○
政府委員(
窪谷直光君)
只今議題に相成
つております事項の事で、十二以外は
検査院の御
指摘と格別
意見の相違はないのでございます。その後の善後
処置を中心にいたしまして簡単に御
報告を申上げたいと思います。
先ず第七の第二管区総監部で起りました不正な会計
手続の件でございますが、これは誠に遺憾でございまして、先ほ
ども谷口国警次長かな
お話申上げましたように、当初は国家警察ほうで経理を担当して頂いたのでありますが、その後十二月から警察予備隊のほうにも経理の担当官を置きまして、国警の仕事を引継いだのであります。その当時警察予備隊には適当な幹部が極めて少なか
つたのであります。従いまして、会計担当の職員を選任いたしますにもまあ非常に苦労をいたしたのでありますが、とにかく経理ができなければならないというので、若干の人間を東京に集めまして極く短期の講習をいたしましてそれぞれ配置をするの止むなき
状態であ
つたのであります。それらの人間の一人がこの
事件を引き起したのでありまして、誠に申訳なく思
つておる次第であります。
本件の担当官は
昭和二十六年の六月二十三日に起訴をされました。越えて二十七年の三月に懲役二年六カ月の一審の判決を受けたのでありますが、本人は
只今控訴中の模様でございます。警察予備隊のほうの行政処分といたしましては、その当時直ちに懲戒免官の
処置をいたしております。なお監督上第二管区総監、それから第二管区総監部の幕僚長に対しましては戒告の処分をいたしました。なお直接の第一次の監督責任者であります総監部の会計課長に対しましては百分の十カ月の減俸の懲戒処分をいたしたのであります。なお本人が領得いたしました
金額の
回収につきましては賠償要求の
訴訟を提起いたしておるのでありますが、現在までのところ
回収に至
つておりません。
それからその次の第八号の問題でございますが、スキーの問題でございます。当時スキーの購入をいたします場合にスキーのことをよく心得ておる者が調達に当る職員の中にいなか
つたということがこういう
状態を起したのでございまして、
一つは物品税を払過ぎたという問題でございますが、これは別にスキーの技術と
関係はございませんが、
契約のときにはまだ物品税の改正がない
状態でございます。納入になりましたときにはそれが改正されましたのを十分の調査をしないで
契約金額を
支払つたというところに物品税の
支払過ぎが起
つて参
つたのでございまして、誠に遺憾なことではございますが、なお払過ぎの問題につきましてはここに御
報告をいたしましたのは一部でございますが、すでに払過ぎになりました
金額につきましては全額これを
回収いたしまして国庫に返納をいたしております。それから次のスキーの杖を買過ぎたということでございますが、使用の実績を検討して十分注意をいたしたいということでございますが、その後の使用の
状況から申しますと、そうスキーの本体よりも著しく杖が壊れるということはないようでございまして、その後スキーを買います、そのほかに買
つておるのでございますが、その場合にはスキーの本体だけを買いまして余分の杖をそれから差引いて調達をいたすということにして目下仕事をいたしておりますので、甚だどうも御
指摘を賜わ
つて恐縮でございますが、御了承を願いたいと思うのです。
それからその次の九の事項でございますが、これもやはり調達
関係に熟練者を得られなか
つたということが
原因でございまして、誠に遺憾に存じておる次第でありまして、
会計検査院の御
指摘に
なつた
通りでございます。
それからその次の十の腕章の問題でございますが、これも同様に
検査院の御
指摘に
なつた
通りでありまして、当時創設早々の際、熟練者の不足等から出て参
つた成規の
手続によらない購入ということに相成
つておる次第であります。十分に将来注意をいたしたいというふうに考えておるのであります。
それからなお十一の靴の製造修理の機械を買
つたということでございまして、これは現在は活用をいたしておるのでありますが、当時計画を何と申しますか、お互いに均衡をと
つてやるべきことは勿論でございますが、これもやはり熟練した職員の不足のために差当り買えるものから買
つて行こうというふうなことでこれだけを買
つたのでありますが、その後補給廠をどこに置くかというようなことについていろいろ
意見が出たりいたしまして、それ以外の機械を早急に調達をして、全体として効率を発揮するような運びに至りかねたというような
状況でありまして、誠に遺憾に存じておる次第でございます。
それから十二を飛ばしまして十三でございます。この十三の
事件は、やはり第二管区総監部に起
つた事件でございまして、誠に遺憾な
状況でございます。本人が領得いたしましたものにつきましては、二十七年の三月の末までにそのうち一万四千五百円を
回収いたします。残額につきましては賠償要求の
訴訟を提起をいたしたのでありますが、昨年の八月六日に札幌の簡易裁判所で
昭和二十八年の十二月までに分割納付するように和解が成立をいたしたのでございます。昨年の十二月の末までに一万二千円
回収をいたしました。これにつきましては大体予定
通りの
回収がや
つて行けるのではなかろうかというふうに考えております。こういうふうないろいろ
会計検査院から御
指摘がありましたような事柄を未然に防止をいたしまして、会計経理に事故なきを期するということが最も先決でありまして、その後いろいろ考え併せまして、部内の監査機構を設けるということにいたしました。
