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1952-12-18 第15回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)    午後二時四十三分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            高良 とみ君            岡田 宗司君            曾祢  益君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省条約局長 下田 武三君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の民  間航空運送協定の締結について承認  を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) 先ほど委員長理事打合会におきまして、本委員会運営に関して次の通り協議決定いたしました。  本日、即ち十二月十八日、二時開会航空協定につきまして質疑を行います。明日十九日、一時に開会いたしまして、航空協定について討論採決をいたします。二十日、土曜日、十時に開会いたしまして、船舶協定について質疑を行います。二十一日、日曜は休みとし、二十二日、十時に開会いたしまして船舶協定について討論採決をいたします。但し会期延長の場合には若干ゆとりを持つて運営することにいたします。  以上委員長理事打合会の決定に御異議ありませんか。
  3. 曾禰益

    曾祢益君 別に異議はございませんが、二十一日の朝の討論採決というやつは、只今の場合によつたら延びるということに関連して来ると思うのですが、これは甚だ勝手なあれですが、二十一日午前中の討論採決……。
  4. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) 二十二日です。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 二十二日、月曜日。
  6. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) はあ。
  7. 曾禰益

    曾祢益君 時間までおきめになることはちよつと困るのでございますが。
  8. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) 十時に開会します。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 まあ国会が延びなければ、二十二日中に討論採決ということならいいのですが。
  10. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) それは十時と仮に決定しておきまして、その前日に模様を見てやることにしたら如何ですか。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 時間の融通をその日の中でお考え願えれば結構でございます。
  12. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) そうしようではありませんか。
  13. 曾禰益

    曾祢益君 議事関連いたしまして、一つこの今日の議事に入る前に、議事日程関連してお諮り願いたいことがあるのですが、それは只今丁度東京沖縄の現立法府の議員で、前の沖縄知事をしておりました平良氏という人が来ております。それでこれを何らかの形で外務委員会参考人として呼んで頂いて、沖縄の最近の事情を聞いたら如何かと思うのでございますが、特に今の議題に直接関連ございませんので、或いは陳情請願等沖縄関連してあると思いますので、その沖縄陳情請願関連する参考人という形でお呼び願えれば、一等一般議事との関連において適当ではないか、従いまして内容的には平良氏を呼んで参考人として聞く、その方法としては、今申上げましたように、これは一つのサゼツシヨンでございますが、請願陳情参考人として聞くということを私は提案申上げたいと思うのですが。
  14. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) それは日はいつですか。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 これは会期中ですが。
  16. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) それでは、それは然るべく日取りを考えて、あとで相談してきめたいと思います。   ━━━━━━━━━━━━━
  17. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) それでは委員長理事の打合会で決定しましたプログラムに従いまして、これから早速航空協定質疑に入りたいと思います。外務省から下田条約局長が来ておられます。運輸省から荒木航空局長がおいでになつております。
  18. 杉原荒太

    杉原荒太君 この前のときに、この説明があつたときに欠席していましたので、或いは説明があつたかと思いますが、協定の論議に入る前に、日本として、或いは日本アメリカとの間を含む国際航空協定について現実に今どういう計画を持つておるか。
  19. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 一応私運輸省としまして考えておりますものは、国際航空につきましては、当初の計画でございますので、今年度分につきましてはずれがありまして、今年度に実現できないと来年度以降に繰延べになるという部分がございますが、その点を御了承願いまして、一応当初の計画を申上げますと、アメリカサンフランシスコまで、南方航路でございますが、サンフランシスコまで、それから釜山まで、それから台北までのルートと、それからカラチまでのルートを今年度開設いたしたいとこう考えていたわけでございますが、実際に今飛び得る状態になつておりますのはアメリカだけで、サンフランシスコまででございますので、今年度中に是非これが飛び得る状態に諸般の準備を進めたいと、こういうふうに考えております。実際問題としまして朝鮮台湾カラチまでというルートは今年度中に開設できなくて、来年度に繰下がることと思います。で来年度といたしましては、カラチまで行つておりました線路をロンドンまで延ばす、それからサンフランシスコまで行つておりますのを南米まで延ばす、それからその次の年、再来年度でございますが、再来年度におきましては、東京からマニラシンガポールジヤカルタの線と、それから旅客の状況によりまして北廻り線、即ちセミヤを通つてシヤトルに行く線をやりたいと、こういうふうに計画は三年の計画を立てておる次第でございます。
  20. 杉原荒太

    杉原荒太君 先ず第一の本年度内に実施に移される見込の日本サンフランシスコまでの間の国際航空、これをもう少し具体的にお伺いしたいのですが、これは大体定期航空だと思うのですが、どのくらいの期間にどのくらいの回数、それからその経由地点は具体的にどこですか。
  21. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) ルートウエーキに行きまして、ウエーキ、これはテクニカル・ランデイングで、お客さんは取れないと思います。ウエーキホノルルサンフランシスコ。それから回数でございますが、始まりでございますので、飛行機の手当もなかなかそう十分に行きませんし、そうお客さんも取れるというわけではございませんので、第一年度計画は週一回、週一往復と、こういうふうに考えております。
  22. 杉原荒太

    杉原荒太君 ウエーキ、それからホノルルサンフランシスコ飛行場設備は、これは全部アメリカ設備を利用し得ることになつておるわけですか。
  23. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは相互の問題でございますから、アメリカ羽田を使いますようにやはりこつち、日本側向う設備を使えると、こういうふうに考えております。
  24. 杉原荒太

    杉原荒太君 実はこの航空協定の内容をとにかくまだ読んでいないのでわからんのですが、そういう点を少し、便益の供与などを航空協定の中で法律的に規定するということが航空協定一つの目的でしよう。
  25. 下田武三

    政府委員下田武三君) 仰せの通りまさにそういう点を決するのがこの協定趣旨でございます。
  26. 杉原荒太

    杉原荒太君 この日本側において航空事業をやる、この協定による航空事業は具体的には只今日本航空でありますか。
  27. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは現在申請書が三つ出ておるわけでございます。一つは現在の日本航空でございます。もう一つ大阪商船中心になりまして、日本国際航空株式会社というのを作りまして、アメリカのカリフオルニヤ・イースタンという会社がございますが、この会社乗員訓練をやる学校の立派なのを持つておる、そこを主体として、現在軍の人や物を太平洋を越えて羽田にまで運んでおる会社でございますが、その会社クルー附飛行機をチヤーターしておるというのでございます。もう一つ飯野海運株式会社オランダの、現在東京羽田に飛んで来ておりますKLMの飛行機を、何と言いますか、トリツプチヤーターをいたしまして、羽田まで飛んで来た飛行機クルー附で借切りまして、ホノルルまで行く、それから又ホノルルから飛んで帰りましてずつとオランダへ帰る、こういう計画でございます。申請書は三つ出て来ておるわけでございまして、どれに許可すべきであるかということは、今いろんな面から検討しておるわけでございます。今どの会社が免許されるかということはちよつと申上げかねる段階でございます。
  28. 杉原荒太

    杉原荒太君 羽田飛行場あすこの私は事情をよく知らないのですが、管理者は現在誰であつて、その管理権というのは完全に日本側にあるかどうか、それからあの飛行場に関して、外国側言つても恐らくこれは外国会社でしようが、そういう契約の関係があると思うのですが、そういうものはどういうふうになつておりますか。
  29. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 羽田飛行場は去る七月一日に日本側に返還されたわけであります。従つて羽田飛行場における管理権日本側にあるわけでございますので、私のほうの、正式に言いますと東京国際空港長というのがこれを管理しておるという形式でございます。併し実質的に見ますと、あすこマツツと称しますミリタリー・エアートランスポート・サーヴイスという、空軍でもないし、陸軍でも海軍でもない、まあ軍の航空輸送部隊とでもいうようなものでございましようか、これがおるわけでございまして、これによつて格納庫とその他相当広い地域を占拠されておるわけでございまして、その地域の中の非常に大きい部分が現在マツツの使用に供されており、極く一部極東空軍に使用されておる状態でございます。なお現在羽田に飛んで来ている会社国際航空会社としまして十一社来ておるわけでございます。でこの十一社が日本側の元のターミナルビルデイングを借りまして使つておるわけでございます。日本側国内航空としての日本航空は、別の建物にやはりターミナルビルデイングを持ちまして商売をいたしておるわけでございます。なおこの頃飛んで来ます、宣伝飛行をやつております青木航空というのがあそこに基地を置いておるわけでございます。その他新聞社が若干飛行機をあそこに格納しておると、こういう状態でございます。
  30. 杉原荒太

    杉原荒太君 これは平和条約の中に航空に関しての一応の規定があつたわけでございますが、アメリカ軍関係においては、この航空協定ができ上れば、あの平和条約の中に規定してある航空条約の適用はなくなるものですか。
  31. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約の十三条の(b)におきまして、「協定が締結されるまで、日本国は、この条約の最初の効力発生の時から四年間、この効力発生の日にいずれかの連合国が行使しているところよりも不利でない航空交通権利及び特権に関する待遇当該連合国に与え、」なければならないという規定がございます。従いまして前記の協定の締結されるまで、つまり日本当該国と、二国間の協定が締結されるまでとなつておりますので、若しこの協定が正式に発効いたしますと、今まで一方的にアメリカに与えておりました待遇は終止いたしまして、平等と申しますか、相互権利を与えるところの二国間協定によつてつて代られるものと解釈いたします。
  32. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうすれば先ほど御説明のあつた羽田航空場におけるアメリカ側、殊に軍側の持つておる一種の権利、恐らくはこれは事実上のものじやなくして、権利になつておるかと思いますが、その関係はどうなるのですか。
  33. 下田武三

