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1953-02-16 第15回国会 参議院 建設・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十六日(月曜日)    午後一時三十分開会   —————————————  委員氏名   建設委員会    委員長     下條 恭兵君    理事      赤木 正雄君    理事      石川 榮一君    理事      松浦 定義君            石坂 豊一君            島津 忠彦君            深水 六郎君            前田  穰君            江田 三郎君            田中  一君            小川 久義君            廣瀬與兵衞君            飯島連次郎君            三浦 辰雄君            三輪 貞治君   大蔵委員会    委員長     中川 以良君    理事      大矢半次郎君    理事      木内 四郎君    理事      伊藤 保平君    理事      菊川 孝夫君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            野溝  勝君            大野 幸一君            波多野 鼎君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            林屋亀次郎君            木村禧八郎君   —————————————  出席者は左の通り。   建設委員    理事            赤木 正雄君            松浦 定義君    委員            島津 忠彦君            深水 六郎君            飯島連次郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            田中  一君   大蔵委員    委員長     中川 以良君    理事            伊藤 保平君    委員            黒田 英雄君           喜西川甚五郎君            平沼彌太郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            木村禧八郎君   衆議院議員            田中 角榮君   政府委員    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    建設政務次官  三池  信君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  庸君    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路整備費財源等に関する臨時措  置法案衆議院提出)   —————————————    〔建設委員会理事赤木正雄委員長席に着く〕
  2. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) ではこれから大蔵建設連合委員会を開きます。  道路整備費財源等に関する臨時措置法案議題にいたします。この法案は昨年の十二月二十五日に衆議院から本院に回付されまして、去る二月五日に建設委員会に付託された結果、建設委員会といたしましては、去る二月十日委員会を開催し、提案者から一応理由を聞きました。併し無論これには大蔵関係のこともたくさんありますので、この前、建設委員会で聞いた点は極く一部分に過ぎません。それに対して多少参考になるものもありますからお手許差止げました。  なおお諮りいたしたいと思います点は、連合委員会では成るべく大蔵委員会のかたに主として御発言願いたいと、それでよろしうございましようか。
  3. 前田穰

    前田穰君 その点結構なんです。  この第一条がどういうことを狙つておる法律案かということを先へはつきりしておいたほうがいいという意見があつて、私に質問しないかという意見があるのです。若しお差支えなければ……。
  4. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) 一応お諮りいたします。  先ず提案者から、大蔵委員会のかたはまだ御承知ありませんから、提案者から一応聞きまして、それから万事……。
  5. 前田穰

    前田穰君 わかりました。
  6. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 只今議題になりました道路整備費財源等に関する臨時措置法案につきまして、簡単に提案理由を御説明申上げます。我が国道路の現況を見まするに、国道都道府県道を併せまして、その延長約十三万五千四百キロに達するのでありますが、この内一応改良されたものはその約一三%に過ぎないのでありまして、残る八七%即ち延長十一万一千四百キロは未改良道路であります。しかもその中には約一万六千キロの自動車交通不能の区間を含んで居るのであります。なおこれに加えてこれら道路の大部分砂利道なのでありまして、最近の重車両交通によつてその路面が甚だしく損傷されておる状態であります。  然るに最近目覚ましく発達しつつある自動車は遂に戦前最高の約三倍に達し、六十五万台を数えて居ります、而もこれ等の車両は大型化し、重量化し、高速度化して居るのでありまして、現状道路ではとてもこれに耐えられぬ有様でありまして道路整備は緊急を要する問題といわなければなりません。  然るに道路整備進捗状況を見まするに、昭和二十一年度より昭和二十六度までの公共事業費道路費にによつて整備されたものは僅かに改良約七百キロ、鋪装補修約七百十キロにしか過ぎないのでありまして、昭和二十七年度において漸く多少の予算増額があつて八十八億円となつたのでありますが、これによつても八百八十キロの改良と二百十キロの鋪装新設が行われるに過ぎない状態であります。かかる状態でありましては道路整備されるには、なお、数十年を要することと考えられ甚だ寒心に耐えないところであります。このような道路状況及び自動車の激増に鑑みまして、一級国道及び二級国道並びに政令で定める都道府県道その他の道路の「鋪装、その他の改革及び修繕に関する五ヶ年計画」を確立するとともに、ここに道路を利用する者がその殆んどを負担している揮発油税をこの道路整備計画の実施に要する道路法及び道路修繕に関する法律に基く国の負担金又は補助金財源に当てることにして、自動車交通安全保持とその能率増進とに寄与いたしたいことが此の法律提案する理由であります。  なお、地方公共団体に対する負担金の割合又は補助率については、道路法及び道路修繕に関する法律の施行に関する政令の規定にかかわらず、政令つて特別の定めをなすことができることとし、高率の国の負担及び補助をなし得る途を開きたいと存じております。  慎重御審議の上速やかに御可決あらんことを希望する次第であります。  以上を以て提案理由を終ります。
  7. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) 前田さん、先ほど何かお尋ねになりましたが、関連して……。
  8. 前田穰

    前田穰君 本日は大蔵との合同委員会で、主として大蔵委員のかたに御発言を願うわけでありますが、その前に一点お尋ねしておくほうが便宜ではないかと思うので、その点だけをお伺いしたいと思います。  それはこの第一条の中に「道路のほ装その他の改築及び修繕を促進して道路整備を図り、」という文句があるのでありますが、この道路鋪装その他改築及び修繕というのはどういうことを狙つておられるのかということを明らかにしておきたいと思うのです。それは道路法なり、それから道路整備特別措置法等によりますと、新設と、改築と、修繕、こういうことになつております。それでこの法律案はその中から新築だけを除外してあることになつておる。それからもう一つ予算書を見ますというと、改修という言葉と、それから補修という言葉と、こういうふうな言葉とが使つてあるようであります。この法律はそういつたいろいろな法律予算等の中でどういうことを指しておられるのか、特に「ほ装その他の改築」と、鋪装というのを真先に出されてその傍いろいろ「改築……の整備を図り」とありますが、その具体的な例として鋪装という言葉を特に前へ出された御趣旨はどういう御趣旨でありますか。その他文字の定義をお伺いしたいと思います。
  9. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。この法律只今申されました通り、「道路法に規定する道路のほ装その他の改築及び修繕を促進して道路整備を図り、以て自動車交通の安全の保持とその能率増進とに寄与することを目的とする。」とこう言つております通り、いわゆる道路法による道路修繕改築、その他を行う場合、新築部分だけをとつたあとの全部を指しておるわけでございます。  なお鋪装につきましては、いわゆる自動車交通に必要な国道の全通を目途としておりますので特に自動車交通の激しい国道及び都道府県道鋪装に重点を置いて五カ年計画を樹立いたしたい。この観点から鋪装の字をはつきりと明示をいたしたわけであります。  なお有料道路法による、特別会計によるところの、地方財政一般公共事業費を以て賄われる道路の、新設を除いた全部を本五カ年計画により遂行いたしたいと、こう考えておるわけであります。
  10. 前田穰

    前田穰君 建設省のかたにお伺いしたいのですけれども予算書改修補修という言葉と、この法律案改築修繕ということとの関係はどういうことになりますか。
  11. 富樫凱一

    政府委員富樫凱一君) お答えいたします。予算書にあります改修と申しますのは、改良意味しておりまして、この臨時措置法にいう改築であります。それから補修というのは、ここの法律にいいます修繕のことであります。
  12. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) では主として大蔵委員のかたに御質問を願えれば結構と思います。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 これは、先ず参議院においては、この法案について、特に議運において問題となり、建設委員会に付託すべきか、或いは大蔵委員会へ付託すべきかというようなことで、いろいろと問題となつたわけであります。田中さんは自由党所属衆議院議員でおられるわけですが、自由党としては、これは政策として決定されて、自由党政策としてきまつておるのかどうか、どうも参議院におけるいろいろ大蔵委員会等事情を見ても、必らずし自由党のかたで大蔵委員の人は本案に賛成しておられんようでありますし、その経過を伺いたいと思います。
  14. 田中角榮

