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1953-02-18 第15回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十八日(水曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            成瀬 幡治君    委員            瀧井治三郎君            中川 幸平君            西山 龜七君            長谷山行毅君            松平 勇雄君            伊達源一郎君            松永 義雄君            村尾 重雄君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            三好  始君   政府委員    経済審議庁総務    部会計課長   塚本  茂君    建設大臣官房会    計課長     斎藤 常勝君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    建設事務官    (河川局砂防課    長補佐)    矢野  道君    建 設 技 官    (河川局防災課    長補佐)    野田 利朗君    会計検査院事務    総局検査第一局    大蔵検査課長  志村  博君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算(内閣提出)   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは委員会を開会いたします。  今日の問題は初めに経済安定本部審査事項九百九十号から九百九十三号までのものを議題に供したいと思います。但し九百九十号から九百九十二号は架空経理の問題でございますので、本委員会打合せによりまして小委員会に一任することになつておりますので、九百九十三号職員不正行為、この問題を審議にのぼせたいと思います。そちらのほうで何か関係官庁で御説明がございましようか。
  3. 志村博

    説明員志村博君) 会計検査院はございません。
  4. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 別にございませんね。
  5. 塚本茂

    政府委員塚本茂君) これはここに書いてある通りでございますけれどもちよつとそれでは……。九百九十三号、これは会計検査院検査報告通りでございまして、こういう事態が起りましたことは誠に恐縮千万に存じておる次第であります。この事件が起りましたのは昭和二十五年の九月二十二日でありまして、当日は丁度二十三日の休日と二十四日の日曜日の連休の前日でありまして、而も俸給日でありますし、小切手振出件数が非常に多くて、又常時の小切手事務担当者が出張して不在でおりましたので、この手続に通暁しておつて、而も平時非常に勤務成績のよかつた雇の松戸某を代行させたということから起つたので、誠にこの代行さしたことも軽卒でございまして、甚だ遺憾な点であります。こういう事態が将来起らないようにするために、その後いろいろの会議等の際にも十分注意するようにしておりますし、こういうことは今後は絶対に起らないと我々確信しておる次第であります。なお、この被害金は、これは本人の家庭もかなり裕福じやないように見受けられますので、早急に回収は困難とも思われますけれども本人実父連書確約書ももらつて返済するように努めております。それからなお本人昭和二十六年六月二十日に懲役二年に処せられて服役中でございます。以上でございます。
  6. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か御質問ございましたら御発言願います。御質疑もないようでしたらば経済安定本部関係九百九十号から九百九十三号一応質疑は終了したものと認めてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めまして次に建設省関係に移ります。  建設省関係審査事項第八百三十三号から九百二十八号までを議題に供します。専門員から何か御説明ありますか。
  8. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 八百三十三号から八百六十八号までは直轄工事経理が著しく紊乱しているということでありまするが、これは架空経理の問題として、別に小委員会において審議することになつておりまするから、本日はこれを除いて御審議を願いたいと思います。  それから八百六十九号は経費年度区分を紊したもの。八百七十号から八百七十二号は北海道河川事業費の使用が不当であるということ。八百七十三号は警察予備隊営繕工事がよくないということ。八百七十四号から八百七十六号は河川直轄工事施行がよろしくないということ。八百七十七号から八百八十号までは河川改修及び原形超過工事全額国庫負担災害復旧工事として施行したことがよろしくないということ。その次の八百八十一号から八百八十二号は北海道河川工事施行がよろしくないということ。次の八百八十三号は使用不可能な機械をしゆう集したということでありまして、これらはいずれも検査院の御指摘通りでありまして誠に遺憾に思いますという回答になつております。  その次の八百八十四号から九百二十八号ですが、この問題につきまして、ちよつと御参考に供したいと思いまするのは、実は災害復旧工事費につきましては、明治二十何年という頃から、災害復旧原形復旧するのを目途としてやるのであるが、但しそれだけでは又再び災害が起れば、すぐさま損害を蒙るわけでありまするから、多少は改良工事を加えなければならない事情がありまするので、或る程度までのものは、仮に原形超過する工事であつても、これを復旧工事と見なすというふうになつておりまして、それに対して三分の二の国庫補助を与えるということが、明治から大正、昭和を通じて、最近までそうなつてつたのでありましてそれが各府県末端に至るまで、こういう方面の関係者の間には常識になつてしまつてつたのであります。ところが、たまたま昭和二十五年になりましていわゆるシヤウプ勧告というものがありまして、災害復旧全額国庫負担で急いでやらなければならない。つまり全額国庫負担でありまするから、補助金の率はうんと引上げられたわけであります。その代りに災害復旧というところに一本の強い線を引いて、復旧原形超過すると認めるものについては、やはり以前と同様に三分の二の補助しかやらないということにきまつたものでありました。但しその際にはいろいろこれについてはむずかしい問題も起りそうでありまするから、その法律差当り一年間だけの暫定的な法律として制定されたのであります。結果を申上げまするとその翌年に多少の改正はいたしましたが、原形復旧原形超過とを区別しなければならないということは、次の二十六年度においても変りはなかつたのであります。ところが非常に事が複雑になつて困るというようなことからして、二十七年度になりますると、又法律改正になりまして、昔と大体において同じような形に変つて来たというように了解いたしております。さてこの二十五年度におきまして今のような急激な改革をいたしましたので、その精神が末端までよく行届かない。それから線の引き方をどこで引くかということなどにつきまして、抽象的に言えば簡単ではありまするが、具体的な問題となればかなりいろいろな混雑が起るというような事情があつたようであります。そこで検査院のほうでこれをお調べになりましたところが、原形超過工事と認めるべきものが原形復旧工事と同様に見られて補助の率がたくさんやり過ぎであるというような事件をここに多数列挙されたのでありまして、工事個所は数十カ所に及んでおりまするし——ちよつと今申し損いました。工事の問題となります個所は五百五十六カ所に及んでおりまして、府県で申しますると香川県一県を除いて全国一般に亘るというようなことでありましたので、それで検査院報告にこれが掲げられたのでありました。それに対する当局の御説明としましては、今大体私が申上げましたようないろいろな混雑があつたりして、指摘を受けるような事件が多かつたことを誠に遺憾と思うが、併し当局としては、いずれ最後成功認定ということをやりまするから、そのときによく実地を調査した上で、超過部分があるならば、必ず厳重に返還をさせると、こういう回答になつております。それだけ申上げておきます。
  9. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局の御説明おありになりますか。
  10. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今議題になつております案件で、八百八十三号までは先ほど専門員からも紹介されましたように、検査院批難を全面的に当局は了承されておりまして、私から取立てて申上げることもございません。この八百八十四号から九百二十八号の原形超過の問題でありますが、これも只今専門員からおつしやつた通りでありまして昭和二十五年に特例法ができましてそれで従来は一律に三分の二の補助であつたものが、原形復旧については全額国庫負担、それから原形超過分については従来通り三分の二国庫負担と、こういうふうに相成つたわけであります。一昨年になりますが、一—三月頃に府県検査を実施してみますると、非常にこの原形解釈府県によつてまちまちである。それで建設省なんかの方針によつて見て参りますると、非常に府県間にでこぼこがある。それでは折角の特例法も非常に不公平な結果を来たすのではなかろうか、こういうことで検査院としては、実は異例な取扱いであつたのでありますが、四十六都道府県全部一応検査しよう、こういうことで一昨年やつてみたのであります。全部一応検査すると申しましても、災害復旧工事現場というのは、三万三千ほどあり、会計検査院の廻りましたのは、ここにもございますが、三千四百カ所、漸く全体の一割見当しか歩けなかつたのであります。三千四百カ所歩きまして、その結果が先ほど御紹介がありましたように、五百五十六カ所という原形超過個所を発見したのであります。これは相当に相手に対して甘くと申しますか、検査上非常に間違いのないものだけを拾い上げまして、ここに掲げたのであります。それが実に五百五十六というような大きな数になつたわけであります。併しながら先ほども紹介がありましたように、長年慣行されておつたやり方を、急に二十五年になりまして原形原形超過というものを載然と分けて、国庫負担率を変えるということにいたしました、まあいわば第一年度であります。これをあとに出て参ります、九百二十九以下に出て参ります架空工事だとか出来形不足というものと一律に扱うのは酷じやないか、こういう考え方から、ここに一つ府県分全部まとめまして整理して検査報告に掲げたわけであります。第一年度のことでありますし、甚だしく不当だとこう言つて批難する気持には実はなれなかつたのであります。ここに—状況の御報告かたがた集めて決定細分した次第であります。各四十六都道府県へ出しました。香川県を除きまして全都道府県にこういう事故がある。こういうことになつております。これもこの表を御覧になりますとわかりますが、例えば京都府、或いは福岡県というものは金額も小さくなつておりますが、こういう所が比較的厳正原形原形超過というものをはつきり分けていたのでありまして割合に妥当な原形ということをこの二つの県、ほかにもございますが、算定したように見受けられた次第であります。
  11. 米田正文

