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専門員(
森荘三郎君)
只今議題になりましたこれら多数の
案件は、先ほどの問題と結局関連している問題でありまするが、
国庫負担の対象外とすべき
工事に対してということが問題とな
つているのであります。そうしてそれも
件数もこの
通りありますが、これを
府県別にいたしますと、
北海道ほか三十一の都
府県というのでありますから、まあ大ざつぱに申せば日本至るところと申してもいいような
事情であります。
それを種類別にいたしますると、九百二十九号から九百三十一号までは架空の
工事、九百三十二号から九百四十九号までは
改良工事、九百五十号から九百六十八号は
出来形の
不足又は設計の誤り、九百六十九号から九百七十三号は設計のよろしくないもの、九百七十四号から九百七十六号は当年度における未着手の
工事である。九百七十七号から九百八十一号までは二重に
国庫金を交付したものであるということであります。
以上五十二件でありますが、
検査院の
検査報告と政府から提出されております
説明書とをいちいち対照いたしますと、その文字だけの上ではかなり
見解が一致していないように見えるものがございましたので、それで双方の
関係者に御足労を煩わせまして、いろいろと詳細にその
事情を聞いて見ました。その結果を申上げますると、先ず第一に最初から
見解が一致を見ているものもありまするし、最初には
見解が一致していなか
つた点もありまするけれ
ども、その後よく
調査を重ねられた、或いは
検査院と
当局との間にいろいろと話合いをされた、それによ
つて見解が
只今では一致するに至
つたというものもあります。ただ現在でもなお
見解が対立しているというものが次の三件なのでございます。なおこれらの詳細に関しましては、極く最近に
建設省のほうから国会に対して
説明書の追加調書というものを提出されまして、これはお手許に差上げてあるはずでございます。それには一番上の欄に
検査院の
指摘、真中の欄に各
府県における
見解、下の欄に
建設省としての意見及び措置というものが一欄表の形に出ております。
それでこの
見解の対立せる三件について簡単に申上げますると、九百三十三号というものは青森県の問題でありまするが、
検査院のほうでは被災の事実を認めないということが先ず第一にな
つております。
ちよつとここで一言注訳を加えますると、
災害という言葉には、こういう問題について或る特別な
解釈が与えられておりまして極めてその損害の
程度の少いものは
災害とは言わない。或る
程度以上のひどい損害を被
つたものを
災害というのであるというようなことを
ちよつとお含みの上で、お聞き取りを願いとうございます。それで
検査院が先ず第一に本件に関しては被災の事実を認めないということ。それから次に今ここで修理をされましたその道路の、右のほうと左のほうとになお十四キロに亘る長いところが交通杜絶のままにな
つている。そうして見ると、両方が交通杜絶であ
つて真中のところだけ改修をしたとしても、道路としての効用が
復旧されていない。言い換えれば、経済的効果が少ない。それではこの
法律で
補助を与える要件に適わないということが
指摘にな
つておるのであります。これに対して、
当局の答えとしましては、確かに被災の事実があるということ。それから
復旧された道路の
部分はすでに利用されているということを確かに認めているということ。それからその右のほう及び左のほうに未改修の道路がまだそのまま改修されていないという御
指摘でありまするが、これは青森県において改修するつもりで、予算を組んだところが、
全額県費負担でやらなければならないことになりまするし、近来の
財政困難なために予算から削られたということで、こういう結果に
なつたという
お話であります。
それから九百四十三号のほうは福井県の問題でありまして、あの大地震のために町の中の舗装されてお
つた道路が非常に毀損した。それでこの
部分は
災害を被
つておるから、これは
復旧工事と認めて
国庫補助の対象にする。ところが一
部分は何ともない。だからそれは
査定から除く。又向うのほうには
災害の
部分があるというふうに、あちらこちらと、こんなふうにな
つているように聞きました。或いは私の誤解かも知れません。それがために
査定外の七十三メートルという数字がこう出て来るのでありますが、これを修繕しまするときに全部を通じて修繕されたように聞いております。それで
