保険者の監査をいたします場合には、法律にこういう規定があるのでありますから、この法律の規定によつてやるべきものと考えるのでございます。併しながら実際の行政の運用から申しますと、いろいろ被保険者にお尋ねをすることがあると思うのであります。こういう職権行使としてでなしの立場でです。そういう場合に被保険者においでを願つたり、こちらから行つたりしてすることは、これは私は法律の問題を離れたことであつて、この規定を離れた立場においていることでありますので、それは直ちにこれをやつたから法律違反であるということにはならないということを申上げたのでございます。
  77. 山下義信

    ○山下義信君 検査の方法等について、第九条の実際のこれを運用施行するについての何かあなたのほうの規定がありますか。施行規則或いは通牒等によりまして準拠するところの規定がありますか。つまり検査の方法或いは限度ですね、どの程度までは聞いていいとか、どの程度までは、まあ平たい言葉で言えば突込んでいいとかいうような検査の方法或いはその限度等について示されたる法令上の根拠があればお示しを願いたい。
  78. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 第九条だけのお話でございましようか、第九条ノ二を含めてものお話でございますか。
  79. 山下義信

    ○山下義信君 九条又は関連の条項でもよろしうございます。主として私は九条について聞いております。
  80. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 九条については健康保険法施行規則の六条でございます。施行規則第六条に規定がございまして、こういう権限に基いて質問をし或いは検査をいたします場合には「証票ヲ携帯スベシ」、こういう規定があるだけでございます。九条ノ二につきましては同じような規定が第六条ノ二にございます。なおこれは関連をしておりまするので申上げておきたいと思いまするが、健康保険法施行規則第六十七条、大分ちよつと規則が古いものでございまするので、必ずしも正確であるとは申せないのでありまするけれども、私どもの解釈といたしましては同じく法律に「命令ノ定ムル所ニ依リ」というような表現がしてございまする、その命令の関連におきましては六十七条の規定も関係を持つておるものと、こう解釈をいたしておるのでございます。
  81. 山下義信

    ○山下義信君 すべてこの法律関係、法令が古いのであるということは私も同感なんです。古いということは、言い換えれば不完全なという意味にもなるのです。それで今の元に戻りまして職権を離れてならば九条の規定以外で、まあ相手方が承諾されるならばどこで聞いても監査ということの行為の運営上これは差支えないことである。職権以外ならば、職権行為以外ならばということがあつたのですが、これは大事なことだと思う。又今ここに我我が問題にしておることとも直ぐに関連をして来る。それで職権の行為以外ということはどういうことになるのですか。職権行為以外に何を尋ねるか。この監査に関して、監査をせんとする事項について尋ねることが即ち職権行為であつて、職権行為以外に相手方が承諾すれげ聞いてもよい、尋ねてもよいということは何を意味するのか、私は了承しがたい。それからこのこと自体が職権ではないかと私は思う。職権行為以外であれば、第九条の規定以外の場所でも検査してもいいということが私には了承しがたい。それから仮に一歩譲つてそれを許したとしても、そういう方法によつて、職権行為以外によつて尋ねたものが今度は職権上のそれが資料になるのが、証拠になるのが私は甚だ法理論からいつても疑問に思うのです。ですから尋ねること自体が職権の内容なんです。職権行為以外ならば、相手がたが承諾すれば、法律の規定以外の場所においてもしてもいいということは私は納得しがたいと思います。それから職権行為以外で尋ねたが、それを今度は携え帰つてそれが法律上の材料になるということは、非公式に聞いたことを今度は持つて帰つて公式な資料にするということは、これは私は筋が通らんと思う。それを一つ局長の御見解を承つておきたいと思います。
  82. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私の職権行為としてということを申上げました趣旨は、相手方は、法律に基く権限の行使でございますので、これに応ずる法律上の義務があると解釈されまするので、そういう意味合の法律関係を生ぜしむるような意味でやりまする場合には、つまり言い換れば第九条の規定に基いて行動をするという場合には、その規定に基くことが当然必要でございます。これが職権以外のということを申上げましたのは、そうした九条の権限を楯にとつて検査或いは質問をするという場合でなくて、それとは別に、一般行政権の行使として事実を確認をしたいというような意味でお尋ねをすることは、この規定とは無関係の行動でございまするので、それが適当であるかどうかということは又別の問題でございますけれども、違法であるかどうかということになると、私は違法ではないということを申上げておるのであります。従いましてそういう場合にはこれは法律上の効果と違いますることは、相手がいやだと言えばこれは如何ともしようがないということになるだけでございます。
  83. 山下義信

