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1953-03-05 第15回国会 参議院 外務・法務連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  委員氏名   外務委員    委員長     徳川 頼貞君    理事      伊達源一郎君    理事      荒木正三郎君    理事      大隈 信幸君            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            石黒 忠篤君            高良 とみ君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            有馬 英二君            大山 郁夫君            兼岩 傳一君   法務委員    委員長     中山 福藏君    理事      長谷山行毅君    理事      伊藤  修君    理事      鬼丸 義齊君            小野 義夫君            加藤 武徳君            加納 金助君            郡  祐一君            鈴木 安孝君            岡部  常君            宮城タマヨ君            金子 洋文君            齋  武雄君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            加藤シヅエ君            曾祢  益君   法務委員    委員長     中山 福藏君    理事            長谷山行毅君    委員            小野 義夫君            加藤 武徳君            郡  祐一君            岡部  常君            齋  武雄君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件国際情勢等に関する調査の件  (竹島領土権に関する件)   —————————————    〔徳川頼貞委員長席に着く〕
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今より連合委員会を開会いたします。  議題は竹島領土権に関する件であります。竹島に関しましては平和条約により日本領土であることは明白であると考えられておりますが、去る二月二十八日の毎日新聞によりますと、韓国国防部発表として、韓国竹島領有権を持つことを米国が認めたというのであります。かかる不当なる発表大邦丸事件が起つたばかりのときに行われたことは甚だ遺憾の次第であります。それで特に法務委員会とも連合の上で、この問題について質疑をしたいという次第であります。御質疑のあるかたは順次に御発言を願います。
  3. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 外務政務次官にお尋ねいたしますが、この竹島問題は平和会議のときに、もう日本領土であるということの確実なことが決定しておるはずであります。私はその当時西村条約局長に尋ねたのですが、もうそれは確実にきまつておるから問題はないのだということでありましたが、先月の二十八日の新聞には、韓国側韓国領土であるということを声明し、米国がそれを承認しておるということでありますが、この真相と、この問題についての外務省見解とを政務次官から御説明を願いたい。
  4. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 二月二十七日におきまして、韓国政府国防部竹島韓国領有につきまして米国確認を得た旨の声明発表したとの報道が伝えられておるのであります。併し外務省といたしましては、この問題につきましては何ら正式にいずれの方面からも通知も通告も受けておりません。お話のように、竹島につきましては古くから日本領有であるということにつきましては何人も疑いなかつたところであります。今日といえども、日本領有であるという確信を持つておるのであります。それにつきまして韓国政府声明なるものが発表されましたにつきまして、一応外務省としての見解、又従来韓国政府日本国政府との間にいろいろこの竹島帰属の問題につきまして交渉せられた面もありまするので、それらの経緯につきまして御説明申上げたいと存じます。  竹島の概況、或いは日本領有経緯と経営の大要につきましては、只今お配りいたしました「日本海竹島について」というパンフレツトによりまして御覧を頂きたいと思うのでありまするが、確かに日本領土であるということについては、何ら疑いを容れる余地がないのであります。竹島帰属が問題になりましたのは、昨年の一月十八日に、李承晩大統領海洋主権宣言行なつて以来のことであります。この李承晩大統領宣言は、韓国魚族保護の水域を確定するに当りまして、竹島をもその範囲にした、即ちいわゆる李承晩ラインの中に一方的に取込んでしまつたのであります。そこで我がほうといたしましては、この李承晩大統領海洋主権宣言に対しまして、一月の二十八日付を以ちまして韓国代表部宛口上書を以て抗議をしたのでありまするが、その際同時に竹島の問題につきましても、この宣言において、韓国竹島として知られている、或いは又リアンクール・ロツクスとして知られておるところの日本海小島領土権主張しておるように見えるが、日本国政府は当然日本領域である竹島に関する韓国のかような僣称又は要求を絶対に認めるものではない、こういうことを特に主張しておいたのであります。ところが韓国側はこの李承晩ラインに関する我がほうの抗議に対しまして、二月十二日付口上書を以て反駁して参つたのでありまして、その際同時に竹島についてもその懸隔を深くいたしております。それによりますと、韓国政府は数世紀間朝鮮で独島として知られているリアンクール・ロツクス領有に関し、ここで仔細に亘つて議論を行おうとは思わないが、一九四六年一月二十九日付のスキヤツピン第六百七十七号によりまして、スキヤツプが同島日本領有から明白に排除したこと、それから更に同島マツカーサー・ライン韓国寄りに置かれておること、即ちこれらの二つの事実は同島に対する韓国要求に同意し、これを確認するものであつて、何ら議論余地のないものであることを日本政府に想起せしめたい、こう言つておるのであります。我がほうといたしましては、当然これに対し直ちに反駁することができ、又その必要があつたのでありまするが、あたかも日韓会談の進行中であつたので、それがための適当な時期を待つことといたしておつたのであります。然るに四月末に至りまして日韓会談は停頓となり、一方講和条約の発効も間近に迫りましたので、それ以前に本件に関する我がほうの主張韓国側に表明して置くほうが適当と認められましたので、四月の二十五日付韓国代表部宛口上書を以ておおむね次の通りのことを申送つたのであります。  即ち竹島は従来より日本領であつて韓国側主張は次に述べる理由によつてこの事実に何らの変更を加えるものでない。  第一に竹島は現に島根穏地郡五箇村の一部である。  第二にスキヤツピン第六百七十七号は日本政府竹島に対して政治上、行政上の権限行使又は行使を企図することの停止を命じたにとどまつておりまして、竹島日本政府領域から排除したものではない。現にその覚書自体におきましても、この覚書による日本の定義が、ポツダム宣言の第八項に述べられておる諸小島最終的決定に関する連合国政策と解してはならない旨を断つておるのであります。  第三にマツカーサー・ライン規定した覚書自体においても、マツカーサー・ライン国家統治権国際的境界、又は漁業権最終的決定に関する連合国政策を表明するものではない旨が断られておるから、竹島マツカーサー・ライン韓国寄りに置かれておることを論拠とする韓国側主張根拠とならない。且つ又マツカーサー・ラインはすでに撤廃せられておるので、この種の論議は全く必要がない。  第四に日本国政府調査によれば、竹島が数世紀間独島として韓国領有にあつたという事実はない。  こういうことを主張いたしたのであります。この我がほうの主張に対しまして韓国側は、その後何ら正式の意思表示をして参つておらないのでありまして、爾来今日に至つた次第であります。然るに本年二月二十七日韓国政府国防部竹島韓国領有につきまして、米国確認を得た旨の声明発表したとの報道が伝えられたのであります。伝えられるところによりますると、右国防部発表は、独島の帰属について、韓国政府国連軍司令官との意見韓国領土の一部であるということの点について一致を見、ウエンライト米極東空軍司令官から、この旨正式通知が届けられ、同時に米空軍による爆撃演習が中断せられた、こういうような趣旨のものであつたようであります。  果して米国側がさようなことを韓国政府通知行なつたものかどうかということは明らかでありませんが、察するに何らかの方法によりまして、米軍爆撃演習中止措置知つた韓国側が、一方的にそれを歪曲して自己に有利な宣伝材料として使用したものではないかと考えられるのであります。この竹島は、日米行政協定に基いて合同委員会の議を経まして、海上演習場として昨年の七月二十六日の施設区域協定リストに掲げられたものでありまして、米軍においてこれを演習場リストから削除するということになれば、当然合同委員会の議を経なければならん性質のものであります。我がほうにおきまして爆撃演習中止されておるということは、これは承知いたしておりまするが、演習場リストから削除するということは、未だ合同委員会には上つておらないのであります。そこでこの際はつきりさしておかなければならない点は、竹島は本来日本領有に属するものであるからこそ、日米合同委員会の議を経て、初めて米軍の使用する海軍演習場リストに入れられたということであります。従つて韓国側の言うがごとく、韓国政府米極東軍により何らかの通知を得たのが仮に事実であつたといたしましても、それた爆撃演習中止に関するものであつて竹島帰属とは何らの関係がないものであると考えます。  以上一応本件に関する従来の沿革又交渉の経過、最近における新聞声明の内容、更にこれに対する我がほうの見解につきまして御説明申上げた次第であります。
  5. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 外務大臣只今見えられました。外務大臣はほどなく又予算のほうから請求がございまして、予算委員会のほうへ出席されるはずでありまするから、その間において外務大臣に御質疑のある方はどうかお願いいたします。
  6. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 只今経緯は、これは外務次官から詳しく承わつたのでありますが、外務大臣が見えましたから、外務大臣に質問をいたしたいと思います。この竹島問題で、韓国がああいう勝手な声明をしたのに対して、外務省はどういう措置をとつておられるか、外務大臣に伺いたいと思います。
  7. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今政務次官から御説明のように、竹島帰属というものは、我々は明白なことであつて疑いを挾む余地は殆んどないと思つております。従つていろいろ声明をしても、これは結局雲散霧消するものであろうと思いますので、徒らに言葉尻を掴えて議論をすることは、半分ぐらい向う権利があるような印象を与えても却つていかんとも思うので、何もする必要はないという考えでおります。
  8. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 一方がそういう声明を出しておるのに、何もせずに放つておいて、その声明が有効になるような心配はないのですか。
  9. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 何もしないのなら別でありますが、今までに公文書その他で日本の態度を明らかにしておるのであります。これ以上明らかにする方法はないのであります。従つて例えば正式に向うから申出て来るというような場合には、これは当然やらなければならんのでありますが、それでないいろいろのアドヴアルン的な声明に対して一々取合つていることは、却つておかしいのじやないかと今のところは思つておりますが、これが又何か烈しくなればやらなければならんでありましよう。今のところはその必要はないと考えております。
  10. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 平和条約締結のときに西村条約局長から、竹島問題は、はつきり日本領土ということにきまつておるから心配はないのだと言われた。その根拠は今政務次官説明せられたような程度ですか、法律的に、条約的にはつきりしたことがあるのかどうか伺いたい。
  11. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 平和条約は、日本権利権限その他を放棄すべき地域は定められております。それ以外の旧日本領土は、当然日本帰属すべきものである。一々列挙はいたしておりませんけれども、これが当然の解釈だと思います。
  12. 團伊能

