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1953-03-10 第15回国会 参議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     下條 恭兵君    理事      赤木 正雄君    委員            石坂 豊一君            深水 六郎君            飯島連次郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            田中  一君   政府委員    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君    法制局側参事    (第三部長)  松尾 金蔵君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海岸保全法案深水六郎君外十一名  発議)   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  海岸保全法案を議題に供します。先ず発議者から第四章の説明をお願いします。
  3. 深水六郎

    深水六郎君 それでは第四章の御説明をいたします。  第四章の第二十六条は、海岸保全区域が国民の権利義務にも関係して、又海岸保全基礎条件をなすものでございますので、その範囲、その他の関係事項を明確にして置く必要がございますので、本条はその台帳調製、保管及び閲覧に関する規定でございます。道路法河川法にもそれぞれ道路台帳河川台帳に関しで表示の規定がござ六ますが、それと同様な趣旨でございます。  第二十七条はこの法律目的を達成いたしますために主務大臣、都道府旧知事及び海岸管理者の長に対して報告徴収権立入検査権等を認めようししておるのでございます。立入検査つきましては第八条及び第二十条の佃定の一部を準用することにいたしまして、その手続を慎重にいたしますと共に、損失を補償することとして、土地等の所有権者及び占有者の利益を保護することにいたしたのでございます。  第二十八条は行政処分の適正を確保し、そうして被処分者の不利益を救済するため、本法におきます主な行政処分について訴願の途を開いたのでございます。第二項におきまして、不服の理由が鉱業又は採石業との調整に関するものであります場合は、その処分について土地調整委員会裁定を求めることができることといたしましたのは、これらの産業と他の産業、その他公益との調整を使命といたします土地調整委員会制度趣旨に鑑みまして、その裁定に付するのが適当である、うういうふうに認めたからでございます。  第二十九条は占用料採取料及び加算金について他の公益上の金銭債権の例にならつて強制徴収の途を開き、公益を確保せんとするものでございます。規定の内容は道路法等におきます負担金等強制徴収規定と大体一致しておるのでございます。  第三十条は海岸保全区域内にある土地については第七条の規定によります公用制限などの事情がありますことに鑑みまして、固定資産税課税に関まして、地方税法第六条による課税の免除又は不均一課税の要件を有することを明確にいたしたのでございます。  第三十一条は主務大臣の問題でございますが、これは主として農地保全目的とする海岸保全区域については農林大臣といたしまして、その他の海岸保全区域につきましては、建設六日を原則として、第二項において若干の例外を認めております。大体「主とて農地」とこの法律で申しますのは、私たちの考えではいわゆる干拓埋立等で生じたその干拓堤防で囲まれて去る、保全されておる農地というふうに理解をして頂きたいと考えております。併しこの法律施行に関しまして、特別の必要がありますときは、第一項、第二項の原則にかかわらず、建設大臣農林大臣との協議によりまして、別に主務大臣を定むることができる、そうしてその場合には府県知事意見を聞くということによつて実情に即した運営を期することといたしております。  それから第五章でございますが、これは罰則でございまして、三十二条から三十五条まで、この罰則に関する規定は他の法律との権衡を考慮いたしまして、第七条第一項の違反につきましてのみ懲役刑を認めて、他は罰金刑にとどめることにいたしたのでございます。  それから附則でございますが、施行期日は、本法周知徹底に相当の準備期間を必要といたしますために、公布の日から六カ月を越えない範囲において政令で定める、こういうふうにいたしたのでございます。  附則の第二項及び第三項は、この法律における主務大臣は第三十一条で規定いたしておりますが、併し現に工事施行中の海岸保全区域におきまして、どういうふうに取扱うか、現状のままを当分の間適当と認めましたので、その現状に沿つた経過的な特例を設けることにいたしたのでございます。  附則の四は海岸保全法制定に伴いまして、海岸保全区域について地方行政庁河川区域の認定又は変更をしようといたしましたときに、当該地方行政庁当該海岸管理者に協議すべきものとしてあるのに鑑みまして、河川法の一部を改正せんとするものでございます。  附則第五項は、海岸保全法制定に伴いまして、海岸保全区域について漁港区域指定をしようとするときは、当該海岸管理者に協議すべきである、こういう事情も考えられます。そういう事情に鑑みまして漁港法の一部を改正せんとするものでございます。  附則第六項は、港湾区域につきまして前二項と只今申しました四項、五項と同趣旨港湾法を改正しようとするのでございます。  附則第七項は、保護水面区域について四、五、六項のこの三項と同趣旨一で水産資源保護法を改正せんとするものであります。  第八項は所管事務変更に伴いまして建設省設置法を改正せんとするものでございます。  又第九項は所管事務変更に伴いまして、農林省設置法を改正しようとするものでございます。  それから第十項は、第二十八条二項において、一定処分につきまして土地調整委員会裁定を求めることができることといたしまして、土地調整委員会権限を拡大いたしたのでございますので、土地調整委員会設置法の一部を改正しようとするものでございます。  以上でございます。
  4. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 御質疑のあるかたはどうぞ順次御質疑をお願いします。
  5. 田中一