    政府委員米田正文君) 只今お話のありました原形超過工事等については、実はこの二十五年には法律改正がありましたのは、只今お話通りでございます。それらについてその年は四万四千三百六十カ所についての工事を実施いたしたので、そういうふうに個所が非常に多かつたということと、只今法律改正があつたというような点で、取扱者等が不慣れで、その間に齟齬を来たしまして、工事厳正化末端に至るまで一〇〇%徹底しなかつたという点につきましては、私ども誠に遺憾に存じております。ただこれらの問題につきましては、今後は十分これらの認識方末端に至るまで徹底をさせまして、慎重に実施をいたして、今後こういう問題のないように努力をいたします。
  12. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑ございませんか。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この問題については、私は現地調査を昨年して、会計検査院指摘されておる個所等についても直接調査に当つた一人でありますが、只今説明によりましても大体わかるのですが、こういうつまり昭和二十五年度に法律改正があつたとはいうけれども、こういう多数の件数が、而もこういう多額の金額に及んだということは、一体その直接の原因というのはどこにあるのですか。これは一つ小峰局長から法的な理由をおききしたいと思います。
  14. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 飯島さんの御質問にお答えいたします。今のどうしてこういうたくさんの問題が全国的に発生したかということは、これは何と申しましても、慣れない法律が、長年の慣行に明瞭な一線を画する、慣れない法律が出たというところが一番大きな原因つたと思います。で、建設省も今までは原形超過というようなことは、そう厳格に現地の指導というようなこともおやりになる必要もなかつたわけなんでありますが、急にこの法律が出まして、そこに線を引いて、片方は、原形復旧全額国で持つてくれ、原形超過の分は従来通り三分の二、こういうことになりましたので、この解釈を統一される必要があつたわけでありますが、一応建設省解釈というものが、府県に流れて行くというまでに相当の時間を要した、それで府県では早いところ、これを原形分と、原形超過分にわけて振り当てたわけなんでありますが、その間に従来の内務省というようなものもございませんし、県の間の解釈がまちまちで、先ほど申上げました京都のようなところは、非常に原形復旧というものを厳格にやつていたのであります。県によつては必ずしもそうでない。又府県財政が非常に逼迫しておることも一つ原因だろうと思います。それから初めは三分の二と全額国庫負担ということがはつきりいたしませんで、何でもかんでも災害復旧は今年は全額国庫負担なんだというような噂も実は立つたのであります。それで府県では全部国で持つてもらえるものということで、仕事の段取りなり振り当てなりをやるというようなことが多かつたように見受けられるのであります。
  15. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今理由の第一のところで、不慣れの法律が急に施行されたということは肯けるのですが、二の理由指摘された府県財政が逼迫されておる云々という理由が挙げられておりますが、そういう顕著な事例は、たとえばこの案件のうちのどこですか。
  16. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 総括的な原因ということで申上げたのでありますが、顕著な事例と申しましても、どれとどれ、こういうふうに申上げるのは、ちよつと困難かと思います。全般的に府県財政は御承知のように非常に逼迫しておりますので、成るべく国庫にたくさん持つてもらいたいということは、どの府県でも同じじやなかろうかということを考えております。
  17. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に河川局にお伺いしますが、現地行つてみて、超過分或いはこれは原形復旧という区分が、どうも一定の基準で、それがなかなか行われておらない感じがするのです。或る県に行つてみると、これは原形復旧と称されるものが、たとえば隣の県に行つてみると、それが超過というような扱いを受けておるような、我々は感じを受ける事例がある。それじや一体建設本省認定査定ですか、受けたかというと、受けたと言う。こういう答えをしておる事例もある。そうするとその責任県当局にあるよりは、むしろ建設本省にあるのではないかと私は思うのですが、その建設本省会計検査院の間には、超過原形復旧とに関する何か非常に明瞭な打合せというものが行われておるのですか。超過超過認定するについて、どうも私は現地行つて調べて見ると、その間に、現地だけに還付しろという、最後責任を負わせるのは少し酷なような事例が非常に多いのに逢着をして非常にその点意外に感じておるのですが、本省会計検査院で、その点に関しての何か基本的な打合せというのは、おやりになつたことがあるのですか。
  18. 米田正文

