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1952-12-19 第15回国会 参議院 経済安定・通商産業連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後二時二十九分開会   —————————————  委員氏名   経済安定委員    委員長     境野 清雄君    理事      山田 佐一君    理事      田村 文吉君            泉山 三六君            木村 守江君            赤澤 與仁君            山川 良一君            清澤 俊英君            永井純一郎君            佐々木良作君            須藤 五郎君   通商産業委員    委員長     結城 安次君    理事      小林 英三君    理事      松本  昇君    理事      栗山 良夫君    理事      竹中 七郎君            古池 信三君            左藤 義詮君            重宗 雄三君            松平 勇雄君            山本 米治君            小滝  彬君            奥 むめお君            加藤 正人君            川上 嘉市君            高橋龍太郎君            小林 孝平君            小松 正雄君            島   清君            西田 隆男君            石川 清一君   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     境野 清雄君    理事      田村 文吉君    委員            泉山 三六君            清澤 俊英君            須藤 五郎君   通商産業委員    委員長     結城 安次君    理事            松本  昇君            竹中 七郎君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            重宗 雄三君            松平 勇雄君            島   清君            石川 清一君   政府委員    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       渡邊 一郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       山本有太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君   参考人    日本中小企業団   体連盟常任理事  山本 義夫君    全国中小工業協    議会福委員長  田和 敬爾君    日本綿スフ織物    工業連合会専務    理事      原 與一郎君    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君    商工組合中央金    庫理事     門司 正信君    東京都民銀行常    務取締役    伊地知辰夫君    富士銀行目黒支    店長      氏原 久男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業金融対策に関する件   —————————————    〔境野清雄委員長席に着く〕
  2. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは只今から経済安定、通商産業連合委員会を開会いたします。  本日の議題は中小企業金融対策についてでありまして、御承知通り、よかれ悪しかれ日本経済はやや安定線に乗つて参りましたので、金融自体は、やはり季節的なものになつて来たというふうに考えておるのであります。勿論そういうような結果から行きまして、月の決済は月末と、一年の決済は盆乃至暮というものが、従来の基準になつてつたようであります。こういうようなふうに考えますので、季節的に相成りましたときに、今日この委員会自体が年末の金融自体を問題にしておるのではなく、特に信用取引が非常に増大して参りましたので、手形決済その他の問題が相当あるのじやないか。従来の日本経済自体から見ましても、年末金融というもので、相当恐れてはおりますが、年末金融で破綻したというようなものは、余りないのが前例になつておるのでありますけれども、ただそこで、私ども非常に心配いたしますのは、年末金融で出した手形が、やがて二月にはこれの決済期が来て、二月自体中小企業に対する相当危機になるんじやないか。こういうような観点から、年末に押し迫りましたが、そこで私ども現状金融情勢をお聞きしまして、それによつて来年の二月に来るであろう中小企業金融に対する私どもとしても、それぞれの手を打たなくちやならん、こういう意味で今日は中小企業金融に関しての委員会を開催するのでありますから、是非とも年末金融と併せて、そういうような点をお含み下さつて参考人の皆様に、一つ陳述を願いたいと思うのであります。特に押し詰りました年末に際して、何かと金融界皆さんもお忙がしいところでありましようにもかかわらず、中小企業の各団体並びに金融業者のほうの参考人かたがたが全員お揃い願えまして、非常にありがたく感謝申上げる次第であります。  それでは参考人のかたから、一つ陳述を願いたいと思うのであります。なるべく参考人のかたの人数も多いのでありますから、要点を一つ簡略にお述べを願いたいと存ずるのであります。先ず第一番目に、日本中小企業団体連盟常任理事山本義夫君にお願いいたします。勿論問題は金融現状と、中小企業金融に対する要望をお述べ願いたいと存じます。
  3. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 只今御紹介にあずかりました日本中小企業団体連盟理事山本でございます。委員長さんの御要望によりまして、できるだけ簡便に要望を願い、かたがた実情を併せて申述べたいと存じます。  御案内通り中小企業特殊性は、すでに古くから言われている問題でございますが、最近の経済状態の悪化は、非常な状態でございまして、これは殆んど中小企業の皺寄せによつてのみなされておるということも過言ではないと我々は痛感する次第であります。例えば大企業における下請支払の遅延或いは又炭労或いは電産のストの影響は、ことごとく中小企業を圧迫しておるという現状でございます。文字通り暗澹たる現状だと思います。そこで私どもの望んでおりまする問題は、どうしても現在の中小企業専門金融機関至急に拡充強化して頂きたい。政府においては、いろいろお考えもございましようが、我々がいつも考えている問題は、政府において、例えば緒方さんの場合は、中小企業金融金庫をお作りになる。或いは又最近においては、中小企業資金特別会計の御案もありましようが、そういう、いろいろな結構な御案もありましようが、そういうことをお考えになるよりも先に、先ず中小企業の既存しておる金融機関を積極的に拡充強化されることが、それ自体が先決問題ではないかと私は考える次第であります。そこで一応、中小企業専門金融機関たる商工中金、特に金融公庫相互銀行信用金庫の拡充についての問題でございますが、御案内のように金融機関というものは、飽くまでもペイする。いわゆるコンマーシヤル・ベース。飽くまでも採算という点を非常に強調されることは御尤もだと存ずる次第であります。中小企業が特に経済状態の問題から、採算が合わない危険性があるというような点から尻込みをされるというような状態も、一応は納得されるのでございまして、その点につきましては、信用保険信用保証のいろいろ問題もございましようが、我々が望むことは、国家資金を長期に亘り、低利且つ大量を、大至急に流してもらいたいということを切実に要望するわけであります。例えば現在、商工中金におきましては、資金運用部資金の直接貸付の途が開かれていない。従つて債券貸付のみである。その債券は六〇%であり、トータル五〇%のような現状においては、非常にその総額の枠が締められておる。制限されている。従つていくら我々が望むにしても、そこに或る種の制約はあるというような現状であるならば、むしろ積極的に政府財政資金を大幅に流し、且つ又資金運用部資金の直接の貸付の途を、これを低利に流してもらいたいということを強調したいと思うわけであります。或いは又国民金融公庫におきましては、政府資金並びに資金運用部資金を大幅に早く流して頂きたい。且つ又相互銀行信用金庫においても、同じようなことが言えると思うのであります。又私ども考える点でございますが、市中銀行或いは地方銀行が、中小企業金融において占める割合が、どの統計においても六〇%を超えている。併しながら現実の問題におきまして、我々中小企業者というものは、或る程度虚栄と申しますか。悪いのでございますが、どうしても借りるのは中小企業金融機関であつて、預けるのは大銀行であるというような状態もありまして、どうしても市中銀行或いは地方銀行において貸出されている六〇%に見合わして預金中小企業者から入れられておるのではなかろう。従いまして殆んど我々としては、市中銀行地方銀行において、本当に中小企業のために純粋な貸出が行われているかどうか。私はこの点は非常に疑問だと考えている次第であります。例えば中小企業専門店のを市中銀行において回収しておられるのでありますが、それは殆んどその預金の五〇%以内の数字のみが中小企業者貸出されており、その他は殆んど大企業への資金に流用されているのではないか。そういうような状態において、且つ又最近、地方銀行のうちの有力なものが、大銀行のほうへの資金を融通する、或いは又大金融のほうに向いつつあるのではないかというような現状から見まして、私は地方銀行においても、現在東京都民銀行或いは大阪の普通銀行において、或いは真に中小企業のために金融をつけておられるような銀行に対しては、満腔の謝意を表するものでありますが、一部の有力な地方銀行に対して、或いは又市中銀行に対しては、果して市中銀行或いは一部地方有力銀行が、中小企業のために金融考えておられるかどうか。果して政府がそういうふうなところへ預託金を流す必要があるのかどうか。そういう預託金があるならば、もつと我々は、専門金融機関へ大幅に流すべきではないかと考えるわけであります。本日は市中銀行のかたもおられまして、誠に失礼ではありますが、一応私どもはそういう考えを持つております。  それから商工中金の場合でございますが、いろいろ問題が最近起つているようでございますが、御承知のように国民金融公庫との立場は、はつきり私は違つておるのじやないか。国民金融公庫というのは、あくまでも社会政策的な対象であつて、ことごとく零細金融である。従つて商工中金はその線を超えた、いわゆる幾分社会政策的な見地も加味されましようが、あくまで経済政策的な対象からのみの金融であるという点を考え、更に現在、そういうふうな、やつと社会政策的な対象を超えた線であるからには、どうしてもここでは金融解決しにくい。どうしても組合に持つて行かなければ解決できない。そういうようなために過去何十年の歴史、これが組合を作り、そうして商工中金組合金融の形において、やつと零細金融並びに小企業解決せられておるような現実において、それを組合金融原則を潰すということ自体、一体どういうことなのか。一体これは国民金融公庫との性格と合致せし得るのかどうか。これは一般中小企業者、特に下のほうの階級の人々に問題を起しておるような状態であります。もとより中小企業の中でも、相当上のほうのクラスがありまして、このクラスかたがたは、組合金融の限界ということについて非常に主張をせられ、商工中金金融に穴をあけるというので、いわゆる自己資金回収にも、貸出の途を開くということも主張されましようが、それは殆んどが、中企業のうちの上のほうのクラス解決されまして、中企業の下のほうのクラス或いは小企業の上のほうのクラスを、飽くまでも組合金融という原則は崩さないで、ただ組合化することが不適当又は不可能な状態にあるような未組織大衆に対しては、これを直接貸付け得る途を便宜開くというような解決においてこの法律改正を望みたいという考えを持つているのが、東京の方面においても、特に地方においても、圧倒的の見解であるということをお耳に入れておきたいと考える次第であります。  それから、先ほど来もお話申上げましたいわゆる商工中金金利の問題でございますが、もとより直接原価がそういう債券の引受のために、相当高くついております。それ自体当然コストが高くつくわけでありまして、この点におきましては、政府出資並びに資金運用部資金低利貸付によりまして、資金コストの引下を解決し、よつて中小企業者に対する金利を安くして頂く以外に方法はないという考えを持つております。それから一般に言われております預金吸収の問題でありますが、これは地方銀行かたがた、特に都民銀行かたがたがより多く主張されるのでありますが、もとより私ども考えとしまして、一般銀行預金銀行でありますからには、或る程度歩積み、或いは預金残ということは、当然考慮されることだと考える次第でございまして、その点につきましては決して否認するわけではございませんが、商工中金は、全面的な政府資金を流すことにおいて、でき得るなれば私は歩積み制度というような、そういうような保証という形の解決を願いたい。即ち或る程度歩積みについては再考慮を煩したいという考えを持つております。この問題につきましては、私の考えといたしましては信用保険を全面的に活用することによつてのみ果し得る問題だと思います。もとより商工中金も、金融機関として、どこまでも採算を本位に行かなければならないということはよくわかる次第でございますが、現在歩積みとか或いは又保証担保という点も、会計検査院或いは銀行局の監査が非常に厳重でもありますので、万一のために貸出しの危険性も考慮されていると思いますが、信用保険を全面的に活用するならば、こういう問題は直ちに解決する問題だと考えます。従いまして信用保険の問題につきましては、現在七五%、未回収債券に対する保険金がありますが、これを一〇〇%、でき得なければ九〇%にして頂きたいということは我々が常に主張しておるのでございますが、どうも中小企業庁のお考えでは、全面的にこれを活用するということは、いわゆる貸付が放漫になるのではないかというような御疑念があるのではないかと思いますが、こういうような御疑念が若しありとすれば、これは金融機関に対する侮辱だと考えますが、若し金融機関を真に信頼するならば、私は金融機関は、事業資金のみに金融するという点を本当に信用するならば、一〇〇%私は保険をすること自体中小企業金融解決する問題だと考えるわけでございます。  それから国民金融公庫の問題でございますが、現在公庫のべースに乗りながら、且つ申込を受けておりながら、資金の源がないために解決できない。或いは貸出しのできないものが約四百五十億あるというように承つておるのでありますが、これは現在三十億、五十億程度では到底解決できませんから、少くとも百億或いは百五十億を早急に流すことによつて解決したい。これは決して救済ではございませんで、飽くまでも中小企業事業資金であり、ペーするものでありますが、事業資金でペーするものに対して貸出しができないならば、いわゆる零細企業者は町の高利貸に走る以外にない。高利貸の下に走るという問題を解決するということ自体は、国民金融公庫の問題を早急に解決願えれば、私は解決の一番早い途だと考えるものでございます。  それから金融受入れ態勢の問題を始終よく言われておりまして、政府或いは金融機関或いは有識者の間においても、中小企業はどうも科学性が乏しい。合理化が乏しい。いわゆる帳簿組織の問題を言われておりますが、私ども地方において聞き或いは零細企業者現状を見ますと、どうも朝起きてから夜寝るまで、或いは夢の中にまで金、金という現状では、到底帳簿をつけたいけれどもつける暇がない。企業庁のかたがた或いは政府かたがたは、併し帳簿がなければいけないじやないかと言われますが、もつと現実を直視するならば、一般に税務署とか或いはそういう方面に出されている書類というものは、町の計理士が作成した単なる作文の数字ではないか。そういうような数字を信用して貸出しが行われるというようなものはむしろ撤廃して、中小企業者実情を把握して金融することが中小企業者の問題を現実解決する途だと考えます。もとより指導する理念というものは納得しますが、もつと我々は理念よりも現実において解決して頂きたいという、こういう考え方を持つております。  それから信用保証の問題でございますが、信用保証の問題が各地においても非常に積極的で、これら中小企業を助けて頂くという意味においても非常に結構でございますが、信用保証協会、某府県でございますが、銀行の調査よりも厳重であつて、そうだつたら借りなくてもいい。そんなにむずかしければ高利貸から金を借りたほうがいい。或いは先ほど申上げました帳簿組織をいろいろ要求されるようでは、高利貸から借りたほうがいい。同じような考え方でありまして、少くとも中小企業金融を何とか緩和するように解決してやろう。助けてやろうというお気持が、信用保険制度に現われておりますならば、もつと信用保証は然るべき取扱をして頂いたほうがいいのではないかという考え方を持つておるのであります。信用保険の場合におきまして、保険の料金が現在六厘七毛でございますが、少くともその半額の金融機関負担分政府において私は負担して頂きたい。決してこれが損になるのではなくして、金融機関自体が本当にこれは事業資金としてペーするものであるということが確認されるならば、現在そういう闇高利に走る金は五百億だという数字を並べてみるならば、私は決してこれが損失になるのではなく、活きてもつと有効に活用されるということを強調したいと考える次第であります。  最後に、私は相互銀行或いは信用金庫の果しておられる役目についても十二分に敬意を表する次第でございますが、往々にして一部相互銀行の両建預金というような形において高利をやつておられる現状を我々は実情を以て知つておるのでございますのです。どうか相互銀行信用金庫の健全な発達並びに中小企業金融に対する御援助のためにも、どうかこの両建預金等はやめて頂くように御指導、お考えを持つて頂きたい。こういう考え方を持つております。ほかにもたくさんのかたがたが御説明せられますので、もつと申述べたいのですが、この程度一つ、一応私の意見を終りたいと思います。
  4. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 委員皆さんにお諮り申上げますが、大体中小企業団体が三団体来ておられますので、三団体のお話を全部お聞きしてから質問をせられたらどうか。それから金融業者のほうは、個々に金融業者性質が違いますので、金融業者は一人ずつ御説明願つて御質問願う。  こういうような形態にしたいと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それではそのようにいたします。  全国中小工業協議会委員長田和敬爾君。
  6. 田和敬爾