    衆議院委員田中角榮君) 党内事情に対しての御質問でありますが、率直に申上げますと、自由党の党及び内閣といたしましては、道路整備を早急に行いたいということは、しばしば総理が施政方針演説で言明をしておる通りであります。ただその具体的な措置といたしまして、第四次吉田内閣創立の当初に当つて緊急十大政綱閣議において審議をいたしたときであります。そのときにおいて、この法律案というよりももう一歩進んだガソリン税道路整備のための目的税とするということが閣議了解といいますか、十大政綱審議の場合の了解事項となつて署名をいたした書類が残つております。なお自由党いたしましてはいろいろな議論はありましたが、道路交通網整備上緊急の処置として止むを得ないものであつた、こういう考えと、大半はいろいろ問題は含んでおつても、今の日本の国情といたしては当然このような処置をとるべしと、こういうような党議の決定を経て本法律案に賛成をしておるわけであります。なお自由党だけではなく、この法律案提案は主として衆議院建設委員会が当つたのでありまして、各党協同提案になつておりますために、衆議院全会一致で通過をしておるわけであります。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 そういうふうに、現に自由党内閣としては、一応閣議決定事項のようなことでやられておるに拘わらず、併し参議院側において我々の了承しておる範囲においては、必らずしも足並が揃つておらないということを見受けるのであります。併しこれは他党の事情でありますので、それ以上追求いたしませんが、必らずし党内において十分練られた案ではないということをお見受けするわけであります。  そして次にこの二十八年度政府提出予算を見ますと、大体において本法案において狙われておるような財源が、道路整備関係に見積もられておるように思うのであります。先ず第一点として二十八年度予算に計上されておる道路整備関係費用が、提案者の、この法案によつて確保しようとされておる財源と比べてどうなるのか、この程度を狙つておられるのかどうかという点、先ず最初にこの点を……。
  16. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 御質問にお答えいたします。私が当初この法律案建設委員会審議をいたし、提案の運びに至りました当時といたしましては、細かい説明は申上げませんが、新らしい道路法による一級道路一万キロ、二級道路一万キロ、重要都道府県道、いわゆる地方道十三万キロ、合計十五万キロを、一級国道ニカ年、二級国道五カ年、地方道十五カ年というふうな仮定の数字を立てて見ますと、どうしても年間における道路費として投下せられなければならない額が五百億以上に上廻るのでありまして、昭和二十七年度予算編成当時の状況考えてみますと、約百年も道路整備がかかるというような状況でありますので、これを縮めて、我が国産業経済の発達に寄与するために道路一大整備を行うという眼目に立ちますと、どうしても五百億程度のものを要求するわけであります。その意味においてこれが具体的処置として本法案の制定を急いだわけでありますので、私といたしましては、二十八年度は特に新築をやるものに対しましては、従来公共事業費の枠で認められておつたようでございます。昭和二十七年度予算においては八十八億でありますが、これに昭和二十八年度のガソリン税相当額プラスしたものが公共事業費の中に道路費として盛らるべきが至当であつて、それを以てしてもなお私たち考える十五ヵ年整備計画というものが三十カ年整備計画に延びるのではないかというふうに考えておりますので、私としては公共事業費二十八年度予算に盛られました百四十二億ではほかの予算から比べまして相当増額にはなつておりますが道路整備政策という立場に立つております私といたしましては、まだ少額に過ぎると考えておるわけであります。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 道路費が少いということと、今私の質問した点とは別なんで、この提案されておる法律案の第三条によると「毎年度揮発油税法による当該年度税収入額に相当する金額を、」とこうありますが、二十八年度においてガソリン税収として予定されておるのは百五十八億あります。道路整備のほうは百四十二億プラス十二億、計百五十四億というような数字が出ておるわけでありますが、ガソリン税の中でも提案者の説明された趣旨から言つて必らずし道路利用者負担しておるのではなくて、工場において消費しておるガソリンに対しての税収もあり、この提案者趣旨をそのまま貫いたガソリン税収と、道路関係予算とを比較すると、大体相当する金額という意味においては相当しているんじやないかと思うのですが、その点は如何ですか。
  18. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) いろいろな見方があると思うのでありますが、私の考えからいたしますと、自動車交通に消費しておりますガソリン収入は、八五%乃至九〇%であります。その百五十億乃至百六十億の九〇%ということになりますと、大体今審議中の二十八年度予算案に盛られた道路費の全額が大体それに匹敵すると思います。私たち考えでは、これにプラス一般公共事業費で見積られておつた道路費というものは計上すべきだ、こういうのが本法律案を初めて考えた当時の考えでありまして、その意味においては百四十二億、二十八年度に道路費として組まれたことを以て、本法案の意思が十分に実現したとは考えておりません。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 提案者はそうすると、ガソリン税負担しておる方面、ガソリン税率を下げろと、非常に負担が高くてガソリン税を軽減して欲しいという陳情というか、要望のあることを御存じですか。
  20. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 承知しております。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると先ほどからのお話だと、現在徴収しておるガソリン税に相当するものを道路費に計上し、更に今まで公共事業費として取つたものは当然計上する、それにプラスガソリン税収を加えるんだという意味だと、このガソリン税は、提案者考えでは軽減する必要がない、今まで通り取るべきだというお考えでございますか。
  22. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。ガソリン税につきましては、いわゆる本法で規定いたしますガソリン税収は全部自動車交通によつて賄われるものではないということが原則的に考えられますので、いわゆるその八五%乃至九〇%の自動車交通によつて賄われる分だけを本法律案目途としたほうがいいではないかという御議論は、一応納得するのでありますが、私どもが当初考えましたガソリン税を一定の目的のために使用する目的税にするという法律案では御承知通りありません。いわゆる道路五カ年計画を行うために、ガソリン税収入に相当する金額を盛りたいとこういうのでありますから、私ども考えでは、厳密なというよりも、法律的に考え意味目的税ではないので、全部が自動車交通によつて賄われておらないからということを以て、いわゆるこれを対象にした法案はまずいのではないかということは、あたらないのではないかというふうに私自体は考えております。  もう一つ現行ガソリン税は御承知通り非常に或る意味において略奪徴収的なものだと考えます。自由党の中でも一部ガソリン税は減免をすべきだ、場合によつては撤廃をすべきだという議論もあつたことも承知いたしております。ただ特に各党一致見解といたしましては、ガソリン税関係なく道路整備を要求しておつたことも、これ又御承知通りであります。その意味において現行ガソリン税の行きずまりの状況を打破する一つ法律を、いわゆるこういうような法律案提案することによつて道路整備ができたならば、これは一石二鳥であると、こう考えたわけであります。その意味において全国道路利用者会議及びガソリンを消費いたしておりますゴム工業、その他の意見も徴したのでありますが、現在の段階において、ガソリン税目的化されるならば、今の現行揮発油税法によつて不当とされるほどの徴収も敢えてやむを得ないということを、全国道路利用者会議は決議をいたしております。  もう一つ道路利用者によつて賄われるガソリン税ではないので、ゴム工業その他に対しても一〇%一五%の税収をあなたがたがあげている事業が、本税を未解決にして道路整備を行なうことに異議がないかということを、相当強く意見を求めたのでありますが、日本現状から考えまして、道路整備のためにこれが使用せられるならば、あえて不服は言わない、こういうような考えがありましたので、私たちは遂にいろいろな問題を含みつつも、道路整備という一大目標を達成する具体策として、本法律案提案をいたしたわけであります。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 その次に本案考えられておる道路整備五ヶ年計画というものは、一応事務当局というか、この法案計画を立てようとしておるその計画は今立つておりますか。あればその内容を御説明願いたい。
  24. 田中角榮

