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1953-02-20 第15回国会 参議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)    午後一時五十六分開会   —————————————   委員の異動 二月二十日委員岡本愛祐君辞任につ き、その補欠として山内卓郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            成瀬 幡治君    委員            秋山俊一郎君            瀧井治三郎君            西山 龜七君            松平 勇雄君            加賀  操君            伊達源一郎君            小酒井義男君            松永 義雄君            村尾 重雄君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君    日本専売公社総    務部長     小川 潤一君    日本専売公社塩    脳部長     西川 三次君    日本専売公社調    達部長     岡村  峻君    日本国有鉄道経    理局長     高井 軍一君    日本国有鉄道施    設局長     江藤  智君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算(内閣提出) ○小委員補欠選任の件 ○小委員長の指名の件 ○派遣議員報告の取扱に関する件   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 只今より開会いたします。  本日は日本専売公社の問題でございます。第九百九十四号から九百九十号までを審議したいと思いと思います。専門員の御説明ございますか。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) お手許へ簡単な刷物を差上げましたように、九百九十四号と九百九十五号は代金支払に当り事実に合致しない経理をしたもの、九百九十六号と九百九十七号は不急物品購入したもの、これらにつきましては、検査院のほうからそれぞれの事情を御指摘になりまして、日本専売公社におきまして、全くその通りで遺憾に存じますということでございます。  次の九百九十八号につきましてちよつと問題がございます。それは不急物品購入した、又検収処置もよろしくないというものでありまして、検査院指摘の大要を申しますると、具体的な使用計画も立つておらないのに、事業運営上必要な備蓄用の資材であるという名義で年度末に不急物品一億二千七百余万円を買入れたということで、(1)、(2)、(3)と項目を分けて事情が列記してございます。そのうち(1)の一部分と(2)の中の一部分については検収処置も不当である、つまり物自体不急物品であるということ、検収処置も悪いという二つの点が押えられているのであります。それに対する当局説明は詳細に説明書のほうに出ておりまするが、要点をつまんで申上げますると、朝鮮事変のために前途を見越して事業運営上備蓄用として購入したのであるということであります。そうして項目別に申しますると、その一のほうは、専売公社倉庫が一ぱいになつてつて、置場所がないので、業者倉庫に預けておいたのであるということ、それから二番目は、これも又同じ事情のために、業者手許現品保管させておいたものであるということであります。それから三の点については、説明書のほうに記載が落ちておりますが、これは検査院の御指摘通りでありまして、誠に遺憾であります。但し現在それらの品物はみんな使用済みであるということであります。それから検収の点につきましては、それぞれ不十分な点があつたことは確かでありまして、申訳がありませんと、こういうようなことになつております。ちよつと御参考に供します。
  4. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院のほうで御説明がございますか。
  5. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の九百九十八号でございますが、専門員のほうから御説明がありましたように、これは二つのことになつておりまして、不急物品買つたという点は、年度末に買つたものが、検査報告にも記述してありますように、一部は九月になつてもまだ納入されていないというような状況で、まあ三月に差迫つて購入する必要がなかつたのじやないかということに結論付けたわけであります。それから検収の点でありますが、これはこの検査報告の中に書いこあります鋼材とか、それからセメントとか、亜鉛鍍鉄板というようなものの購入に当りまして、本来ならば代金支払う場合に検収をいたしまして、これは公社の所有のものであるとはつきり区別しますというか、特定物にすべきであろうと思うのですが、本件の場合にはそのメーカーの所にそれだけの品物がある、それを公社買つたのだという、こういうことになつておりまして、はつきりとどれが公社のものであるかということの整理が行われていない。その結果、その後にそれぞれ公社倉庫のほうへ持込みましたところが、鋼材におきましては一部数量の不足の分がありました。これは勿論あとからそれぞれ補足をいたしました。不足のものがありました。それからセメントは大きなタンクの中に一緒にと言いますか、メーカーのものと公社のものと一緒に入つておるという状況で、それで検収終つたとするのは不十分ではなかろうかと、こうい趣旨で検査報告に掲載されておる次第でございます。
  6. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 専売公社のほう如何でございますか。御説明ございますか。
  7. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 只今の問題は、専門院並び検査院の御指摘通りでございますが、この全部の不急物品購入したというのみならず、その前の問題、年度末に仕事ができていないのに小切手を支払つたというような問題、一連関係がありまして、これは公社会計制度に依然として官庁会計年度区分というようなものが制度として規制されておる。従いまして、この年度の末におきまして当然若干予算が余るというような空気が出ますので、これを何とか整理しなければいけないという先入主があるもので、こういう一連の問題が起きますので、成るほど法的には年度区分というものがある以上は、きつちり守らなければならない、これは法治国の当然のことでございますが、この点は本質的にもう一回我々も研究して見たいと思いまして、実は内々この公社会計制度年度区分というものをもう少し外してもらえないかというふうに実は考えておるわけであります。たまたま最近の電通公社会計規定ではこの関係が全部外れまして、繰越を原則として認めて頂くという言うに電通公社のほうはなつておりますので、専売公社も是非そういうふうにして頂きたいと思いまして、こういう問題が一切今度起きないように整理して頂こうと思つて只今法案監督官庁大蔵省側にお願いしておりますので、その節はよろしくお願いしたいと思います。そういうわけでございまて、こういう問題が起きまして、誠に制度としてあるのに、年度区分を乱つたり、或いは年度末において無理して、厳格に言えば買わんでもいいものを買つたというような点は非常によくない、制度がある以上守らなければいけないということは我々感じておりますので、その点だけちよつと申述べておきます。
  8. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質問どうぞ続けてお願いいたします。御質疑はございませんでしようか……御質疑はないものとして、一応終了したものと認否めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  次に第九百九十号から一千五号までを御審議願いたいと思います。専門員の御説明を願います。
  10. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 九百九十九号から一千一号までは倉庫の利用が不当なもの、一千二号及び三号は塩の回送費が不経済なもの、一千四号は塩の回送賃率の算出が不当なもの、一千五号は回送費用の不経済なものという表題で、それぞれ検査院から御指摘がありまして、当局からの回答も全くその通りで遺憾に存じますということになつておりまするので、特に附加えて申上げるほどのことはございませんが、ただ御参考までに申上げますれば、この塩の回送のことにつきましては、前年度あたりにも随分いろいろな問題があつたことであるということだけをちよつと附加えて申上げておきます。
  11. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院の御説明ありますか。
  12. 大澤實

    説明員大澤實君) 具体的な案件はそれぞれ公社側でも了承されたことでありますから、附言するまでもないと思いますが、全体に公社運営で、輸送費とか保管料とかというものの占める経費の比率が非常に多いので、検査院といたしましても重点的にこの点を検討いたしましたのです。ここに現われておりますような事項がありまして、それぞれ公社側にその後の是正をお願いし、それぞれ是正されて来ております。なお二十六年度検査の結果を見ますると、この面におきましては、公社側でも相当、真剣に検討された関係か、非常にこの点は改良されておりまして、二十六年度検査報告にはこうした事例が殆んど現われて来ないというような状況になつて、逐次輸送保管ということに対する業務の運営が改善されておるように見られます。一言その点申上げます。
  13. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 公社のほうは。
  14. 岡村峻

    説明員岡村峻君) 只今検査院のほうからお話がございました通りで、別に附加えることもございませんが、ここでいろいろと不経済な倉庫運営なり或いは回送なりが指摘せられましたことにつきましこは、私どもといたしまして非常に遺憾でございました。今後十分気をつけて参りたいと存じます。公社になりましてから、輸送とか保管という面につきましては組織を相当変えまして、従来よりも専門的な知識を持つた者をして専管せしめるというふうなやり方に移行して参つたのでありますけれども、指摘せられております二十五年度辺におきましては、その移行段階におきまして若干不備な点が見受けられたのでございます。最近そういう点も漸次解消いたしまして、只今お話のような状況になつておりますことを申上げさして頂きます。
  15. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 続いて御質疑を願います。如何でしよう、九百九十九号から千五号まで御質疑はないものと認めて進めてよろしゆうございますか。
  16. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この欄によりますと、新光鋼材株式会社から納入分として鋼材一、〇九〇トンのうち不等辺山形鋼八九トン三八五というものが代金支払つてあるにもかかわらず、九月になつてなお会計検査院実地検査の際にまだ納入されていなかつた、こういうことが書いてありますが、これに対して検査院としてはどういうふうに考えられるわけでございますか、単に不当として批難しただけであつて、もう少し内容がわかりませんでしようか。
  17. 大澤實

    説明員大澤實君) この八九トン三八五の分は、その後これが九月に参りました結果でありますが、その後調べました結果は、確か十月だつたと思いますが、十月に全部納入されましたので、まあいわゆる年度違いと言いますか、年度違いの点はありますが、一応処理は終つたというように解釈しております。
  18. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 こういう物品購入について、四月に代金支払つて受取つたのは九月乃至十月だということになりますと、この物品購入するのは安いときに買つたというような恰好になるんでありましようか、それとも先ほど御説明がありましたように、年度末の余つた金で以て買つておいた、けれども物品はその当時会社にあつたかなかつたか知らないが、十月頃になつて納入された、そうすると、その金額の差額、或いはまあ商売的には金利の問題なども起つて来るのですが、そういう点は公社の御当局としてはどういうふうな解釈であられましたか。
  19. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 実は委員の御指摘通り、この問題は単に年度末で金が余つたから買うという気分のみならず、たまたままだその当時は鉄材の入手が必ずしも容易ではなかつた時代でございますので、今買つて置けば安いということも確かにあつたように、その当時の当事者から聞いております。例えばこのあとセメントなどは、その後預り証だけでありましたので、さあ現物をくれと言つたときに余り値段が上つておりまして、ただでは引渡せないかと言つて少しごねられた嫌いがあるようで、いずれも結果的には安いときに買つたということになつたのでありますけれども、併しこれはたまたまの問題で、そういう見通しで公の金を使うということは、やはり我我としては慎しまなければならないので、決してこれを以て今後もこの程度はいいというような気持は持つておりませんので、よろしくお取計らい願いたいと思います。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、ここで代金四百六十六万五千八百九十七円というものの納入が非常に遅れておるのですが、その際には値上りをしておつたのでありましようか。四月頃と、引取つた時分の十月頃との値鞘はどういうことになつておりますか。若し上つてつたとするならば、その上つた金に対して会社側から幾らか見てくれという話があつたのか或いはそういうことなしに支払つた金現品受取つたのか、若しそのままで引取つたとすれば、当時どれくらいの値段の鞘ができておつたか、その点。
  21. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 今研究しましたのですが、細かい数字の計算はいたしておりませんが、二割程度上つた趣きでございまして、併し契約契約ですからというので、その通り鉄材に関しては引取つております。ただ検査院検査があつたために、非常にその点は早く促進されて問題が片付いたということは検査院にも感謝しておるわけです。
  22. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか……いや御質疑もないものと認めまして、一応終了してよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では御質疑は一応終了したものと認めます。  次に第千六号から千十四号まで一括して御審議に供したいと思います。どうぞ専門員のかた御説明願います。
  24. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 千六号は、たばこ売渡代金経理が不当だということでありまして、内容御覧通り、一口に申せばたばこ小売人がいじめられて困つたというような結果になつておる事件なのでありまするが、公社のほうでは将来よく注意をするということであります。  それから千七号から千九号までは、財務諸表についてその表示が適当でないという御指摘であります。これはいずれもその係の者が事務に不慣れなために起つたことで申訳はありませとが、将来は十分指導監督をよくいたしすまという回答であります。  それから千十号から千十四号までは御覧通り職員不正行為が列挙されているのでございます。
  25. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院の御説明ありませんか。
  26. 大澤實