    團伊能君 李承晩ラインは、韓国側の一方的な宣言でございまして、日本といたしては、これを認めていない状態はよく我々共承知いたしておりますけれども、李承晩ライン中側における漁業は、これに制限を加え、旦つ日本漁船がここに入ることを許さないということを声明いたしておりますし、現に拿捕せられました日本漁船について、韓国側の言い分といたしては、李承晩ラインの中に侵入したことによつて拿捕したというようなことを声明しておりまして、李承晩ラインというものは一方的宣言でございますが、そのうちにおきまして、韓国はすでに一つの行動を実施しておるのであります。そういたしまして、この島根県に属しておりました古い名で言うリアンクール・ロツクス竹島日本領有であり、これが李承晩ラインの中にあり、而も日本漁船の自由なる航行をも妨害するという行為が現実にありまするときは、これは日本主権のある領土に対して一つの制約を加えて来るのでありまして、日本領土権或いは主権の侵害であるということを考えられます。その点で只今外務大臣はただ一つ声明であるから、こういう場当り的の声明であるから、これをとり上げないと言われましたが、それも一理ありますけれども、この日本領土主権を制約するというような韓国政府行為となりますと、これは日本国といたして放置できない重大な問題ではないかと考えますが、その点におきまして外務大臣のお考えをもう一度承わりたいと思います。
  13. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 竹島に行く船が妨害されたということは聞いておりませんが、そういうことがあれば勿論それに対する措置をいたします。
  14. 團伊能