    参考人田和敬爾君) 私は全国中小工業協議会の副委員長をしております田和でございます。  中小工業金融的に非常に窮状に立つているという声は久しいのでありますが、最近になりましては、金融のために或る程度仕事帳簿上の利益は上つておりながら金融上の窮迫のために倒産するというのがかなりあると思うのであります。この点につきまして前者も申されましたが、結論的に申上げますれば、この際中小工業育成のために政府資金を大量に出して頂きたい。融資資金量をうんと殖やしてもらいたいということが先ず第一であります。それから中小工業金融を扱つておられます金融機関の強化ということもこれに附帯してどうしてもやつて頂かなければならん。一例を挙げてみますれば、国民公庫にしましても、申込んでから、実際の融資を受けるのは、二カ月も三カ月も先になるというような状態では、今の急場に間に合わない。時期の問題が非常に大切ではないかと思うのであります。  それから国民公庫の例を挙げましたが、一般普通銀行にしましても、政府のほうの預託金であるとか何とかいうものが末端まで余り届かない。又末端貸出されますときには、先ほども申されましたように、歩積みであるとか、両建預金であるとかいうもののために、僅かな融資を受けるにも必要なまあ預金でありますけれどもが、負担をしなくちやならんというのが実情じやないかと思うのであります。これは歩積みにつきましては、いろいろ議論もありますし、或いは中小工業者自体が或る程度誤解もあるかとも思いますが、窓ガラスの中で営業されている普通銀行には、それほどでないと思いますが。極く僅かの歩積みというものは、これはやつても差支えないと思いますが、非常な多額の両建預金であるとか、場合によりましては、半額に至る定期預金をしなくちやならん。こういう実情では、中小企業の目下の金融危機救済するゆえんではないと思うのであります。  それから融資されますときには、期間が非常に運転資金なんかは、六十日程度のあれを受けているのでありますが、これを期間を延長して頂きたい。概してこの問題と関連しますが、中小企業性質上大体下請工場式仕事をしているのが多い。この場合に親企業支払が非常に遅延している。或いは遅延した上に更に手形支払う。その手形が実に四カ月、ひどいのになれば五カ月というふうな状態でありますからして、どうしても運転資金融資という問題も少くも四カ月乃至六カ月の期間をおいて頂かなくてはならん。こういうふうに考えます。  それから金融の問題と関連しまして、税金の問題であります。これが非常に中小企業では、帳簿はつきりしないとかいうような関係から、或る程度税金査定というものが、申告通り行つてない。こういう点で非常に実際の収益を挙げているよりも多額な税金を納めているという実情があるのでございます。ですから我々といたしましては、この中小法人法人税は少くも三三%程度に下げて頂きたい。それから地方税でありますが、地方税のうち、殊に固定資産税の問題でありますが、これは税率が非常に低くなつておりますけれどもが、今年あたり査定評価が、固定資産の価額が上つているという名目の下に、或いは倍額にし、或いは八割増にされますというと、税率なんか問題でなくなつて末る。非常に高い地方税を納めているというわけであります。ですから、地方税評価という問題を適正な評価をして頂きたい。こういうふうに考えます。  それからいろいろまだ税金の問題では、附加価値税の問題もありますが、これも簡単に申上げますが、附加価値税というものは、もう少し延期して頂きたい。その他中小企業に対する特別控除とか、或いは非常に所得の少いものには基礎控除を大きく作つて頂きたい。それから中小企業安定法の問題でありますが、これも操短であるとか、或いは価格協定であるとかいうようなことを謳つてあるのでありますが、大体におきまして、そういう消極的な考え法律ができておりますけれどもが、これが実際において、中小工業のほうの救済になつていない。実際においては、或いは保障の問題であるとか、附帯決議にあるようでありますが、これが実際に行われていない。早急にこれを実施してもらいたいと存じます。それから前の話に返りますが、商工中金あたり融資に当りましても、今度何か改正されて、個人貸出をやるというようなことを聞くのでありますが、これは是非そういうふうにやつて頂きたい。殊に商工中金協同組合融資して頂きますときに、連帯保証の問題もあるのであります。これは非常に中小工業金融の面で障害になつている。ですからこの連帯保証の問題と関連しまして、組合員でない個人にも貸して頂くというふうに改正して頂ければ結構だと思います。  その他中小工業金融問題と関連しまして、労働基準法の問題も関連すると思いますが、これも中小工業に特別な基準法を作つて頂くとか、或いは現在の基準法をこれを改正するということは、国際的な問題でもありますし、国際的な基準を引下げるということは如何かと思いますが、これが運用に当りまして、或る程度の緩和をして頂きたい。こういうふうに考えております。  まだ金融の問題ではいろいろありましようが、大体大掴みのところだけ申上げておきます。
  7. 境野清雄

  8. 原與一郎

    参考人(原與一郎君) 本日、上申の機会を得ましたことは非常に感謝するわけであります。で、私のほうの綿スフ織物業者、これは全国団体でございまするが、御承知のようなパニツクの真只中におかれているわけであります。で、私どものほうの資金が、金融が非常に行き詰つているのはどういうわけで行き詰つているかということを申上げます。  その一つは、終戦後繊維産業復興計画に基きまして、荒廃したものから今日まで立直つて来ましたこの設備の拡充合理化に要した金額の中で、なお借入残になつているものが約四十億あるわけであります。これが支払の期限が参りましたために、長期が短期に切替つて運転資金を圧迫しておるということがあるのであります。  それから御承知のように輸出が非常に不振でありますので、今まで紡績会社から輸出綿布の下請をやつておりましたものが紡績会社のほうの都合によつてこれを切捨てられた。そこでこの下請を専門にやつていたところは、その工場の操業を維持するためには、これから原料を買つて行かなきやならん。こういう不況なときに、新たに必要とする資金が約十六億ほど要るわけであります。  それからもう一つの問題は、我々のほうの原料は糸でありますが、糸は大企業でやつております。我々のほうは採算が悪いのでありまして、信用力がだんだんとなくなつて来る。そこで糸を買う場合に、買うときの条件が悪くなつて参りまして、今日では大体買いのほうの手形は三十日くらいに縮つております。中には現金になつておるものもあります。ところが、これを販売するときの手形は六十日以上に延びつつあるわけなのであります。これはまあ信用の比較の問題もありますし、生産過剰の問題もあると思うのであります。そういうことのために手形のやり繰りが、十五日ほどこの綿スフ織物業者のほうでは延びておるわけでありまして、この十五日延びますと、約二十億運転資金が余分にかかつて来るわけなのであります。  以上、三つの額を合計しますと約八十億、この八十億が今の非常な不景気な真只中に一度に押し寄せられたというようなことのために、倒産をする業者も相次ぐというような実情にあるわけなのであります。で、これはどういうわけでこうなつたかと申しますと、これは一つには綿スフ織物業者の頭数、或いは設備の過剰という根本の問題があると思うのであります。併しその上に、本年の三月から通産省の勧告に基きまして、綿糸のほうの操短を実施されました。この当時の通産省の御方針は、綿業市況を安定するために操短をやると。こういうことであつたのでありますが、そのときに我々のほうは、糸の段階において操短をやることは、綿スフ織物業者の犠牲において紡績の利益を保障するようなことになるから、この操短は絶対に反対であると。ただ市況を安定するために操短をやるならば、糸の段階と同時に織物の段階でも並行的にやつてもらわなければ困るということを強く申上げたわけなんでありますが、これは容れられなかつたわけであります。従つてその結果は、我々が当初予想したと同じような、むしろそれ以上のひどい原料高、製品安というようなことになつて参つたのであります。こういうような現状に追い込まれてなお先ほど申上げましたような運転資金が非常に圧迫されて来ておるということなんであります。丁度参議院の皆さま方のほうにも御尽力を得まして、七月に中小企業安定法を作つて頂きました。これに基きまして調整組合を作つて今出発をしかけておるところでございます。まあ私どものほうの考えといたしましては、この厖大な資金を何とか金融機関から御援助を願いたいのでありますが、我々自身も反省をしなきやならぬのでありまして、由来中小企業は、その事業に計画性がないこと、而も共食いをやつた。こういうことが今までの中小企業の歴史にも又私どものほうの業界の歴史にもあるのでございます。こういうようなことを繰返しておつて、それで金融機関にこの金融を要講することも無理であります。今申上げました安定法に基く調整組合を作りましたのは、この中小企業の陥りやすいところの無計画、無軌道、共食いと、こういうことを自主的に戒め合つて除去して健全な経営体になろうと、こういう気持のもとに全国で二十三万台の力織機のうちで、この調整組合に加入しておるものがすでに二十万台あるわけであります。二十三万台中の二十万台がこの調整組合に入つて来ておられます。その入つて来た目標は、只今申上げましたような健全な経営体に還ろうと、こういうような熱意に燃えて立上ろうとしておるわけなんです。にも拘らず、先ほど申上げましたような約八十億というその金のために、その成果を疑われる人もあるわけなんでございます。そこで私どもといたしましてはこの調整組合がいわゆる日本の中小企業の欠点を除去して、自力更生をするという思想のもとに進んで行くわけなんでありますので、これを健全に育成をさしてもらいたい。それがためには金融の道を、そういつたような気概を持つて立上ろうとする業者には優先的に適当な措置を講じて頂きたいということが今申上げます全国に散在する二十万台の力織機の所有主の共通の切実なお願いでございます。  それでは、どういう方面にそれを望んでおるかと申しますと、私どものほうの目下お願いをしたいと思いますことは、商工中金のほうで非常な御面倒を現在も見て頂いておるはずでありますが、この商工中金資金源を早急に増大して頂きたいということが第一のお願いであります。商工中金のほうは、資金コストが非常に高くかかるために、金利も、市中銀行よりも割高になつておりますが、この点も一厘、一毛の工費を争う我々の業界といたしましては、非常に過重な負担になるわけでありますので、このコストを安くするために、政府資金商工中金のほうへ思い切つてこの際導入をして頂きたいということが第一のお願いであります。これを思い切つて導入して頂きたいという裏には、先ほど申上げましたように、たかだか十五日延びておるために約二十億の金が特別にかかるのだという、この二十億といえども、我々のほうが生産を調節して需給の調整を図ると共に、運転資金を得られますならば信用度も増すことでありますので、今注ぎ込んで頂きましたならば、この二十億というのは遠からずしてお返しができるというような非常に大切な時期でありますので、あえてこの中金のほうの資金源の増大と、その資金源は政府資金を無理して出して頂きたいと。こういうことをお願いしたいのであります。  それから今一つの問題は、信用保険法の改正の問題でございます。信用保険法のこれは貸付の額の引上げと保険料率の問題をできるだけ早い機会に改正をして頂きまして、折角できたこのいい法律を本当に中小企業のためになる法律に活かして活用するようにお願いをしたいのであります。  甚だ簡単でございますが、皆様にお会いしますと、いろいろ泣き言やお願いなりを申上げたいのでありますが、それを極力濾過して一番大切なことだけを申上げたのでありまして、何とかして一つ特別の御勘考を願いまして、今注射をして頂けば、私どもは立ち上がることができるのであります。私どもの業界は、日本の綿スフ織物の生産量の約六割を占めております。このうち半分以上が、今は輸出は不振でありますが、一たび商談が進むならば、これは世界各国にそのコストの点においても、品質の点においても、どこの国にも劣ることのない自信を持ち、又大企業である綿紡績会社に比べまして、そのコストの点においては、決して劣るようなものではないのであります。こういうような日本的に大切な産業が今壊滅の一歩手前にある。それを業者は、これを何とかして頂きたいというので、調整組合によつて自分自身もできるだけのことをして行きたい。こういうところまで我々のほうは態勢を進めて来ているのであります。これに持つて来て、政府資金を導入して頂けるか頂けないかということは、これは私は綿工連の諸君だけでなくして、一日本人としても国会の皆様にお願いができることではないかと。かように思いまして、あえてお願いする次第であります。失礼しました。
  9. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは、只今中小企業団体の代表者のかた三名から、参考人としていろいろ御陳述がありましたので、これに対して議員諸君のほうも御質問を願いたいと思います。
  10. 島清

    ○島清君 どなたからお答え頂いても結構でございますが、中小企業の問題は、金融という面で皺寄せをされておりまするので、中小企業の問題と言いますとイコール金融問題という形で現われて来るのですが、一時私たちはこの問題で、商工中金の責任者においでを頂いてお話を願つたことがあつたのですが、そのときに商工中金のほうでは、去年の十二月暮でございましたか、今年の二月末でございましたか、それははつきりしておりませんが、その頃に資金の需要高というものは百七億程度だというようなことの御意見があつたりいたしまして、非常に驚いたことがあつたのですが、その業者から御覧になりました中小企業のそう言つたような既存の金融機関と申しますか。専門の金融機関に対して、申込の大体希望の何割ぐらいが、そう言つたような機関から需要を充たされておると思われるかどうか。そう言つたようなものの概略でようございますが、そういうものの御説明を頂けたら大変仕合せだと思います。山本さんどうでしようか。
  11. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 只今、島先生からの商工中金の問題でございますが、先ほど私が一部御説明申上げたと思いますが、商工中金自体の独自の考え方、即ち会計検査院或いは銀行局の監査とか、そう言つたような点から見まして、現在商工中金がやつておられる形は、いわゆる融資した組合から、出資及び三%の歩積みをとる。それからいわゆる極度契約と申した場合は、担保を提供するという形をとつております。これは金融機関の立場から考えますと、誠に御尤もでございますが、この問題自体商工中金のいわゆる現在の組合金融の限界をなしているのではないかという考え方を持つております。例えて申しますれば、歩積みの問題は今後の大きな問題でございますが、資本蓄積に絡んでおりまして、現在中小企業者が、果してそれだけ耐え得るまで資本蓄積があるかどうか。例えば一般市中銀行地方銀行においては、大体融資の三割の預金銀行で殆んど無意識的に強制している。そういうような資本蓄積があるかどうかという点を考えると、中小業者の中にも、非常にいい内容を持たれたかたもありますが、一部産業の非常に好況な事業に対しまして、非常に好成績を挙げて資本蓄積をしたところもありますが、概して中小企業は、大企業のいわゆる圧迫、或いは税金の取立てのために、殆んど蓄積はございません。従いましてそういう歩積みとかいろいろな形、或いは預金残のいわゆる無意識的な強制というような形が、これが逆に仮相の蓄積になつておるのではないか。利潤の蓄積ではなくて仮相した蓄積である。例えばよく耳にする問題でございますが、銀行でやる定期預金の証書を持つて行つて高利貸から金を借りるという状態が起きるのでありまして、いわゆる株主相互金融だとか、或いは高金利金融というものが現実に存在するだけの当然の意義があると思います。従いまして私が先ほど申しましたように、商工中金対象とするようなクラスに対しては、信用保険を全面的に活用して、歩積み保証、担保というようなものを全廃して、商工中金に対しては全面的に積極的に国家資金を流すならば、商工中金はもつと金融をし得る。即ち現在私たちの見ておるものでは、大体申込の三割程度でありますが、その申込自体も、非常に遠慮しているのは、そこに金融機関自体の契約によつてできるのではないか。この問題は、商工中金を責めるよりも、先に先ず信用保険の制度を全面的に活用して国家資金導入というような問題を先ず解決するにあらざれば、現在の銀行局並びに会計検査院の検査からしても不可能だと私は考えるわけであります。
  12. 須藤五郎