    ○山下義信君 これは法律の論争はここに宿題としておいておきましよう。これは私は違法行為だと断定させて、当該官吏の処分を迫ろうとする下心があつてやるのではない。同時に当局は関係者をカバーするために、無理に法律を又都合のいいような解釈をするつもりでもないだろうけれども、そういうことになつてもならんのでありまして、若しそれが不備であれば、我々立法府にある者はこれを改正しなければならんし、当局も又運営して不利不便があるならばこれを補わなければならん。これは宿題にしておきますが、監査官吏であるという証票ですね。その証票はただ携帯しておりさえすればいいことになつておりますか。あなたのほうの法令上或いは又運営上の指示において或いはそれを呈示することになつておりますか。そうしてそれは保険医だけにそういうことになつておりますか。被保険者の場合の質問又は監査、検査をするときにもやはり証票の携帯を必要とし、或いは呈示を必要とするか。その辺のところはどうなつておるかということをお示しを願いたいこれは我々の最近の手にかかりました法律では、証票の携帯はことごとく相手方に呈示することが最近の立法例になつている。これは法律が古いから或いはそういうことになつておらんか知れんが、これは念のために聞いておきますが、保険医に対して証票を携帯せいということは法文に明らかである。被保険者の場合が私には明白でない。一つは呈示させることになつているかどうか、証票を携帯させているのに当該官吏には証票につき施行上においてどういうふうな指示を与えてあるかということなんです。その点を一つ答弁しておいて頂きたい。
  84. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 健康保険法並びに同法施行規則の関係から申しますると、先ほど私が申上げました同法施行規則第六条の規定が九条の関係でございまして、当該官吏は携帯すべしということだけになつております。それでそういうことは、結局相手方から要求があつたら当然これを見せなければいかんということになると思いますが、そういう規定は只今の規定から欠けております。供しながら運用の面としては、相手方が証票を見せてくれということであれば、当然これを呈示しなければならんというものと解釈をいたしております。
  85. 山下義信

    ○山下義信君 これは今私が最近の立法例で言いましたが、局長もすでに御承知なんですが、今の少し法律が古いといつたようなことについては同感なんだろうと思う。保険医技官の顔を知つておる、顔を知らなければ名前を知つておるのです。殊に地方庁の保険課員が立会えば、これは偽者でないということもわかるし、権利を持つているということもわかるのです。ところが一般の被保険者が、さつき参考人もしばしば実例を引いて陳述しておられましたが、誰やらわからんだろう、そういう場合に人権の蹂躪があつてもならないし、お互いに誤解があつてもならないので、証票の携帯をするということは、相手方を安心させ信用させるということが目的なんですから、見せるのが当然なのです。ですから最近の立法例は、向うの要求があれば、そんなことは書いでない。立入検査をするときには証票を積極的に見せろということが書いてある。そういう二とは今の局長の御答弁では、運用上の御注意が与えてないように思うのです。若しそういうことに対して厳重な注意が監査に当るところの官吏について与えてあればよろしいのでありますが、与えてなけらねば、今後与えるように御留意願いたい。これもあとの問題にしておきます。  それからいま一つは、これをお尋ねしておると際限がないので、私も監査の法的根拠だけを今は質疑をしておくわけなんでありますが、保険医監査を受けて、その監査について不服がありますときにはどういうことができるようになつておりますか。それで今回の問題はそれなんですね。引つくるめて言うならば、監査されたほうの側において不服がある、監査の方法その他について不服がある。そういう場合に健康保険関係の法令は、相手方にその不服の点或いは誤謬の点を明らかにしたいと思えばどういう方法がとれるようになつておるかという点を、法令の上でお示し願いたい。
  86. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保険医が行政処分につきまして不服があります場合の救済措置は、現在の法律からは欠けております。この点につきましては、昨年来私のほうの関係でできております臨時医療保険審議会というのがございますが、その議題にも関係の委員の方々から御提案がございまして、私どもといたしましても保険医の制度の問題は、それらの点を含めまして当該審議会で十分検討の上、結論が出ましたならば、適当な時期に、成るべく早い時期に法律の改正をする必要があると考えておるものでございます。
  87. 山下義信