    團伊能君 なお、一つこういう事件が起りますと、我が国の周囲を取巻いておる島嶼の帰属につきまして、外務大臣が言われるように、日本領土から離れたところの領土区域は、明らかに残るところは日本領土として認められたわけでありますけれども、更に正確な日本領土範囲を国際的にレジスターするというようなことは、従来国際慣行としてありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  15. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の知る限りではそういうことはないと思いますが、ただつまり何と申しますか、畳で言えば、真中のほうは問題なくて、縁のほうになると問題が仮にあるといたします。そういう場合には、例えばフランスと日本との間に西沙島の領有というような議論もあります。どつちの領有であるか、或いは南極についてどつちの領有であるか、それは非常に端のほうであつて、そういう場合もありますが、一般に日本領土はこれこれであるということでレジスターするということはないと思います。又実際上はそこに行政権が及んでいるわけでありますから、問題はないわけであります。
  16. 團伊能

    團伊能君 然らばこの島の領有に関して国際的に最後的な判定をする場合に、いろいろな曲折がございましようか、若しもこれがどこかに提訴いたしまして明瞭に島の帰属を決定するというような何か方法がありますか。
  17. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは平和条約解釈という問題になれば、条約規定によつて或いは国際司法裁判所というようなことが考えられますが、これについては解釈ということではないと思います。もうそれにも当らない問題だと考えます。
  18. 團伊能

