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1953-03-05 第15回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長            下條 恭兵君    理事            赤木 正雄君            松浦 定義君    委員            石坂 豊一君            島津 忠彦君            深水 六郎君            飯島連次郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            田中  一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君    法制局側参事    (第三部長)  松尾 金蔵君   説明員    建設省河川局次    長       伊藤 大三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海岸保全法案深水六郎君外十一名  発議)   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  海岸保全法案を議題に供します。先ず発議者から第二章の説明をお願いいたします。
  3. 深水六郎

    深水六郎君 第二章は海岸保金区域規定でございますが、第四条は市町村長のする海岸保全区域指定要件、それから指定手続当該区域管理責任者に関する規定をいたしておるのであります。そうして又本条におきましては、海岸保金責任は第一次的には市町村長に存することを明確にして、そうして市町村長を以て海岸保全区域指定権者といたしておるのでございます。なお指定区域につきましては、国民権利制限最小限度にとどめるために厳重な規定を第六項に設けております。又指定手続につきましては、市町村の議会の議決を経ることを要するといたしまして又指定を適正にいたしますため、都道府県知事市町村長に対してその指定をすることを勧告することができるというふうに第四項で規定いたしております。  第五条では、都道府県知事のする海岸保全区域指定要件指定手続、それから当該区域管理責任者に関することを規定しておるので、ございまして、本条におきましては、海岸保全責任市町村長に次いで第二次的には都道府県に存することを明らかにいたしまして市町村長責任とすることが適当と認められない一定の場合について都道府県がこの責に任ずるといたしております。そうして指定区域手続等につきましては市町村長のする指定手続に準ずることと、たしております。  第六条は指定についての協議でございますが、本条は海岸保全区域指定に当りましてなすべき関係地方行政庁との協議に関する規定でありまして、これによりまして行政の適正且つ円滑な運営を期待いたしておる次第でございます。  第七条は海岸保全区域内における制限でございます。これは海岸保全区域内におきましては、海岸保全する必要上、海岸保全影響を及ぼす行為制限されなければなりませんので、本条はこの目的を達成するため、海岸保全影響を及ぼす虞のある行為につきましては、海岸管理者の長の許可を得ることといたしております。併し国とか公共企業体、或いは地方公共団体につきましては、その公的性格に鑑みまして、単に協議することを以て足ることといたしております。なお、許可の基準につきましては、その行為海岸保全上その他公益支障がないときは海岸管理者の長はその許可をなすべき拘束を受けるものとして、国民権利保護に留意いたしております。そうして海岸保全、その他公益上の公益目的の実現を確保いたしますため、許可には海岸保全上その他公益上必要な条件を付けることができることといたしております。そうして又海岸管理者一定の場合には許可を受けた者から占用料、或いは採取料を徴収することができるものといたしまして、当該占用料又は採取料当該海岸管理者に帰属するものといたしました。併し水害予防組合とか、或いは土地改良区からはその性格公的性格に鑑みまして、徴収しないことにしております。現在県の条例で海浜地占用とか、或いは海浜地におきます工作物の設置その他について許可制をとつている県もあるようでございますが、本法施行後は本法吸収統一カれこととなるのでございます。又第一項第四号の「その他海岸保全影響を及ぼす虞のある行為」と申しますのは、例えば海中への土や石の投入とか、遊水地の埋没とか、提防上の竹木植裁等が大体考えられるのではないか、かように考えております。第八条は損失補償でございますが、じれは前条の、只今申しました第七条の規定による不許可処分によりまして受けました損失補償に関する規定であります。海岸管理者はその第七条の規定による許可を受けることができながつたことによつて損失を受けました有に対して、財産権保障見地からそり受けた損失補償する義務を負うこととして、損失補償すべき範囲は通用の立法令に従い、通常生ずべき損入、こういうふうにいたしております。補償金額海岸管理者の長が決定するものとしましたが、これに不服ののりますものは収用委員会の裁決を求める途を開いて、そうしてその保護に留意いたしますと共に、補償金額の適正を期することといたしたのでございます。  第九条は、監督処分及び損失補償でございますが、これは海岸保全区域内に海岸保全その他公益上の見地から、海岸管理者の長の行使いたします監督権限根拠規定でございます。海岸管理者の長は無許可行為及びこれに準ずる行為をいたした者に対して是正的処分命令をなしますほか、許可当事者に対しましても、海岸保全その他公益目的を確保するために必要な場合には、一定監督権限行使することができるものとしましたが、これらの権限行使に当りましては、聴聞を要件として手続の慎重を期しますと共に、監督権眠行使によつて自己の貴に任ずべからざる損失を受けた者に対してその損失補償すべきものといたしております。なお国、或いは公共企業体地方公共団体に対しましては、その特殊性に鑑みまして、単に適当の措置を要用すべきこととすることにとどめたのでございます。  以上第二章の説明を簡単にいたした次第でございます。
  4. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 只今の第二章について御質疑のあるかたはどうぞ順次御発言を願います。
  5. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この前の第一章のときにも申上げて、これはお互いにもう少し研究しようという点を明らかにしておいたのでありますが、やはりこの問題は今後又出て来るのでありましてこの第四条の六項のところで「第一項の規定による指定は、海岸保金一体として管理するために必要な最小限度区域」「海岸保全一体」と、こういう「一体」というのは何と一体なのか。「海岸保全一体として管理するために必要な最小限度区域」この点は私はやはり問題がそれに関連しているわけでございます。そこで更に時間を節約するために申しますと、現在の森林法の四十一条というところにはこういう条文がある。第四十一条を便宜読みますと、「農林大臣は、第二十五条第一項第一号から第七号までに掲げる目的を達成するため、国が森林造成事業又は森林造成若しくは維持に必要な事業を行う必要があると認めるときは、その事業を行うに必要な限度において森林又は原野その他の土地保全施設地区として指定することができる。」こういうふうにして、この海岸等のいわゆる砂地については、保安施設地区として指定することができるというふうにある、この問題が一つ。  それからもう一つは、最近この十五国会で議員提出で以て通つた法律に、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法というのがございます。これを見ますると、この法律は、目的だけ便宜読みますと、第一条にこう書いてある。「この法律は、海岸砂地地帯に対し、潮風又は飛砂に因る災害の防止のための造林事業及び農業生産基礎条件の整備に関する事業をすみやかに且つ総合的に実施することによつて当該地帯保全農業生産力の向上を図り、もつて農業経営の安定と農民生活の改善を期することを目的とする。」こういうふうに第一条に目的調つて、第二条には、海岸砂地地帯指定と、こういうことを明らかにしています。海岸砂地地帯指定というのは、そういつた今読上げました目的を達成する上に必要一であるこの地帯農林大臣海岸砂地地帯農業振興対策審議会の意見を聞いて指定すると、こうあるのですよ。そうしてその指定されたところについては、農業振興計画というものを立てさせまして、それに基いて農林大臣がその海岸砂地地帯の一帯の土地の安定及び農業振興を図るという地域振興策とも言えるかも知れないが、そういう法律なんです。こういうふうになつて来ると、一体海岸というのはどこのこういつた地域、これは一体どの法律によつてやるのか、それぞれの法律によつて手厚い保護、或いは安定を受けると言えばそれまでですけれども、こういうふうにして同じような海岸がそれぞれの法律、而も跨つた、省を異にするところからそれぞれ対象になつた、こういうふうな点はどういうふうにお考えになられるかという点が第二の問題であります。いずれもこのことに関連して第六条の関連もありますけれども、一まずそれを伺つてみたいと思います。
  6. 深水六郎