    田中一君 第二十六条の二項の「海岸管理者の長は、前項の台帳閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない。」正当の理由でないということはどういう場合のことを指しておるのですか。
  6. 深水六郎

    深水六郎君 特別に具体的な場合ということを考えておりませんが、大体閲覧を濫用して……いろいろなことがないとも限らないというようなことで、大体よく法律に使われる文句でございますが、具体的な例としてはちよつと私今何いたしませんが……。
  7. 田中一

    田中一君 法制局に伺います。今の問題について……。
  8. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 只今提案議員から御説明ございましたように、こういうふうに閲覧を拒むことができないというふうに、はつきりと一般閲覧権というものが認められておるわけでありますが、その際に、仮にこういう規定が拒むことができないという理由のために、濫りにこれを濫用して、或る一定の悪い目的のために使うというようなことの事態が極めて明白でありまするとか、或いは恐らく海岸管理者の側におきましても、一定執務時間その他通常の常識の範囲内における執務時間その他があるはずであります。仮に非常に火急の用事でもない場合に、深夜に閲覧を求められたというような場合には、これも海岸管理者の長がこれを拒むことができないというようなところがあれば困るというようなことを普通に予想いたしまして、法令では普通拒むことができないというような場合には、万一の場合を予想して、正当な理由があることを前提として拒むことができないというように書くことが例であるようであります。その例以上にはちよつと……。
  9. 田中一

    田中一君 了解しました。第二十七条の報告の提出、立入検査、これは大体私はこれでいいと思います。第二十八条の、今提案者からの説明で、鉱区その他の権利のために土地調整委員会がその裁定をするということになつておりますが、「次項の規定により」云々と書いてある。これはこの一項にだけ適用されるのですか。それとも全部に関係するのですか。土地調整委員会裁定というものは二十八条一項だけの問題ですか。
  10. 深水六郎

    深水六郎君 一号から三号までの処分関係のあるものでございます。それは第二項に書いてございます。
  11. 田中一

    田中一君 土地調整委員会職務権限と言いますか、これを附則で改正しております。そうして例えばここにありますところの占用料とか、採取料とかも土地調整委員会裁定を求めるということになりますのですか。前にはそうしたものは長がきめるということになつてつたように考えておりますが。
  12. 深水六郎

    深水六郎君 一号及び三号です。
  13. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これは台帳を今度新たに作るようになるわけですが、これは一体どうなるのですか。これは議員立法ですけれども、実際上台帳を作るために必要な経費といつたようなものは、これは予算か何かにあらかじめ組んであるのでしようか、これらの事務費は……。その点をお伺いいたします。
  14. 深水六郎

    深水六郎君 これは管理者の本来の義務でございますので、国の予算には組んでいないのです。
  15. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは管理者の本来の義務ということの御説明ですけれども、若しこの法律なかりせば、一体何かこういつた種類台帳は、特に保全地区としての台帳ですね、こういうものは作るのは何によつて作る義務があるのですか。
  16. 深水六郎

