○
政府委員(
横田正俊君) それでは御指図によりまして二十六
年度の
公正取引委員会の
年次報告の
概要を申上げます。
これは二十六年の四月から二十七、年の四月までの分でございます。時期が大分古く
なつておりますので、その後最近までの問題を多少加味いたしましてその主なるものを御
説明いたします。この
期間並びにその後の
期間を通じまして我々のほうの
仕事の
特徴と申しますのは結局御
承知のようにこの
報告書の十二頁から以下数頁に亘りまして
公正取引委員会の歩みといたしまして大体
三つの時期に分けまして
説明してございますが、この
三つの時期の第三期に当るわけでございまして、結局
朝鮮戦乱による
特需ブームの後退、要するにいろいろな原因によります
不況の
慢性化というようなことからいたしまして
日本の
産業にもいろいろ工合が悪い
状態が生じて参りますので、それらに対処しますためにいろいろの策が講ぜられますが、それが往々にして
独禁法の問題になる、こういう困難な時期に当つておるわけであります。そこで一方におきましては非常に
競争が激化いたしますために甚だ面白くない
競争方法が用いられ、
独占禁止法は御
承知のように
自由競争を促進するという一面と
競争を純粋な形にするという
意味で不公正な
競争の
やり方はやはりこれを抑えて行く、こういう両
方面がございます。その不
公正競争の
方法の問題が
かなりこの時期におきまして明らかに取上げられて参つたのでございます。この不公正の
競争方法につきましては
日本の
海運業に関して
昭和二十四年に
海上運送法の
改正がございました際に
海運に関する不
公正競争方法というものを抑える必要があるということで、この時期に不
公正競争方法を
公正取引委員会において
独占禁止法の
規定に基いて
指定をする
とい往事が始まりましたが、これは御
承知のように特にイギリスその他ヨーロツパの
大陸系の諸国から
かなり強い
反対がございましたので、或る
段階まで
調査をいたしましたが、そのままに
なつておりましたのが、これは最近に不
公正競争方法の
指定ということをいたしまして、
海運に関する不
公正競争方法の取締を
独禁法を通じてやつて行きたいというふうに
考えております。
なおこの
期間におきましてすでに
新聞等で御
承知と存じますが、醤油だとか味噌であるとか、そういう我々の
日常生活に極めて密接な
関係のあるものにつきましていろいろ面白くない
方法による
販売が行われておりますので、これにつきましても不
公正競争方法の
指定という
手続を経まして二回に亘りましてその
指定をいたしました。それはその当時業者の一部から非常に
反対がございましたが、現在におきましてはむしろこの
指定についてその後
業界の
動きが非常によろしく
なつたとい
つて業界から非常に喜ばれておるようなわけでございまして、これがソースであるとか、その他雑誌であるとか、そういうようなものにこれは
公取の
指定を待たずにむしろ
業界のほうで進んで協力をして来ておるような次第でございます。今後といえ
どもこういう不
公正競争方法の抑圧というような方向に或る
程度公正取引委員会の
活動ももつと活溌化いたしたいと
考えておるわけでございます。
それから
公正取引委員会は
国会に対して
いろいろ意見を
提出する期限がございますのですが、これに関しては公式にいろいろ
国会に申入れをいたした
事案は今までないのでございますが、最近の
臨時中小企業安定法につきましては非公式ではございましたが、あの
議員提出の
法案に対しまして
公取としての
いろいろ意見を申上げまして、それに基いて
相当な修正がその後なされたものが現在の
法律に
なつておるようなわけでございます。なお
国会に対して
いろいろ意見を
提出もいたしません理由は、御
承知のように
法律の大部分がやはり
政府提案という形になりますので、
政府が原案を作ります際に、
公正取引委員会といたしましては緊密なる連絡をとつて、その
段階においていろいろ
独占禁止法の
精神をこれに盛込むことに非常に努力いたしておりますので、それらの
関係はこの
意見書の二十四頁以下に我々が
いろいろ意見を述べました法令が掲げてございますが、その後にもいろいろございました。この
活動を通じまして
独占禁止法の
精神をでき得る限り
諸法令の中に盛り込むということに
相当努力をやつて来ております。
次に
公正取引委員会のそういう立法に関する問題の次にいろいろ
調査の
仕事がございまして、この点は例えば
競争の
経済的効果に関する
調査、或いは
少数独占に関する
調査というような極めて全般的な根本的な
調査から、いろいろ
各種の業種それぞれにつきましていろいろな角度からの