    政府委員米田正文君) 只今指摘の点は、原形復旧というけれども原形復旧見解がときに異なつておるではないかというお説であります。建設省といたしましては、災害がありますと、各県に参りまして査定をいたします。これは各県の作つてあります設計書に基いて、それを査定いたすのであります。そのときに建設省方針というものは、こういう限度原形だという方針は、各査定官打合せをいたしまして、本省打合せをして、それから現地へ出掛けることになつております。従いましてその通りに行われておれば、只今の御指摘のような点はないわけでございますけれども、それが数の多い何万カ所というものを、而もこの災害査定は非常に緊急に査定をいたします。殆んど査定官は徹夜で査定をいたして、二、三日のうちに成果を得て持つて帰るような実情でありますので、その間に全部現地が見れない場合もありまして、そういう場合には机上査定をする、いわゆる部屋の中で現地状況を聞きながら査定をするというようなことも一部やりますので、その数の多い中にそういう点が、ときどき見受けられるということは、実は十分な人員と十分な時間があれば、それが厳正を期し得られるのでありますけれども、現状でまだそこまで行つてなかつたため、御指摘のような点が生まれて来たと思うのであります。これは今後の査定官教育打合せ、或いは現地府県の者の教育等によつて解決をいたしたいと、こういうふうに考えております。なお会計検査院とのお尋ねでありますが、これはその原形復旧という限度については、会計検査院と我々の建設省のほうとで打合せをいたしております。
  19. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今河川局長からお答えがあつた点でありますが、会計検査院も実はこの法律が出まして、従来あまりそうきちんとそこまで考えていなかつた原形原形超過というものを、截然とわけざるを得なくなつたわけであります。国庫負担率が非常に違うのであります。然るに、若干の県を見ますと、非常にまちまちになつている、先ほど飯島さんの御指摘通り実情つたのであります。これじやとてもいかんということで、全国的に検査をやつたわけなんでありますが、会計検査院で区別というものはできる性質のものじやございません。これは建設省なり担当官庁でおやりになつたのを、会計検査院として、著しく不当ならば文句を申しますが、一応はその専門見解によつてわけられた標準というものに、会計検査院も従わざるを得ないわけであります。それで私どもとしては全都道府県建設省でおきめになつ標準というものを伺いましてやつたわけでありまして、それから打合せというのは実は一昨年、数回に亘つて建設省の係官に来て頂きまして、標準というものの打合せということをやつたわけであります。それによつてここに検査報告に載つて来たわけなんでありますが、建設省標準府県がきちんとやつており、その通り査定をなされば、こういうことは余り実は起きないわけであります。ところで実際には先ほど河川局長からのお話のように、机上査定というものが非常に多いのであります。個所数が三万、四万というあれでありまして、限られた人数で、とても建設省現地査定を全部なさるということは、実情不可能でございます。県庁なり何なりで資料だけで判定されるというものが相当多いのでございます。私ども建設省現地御覧になつて査定されたものというものは、まあまあ比較的無難なんでありまして、そういうものよりも、実は机上査定のほうを多く私どものほうで現場を見るという方針をとつて検査しておるのであります。私どものほうは一割ぐらいしか先ほど申上げた通り現場を見られないのでありまして結局建設省の見なかつたものに重点を置くという、こういう方法でやつて参ります関係で、比較的検査報告に載りますような事項がたくさんある、こういう結果になるわけでありまして、方針建設省とも十分打合せた上で、今のような方針検査をした結果、ここにこういうようなものが謳われたわけであります。
  20. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは最後にもう一つお伺いしたいことは、会計検査院でお調べになつたのは、三万三千余個所のうち僅かに一割の五百五十六個所に過ぎない。而も金額が二億一千万を超過している、こういうことでありますが、その超過しておる国庫負担超過交付額ですね。これについては会計検査院としては飽くまで還付させるという御方針のようですが、その後どの程度までこれが還付されているか。
  21. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の三万三千余個所のうち、三千四百個所ばかり検査いたしまして、そのうち五百五十六というのがここに挙つておるわけでございますが、これは先ほど森専門員からも御紹介がありましたように、まだ竣工認定と申しますか、清算が済んでいないものが大部分であります。清算のときにこの事実を入れまして、当初予定よりも減して交付するなり、或いは減すなり、こういうことになるのでありまして、これは恐らく金額が逐次清算と共に是正される性質のものと、こういうふうに了解しております。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、飽くまでこの超過交付は、これは時間をかけても竣工認定を待つて取立てる。こういうまあ御方針が明らかになつたわけですが、そうすると、こういう還付をせしむるという具体的な仕事を進めておいでになると、その過程でなお残されておる九割の検査をしておらない地区のうちのめぼしいものについても、もう一度その検査をして全体に対する適否の判定をされるという必要が私は起りはしないかと思うのですが、そういう意図はありませんか。
  23. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 実は私どものほうで残りの九割を見るということはこれは不可能であります。と申しますのは、翌年新らしい仕事が出て参ります。二十六年度の検査報告御覧願いますとわかるのでありますが、これと当初の災害復旧国庫負担に関する不当経費というもの、原形超過の数は二年目でよくなりまして、減つておりますが、後に出て参ります架空工事とか、出来形不足というものがたくさんにわかつたのであります。こういう事実も私どもとしては検査をして行かなければいかんわけであります。一割ほどしか見られなかつたので、これは建設省のほうで残りの分についてはできるだけ、若しこういう法律に違反するようなものがあるならば、お調べ願いたい。こういうことをお願いしておるようなわけであります。私どもちよつとそこまで手が及びかねる次第であります。
  24. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今の御説のように、実は全部の工事を見て、その結果を見ることが非常に必要なことだと思います。けれども只今お話のように会計検査院としてもこれ以上能力がないというお話で、私どもといたしましては、この会計検査批難を受けましたものについは、勿論再査定をいたしまして、還付すべきものは、それぞれ還付の措置をいたすつもりでございますが、なおこの検査を受けなかつた分につきましても、今のお話がありましたように、我々といたしましては余力のある限り、現場行つて査定をいたすつもりであります。積極的にこういう事故のなくなるような、防止の方策のために是非全力を挙げて見たいと思います。
  25. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はこれは特に建設省関係の皆さんに申上げたいと思うのですが、さつき小峰局長がおつしやつたように、同じ超過工事認定をしても、これは現地行つて親しく拝見をすれば、やはり本省査定も受けておるし、超過とは認められたけれども、例えばもと空石積であつたものが練石積に変つておるとか、或いは沈床の数等についても、その延長が増加をされておるとかいうふうな認定を受けておるのですが、果してそれなら原形復旧でないという指摘を受けても、いやこれは原形ですと、こう言つてつて見ても、これを立証するに足る確固たる根拠がない場合があるのですね。ないというよりも、認め難い場合が現地に行くと数々ある。そういつたときに現地工事に直接当つた者に聞いてみると、やはりそこが私は技術者のよいところじやないかと思うのですが、こういう災害を数年中に再び繰返すことは我々技術者の良心として堪えられない、だからどうしても同じ程度の自然の災害に対しては、再びそういうことが起らないようにという良心から、例えば前には空石積であつたものが練石積に変つた、沈床の数等についても、例えば十メーターしかなかつたのを十五メーターにしたとか、そういうふうな実際まあ我々が冷静に聞いてみると、成るほど超過をしておるとは思うけれども、その心情というものは実に涙ぐましい努力でやつておる、そういうものと同じ超過をしておるけれども、いわゆるまあ悪質といいますか、そういう作意から出た超過工事というものを同一に扱つて、こういう表に出ておるような還付を杓子定規にやるということについては、私は建設当局としては若干の手心が必要ではないかという感じがする。こういうことは会計検査院のほうにお聞かせすると適当でないかも知れませんが、そういう点は私は建設本省としては査定をしたという責任もあるのですから、そこらのところには余程緩急よろしきを得なければいけない問題じやないかと思う。で、僅か一割しか検査していないので、あと是非してくれと私はそういうことを毛頭要望するつもりはありませんが、現地でああいう不眠不休で何らの悪意なしに、それこそああいつた災害地に身命を賭してやつておる人たちの建設意慾を殺ぐことがないように、特に本省の局長さんや大臣等におかれて、こういつた還付をさせる場合に、そこいらの親心が非常に必要ではないかという感じ現地において私はしばしば受けたのですが、そこらのところを、こういう急いで不慣れな法律ができたために根本は発しているわけでありますから、その辺のところを一つよくお願いしたい、こう思うのであります。
  26. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害復旧は非常に緊急を要する場合が多いのでありまして、災害を受けた。すぐその復旧をして民心を安定させるという仕事をやつておりますので、現地におりますものは、心魂を打込んで仕事をしているのでございまして、熱意のみでなく技術的にも非常な努力をいたしているのであります。その点を現地で御認識下さつて、大変思いやりのあるお言葉を承りまして、誠に感激いたすのであります。さような気持については現地にもよく伝えたいと思いますが、併し非違のあつた点については、これはやはり別に非違の点だけは厳正に処置して行きたい、こういうふうに考えます。
  27. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はございませんか……。御質疑はないものと認めて、一応八百三十三号から九百二十八号まで終了したものと認めてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  では次に進みます。第九百二十九号から九百八十一号まで。専門員から説明を願います。
  29. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 只今議題になりましたこれら多数の案件は、先ほどの問題と結局関連している問題でありまするが、国庫負担の対象外とすべき工事に対してということが問題となつているのであります。そうしてそれも件数もこの通りありますが、これを府県別にいたしますと、北海道ほか三十一の都府県というのでありますから、まあ大ざつぱに申せば日本至るところと申してもいいような事情であります。  それを種類別にいたしますると、九百二十九号から九百三十一号までは架空の工事、九百三十二号から九百四十九号までは改良工事、九百五十号から九百六十八号は出来形不足又は設計の誤り、九百六十九号から九百七十三号は設計のよろしくないもの、九百七十四号から九百七十六号は当年度における未着手の工事である。九百七十七号から九百八十一号までは二重に国庫金を交付したものであるということであります。  以上五十二件でありますが、検査院検査報告と政府から提出されております説明書とをいちいち対照いたしますと、その文字だけの上ではかなり見解が一致していないように見えるものがございましたので、それで双方の関係者に御足労を煩わせまして、いろいろと詳細にその事情を聞いて見ました。その結果を申上げますると、先ず第一に最初から見解が一致を見ているものもありまするし、最初には見解が一致していなかつた点もありまするけれども、その後よく調査を重ねられた、或いは検査院当局との間にいろいろと話合いをされた、それによつて見解只今では一致するに至つたというものもあります。ただ現在でもなお見解が対立しているというものが次の三件なのでございます。なおこれらの詳細に関しましては、極く最近に建設省のほうから国会に対して説明書の追加調書というものを提出されまして、これはお手許に差上げてあるはずでございます。それには一番上の欄に検査院指摘、真中の欄に各府県における見解、下の欄に建設省としての意見及び措置というものが一欄表の形に出ております。  それでこの見解の対立せる三件について簡単に申上げますると、九百三十三号というものは青森県の問題でありまするが、検査院のほうでは被災の事実を認めないということが先ず第一になつております。ちよつとここで一言注訳を加えますると、災害という言葉には、こういう問題について或る特別な解釈が与えられておりまして極めてその損害の程度の少いものは災害とは言わない。或る程度以上のひどい損害を被つたものを災害というのであるというようなことをちよつとお含みの上で、お聞き取りを願いとうございます。それで検査院が先ず第一に本件に関しては被災の事実を認めないということ。それから次に今ここで修理をされましたその道路の、右のほうと左のほうとになお十四キロに亘る長いところが交通杜絶のままになつている。そうして見ると、両方が交通杜絶であつて真中のところだけ改修をしたとしても、道路としての効用が復旧されていない。言い換えれば、経済的効果が少ない。それではこの法律補助を与える要件に適わないということが指摘になつておるのであります。これに対して、当局の答えとしましては、確かに被災の事実があるということ。それから復旧された道路の部分はすでに利用されているということを確かに認めているということ。それからその右のほう及び左のほうに未改修の道路がまだそのまま改修されていないという御指摘でありまするが、これは青森県において改修するつもりで、予算を組んだところが、全額県費負担でやらなければならないことになりまするし、近来の財政困難なために予算から削られたということで、こういう結果になつたというお話であります。  それから九百四十三号のほうは福井県の問題でありまして、あの大地震のために町の中の舗装されておつた道路が非常に毀損した。それでこの部分災害を被つておるから、これは復旧工事と認めて国庫補助の対象にする。ところが一部分は何ともない。だからそれは査定から除く。又向うのほうには災害部分があるというふうに、あちらこちらと、こんなふうになつているように聞きました。或いは私の誤解かも知れません。それがために査定外の七十三メートルという数字がこう出て来るのでありますが、これを修繕しまするときに全部を通じて修繕されたように聞いております。それで検査院はその最初査定外におかれたところの七十三メートルというものは、ただ年月が来るうちに自然に壊れたのに過ぎないのであつて災害復旧という中に入れるのは適当でないという御指摘のようであります。これに対して当局説明では、最初の大地震のときに道路の舗装がえらく壊された。併し或る部分は本当のひびが入つてつたと、いわばこういうような工合にごく軽い損害を受けておつて、それが表面に現われていなかつたわけだから、最初に査定外のものとされたのであるが、その後余震がしばしば起つておりますが、最初の小さい傷がだんだんと大きくなつて表面化するということになり、それがたび重なるものでありますから、結局災害によるところの損害である、それが続いてだんだんと大きくなつた、結局これは災害復旧事業の中に入れるべきものである、こういう御見解であります。  次の九百七十号は熱海の伊豆山の温泉のありまする下の所の海岸のことでありまするが、検査院指摘は、要するに単価の見積が高過ぎる。それでは何を物差にして測つて見て高過ぎるのかと言えば、もう一つほぼ同じ場所に、全り遠くない所に同種の工事が行われておる。それが安い値で行われておるということ、それから今問題になつておりまするその事業の中の一部分の事業一部分と言いますと、これは半分とか何とかという意味ではありませんので、海の中から大きい石を取上げて、それを船に積んで海岸のほうに運んで来てそれを海岸で又海の中へ捨てて、それが又流れて行かないように相当な手当をするという、そういう種類の仕事だそうでありまするが、潜水夫などを使つて大きい石を船に取揚げて、そうしてそれを海岸まで持つて来て、海の中へ捨てるという、そこまでの仕事、その意味での一部の仕事なんであります。それを下請に出しておるが、その下請の単価が非常に安い。この二つの物差で見たときに、如何にも単価の見積りが高過ぎると、こういう御批難と了解しております。これに対して当局説明は、先ず第一回に競争入札をやりました。相当多数のものが入札に参加いたしております。ところが落ちない。第二回目にもう一遍やつたところが、又同様落ちなかつた。それで仕方がないものだからして、従来普通に許されておる通りに随意契約という方法をとつたのでありますが、このときの政府の見積価格というものと同じ値で随意契約がされておりますので、普通入札のときよりも却つて安いと言いましようか、決して高くない値で随意契約が締結されておりまするし、又その契約の相手方は第二回目の入札のときの一番安い入札をしたものと契約がしてありますから、人選の上においても、少くとも金額の上から見まして不当なこともない。なおほかの同種工事がその附近で行われておるということでありまするが、それは事情が違う。今問題になつておりまするところは、海岸が浅い所でありますので、船で持つて来たものを海岸から遠い所に落す、それを又改めて十メートルばかりも動かさなければならない。これに反して他の同種工事と言われておりますその所は、丁度船を港、というと余り大袈裟になりますが、とにかく船を付ける場所でございますので海が深い。従つて船をそのままそこまで引つ張つて来て、そこに石を投げ込めばよいというような工合に、事情が違つておるというようなことなどを挙げておられるのでございます。  以上三点を特に御審議頂きますれば幸いと存じますが、なおそれに関連しまして、ここに備考の一と備考の二というものを掲げておきました。備考の一というのは九百四十五号の大阪の問題でございまするが、これは昨年の夏当委員会から伊藤さんとそれから小酒井さんとがお出でになつて、私がお供をして参りました。そのときの調査報告が昨年の十月頃のこの委員会の速記録に出ております。で、そのときにこれを問題にしまして、必ずしも検査院の御指摘がそつくりそのまま当つておるとも思われない節があるというような意味の言葉が出ております。只今これについてどうなつたかということを聞きますると、当局において検査院の御趣旨に副うて再査定をすると、こういうふうになつております。なおその結果を聞きますると、大体に適当な解決が行われたということでございます。  次にこの備考の二と申しまするのは、これは波江野専門員から述べられたほうが適当と思いまするので、どうぞそのようにお許しを願いたいと思います。
  30. 波江野繁

