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専門員(
森荘三郎君) 四百三十四号は、当時、この前の御
審議のときにいろいろ
内容について詳しく御
質問がございましたが、何分にもいろいろな問題がその中に入
つておりまするし、非常に細かい事柄ばかりなものでございますから
審議を途中で打切ることになりまして、
専門員のほうでよく調べておけということであ
つたのでございます。それでその後
大蔵省なり、
検査院からたびたび御足労を
願いまして、又場合によりましては双方に同時に立会
つて頂きまして、いろいろと
事情を伺
つたのであります。その結果を申上げますると、
検査報告のほうには極めて簡単にほんの数行に記されてありまするが、これは五つの問題があるのであります。
政府からの弁明書等を御覧下さいましたほうがわかりがいいかと思います。
先ず第一の熊本財務部において起
つたこの問題は
当局の計算違いであ
つたものでありまするから、
会計検査院の御
注意によ
つて直ちに是正することにしたということであります。第二に、大阪財務部のこの問題については一般管理費のことが問題に
なつております。これにつきましては、艦艇解撤の費用の計算方法につきましては造船工業原価計算準則というものかありまして、大体それに従
つて計算をすることにな
つたのでありまするか、それによりますると、製造原価を基準として一般管理費を配賦するということに
なつておりまするのに
当局においてはこれを直接生産工の作業時間を基準として配賦されたがために多少経費が多額にな
つたのであります。ての多額にな
つたというところを
検査院から
指摘されたのでありまするが、
当局においても誠にその
通りでありますという
回答であります。
それから第三の東京財務部における問題は間接費の問題でありまするが、これにつきましてはその仕事を下請に出しました場合、外註と申しまするが、その外註費、下請のほうの仕事をする職工などの手間賃のことでありますが、外註工に対する間接費の配賦率は一般の例としては社内工、
自分の
会社の中で
使つておる職工、社内工の二分の二相当額を妥当とされておるのに、
当局では社内工と同じ率の配賦率を誤ま
つて適用したがために経費が高くな
つたものであるということがわかりまして、
当局においても誠にその
通りでありますということであります。
それから第四番目は、この弁明書には四番目と五番目とをつい印刷の際に落したものでありまするから、別に正誤表にいたしまして提出されているものがあります。それによりますると第四番目は中国海運局の扱
つたものでありまするが、その中では先ず
最初に労務費の払い過ぎという問題がありまするが、この点は実は海運局の
報告の上に手落ちがあり、それを又
検査院のほうでもつい気が付かなくてそのまま取上げられたものでありまするから、数字上の誤まりがあり、多く払い過ぎたということに一時な
つたのでありますが、その後それらの
事情がはつきりいたしました。そうすれば、もはや
検査院においてもこの問題は取上げる必要がないということに
なつております。
次に役務費の問題でありますが、これにつきましては、海上起重機だとか、曳船だとか、機帆船、浮力タンクだとか、道具類だとかとい
つたようなものを使
つた使用料並びにこれらのものを動かすのには労務費もかかりまするし、水も入用だし、石炭、油というようなものも入用になるわけでございまするが、この点について、その使いました曳船とか、海上起重機とかいうものの中に、
検査院の
最初の
お話では減価償却費がこの中に含まれておるように見受けられる。そうすれば、この際はそんなものはこの中に入れるべきでないという御見解でありましたが、
当局のほうで聞きますると、減価償却費というものをこの場合には少しも認めておりません。ただ事実石炭なり、油なりを必要としますから、そういうふうのものだけをここに認めたのでありますということなのであります。そうして然らばその詳細な数字は一体どうなるかということになりますると、何分にもたくさんな
事件を取扱
つたことでありまするし、伝票の数な
ども随分な数にもなりまするので、今ここで恐らく数字を突き合せてみましても、はつきりしたことはわからないのじやないか、一歩立入
つて申しますれば、多少計算違いなどがあるかも知れないけれ
ども、まあ大体においてこれは認めてもよろしいのではないかというようなふうに感ぜられる次第なのでございます。
それからその次に間接費という問題がありまするが、この間接費の計算方法につきましては、
検査院は一般的な方法をと
つて計算をされたのでありまするし、
当局のほうではそれとは異な
つた方式をと
つて計算されましたので、結果として
金額に差を生じたのであります。従
つて単にどの方法がよいかという方法論を学問上の問題として研究いたしますれば、両方ながら適当であ
つて、その結果生じて来る
金額が多くなろうが、少くなろうが、それは仕方がないということになるわけであります。併しなお一歩立入
つて申上げますれば、この際甲の方法をとりさえすれば安くなるものを、特に高い答えが出て来る別の方法をと
つたことは適当でないと言われれば、まさにその
通りと申すよりほかに申しようがないわけであります。
なおさつき申しました役務費の中で四十万円ばかりの燃料費の問題が一個別問題と
なつて浮んで来るのでありまするが、これは高須丸という船のことであります。なぜこんな問題が別に起るかと申しますると、初め解撤をいたしました
会社のほうから、その
会社の帳面とか、伝票とかいうものの中に高須丸という船を動かしたために必要であ
つたところの燃料費が漏れてお
つたというので、
あとから出して来たのであります。それで
検査院のほうでは確かな
資料があるならば確認してもよいが、
資料もないのにただ忘れていたというだけで請求されても確認のしようがないとい
つてはねられたわけなのであります。これにつきましては、どうも伝票その他の物的の証拠はございませんようであります。併しこの船が動きまして沈没してお
つた船を引揚げて、そうしてそれを解体したという事実は確かなのであります。殊にその事実の中にこういう笑話のようなことがあります。それは軍のほうから指定されました船を引揚げるつもりで作業をしておりましたところが、たまたま引つかか
つて来たのが違
つた船であ
つたというので軍のほうからえらく叱られた、それで早速二度目の潜水、サルベージ作業に移りまして、漸くのことでその目的
通りの軍艦を引揚げて来たという、こういう事実など、事実は確かにあるようなのでございます。それだけのことを附加えて申上げます。
そうして第五番目に第六管区海上保安本部で扱
つた問題があります。場所は広島のことであります。これにつきましては、
只今第四番目に申上げました中国海運局の場合と
事情は全く同じでございますから、省略させて頂きます。
それから次に四百三十六号という
事件は、これは佐世保
船舶工業
会社が軍艦を解撤するために要したその費用が払い過ぎに
なつておるという
事件でありますが、これを今ここで掲げましたのは、実は私
どもの不
注意でございまして、これは問題として掲げる必要はなか
つたのでございます。なぜかと申しますると、
検査院の
批難に対して、
九州の出先
機関では多少の疑いを持
つて幾分の
意見を述べているのでありまするが、
大蔵省の本省のかたがこの席での御
説明では、全く
検査院の御主張の
通りということで、誠に申訳ないと申しておられるのでございます。それをつい保留という形でここへ掲げました
理由は、或る
議員のかたから
内容が甚だ複雑である。悪質でないということはもうわか
つておるが、とにかく
内容が複雑だから一応留保しよう、こういうふうのお言葉がありましたので留保ということにな
つたわけでございますが、実は私が今申上げましたように、
大蔵省当局のほうでは全く
検査院の御
指摘の
通りということを四百三十六号については申しておられるのでございます。以上。