    説明員大澤實君) ございません。
  27. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局如何ですか、専売公社
  28. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 千六号のたばこ売渡代金経理当を得ないものというので指摘してありますが、これもまあよく起る問題で、一応検査院から注意しろと言われたのでありますが、実はたばこは御承知のように小売人に売りますときに、現金収入に立てますので、それで以て売上げ経理されますから、例えば今年で言えば国庫納金千三百五億を納めろという予算がきまつておりますと、どうしてもそれに合せるだけの売上げ経理しなければならない、で中央でそういう国家から引受けますと成るべく予算と言えばそれだけの売上げを出して益金をきちつとやるということを我々のほうできめますと、どうしても地方に割付けるわけなんです。そんな関係がありまして、地方は何としても本社から受けた数字をこなして行きたいということから少し無理が起りまして、こういう問題が起きますので、例えば一日だけの売上げを明日売るところを今日売るということになりますと、たまたまその日だけで一日に、この当時でも五億円の差が出ますので、こういう問題はよく起りますが、ここまで無理して問題をやらなくてもいいんじやないかと我々は指導しておりますので、このチャンスにいいところを指摘して頂きましたので、それは先無理して出されることはいいけれども、余りこういう工作をして銀行から金を借りて、又はそれを払い出してやつたとかいうことをする必要は全然ない、それは国家からの要請に従つて目標額は達成しなければならないけれども、余り小細工をしてまでやるなということを注意を特に指示してございますので、その後はこういう問題が起きないと確信しております。
  29. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑ございませんか。
  30. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今のお話なんですが、私はどうも腑に落ちないのだが、はつきり言えばたばこというものは元来吸うことを……僕らもたばこを吸いたくてしようがないが、吸うことを奨励するものじやないんですね。私の友人がたばこの店をやつておるのですが、未だに専売局のほうからたばこを持つて来るのですがね、その持つて来る来方がまだ本当でないのですね。どうも光が少し売れないんだが、これを少し余計売つてくれとか、何というか一般国民の要望とは違うのですね。それはどんなふうにして案を立てておいでになるか、原料の、材料ですね、原料たばこの葉によつて多少ともそういうことが押付けられるんじやないかという気もしますしね。それから常時たばこの消費というものは専売局のほうで、私も知つていますが、調査しておいでになります。それと、その栽培のほうの計画とがずれがありますね、物を栽培してそれからたばこにするんだから、そのずれ関係かどうか実は承わりたいのです。
  31. 小川潤一

    説明員小川潤一君) この際ちよつとお話いたしますが、今の御質問は大体私のほうはそう無理して品種を違つたものを押付けようという気は毛頭ないのでございましてやはり製造も葉たばこ耕作も現在の国民需要というものから割出して絶えずその需要の線をずつと延ばしたところで計画を立てているわけなんです。ところが非常にそれが途中で狂つて来ることがあるのです。例えば激しい話は二十七年度の初めはピースは月に二億五千万本しかずつとその頃は売れてなかつた従つて二億五千万本ですべての計画を立てていたところが、最近になりますと、それが月に九億本も売れる、こういうこれはまあ非常に変態的な変化でございますけれども、こういうことがよく起りますので、従いましてその品物在庫の過不足というものが起きまして、今御指摘になりました製造とか或いは耕作関係からそれにマッチして行かないという点もままありまして、成るべく折角作つたものをかびを生やかしてはいけないとか、これは売れないんだが、地方にごまかして売つてくれないかということで、こういうことで小売人にかなりの無理が行くことがあるんじやないか、併しこれはどこまでも避けたい、少々のまあ在庫はいつも用意してもつと落着いた商売をして行きたいと、こういうふうに思つておりまして、只今たばこ製造の五カ年計画を立てて絶えず一カ月半の製品のストツクは持つて行くということでやつております。まあ成るべく押付けることはやらないのですけれども、どうも公社といたしましてはやり益金国家から予算で引受けた以上、それを完遂しないと悪いんじやないかという非常に公務員的な良心が濃厚に残つておりますので、そこと商売との矛盾で起きる問題で、なかなかこれはむずかし問題だろうと思いますが、決して無理はしないようにと我々は考えております。
  32. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 それから最近は比較的なくなつたようなんですが、たばこの販売の許可、あれが未だに多少暗い影があるようなんですが、あれは状況はどんなふうに改善されておいでになりますか。
  33. 小川潤一

    説明員小川潤一君) まあ私は本来は経理が主で、たばこ余り支店までとやかく言うべきではないのですけれども、まあ絶えず皆で話しているのですが、これは世間から非常にフエヤーにやつても何か暗い面があるのじやないかと言われることがよくわかつておりますので、問題を明朗化する、殊に許可するのか、しないのだか、うやむやにしてわからないという態度を避けなければならないというので、最近一カ月以内でどんな問題でも整理しろということで、私のほうに内部の会計検査院みたいな審議部というのを設けまして、絶えずそれが各地方局へ廻りまして、書類をいきなりひつくり返して、そして事務の渋滞を検査しておる。それから暗い面は私らは世間で言われるほどないと思うのですが、結局まあ袖の下をもらつてつてもすぐそれは誰か名士に繋つていたりしてばれるものですから、世間で想像されるほどそういう問題はない。特に許可については内規が作つてありまして、例えば五十メートル以内近い所はいけないとか、或いは月に東京ならまあ七万円乃至十万円ぐらいの売上げ見通しのない所は許可するなとか、そういう内規がありまして、それに合致するものは今のところ無条件で、買受の信用のある人なら無条件許可しておるという状況でございますから、そう思つたほど不明朗ではないと私らは確信しております。なおその点はよく指導するように本社も気をつけます。
  34. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに如何でしよう。  私ちよつと第四局長にお伺いしますが、専売公社たばこのこういう検査、これもやはり一割ぐらいの検査しかできないのですか。大体検査は、この前一割ぐらいしか手がつけられないようにおつしやつておりましたけれども。
  35. 大澤實

    説明員大澤實君) 御承知通り専売公社地方局が十八と思いましたが、それからそのほかに支局出張所というのが三百程度と思いましたが、あるのですが、検査といたしましては、この地方局は全部必ず検査できます。それから地方支局出張所は大体四分の一程度検査しております。通し算ますと、これはいろいろな見方がありますが、検査個所からいいますると、大体、三〇%くらいまでは行つているのではないだろうか。併しながらいわゆる対象になる仕事の量、これからいいますと大体七〇%くらいのものはこちらで実際において検査しているのじやないかと、大体そのくらいな見当でございます。
  36. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ないでしようか。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは私もわからないのですが、千十号の東京病院篠原某とあるのですが、東京病院篠原某というのはどういう関係にあるのですか。これは職員でございますか篠、原某というのは。東京病院に詰めておるのですか。
  38. 小川潤一

    説明員小川潤一君) この専売病院は私のほうの病院で、直営病院でございまして、ここのお医者さんとか職員というものは専売公社社員になつておるわけでございます。それで経費専売公社経費として予算も国で認めて頂いた予算を使つて経営しておるわけでございます。併し共済組合制度と併用しておりますので、全部が全部国系統公社経費で払うのでなくて、社員積立金共済掛金を大部分充当しております。併し二割乃至三割程度は国に相当する専売公社自身が財政的に援助しておるわけです。従つてそれを運営している人間は全部公社社員ということになつておりますので、その社員が今言いましたこの診療料というものをごまかしたわけでございまして、この診療料は今言いました共済組合のほうからも入りますし、それから家族の場合なんかは半分は現金を取るわけです。取つて専売公社勘定に、病院勘定に入れなければならないのですが、それを猫ばばしてしまつたのです。こういうケースなんです。
  39. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この篠原某というのは事務職員でありますか、病院の院長か何かですか。
  40. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 事務職員であります。
  41. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ございませんか……では一応審議は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  次に第千十五号から千十九号まで御審議願います。
  43. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 千十五号は輸入の塩の購入価格算定に当り輸入諸掛の見積の不当なものという表題でありまするが、専売公社が輸入をされまする品物を民間の会社に委託をされておりまするが、その委託費というものは、輸入のために必要な銀行の諸掛に当てるもの、委託の手数料に相当するものとか、それから税関の手続、検定等に要するいろんな費用とか、そんなふうのものが掛つて来るわけなのであります。それにつきまして検査報告には、非常に詳細に又その数字まで挙げて説明がされておりまするし、当局からの答えのほうも又それに応じて非常に詳しい説明がございまするが、ただほんの御参考までにその中から一つの例を引出して申上げますると、例えば公社から受託者に支払つた銀行諸掛が幾らになつておるか。それから受託者が銀行のほうへ支払つた実績がどのくらいか、それを比較して見ると、例えば公社支払額が一億九千万円であるに対して、実費相当額が一億四千万円と計算される。そうするとこの一つの項目だけでも五千万円の差があると、これはほんの一例でございます。それからもう一つの例を申しますると、信用状開設から輸入手形の到着までの金利が五%であつたのに、後にそれが半減された後においても相変らず五%を払つていたというようなことなどが検査報告に挙げられているのであります。これに対して当局回答を見ますると、一の先に申しましたほうは受託者が銀行などと交渉をしまして、商業的手腕をうまく発揮するからこういうふうのことになるのであつて、別段不思議でもない。それからあとに申しましたほうは、金利という点だけを切離して見ると御説の通り高いけれども、委託費全体としては金利ばかりが委託費ではないので、最初申上げました委託手数料とかそのほかいろいろな要素が集つて全体としての委託費を見ると、それは相当安いものになつておるから、一部分御覧にならないで全体を御覧願いたいというような意味のお答えと解せられます。併しながらいずれにもせよ、将来これらの点については注意すべき点があるだろうと思うから、十分注意をするという回答であります。  それから次に千十六号から千十九号までは、塩の包装費の過払とか、その他いろいろな点につきまして検査院からの指摘によりまして、当局においてもうすでに是正されました事柄がここに記されているのでございます。
  44. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院如何でございますか。
  45. 大澤實

    説明員大澤實君) 千十五号は詳しく書いてはあるんですが、なかなかおわかりにくいと思います。概要は今専門委員のほうから御説明があつたようでありまして、検査院が特にこれを指摘いたしましたのは、先ず第一にこうした手数料と諸掛というものを引つくるめてみたら一体どうかという点、先ほど専門員の御説明は第二点に触れておつたのでありますが、先ずその点を見ますると、諸掛、手数料のうち手数料が若しも低ければ諸掛が少し甘くても引つくるめれば余り損得はないということになるのですが、その手数料の方面を見ますると、大体塩の場合はCIFの価格の大体一%くらいになる。それがほかの食糧とか砂糖とかいうような場合の輸入の場合の手数料を見ますると、これが〇・五%或いは一%ということになるということで、特に手数料がこの塩の場合に安いということはちよつと考えられない。そうすれば手数料が相当ならば諸掛はいわば成るべく実費に近いものに持つて行くのが妥当ではなかろうか、そこで今度は第一の問題に入るのでありますが、検査院の調査したところによりますと、この実費相当と言いますか、そのうちの銀行諸掛、あとはもう僅かな港の諸雑費でありますが、この銀行諸掛が実際と公社の計算されて払われたのと相当違いがある。その原因が或る程度までこの業者のいわゆる商業的努力ということも確かにあろうと思います。が、その最初にこの検査報告の三百三十五頁に表が出ておりますが、この公社のほうで大体輸入信用状開設から公社代金支払うまでどのぐらいかかるかというその最初に予測されたといいますか、計算された場合の内容を見ますると、まあ例を言いますれば、向うの港で船積みされてからその船が出港するまでに大体十四日ぐらいかかるだろう。それから今度はこちらで港に着きまして荷役が終つて、つまり会社のほうに引取つてから会社代金支払うまで二十一日くらいかかるだろう。そうしたものを引つくるめてこの表に出ておるような計算日数を出しておるのでありますが、まあ私自身海運のことは余り詳しくないのですが、船積みしてから出航まで十五日というのは、滞船料その他の関係から言つて、実際問題としてそうはかからないだろう。それから公社引受けが完了して公社のほうが支払われるのが、これは大体実績から見ましても十五日以内くらいに支払つておる。こうした点は最初の日数を積算される場合にもう少し検討されれば、いわゆる実費相当額を出す、実費相当額といいますか、大体の実費相当額に該当するような銀行諸掛を計算する場合にもう少し引下げる余地があつたのではなかろうか、こういうふうに考えるのでありまして、検査院といたしましてもこれを全部実費でやれということになりますと、業者のいわゆる企業的努力といいますか、そうしたものがどうしても薄らぎますので、実費主義を通せば或いは高くなるかも知れません。そこまで主張いたしませんが、当初の予定をもう少し厳格に査定される必要があつたのではなかろうか、こういうふうに考える次第であります。
  46. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局の御説明はおありになりますか。
  47. 西川三次