    團伊能君 然らば、若しも韓国政府が実力的にこの島に行く漁夫に対して危害を加えたり、その島の領有を実力的に主張するとか、或いはこの島を領有し、これを守つて日本人に行かしめないというような事実が起つたといたしましたときには、どういう解決をいたしますか。
  19. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは実際上の問題でありますから、能う限りの善処をいたすようにいたしたいと思います。例えば歯舞、色丹も、日本領土だと主張しておりますが、今これに武力を用いるとか、その他の力を用いるというところまでは考えておりませんが、これとそれとはまるで性質が違いますけれども、場合によつては、問題を平和的に解決するためには多少の時日を要することはあると思います。いきなり戦力武力で以て喧嘩をするというようなことにはすぐは行かないだろうと思いますが、方法いろいろあるだろうと思います。
  20. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 速記をとめて。    〔速記中止
  21. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 速記を始めて。  それでは続いて連合委員会を継続いたします。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 私遅れて来て、外務次官の御説明をずつと聞いて、なかつたので、或いはとんちんかんなことを伺うかも知れませんが、今の伊達委員、或いは團委員外務大臣質疑応答を伺つておりますると、政府のほうでは、平和条約によつて日本主権を放棄した地域というのは、これはきまつておる。そこには入つていないから、従つて竹島日本主権であると、そればかりではないでしよう。勿論その前にも日本領有した事実があるということを言つておられますが、最近の日本領土変更に関する一番大きな国際条約は、言うまでもなく平和条約です。この平和条約には、日本から主権を放棄する地域には入つておらない、だから日本領土だという主張一つある。いま一つは、行政協定です。これに関連する合同委員会の作りましたアメリカ軍演習区域の中に入つておる。従つて、これ又積極的に日本領土であることが証明される。この二点が積極的な法律的な論拠になつておるのではないかと思うのでありますが、この点については、これはあらかじめお断りしておくべきことだと思うけれども、この島が日本主権の下にあることについては一点の疑いも持つていないのですが、ただ、今の説明ぶりでいいのかどうかという法律論があるのじやないかと思う。殊に第二に挙げられたいわゆるアメリカ演習地として使用されておる、こういうような理由を挙げることは却つて論拠を弱めるのじやないか。例えば何らかの都合演習地から落してしまうと、逆に韓国側主張に応援するような論拠をこちらから与えたことになる危険がある。そういう論拠をお使いになることは不適当ではないか、これが第一点として伺いたい点です。  第二点としては平和条約解釈として成るほど竹島については、日本主権から離れる地域、或いは沖縄、小笠原等の特殊な主権、眠つている主権があると言われておる地域とは別でありましようが、併し一方から見るならば、独立する朝鮮という版図にこれが必らず入つていないということが今挙げられた論拠からは積極的な証明はない。それから第二には日本韓国との間の条約ができない間は、平和条約条項が少くとも韓国側を積極的に拘束するという理由は、韓国側はそういうものを認めないという主張は一応言えるかも知れない。そうなつて来ると、今までの御説明、それだけだつたと仮定するならば、それだけでは足りない。もつといわゆる独立する朝鮮側にないのだということと、日本平和条約から見て日本領土主権を放棄して、いない、この両方から証明して行くほうが更に論拠は強いのではないか、かように考えるのですが、根本はもともとこれは日韓条約ができておらないことから起つていることなんですが、その速かなる日韓条約締結に対して政府の施策が今まで遅れておる。いろいろな関係があるにしても、そこが結局根本的な欠陥だと思います。まあその政治論は別としても、今の平和条約解釈朝鮮独立問題との関連において、政府のもう少しはつきりした見解をお聞きしたい。
  23. 下田武三