    深水六郎君 それは海岸管理者地方公共団体がなれば、その管理をする責任がございますので、そのためにこの台帳を作るということが必要になつて来ると思います。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこを私はつきりまだわかりませんのですが、第二章に、市町村長は、この法律目的を達成するため必要があると認めるときは、海岸保全区域というものを指定することが出発点で、この台帳の問題が出て来るわけですな。ですからこの法律がなければそれは市町村長さんとしての現行における土地台帳、そういつたものの整備のあれは当然今あるわけでしようけれども保全地区だということによつて、この法律による新たな台帳意味だと思うのです、この台帳というのは……。そうだとすれば一体それに対、する事務費はどうするのだとか、或いはそのために非常に面倒な海岸線を持つておるところの町村或いは府県というものに対して、その事務を取扱5ところの人間に対してはどうしてくれるのだとか、こういつたようなこの法律施行に伴うところの新たな経費というものは当然考えられなければならない一ところだと思うのです。ですから今の御答弁では私ちよつとはつきりわかりませんのですが、重ねてお伺いをいたしたい。まあ今まででも大分なお研究を重ねるべき点が、私幾つか指定もしてありますが、これもこの場でどうということでなければ、あとで御研究の上御返事頂いても結構です、先を急がないなれば。ただこれは明らかにしてもらわなければいかんということだけを申上げます。
  18. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体同じような目的を以てする仕事に対して、これを所管する役所が、一つにまとまつてないで二つ以上あるということは、非常に事務の複雑を来たして、これは行政の面からもよくないと思うのです。そこで第三十一条を見ますと、この法律において主務大臣は、農地保全を主として目的とする、こういう場合には農林大臣、その他の海岸保全区域に対しては建設大臣と、こういうふうになつております。一体海岸保全施設設置或いは管理は、現在建設省設置法によつて一般的に建設大臣所管になつている。こんなことは提案者御承知でしようか。
  19. 深水六郎

    深水六郎君 大体それを承知しております。
  20. 赤木正雄

    赤木正雄君 若しもそれを十分御理解ならば、その背後土地農地であろうと、或いはその他のいろんな関係土地であつても、所管大臣を異にするということは、海岸管理を適切にするという観点から言つて、又これに関する先ほど申した行政を複雑にするといつた観点から言つて、やはり一つの官庁の建設大臣に属させる。これが適当のように思うのです。丁度この関係河川法における河川管理と同様に考えることができます。従つて海岸保全主務大臣原則として建設大臣とすべきである、こう思います。尤も主として農地保全目的とする、こういう海岸保全区域につきましても、一体その主として農地保全という概念は、これはどれまでが農地保全概念か、これは非常に疑義が生ずるのでありますからしてなぜこれを建設大臣所管にするということになさらなかつたのでしようか。
  21. 深水六郎

    深水六郎君 只今赤木先生からのお話御尤もでございますが、実はこの三十一条がこの法律を作わますときに一番問題になつた問題でございまして、できますならば、この点につきましてはちよつと速記をとめて、いきさつを話させて頂ければ結構でございます。
  22. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をとめて。    〔速記中止
  23. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 ものにより妥協も結構でありますが、併し妥協をしたためにその禍いがいつまでもある。これは非常に警戒すべきことなんであります。特に立法措置についてはそれはなお注意すべき我々の責任だと思います。従いまして海岸保全、こういうことを一般的の概念に持つならば、後ろに農地があろうとどうあろうと、それは第二の問題だろうと思う。又実際現に農地改良法に基く埋立或いは干拓工事施行している区域につきましては、これは別といたしまして、その当該工事施行中とか或いは完成後の一定期間土地改良事業主務大臣といたしましても、その期間が経過した後の、土地改良並びに保全目的が達しました後には、これは一般背後地と何ら異るところがありません。その観念からいたしまして原則として建設大臣海岸保全責任を持たせる、これは私は当然だと思います。修正には同意しますけれども
  25. 深水六郎

    深水六郎君 私たちとしては、只今赤木先生から御尤もな御説明がございましたけれども立案者としましては、現在の段階においてはこういうふうに主管大臣を挙げたほうが最も妥当であるという見地に立つて出しております。御了承願います。
  26. 田中一