    説明員(西川三次君) この問題につきましては、専門員から概要の説明がありましたし、又会計検査院から更にポイントにつきましていろいろ御意見が述べられたのでありますが、公社としましては書面の上でも申上げてあるのでありますけれども、先ず第一に公社のこの委託費を算定した場合に、まあ銀行諸掛が問題になつておりましたが、銀行諸掛は実費主義で行くと、こういうふうな方針はまあ当初から考えてなかつたわけであります。でまあこの点は一つの問題の分れ道だと思うのでありまして、まあ実費主義をとるということになつておれば、今お話がありましたように現実に公社支払いました諸掛として手数料と、それから商社が払つた手数料との間に相当まあ開きがあるわけでございますから、その点は御説のごとくであるのでありますが、我々としましては、当初から銀行諸掛については実費主義をとつてなかつた、こういうことを申上げたいと思います。なぜそれではその実費主義をとらなかつたかということでありますが、これもまあ書面の中で詳しく申上げてあるのでありまして、この実費主義をとるというふうなことになりました場合には、いろいろ考え方がございますが、公社としましてまあこういうことを考ふておるわけであります。実費主義になれば、要するにまあ商社としての努力が欠けるところがある。というのはまあ幾らかかつても実費主義で払つてもらえるのだから、殊更に努力をやる必要もない、これはまあ人間性の通有性として考えられます。それからもう一つはこれはまあ悪い場合でありますが、その実費主義をとつておる場合には、まあ得てして金融機関と結託すると申しますか、両方が結託いたしまして、これだけかかつたというふうな仮装をやつて、自然それに基いて過払いをやらされることもあり得ると、こういうふうな三点を考えまして、これはまあ飽くまでも実費主義については必ずしもいい方法じやない。問題はその本来の手数料のほうを公社といたしましては幾分低目に押えております。と、申しますのはCIF価格が十ドルの場合、それから二十ドルの場合、二つの例で申しますと、十ドルの場合は大体一・六%、それから二十ドルの場合は〇・八%というふうなことになつております。大体まあ六十円見当を本来の手数料というふうに考えておるわけですが、これは食糧その他の手数料から比較しますと低目になつておるわけであります。そこでこの本来の手数料をできるだけ低目に押えておく、一方におきまして銀行諸掛等においては実費主義をとらんで企業努力によつて公社の想定しました諸掛よりもできるだけ合理化をしてもらうと、こういうふうなことをまあ考えたわけであります。  そこで、まあその点の公社の考え方は一応そういうことであるということを申上げますと共に、もう一つ御指摘がありました航海日数等の、要するに所要日数を一律に百二十日と想定したのは、これは少し甘いじやないか、こういうふうなお話でございますが、この点につきましても検査院の御指摘のように、事実は百二十日確実なところはかかつていないわけでございます。殊に又遠海と近海においてはそんなにかかつていないということなのでありますが、この百二十日の算定をしましたのも決して根拠なくしてやつたわけじやないのでありまして、まあ一番の問題の相違点は、一取引ごとの数量を公社のほうではまあ標準三万トンと、こういうふうなことを想定しております。この三万トンというのはまあ一応の想定でありますからして、輸入委託する場合に、大体その見当が普通の輸入委託の場合になつておるということでありますが、これを運ぶのにはまあ大体一万トン級の船だとしますというと、三ばい要ります。ですからしてその三ばいで以て完全に日本の港に持つて来るという場合、それだけの日数、三ばいだけの日数がかかるわけでありますから、それを一艘と仮定した場合と、三艘と仮定した場合には日数が多少違つて来るわけであります。それから今の場合は遠海の場合を申上げたのでありますが、近海の場合は一万トンという船がないわけであります。大体五、六千トンが普通の場合でありますが、そうすると船の数に直しますと、一万トンに比べまして倍くらいな、五、六ばいというふうなことになると思いますが、そういうふうな数字になりますので、近海においてもそれだけ日数が膨らまる、こういうふうなことになるわけでありまして、その点が一つの問題点であるわけであります。どつちにいたしましても、以上申しましたのは公社が委託費を算定した場合のその算定基準について実はその内訳を申上げたわけでありますが、結果的に言つてそれではどうなるかという問題になると、会計検査院の御指摘になつたような点が事実の上においてははつきりするわけでありますからして、この点我々のほうとしましても去年から改めまして、遠海の場合には大体所要日数を百二十日と見ておりましたのを八十七日、それから近海の場合には、これも百二十日と見ておりましたのを五十日と、こういうふうに改訂いたしまして、その銀行諸掛の算定もそれを基礎にして現在改めておるような次第であります。  以上申しましたように、一番問題の点の二点を申上げたわけでありますが、只今なお会計検査院からお話がありました米なんかの場合と比較して、米なんかの場合には銀行諸掛は実費主義をとつてつて、一方本来の手数料は〇・五%極く低率になつている、それに対して塩のほうは一%以上になつていて高いじやないか、こういうふうなお話でございましたが、この点につきましてもお考え願いたいと思いますことは、米の単価は随分高いわけでありまして、トン当りこの当時で見ますと、大体一トン二百ドル、こういうふうな高い価格になつておりますが、これに対して〇・五%を掛けました場合と、塩の場合は安いときと高いときで十ドル、二十ドルというふうな動きを示しておりますが、仮に一%としましても、ただパーセントだけで言つては問題点があるわけでありまして、むしろ我々としましては絶対額においてその点をお考え願いたいというふうなことを附加えさして頂きたいと思います。
  48. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑はございませんか。
  49. 松永義雄

    ○松永義雄君 委託という言葉は、これは形式的に解釈すると、あなたのほうのお話では請負みたいな感じがしますが、どうなんでしようか。
  50. 西川三次

    説明員(西川三次君) 結局買付けまして日本の港まで運ぶというふうな、そういう受託行為になるわけであります。
  51. 松永義雄

    ○松永義雄君 手数料というのは、これは形式的に解釈すると、手数料をもらつて委任関係じやないかと思うのですが、そうすれば請負と同じような取扱いをすることは、一応、文書を読んで見ると律法になるわけですね。法律的にどうなんですか。
  52. 西川三次

    説明員(西川三次君) 法律的に委任行為じやないか、請負か委任かというお話でありますが、これは私のほうでは輸入委託……。
  53. 松永義雄

    ○松永義雄君 まあそれはいいです。それからちよつと読んでも、これは読んだだけでもおかしいのですが、一億九千万円支払つたが、実額は一億四千万円で、差額は五千万円だとすると、これはパーセンテージが非常に多いので……。
  54. 西川三次

    説明員(西川三次君) この点はちよつと私のほうでも疑問に考えておるのですが、二十五年、二十六年で会計検査院との間の照復はこれが総計二千七百万くらいの差額になつておるのでありますが、これはどういう御関係になつておるのでありましようか。
  55. 大澤實

    説明員大澤實君) 具体的な計算は、実は私はつきりしておりませんが、係の者が精細に調べまして、各銀行に調査を依頼しまして調べた結果がこの数字が出ております。これは資料は相当ありまして、それをまとめた数字でございます。
  56. 松永義雄

    ○松永義雄君 その数字は少し或る程度はつきりさせて頂くために資料を一つ出して頂きたいと思います。
  57. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 一覧表で出ますか
  58. 大澤實

    説明員大澤實君) 相当厖大なものになりますが、出ます。
  59. 松永義雄

    ○松永義雄君 できるだけ簡単で、これならわかるというふうにできましたらお出し願いたい。余り厖大過ぎて手数がかかるようでしたら、又の機会に言葉ででも説明して頂きたいと思います。
  60. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 早急に出ますか。月末までとか何とかいうふうに、成るべく早い機会に成るべくわかりやすく……。
  61. 大澤實

    説明員大澤實君) 出します。
  62. 松永義雄

    ○松永義雄君 銀行諸掛というのは何ですか。
  63. 西川三次

    説明員(西川三次君) 銀行諸掛というのは、まあ金利が大部分であります。それからいろいろ信用状設定の手数料とか、そういうものもあります。
  64. 松永義雄

    ○松永義雄君 あとの文句がよくわからなかつたのですが……具体的に…。
  65. 西川三次

    説明員(西川三次君) 金利と、輸入信用状を設定しますから、その信用状設定の手数料なんかも含まれておりますが、大部分は金利です。
  66. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは大体銀行取引できまつておることじやないですかね。金利であるとか、手数料というものは、もう公知の事実になつてつて、特別にどこが高いとか安いというようなことは余りないと思いますがね。
  67. 西川三次

    説明員(西川三次君) 大体その標準金利というものがありますから、その点は御説のごとくきまつておるわけでありますけれども、期間ですね、要するに所要日数をどう見るか、先ほどお話しましたように、公社のほうでは、初めに算定した場合に一律百二十日要するんだ、こういうふうに見ておりましたが、事実は会計検査院が御指摘になつたように、それよりも短かかつたわけですが、我々のほうとしては当初話に出ましたように、実費主義をとつていなかつたということであります。だから検査院がお考えになつておるのは実費主義というふうな誤解もおありになつて、実際それだけかかつていないんだから少し過払じやないか、こういうふうな御指摘のように存じております。
  68. 松永義雄

    ○松永義雄君 そこは検査院の解釈と水掛論なんですが、そこは我々の常識ではここに書いてある文句を見ると、実費主義ということが本当なんですね。
  69. 西川三次

    説明員(西川三次君) 普通の場合はそういうふうに諸掛というようなものは実費主義をとつておりますけれども、公社としては先ほども申上げましたように、実費主義をとることは果していいかどうか、公社の見る眼では、むしろ企業努力を少し怠らせることになるんじやないか、又下手すると悪い想像ですが、金融機関と結託されて、これだけ実費を要しましたと、そういう書類を作られて過払をされることも考えられるというので、この際問題は実費主義をとらずして、一応の標準で以て出しておいて、それだけじやなくして、手数料には輸入業者の本来の手数料があるわけであります。それを一般よりも低目の、トン当り六十円に押えたということなんであります。この六十円のきめ方がもつと正常の場合のようなきめ方であれば、一方の銀行の諸掛も実費主義をとるべきである。我我の考えておりますのは、要するに本来の手数料と銀行の諸掛と通関の手数料、この三つを合せたもので不当に高いか安いかをお考え願いたいということなんですが、その点については先ほどもお話がございましたが、検査院のほうでは、米なんかについては僅かに〇・五%になつているじやないか、それに対して塩の場合は一%じやないか、丁度倍になつているじやないか、こういうお話なんですが、これを絶対額で申しますと、先ほど申しましたように、米一トンは二百ドル、こういうことになつているんですね。それに対しての〇・五%ですから幾らになりますか、十ドルですか、それから塩の場合には一〇%にしても安い、これはCIF十ドルですから、それに対して一ドル、それから高くなつても二十ドルですから、その一〇%は二ドル、だから絶対額で安いか高いかはやつぱり御判定願うのが至当じやなかろうか、こういうふうな考え方なんであります。
  70. 松永義雄

    ○松永義雄君 この委任するときに金利、それから信用状の設定、通関の手続一切を含めてこれでやつてくれということでなく、そういう額を示さないで頼むいうことなんですか。それともこういう額でやつてくれと言つて頼むんですか。
  71. 西川三次

    説明員(西川三次君) はつきり初めから本来の手数料が六十円、それから銀行諸掛は今申しましたように、遠海払と近海払でパーセンテージで示しておりましたように、そういうパーセンテージの下における銀行諸掛と、それから通関手数料、これを全体ひつくるめてこういう条件において輸入をやつてくれ、そういう委託手数料を全部示しまして、こういう条件において塩をいつ幾日に日本なら日本着で買いとつてくれと、こういうふうな契約をやるのでございます。
  72. 松永義雄

    ○松永義雄君 それで、それ以上出しているわけじやなくて、それの範囲内でやつているということなんですか。
  73. 西川三次

    説明員(西川三次君) 公社はその通りつているわけでございます。
  74. 松永義雄

    ○松永義雄君 それでその結果受託者の働きによつて受託した額よりも以下になつて働きが出た場合には受託者の収益になる、こういう形になるわけですね。
  75. 西川三次

    説明員(西川三次君) そうです。
  76. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると、きめ方が少し杜撰だということになる。揚足をとるようなことになるんですが。
  77. 大澤實

    説明員大澤實君) これは検査院検査報告の期日が余り結果のほうを先に出しておりますので、先ほども御質問が出たと思いますが、検査院は実費主義であるという見解で書いてあるのではないのでありまして、定額と言いますか、定額という言葉が当らんかも知れませんですが、日数をきめてやつておられる。その日数のきめ方が少し甘いのではなかろうか、その結果がこういうような恰好になつておんるじやなかろうか、こういうことを言つておるのであります。なお先ほどこちらの七百万円程度であろうというお話は、今調べて見ますと、先ず二十五年度、二十六年度と両年度の分で、塩脳部長のお調べが或いは一年度の分じやないかという感じがしますが、そのほかに検査院がとりましたのは、公社支払えばその翌日から業者が銀行へ金を返そうが返すまいが、その金利は業者が当然負担すべきで、この輸入委託料の中へ含めるべきものではないであろう。でありますから公社支払つた日までの金利を計算しましたら、恐らく塩脳部長の二千数百万円というのは、その後業者公社から金を受取つて、それを銀行へ決済するまでの実際に業者が負担した金利と言いますか、その後自分のほかの運転資金に使つてつたかも知れませんけれども、その間の金利も含めて差引いて計算されたのではなかろうかというような感じがいたします。
  78. 松永義雄