    ○山下義信君 これは私どももそう思う。非常に法律の不備、盲点といいますか、一方的にそういう監査をし、そうして一方的に処分をして相手方に不服の申立の途が開かれていないということは、これは非常に大きな欠陥なんです。私どもも今日までこのことに気がつかなかつたといいますか、不問に付していたことは実に申訳がないと思う。これは速かに改正すべきだと思います。そういう法律の不備である間は何を以てこれを補うか。法律がないから仕方がないというのでは余りに子供らしい。法律に欠けておるところを補うのが私は行政の運営の妙味であろうと思う。ですから自然法律の上で不服の申立ができない。若し不服の申立の途があれば、不当な監査をし、不当な処分をすることもチエツクできるし、した者に対しては、これは又反省を促すこともできるのです。けれども一方的な規定だけですから、片一方は泣寝入りだ。泣寝入りさせておくから不当なことが通る、通るままにしておくということになるのですから、自然根源は、そのことに当る当該官吏が行き過ぎが起き、横暴になるということに私はなるのじやないかと思う。そういう場合に当つての法の不備を補うについて行政当局がこれまでどういう注意を与えておられますか、どういう心がまえを持つておられますかということだけを私は聞いておきたい。  これで私の質問は一応今日は終り、あとは他日に保留しますが、私が尋ねておきたいと思うのはそこの点なんです。法の不備な場合に、不服申立の途もない、訴願の途もないのだというような、こういう場合における行政当局の法の運用上の御注意は、これまでどういう注意が与えられてあつたかということだけ聞いておきたい。
  88. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 先ほど来九条のほうの関係の御質問でございましたので申上げなかつたのでありますが、九条の二の保険医を対象とする監査につきましては、特に御指摘のように問題が重要でございます。そこで行政上慎重を期する意味におきまして、先ず第一にお目にかけたいと思いまするのは、監査指導監査要綱というものを作りまして、これは中央社会保険医療協議会の議を経まして決定をいたしたものを知事に流しております。その方針の中には、被監査者として選ばれます者の選定の基準でございますとか、監査の方法でありますとか、監査後の処置でございますとか、いろいろ注意事項が書いてございまして、こういうようなことによつて公正に地方地方によつてまちまちな措置に出ないように考えておるわけでございます。これは後ほどお配りをいたしましてお目にかけることにいたします。  それからもう一つは、それにいたしましても、やはり結果の判定につきましては各県知事の権限になつておりまするもので、行政処分の権限が知事の権限になつておるのであります。そのままで放置をしておきますると、各府県ごとにまちまちの措置がとられ、全国的に公正を保つゆえんでないと考えまして、指定取消を法律に基いていたします場合には、一応知事に厚生大臣に内議をいたさせております。それによりまして私どもとしましては、勿論知事の意見は尊重いたしますけれども、全国的に公正を保つ意味の、調整を図る意味で、行政官庁内部の措置として内議をさせてやつておるのでございます。  それからもう一つは、問題になる肝腎の点でございますが、私のほうの技官を手分けをさせまして、そうして、そうして県の係官と一緒に共同監査というものをやつておるのでございます。これがたまたま今回の問題になりまして恐縮いたしておるのでございますが、主任の技官がそれぞれ計画を立て、当該関係の都道府県とも連絡をいたしまして共同監査ということを行なつて、全体の調子を合せるようにいたしておるつもりでございます。  それから更に運用の問題としては、先刻参考人のかたがたのお話にもございましたように、官吏又は吏員のみで監査を行うことなしに、必ず医師会、歯科医師会の幹部の方々にも監査には立会いを願つておるのでございます。そういうようないろいろと法律には規定のございませんようなことですけれども、運用上公正を期し、適正を図るようにいたしておるのでございますが、なお私どもとしましては、法律の中に規定のあります行政処分をいたします場合には、地方社会保険医療協議会意見を聞くことになつております。これを適正に運用をいたしまして、そうして各方面の御意見のあるところを尊重して知事の処分が決定されるように督励をいたしておるのでございます。
  89. 山下義信

