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1952-12-17 第15回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十七日(水曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     下條 恭兵君    理事            赤木 正雄君            石川 榮一君            松浦 定義君    委員            深水 六郎君            飯島連次郎君            三浦 辰雄君            田中  一君   政府委員    経済審議庁審議    官      今井田研二郎君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    建設政務次官  三池  信君    建設大臣官房長 石破 二朗君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    大蔵省主計局主    計官      佐竹  浩君    建設省計画局総    合計画課長   落合 林吉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (建設行政一般に関する件)  (総合開発問題に関する件)   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) では只今から建設委員会を開会いたします。  田中委員から給与問題に関する質疑の通告があります。
  3. 田中一

    田中一君 現場職員待遇の問題につきまして、二、三点質疑をしたいと思います。  地方現場を廻りまして、現場職員勤務状態をよく見て参りますと、非常に不公平な給与が見られるのであります。で、私先般田沢方面に参りまして、生保内の東北地建事務所に勤務しておるもののうち、多くはそごから約十数キロ離れた現場で勤務しております。併しながら給与は、給与といいますか、手当といいますか、生保内に事務所があるために手当をもらつていない、そのために非常に苦しい思いをして生活をしておりながら給与が低い。こういう点につきましては、建設省はどういう扱いをしておるか、先ず第一に伺いたい。
  4. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お答えいたします。只今田中委員の御質問は、本給は、勤務地はどこにありましても、これはまあ一定しておるものでございますから、この点ではないと思います。お尋ね趣旨勤務地手当とか、或いは僻陬地手当とか、こういうものをどういう方針でやつておるかという御質問かと存じますが、以上いずれも職員の勤務しております工事事務所の所在地主義によつております。従いまして、生保内に事務所があり、それから十数キロ離れた現場で働いておるという者に対します勤務地手当なり、その他の手当は本属の事務所所在地に適用されるものによつております。  なお附加えて申しますと、工事事務所から十数キロも離れて毎日仕事に行つておるという者に対しましては、特定日額旅費というものを、若干普通のものよりか増額して支給いたしております。勿論これは旅費法によりまして建設大臣が細則を定めまして、そういうことをいたしております。
  5. 田中一

    田中一君 その大体標準を何といいますか、十級俸なら十級俸ということにして、今の田沢ような場合にはどういう計算になるのですか、その例をお示し願いたい。
  6. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 工事区域地方事務所からずつと離れておりますとか、工事現場が或いはダム工事その他で危険な場所でありますとか、そういう場合には特別の割増の規程を作つておりますが、これは具体的に個々現場を規定いたしております。従いまして、今お尋ね生保内の事務所につきましては、私ここに資料を持つておりませんので、早速とり寄せて御返答申上げたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 生保内に工事事務所があつて現場の作業場が十数キロ離れた所にあると、そこにあるところの事務所は勿論あります。その事務所は何と呼ぶのですか、その事務所工事事務所の何になるのですか。
  8. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 資料をとり寄せまして、早速御返答いたしたいと思います。
  9. 田中一

    田中一君 いや、工事事務所から現場出張つて現場にあるのは出張所と言つておるのですか、それともそれは現場の詰所と言つておるのですか。
  10. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 出張所と言つておるのです。なおその次に出ておるのは見張りとか何とかいつて中央で統制はいたしておりませんけれども、更にその出張所の下に現場員の詰めておる個所は若干あると思います。
  11. 田中一

    田中一君 それでは資料はないそうですから、そういう一つの例ですね、そういう実例で一カ所出張所並びにその見張所、或いはそうした何キロも離れておるというようなものの手当基準の表を一つお示し願いたいと思います。
  12. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) かしこまりました。早速お届けいたします。なお建設省工事現場全般について申上げますと、やはり都会地とか、その周辺」は勤務する希望者が多いのでございますが、僻陬地になりますと、どうししも行く希望者は少いようでございます。勿論これは子供の教育の関係もありますし、住宅の関係もありますし、それから更に奥地に行けば物価が安いかというと必ずしも物価は安くないので、非常にそういうことが原因いたしまして、砂防事務所でありますとか、或いはダム建設工事事務所でありますとか、そういう所に勤務する希望者は非常に少い状況でございます。これは勿論当然のことでありまして、我々といたしましてはこういうものが第一線に勇んで行けるように、法の許す限り優遇の途を講じたい、かように考えております。
  13. 田中一

    田中一君 それからもう一つ伺いたいのは、先般岩木川の河口に参ります十三村の出張所ですか、これに行きますと、大体十二月の終り頃から御承知の猛吹雪になります。西北から来る風か非常に強くて、これはまあ大体二十九メートルから三十メートルぐらいの風がしよつちゆう吹いておる場所です。そこでこれの事務所ですか、出張所ですかは冬眠状態です。その冬眠に去つておる三月ぐらいの間はいわゆる町には……、物を買う町がある、その野菜、米を買うのですら、もう交通が杜絶しまして、何ら交通の便がない所です。従つて大体において二月乃至三月は冬眠するという全く北の果の現場はんです。ここに行つて職員待遇状態を調べてみますと、誰も行きたがらはい、もう何とか言つちやあ出て来る。これは工事事務所というものは五所川原にある、五所川原から相当時間しましても、そうですね、自動車で行きますと、二時間以上もかかる所でしたが、この場合食糧並びに衣料その他のものを三月分冬眠するだけの物資を買込まなければならん、生活物資というものを……。こういう場合は建設省としては資金といいますか、生活資金の問題ですね、これは前渡しをしておるのですか、それとも又そういうふうな便法図つて金を貸してやつておるのですか、そういう点はどうなつていますか。
  14. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 給料前渡し、これも法律ではできませんし、それからその他の手当等につきましても、前渡し方法は目下のところはないと思いますが、東北地建局長のできる範囲で、法律の許す範囲で何か職員の組合なり、或いは会というようなものを作つてつておりますかどうか、よく調べてみないとわかりませんが、正式にはそういう方法はやつておらんと思います。
  15. 田中一