    衆灘院議員田中角榮君) お答えいたします。只今御要求になりました道路整備五カ年計画の第一案がございますので、お手許へ御配布申上げます。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 それを説明して頂きたいと思います。
  26. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 簡単に御説明申上げます。お手許に配りました道路整備五カ年計画案でありますが、二十八年度を初年度といたしまして、五カ年間に亙つて計画を樹立いたしておるわけであります。その方針といたしまして、 1 一級国道中、交通上著しく隘路となつている区間改良を促進し、その全部を完全に自動車交通可能の道路たらしめる。 2 東京大阪間の一級国道自動車交通に快適な近代的鋪装道路として完成する。 3 二級国道中、交通上著しく隘路となつている区間改良を促進し、その全部を一応自動車交通可能の道路たらしめる。 4 京浜、名古屋、京阪神並び北九州等重要産業地帯一級国道及び二級国道を円滑な自動車交通が可能となるように改良鋪装する。 5 その他自動車交通三百台一日以上の道路区間は全部鋪装する。 6 幹線道路において現に自動車交通不能或は荷重制限をしている橋梁を全部永久橋に架け換える。 7 水資源農林水産資源の開発又は工鉱業国際観光事業等振興上特に重大な役割を持つ道路改良を促進する。 8 災害を未然に防止するため、必要な箇所の災害防除工事を行う。 9 自動車交通上著しい支障を及ぼす悪路面を徹底的に補修する。以上九カ条の原則を確立いたしておりましてそのおよその事業計画といたしましては、お手許にあります通り、総事業費二千七百五十五億八千万円、予算額は千六百六十億円、これに対する本法律案による揮発油税等相当額をもつてみつもられる金額が一千一百億と計上しておるわけであります。  以上簡単に御説明申上げました。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 大体五カ年計画あら筋がわかつたのでありますが、この提条者が目的税にするつもりではないのだということでありますが、一応このガソリン税はその大部分道路を利用するものが負担するのだから、それで少くともそれだけは道路整備に使うべきだという趣旨を徹底いたしますと、こういう一応五カ年計画は作つておるが、例えば各都道府県別にこのガソリン税を分けてみますると、東京或いは大阪その他府県によつて可なりでこぼこがあると思うのであります。この趣旨を貫ぬくならば、やはり都道府県で集まつただけのものを、都道府県道路に使う。こういうことにしなければ……。勢いどうしてもそうなると思うのであります。各府県はそういうふうにこの法案趣旨を、国税の面においてそういうふうになれば、都道府県も当然俺のほうで払つたものは俺のほうへ返せということになるだろうと思うのです。その点についての御見解は如何ですか。
  28. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) この問題は非常に重要な問題でありまして、本法案提出の過程において種々論議をせられた重要なポイントであります。その意味において十分審議をいたしたのでありますが、いわゆる本案ガソリン目的税であるという法律案であれば揮発油税法にも明記をしなければならないわけであります。私ども考えでは目的税ではないということを前提としておるわけであります。目的税は私が言うまでもなく一つ目的のために徴収する税を目的税というのでありますから、いわゆるガソリン税として徴収せられた税額が一般財源として繰入れられて、ただそれと同じ見合う額だけを道路整備の五カ年計画費用としてみつもらなければならないと規定しただけであります。そのように厳密に考えないでもいいのではないかと考えております。ただ実質的に考えまして、百歩譲つてガソリン税目的税化した額と想定をした場合の御質問でありますが、各府県別にいつて手許に配布しております昭和二十七年度揮発油販売成績表がございますが、これによつてみましても、各府県によつて違つております。その意味において本法律案目的税法律案にする場合には、地方税として地方に還元せらるべきであるというような、只今議論が出たのでありますが、私たち考えるのは、今まで都市集中のほうから、表日本偏重予算の投下が永い間続けられておつたために、全国の重要な地方道解決をせられないで現在に至つておるわけであります。特に八七%に亙るところの全国改良地区というものは、殆んど裏日本とか表日本を横断する道路等が未改良のままになつておるのでありまして、これを一切整備をしなければ、日本道路網整備ができないという建前でありましたので、いわゆる当初において考えられた目的税として地方税的な性格を持たして、非常に使用量の多いところに多額の費用が投下せられるという方式を一歩乗超えまして、先ず第一番目に日本全体を見た場合に、道路網整備を行うためには、目的税にもしない、同時に地方税といたして、ガソリン税がたくさん上るところにたくさん行ぐというような方式を取らずして、全国道路が一律に重要度の順によつて改良せられて行くほうに重点を向けて、本法律案によつて生まれた財源を利用せらるべきだ、こういうふうに考えましたので、これも各地方団体に対して相当強い意見を以て徴したのでありますが、各都道府県別の業者団体も、現在の状況においてそのような処置がとられるならば、敢えて東京からたくさん上るから、東京道路を直してくれというようなことではなく、より高い立場から日本道路政策は行われるべきだという賛意がありましたので、そのように厳密に規定をしないで、全国的な道路整備を第一の眼目としてやり出したわけであります。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 これは見解の相違ということになるかも知れませんが、成るほど目的税だという言い方は先でありますけれども、相当する金額という言葉提案者の御説明を承わつて見ても、少くともその程度のものは道路整備に廻せという意味である。そうすると各都道府県のほうも、この法案と同じ趣旨で行つて、少くとも俺たちの払つたガソリン税に相当するものは、俺たちのほうによこせということは、当然言うだろうと思うのであります。今あなたの御議論のごとく本来の法案のほうへ戻せば、国としてはいろいろ財政需要はあるのだから、やはりよりよく考えて、道路も勿論お説のごとく重要だが、防衛費もとらなければならん、或いは学校施設もとるというようなことになるので、今地方に対して、勝手に目的税的なとり方をしてもらつては困るといわれることは、そのまま本法案にも当てはまる趣旨じやないかと思うのであります。如何なものですか、一つ……。  それから更に自由党においてこれだけのことをやろうということであるならば、今の政党内閣として予算を切り盛りする際に、殊更にこういうような法律で以て相当する金額というような、税法上の頗る疑義のある扱い方をせんでも、やろうと思えば内閣方針として、お説のごとく百四十二億プラス従来の八十六億、少くとも二百何十億というものを、道路整備費に盛るということはできるはずじやないですか、その点は如何ですか。
  30. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 第一の御質問に対して先ずお答え申上げますと、いわゆる法律上いろいろの疑義があるように言われたのでありますが、私たちといたしましては、現在の日本状態において道路整備を行うためには、少くともガソリン税目的税にしてもいいということが、第一の段階でありました。それで御承知通り全国道路利用者会議の結論も、ガソリン税目的税とすべしという決議をしているわけであります。内閣におきましても、これが具体的な処置は別途に行うものとするけれども、従来緊急政策をきめるときには、ガソリン税道路整備目的税にするということが了解せられているわけであります。但し私たち考えましたのは、仮定においてあなたが今言われましたように目的税とした場合には、当然東京道路ガソリン税をたくさん納めておりますので、よりよくなるけれども自動車を使つておらない裏日本はいつまでたつてもうだつが上らない。こういう意味において逆の手を打つてガソリン税目的税にしないで、目的税としたと同じような実効を挙げたいというふうに、本案作成に当つては相当智慧を紋つたつもりでおります。  なお第二の問題につきましては、内閣できめる問題につきましては、私たちもこの法律案審議と相待ちまして、内閣と相当に折衝を行なつたわけであります。率直に申しまして、大蔵省の事務当局といたしましては、こういうふうなまあ大蔵省としては、荒つぽいと思われるような法律案を出さないで、何とかというお話がありました。ありましたが、それに対して過去の長い例を見まして、道路が要れば河川も要る、河川をやれば住宅もやりたいというような状況でありまして、最後的には、大蔵省の一方的の考えでやられることが多いわけであります。  なおこの法律案衆議院において審議をいたしましたときには、各党で以て一月まで延ばしてもいいじやないかという議論もあつたのでありますが、大蔵省の見解としては、衆議院においてさえも審議中のものを、現在組みつつある二十八年度予算に、法案が上程通過しましたごとき考えを以て組まなくともいい、こういう杓子定規的な御返答があつたわけでありまして、少くとも衆議院においては各党一致であり、一人の反対者もなく全会一致を以て通る法律案であるから、少くともこれが通つたものとして二十八年度に編成を願いたいということでありましたか、第一次提示額は御承知のように百億を割つておるような状況でありました。このような問題でありましたので、本法律案を二十八年度にするか、前年度のガソリン税税収入額に相当する額に改めるか、若しくは又二十九年度より施行するか、いろいろ議論を残しつつも、衆議院としてはこのような状態を繰返しておる場合には、いわゆる予算編成権に対して修正権もある国会の議決を以て、法律で以て縛る以外にないだろうという各党の圧倒的な意見があつたようであります。その意味において、予算編成の過程、途中でありました二十四日か二十五日に、衆議院は満場一致で議決をしたわけであります。そのお蔭かどうかわかりませんが、九十億が百四十二億に殖えたのでありまして、皆さんこれをお通し下されば、来年度はこれの倍くらいになるのではないかと、かように思つておるのであります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今衆議院においては、各党一致と言いましたが、労農党は少数ですけれども、これに加わつておりません。労働者農民党は一致しておりません。従いまして各党一致ではございません。  先ほどこの提案理由について、小林君の質問によつて大体御趣意はよくわかりました。それで道路整備費についての御意見は我々全く同じなんです、その緊急性については。問題はこの財源の問題です。財源の捻出の方法の問題なんです。で、只今の御説明によりますと、実は、これは目的税にしたがつたと、はつきりと。併しながら余りにそういう荒い法案を出さないで、実質は目的税であるけれども法律の形式としては、まあ目的税みたいでないような形において出されたということを、非常に率直に御説明を承わつたのですが、そこで私お伺いしたいことは、これは予算編成上重大な問題です。揮発油税だけでございますけれども、我々予算委員にも入つておりますが、恐らく予算委員会からも合同審査の申入れがあると思うのですが、実質が目的税であるということになりますと、これは予算編成上重大問題なのです。実は部分的な問題じやございません。従つて、そういう予算編成上の基本的な問題との関連において、これが自由党において討議されたのか、或いは政府において討議されたのか、若しこれが関連して行われますと、今後の予算編成はめちやくちやになりますばかりでなく、我々も予算委員として困るのです。例えば継続費みたいなものが長く出て来るのです。毎年揮発油税については、これはきまりますと手をつけられない、それに相当する額は。そうなると予算編成権を拘束することになるのです、実際上。まあ継続費についても、そういう問題が起つたのですよ。そこで一応そういう予算編成上の重要な問題と関連して実質は目的税であるということは承わりましたが、そういう実質的目的税が他の予算編成に悪影響を及ぼさないと考えられたのかどうか、この点、予算委員としても非常に重要なものなんですが、この点を一つ……。
  32. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 非常に重要な問題でありますので、率直にお答えを申上げるのであります。ただ併し、衆議院建設委員会としては、あなたが只今仰せになりましたように、労農党のかたはおいでになりませんが、大体全会一致でありましたので、そう申上げたわけで誠に御無礼でありましたが一この問題もいろいろ審議の過程において論議せられたのでありますが、政府といたしましても、自由党といたしても、ガソリン税目的税にしようという決定を欲しておつたわけであります。それよりもうんと弱い案であります。弱い案と言うよりも予算編成権を拘束してはならんとか、非常に考えて、予算編成権を拘束しないで、実効を挙げる法律案というものはないかというので妙手を考えたわけであります。そういう意味から言いましても相当議論がありましたが、自由党といたしましては、自由党ばかりではない、衆議院建設委員会の各党の委員からのお話でありましたが、いわゆるこの法律案と同じものが出る場合のことを考えてどうするか、尤も教育費の国庫負担の問題もそうであるし、いろいろな問題でもこういう紐付きになつた場合は、予算編成がそれ自体拘束されるのじやないかというような問題もありました。そういう問題を個々に分けていろいろやつてみましたところ、原則的に最後に一致したのは、道路費というものは今まで余りにも少なかつた、少な過ぎた。世界のどこを見ても日本予算は、御尤もであります、御要求通り出したいのでありますが、何分にも財源が不足でして、ということをすぐ申すのであります。私たちが又地方に行つてもそうでありますが、代議士たち予算さえあれば幾らでもできるのですがと言うのが馬鹿の一つ覚えになつておるのであります。世界のどこの予算編成を見ましても、日本ほど道路費の少いところはない。まして自動車が一年間に十五万台ずつも殖えております現在の状況から言つて、この種の法律案は出さないでも、少くとも予算編成に当つてガソリン税収相当額を下るような予算を組むことがおかしかつたのであります。衆議院提案した当時でさえも組まなかつたという状態で、いろいろな問題はあつても、こういう法律案で或る意味で縛ることは、道路整備の非常に緊急事であるということを前提とした場合、止むを得ないじやないかというような実際論に参つたわけであります。而もこういう法律案を出すことが、この種の法律案を濫発する憂いにはならない。余りいわゆる細かくは申上げませんが、今の状態で車をずつと殖して参り、道路整備五カ年計画をやりますと、大体この程度の金をかけても十カ年か十五カ年に完全にペイをする。その場合に財政資金を投融資しても十分成立つのではないかというように、この種の道路整備に大いに金を出すべきだ、こういうふうに考えたわけであります。もう一つはいわゆるこの種のものを作ろうとしても、実際国有鉄道から上つたものを国有鉄道に全部かけるというようなことは成立ちますが、そのほかにおいて、こういう見返り財源をそのまま取つてうまく行くというようなことは実際としてないのではないかということが考えられるわけであります。ただ競馬から上つた利益を全部馬の振興のためにやるべし、それから競輪の収入を全部自転車振興のためにやれというようなことを言いますが、今の財源から言つて、競馬から上つた財源を皆馬にやるということは我々の感覚では考えられない。実際において私学の儲けを全部学校建築に廻わしたらいいじやないかと言つても、これは実際数字上成立たんのでありまして、現実的な面から考えて、こういうものを出しても、これによつて予算編成権がめちやくちやになるというようなことはない。その意味で憲法違反という疑も全然ないと、こういうふうに結論付けたわけであります。もう一つの具体的な措置としては、自由党としてはこの法律案は万止むを得ない措置として、この種の法律は今後絶対に出さない、こういう決意でやつておるのであります。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御趣旨はよくわかるのですが、予算の編成上或いは財政上、目的税というものに対しては基本的には御賛成ではないのですね。
  34. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現在の段階において、第四次吉田内閣としては、すでに十大緊急政綱決定しますとき、目的税とすることを了承しておりますが、但し私たち議員といたしましては、目的税に対しましてはいろいろな意見も持つておりまして、この種の法律案を出すことにきめたのでありますが、ただこの種の法律案が将来目的税法律案に飛躍するかもわかりませんが、それは時間的にまだ相当考えなければならない、又考究する余地がある、こういうふうに考えております。原則的には現在は目的税がよいか悪いかということははつきりきめておりません。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省のほうにちよつと伺いたいのですが、実質はこれは目的税である、又目的税たらしめる含を持つておることは今の御答弁でもわかるのです。だから我々は目的税として一応取扱つているわけなんです。予算編成上こういう目的税というものを、而もこれは小さい金額ではありません。又若しこれが通れば揮発油税百五十八億ですから、更に殖やさなければなりませんね。併し殖やすことになると、大蔵省として、これは実質的に目的税でありますが、こういう法律案予算編成上支障がないか、これまでの建前で予算はそういう特定のものに費用を使うために税金を取つたのではないわけです。そういう建前ではないわけです。こういう建前になると、これは重大な大きな変化になるのです。非常に大きな本質的な変化です。それは主計局当局はどういう考えを持つているか、その点伺います。
  36. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) この法文が目的税であるかないかという法律上の形式論ではなくて、実質が、現実が財源経費の関係に繋がつておるのではないかという点ですが、例を申上げますると、先ほど田中委員のおつしやいましたところにもあるわけでありますが、現在競輪の収入の三分の一—これは、見合う金額というような多少ゆとりのある表現であつたと思うのでありますが、それを自転車の振興に充てる、畜産の振興のために競馬の特別会計から一般会計に繰入れます金額は三分の一を繰入れるという二つの規定がある。そこで従来そういうような例が絶無であるかというと、そういう例はあります。ただ併しながら最近におきまするいろいろな特殊立法ございまして、いろいろな例え特殊土じよう地帯の問題でありますとか、積雪寒冷地帯の問題でありますとか、いろいろの地域に対しまする、或いは事柄に対しまする重点的を施策を講じようじやないかという立法は最近においては相当例があります。そういうような法律におきましては経費に関する規定があるのでありますが、その場合には財政の許す範囲において努力する、こういうような趣旨の規定でありまして、この法律案にありまするように、相当する額を財源に充てなければならないという抜きさしならない言い廻しにはなつておらないと思うのであります。それは予算編成権を侵害するのではないかという点につきましては、これは憲法の議論としてどうであるかということでなくて、現実の予算の編成の全体の財政需要と睨みながら、各個に重点的にどう塩梅して参るかというような点につきましては、大蔵事務当局見解を率直に申上げますれば、少くとも重点には違いないのであるが、表現においてゆとりをとつて頂くということが必要ではないかというふうに考えております。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 他に御発言もございますので、もう一つだけ簡単に伺いたいのですが、道路整備の急を要することはわかるのですが、全体の道路政策についてこの五カ年計画というのを拝見しましたが、そのほかにいろいろな道路計画があるわけですね。例えば弾丸道路、神戸東京間高速度自動車道路、これなんか五カ年で千百四十億ですよ。一カ年二百二十億も使うのですよ。そういうような計画がなされて、予算に調査費も計上されて実地測量も実施している。これには全然新設というのが入つておりませんが、そういう道路政策全体とやはり睨み合せて、一体東京と神戸間だけに一年間に二百二十億も使つて、国の一カ年の道路費が、今お話しのように、これは新設ではありませんが、全部で八百八十六億ですか、八百八十億ですか、一方でそういうことも行われているのです。ですからそういうものと睨み合せてやれば、財源の問題については、どうしてもこうしてもこういう形で財源を出さなければならないという事情にはなつてないと思う。財源問題についてはいろいろ覧もあります。これは又各党によつて違うと思いますが、非生産的な支出が非常に出るから財源がなくなるので、そつちのほうはそのままにしておいて、その上に財源を積み上げるということは、これは私は間違いなんで、根本的に問題がございますが、ほかとの、全体の道路新設のほうも含めてのいろいろな道路計画と睨み合せて考えなければならないと思うのですよ。そういう点はどういうふうにお考えになつているか。
  38. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。私の考えでは、馬鹿の一つ覚えと言われるかもわかりませんが、とにかく現在の日本道路というものは、世界的に遅れておる。車は一年に十五万台ずつ殖えておる。ガソリン税は倍額にどんどんとなつている。而もガソリン税の徴収方法その他に対しては相当な問題があるというふうな現実面を捉えて考えますときには、少くとも道路整備を行わなければならない。もう一つは、一般財源から道路費というものを相当多額に出しても、これを世界水準に上げるのは日本の産業発展のためにも又当然のことであり、どうしてもやらなければならん問題である。又そういうように財政上の困難を克服して投資をしても、十年間、十五年間には完全に回収でき得る。いま一つの例を申上げますると、現在の二十キロ平均速度を五十キロに上げるとするならば、約五カ年乃至十カ年に九百億乃至千億の自動車交通費上における経費が減るというのでありますから、こういう細かい数字を挙げるまでもなく、道路整備ということが非常に急であるということを考えておるわけであります。具体的なそれを実現する具体策といたしましては、先に御審議を願つた有料道路法のごときもいろいろな面から考えて、違憲論も出たのでありますが、少くとも現在の状況においてはかかる措置をとらなければならないということで、有料道路法は幾らかの修正を以て通過をして現在実施をしておるわけであります。その第三の具体的措置としてこのような法律案考えたわけであります。ただこの法律案で以て、先ほど御説明申上げました通り、一年間五戸億円以上ずつ投資をしなければ五カ年で整備ができないというような状況でありますので、この法律案が通過しても、なお三十年も五十年もかかるのではないかというような実情でありますので、いわゆる道路行政の隘路一つずつ解決をして行けばいいじやないか。その一つの具体措置として本法案提案したわけであります。なお大蔵省のほうの話もありましたが、広い意味予算編成権を縛るのではないかというようなことが言われましたが、大蔵省の当局としても、法律上明確に違憲論とか、それから予算を拘束するとか言われませんでした。まさに私もその通りであると思うのですが、これは全く止むに止まれん措置といたしまして、五カ年と区切つておることに一つ御留意を願いたいと思います。五カ年たつて相当道路整備でき、その費用は別に廻すべきだというならば、この法律案は自然消滅すればいいのでありますが、なおそれを目的税として縛らなければならんということはない。五カ年後なおもう一遍再考をすべきだと考えます。私は世界の情勢を見てみますと、大体五カ年後に、我々が思う通り道路整備ができなくて、且つ日本の経済の再建ができて財政余裕が出た場合には、大蔵事務当局から、これを目的税法案にしたほうがいいじやないかということは、私は世界のいろいろな例からいつて出るのではないか。目的税法にしないところが非常に各国に比べて遅れておるという一つのポイントであります。もう一つは先般の道路計画に対してのいわゆる東京神戸間の弾丸道路の話もありましたが、これは総理大臣がいつも言明しておる通り、外資を以てやるべきであつて、現在の日本にはそういうような財源があるとは思われないということは、率直に受け入れていいのではないか。私はさなきだに明治初年から長い間表日本偏重に投下せられて来たもので、これは機会均等という意味から見て、一般的に、普遍的に流さるべきだ、こう思つておりまして、この法律案も特に目的税にしてガソリン税収の上つたときに、たくさん投下するという方式を取らなかつたわけであります。いわゆる弾丸道路等費用はこういうような財源からは出すべきではないというふうに考えております。なお全国的に見た道路の全般の整備計画は何度か各政府において立てておりますが、最後の問題は何分にも金がないということで以て片付けられておりますので、このところは一つどうしても踏み越えて道路整備の実を挙げなければならない。その意味において私は多少の議論があつても、この措置は現段階に即応をした措置だと、こういうふうに考えております。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 問題は財源の問題ですが、これは道路整備のお話については同感なんですが、五カ年に限つたから、そう心配はないと言いましても、それは当り前で、継続費では五カ年以上、そんな継続費を認めるのはおかしいので、それが当り前のことなんです。だからそれは是認されるということの理由にはならないと思うのです。大蔵省例の意見についても、私は見解を異にしますが、もつと重大な問題です。そういうふうに安易に、妥協的に賛成すべき問題ではないと思う。もつと財政法を作つたときのことをよく考えて検討すべきです。これにはいろいろ私もまだ根本問題として意見もあるのですが、そんな簡単に考えるべきではない。結局は財源の問題ですが、余りイージーに考え過ぎていますよ。日本の今の全体の国民所得なり、それから全体の歳出なり、そういうものとよく総合的に勘案して検討すべきものです。非生産的な支出をこんなに沢山しながら、そのものを放つておいて、その上に積み上げて行くなんということは余りに安易に過ぎると思う。これは成るほど田中さんの御熱意はよくわかります。財源を何とかしなければならんということは実によく了解できるのですよ。ですけれども、それはもつと合理的に、日本経済全体の問題、予算編成の全体の問題、そういうものとよく勘案して考えてみなければならない。財源が必要ならもつと別途に合理的なものに求めるべきだと思うのです。まだ他に御質問があるようですから、私はこれで一応打切つておきます。
  40. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 一つだけお答え申上げておきますが、国家財政面から見なければならない、私たちもその考えには同感であります。而も私たち道路を愛護し、道路整備を行いたいという目的だけを以てほかのことはどうなつてもいいというふうな安易な考えで、本法律案提案したのではないのであります。これは世界的な道路整備状況について考えてみますると、日本のように八千億、九千億の予算を組みながら道路費が八十億、九十億、百億という国はどこにもない。日本よりも悪いのはインドだけであります。勿論そういう意味から、私は少くともこの法律案は出なくとも、これに見合う二百億程度財源を当然計上すべきだと思つておりますが、衆議院全会一致で通過する直前にあつても、なお百億を切つておるというような状態であつたので、万止むを得ず提案いたしたようなわけであります。もう一つ簡単に申上げますと、年間全国の鉄道収入は二千二百四十億弱でありますが、道路によるところの自動車交通運輸業の年間の総収入額は約二千九十九億円であります。これを国民所得の四兆五千六百億余に比べまして世界的な率を乗じてみますと、二十七年度においても世界の最低位においても二百億は道路費に計上しなければならないのが、もうどこの国の予算編成状況を見ても当然であります。これをやらなかつたところに一つの問題があり、その内閣の責をふさぐためにも議会は最高権限を以てかかる立法措置を行わなければならぬと、こういうふうに考えるわけであります。  もう一つここでよく考えて頂きたいのは、ガソリン税昭和二十四年の当時から修正されて現在になつておるのですが、これはもう庫出と同時に頭から税金がぶつかかつておるわけであります。だからガソリンの売上金がいわゆる焦げついた場合には税額も庫元で負担をしておるのであります。その意味においては、かかる掠奪徴税式な税は廃止をすべきだという考えと、税は下げべきだ、先ほど小林さんかどなたかが言われました通り、そういう運動があるわけです。だからガソリン税をとつて道路に還元して道路整備を行なつてくれるならば五年間くらい待ちたい、又税も地方税にしなくてもいい、のみならずガソリン税の廃止や税率を下げることも要求いたしませんと、こういうことを業者団体は全部言つておるわけであります。そのような相当大きな犠牲に立つて法律案ができたのでありまして、若しこの法律案ができなければ、今年度には物品税の廃止、ガソリン税は三分の一くらいに下げようじやないかということが各党の気持としてきつと出て来るのじやないか、こういうふうにお考えておるわけであります。その意味においては相当ガソリン消費者の気持も付度し、道路整備されるならば掠奪徴税式なその税にも五ヵ年間応じましようと、こういうふうな基盤に立つて法律案を立案したのでありますので、普通一般的な目的税という純理論からの御討議よりも多少実態をお考え頂けばおわかり頂けるのじやないかと、こういうふうに考えております。
  41. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 先ほど私の或いは言葉が足りなかつたかと思いますので、お許しを得まして付加えさして頂きたいと思います。  予算編成という立場から実質上目的税に類似いたしまする規定が入りますることは、編成の立場といたしまして非常にこれを窮屈にすることは事実であります。従いまして、先ほど申上げましたように、この条文の表現にありまするような抜きさしのならないような表現は私どもとしては困るというふうに考えております。それが一点。もう一点は、お尋ねになかつたのでありますが、ついでを以て申上げておきますることは、本条文のままにおきましては現在提案をいたしまするところの法律と、それから政府の予算数字とは数字が合いませんので、この点につきまして事務当局としては非常に困るという、その二点を申上げておきます。
  42. 杉山昌作