    深水六郎君 只今非常に重要な御質問を受けたわけでございますが、非常にこの方面については三浦さん大変権威者であられますが、私たちといたしましては、この海岸保全区域指定に当りましては、一体としてということは、大体普通点々としてやりますと、その問が、いろいろなそこに海岸保全施設をした場合に、又間のほうが故障がありはしないかというような意味から、そういうことを一体としてという言葉で、そういうものを除けずにその間も通じてということで考えて来たわけでございますが、保安林とか、その他のいろいろなことがあります場合は、本法からは或いは指定のときにそういうことは別に適当に考えられるのではないかというふうにも考えております。大体保安林とか或いは砂防施設ということがありました場合は、そういうところを原則としては避けて指定するということが妥当ではないかと考えておりますが、それと一体としてということの矛盾法律上はないのではないかと考えております。なおこの法的解釈につきましては、詳細は法制局のほうに一つお願いいたしたいと思います。
  7. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 只今深水先生からお話のあつた通りでございますが、今お話のございました保安林或いは保安施設地区関係、或いは海岸砂地地帯農業振興臨時措置法に伴う措置関係は大体において海岸保全法の狙いとしておるところと、その方向、目的等が同一方向に向つておるものだと考えております。従いまして只今深水先生からお話がございましたように、同一目的で、大体同一の目的のために運営されるのでございますから、保安林の、或いは保安施設地区等がございましてそれで一応もう海岸保全目的がきめられておるというふうな地区は、必ずしもこの海岸保全法で重ねて指定する地区として指定をする必要はないかというふうに、一応はこの法律条文からも趣旨からも読んでいいと思うのでありますが、ただやはり先ほどお話がございましたように、第四条の第六項にありますように、「海岸保全一体として管理するために必要な最小限度区域」を指定 して運営をして行」うとする際に、一体管理、又そのための必要最小限度というそういう制限のこの法律趣旨から申しまして重ねてそういう保安林保安施設等指定して、一緒に運営することがやはり必要最小限度区域として必要であるということになりますれば、やはり重ねて指定運営することも法律上は可能であると思うのであります。併しその結果としましては、この海岸保全法では保安林そのものをどうこうするような手を下すのではなくて、やはりこの海岸保全法で言つおりますいろいろな施設をやる、その施設の及ぼす影響保安林との関係をうまく調和しながらやつて行くというような運営の仕方になるのではないかと思うのであります。なお海岸砂地地帯農業振興臨時措置法関係で申しますると、これはこの法律の第六条にございますように、「第三条及び第四条第一項に規定する農業振興計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律規定に従い、国、地方公共団体矛の他のものが実施する。」というようなふうに、ほかの法律との関係は一応調和がとつてあるように思うのであります。従いまし、て海岸保全法臨時措置法との関係相互調和を兼ねながら実施をされるものであると、こういうふうに考えております。
  8. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私は海岸保全一体という問題ですね、提案者深水さん又法制局部長さんの言われたように私も解釈をする、殊に深水さんのいうように海岸というのは一体としてやつて行かなければならない、そこに川の口がある、そうして川のところについてはここにいうところのいろいろな施策をしなければならないが、同時にそれに従つては或いは植林等による防風、林、防潮林、砂どめの植林と、こういうふうなものが当然必要であろうし、又そういう部分を放つておけば折角の川口の工事というものが、その海岸における砕波の関係で非常にみじめな形になつてしまうことは事実が示しているので、一体という考えについては同感なんです。それだけにやはり問題があるのです。今のお考えのように成るほど砂地地帯農業振興特別措置法では関連をつけてやつている、計画を立てる場合にはやつている。一方において森林法というものがあつて、先ほど申上げたような保安指定施設地区というものがあるのですが、そのほうとも又関連してやつて行かなければならない。例えば森林法によつて或る海岸を保要施設地区だというふうにいつても、所管の事業関係等で、建設行政機構で言えば、この海岸保全法に言う施設というものを十分やつてもらうことと相待つてその地方が、海岸がそれこそ一体となつて安定し、保全されるということになるので、森林法という規定だけでは不十分であるということも当然考えられる。そういうことをかれこれ考えますとどうなんですか、次の第六条のところ暑つているくと協議をしなければならない、関連法律との関連をつけているわけなんです。ここのところへ行くと、今言つた森林法だとかいうようなものを場合によつちや、書いてあるからと言えばそれまでだけれども、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法というのを、時限法であるとはいいながら、この措置法、こういつたものとの関連を第六条でつけ、おくという問題についてはどういうふうにお考えになられましようか。
  9. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 只今お話のございました保安林関係法律としては、森林法との関係になるかと思いますが、そのほうの関係は先ほど御説明をいたしました際にも一部触れた点でありますが、要するに海岸保金区域指定をして、海岸保全行為のためにいろいろな制限行為その他をやる。そういうことと、保安林管理ということがやはり同じ目的に向つておる関係から、相互矛盾をすることは殆んどないであろう。つまり海岸保全区域指定をして、それを管理することによる行為保安林管理に特に支障を来たすようなことはないだろうというふうに一応考えたのであります。第六条に指定についての協議をいずれも例挙し  てありますが、これらはそれぞれの内容を見て頂きますとわかりますように、例えば水産資源保護法でありますとか、鉱業法でありますとか、製塩施設法であります。とか、そういうものに規定されております或る一定区域管理というものと、この海岸保全法言つております管理との間に、しばしば矛盾衝突を来たす虞れがある。その矛盾衝突を来たす慮れがあるから、それらの当該法律施行者とあらかじめ区域指定について協議をしておく。こういう意味で第六条に掲げたつもりであります。勿論只今お話のございましたように、たとえ同じ目的であつても、できるだけ協議連絡してやつたほうがいいじやないかということも勿論考えられると思いますが、ただこういうふうに法律で「協議しなければならない」。というふうに書くことは、行政手続として協議を明確に規定するということでありまして、行政手続をそれだけ複雑にするわけでありますから、同じ目的のために事実上連絡協調して行けるものであるならば、法律で強いて「協議をしなければならない。」とまで書かなくてもいいのではなかろうか、こういう意味で第六条には、特に森林法その他との関係を語わなかつたというのが一応法律上の政府立場であつたと思うのであります。
  10. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の法律家考えた場合の考え方というものは一応わからんわけでは、ございませんが、今保安林とかというお話ですが、これは一体この森林法の四十一条で言う農林大臣保安施設地区指定というやつは、現在林になつてないいわゆる砂地原野、こういうものまで指定するのですよ、これは。そこへ行くと私はやはり問題があると思う。のみならず、その地元住民立場から言えば、これは一体保安林を造つてもらい、それに飛砂止め造林もしてもらいたいが、あの河口にこれに言うやはり施設をしてもらいたい、住民から言えば。そういつたようなときに法律施行者が互いに連絡をとればいいじやないかと言つても、やはり問題を残すのじやないか、例えばここに赤木先生もいらつしやるのですけれども、例の砂防法砂防指定地と例の山林関係がやつておる砂防との関連保安林という問題もあれはたしか一年違いでできた法律だと思うのですが、やはり問題を起していないとばかりは言えないと思う。だから私は法律というものは住民のためにと言うか、国民の安心して、何と言いますか、行けるように明らかにしてやつておいたほうがいいじやないか。私は法律については素人だけれども、従来の法律専門とする人たちが読んでわかる法律からだんだん近頃は文章も御承知通り俗つぽくと言いますか、わかり易いようなふうに、政令等に当然任していた、或いは省令等に任していた従来の立法の形式を法律の中に堂々と入れてしまつている。こういうようなことは私は一つの行き方であり、法律民主化かも知れない。こういうような関係から行けば、住民が迷わないでわかるように行けるようなふうに持つて行くことが私はやはり大切なことではないかと思う。そういう点から言つて私はこの一連の関連において何とか考えて、この問題は研究して頂きたい。このことを以て今日は研究問題として出して、私は一応終ります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は今の三浦委員の御質問関連して少しくお尋ねいたします。第六条の今立法者のほうから河川法その他とおつしやいましたが、河川法調つてあるならばなぜ砂防法をお とりにならないか、一つ砂防法のことは言つていない。砂防施設をどこでやつておるかということを御承知の上でこの法案を提案されたのか、先ずそれを承りたい。
  12. 深水六郎