    政府委員下田武三君) お答えいたします。先ほど外務大臣も言われましたが、平和条約との関係をもう少しはつきり申上げたいと思いますが、平和条約の第二条は朝鮮に関する領土規定しておりまするが、これがほかの条項ですと、澎湖諸島、千島列島新南群島西沙群島、あいまいな言葉を使つておりますが、朝鮮に関しては何が朝鮮かということをはつきり書いております。「済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮に対する……。」ですから朝鮮プロパーとその三つの島を限定的に挙げております点は、ますますこれは日本論拠を強める規定の仕方ではないかと思います。  もう一つ行政協定の点について御意見御尤もでありますが、行政協定の第二条に施設及び区域の使用を許す規定がございますが、この竹島演習場に指定いたしましたのは、この二条の区域に該当するわけでありますが、ここで日本国施設とか日本国区域とは書いてございませんが、日米間の条約区域をとり上げるなら、これは日本区域外にあり得ないわけでございますので、行政協定の第二条に基きまして合同委員会を通じて貸した区域ということは、これはもう明かに日本の土地である、領土であることを示す有力な法律的な根拠になると思います。それからなお向う都合区域から解除するということもある得るかも知れませんが、正式には再び若し削除するならば合同委員会アメリカ側から持出しまして、あの竹島演習場として使用する必要がなくなつたからということで、日米合同委員会に提起しまして、日米合意の上で施設リストから削除する、そういう措置をとることになると思います。そういう措置をとるということ、これは又竹島日本領有する島であるということを明確に法律的に根拠ずけることになると思います。御指摘の二点につきまして我がほうの立場は法律的には極めて明確であると存じます。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 どうも行政協定施設に関する御説明は、私は必ずしも非常に強い論拠でなくて、却つて運用される危険を依然として感じるのですが、平和条約の点は確かに一つ論拠だと思いますが、済州島とか、鬱陵島とか、巨文島、これを含むという規定の仕方だけでは、余り明確じやないように思うのですが、その点は大丈夫なのですか。つまりほかにもいろいろな小島があると思うのですね、実際問題として。これを地図か何かではつきり海域の地図でも作つて緯度や経度から計つて、島の帰属をきめるような取扱をしていない場合には、例示的な「島を含む」ということについては……、私は重ねて申上げますが、竹島領有に関する何らの疑を持つているわけじやない。だが法律的な説明ぶりがそれで完備しているのかどうか。この問題について伺つているわけなんです。今の程度だけでは必らずし論議余地のないほど明確だというふうには、この平和条約論拠を置いた議論だけでは、私はいけないのではないかという危惧の念を持つたから重ねて伺つているわけなんです。殊に、再びあの行政協定のほうに関連しますが、これは何ら韓国に対する主張すべき積極的な根拠になりません、これは……。その点を伺つている。
  25. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約の第二条の「含む」というところでありますが、これはそう言いませんと、朝鮮プロパーだけになるといけませんから、それで朝鮮プロパーだけではないのだと言つて、念のためにこの三つの、念のためと申しますか、はつきりこの三つの島をこれは公海の真中に点在しておる島でございますから、諸島とか群島とかいう概念にも含まれないぽつんとある島を三つつて、そうして朝鮮に含めた、そういうように解釈されるのであります。併しおおせのように幾多の条約の先例のように条約の附則に地図を付けてちやんと明確にするというやり方は、確に最も明確な規定の仕方だと思います。けれども、これは将来韓国との間に基本条約でもできましたときに、一つの非常に有効な方法だろうと存じます。併しながら平和条約では、ほかの領域規定の仕方と不均衡に韓国関係だけを詳細に規定する或いは地図を付けるというわけにはいかないので、全体との調和の見地から簡単ではございますが、私どもの見解によりますと、極めて明確な規定の仕方、韓国との領土関係についていたしておるように存じます。行政協定との関係につきましては、曾祢さんは、それは根拠に援用し得ないとおつしやるのでございますが、アメリカが若し竹島韓国領土だと見れば、韓国との間の取きめによつて韓国政府の同意を得て、施設を使用さしてもらうという立場をとるのでありますが、それをしないで日米行政協定規定従つて日米合同委員会にかけて貸してもらうという措置をとつたことは、日米間の問題ではありまするが、これ又極めて明白な事実だろうと思います。
  26. 團伊能

    團伊能君 曾祢君の御質問に関連してちよつと伺いたいと思います。私は曾祢君の行政協定関係論拠は、却つてこの領有に関する問題を侵すような形で弱くなると言われる御思想は全く意見一致いたしますので、若しもそういたしますと、先ほど韓国発表にありました、真偽は知りませんが、ウエンライトその他の通告というものも同じような価値を持つて来るような形になりはしないかと思います。それでもともと行政協定或いはこの今の軍司令官の発表は、領土その他の問題を解決すべき正確な基礎を作るものではなく、作戦上その他の便宜上から出ておる問題でございまして、これらの米国軍なるものが領土その他、外交的な適格性を必ずしも認めての上に、且つ専門的な知識の上に立つておるものではないと思いますので、これは私も曾祢君と同様に余り論拠にならないと思いますが、ここに一つ伺いたいことは、韓国が従来これは韓国領土でありと主張していたといたしますと、この講和条約日本の施政権が届かなくなる、切り離されて行く土地というものが、日本の国土を規定するということについてどういう関係になりますか。御承知の通りこれは日本の施政権の中にありましたのは無人の島嶼でございまして、考え方によつては拡張すればここに人は住んでおりませんのでそういう主張も一応成立つのじやないかと思いますが、そういう場合、もともと日本領土でないから日本領土から離れるという規定の中にないという主張をされた場合に、非常に問題が不明確になつて来るんじやないかと思います。その点を一つ伺いたいと思います。
  27. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 先ほど御説明申上げましたように、竹島島根県の穏地郡五箇村の一部でありまして、これは古くから日本領土であるということははつきりとしております。朝鮮総督府の管理区域にあつたわけではないのでありまして、島根県の穏地郡の五箇村の一部であつたわけであります。その点は至極明瞭じやないかと思います。
  28. 團伊能