    杉山昌作君 私はこういうふうなことを法律できめるのがどうかということを根本的に考えるのであります。この法律を見ますと、問題は二条と三条で、政府は道路整備のために五カ年計画を立て、その財源にはガソリン税相当額を毎年計上しろということにあると思います。従つてこれは国民の権利とか義務をきめるものではなくて、ただ単に政府の施策を指図するだけの法律なんです。ところが今日政党政治で、田中さんなんかの所属している自由党内閣であれば、政府に指図するならわざわざ国会で法律を以てしなくてもその政党の政綱政策でこれを政府に実行させることがより以上政党政治の本領だと思う。そういたします。と、こういうことをやる必要はないのじやないか。  殊に私非常に先ほどの田中さんの御答弁で意外に感じましたのは、昨年の暮に予算を切り盛りするときに道路関係費用はたつた百億以下のものしかなかつた、そこでこの法律を各党各派満場一致で通した、そういうことによつて圧力を加えた、と言つては語弊がありますが、それがあれになつて百四十億の予算を組んだと、こういうのですが、併し今日は自由党内閣でございましよう。予算を切り盛りしておるのは自由党内閣であつて大蔵省は内閣の外にあるものではない。超然内閣ではないと思う。それに政府が道路の経費を百億以下に削つたから、自由党内閣でありながら、各党各派、ほかの政党の応援を得て法律を通すことによつて予算の切り盛りを左右するようなお考えであつたように拝聴するし、従つてこの法律は、自由党内閣でありながら自由党内閣が思うようにやつてくれないから、各党各派満場一致でこの法律自由党の政府に指図をしようという法律なんです。甚だ私はこの法律そのものが、或いはそいつを提案され、ついにここまで持つて来られた過程が今日の政党政治と逆行するように思うのですが、その点如何にお考えになりますか。
  43. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。自由党員として私が答えるのには非常に痛い御質問のようでありますが、まあこんなことをしなくとも当然政府が予算編成時に当つて道路費をたくさん盛ればいいわけでありますが、この問題につきましてはいろいろ政府部内でも議論があり、而も世界各国の状況を見ておりますと、大体アメリカのように御承知通り各州はガソリン税目的税としてもうすでに先進国はとつております。そういうふうな前例から見ましても、現在の日本においてもガソリン税目的税にしてもいいのじやないかということを政府はきめられたわけであります。私たちはいろいろな諸般の事情を勘案しまして、現在の情勢においては将来目的税としてガソリン税が規定せらるるにしても、今の段階においてはこの種の表現が正しいのではないか、こういうふうに考えたのでありまして、勿論政府は大きな立場からこれからの年度予算を組む場合には当然予算はふやすであろうとは思いますが、それとは全然別個に、ただ政府を拘束するからとかただ政府をしてせしむるというような考ではなく、もう少し高度の立場からいわゆる議会が独自の立場をもつて而も与野党共同一致というような最高の意思決定はやつても何ら差支ないと、こういうふうに考えております。
  44. 中川以良