    政府委員下田武三君) 羽田空港に只今荒木局長から申されましたような米軍側航空関係施設がございますが、これは日米行政協定に基きまして、日本アメリカ側に貸しておる施設でございますので、その関係はたとえこの協定が発効いたしましても、行政協定が有効に続く限りは依然施設として貸与することになる、そう考えております。
  34. 曾禰益

    曾祢益君 只今杉原委員政府との質疑関連してもう少し伺いたいのですが、第一に大体今予定されている航空路計画伺つたのですが、この本年度計画、来年度計画再来年度計画とまあ年度順位をつけているわけですが、それがまあ第一にアメリカサンフランシスコ航路をやろう、それからまあ第二に朝鮮台湾カラチですか、それから次にカラチからロンドンへ行くやつを考えて、この第三年度計画ですか、東京マニラシンガポールジヤカルタ、それからアメリカ北廻り線、第二年度計画中のサンフランシスコから南米に行くと、大体まあこんなふうに伺つたのだけれども、例えばこの南方航路というものは非常に年次計画順位が遅れているのはどういうわけなんですか。ちよつとそれがどういう……、つまり航空業務関係なのか、それともやはり外交関係でむずかしいというようなことを含んで遅らしているのか、その辺の事情はどうなんですか。
  35. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは利用度と言いますか、正確なる数字を実は計算して行くことが望ましいと思うのですが、大体果してどれだけの旅客があるかということは正確に推計することはなかなか困難と思いますので、大体経済的に又政治的に最も関係の深い地域というようなものから逐次先へ実施して行きたい、こういうことで、まあ大体そういつた考え方から年度計画順位をきめた次第であります。中には外交関係でその通りに行かないものもあるかも知れませんが、運輸省として一応の考えをまとめましたのは、大体外交関係はスムースに行くということを予定いたしましてそういう計画を立てたわけでございます。要するにこれは輸送需要と言いますか、先行きのところ緊密な経済的国際交流の多い所から逐次始めて行こうと、こういう考え方でございます。
  36. 曾禰益

    曾祢益君 純然たる輸送需要等から割出して、その場合にいわゆる国際競争関係といつたようなこともその中に考慮に入れたのか、競争があつても、少くとも日本人としてはこれだけの貨客がありそうだとか、日本人以外の外国人貨客もありそうだということで考えられたのか、その点はどうですか。
  37. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 初期段階で一番多く目当にしておりますのは、日本人向うへ行く者、それから一部外国人で、これはまあ大いに努力しまして外国人お客さんを取りたいということを非常に希望しておりますけれども、初期ではなかなかそう思うように外国人お客さんも取れんじやなかろうかということで、日本人交流の多い所ということを考えておりますが、もとより外国人も大いにそれを取りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  38. 曾禰益

    曾祢益君 それでまだ僕にはわからないのは、例えば今のは現状から見てということなのじやないかと思うのですが、まあヨーロツパに行く人も相当多いことは事実ですが、併し多少東南アジア情勢が変つて来れば、外交関係その他の……、やはりいわゆる東京マニラシンガポールジヤカルタといつたような線が、まあ競争関係からいつても余り大したこともなかろうし、日本中心にして考えて、そういう線は殆んどないも同然なんだから、なぜそういう線がもう少し……、今後の発展ということを考えれば、第三年目の計画になつているということが私としてはちよつとわからないのです。つまり現状考えればここはない。併し少しフイリピンとの関係が、或いはインドネシアとのいろいろな外交関係ちよつと打開して来れば、この辺がもつと早く取上げられて、而も輸送量相当需要が出て来る線じやなかろうか。而も国際的に見ても東京中心にこういう線は現実にないのです。或る意味一等先日本考え行つてもいい線じやないかと、素人として考えるのですが、その点どうなんですか。
  39. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは御指摘のように現状で実は考えておるわけでございまして、情勢の変化によりまして非常に輸送需要があるということが想定されることになりますれば、これを繰上げまして早くやるということも考えてよろしいと思うのでございますが、一応現状でそういうふうに考えておるわけでございます。来年度になりまして又来年度計画を立てますときには、来年度におけるその事情に基きましてこれを繰上げるということもあり得ると思うのです。今は一応日本の現在の状態で想定したわけでございます。
  40. 曾禰益

    曾祢益君 現状におけるあれとして一応そういう想定をされたということはわからないでもありませんが、とかくまあそういうふうにきめちやうと、ややそれに捉われる傾向がどうしてもこれは官庁というものはあり勝ちなんで、而もこれは何も政府が直営なり或いは公社をしてやらしているわけではないのだけれども、現実運輸当局とそれから外交当局との連絡によつて、例えば南方路線が必要だというなら、やはり積極的に運輸当局のほうも第三年の計画に入れておるのだというような考え方でなくて、勿論これは外交が規制するでしようけれども、やはりそういうところに積極的な運輸省見方というものに余り現状に捉われた見方が私はありやせんか。この点は外務省はどう考えておられますか、次官どうですか。
  41. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その点につきましては、外務省といたしましては、そのときの外交事情によつて是非ともその路線が必要であると認めました際におきましては、早速時を移さず運輸当局とも折衝いたしまして、手ぬかりなく善処いたしたいと思つております。
  42. 曾禰益

    曾祢益君 これはまあ両当局に対する希望ですが、私は断定的に申上げるのは慎みますけれども、どうも余り現状にとらわれたような計画のように思うので、これは両当局とももう少し積極的に南方航路は、東京中心東南アジアに行く航路というのはないも同然なんですから、これこそ日本がやるのだというくらいなつもりで打合して、外交をよく睨んで、国内官庁のほうもそのくらいな積極的な意気込みでやつてもらいたいという希望を申上げておきます。  次に、これ又杉原委員が触れられた点ですが、大体政府としては、この国際航空に関する日本企業体の問題、これは一体今各社が競願しているという問題に対する答えを出す前提として、基本的に一体どう考えておられるか。こういうものは、国際航空路線の経営というものは、いわゆる私企業自由競争でいいんだ、こういうお考えなのか、それともそこに公共企業性格を認めてそういう方面に考えて行くべきかこれは私非常に基本的な問題だと思うので、これについては従来の経過もあろうと思うのですが、現在における当局考え方はどうなんですか、伺いたい。
  43. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この問題は、御存じのようにアメリカでまあ国際的に出ております会社の大きいものは、パンアメリカン、ノースウエスト、TWAでございますが、これは純然たる私企業形態をとつております。勿論初期におきまして郵便料金の支払において補助金を与えたということはございますけれども、今は完全なる私企業で、政府の積極的な援助は殆んどなしにやつております。ヨーロツパへ参りますと、イギリスは一〇〇%政府出資のいわゆるパブリツク・コーポレーシヨンでBOACと、それから国内ヨーロツパをやつておりますBACがあるわけです。それからオランダのQLM、これが一〇〇%政府出資でやつております。それから最近こつちへ飛んで来ることになりましたエール・フランス、これが現在九七%の政府出資で、単一会社でやつております。それから北欧三国で各国がおのおの一つ会社を作りまして、その会社の組合といいますか、連合といいますか、そういうようなものがいわゆるスカンジナビヤ・エア・ライン・システムを作つて一つ企業体として現在日本へも飛んで来ておりますが、これは各国とも五%ずつ政府出資をやつております。その他フイリピン・エア・ライン、その他大体そういつたアメリカ以外のところでは一〇〇%乃至五〇%程度政府出資をやりまして、単一会社を以て進出して来ておるわけでございます。  そこで日本国際航空を再開するに当りまして如何なる形式がよろしいだろうかということで、大いに研究すべきことでございますので、航空審議会諮問をいたしました次第でございますが、その諮問答申は、御存じのように猛烈なる国際競争が行われておる状態でございますので、七年間の空白と取組んで非常に遅れておる日本国際航空界に進出するにつきましては、強力なるものとして、政府補助その他も一つ集注して行くということでなければ、到底国際競争場裡において生き長らえて行くということは困難ではないか。よつて差当りの問題としては、すべからく一社を以て国際路線に進出すべきである。なお企業形態としては、純粋の民間資本によつてやることが望ましい。併しながら航空機を獲得するいわゆる設備資金的な意味において、初期段階において二十億程度政府出資をすることが望ましいという答申を頂いたわけでございます。運輸省といたしましては、この答申を尊重いたしまして、この線に沿つて予算折衝その他をいたしておる次第でございます。
  44. 曾禰益

    曾祢益君 大体そういうことだとは思つていましたが、運輸省当局としては、その審議会答申従つて、そうすると単一会社で行くと、而もそれを公共企業体、パブリツク・コーポレーションにしないで、純然たる民間でやつて行く、而も政府出資して……、ちよつとその点が我々としては論理は一貫しないように思うのだけれども、パブリツク・コーポレーシヨンまではやらないで民間企業形態、但し政府が或る程度出資して行こう、この方針を確認してですね、それは閣議でも現在政府方針になつているのですか。
  45. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 閣議でその方針が確認されておるという状態ではございません。一応運輸省の中でさように考えておるわけです。  なお一つちよつと説明が落ちましたのですが、純然たる私企業で行くと、だから当初におきましてもいわゆる民間出資、又民間市中銀行からの借入金で飛行機のフリートを揃えるということが困難であるから、一時的な繋ぎといいますか、その措置としての政府出資をする。併しそれは収益状態もよくなつて来て、民間においてこれを引受ける力ができて来た場合は、速かに民間政府出資分は済しまして、できるだく早く純民間の形に帰すと、こういう趣旨でございます。
  46. 曾禰益