    須藤五郎君 どなたからでもいいのですが、尋ねたい点が二、三点あるのです。現在中小企業金融業者から受けている金融の総額及びそれに対してどれくらいの利子を払つているものか。それから資本金とその借りている額とのパーセンテージ、それを伺いたい。それから金融さえついたら、中小企業は実際救われるのかどうかという点。それから先ほど原さんが、大企業に比べて品質、価格共にまさつておるという点をもう少し私は伺つてみたいと思う。どういう点であるかということ。それだけ私ちよつと伺つておきたいと思います。  先ず最初、金融さえついたら中小企業は実際救われるというふうなお考えですか、どうですか。その点を伺いたい。
  13. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 只今須藤君の一と二の点について、今おいでの参考人のほうから御返事願えれば結構ですが、若し御返事願えなければ、この問題に関しては、幸い中小企業庁のほうから長官と振興部長が来ておりますから……。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 今、原さんがおつしやつたので、金融さえついたら、とにかくもう今崩壊しつつあるものが救われる。こういう御意見だつたので、私はその点を伺いたい。この間本会議において金融しろという決議案が出た。私たちも賛成したわけなんですが、併し私たちの考えでは、金融だけでは救われないのじやないかという心配があるために、その点を業者のかたから、一応どなたからでも……。
  15. 境野清雄

    委員長境野清雄君) いや、今須藤君の質問の二と三の金融の問題が解決すれば、中小企業の問題は解決するのかという点、併せて大企業に比較して綿スフ工業界のやつておる商品というものは安いのであつて、廉価だと。こういうような面に関しては、業界からも勿論参考人の御返事を頂きたいと思うのでありますが、第一の点は、中小企業総体の金融情勢金融の額と並びにその支払つている利子というようなお話ですから、その問題に関しては、或いは参考人では無理じやないか。こう思いますので、それならば、中小企業庁の振興部長が来ておりますから、そのほうは振興部長から返事をさせようと。  こういうふうに申上げたのです。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうふうにお願いいたします。
  17. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは、二と三の問題につきまして原與一郎君。
  18. 原與一郎

    参考人(原與一郎君) 二のほうの問題でございますが、今金融さえつけば我々の業界は救われるかというお話なんですが、これはこれだけでは救われないと思います。で、本日は金融の問題が主題になつておりますので、いま一つ大切なことは、ここでは申上げなかつたのでございますけれども、私どものほうの考えは、調整組合連合会が結成されまして、ここで需給の調節の合うような生産を今後続けて行こうとしているわけなのでございます。ところがその我々の業界で、先ほど申上げましたように二十三万台の力織機の中で、三万台は目下調整組合の結成の準備中でございます。このほうは、台数から申上げましても大したことはないのでありますが、紡績のほうの兼営織布部門が持つ力織機の台数が七万五千台あるのでございます。これは二部操業をやつておりますので、実際の生産量はその倍の約十五万台に相当するわけでございます。そこでこの紡績会社の兼営織布部門が、我々のほうの調整をして行こうとする線に協力をして頂くことができなければ、この需給のバランスはとれないわけですから、糸高の綿布安で救われないと思うのでございます。これは安定法の第二十九条によりまして、アウト・サイダーをこの調整組合組合員同様の生産調整をやらすというその鍵が通産大臣の手中にあるわけでございまして、この点については我々のほうとしては、調整組合連合会の事業が発足すると同時に、この第二十九条の発動を要請することになつて、下打合せは紡績のほうに対しましても、通産省のほうへ対しましても、すでにやつておるわけなのでございます。この通産大臣のほうの勧告がやつて頂けるか頂けんかということによつて、調整規定が活きるか死ぬるか。で、それがやつて頂ければ、調整規定は活きて来る。活きて来るならば、糸に対する綿布の生産工費は、最低の工費でございまするが、最低の工費は、維持されるものであると、私どもは確信しておるわけでございます。そういたしますると、そういう前提の下にこの際厖大に急速に必要として来た運転資金を注入して頂きましたならば、私どものほうは企業合理化相当進んでおりまして、先ほど申上げましたようにコストの点でも、国際的に競争し得る内容を持つておりますので、十分に救われ得るということを確信しておるわけでございます。  それから三の問題でございますが、紡績会社に対して綿スフ織物業者は、その品質の点においてもコストの点においても安いと。こういうことを申上げたわけでございますが、これはコストの点において安いということだけは、どの綿布につきましても、私どものほうが安くできるわけでございます。それで品質のほうにつきましては、同じ品質のものについて紡績と私のほうとがいいと……、この綿スフ織物業者のほうがいいということでなくして、紡績会社で作る品物と我々のほうで作る品物とはかなりの開きがあるのでございます。我々のものはどちらかと言うと、手の込んだものでありまして、加工度の高いものでございます。例えばこの変化のある……普通の平織というような、ああいう単純な織物でなくして、ドビーとかジヤカードを使いまして、相当組織的にも複雑である。それからその製造工程においても、糸の状態においていろいろな加工をしてから後に織るとか、或いは織り上つた後に別珍、コールテンとか綿ネルとかいうように毛を掻いたり、毛を切つたりいたしまして、加工度が高いものでございます。そういうようなものが大体この綿スフ織物業者のほうの生産のほうの主体になるわけでございます。で、紡績会社のほうのものと同じものということになりますと、必ずしも我々のほうが優れておるということでなくして、私の申上げましたのは、その内容において又違つた、つまり紡績会社で大量的に作り得ない品種、而もそれは加工度が高いので、輸出した場合でも、外貨の獲得度が高いと。  こういうような意味においての品質でございます。
  19. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、金融だけで救われるかという質問は実はもつと根本的な問題が、中小企業の困つている点にあるのじやないかと。特に綿スフ関係のかたには、輸出問題が行き詰つている点に皆さんの困難が発生しているのじやないかと。そういうふうに考えたものですから、私は実はお尋ねしたのです。私たちは金融だけでは結局やはり困ることは、いつまでも続いて結局金融業者に奉仕する形になつてしまうので、生産業者としては、貿易をもつと広く打開して行く以外に、実際に救われる途はないと、私たちはそういう観点に立つているので、若しも皆さんがそういう観点に立たれるならば、貿易の打開、特に中国に対する中国貿易の打開を皆さんが強力に推し進めて行く以外に、ただお金を貸してもらつたら救われるという安価な気持では、これは救われないのじやないか。そういう点を実は私は申上げたいと同時に、皆さんにそういう決意をして頂きたいと思うので、まあ質問申上げたのですが、その点皆さん、どういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  20. 島清

    ○島清君 今の須藤君のお話は非常に飛躍し過ぎていると思う。少し結論を急いだように思われるので、この私たちが中小企業金融の問題を取上げまする場合には、中小企業のいわゆる病根と言いますか、何と言いますか。そういうものは必ずしも金融ばかりでないという意味において、中小企業を取扱つているわけではなくて、勿論貿易の振興、国民の購買力の高揚乃至は中小企業の諸君のよく言われますところの、労働基準法の適用除外というような、いろいろの問題がまああるわけでございますが、小し金融の問題の委員会でありまするから、そう別に結論をお急ぎにならないように、順序を追うて質問をして参りたいと思うのですが、今私たちが中小企業の……。
  21. 須藤五郎

    須藤五郎君 私の発言中ですから、私の発言に対して答えを得てからにしてもらいたい。私も金融の必要性というものは十分存じております。それで前の委員会の決議案にも賛成している立場で、そういうことをよく承知の上で、私はお尋ねをしているのですから、私の質問を途中で取らないで下さい。
  22. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 島君に発言を許しましたから、暫らく島君の質問を続行してもらうことにいたします。
  23. 島清

    ○島清君 私の質問最中に須藤君が横取りされて質問をされたので、何か関連したような御質問であろうかと思つて、実は私は聞いておつた。あなたが私の質問を横取りされたのだ。
  24. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は答えを要求しているのですから、それに対するそれが済んでから……。
  25. 境野清雄

    委員長境野清雄君) じや続行してて下さい。よろしゆうございますか。島君のお話を……。
  26. 島清

    ○島清君 じや、一言でいいそうですから、私これから質問を続行したいと思つたのですが、何か須藤君が一言質問に対する答弁が欲しいそうですから……。
  27. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは、今須藤君の質問しました貿易の問題に関して、原君の御意見を述べて頂きたいと思います。
  28. 原與一郎

    参考人(原與一郎君) 中共貿易の問題は、私のところでは、現在まだ考えていないわけなんでございますが、勿論輸出の振興ということにつきましては、私のほうも一つの案は持つて関係方面に上申中でございますが、私のほうで、この際金を注ぎ込めば何とか立上れるというそのことは、どこまでも輸出が伸びなければ伸びないように、国民の購買力が現状のままであればあるように、それに応じたところの生産計画を立てると、こういう消極的と言えば消極的でございますが、併う協定組合……、我々の業界のみにおける問題といたしましては、そういう方法においてこの解決を求めようとしておるし、又求められるというような確信をしておるわけであります。  一方において輸出の振興ということにつきましては、これはどこまでも、この上は伸ばして行くということについて、いろいろと内部で協議いたしました結果を出しておるわけでございまするが、その問題は、一応ここで切離しまして、今の国民の購買力、今の輸出の状況、それに対するこのデリヴアリーをどうして行つたならば、一応の採算点が維持され得るか。そこでこれは商業率が低下するということにはなると思います。併しこれはそういう問題を考えた場合に、それ以外には、今のところ方法がない。こういうように考えておるわけであります。
  29. 島清

    ○島清君 先ほどの御質問に関連してでございますが、私たちが中小企業金融問題を眺めまする場合に、何か中小企業資金の需要というものが満足に充たされないという切実な感じからなのか、非常に昨今巷に高利金融機関が非常に殖えているように思う。そしてこの中小企業かたがたがそれに依存をする。そして心ならずもその中小企業企業体というものが、その高利貸の諸君に奪われて行くということはよく聞く話でございまするが、その中小企業の巷の高利金融機関に頼つて行く傾向というものは、既存の中小企業金融機関というものが、その中小企業の諸君の資金の需要に対して十二分に満たせないということが原因でございましようが、併しそう言つたような機関を使おうとして、非常に努力したが、なお且つ達せられないで、やむを得ずそういう高利の資本に依存をしておるのか乃至は又従来の、とにかく簡便に相談に乗れるから、というような意味合からして、そう言つたよう高利金融機関というのが、跋扈をしておるのか、その辺の事情をちよつと御説明願えたらと思います。
  30. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 高金利金融、或いは株主金融の非常な跋扈の問題でございますが、これはひとり中小企業の問題のみではございませんでして、大企業でも、相当金利金融業に依存しているということは、極く最近痛切に私どもも知つておるのであります。私どもが調べました範囲におきましても、現在いわゆる某経済会と称する形の金が、今まで大体中小企業方面に流れておつたのが、最近は大企業のほうに流れておる。そうしてその大企業はそういう何とか経済とか何とかというような、そういうような名称のところから、高利で金を借りて、それを銀行定期預金をして、そしてその三倍の金を借りるという形で、殆んど大企業に吸い上げられておる。即ち高金利金融機関の面においても同じく中小企業は大企業に非常に圧迫されておる形です。  それはなぜかと言いますと、日本経済渋滞に伴う本質的な癌が相当あるのだろうと存じますが、これを切実な問題としまして、されば中小企業は、なぜ高金利なほうへ走るかというような問題は、先ほど私が申述べましたように、中小企業はそれ自体に蓄積がないにも拘わらず、相当預金銀行においても領金残高の強制、或いは歩積み、その他担保等で操作して、どうしてもこれ以上の金融を受けれる途がない。更に帳簿組織について、相当微弱な組織を持つておる。信用保証協会に至つては、非常に銀行よりもむずかしい帳簿組織を要求されるところもあるやに承わつております。非常にそういう煩雑なために、目下……目下と言いますよりも、朝必要となれば又昼要るというようなために、どうしても高金利のほうへ走らなければならない。例えば国民金融公庫の場合は、相当の申込がございますが、非常にこれをスピーデイにやりましても、一カ月乃至三カ月はかかるという現状では、とても切実な要求には満足し得ないというような現状から、どうしてもそういう方向へ走らざるを得ないのじやないかと思います。  従つてこの問題につきましては、私は先ほど来強調いたしますように、どうしても信用保険の問題を全面的に改正して頂きまして、中小企業の援助をやつて頂くということにおいて、大体の解決はつくことと思います。従つて更に金融機関が実態を把握して頂くことが先決問題だと思います。余り形式的な、これが実態と相当遊離しているような、帳簿でも完備しておれば貸すというようなことでは、噴飯ものですから、実態を把握した上で、帳簿組織も、それも必要でございますが、或る程度見方を緩和いたしまして、おやりになれば、この問題は、高金利金融により優秀な或いは当然ペイする企業資金が、通常の金融機関に私は持ち込まれ得る。そうして解決し得ると考えておる次第でございます。
  31. 島清

    ○島清君 今の山本さんの御意見は、保険をまあ七五%から私たちは少くとも九〇%くらいに引上げてもらいたいということを今言つておるわけですが、近いうちにこれは解決を見るのではないか。併し私たちはそれだけでは中小企業金融難ということは全面的に打開されたとは考えていない。そこでまああなたは既存の商工中金だとかいうものを拡充強化しなさい。こういう御意見のようでございましたが、国会側のほうで、少くとも私が仄聞するところによりますると、別個の機関を作つて、まあ大体五百億程度の金を出して、金融難に一つの灯りを与えなければならないというような大体考えじやないかと、具体的に申上げれば、そう思えるのですが、それはさておきまして、あれでございますか、こう言つたような私たちが見まする場合には、とにかく理由はどうであろうと、相当な高金利に依存しているわけです。それに対して理由はいろいろあろうと思いますが、こう言つたよう中小企業に対しては、どう言つた資金金融の指導とか面倒をしておられますか。
  32. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 団体としてでございますか。
  33. 島清