    田中一君 私が局長並びにその現場かたがたに伺つたところによりますと、何らそういう便法はとつてないように聞いております。従つてこういう問題につきまして、各地建実情はどうであるのか、そういうことがすつかりわかれば、建設省はどういう手を打たなきやならないか、その対策をお調べ願つてこれも実情資料として御提出願いたいと思います。
  16. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) かしこまりました。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 田中委員質問に関連しまして、少しくお尋ねしたいと思います。私はむしろ大臣、或いは人事院総裁に聞きたいのでありまするが、幸いに質問が出ていますから、先ほどのことに関連して承わりたい。  先ず第一に官房長に聞きたいことは、不便な所、砂防とかその他電源開発事業等に従事する者は、多くの技術官余り好んで行かない、そういうことを私承わつて、これは真相には相違ありませんが、実は非常に私は奇異に感ずると申しますと、この問題は増田大臣のときにも私はこの委員会で取上げて、そういう不便な所に従事する者には特別の支給の途を考えないと立派な事業はできない。大臣も私の質問に賛成されました、何とかするとおつしやつていたのであります。もうすでに大分時日は経ましたが、今以てそういうことが考えておられない結果、今のよう官房長お答えがある、こういうふうに了解するのであります。御承知通り建設事業は、河川でも砂防でも、或いは洪水調節ダムにつきましても、或いは道路を作るにしても、非常に不便な所に日夜仕事をしない以上は、本当の建設事業はできるものではない。それにもかかわらず、建設省が今以てそういう所にみずから進んで働く人を作られないよう姿勢に置いておかれるというと、私は実に不快でもあり、理解できがたい。なぜそういう姿勢に今以て放置されるか、それを先ず伺いたい。
  18. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私のほうといたしましては、只今田中委員の御質問の際にお答え申しました通り勤務地手当並びに僻陬地手当、こういうものは私のほうといたしましては、独断では如何ともいたしがたい点でありまするだけに、こういう点は人事院のほうに私のほうから連絡する以外には方法ないと思いますが、ただ私のほうだけでできますところの日額旅費、これらの点につきましてはできるだけのことを具体的の個所につきまして考えまして、結局において給与の改善になり、又それだけで行くというような人もないわけでありますけれども、やはり優秀な人が第一線に行つて頂く、その一助にもいたしておるような次第でございます。勤務地手当制度も従前に比べますと、大部分改善された点があるように考えております。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 建設省所管外の、言い換えるならば人事院所管に関するものにつきましては、今まで地域給或いは僻陬地手当と申しますか、かよう建設行政に携わる人が進んで業務できるようにそれを改正するように、建設省としては今まで人事院に協議をなすつたことがあるかないか、それから承わりたい。
  20. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お答えいたします。現地事情を各局長その他からの連絡によりまして、事務的には再三折衝をしている模様でございます。いたしております。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 そのときの人事院お答えは大体どういうふうになつておりますか。
  22. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 具体的な個所についているく折衝いたしおりますので、その結果どうなつておるか、個々についてここに申上げる資料を持つておりませんけれども、おおむね建設省要望までは了承してもらえておらんというのが実情ようでございます。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 この各個所に限らず、全般としてのそういう不便なものに対してどう措置するか、そういうふうな御交渉は人事院とできていないのですか。
  24. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 御意見通り十分な措置はまだ講じておらんかと思いますが、至らん点があるかと思いますが、今後十分気をつけまして、更に努力して我々の要望が通るように折衝いたしたいと、かように考えております。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 実は私も見るに見かねて人軍官とはいろいろ話はしております。建設省が今私のお尋ねしたよう趣旨でお聞きになつておるかどうかも私大体知つておりますが、今ここに申しません。とにかく我々は今後その点について考慮して人事院と折衝するとおつしやいましたから、その成果を信じてこれに関する質問はやめますが、続いてなお質問をいたします。  先ほど特定地域に対しては、特に建設省の省内で許せる範囲において日額と申しますか、或いは旅費の特別の支給をしておられる、こういうふうに言われまして、田中委員質問に対してはその個所について調査するというお話でありました。もう一つ具体的な例を申しますと、富山県の常願寺川の砂防事業であります。これに類した砂防はたくさんありますが、一つの例を以て話します。あの事務所富山市にある。そうして夏の間だけたしかその事務所が山のふもとの藤橋にあるはずであります。併し多くの人はそれから三、四里山に登つた、例の日本アルプスの立山の一部のふもとで、それこそもう今頃は誰も人通りもない誠に淋しい所で仕事をしている、而も非常に危険な所であります。これに対してどういうふうな特別支給旅費支給をしておられるか、この次の田中議員に対する御答弁のときに私も御答弁願いたいと思います。今ここでおわかりになつておれば結構です。なお同時にこういう所に稼いでいる人と、それから同じような俸給をもらつている人が富山市内、或いはその他一般交通の便利な所に稼いでいる人と、どれほど全体の収入において差異があるか、その実際の例を、同時に次回においてお示し願いたいと思います。
  26. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 承知いたしました。
  27. 松浦定義

    松浦定義君 今の関連事項で私はお伺いしておきたいのですが、丁度私も田中君と一緒に十三村のほうに廻つて参つたのですが、今のお話ですと、この田中君の御要求のよう措置は講ぜられていない。丁度あそこへ参りますと、本州北端でありまして、非常にまあ誰も初めてこれが北国だというふうな感じを持つておる。私は丁度北海道でありますので、そういうことについては非常にまあ極端なあれは持たなかつたのですが、今のお話で、更に又工事をやる場合にいろいろ年次計画を立てる、そういう場合にも本州北端の地は、ああいう所では非常に年次計画の上においても支障がある。而してその半面にそうした犠牲も伴なつておるということから考えますと、これを何とか処置をしなければならんにかかわらず、そうした面についての今具体的なあれを持つておられない。併し今後将来何とか努力しようというお話でありますが、北海道におきましては、ああいう地帯は殆んど全道周辺全部該当の地帯と見ても差支えないと思う。どこか北海道のまだほかにそういうような点について今日まで問題になつたとか、或いは又そういつた実例があつて、こういうふうにしておるという例があるかないか、一つお尋ねしたいと思います。
  28. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 北海道の、北海道開発局のやつております工事に関しましては、建設工事に関しましては建設省において所管いたしておりますけれども、給与その他これらに類するものは北海道開発庁のほうで心配いたしておると思うのでございますが、この次の機会までには私のほうでわかる範囲資料を取揃えまして御報告申上げたいと思います。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つ重ねて。先ほど旅費のことを申上げましたが、この旅費予算はどういうふうにして大蔵省に今まで要求しておられるか、或いは日当によつて一日に何ぼ、或いは一里に何ぼ、どういうふうな予算の取り方をされているか、それも承わりたいと思います。というのは、先ほども申す通り建設行政は非常に不便な所で仕事します。又十分踏査しない限り今後の仕事はできるものではない。ところがややもすると旅費に制限されて十分踏査の日にちがない。山を一つつて来るには四、五日かかる、併しそれには日程がないために自動車で山のふもとだけ行つて帰つてしまう、こういうことも私は随分聞いています。こういうふうな調査では決して根本の調査はできるはずがない。その不合理な不備な調査に基いて仕事されるから又徹底した立派な仕事もできない。こういう例を示せとおつしやるならば幾らでも私はお示しいたします。そういう観点で今そういつた出張はなんですか、課長許可をしておるか局長許可をしておるか、そういう点から承わりたい。これは今すぐおわかりと思いますから。
  30. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 最後のお尋ねの点だけお答え申上げますが、最近になりましてから出張命令権者というもの非常にいろいろ区分されまして、大分むずかしくなつておりますが、要するに出張者自分によりまして命令権者がいろいろに分かれております。具体的に申上げますと、次官出張する際には大臣局長出張する際には次官課長出張する際には局長、課員が出張します際には課長、大体こういうふうに本省におきましては分かれております。地方におきましても、およそそれに準じて制度ができております。なお地方建設局長管外出張につきましては、最近でございますが、一応事前に建設大臣了解を得てもらうということになつておる、というようなことにいたしております。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 では各課に本年度は何ほどというそういうふうに出張旅費があらかじめ配分してあるのか、或いは各局に配分してあるのか、それはどうなんですか。
  32. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 予算上は各局別になつておりますが、実際には局長の下であらかじめどの課に幾らというような内定をして割当てておるのだろう、かように考えております。現に官房はそういうふうにいたしております。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 では、先ほどの私の質問したのは結局それなんですが、仮に局に出張旅費の全体があるならば、調査をするものに対しては、或いは水力電気調査はこうとか、或いは砂防調査はこうとか、或いは河川調査はこうとか、災害の調査はこうとか、今尤も河川局だけの問題を申したのですが、そういうものがあるはずですから、それを承わりたい。それで参考にちよつと聞きたいのですが、次官出張に対してはこれは大臣許可する、大臣出張はこれは身分でもう勝手にどこでも行けるわけですね。
  34. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) その辺申落しまして大変失礼いたしましたが、大臣出張の場合には総理大臣許可をとるようになつています。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 この前の選挙に大臣余り長くない機会に二回も高知県に行かれましたが、あれは総理大臣許可をとつているのですか。
  36. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) そのときの事情をはつきり覚えておりませんので、若しも間違いましたらあとで訂正させて頂きたいと思いますが、あれはたしか党務のために行つた場合もあり、或いは公用出張の場合もあつたかと思いますが、私の今の記憶ではたしか党務のための出張……出張ではありません旅行つたとかように記憶いたしております。しつかりしたところ取調べまして御返答いたしたいと思います。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 党のために大臣出張する場合に、共に行かれる人の出張旅費は当然党から出るべきものと思いますが、それはどうですか。
  38. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 大変むずかしい御質問でございまして、大臣党務のために参りましても、それに役所人間が随行するということは先ず正式には考えられんことです。理窟から申しますと考えられんことでくさいます。たまたま同行いたしおりましても、公用のために出張したと、かように考えております。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 無論大臣出張なさるのに役所の人も付いて行かれるのは当然だと思います。が併し、同じ個所余り月日もたたないうちにたびたび行かれるという場合に、やはり役所の人がこれは公用として行くべきものでしようか。
  40. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 大臣党務のために自費旅行をいたします際に、役所人間がそれに随行するという場合に、随行だけの用務でありますと、これは自費で当然行くべきものだろう思います。そのときにたまたま同行はしたけれども、公務であつた場合には勿論これは公用出張にいたすべきものだと思います。ただ具体的にお示しになりました同じ人間が期間を置かずに同じ現地を二回も公用出張したというようなことは具体的に申上げますと、若干世間批判の対象になり得る余地があるのではないか、さように考えますので、将来はそういうことを世間なり当委員会におきましても、そういう御批判のないように我々といたしましては善処いたしたい、かように考えております。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 私も長らく内務省の御厄介になつておりましたし、決して内務省にいやなことを聞こうとは言いません。ただとにかく先ほど申した通り現場の人は非常に苦労しておるのだ、苦労しておりながらろくな手当ももらつていない、これが実情なんです。そういうことに思いをいたされるならば、今私の申したよう出張というものは果してどうか、それを私は建設行政のために考えております。現場の人が考えて自分はこんなに苦労していながら一体一日に幾ら特別手当があるか、家族を下のほうに置いて家族にも会えない、食う物もろくに食えない、人の顔を見るのは秋になつたらありやせん、それでいながら一生懸命働かなければならん。一方のほうは大臣なるがために、或いは次官なるがために、次官出張したかどうか知りませんが、そういう高官なるがために、或いは出張は決して私楽だとは思いません。思いませんが、そういう苦しんでおる人から見ると、出張のほうが楽に思うでしよう。そうしてこういうよう一緒に国家のために働く者に差別があつては私は現場の人はかわいそうだ、それを私は考えて頂きたい。この問題については私はこれ以上質問しません。でありますから、先ほど質問したことは、この次に御答弁を頂けば結構です。
  42. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 一言お答えいたしたいと思いますが、勿論、旅費生活費の補給になるべきものでありますとは考えておりませんので、おりませんけれども、旅費を有効適当に使うということは大いに考えなければいけません点でございます。只今赤木委員の御意見の点、我々同感でございますので、将来は現地を実際に調査なり連絡なりをする者の旅費の不足を来たさないように注意して参りたいと思います。過般各地方建設局長管外出張の場合には一応大臣了解をとつてくれと言いましたのも、そういう趣旨もあるわけでございまして、今後十分注思して参りたい、かように考えております。
  43. 田中一

