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国務大臣(
佐藤榮作君) 大変
田中さんの
お話は私
ども傾聴した次第でございますが、先だ
つても申したのですが、これは衆議院でしたが、今
住宅の足らないということ、これは社会党だろうが、自由党だろうが同じように認めております。これに対する
対策をやる場合におきまして、行き方がそれぞれの党によ
つて違う。そこで先ほど来自由党
内閣でなければこれは
考えんだろうと言われるような
考え方ですが、
企画課長から申上げたような方法で
住宅を殖して行くことを
考える。そこで今御
指摘になりましたいわゆる
労務者住宅というもの、これは私
どもが、これも
自分の若いときの経験を申して相済みませんが、経験から見ますると、
会社等で職員の、社員の面倒を見ます範囲がよほど徹底しておるところもあるし、なかなか進まないところもある。例えば購買会の
制度が非常に普及しておる、或いは、病院も立派にできておるとか、こういうところもありまするし、それから住居について特に力が入りまして、その社宅等を整備しておるところもある。全然新らしいところへ工場を作りますような際にはもう積極的に社宅等を
計画しておられる。ところが最近の
事情を見ますと、なかなか社宅までは手が廻
つて行かない。そこでこの頃の金融の
状況等を
考えてみますると、直接の
事業に対しての
融資或いは
貸付の方法は
考えられるが、
住宅資金の確保には非常な困難を感じておられる。殊に組合活動が活溌にな
つて参りまして、労使双方とも
住宅の整備に
努力するという方向に向いつつあるにかかわらず、なかなか経営者自身はその
資金の獲得が困難で組合の要望にも副い得ない、こういう
実情をしばしば見受けるわけでございます。その産業自身を育成するという観点に立
つての
住宅資金を供与したものに、過去においては炭住というものがあ
つたように思いますが、今回
考えますものはそういう産業自体というものでなくて、当然
会社経営者として力をそこにまでいたしたいと思いながらも資会獲得が困難でやり手がおらないのであります。この点は
政府自身も
考えて力を貸してやる、これが今
建設省で
考えております
労務者住宅の
考え方なんです。必ずしも
事業自身が大事だとか、こういう意味の
考え方じやなくて、もつと基本的な
考え方から
資金獲得に便益を供与しようというつもりなんです。この
考え方から見ると、
民間についてはこれは
民間が或る
程度自分の
資金と、それから特別な借入
資金を合せて
住宅を作るという
考え方を持てばいいわけだし、
政府自身は多数の公務員を擁しておるのだが、これに対する
住宅というものについては非常に官舎の殖え方も蓼々たるものである。この辺にも
一つの
考え方があ
つて然るべきじやないか、先ほど御
指摘になりました
建設省の
企画課長はどういう家に入られるのだという
お話をしておられますが、今
住宅に困
つておりますのは
民間の
労務者ばかりでは実はないわけです。こういうものを合して同じような立場で
考えるべきじやないか、先だ
つても省議を開きまして、
労務者住宅の問題を取上げました際に、君たち一体役人はどんな家に入
つておるか、こういうことも実は逆に
質問してみたような次第であります。この
住宅の問題を取上げて
考えます場合に、これはもう社会党は勿論
民間も、官民の間にも区別はないだろうと思います。私のほうも区別するつもりはないわけです。むしろ
民間のほうが先にこういう
制度ができて
住宅が整備されることが望ましいというような
考えを持
つておるわけであります。これは官民を通じて、特に若い職員諸君が一番悩んでおるのが
住宅の問題であります。さように
考えますと、銘は
労務者住宅として打出しておりまするが、積極的に
住宅問題の解決に乗り出してみよう、そういう場合には併せて今の
住宅のない者については官民通じてやはり
考えるべきではないか、ここまで実はいろいろ苦心をいたしておる次第であります。そこで
労務者住宅の場合におきましても、
民間の業者に四割
程度では
貸付の金額が少い、もつと殖やさなければ徹底しないのじやないかという議論が必ず出て来ることだと思いますが、今申し上げましたような
実情等から
考えますると、
政府といいますか、国が現
段階でなし得る
程度は先ず四割
程度の
貸付、先ずこの辺から始めまして、而も経営者自身、又勤労階級と申しますか、その組合の諸君もやはり協力するという
考え方でないと、この
労務者住宅の法案は現
段階では成立たないのであります。私
ども考えるところでは、国と経営者と更に社員と申しますか、組合員と申しますか、その三者の協力によ
つて労務者住宅を確保して行こう。こういう方法で
考えられて参れば、今の官民を通じての
考え方も一応割切れるのではないか。更に進みまして、それは徹底的に進んで国営でや
つて行くならば、それは官民の区別なしに全部が解決して行くことだと思いますが、何と申しましても今の
実情はそこまではなかなか行きかねる、これはイデオロギーの問題ではなしに、結局
財源の問題だろうと思いますが、そこらに
一つの困難さがあることを御了承賜りたいと思います。