    ○島清君 団体としてです。
  34. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 団体としましては、現在私どもの日中連では、商工中金の五階にございまして、主として対象になる企業並びにいわゆる小企業と申しましても純粋の社会政策的な対象ではなくして、むしろ半ば社会政策の対象となり得ますが、経済政策的な企業者が多いのでございまして、大体そういうような企業につきましては、積極的に商工中金に斡旋して、どうしても商工中金のベースに乗りにくいものにつきましては、国民金融公庫のほうに斡旋申上げるという形で、主として中小企業につきましては、どこまでも政府としましてはバツク・アツプして頂きたい。全面的に政府に依存するのではありませんが、政府中小企業に対して積極的にできるだけ後楯てをして頂くことによりまして、私は解決するという考え方でございます。  先ほどお話がありました特別会計制度、これ自体には非常に感謝しておりまするのですが、ただ新設される国の機関を待つよりも、五百億をそういう会計案にお出しになれば、そういう五百億を既存の金融機関に早く貸出す。或いは出資の形において解決されたほうが、より一層早く解決するのじやないか。或いは又その五百億出すのに欠陥があれば、その欠陥を法律改正によつて解決するというような形にして頂くほうがいいのじやないかと思います。例えば国民金融公庫の場合でも、今国民金融公庫に現金が百億ありますれば、すでに申込を受けましたものを対象に直ぐに貸出し得るのじやないかと思います。商工中金の場合におきましても、歩積みか担保というような場合において制約されている中小企業者も、信用保険の問題の改正によりまして、併せて特別会計等による資金が、直接特別会計を通じて流され得るようになれば、私は併せて金が流れて行くのじやないかというような考え方を持つております。
  35. 島清

    ○島清君 今山本さんの御答弁の中で、国民金融公庫のほうでどうも申込から借入までに随分期間がかかるというような御答弁がありましたが、それに関連して、櫛田さんに質問をしてよろしゆうございますか。その点だけ……。なぜそう遅れるかと言つた点、どうですか。よろしゆうございますか。  それじやお許しを頂きまして、質問の要点だけ申上げます。まあとにかく国民金融公庫というものは、非常に零細金融を扱われて、国民の庶民階級から喜ばれていることは事実なんですが、山本さんが御指摘になつたように、非常に時間がかかる。一カ月、長くて三カ月もかかる。こういうふうにいわれているわけでございまするが、それに対して私たちが計数的に見ますると、発足当時と今の扱い件数との仕事の量と職員の量とがアンバランスになつているのだということが言い得ると思うのです。何と申しますか、三十七、八万件も扱つておられるようですが、発足当時の初年度の数と職員を見ますると、それの二倍半くらいしか殖えてないそうでございまして、そこいらに職員数の絶対的な不足というような問題が多分にそういう形で現われて来ているのではないかというようなことが問題になるのですが、なぜそう言つたよう状態で、喜ばれておられながら、こういう日時がかかるか。そこらをちよつと御説明頂きたいと思います。
  36. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 只今現状等については、後ほど又申上げる機会があると思いますが、今お尋ねの点について申上げます。  私どものほうの仕事の結論を出すのが遅れる。手間がかかる。この問題は、私ども非常な悩みとしておりまして、相済まなく存じておるところでありますが、只今お話ございましたような事情が、私は基本的なところにあるだろうと思うのでございます。と申しますのは、現在私どもで、貸付の残高におきまして、取引先と申しますか。お貸出し申上げておりまする口数が、普通貸付金におきまして十二万件でございます。そのほかに厚生資金というのがございますが、これが二十五万、合計三十七万ほどになるわけであります。で二十五万の厚生資金のほうは、中小企業関係とは少し意味が違いますので、十二万件のほうで申上げたいと思うのであります。大体半期、六カ月毎にでございますね。実に仕事の量が五割ずつ殖えて行くような状況であります。申込の金額等から申しますと、昨年の例えば十二月は五十億足らずの申込であつた。本年の十二月の申込量は恐らく百二十億を突破する。さような見込でおります。大体一年間に倍以上になつて来る。それで以て人数のほうは現在千二百六十人でございます。ただ三年半ばかり前にスタートいたしましたときが五百八十人でございまして、まあ倍多くなつたわけでございますが、その当時は店の数が全国に二十、現在は四十七、まあ店の数が殖えましたので、人手も殖えたというわけでございますが、結局普通の店になりますと、大体十七、八人から二十人くらいでやつております。大阪あたりが四十五人であります。それで以て一と月にとにかく二万件以上の申込がございますのを処理して行くようなわけでございますので、この調査員関係等から申しましても、大体日に三件を調べますのが精一杯ということになるのでありますが、五件、六件というものをさせなければならない。調査員も私どものお客様といたしましては、預金関係、そういうことがございませんから、すべて新しいお客様でございます。初めてお越しになりまして、初めてお目にかかつて、それから事情をよくお伺いして、それから又工場なりお仕事をしておられるところにこちらから出向きまして調べさせて頂く。できるだけ実態を正確に把握することが必要でございますので、それを一日三件見当というのが通常の基準だろうと思うのでありますが、それが大体五件、六件をしなければ、調べができない。かようなことになりまして、実は内輪のことを申上げて恐縮でありますが、調査に出掛ける人たちは、大体朝九時頃から出掛けまして、夏場になりますれば八時頃まで外で働いております。それから家に帰りまして調書を書き上げ、それが大体十二時頃になる。そのような状態が通常でありまして、これは人員関係、予算の関係その他からいたしまして、急激に膨脹するということが、仕事の膨脹の割合に応じまして、人手を殖やすということが俄かにできないような実情にありますために、かたがた甚だ残念でありますが、おつしやいましたように或いは二カ月を越してもまだ結論が出ない。つまり調査に着手いたしますまでに、申込を頂いてから調査に着手するまでが非常に長くかかるという状況であります。で、調査に着手いたしますれば、大体結論が出ますのは三週間くらいです。ですから申込を受付けましてから、すぐさま調査にかかつてどんどんとさばけるようになりますれば、いろいろ契約関係の、厚生省関係をやつておるような点も含めまして大体一と月、二十五日見当ではでき上るはずなのでありますが、そう言つたような人手と仕事の量のアンバランスということが原因いたしまして、そんな関係で延び延びになつてつております。併し現在は、調査する人が勉強いたしまして、年末の特殊な場合でありますので、各位が勉強を重ねまして、東京の場合で行きますと、大体二十五日以内にはさばけると。何か右、左の結論が出ようというところまで現在は漕ぎ着けることができましたが、ただこれには非常な無理押しをしておりますので長続きは私はできないだろうと思います。急速に人員の増加ということを図らなければとてもやり得ないと存じております。今のところ大体予備金を若干プールして頂くことにしまして、五十人乃至百人程度の増員を早々やつて頂きたいということを大蔵省当局と話合いをいたしておるわけであります。又それ以上の増員問題については、二十八年度の予算のとき、いろいろ御相談を申上げてみたいと思います。  さような状況でございます。御了承をお願いいたします。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 時間も大分遅くなつているし、まだ四人もお伺いしたい人が残つておりますので、御答弁も従つて簡単に、山本さんからお願いしたいと思いますが、先ほどちよつと銀行預託金融の問題で横流ししているのがある。貸出しも満足にやつていないのが相当あると。これはまああなたの立場で、どこの銀行かお聞きしたいのですけれども、これは恐らくお借りになります立場としてここでお答えになるのは無理だと思うのでありますが、大体東京を中心にして何割ぐらいあるか。どういうような取扱をしておるかということをお伺いしたい。
  38. 山本義夫

    参考人山本義夫君) 私どもの知る範囲におきましては、大体市中銀行中小企業専門店におきまして、預金にいたしまして大体四二、三%だと思います。従いまして中小企業専門店は必ずしも中小企業からのみ預金するのでないと言われればそれまでであります。一応そういう専門店を置かれるからには、どんどん中小企業にのみ一〇〇%までに行かなくても、相当貸出を願つてもいいじやないかと。それから預託金の問題でございますが、これは期間が短いという影響もありまして、例えば信用金庫に至りましては、それを中小企業のほうへ流さないでコール・ローンのほうへ、三カ月くらいでは意味をなさないということで、ほかの方向へ流して行くという例は相当ございます。まあ預託金相当長期に亘れば解決できるでありましよう。併し預託金自体の本質からいたしまして、この点は困難ではないかと思いますが、少くとも三カ月の期間であつても、一時何とか中小企業を潤わせるというような考え方もあるのではないかと思いますが、どういうわけか信用金庫のほうで相当そういうふうな形でコール・ローンに廻しておられるところがございます。参考に申上げました。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 それが何%くらい、大体半数とかというような……。
  40. 山本義夫

    参考人山本義夫君) いわゆる横流しが、どの程度のパーセンテージであるかというような御質問に対しては、はつきりした計算を持つておりませんですが、私どもの知る範囲においては、数カ所の信用金庫においても、その他の場合においても、幾分融資……、廻しております。ただ商工中金或いは国民金融公庫、そういう方面は、預託金性質から言つてそういうことはないが、往々にして独立しました金融機関におきまして、そうなつております。
  41. 竹中七郎

    竹中七郎君 議事進行ですが、やはり業者のほうと金融関係のほうと、両方にまたがつた質問になると思いますが、でありますから、国民金融公庫の総裁のかたがたから、一度簡単に御意見を承つてから質問したほうが合理的じやないかとかように考えますのでさよう御進行願いたい。
  42. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 今の竹中君の提案によつて議事を進行してよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは国民金融公庫総裁の櫛田光男君にお願いいたします。  中小金融現状についてお述べ願います。
  44. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 櫛田でございます。あいにく風邪をひいておりましてお聞き苦しい点があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。  只今お尋ねの、私どものやつておる仕事現状と申しますか、大体御承知通り、今度の補正予算におきまして新たに政府から五十億のお金を、これは三十億は出資金、二十億は資金運用部からの借入ということで拝借することになつております。それがどういう工合に使われるかということを中心にして申上げてみたいと思います。十二月から来年の三月にかけまして普通の貸付関係におきまして約三百億円の申込があろうかと存じます。その中で本年内におきまして、大体百二十億、来年の一月乃至三月の三カ月間におきまして百八十億見当見込まれます。それに対しまして最小限度三割見当のものがどうしてもお貸しせねばならんというふうに考えております。それで十二月におきましては大体三十五億という目標を立つたのであります。その三十五億の貸付目標に対しましては、大体回収金が現在十一億ほどございます。それでなお補正予算成立前に、この間公布いたされました改正法律によりまして、資金運用部から二十億の一時借入金をすることができるようにして頂きまして、それを拝借いたしております。そのほかに資金運用部から、当初予算におきまして二十億拝借できることになつておりました資金の残が、借入の残がございましたが、それを充てまして大体三十五億の貸付は、滞りなくできることかと存じておりますが、最近状況によりますと、資金の需要は、当初の見込よりも比較してもつと多いのでございます。大体四十億見当の貸付が必要ではないかと。補正予算が本年内に通るでございましようから、通りますれば、早速政府から出資を頂きまして、その資金を以てその余分の五億円見当のものに充てたいと、かように考えております。第四・四半期と申しますか来年一月から三月まででありますが、大体百八十億の申込に対しまして、今の目標におきましては五十三億円見当の貸付を実行いたしたいと思つております。それに対しまして回収金が三カ月に大体三十六億円見込まれますので、残り十七億円という金が、出資金のうちから充当いたしたい。申し落しましたが、政府出資三十億頂きますうちで、十億円は軍人遺家族の国債担保貸付に当てまして、それから五億は母子家庭に対する特別貸付に当てることになつておりますので、これは只今、今まで申上げました普通の中小金融のほうには、残額十五億しか廻せないような計算になるわけであります。大体そう言つたような予想を以て仕事をいたしております。  この機会に少しばかり、先ほどもいろいろお尋ねがございましたことと関連いたしまして、実情を併せて申上げたいと存じております。私どものほうへ参りますお客さんのうちで、一体どの程度貸出しをすればよろしいかという問題であります。今の見込は、少くとも最小限度三割はどうしてもお貸ししなければならないという工合に感じておるのでありますが、大体私どものところに参りまするお客様が二通りに分れると思うのであります。お金があれば、或る程度資金があれば、今までのお仕事を発展させ、或いは又新らしく始める事業が立派に行くというかた、お金さえあればというかたと、もう一つは、お金だけではどうにもならないのではないかというかたに分れるわけであります。そこでお金さえあればというかたが、実は私ども金融機関でありますので、そのかたのお世話を十分に見て上げたいというのが、私どもの念願でありますが、そのおかたがたは、大体四割見当はおられると思う。私どもの経験から申しまして、四割見当はおられる。少くともこの四割というおかたがたには、是非何とかしてやりたいというのが、私どもの念願であります。だんだんと変つて参りますが、その四割が五割になるかも知れません。ただ財政上の御都合とか、いろいろな関係からいたしまして、私ども資金源は一にこれを政府に依存しておるわけでありますので、そのほうの関係の制約を受けまして、只今のところでは、三割見当漕ぎつけますのが精一ぱいでありますという状況にありますということをお含み置き願いたいと存ずるのであります。  それから回収の状況でありますが、十二月におきましては十一億見当の回収を見込んでおります。それから来年の一—三月は平均十二億見当、大体一月が十一億、二月十二億、三月が十三億円見当になろうかと思います。来年の四月以降におきましては、二十八年度の計画になるのでありますが、恐らく十五億見当になるのではないかとさえ予想されるのであります。この回収状況でありますが、これは何と申しますか、期限経過後六カ月に至つてもなお御返済を願えないようなおかたが、全体の貸付の中で一・七%であります。お貸出ししました中で九八%三というものは、極めて順調にお返しを願つておる。この回収状況は、一般的に申しまして大変よろしいのではないかと思います。それが半面におきまして、私どもがお貸出しをいたしました資金が、お客様に有効に使われて、お仕事が順調に伸びておる証拠であるという工合にとれるのでありまして、これは大変うれしいことであると思つておりますが、その中で、なぜこういうふうになるかということが、お客様がたのお話を聞きますと、こういうことが感ぜられるので、この機会に御参考までに申述べたいと思います。と申しますのは、私ども貸出しは、大体二年、三年の長期であります。二十回払い、二十五回払い或いは三十回払い。それで毎月月賦で元金を御返済願つております。そういたしまして、前月末残高に対しまして月一分、年に直しまして一割二分の利息を同時に頂いております。さようにいたしますというと、例えば二十五カ月払いということになりますと、毎月のお客様がたの負担が最高五%、元利合せまして五%、元金を毎月四分ずつ、それに又前月末残高の一分ということでありますから最高五%、それからだんだん元金が減りまして、利息の金額も減つて来るわけであります。その結果といたしまして、お客様がたは大体商売の儲けでお金は返せる。借りた金が資本となつて残る。こういうことをよくおつしやいます。ここら辺も回収関係が順調に行つておりまする一つの証拠ではないかと存じまして、この機会に御参考までに申上げておきたいと思つた次第であります。  その他先ほど申上げましたように、人手の関係、或いは店舗の関係におきましても、四十七と申しますと、大体において各府県に一つずつということになつております。これはお客様がたの需要は大変な申込でありまして、結論的に申しますと、金額の点、資金の点、それから人手の点、店の点ということにおいて、この三つの面にいま少し拡充することができますならば、もつともつと私ども仕事が、国民全般の間に広く御奉仕することができるのじやないかということを日夜痛感しておりますような状況でございます。これを附加えさして頂きまして、簡単でございましたが、御説明を終ります。
  45. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 次に、同じく大中小企業金融実情について、商工組合中央金庫理事門司正信君。
  46. 門司正信