    曾祢益君 只今局長からいろいろな外国の例が挙げられておりましたが、更に例えばインドあたり考えてみれば、インドなんかには確かに相当大財閥があるから、民間の中でやつておるのもあるようですが、その他の諸国、例えばビルマを考えてみても、或いは東ヨーロツパは知りませんけれども、例えばユーゴースラビヤを考えてみても、いずれの国でもアメリカほどの大資本国でないところで政府出資し、少くともそれで或る程度の公共的なコントロールをしないで、そうして数社に勝手にやらしておるところもないし、又一社にそれだけの保護を与えるなら、公共的な監督をしないで、或る特定の民間資本にそれだけの事業をやらしているという国がほかにございますかね。
  47. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) いろいろ調べた中で、国際航空を純民間でやつておるということはいろいろ調べたわけですが、或いは調査漏れがあるかと思いますが、大体アメリカ以外にはないのじやないだろうかと思つています。
  48. 曾禰益

    曾祢益君 それにもかかわらず、まあ運輸審議会の権威に挑戦するわけじやないけれども、一体事務当局として考えられて、日本の能力と、国際競争に立遅れたる点等からいつて、一体純民間ででき得るのか。而も今言つているような非常な甘い考えで、スタートにおいては政府出資してくれ、あと競争力ができたら肩替りして民間に直す、そういうようなことがいわゆる実行可能性があるのか、又そういうことが一体これだけ大きな公共的な性格なものの運営上いいとお考えですか。
  49. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) いろいろ批判はあり得ると思うわけでございますが、一応運輸省といたしましては、パブリツク・ユーテイリテイとして、それに対するパブリツク・ユーテイリテイとしてのコントロール航空法に基きまして加えるわけでございますが、企業としては私企業形態で進むということがよろしいのではなかろうかと考えております。  なおいろいろ立ち遅れて激しい競争の中へ出て行つて、それでやつて行けるかどうかということでございますが、初期はなかなか困難か思いますが、いろいろ計算して見ますと、御存じのように飛行機の収益性といいますか、飛行機お客さんが非常に殖えて来ております。いわゆるコーチ・サーヴイスを行いまして安い運賃にいたしまして、お客さんがどんどん殖えて来ておりますし、各国会社の収益率も逐次改善して来ておりますので、二、三年後にはペイするというところに来るのではなかろうかと現在では考えている次第であります。
  50. 曾禰益

    曾祢益君 外務委員会として、これ以上基本問題について論議するのもどうかと思いますので差控えますが、本来ならば、これは政府が明確な一つの基本方針をきめて、その上に立つて今度のアメリカとの協定に基く、早速のアメリカ航路についてすら基本方針がきまつてないというところにいろいろな競願が……、競願も結構でしようが、そこにいろいろ面白からざる噂も立つということになると私は考えます。そこでその点は局長との質疑応答は打切りますが、そこで若しそういう一社方針であるというならば、競願に対する態度というものは、当然にほかのは許さないということが出て来やしないかと思うのですが、その点に関する杉原委員の御質問に対する御答弁が非常に不明確だつたのですが、それはちよつと論理が合わないと思うのですが。
  51. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今申請が出て来ておりますが、それを一社にするといたしますればどの会社を選ぶかという問題、それから又複数制がよろしい、一応審議会答申はそういうことになつております。審議会答申を尊重しているわけでございまして、又一面にも複数式がよろしいという議論もあるわけでございます。そういつた面を検討しているわけでございます。一社ということに恐らく落着くのではなかろうかと考えておりますが、一社にいたしましても、三つある中からどれにするかという問題をいろいろな面から目下検討している次第でございます。
  52. 曾禰益

    曾祢益君 明らかにしておきたいことは、勿論今日ここでどの社というようなことを伺つているわけじや毛頭ありません。ただ競願があるけれども、一社方針を貫くのだという点ははつきりしているかどうかということを聞いているわけです。
  53. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その点につきましては、一応現在のところ審議会答申を尊重してやるということでやつておりますのですが、最終的決定として、一社でやるということにはつきり確定しているというわけでもございませんので、一航空局長といたしまして、一社でございますとはつきり御答弁申上げるということは如何かと考えるわけでございます。
  54. 曾禰益

    曾祢益君 これもこれ以上あれしませんけれども、同僚議員もお聞きの通りで、非常に私は不明朗なものがあると存じます。これはとにかく根本においては運輸審議会答申というものを、閣議がこれを決定しているか、それもしておらない、私は運輸当局の一社方針が仮にいいとするならば、それでそれを貫くということが言えるかというと、それはやはり閣議という政治的なあれがあつて、そこに又政党的なものがあつたりなんかして、それも事務当局通りに必ずしも行かないかも知れないというようなところから、局長としては僕の率直なる質問に率直に答えることが、非常に躊躇せざるを得ないというような、非常に面白くない……、私はこれは政治問題ですから、この点は打切りますが、いずれこれは本会議等において、当然に私は国会側としてはこの点は明らかにしておく必要があると信じます。  それではちよつと内容を、協定のほうについてまだ今後同僚委員の質問に関連して伺うことがあるかも知れないから言いませんが、一、二の点を今度は外務省のほうに伺いたいのですが、第二条の(c)にですね、この「「領域」とは、その国の主権、宗主権、保護又は信託統治の下にある陸地及びこれに隣接する領水をいう。」、こうなつておりますが、この協定沖縄に関してはこの(c)項の関係からいつて完全に適用があるというふうに見てよろしうございますか。
  55. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 沖縄に関しましては、実はアメリカ側とも交渉中いろいろな経緯があつたのでございます。御承知のように平和条約の第三条で、沖縄には将来この米国を管治権者とする信託統治地域になるということになつておりまして、それまでの間は立法的、司法的、行政的の権原をアメリカ側に持たせるということになつているわけであります。併しながら平和条約締結前から、日本政府のいろいろの折衝によりまして、最後にはダレス氏をして、沖縄に対する日本の潜在主権があるというような声明を引張り出すまでに漕ぎ付けたわけであります。そこで今度の交渉に際しまして、沖縄日本の領土でありましたら、これはもうカボタージの問題でありますから、ルートに載せる必要がない問題であります。併しながら平和条約の先ほどの規定もございますので、アメリカ側が、これは実質的にアメリカの領域であると主張してしまうと、又これもルートに載せる必要がない。そこでいろいろ折衝いたしました結果、両国の妥協の方式としまして、沖縄日本間は日本のカボタージでもない、両国の、両国が平等の地歩で、日本沖縄間の民間航空企業運営し得ることにしようと言つて日本側路線にも載せますし、アメリカ側路線にも、載せると、そういうちよつと割切れないのでございますが、現状から両国の利益に最も合致した方式を案出いたしまして、それを附表にくつ附けたような次第でございます。
  56. 曾禰益

    曾祢益君 どうも条約局長からそう言われると、なかなか突つ込みにくくなるのですが、附表の注において、「これらの路線を許与するに当り、各締約国は、アメリカ合衆国が沖縄に対する行政、立法及び司法上の権力を行使している根拠たる千九百五十一年九月八日にサンフランシスコで署名された日本国との平和条約第三条の規定を了知するものである。」、こういうこと、この又意味が非常に私は問題に、或いは効果というものが今後問題になつて来やせんかと思うのですが、そういう注附きでとにかく附表の路線の中には入れちまつた。併しそれが国内航路、カボタージであるか、或いは国際航路であるかという点は、結局まあぼかしたような恰好になつておるのだと思うのですが、この問題もう少し伺いたいのですが、この附表の問題を頭に置いてもですね、併しやはりこの私が提起した第二条(c)項の解釈からは、じやどうなるのだという問題は残るのじやないかと思うのですね。そこで主権、主権という言葉に文字通りに捉われるというか、主権という言葉をまあダレス氏の声明による潜在主権ということを含むと取れば、日本側の領域として適用されるということになるし、又現状でなくて、いわゆる第三条の前段に言つているような信託統治にアメリカがしてしまうと、今度はアメリカの領域と見なければならない、やはりそういうことは残るのじやないですか。取りあえずの航空路線に入れる場合に、これが国際路線として東京沖縄をどう見るかという問題は、附表で一応技術上片付いたと仮にしても、併し基本問題というものはここに残つているので、やはり政府としてはそれをどう考えるかということを説明する必要があるのじやないですか。
  57. 下田武三

    政府委員下田武三君) 仰せのように第二条の(c)は極く形式的の解釈をとりますと、完全な主権でなくても、例えば宗主権、保護、保護領域ですら、それもこの協定に関しては領域だと解するのが形式的には普通の解釈だと思うのであります。そこで仰せのように、まさにぼかしたわけであります。両国とも沖縄へ行く航空路国際路線だというように見るのが両国にとつて都合がいいもので、そういうように附表で妥協をいたしましたわけですが、その注において、併し決して平和条約三条の規定を忘れておるのじやないぞと、これは両国もやはりそういう忘れて無視しておるのじやないぞということを念のため書いておくほうが都合がよろしいので、この注を、蛇足のようでございますが、決して平和条約第三条を忘れておるのじやない、了知しておるものであるということを、念のため注で書いたような次第でございます。
  58. 曾禰益

    曾祢益君 やはり私の根本的な質問に対してはお答えがないのだけれども、どうなんですか、その点は。それから若しですよ、若し沖縄というものを特殊な地域として取扱うというのならば、航空路線の観点においてやつて行くという以外に、やはり協定の形からいつても何らかこの(c)項に関連したものをはつきりと書いて行くのが本当なんじやないですか。
  59. 下田武三