    田中一君 私も赤木さんの意見に同感なんです。そこで赤木さん並びに我我がそれをはつきりとつかみたいのです。従つて今現在あなたが説明したような、両方で並行してやつておる個所農林省が将来海岸となるべき干拓堤防というものを築造している個所、それから建設省が現在やつている個所、そういつたものがわかつているはずですから、その資料を我々の意思を裏付けるために御提出願いたい。  それから次に、海岸というものは只今では市町村並びに都道府県維持管理をしておる現状だと承知しておりますけれども、そうでない場所、新らしく海岸を作る。例えば干拓その他、それ以外の誰も管理をしていない海岸というものが若上わかればその資料もお出し願いたいと思うのです。そうして同時にそうしたものがあるとするならば、無論あると思いますが、そうしたものが指定する区域に入るものかどうか、或いは相当大幅に入らなければならないというような考え方をこの法律ができた暁に持つかどうかの問題について河川局から御意見を伺いたい。というのは我々はどこまでも海岸主務大臣というものは建設大臣でなくちやならんという前提の下に話しているわけですから、その点河川局長から大体農林大臣が現在やつているもの、それから建設大臣がやつているもの、将来この法律ができた場合に誰が海岸として、一般的な主として農地目的とするのではなくて、全体の海岸として指定すべきものという考え方をお聞きしたい。
  27. 前田穰

    前田穰君 只今赤木委員質問に関連してでありますが、この三十一条を私は読んでおつて、どういうことが書いであるのだか一つもわけがわからなかつたのでありますが、今のお話伺つてつてぼんやりわかりかけて来たような気持がするのでありますが、それは海岸保全法というのが海岸線を消極的に現状で保つて行くという意味に私は解釈しておつたのでありますが、干拓ということはむしろ積極的に土地を新らしく作つて行くということの観念が強いように思うのですが、従つて干拓をするために土地を作ることは、これは海岸保全の私が考えておつた観念とは違つたことのように思うので、それで三十一条がよくわからなかつたわけなんですが、この海岸保全という言葉は消極的の現状を保持して行くということでないので、そのほかにむしろ積極的に土地を作つて行くことまで含めた観念なんでしようか。
  28. 深水六郎

    深水六郎君 只今前田先生の御質問だけにお答え申上げますが、まあ三十一条に関する主管大臣の問題における干拓堤防につきましては、でき上つたこの干拓堤防を維持保全するということが主たる目的でございます。
  29. 田中一

    田中一君 ちよつと河川局長答弁を願います。
  30. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ちよつとその前に関連して。答弁が簡単になるようにします。私前田さんの質問に対する今のお答えについて私まだ二項との関係はつきりしないのですが、田中さんが河川局長答弁をさつきの赤木さんと共に要望のようですから、その答弁をされるに当つて、私は更に言及してもらいたいことがある。附加えて申しますが、範囲を拡げて十分考えた答弁を願いたい意味で関連してお願いを申上げたい。  それは前回も、その前も、いつも問題になつておりますように、一体としての海岸保全ということになれば、例の森林法による施設地区という問題があります。これは何も木の生》ていない所だけじやない、森林法を御覧になればわかるように、それをも含めた意味一つ答弁を願いたいと思います。
  31. 米田正文