    團伊能君 なお念のために伺いますが、朝鮮領土巨文島済州島、鬱陵島規定しておると言われますが、この竹島鬱陵島の南にある島嶼でございまして、これはこの済州島やほかの二つの島の規定は勿論、周辺の岩礁その他を含んでおるものだと思いますので、この竹島鬱陵島の附属の岩礁というような工合に解釈される虞れはありませんでしようかどうか。
  29. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 鬱陵島とこの竹島とは余りに距離が隔つておりますので、その附属の島という考え方は常識からいつても容認できない問題だと考えます。
  30. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 外務省からの資料によりますと、大正十五年にこの島が島根県の穏地郡の五筒村の行政区画に入つておるということですが、私の通産省によつて調べたところによりますれば、鉱業権の試掘権があるようであります。これは昭和二十一年に銀、銅、硫化鉄等について日高房一外一名の試掘権が登録になつておる。その試掘権が延長されて続いているというふうになつておるようでありまするが、これが今後侵害されるようなことになりますれば外務省としてどんなふうな措置をとられるか御所見を伺いたい。
  31. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 大正十五年に穏地郡の五箇村のうちとなつたのでありますが、それよりずつと以前、明治三十八年の二月二十二日に島根県告示第四十号を以て島根県の穏岐島嶼の所管に編入されておる。それ以前におきましてもいずれの国からもこの領有の問題について異議があつたことはないのであります。そういう意味からいたしまして、これは我が国の領域であるということは明々白々であると言わなければなりません。更に只今御指摘の鉱業権の試掘権の問題でありまするが、これが侵害された場合に如何なる方法をとるかということにつきましては、先ほど大臣が答弁されましたごとく、あらゆる方法を通じまして鉱業権の侵害の起らないように処置いたしたいと思います。
  32. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 そのほかになんかこの島についての権利が設定されたのがありませんですか。
  33. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その鉱業権のほかに特殊な権利と申しましては隠岐島の西郷町の中井養三郎という人がこの島の「あしか」の捕獲事業を経営いたしておりまして、従来は何人も殆どこの島に渡る者がなかつたのでありまするが、この捕獲が始められまして以来、毎年夏になりますと隠岐の島の「あしか」猟や或いは魚介類の採取のためにこの島へやつて参りまして仮小屋を設けて生活しておるというようなのもあるのであります。
  34. 平林太一

    平林太一君 今の問題ですが、韓国側領有だと称しておるものを強調し、裏付けているものに現在ウエンライト司令官があるが、いずれにしても米国政府考えてよろしいか。それからこういう了承を得たというのですが、先刻外務大臣説明、又今政府からのこれに対する答弁を伺つておる中にも。それならばやはりこの当然の措置として外務省米国政府に対して先ずその真偽を確かめるということを当然なさなくちやならない、その真偽を確かめて事実だということであれば、私はどういう根拠で以てそういう我が方の今まで外務省説明通り極めて明白な我が領土をそのようなことをするか。まさにこれはいわゆる盗取である、領土をかすめ取る、或いは横奪するということにこれは相成るわけであるが、その経過はどういうふうになつておるか、お答えを願いたい。
  35. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 韓国国防部発表によりますと、只今のお話のようにウエンライト司令官からこの旨の正式の通知があつたということを、こういうことを伝えておりますので、我が方といたしましては、非公式ではありましたが、昨日早速アメリカ大使館に参りまして、事実や否や、真偽を確かめたのであります。アメリカ大使館におきましても只今のところそういうことは承知しておらない、但し爆撃の演習を中止しているということは事実である。こういうような話がありました。更に一層事実を確かめるように依頼いたしているのであります。その調査の報告を待ちまして更にとるべき手段があればとろうと考えております。
  36. 平林太一

    平林太一君 只今外務次官から昨日そういうことを米大使館に交渉いたしたいということでありますが、甚だ行動が怠慢であるということをこの際強く述べたいと思います。すでに昨日大使館に行かれて交渉したというようなことは、我が方に対して何か弱味があり、或いは何かそういう韓国側の強い態度に対しまして非常に退嬰的であるということが、こういう問題は更に更に問題を複雑化するということになるのでありまして、今後これは過ぎたことはいたしかたがないのでありますが、外交の機微というものは間髪を入れずして処理しなければ、非常な迷惑をこうむり主客顛倒することが考えられるのでありますから、この点十分今後の問題に対して厳重に外務省に対しまして私はこの際戒告をいたしておきたいと思います。非常にこれは怠慢であり失態であるということを申述べたいと思います。それに対しまして何か御答弁ありますか。
  37. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 私昨日大使館に参つたということを先ほど申しましたが、これは事実が多少違つておりまして、ずつと以前に照会をいたしたのでありまするが、昨日大使館に参りましてそういう返事をもらつたわけであります。なお只今のお話の外交は間髪を入れず機敏に折衝すべきであるということは至極御尤もなお説でありまして、そういう方針で我々はやつておりまするが、ただこの問題につきましては、先ほど大臣が申されましたごとく、余りに明瞭過ぎる問題であつてこれを格別に取立てて論議するということは却つてこちらに弱味があるのじやないかというようにもとられる虞れがありましたので、わざと今日まで黙認し知らん顔をしておつたようなわけでありまして、決して怠慢でもなく、我々は考えるところがあつて別段抗議もせず声明もせず今日に至つたような次第でございます。
  38. 平林太一