    政府委員下田武三君) 交渉の間で、実は日本側としては、このダレス氏のいわゆる潜在主権というものに食いついて、できるだけ将来のために有利な形のものを作りたいと思つたわけなんですが、先方も又先方の立場がありますので、やつとこの程度で妥結せざるを得なかつたわけなのであります。併し目下交渉中のイギリス、オランダその他の一連のヨーロツパ諸国との協定におきましても、やはり沖縄の問題がございますので、今度はその管治権者になることを予想されておるアメリカとの協定でなくて、第三国でありますので、或いはこういう形式よりも、もう少し明確な規定を入れたいという見地から交渉しております、まあ御当人のアメリカとの間の妥協としましては、結局いろいろ話してみましたが、こういうところに落着くほかなかつた。そういう経過でございます。
  60. 曾禰益

    曾祢益君 まあ当局の御苦心あつたこともわかりますが、どうも形としては甚だおかしなもので、今後の諸外国との交渉にも累を及ぼす心配を私はまあ持たざるを得ないのです。それからやはり注が、附表の注というものが、第三条の規定を了知するものであるということも、実にこれはわかつたようなわからんようなことですが、結局まあ我々から見るならば、事実平和条約第三条にこういうことが書いてあることは知つておるけれども、これを早く直してもらいたい、そして潜在主権というあいまいなことで言われているけれども、それは極めて幽霊的なものであるから、主権の内容である行政、立法、司法の権力を早く日本に返してもらいたい、こういう主張を持つておる日本から見るならば、ただ平和条約第三条にこういうことがあるということをここで了知する……。事実だから了知してもいいじやないかというけれども、その後に、平和条約の調印後、効力発生相当の期間たつた今日再びこの点を確認するような形はやはり避けるのが望ましいのではないか、かように考えざるを得ない。これはまあ政治論だと言えばそうかも知れませんが……。  そこで外務省に伺いたいのは、この「了知する」ということは、何ら新たに義務を負うたり或いは権利を負うたりすることには全然ならないのだ。ただ前にできた協定というものの条項がこうであつたという事実を述べているのに過ぎない、こういうような解釈でおられるのかどうか、その点は如何ですか。
  61. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) お説の通り考えます。
  62. 曾禰益

    曾祢益君 条約局長、もう少し説明して下さい。
  63. 下田武三

    政府委員下田武三君) この注によりまして、すでに存在する平和条約第三条の規定の何物をも、それ以上の何物をも附加するものでないと考えます。
  64. 曾禰益

    曾祢益君 まあそういう解釈もあるかも知れないけれども、やはり常識的に考えれば、まあ確認したくないことを確認しちまつたという政治的な効果があるのじやないかということは我々としては考えるのです。  次にもう一点伺いたいのは、十一条ですが、「一方の締約国の指定航空企業協定業務を運営するに当つては、他方の締約国の指定航空企業が同一の路線の全部又は一部において提供する義務に不当な影響を及ぼさないように、当該指定航空企業の利益を考慮しなければならない。」、この条文について説明を承わりたいのですが、私のなぜそういう点を心配するかということを申上げれば、結局誰も知つておるように、アメリカはこの指定航空企業が事実上やつておつたわけなんですが、日本はこれから新たに出て行くほうで、それが両方が無から出発する場合じやないですから、この条文があるために、現実アメリカがそういうことをやるかどうかは別としても、この法文がありますために、日本の業者の進出或いは企業の進出というものに非常な制約がかかり得るという心配が起るのじやないですか、この点はどうなんですか。
  65. 下田武三

    政府委員下田武三君) 御尤もな質問と拝聴いたしましたが、第十一条はその前の第十条の規定と共に極く原則だけをきめた規定なのでございます。即ち第十条において両国の「公平且つ均等な機会」、機会の均等を規定いたしまして、その次の十一条に、つまり片方のほうに不当な影響を及ぼすようなむちやな運営をしちやいかんという、これも原則の規定を設けたわけであります。それで御心配になりますように、向うは今まで現に実績を持つて運営をしておる、日本は新参者として入つて行くのだ、日本が新たに入つて行くために向うが影響を受けることはこれは明白な事実でありまするが、その影響が何も日本がフエアーな運営をして受けるのであつたら一向かまわないのであります。そこでこの十二条以下に輸送力の決定でございますとか或いは十三条の運賃の決定法とかいう細かい規定がございますが、そういうような輸送力も、乗客の見込がないのに無理やりに週に何回というふうに殖やしてみてもいかん、それから運賃もこれもいろいろ詳細な規定がありまして、不当な運賃はしちやいかん、そういう細かい規定はあるのでありまするが、あとに述べるような具体的な細かい規定に違反するような方法で不当な影響を受けてはいかんという点を、原則だけを十二条で言つておるわけなんであります。その点は我がほうが新参者だから非常に不利をこうむるのじやないかというような御懸念を生ずるのは誠に御尤もでありまするが、その点は決して当事国間には誤解はございません。従いまして十一条は第十条と併せてお読み下さいまして、極く原則だけを謳つた規定、そういうように御解釈願いたいのであります。
  66. 曾禰益

    曾祢益君 もう一つ先ほど杉原委員がお聞きになつて、お答えは政府からあつたのですが、この協定ができると、そういたしまするとアメリカとの関係においてはいわゆる片務的な平和条約規定から逃れられて、そうして内容の優利か不利かというようなことは別として、双務的なものに代り得る。これはまあ明白だと思うのですが、併し平和条約の他の条項の関係からいわゆる最恵国待遇というような問題が出て来て、結局ほかの関係国との間にもやつぱり協定ができないと、事実こういう協定にすり代ることができないというような技術的な心配はないのですか、これは主として平和条約関係だと思うのですが。
  67. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約の十二条に、御指摘のように通商航海条約に関する規定がございまして、通商航海条約の締結までは相互的に最恵国待遇又は内国民待遇を与えるという一般的な規定がございまするが、この航空協定待遇の問題となります点は、飛行機に乗る旅客飛行機で運ぶ貨物、郵便物、或いは飛行機自体に積込んでおる油でありますとか、部分品でありますとか、そういうものの検査或いは関税その他の課金、そういう問題が最恵国待遇、内国民待遇の問題になるわけでありますが、その点、そういう問題になり得る点はすべてこの協定に拾い上げまして、これ又ひとしく最恵国待遇規定しておるわけであります。従いましてこういう協定関係のある特殊の事項につきましては平和条約第十二条との関係におきましては、つまり一般法と特別法の関係に立ちまするので、この特別法が優先して、先ほど申上げました事項につきましてはこの協定規定される、そういうように考えております。
  68. 曾禰益

    曾祢益君 合理的にそうだと思うのですが、今のところアメリカ側が問題ですが、ほかの国と同様な協定を作るような場合に、やはり全部の国が協定を作るまでは現状維持だ何かというような議論が出て来る余地は合理的に考えたらありませんか、大丈夫ですか。
  69. 下田武三

    政府委員下田武三君) その点は大丈夫だと信じております。
  70. 高良とみ

    高良とみ君 これはアメリカ日本との初めてできる不平等航空基地の特権に対する解消になるのでありますが、そのほかの英国、オランダ、或いはスカンジナビヤ三国等との協定は、これで、この次は今度は日本とすることになるのでしようか。今まではアメリカが使用していた空港へそれらの国が入つて来た、こういうふうに了承してよろしいのでございますか。そうしてほかの国々との協定もこれに準じて結ばれるのかどうか伺いたい。
  71. 下田武三

    政府委員下田武三君) アメリカに次ぎまして目下イギリス、オランダ、デンマーク、スウエーデン、ノルウエー、ベルギー、フランス等の一連の国、カナダもございますが、日本関係の深くなりそうな国との交渉を始めておりまして、イギリス、オランダはもう近々できそうな状態にまで達しておりまするが、そうしますとあたかもこの協定アメリカ日本と約束しましたと同じようなことがそれぞれの国との間の協定規定されまして、そうして乗入れの点は、羽田の空港に向うは離着陸することになると思いまするが、先ほど航空局長がおつしやいました、これは日本自体が管理しておる一般の民間航空施設のほうを先方は利用する、その代り我がほうの飛行機向うの空港に参りまして、羽田で我がほうが与えると同じような待遇を我がほうの飛行機に与える、そういう関係になつて参ると思います。
  72. 高良とみ

    高良とみ君 そこの「領域」という、先ほどの二条の(c)の問題でありますが、現在の羽田の空港の状態におきましても、これはまあ私はそこに行つて特に感じましたことは、どこからどこまでがアメリカ軍の空港であるかわからないし、それからどこからどこが、ただ建物の中の一部分だけが日本の管理に入つて来たか、そして格納庫その他はアメリカ軍のものであるとしても、現在空港のフイールドの中にも両方の飛行機があり、或いは民間のものもあるという状態、それから建物の中にも売店等はドルでなければ通用しない領域であるということを抜きまして、今後この協定ができました場合は、今度は日本の円の通用する売店もできるか、或いは日本人の使用できるような場所が殖えて来るのか、その点少し詳しく伺いたいと思います。
  73. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) それは建物に表示してはございませんけれども、向うとの取極で、日本側に返還されたハンガーその他の部分と、向う側がまだ使つております部分とは実ははつきりしておるわけでございます。理念上又具体的な個々の物について実ははつきりしておるわけでございます。  なお、我々といたしましてはできるだけ多くの部分を返還して頂きたい、現実な必要がございますので、そういうことも外務省を通じて申出ておるわけでございます。なお、そのバーのお話がございましたが、バーも実は返してもらいたいということを申しておりますが、まだそこまで進んでおりません。  なお、国際ターミナルでない、ドメステイツクなターミナルのほうにはいわゆる日本人の円で行ける売店もあるわけでございます。
  74. 高良とみ