    ○松永義雄君 その日数のきめ方が甘くて、それ以下に働きによつて短かくなるということは、それはどういうことからそういうことになるんですか。
  79. 西川三次

    説明員(西川三次君) 詳しく申上げますと、百二十日という所要日数を見た場合の計算は、要するに輸入申請をしまして、いよいよ積出するまでに大体一カ月、それから航海日数を、これは遠海と近海で違うのですが、遠海の場合で申しますと、紅海とか、それからアメリカの西海岸ですね、そういう場合には大体四十日、それから地中海とアメリカの東海岸のときには五十日、それから一番問題になるのは、我我のほうでは一回の取引が三万トンが普通の多くあり得る場合の取引単位だというので、これを運ぶのに一万トン級の船で三ばい使う。そうするとまあ一ぱいで約三万トンを積込んで、直ぐ来るんじやなくして、往復するわけですから、それだけ日数がかかるわけです。そういうふうな、実際積込んでこつちへ持つて来るまでの日数も合せて全体を百二十日と見ている。それでは近海の場合にはどうかと言いますと、船が五千トンか六千トンの小さい船しかないとしますと、台湾とか仏印とかいう近海の場合、そういう近海の場合なら航海日数は少いわけでありますし、本来ならば遠海と近海を一緒にごちやごちやにすることは少し不当じやないかというふうな御疑問もあると思いますが、船が小さい船しかないものでありますから、同じ数量の塩を運ぶのには倍だけの船の数が要るというので、自然やはり日数も多くかかるというので、遠海の場合も近海の場合も一律に百二十日かかる、こういう計算をしておつたわけであります。但しこの点ははつきり実際上から見てみて余りにも開いておるということになると問題なものですから、先ほど申しましたように、昨年から遠海の場合には八十七日、最近の実績ではその程度かかるようでございますから、八十七日というものを見まして、近海の場合は五十日に縮めた、こういうふうにしておるわけであります。
  80. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると、受託者が船繰りをうまくやるかやらないかということでありますか、そこに働きがあるということですか、実態調査をやらないからわからないんですが……。
  81. 加賀操

    ○加賀操君 これは二十五年度ですから、済んだことですからよくわかりませんが、大体政府或いは政府機関のこういう委託事業はこれは無理もないと思いますが、どれを調べて見ましても、政府或いは政府機関がおやりになるんですから非常に安全に見ておる。僕らから言えば、事業をやる人間から見れば西川さんの言われたのは無理ないと思います。そこで業者というものは、役所より考えたよりは、政府機関が考えるように、そう正確にやつていてはこれは明らかに損をする。ですから結論としては、僕はよくわかりませんが、食糧なんかでも非常に手数量が余計かかつておる。塩は私は実際について見ておりませんからわかりませんが、例えば米を運搬するのに 政府がやるときは農家の倉庫から委託者が、例えば都市の倉庫へ運びますね、そうして都市の倉庫へ持つて来て倉庫へ入れる手数料から、今度出して精米所へ持つて行く手数料から、一分の隙もないように計算してある。ですけれども業者が見ましたら、生産地の倉庫から、そのときの事情によつたら普通の倉庫へ入れないで、直ぐ精米所へ運ぶことがあるのです。そうするとそういうものは抜けてしまうし、それから貨車へ積むときに全部満トンの場合と、それから余計積まんことがあります。そういうものを全部貨車満トンで計算している。これは余り小さいから言いにくいのですが、政府のときにはいつでも正確にどこも落ちないように計算してありますから、これは自然に高くなつているのじやないか、こういう気がするわけです。結論としては、これは実際ですが、その当時の政府のこういう事業をやつて頂いた委託者で大体損をされたかたはないのですね、私見ますと……。それで塩のほうについても結果においてこういう委託者は、これはわかりませんよ、損をされていなかつたのじやないかと思うのです。それで西川さんの言われるようにだんだん改められておられますからよろしいのですが……。もう一つこれは参考ですけれども、今度公社におなりになつたのですから、一つそういう点も御研究願いたいと思います。
  82. 西川三次

    説明員(西川三次君) いろいろお話がございましたが、公社としては漸次改めておりますから、御了承を頂きたいと思います。
  83. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは悪く疑つて考えると、仮定の話ですが、買付の価格というものは公社のほうから指定されるのですか。
  84. 西川三次

    説明員(西川三次君) 輸入委託の場合にはオープン・ビツド・システムといいまして、全くの競争入札でやらしておる次第でありますから、もう最近あたりでは出血競争をやつているような次第でありますから、自分の手数料も全部吐き出してしまつて、なお食込むようなことまでやつている状態で、なぜそこまで出血競争をやるかと申しますと、打明話を申しますと、支払の点で公社の場合には民間の取引より不払とか何とかいうことはありませんし、規定通りきちつと払いますし、そういう点と、又公社との塩の取引があるということが金融機関の信用を増すことになるのですから、そういう点を狙つて事実は出血競争までやつております。
  85. 松永義雄

    ○松永義雄君 独禁法の問題ですけれども併し又逆の話も考えられますね。それからこれはお役所仕事だということ、こちらから聞いたのですが、お役所仕事の欠点を若し指摘されたことが事実だとすれば、そういう災いじやないかというような感じがいたします。そこを専売公社としてお役所でもなくなつたのですから、もう少し商売を上手にやつて頂かなければ、悪意じやなくても相手が何しろ輸入商社でしよう、これは大した連中の集りですから……。そうかといつてそうやかましいことを言つたのでは入つて来ない、ゆとりをつければ逆に図に乗る、そこを心配されておる。
  86. 西川三次

    説明員(西川三次君) 弁解じやございませんが、事実輸入商社にお聞き願えればわかることでありますが、実は今まで申しましたように競争入札をやつているものですから、食糧なんかと比べれば妙味がないというふうな、妙味がないとは言ふんですけれども、業者の金融機関の信頼とか、それから金繰り関係で大事な面がありますから、そういう点があるだけであつて、実際の手数料としては、殆んどまあ吐き出してやつているようなことが事実だということを一つお含みおき願いたいと思います。
  87. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると、僕のほうから余計な取越苦労をするということになつてしまう。成るほど形の上ではそれだけの競争をやつて、それだけの分量が入つて出血輸入をする、こういうことになるのですが、ところが分量が形だけは船荷証券だが、中身は見当らなかつた、こういうこともよくあることで、お役所の払下なんかでもどうしてそんな安い値段で買えるかと思われるものを買つて儲かつたという話もよく聞くのですけれどもね。まさかそういうような商売をやつているとは思われないが、何しろ公社というと、出が出だから、育ちはいいほうなんですからね、相手は何しろ資本金の何百倍という商売をやつている、一か八かの商売をやつている連中ですから、そういうものを相手になさつて、この際検査院はその点少し甘過ぎるじやないか、こういうふうに思います。そういう感じがするのですが、それは御注意しておきます。
  88. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 繰返すようになるかも知れませんが、この輸入の委託をする場合に、先ほど来競争入札というお話でありましたが、それは一切ひつくるめてトン当り幾らで受ける、とこういう入札でございますか。
  89. 西川三次

    説明員(西川三次君) 先ほど申しましたように、遠海塩の場合とそれから近海塩の場合と、やはりその場合の標準的なパーセンテージをきめておきまして、銀行諸掛については、それ以外に本来の手数料として六十円、通関手数料が三円、こういうような内訳を示して……、ですから結局銀行手数料のやつを今でもパーセンテージで出しておりますけれども、前から比較いたしますと、日数の点で百二十日であつたのを遠海の場合で八十七日、近海の場合は五十日、相当短縮しましたから、それだけのパーセンテージが低くなつておるわけです。そういう条件で輸入……。
  90. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういう条件において入札をする場合には、それをぐんぐん割つた入札ができるわけですね。
  91. 西川三次

    説明員(西川三次君) フレートの点の競争を一番狙いにしてやらしておいて、競争入札というのはフレートはこれは一応の標準はありますけれども、これは特にコースの如何によつて特定の船会社と特約があるとか、或いはコネクシヨンがあるとかいうことによつて、それには相当幅がありますから、その辺で競争をやらして、それが結局CIF幾らということになりますから、CIF価格で一番安いやつを採用する、そういう方針でございます。
  92. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、公社では最も安く最低の受託料で入札したものに落札する、こういうことになるのですね。
  93. 西川三次

    説明員(西川三次君) 最低の受託料ということでなしCIF価格です。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 CIFだけですか。
  95. 西川三次

    説明員(西川三次君) CIFに対して今申しましたように、CIF価格を基準にしまして、そうして銀行諸掛は今申しましたように近海と遠海のパーセンテージがあり、それを掛ける。それに六十円、更に通関手数料三円、こういうことになるのですから、問題は持寄り価格はCIF価格で各地から持つて来るわけです。それで安いやつをとつてあと手数料についてはおのずから出て来るわけです。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、銀行金利であるとか、或いはその陸へ上つてからの諸掛り、港へ着いてからの諸掛り、そういうものについてはコンスタントがきまつているわけですか。
  97. 西川三次

    説明員(西川三次君) きまつております。
  98. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 問題はそこにあるのじやないかと思いますが、今日この一億九千万円に対して五千万円の、即ち二割五分の銀行利子の鞘が出ておる。銀行利子の鞘が二割五分出ているというとは、かなり私は大きなものじやないか。このほかに更に手数料というものがあるわけでしよう。そうしますと、その手数料では赤字を出しているから、これでカバーするのだということになりますと、これはおかしいと思います。この金利の鞘というものが二割五分もあるということは、少し多過ぎるのじやないかと私どもは考えるが、ここにこれだけの鞘があるから片一方は割つてもかまわないという入札の方法が出て来るのです。これは全体の支払う面から見れば、どうでもいいということになりますけれども、そこに非常な競争の激しいところが出て来る。それで場合によれば、余り激しい競争をするというと、うまく処理ができない場合も或いはあり得るのじやないかという懸念もあるのですが、先ほどの話によりますと、相当出血受注をやつているということでありますが、そうすると手数料なんかはマイナスで、この二割五分というものが五分くらいの銀行手数料で以て輸入しておる、受託しておるということも考えられるのですが、ここに掲げましたのは、これは二十五年、六年の大体トータルでしようが、ここにそれが出ているのは両年度経費がこうなつておるのですか、本年度の状態はこういうことはございませんですか。
  99. 西川三次

    説明員(西川三次君) これは先ほど申しましたように銀行諸掛は相当実情に合うようなふうに下げておりますから、相当買つて来ております。
  100. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質問ございませんか。  私ちよつと伺いますが、出血輸入というのはいつ頃から……、今も続いておりますか。これは二十五年度ですね、如何ですか。
  101. 西川三次

    説明員(西川三次君) 出血輸入は去年の大体九月時分から相当フレートが下つて来ておりまして、そういうところから始りまして、最近は殊にひどいようでございます。というのはこれは我々の想像でございますが、新聞なんかにちらほら見えておりますように、輸入組合法案が出るとか、或いは米あたりでも従来相当四十五、六社あつたのが、これでは競争買をするために或る程度数を減らしてやるとか、そういう声が伝わつておりますから、塩についても恐らく今二十五、六社ありますから、これをかなり整理するのではなかろうかというようなことで、そういうふうになつた場合、恐らく従来の政府のやり力は実績主義をとつておりますから、実績のあるやつが優先的に代行商社になるということもあるから、いろいろな場合を想像しまして必要以上に競争しているために出血競争になつているのじやないかと思います。
  102. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 安く塩をもらえば、消費者が出血することは、私ども痛いところじやないか。そのカバーを国費でカバーされちや……。
  103. 松永義雄

    ○松永義雄君 今西川さんのおつしやつたあれですがね、形はそのことだけは出血でしようね。だから露骨なことを言うと、スクラツプならスクラツプというものを政府から払下げて買う。どうしてそんなに高く買入入札ができるのか。ところがほかの山を持つてつてしまう、だから勘定になる。今丁度こちらがおつしやつたのは、それはビルを見たり支払勘定を見れば、どうも損は実際行つていないでしよう。だけど船のやり繰りをうまくやれば、銀行へそれだけ余計金利を支払わないで済む。結局政府が安く買つた安く買つた言つて金利を余計払つているのだから、決して安く買つていることにならないという結果になる。だからそういう場合も想像されるのですが、併しそういうことが摘発されているわけでない。だから安く買つたとうぬぼれていると思つていると、とんでもない間違いになることもありはしないか、そこがお役所仕事なんです。
  104. 西川三次

