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委員外議員(溝口
三郎君) 江田
委員から灌漑水温について御
質問がありました点に関連いたしまして、
委員外の発言をお許し頂きまして有難うございます。この
機会に
政府当局にお伺いいたしたいと思いますのは、ふだん
建設大臣は利水
事業について、潅流水温のことについて非常に御理解のあることを伺いまして非常に敬服に堪えないところであります。
建設大臣のお
考えは、十分に利水の方面に努力して、将来
研究をして行くということでございますが、これはどなたもそういうことは言われていることで、当然や
つて頂かなくては困ると思います。お説のようにこれから先の水資源の開発、これはダム式によ
つてやる電源開発、殊にこれから先のやつはダム式でやるが、今までのやつは大体水路式でや
つて行
つたので、水温のことはトンネルの問題なんかで水温低下なんかがあ
つたのですが、一番大きいのは御
承知のように黒部川の六千
町歩の水温が十度以下に下
つて殆んど収穫皆無にな
つてし
まつた。
農林省でその対策を約六億円ぐらい出してや
つている。これは農民が
負担してや
つている。もう
一つ大きな代表的なやつは北海道の忠別川の流域がやはり六千
町歩、これもトンネルの影響で十二度以下に温度が下
つて殆んど六千
町歩が収樺皆無にな
つてしま
つて、現在遊水池等をつけてや
つている、それも約六億円であります。これから先にダムを作
つて今までのようなやり方でや
つて行けば、私はダムができればできるほど農業の方面に非常に影響が大きいと思うのですが、中谷さんが前に指摘されておりましたが、これから先にダムの建設をや
つて行けばダムがだんだんに埋没して行
つて、ダムの埋没だけならばいいが、それが
日本の埋没になるようなことだつたら、
総合開発は必ず失敗する。併しこれから先は雪融けの水を一滴でも貯水してや
つて行けば、
日本ではまだ一千万キロぐらいの電気が起きてもう一千万人ぐらいは悠々生きて行けるのだがら何とか本当の
総合開発をや
つて行こうじやないかということを指摘されております。私はそれと関連いたしまして、雪融けの水を貯溜して行くためには何度の温度になるか、そういうことについては、水温のことをよく言われますけれども、何度になるのだということになると、私は
建設当局のほうは殆んど
関心を持
つておられないのじやないかと
考えるのであります。私はほうぼう旅行しましてダムを調べて数カ所見たのですが、そこの所長さんに伺
つても今水温何度の水を出すのかというようなことを伺うと全然それは
考えていないという例があるのでございます。幾春別のあの大きなダムがあそこで六十メートルぐらいのところから水を出している、そうして電気を起して、そのすぐ下で、約五千
町歩の水田の頭へその水を持
つて行く、十度ぐらいの水温の水を水田の頭へ持
つて行
つてしまうような
計画をや
つて、何度の水を出すかということは全然
考えていない。それはもう絶対にやめてもらいたい。
計画を変更してもらいたいと私も言
つて来たのですが、そういうものの
計画を今実際に
考えてやり直しをしているかどうか、そういうものを許可するときにも水温のようなことについては何ら指示をしていないのじやないか。現在ほうぼうでダムをこしらえるときに、今の
河川の水温なんというものは計つたことは私はないのじやないかと思うのですが、今この新聞を拝見しますと、将来五カ年で四十ぐらいの多
目的のダムを作
つて発電をやる、発電の
工事をや
つて食糧増産五十万石ぐらい、この四十カ所のダムについてどういう
程度の施設をや
つておるか、そういうことについては殆んど
考えなしに今までと同じような私はやり方でや
つて行くならば、五十万石の増産どころか、五十万石ぐらいの現在は減産をして行くのだということを非常に憂うるのです。今ここに資料をお持ちかどうかわかりませんが、これは
是非一つ再検討して頂いて、その結果を又この
委員会でも御報告をお願いするように
委員長からお取計らいを願いたいと思います。
私は昨年の電力特別
委員会で、その当時OCIが
日本の
政府に一億円
調査費を出して
調査を始めるということを
委員会で申上げたのですが、OCIが来て、一体
日本の只見川の開発をするときに、OCIが
日本の水田農業に対する知識を全然持
つていない。それがアメリカから来て
調査をした場合に、
日本の風土と一致したような
計画ができるかどうかは私は非常な疑問なのである。それをアメリカに
調査してもらう場合に、本当にそれに
協力して、
日本の水田農業に影響を来たさないように
是非や
つてもらいたい。
政府では十分に気を付けて、発表する場合には検討した上で発表するというようなことを言うておりましたが、この七月のOCIの報告があつた。それについて
河川局長のほうでは十分御検討に
なつたかどうか。あの報告には、OCIの鶴告には、世界のあらゆる場所でや
つておる最も優秀な技術、設計を以てや
つたのだということを書いておりますが、あの
一つずつのダムを見ますと、ああいうものを
日本でやられたら、電気をや
つてその代りに、例えば阿賀野川ならば一万六千
町歩のあの流域というものは非常な減産にな
つてしまう。若し信濃川のほうに持