    田中一君 もう一点伺いたいのですか、五月でしたか、機構改革設置法改正のときに、前大臣野田さんに内閣委員会で私が質問しておるのです。どうも最近の建設省の人事は事務目偏重の形がある。どうも技術家というものを冷遇しておる、希望を持たせないようにしておるのではないかということの質問をしまして、大体現在の職階制が、役付になりませんと給料が上りません。まあ先ほどあなたが言つたように、本給は一律にやつております。それで現場には、これは赤木さんからもそういう主張があるのですが、一つ河川に二十年、三十年勤務しておるというかたがたは、相当な技術と立派な人格を持つておる人たちです。こういうかたがたがやはり現場におるために、常に中央におるところのあんたがたよりも給料が低い、すべてのものが低い、身分も低い、こういう点について、何か技術家希望を持たせるよう方法をとらないと、日本国土再建国土開発はできない。こういう点について野田建設大臣閣議或いは人事院に交渉するとか、何か便法をとるとか、努力をしないのかと、こういう質問をしたところが、十分それを痛感しておるということの御答弁があつたのです。現在の佐藤榮作大臣は、これは相当側近者であり、相当発言力も強いと思うのです。この際、大臣がおらないので、次官にお願いしておいて、大臣の御答弁をお願いしたいと思うのですが、この際、技術家希望を持たせるような方途を一つ考えて頂きたいのです。一生一つ河川で終るよう技術家もおるわけです。でこれについて前大臣はそういう約束をしております。今度の大臣はそれを実行するかただろうと思つておりますから、その点を十分お考え願つて、具体的に閣議でそういう発言をいつ何日やつたとか、或いは人事院に対してこういう申入れをしたとかいうような、近い中に具体的な御報告を願いたいと、こう考えております。
  44. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) あとで政務次官なり、大臣から責任のある御答弁があると思いますが、今日まで事務的にやりました点を御報告申上げたいと思いますが、実は最近公務員全部についての級別定数改正機会があつたわけでございますが、それによりましても、中央地方を一応人事院は区別しまして、中央には十四級を何名にするとか、地方には十三級を何名にするとか、こういうように区別をつけまして、私のほうに内示いたして参つております。その際、我々といたしましては、中央も勿論上げて頂かなければいけませんけれども、地方に相当古い職員、下積みになつておる人が多い実情を話しまして、若干地方のほうをよくしてもらつた経過はありますが、これは交渉の経過でございますので、それ以上具体的な数字を申上げるわけに行きませんが、なお人事院では本省、地方というものの区分をつけて参りましたけれども、これが実施につきまして、中央級別定数地方に分けてやるというよう実例はありました。なおそういたしましても、実際はお尋ねような、御意見ような本省、地方とのアンバランスの結果も若干起つております。具体的に申しますと、まあ学校を同時に出た者は大体同じように上げて行くというのが役所の仕来りでございますけれども、それほど成績の差はあるとは思わん者でも級別定数関係上、地方の者が若干中央に比べて昇進が遅いという事例が現実に出て参つております。これは我々といたしましても、非常に遺憾に考えますので、目下人事院に近い将来この問題を解決してくれということを交渉中でございます。どうしてもそれが行かん場合には、中央の欠員ができた際には、それを地方に廻してくれというよう措置もとろうと考えております。事務的な御説明だけ申上げておきます。
  45. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をつけて。
  47. 赤木正雄

    赤木正雄君 特殊土壌の法案で、随分この委員会で審議したのでありますが、その結果、たしか審議会でしたか、審議会というものができて、その審議会でいろいろ審議することになつておりまして、その審議会には各省の次官もありますが、その他知事或いは県会議長とか、委員になつておるはずです。御承知通りに衆議院から立法されたので、その最初の構想といたしましては、主として鹿児島、宮崎の特殊土壌でありましたが、それじやいけないということで、花崗岩地帯、その他の風化地帯も含むことになつていました。それでは今日の砂防事業とどこが違うかという観点で検討した結果、速記録を御覧になればよくわかりますが、余り違わんということになつちやつたのです。従つて審議会を構成するメンバーといたしましても、ひとり鹿児島、宮崎のみならず、或いは九州からも出せば、中国からも、或いは近畿地方も、東海地方も、北陸地方も、まあ日本全体から一人ずつそういう関係のものを出して下さい、それならばこの法案を認めると申しましたらば、そういたしますと、確約されたことは速記録ではつきりわかつているはずです。それでまず承わりたいのは、そういう審議委員にどういう地区からどういう人がお出になつているか、それが承わりたい。
  48. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 只今お尋ねの件でございますが、御承知ように、あの法律によりまして特殊土壌地域と指定されます地域は、特殊土壌で構成されておる地域でありまして、同時に非常に災害の多い地域ということが、一つの指定の対象になるわけであります。それと同時に、特殊土壌であつて、そのために非常に生産が低位である地域、これも特殊土壌としての扱いを受け得るというふうに、特殊土壌というものが、あの法律によりましては、二つのカテゴリーに分け得るわけであります。今回指定いたしました地域は当初申上げました特殊土壌であつて、なお且つ災害によるところの被害が相当大きい地域、これだけを先ず差当り殊殊土壌地域として指定いたそうということに、審議会のほうで御方針がきまりまして、その結果大体西部のほう、即ち鹿児島、宮崎、大分、熊本、それから四国及び中国の地域、こういう地域だけが特殊土壌地域として指定を受けたわけであります。その結果、その審議会の構成メンバーも主としてこれらの地域に御関係のあるかただけを以つて構成したわけでございまして、将来若し、二つの対象でありますところの特殊土壌であるために生産が非常に低位である地域も特殊土壌地域として指定するということになりますれば、当然その地域の御関係かたがたも審議会の構成メンバーとなることであろうと思う次第であります。
  49. 赤木正雄