    深水六郎君 赤木さんのような第一人者からそういうふうに言われますと、私ども困るのでありますが、只今法制局松尾さんからお話がありました通り、大体砂防法におきましても保安林におけると同様な趣旨から協議をする必要はないのではないか、事実上の協議は別といたしまして、法律上特に厳格にする必要はないのじやないかというような考え方からいたしたのでございますが、詳細の補足的な説明政府のほうから……。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 私からもう少し詳しく申しますが、砂防法から言いますと、各河川の海に接する区域、それが河口飛砂のために埋没されておるというふうな場合には、砂防法によつていつでもこれを砂防指定地に編入してすぐこれを設備地に組替えて仕事ができるのであるし、それは工事費さえあれば今日が今日でも指定地に編入し、設備地に入れますならばそれができます。つまりこの法律に謳つてある目的と同じ目的を達しつつある。先にも三浦さんが言われたように、同じような仕事をあちらの法律にもこちらの法律にも作つて、そうして一部を協議するとか、そういうような複雑なことをするのは本当に地元の人は迷惑するばかりです。これをもつと考えて、こういう法案から除くとか、そういうふうになされば、実際仕事をしておる市町村にしても、この仕事砂防法で行こう、或いは保安林森林法で行こう、併しその上に更に協議を経なければならんということになるとますます法律の上に法律ができて、実際困るのは地元民です。でありますから、一体どうなさるおつもりか、やはわそこまで考えてこの法案を作られておるか、若しもそこまで考えておらなければ、この法案をそういう観念から修正なさる必要があるのではないかと思う。別にこれは御答弁を要しませんから、今私が質問した趣旨によつてもう一度その辺をお考え願いたい。この間も私申しましたか、結局漂砂、これが大きな問題だ。又侵蝕、漂砂又は地盤の沈下に因る災害から海岸を防護し、以て国土を保全し、云々と第一条に書いてありますが、その漂砂は今までずつと農林省におきましても建設省においても仕事をして来ているのであります。そういうものを又これでやるという御趣旨はいいようでありますが、そこに非常に各省において予算の分取りが起つて結局行政複雑化ということになりはせんかと思いますから、この点をこの次で結構でありますから、特にお考え願いたいと思います。
  14. 田中一