    専門員波江野繁君) 九百七十二号につきましては、今年の初め議員の実地調査がございましたので、その結果を簡単に御報告いたしまして、御審議の参考にいたしたいと存じます。この案件検査院指摘といたしましては、直営で人力掘さくをすることとして国庫負担金を査定して交付したが、実際は請負によつて安い機械掘さくを施行しておるから、設計当を得ないために工事費が多額となり、延いて国庫負担金の増大を来たしたものと認められる、こういうのでありますし、これに対する当局説明書によりますと、査定当時は、機械の入手及び配置転換が困難であつたために、人力掘さくとしたもので、設計当を得ないものとは認めない、こういうふうに出ておるのであります。この点から見ますと、意見が対立しておるようになりますが、この案件は実は問題が二つある。第一は査定の際におけるこの設計の当否という問題と、第二は、この当否が問題があるにしても、事実上安くなつておるものに対しては、これは負担金の増大ではないか、従つてこれに対する返還の問題はどうなつておるか、この二つの問題があると思うのであります。先ず第一点の査定の際における設計の当否、この点につきましては当局のほうの説明も納得し得ないでもありませんので、この点は余り強く批難はできないのではなかろうかと思われますが、併し本件の実態はその第二の点であります。さつきのように当局説明はこの第一点だけについて答弁しておるのであります。ところがその第二点がこの問題の本質ではなかろうか。といいますのは、この国庫補助は初め出しましたのは一応の査定でありまして、実費補償でありまするから、若し実際がその査定よりも安かつた場合においては、これが補助超過或いは返還という問題が起るのでありますが、この点に対する答弁がないのであります。これに対しまする現地当局説明といたしましては、事業を殖やしたのだと、その後たくさん仕事をやらしたから、実際は国庫負担金の増大はなくなつたのだ、こういうまあ説明があつたのでありますが、然らば数字的に果して国庫負担の増大はないという結果になつておるのかどうか、或いはこの事業量増加に対する建設省の承認を得たのかどうか、こういう点につきましては現地当局者の、と申しますとはつきり申しますと、徳島県庁のかたの明確な説明がなかつたのであります。併しその後建設本省のほうで、この点を質しましたところ、建設本省としましては、これは検査院指摘通り一応増大を来しておるものと認めて、その返還の方針で処置をする。その事業量の増加の点の問題は、県のほうから書類が来た上で、適当に処理する。こういうような御説明がありましたので、この点の意見の不一致は、現在においてはなくなつておる。こういうような事情になつております。以上が実地調査報告の内容でございます。
  31. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 当局の御説明はありますか。
  32. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 先ほど申上げましたように災害復旧国庫負担事業というものは、全国的にいろいろな問題をたくさんに温存しておるわけでありますが、この原形超過に関連いたしまして三千数百カ所の工事現場を昨年歩きまして、まあ会計検査院としては、こういうことは初めてであつたのでありますが、その結果、先ほどの原形超過の五百数十カ所、それ以外に今一まとめにここに出しました災害復旧国庫負担の対象外とすべき工事に対して負担金を交付した、これが百一件。工事としますと百十一工事でありますが、これを百一の案にまとめましてこの二百九十三頁以下に集めたわけであります。何分数が多うございますので、同種のものを更にまとめまして、架空の工事或いは災害復旧に名をかりた便乗工事出来形不足、設計が当を得ないもの、未着手の工事国庫負担金を交付したもの、二重に国庫負担金を交付したもの、この六つのグループに分けてここにまとめたわけであります。この百一件にまとめたわけでありますが、この中から三、四まだ建設省と私どもとの間で了解に至らない案件があるのであります。この案件につきまして、先ほど専門員から詳細な御説明があつたわけでありますが、実は私ども全面的に専門員の御見解には必ずしも承服できないのでありまして、一つ一つども見解を申上げる用意もしてございます。若し御質問がございましたら、お答えいたすことにいたしますが、私どもといたしましては、そういう建設省検査院と合わないものがまあ百幾つかの中から三つ四つ出た。これを深くお調べなさるのも、これも誠に結構だとは思いますが、更に一層御審議願いたいのは、三つ四つを除きました残りの、政府が検査院の言う通りだと遺憾の意を表しておる、まあ端的に申しますと、あやまつておるこの案件に、一つ御注目願いたいのであります。全国的にこういう経理上の不当、まあ強い言葉で申しますと、正しくない、不正な経理が全国的に行われておる。この事実に一つ目を付けて頂いて御審議願いたいのであります。補助工事というものは、国庫災害復旧工事関係のものは、御承知のように建設省に限らず、非常に農林省あたりでも多いのでありますが、二十六年度あたりは、農林省あたりは工事案件がたくさん検査報告に載つておりますが、こういうように非常に不均衡な、正直者が馬鹿をみるような経理が全国的に横行している。中には架空工事のような随分ひどいものも、やりもしない、災害も受けない、実際工事をやつていないというようなものに対してまで負担金が行つている、こういうような事実があるということを、一つ十分に御審議頂ければ仕合せと思うのであります。ここに集めましたのは二百九十六ページ以下ございますが、先ず第一に架空の工事、これは最も質の悪いものであります。石川県、島根県、山口県、各一県ずつしか二十五年度は見つからなかつたのでありますが、こういうものがございます。これは全部架空ではございません。一部の架空、災害を受けもしないものを災害を受けたものにまあもぐらせて、そうして国庫負担金を余計にもらつた、それが会計検査の結果見つかつた、こういうものであります。それから二百九十七ページの二の災害復旧に名をかり改良工事施行したもの、これはいわゆる便乗工事で、災害を受けますと、それに名をかりまして災害を受けもしないものまで含めて査定を受ける、そうして国庫負担の対象にしてもらつて負担金をもらう。殊に御注目願いたいのはこの二十五年度は全額国庫負担の年であります。災害を受けもしないのに災害を受けたようにして全額国から工事費をもらう、こういうのは誠にどうも穏やかならんことでありまして、私どもといたしましても、二十五年度が全額国庫負担であつたということを頭に置きまして、この便乗工事というものをやかましくとり上げたわけであります。こんなにたくさんずらつと並んでおりますが、どれもこれも遺憾なものばかりであります。ところがこの便乗ということは改良工事でありますが、原形復旧原形超過は非常にデリケートなものだということは、その限界が実際問題になると非常にわかりにくいものが多いということは、先ほどいろいろお話があつたわけでありますが、この便乗というものも相当に議論の立つものであります。やつたほうの側に立つて弁護しようとしますと、この便乗工事ついてはいろいろ弁護論も立つ性質のものでありますし、先ほど専門員が御指摘になりましたものも便乗工事が大部分であります。いろいろ細かく御詮議下さつた点は有難いのでありますが、先ほど申上げましたように、全額国が出して工事をやつてもらつた年であります。この点はあらかじめ十分お考えを願いたいのであります。原形超過というようなものまでやかましく言い出した年でありましてそれよりも質の悪い便乗工事というようなものは、相当これはやかましく言つて然るべきじやないだろうか、こういう頭で、私どもはこれらを、たくさんのもつと何倍かの便乗の疑問のある工事が全国で見つかつたのでありますが、その中から十分に選びましてここに十数件の工事を挙げて、工事数といたしますと二十七でありますが、これをここにまとめたわけであります。そう会計検査院は軽くみていないつもりであります。それから三百ページの出来形不足或いは設計の過誤、これが一つの大きなグループになつておりますが、これだけは誠にものによつて補助金詐偽と言われてもしようがないものさえも実はあります。百工事をやるということで百に相当する国庫負担金を取つておいて、実際は八十しかやつていなかつた、或いは七十しかやらなかつた、こういう性質のものであります。甚だ質が悪いのでありますが、殊に金を、補助金をやりすぎたというだけでなくて、再度災害を受けるという虞れが非常に多いのであります。工事の手抜きをいたしまして設計通りやらない。そうして又その次に大水が来ますと突然流されてしまいます。附近の民衆はこれでえらい目に遭うのでありますが、この懸念が特にこの出来形不足工事について多いのでありまして、私ども検査の重点というものは、この出来形不足というものを見つけるところに実はおいているのであります。これを見つけますと、金を返えさすのが能じやございません。手直しをしてもらう、設計通りのしつかりしたものにやり直してもらう、こういう方針でやつている次第であります。それからあとの四のグループ、これは三百三ページにございますが、これは設計が非常にまずかつた、そのために国庫負担金の増大を来たしたというグループをまとめたわけであります。それから三百四ページのまだ着手していない工事に負担金を交付した。或いは最後の二重に、前年度の国庫負担金を交付してあるのに又重ねて国庫負担金を交付した、これなども甚だどうかと思うのでありますが、こういうのもここにございます。こうした案件につきましては、若し御質問がございましたら、御説明申上げます。災害国庫負担というものは随分大きな問題でありまして、どうぞ一つそういう観点からも御覧願いたいと思うのであります。
  33. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑をどうぞ続けて願います。
  34. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今第三局長の言われた二重に交付金を交付した例を一つ二つ説明願いたいのですが、どういう場合だつたか。
  35. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 二重に国庫負担金を交付したもの、これが二つに分けて実は考えられるわけであります。同じ工事建設省と農林省と両方から国庫負担金を取る。又一つ工事につきまして前年度にもらつたのを翌年度で又もらう、この二通りあるのでありますが、二十五年度では建設、農林両省からダブつて国庫負担金をもらつたという例はありません。第二の建設省関係災害復旧につきまして、前年度に国庫負担金をもらつたのに翌年度も又国庫負担金を取上げたという案件がここに五件、三百五ページに並べてあります。宮城県では、これは甚だどうもまずかつたのですが大きいのが一つ出ております。千七百万—二十四年度末において、この下に書いてございますが、千七百九十九万円が超過交付になつておる。それが又更に翌年度初めにどすんと国庫負担金を交付したものでございますから、一層に国庫負担金の超過交付が多くなつておる、差引計算すると、一つ工事に二度国庫負担金をやるような結果になつておる。こういうようなのが金額としては一番大きかつたのであります。その次の山梨県、これはわかりやすいあれですが、二十四年度に購入した鉄線蛇籠代の千八百万円、これは国庫負担金を交付済であつたのであります。それを又二十五年度に持越して使用した右の、今申しました千八百万円のうちの一部の蛇籠を二百八十八万円、これを又国庫負担金の対象に取上げてしまつたのであります。同一の事実に対して二度国庫負担金を交付する、こういう結果になつたのでありまして、これなどはいずれも、宮城県などは事務の整理が悪いためにこういう結果を来たしたのでありますが、山梨県はどうも余り質のいい案件とは考えられないのであります。
  36. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これは建設省のほうから承りたいのですが、これはどうせ建設省のほうでは査定され、そうして設計書の認承をされて交付されるべきなんですが、こういうことは五項目も上つておりますが、会計検査院批難された事項が五件なんて、こういうことがあるのですか、何か特別な悪質なものが、ここにからんでおるのですか、そういうことはありませんか。
  37. 野田利朗