    赤木正雄君 重ねて申しますが、あの法案の審議過程におきまして、例えば富山県の常願寺川の上流の大崩壊とか、東北地方の大崩壊地も確かに特殊土壌に入るべきものだと申しましたらば、その通りだということを説明員から説明された。そうして従つて全国の各地域から一人ずつそういうかたを審議委員にするべきである、これも納得されておられることは、法案の審議の速記録を御覧になつたらはつきりしている。それにかかわらず、今おつしやつただけの過程から、審議委員をお出しになつたのは法案の審議を無視されている、こういうふうに見るよりほかはない。これに対する御答弁を頂きたい。
  50. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 誠に御尤もな御質問でございまして、私も当時この委員会に陪席しておりまして、赤木委員のそういう御発言を伺つてつたのでありますが、ところがその後いろいろ準備をして参りまして、審議会等にもお諮りしたのでありますが、若し特殊土壌であつて、生産が低位であるために特殊土壌として指定するということになりますと、殆んど全部の地域が特殊土壌地域として指定されることになるのでありまして、当初只今赤木委員の御発言ように、鹿児島、宮崎だけに限定する、或いはその附近だけに限定するという趣旨の法案が、全国に対象が拡大されるということにもなるのでありますので、差当り先ず特殊土壌地域であつて、災害による被害が大きい地域に先ず限定してもらう、それに対する施策を或る程度完備した上で、その後地域を拡大いたしまして、そのために災害はないけれども、生産が低いという地域に漸次地域を拡大いたしてもらうというふうに、施行の順位に若干の時間的な差別をつけたわけでございまして、決して只今赤木委員から御発言になりましたように、それ以外の地域を全部あの法案から対象として省きまして、何ら施策をしないというのでなしに、先ず順序といたしまして災害の大きい地域から始めて行こうということに各般の方面の御意見がまとまりましたので、私どもといたしましてはさように処置しておる次第でございまして、その点御了承願いたいと思います。
  51. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の御説明では、あの法案を審議した根本の精神がもうすでに間違つております。初めから私申したのです。どうしてもこの鹿児島、或いは宮崎並びに熊本県の一部のごときしらす地帯、こういうふうな法案ならそれでいいのだ、むしろしらす地帯として出しなさい、これを私は強く主張したのです。併しながら、しらす地帯ではこれは衆議院が通過しないから、ああいう形の法案にしたのだ、だからこれで認めて欲しい、だからこういうふうならば、今も言う通り日本全体にこれは及ぼすのだ、従つてひとり九州或いは日本の西のほうのみならず、或いは新潟県地方においても地辻り地帯もありますし、一応の特殊土壌地帯です。そういう観点からして、全国から審議官を出しなさい、出し得ます。で、根本の方針を、一番大事なところを抜きにして審議官を出している。これは無論総理大臣が任命したと思いますが、総理大臣にこういうふうなかたを任命させるその下ごしらえをしたのは誰なのです。
  52. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 御承知通り、あの法案は議員提出の法案でございまして、政府提出の法案ではなかつたことは御承知通りであります。従いまして私どもといたしましては、あの法案が成立いたしましたのちは、その事務上の御面倒と申しますか、事務を担当しているわけでございまして、あの法案の運営等につきましては、あの法案を御提案になりました国会議員のかたがたの御意見なり、御趣旨なりを尊重いたしまして運営をしたわけでございまして、必ずしも全部政府の考えによりましてやつたわけではなかつたわけでございます。その点も御了承願いたいと思います。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 今おつしやつた通りのことでしよう。提案者の意見が多分に含まれているということはよく知つていますが、今ここに提案者がおられませんから、これを追及しても止むを得んとは言いながら、法案の審議過程にこういう条件でこの法案を認めるのだということで参議院で認めたものを、提案者がここにいないから、もう法案は通過してしまつたからそれでいい加減にする、これは私から言うと一種の道徳責任なんだ。いわば衆議院のあの法案をお出しになつたかたが実に参議院を無視したと、こういうふうに言うよりほかはないと私は思いますが、政府のあなたは、あの法案審議に立ち会つておられたかたの御意見としてはどうなのです。
  54. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 誠に御尤もな御意見でございますので、私どもといたしましては、次に地域の拡張の案件も無論審議会で審議されると思いますので、漸次只今赤木委員がおつしやいましたような方向に地域を拡張いたしまして、審議会の構成も変更いたしますようなふうに持つて参りたいと考えております。
  55. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の質問趣旨をお考えになりまして、政府としては審議会の委員も差し替えるというふうな御趣旨があることは、はつきりしましたから、この問題については私は質問しません。併し重ねて申しますが、法案を審議したあの長い論議の様相をよく再検討されて欲しい。そうして法案を適正に運用されるようにして欲しい。私は初めから言つた通りに、あの法案はむしろ要らないのだ、どうも議員立法というものは変なものばかり作ると、すでに言つたのです。大蔵省から見えていますが、砂防法と何が変るのだと私あのとき言つたのです。併しまあ特別な関係でして欲しいとおつしやつたから、それなら審議会委員を全国から出しなさい、それで初めて平等になるだろうと言つたのでありますが、あの法案の今後の成り行きはどうか知りませんが、今おつしやつた通りに、委員というのをもう少し法案を審議した精神に則つて、あなたのほうで総理大臣のほうに適当な処置をして欲しい、こういうふうに要求します。なお、この審議会でいろいろなことを審議されていたようですが、その速記録を私に一通下さい。それを見て又質問しますから……。
  56. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 承知いたしました。
  57. 田中一

    田中一君 今井田さんに伺うのですが、先般建設大臣が新らしい、新らしいと言いますか、第四次吉田内閣の建設行政の施政方針として輝々非常に盛りだくさんの御説明があつたのです。その中で国土総合開発の河川、道路その他全部織り込んでやるというような決意の表明があつたわけなんです。そこで経済審議庁に対しては国土総合開発法に基くところのいろいろな計画がございましよう。それを一応どういうものを具体的に取上げてやろうかというよう閣議決定か、或いは内々の交渉があつたかどうか。その点恐らく建設大臣はあなたのほうにも相談があつたと思うのですが、若しあつたならばその点を御説明願いたいと思います。
  58. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 只今お尋ねの点、実は私迂潤でございまして、建設大臣から審議庁にどのような御相談がありましたか、十分承知いたしておりません。
  59. 田中一

    田中一君 今井田さんが大体国土総合開発法を担任なさつているわけですね。
  60. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) はあ。
  61. 田中一

    田中一君 あれに基く何か新内閣の構想というものはお聞きになつておらないのですか。
  62. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 別に私只今までのところ、上司から新内閣になりまして特別にどうしろという御指示は受けておりませんでございます。
  63. 田中一

    田中一君 補正予算には少し鼻くそのよう予算がつきました。これはもう御承知ように、国土総合開発審議会で緊急集会を開いて猛烈な決議文をぶつつけて、自由党のほうでも非常に驚いて閣議に強く要求したというような経緯も伺つております。そこで国土総合開発法の一部改正をした約束を思い出されて少しの予算をつけたと思いますが、実際に二十八年度予算においてどのくらいのものを経済審議庁として要求するつもりか、それから二十八年度予算としてのどういう計画を持つておるか、それからそれに関連して次官に伺いたいのは、建設省のほうではその面についてどういうものをやろうとしているか、お二方に伺いたいと思うのです。
  64. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 二十八年度予算におきまして、総合開発関係といたしまして現在折衝しておりますものは、一般事務費は別といたしまして、調査費といたしましては八千万余りのものを国費といたしまして御支出願うように今大蔵省に要求しております。それから一般事業費といたしましては、これは御承知ように公共事業費という形で出ることになるわけでございまして、これ又御承知ように現在までのところ特定地域につきましては閣議で決定されました計画がまだないわけでございます。近く北上地域につきましては審議会に案を出しまして、年内にはこれを終りまして、できますれば年内に閣議決定をして頂きたいという考え方で準備を進めておりますが、その計画が決定いたしますれば、その計画に基くところの予算をはつきり予算書の上に出して頂きたい、要するに特定地域分といたしましてどういうふうな予算をつけたかということが予算書の上ではつきりするような形にして頂きたいということを、現在大蔵省かたがたに事務的にお願いしておるわけでございまして、まだその点につきましては最終的な話合いはつきませんけれども、具体的な金額として出しておりますものは、只今の約八千万余り調査費、それから二十八年度予算につきましては、北上地域その他主なる地域につきましては、各省が公共事業費という形で提出しております予算のうちで、特に総合開発の上から見まして緊急なもの或いは必要なものにつきまして、我々のほうで説明をいたしておるというふうな状況にあるわけでございます。
  65. 三池信