    ○山下義信君 私は監査の法的根拠のみに質問を限定いたしましたのですから、一応御答弁も不満の点もありますが、その答弁を承わつておくことにいたしておきます。  ただ最後処分権は知事がやる、併しながら内申をしておる、こういうことであります。念のために聞いておきますが、その処分の内申、知事の内申に対して本省はどういうふうに再調査しておりますか。ただ書類の上だけで点検をしておるのですか、或いは又実地について、事重大なりと思えば再調査を本省みずからがやつておるか。その内申の取扱い方はどうしておるか。恐らく今回の問題も、本省は相当これは重大と考えられたと思うのですが、今回のケースに私は限つて問わない。本省は内申があつたときには可調査をしておるものか、してないのか、書類だけで見ておるのかということを念のために聞いておきたいと思います。
  90. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 先ほどから申上げておりますように、原則的には県知事の権限にありますものでありますので、その各府県間の調査を図るというのが主たる内申の目的でございます。併しながら内容的にも勿論審査をいたしまして、疑問のありますものは保留もし、或いは必要によつて関係者の出頭を求めたりして、説明を聴取したり、いろいろ調査はいたしおります。その結果、非常に稀ではございますけれども、この程度においてはまだ納得ができないというものにつきましては、本省から係官を派遣をして再調査をいたさせる場合もございます。
  91. 山下義信

    ○山下義信君 今回の長崎県、広島県の場合は再調査をいたしましたか。
  92. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 広島県、長崎県の場合におきましてはこちらから参るということはいたしませんでした。と申しますのは、長崎県の場合は別として、広島県の場合は、半分はこちらの係り技官が参りまして、直接事情を承知をいたしておるものでありますので、半分の内申につきましては地方で独自の監査をした結果が出て参つております。これは書面によりまして、或いは電話によりまして内容についていろいろと連絡、調査をいたしたのでございます。
  93. 山下義信