    説明員(野田利朗君) こういう事態の起りましたことは誠に申訳ありませんが、実は二十五年度災害個所指定というものが初めてできまして、それによりまして、その工事を指定したのでありますが、非常に案件が、工事個所がたくさんありました結果、こういう事態が生じまして、特別に悪意を持つてつたというものはございませんけれども、こういう事態が生じました。それから五カ所ありますうちの二カ所というものは、大体農林省と建設省査定が違います関係上、同じような個所査定にとりましたため、それで当然建設省と農林省の区域というものは分かれておるとお考えになりますけれども、現実といたしましては、農林省と建設省の区域は判然としていない部分がたくさんありまして、そうして申請する側も、建設省のほうの側は土木部でありまして、農林省のほうは農地部がやりますので、相連絡がつかない場合がありまして、その連絡が不十分でございまして、こういう事態を生じましたことは、誠に申訳ないと思つております。
  38. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 先ほどから承つておりますというと、皆さんも御存じのように災害復旧の予算というものは、これは国の予算のうちで大きな部分なんです。この大きな部分の予算をお扱いになる建設省の技術陣容とかいうようなものが、甚だしく私不足しているのではないか。こういう面で以て十分な準備ができれば、この件数は非常に少くなつてくる。そうすると大きなこういつたむだに使われているといいますか、或いは不正に使われたものもありますし、又間違つて使われたものもあるが、大まかに言つてむだに使われたといつてもいいようなものが、大きく私節約されるのではないかと思うのです。先ほどから伺つておれば、机上査定で以て現地がわからないのだというような御説明があつたのですが、それが十分徹底できるような、何といいますか、企画とか或いは指導方針の細目といいますか、そういうようなものは建設省のほうでは御研究になつておらるるのでございましようか。
  39. 米田正文

    政府委員米田正文君) 只今のお説は、こういう問題を起すのは一つは手不足ではないかという御意見のようでありますが、私どもも正にその通り感じております。実は毎年定員の増加を計画して関係省と折衝をいたしますけれども、御承知のように最近定員の空きすら埋めないという方針、定員増のごときは到底実現しないような情勢でありまして、実は非常なジレンマに追込まれている。なお今後とも我々定員増に努力を続けるつもりでおります。併し現実にその問題が実現いたしませんので、今後の問題としては質で補うよりしかない、量より質という方針をとらざるを得ない。係官も相当習熟した者を持つておりますけれども、なお新らしい者を早急に教育をして習熟をさせることが急務であると思いますので、こういう手段を講じたいと考えております。
  40. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 この問題を考えるということは、非常にここでは或いは無理な問題かも知れませんけれども、私は災害があつた、その災害復旧する。ところがこれはまあ高級な技術もあり、簡易な技術もあるかも知らんけれども、少くともそれを復旧することのできる技術の陣容といいますか、要領というものはあるのじやないかと思うのです。そうするとそれ以上の災害が起つた場合には、どういうふうに扱つておいでになるか。たとえば経常事務を継続事業のようなもので送れるようなものは全部送つちやつて、その陣容を全部災害復旧のほうに一時流用するとか何とかいうことをやつておいでになるのか、実際にやらなければならん仕事を、先ほどのような簡略な机上査定で以て一切それを見逃してしまう、簡略にやつてしまう、そういう方法をとつておいでになるのか。その点を承わつて見たいと思うのです。
  41. 米田正文

    政府委員米田正文君) その点については現在の災害復旧の所管課は防災課というのがあります。この課が所管いたしております。その課の中に大体毎年災害がありますので、査定に出て行く査定官なるものを大体準備をいたして、それが査定現地に出る場合と、それからうちで仕事をする場合と、常時一年間を通じてやつておるものでありますが、そういう定員数が先ほど申ましたように、少いということを申し上げたわけであります。災害が起きまして、査定をしなければならんという場合に、もう防災課全員挙げてやる態勢であります。そこでなおそれで不足なもんですから、局内の各課にできるだけ応援をさして査定に当るという方途も講じておりますが、何しろこれを理想的に査定をするということは、なかなか実際問題として困難でありまして、先ほど検査院でも一割程度しか絶対に見ていないというようなお話もありましたように、我々のほうとしても、これを全部いちいち査定をするということは非常に困難であります。各省を通じてみましても、我々のほうの災害は、もう大分古くから古い歴史を持つておりますので、係官、事務官等も非常に習熟をいたしておる。各省のうちでは最も習熟をしておると存じます。査定等については、むしろ建設省としては最も念を入れてやつておると私は考えております。併し現実が先ほどのお話のように、かようないろいろの問題を起しておるということは、まだ我々の努力が足りないことで、これらについても一つ一層の努力をいたしたいと考えております。
  42. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 まあ河川局長から今後一層努力すると、こういうお話があつたのですが、私はこの問題は、努力じや解決できない問題じやないか。むしろ場合によつたら、こういつた厖大な国費が、そういう不備のためにむだに使われるということになれば、これはむしろ事業量を減すべきじやないか。そうして堅実な工事をやつて行くのが私は本当じやないかという気が折々しておるのです。そうでなかつたならば、やはりこの陣容を整備すべき何らかの方法を講じなきやならんものじやないか。例えば非常に科学的な一つのケースを作つて、簡単に査定というものが間違うことのないような研究をされる。例えば試験場でも作つて、そこで以てこういうようなケースならばこういうふうにしてやるというふうに、簡単に末端までそれが徹底して、そしてこういつた不正工事や、過ちのある工事が起らないように研究するのが大事じやないかと私は思うのです。で、国の予算は御存じのように、そんな大きな余裕のある予算じや私はないと思うのです。そのうちでこの災害の予算というものは、相当大きな分野を占めており、而もそれが今のお話のように、先ほどの会計検査院の御報告によると、僅かな抜検査のうちからこういつた大きなものが不正、或いはむだな工事、或いはいろいろな案件で以てこう出て来る。だからこれを私ども常識的に考えて、全体の件数にこれをかけてみても、これは簡単にどのくらいの国費がむだになつているかというような計算はできるのじやないかと思うのです。そういうことを思えば、そういつた試験研究機関だとか、或いはそういつた災害復旧を対象とするような行政機構と言いますか、そういうものもお考えになる必要があるのじやないかというふうに、まあ私は考えるものなんでございます。参考に承わつておきたいのですが、皆さんが今日の陣容で以て、技術の陣容で以て自信のあるという程度災害復旧事業をおやりになるとすれば、過去の二十六年、或いは二十五年、ここらの年は割合に災害が多かつた年なんですが、そういつた年のどのくらいな程度、まあ極く大ざつぱに言つて、三割とか五割とかいう程度のものならできるというような、これはまあ非常に乱暴なことを申上げても相済まんのですが、そういうお見通しが承われるかどうか。
  43. 米田正文