    政府委員(三池信君) 総合開発の問題は二十五年に本法が設置されましてから、各県でその実情をよく調査いたしまして立案をしておるのでありまするが、そのうちで最も特に重要なるものについて大体昨年の十二月、十九の地域を指定して、すでにそのうちの五地域だけは総合開発の計画が作成されて、総理大臣にも提出済になつておるのでございます。できるだけこれは新内閣といたしましてもその政策の一端として掲げております以上、来年度予算にはできるだけ多く実現されるように努力するつもりでおるわけであります。
  66. 田中一

    田中一君 そうしますと、大体二十八年度としては調査費は八千万、それから次官の御説明を聞きますと、本年きめました十九の特定地域のうち五地域だけが計画ができておるという御説明と了解しますが、今井田審議官のお話のうち、北上川の分が一応話になつておる、こういう御説明で、非常にその通りなら結構と思います。そこで伺いたいのは、北上川を若し一番初めにあの法律によりまして実行するという段階になりましたときに、建設省はあの北上水域に持つておるところの予算、いわゆるダム工事にしても、道路その他の公共事業費、なお農林省が持つていますところの公共事業費、そうしたものがあの法律によりまして事業をするという建前から一文化された形で以て予算を組まれるのか、或いは農林省は農林省、河川局はこれ、何はこれ、こう別々になつて計画だけを立ててやつて行くのか、その点はどういうよう予算の編成をするおつもりですか。
  67. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 予算は従来通り各省にそれぞれ作ることになるわけでございます。で、その各省の事業の間の調整は審議庁におきまして予算編成の際に十分調整をとつて、タイミングを調整しました上で見て行くというふうな仕組みに法律の上ではなつておるわけでございまして、従つて仕事は従来通り各省がそれぞれ御担当に相成るものと存じております。
  68. 田中一

    田中一君 誰がその計画を実行に移す責任者になるのですか。
  69. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) それは河川につきましては建設大臣であり、土地改良につきましては農林大臣であるというふうな具合に、それぞれの御所管のところの責任者になろうと思います。ただ元の筋が、この計画自体が閣議で決定されておるわけでございますので、各省はそれぞれその閣議決定に道義的に拘束を受けるわけでございますので、大元は閣議で決定されまして、それを各省大臣がそれぞれの責任において施行されるということに相成ると思います。
  70. 田中一

    田中一君 北上川の計画というものは厖大なあの書類を拝見しましたが、我々素人の観察では見たところ何もわからないのですが、あの計画を実際に審議庁は現場にぶつかりまして御検討をなすつたのですか、或いはこれからなさろうとする意思があるのですか。
  71. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 北上川から提出されました計画書につきましては、係官がたびたび現地に参つておりますし、又現地のかたの御説明も十分拝聴いたしまして、又これはひとり審議庁だけが審議しておるのではないのでございまして、各省でそれぞれ共同して審議しておりますので、例えば土地改良につきましては農林省の係担当官が十分これを検討し、河川につきましては建設省が十分検討いたしまして、それを持ち寄りまして審議庁が取りまとめをやつておる、こういうようなわけでございまして、而も只今申上げましたように、審議庁のほうでも現地を知らずしてやるということは不適当だろうと思いますので、たびたび現地に参りまして、現地意見も十分聞いておりますので、私どもといたしましては、十分地方実情を斟酌配した上で計画を立てておるという自信を持つてつておる次第であります。
  72. 田中一

    田中一君 先ほどの二十八年度の調査費八千万、これは無論従来通り調査地域或いは十九の特定地域に対しての補助費と見てよろしうございますね。
  73. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) その通りであります。
  74. 田中一

    田中一君 そうしますと、この事業費としては北上一本につきましてどのくらいの予算をとるつもりでありますか。
  75. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 現在審議中でございまして、審議中と申しますか、立案中でございまして、いずれ審議会で最終的な結論が出ようかと思うのでありますが、北上地域を大体現在考えております程度の開発を行いますために必要な経費は全額で約五百億から六百億の幅でできるのではなかろうか、大体私どもの計画といたしましては、これをほぼ十年間ぐらいでこの計画を達成いたしたい、年々五、六十億程度ではなかろうかと存じます。現在これに対しまして、同じ対象の事業に出ます公共事業費は約三十億余りではなかろうかと思いますので、これに対しまして差額の二十億余りを追加いたしまして、十年間施工すれば、大体北上地域の開発はほぼ所期の通りできるのではなかろうか。数字その他若干間違つておるかも知れませんが、間違つてつたら訂正いたしますが、大体その程度のものと御了承を願えれば結構だと存じます。
  76. 田中一

    田中一君 国土総合開発審議会がございますが、これはただ単に諮問機関でございますが、実行するのに、閣議が最高機関であつて、実施するのはおのおの各省或いは各地方自治体がやるということでは恐らく従来とちつとも変りはないじやないか。いわゆるあの法律を作つたという本当のものにならんのじやないかと思います。そこで何か特定な機関を経済審議庁なり或いは地元に設けるような考え方は、あの法案にはなかつたでしようか。又事実あの法案になくても、実際するならばそこまでして、そこで一元的な計画を立てなければこれは結局ものにならんのしやないかと思うのですが、どういう考えですか。
  77. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 誠に御尤もな御意見でございまして、政府部内で今回の総合開発法の改正を審議いたします際にも、しばしばその意見が出たのでございます。併しながら、現地にそういう機関を新たに設け、或いは中央にそういう部局を新たに設けることにつきましては、いろいろ問題がございますので、とにかく計画を立てて各省でそれぞれやつて見た上で、どうしてもそれでは実行上困難な点があり、或いは又支障があるということであつたならば、そのときには直ちに又そういう問題を取上げようということにしまして、一応今回のと申しますか、前国会で御審議を願いました総合開発法の改正案には従来通りの機構で進むということにしてございますが、改正する肚は十分ございます。
  78. 田中一

    田中一君 先般私向井大蔵大臣にお日にかかつて、あなたは貿易屋さんの出身だから国土総合開発なんということにはもう関心を持たないのだろうと、こう言つて暴言を吐いたのです。いやく、そうじやないと言つておりましたが、遂に補正予算に組んだわけですが、大蔵省のかたは見えておりますか。
  79. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 佐竹主計官がわります。
  80. 田中一

    田中一君 今次官並びに今井田さんからの御説明にあつたように北上一本計画をいよいよ実行に移すとい考え方で政府はおるようですが、なお与りほかに四つの地域の計画案が完成しようとしておる。無論これも二十八年度には着工と言いますか、計画を立てる段階に来るかと思いますが、大蔵省としてはこういうものに対してはどういう御見解を持つておりますか。非常に結構だからこれに対して大幅に予算を出そう、或いは各省別々に公共事業費の増額をして、別々の役所に出すというような考え方については、どういうお考えを持つておりますか。
  81. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) 各それぞれの地域内で行われます治水関係事業でありますとか、農業慶係の事業でありますとか、各種の事業が各省によつてそれぞれ並行的に行われておるわけでございます。この各省の事業はおのおの相関連を以ちまして、その地域の全体の開発に向つて行くわけでございますが、その点が今度の国土総合開発法によりまして、従来とかく並行的になつておりましたものが総合計画として十分総合され、調整されたものになつて参るという点につきましては、これは資源の開発、財政投資の効率性の面から見ましても、望ましいことであると考えておるわけでございまするが、ただ各地域ごとの地域内の問題と、全国的に見ました場合の各事業の優先順位というものがいろいろございますので、その点の調整をどう図つて参るかということが今後いろいろむずかしい問題になりはしないか、同じ道路の問題にいたしましても、建設省としては一つの根幹的な道路網の整備という点で全国的な視野に立つて計画を考えておられるわけでありますし、又片や特定地域の問題は全国のうちの個々の一部の地域についての問題に特に重点を注いで考えられるわけでありますので、その間の全国的な規模の計画と、個々特定地域の計画との調整をどうするかという点が今後の問題であろうと思います。従来も北上川系統乃至は利根川地区というところには相当重点的に予算が配分されておるわけでございまして、今後も計画の総合調整されました姿において、できるだけこれらの事業が円滑に進むように考えて参らなければならんわけであります。
  82. 田中一