昨年の、夏以来保安隊の中に監査隊というものを設置をいたしまして、その職員は第一幕僚長の直轄の職員といたしまして、地方にそれぞれ数名のものを配置をいたしまして、会計経理につきましての指導監督という面に力を注いで参
つておるような次第でございます。
何分にも予備隊が創設されました二十五年におきましては、極めて僅かな幹部で以て警備をや
つて行かなければならなか
つたのでございますが、その後逐次職員も整備をいたして参りまするし、なお昨年の八月保安庁法ができまして警備隊が一緒になり、それから十月には予備隊が保安隊に切り変
つて参
つて今日まで参
つておるのでありますが、十分にお互いに戒心をいたしまして注意をいたします。と同時に、先ず仕事に慣れるということの必要もございまするしいたしまするので、随時会計職員を東京に招集をいたしまして、これは仕事の
関係上そう長期の講習をするわけには参らないのでありますが、この講師といたしましては、
会計検査院のほうにもお願いいたしましたり、大蔵省のほうにもお願いをいたしましたりして会計上の能力の向上ということ、更に公正な運用ということについて意を注いでおりますことを御了承願いたいと思います。
それから最後に十二の点でございますが、やや
検査院と見解を異にしておるような
説明を出しておるのでございますが、当時の
状況はこの
説明書の初めのほうに書いてある
通りでございまして、先ほど
専門員のほうから御
説明に
なつたような
状況の下において行われたのでありますが、結局この問題は当時練馬の地区におきまして倉庫営業をや
つておりますものの営業の廃止に伴う補償ということでございました。倉庫
会社に払いました
金額は、
会計検査院がここに計上をされております
金額のほかにあるわけでありまして、補償費の一部ということにな
つておるのでございます。営業を廃止いたしました場合は、而もそれが国の要求によ
つて止むを得ず廃止しなければならないという場合には、その要求によ
つて起る損失を補償してやるということが社会通念としては適正なことではないかという考え方に立
つたのでございまして、さてじやどういう補償をするのが適正であるのかという問題になりまして、いろいろ考え方が出たのでございます。ただ私
どもとしては、過当なる補償になることを非常に恐れたのでございまして、先ず補償をいたすべき対象として考えられましたのは、倉庫業者がこの地域で倉庫営業を始めますについて、土地の整地をいたしております、これは終戦前、戦争中にいろいろな待避壕等を作りまして、土地が非常にでこぼこいたしてお
つたのでありますが、この整地の作業をいたしております。それから又倉庫そのものが相当荒れておりましたので、それに手を加えて、倉庫として使えるような
状況に直しておるのでありますが、勿論建物に手を加えましたものも、通常の維持修繕と考えられるものにつきましては、補償の対象にすべきものではないと思うのでありますが、財産価値の増加になりますところの改良工事を施したものについては補償をすべきであるという考えを
とつたのでございます。その補償をいたします場合は、何を基準にいたすかということでありますが先ずその改良工事に幾ら経費を使
つたかということが基準になるのは勿論でございます。ただその場合にこの工事をやりました時期と補償をいたさなければならなか
つた時期との間には、相当期間の隔りがございます。例えば都商事について見ますと、倉庫営業を始めましたのは二十二年の四月でありました。立退きを要求いたしましたのが二十六年の三月でございました。この間におきます物価指数を見ますと、約七倍とい
つたふうな
状況に相成
つておるのであります。
従つて残
つておる財産価値の全額を補償してやるという考え方をとりますと、その現実にかけた金ではなくて、現在残
つておる財産価値を対象にして補償すべきものではないかという考え方が
一つ成立ち得るのであります。この点は成るほどそういう考え方もあろうけれ
ども、
一つ会社のほうにとにかくかけた実費だけを補償するということで我慢をしてもらおうじやないかという私
どもは見解を
とつたのであります。仮に当時の物価指数だけで比較して見ますと、都商事につきましては約整地費として七十三万円、それから建物の工事費として四十四万、改良工事費として約四十四万円ばかり支出をいたしたのであります。建物のほうはこれは随時経費を支出しておるようでありまして、必ずしも二十二年にや
つたわけではないのでありますが、両者を合せまして約百万円というものに押えますと、七倍の補償ということになりますと、それですでに一千万円というような莫大な
金額になるのでありまして、ここまでも必ずしも補償する必要はないのではなかろうか。とにかく帳簿上に赤字が出ないような措置は、これは最小限度としてやらなければならないけれ
ども、それ以上に出るものについては
会社との話がつけば、その程度で我慢してもらおうじやないかというふうな結論をいたしたのであります。それからなおそこにあります営業を廃止いたしますために従業員の整理をいたさなければならんという問題が出たのであります。
会社のほうからは退職金相当額の要求補償が出て参
つたのであります。それから倉庫の中に、この従業員が若干の、数名のものが居住をいたしております。それらの居住の設備を移してもらいというふうな要求もあ
つたのでありますが、この従業員の退職金の補償と申しましてもなかなかこれは基準のとり方が困難であるというようなことから、これも