    説明員(西川三次君) 今御指摘になりましたような事実もなきにしもあらずでございますから、今後十分注意いたしまして、公社にふさわしい買付をしたいと思います。
  105. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 公社の事業に非常に関心を持つているのですから……。  では御質疑もないようでしたら、一応これで終了したと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めまして日本専売公社不当事項に関する項目は折切ります。有難うございました。
  107. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 次に日本国有鉄道不当事項に入ります。  それでは日本国有鉄道の不当事項でございますが、初めに項目に入ります前に総説につきまして会計検査院の御説明を頂き、又当局説明も頂戴して我々の審議参考にしたいと思うのでございますが、第四局長よろしうございますか。
  108. 大澤實

    説明員大澤實君) 三百三十八頁から三百四十四頁にかけまして、不当事項の個々の案件を別に書きましたのは、いろいろなものが入つておるのでございますが、一つは或る制度が妥当でないと思つたのが、国鉄としてもう定正された事項もありますし、それからなお検査院としまして結論まで出すのに余裕はなかつたけれども、一応こういう事項があることは検査報告に掲げたほうがよかろうと思われる事項を掲げたのもありますし、いろいろありますが、まあ大体お読み下さればわかる事項でありまして、特に敷衍して申上げたいところは、三百三十八頁の最初に(1)としてありますのは、収納が遅れているという点でありまして、これが日本通運に対する後納運賃の延滞金の一部免除したということと、それから日本交通公社から取るべき金が二月ほど遅れていつも取つているということでありまして、日本通運のほうは、二十六年の七月に改正されましてその後は二十六年度検査の結果を見まするに、一、二その改正の線から外れたのがありまして、これは即座に是正させました。制度としても直つております。交通公社に対する分は、これは交通公社の金繰りもあるでしようが、依然としてここに書いてありますように、一カ月又は二カ月というものを徴収を遅らしておるというのが、現状もそのままになつているように見えられますので、これは売上げは少くとも翌月には全部回収するという方向になお一層の努力が必要ではないかと思われます。  もう一つ敷衍して御説明申上げたい点は、この三百三十八頁から三百三十九頁に亘りまして書いている点でありまして、これは一つは、国鉄部内に操機工事事務所というのがありますのですが、そこで工事をされる場合には、いわばほかのほうの工事の下請、同じ国鉄部内で下請という言葉もちよつと当りませんのですが、下請的な工事をされている。そのために或る一部だけを、大きなといいますか、土木の大きなところを操機工事事務所がされて、あとはそれぞれの管理局なり工事事務所なりで仕上げをされるというので、その点の両方の連絡がときによると不十分な点もあるので、むしろ大きな工事は操機工事事務所に初めから終りまで全部任してされたほうがいいのではないかという感じもするわけであります  それからもう一つは、国鉄内部に技術研究所というのがありまして、そこでいろいろ土木の技術を主として検討されておるのでありますが、その研究の結果とそれから土木工事の実施の結果というものとの間の関連が不十分ではなかろうかと思われる点がありまして、それは具体的にはあとのほうに、三百四十七頁ごろに出ておるのでありますが、この点は更に折角ある技術研究所を十分活用される必要があるのではなかろうかという感じがするわけであります。  そのほか非常にいろいろな点が詳しく書いてありますですが、これには先ほど申しましたように会計検査院としても、いわば不当と断ずるまでの結論は出なかつたけれども、一応掲げて、こういうことがあることを報告するほうが適当であろうと考えて掲げた事項でありまして、それに対する鉄道側のいろいろな意見が又説明書のほうにも載つておりまして、彼此御検討願えれば仕合せだと思つております。大体この総説に書いてありますうちの特に敷衍申上げたい点だけを申上げました。
  109. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 如何ですか。
  110. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 只今検査院のほうから総説について御説明がありまして、私のほうはこの説明書に書いてあります以外に特に敷衍することはございません。特に答弁書の二百二十頁の(1)でありますが、只今お話のように日本通運に対しまする処分につきましては処置をいたしております。それで現在におきましては、延滞をいたしておりますものはほんの小部分でありまして、これにつきましては所定の延滞料金を取つております。  それから交通公社の分でありますが、これは誠に遺憾な次第でありまして、資金の関係その他もありますので、一般資金と分離いたしまして特設の銀行口座を設けさせまして、そうしてその資金の状態を見まして、極力平常状態に帰るように努力いたしておりまして、現在におきましては当時よりも十五日、半月ほど繰上げさしております。これは状況を見まして平生の状態に少しでも早く戻りまするように督促、努力をいたしております。  それから(2)の(イ)でありますが、操機工事事務所に対する工事の扱い方であります。これは誠に御説の通りでありまして、勿論この工事事務所の性質そのものが土工専門の切投工事を施行する機関ではございますが、これと一体といたしましてやつたほうが有利であるということで、この関連工事につきましては一括施行させるようにいたしております。又技術研究所の活用の問題でありますが、これは技術の成果を実際に移すということが望ましいのでありますが、誠に残念ながらこの実施につきましてはなかなかむずかしいのであります。従いまして国鉄といたしましては、技師長の下にこの研究成果の実際の採用方につきまして十分検討、連絡をいたしますると共に、無体財産の活用委員会というものを作りまして、そうしてこうしたいろいろのパテントその他を取りましたものが、本当に経済的に有利なものは実施状況がどうなつておるか、この活用方につきまして特段の努力をし、無駄にいたさないようにというので、そういうような委員会を作りまして一層活用方に努力いたしております。  次に(口)の問題でありますが、この同種工事の実績を見て予定価格には積算をすべきであるということは誠にお説の通りでありまして、そういうように努力をいたしております。ただこれにつきましてはいろいろこの当該事項につきまして前の実績を参考といたさなかつたことにつきましては一つの事由もあるのでありますが、とにかくこの御趣旨のように実績は尊重いたしまして、この予定価格の算定の資料とすることにつきましては十分注意をいたして参りたいというふうに考えております。  それから次の工事区の建物でありますが、これは又お説のように仮設物でありますものにおきましては、工事期間に償却されるような建物といたすのが建前であります。但しこの工事区の建物は他の工事への転用の問題とか或いはこの活用の問題その他との関連の下にこれは考えて参るべきでありまして、御注意の点につきましては十分実際に活かすように考えて参りたいと思います。  それから(3)につきましては誠に御尤もであります。御尤もと申しますか、検査院報告通りでありまして、遺憾に存じて早急処理をいたしておきます。  それから(4)の志免鉱業所におきまする洗粉炭の件でありますが、私も炭鉱の仕事に直接関係をいたしておつたのでありますが、御指示のようにこの精炭の品位をどうするかということは、炭鉱の経営につきまして大きな問題でございます。併しここのごとく非常に各種の石炭が出る所におきましては非常にむずかしいのでありますが、更にこれにつきましては十分にこの選炭に対して技術的に工夫をいたすようにいたしますと共に、この自動ボタ抜き装置というものを採用いたしまして、そうして上品位の選炭実績の挙るように努力をいたしております。これは御指示の通りでありますが、非常にむずかしい、各炭鉱とも苦慮をいたしておる問題であるということを申添えておきたいと思います。  次のピツチ煉炭の点でありますが、これ又国鉄の財政上にも大きい影響を及ぼすものでございまして、このメリツトの関係もありますが、どういう線区に、どういうような列車に使つたほうが効果的であるかという点を検討いたしまして、この煉炭の使用につきましては考えて参りたいというふうに存じております。    〔委員長退席、理事西山龜七君委員長席に着く〕  それから(ハ)の石炭の授受に関する問題及び検炭、検収の問題でありますが、これ又国鉄に大きい影響がありますので、御指示のごとく十分注意をいたします。特にこの検収設備はその後も九州、北海道或いは常盤に検炭所を設け、完備と申しますか、立派な施設を作つておりますので、そこで十分な検炭をいたして参りたいと考えております。  次に(ニ)の国鉄の石炭荷役会社の日本海陸運輸株式会社に荷役業務を一本としてやつていることについてでありますが、これ又国鉄の説明書に書いておりますごとくいろいろ事情がありまして、と申しますことは、却つてこの一本でやりましたほうが経済的であるというような見地からこれをやつておるのでありまして、実際問題といたしましても、十分この運輸省の認可いたしました基準料金に対しまして扱量とか或いは作業の継続性を考慮いたしまして、予定価格を低価にいたしまして、国鉄の利益になるようにいたして参りたいというふうに考えておりますし、又そういう工合に、私どもは現在の制度でそういうような注意をいたして行くことによりまして継続をいたして参りたいというふうに考えております。  それから(5)、(6)の御指摘でありますが、これ又検査院検査報告通りでございまして、これは十分注意をいたしまして、会計の適正を考えて参りたいと思います。(6)におきましては、国営自動車が独立採算制を強行いたしましたことから、変に何といいますか、現場に却つてその意味が徹底せず、いろいろその間に機構のやり繰り、機構の影響その他もありまして、車の活用を、目的のためには手段を選ばないというようなことがそこに出たのでありまして、この点はこの制度その他を改めまして、そうしてかかる事故の絶滅を期しておる次第でございます。  以上が概略でございます。
  111. 西山龜七

    ○理事(西山龜七君) 委員のかたからの御質問をお願いいたします。
  112. 松永義雄

    ○松永義雄君 私間接的なことを聞くからあとでもいいのですけれども、直接的なことについて御質問があれば先にして頂きたいと思います。
  113. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私(1)の問題で、これも間接的の問題になるか知れませんが、簡単にお伺いしたいのは、国鉄公社と日通並びに交通公社関係なんですけれども、これは国鉄公社そのものの性格から、国から一つの恩恵という言葉は語弊があるか知れませんが、この恩恵を認められている。それと同じように国鉄公社と日通乃至日本交通公社関係というものは、国鉄内部における土木請負業者と同じような関係なんでしようか。それとも特殊な国鉄運営のための便宜の計らい方はあるでしようけれども、経済的に外廓団体以上に特別の便宜を図るということはあり得ない関係なんでしようか。それを一つ。
  114. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 御質問の御趣旨は何か特典を与えておるのかどうかということだと考えるのでございますが、日本通運に関しましてはこれは運送免許の問題でありまして、特に御承知のように複数制で新らしく免許制を設けております。それで特別にこれにつきましての恩典と申しますか、そういうものはありませんが、ただこの鉄道輸送と小運送との一環という立場におきまして強力なる監督権は勿論運輸省でありますけれども、連絡と申しますか、いわゆる実質的な私どもは監督をいたしておるつもりでおります。  それから交通公社につきましては、これ又財団法人でありますが、ただ仕事の性質上これは私どもで切符の代売をやつております。それから又国策的と申しますか、公共的な面といたしましては、これは御承知のように外客誘致と観光というような広い面も持つておるのでありますが、国鉄といたしましては、特典はこの代売というもの、それから鉄道が市中に進出いたすことができない、この鉄道に欠けたるサービスを提供さすものといたしまして交通公社は特殊な立場をとつております。
  115. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ここでこの批難事項、として会計検査院から指摘されました総説の中にあるわけなんですが、    〔理事西山龜七君退席、委員長着席〕 延滞償金の一部を免除したという額はどの程度かということ、それから日本交通公社に一カ月の延納を認めたということですが、この二十五年度といいますか、ここに指摘されたような事項の金額はどの程度になるか、おわかりでしようか。
  116. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 日通の延滞を認めました理由は、ちよつとここにも書いておりますが、当時公用と申しますか、専売公社とか或いは通産とか、農林省の食糧庁とか、そういうようなものの支払が非常に遅れたのでございます。それでそういうものに相当いたします額を予定通り収納いたそうとしましてもなかなかこの支払ができ得ませんので、それでそれに対しまするものを止むを得ずこの延滞償金の免除をいたして参つた。これはその後政府契約支払遅延防止等に関する法律が出ましたので、それで促進はされたのでありますが、必ずしもいろいろその期間を以てその通り行かない。だからこの法律ができますまでのものといたしまして、これに相当いたしますものを延滞償金を免除いたしたのでありますが、その額が二千六百四十六万三千三百六円ということに相成つております。
  117. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ここに指摘されたようなことは、例えば国鉄公社と日通並びに交通公社との関連においてもあり得てならない一つの事態なんですね。そういうような点で我々といい又一般国民が、国鉄と交通公社並びに日通というものにとかく一つの内輪のなれ合つた感を多く抱く事象がたびたびあるわけなんです。こういうような点では一つ明確に、日通の会社のあり方を我々知つておりますし、現在交通公社の国鉄の外廓としての関連はあつても、実質はやはり政府に迷惑をかけないような、国鉄にもやはり迷惑をかけないような明確な線を守つてつて頂きたいものだというような点から、こういうような問題もやはり往々にしてあるのだと思いますから、こういうことはないようにしたいと思いますが、これと関連したような事項というのがとかく起り勝ちのような危惧を持つので、明確にこの点はやはり守つてもらいたい、こういうふうに思います。
  118. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はございませんか……。私ちよつとお伺いいたします。これに出て来ると思つたけれども出ていないのですが、先ほど加賀委員からも専売公社のときにちよつとそれにお触れになりましたが、二十五年度あたりは主食の配給が逼迫したということで、数字の上では、生産地から消費者に渡るまでには段階があつて、それぞれを通つて、その運賃を払つて出たことになるけれども、実際はその余裕のないことが随分多かつた、そういう運賃の問題ですね、架空の運賃の問題について、これは会計検査院でお調べになつても出て来ないものか、それともそれはないものでしようか、安心のできるような明快な御答弁を頂きたいと思うのです。我々消費者はその点に非常に疑惑を持つているのです。
  119. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の御質問の点は、ちよつと我々の検査としては、或いはまあ方法を何とか考えれば或いはできるかも知れませんが、現在のところではちよつと把握しかねる次第でございます。
  120. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 加賀さん如何ですか、その問題は私どもしよつちゆうこれには、重大な関心を持つて来ているのですが。
  121. 加賀操