    田中一君 昨日、前回の委員会でも伺つておいたことに又戻つて大変恐縮でございますが、河川局から伺いたいのは、この資料として提出された海岸線延長調べ、これは地図をお調べになつたので、地図をスケールで計るとすぐ出るから結構だと思いますが、これは河川局でしよう。
  15. 武井篤

    専門員武井篤君) 水路部調べでございます。
  16. 田中一

    田中一君 それではちよつと伺いたいのですが、河川局はこれは御承知でしようね、この資料は。
  17. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 今頂きました。
  18. 田中一

    田中一君 それでこの海岸線延長調べ民有地公有地国有地、この区分を先ず承知したいのです、民有地公有地国有地ですね。この第四条の男六項で指定している範囲ですね、この場合を民有地公有地国有地、この三つに分けて調べて欲しいと思うのです。従つてその満潮時の水面から五十メートル、それから干潮面の五十メートルというのは或いは民有地公有地国有地にまたがるような場合がありはせんかというような点ですね、こういう点を先ず第一に明確にお調べになつてお示し願いた一と思います。これは希望です。  それから私の一番申上げたいのは、指定の問題なんですが、この法律を制定する目的、これは第一条にありますが、一体日本海岸線を全部、できるならば全部指定したいというつもりでやつているのか、或いは災害とか或いは改修、補修しなければならないという場所を次々とやつて行こうという、それだけでもやつて行く、でき上つたらその指定は解除するという考え方か、立法者考え方を先ず第一に伺いたいのです。日本海岸線に対するこの法を適用するという考え方が、悪い個所を補修するための考え方か、或いは海岸保全区域というものをできるならば全面的にこの海岸線に向つて指定したいという考え方か、これを第一に伺いたいと思います。
  19. 深水六郎

    深水六郎君 全面的にやるとかいうところまでは考えていないのでございますが、とにかく第一条の目的にあります通り、これを第七四条で受けて、この法律目的を達成するため必要があると認めますときは、市町村長又都道府県知事はそういう海岸保全区域指定することができるといたしまして、又必要がなくなれば、或いはその状況が変化すれば、その指定の変更もすることができるようにいたしておるのでございまして、この条文から御承知通りこの法律目的を達成するため必要がある、こういうふうに市町村長又都道府県知事が認めたときに、その必要な区域をとにかく海岸保全一体として必要最小限度指定する、こういうふうに考えております。
  20. 田中一

    田中一君 第一条にはそうは書いてないのです。若し海岸災害を復旧するとか、改良するとか、守るとかいうものならば、これは別の考え方があるのです。ここにはそれを防衛する、災害から海岸を防護して国土の保全を期すと、こうなつておるのです。従つて若しも悪い個所だけ直せばいいのだということならば、これは海岸保全法というものの法律は要らないのです。現在やつているのです。だから結局責任範囲がわからんから、こういう法律が必要になつて来るのだと思うのです。現にやつているのです。これは建設省河川局で相当予算を持つてつていますから、その点はどういうことになるのですか。今のような御説明で以て十分でありましようか、もう一遍伺いたいのです。又河川局からもちよつと伺いたいのです。今提案者説明は現在やつているものを言つておるのです。
  21. 深水六郎

    深水六郎君 現在あるものも保全施設指定するということができるのでございますが、その他未然に災害を防止する目的も持つているのであります。
  22. 田中一

    田中一君 結構でございます。そうすると、この指定については民有地はどうなりますか。
  23. 深水六郎

    深水六郎君 民有地指定することができますし、そのために補償という問題を取上げておるのでございます。
  24. 田中一

    田中一君 民有地指定する場合も市町村長が議会の議決を経て勝手にやつていいのですか。それで補償すればいいという考え方ですか。民有地土地収用法の収用委員会に諮ればいいのであつて、その議会の議決を得れば構わずやろうというお考え方ですか。
  25. 深水六郎

    深水六郎君 それはここに書いてありますように、議会の議決を経て、必要があると認めるとき市町村長指定する。民有地指定する。これが指定されることによつて直ちに権利制限されるというふうにはならないと思いますし、それでいろいろな場合を考えまして、議会の議決を経て市町村長指定する、こういうふうにいろいろ指定する場合の条件を狭く、そうして適正にするように考えておるのであります。
  26. 田中一

    田中一君 私は土地収用法の精神というものは、これはきめてしまつてから図面を副えて公告するということになつているのです。自分の所有する土地がいつのまにか議会の決議によつて一方的に本人の意思によらずして議決する、そうして図面をつけて公告するだけで以て日本民有地が取られるということは考えられようがない。取られたものに対してお前補償してやるから、補償の決定は知事がやるのだ、長がやるのだ。そうして文句があるなら収用委員会に持つてこい。これは甚だ不親切な考え方だと思うのですが、それが一つと、それからも5一つは、今度は本人がどうしてもこれを指定して欲しい、自分の力ではどうも自分の持つている海岸を、自分の所有する海岸がどうにもならんというようなことも、これは議会がそれに対し必要がないと言つたらばそれつきりになつてしまう。そこのところが個人の持つているところの権利というものをもう少し何かの形で温かい扱い方をするような方法をとられないものでしようか。この点はどうですか。
  27. 深水六郎