    政府委員米田正文君) 海岸保全に関しましては、現在予算措置以つて処置をいたしておりますので、早急にこういう海岸保全法という法律の裏付けが欲しいというのは、かねがねから我々の念願でございました。そこで今日建設省として海岸保全施設をいたしておりますのは、海岸堤防修築費という名目で各都道府県に亙つて実施をいたしておりますから、今の基準は予算関係上、現在都道府県管理をいたしておる区域について施設実施いたしておる次第でございます。我々としては市町村管理施設にまで補助対象を拡張いたしたい方針は持つておりましたけれども現実予算の面から制約を受けまして、現在都道府県管理をいたしておるもののうちの一部を実施をいたしておる次第でございます。そこでそのほかに海岸地盤沈下による保全事業といたしては、地盤沈下対策として実施をいたしております。或いは高潮対策としての保全事業もいたしております。そこで今申上げましたように、都道府県管理区域を現在のところは立案対象として処置をいたしております現状でございます。我々としてはかねてから主張いたしておりますのは、日本海岸についての今まで責任者が明確でなかつたのであります。そこで終戦後初めて、辛うじて予算措置によつてこの海岸保全という事業を取上げて来たのでございます。その以前はいろいろな形で地盤沈下対策一或いは高潮対策とか、或いは公有水面埋立法等法令の下において事業はほかの部門において実施を頂いておつたのでありますが、正式に海岸堤防修築と名前を打つて実施をせられたのは終戦後のことであります。実はこの海岸に関する調査を現在いたしておるのでございますけれども、なかなか正確な数字がまだつかまえられない現状でございます。ここでちよつと簡単に申上げますのは、非常にラフな数字でございまして、今後補正を要する問題でございますので御了承をお願いいたしておきたいのですが、海岸都道府県支弁の設施をいたしておる延長は約千七百九十八キロでございます。それから市町村支弁施設をいたしておる延長が約千三百五十四キロ、公有水面埋立法によつて造成せられた土地保全をしておる施設が六百八キロという数が一応調査で出ておりますが、これらについてはなお今後調査を続ける予定のものでございます。我々といたしましては、公共性の面から現在のところ都道府県管理のものを先ず予算対象にいたしておる、次に予算が許す限りにおいて市町村支弁施設にまで及ぼしたい。なお先ほどの海岸の植林による砂防の問題でございますが、これは別途に法的整備もせられる準備が進んでおるようでございますので、我々といたしてはその面は海岸砂地保全対策というようなものはこの法案とは別に考えておる次第でございます。なお砂防法その他そういう別の法律のあるものについてはこの法案外に考えておるのでございます。そういう実情でございますが、一般的に申上げまして、日本海岸保全一般的にする管理者は、管理の国の機関としては建設大臣といたしたい。というのは、広い意味国土保全責任建設大臣が持つことが最も適当である、こういうふうに考えておるのでございます。国土の中には勿論農地がございますし、工場地帯もございますし、或いは港湾区域もございます。区分けをして参りますと里の中にいろいろな種類土地がございますけれども、ひつくるめて申しますと国土でございまして、農地なら農地はつきり申しましても、農地であるか、農地が主となるか主とならないかというような判定も、現実の問題になると非常に困難になる場合が多いのでございます。或いは港湾等に関しましても、港湾の現在の港湾区域というものになりますと、非常に広汎の区域になつて参りまして、現在我々一のところですでに事業をいたしておりますものが港湾区域の中に非常にたくさん入つておるのでございます。そんな関係で我々としては港湾に関しては港湾施設に関連のある区域は除きますが、その他のものはこの法案建設大臣所管として一元的に実施をするほうが実情に合うのではないかと考えておる次第でございます。
  32. 前田穰

    前田穰君 私の質問に対するお答えがまだよくわからないのですが、この「農地保全」という言葉一つもう少し詳しく御説明願いたいと思うのです。その干拓をするためならば、それは海岸保全をするのではなくて農地を新しく作るという意味になるのじやないかと思うのです。そうすると「農地保全」というのは現在海岸農地である場合、その農地を壊れないように保全するために施設をする、こういうことにこれは解釈できるので、従つて何が故にそういうものだけを農林大臣所管にしなければならないかということがわからないので、結局この三十一条は私にはよくわからないという結果になるのです。
  33. 米田正文

    政府委員米田正文君) 三十一条については私ども考え方から申上げますと、今申上げましたように、一般的に申しまして国土保全という意味から三十一条の書き方について我々は異議がございますので、実は私ども建設省としての考え方としては、この主務大臣建設大臣とすると、一般主管の立場をはつきり語つて頂いて、それから特に農地関係で必要のあるものは農林大臣とすると、こういうふうに書いて頂くことを非常に熱望いたしておる次第であります。今の御質問趣旨がよく私どもわかりませんでしたが、私ども考え方としてはこの主管大臣管理大臣一般的に建設大臣として行きたい、こういう趣旨でございます。
  34. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今局長さんのお話を聞いても、恐らく質問者前田さんもまだわからない、私も聞いていてわからないです。そのことは同じことになるかも知れませんけれども、第二項のように、いわゆる埋立をする、海岸埋立をして行く、こういうところのいわゆる農地増反といいますか、農地を殖やして行く、殖やしたあとにおける海岸に当る部分のものまでも普通の海岸として処理して行くのかどうか、こういう問題が基本的にあつて、そうして第二項では農林大臣主務大臣となるべき海岸保全区域埋立関係でできて、そうしてそれが今は都道府県のほうの維持管理責任になつている所は例外として建設大臣が持つ、こういうことに意味しているのだと思うのですが、この辺もわからない……。
  35. 前田穰