    ○加賀操君 僕に聞かれましてもこれは困りますが、これは実際僕らがやつたときにそういうことはあり得ます。それから運賃が公定になつておりますから、これは法的には何ともしようがないわけなんです。それから政府が委託する場合にちやんと算定してあるのですからね、これは業者のほうが上手だというわけですからそれは止むを得んです。併し実際に諸掛が余計かかつている点を是正することは正しいことだと私はこう思つております。ですからそういう点で大分政府のほうでその期間に是正されて諸掛が減つていることも私は事実だと思います。
  122. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 例えば日通に余計払い過ぎている、日通を通らないものが……、主食の場合ですね、我々よく数字だけで勘定して米の全額を扱つた分とすれば、その金が払い過ぎていることがしよつちゆうある。我々が主食を扱つて来ると問題になつて出て来ています。じやそういう問題で経理局長何かこう御説明頂けますか。
  123. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) ちよつと国鉄といたしましてはそういう特に責任と申しますか、私責任を持つてこうであろうというような推察もでき得ませんし、ただ私どものほうといたしましては、この寄託しましたものは、架空の輸送というものは私のほうはやつておりません。それから社扱いのものをやらないのにやつたということは私のほうはわからないのでございまして、これは専ら若しそういう御疑惑があれば、或いは運送店と申しますか、そちらのほうを何しませんと、国鉄といたしましてはどうもどうであろうということも推察いたしかねるのでございます。
  124. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑がなければ、これで一応総説の部は終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 次に進みまして、日本国有鉄道の批難事項の中で、千二十号から千二十三号までを御審議を願いたいと思います。
  126. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今議題になりましたものは未収金に関することでありまして、千二十号は収納処置緩慢に失すると認められるもの、千二十一号及び千二十二号は、徴収決定が遅れていたもの、千二十三号は正規の手続によらないで自動車運送料を収納しているものというのでございますが、それらにつきましてその後の善後処理調べなどをお手許に御配付いたしましたように、国鉄のほうから最近までの調査が提出されておりまするので、御参照下さればその事情がわかると存じます。
  127. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院のほう何か。
  128. 大澤實

    説明員大澤實君) ございません。
  129. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局のほうは。
  130. 高井軍一

    説明員(高井軍一君) 特にございません。
  131. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑をどうぞ願います。……御質疑はないものと認めてよろしいでしようか。では一応終了したものと認めまして次に進みます。  第千二十四号は小委員のほうへ移すべきものと認めますので、その次千二十五号から千二十九号まで御審議願います。
  132. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) これは工事に関するものでありまして、技術上の問題と申しましようか、非常にむずかしい問題なのでございまするが、それにつきまして検査院関係のかた及び当局関係のかたにお越しを頂きまして下調べをいたしましたものがございまするので、簡単に御参考に供したいと存じます。  千二十五号は、場所は四国の予讃線という鉄道線路で、下灘、喜多灘という間の、その辺の土質が非常に悪いので崩れてしようがないという所がござります。それは山からもう直ぐ海に接しているという所でございまするが、そこの法面の移動及び崩壊の予防対策としまして、切取工事及び擁壁、開渠工事を施行したのでありまするが、上のほうから滑り落ちるところの土の圧力のために擁壁及び開渠が破壊された。それから土を切取つた場所は土が滑りまするので、その移動のために工事完成したときに元の形が失われている。この箇所は主要断層地帯と申しますのは、たしか本州の真中どころで、私がちよつと誤解いたしておるかも知れませんが、日本海側は糸魚川あたり、太平洋岸は天竜川あたりと思いますが、それを貫いた線、それが非常に土質が悪い。それからずつと西のほうへ直角に渡りまして、奈良県下、和歌山県下のあの辺をずつと通過し、それから四国の真中あたり、或いは瀬戸内海の海岸に近いような所をずつと貫いて非常に崩れやすい地帯になつているということであります。その中の一箇所なものでありまするので、従来から法面即ち山の傾斜地が移動し、崩壊の慮れが多分にありまするので、昭和十八年以来すでに数回に亘つて補修工事を行なつて来た地区でありまするから、検査院の見解としましては、何か特殊な対策を講じなければならない、それがためには、さつき検査院局長からお話がありましたように、技術研究所もあることでありまするから、そこでよく研究をした上で何らか特殊な対策を講ずべきものと認められるのに、通常の斜面に対すると同様に、法面の緩和をめどとしまして、一番表面の、表の土を取つたものでありまするから、表土と申しますれば、如何に土質の悪い、崩れやすい所であるにしましても、多年雨が降つて叩かれてもおりましようし、草も生えておりましようから、或る程度すでは雨水の浸透を防ぐ力があるわけでありまするが、その表土を切取つたためにますます雨水の浸透を増し、却つて崩壊の虞れも生じているので、このときの二十五年度の工事は、その計画通りの効果は挙げ得なかつたということが検査院の御指摘であります。  これに対して当局の答弁としましては、この切取り工事につきましては、その地形、それから地質などの特異性をよく研究をしまして、そうしてだんだんと地滑りの土砂を切取るということにされまして、それについては九州大学の教授の安蔵博士の有名な地滑りに関する理論がありまするので、その理論に基いて設計をした、そうすると、山の岩盤まで全部土を取るものとすれば、八万立方メートルの切取りを要することになるわけでありまするが、亀裂が入つておるその状況から判断をしまして、実際に滑り出した土砂に対しては先ずこの際の工事としまして、ここに指摘されておる約三万立方メートルの切取り工事を行なつたものでありまするが、なお附加えて申しますると、滑り出して鉄道の運転がとまる虞れがあつた、その際に応急工事として先ず最初に一万立米取つてありまするから、結局は合せて四万立米を取つたことにまあなつたわけであります。問題としては三万立米と現われております。そういうわけでありまするから、御指摘のような単なる法面の緩和というわけではない、それから又この切取りによりまして、鉄道の線路に対する崩落の危険性は減じた、なおこれで四万立米取りましたが、理論上残つておる土は、なお四万立米あるわけでありまするが、これは経費関係もありまするので、その後の状況を一応見て、どうしても取らなければならなければ第二次の計画ということに考える。とにかく費用の点を考慮して半分ばかりの土を取つたのであるということであります。  なお御指摘のほうに、表土を切取つたので云々と書いてありまするが、その表土の点については、実はもうここはたびたび切取られておる所であつて、表土はほんの上のほうにしか残つていやしない、而もその所は大部分が戦時戦後の食糧混乱の時代にいも畑になつてしまつてつたので、本当に表土の残つておる所はずつと上のほうのほんの一部分で、而もそこが今度はえらく崩れて落ちたというような事情もありまするので、実は表土の残りというようなものは殆んどないわけでありますということが答弁に出ておりまするが、それは只今この刷り物には成るべく文章を短かくしたいと思いましたのでつい書き残しました。さてこれだけの工事をやつたものでありますから、残つたところの土の地滑りは一応落着いたというふうに考えられましたので、そこで山の傾斜地の傾斜の表面を流れて来るところの、雨が降つたときに流れて落ちる、その水を横のほうへ取り流してしまうという目的で排水用の溝を作つた。それから崩れて落ちる土を少しでも支えることに役立つかと思つて、小さい擁壁をこしらえた、ところがその後になりましてやはり土がずれて来たのでありましよう、擁壁に変状を来して、とうとうそれは倒れてしまつた。この点は誠に残念なことであり、又工事の設計としても余りよい結果が得られなかつたので、この点ばかりは誠に申訳がないということのようで、この点は全く失敗であつて、遺憾であると言つておられまするが、その後の豪雨がありましても、この傾斜地のその地滑りは少くなつておりますし、ここで切取つたその効果が大さかつたと考えられるので、防災上この設計は適正であつたと、こういうふうのことなのでございます。  ここで御説明をやめて置いてもよろしいかと思いまするが、或いは何かの御参考にもなるかと存じまするので、少しばかり立入つたことを申上げることをお許しを願いたいと思いまするが、そこに参考として書きましたこと、この擁壁及び排水用の開渠を作つた、そのことはこういう場所でそんなことをすべきものでない、不適当であるという点は検査院の御指摘通りでもあり、当局においても十分認めておりますということ、次にこういうところの土は、如何に安藏博士の地滑り論によるとはいうものの、それも一つの見解ではあろうけれども、もつとほかの何らか特殊の工法を講ずべきだという検査院の御見解も、私などそういう技術方面のことには暗い者でありますから何とも申上げかねますけれども、恐らく権威のあるかたのお説でありまするから妥当であると認められまするし、そうかといつて当局の御計画も必ずしもこれが不当であるというふうに断定することもできないような次第とも思われますので、まあこの点につきましては強い意味での批難というようなことではなく、検査院から当局へ対しての注意、併し単純な注意という意味ではなく、よく改善を要するというような意味での御注意があつたものと見るのが或いは適当ではないか。  それから先ほど総説のところにおきまして、国鉄の技術研究所の活用が不十分なこともあるというお話がありましたが、その一つの例が丁度ここに現われていることと思われまするので、勿論これも国鉄のほうで全然御利用にならなかつたというわけではありませんけれども、いま一段の活用が望ましいというふうに見るべきものではなかろうかと感ぜられましたので、全く素人考えを申上げて恐縮ではございますが、まあ御参考に供したいと思うのでございます。  それから次の千二十六号、これは浜名湖の鉄橋なのであります。あそこの橋脚の中に少し弱いものがありまして、是非とも応急の補強工事をしなければならないということ。これは技術研究所において十分御研究の上でその橋脚の中のこれこれの橋脚はこういうふうに補修をする必要があるということを検査の上でこの工事を始められたのであります。併しそれを実行するに当りまして、現場のほうでは捨石工法という方法をとられたのでありまするが、その結果を見ますると、洗掘、波に洗われて下のほうが掘れて行くといつたような洗掘と、それから臨時的な制動その他の衝撃に対しては有効ではあるけれども、この工事の意図するところは、鉄橋の上を汽車がこう走つて行きまするその際の震動でありまするから、反覆的な震動を防止するということが目的である、それには適合しないものである。然らばどうすればよいかと言えば、試みに一つの案を検査院のほうから出せば、橋脚の周囲に杭を打つて、それに適当な工法を施すということにすれば、同じだけの費用を以て遥かに有効な補強ができたはずだと、こういう御指摘であります。  なお附加えて申上げますると、このときは橋脚が八本悪かつた、その中で四本だけは特に悪かつたものでありまするから、これに対しては厳重なる補強工事を施された。残りの四本が比較的軽微な損傷でありまするので、簡単な工事を施されたというのであります。なおもの一つ附加えますると、この鉄橋はこれと併行して新らしい鉄橋ができまするので、それが出来上るまでの間ほんの二年か三年、ただ当座の間だけこれが間に合えばよいというような事情の下に行われた工事なのでありました。で、この検査院の御指摘に対しまして当局の答えとしましては、杭を打つという杭打工法を採用しなかつたのは、実は従来から橋脚の下のほうに水の中に多数の元の捨石がありまして、それに上つてこの橋脚を支えておる。それをその元からある捨石を一時取除いた上で施行しなければならないので、却つて多額な費用を要すると認めた。それでその工法は採用しなかつたと、つまり経費の点を考えて、又ほんのここ二年か三年持ちさえすればよいというような事情のためにこの工法をとつたのであるという、こういう答弁なのでございます。これも又甚だ僭越ではございまするが、御審議の御便宜、若しくは促進というような意味から素人考えを参考に供したいと思いまして参考として掲げましたが、検査院の御見解も尤もと認められまするが、又振動防止についての研究が不足であつて、ロジカルな設計という点についてはこれは多少不十分な点があろうかと思われまするが、それ以外には当局の工事の計画が不当であつたというような断定もしかねるものでありまするから、やはり本件もこの前のものと同様に強く批難しがたいものと思われるのではないかというふうに考えられる節もあるのでございます。  それから次の千二十七号、これは琵琶湖の水が大津附近から瀬田川になつて流れます。あの瀬田川の鉄橋を架け換えますについて自然鉄道線路を移さなければなりません。それで新設の瀬田川のこの鉄橋に至るためのその鉄道の路盤建設工事が、左のほうの岸は草津側、右の岸は大津側と申しますか、京都側と申しますか、同時にやつたのでありまするが、その草津側のほうについて土堤が崩れた。それで更に応急工事を行わなければならなくなつたのでありまするが、検査院の見解では、これは築堤の仕上工事の施行に当り盛土締めを均等に行わず、且つ筋芝、土羽打等の施工が不十分であつたことによると認められるし、請負工事についての施工監督上の注意が不十分であつたと認めるという御指摘であります。と申しまするのは、少し申し遅れましたが、その左岸の草津側は相当長い距離に亘るところでありまするが、そちらのほうが崩れた。これに反して右岸の大津側のほうは僅か四十五メートルというほんの短い工事でありましたが、そちらのほうはちつとも崩れていない。同じときにやつた工事であるのに、右岸と左岸との間にそれだけの差を認める。それは、これも先ほど検査院局長から総説としてお述べになりました操機工事事務所を利用した仕事でありましたので、左岸の草津側はその操機工事事務所が機械力を用いて先ずやりましたところが、その築堤の中間に当りまして道路がありまするので、そこに樋門を設けなければならないとか、いろいろそういうふうの手でやるような仕事があつたものでありまするから、そういうような仕事を別の請負工事にやらせた。そんなことのために機械力を用いてやつたその仕事と、中間に手の仕事が入り、そうして最後の仕上げをするようになつた。それらの関係などがあつてこのような不結果を来したものと認める。これに反し右岸の大津側のほうは、全部を人手でやつたものでありまするから、うまく行つておるのであろうというような事柄がこの問題の中に入つているわけなのでございます。  当局のこれに対する答えとしましては、施工なり監督なりについては同一の請負人がやり、同一の監督者が監督をしたので、そちらのほうに差があろうということは一応考えられない。ところがたまたまこの年は夏前からしばしば大雨が降つた、又何とかいう台風などもやつて来た。殊にこの問題の最も重大問題とされる、この御指摘の問題の中心となる工事の被害は七月に起つたことでありまするが、その七月上半期の間の豪雨の呈というものは、実に近来稀なる大雨であつたのでありまするから、恐らく今作つたばかりの新らしい堤防にその通りの雨が連日降つて来た。又その中には台風もまざつておるというようなことでありまするから、飽和状態に達しておるようなところへ持つて来て大雨が降つて、こういう結果になつたものと思う。豪雨による災害が主たる原因であるというふうに当局では述べておられるのでありまするが、いろいろと双方のお話を承わりまして、これ又甚だ潜越ではございまするが、御審議の御参考までに素人考えをちよつとここに附加えて記しておきましたが、この芝付の時期などの点について、これは時期が悪かつたということは、当局も認めておりまするし、検査院の見解も妥当であると認められまするが、土堤が崩れました……土堤と申しまするよりも高い線路、その線路が崩れました当時の雨の降り方、それらの記録を詳細に見ますると、その線路の一部の崩壊は、災害に基くものではないとは到底断定いたしかねるという点もございまするので、これも又余り強くは批難ができないものではないかというふうにも思われるのでございます。それからその次の千二十八号は、検査報告に図面を添えて詳細に説明がされておる問題でありまするが、これはちよつと本当を申しますればこの図面なぞについて一つ一つ申上げなければならないわけでございまするが、素人がそんなことを申しましても、又場合によりましては専門のかたにお話を伺いましても、ちよつと簡単にはわかりにくいことでございまするので、もう本当に最後の点を端折つて申上げますると、ここに坑道が四つ掘つてある。これは三本まで掘るのはよいが、四本日の坑道を掘つて空気抜けに使つた。ガスを抜くために使つた。それはあつて悪いことはない。あるに越したことはない。けれどもなくてもよいものであるから、その緊急性を認めがたいというのが検査院の御指摘なのであります。  これに対して当局の答えは、この答弁書のほうの二百三十一頁から二百三十二頁に亘りまして書いてございまするが、ここの炭鉱はガスの噴出で有名なところであり、従来この災鉱においても、又その附近の炭鉱においてもしばしば大爆発を起したことがあつて、多数の犠牲者を出しているという例があるので、この場合にも当局としましては保安という見地から万全を期するということを考えなければならない。万一にも普通の炭鉱同様の考えで仕事をやつて若しものことがあつたときには、あとになつて多数の犠牲者を出したということがあつては、それこそ何と申しても弁解の仕方がないので、保安上の見地から万全を期するというところに最も重点を置いたのである。なお附加えて申せば、当時石炭増産ということがやかましく要望されたときでありましたから、増産という点から技術上やはりこれが大いに必要なことでもあつた。なお又将来これが不必要になるかと申せば、石炭をだんだん掘つて参りますると、採掘量が増加いたしまするので、現在の運搬の道路だけでは足りない。従つてここを運搬道路として使うということにも計画がしてあるのでありますから、その点から見ても経済的に決して不利益なものではないというような説明であります。  それでこれ又甚だ僭越でございますが、若干私の感想をここに参考として記したのでございまするが、検査院の御見解もまさに適当なことと思われますが、当局としてはこの人命の尊重、保安という見地からその万全を期したいというようなお考えの余りにこういう方法をとられたのでありますので、その処置としましては事情の諒とすべきものがあり、これ又余り強く批難はできないのではないかというような感じを持つているのでございます。  それから最後に千二十九号でありまするが、この志免鉱業所と申しまするのは、元海軍が経営しておりました鉱業所で、それを現在国鉄のほうで受けて直営事業でやつておられるのでありますから、従来その附属の機械類なども旧海軍時代の機械がずつと多く引続いているというわけであります。そこで四千馬力というような大き過ぎるような機械がそこにあり、それを国鉄のほうで、それでは余り力が強過ぎて不経済だから、それを改造して、二千馬力のものに直して現在使うということにされた。それを検査院のほうで御覧になれば、こんな大きい機械に高い修繕費をかけたのは間違いであつて、ほかに小型の機械が十三台もそこにあつたのだが、それに対して予備の機械を一台かそこら増加しさえすればこんな余計な費用はかけなくともよいものだという、こういう御批難なのでありまするが、当局の答えとしましては、この四千馬力もある機械が二台ありまするが、すでに海軍時代において基礎工事も、それから収容する建物なども、かような力の強い機械も入れるのにふさわしいところの立派な設備もそこに残つてつて、全然これが遊休施設となつておりまするので、これを活用すれば石炭の増産にもなお役立つということからこれを利用したのでありまするし、又当時使つておりました小型の機械は、同じ会社で作つたものならばいいのですけれども、ほうぼうの会社で作つた品物の寄せ集めであり、又もうすでに相当古くなつておりまして、耐用年限がもう切れておるといつたような状態のものでありまするから、それで折角ここに遊休設備があるんだからそれを利用しようという考えからこの機械の修理を行なつたのであります。結果を申すならば、電力の費用などは多少不経済な点があるけれども、それは止むを得ないという答えであります。  それでこれ又僭越ではありまするが、御参考に供したいと思いますることは、検査院の御見解は実は御尤もなことでもあり、又改修工事の計画に当つて十分よく研究されたかどうかという点については、必ずしもそれは万全であつたとも認められない点があることはあると思いまするが、併し遊休設備がそこにあり、それを活用しようという考え、単に機械ばかりでなしに、厳重なる基礎工事があり、立派な建物の中に入つておる、それを利用しようというようなことでありまするので、これ又その事情を聞けば諒とすべき点もあり、これ又余り強くなお批難をするということもできないような性質のものかと思いまする。  以上甚だ説明が長くなり過ぎまして申訳ございませんが、何分にも事柄が事柄で、つい御説明が長くなりましてお許し願いとうございます。
  133. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院で何か補足なさいますことがございますか。
  134. 大澤實