    深水六郎君 これは土地を取上げるということではないのですが、権利制限ということをして、そうしてまあその指定された区域が非常に……百、こういう第一条のような災害から防止するため必要であると認めたのを指定して、ただ権利制限するということで、ちよつと土地利用法に言いますところの問題と……、私いろいろ法律上そうはつきりした御答弁になるかどうか知りませんが、これは法制局のかたにして頂けばいいと思いますが、けれどもちよつと違うような気もいたしますし、他にもそういう立法例が私はあると考えておりますが、法制局のかたに補足をして頂きます。
  28. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 土地収用法による土地収用の場合と比較してのお話でございますが、土地収用法のほうは御承知のように、現実にその財産権そのものが収用される場合、これはいわゆる私権の侵害をするという意味では最も高い場合だと思います。ただこちらの海岸保全法による区域指定のような場合におきましては、或る一定区域の中にたまたま私有地、民有地が入つておりますれば、その私有地はこの法律のそれぞれの条項にありますような、或る程度の権利行使制限はまあ忍ばなければならないという状態には確かに置かれるのであります。併し同時に、又考えようによりますればそのそれぞれの受認といいますか、受認の義務を果すことによつて、忍ぶことによつて海岸保全せられますれば、その私有地の何といいますか、自身にも利益をもたらす、反射的に利益をもたらすという一面もある。併しそう申しましても、やはり指定区域を必要以上に、むやみに制限地区を拡げることは、勿論この法律趣旨ではございませんから、指定の場合には最小限度にこれをとどめるべきことも勿論でありますし、又土地所有者の意見を一一それぞれの場合に聞くのもなかなか大変でございましようから、まあその意見を代表するものとして市町村、或いは府県の議会の同意を求めるという程度にとどめたという趣旨であると思います。  なお土地所有者のほうから積極的に指定に入れてもらいたいというようなことについての特別の、これは確かに今御指摘になりましたように、この法律では謳つておりません。併しこれも勿論指定をする際には法律の上では市町村長なり府県知事が指定するようにはなつておりますけれども、いきなりぽかりと指定するようなことは事実上はないと思います。それぞれの調査をし、準備をして、市町村、府県の議会にかける。その時間的な間におきましては、そういう時間の間には土地所有者といたしましても、その区域の中に自分の所有地が入ることを望まれれば、当然それ相当な意見を述べる機会は実事上あるのではないかと思つております。なお、この法律で特に所有者が特別の申入をする場合は、この二十一条にございます海岸保全施設を自分が持つてつてそれを自分で管理し切れないような場合には、この場合には特に法律上の制度として申請を待つて地方公共団体管理するようにしてございますが、指定の際にはいずれにしても只今申しましたような事実上のことで解決するのではないかというふりに考えております。
  29. 田中一

    田中一君 次に伺いたいのは、その四条の大損ですが、それぞれ五十メートルを越えて指定する場合、この地彩、地物、地質、潮位、潮流等の状況、これは一つの事例としてはどんなものを指しておるのですか。それからもう一つ続いて伺えば、それが直線の海岸線ならいいですが、非常に入りくんだ、彎曲した、或いはでこぼこした所ですね、その場合にどういうように指定するのか。或いはそれをまとめてやる場合を想定しているのかですね。この五十メートル規定というものは、入りくんだ場合にどう持つて来るかということと、その場合ですね、適用する場合を一つ説明願いたいと思います。
  30. 深水六郎

    深水六郎君 まあ只今お尋ねの、越えて指定する場合というやつの例を例示しろということでございますが、大体例えば非常に土地が低いと申しますか、そういう場合に、それ以上に非常に災害が大きく及ぶというような場合とか、或いはいろいろ入りくんだ場合のような場合も、恐らくはそれを一体として管理するために五十メートルを越えて指定しなきやならん場合もあり得るかと考えております。いろいろな場合につきましても又具体的な問題に当つて考えてみたいと思いますが、大体考えておりますことは、いろいろ入りくんだ場合とか、或いはさつき申しましたような特殊な地域で、少し低いとか、或いは地盤沈下とか、いろいろなことを考えると、そういう場合も考えなきやならんことがあり得るということを考えております。
  31. 田中一

    田中一君 どうもやつてみないのだからわからないでしようが、河川局から一つ説明願います。
  32. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 先ほどもちよつと御意見がありましたので、その点も一緒に私のほうの意見を……。  我々のほうとして前に考えておりました、例えば海岸保全の場所の問題でございまするが、我々といたしましては全海岸線をその保全区域に入れようという考えはなく、結局背後の国土保全という点を主力といたしまして、そういう問題からしてよく保全区域指定考えて行きたいと思いますので、全海岸線という考えでなく、特にまあ差しずめの問題といたしまして、現在海岸保全は、背後地の防禦のためにせられておるところの施設のある区域はこれを維持管理、並びにその補強、又は修築というような問題もありまするから、こういう区域は入れて参りたい。なお今後におきましても、そういう施設をやつて国土を保全するというような区域一つ考えて参りたい、こう存じておるわけでございます。  それから先ほど、もう一つお話がございました御註文でございますが、民有地国有地とがどれくらいあるか、こういうお話でございます。大体海岸線国有地が多いのでございまするけれども、民有地がどれくらいあるかというような問題につきましては、なかなか調査困難かと存ずるわけでございます。ただ民有地指定の場合におきましては、先ほど深水先生からもお話のありましたように、いろいろとこういう制限をするという場合について、これを許さない場合には必ず補償をするというような規定を設けまして、民有地の問題の緩和を図つておるわけでございます。  それから只今のこの五十メートルの区域の問題でございまするが、これも今深水先生からお話のありましたよう  に、海岸線はまつすぐな場所もありますれば非常に入り組んでおりまする場所もありますので、必ず五十メートルという所で切るのも如何かと存ずるのでございまするので、そういう場合におきましては或いは六十メートル出るところもある、百メートルにする場合もあると存ずるわけであります。なおそこにあるまする或いはいろいろの地形、地質の関係土地の高低の関係などから考えまして、保全区域を五十メートルでは不得策と考える場合においてはこれを拡げたい、こう考えておるわけで、こぎいます。問題は又施設の問題もございまして、施設をする場合に、海岸線に直結してすぐやれる場合もありますれば、相当引込んで施設をしなければならんという地質のところもございますので、そういうような点も又考えなければならんというような点から五十メートルという問題も考えたいというふうに考えております。
  33. 田中一