    参考人(門司正信君) 商工中金の状況を御報告申上げます。  本年の一月末における貸出残高は二百三億円程度でございまして、そうして五月末までは、この貸出金額は大体横這い状況を続けておつたのでございますが、六月以降におきまして毎月相当の上昇を示して参りまして、十一月末現在においては二百九十五億円を超える状況でございます。今日現在では、おおむね三百十億円ぐらいになつておるかと想像いたしております。正確なところはわかりません。併し六月以降月平均にいたしまして、約十五億円ずつの増加というような計算になるのでございます。なお十一月末現在におきまする平均の貸出残高は、運転資金と設備資金を通じまして、一貸出先に対しまして四百九十四万円、一件当りの貸出金額は百二十九万円となつております。  更に業種別にどういう状況になつておるかと申しますると、全体を工業関係と商業関係に分けますると、工業資金が八〇%、商業資金が二〇%という割合でございますが、工業のうち、更に業種別に主なるものを挙げまするというと、繊維製品の製造関係、これが二一%、食料品工業が一六%、機械器具工業が一〇%、これらが主なるものであります。なお商業の二〇%のうち、これを卸売業と小売業に分けますると、卸売業が一六%、小売業が四%の比率を示しております。  なお最近長期の設備資金及び運転資金、並びに昨年の法律改正によりまするところの組合員に対する直接貸の金額が、漸次増加をいたしている傾向にあるのでございます。これは十月末のパーセンテージでございまするが、長期の資金が一七%、直接貸が四%を示しております。中小金融の疏通につきましては、借受側の信用補強の意味におきまして、信用保証協会保証又は信用保証制度の利用が必要でございますが、信用保険の利用状況は、十二月六日現在におきまして、全国の金融機関で百八億円に達しております。つまり商工中金におきましてはその五一%、五十五億円の利用を示しております。次に十一月末現在におきまする金庫の資金状況は、出資金の十四億六千三百万円を除きまして、商工債券発行高百五十二億円、この内訳は利付債が九十九億、割引債が五十三億でございます。次に預り金が百二十三億、その百二十三億のうち業界からの預金、つまり組合関係からの預金が四十億、政府の国庫預託金が、余裕金の預託が五十三億円、府県或いは市等からの預託が約三十億円ということになつております。  ちよつと余談に亘りまするが、先ほど日中連の山本さんから商工中金の業務のやり方につきまして、特に歩積み預金の問題についてお触れに相成つたのでございまするが、三百億の貸出しのうち、業界からの預金が全部合せまして四十億でありまして、このうちの大部分が歩積み預金になつているのでございます。私ども歩積み預金を頂いておりまする第一の狙いは、むしろ融資に当りまして、担保手形を頂戴する。或いは手形の割引をすることをいたすのでありますが、それらの手形が万一不渡事故を生じました際に、三十万、五十万とまとまりますると、なかなか組合員のかたがたでは即時に現金を以てこれを買戻されるというようなことは困難になつて参ります。その際、歩積み預金がございますると、取あえずその歩積み預金を以て買戻されれば、取引上信用を阻害されることがないというようなことが非常に大きな理由になつているのでございます。なお又、もう一つ組合の出資金、つまり組合自己資金が、現状では甚だ軽微なものが多いのでありまして、これを一時に増資をして頂くというようなことは、なかなかやりにくい話でありまするので、或る程度歩積み預金が溜つたならば、これを出資に振り替えて、自己の態勢の強化を図つて頂くというようなことも一面の趣旨でございます。  それから、この年末の資金繰りの予想でございまするが、各金庫からの状況をまとめましたるところ、一応十二月一カ月における貸出の純増が五十五億程度となつております。これは貸出します金額が、百三十二億に対して回収金が七十七億あるだろうという予想でございます。これに対しまする資金調達の見込といたしましては、債券で六億五千万、預金で、各種の預金を含めて三億円、日本銀行からの借入が二十二億円、コール・ローンの引上げが八億五千万、差引十五億の不足でありましたが、この十三日に国庫余裕金の預託を更に五億円頂戴いたしましたので、十億円の不足という計算に相成りまするが、現在審議せられておりまするところの二十億円の資金が頂戴できまするならば、資金面におきましては無事に越年することができることと予想されるのであります。なお今後の問題といたしましては、これは商工中金のみの努力よりも、むしろ他の指導団体或いは中小企業庁等のお骨折に待たなければなりませんが、未組織の業者の組織化を推進するということ、それから現在中金の資金構成が貸出金の半分以上はコストの高い商工債券に依存している。又国庫預託金等については、短期の預託であつて安定性がないというような点が欠陥でございまするので、低利にして且つ長期に安定した資金源を獲得したいという切なる希望を持つているのでございます。それから業務面につきましては、我々の機関の性質中小企業界の要望等に鑑みまして、長期資金の積極的な貸出をいたしたい。又工業と商業との比率において、商業資金が現在二〇%であるというのでは、いささかバランスを失しているように我々みずから考えておりまするので、商業資金貸出につきましては、積極的に当りたいというように考えます。  次に信用保険制度の改正問題につきましては、すでに先ほど来、他の参考人から申述べられましたので、詳細に亘りましてはお願いを申上げませんけれども、ただ一点、私どもも非常に痛感いたしておりますることは、山本さんのお話の、現在中小企業界において、いわゆる高利貸的な資金に頼つておられる面が相当ある。これを正常な金融機関からの貸出に乗り替えることによつて金利負担を軽減する。それが中小企業の苦しみを緩和する効果が相当ある、だろうということを考えるのであります。現在の保険制度では不可能かと存じまするが、高利債の借替について信用保険制度を適用できるというようなことになりますると、業界は相当助かるのではなかろうかというような気がいたすのであります。  以上商工中金といたしまして簡単に申述べました。
  47. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 次に、東京都民銀行、常務取締役伊地知辰夫君にお願いいたします。
  48. 伊地知辰夫