    政府委員米田正文君) 実は大変むずかしい御質問でございますが、根本的な解決策としては、実は建設省としても従来から研究をいたしてはおります。現在の実情を申上げますと、大体机上査定をやるものが全体の七〇%ぐらいになつておりまして、全部現地行つて査定をするものは三〇%になりますから、その割合で申上げますと、二倍以上の人手がないと全部の現地の視察が行われない、できないという現状でございます。で、査定も実は一回だけで済むものではなくて必要があれば二回、三回でも査定をいたすので、特にこういうふうになりますが、先ほどのお説にありましたように、仕事を減らしたらという第一段のほうは、これは現実に災害を受けて、その災害復旧しなければならんものでありますからして、仕事量を減らすというわけに参らない。そこでやはりお説の第二段の方途を講ずるよりほかに方法がない。それが今のお話のように完全にやろうとすれば、二倍以上の人手が要るということになる。そこでその査定の方法でありますが試験研究等によつて、その査定の方法を科学的な方法できめておいたらどうかいう御意見、これは非常に御尤もな御意見だと思いますが、何しろ災害が千差万別、四万四千カ所ありますと、全部違う性質を持つておりますので、これを規格的な一つの統一の線にはめて行くというと、非常に実際問題としては困難である。けれどもそれは総括的な話でありまして、内容の個々に至れば、一つの基準を作つておけば、設計の基準を作つておけば、楽に行けるという部分がございます。それらについては、査定基準の中に、できるだけの部分についての標準を作つております。そういうものでできるだけ機械的に行けるような方途も講じておりますが、要はやはり議論をして参りますと、人手が足らんというところに最後はいつも落ちつくのであります。で、それらの人手不足についての今後の処置についても、今年度からは又新らしい一つの見方で考えて見たいと存じております。いずれそういう点で、又御報告する機会があると思います。
  44. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 一つ建設省のほうへお願いがあるのですが、災害復旧関係の事務を担当する職員と言いますか、技術家、技術官と言いますか、それを極く概数で結構ですが、ここでおわかりになれば承わつて見てもいいが、中央地方を通じてどのくらいおありになるか。
  45. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私は中央の問題と、府県以下の公共団体の問題と、二つに分かれると思いますが、建設省だけで如何に陣容を整えても、又府県以下の地方公共団体における目論見書、設計書というものが完全なものができないというと、これ又円満に事務を処理することができませんので、二つに分かれると思いますが、今建設省でこの災害査定に当ります人間としては、大体四十名以上、四十数名のものがこれに当つております。地方については、各府県実情でそれぞれ違いますので、ただ今ここでちよつとわかりかねるのでございますが、災害のない県では全然一人もその年は要らないことになります。それから災害が、非常に急に災害が来るというと、今まで少かつた災害のところに、或る県だけ非常に大きな災害が起ると、急激に人手が要るということになります。で、非常にこれを経常的に置くということも又問題でございますので、これらについてはできるだけ、或る県で人手不足のときは、隣りの府県から応援をするという方途を一部講じております。災害というものはあらかじめ予定ができないところに起るし、又一つには常置員等の問題で、今非常に府県では困つております。
  46. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 大体わかりましたが、私の申上げておることは、隣りの県に応援に行く、こういうことは非常にいいことで、当然まあおやりになることで、現在中央地方に、災害復旧なら、災害が起つたときに、それに当てはめることのできる技術官が、そして過去においてお使いになつたというような人たちが、現在どのくらいおるかということを、数字でかまわんから一つあとでお示し願いたいと思います。それからもう一つ、非常に無理なことを申上げているのですが、査定官査定される件数は、一人の能力はどのくらいになつておりますか。災害が起つて認承しますね。その期間は一カ月或いは二カ月くらいの期間を限つてつておいでになるようですが、そのくらいな期間に大体どのくらいできるものですか。おわかりにならなければ結構です。
  47. 野田利朗

    説明員(野田利朗君) 只今の御質問にお答えいたしますが、大体最近に驚きましては、大蔵省の予備金を出す同数が、その災害の都度出すようになつて参りました関係上、一年を通じまして査定の多いようなときは五回、六回、七回、八回ということがございます。ですからその期間に一日も早く全体の数をつかむということが非常に急務な場合もございますので、例えば二十六年の山口の災害のような場合は、一日一人二百とつたことがあります。けれども、そういう場合は極くまれでございまして、本当に確実な査定をいたすといたしますと、大体一日に三十くらいが適当ではないかと思いますけれども、大体平均一日六十乃至七十くらいはやるわけであります。
  48. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は、河川局長なんかも御存知のように、同じような仕事をやつて来たのです。昔と今日と比べますと、政治的に早く総体の被害件数だとか、或いは被害額だとか、そういつたものを要求されることが最近強くなつて来たのです。従つて査定だとか何とかというものは非常に、私の知つている限り、最近はルーズになつて来た。昔はもつと暇をかけてきつちり、私どもの若い頃はやつていたものです。ところが農林省でも建設省でも最近一カ月くらいの間に、大体の災害復旧額がわかつてしまわんというといかんというような、強い何か政治的な要求だとか、そういうもののために、非常に技術というものが、何というか、軽んぜられるというか、御都合主義に技術を受け入れなきやならないような情勢に、近頃おかれているようなんです。私はこういう問題をもう少し建設省あたり技術官として、日本の権威ある仕事をしておいでになるのだから、そういうところで、この技術の程度を落さないでという方面に御努力願つて、そしてそういうことをおやりになることが、結論においては不正件数とか、こういうものをなくすことになるのじやないか。こういつた方面に一つ局長あたりに御努願いたいということを私は希望として申上げておきます。これはお答えいりません。
  49. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も細かな問題で二、三お尋ねをしたいのですが、まず九百三十三号の問題、これは会計検査院と建設当局と意見が対立しておる問題でありますが、検査院では被災の事実を認めないのに、建設省のほうでは被災の事実がある、こういうふうに言つておいでになるのですが、これは一体ちよつと私ども現場もわからないし、どちらの言分をどういうふうに聞いたらいいのか、いずれも判断に迷うのですが、これは被災の事実があるのは、一体検査院のほうではどういう御意見ですか、被災の事実がないという根拠はどういう点ですか。
  50. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 第九百三十三号、青森県十和田の観光道路ですが、被災の事実がないということを検査院が言つている、これはちよつと何かの行違いじやないかと思うのでありますが、昭和二十二年に軽微ではありますが、災害を受けたということは決して否定しないのであります。どつかで行違いがあつたんじやないかと、先ほどから伺つているのであります。私どもも被災の事実はあつたということは認めます。ただ先ほども紹介がありましたように、これは行き止りの地点の改修であります。昭和十八年以来現場維持補修をやつていないというので、もう全然車も通れないということになつている道路なんでありますが、十四キロ先に十和田の展望台があります。そこまで開通しないと余り経済効果のない道路であります。私どもとしては、これを災害復旧として取上げるのは面白くないという根拠は、決してその災害を受けた、災害を受けないという点ではないのでありまして、今申上げましたように、永年維持補修をやつていない。そういうものは災害復旧としては取上げては相成らんというのが、昭和二十五年度における災害復旧事業国庫負担法の第三条の確か五号にございます。それによつてこういう余り経済効果もないし、先が改修されなければ、殆んど役に立たんのでありまして、途中の交通量というものは、これは知れたものであります。先の改修の見込のないものを、わざわざ災害復旧全額国庫負担の対象に取上げなくてもよかろうじやないか、こういう気持で、これは批難したのであります。それから先ほど森専門員から御紹介がありましたが、これから先の十四キロの県単独工事として直す予算、改修する予算というのを県議会へお出しになつつた、それを否決されたというような趣旨の御説明があつたように伺いましたが、これは会計検査院検査に参りまして、九百三十メートルですか、十四キロも未改修区間があるので、九百メートルや千メートル災害復旧として直したところで、役に立たんじやないか、こう言つたわけでございます。法律昭和二十六年度以降に改修しても差えないものは二十五年度の国家負担の対象に取上げてはいかん、こういう趣旨の規定もございます。それでその規定を示しまして、これは二十六年度以降でもいいじやないか。何も二十五年度に全額国庫負担の対象にやらんでもいいじやないか、こういうことを言つたわけであります。そう言いますと、県当局ちよつと驚きまして、そんなことで検査院から文句を言われたのじやかなわんというので、急いで補正予算を県議会に出したのであります。ところが災害復旧とは言えないのでありまして、県単独の工事でありまして相当金がかかります。それで差当り、観光道路は御承知の通り十和田湖は南側に立派な道路があります。展望には一向に支障がないので、わざわざ北廻りから一周するような道路を早急に造るというようなことは、それほど青森県といえども余り余裕があるというわけじやないのであります。当然これは否決されてしまつたのであります。予算のいきさつはそういう経過になつております。
  51. 野田利朗

