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政府委員(
中村幸八君)
只今議題となりました
工業及び
商業における
労働監督に関する
条約、
職業安定組織の
構成に関する
条約及び
団結権及び
団体交渉権についての原則の
適用に関する
条約について、
提案理由を
説明いたします。
工業及び
商業における
労働監督に関する
条約は、一九四七年に国際労働
機関、ILOの第三十回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年四月に効力を生じ、最近までに
批准した国は、十六箇国を数えております。
この
条約の目的は、ILOの加盟国に
労働監督制度を採用させて各国における労働者保護に関する法規を忠実に実施せしめ、これによ
つて労働者の保護を確保しようとするものであります。わが国におきましては、労働基準法により監督
機関の設置が定められておりまして、監督
機関の任務、監督官の権限、
資格等この
条約の規定の内容は、すべて実施されているのであります。
次に、
職業安定組織に関する
条約は、一九四八年にILOの第三十一回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年八月に効力を生じ、最近までに
批准した国は、十六箇国であります。
この
条約は、
職業安定組織の設置による雇用市場の組織化を目的としたものでありまして、これによ
つて失業防止及び雇用の増大を計らんとするものであります。わが国におきましては、既に職業安定法により
職業安定組織が維持されておりますほか、安定組織の
構成、業務の内容等この
条約の規定する条件は、すべて同法、失業保険法等により充されております。
次に、
団結権及び
団体交渉権についての原則の
適用に関する
条約は、一九四九年にILOの第三十二回総会で採択されたものでありまして、一九五一年七月に効力を生じ、最近までの
批准国は、十一箇国であります。
この
条約は、労働者に与えられるべき基本的権利であります
団結権及び
団体交渉権の擁護を目的としたものであります。わが国におきましては、既に労働組合法及び公共企業体等労働
関係法によりまして、これらの権利の保障を確保しております。
この三
条約は、戦後わが国が初めて
批准する労働
条約となるわけでありますが、これらの
条約を
批准することにより、わが国が公正な国際労働慣行を遵守している実情を広く世界に知らせ、また、将来もそれを維持してゆくことを国際間に約束いたしますことは、ILO憲章の趣旨に沿
つた国際協力を進める点からいいましても、またわが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて有意義であると
考えます。
以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御
承認あらんことを希望する次第であります。