    参考人伊地知辰夫君) 都民銀行の伊地知であります。  都民銀行は昨年の十二月十八日東京都内におきまする中小企業かたがたに対する金融を主たる目的として設立されたのでありますが、丁度昨日を以て満一年に相成つた次第であります。預金が現在のところ、大体三十二億ちよつとであります。これに対しまして貸出のほうは二十七億前後でございます。都民銀行はまだ設立一年しかなりませんので、金額的には甚だ些細なものであるのでありまするが、私どもの取扱つておりまする金融は、設立の趣旨を厳守いたしておりまするので、全部が中小企業金融であるのであります。中小企業金融でありまするだけに、一件当りの金額が非常に少いのであります。従いましてお客様の数は、非常な数に上つておるのでありまして、本支店を通じまして、毎日非常にたくさんのお客様がおいでになつておるような状態にあるのであります。私ども只今取扱つておりまする金融は、大体私ども預金で御融通申上げるプロパーな融資、これと開発銀行の見返資金の代理貸し、それから東京都の御趣旨に基きまして、東京都のほうから或る程度預託金を頂いて、それを本といたしまして設備近代化資金。これは長期の資金でありまするが、設備近代化資金、そう言つたような事柄を取扱つておるのであります。私どもの取扱つておりまする件数は、件数或いは金額等からいたしますればまだ微微たるものでありまするが、私は本日私ども銀行の、何と申しますか抱負とでも申しますか、そういつたこと並びに現在私ども只今つておりますることについてお話申上げて御批判を仰ぎたいと思う次第であります。  中小企業金融、これは非常に大きな問題でありまして、或いはその資金量の問題、或いは又金融機関金融の組織の問題等あるのでありまするが、併しそう言つたことは今一応別といたしましても、現在の金融機関自体の実際の仕事の取扱い振り等について、なお多々反省すべき点があるのではないかと思われるのであります。そう言つたような現在の金融機関の反省すべき点、そう言つた点を、非常に微力ではありますけれども、我々できるだけ是正をいたしまして、中小企業かたがた金融を少しでも円滑にいたしたいという抱負に基いて仕事をいたしておるようなわけでありまするが、これを簡単に申上げますならば、本当に資金を必要とされるかたがたに簡便に、気やすく、最も安く御融通申上げるということであるのであります。そう言つたような方針を実現いたしまするために、都民銀行といたしましては、貸出しに当りましては、先ず第一にバランス・シート或いはその他の計数その他よりも、御融通申上げる人の人物を第一として御融通を申上げているのであります。中小企業かたがたに対しまして、正確な或いは詳しいバランス・シート或いは計算書等を求めましても、これは求めるほうが無理なのであります。中小企業かたがたはもう商売或いは事業そのものに専心打込んでおられまするので、帳面を揃えるとか或いはそう言つたことには余り力を割く余力がないというような現状のかたが多いのでありまして、そう言つたかたは、勿論バランス・シート或いは計数等のこともお聞きはいたしますけれども、結局のところ、その事業をやつているかたの人格、今日までのいろいろの仕事のやり振り等を先ず第一に尊重いたして融通をするかしないかを決定いたすのであります。具体的に例を申上げますならば、長年同じ土地で同じ商売を何年おやりになつているか。或いは又租税その他の公課等について、滞納或いは滞り金等があるかないか。又滞納その他等が仮にあるといたしましても、それにはそれ相応の理由があつて滞納或いは滞り等があるのであるかということを十分に調査いたしまして、そのほうを主として融通の可否を決定しておるわけであります。なお手軽に簡便に御融通申上げること、こう言つた点につきましても、やはり先ほどどなたか御質問にありました通り銀行等の既設の金融機関には行きにくい点があるのじやないか。どうもいかめしい門戸を張つていて、そちらのほうに行きにくい。従つてまあ銀行のほうに行けば安い金利の金を使えるけれども、手軽い高利貸なり、そつちのほうに行こうというようなかたも相当あるのではないかと思いますので、私ども店舗の構造その他につきましても、非常に気軽に入りやすいというようなことを主として設計その他も考えておるようなわけであります。なお又、気軽に安い金利資金を御融通申上げたいというような意味からいたしまして、先ほどいろいろ問題になつておりました両建預金とか歩積みというようなことは、私ども銀行としてはこれはいたさないという方針でやつておりまして、今のところ両建預金或いは歩積みということを強制をいたすとか、或いはそう言つたことをしないと御融通できないというようなことは、やつておりません。更に又成るたけ安い金利で御融通申上げるというような意味からいたしまして、お客様に対して金利以外の負担を成るたけおかけしないようにということを念願といたしておるような次第でございます。なお利息等につきましても、都民銀行といたしましては、きめられました率の中で最も安い率を適用いたしておるような次第であります。又それに関連いたしまして、担保等につきましても、極力簡便に、なるたけ手数のかからないように、一例を申上げますならば、不動産も、私ども喜んで担保として頂戴いたしておるのでありまするが、それもその抵当権の設定の登記を必ずやる、登記をやつたあとでお貸しをするというようなことにはいたしていないのであります。私どもよく事情がわかつておりますれば、権利書だけをお預りをして御融通を申上げるというような取扱をいたしておるような次第であります。  今申上げたような、今までの銀行貸出しと申しまするか、そう言つたような慣例から申しますると、割合にルーズではないか。ルーズな取扱に見えるのでありまするけれども、併しながらこういうことで、私どもは成るたけ早く資金の融通のお申込に対してイエスかノーかをきめたいというような念願を持つておるのでありまして、現在までのところ、大体店においでになりまして、いろいろお客様の御事情を承りましてから大体十日以内にはイエスかノーかの御返事を申上げられるのが大半であります。少し手の込んだものでありましても、一月ぐらいの間には大体の見込があるかないかというようなことの御返事は申上げられるような状態であるのであります。只今申上げましたような趣旨に基きまして、今日まで私ども二十七、八億の御融通を申上げたのであります。これに対して回収の状況を見ますると、回収も極めて順調であるのであります。私どもで、まだ回収不能になつてどうしてもこれは償却しなければならんというような事件はまだ一件もございません。ただたまには不渡手形が出るというようなことがありまするけれども、これもいろいろと手を尽しまして回収には支障のないような状態にあるのであります。私どもは今申上げたような趣旨で今後も同じ方針で、成るたけ簡便に安い資金を御融通するということを念願といたしてやつて行くつもりであります。私ども民間の銀行といたしまして、貸出の財源は預金だけなのであります。預金を頂戴いたしまして、お預りいたしまして、それを貸付のほうに御融通申上げるということであるのでありまして、従いまして、民間銀行といたしましては、このお預りした大切な預金の確実、これを図るというこの一線だけはどうしても越えられない一線なのであります。従いまして只今中小企業状態を見てみますると、私ども民間銀行のこの線内に入つて来ない、これは中の企業のかたと申しますよりか、小の企業のかたにはそういつたよう企業のかたがかなりあるのではないかと存ずるのであります。これに対しましては、どうしても政府資金で以てその金融を図つて行かなければならない。即ち政府機関、或いは政府資金をお取扱になつておる金融機関で、どうしてもそういうところは、金融の円滑を図つて頂かなければならないのではないかと思う次第であります。  いろいろと先ほどからお話がありましたが、私ども民間銀行、殊に中小企業金融だけをやつておりまする銀行といたしましても、やはり預託金を頂くのは非常に有難いのでありまして、私ども預託金を頂きますと、これは一〇〇%中小企業のほうに御融通申上げておるのであります。決してほかのほうに廻すというようなことはいたしておりません。従いまして預託金を頂くことは非常に有難いのであります。ただ預託金の分配等につきましては、やはり中小企業救済のためにお出しになる預託金でありますれば、実際に中小企業に行くかどうかという、その実情を十分考えて頂いて、預託金の配分をおきめ願いたいということを希望いたしたいと思います。  更に又先ほど申上げました通り、やはり私ども民間銀行でありまするから、預金の確実、これはどうしても越すべからざる限界でありまするので、簡便に貸出を御融通を申上げるというためには、やはり保証の問題、信用保証の制度、保険の問題、そう言つたような点に一段と強化拡充を図つて行くようにお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  49. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 最後に、富士銀行の目黒支店長の氏原さんにお願いいたしたいのでありますが、大体これは富士銀行としてということよりも、いわゆる昨年制定せられた中小金融特別店舗としての立場から、一つ御説明を願いたい。勿論これは十一大銀行が、それぞれ融資額は一番多いのにもかかわらず、中小企業というものに対しましては、いつも二〇%前後という融資をやつておる。殊に最近では二〇%を下廻るというような状態に相成つておるのに鑑みまして、中小金融の特別店舗という名前に銀行局がいたしましたので、自発的に十一大銀行として中小企業への金融方途を立てられるかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今年の上半期自体を見ましても、大体二百五十億ぐらいの貸出預金に対して九十六、七億、四〇%は下廻つておる。八月末日でも三百十億に対して百二十三億というので、これ又四一%を下廻つておるという現状にあるので、巷間伝えるところによりますと、大銀行であるので、やはり羊頭を掲げて狗肉を売るのではないか。四〇%の貸出しだけをして、六〇%は本店へ持つて行つて、大企業へ流すのだろうというような噂も相当あるのでありますけれども、半面今私が申上げました通り、これは自発的にやられたということであり、十一大銀行自体が二〇%を下廻つておるのに、この特別店舗のほうは四〇%というようなことも睨み合せしまして、そういう方面貸出しの模様を承り、併せて、そういうようなものに対して、政府自体がこういう措置を講ずるのならば、もつと八〇%も八五%も貸出しができるのだと。そういう御要望がありましたなら、併せて承りたいと思います。
  50. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) 只今委員長のお話に、果して御期待に副つて御説明ができるかどうかということにつきましては、単に一営業支店長といたしまして、全体的のことにつきましては通暁いたしておりません。極めて局部的な話にとどまると思います。一応それだけお許しを願いたいと思います。昨日、実は私出先から戻つて参りまして、本日の会合に出席せよと本舗から連絡がございまして、支店長といたしまして、丁度年末で、いろいろ業務もございますので、十分な資料も得られませんので、果して御期待に副うかどうかということについては、今あらかじめお断り申上げておきます。  中小金融特別店舗といたしまして、先ず概観的にいわゆる市中銀行の中小金融特別店と申しますのは、現在都市銀行只今委員長のお話にありました十一行六十七カ店、信託銀行五社五店、合計七十二店というものが中小金融特別店として大蔵省の指定を受けております。これが二十五年の四月に中小金融特別店というものが開設されまして以来、全国銀行協会連合会の調査で少し古いのでございますが、本年七月までの七十二店の申込受付件数と申しますのは、三十三万一千二百十二件、申込受付金額一千三十六億八千七百万、そのうち貸付承諾件数三十一万一千六百八件、約九二%となつております。貸付承諾金額は九百三十億四千百万円となつております。この申込に対しまして承諾率と申しますか。これは件数におきましては九四・一%、金額におきまして八九・八%という、まあ高率を示しております。これを本年一月から六月の一カ月当りの平均融資承諾件数並びに金額は件数が一万五千五百十九件、五十億五千六百万、前年同期の九千百九十件、金額にいたしまして二十五億八千五百万円という、倍数近い飛躍を示しております。これを当行の場合におきますと、当行におきましては、只今特別店といたしまして全国に六カ店ございまして、十一月の最近の計数を申しますと、十一月の全申込件数一千三十八件、金額にいたしまして七億九千九百万円、そのうち承諾が八百三十四件、金額にいたしまして五億九千七百万円、調査中に係りますものが二百件、金額にいたしまして二億、従つて拒絶いたしましたものが四件、二百万円ということになつております。殆んど応諾しているという状態であります。この申込拒絶の四件の内訳も、その中二件が業態に対して将来不安性がある。それからあと各一件ずつが資産状態が不良である。最後の一件が事業の経験が薄いということで拒絶いたしております。これを当行の目黒支店の場合におきまして、私のところを申して恐れ入りますけれども、十一月中に申込を受けました額は、八十八件で九千六百万円、そのうち承諾いたしましたものは七十二件、八千四百万円、調査中のものが十六件、一千百万円ということでございまして、大体において私のほうに申込を受けたものは、全部申込に対しましてお受付いたしている次第でございます。  私自身の店におきまして、実は今日参りまして御説明するだけの十分な経験を持つておらないのでございますが、目黒支店と申しますのは、本年四月二十一日に、従来の一般金融店舗から特別店といたしまして新発足いたしまして、その間の当店の月別の貸出残高を申上げますと、発足当時におきまして五千六百万円、四月末におきましては、つまり三月末五千六百万円でございましたけれども、四月末におきまして七千百万円、五月末におきましては八千四百万円、六月、九千八百万、七月、一億一千九百万、八月、一億四千万、九月、一億六千百万、十月、一億六千八百万、十一月、一億九千三百万、昨日現在でございますけれども、二億三千万になつております。  これを件数で申しますと四月が十五件五月が三十八件、六月が五十一件、七月が六十一件、八月が五十七件、九月が七十四件、十月が七十五件、十一月が七十九件、大体におきまして件数、金額とも、飛躍的に増大いたしておりまして、比較におきまして、特別店になりましてから五千六百万から発足いたしまして、現在二億三千万、約四倍の増加率を示しております。これは先ほど来問題になつてお話に出ておりましたけれども、取引先の、貸出先の預金貸出率に比します割合が、十一月末において貸出金額の総額が一億九千三百万、これに対して貸出先の取引預金が総額一億二千四百万、比率にいたしまして六四・五を現在示しております。当行といたしましては、かかる状態で中小金融も現在経済界、社会情勢、そういうものの非常な重要性に鑑みまして、当期の営業方針の中にも特に中小企業対策の推進ということにつきまして、先般十月全国支店百八十五カ支店長集りまして、これにつきまして特に頭取より厳に通達いたしました。又一般の業務通達におきましても、毎回これを厳に申渡しておるわけでございます。広く門戸を開放して企業要望に副つて行くという線を推進いたしておる次第でございます。大体におきまして、私のほうの窓口の扱いのことを次に申上げておきたいと思うのであります。  大体中小業者のほうは、資金につきましては非常に緊要性を持つておるということにつきまして、私たち十分な認識を持つております。又その御要望に副うということにつきましては、商業市中金融機関として特段の配慮をいたしておりますことは、今申上げました通りであります。当店の場合におきまして、先ずお申込がありました場合に、私が先ずお会いいたしまして、これを取るべきか取らざるべきかということを先ず先決いたします。それでよろしかろうと申しますと、同時に借入れ申込書を頂いて、申込を受けて、大体において四日乃至五日以内に御実行申上げておる。確実に迅速に御要望に副えるということの点は、どういう点に基因いたしておるかというと、先ほど国民金融公庫参考人のかたからお話もありました通り、商業銀行と申しますのは、やはり一般大衆の血と汗とこの尊い預金を預からせて頂いて、これを確実に善良な管理者の下に運営をする義務を持つている。従つて貸出におきましても、確実な先と申しますか、この事業の範疇を又何に置くべきか、これは先ず経営者の企業体におきましては、先ず信頼し得る業者である、事業の信用度が高い。マーケツトを持つておる。販売市場を持つておるということでありますとともに、短期の市中金融機関のあり方といたしまして、短期の資金を多くするということに専ら現在の資金ポジシヨンがそういう面にもつて行かれておりますので、確実な債権を私たちは御要求申上げております。ということは商業手形若しくは単名貸としては確実に納入し得る代理受債的なもの、つまり代理委任事業を通じて短期貸をする。大体この二つの方針を持つております。これが充足できないのは信用保証協会保証に依存いたしております。この場合におきましては、先ほど申上げましたように、内部手続は三、四日内に済みますが、保証協会の調査期間が大体二週間ほどでありますので、これも大体通常三週間以内に実行できる段階になつております。  それから第二の、なぜ迅速になし得るかということの問題点は、まあ私自身に亘りまして、非常に恐縮なんでございますけれども、当行の特別店に対します行員の配置ということの点でございますが、私自身が過去三カ年におきまして、三年前には、本店外国課次長をやつておりまして、二十五年の十一月から本年の四月までは丸の内支店で事業金融をいたしておりました。四月以降、中小金融特別店に籍を置いたのでありますが、いささかでございますけれども貿易金融、事業金融、又今回の中小事業金融の七カ月の経験を経まして、大体広く経済の面についての事情の或る程度酌みとり方というものが大体においてわかつたのであります。で、現在貸付係が七名でございます。内五名が貸出の実際の衝に当り、内部的には事務、外部的には応接を受ける。二名が女子でございまして、これが内部事務手続をいたしております。先ほど私がお話しましたように、私が先決いたしましたものを、その貸付係に通しまして、これを事務段階に移すのでございますけれども、この貸付係の男子行員は、いずれも普通店におきましては貸付係長でございます。つまり地方で経験を踏んで来た者。そういつた行員を配置いたしております。よく御説明を承わらして頂きまして、それを迅速に処理することができる。又次段階といたしましてお取上げできなかつたものにつきましては、又私なりその係りの者が、如何にしたらこれが取上げ得るかということにつきまして、特別店としての、今一つの任務でありますところの企業の育成指導ということにつきまして、経理面を通じて私たちは努力いたして、次期段階には、それが大体に嵌るということの形を以て行なつておるのであります。  今後の問題といたしましては、一営業支店長といたしまして、全般的には当行全般を代表いたしましてお話する段階ではないことを非常に残念に思うのでございますが、私自身といたしましては、この特別店舗の融資対象の範囲が、従来資本金三百万円でありましたけれども、本年の十月二十日、一千万円に資本金を持つておるかたに対しまして対象額が拡大されたのであります。従来我々が要望いたしておりました三百万円の資本金の会社から一千万円までの会社の資本金を持つておるものに対して、業務の対象となし得るということにつきましては、我々の要望が容れられたということにつきまして、非常に喜んでおるのでありまして、併しこの拡張によりましても、なお現在比較的金詰りの皺が寄せられて、中小金融企業に対します融資の増加を私たちは期待いたしております。で、融資限度は同じく昨年の十二月に五百万円から千万円に引上げられております。資本金、融資限度共に、現在においては千万円でありますけれども、これを更にこの融資対象の範囲内におきまして、融資限度の一千万円を二千万円程度までに引上げて頂きたい。と申しますことは、現在の融資限度の一千万円では、私たちの取引先の事情から見ましても、やや窮屈でございます。まだ当店の場合におきまして七カ月の経験でございますけれども、逐次取引は進化いたしておりまして、もうほぼ一千万円の段階に来ておるものが相当ある。こう言つた実情と、又中規模の会社の企業金融円滑化に資するためにも、更にこの限度の引上を、私自身としては期待いたしておるところでございます。  それから又、先ほどから業者のかたのお話もございますけれども、できるだけ我々に対して融資の受入態勢の整備をお願い申したい。企業団体のかたもお見えになつておられますけれども団体のかたを通じまして、組合員のかたに一つ経理の指導をお願い申上げ、我々の要望いたしまするいわゆるバランス・シート、十分なバランス・シートは頂戴いたさなくても、我々で又御指導申上げてお作りいたしますけれども、それはバランス・シートなり或いは金繰りというものを少し労を厭わないで頂きたい。例えば金繰りをやつて頂く。これは二カ月も三カ月も先のことをお願い申上げるのではなくて、最近三カ月あたりの実績と、当月、翌月程度の大体収支見込を私たちの手許に頂戴いたしたい。そうすれば金融機関というものは、実情が或る程度把握できましよう。先ほど申しました人並びに事業、マーケツトというもの。そう言つたものを勘案いたしまして、速かに御要望を充足することができるのではないか。そういうふうに考えております。  それから最後に、この産業構造上、大企業もあれば、中小企業もあり、零細企業もある。又中小企業のうちには、我々といたしまして大中小に分類することもできると思うのであります。各々政府関係の金融機関もありまするし、市中銀行もありますし、或いは信用金庫相互銀行など、市中金融機関もございます。各々その事業の対象額に応じた取引機関を御送定願つておきたい。で今日、当店が比較的金額はこうして融通いたして参りましたが、件数が比較的少いということは一方疑念があると思いますけれども、これは当店の立地条件が然らしめるところでございまして、更に私たち逐月僅かでございますけれども、階段的に上つて来ておる。これは又業者同士の間において、取引機関を信頼して頂き、お話をそれからそれへと通じて頂きたい。私のほうは積極的に宣伝がましいことはいたしませんけれども、新聞広告その他によりまして、中小金融店の存在も認識されており、最も信頼し得る店を又積極的に御利用願いたいということにつきまして、又全般的に皆様にお願い申上げておきます。  非常に局部的なお話で恐縮でございますけれども、中小金融当局者としての現状並びにお願いをこの席をお借りしまして、申上げておきます。
  51. 境野清雄

    委員長境野清雄君) ちよつと委員皆さんにお諮りいたします。  只今、大体参考人の公述を終つたのでありますが、参考人の公述の総体的なものが、中小企業金融の拡充強化、即ち国家資金の長期、低利なものを大量に放出しろというような点と、併せて信用保険の七五%の引上というような二つの点に大体要約されると思うのでありまして、本日中小企業庁の長官が出席しておられますので、一応質問に先立つて中小企業庁としてのこういうような国家資金の長期のもの並びに低利のものというようなものに対して、政府としての具体的措置はどんなものであるかという点が一点、併せて信用保険法の改正というものに対して、中小企業庁がどういうような考えを持つておるかということを、簡単に、一応お伺いして質問に入りたいと思うのでありますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは、私から申上げましたところの中小企業金融の拡充強化、特に国家資金の大量の放出並びに低金利に対する政府としての具体的な措置は、どんなふうにお考えになつておるかというのが一点、併せて信用保険法の改正に対する政府当局の見解、この二つの点について、御説明を願いたいと思います。(「長期貸付も」と呼ぶ者あり)
  53. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) お答えいたします。  本日の各参考人かたがたの御要望、これは私ども、かねてより承知いたしておるのであります。如何にして中小企業に確実に流れる長期且つ安定しました且つ又低利な金を確保するか。又これを確保しなければならんという事柄につきましては、私ども誠に同感であります。それにつきましては、方法としていろいろ考えられるわけであります。例えば特別会計政府において設置いたしまして、そうして或いは一般会計からでも、或いは資金運用部からでも、それ相応の金をそこに溜めておきまして、そうして各金融機関のそれぞれの持ち味を活用いたしまして、末端までその金を流して頂くということが実現いたしますれば、これで又一つ安定した資金中小企業に流れることに相成ろうと思うのであります。又例えば中金なら中金という、とにかく出発におきまして、政府が半額出資をしたという歴史を持つております中金というものに、更に政府出資を増額いたしまして、これを政府機関的な色彩を強化せしめまして、それを通じて金を流すというようなことも考え得ると思うのであります。この補正予算におきまして商工中金に二十億の貸付ということをいたしたのであります。政府資金中小企業に流れておりまする過去の歴史を見ますれば、国民金融公庫を除きましては今度の商工中金に二十億の貸付、それから又見返資金からの優先出資、又本来の出資が二百十万円あるのでありますが、商工中金が唯一の例に相成つておるのであります。従つてこの二十億円を単に二十億円だけとして運用すれば、それは大した金ではありませんけれども、例えばこれを出資に振り向けまして債券を発行するということになりますと、四百億の債券発行の余地が残るわけであります。ただその場合に考えなければなりませんことは、現在中金は割証並びに利附を加えまして毎月十億の債券を発行いたしております。これが大体資金運用部におきまして、かなりの部分を引受けながら、市中消化が先ず大体出来ておるという現状でございますので、四百億の債券発行の余力が更にできたといたしましても、更に毎月三十億何がしの債券を追加発行するということが消化上可能なりや否やという問題がここに併せて出て来るわけであります。それならば四百億の債券資金運用部が全部これを呑んで引受けるということが可能ならば、それも一つの方法でありましようけれども資金運用部の懐ろ工合を勘定して見ますると、なかなかこれも容易ならざることのように推察できるのであります。そこで我々といたしましては、一方におきまして補正予算乃至来年度の予算に対して、我々といたしましては特別会計案というものを作つて要求いたしたのであります。又一方補正予算の関係では、商工中金に二十億の貸付が行われた。これらの関係が或る程度本年度予算の関係においてまだきまつておらないわけであります。ところが今月の十一日乃至十五日に衆参両院におきまして、この中小企業に関連する決議がなされたのであります。その両決議案共特別会計を作るようにという強い御要望があつたのであります。これらの関連におきましてどの形で中小企業向けの長期低利国家資金を確保するかという点はちよつとまだはつきりいたしてはおりませんけれども、何らかの形においてその中小向けの長期低利国家資金を導入するということだけは、少くともできるであろう。そのでき上ります形がどんな形になるかという点が、今ちよつて産みの悩みのような状態になつておるわけであります。  信用保険の改正の問題につきましては、業界、金融機関並びに中小企業者かたがたから、いろいろと御要望があるのであります。私どもも、すでに相当深くこれを研究いたしておりまして、大蔵省とも相当突つ込んだ折衝をいたしておりまして、大体のところは意見の一致を見ております。一番問題になつておりますのが、金融機関に対しまする保険の率七五%を更に引上げる問題、保険料の三分を引下げる問題ですが、特別会計との独立採算制との関連におきましては、相当の困難さがあるのであります。又填補率を高くして、一〇〇%ということになりますと、これは銀行金利の問題とも関連がございましようし、いろいろ複雑な問題がこれにからむのであります。災害等のありました場合に、特別の填補率を考えたらどうかという点は、目下研究をいたしておるのでありますが、余りに高い率にするということはどうであろうかという考えでおります。いずれにいたしましても、来国会には是非この改正案を御提案申上げまして御審議を願いたいというつもりで、鋭意準備をいたしておる次第でございます。
  54. 境野清雄