    説明員(野田利朗君) この道路は戦時中の軍用道路として造られたものでありますが、その後二十二、三年頃に災害に遭いまして、爾来、戦後で十分なる維持はできませんでしたけれども、或る程度のことはしておつたこ思います。それにこの道路は奥から出て来ます木材とか、薪炭なんかを出すのに必要な道路でございまして県におきましても、その必要性を認めまして、県議会にも出しましたのですが、今までは財政的に認められなかつたのですが、いわゆる二十八年度からは国庫で全部これを改修するということにほぼ内定しているような重要な道路でございますから、特に私どもは経済効果のないということは一応考えられない。それから先ほどもお話がありました二十六年に譲つても差支えないじやないかというお話がございましたけれどもちようど二十五年で終ることになつておりました関係上、最終年度の二十五年に必要があつて実は施行したものでございます。
  52. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に九百四十三号の問題について。これは福井の地震の影響があつたので基礎が破損されているということが建設当局の御意見のようでありますし、検査院のほうは査定外の七十三メーターは自然の破損であるのだと、こういう判定のようでありますが、この点も意見に多少の食い違いがあるようですが、これはどういうあれですか。
  53. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 九百四十三号の福井の道路の災害復旧でありますが、これは当初、点々と申しますか、間が途切れ途切れに、ずつと合計七百四十五メーターという災害復旧査定を受けたのであります。これは問が飛んでいるのでありますが、それに隣接しましてずつと補修工事認定も受けていたのであります。ところが県は実際にはその七百四十五メーターを一まとめにしてしまいまして、査定で外れてしまいました所も一まとめにしてしまいまして、九百メーター、結局百五十五メーター余計にやつてしまつたわけであります。これは承認を経ないでやつたわけであります。それで私ども行つて見ますと、査定で外されたところを災害復旧ということでやつているのは先ずおかしいじやないか。これがまあ第一点であります。  それからずつと飛んだ所に一カ所災害復旧で取上げられた所があつたのでありますが、実際の改修工事後の状況を見ますと、その両側は補修工事をやつているわけであります。補修工事と全く同じことをやつているわけであります。災害復旧として取上げられた箇所が、路面の改修でありますが、補修工事と全く同じことをやつている。結局全体として、災害復旧とは言つても、補修工事と余り違わないことをやつているじやないか。こういう観点でこの七百四十五メーターもよろしいと、それから県が勝手にやりました百五十五メーターも全部が全部はこちらも否認はしないのでありますが、そのうちここに書いてありますが七十三メーター分は単純な補修じやないかと、こういうことを現場へ参りました者が言つたわけであります。そういたしますと、回答で、思いもかけず、これは余震のために壊れたんだと、こういうようなことを言つて来たのであります。どうも私どものほうとしては、今でもそうは認められないのでありまして、単純な補修工事、それを災害復旧として、而も当時の査定を越えまして、まあいわば県が勝手に百五十五メーターというものをやつてしまつたわけでありまして、これを全部災害復旧全額国庫負担の対象として取上げるのは行き過ぎじやないだろうか、こういう見解を持つているわけであります。
  54. 野田利朗

    説明員(野田利朗君) 只今検査院の局長からお話がありましたが、この福井の道路の、ここに御指摘になりました七十三メーター施行となつておりますけれども、これは全般的に七十三メーター幅のものをやつたのではありませんでして、査定そのものが非常に良心的にとつておりました関係上、部分的にその部分だけを取上げてやりました関係上、残つた部分もその当時は災害らしく見えなかつたのですけれども、大きな地震がありましたときには基礎地盤なんかも相当いたんでおつたということも想像せられまして、その後数百回に亘る余震のために小破がだんだん重くなりまして、災害の対象にする程度になつたのでございます。そして只今県のほうで勝手に設計変更をしたというこういうお話がありましたけれども、軽微な変更につきましては一応府県の知事がこれを行うことができる関係にありますので、県としましてもこれは軽微な変更と認定したのであります。それで百五十数メーターの全幅のものをやりますと、これは大きな変更のように私たちもとりますけれども部分的な幅のものをいたしました関係上、これは軽微な変更と私ども認めております。
  55. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは実は私もこの現場を見て来たので、現場についてはよく承知しておりますが、やはり余震の影響がないとも断定できないし、七十メーターについてはやはりなかなかこれは技術的の判断とその法的の根拠で多少の食い違いはあると思いますが、只今説明で大体私も納得しましたから、この問題はこれ以上追及しないことにいたしまして、最後に九百七十の問題ですね。静岡県の伊豆山、単価の見積が高過ぎるという問題、この点については、これはどうも会計検査院のおつしやることに、私は現場を知らないからはつきりは申上げかねますが、これは常識で判断しても建設省にはどう考えても歩が悪い。こういう高い値に落すということは、ためにする何かの含みがあつたのではないかということを考えられても、これは簡単に抗弁の余地がないと思いますですね。他の少し近い所にこれの約半分近い価格で施行しているという事実から判断をいたしましても、どうも如何に形式が競争入札に付したとはいつても、これは単なる言い逃れに過ぎないのであつて、この点についてなお建設省で弁明するところがあつたら伺いたいと思います。
  56. 米田正文

    政府委員米田正文君) この捨石を立米三千四百三十円に積算しているとなつておりますが、この三千四百三十円というのは、これは捨石と運搬人夫と、それから据附け並びに諸費を入れたもので三千四百三十円となつております。それで石材は転石の価格が約三トンで一立米九百円、それから運搬人夫がやはり千六百十二円で、二千五百十二円という価格がこの石の現地にまで持つて来る単価になつておりましてそれでこの同種工事というのは多分この近くの港湾の工事と思いますが、これは大体設計金額では二千円、それから実際では約千八百五十円くらいになつておりますけれども、大体この港湾の場所とこの捨石を行います箇所とは深さが違いまして、一度港湾の方は船で持つて来ましたものを、そのまま海底へ投げればよろしいのですけれども、この捨名の箇所は一度瀬取りをしまして、又再び岸に持つて来なくちやならないという関係で、これは二千五百十二円に対しまして約千九百円、約六百円というものが大体適当なものじやないかと思います。ただ二千五百十二円を千三百四十円で下請させている、こういうようになつておりますけれども、この千三百四十円の基準というものはちよつと私どもわかりませんが、大体推定いたしますと、これは下請人が四十五万円で三百六十一立米のものを請負つたと、そしてそのうちには三十万円という瀬取りの金が入つておりません関係上、大体それを入れますというと二千円近くなります。だから二千五百十二円に対しまして二千円見当のもので、下請が、約その差額の五百円見当のものでこれは取つても正当なものじやないかと考えます。
  57. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今の伊豆山の捨石の問題でありますが、これは飯島さんがおつしやる通り実に高いのであります。初めこの設計の内容を見ますと、潜水夫を使つて現地で石を採集するという設計だつたと、こういうことで私ども驚いたのであります。えらい貴重品をとるわけでもないのに、石をとるのにわざわざ潜水夫を使つてやる、こんなことは聞いたことがないというので、実は調べ出したのでありますが、そしてやつてみますと、実際は潜水夫どころじやないので、下請に出しまして非常に安くやつたということがわかつたのでありますが、比較にとりましたのは、まあ深さは勿論これでは岸についておりませんから違いますが、すぐそばの浅瀬の船溜であります。伊豆山ヘおいでの方は御承知と思いますが、船溜の防波堤というのは、非常にまわりが岩磐の多いところで割に浅いところであります。ここが今の二千何ぼというので比較にとつたわけであります。  それから先ほど二回入札した結果落ちなかつた、こういうことがこの設計単価の高いことを弁護する一つの有力なあれになつているようでありますが、熱海市は大体この二十五年度に十五件ほど工事を請負に出しております。ところが十五件のうち十三件は同じことなのであります。二回とも入札が落ちなかつた。それからあとの二件は特殊な事情があるものでありますが、大部分工事が二度入札してもみんな落ちないのであります。そして最低見積者に随意契約でやらせるという方法をとつているのでありまして、果してこれは、ちよつと申し上げかねるのでありますが、公正な入札だつたろうかということも実は懸念されるような次第でありまして、だから二回の入札をしたからといつて単価が正当だつたということの弁護の盾にはならんのじやないか、こう考えておる次第であります。
  58. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 あの報告書や只今おつしやつたことで、大体それ以上答えて頂かなくても良識によて判断ができますから、これ以上追及はいたしませんが、こういう問題については成功認定の際精査の上処置すると、こういうことになつておりますから、これは一つ成功認定の際に十分この点については精査をして頂きたいということを希望いたします。
  59. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今のにちよつと私から申し上げておきます。いずれ御決定を願うと思いますが、実はこれが高かつたという事実についての御批難でありますけれども、これは先ほど申し上げましたように入札をして、第一回、第二回と遂に不調に終つて、第二回目に随意契約で契約をしたのであります。その線にそつて工事を実施しておりまして、すでに竣工しているものであります。そこで成るほどそれはどうも熱海の建設業者が適当でなかつたのじやないかというような点、いわゆる業者選定の点について或いは問題があつたのではないかというように想像はできますけれども、今の会計法によつて入札制によつて決定いたしましてその事業を実施した以上は、当然契約金額を支払うべきものでありまして、業者選定等の方法において或いは適当ならざるものがあつたかも知れません。或いはその業者そのものが何らかの方法を講じておつたのかも知れません。併しそれは契約者としては、当時の事情を十分知らなかつたからというような事情があつたかも知れませんが、いずれにしても入札をいたしまして、その不調の場合に、随意契約で最低金額のものと契約するということは、これはもう今日の手続としてはそれより以外にいたし方ないのでありますので、幾らが適当だつたかというようなことで今処置をしようといたしましても処置が非常にむずかしい問題でございますので、その点お含みおき願いたいと思います。
  60. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか。
  61. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 処置がむずかしいというのはどういうことですか。
  62. 米田正文

    政府委員米田正文君) その契約を無効と認めて又新たなる契約をするとかいうようなことがむずかしいと申し上げたのであります。
  63. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑がないものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では一応御質疑は終了したものと認めて次に移ります。  第九百八十二号から第九百八十九号まで一括して審議に供したいと思います。専門員説明を願います。
  65. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 九百八十二号は中小河川改良工事費の国庫負担というのでありまして、昨年の八月実地調査に参りましたときに、問題それ自体は全く検査院の御報告通りであり、当局においてもその事実を認めております。ただその中で稲の作付補償という問題がありまして、これを県の方では是非払わなければならないというのを検査院の方では一時ちよつと問題があつたようでありまするが、そのことについて非常に現地ではこれはお許しを願いたいというふうに希望を述べておられました。そのことはこの前の出張報告に記されている通りでございます。その後只今伺えば問題は解決済みで、これはよろしいというように解決されたということであります。  次の九百八十三号の道路改良工事費の国庫負担、これも検査院の御指摘通り、又当局においてもその通りと言つておられます。実地調査の結果も全くその通りということなんでございます。  次の九百八十四号につきましては、あとで波江野専門員から申述べるようにお許しを願いとうございます。  それから九百八十五号、九百八十六号というのは職員の不正行為でありまするし、九百八十七号から九百八十九号は警察予備隊営繕工事施行に当り処置が不当というので、これはもうすでに検査院の御指摘によりまして是正された事項報告であります。
  66. 波江野繁