調査研究をいたしております。これが結局だんだん積重なりまして今後の
独占禁止法制のあり方なり或いは具体的な
事案の
処理なりに非常に役に立つのでございまして、この点は二十七頁以下に極めて項目だけでございますが、我々が取上げて鋭意
調査をいたしておりまするいろいろな問題がここに提げてございます。残念ながら極めて乏しい人員と
予算しか与えられませんので、到底この
調査の万全を期することはできないのでございますが、併し我々に与えられました人と
予算の限度におきまして、鋭意これらの
調査を続けておりますし、将来この点につきましては十分に重点を置いて行きたいと思いまして、来
年度の
予算等におきましてもこれらの面についての
相当の増額を要求しておるわけでございます。
更にこの
年度並びに最近に亘りましての
公正取引委員会の
仕事の
やり方の
一つの
特徴と申せますことは、
事件を徒らに
違反事件として取上げてこれを
審判に付するということをしないで、これらの
調査に基きましていろいろわかつて参りました事態に対しては
一種の
警告と申しますか、手段をとりましてそれによ
つて業界の反省を求め、こちらの申すことに異議なく
独禁法上面白くない点を是正して頂きます場合には、特にこれを取上げて
違反事件として正式に
処理をしないというような
方面の問題がこの時期にはいろいろございました。後にも申しますが、
化繊の
操短問題につきましても二十六
年度、最近の二十七
年度が問題に
なつておるのでございますが、二十六
年度においてすでに今申しました方式によりまして
共同操短は
余り面白くないということを
警告いたしましたこともございまするし、その他三十一頁に書いてございますように、学校の給食問題であるとか、主食の配給の問題であるとか、或いはこの後の問題といたしましては百貨店の
販売の
やり方或いは教科書を出版いたしまする
会社の面白くない
やり方等につきまして次々と
警告を発しまして、幸いにこちらの、十分とは申せませんが、我々の
警告に基いてそれらの
業界において
独禁法上面白くないという点が
相当是正されて参つておるように
考えております。
その次に
公取のいわば
行政的活動とでも申すべきものがいろいろございます。例えば
国際的契約について
届出を受けましてその
内容を
検討いたしますことや、或いは
株式の
保有状態をこれも
届出を受けまして調べる、或いは
会社の
合併、営業の
譲受等につきましてそれが
独禁法上の
違反になりはしないかどうかという点を、
届出を受けまして調べるというような問題が、概括しまして行政的な
公正取引委員会の
仕事としてあるわけであります。この
国際契約につきましては、一時
独禁法上いろいろ遺憾の点がある
契約が多うございまして、もう
一つ前の
年度であつたと思いますが、
大変違反事件が多かつたのでございますが、最近はそういう
事案は
相当減つて参りました。勿論
国際契約は
技術提携その他
各種のものが続々と出て参りまして、案件もこの
報告書には三百七十七件と
なつておりますが、その後に参つたものを入れますと、今年の十二月一日現在で四百七十一件というような
国際契約の数に
なつております。なおこの中で主要なものにつきましては、先ほど御
指摘がございました
日本軽金属の
問題等がございますが、これは
外国の有力なる
アルミニユーム会社と御
承知のように
日本軽金属が提携いたしまして、
日本軽金属の
株式の半ばをその
会社が持つことによりまして、
日本における
アルミニユームの
製造販売に関しまして
日本軽金属の
地位が、非常に大きくなるという問題がございました。この点は我々といたしましても十分にその面を研究いたしまして、
相当長いことかかりましていろいろ
考えたのでございますが、
技術提携という点が
かなり必要なものでございますし、なお
株式を半分は持たれますが、併しその結果
日本の
アルミ製造業に対する影響というものは、やはり今後
相当よく見て行かなければわかりませんので、一応この問題は
株式保有問題としまして我々の
検討の対象に
なつたわけでございますが、一応見送りまして、今後の
動きを十分に注意したいと
考えておる次第でございます。
それから
合併につきましては、最近御
承知のようにだんだん
企業の
合同ということが
かなり行われて参りました。殊にいわゆる
財閥糸の
会社、
商事会社等が次第に統合されて行く顕著な
傾向があります。これは勿論昔のいわゆる
財閥とは違いまして、極めて微力なものでございますので、我々は現在の
段階におきましてはむしろ或る
程度の
合同が行われることがむしろ
日本の
国際的競争力を強めるというような点から見まして、
独禁法上とやかく申すべき