    委員長境野清雄君) もう一点、私からお伺いいたしたいと思うのでありますが、昨晩の夕刊に、商工中金の拡充策というような問題が中小企業庁なり、大蔵省方面から出ておるようですが、それは開発銀行中小企業部門を一切商工中金に廻す。こういうような面が一つ、又財政資金の投資、資金運用部資金の借入を可能にしまして、それによつて政府機関的色彩を持つ中小企業金融機関を強化育成するのだというような点が、昨日の夕刊に出ておつたやに記憶いたしておりますけれども、これについて中小企業庁自体で、そういうような問題が具体化しておるのかどうか。  その点を簡単に御説明願いたいと思います。
  55. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 先ほど申上げましたように、中小企業向けの国家資金を確保いたしまして、これを流すという構想といたしましては、いろいろな構想があるわけであります。私も昨日の東京新聞によりまして、只今委員長が申されたような記事を見たのであります。これはどこから出た記事か、私はつまびらかにいたしませんのでありますが、仮に商工中金というものに政府が出資をいたしまして、これに政府機関的な性格を与えて、そうしてこれを政府機関としての中小企業向けの金融中心の機関ということに育て上げるのだと。こういうことにいたしまするならば、開発銀行中小企業部門もこれに移すと。そうして資金運用部からの直接の貸付もやらすということになりませねば趣旨が相ならんかと思うのであります。ただその方法が、唯一の方法ではないのでありまして、議会で御決議になりましたような特別会計というような案も成立つわけでございます。その辺を私どものほうといたしましても彼此考慮いたしまして、まあ議会の御意思を尊重して、大蔵省とも具体的に折衝をするという段階でございます。丁度来年度予算の折衝がその山であろうと思つております。その辺のところを一つ御推察願いたいのであります。
  56. 境野清雄

    委員長境野清雄君) それでは、委員の皆さまのほうの御質問を願います。
  57. 竹中七郎

    竹中七郎君 私はちよつと一般銀行の点からお伺いいたします。市中銀行は、中小企業を如何なる方法で理解されておるかということ。どういう方法でお調べになりますか。支店長は、常に中小企業のかたと接触しておられますけれども、支店長は一年乃至二年ぐらいで御転任になる。余り一所に長くおると因縁ができるというような関係でありましようが、こういうことを考えますときにおきましては、市中銀行の支店長の選任ということが、これはあなたに言つてはいけませんが、どういうふうにしたら中小企業との間がうまく行くか。これを先ず一点として伺いたいと思います。
  58. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) 御答弁いたします。  先ず我々は、先ほどお話しましたように、企業体の健全なものをやりたいということで、先ず土地の立地条件を調べます。当地区におきましては、生産業者が大体において商業段階と比べまして大きな比率を持つているということでございます。これは何によつて調べるかと申しますと、大体におきまして私のいつも狙いといたしまするところは、先ず区役所あたりに参りまして、大体その土地の商工名鑑がございますから、その商工名鑑から拾い上げる。先ず業種を一応全般的に拾い上げるのであります。ただ一時に全般的にはできませんので、私の場合には、商工名鑑によつて業者の名前を拾い上げまして、それを当店を中心といたしまして四つに分けまして、四月から、私が赴任しましたのが四月でございますが、四月、五月、六月の第一四半期に四分の一の地区、次の第二四半期において又四分の一の地区、今の十月から十二月の第三四半期におきまして残り四分の一、来年の一月から三月までの間に最後の四分の一というように、各四半期ごとに地区に分けました。その地区内の業者を私のほうに……、私も陣頭に立ちますけれども、企画係というものがありまして、これは私のほうは預金稼業は第二点で、如何にして業者に御協力ができるかということで、企業の実態を先ず当るわけでございます。それにおきまして、大体において取引停止処分に付されておらないもの。第二に赤字企業でないもの。それから第三に事業者が汗と膏にまみれて陣頭指揮をしているかどうか。これは例え小規模でありましても、事業者が陣頭に立つて士気も上つているものは、必ずや将来性がある。又従来言い慣わされておるところでありますけれども中小企業形態であればこそ、経営面におきまして合理的且つ能率的な企業の運用ができるということで、先ずそう言つた条件にはまるものを私のほうで抽出いたしまして、まだお取引頂いておりませんけれども、一流会社の手形を持つていて割れんとか、先ほど話がありましたけれども金融機関になかなか入りにくいというようなかたが多いのでありますが、そういうようなかたに御納得申上げまして、大体においてそういう手形は私どもは喜んで御用さして頂きます。大体そういう企業体のかたは、まあ廻し手形なり、そのほうは、下部のほうに流す。併しそれであるが故に、現金で買えば、なお安く買えるという場合がございます。これを私のほうで記憶さして頂きます。そうしまして、安い料金の資材を買い求めて、それを企業体に移すと、そう言つたことで企業を対照いたしておるわけであります。  大体この辺の御説明でよろしゆうございますか。
  59. 竹中七郎

    竹中七郎君 大体、支店長の任期は二年くらいですか。
  60. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) 一般営業店の支店長としては、大体二年くらいではないかと思います。
  61. 竹中七郎

    竹中七郎君 特別店舗の預金受入高と貸出高は、どういうふうになつておりますか。先ほどの御説明によりますと、十一月は一億九千万円の貸出で、これに対しまして預金が一億二千四百万円と承つておつたのでありますが、これはどういうふうな問題でありますか。  もう一つ歩積み、両建預金というものの方針はどういうふうになつておりますか。そういうふうにやられておりますかどうか。  それからもう一つ、あなたのところの今の一千万円では少いと、二千万円というようなことでありまするが、中小企業の中の一番上のほう、それが多くて、小さいほうは少いのか。この三点ですね。
  62. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) 最後の第三点をもう一遍ちよつと……。
  63. 竹中七郎

    竹中七郎君 あなたのほうでは、先ほど一千万円じや最高が少いから二千万円と、それであなたのほうは地理的に中小企業の中でも中企業、まあ中企業の中でも、大企業のほうに属するものを余計貸しておられる。その上のほうと下のほう、或いは百万円以上のものが多いか或いはそれ以下のものが多いか、その点でございます。
  64. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) お答えいたします。  先ず第三の問題から入つて参ります。只今融資限度の引上ということにつきましてのお話でございますが、大体私のほうの資本金別の貸出件数の比率を見ますると、最も多いのは百万円以上二百万円までのもの。これが貸出先件数百四件のうち、金額にいたしまして七千四百万円で三十五件、約半数を示しております。大体資本金二百万円と申しますと、それに応じた生産高なり取扱高があると……、大体三百万円と仮定いたしますと、その三百万円のうち、現在売手市場であるために手形の入金が多いといたします。そういたしますと、八〇%程度といたしますと、約三百万につきまして、二百四、五十万円であります。最近の手形期間の延長に鑑みて、大体三カ月乃至四カ月程度の枠だけであります。ですから一千万円、あとは二百万以上、三百万円の資本、これにつきましての二百二十二件は同じことが言えます。大体二百万円までの会社に対しては、大体千万円以内でよろしかろうと思いますけれども、三百万円までの程度の会社に対しては一千万円以上の枠が要るだろうという想定でございます。取引はだんだんに進化して参りますから、枠がだんだん増大いたして参ります。ということで、これはやはり御要望を充足するためには枠限度の引上が必要である。  それから第二の歩積みの件でございます。これは単名の場合にはございません。大体において商業手形、これは私のほうからむしろ慫慂をいたしませんでも、業者の自発的貯蓄意思に基いて、大体五%程度頂く。そうするとこれは先ほどもお話がありましたように、だんだん一流手形ばかりではありません。又大企業におきましても、最近経済の安定を欠いておりまして、不渡手形の発生もございます。不渡手形の買戻資金にもなる。若しそれがないとすれば、業者の手許に運転資金がなくて、買戻資金がなくて、そのために落つこちになる場合、或いは支払うべき、下部のほうに支払うべき資金を流用してしまうと、下部のほうでは、又更にその下請のほうに影響を与える。更に又これは納税その他の資金の引当てでもあります。或いは又短期の繋ぎ資金で、大体そういうふうにいたしまして、業者自体が、利益の蓄積の一部と、これによつて、資本の蓄積を図つて経済に抵抗して行こうという業者と、取引先が多いのであります。まあ大体そんなことでございます。これだけであります。
  65. 竹中七郎

    竹中七郎君 その全体の中小金融特別店舗の融通状態が、預金先ほど委員長が言われた通り、八〇%くらいになつている。ところがあなたのところでは、十一月は貸出が一億九千万円、預金が一億二千万円とれたというような、こういうことになつておるから、非常によくお返りになると思うのですが、その点どういうふうになつているのですか。
  66. 氏原久男

    参考人(氏原久男君) これは結局先ほど申しましたように、当行の方針といたしまして、中小企業金融を推進する特に特別店であるが故に、その特別店を利用して頂くために、我々の又機能を全面的に発揮しているということに尽きると思います。
  67. 竹中七郎

    竹中七郎君 もう一点だけ、私は今先ほどあなたのところは、富士銀行の第一流の、一番成績のいい支店である。この中小企業に対して……。それであなたがおつしやるように私も感じる。それは非常にいいお考えであつて、今の普通、僕らは官吏に対して、官吏の問題でも昔からさように考えているのですが、先ず課長が大体の面をやつて、それから下のほうへ流せばいいが、今は官僚でも、或いは銀行屋さんでも、係のところへ行つて、それから行くから、非常に長くなる。あなたのほうは四日なり、五日なり、支店長が、この人ならいいなと頭がやつておいでになるので、非常にうまく行く。この点は私は非常にあなたのお話を聞いておりまして、やはり非常に優秀な人が行かれるから、うまくやつていられるのだと思いますが、やはりそういうふうにして、官吏のかたがたにも、さようにして頂いて、頭の人が大体ポイントを抑えておいてからやつて行く。それが大体の人は下のほうから調べますから、どうも長くなつちやう。これは金融関係のかたがたに対しては特に御希望したい。非常に今日のお話に対しまして感銘しているのですがね。これはなかなか偉い支店長さんで……。あなたのほうは目黒支店長ですから、相当行員がおる。それをあなたがやるということはなかなかむずかしいのですが、それを敢てあなたがして来られたことに対して、敬意を表します。  これで私の質問を終ります。
  68. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 私から、一言関連して……答弁はよろしゆうございますが、今の氏原君の答弁の中に、歩積みの問題がありましたが、歩積みの五%は業者の自発的だと。こういうようなお話がありましたけれども先ほど国民金融公庫の総裁のお話だと、貸付金に対して五%が一カ月の元利金の返済だと。こういうふうな点がありますと、これは非常な食い違いがありはしないか。片方なら国民金融公庫から借りた金は、五%だけはもう全部一カ月に返せる。それなのに、片方は五%が歩積みだというような点については、相当問題点があると思いますので、この点は又答弁はよろしゆうございますが、御一考願つておきたいと思います。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 原さんに伺いたいのですが、あなたの御説明の中に、終戦後産業の拡充と企業安定のために、四十億以上の金を使つて、その結果大紡績の二部産業とでも言いましようか、この競争においても、質でも価格でも、自信を持てる。こういうお話があつたのですが、結局お作りになる協定組合は、生産の無計画、価格の無統制で共食いしている。これだけが協定組合の商目的になることでありますから、結局生産を統制して価格を安定すれば、それに金が廻つて来れば、とにかくに業界は生きるというので、結局すれば、協定組合というものは生産統制と、価格協定というものに集約せられることになりますが、そう解釈してよろしゆうございますか。
  70. 原與一郎

    参考人(原與一郎君) ちよつと聞き洩らしたところがあるかも知れませんが、この協定組合で今やろうといたしておりますのは、生産を改善するということで、生産調節をやろうとしておるわけでございます。で、これと併行いたしまして、設備が過剰なのでありますので、設備を今後新増設をすることをやめよう。設備の制限と、生産数量の調節とか、これが取敢えず現在私どものほうの協定組合の事業目的なのでございます。  これに更に追加しようという予定になつておりますのは、安定法にありますように、出荷の制限ということが出て来るのでありますが、これは金融が非常に逼迫しておりますので、出荷の制限というようなことに一度にかかることができないわけです。そこでこれは、例えば出荷の制限をして、従つてその滞貨する商品を一時的に倉荷証券を見返りにして融資を仰ぐというようなことができれば、これも併せてやれば、効果が更にある。こういうふうに考えておるのでありますが、取あえずのところでは、この生産の調節をやりまして、いわゆる採算の出会う価格の安定を図る。そうすれば一応我々のほうは、企業が安定するので、それにはやはり先ほど申上げましたような運転資金を導入して行きたい。こういう考え方でございます。
  71. 境野清雄

    委員長境野清雄君) どうも有難うございました。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今の問題に対しまして、中小企業庁の長官から、いろいろ御意見を伺いたいことがありますが、これは別の機会に譲りまして、今日は保留しておきます。  次にお伺いしたいのは、山本さんの御説明の中にありましたし、私もそう感じているのですが、商工中金のほうで、個人貸出、結局組合で借入れるのにこぼれたたくさんの人を対象にして貸出をするという個人貸出の件につきまして、大体どういうふうなお考えをお持ちになるでしようか。山本さんはそういう御要求になつておるのですから、これは非常に重要性のあることだと思いますので、金庫側としてのお考え一つお伺いしておきたいと思います。
  73. 門司正信