    前田穰君 私が先刻からお尋ねしていることは、どうも三十一条を通覧してみると、原則として海岸農地があつて、その海岸保全する場合には主務大臣農林大臣だということが原則のようでありまして、その理由がよくわからないのですが、こういうことになつておるから、運輸委員会からは港湾内は運輸大臣の主管にしろということも当然これは出て来るだろうと思う。先刻提案者の御説明に、農林省建設省との両方の言い分を聞いてやつたと言われますけれども、これは同時に運輸省の言い分というものはどういうものかという問題がすぐに三十一条を見ればそういう疑問が起ると思うのですが、もう少し三十一条について正確な詳しい御答弁を願わないと、この条文はさつぱりわからない。
  36. 田中一

    田中一君 関連してですが、私が説明するのもおかしいけれども、先ほどの提案者説明は、自分としては建設大臣が持つべきものだろうけれども、いろいろほかのほうとの関連があつて、一応この面だけは農林大臣の主管にした、こういうことになると思うのですが、前田さんのお話は、こういうことになると、港湾のほうは運輸大臣でなければならない。港湾だけは除外してあるのじやないかということが疑点だと思うのです。私ここで三十一条の問題について第二項のような場合は、例えば私どものほうの郷里岩木川の河口に囲繞堤という堤防を作つている。これはどこまでも農地改良のための堤防を築いているのです。干拓しておりません。ただ河口に廻つた堤防を築いている。これは堤防と言いながら海岸に違いない。海岸ということになるかどうかはつきりしませんが、少くとも農地改良のために作つているものである。そうするとこういうものは第二項に当るべきものだろうと私考えるのですが、そこで農地というものが、干拓地を閉め切つた場合農地ができる。併しその海面と干拓地との境にあるところの海岸、いわゆる海岸という定義から言われている海岸ですね、これが道路であつた場合には何というか、これが道路である場合がたくさんあります。この場合には閉め切りがシート・パイプで以て鉄板一枚でやつたところもあるでしようし、そこのところにコンクリートでやつて車の通れるようなものをやつた場合がある。その場合には道路法規定する村道とか町村道とか、こういうところで、それまでも農林大臣が持たなければならんということはあり得ない、私はこう考えるのです。従つて現場によつて判断はいろいろ違つて来ます。違つて来ますが、少くとも第二項にあるように埋立保全区域というものになつた場合は、これはシート・パイプで以て閉め切つている場合には、これは完全に海岸でありながらシート・パイプというものだけで一部のものが埋立保全区域とみなさざるを得ないと思うのです。ただ児島湾といいましたか、あそこのように上が通路になつている。これもどこまでも埋立保全区域というみなし方はいけないのじやないかと思う、道路ですからね。こういう場合にはこれは当然建設大臣が主管しなければならない。一つのものが目的が多目的になつている場合、それは誰が監督するかということになると、これはやはり先ほど言つたように、河川局長が言つたように、国土保全という意味から見れば、これは原則的には建設大臣が持つて例外農林大臣が持ち得ることもある、或いは協議してそれを埋立保全区域として農林大臣にお任せするという考え方が正しいのじやないかと思うのです。前田さんの御質問もその辺じやないかと思うのです。
  37. 前田穰

    前田穰君 私の質問若干或いは誤解を招く虞れがあるかと思うのですけれども干拓をする、埋立をするということは、これはむしろ海岸保全という観念からは別の観念ではないか。そうしてでき上つたものは普通の海岸とどう違うのか、同じじやないか。何が故に埋立てたところの保全施設だけは農林大臣の主管にしなければならないか。それがそもそも私の不思議に思つている点なんであります。だから第二項についていろいろ御質問がありましたけれども、二項の問題でなくて一項の問題なんです。二項の例外はなぜ置かなければならないか、こういうことに対しても直接に御質問申上げれば御質問申上げられるわけなんであります。でき上つたものを保全するのは、そうでない自然にある海岸保全するのとどう違うのか。何が故に農林大臣の主管に例外的に置かなければならんのか、こういう意味が同時に含まつているわけであります。
  38. 深水六郎