    中川以良君 私はわが国の道路整備上非常な御熱意をもつて道路予算をたくさんつけなきやいかんといつて御努力になつたこと表するものであります。ただ今日ややともいたしますると、議員提出法案なるものが極めて雑駁に扱われましているくな誤解を招き、又これがいろいろな影響を将来に及ぼすというような点を考えまするときに、本法案のごときは参議院においては参議院らしい立場において十分にこれを検討し審議をしなければならんと私は思うのであります。ここで一つお伺いいたしたいのは、この法案を御提出になりまして何回委員会で御審議になつたか、又大蔵委員会と合同審査をなさつたか、この点を一つ承わりたいのであります。
  45. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 衆議院におきましては十二月の二十三、四日だと思いますが一回委員会を開きまして各党の質問を終りまして、同日採決をいたして本会議に廻したわけであります。なお大蔵委員会との連合審査会は、丁度建設委員会において討論採決のさなかに申込がありましたので、遂に国会法上の連合審査会には応ずることができなかつたわけであります。但し非常に無理をしたようなお考えがあると悪いので補足して申上げますと、建設委員会といたしましては与野党とも道路整備のためにガソリン税目的税にしようという基本線で過去何年間に亙つて委員会を設けて審議をして参つたわけであります。まず第一番目に道路法の改正を行い、その次に有料道路法の提出を行い、なお第三番目に具体的処置として本法律案の提出を行なつたわけでありまして、すでに衆議院においては形式的な討論は別としまして実質的な討論は十分に尽されておるわけであります。なお衆議院建設委員会において各党出身議員の申合は、ガソリン税目的税にしよう、これよりも一歩強い案でありました。それよりも弱い案に変更せられた本案に対しては一日の討議でも十分尽し得たものと考えております。
  46. 中川以良