段階ではないと思いまするが、併しこれが或る
段階に達しました場合には
相当問題が起る。殊に
外国に対する
関係はともかくも、
国内におけるそれらの
合同されました
企業の
地位といのものは、
国内の
取引の
制限というような働きを持つて参ります場合につきましては十分に注意して行きたいと
考えております。現在のととろまだそれほどの問題は起つておりません。なおいろいろ
会社の縦の系列による
一つの
合同、或いは
一種の
コンツエルン式のものがだんだん形成せられて参る
傾向もあるようでございます。これらにつきましても今後
独占禁止法の
観点からいたしまして、或る
程度の結合は勿論
競争力を強める
意味におきまして結構でございまするが、やはり先ほど申しましたのと同じような
意味におきまして、
相当今後注意して参りたいと
考えております。
それから最後は先ほど申しかけましたが、いわゆる
違反事件の五十三頁以下に書いてあるところでございます。これは前
年度の
報告を御覧になりますると、
違反事件として取上げられました
件数が極めて多いのでございます。これは大体先ほど申しました
国際契約関係のものがこまごましたものを一々取上げられましたような
関係で非常に多かつた時代がございますが、今期並びにその後最近までの
件数は、
件数としましてはそう多くないのでございます。ここにございますように
違反として正式に取上げまして
事業者側で直ちに
違反を認めてすぐにこちらの申しました
勧告に服して、その
勧告に基く
審決がなされた
事件が四件、その後にもこの
報告書に載つておりませんもので三件ございます。この中に御
承知の
自動車タイヤの
操短問題の一件が含まれております。これはやはり
事業者側で
勧告に応じまして、
勧告審決ということで片がついております。それから
審判開始決定をいたしましたものが、これが正式に
審判を開始するという
手続をとりましたものがこの
報告書に十件載つておりまして、そのほかにその後のものが四件ほどございます。この中にいずれ後に申しますが、例の
化繊の
操短問題が
審判開始決定といたしまして一件載つておるわけでございます。それから
審判開始後間もなく
審判で争うことをしないで、こちらの
開始決定の事実と
法律の適用を認めて直ちに
審決になりました
事件が六件、それから被
審人側で争いまして、その結果正式の
審決になりましたものが八件というような数でございまして、この数は必ずしも多くないのでございます。又
内容もいろいろでございまして、この一々を御
説明いたしますのは煩雑に過ぎますので省略さして頂きます。いずれその
内容は五十六頁以下に
相当事件の
概要を掲げてございますから御覧願いたいと思います。この中で御
承知の
操短問題、それから先ほどのは
ゴムを申しましたが、
ゴム、それから
化繊、それから
綿紡、これらは相次ぎまして
操短問題が起りました。これにつきましてはこの前の
国会で、丁度その頃でございましたので一応の御
報告をいたしたと思いますが、要するに、
ゴムにつきましては正式に取上げまして、
化繊も正式に取上げ、
綿紡だけは
通産省の制裁の附いた強い
勧告によつて行われたという面が非常に他のものと違つたところでございますので、このほうは
違反として取上げることはいたしませんでしたが、併し
通産省の
勧告に基くものとはいいますが、やはり
独占禁止法の建前から行過ぎた
操短というものは
余り好ましくないという
観点からいたしまして、
操短が行われました後
相当たちまして
綿糸の値も非常に回復いたしました頃を見計らいまして、今年の六月中に
通産省に対しましてもう
操短の
勧告はやめてはどうかということを
申合せをいたしました。併し
通産のほうはいろいろ
綿紡関係の
国際会議もあり、その他の
関係からいたしまして、御
承知のように枠は
相当拡げましたが、最近までずつとそれを続けて来ておる、こういう
状態でございます。
化繊につきましては
審判を開始いたしまして、その後暑い夏から最近にかけまして事実を調べまして、一応事実調べの
段階を終りまして、いずれ最近に
公正取引委員会としての
審決が下されることだろうと思います。これは三人の
委員の人を特に
審判官にいたしまして最近に事実の取調べだけは済みました、こういう
段階でございます。
違反事件のことにつきまして我々が非常に悩みました点は、結局
独占禁止法が成立後二十四年になりまして
かなりの
改正がございましたが、併しやはりなおまだいろいろな特殊の事情のあります場合に、あの
法律をそのまま当てはめますことにつきましては、いろいろなむしろ
マイナスの面もありますので、それらを如何に調整するかということが我々の非常に苦労をいたしたところでございます。従いまして