    平林太一君 昨日でなくて遡つて遥かな時代にそういうことをいたしたということでありますから、私から申上げたことはそれで肯かれることでありましようが、十分申上げておきます。それでこの問題は何か外務大臣がことさらそういうことをいたすことは、当然のことであるので、却つて反抗がましくなるのだということでありますが、これは四囲の情勢で韓国側に対してはあるのです。併し米国側に対してはそういうことであつてはならない。韓国に対して事態がそういう極めて明瞭なことであるから戦争中なのでやつたのであるということでありますからいいのでありますが、併し米国に対しましては、米国自体が我が領土に対して韓国政府とそういうようなことをいたしたことは、ウエンライト司令官がそういう発表をいたしてあるのであるから、これは事実としてよろしいのでありますので、当然の処置を米国に対して厳重にこの際することは極めて必要だと思います。現に李承晩ラインに対しましても更にそういうことでなかつたということを、我々は米国日本に対する信というものを深く信じてさようなことがないと、こう善意に解釈いたしていたのでありますが、併し今回の問題のようなことが発生してみますと、やはり李承晩ラインの裏面に米国が何か暗中摸索しているのだということを事実の上にこれは立証するものであります。そうでありますから、今外務次官の言われる見解と私は違います。米国に対しましては今御言明になつたような態度でなくてこの際厳重な交渉をして、そうして若しそういうことをするならば事前に我が方に対しては外務省に対しましてそれぞれの処置なり手続なり折衝をして、どうしても軍事上必要であつて困るというならば、話はそのときは別であります。さようなことを必要であるというために、全然我が方に何らの話もなく、いわゆる朝鮮との間に世俗で申せば闇取引である、闇取引と申しましても自己のものではない、よそのものを闇取引するというので、甚だ許すべからざることであると思います。こういうことに対して私は非常な強硬な態度を以て米国政府に向つて外務省は臨むべきところの態度をこの際表明せられることは極めて大切だと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  39. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 御意見御尤もと存じます。でありまするのでアメリカ大使館側に事実の調査を依願いたしておりまして、その調査の結果によつてウエンライト司令官が実際にそういう正式通知韓国政府になすといたしますれば、我が方といたしましては厳重なる抗議をいたす考えであります。
  40. 平林太一

    平林太一君 大体そこで外務次官の御答弁で私も了承をいたしましたが、この際附帯して申上げておきたいことは、李承晩ラインに対しまする今あのような竹島という問題が出て来たのでありますが、これは重大である。要するにこういう問題も李承晩ラインというものが一応先方の優越感といいますか、そういうようなものがこのようなことを声明せしめるのでありますが、それですから李承晩ラインに対する米国韓国との関係に対する信義の確立というものは、この際極めてこれはあいまいになつております。それですべての問題は、米国日本の問題は米国と、日韓間の条約に対することは日韓条約でやる、かような問題につきましていわゆるこれはあいまいもこにいたしまして、そうして何か日韓条約のために大事なことだということは、決して私は日韓条約の相互の友好提携の上に、条約締結のいわゆる軌道に乗るべきものではないと思います。でありますから、この点一応申上げておきたいのでありますが、これは李承晩ラインに対します私の只今申上げましたことに対しまして、次官はどのような御見解を持つておられますか、これは私は非常に弱腰では困ると思うのでありますから、一応承りたいと思います。
  41. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 李承晩ラインに対しましては、外務省といたしましては絶対に容認ができんということは、再々申述べているところでありまして、又アメリカ側といたしましても、国連側といたしましても、李承晩ラインというものとクラーク・ラインというものは全然関係がないということをはつきり申しております。ただ韓国側では国防水域と李承晩ラインとを結び付けて、そうして韓国側に有利に事を導こうというような意図があるやに推察されまするが、国連軍として或いはアメリカとしてはさような考えは全然ないように承つております。
  42. 杉原荒太