    参考人(門司正信君) 只今の御質問は、現行法におきましては、対組合及び組合員である個人会社にしか融通のできない組織になつておりまするのを、組合とは全然関係のない個人会社に融資するという問題について、商工中金はどう考えるかというお尋ねかと了解いたしまして、それについての私見を申上げます。  我が国の中小企業対策は伝統的に業者の組織が、つまり協同組合組織の推進ということが枢軸をなして参つたのであります。この方針は、基本的には今後といえどもやはり守らるべき方針ではなかろうかと私は考えるのでございますが、併し山本さんのお話にもありましたように、組合の組織がいろいろな事情でむずかしいというような場合、或いは早急に組合ができないというような場合、そういうふうな未組織のまま個人取引をする必要もあるように存ぜられるのでございますが、併し中金といたしましては、やはり基本的な考え方組合金融の点で推して行くべきではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題に対しましては、やはり山本さんの御説明で、小売商人などは総体の二〇%のうちの四%しか金が廻つてないというような実情は、結局小売商人等が組合組織を作る煩雑性等に、非常に無理もありましたり、又そういう組合がありましても極く零細な小売商人などには、一々廻つて来ないというようなことが、こういう結果をもたらすのだと思いますので、何かこれは法的根拠を変えて、いろいろの業者を一つにした町内金融組合のようなものを作つて、実際やつて行けるかどうかというようなお考えをして頂くわけに行きませんか。これは急にぱあつとそういうことを出しましたので、なんですが、町内商工協同組合というようなものを作つて、それで金融を受けるというような方法が考えられると思うが、そういう計画に対しては、どういうふうにお考えになりますか。
  75. 門司正信

    参考人(門司正信君) 現在の法律におきましては、やはり法人格をもつた組合でなければならんということになつておるわけでございますが、町内会的なものは、その法人格は備えられないと思うのでありますが、法律を改正しましても、そういうことは無理ではなかろうかという気が私たちはいたすのでございます。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは、ちよつと無理な御註文ばかりしておりますが、一番しまいに、そのことでお伺いしたいと思うので、国民金融公庫の櫛田さんにお伺いいたしますが、最近法律が変つて金融公庫の金も、借りますと翌月から返済しなければならんようになつているらしいですが、非常に零細な人が借ります金を、すぐ翌月からということになりますと、それは非常に実際問題としては困つておりますので、法的なやはりいろいろなものがあつて、そういうことになつているに違いないのでありましようが、それを改正してですな、六カ月又は三カ月等の据置期間を置いて、それからあと返済期間を三期ぐらいに分けて、返済額を漸増して行くというような方法が一番好ましい現状ではないかと思いますが、そういうものに対するお考えはどうでありますか。こういうことと、それからこれは商工組合金庫のおかたでも、櫛田さんでも続いてお伺いしますが、私のお伺いしておるのは、現在の法律を超してですね、こぼされた人間がいると思うのです。今そこに並んでおられる山本さんでも、田和さんでも、原さんでも、これらの組合員若しくは団体に加入して、とにもかくにもやつておられるかたは物が言える人なんだ。言えない人で、実際金のいる人がたくさんいるのだ。これが無尽や高利貸に、一番困つておる。これらの人に対して、借りる身になつて、あなたがたが、まあ一つの関係機関とも言おうか。或いは国民金融公庫というものは、殆んど政府機関のものですが、こういう立場において、こういうふうにしてやつたらば、一番こういう人に、わしらより経験もあり実情がおわかりでしようから。こういうふうにしてやつたら、こういう人たちに、こういうふうな法律改正をしてやつたら、借り易いだろう。こういう点がありましたら、お教え願いたい。こう思うのです。今のこれがもう完全だと。こういうことでなく、こというふうにしてやつたならば、物の言えない、実際欲しい、一番苦しんでいる者に、こうも廻るんだが、それで、金を貸すものでありますから、大衆にも、こういう便利があるのだ。こういう考え方が、町内金融組合というような、いろいろな商人が寄つて作り、これを法的な根拠を与えた組合として貸せるというような一つ考え方はないかと。こういうような点でお気付の点があつたらお聞かせ願いたい。  実際ここに来て、いろいろなことを話しましたり、世間へ出て金が欲しい、ああだ、こうだというのは、これは大体自分の意思を表示することができる、三十万以下ぐらいの人は、大体表示ができないで、こういう機関があることさえ知らない人が沢山ある。こういう人にどうしたら貸せられるかということを、当局者として、こういうふうに法律を改正して、こういうふうに持つて行つたら金が廻るのだということがお聞かせできたら、お聞かせ願いたい。
  77. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) お答え申上げます。  第一の点の、資金をお貸出いたしましてから、次の月から月賦でとるのはひど過ぎはしないかというお話であります。御尤もなお話でありまして、制度上から申しましても据置の制度がございます。それで、これは仕事……、そのおかたの御計画、事業計画の内容にもよるわけでございますが、一般の御商売、商業関係ですね、商業関係或いは物をお造りになつておるかたでも、運転資金の需要の場合には、大体次の月から、やはりその資本をお貸出いたしましたものを元手といたしましてお仕事を続けられるのでありまするから、次の月から月賦として二十分の一とか、二十五分の一とか、或いは三十分の一というものをお返し頂きましても、大体大丈夫のように存じておりますが、ただこの設備資金の場合でございますね、そのときには、やはり元手をかけられてからその設備が物をいいますまでには、若干の日取が要りますので、二カ月とか三カ月とか、或いは物によりましては六カ月と言つたような据置をいたしまして、それからお返済を願うようなことも、機宜に応じまして取計つております。それから月賦払のほかに、或いは三カ月月賦とか或いは六カ月ごとにまとめる。そのほうが御便宜なかたもいらつしやいます。それはお仕事性質上、三カ月とか六カ月ごとに金がまとまつてつて来るというような御商売のかたもいるわけであります。そういうかたには、そういう工合で御相談いたすわけでありますが、大体におきましては連続してお仕事を続けておられるかたも多いのでございますから、月賦ということを中心にいたして実行さして頂いておるようなわけであります。具体的にいろいろと御便宜をお図り申しておるということを申上げておきたいと思います。  それから、第二の点なんでございますが、我々国民金融公庫におきましては、大体個人会社、これが対象であります。最高二百万円まで貸付けるということになつておりまして、極めて小口のものであります。普通貸付の全体の平均が十三万円、一口十三万円というような小口でございます。だんだんと私ども仕事の内容を広く御認識を頂きまして、又現在の経済の不況の関係等からいたしまして、私どものところに御相談にお見えになるかたが累増しております実情は、先ほど申上げました通りでありますが、このままで行きますと、実はどんだん殖えて行く一方ではないか。実は先ほど申上げませんでしたが、来年二十八年度において一体私どもにどのくらいの御相談があるだろうかということを、先般所長を全部集めまして、いろいろ実情を聞きまして集計いたしてみますと、その結果が、差当り千百六億くらいになります。そのくらいの申込でございます。今まで通常、月に二万件くらいの御相談を受けておりましたが、十二月には大体四万件から五万件の御相談を受けるようなことに相成ろうと思います。  まあ、かような状況でありますので、実はその入手と資金と店の数を殖やすというほうが急務でありまして、それができますれば、何と申しましようか、お客様がたは、ますます殖えて来ると申しますか、そういうほうに重点を置きましたらば、どうにかこうにか、或る程度のことは御要望に副い得るようなことになるのではないかと思います。  取立てて、制度上こうしたほうがよいのではないかということは、国民金融公庫に関する限りは、現状のところでは、お客様に関する限りにおきましては、法律の御改正をお願いいたしますような点がないのではないかと存じております。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今の設備資金を二カ月、若しくは三カ月据置にするとか、或いは月賦払にするというのは、実際窓口ではやつてくれんようですね。これは非常にそういう声があるのですがね。
  79. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 先ほど申上げましたような方針で大体やつておると思いますが、そういう声がまだ強いようでありましたら、よく注意いたしまして、できるだけ実情に副うようにいたしたいと思いますから、御了承願いたいと存じます。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、新潟県の長岡でございますが、戦災地区なんです。それで戦災後大体家屋を無理して作つておる。その無理が大体手持資金で足らん分を、金融で一応家屋などを作りましたが、そのあとの店舗の設備などを改良するために次の負債をしたのですが、一応手持資金か何かでバラツクは建てましたが、その次の資金も見ておりましたが、最近においては大体設備資金などを借金でやつた。これがもう、今どうにもできないで、非常に困つておる因なんであります。それをまあ一応借換の形を、いろいろの方法でとつて行こうとする場合に、今も言つた通りに、すぐ翌日から金を返せ、こうやられるので、非常に弱つているのですがね。これは現に今そういう問題がたくさん出ている。説明が悪うございますか、私の……。
  81. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 具体的なお話になりますと、もつと詳しくいろいろ実情を、そのケースごとにお伺いしていろいろ申上げたほうが、或いは却つて当を得ているのじやないかと思うのですが、抽象的と言いますか、一般的に概括的に申上げては却つてあれかと思いますが、できますれば、恐縮でありますが、別の適当な機会に、詳しくその具体的なことをお伺いして事情を取調べさして頂きたいと思うのでございますが、如何でございましよう。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはまあ、それでもよろしゆうございますが、大体私、今申上げました通り、翌月から返すのでなければ貸せないと。そういう、見解の相違と言いますか。そういう者には貸せられないと。こういうことをはつきり言うているのですが、これがたくさん出ている……。
  83. 境野清雄

    委員長境野清雄君) 清澤君に申上げます。総裁自体が、新潟県の問題が直接はおわかりにならんと思いますから、あなたのほうから、具体的の問題についてお出し下されば……。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 それを聞いているのじやないのだ。総裁のほうからそういうことは絶対ないのだということを……、これは現に起つているのだから、これだけはつきりしてもらえればいいのですから、今一度……。
  85. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 先ほど申上げましたように、具体的な実情に応じまして適宜の措置をとるようにいたしますことを方針といたしておりますので、いろいろな関係から、若し不行届きな点がございましたら、是正をいたさせますから、何かございましたら一つ具体的に取調べまして、調査いたしまして、適宜の措置を講じたいと思いますので、どうぞ一つ御了承を願いたいと思います。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 わかりました。有難うございました。
  87. 境野清雄

    委員長境野清雄君) よろしゆうございますか……。  本日は参考人各位におかれましては、非常に長時間に亘りまして、何かと中小企業金融問題に関しまして、詳細な御説明を頂きまして非常に有難う存じました。特に中で、税金問題といたしまして法人税の軽減或いは固定資産税評価引下、或いは附加価値税の延期というような問題。これは大蔵省管轄の問題でありますことと、併せて特定中小企業安定法案に対しまして、それの附帯決議事項である資金の裏付けというような問題が、更に実施されておらないので、これの早期実現方というような強い要望があられましたが、税金の問題並びに特定中小企業安定法案に関しましては、大蔵当局並びに通産当局は今日列席しておりませんので、委員長といたしまして善処をいたしまして、大蔵当局並びに通産当局へ通告をいたしまして、そうして皆さん要望に副い得るよう、委員会として取計いたいと思いますので、この点は一つよろしく御了承を願いたいと思うのであります。なお私どもは、もう少し突込んだお話を実はお聞きしたがつた。これは商工中金の例を申上げましても、年末のこの申込見込というものが百三十二億、そうしてそれに対する準備金が百二十二億円。これは補正予算の二十億を計上しますなら、所用の申込資金というものは全面的に賄い得る。それからその中の資金源、資金の手当の中で見ましても、高率は十億になつておる。昨年の年末は、多分私の記憶では三十億以上あつたんではないか。こういうようなふうにいたしますと、どうも私は資金手当のほうがこれでは潤沢になり過ぎるようなふうに見受けられますし、又先ほど国民金融公庫のほうからのお話によりましても、一・三月の所要資金が百八十億、大体四〇%を貸出しすれば、自分のほうの貸出しというものは、大体希望者に全部賄い得るのじやないか。こういうような話で二十億の増加をすれば四〇%程度のものは賄い得るというようなお話でありましたが、これは私は商工中金、或いは国民金融公庫にしましても、最低線の目先の問題でありまして、私どもは、もつともつと資金源というものは要るのじやないだろうか。言い換えれば、従来いつの統計を見ましても、政府機関である国民金融公庫並びに商工中金というものが、中小企業総体金融の五%の上に出ていることはいつもない。私どもは最低線でもテン・パーセントこの両機関で持つてもらわないことには、中小企業金融問題は、その緒についたとも言い得ないのじやないだろうか。出来得れば、相互銀行と同じような二〇%がらまりまでの貸出国民金融公庫商工中金がやり得る状態になつて、初めて日本経済における中小企業金融というものは、私は解決のめどが見えるのじやないか。かようなふうに考えておりますので、非常に謙虚な皆様がたの、私はむしろ今日は、御発表じやなかつたろうか。特に又富士銀行の目黒支店長さんからのお話によりましても、中小金融特別店舗としては、政府が特別資金源をちつとも廻さないのだ。そういうようなことでは、なかなか中小企業の特別金融店舗としても、万全の機能を発揮することはでき得ない。いわゆる全国七十二の中小金融特別店舗に対しては、もつと資金源のものを別個に一つ政府がやつたらどうだというようなことの強い御要望でもあるのじやないかと、私は期待いたしておつたのでありますが、いずれにいたしましても、中小企業金融というようなものが、一回や二回寄り合いをいたしましても、それで解決するとは思つておりません。併し又先ほど来、田和さんからお話のありました、いわゆる組合法というようなものが、清澤委員からもお話がありましたが、中小企業等の協同組合というものは、私どもはこの再編成時期は、もう来ておるのだ。例えば先ほどのお話で連帯保証の問題があつたのでありますけれども連帯保証はいやだというような問題自体が、私は中小企業等の協同組合の新精神を体得しておらないというようなふうに私どもは解釈しておるのでありまして、もうすでに時期も来ておりますので、中小企業等の協同組合の再編成という問題に対しては、私は中小企業庁に強く要望をして、これを再編成したい。従来の中小企業等の協同組合というものは金を借入れるのに便宜だ。便宜なんだから、協同組合を作ろうというような形で出て参つたのが非常に多いのでありまして、中小企業等の協同組合も、このへんで再検討をしないことには、私は日本経済の再建というものに非常な支障を来すのじやないか。かように考えておるのでありまして、今後とも今日お出でになられました参考人の諸君におかれましては、御迷惑ではありましようが、私ども経済安定委員会におきましても、通産委員会におきましても、中小企業問題は真剣に取扱いたい。こういうような強い要望を私どもは持つておりますので、何かと今後とも、一つお忙しいところでも、御無理してでも、お出かけ願いまして、何かと金融問題に関するいろいろの問題をお教えを願いたい。かように存ずる次第であります。冒頭申上げました通り、特に年末であり、金融機関に関係しておられるかた、或いは中小企業団体の幹部のかたがたが、特にお忙しいところを遅くまで、わざわざいろいろの御説明を願いまして、どうも有難う存じました。皆様の御要望に副うように、委員会といたしましても、万全の措置を講じて政府要望するつもりでおりますので、よろしくその点御了承願いたいと思います。どうも長い間有難う存じました。  それでは、これで本日の委員会は閉会いたします。    午後五時五十七分散会