    田中一君 先ほどの補償の問題ですが、民有地の場合はやはり補償すればいいじやないかという、補償意味は買取るという意味ですか、それとも損害を補償するという意味なんですか。どつちです。これはどつちになりますか。
  34. 深水六郎

    深水六郎君 損害の補償です。権利制限その他の損害の補償です。
  35. 田中一

    田中一君 第五条の都道府県知事指定の場合、これは利害関係が二以上の市町村区域に跨るとき、それからもう一つ財政上云々、この二つの場合になつておりまするが、この限界はどこで見るのです。例えば「区域にわたるとき。」の限界を伺いたいのです。例えばここでいいますと東京と何といいますかな……大阪辺には相当ありますが、市がたくさん海岸線にくつついておりますが、この場合その区域というのは、保全しなければならん区域というものは市町村が自分の行政区域一定のものをやりますし、又それにくつついて何々市は何々市長という者が指定するという場合、この両市町村関係というものは、はつきり自分で行政区域で先にわかつておるのです、分けてあるのです。それが紛争があつた場合にやるというのか。或いは工事をするために、一緒に工事をしたいからその都道府県の……、今までの境界というものは抹消というか、自然消滅しますから上のほうでやるというのか、その限界ですね。この二つの区域に亘るという、区域のことは何も分ける必要はない、お互いはお互いの区域指定しておけばいい、決して摩擦はなとい思う。それはどういうところから都道府県の長が指定しなければならんということになるのですか。その場合は……。
  36. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 今お話で ございましたように、それぞれの市町村でそれぞれ自分の区域内でこの海岸保全法の運用、管理をやつて行けば勿論それで結構なんであります。ただ場合によりましては両方の市町村が、いきなり紛争を起すという場合だけを必ずしも予測する必要はないかと思いまするけれども、例えば相隣りしたABの市町村区域海岸線に亘つて或る海岸保全工事をやろうとする際に、Aの区域だけに非常に程度の高い海岸保全措置をやつて、その隣りしておるBの市町村区域海岸保全施設が非常に弱体であるというようなことになりますと、その際に相互に利害が衝突して来るような結果に或いはなりかねないと思います。従いましてそういう場合を予想して、一体として海岸保全行為をやろうとする際に、相互に利害関係或いは影響するところは、二つ以上の市町村区域に亘つて一本でやつたほうが、この法律目的を達成するために必要且つ妥当であるというような場合に、初めて都道府県知事がこの第五条の規定による指定をやる、こういうふうに相成るかと思います。
  37. 田中一

    田中一君 それでは区域に亘るのじやなくして、工事をやる場合財政上、技術士著しく困難ということになるのですか、今のあなたのお話のように、程度が悪いというのですか……。監督し補助するのでしよう、国が少くとも補助金を出す以上は、程度の悪いものは程度のいいものにさせる、そういう説明じやだめだ、納得できないのです。同じものができなければらないはずです、監督しているのですから……、ですからこういう説明じや困るので、工事をする場合というなら、あらかじめ各市町村間でしているものに都道府県が、上のほうの県で指定して、あとから管理権というものは向う側だということはちよつと考えられませんのですが、あなたのような御説明じや僕は釜くわからないのですが、もう一度詳しく御説明をして下さい。
  38. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 私のたまたま挙げました実例が適当であつたかとうか、不十分であつたかと思いますか、例えてみますと、二つ以上の市町村区域指定しておる場合に、片方の区域に例えば大きな防砂堤をしたい。そのために隣の市町村区域の地先水面にその堤を造つた結果、どんどん砂が堆積してしまうというようなことになりますと、隣の市町村区域施設のために自分のほうの、この隣の市町村区域が非常に迷惑をこうむるわけです。そういう場合でも勿論両方の市町村がおのおの緊密な連絡をとつて、そういうことのないようにうまくやつて行ければ勿論それで結構なんでありますけれども、なかなかそういうふうに行かないだろうというような自然的な条件、或いは両市町村関係がありますれば、知事は止むを得ず指定をやらなければならないと、こういうふうに考えます。
  39. 田中一

    田中一君 市町村事業に対しては、この法の目的を達するためには、都道府県の長がこれの指定の勧告をする。それから都道府県の場合は主務大臣に報告するというように、監督権というか、監督する機関があるのですが、殊に補助金は国が出すのです。従つてもう少し明確にしないと、都道府県は勝手にやる場合があるかも知れないのです。例えば公営住宅を建てる場合にも、市町村に任してもいいものを、或る県ではもう全然任せない、県が皆その任意でやるという場合が現在あるのです。そういう場合ですと、市町村よりも都道府県のほうが力にかけたら問題もなく行つてしまうというような考え方も出るのではないかと思うのです。その点はどうです。
  40. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) たまたまこの法案と我々の考えておりました法案との内容の考え方が同じにでき上つておりますので、我々の建設省としてのお話を申上げますれば、第一点の、例えば利害関係が数町村にわたるときという問題でございますが、これはまあ二つの場合があると存じますのですが、結局背後地の二つの町村に利害関係がある場合と、そうして前の一線は一市町村にいたしましても、その後に他の町村が利害関係のある場合が一つある。もう一つは今のように、一線が二つの町村に分れておりまして、両方の町村が協力してやればできるという場合と二つあるわけでございます。ただ二の場合いずれも市町村に相当の負担はかかるのです。たとえ助成いたしましても……。市町村においても負担をしなければならない。そこで両者の間におきまして十分に同等の工事ができ上りますればよろしいのでありまするが、そうい場合においてたまたま片方の前一線が二つに分れておる場合におきましては、片方の町村の堤防の弱かつたために水が入りますれば、当然他の町村にも入つて参りますから、そういう場合におきましての両町村の工事力の問題、財政上の問題等におきまして十分な連絡協調ができないというような場合が多いのであります。又後が他の町村であるというような場合におきましては、ますます後の町村の協力というようなこともなか、むずかしいという問題の場合もありまするので、そういうような問題を勘案いたしますると、これは府県においてやられるのが一等であるという考えからこういう第一号のような線を出したわけでございます。なお市町村におかれましては、現在の、こういうことはここで申上ぐべきことであるかどうかわかりませんが、町村としては成るべく府県で以てやつて頂きたいという声が非常に強いのであります。それは結局財政の問題もあります。技術の問題もあります。そういうような観点からいたしまして、このような場合にはむしろ府県がやつたほうが当然じやないかと思うのでございます。
  41. 田中一