    中川以良君 今の御説明を伺いますると、衆議院建設委員会はたつた一回お開きになりましてこの問題を採上げて直ちに本会議に御上程になつた。この点が非常に私は国会としての審議上遺憾な点が多分にあると思うのであります。何といつて田中さん、私は大いに敬意を表し、田中さんに対しては尊敬を払つておりまするが、このやり方に対しましては誠に不可解なものが私はあると思う。殊に本問題は予算委員会にも関連をいたしまするし、予算のいわゆる編成権の拘束になる、又大蔵委員会の税制体系の問題等もございまするので、少くも大蔵委員会は合同審査をする気であつたろうと思います。然るにもかかわらず衆議院大蔵委員長は全然知らない間に建設委員会で上つてしまつてすでに合同審査を申込む機会がなかつた。これは一つの私は悪例として残るのではないかと思いますので、この点は将来こういうことがないように一つ、私は強いて御答弁は要求いたしません、国会の権威の上から申しましても、かような粗忽な誠に粗漏な審査がないように、私は参議院の権威といたしましても衆議院にこれを要求いたしたいと思うのであります。  先ほど閣議でこれは目的税ときまつたというような御答弁があつたのでありまするが、私が承わつたところによりまると、なるほどこういう措置は一応閣議できめられたようでありまするが、大蔵大臣が目的税ではないということを特に附言をしたということを私は大蔵当局から聞いております。この点もいろいろ誤解があるといけませんので、やはり何かあなたのお言い廻し上そういう表現をされたと存じまするが、私は目的税として閣議決定したということは一つお取消を願つたほうがいいのじやないかと思います。
  47. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 後段の御質問に対してお答えいたします。私は先ほど言い方が悪かつたかもわかりませんが、閣議決定ではなく、閣議了解事項として決定をせられた趣きを承知しておりますということを申上げたわけであります。併し率直に申上げますと、閣議了解いたしております。私は公文書を見ました。これはいろいろな問題がありましたときに、閣議でさえ了解をしておるならば了解をしようというようなことがありまして、官房から書類を取寄せましたところ、ガソリン税目的税となす、但しこの発表は別途に行うというふうに但書がついておる書類になつておりますから、私としては前段に申上げましたことが却つて不確実であつて、私が見たままを申上げますと、そういう事情であります。特に自由党においていろいろ審議をいたしまして、大蔵委員長の審議を受附けなかつたというようなことが言われるようでありますが、これは私は提案者でありますので、採決にも加わらなかつたわけでありますが、当時委員長が、翌日の飛行機で北海道へ立たなければならないので、異論がなければ本日採決をいたしますということで各党から異議がなくて採決をいたしたのでありまして、こういう問題は勿論こういうふうに重要な審議を続けなければならないということであれば、当然連合審査を行うべきであつたと思います。ただ当時の状況上、委員長に代つて申上げますと、個人的なそのような事情からあのような結果になつたということだけ御了解願いたいと思います。
  48. 中川以良