    田中一君 公共事業費は出せるのですか。二十八年度は……。私伺いたいのは、今の北上川そのほか四つの地域が恐らく顔を出すと思うのです。その場合にそういうような余裕はあるのですか。
  83. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) その点につきましては、来年度の財政全体の規模の問題とも関連をいたすわけでありますが、公共事業費が来年度どの程度の規模になるかということにつきましては、目下検討中でございまして、ただ本年度に比べまして、来年度は飛躍的に殖えるということは目下のところ考えられないのではなかろうか。若干の増加は勿論あると思いますが、そういたしました場合に、特定地域について特に従来に対して大幅な増額をするということは、恐らくなかなか困難ではなかろうかと、こう考えております。
  84. 田中一

    田中一君 それは財政のほうでできなければ今とちつとも変らないのじやないですか。私は何か一つの総合的な窓口ができて、そこで強力に押すと、無論大蔵省も押せば運輸、農林、建設も入つてですよ。そうして押して行くというのならばこれはいいと思いますが、公共事業費の枠というものはどうも先だつて向井さんにぶつかつてみたところをみましても、公共事業費は余り金をかけたくないという意向が見えるようです。それでまあ加工貿易をやつて、労務賃金で日本を経営して行こうというような考え方がちよつと見えるようなんですが、今井田さんのほうではそういうような計画をしておりまして、通産大臣今日来ておりませんけれども、通産大臣はどういう考えを持つているのですか。今のような話を伺つておりますと、まるきりできない話をここで又御披露して下さつているように聞こえるのですが、どうですか。
  85. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) ただ私も今お話がありましたように、公共事業費が飛躍的に殖えるということは考えられませんけれども、こういう総合開発計画を立てることによりまして、少しでも当該地域に対しまして予算が多くつくようなふうに我々としても努力いたしますし、又関係のそれぞれのかたがたにもそういうふうに御協力願いまして、少しでもたくさんつくようにして参りたい。のみならず今も御発言がありましたように、従来出しております公共事業費の効率性を高める、即ち従来はちぐはぐになつておりましたものを、効率的に、総合的に使用するというふうな面におきまして、総合開発計画は意味があるわけでありますが、その面は大して問題にしないことにいたしまして、こういう計画を立てることによりまして、少しでも当該地域に対しまして国費が注ぎ込めるようなふうに努力して参りたいというふうに考えているわけであります。で、北上地域につきまして、例としまして今大体十年でやるといたしまして、これだけかかる、従つて全部の地域に対しましてどれだけかかるかということ曇りますと、これもたびたび私申上げておりますような工合に、大体十九地域の総会開発を希望通りつて参るのには十年間で大体四千億近い金が要ろうかと思うのであります。従いまして、年平均といたしますれば三百五十億から四百億ぐらいのものが要るわけになるのであります。但しそのうちで現在公共事業費で賄つておりますものが百億以上二百億近くあるわけでありまするので、年々百五十億から二百億程度のものを増額いたしますれば、十九地域の総合開発というものはできることになつております。現在この公共事業費の総額が千二百億余円ございまして、尤もこのうちから災害関係を引きますれば、純粋の建設事業にはそれほどはないのでございまするけれども、年々百億乃至百五十億、或いは二百億というふうなものを国費として投入をいたしますれば、大体十九地域の総合開発が殆んど所期通りできるということになりますと、現在の国力から見まして、私どものやつておりますことは必ずしも荒唐無稽なことではない。やろうと思えばやれることではあるというふうに私どもは認識いたしまして、できるだけこの線に近付けるようなふうに今後とも努力して参りたいというふうに考えている次第であります。
  86. 田中一

    田中一君 最後に一つ伺いますが、この北上水域の総合開発につきまして、各省間で、或いは地元民も混えられまして会合を持つたことがございますか。最近……。
  87. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 各省間ではたびたび会合をいたしまして審議をしております。本日もやつておるような次第でございます。なお近く総合開発審議会の特別委員会におきまして、最終的な御審議を願うわけでありますが、その際には地元から特別委員としまして三、四名のかたに御参加願いまして、十分現地の動向も聞こうと考えております。
  88. 赤木正雄

    赤木正雄君 私簡単にお尋ねします。先ほど二十八年度には五カ所について計画ができているとか、施工するとか、政務次官がおつしやいましたが、この総合開発につきましては、この委員会としましても十分以前から検討して参つたのであります。少くとも建設行政関係するもの、又この委員会に所属するものはどういう地域がどういう調査の下に施工されているかは、これは当然知つているべきことと思うのです。それでこの委員会の審議会に属しておられる一部の人はこれはよく御承知ですが、その他の委員は知らないのであります。でありますからして、どういうふうな調査ができているか、これは甚だ御迷惑と存じますが、恐らくこの委員の大部分は御希望思いますから、その調査資料を御配付願いたい。これは当然そういうふうにして下さるのが今までの審議の経過から当然と思います。何と申しましても、総合開発計画というものは治山、治水、利水に関することが非常に多い。従つてこの委員会に該当するものか非常に多いのでありますから、この調査資料委員会に御配付願いたいと思うのですが、如何でしようか。
  89. 三池信

    政府委員(三池信君) 誠に御尤もなことでありますから、できるだけ詳細なものを、調査した結果の資料ができ、おりますれば、まとめまして御配付いたすように取計らいたいと思います。
  90. 赤木正雄

    赤木正雄君 実は私も一、二承わりたいことがありまして、資料建設省にお願いしたのでありますが、専門員のほうからしてこの資料を下さいと一言つても、拒否されてもらえなかつたのです。これは実際のことなんです。そういうふうで実際審議のしようがないのであります。これを十分御了察願つて、是非とも今お話通り願いたいと思います。
  91. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは私一、二お伺いしたいと思います。先ほどの御説明だと、北上ほか四カ地点ということでしたが、北上ほかのあとの四カ地点というのはどことどこですか、御説明を願います。
  92. 三池信