    ○山下義信君 他の質問は保留いたしまして、私のはこの程度にとどめておきます。
  94. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私この機会に保険局長に二、三お尋ねをしておきたいと思います。  現在の保険診療は保険医個々の契約になつておりまするか、契約ではないのでちりますか、この点。
  95. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保険医たることは健康保険法の規定によりまして知事が指定をすることになつております。併しながらこの指定は御本人の申出によりまして、御本人に、保険医になるべきお医者さん或いは歯科医師に保険診療の方針というものを呑み込ませて、それを承知の上で保険医たることを申請をして頂き、それに対して指定という行政行為によつて同意を与えるということでございまして、私どもの解釈は公法上の契約であるという解釈をいたしております。
  96. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 以前は団体契約というものが行われておつたのでありますが、当局は団体契約というものを復活するような御意思がないかどうか。
  97. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) この問題は中山先生もすでに十分御承知のようないきさつでああした結果になつたのでありまして、この点は私どもだけで結論を出し得ない事情もあると思います。と申しますのは、医師会本来の行き方にも関連をいたしますものでありますので、団体契約でやるのがよいかどうか、具体的にそこまでは検討いたしておりません。
  98. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 その程度でよろしうございます。  それから第二にお尋ねいたしたいことは、今朝来参考人の御報告にありましたように、保険医としての経験の少い人にいろいろな監査をしてもらう。これは全く保険事務というものが非常に複雑でありまして、或いは診療法による診療だとか診療報酬請求書の書き方であるとか、次々に新らしいものが出て来る。これを全部認識しまするのには相当の期間を私は要すると思うのであります。いつかも同僚から出ましたが、医療はできるけれども、社会保険医療というものではそんな規定の全部を頭に入れなければ制裁を受ける、こういうような現状ではないかと思うのであります。御承知の通り今日自由診療というものは殆んどないのでありまして、保険診療が全部と申しても差支えないような実情でありとますから、医者になりましていろいろの規定が次々に出るものを全部よく理解しなければ先ず資格がない、こういうような現状では、保険医として安心をして治療に当られないのじやないか。治療よりもむしろ複雑な事務的方面に頭を使つて、それを使わなければ処分にひつかかる、こういうような現状のように解釈されるのであります。私は当局において保険事務を根本的に建て直し、今は事務の簡素化ということが非常に強調されておるが、保険診療に関する限りはその逆になつておるように思うのであります。これは速かに、何らかの方法によつて事務の簡素化を図るような御意思があるかどうか、ちよつとお聞きしたいと思います。
  99. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お尋ねの点は、私も痛切に感じておる問題でございます。この問題はひとり保険のみでなしに、例えば結核予防法でございまするとか生活保護法でございまするとか、厚生省関係の各種の法令で同一の患者に適用される諸手続がございまして、ますます複雑を加えておることは私もよく承知をいたしております。先般も御質問の際に、関係局において思い切つた改革をいたすべきであるということを申しておつたぐらいでございます。この線に沿いまして事務の簡素化は勿論、社会保険の分も含めまして考えて行くべきであるというので、今そういうことを検討いたしておるところでございます。
  100. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私どもは、この社会保障制度審議会の勧告にもある通り、各種の社会保険を適当に統合して、よく事務の簡素化を図るということは、今日まで機会あるごとに当局に御要求いたしておるのでありますけれども、そのたびごとに検討中というお話で、どこまでそれが進行しているというようなことは一遍も申されたことはないのであります。これは単純の御答弁だけでなく、実際の実状を一つよくお話を願いたい。どういうところまで進展しているのかということを一つお話を願いたいと思います。
  101. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 各種社会保険の統合の問題は、卒直に申上げますと、実は私のような立場の者がお答えを申上げる筋のものでございませんので、申すまでもなく各省の関連がございますので、相当思い切つた行政機構の改革が伴うというようなことでございませんとこの問題は解決いたさないと思つております。従いまして検討をいたしてみたところで、私どもの力を以つていたしましては如何ともいたしがたい点であろうというのが、実は卒直に申上げて事実でございます。むしろ国会方面等のお力を頂きまして、思い切つた措置が大所高所からとられなければならないのであると感じております。
  102. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 今局長の御答弁は、まあ私ども一応承わつておいたのですけれども、昨今起つた問題ではないのであります。各省に跨つておる点も又ありましようけれども、保険局自体が全体どういうような考えを持つておるかということも先ず私はお聞きしておきたい。
  103. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 私は保険局長とじての立場から申上げますれば、当然統合の線に進むべきであると思います。
  104. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 次に、この最近の指導監査という問題でありますが、最近はどうも指導ということが殆んどなくて、処分をせんがための監査のような傾向がだんだん多いように私は感じております。私どもが現役時代には、医師会というものが実質的にいろいろな仕事をしておつたのであります。現在は指導という面が非常に薄らいで、ただ保険医処分せんがための監査のようにほかとれないように、今朝来の御報告によつてもあるのであります。こういう面で将来適当な改正法を今御研究になつておるかどうか、これも大きな問題でありますから、局長一個のお考えではいかんかも知れませんが、局長自身はどういうお考えであるかということを一応承わつておきたい。
  105. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 指導監査の趣旨なり方針なりにつきましては、私どもの考え方は何ら変つたことなく、やはり文字通り指導監査という方針でやつておるつもりでございますが、たまたま具体的な個人の行いました言動がその趣旨に副いません結果になり、そうして御心配を頂いておりますことは大変私は恐縮に思つておるのでございます、指導監査という言葉で一口に申しておりますけれども、私どもは同時に又この後の方針にもございますように、政府当局の診療方針ということがございまして、現実に不正の診療をするという、中には少数でございますが、そういう方につきましては指導というよりは監査のほうが強くなるかと存じます。併しながら全体の考え方といたしましては指導ということに重点を置いてやるという方針でございましたし、又今後もそのつもりでございます。法律上の改正につきまして、先ほども山下先生の御指摘のような点などを含めまして、いろいろまだ注意をいたさなければなりませんことを私ども感じておる問題もございます。私どもは先ほど来申上げておりますようなこともありますので、そういう方面で御意向も伺いまして、且つ又皆様方からの御注意もありますれば伺いまして、できるだけ早いうちに改正をいたすようにしたいと思つております。
  106. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 これにて私は今日はお尋ねを控えて、次回に……。
  107. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかに御質問ございませんか。
  108. 山下義信

    ○山下義信君 ちよつと最後に私は当局にもお願いして、委員長にもお願いしておきたい。本日の冒頭にもありましたように、この問題は不問に付することはできませんし、国会としての結論を出さなければなりませんし、政府としてもお考えがあると思う。次回までに政府のほうでも十分資料なり御意見なりを固めて頂いて、そうしてこの問題等に対する政府側のほうの調査も書類として正確に、抽象的でなしに、中山委員に対する御答弁は極めて総括的な抽象的な問題でありましたから、こうして参考人の具体的な陳述もあるので、当局のほうでも調査の結果をもたらされまして、肚をきめて一つ御出席なり、又御答弁なりを願いたい。そういう意味で、問題を次回に譲つて、本日はこれを以て打切られんことの動議を提出いたします。
  109. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今山下君の動議がございましたが、この打切りの動議に御異議ございませんか。……御異議ないと思います。  それではこれを以て散会いたします。    午後二時三十九分散会