検査院はその最初
査定外におかれたところの七十三メートルというものは、ただ年月が来るうちに自然に壊れたのに過ぎないのであ
つて災害の
復旧という中に入れるのは適当でないという御
指摘のようであります。これに対して
当局の
説明では、最初の大地震のときに道路の舗装がえらく壊された。併し或る
部分は本当のひびが入
つてお
つたと、いわばこういうような工合にごく軽い損害を受けてお
つて、それが表面に現われていなか
つたわけだから、最初に
査定外のものとされたのであるが、その後余震がしばしば起
つておりますが、最初の小さい傷がだんだんと大きくな
つて表面化するということになり、それがたび重なるものでありますから、結局
災害によるところの損害である、それが続いてだんだんと大きく
なつた、結局これは
災害復旧事業の中に入れるべきものである、こういう御
見解であります。
次の九百七十号は熱海の伊豆山の温泉のありまする下の所の海岸のことでありまするが、
検査院の
指摘は、要するに単価の見積が高過ぎる。それでは何を物差にして測
つて見て高過ぎるのかと言えば、もう
一つほぼ同じ場所に、全り遠くない所に同種の
工事が行われておる。それが安い値で行われておるということ、それから今問題にな
つておりまするその事業の中の一
部分の事業一
部分と言いますと、これは半分とか何とかという意味ではありませんので、海の中から大きい石を取上げて、それを船に積んで海岸のほうに運んで来てそれを海岸で又海の中へ捨てて、それが又流れて行かないように
相当な手当をするという、そういう種類の
仕事だそうでありまするが、潜水夫などを使
つて大きい石を船に取揚げて、そうしてそれを海岸まで持
つて来て、海の中へ捨てるという、そこまでの
仕事、その意味での一部の
仕事なんであります。それを下請に出しておるが、その下請の単価が非常に安い。この二つの物差で見たときに、如何にも単価の見積りが高過ぎると、こういう御
批難と了解しております。これに対して
当局の
説明は、先ず第一回に競争入札をやりました。
相当多数のものが入札に参加いたしております。ところが落ちない。第二回目にもう一遍や
つたところが、又同様落ちなか
つた。それで仕方がないものだからして、従来普通に許されておる
通りに随意契約という方法をと
つたのでありますが、このときの政府の見積価格というものと同じ値で随意契約がされておりますので、普通入札のときよりも却
つて安いと言いましようか、決して高くない値で随意契約が締結されておりまするし、又その契約の相手方は第二回目の入札のときの一番安い入札をしたものと契約がしてありますから、人選の上においても、少くとも
金額の上から見まして不当なこともない。なおほかの同種
工事がその附近で行われておるということでありまするが、それは
事情が違う。今問題にな
つておりまするところは、海岸が浅い所でありますので、船で持
つて来たものを海岸から遠い所に落す、それを又改めて十メートルばかりも動かさなければならない。これに反して他の同種
工事と言われておりますその所は、丁度船を港、というと余り大袈裟になりますが、とにかく船を付ける場所でございますので海が深い。従
つて船をそのままそこまで引つ張
つて来て、そこに石を投げ込めばよいというような工合に、
事情が違
つておるというようなことなどを挙げておられるのでございます。
以上三点を特に御
審議頂きますれば幸いと存じますが、なおそれに関連しまして、ここに備考の一と備考の二というものを掲げておきました。備考の一というのは九百四十五号の大阪の問題でございまするが、これは昨年の夏当
委員会から伊藤さんとそれから小酒井さんとがお出でにな
つて、私がお供をして参りました。そのときの
調査報告が昨年の十月頃のこの
委員会の速記録に出ております。で、そのときにこれを問題にしまして、必ずしも
検査院の御
指摘がそつくりそのまま当
つておるとも思われない節があるというような意味の言葉が出ております。
只今これについてどう
なつたかということを聞きますると、
当局において
検査院の御趣旨に副うて再
査定をすると、こういうふうにな
つております。なおその結果を聞きますると、大体に適当な解決が行われたということでございます。
次にこの備考の二と申しまするのは、これは
波江野専門員から述べられたほうが適当と思いまするので、どうぞそのようにお許しを願いたいと思います。