一つ補償の対象として考えることは遠慮してもらおうじやないかというようなことにいたしたのであります。それからなお営業廃止に伴います諸雑費があるわけであります。社会の通例といたしまして、そこで今まで営業しておりましたものがやめるという場合には、挨拶状でございますとか、いろいろなそういう費用等の経費があるのであります。これはまあ
一つ会社のほうで我慢してもらおう、初めから別に問題にはしなか
つたのであります。
会社のほうも別にここまでの経費を見てくれという要求もなか
つたのであります。それから更に営業権の補償の問題でありますが、
会社はここで将来は正式に財務局から建物の払下を受けて営業を継続するという考えを持
つてお
つたのでありまして、財務局からも大体暗黙の了解を得てお
つたような
状況でありましたので、本来ならば営業権の補償という問題が起るのであります、営業権の補償をいたします場合に、いろいろこれ又考え方がありますが、過去における
会社の所得等の何年分かを補償するというふうな考え方も成立ち得ると思うのでありますが、これもなかなか論議のある経費でございまして、算定も困難でありますので、これも
一つまあ遠慮してもらおうじやないかというふうなことで、結局残りましたのが、この改良工事をいたしました実費と、倉庫の中にあります荷物を動かすについての費用を対象にして営業廃止に伴う補償ということに考えて行くのが適当であろうというふうな判断に
なつたのでございます。なお貨物を移します場合に、予備隊のほうで
自分でトラツクを持
つて行つて移してやるという
方法も
一つございます。それからなお荷主のほうと
個々に交渉をいたしまして、荷主に倉移しの費用を
払つてやるという
方法もございまするし、又倉庫業者に責任を負わせて、倉庫業者の責任においてとにかく倉を明けるというふうな
方法も考えられたのでありますが、一番
最初に、みずから予備隊のほうでトラツクを持
つて行つて移し替えをしてやるということは、当時の
状況においてはとてもできなか
つたのでございます。又荷主を一々探し出しまして、それと交渉をしてその費用を荷主に
払つてやるということもできなか
つたのでございまして、一応倉庫業者はその荷物を預
つて受託保管を受けたものとして占有権を持
つておるのでありますから、その占有権を持
つておる業者に責任を負わせてやるのが、この際としてはもうほかに
方法はないということから、責任を負わせて倉移しをさせるということにいたしたのであります。なお数量の確認の点でございますが、これは当時のこの仕事を担当しておりました者が各現場を見て廻りまして、この程度の数量はあるという確認をいたした程度でございます。従いましてその点につきまして若干
手続の粗漏があ
つたかと、振り返
つて見ますると考えられるのでありますが、別にそこに重さを計るものを持
つて行つて一々計量したわけでもございませんし、又運び出しますときにそのトラツクが何台果して出て行
つたかというようなことを監視するまでの職員の数もございませんでした。一応
会社から提供されました資料を基礎にいたしまして、なお現場を見廻
つて、大体目測でございまして、大体この程度の数量はあるということの確認をいたしまして払
つた次第でございます。それからなお先ほど
専門員から御
指摘になりましたように、倉を現実に明渡したときに金を払うということにな
つているにもかかわらず、その以前に払
つたものがあ
つたのでございますが、この点は
手続上の間違でございまして、私
どもといたしましては本当に品物が運び出されなくて、こつちの手で運び出さなければならないような
状況に
なつた場合には、その分だけは
回収をするという考えを持
つてお
つたのでありますが、現実にとにかく倉庫が明きましたために、
契約はその倉を明渡すということが
契約の目的であるということから、その経費の
支払をいたしたといふな
状況にな
つております。
会計検査院から御
指摘になりましたように、もう少し慎重にやればもつと経費を節約できたんではなかろうかということも、振り返
つては考えられるのでありますが、若し現実に倉庫業者が負担をしたものだけを支
払つてやるというふうなことでありますと、当時の
状況といたしましては、恐らく倉庫業者は別にこの荷主のほうと交渉をすることなしにや
つた。
従つて倉移しの費用の全額はとにかく
払つてやらなければならなか
つたということに
なつたのではなかろうかというふうにも考えられるのでございます。この点はやや弁解じみて甚だ恐縮な申し分でございますが、そういうふうにも考えられますので、あらかじめ責任を持たしてそれを明渡す、明渡せばその
契約の目的は履行されたということから経費を支
払つてやる、なおそのほかに
会社のほうとしては是が非でも要求をし、又それによ
つてこちらが承知いたさない場合には
訴訟にでも訴えて補償の請求をするというふうなことになりますると、却
つてこの倉庫の明渡しのための経費は、現実に
支払つたものよりも相当高額になるのではないかというふうなことも考え併せまして、
あとから振り返
つて見ますと批判の余地のあるようなことに相成
つたのでございます。将来といたしましては、こういう事案の処理につきましては、従来ともに慎重に
処置はいたしたつもりでございますが、更に慎重に
処置をいたしまして、
会計検査院の御批難にも、将来としては十分に副
つて行きたいというふうに考えておる次第であります。