独占禁止法の
改正、或いは
事業者団体法の
改正というものを常に裏に持ちながら困難な
仕事をやつて来ておつたわけでございます。幸いに
事業者団体法につきましては、前
国会におきまして長年の
改正の問題が結実いたしまして、或る
程度の
改正がなされまして、
独占禁止法につきましてはなお
諸般の考慮を要する点がございますので、
前回の
国会には遂に
改正案が出ずに来ておるわけでございます。この
改正の問題は前
国会においても私からも申上げたことと思いますが、いずれ
公正取引委員会としても真剣にこの問題を
検討したいということを申上げましたし、
政府の各
方面におきましても、これに
関係のある部局はおきまして、いろいろ
検討いたしておる次第でございます。いずれ
公正取引委員会、或いは
経済審議庁、
通産省というようなところで
共同にこの問題を
検討いたしまして、
政府としても何らかの
結論を出したい、こういうふうに
考えまして、今盛んにその問題を
検討しておる最中でございます。ただこれは前
国会にも申上げましたように、先ほど申しましたような
独占禁止法のこの
根本精神を活かしながら、それから出て参ります
諸般の或る
意味の行過ぎを是正して行く、
マイナスの面を払拭して行くというこの
仕事は
かなり面倒な
仕事でございまして、この線の
引き方についてはいろいろな
考え方もあるわけでございます。非常に困難を伴います結果なかなか早急に
結論を出しかねておるわけでございます。
一方
国際情勢から申しましても
アメリカの反
トラストの
考え方というものは、単に
アメリカだけの
政策でなくなりつつあるような面がございまして、これは勿論
アメリカが
中心と
なつて国連或いは
条約等を通じまして世界に強く働きかけておる結果ということも言えるのでありますが、併し現実の問題としまして反
トラストの
政策というものは
相当いろいろな国に滲透しつつあるというのが
現状でございます。殊に最近に成案ができました
西ドイツの
競争防止を禁止する
法律というような名前の
法律がございますが、これには
かなり今までの
ドイツの
カルテル尊重の行き方を
相当に修正いたしまして、
かなりに
アメリカに近い反
トラストの線を出しておることが、この
法案を見ますと明らかにいえるのでございます。これらが丁度今この
改正問題を
検討いたしております私
たちにとりましても非常な
参考になるわけでございまして、その一端を御紹介いたしますると、例えば
カルテル問題につきましては、
日本の
独禁法のいわゆる第四条の
関係でございますが、
カルテルにつきましては
恐慌の場合の
カルテルと、それから
貿易についての
カルテルというものを認める、それから更にその上に、或る
制限の下におきまして
合理化を促進するための
カルテル、この
三つの
カルテルを例外的に役所の許可を条件といたしまして許すというような線が出ておりまして、この
考え方は丁度
前回の
国会におきまして御
承知の
輸出取引法というものが或る
意味におきまして
貿易の
カルテルを認めるという線を出しておりまするし、それから
特定中小企業安定法が或る
意味の
恐慌に対する
一つの対策をあそこに持つておるわけでございます。我々が止むを得ず
カルテルを認めなければならんと思われる線が、丁度
西ドイツの最近の
法律の中にも出ております。問題はいわゆる
合理化の
カルテルということがまだ
日本ではそれほどはつきり取上げられておらんというところが多少違つております。でこれらの
ドイツの
法制は今後の我々のこの
改正案の
検討につきましても十分勘酷いたしたいと実は
考えておる次第でございます。
次に、甚だ簡単でございますが、これで一応この
報告書に基きます
お話と、最近におきまするいろいろな問題の極くあらましのことの
説明は終ることにいたしまして、
只今委員長から御
指摘がございました二、三の問題につきまして簡単に申上げたいと思います。
最近に
紡績関係におきましていわゆる
商品の
買取会社というようなものを、或いは
輸出に関しての
共販組織というようなものが
考えられておるようでございます。ただこの問題は、実は私
どもも
新聞紙等におきまして間接に知つておるだけでございまして、正式に実はまだそちらの
関係の
お話もないので、実は仮定的なことになりますので、はつきりしたことは申上げられないと思います。これは最近関西のほうからもいろいろ
関係のかたが見えおられるようでございますが、いずれ
公正取引委員会のほうにも何か
お話があると思います。その上で正確なことを我々としましては
検討いたしたいと思つております。ただ
問題点は、結局この
買取会社というものが、単に