    高良とみ君 それから更にそういうふうにだんだんに航空条約が効果を発して参りました場合に、日本側が経営いたします航空会社は、日本人にとつて日本の円が通用する運賃で行くのか、そうして外国人におきましては、これは自然向うの国は向うの通貨で支払つて来るのかどうかということが一つ、それからその次は運賃の協定において各会社との協定があると思うのでありますが、その後しばしばガソリンの値上げ等によつて突如としてこれこれの会社が値上げをしたというような場合には、日本のガソリンの現状からしまして、これは当然お付合いとして上げて来るような規定があるのか、この二つを伺いたい。
  75. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今外国航空会社が来ておりますが、その運賃は日本人が払う場合も外国人が払う場合も、日本で切符を買う際は円で払つておるわけであります。従つてその中では日本で円として使うものを除いたものは、これはドルなりポンドなりで払つて行くことになるわけであります。向うへ行きますと、日本人御存じのように日本人向うの通貨で買わなければならないと、こういうことになる次第でございます。
  76. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つの問題でありますが、それは講和条約発効後から直ちにこれは行われた日本人の円払いであるか、それ前まではそうではなかつた、飛行機の賃金としての外貨申請というものが常に必要であつたのでありますか、どうですか。
  77. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その円払いになりました時期は、私今遺憾ながら正確の日附は覚えておりませんので、後ほど調べてお答え申上げたいと思います。
  78. 高良とみ

    高良とみ君 その次に税金の問題ですが、日本に乗入れておりまする諸会社、例えばパン・アメリカンとかサスとかに対して、日本のまあエイジエントというものは、一種の代理店であつて、日航にいたしましてもこれは代理店であつて、そして日本ではそういう会社へ支払うものに対して税金を払つておるのかおらないのかということ、如何でございましよう。つまり日本人が払いまするときに、日本へ税金を落して、飛行機に乗るのに対する手数料のほかに税金というものをかけておるか、かけないか。
  79. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 国内航空に関しましては通行税がかかつておるわけでありますが、日本人が乗りましても外国人が乗りましても、国際航空の切符を買います際にはそれに二〇%の通行税はかかつていないわけであります。
  80. 高良とみ

    高良とみ君 それは世界中各国そうでありますか。例えば私どもが香港なりスイスなりへ参りますときは、ここで切符を新しく買えばそこへ税金がかかる。ところが日本ではそういう国際航空路に乗るときに税金をとる法律がないかどうか、それは運輸関係でよく御存じだと思います。
  81. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) アメリカでも国内旅行に対しましては通行税、たしか十五%だつたと思いますが、かかつておりますが、国際航空のときにはかかつていない、こういうふうに承知しております。他の国におきましても大体そういうことだろうと心得ております。運賃に関しましては、これは俗にIATAと申しておりますが、インタナシヨナル・エア・トランスポート・アソシエートですか、何かそういういわゆる航空業者の組合といいますか、国際的な機関がございまして、国際航空をやるところは大体それに入るという建前になつておりまして、太平洋の運賃ですと六百五十ドル、大西洋の甲地ですと二百七十ドルとかいうふうにもう協定運賃できまつておりますので、各国によつて別々にそれにプラスした税金をかけるということは運賃に響いて来ますので、実際問題としてそういうことはないものと心得ております。
  82. 高良とみ

    高良とみ君 なおよくその点お調べ願いたいと思うのです。海外とのこれから航空競争は非常に激しいときでありまするので又国際航空に馴れない私ども日本人としましては、とかく会社状態がどういうことであつて日本航空がその中に割込んで行くときにこちらが税がかかつて、こちらはかからないかというようなことなども十分了承しておきたい。  それから先ほど申しましたガソリンの共通値上というようなものをIATAが上げたかも知れない。そういうものに対して日本の業者は当然入るのでありますか。それから又その協定に入る何かむずかしい条件があるかどうか、そんなことをお調べでしようか。
  83. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) IATAには国際航空を堂々とやる限りは必ず入るべきものだと考えております。日本国際航空会社が、国際航空をやる会社ができましたならば、IATAに入ることを政府としては勧告いたしたいと思います。加入するにつきましてはそう困難はなく加入できるものと心得ております。なお、その運賃の点に関しましては、そこで大体協定運賃になりますので、税金がかかる、かからんということはございませんので、大体国際航空に関しましては税金はないものと心得ております。
  84. 高良とみ

    高良とみ君 外務省にお伺いしたいのは、先ほどの曾祢委員からお話のあつた一番おしまいの附則、沖縄に関する注をどうして取ることができなかつたかということであります。この理由は先ほどから縷々曾祢委員からお話がありましたが、もうすでにサンフランシスコ平和条約でわかつていることであつて、又国民としては非常に悲しんでおることでありますが、これを附表の三程度にとどめておかれて、それに注を加えないでは先方が了承しなかつたのであるかということを伺いたい。
  85. 下田武三

    政府委員下田武三君) 御質問の点は実はこれはアメリカ側から見ますと非常に大きな譲歩だと先方は考えておるわけなんです。つまり香港は租借地でございますが、これはイギリスの領地としまして何人も疑わないわけなんです。ですからあれはもう行政上も立法上も司法上もアメリカが権原を持つておる地域であつて、あれはおれのほうの領土だ、従つて日本民間航空があそこで業務を行うことはいかんということを言おうと思えば言う法律上の地位にアメリカは常識的に見てあつたわけなんです。それを日本側はダレス氏でも潜在主権があることを認めておられるではないかと言いまして、日本民間航空沖縄で業務をする権原を獲得したわけなんであります。それを認めましたが、併しそれによつて平和条約三条を無視したとアメリカがとられちややはり困るというので、念のために了知してくれ……、でございますからこの注は平和条約規定を又わざわざ確認したという点では御不満かと思いますが、併しアメリカから譲歩を得ました以上は、常識的に見て止むを得なかつた注だと、そういうふうに考えております。
  86. 高良とみ

    高良とみ君 従つてこのビルマ、カラチルートなどは、当然沖縄へ寄つて行くというふうに考えておられるのだと思いますが、それはウエーキ並みにそこから乗客を取らないというふうに考えておられるのか、或いは沖縄の市民がそこからやはり民間航空に乗降できるという条件になつておるか、つまりウエーキ沖縄との差がおありになると思いますが、それを伺いたいと思います。
  87. 下田武三

    政府委員下田武三君) これは実は日本側が勝手にきめられない問題なんでございますが、イギリスとの間の交渉におきましても、アメリカ日本にあそこで民間航空業務を許す権利を与えた、イギリスのほうには与えんということは、アメリカとしてはやはり言えんだろうと思うのですが、日英民間航空協定にもやはり沖縄ルートに入つて来ておりまするが、その点につきましては実はアメリカ側とも相談いたしまして、アメリカ側の納得を得た上で、アメリカの関知しない日英間の協定ではありまするが、やはり沖縄のことに触れております。
  88. 高良とみ

    高良とみ君 まだちよつとわからない。その触れておるというのは、やはり日英間の航空協定においてウエーキにとまりたいと英国側は言うと了承して、それからオランダとかデンマークとかベルギーその他の国もそういう要求を持ち、又将来インド、ビルマなんかもそれを利用したいというふうな場合に、それが可能なものなんでしようか。それとも日本だけに与えられておるものなんでしようか。それからもう一つ伺いたいのは、ウエーキにはほかの国の、オーストラリアの飛行機はとまつておるのでしようか、どうですか。
  89. 下田武三

    政府委員下田武三君) イギリス初めヨーロツパ諸国との協定には路線東京ロンドン。或いは東京、アムステルダム。東京、パリということになつてウエーキちよつと範囲外になつておりますが、濠洲など将来やりました場合には問題になると思います。ただウエーキアメリカのまあ軍事基地でございますので、あそこで給油をするとか修繕をするとかいうテクニカル・ランデイングは認めるでございましようけれども、あそこで新たにお客を積むとか荷物を積むとかいう営業は恐らく日本の国のみならず、如何なる国でもアメリカは認めないと思います。沖縄はやはりアメリカの軍事基地に只今つておりますので、アメリカ日本飛行機があそこでお客を積む、貨物を積むということは許さんという態度もとれたかと思いますが、この協定では日本民間航空お客を積む、荷物を積むということを許しておるわけであります。
  90. 杉原荒太

    杉原荒太君 先ほど曾祢委員の質問に対して航空局長からのお答えの中に、今後民間国際航空を行う或る会社に対して政府出資考え予算折衝中ということがありましたが、それは大体どれくらい……数字はなくても比率、つまり民間出資に対して政府出資が大体どれくらいの割合のことを考えておられるか、計画は……。その辺のところをお伺いしたい。
  91. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大体半数以上には政府の持分をしないという考え方でやつております。なおこの政府出資の問題は、予算を運輸省として要求しておるわけでございますが、これについてはまだ何らの来年度予算の査定がないのであります。
  92. 杉原荒太

    杉原荒太君 この協定を見て、この協定規定するもので実際にこの航空路日本がやる場合の具体的なことを頭に考え、それを比較対照して見てみると議論もなお起るのですが、この協定によつて、例えばその一つの例を言いますと、沖縄なら沖縄、或いはウエーキならウエーキ、個々の具体的なそこにある飛行場を使用する権利がこの協定自体によつて発生するかどうか、或いはそれがためには別個の当事者間の協定を待つて初めてその権利が発生するのか。
  93. 下田武三