    専門員波江野繁君) 九百八十四号は意見が対立しておる案件でもありますし、先般議員の実地調査がございましたので、その調査報告を御報告いたしまして御参考に供したいと存じます。  先ず検査院批難の要点は一メーター五程度の小渓流を横切つて四十二メーターの土堰堤を設けているが、その上流約百五十メーターの地点に小さな溜池がある、こういう点から見ますと、本件は砂防の目的というよりは現地状況から前記小溜池だけでは灌漑用水に不足するので、これを補足するために農業用利水を図るものと認められ、このような工事に高率の国庫負担金を交付したのはよろしくない。こういうのが指摘の要点でありますし、これに対する当局の答弁は、これは溜池を目的としたものではない、こういうのであります。実地調査の結果によりますと、現地関係当局者の説明によりますと、この工事は設計した当時においては別に地元民の要請があつたわけでもないし、又地元民にといいますか農民といいますか、そういう人たちに相談して造つたわけではなく、全く砂防の目的からやつたので、そういう相談をしなかつたということから見ても、これが溜池でないことがおわかりになるのではないかというような説明もあつたのであります。現地調査によりますと、この堰堤は先ほど申上げました一メーター五程度の小渓流、或いは溝というような極めて少さい川を横切つて設けたものでありますので、単に砂防の目的でこの地点に四十二メーターの土堰堤を設けることが果して適切であつたかどうか、この点は甚だ疑問にも思われるし、客観的に判断しますと会計検査院の言う通り、灌漑用水のための溜池施設であるという感を強く抱かしめるものがある。併しながら鴨部川の上流でありますが、鴨部川の地域は土砂の流出が甚だしく、各所に砂防施設を設けていることは事実であり、現に本件施設箇所の下流に土砂の堆積している所もあるので、本件地点が適切であつたか否かは別問題として、本地点に砂防施設の必要が全くなかつたとは断定できないのみならず、たとえ設計当初において砂防に合併して灌漑用水のための溜池として役立たしめる意図があつたとしても、香川県においてはその地勢上灌漑用水のための溜池の必要度が極めて高いという特殊事情に鑑み、本件については特に責任解除といいますか、強く批難できないのではなかろうか、こういうのが実地調査報告であります。
  67. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院、何か御説明ありますか。
  68. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今専門員から御説明のありました九百八十二以下でありますが、この九百八十二号の市田川の件は、結論のところにございます、少くとも十八万五千五百九十一円を国庫負担の対象外にすべきであるということがありますが、その後にこれは先ほど御紹介いたしましたように、五万円作付補償を見てやらなければ困る、こういうあれがございまして、これを持つことに私どもも勿論異存はございません。  それから九百八十三は当局検査院見解に争つておられないのでありますがちよつと珍らしい案件でありますので、ちよつと御紹介をしておきます。これは和歌山県にたつた一本の国道でありますが、四十一号線の改良工事をやつたのであります。国庫負担として三百五万円を出しました。ところがこれは地元の朝来村を請負人にしたわけであります。請負人はそれを二割だつたと思いますが、地元負担があるわけでございます。この地元負担金を全然出さないつもりで更に下請へ出しまして、二割安く下請に出したわけであります。その形式は、二割安いというようなことにしますと直ぐに問題になりますから、一応全額で下請に出しまして、別に二割請負人に下請人から寄附させる、こういうことで契約を結んだのであります。ところがその後にいろいろごたごたが起きまして、結局その請負人が投出してしまつた投出してまだあとの工事ができないうちに丁度会計検査院に参りました書類を見ますと、全部年度末までにできたということで書類ができていたのでありますが、現地に参りますとたつた十二%しかまだ工事を下請人はやつておらない。その程度で投げ出してしまつた、こういう事実がはつきりしたのであります。私ども噂に随分地元負担を出さないで請負人から寄附させたり何かするという風説を聞いておつた次第でありますが、現実にはつきり事実がわかつたのはこの事例が初めてであります。その意味で非常に珍らしい案件を申上げたわけであります。  九百八十四号は香川県の砂防堰堤でありますが、全国でも実は余りない例でありまして、香川県、愛知県の特殊土壌の所でないともたんそうであります。香川県においてはこの種のものが相当あるそうであります。それは砂防工事ということで三分の二の国庫負担をして作つたのであります。ところが現地行つてみますと、先ほども紹介がありましたように、一メーター五十ぐらいのちよちよろした小渓流、どぶの大きくなつたようなものであります。それを四十二メートル横切つて、その四十二メートルの大きい堰堤を作つたりする、こういうのであります。一メーター五十の間は幾ら溢れたと言つても四十二メートルの幅に土砂を流すということはどうも想像できない。現地状況を見てもそんなに土砂が押し流されて来るような形跡は見えない。而も百五十メートル上には農業利水用の溜池が作つてある。その川は一旦溜池に入つてそれから又流れ出すのでありまして、土砂がそんなに出て来るのなら、その百五十メートルばかり上に溜池はもつわけはない。そういう点から考えてこれは第二の溜池じやないか、砂防堰堤じやないのじやないか、若し溜池なら溜池としてこれは四割国庫補助でやる仕事があるのであります。四割国庫補助のほうでやればよいのであつて、三分の二、六割六分七厘の高率の砂防工事でやるのはおかしいじやないかというのがこの批難の骨子であります。  そこで私どもの考えを裏付ける一つの事実は、これは砂防堰堤の所から水を引張る水路があるのであります。どうも私どもこつちが主目的じやないのだろうか、砂防よりも水を溜めて灌漑用水に引つ張るというのが主目的じやないだろうか、こういうふうに考えております。最初そのお話はなかつたとかというようなことを現地の人は言つてつたそうでありますが、これも水掛論でありまして果してあつたかないかということはちよつと今になつては判定できないのでありまして、それがたつた一メートル五十の川を横切つて四十二メートルの堰堤を作つたという事実、それから百五十メートルばかり上流に水を溜める、土砂を溜めるのじやないのでありまして、水を溜める溜池であります。本当に土砂が流れて来れば溜池はもたない。この溜池があるというこの二つの事実から、やはり四割国庫補助のほうの事業としておやりになるのがよいのじやないか、こう考えておる次第であります。
  69. 矢野道

    説明員(矢野道君) 九百八十四号の香川県の切ノ川の砂防堰堤の件について簡単に御説明申上げます。砂防工事はなかなかむずかしい仕事ございまして、主として幹川の下流における土砂の流出の工合、或いは堆積の工合、又土砂が沿線に及ぼす損害程度というものを考えまして、その河川の上流水源の全体計画を立てまして砂防の堰堤を入れるわけであります。或る場合には全然木のない山に木を植え、或る場合には谷のしわに大きなコンクリート堰堤を打ち込むというようなことでありまして、局地的に堰堤のある場所の観察だけではなかなか砂防事業の全体を理解することは困難かと思うのであります。この切ノ川の件も昭和十七年にこの切ノ川の下流の清水川、又その下流の本川の鴨部川の砂防の全体計画を立てました際に、この清水川の上流のダム・サイトとして、その支流の切ノ川に堰堤地点を求めたわけであります。只今お話がございましたように一メーター五〇というのは、これは平水時期と申しますか、谷の幅でございまして、堰堤を入れます場所は洪水時期ま申しますか、或る一定の計算の下にその高さをきめコンクリート堰堤を打つわけでございます。この堰堤の高さと位置をきめましたのにはそれぞれ技術的な裏付があるのでございましてこれは私のほうの技術上の検討では、大体一万九千立米の土砂を保つということで計算されております。これは大体切ノ川の水源山林、流域面積の土砂の崩壊量が、非常に土地が花崗岩の脆弱な地質でございますが、これが大体年間の流出土砂量を約二千立米を計算いたしておりまして、大体大した災害がなければ約十年間は持つであろうという堰堤でございます。  それからこの堰堤の単価の問題であります。私どもは大体貯砂一立米について百円以内であれば非常に理想的であるか、かように考えて技術上の検討をいたしておるわけでありますが、この堰堤はたまたま単価が約八十五円でその場所でならば押えられるというようなことから、堰堤の耐用年数と申しまするか、大体五年以上もてば非常にいいという考え方からみますれば、少くともこの堰堤は十年の寿命を持つておる。それから又単価の点からいうと百円以内であればいいという点が大体只今申しましたように八十五円で済むというような技術上の検討からもいたしましてこのダム・サイトを決定したわけであります。その堰堤の上流に池があるというお話でございますが、実は川全体の砂防堰堤の計画を立てます場合には、この位置に貯砂堰堤を造ります場合に、特に考えますのは、その谷のポケツトの問題でありまして、或る程度のポケツトのいい場所でございますれば、実はそういつた小さな溜池というようなものは、砂防事業の全体計画の観点からは余り深い考慮を払つていないのでありまして、下流に対する災害の影響というものが大きければそういつた民間的な施設と申しまするか、大してお役に立たない施設については余り重大視いたしておりませんようなわけです。非常に図面の上で判断いたしますると妙な恰好になつておりまするが、さようなわけでこの堰堤の位置をきめ、工事を実施したのであります。大体以上で説明を終ります。
  70. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 質疑はおありになりませんでしようか。……別に御質疑がなかつたらこれで一応質疑は終了したものと認めてよろしうございますか。……それでは今日の第九百八十二号から九百八十九号まで終了したものと認めます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 奥むめお

    委員長奥むめお君) よろしうございますね。それでは今日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会