    中川以良君 今の問題につきまして丁度建設政務次官がお見えになつておられますので、大蔵省との話合は、これは議員提出法案ではございますが、無論建設省にいろいろお話あつたと存じまするが、その際に何らか事前に御協議その他等がございましたでしようか。
  49. 三池信

    政府委員(三池信君) 事務当局のほうではこういう問題について一応話合があつたのではないかと存じます。政務次官といたしましては大蔵省に対して事前に話をしたことはありません。事務当局では必ずしも大蔵省が全面的に賛意を表しておられるというふうには了解しておらなかつたのでございます。
  50. 中川以良

    中川以良君 大蔵省側はその際何らか事前に御協議があつたかどうか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思います。
  51. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 私が連絡の当の責任者でございませんので、私以外の者で連絡をいたした者があると思いまするが、主計局として承知をしておりまする範囲内におきましては、提案をせられる少し前に若干の案があつたようでありまして、最後に衆議院で議決をせられました案の前の意見が、こういうようなことになつたらどうだという非公式な連絡があつたと思います。それに対しましては私どもとしてはそういう目的税というような言い方は困るのだということを申上げておいたのであります。そのときにはまだ案として固まつておるわけでもないというような段階であつた。従いましてこの案が固まりました前後におきましては私どもとしては連絡を承知いたしておりません。
  52. 中川以良

    中川以良君 少くも歳入は歳出の財源でございまして、これは一体性を私は有するものと思うのであります。この財政の原則をこれはやはり乱しておるのではないかという懸念があるのであります。私は道路予算を余計計上することはもう大賛成でございますが、こういうようなことで計上することがいいか悪いかという点は、私は非常に疑問がある。同時に財政政策上の弾力性を失うようなこれはやり方でございます。こういう点において私は将来こういうことをおきめになつてもその影響するところは却つて悪い面が余計に現われて参るのではないか、こういう点を心配をいたすのでありますが、どうでありましようか。
  53. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私もその意味に対しては十分考えておるのでありますが、先進国ではすでにガソリン税目的税にしておるというような現状に徴しまして、この種の処置をとることは私は現在の日本の財政の状況と睨み合せまして妥当ではないかというふうに考えております。  もう一つは財政に対して歳入と歳出とは一体的なものであるから、内閣予算編成権に対する一つの根本を乱すものではないかということを言われたのでありますが、これに対しては私は多少異論があります。それは率直に申上げますと、いわゆる国会は内閣が提出する予算案に対して修正権があるのでありますから、最高の意思決定は国会で行うべきだということでありますので、国会が意思決定をするのに、ただ憲法上の規定のいわゆる予算提出権は内閣にあるということだけにかかわつて考えになることはどうかと私は考えます。ただこの種のものがたくさん出れば勿論予算編成を拘束することでよくないのでありまして、これに対してはまあ私の党といたしましては、先ほど申上げた通り、この種の法律案は以後絶対に出さんということを申合せております。  もう一つは、各党でもこの種の法律案どんどん出るとは思わない。若し出ると仮定すれば、先ほど言つた競輪のものは自転車振興に全部やるとか、それから競馬のものは馬産振興に全部やるとかいうことになるが、こういうものは当然この種の法律案と同種に考えることはできないという結論であります。
  54. 中川以良

    中川以良君 これが前例となりまして将来これにならつていろいろなものが出て参りました場合には、これは非常に困るのでありまして、そういう意味においてももう少し私は審議検討を慎重に行わなければならなかつたと思うのであります。殊に十二月はあれは休会前でございまして、国会が終るのでなくてまだ継続しておるのでありますから、休会中でもなお御研究になつて年越しして、もう少し衆議院において大蔵委員会或いは予算委員会等の御意見も入れておやりになつて頂いたらよかつたのじやないかと思うのであります。これは何遍も申上げるようでございますが、将来の一つの悪い例を開くといけないから私はここにそれを再三申入をいたすものであります。そこでガソリン税をくだる道路予算を盛つておる国はほかにない、これはもうインドしかないというお話でございましたが、私も道路予算はこれでも足りないくらいには実は思つておるのでありますが、実は我が国においてガソリン税を対象としてこういうふうに法律をおきめになつたことに対しては、私は一つ意見を持つております。ガソリン税というものは永久不変のものでは私はないと思うのであります。殊に消費税として他の消費税との勘案上、税率がいつ変更されるかわかりません。そういう場合には、これはあなたが目的税と同様な扱いをしておられても、うつかりしたら道路予算は減つてしまうかも知れない、こういう懸念もあるのでありまして、これはこういうことがなくても国会で審議をし、予算にその道路の必要なものだけを計上すればいいのであり、何が故にこういうことをしなければならんかということが一点。  それからガソリンの原油というものは、殆んど外国から入つております。精製油も入つておりますが、こういう輸入というものが今までのような順調にいつまでも行くとは限らないのでありまして、我が国の生産物でもないのでありますので、そういう資源的な関係からいいましてもそのガソリン税をこういうような目的税式の対象とされるというところに、私はやはり将来に対しては好ましくない恰好ではないかという懸念があるのであります。  それからもう一つは、先ほど小林委員でございましたか、御質問がございましたように、ガソリン税自動車に使うもののほかに工業用その他等がございますので、八〇%余が自動車ガソリン税になつておりますが、自動車ガソリン税だけを上げるということならまだ話はわかるのでありますが、将来日本の航空業でも発達をいたしますと、航空用のガソリンも相当なものになつて参ると思いますので、そういうようなものも包含いたしまして、やはり対象にされるというところにもどうも不明確なものが、あと味の悪いものが残るのではないかというふうに感じられるのであります。そういう点について如何でありましようか。
  55. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。ガソリン税目的税にするかしないかは将来の問題でありまして、現在の状況においても道路整備五カ年計画費用にでも充当してもらわなければ、ガソリン税法の根本的な改正もしなければいかん、又非常に略奪徴税的なものであるとか、いろいろの議論があるにもかかわらず、若し道路整備費用に使つてくれるならばその重い税負担にも応じましようと、こういうふうな考えから全国道路利用者会議は全幅的な信頼をし、このようななまはんかなものではなく、ガソリン税目的税にしろという決議をしておることは御承知通りであります。  もう一つ。一〇%乃至一四・五%に当るところのゴム工業その他のいわゆるガソリンを消費しておる団体の意見も徴したのでありますが、まあ我々は道路費用に入れてくれというよりも税率を下げてもらいたいという意見があるのだが、大勢そこまで行つて道路愛護、道路の拡充をやるということならば止むを得ない、一〇%、一五%の人は泣寝入をしましようというような議論があつたので、私たちはこの種の法律案を作つたわけであります。但し将来航空用のガソリンその他で以て大量に使われる場合どうかということが言われますと、私は先ほど申しました通り、このガソリン税昭和二十八年度百五十八億の想定額が全部徴収されてもまだ道路費用には少いのじやないか、先ほど申上げましたように五百億ずつ入れなければならんという考えから言つても少いのではないか、できるだけガソリン税が年間税収五百億も上廻つてくれればいいという考えもありますが、航空用のガソリンその他のガソリンを使う場合にはほかの法律で以て又当然制約を受けたりするのではないかというふうに考えます。  なお或る場合によつてガソリン税が廃止されたならば道路費用は少くなるのじやないかということは一応の御意見として考えられるわけであります。それは内閣道路整備の熱意に欠けたときであり、而も大蔵省が感情的に道路費用はぶつたつてやろうというような考えにならない以上、かかる法律案を出さなければならない現段階を考えたならば、私はそういうことだけはないのじやないかというふうに考えるわけであります。  もう一つ。勿論私の考えではこの法律で以て束縛の対象になる金額よりも、そのときの内閣が常に多額の費用を持つてもらつて、こういう法律案が有名無実になることを期待しておるわけであります。
  56. 中川以良