一つの
商事会社としてその自己の判断に基いて或るものを、
綿糸なら
綿糸を買入れ、或いはそれを必要に応じて売るという普通の
商事会社的な性格を持つておれば勿論これは問題でないのでありますが、或いはこれが丁度生糸の
買取機関のような公けのものでございますればこれは勿論問題がないわけでございます。併し
紡績会社の寄り集まりました
一つの
会社組織であり、而もその
会社を通じましていろいろ
操作をする、
かなりの
操作をやるというようなことに
なつておりますと、これが危機のための
一つの止むを得ない方策というようなことでございますれば、先ほど申しました我々の線にも或る
意味で乗つて来るわけでございますが、併しそういう点の非常なはつきりした保証も何もない
状態におきましてこういう
会社ができて、それがいろいろな
操作をするということになりますると、
独禁法上やはり問題があるように思われます。
輸出の問題につきましても、
輸出の
機関につきましても
輸出組合法に許される以外の形式というものにつきましては、やはりその
作用如何によりましては、
独禁法上の問題があると
考えるわけでございますが、ただ
輸出取引法につきましては我々といたしましてもあれは
一つの試みとしまして、ああいう形のものを一応
通産省で立案いたしまして、先般の議会を通つたわけでございますが、あれが最も理想的な形態であるとは私
たちも思つておりません。この
輸出取引法の
改正というようなことについては我々ももう少し
検討する余地があるということを我々自身も十分に
承知をしておる次第でございます。
それから四日市の問題も、これは全然
公正取引委員会に相談と申しますか、
お話のない問題でございまして、専ら問題は
通産、
大蔵方面で
検討されておるようでございます。これにつきましても丁度
日本軽金属の問題で、先ほど申しましたように、或る一社が四日市の施設を譲受ける。而もそれに
外国の有力の事業者が結び付いておるということによつて、その
企業の持つ力というものが非常に大きく
なつて来るというような事態がございますると、これはやはり
独占禁止法の問題はあり得ると思います。又一方同業の数社が集まりましてここに
一つの
機関を作つて、
会社を作つてこの四日市の施設の払下等を受けましてこれを運営するということに
なつて参りますると、この
会社を作ること自体が、御
承知のように
競争会社が株を持ち合つて
一つの
会社を作るということについては、
独占禁止法上のいろいろな制約が現行法上はあるわけでございまして、それらの
方面の問題もあるというようなことで、いずれにいたしましても
独占禁止法上多少の問題は含まれておると思いまするが、これも実はまだ正確にどういう形式でどういうことになるというようなことにつきまして、
公正取引委員会としての
調査も具体的の資料を実は持ち合せておりませんので、はつきりした
結論を申上げることはできないと思います。
次に
重要産業安定法とでも言うべき立法が
通産省で
検討せられておりますることはすでに皆様の御
承知の
通りでございます。これは
重要産業につきましていろいろな、
一種の
不況を打開するということのために、丁度中小
企業安定法によつて中小
企業の安定を図られると大体同じ方式を以ちまして、あれに盛られておりませんその他の
重要産業について同様の方策を講じようというのが、我々が
只今まで
承知いたしておりまするこの案の
内容でございます。これにつきましては先ほど申しました
独占禁止法の
改正というものが或る
程度、例えば
恐慌カルテル、或いは
合理化カルテルというようなものが
独占禁止法の
改正自体で或る
程度解決されるということになりますると、重ねてこういう
法制を作る必要があるかどうかという問題が起つて参るわけでありまして、ただ
独占禁止法の
改正にも或る限度がございますので、それを越えてなお例えば
一種の統制的な、単に
カルテルを許すとか許さんとかいうことを更に越えまして、
政府がその
企業に対して或る種の統制を加えて行くという
段階まで推し進めるということになりますると、これは
独占禁止法の問題より更に一歩進んだ問題になりまするので、
独占禁止法の
改正だけでは問題は片付かないということになりますので、そこにはみ出した部分があるというような
関係からいたしまして、今度
予定せられておりまする
独占禁止法の
改正と、この
重要産業安定法を如何に
処理するかという問題は、今後
独占禁止法の
改正の問題を
通産省方面と
検討いたします際に十分に話合つて、最も妥当な線に落着けたいと
考えておるわけでございます。
以上甚だ簡単でございまするが、御
指摘になりました問題についてお答えをいたします。