    深水六郎君 さつき田中さんのおつしやつたことを、ちよつと私の言葉が足りなかつたのかどうか知りませんが、立案者としてはこう考えておるのだろうけれどもというようなお言葉があつたかと思いますが、そうじやなくして、立案者としては建設省で言われておつたような道路保全という立場から見ればその通りであるかも知れんし、又農林省が言う農地保全という立場から言えばそれもそうだし、そこに非常に我々としては両方ともなかなかその理由は通つておるようだから、この際はなかなかいずれか一方にきめかねて、現在の状況を、現状というものをよく頭に置いて、そうしてそれを基礎にしてこういう規定を作つた、そうしていろいろな又その実状をなお詳細に当てはまるようにするために、特別の必要があるときは両大臣が協議して、その協議にも都道府県知事意見を聞いて、最もよく現地の事情に妥当するようにするということを申上げたのであつて、私は田中さんがおつしやつたように、これが妥当であるけれどもというようなことでなくして、両方ともどうも理窟がある、併し現状ではこうするほうが、一番、現在の段階ではこの両大臣を並立したほうがいい、こういうことを申上げたような次第でございますので、どうかその点は誤解のないようにお願いいたします。  又前田さんが言われたように、それじや運輸大臣のことはどうだとおつしやいましたが、これはやはり運輸省の御意見も詳細聞いて参りましたが、併しちよつと前々回でございましたか触れましたように、これはとにかく港湾区域内のほうは協議はやつても、実際上及び法律上も妥当だという見地から実は運輸大臣のほうは除いたようなわ叩けでございますので、その点はどうぞ誤解のないようにお願い申上げます。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 いろいろと提案者おつしやられますが、これはこの第一条を見ればはつきりわかるのです。「この法律は、高潮、強風、浸しよく、漂砂又は地盤の沈下に因る災害から海岸を防護し、」とあるのです。この一事を見れば万事は解消するのです。但しこれはこの前も申上げました通り、この漂砂に対しては私は多くの疑問を持つております。それから「防護し、もつて国土保全し、公共の利益を図ることを目的とする。」これはその防護した結果、国土保全或いは公共の利益を図るのでありまして、要するに今申した高潮、強風、浸蝕或いは地盤の沈下から海岸を防護する、この一事を見れば万事は尽きるので、農地云々ということは第二の問題です。
  40. 前田穰

    前田穰君 私の質問に対する直接のお答えがないように思うのですが、どうなんでしようか。その何が故に農地海岸にある場合にはその部分だけは農林大臣所管にしなければならないかという私の質問お答えがないように思いますが。
  41. 深水六郎

    深水六郎君 何が故にというなかなかむずかしい御質問でございますが、たびたび申しましたような関係から、現在予算措置でも農林大臣がこれを非常に広汎にやつておりますし、又その農地の保護という目的から見ましても、ここに農林大臣を持つて来るのが私たちは妥当だというふうに考えてやつておる次第でございます。
  42. 前田穰