    説明員大澤實君) 内容只今専門員のほうから詳細御説明がありましたので省略いたしまするが、こうした純技術的な問題を会計経理上の不当事項と一緒に掲げることがいいか悪いかというようなことについては御批判もあろうと思います。  ただ会計検査院としまして申上げたいことは、最初の千二十五号の分は切取りの問題でありますが、これは丁度この時期より少し前に、先ほど専門員の御説明のありました断層線、あれの一部に当ります…だしか奈良県の近所だと思つたんですが、この近所を、鉄道技術研究所が近畿鉄道の委託を受けまして地滑りの所を調査された結果は、切取りでは不十分である、やはり完全な水抜工法をとらなければならんというような結論を出して、近畿鉄道のほうへ委託調査の結果を報告されたことがあるのであります。そうした点から見ても、鉄道技術研究所のほうに調査を委託されれば、又異なつた見解が出てその頃からいわゆる水抜工法その他処置がとれるのではなかろうか、それが当初は鉄道技術研究所のほうの、内部的によくは知りませんが、少くともその調査がなくて工事を始められた、それが落着かんので、その後鉄道技術研究所からやはり調査をされたそうでありますが、その結果が水抜工法が適当であろうというので、現在は切取工法を変えて水抜のほうの工事を進められておるというようなお話を伺いました。そうした点で鉄道技術研究所の活用を図るべきではなかつたかというふうな感じがするわけであります。  それから千二十六号の浜名橋梁のほうは、これは鉄道技術研究所で一応調査をいたしまして、捨石工法で不十分で効果はないということが報告にあつたと思います。そういう報告が一応出ております。それをこの分なら大丈夫だろうというので、現場のほうでその報告を無視されたといいますか、報告通りに工事をしなかつた。その結果は余り適当ではないというので、これもやはり先ほど申上げました活用が十分ではなかつたのではなかろうかと思うのであります。  それから次の千二十七号の瀬田川の築堤問題でありますが、これは東京の操機工事事務所があらかじめ土を持つてつて運んでおいたわけでありますが、それを請負になつたときにこれを延ばして築堤にしたわけでありますが、まあ卑近な例で或いは当らないかも知れませんですが、丁度餅をついて少し皮が固まつた頃にそれをもう一つくつつけたというような恰好になつたために土がなじんでない、これをもう一度全部引きならしてこねてなじませれば落着いたのでしようが、そうした点になじみが少かつたのではなかろうか。それと同時に先ほどお話にありました張り芝が時期が適当ではなかつたのではなかろうか、それが今度の崩壊に果してそれだけで崩壊があつたと言えるか、或いはこの崩壊はそうした若しも検査院が言うような方法をとつてつても、あの例の京都の大正池がつぶれた直前の雨でありますが、そうした雨で或いはやられたかも知れない、この点はどうも何とも判断がつきかねるのでありますが、そういう当初の工法に多少不十分な点があつたりしたのではなかろうかという感じがするわけであります。  次の千二十八号の坑道開鑿は、検査報告書に書いてあるようにあるに越したことがないと思います。通商産業局に初め工事をするときに申請した。それは鉱山保安上認可を要することになつているようでありますが、そのときはいわゆる三本で認可を受けておる。その後大事を取られて四本にされた。鉱山保安のほうの大元締といいますか通商産業局のほうでは三本でも十分であろうという一応の結論はあつたようであります。併しあるのに越したことはないのは事実でありますが、経費の有効使用というような面からでなくとも、済むものなら成るべく減らせたら減らしたほうがいいという趣旨であります。  なお千二十九号の空気圧縮機の問題ですが、いわゆる死退蔵になつている物資を活用するという面から見れば、それを回収したほうがいいのでありますが、やはりこれも経費との見合いから考うべきではなかろうか。いわば小さい空気圧縮機を一つ買つて来てそれで済むならば、たくさんの金をかけて大きな空気圧縮機を、それがたとい現在活用されていなくても、大きな金をかけて回収するということは経費使用としては妥当ではないのではなかろうか、こういうような感じがするわけであります。
  135. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局の御説明要りますか。
  136. 江藤智