    政府委員下田武三君) その問題は協定の第六条に規定してございます。即ち第六条の(a)では「各締約国は、その管理の下にある公共用の空港及びその他の施設の使用については、他方の締約国の指定航空企業に公正且つ合理的な料金を課し、又は課することを許すことができる。」、つまり両国とも相手方の空港に着陸して、その施設を利用して、而も料金については差別待遇を受けないという規定がございます。
  94. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の質問しておるのは少しポイントが違う。もう少し根本的な点なんです。これはただ六条の(a)項は課金問題のことを規定しておるわけですが、そうじやなくして、そこに乗入れる権利それ自体がこの協定によつて発生するかどうか、つまり向うがこれを拒否することができない義務がそこに発生するかどうか。
  95. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定の第一条で、シカゴで署名されました国際民間航空条約の原則を遵守するということを双方締約国が同意しておるのでございまするが、このシカゴの民間航空条約の第十五条に「すべての他の締約国の航空機に対しても同様に均等の条件の下に公開しなければならない。」という空港公開の原則がございまして、その第十五条の原則が第一条によりまして遵守するという約束で導入されて来ておるわけなんであります。
  96. 杉原荒太

    杉原荒太君 ウエーキのごときはああいう小さな飛行場で、収容能力という点も非常に限られておるわけで、均等条件といつても、先ほどの日本側が週に一回といういわゆる本年度計画だというお話だつたのですが、週一回あそこを使用するということについては大体の予備的な話はできておるのでございますか。
  97. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これはこの協定によりましてこちらから申請を出しますれば、当然に向うが許可するものと思います。そういうことは当然できることと考えまして、折衝をまだ開始いたしておりません。併し間違いなくできることと考えております。
  98. 杉原荒太

    杉原荒太君 平和条約の中の航空の条項によつて外国側が認められておつた特権、待遇、それをすべてひつくるめたもの、それと今度この協定によつて認められるそれらのものとの間に差別がありますか。
  99. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約ですでに認めておりました特権、待遇と、今度の協定アメリカ側に認めます特権、待遇とは実質的には差はございません。ただ今まで一方的なものであつたのが両方とも……それだけの違いでございます。
  100. 杉原荒太

    杉原荒太君 アメリカ以外の国とも航空協定を結ぶべくすでに話合いを始めておられる国もあるようですが、殊にヨーロツパのほうなどには新聞で見ますというと、特にその航空協定締結のために人を派遣したというようなことが報道されておるのですが、これはこちら側からわざわざ行つてやるというのは、こつち側に非常にこれを急ぐ事情があるかどうか。
  101. 下田武三

    政府委員下田武三君) ヨーロツパ日本のほうから航空協定の締結交渉の人員を派遣いたしましたのは、これは主としてオランダでございましたが、オランダから熱心な申入れがありまして、是非ヘーグで協定を締結してくれ、交渉してくれという申入れがありました。そのほかにスカンジナビヤ諸国でありますとか、フランスでありますとか、フランスは丁度第一回のエールフランスの乗入れ等もありまして、この際パリに来てもらいたいという申入れもありました。それからスカンジナビヤ諸国は、日本には公使一人の国もございますし、何分東京で交渉するには向うにスタツフが揃つていない。従つてストツクホルムで結城公使以下の日本のスタツフ以外に東京から行つた者が参加して頂いてスウエーデン、デンマーク、ノルウエーの三国で交渉してもらうなら非常に都合がいいのだというような申入れがございまして、大体ヨーロツパ各国、近いところでございますので、お隣りからお隣りへと歩いて交渉しますのに、最も時間的に見ましても簡便でございますので、主として先方の都合によりまして我がほうはこの要請に応じて派遣したと、そういう事情になつております。
  102. 杉原荒太

    杉原荒太君 そのヨーロツパのほうとの協定締結についての我がほうとしての方針協定の内容についての方針というものは、ここに今度アメリカとの間にきめられたものと全然同様のものを考えておられるのですか。勿論この航空路なんというのは違うのは当り前のことだけれども、そのほかのいろいろなことは。
  103. 下田武三

    政府委員下田武三君) 世界の各国が結んでおります航空協定の大体型が二つあるようでございますが、アメリカ型とヨーロツパ型と。そこで実はアメリカの今まで各国と結んでおりました航空協定とイギリス、フランス等がヨーロツパ諸国と結んでおります協定と多少違うのでございます。そこでヨーロツパに交渉員を派遣するに当りまして、今回御審議にあずかつております協定とは多少違いまする、主としてヨーロツパ型の協定案の典型を我がほうの見地から検討いたしました、一つ航空協定の典型案を作りまして、各国ともこの典型で一つ交渉しろという訓令を与えまして、今ヨーロツパ各国で交渉さしております。従いまして今回のアメリカとの協定とは多少型が違うことになるかも知れませんが、今後できます欧洲各国との協定は大体同じタイプの協定が揃うことになると存じます。
  104. 杉原荒太

    杉原荒太君 その両方の型の余り詳しいことを聞く意思はないのですけれども、その広い意味待遇、それについて厚薄の差別があるというようなことはないですか。
  105. 下田武三

    政府委員下田武三君) 実質においては殆んど変りございません。規定の事項の内容につきましても、ただ違うのは条文の配列ですとか、形式的な点でございまして、実質は殆んど変りございません。
  106. 杉原荒太

    杉原荒太君 これは少し細かいことになるようだけれども、民間航空となつておるのですが、シビル、これで差支えないか……。
  107. 下田武三

    政府委員下田武三君) この点につきましては、平和条約のときに国際民間航空条約へ加入する義務を平和条約で負わされておりましたが、その平和条約ですでにシビルを民間航空条約と訳しておりますので、その例に倣つて今回も民間という字を使つたような次第でございます。
  108. 杉原荒太

    杉原荒太君 この場合は恐らく妥当するかも知れんけれども、イギリスの場合だとか或いは特殊の、つまり実質的には政府がやつておる間柄においても、同じシビルと言つても、向うとしては一向差支えないかも知れないが、日本語でシビルを民間というと実体に合わんと思うのですが、この訳語それ自体がちよつと……平和条約で使つておるからというより、もう少し考えなければならん点があるようですが、外務省条約例だつて必ずしも民間とばかりはなつていないように思う。
  109. 下田武三

    政府委員下田武三君) まあシビルという言葉は、ミリタリーとかいう言葉に対抗する言葉として、やはり今までの例でも民間と訳した例が多いように承知しておりますのですが。
  110. 杉原荒太

    杉原荒太君 余り伺うつもりはないが、そのことを少しかねてから疑問を持つていたのです。
  111. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 ちよつと二、三伺いたいのですけれども、さつき航空局長のほうからお話のありました例の国際航空路線は差当り一社になるというお話なんですけれども、これは航空審議会がそういう決定方針をしたのであつて、それから又運輸審議会というやつはまだその決定をしていないのですか。それともそれも決定したのでしようか。
  112. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは一応航空審議会と申しますのは、いわゆる航空に関する重要事項を調査審議するという一種の諮問機関でございまして、これに対しまして我が国民間航空の再建方策如何ということで諮問をいたしたわけであります。その答申として先ほど御披露申上げたような内容の答申が出て来た。ところがこの具体策にA、B、Cとあります。会社をどれに免許するかということにつきましては、或いはバスの免許とか或いは地方鉄道、軌道の免許というものをやりますために、諮問機関といたしまして運輸審議会というものがあるわけでございますが、まだ運輸審議会には諮問いたしておりません。遠からず諮問することになると思います。
  113. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 そうするとその航空審議会というのは何をもとにしてできておるのですか、よりどころは何かあるのですか。
  114. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 運輸省設置法に書いてあるわけでございます。
  115. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 それじや今航空審議会のメンバーというのは何人おられて、誰であるということを簡単に御説明が願えればお聞きいたしたいと思います。
  116. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 定員は三十名でございまして、実員二十九名でございます。これは学識経験者と関係各省の職員と、こういうことになつておりまして、全部名前を二十九人挙げるのは、覚えておりますが、申上げますのも煩雑かと思いますので……。委員長は郷古潔さんがなつております。
  117. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 次に伺つておきたいのですが、今アメリカはパン・アメリカンとノース・ウエストが入つて来ておるわけですけれども、今度この協定が成立したあとで又TWA等いろいろ入つて来る話があるのですが、新らしい航空会社が乗入れをする場合においてはどういう手続を経て乗入れができるのか、その点はどういうことになるんでしようか。
  118. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今TWAが御存じのように東京まで乗入れをしたい、こう言つております。これは御存じのように向うの裏側を廻りましてボンベイまで来ておるわけであります。これを東京まで乗入れしたい、こういう希望を持つておるわけであります。ところがアメリカ国内手続といたしまして、アメリカ航空委員会で許可するかしないかということをきめるわけでございます。アメリカのほうできめて参りますと、TWAを仮に東京まで路線を延長することを許すという許可をもらいますと、その許可のあとに今度は日本政府に対してTWAのボンベイから東京までの乗入れを許可してくれという許可申請書を出して来るわけであります。で、その申請書を検討いたしまして、航空法に基きまして許可するということになる順序でございます。
  119. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 現在までパン・アメリカンやノース・ウエストが一定の一週に何回かきめて入つて来ておるわけですが、その回数を殖やすというようなときにはどういう手続をとつて殖やすことになるんでしようか。
  120. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この問題は具体的にはまだそうなつておりませんが、大体回数を殖やすというときには、回数を殖やすということを向うが申請して来るわけでありまして、回数につきましては各国の慣習上そうやかましく言わないで許しておるという実情だと聞いておりますので、その点は私どもまだ十分調査いたしておりませんが、各国のやり方並びに日本の将来に対してどういう影響を及ぼすとかいうようなことを考えて十分検討いたしまして、具体的事件が起りましたら処理いたしたいと思います。
  121. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 そうするとこの協定がきめられた現在においては、現在パン・アメリカンならパン・アメリカンが運航しておるその度数、機数等も現状において認めるということになるわけですか。
  122. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大体そういうことになると思います。
  123. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 それから附表の前のほうの2とあとのほうの1と、同じこつちから行くのとあつちから行くのでしようけれども、書き方が違うように思うのですが、一つその説明をして頂きたいと思います。特に「千島列島における」という言葉をアメリカ側から来る場合には入つておるわけですね。日本側から向うに行く場合にはそういう言葉を使つていないわけですけれども、これは事実上どういう関係でこういうふうに表現されるのか。
  124. 下田武三