    田中一君 わかりました。そうすると、第一線の五十メートルの後方が他の行政区域になつている場合は困るということですね。今の次長の御説明はそういうわけですね。そういう場合を言つているわけですね。
  42. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 五十メートルのあとに背後地が非常にあり、耕地があり人家があり、道路があるわけであります。そこの区域が二町村に跨る場合がありますから、そういうような場合を申上げたわけでございます。
  43. 田中一

    田中一君 それからもう一つ伺いたいのは、今のはわかりました。今度は指定することや認定することは、その施行する現場の状態で以て指定するのか、例えば海岸が決壊している或いは地盤沈下になつている、その区域ですね。それを保全するための現地の状態において認定するというのが主眼ですか。認定の基準というものが……、認定する基準ですね、考え方ですね。
  44. 深水六郎

    深水六郎君 それは必ずしも決壊をしておるとか或いは地盤沈下があつたという現実の問題を捉えてでなくして、そういう海岸を防護することが必要であるという認定に立てばその区域指定て、そしていろいろ土地に合つた施設をできるだけ合うようにしてそしてまあ未然に防止したいというのが建前であります。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど田中委員質問にあるのですが、この「水面においては干潮時の水際線からそれぞれ五十メートルをこえてしてはならない。」、この五十メートルの問題もう少し掘下げてみたいと思います。この五十メートルということをお定めになつたのは何によつておきめになつたか、それを伺いたい。
  46. 深水六郎

    深水六郎君 これは大体五十メートルというのは、特にその五十メートルと定めた根拠というのはそう強くないのでございますが、大体この程度ならば保金区域として指定する最小限度ではないかというような考えに立つて指定する基準にいたしたのでございます。なお建設省の技術員の方も来ておられますから……。
  47. 赤木正雄

    赤木正雄君 私がこういうように質問いたしますのは、波の関係海岸の形その他によつて違いますが、仮に水制を出して海岸の侵蝕を保護する、又実際そういう場所もありますわ。そういう個所においては五十メートルではとても保護できない、もつと長い水制を持つて来なければならないという所がたくさんある。そういう所が現在実際にありながら、それを五十メートルにして、無視しているのはわからない。実際施工の上からいつても五十メートルに限られたのは、私は実際承認できないことだと思います。
  48. 深水六郎

    深水六郎君 それに第六項では但書で「潮流等の状況によつて云々」ということで規定しております。
  49. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういうふうに書いてありますが、これは先ほど河川局の次長からも御説明もありました。むしろ河川局の次長の御説明のほうが私は正しいように感ずるのです、実際に当りまして。今日はその点だけ述べておきます。それから指定の問題で、市町村長は、この法律目的を達成するため必要があるならば議会の決議で指定するとなつておりますが、そうすると、国全体から見ましてはそれほど仕事する必要はない。併しその町村が特に特別の収入があつて富んでいるというふうな場合には、又今後いろいろ、な政争なんかが盛んになる場合に、この問題が政争の具に供せられて編入される、こういう様相が非常にあると思います。そういう場合に市町村長指定したもの、これをチエツクするようなところがどこかありましたかしら。その点はあつたでしようか、法律を見ればわかりますが……。
  50. 深水六郎

    深水六郎君 大体それは第五条にきめておりますが、指定の変更或いは解除についての勧告をすることができるような規定を設けております。
  51. 赤木正雄

    赤木正雄君 今提案者お話通りに勧告はできますが、勧告必ずしも私は絶対従わなければならんというのではありません。又御承知通りにこの法案は国が二分の一補助するように書いてあるように存じますからして、先ほど申した通りに、その市町村が特に金を持つておる、日本全体から見たなりば、何も今これを海岸保全区域指定しなくてもいい、併し又国の二分の一の補助をもらつて、今のうちに仕事としておこう。つまり国全体から見て小均一な指定をする場合がある。これは先は勧告の話はありましたが、これを大きな立場からそういう指定をしてはいかん、そういうふうなことはどこがにあるでしようか。
  52. 深水六郎

    深水六郎君 指定をしていかんという規定はないのでございます。これは今申上げましたような勧告でございますが、補助の点も、これは補助しなければならんという規定でなくして、補助することができるということにいたしておりますので、その点は別段心配なくできるのではないかと考えております。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 今までの国が補助する法案には、中には補助しなければならんということがあるでしよう。又その三分の二までは補助することができるということが法案にあるでしよう。これは事実においては補助することができるのであるから、国は、それに或る県に対して、或いは或る町村に対しては補助しなくてもいい、そういうふうにはなかなか実際問題としては行かない。実際一つの町村に二分の一を補助するならば、これを指定すれば必ず補助する、これは政治上必ずそうなるのであります。そこまで考えておかれんと将来欠陥がありはしないかと思うのであります。まあそれもどうせ修正のときにお伺いします。
  54. 深水六郎