    政府委員(三池信君) 十九の地域のうち、すでに計画が提出されておりますのは、北上のほかに四カ地点、即も最上川、阿仁田沢、天龍東三河、及び対馬の四カ所でございます。
  93. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 次にお伺いしたいと思いますのは、私は赤木委員の今の御意見と同じように、この委員今に関連する問題が非常に多いと思つてお尋ねするのですが、只見川につきましては委員会でもいろいろ議論が出ましたように、すでに電源開発が相当准行しております。そして特に総合開発地点として大きな地点だということで、あの電源開発促進法でも特に只見川というのは明記されているよう関係にあるわけです。であるにもかかわらず、二十八年度には総合開発に只見川が載つてないということはどういうわけですか。この間の事情一つ御説明を願いたいと思います。
  94. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 御承知ように現在の総合開発法によりますと、特定地域を定めまして、その地域の総合開発計画は一応担当の、担当のと申しますか、それぞれの地方から頂案を審議会及び政府に御提出することになつております。従つて今申上げました五つの地域もそれぞれ関係の県から御提出になつたわけでございまして、只見川地区につきましては、当然福島県、新潟県におきまして、そういう案を作りまして政府のほうに提出される、それを受けて政府がそれを審議しまして決定するというふうなことになつておりますので、今日までのところまだ福島県及び新潟県からはそうい案が政府に提出されておらないということでございまして、恐らく二十八年度中には私は十九地域が一齊にそういう計画を政府に持ちこんで来るということに相成ろうと考えております。
  95. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは重ねてもう一点お尋ねします。審議庁の事務当局としましては、その十九地点に指定されておる只見川地域であるけれども、両県から案が出て来ないから、電源開発のほうは、総合開発をもう眼中に置かずにどんどん電源開発は進んでしまつて一向かまわんというふうにお考えになるのかどうか、その点を一つ
  96. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) できますれば、総合開発の見地から、電源開発が総合開発計画と齟齬せざるようなふうに計画されることが望ましいと思うのですが、現在の法律只今申上げましたようになつておりますので、事務的な調整は無論いたしたいと考えておりますけれども、法律的には遺憾ながら電源開発に優先しまして総合開発を、地方から計画が出て参りません限り行えないようなことになつておるわけであります。
  97. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それではもう一つ伺います。審議庁では、今の御答弁を聞いておりますと、総合開発というのは極めて熱がなくて、どうでもいいようにお考えになつておるかのごとくに私には聞えるのです。それで国土の総合開発ということについてとやかくここで効能書を申述べることは要らんと思うのですが、審議庁ではそんなふうに今の法律が不備であるのに、この法律改正案を考えておられるかどうか、この点伺います。
  98. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 現在の国土総合開発法は、地方の自主性を非常に尊重いたしましてへ地方が先ず原案を立て、政府がそれを審議会にかけ、政府自体も審議いたしまして、その合理性を検討し、それを地方に勧告するというような建前になつております。すべて地方の自主性を尊重するという建前になつておるわけであります。で、若し従つて地方が計画を持つて来ません場合は、中央としてはそれに対して何ら意見を差しはさむ余地がないというのが現在の法制の仕組になつております。先般の法律改正の際におきまして、こういうことは総合開発の円滑なる推進に非常な障害がありますので、地方が案を持つて参りません場合には、中央政府が地方に代つて案を立てて、地方の同意を求めるというふうに、積極的な規定を挿入してはどうかというふうな意見も随分ございまして、その準備もいたしたのでございますが、政府部内におきまして十分意見の一致を見るに至りませんでしたので、前国会での改正法案におきましては、その条文は除外されたのでございますが、若しその必要が起りますれば、成るべく近い機会に今申したよう趣旨の規定を加えまして、法案を改正して参りたいと審議庁では考えているのであります。
  99. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それではもう一つお伺いいたします。それは今の御答弁事情はわかりましたが、まあ今の御答弁ですと、事務当局としては積極的に法案改正を促進するお考えはないようですし、そうしますと、大体只見川のようなのは、もう開発会社なりその他で電源開発をどんどんやつて来るのは、審議庁では総合開発の観点からの施策を放棄しておるものと、こういうふうに理解していてよろしいわけですね。
  100. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 只今お尋ねの第一点の法律改正の熱意が審議庁にはないというふうなお話でございましたが、率直に申上げまして、審議庁といたしましては、法律改正の熱意が非常にあるのであります。併しながら、政府部内の他の部局におきまして、そういう自主性を破壊するような総合開発法の改正は望ましくないという意見がございまして、遺憾ながら先般の法律改正のときにはそういう規定の挿入ができなかつたのでございます。審議庁といたしましては、十分改正の意思はあるわけでございます。  第二のお尋ねの只見川の例でございますが、この点につきましては、審議庁といたしましては、もともとが今第一の点で申上げましたように、地方が案を持つて来ない場合は、地方に代つて中央で案を立てて、地方の同意を得るというようなふうな仕組にもいたしたいと考えておるわけでございまして、できれば地方が持つて来ません場合でも、中央で代つて案を立てて、法律的にそれを強制するというのではなしに、事実上そういう総合開発の何と申しますか、促進なども指導するよう方法でやつて行きたいと考えております。
  101. 三池信

    政府委員(三池信君) ちよつと今の御質問に補足的にお答え申上げます。只見川のほうの問題でありますけれども、これはお話通り最も緊急を要する必要性の多い、総合開発として先ず第一に取上げなければならないくらい重要性を持つておると私も考えるのですが、ただ電源開発のこの方式がまだ決定してないということのために、両県ともその計画をはつきり決定し得ない事情にあるのではないかと思つております。それで計画自体の作成にさえ非常に遅れをみせたわけでありますから、現在は両県の二本建として、一つ電源開発は二本建で、その他の計画をまとめるようなふうに、現在建設省として指導しております。
  102. 田中一

    田中一君 もう一つ聞きたいのですが、これは次官に伺つたほうがよろしうございますが、昨日只見川の質疑の場合にもありましたように、水利権の問題ですが、一応地元が、例えば電源開発の場合でも、地元が反対をしているような現状において、知事がやはりかまわず認可をするということがあり得るのですか。
  103. 三池信

    政府委員(三池信君) 大体はそういう場合は、こちらとしては想定しないのでありまして、知事が一部反対者があつても、この反対者をよく納得さした上でこちらに持つて来てくれるようなことを我々期待しておるわけであります。
  104. 田中一

    田中一君 実はこれは一つの請願の形で来たもので、水利権の問題を一応調べてみたのですけれども、青森県の西津軽郡ですかに赤石川という川があるのです。この川を上流で堰堤を造りまして、山越しに別の方面に流れる川に落し込むという案なんです。そのために赤石川の下流では流木の問題、孵化場ですか、漁業権の問題ですね、そういうふうな問題について非常に反対しておるのです。赤石川にダムを造つて赤石川に水を流すというような計画だつた。そうしたところが、東北七県が逆に山越しによその地域へ、秋田県のほうに寄つたほうに水をわきへ持つてつてしまう。非常に問題になつたんです。こういうような問題は、知事が非常にこれに賛成しまして、かよう措置をとつたらしいのですが、仮に地元が反対しておる場合に、水直接の問題じやなくて、地元が反対しても赤石川の上流のほうですから、何ら工事には萎えないのです。どんどん進めて水をわきのほうに、山越しで別のほうの側に流せばいいことになるのですが、このような場合は今までの行き方としては着江を待たすとか、設計変更をさせるとか、地元に納得させるとかいう方法をとつておるのか、それから一遍許可してしまつたからどんどんやつてよろしいというような考え方でおるのか、どうなんですか。
  105. 三池信

    政府委員(三池信君) 大体電源開発の場合には、今おつしやつたよう関係地元とのいろいろな問題でトラブルが起るわけでありまして、灌漑用水の問題にいたしましても、或いは漁業権の問題にいたしましても、或いは流木の農にいたしましても、いろいろな問題は起りますが、そういうような場合には大体地元とのそういうよう関係なり、反対をしておられるかたがたとの調整が或る程度可能だという場合には、十分なあれがない場合でもやつて頂くことになつたかも知れませんが、併し大体の方針としては、そういうような方面では関係者がよく話合いをして、そうして損害に対してはそれぞれ補償の途を講じてその話合いがついに上で、これをやらせるということが本筋のように今までやつておるのであります。まあ大分この問題は関係区域が多いので、いつでもそういうような具体的な困難さを伴つておるようでありますけれども、現在までのところ大体最初の計画のときには非常に反対が強かつた場合でも、まあ大局的な立場から、或いはその補償の問題その他で話合いがついておるようでございます。
  106. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の問題に関連しまして、これの一番大きな問題だつたのが徳島県の吉野川を愛媛県に移した銅山川の問題なんです。これは流域変更です。これはやはり全体を考えられました、今次官のおつしやつたように随分初めはトラブルはありましたけれども、結論は国家の経費とか、そういうふうに行くより方法ないと思うのですが、次官に伺いたい。
  107. 三池信

    政府委員(三池信君) これは大体の総合開発というよう趣旨から、或いは国家資源の最も重要な需要というような点からも、一部には個人的な関係で非常に強く反対しておられるかた、或いは部落があるわけでありますけれども、大体総合開発自体の趣旨から申しましても、そういうかたぞれには十分御納得の行くような損害の補償或いは慰謝をいたしまして、そうして国家の資源の開発にはやはりできるだけの最初の方針を堅持して行くのが至当じやないかというふうに考えております。
  108. 田中一

    田中一君 今の河川法ではそのように十分に慰謝するとか補償するなんということになつていないですね。これが土地収用法で来ますといいのですけれども、それこそ二キロも三キロも下のほうの事業に何ら関係のない、ただ水が来なければ困るのだというような場合には、土地収用法にはたしかあつた思いますけれども、河川法にありますか、そういう補償する規定は……。
  109. 三池信