    政府委員下田武三君) 御指摘の点は違つておりまするが、先方はノース・ウエストで、すでにどこに着陸するかという具体的のルートを経験上持つておるわけでありますが、我がほうとしてはまだこれからきめる問題なのでありまして、まだその段階に至らなかつたためにこの相違が出て来たと思います。
  125. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 国連の国際民間航空機関にも加盟の申請をしておるわけですが、その加盟が許される以前においてこの国際航空路線というものはやり得るかどうか、この点ちよつと説明をして頂きたい。
  126. 下田武三

    政府委員下田武三君) 御承知のように国際民間航空条約に加入の申請はいたしておりますが、まだ申請が認められたわけでございませんので、日本はこの国際民間航空条約の当事国ではないわけでございます。併しこの協定の第一条におきまして、両締約国ともこの国際民間航空条約にある原則は遵守するということを約束しておりますので、その限りにおきまして、日本に対してまだ未発効の万国条約規定がこの協定の管を通じまして適用になつて来る、さような関係にあると思います。
  127. 杉原荒太

    杉原荒太君 日本側で今計画しておる、本年度内にでも実現しよう、実施に移そうというそのサンフランシスコまでの航空の場合、パイロツトを日本人に予定しておるのですか。
  128. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは御存じのようにまだそこまで参りません。現在日本航空が完全な自主権を持つて日本の空を飛べる状態になつておりますけれども、飛行機日本航空が自分の飛行機として買つて来たわけでございますが、パイロツトはまだ向うのを雇つておるという状態であります。この問題は、給料が高うございますし、又国民感情から申しましても、一日も早くこの状態を脱却したいということで、来年度はでき得べくんばいわゆる既往のパイロツトであつた航空要員を再訓練して、早く我が国の定期飛行、全天候飛行、盲目飛行のできるような状態にしたいと考えております。
  129. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうすると今度の協定の第七条の末段によつてウエーキ以西についてはそのパイロツトの持つておる技能証明書だとか免状だとかをアメリカ側で拒否する権利はここで留保されておるわけですね。
  130. 下田武三

    政府委員下田武三君) 日本航空会社が雇いましたアメリカのパイロツトでありましても、アメリカ人であつたからといつて何らの有利な点はなくて、やはりアメリカ側で認める技能証明書を持たなくてはいかんという、そういう関係になつて来ると思います。
  131. 杉原荒太

    杉原荒太君 いや、つまりこの第七条の末段が発動し得る可能性としてはあるわけですね。
  132. 下田武三

    政府委員下田武三君) さように考えます。
  133. 杉原荒太

    杉原荒太君 実際はこれがまあ発動するためには、アメリカ以外の国の与えた、例えば日本の国の与えた技能証明書とか免状の場合には、今実際においてこういう証明書乃至免状はどこがアメリカのパイロツトに与えておるのです。
  134. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在来て日本の空を飛んでおりますパイロツトに対しましては、航空局において免状を与えております。だから彼らはアメリカの免状と日本の免状と二重に持つておるわけでございます。
  135. 杉原荒太

    杉原荒太君 先ほどの大隈さんが質問したのに対して、ここにまあ千島……経由地を、「中間地点を経て」ということが一つの要件になつておると思うのですが、これは実際に今千島の中間地点をアメリカ側では利用しておるか、或いは利用し得る状態のところがあるのですか。
  136. 下田武三

    政府委員下田武三君) 現在のところ実際に千島に着陸しておらないのであります。
  137. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうするとこの一の項目は、この条約の解釈問題としては生きて来ないことになるね。これは働き得ないことになる。
  138. 下田武三

    政府委員下田武三君) この附表のおしまいに、これらの路線にいろいろな地点が掲げておりますが、「指定航空企業の選択により省略することができる。」と書いてございますので、そこで必ずしも全部に着陸しなくてもよろしいと……。
  139. 曾禰益

    曾祢益君 先ほど大分伺つたんですが、もう一点明らかにしておきたいのは、やはりこの附表なんですが、結局この沖縄が、こう一応これを素直に読めばですね、日本から沖縄に、沖縄から東京へというのは、まあ普通国際航路だから路線に載せたんだ。こういうふうにとられても仕方のないことになつておるのですが、まあその場合日本として、外務省としては、こう書いてあつても、やはり日本から沖縄へというのははつきりした国際航路ではない。同時にそうかといつて沖縄日本航路はカボタージとしての完全な主張はできなかつた、こういう御主張のように思うのですが、その点はどうかということ。で、今度は逆に沖縄が完全に日本の主権下にあるという観点に立つて考えた場合に、いや、沖縄からアメリカに行くというような航路がここに若し書いてあつたとすれば、アメリカとしてはやはり沖縄は自分の事実上の領域なんだから、沖縄からアメリカに行く航路を書かれたのでは、それはおれの国内航路の侵害だから書けない。仮にそういう航路を書いた場合には、いや、そうは書いておいても、その注によつて、実質的の領土権は持つておるのだということを、この注のようなものに是非入れてくれというようなアメリカの要求ならば、これは話がわかる。そうではなくて、むしろ被害を受けるといつてはおかしいけれども、日本沖縄間というものを国際航路の事実上の扱いにしておいて、その意味では一方的に困つたほうは日本だけなんだ、そういう意味で、カボタージ扱いにしたんではないかという責を問われなければならないのは、日本ではなくアメリカだ、この航路によると……。だからむしろ注を書くならば、いや、こう書いてあるけれども、平和条約第三条においては日本は主権は捨ててございません、こういう注を日本から入れるというのならば、これは筋が通るわけなんだけれども、全然それは逆になつておるんじやないですか。さつきどなたかに対する、高良委員に対する返答か何かにありましたが、ほかの国との航空協定関係においても、沖縄の問題はこの協定関係上別に差支えないというようなお話があつた。アメリカとして見ればですね、いわゆる軍事基地の沖縄に入れたくない、仮にそういう意見があつたとすれば、それを国際航路のために開くと、現実的に、まあ事実上は開いておりまするが、協定沖縄への中継ぎといいますか、着陸を許したり或いは貨客を乗せることを許す、単なるテクニカル・ランデイングではなくて、これはアメリカ一つの軍事基地として考えておるから、それだけでも一つの譲歩かも知れない。それだけに沖縄のステイタスを譲る、譲り渡さないという問題は全然別だ。その意味ではこの書き方は、日本が完全に譲つておるのだ。アメリカはこんなことを書くまでもなくて、これを書いたからといつて一つアメリカのほうにプラスにもならんことを、又こつちから言うと、いやなことをもう一遍確認させられたようなことになる。むしろ日本が領土はいや主権は失つてはいないのだ、外国航路扱いにちよつとしてあるけれども……、そういうことを入れるべきではなかつたんですか、その点はどうですか。
  140. 下田武三

    政府委員下田武三君) 先ほど高良さんの御質問に対しまして、アメリカ側の都合だけの点を御説明申上げましたのでありますが、実は御承知のように占領中は、現在でもまだそうだと思いますが、戦後日本は被占領国であり、沖縄アメリカの軍事的な支配下にあるというので、実際上アメリカ日本沖縄間の航路を独占しておつたわけなんです。いわゆる向うがカボタージを行なつておつたわけなんです。そこへ以て行つて日本が独立いたしまして、いよいよ民間航空協定を結ぶということによつて、何とかして現実アメリカのカボタージであつた日本沖縄航路を、我がほうが乗込んで行かなければならないということを第一目的としたわけであります  そこで先ほど御説明いたしました妥協によつて日本沖縄間は双方とも国際民間航空航路とするということにいたしたのでありますが、併し先ほど申しましたアメリカ側の都合のほかに、日本側の都合といたしましては、将来若し沖縄が潜在主権の下ではなくて、顕在主権となつて日本の領土となつたときには、今度は日本自身がカボタージだということを主張したいわけであります。そこで将来日本自身がカボタージを主張するためには、なぜこれを日本沖縄を国際航路と認めたかという言訳としては、これは平和条約三条の規定があつたから止むを得ずそうしたのだという言いがかりにも将来使るえようにという実は魂胆があつて、この注もあながち日本側の利益にもならない、将来のことを考えますと、日本側もこの注を引用したほうが都合がいいという事態も起るかも知れないという魂胆がありまして実はこの注を入れることに賛成をしたわけであります。
  141. 曾禰益

    曾祢益君 まあそういうこともあつたかも知れないけれども、結局においてはどうもそういう効果は自分のほうだけが考えたあれで、客観的に見ると、アメリカが非常に不必要なことまで書いて、非常にどぎつい恰好になつているような感じがします。まあ質問は打切ります。
  142. 高良とみ