    深水六郎君 有難うございます。
  55. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 関連して、今の問題も何ですが、これは次のところに入つて恐縮なんだけれども、第四条か何かで、市町村でやるときは都道府県知事施行に関する計画を報告するのですね。そうすると今の最後のほうの、赤木さんが言われた条項で、当然国から予算の何があれば、半分はくれるものとそれぞれ思うわけです。その点はこの次にお聞きしますから研究をお願いしたい点を私からも御希望申上げますが、さつき田中さんが御質問しているときに私らよつと座を外しちやつて恐縮なんですが、知事が指定をするとき」に、何か利害が二カ町村に跨がつて海岸保全の利害関係が二つ以上の市町村区域に亘るというのは、或る村によつては利であり、或る村によつては害であるというのじやなくて、そういつた場合もありましようが、それは例外ケースです。むしろそれよりは二つの町村を合せて指定してしまい、或いは三つの町村を合せてずつと指定して行つたほうがそれこそ海岸一体保全にいい、こういうときには知事さんがやるのがいいというのが素直な原則じやございませんが、第五条の一項一号、どうなんですか。
  56. 深水六郎

    深水六郎君 只今三浦さんからおつしやつたような場合、及びさつき河川局長から申されたような場合を皆含んでおると考えております、前提としては。
  57. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 含んでいるんでしうけれども、考え方としては、今の海岸のほうはあるが、それからその背後地というか、裏のほうの五十メートル乃至必要な五十メートルちよつと先のほうまでも他の町村の施設、こういつたような例外ケースの場合はこれは勿論ですけれども、そうでない場合は、考え方としては、原則として、ずつと二、三カ町村に跨がつて行くときには、それぞれの町村に指定されたんであるよりは、全体としての計画一つに立てたほうがいいと見て、そういつた場合一は知事さんがそこを選定するというのが原則であるのだと思うのだが、どうですかということです。
  58. 深水六郎

    深水六郎君 前提は只今三浦さんが申された通りの前提をとつております。
  59. 前田穰

    ○前田穰君 一、二点お伺いしたいのですが、七条の規定と港湾法、それから公有水面埋立法との関係なんですが、七条の一項によりますと、海岸管理者の長の許可を受けなければならない事項がきめてありますが、これは港湾法なんかと重複のような形になりますので、両方の手続をしなければならないという問題、それから五項、六項辺に占用料若しくは採取料の問題がありますが、これと港湾法なんかとの関係、これを伺いたいのですが。
  60. 深水六郎

    深水六郎君 只今の御質問、私まだそうはつきりいたしませんのでございますが、間違つておれば御勘弁願いますが、若干目的が違つておる法律でもございますので、重複する部面もあり得ると考えております。
  61. 前田穰

    ○前田穰君 重複ということは余りよくないことであるけれども、あり得ることだと思いますが、松尾さんはこの占用料はどうなりましようか、港湾法と占用料の五項、六項のほうの問題は……。
  62. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 只今深水先生からお話が、ございましたように、現実の場合に重複して適用になる場合は起り得ると思います。現在でも、例えば河川法と港湾法の関係でありまするとか、その他の関係で重複して、これは法律目的が別の目的から来るのでありますが、現実のケースとしては覆して来る場合がたまたま起つておるようであります。その場合は行政運営の実際において、実際管理するものが地方公共団体であるということであれば一緒である場合が多いのですが、実際の運営の上で支障のないように運営されておるというように考えておる、こういうように御了承を願いたいと思います。
  63. 前田穰

    ○前田穰君 この重複の問題は、これはでき得る限り避けて、成るべく許可というようなものは一本で行くようにするのが理想だと思うのですが、このほかにいい方法がないかというような問題が残り得るわけですが、占用料採取料とかいうほうはどうなんですか、この港湾法では港湾の管理者に取つていいようなふうになつておると思うのですが、それとの関係はどうなるかということをお伺いしておつたわけですが。
  64. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 先ほど御説明をいたしましたところと重複するかも知れませんが、現実問題といたしましても、港湾法による占用料或いは土砂採取料の取得、収入と、河川法による同じ問題が現実にも起つておるのであります。併しそれは現実の問題の処理として、両方からということは行われていないというふうに承知をしております。
  65. 前田穰

    ○前田穰君 そうするとそれは何ですか、両方の管理者が合意の上で、協議上でどつちが取るかということをきめる、或いは微収すべきし料金の割合をきめる、こういうことになるのですか。
  66. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) 今のお話通りでございます。
  67. 前田穰

    ○前田穰君 それからもう一つお伺いしたいのは、八条ですが、この八条は七条の一項の一号乃至四号のことを指しておるわけなんでしようが、どういうことを具体的に想像しておられますか。海岸土地が私有である場合にはこういうことが起り得る、通常生ずべき損害を補償すべき必要があるような場合が起り得ると思いますが、そうでなしに、海岸が国有であり若しくは地方公共団体の所有であつた場合にも起り得るのでありましようか。具体的にこの八条の損害を補償すべき場合というのはどういう事態を御想像になつておるのですか。
  68. 松尾金蔵

    法制局参事松尾金蔵君) お話のように私有地の場合に起ることが典型的な場合であろうと思いますけれども、例えば国有地でありましても、その国有財産が個人の使用に許されるというような場合におきましては、或る個人が国有地を借受けて施設を、工作物を新築する予定をして万端の準備をし、すでに建てかけておつたという場合に、そういう場合に現実に許可を得ようとしたら許可を受けることができなかつたという場合が八条でいう「通常生すべき損失」ということの中に入つて補償上の必要があるのではないかと考えます。
  69. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) ほかに御質疑ございませんか。  では本日はこれにて委員会を散会いたします。    午後零時三分散会