    中川以良君 現に本年は百四十二億予算に計上されておりますのでありまして、明年はもつと計上しなければならんと、私も全く御趣旨通り考えを持つております。そういうものが十分に計上されればこういう法律がなくてもいいのではないでございましようか、その点はどうでございますか。
  57. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私もお説の通り考えております。
  58. 中川以良

    中川以良君 それから第四条でございますが、これはまあ国の補助率を変えるようなことになつておるのでありますが、現行の補助率と申しまするものは、これは河川、港湾等にやはり関連をいたしまして、この負担補助率というものは皆均衡を以て定められておるのでありますが、道路だけをこういうふうに変えるということは、これはそれでいいものかどうか。一つ提案者よりむしろ建設省側にお伺いをいたしたいと思います。
  59. 三池信

    政府委員(三池信君) お答えいたします。現在の段階では建設省といたしましては、この補助率は均価するというような意思を決定はまだいたしておりません。ただこれにはいろいろの地方財政の点もありましようし、そういうことが許される時期になれば均衡し得るだけのアローアンスは残しておるわけであります。
  60. 中川以良

    中川以良君 一応四条は直ぐ適用することはむずかしいという考えでございますね。
  61. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私も四条の補助率に対しては提案者として幾らか疑義を持つております。私もできるなら地元負担を多くしてもできるだけ早く道路の全通が行われればよい、工事量を上げなければならんという考えを持つておるのでありますが、衆議院建設委員会の当時社会党のかたか何かのお考えつたと思いますが、こういうふうに大きな道路予算を付けると地方負担率が多くなるが、どうするのかということがありました。  もう一つ新らしい改正道路法によりまして、北海道及び北海道地方のように産業開発上特に必要とする道路で地形、地勢その他の状況で地元負担が達せられない場合には全額国庫負担とする、こういう全額国庫負担の途を開いたならば、この特定の法律案については全額国庫負担というより高率な補助を設けることによつて地方負担を幾分軽減するという処置を併せ考えてもよいのじやないかというような御意見がありましたので、そのように規定したわけでありますが、これは私の個人的な考えといたしましては現行の補助率でも結構だと考えております。
  62. 中川以良

    中川以良君 若しもこれが適用されるとなると、たしか四十七億ほど私は予算が不足するのじやないかと思うのでありますが、これは従つて地方財政にも影響があるでありましようし、大蔵省、地方自治庁、建設省ともどもこれは密接なる関係があるのでありますが、今のお話によると、これは一応こういう四条があるけれども、当分適用されないというお話でございますが、この四条をお作りになるにつきましては地方自治庁、大蔵省と建設省との間に何かお話合がありましたか、先ず大蔵省側から御意見を伺いたいと思います。
  63. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 私が記憶をいたしております連絡を受けました折には、たしか特例の規定は欠けておつたかと思います。併しこれは私個人の記憶しておるところだけについて申しますると、この特例を拝見しておるのも、連絡を受けておる点は、或いはそれ以外に受けておる者があるかも知れませんが、私個人の記憶ではそれだけであります  それからこういう規定がよいかどうかという点については、中川委員のおつしやいますように、ほかの河川とか、或いは港湾とか、公共事業との間のバランスでありまして、而もこれはこの法律の適用せられる幅と同じ幅でできておりまするので、非常に特定せられたものでございます。従つてこういう規定は穏当でないと考えます。
  64. 三池信

    政府委員(三池信君) 建設省といたしましては地方自治庁のほうには相談をいたしまして、むしろ自治庁のほうでは負担補助率を上げてくれることを望んでおりました。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど私もお尋ねし、中川委員も今尋ねられた、少くとも二十八年度予算については一応のまあ私の質問に対しては余り目的を達しないのだという意味のことだつたのですが、只今中川委員質問に対しては、一応二十八年度予算については本法案作成の目的は達せられた、百四十二億今ここに計上されたから、そういうふうに又二十九年度もされればそれでいいのだという答弁だつたわけです。そうすると今主計局のほうでも事務的に考えてもこの法案が通れば予算の組替をしなければ合わなくなるということであると、二十八年度の今政府提出されておる予算を、而も自由党が責任を持たれるべき予算である、自由党員としての提案者は、この法律案を是非この国会で通そうということであればそちらのほうを組替する。修正する、予算のほうを修正するつもりであるのかどうか。そういうこともやらずにそのままやろうということならば、一応二十八年度については目的を達したということであれば、まあこういうことをもう一遍お考えになるにしても、一年ぐらいのちに改めてお考えになつてもいいのじやないかと思うのですが、その点如何でしようか。
  66. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現在提出しておりまする二十八年度予算を修正する意思はありません。なぜかと申しますと、本法律案が通過いたしますと、自動的に法律義務が政府において起つて来るわけであります。いろいろな法律見解はあるにしても、私は窮極においては、法律の命ずる、いわゆる法律義務に対しては義務はあると思います。併し第三条に規定しております通り、二十八年度の当該年度ガソリン税収入は、三月三十一日にならなければわからないわけであります。無論これは表現自体に多少の議論があると思うのでありますが、二十八年度のガソリン税収入の相当見込額を、大蔵省としては百五十八億に組んだならば、百五十八億を下る金額道路費用として組んでは、勿論法律違反になるわけでありますから、百四十二億との差額を若し考える場合には、少くともその差額は補正しなければならんということを考えております。これは只今審議中の予算案で修正をしなくとも、年度内に支出ができるような処置を政府が行えばいいのでありまして、これは本法律案通りますれば、私はそのようになると思つております。ただ審議の過程において、まあ参議院のかたがたがどういうふうな御意見をお述べになるかわかりませんし、第三条の規定が表現に徹底を欠いておるじやないか、これを二十九年度よりやるようにしてはどうか、それでなければ二十八年度の予算編成は一年前に行うのだからどうしてもお前やるのだというようなお話があるかも知れません。私はその御質問に対しては、只今考えておるような私自身でも多少割り切れないところがございますから、この問題に対しては御審議の過程においていろいろ具体的な答弁を申上げたい、こう考えております。  但しついでに申上げますれば、本法律案が二十三日に参議院の御審議を終了して通過するとしたならば、政府は当然予算措置を講ずべきものと、こう考えております。
  67. 中川以良

    中川以良君 最後に私伺いたいのでありますが、提案者は、これはもう万やむを得ずこういう法律を出したのだ、断じてこういうことは二度とあるべからざるものであるというようなお話でございましたのと同時に、予算が十分に計上されればこういう法律は要らないのだというはつきり言明があつたのでございますが、さように承知してよろしうございましようか。
  68. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私の答弁が多少私の意思と反しておつたかもわかりませんので、率直に申上げますと、私は現在の日本予算編成状況を見ますときに、道路費が余りにも少く、何とか処置をしなければならない。そのために道路法改正を第一にして、第二、第三の……具体的な処置をして来た第三の事例がこれであるというふうに考えております。もう少し広く目を転じて世界的な道路行政の面を考えますときに、先進国は殆んどガソリン税目的税としておりますので、現在の日本においてはガソリン税目的税と正規にいたすことは別にしまして、この法律案を今出すことは時を宜得た措置ではないか、かように考えております。
  69. 中川以良

    中川以良君 いま一点大事なことでございますが、十分に予算があればこういう法律は要らないというお話でありますが、それはその通りでありますか。
  70. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 非常にむずかしい御質問でございます。どうも中川さんには困るのですが、率直に申上げますと、私は大蔵省が一カ年五百億円も計上してくれれば本法律案提案する必要はないと、こう考えております。
  71. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) お諮りいたします。まだ大蔵委員として御質問もたくさんおありのようです。つきましては連合委員会を重ねてやりたいと、こういう考えを持つておりますが、大蔵委員のかたにお伺いいたします。
  72. 小林政夫

    小林政夫君 是非お願いいたします。
  73. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) それでは期日は明日の午後如何ですか。
  74. 中川以良

    中川以良君 委員会としての検討をもう少ししたいという御意見もありますので「明後日午前中にやつて頂きたいと思います。明日大蔵委員会がありますから。
  75. 赤木正雄

    委員長代理赤木正雄君) なおもう一つ。御承知通り大分大きな問題であります。いろいろと御検討なさいまして十分審議したい、こう考えております。本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会