    政府委員(三池信君) 土地収用法の場合には必要な土地を強制的に法律によつて収用するわけでありますが、水のような場合にはそういう立法的な措置を講ずるような規定はないのであります。すべて話合いで進めているのであります。
  110. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは又私から一つ伺います。電源開発について経済審議庁が中心になつているのか、それとも通産省が中心になつてつているのか。一体電源開発の立案の中心というものはどこでやつているのですか、これを一つ
  111. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 審議庁のほうでやつております電源開発関係は、電源開発促進法の第二章にあります電源開発調整審議会の事務局的な任務を持つているのであります。従いまして、あの規定にあります範囲内の業務を行うのでありまして、公共事業令その他に基きます実際の監督、立案等は通産省がやつている次第であります。
  112. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) そうしますと、先ほどのあの只見川の問題でも、その電源開発の様式が先ほど政務次官はきまつていないとおつしやつておられたのでありますが、まだその通りきまつていないのだろうと思うけれども、こういうことを早急にきめることによつて、総合開発も逆に審議庁が今政務次官が説明しておるようないわゆる内面指導で促進して行くという方法はあると思うのだけれども、そういう点をやつておるかどうか。
  113. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 只見川のいわゆる本流、分流案と言われます中上流以上の全体的な開発の問題に関しましては、電源開発調整審議会といたしましては、先般第三回の審議会と思いましたが、只見の地区を電源開発株式会社の調査地区に指定いたしまして、予算等も見まして、そうして電源開発株式会社が調査地区ということで現地にも調査所を設け、調査趣旨といたしましては、従来の資料、或いは不備の点の実地調査、或いはそれから生れて来ます対案等を練りまして、自分で大体やるというふうに、法・案では、一応の例示になつていますが、有力な工事でありますから、自分がやる地点として十分に調査をしたいというふうに審議会としては主張しております。なおそれに並行いたしまして、関係各省並びに経済審議庁のほうでは、各省からの資料並びに福島、新潟、或いは東北電力、東京電力等から資料の説明を受け、同時にOCIの方にも来て頂きまして、いろいろわからないこと、あの報告書内部のバツク・データになつておりますデータ等をもらいまして、官庁側は官庁側で並行的に進行しております。従いまして、成るべく早く結論を見出しまして、結論と申しましても審議会で審議する事項でございますから、数案の優劣と申しますか、比較対照等を明確にいたしまして、委員各位の御同断の結果、いずれにか御決定願いたいというふうに考えております。
  114. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) そうしますと、開発会社はもうすでに現場調査というようなことをやつておりますか。
  115. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) たしか調査所を作りまして、その調査所長の任命の段階かというふうに記憶しております。
  116. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 開発会社は自分で開発するんだから、それは独自の調査が必要だし、当然のことでありますけれども、今のあなたの御説明だと、開発会社にそういう調査をさせて、そうして役所のほうは単にその出たものに決裁でも与えるというような進め方のように聞えたんですけれども、そういうやり方でやるわけですか。
  117. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) この点は先ほど今井田審議官からも御説明があつたようでありますが、あの地区は単に電源開発という観点ばかりでなしに、もう少し大所から見ました国土の総合開発という基本的な立案がきまつて、そしてその一環として電源の開発というのが一番筋でございますけれども、総合開発のほうの立案状況が、先ほど今井田君からお話通りでございまして、勿論その総合開発という観点と睨合せながら、単に開発会社の電力の立場から考えたのより、今申しましたような、たとえ完成したのではなくても、国土の総合開発的な立案がそれぞれあるわけでございますから、そういう観点を加味しながら、調整審議会の委員の各位は御決定下さるように考えますので、基本的には国土の総合開発という治山、治水或いは利水等、総合的に考慮して一同時にあの地帯といたしましては、一種の主導的な地位を示す電源開発というものを併せて考慮しながら決定いたすというふうに考えております。
  118. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) そうしますと、只見川の電源地帯の総合開発のための資料というものは審議庁にどのくらい出ておりますか、具体的に説明して頂ければ……、その点お伺いします。
  119. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 只今あの地区で総合開発の観点で一番重要になつておりますのは、御承知ように新潟平野の灌漑排水の問題でありまして、この点に関しましては農林省のほうが主になりまして、具体的な調査を進めつつあるのでございます。その他いろいろと、冷水と申しますか、この前にもこの委員会かと思いましたが御指摘を受けまして、只今のOCIのプランでは下から水をとるようになつておりますので、非常に冷害の危険性があるのではないかというような観点もございますし、或いはいろいろ御指摘を受けます砂防その他の土砂の問題もあるでありましようから、そういう点も全部兼ね合せまして、総合的な面からこの問題を解決したいと思います。そういう資料全般に関しまして、どの資料が一番進んでおるかと申上げますと、電気そのものから見ました資料が非常に進んでおりましてそれ以外の資料に関しましては、まだそれほど十分進んでいるとは申せないかと思います。
  120. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それはちよつとおかしいのですが、金沢の農地事務所からは去年のいつ頃か、すでに分流案による食糧増産についての報告書が出ておると聞きましたが、審議庁にはそれは届いておりませんか。
  121. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 届いております。説明も承わつておりますが、農林省の本省の態度といたしましては、まだ本省で十分これで決定したというところまで参つておらない、審議の途中だということであります。
  122. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) そのほかにはないんですか。総合開発というと、実に華々しいものに聞えるけれども、今の御説明だと僅かに農林省関係ではそういうものしか資料がないというし、ほかには別にないように聞えるんですけれども……。
  123. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 誤解があつたかも知れませんが、そういう意味ではございませんで、資料はあるんでございますが、資料の精密度というものが、あの地区に関しましてはそれ以外の問題でもいろいろ問題がある患いますが、例えば文部省関係の文化財保護法の問題にひつかかる問題もありましようし、いろいろありますけれども、そういう点を全部今一つ一つ、何と言いますか、総合いたしまして、あの地区の総合開発というのはどうしたらいいのかという、そういう最後案というものはまだきまつていないのじやないかというふうに考えております。
  124. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) あなたがたは総合開発が大事だ大事だと言いながら、そのほうはちつとも調査もせずに電気のほうばかり馬力をかけているようなふうに見える、併し我々はこの委員会としては、総合開発の観点から見て将来とも誤りのない計画を進めてもらいたいというわけでその調査をやつておるわけです。そうして而もあれだけ特に佐々木部長のごときは如何に非公式であつても、電源開発を急がなければ重大問題が起るということを言つておられたんだが、そういう立場に立ちながら一方頻りに総合開発の重要性を強調しながら、さつぱり資料がまとまつて来ないというようなことであつては、私はおかしいと思うのですよ。で、私は今お願いしたいことは未定稿であつてもよろしいし、草案であつてもいいが、只見川の総合開発について今審議庁に集つている資料を、金沢の農地事務所の報告も含めて一切一つ資料としての早急にこの委員会一つ提出してもらいたいと思うんですが……。
  125. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 只今計画部長からいろいろ御説明がありましたが、ちよつと補足いたしますが、只見川地域につきましては、ただ電気だけではございませんので、例えば地下資源でありますとか、或いは灌漑その他全般的な基礎資料は一応審議庁に現在集まつているわけであります。で、計画部長の言われましたのは、結局それらの組合せがまだ最終的にでき上つておらない、こういうことだけでございまして、個々の基礎資料は全部集まつておりますので、現在あります範囲のものは御要求に従いまして至急お届けいたしたいと思います。ただ申上げましたように、それらの開発を如何ような組合せでやるかということはまだ現在できていないのでございます。
  126. 落合林吉

    説明員(落合林吉君) 只見川の総合開発の重要性から申しますと、電気はもとよりまあ重要な項目になつておりますが、私は極端に申上げますと、電気の開発方針がいずれになりましても、只見川の地域の総合開発には大した影響がないくらいに私は考えております。ダムの地点も同じでありますし、出力も同じであります。併しむしろ私どもの考えておりますのは、その開発事業に関連いたしまして、あの奥地地帯の地下資源を開発しましたり、森林資源を開発しましたり、道路とか、鉄道とか、或いは土地改良をやるとか、そういうようないろいろな事業を電力開発に関連させていわゆる計画を作つて実施するということのほうがより大切であると考えまして、数年前両県で詳細な調査ができております。ただそれは資料として審議庁のほうに差上げてあるだけでございまして、総合開発法に基きまして、それらの資料を組合せましてお出しになる成規の手続が遅れているのでございます。併し私どもは先ほど申上げましたように、開発方式がいずれになつても総合開発計画全体には大した相違はありませんので、開発方式がきまらないならば二本建でもいいから、その他の組合せを全部両県一致でやるように、先ほど次官からも申上げましたように何らかの指導をいたしました結果、両県で電力方式二本建の総合開発計画につきまして打合せが済みまして、目下提出手続中でありますから、その点が済みました暁には正式に審議会のほうに送りたいと思います。
  127. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  128. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会