    前田穰君 今の御説明はちよつとわからない。それならばその裏を返すと、私は運輸大臣をここへ是非入れろということが前提言つておるのではないのですが、併し筋途としては、現に港湾内の保全については運輸大臣予算措置をやつて仕事をたくさんやつておる。そうして港湾施設と密接な関係を以て施設をしなければならないのだから、やはり港湾内のことについては運輸大臣主管大臣にすればいいじやないか、こういうことになるわけなんで、予算措置がそうだからということでは、特に農林大臣主務大臣にした理窟がちよつと私にはわかりかねるのですが、それでまあ仕事の分量でも非常に違うのじやないかと思つて、昨日も運輸関係、農林関係、それから建設関係予算現状でも一つ参考に御提出を願いたいということをお願いしたわけだつたのですが、どうもこれは三十一条は私には今の御説明ではどうもよくわかりませんです。
  43. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  44. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて。  それでは三十一条以外の点で若し御質疑のあるかたは御質疑を願います。それから附則の二、三は三十一条と関連する形で御質疑を願うことにいたしまして、残余の部分で御質疑のおありのかたは一つ質疑を願います。
  45. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 だんだん終りに近づいて来て、まだ併し私としては保留した点は三カ所くらいあるわけなんですが、一体これを通覧して行つて、この法律というものは、第一条の目的は書いてある通りでわかるのですが、一体何をこの法律というのは狙つているのだろうか、本当のところ……。又逆な言葉で言えば、この法律施行されたことによつて、どういう国民として得する、というとおかしいが利益になるのか。どうも徒らに疑問のみ多くて、何かこれによつて得るところの効果というものがなかなか危ぶまれるのです。例えばこれを通せば予算が非常に多くなつてやりたいことの仕事がうんと殖えるのだ、これもいいですが、実際どうも法律というものは成るほど袴羽織を着せれば第一条に書いてある通りでしようが、併しその袴は先ほど来私が保留している点だけだつて随分ずたずたに破れているようなところもあるわけです。この法律というものを一口に言えば、どういう何かききめとか、俗な言葉言つて効果というものがあるのかということが、どうも今更のごとくわからないのですが、どうなんですか。
  46. 赤木正雄

    赤木正雄君 私この前は質問する機会を逸したのですが、一言質問したいのですが、よろしうございますか。
  47. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) どうぞ。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 第一条に「(政令で定める湖沼の沿岸を含む。)」こういうふうにありますが、これについて私非常に疑問を持つのです。一体その湖沼というものを、これはどなたかの御質問にもあつたように思いますが、海岸というものの概念を以て律することはできるか。これは私は大きな問題だろうと思うのです。第一現在といたしましては、湖沼というのはむしろ河川の一部として現に大部分の湖沼は河川法によつて準用河川に編入されております。そういうふうな観点からして湖沼というものをこの初めの第一条に含んでいいか悪いか、これは私はむしろ疑点を持つているのです。これはいずれ又討論のときに修正もお願いしますが、そういうことに疑問を持つているのですが、湖沼に対するどういう観念をお持ちか、河川法との関係もどういうふうになつているか、提案者の御説明を願いたい。
  49. 深水六郎

    深水六郎君 湖沼についてはこの前のときも申上げましたように、大体海岸と同様に考えられるようなところ、或いはこの干拓埋立等によつて農地を保護するための堤防ができているような所というようなものを大体私たちは想像しておりまして、その政令のきめ方は、そういうような観点からいろいろ内閣においてきめてもらいたいと思つております。又政令で同様にみなすというのは、漁業法のやつぱり政令において定めるというのがございまして、大体立法例はこれと問題は違いましようけれども、政令で定める湖沼というような言葉で漁業法か何かにもあると私は思つております。それと、ちよつとついでに済みませんけれども一言、昨日のところで補助のことが問題になつたのでございますが、実はあの二分の一の補助ということを作りますときまでは、北海道その他に対しての十分の六という特例はなかつたのでございますが、そういう特別を北海道についてほかの法律、或いは実際の問題としてできておるといたしますならば、北海道だけについての補助ということは又適当に考えられる余地もあるのではないかというふうに考えております。
  50. 赤木正雄

    赤木正雄君 今提案者の御説明をずつと聞いておりますと、やはりその土地の情勢ということを非常に重くお考えになつているように思うのです。そこでこの海岸法の海岸を保護するということは非常に違つた線がありはせんか。従つてそれが又三十一条にも大きな関係を持つ、こういうふうに私は思うのです。その点は又討論のときに申上げます。
  51. 田中一

    田中一君 大体これで質疑も重要な点だけは残して、終つたようですから、次回には、かねて要求してあるところの政府委員をお呼び願つて継続して頂きたいと思います。今日はこれでやめて頂きたいと思います。
  52. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私、今これでやめることは結構ですけれども、その関係政府委員といいますか、関係各省ですね、来られるときにかねてからこの席で委員各位からそれぞれ資料を要望してあるのです。その資料をその際までに是非お出し頂きたいということを併せてお願いします。
  53. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 承知しました。それでは本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会