    高良とみ君 ちよつと席を外したのですが、さつきの大隈委員から御質問があつたという千島列島でありますが、これは現実においてアツツ、キスカの一部に国際航空民間飛行機が着陸しているのでありますね。そういう点からいつてこれが入つたのでありますか。それともこれはどこの国の領土と考えてこの千島列島としたのか、いわゆるカムチヤツカに続いている千島列島はソ連領と私どもは了承して、まあ止むを得ない状態なんですが、それを言うのか、或いはその口に出ている小さなアツツ、キスカのようなものを言うのか、その点御説明願いたい。
  143. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのようにセミヤにとまつておるわけであります。セミヤは千島ではないわけであります。将来この協定日本希望するのは、千島へとまることができるならばとまるという希望をこめて附したものと考えます。現実にはとまれないということだと思います。
  144. 高良とみ

    高良とみ君 そうするとこれはアメリカの言ういわゆるヤルタ協定によつてアメリカ側の上下両院がソ連領と了承しておらないものである。つまり批准なきヤルタ協定の領土であるから、こういうものを入れておけという要望があつたと了承してよろしいのか。日本が何をこの問題のあるものを、わざと今のセミヤでないほうの千島を入れたか、その御意思をちよつと伺いたい。
  145. 下田武三

    政府委員下田武三君) 必ずしも只今お話のような政治的な含みはないと存ずるのでありますが、今やつております日英間の航空協定路線を見ますと、間にバンコツクでありますとかカラチでありますとか、インドでありますとか、まるで日英と関係のない第三国の地点をやはりルートに挙げておるわけなのであります。然らば間の国はどうかと申しますと、ビルマ、インド、パキスタン等、航空協定を結べば問題ないわけでありますが、それがなくても、若しカラチ等に着陸したい場合には、その国の許可を得まして乗り入れることができるわけであります。現在千島は現実にソ連が支配しておるから、許可を申請しても許可しないでございましようが、或いは将来歯舞地区、色丹が日本に返るというようなこと、これは将来のことでありますから、その際に地理的に見ますと、北廻りの路線といたしましては千島が当然一つの中間地点として考えられるもので、将来に対する考慮から入つたというだけの問題だと思います。
  146. 高良とみ

    高良とみ君 まあ一応そういうふうな極めて非政治的な原案と了承いたします。
  147. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 二つほど聞きたいですが、今渡されました資料によりますと、日本に十一社入つて来ておりますね。このうちで経営形態ですが、純然たる民間会社、国営或いは公社というような形のもあるでしようけれども、それを一つお示し願いたい。
  148. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) アメリカの二つは純然たる民営でございます。それからカナデイアン・パシフイツクも民営であります。カナダの国内航空には政府出資のもございますが、カナデイアン・パシフイツクは民営でございます。それからSASが、先ほど申上げましたように三国の政府出資五〇%の航空会社一つのシステムを作つておる。BOACはパブリツク・コーポレーシヨンでございまして、一〇〇%政府出資でございます。KLMは、これは現在のところ一〇〇%になりました。それからエール・フランスは三〇%まで民間資本を入れるということで、今日現在では九七%政府出資でございます。それからQEA、オーストラリアのやつは、これはパーセンテージははつきり覚えておりませんが、相当政府出資が入つております。それからフイリピン・エア・ラインが四八・五%くらい政府出資だと記憶しております。それからタイが、これも政府出資がパーセンテージは記憶しておりませんが、入つておつたと思います。それからCATは、これは御承知のようにシエンノート将軍の作りました会社でありまして、これは国籍は二重になつておりますが、純然たる民間会社でございます。
  149. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これはまあ各国で、アメリカ等は除きまして、大部分政府自身がやつておる、若しくは非常に政府出資が多いと、こういうことになつておるのですが、これはやはり儲からない、併しながら国策でやらなければいけないというためにやつておるものが多いのですか。
  150. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 一律には言えないと思いますけれども、例えばエール・フランスがインドシナに来ておるというのは命令航路になつておるようであります。植民地を持つておる国はペイしないというので、命令航路的にやらせまして、その赤字を補填しておると、こういうことでございまして、はつきり自信を持つてお答え申上げかねるのでございますが、先ず国際交通にどうしても進出をしなければいかんと、特に植民地を持つておる国においては、植民地間の輸送飛行機によつてやらなければならんということで、或る程度儲けというようなものを無視してやらなければならない部面があるという意味においてもこういう形態をとつておるのではなかろうかと想像するわけでございます。
  151. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日本の場合ですが、まあ戦前には日本航空政府の国策会社になつておりましたが、戦後においてはこれはまあ民間会社として出発した。今後どの会社が行くかということは別として、日本としてこれは単に民間会社にやらしておいてそれでよいというふうに考えられるか、それともやはり他国におけると同じように政府がこれに関係をする関係の度合、いろいろありましようけれども、そうしたほうが発達をする……、どういうふうにお考えになつておりますか。
  152. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 経営形態につきましてはいろいろ考え方があると思うわけでございますが、初期段階におきまして、スタートして、直ちに利益が出るということは現在の状態では期待し得ないものと思うのでございます。御存じのように終戦後、年を経るに従いまして航空事業の利益率が多くなつてお客さんが多くなつて来て、あれほど赤字を続けておりましたBOACは、先般終りましたその事業年度におきましてもプラスになりまして、赤字の心配をしなくてもよろしい、こういう状態になつて来ておりますので、だんだんと航空旅客が多くなるということになりまして、将来の見通しといたしましてはペイするということも考えております。  そこで先ほども御説明申上げましたように、ところが初期設備資金を現在の状態で市中銀行なり開発銀行なり、或いは市中の一般民間の株の引受けということで行けない部分がまだあり得るのじやないか。その方面をカバーするという意味において、運輸省として大蔵省に予算の要求も出しております。政府出資の分を要求しておるわけであります。恐らくこの国際航空という面におきまして運賃も下る傾向でございますし、いわゆる潜在需要といいますか、それをたくさん取ることによりまして、運賃を下げることによりまして顕在化して、一つ企業としてペイするという方向に年々歳々傾向が強くなつて来ておると思いますので、日本民間でスタートする企業が遠からずペイする状態になるのではなかろうかと期待しておるわけであります。
  153. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いろいろな四つの会社から要求が出ておりますが、一社ということは、やはりこれはアメリカその他は別として、イギリスの場合その他のように、やはり国際航空は一社でやつて行くがいい、こういうお考え方から出発しているものですね。
  154. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大体激烈な競争に出て行くのには、やはり初期段階においては一社が望ましいのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  155. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうしますと国際航空日本の場合は大体まあ一社である。そうして莫大な資金も要するし、何らか利益を挙げるまでにも至らんであろう、そこで政府出資をすべきものである。それから利益が十分挙がらない、最初のうちは挙がらないということも考え、その場合には損失に対して政府が填補するという方式をとるわけですか。
  156. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その問題に関することは、非常に何といいますか、失礼な御答弁を申上げるようにとられても困るのでございますが、まだスタートしておりませんので、或いは赤字が出る、初年度は恐らく赤字が出ると思います。併しそれについて補助金の予算を要求するとかいうようなことはいたしておりません。経営をやつてみました状態一つその問題は考えて行きたいと、こう考えております。
  157. 杉原荒太

    杉原荒太君 もう一つだけ航空局長にお伺いしておきたいのですが、羽田飛行場日本の一番代表的な国際飛行場でありますが、よその国に比べても、日本の代表的な国際飛行場というのは誠に立派でない。恐ろしく比較して見て見劣りがする。而もそれがアメリカの軍でまだかなり実際上使われておる。飛行場そのもの及び附属施設などの場合におきまして、これはもう少し立派なものにする今計画があるかどうか。  もう一つ第二点は、アメリカはほかにもいろいろ軍専用の飛行場を持つておるようだ。軍の航空に関する限りほかの飛行場を増設なり或いは拡張なりして、そつちのほうに移るようなふうになつておるのか。つまり極く近い将来において羽田飛行場というのはもつと純粋な日本民間国際飛行場として立派にし得るような状態にあるのかその点一つ
  158. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 第一の点でございますが、御指摘の通り羽田ターミナル・ビルは極めて首相でございまして、羽田は先ほど申上げましたように客がたくさん来ておる状態で、極東においても相当重要な国際空港だと思うわけであります。そこで是非あれを日本の玄関といたしまして恥かしくないものにいたしたいということを実は念願いたしておるわけであります。ところが現在のターミナルビルデイングを改装いたしましても、もう拡張できないという状態であります。そこで今長いほうの滑走路をAラン・ウエーと称しております。短いほうのラン・ウエーをBラン・ウエーと称しておりますが、Aラン・ウエーとBラン・ウエーの交叉する所に、空港の入口のサイドに一つ立派なターミナル・ビイルデイングを建てたいということを計画して目下いろいろと検討しておるわけでございまして、或いは比較的早い機会にそれが実現するのではないかと考えておるわけであります。  第二の点でございますが、第二の点につきましては、我々といたしましてはあれが純粋のと言いますか、ちよつと誤弊がございますが、あれは軍が立退いて、本当に民間飛行場だけ、国際民間飛行場だけになるということを希望しておるわけでございます。米軍において他の地域、他の飛行場に移つて、あそこを空けて頂くことを希望しておるわけでございますけれども、移り先がないというわけで、現在のところあそこにおる、こういう状態でございます。
  159. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つだけ、その二十億を支出するとして、民間一社を設立せしむるという御計画はいつからでありますか。それから又それについての特別立法或いは予算面に出されるのはいつであるか。
  160. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 出資の面は来年度予算に要求をいたしておるわけであります。財政の都合で、果してそれが二十億の予算が認められるかどうかは今のところ申上げられません。仮にその予算が認められましたらば、それに併せまして立法的措置をとるつもりでございます。
  161. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) 御質問はございませんか。……それでは、これを以て航空協定に対する質問は終つたものといたします。明日は午後一時から開会して討論採決をいたします。  これを以て閉会といたします。    午後四時五十九分散会