つて行くならば、信濃川のほうは五万六千
町歩でありますが、これも非常な減産になるということになると思います。世界中の一番最新式の設計方法だというので、それを皆金科玉条のように
考えておるかも知れないが、その一例として奥只見のダムが百五十メートルぐらいのダムをこしらえた。そうしてその取入口は水面下七十五メートルである。水面下七十五メートルというところは水温は五度になるのであります。五度は氷水と同じである。それをトンネルを通して出すならば、これを、水田の頭の上に氷水をぶつかけたならば皆死んでしまう。途中に手当して大気にあ
つてから水田に入るならば水温が上がる場合もあります。水温と作物の影響というようなことについては、これは
農林省で長い間
調査をして、専門的に
調査をしておる。OCIのあの設計に対して水量がどうかということは言われるが、そうしてあの
計画で千何百億という、一キロ当り幾らかというようなことはや
つておりますが、あのままやられたらどつちへ出しても私は農業は非常な大きな減産にな
つてしまうから、
是非ともあれは再検討をして、そうして別途に灌漑水のための
治水設備をや
つてもらわないと困る。それには一カ所のダムでやはり二億円ぐらいは別途に金がかかるのだが、それをやらない限りはああいうものは、農業方面としては絶対にあのダムは採用してもらうことは困るのだということを今私は申上げておきたいと思います。
先ほど江田
委員から
お話がありましたが、あのダムがほうぼうにできまして、それを許可するのは知事が許可する。現在でも水温の問題はほうぼうで問題を起しておる。最近でも、どうも水温が低下するから、水温の問題について十分に話合つた上にダムの許可をしてもらいたいということをしばしば私どもは申上げているのですが、それはまだもう少し
研究しなければというようなことで保留をしておる。問題を別途に協議しようというようなことで捨てて、ほかしておいて、そうして許可しておるようなことがある。そうするとずるずるべつたりダムができてしまうというようなことである。これから先のダムの設計というようなことについては、
一つ根本的に……。金はかかる。今までの一キロ十万円でというわけには私は行かないのだが、それをやらなければ必ず減産を起す。それには
建設省で
大臣が
関心を持
つておられるから、
一つあの設計書の記載の要項の中に、灌漑用水の坂入の
計画というような条項を入れて、
関心を十分に末端の人まで持つような方法を提案して頂かないと、いつまでた
つてもこの問題は徹底しないのじやないかと思う。あの
昭和十年頃までは農林、内務、逓信三省で河水統制
計画というのをや
つておりますが、そのときに代表的にできましたのね田沢湖と十和田湖、それが具体的に河水統制
計画を三省で立てて、それを実行して行
つたのであります。
昭和十年頃に田沢湖におきましても、水温の問題があ
つて、電気を七万五千キロ起して、二千五百
町歩の開田をやる。そのために取入れる設備は発電会社でやる。その費用は百二十五万円をくれということになるが、百二十五万円をかけて、そして約十トンぐらい水を入れて、十二メートルぐらいに調節して出す場合に、直ちに角落を三十五枚つけるというような細かい調書までつけてや
つたのですが、それが現在の
予算では約二億円になるのですが、二億円くらいかけてやれば、田沢湖の
下流は、そのあと毎年のようにあつた冷害がなくな
つて来た。そして水温も川の水でやるよりも二度ぐらい上
つているということになると、この利益は今までよりか利益が出て来る。やりようによれば費用がかかるのでありますけれども、利益が出て来るならば私はその分は
農林省方面でも
負担してもいいじやないか。ただ補助しろ、補助しろと言うから、いやが
つてやらないので、合点が行けば、もう少しいい設備をやれば今までよりももつと水温も上
つて、食糧の増産になる。この四十ダムの
公共事業費の三百五十億と、発電が七百億ということにな
つていますが、私は三百五十億で五十万石できるような施設は
考えていない。恐らくこの上にもう四十億か五十億の金をかけてやれば、五十万石以上に食糧増産になると思う。そういうことになるなら、その費用は分担をして、農林側と出すということになれば、それが本当の
総合開発である。そういうことについて
農林省と
建設省で具体的に河水統制
計画をやつたようなやり方は、
昭和十年以後は
一つも私はないと思う。ただ話合
つて話がつかんと、片一方は放
つて置いて、認可してしまうというふうなことが
現状じやないかと私は思うのであります。そういう点について
建設大臣は非常に
関心を持
つておられるので私は敬服しておるのですが、具体的に今度は
建設大臣としても、
是非農林
大臣と御相談にな
つて、具体的に将来の方法をや
つて頂きたい。差当
つてあの大きな只見川の問題でもそうだ。ああいうダムについて、世界的に誇るダムだ、あれはいいダムだというふうに
建設省の技術者のかたがたは
考えられているんじやないか。七十五メートルで五度の水温が出るなんということは思いも及ばんのではないか。そこらについては
研究の資料は十分に私は
農林省で持
つていると思う。そういう点について将来本当の
総合開発ができるように真剣に
一つ建設大臣はや
つて頂きたいと私は思うのです。