○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ず御
質問の第二の点から申上げたほうがわかりいいと思うのであります。つまり現在並びに将来どういうふうな方向で行くかということになると思います。先ず第一にやりたいことは、諸
外国との間に通商航海
条約を締結するということであります。これがなくては実際上本式な動き方はできないのであります。先ずこれをやりたい。そしてその大きな枠の中で今度は個々の問題について、おのおのの土地によ
つて違うのでありますが、具体的の方針を実行して行きたい。例えば東南アジア方面におきましては資原の開発というようなことがありましよう。南アメリカのほうには別に移民というような問題もありましよう。それから
一般的に言えば、ポンドはどういうふうに使うか、ドルはどういうふうに使うか、
輸入はどちらの方面に求め、輸出はどちらの方面に向くべきかという、要するに貿易量の増大という
見地からも考えられましよう。要するに狙いは貿易量の増大ということが主眼であ
つて、それに合うようないろいろの方針を実行して行くということになるわけであります。今現在どういうことをその方針の下にや
つておるかと言いますれば、もう御
承知のように通商航海
条約については、中立国等にはもうすでにできておるのもありまするし、元の
条約を一
部分有効にしようというような話もあります。そのほかに新らしく作るものとしては、今日米通商航海
条約を作
つております。これももう不日意見が一致するだろうと期待しております。ポンド圏の問題については、日英支払
協定において、貿易量を相当大きくする意味でポンドの使用をもつと余計やる、そうして
輸入量をポンド
地域からのものを殖やそう、こういう計画でこれも話合いをいたしております。これも相当進捗しております。
それから各地に通商使節団というような、
名前はいろいろありますが、そういう種類のものを出して具体的に通商に関する取極め等を行いたいと思いまして、
只今や
つておりますのは、アラブ
地域、つまり中東
地域、イラン、イラク、シリア、レバノン、トルコ、ああいう方面、これに郵船会社の社長の淺尾新甫君を団長とする使節団を出しております。それからキユーバを中心としてドミニカであるとか、あちらのほうのカリブ海から中米地方については、伊藤忠兵衛君を団長とする使節団を出しております。それから、まだこれは行
つておりませんが、もうじき南米、主としてアルゼンチン等の通商
条約の締結交渉その他南米との通商打開のために人を派遣する予定にいたしております。又それに関連して中南米の公館長会議と言いますか、大使や公使や総領事等を集めまして、今月中に会議を開いて、各
地域連絡して貿易量の増大を図るような計画を立てたいと
思つております。まあこういうふうで、今後も使節団等はどんどん必要に応じて出しますが、
只今すでに
二つ出しておるし、まだもう
一つ行く予定にな
つておる。
それからこれは直接通商
条約等とは
関係ないけれ
ども、東南アジアの数国対しては、賠償の実施ということがやはり実際上これと至大な
関係があるわけでありますが、フイリピンとの話合いは、御
承知のように割合に円滑に進みつつあります。沈船の調査が終りましたので、今度は沈船の引揚げをやろうという、この引揚げに関する
協定を
只今交渉しておりますが、これはでき上りますれば、フイリピン側は
政府限りでできますが、
日本側は
国会の
承認を経る
手続をとらなければなりません。そのほかの
国々についても、例えばインドネシアとか、ビルマ、そういうような
国々についても、賠償の問題は
間接には通商促進に役立つと思います。この方面との話合いもいたしております。
移民につきましては、これも直接は
関係がないと言えるのでありますが、いろいろ
間接的には通商の拡大にも役に立つのでありまして、このため
外務省としては、今般小規模ながら海外移住局という局を新たに設けて、専門的に専心この問題を取扱おうというつもりでや
つております。