    説明員(江藤智君) この千二十五、千二十六、千二十七につきましては、先ほどの専門員の御説明で尽きておると思います。ただ只今検査院のほうからお話がございましたので、国鉄側といたしまして一言附加えさせて頂きたいと思います。  先ず千二十五号でございます。実はこの地滑りという問題は、土木工事といたしましても最もむずかしい問題でございまして、まだこれが一番いいという方法は土木技術としてきまつたものはございません。ただ崩れて来ました場合に法面を緩和する、或いは水抜き或いは擁壁を作るというような事柄は普通用いる方法でございます。なぜ水抜き口を作らないかというと、すでに技術研究所や他の部門でもそういうようなこと言つてはおるのではないかというお話でございますが、こういうふうにすでに崩れて参りましたところで、どういうような水抜き口を作るかということが問題なのでございます。却つて批難事項になつております法面にやはりコンクリートの水抜き口を作つたために、それがつぶれてここでお叱りをこうむるようなわけでございまして、こういうような水抜き品はすでに動いて来た土のところではこしらえることは技術的に申しまして効果はない。然らばどういうような方法をとるかというようなことにつきましては、遺憾ながらこのときにはまだ技術研究所におきましても我々のほうにおきましても結論に達しておらなかつたわけでございます。私のほうといたしましてはその後技術研究所とも十分連絡をいたしまして、そしてこんなに滑つて来たところは別といたしまして、少し動きそうなところというようなところを予防するのには、こういうような工法で狸掘りを進めて行つて、こういうふうに堀を作つて水を抜いたならばもつと効果的であるということは、その後の二年間の研究によりまして実は或る程度見通しがついたのでございますけれども、このときにおきましては、私といたしましてはこういう方法をとりましたのも不適当ではなかつたというふうに考えております。  なお技術研究所との関連でございますが、技術研究所もいろいろの部門がございまして、こういう土につきましては地質関係の専門家がございますが、こういう人たちは私のほうの施設局とも常に人事の交流をいたしておるのでありまして、できるだけの連絡は実はとつておるつもりでございますけれども、こういうような御指摘がありまして、その後は特に連絡を密にしてやつておりますので、その点御了解願いたいと思います。  又千二十六号の問題でございますが、これ又士の中に立てた橋脚の振動防止の問題につきましてははつきりした工法はきまつておりません。勿論金をかけまして頑丈なものを造ればいいのはきまつておりますけれども、これを如何に安く、而もその経費に適当したような結果を生むかということにつきましてはまだはつきりした結果は得ておらないのでありまして、このときも非常に悪いものについては当初から金をかけまして直しておりますけれども、このときの判断でこの四つの橋脚については捨石工法によつて大体いいだろうという見通しでやつたのでございますけれども、その後の結果から申しますと、これは非常に精密な測定でございますので、結果としましては余り効果がないようだというような結果になつたのでございます。その結果を参酌いたしましてその後又新しい工法も研究したのでございますけれども、これ又このときの考え方といたしましては、費用などとも見合せまして、やはりそう適当であつたとは私として考えておらないわけであります。併しこういう問題も、こういうことを基礎にいたしまして研究はその後進んでおります。  それから千二十七号でございますが、これは成るほど操機工事事務所で主な土工を施行し、その仕上を他の請負業者に施工させたのでございまして、その間に、ギヤツプのあつたことは確かでございますけれども、河の両岸の中で一方は崩れ、一方は崩れなかつた、これは同じ監督者が監督しておるのでございますから、同じ眼で見ていることは間違いないのでございます。又芝付の時期も不当であつたと言われますけれども、六、七月が芝を付ける時期におきましては一番いい時期なのでございます。而もそのときの雨量を見ますというと、その年の七月の上旬十日間に合計四百六十ミリという雨、この地方の年の平均雨量が千五百ミリでございますから、一年間の三分の一の雨が十日間に降つておる。而も崩れました七月十二日には僅か二時間程度に実に百十ミリという豪雨が降つておるのでございまして、これはケイトという名前も付いておる台風による豪雨でございますが、そのためにこういう工事をやらなかつた。もう長く鉄道を動かしております山陰線や東海道線の一部におきましても、こういう土崩れを起しておるのでございますので、いろいろなあとから御批難もあると思いますけれども、最大の原因はそういう稀有の台風による豪雨のためは崩れたのだと、私どもも考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、私どものほうから……。
  137. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑をどうぞ願います。別に御質疑おありになりませんでしようか。
  138. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 直接この問題に関係がないのですがね。国鉄にちよつと伺つて見たいのですがね。あの道路と平面交叉しておりますあの鉄道のところの責任はどつちにあるのでございますか。軌道の上の交叉道路は……。
  139. 江藤智

    説明員(江藤智君) 道路でございますか。
  140. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 道路と鉄道の平面交叉……。
  141. 江藤智

    説明員(江藤智君) これは原則といたしましては、鉄道でこしらえましても道路管理者のほうに移管するのが原則でございます。移管いたしましたらそれは道路管理者側の責任になる。ただ木橋であるとかいうようなもので、管理者側のほうに引継ぎましても、管理者のほうがこれでは迷惑するというような場合は引継ぎを向うのほうで拒否する場合があります。そういう場合には、国鉄のほうがやはり責任として残つておるわけであります。こちらの財産になつておる。併し原則は道路に適応したいいものをこしらえまして、そして向うのほうに、管理者側のほうに管理替するというのが原則になつております。
  142. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 そうすると最近私東京の都内を自動車でよく歩きまして見ているのですが、道路だけは改善されて、それから鋪装されて巾が広くなつておるのですがね。どうも環状線だとか赤羽線のほうのやつですが、そういうところの踏切りですね。これはみんな軌道線のほうが巾が狭くて、そうしてこれが少しも改修されていないのでございますね。あの責任はそうするとどつちにあるのでございますか。
  143. 江藤智

    説明員(江藤智君) それは大体道路のほうが広がつて参りまして、鉄道のほうに越えます場合の費用は、道路をこしらえるほうの側が持つのでございます。ですから道路のほうはできて来ますけれども、橋梁は金がかかるものですから、道路を作るほうの側で、都なり国なりですが、予算がないために置いておかれるのだと思います。私どものほうでは、電路を拡げる場合に費用分担はいたしておりません。ただ私のほうの線路が殖えるために、その代り橋の長さが伸びるという場合には、私のほうで費用を負担しております。
  144. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 実は私最近目撃したことがあるのですよ。これは東上線と国鉄と並行して建つておりますね、池袋……。あそこが非常に狭くなつておるのです。
  145. 江藤智

    説明員(江藤智君) 踏切でございますか。
  146. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 そうしてあそこで荷を積んだ三輪車が輻輳するために、あそこで顛覆しているのですね。そうして何か自転車が少し衝突して壊れているのです。見ておつて危いと思つているのですが、あそこはどつちの踏切になるのですか、あんなのは大した費用もかからずにやれると思うのですがね。
  147. 江藤智

    説明員(江藤智君) 今の協定で申しますと、向うのほうから幅員を拡げる金をこちらのほうに委託して参りまして、線路の上ですから、私のほうで工事しますけれども、費用は向うで持つことになつております。併しあそこは取りあえず道巾を拡げることが先でございますけれども、私のほうでもあそこはやはり立体交叉にしなければいけない所だと思つておるのです。そういう場合には費用を分担することになつております。
  148. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は事故を目撃したものですから、ちよつとこれは工合が悪いなと思つて承わつたわけです。
  149. 小酒井義男

    小酒井義男君 別に質問じやないのですが、実は今日問題になつておる一千二十六号という浜名湖の問題ですね。これについて先般派遣されたときに、正式な調査目標ではなかつたわけですが丁度批難事項に出ておつたので、私どもも現地を、途中下車して、そうして相当風がひどいときでしたが、小さい舟に乗せてもらつて見て来たのです。あれなども私ども素人が見た場合には、水の比較的浅いところで、波も割合大きな波が当らんところに行つて見ると、これで一応補強の役目は果しておるじやないかというようなふうに受取れるのです。非常に技術的に行くと、振動の振幅がどうかということになつて行くと、なかなか我々、が出掛けて行つてもわからないのですし、こういう技術的な問題の意見の対立というようなことを、ちよつと素人でどちらが正確だとかどうとかという判定はなかなかむずかしいと思うのです。私はやはりこういう問題は運輸省のほうとしても、検査院側の批難する意見というものを聞いて頂いて、そうして将来に備えて頂くというようなことよりできんのじやないかということを感じて来ましたので、ちよつと感想を申上げておきたいと思います。
  150. 江藤智

    説明員(江藤智君) 只今お話がございましたことは、全くお説の通りでございまして、私のほうもえてしてこういう純技術的な問題になりますと、それぞれ理窟を、言いたくなるのでございますけれども、検査院の御指摘の点は全く虚心坦懐に拝聴いたしまして、その後もずつと実は非常に力を入れまして研究を進めておるのでございます。で、こういう御指摘がなければ、ここまで進まなかつただろうという程度まで実はその後におきましても研究は進んでおりますから、その点はこの機会に発表できると思います。
  151. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今のお話ちよつと関連しまして、この技術問題は私もこの間九州のほうに行つて技術問題にぶつかつたのですが、お話のようにやはり私どもが行つたつて無論現場を見るだけであつて、判定などできるものじやないのでございます。ただ私見て来たのは農林省のやつなんですが、その後帰つて来て農林省へ行つて、そういうような建設工事の調査費のほうについて調べて見たのです。ところが農林省ではその工事をやるときに調査費用というものを組みまして、そうして予算の範囲で大体調査をする、そうしてちよつと予算の範囲内で調査したその調査で以て結論をつけてしまつて、多少の問題は残つているのですが、一応結論をつけたということで、現在のところはイージー・ゴーイングといいますかね、そういうあり方があつたように私は思う。鉄道のほうではそういつた場合にもつと慎重に調査……今日の日本の科学技術といいますか、そういつたような機関で以て調査のできる範囲のものは、予算なんていうものはかまわずにお出しになるだろうかどうか、これをちよつと承わりたいと思います。
  152. 江藤智

    説明員(江藤智君) 実は鉄道のほうの技術と申しますか、殊に私の方面の土木技術につきましては、これは又相当我が国の土木技術界におきましても重きをなしておるつもりでおります。どうしてそういうふうになつて来たかということを考えますと、鉄道はまあ非常に長い土木の歴史を持つておりまして、そういうような研究或いは実際に仕事をやつて参りまして、これが設計が不適当であつたとか或いはもつとこういうふうに直さなきやいけないというふうな場合に割合にスムーズに設計変更をするとか何とかいうことはできるようになつております。勿論そのときには技術的な十分な説明は聞きますけれども、その大きさにもよりますけれども、相当なものは私のところまで来るような仕組になつております。ただ予算の範囲内で縛られるから、工事をその中でもう納めてしまうというよすなことは、これは鉄道においてはないと私は思つております。
  153. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑、ございませんか。……それじや御質疑はないものと認めまして一応この項目は、第千二十五号から千二十九号まで一応審議は終了したものと認めてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議はないものと認めましてそのように決定いたします。   —————————————
  155. 奥むめお

    委員長奥むめお君) なおお諮りいたしたいことがございますが、決算審査に関する小委員でありました岡本愛祐君、菊田七平君がそれぞれ二月十八日、二月十六日に委員を辞任せられましたため小委員に欠員ができましたので、この際その補欠選定をいたしたいと存じます。前例によりまして委員長の指名により補欠選定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めます。それでは私より加賀操君、谷口弥三郎君の両名を小委員に指名選定いたします。   —————————————
  157. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それから決算審査に関する小委員長の選定の件についてお諮りいたします。いろいろの事情で選定が遅れておりますが、時日もあまりないことでもありますので、小委員会における互選の成規の手続を省略いたしまして、委員長の指名により小委員長を選定いたしたいと存じますが、おまかせ願えませうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それではさよう取計らいます。委員長より谷口弥三郎さんを小委員長にお願いいたします。   —————————————
  159. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 次に派遣議員報告に関しましてお諮りいたしたいことがございます。従来この委員会におきましては派遣議員報告は口頭報告を省略いたしまして文書を以つてすることになつておりまして、これを印刷配付して頂き、併せて会議録に掲載するということになつてつたのでありますが、今後なお一層事務の簡素を計るため報告書の印刷配付をも省略いたしまして、会議録にこれを掲載するということにしてゆきたいと存じますが、御了承願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それではさよう取計らうことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会