    杉原荒太君 さつきから政務次官の言われることを聞いておりますと、竹島日本領有だということ、それについては私も疑問を持たないけれども、それを主張して行く立論の仕方が非常に薄弱ですよ。もう少しよく研究されないというと、これは今まで日本のどこそこの領域にあつたということなどじやなく、もつと本当に国際的に主張し得るような立論の仕方をもう少し研究されたほうがいいと思います。条約局長その辺のところまだもう少し私は精密に研究される必要があると思います。  それから念のために一つ聞いておきたいと思うのですが、日本側でも韓国領有たることを争わない、まあ認めている島で、そうして而も韓国の領海外にある島がどれくらいあるか。全然存在していないのか、存在しているのか。その辺のところを調べておられるのか。
  43. 下田武三

    政府委員下田武三君) 私の主管する条約局では調査はやつてありませんが。
  44. 杉原荒太

    杉原荒太君 それを調べておかんと、あなたがさつき言われたこれこれの島を含むという条項を援用しても論拠薄弱になつてくる。
  45. 下田武三

    政府委員下田武三君) 併し韓国の極く近いところの岩礁とか何とか……
  46. 杉原荒太

    杉原荒太君 それだから私が言つているのは領海外で……
  47. 下田武三

    政府委員下田武三君) そういうものは地図を一見したところはございません。更に綿密に海洋調査式のことをやれば……
  48. 杉原荒太

    杉原荒太君 それは竹島以外には別にないのですか。
  49. 下田武三

    政府委員下田武三君) 現在までの調査はないと承知しております。我々は曾つて疑いを持つたことがない……
  50. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の言うのはですよ。つまり領海外の島で、そして而も今韓国領土と認められている島が、さつき挙げられた平和条約に列挙してある島以外にもあるかないかということ。
  51. 下田武三

    政府委員下田武三君) 条約に取立てて書くような島はございません。それから竹島はここに書いてあります鬱陵島よりも更に日本に近い所にあるのでございますから、若し韓国寄りにあるとか、或いは鬱陵島韓国と等距離ぐらいにあるのでしたら疑いはございますけれども、沖ノ島と鬱陵島との中間にあるわけでございますから。
  52. 杉原荒太

    杉原荒太君 私は今議論を聞いているのじやなくて、そういう事実があるかどうかということを聞いている。それがあなたがたが論拠を立論するからには大事なんです。僕はあなたがたが立論をもつと正確にする必要があると思うから聞いているのです。
  53. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) お説の点は十分調査いたしたいと思います。
  54. 團伊能

    團伊能君 この竹島につきまして、日露戦争の当時日本の海軍がここに望楼を作つて一つの作戦的に使つたということを聞いておりますが、これらにはたくさんあるものかどうか、次回まででよろしうございますから、若しわかりましたら御調査頂きたいと思います。
  55. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 私も曾てそういうことを聞いたおぼえがございますが、事実ははつきり調査いたします。
  56. 中山福藏

    中山福藏君 この際政府に確かめておきたいことがあるのですが、それは日米合同委員会爆撃演習地として一応竹島が入つてつたのを、この頃抜かれておるというのはどういうわけですか。向うが勝手に抜いたというわけですか、そこを一つ
  57. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 日米合同委員会によつて選定いたしました施設地域協定の中から除かれてほおりません。ただ実際爆撃演習場として使用しなくなつたということだけだろうと思います。
  58. 中山福藏

    中山福藏君 それはウエンライト米空軍司令官の日本領でないということを認識してそういう挙に出でたのではないかという疑いが一応持たれるのですが、それはどうですか。
  59. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 我方はそういうふうには考えておりません。
  60. 中山福藏

    中山福藏君 そこで一つお伺いしておきたいと思うのですが、これは韓国側の言うことも日本側の言うことも一通り筋を立てて手がけて来ておるものと思う。私どもは日本人として日本領有であるということを固く信じておるのですが、併し結局両方から水をかけ合つておるというのが実情であります。然らばこの水をかけ合つておることを一つの解決するという姿に持つて行くにはどういう手段方法を講ぜられるつもりか、それを一つ承わりたい。
  61. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その点は先ほども外務大臣が申されましたごとく、別段今ここに取立ててこの問題を協議すべき性質のものではない、明々白々、我が日本領土である、こういう観点に立つておるのでございます。今後なおこの問題が一層紛糾するような虞れがありますれば、何らか適当の方法によりましてはつきりと我が方の主張声明するなり、或いはアメリカ大使館を通じて、或いは又直接に韓国政府に対して抗議を申込み、適宜そのときに応じた方法をとりたいと思います。
  62. 中山福藏

    中山福藏君 これ以上紛糾して来れば適当な処置をとるとおつしやるのですが、大邦丸事件以来一をとつて二をとるというような金内務長官とか或いは李承晩声明というものは相当日本というものを蔑視してかかつておると私どもは考えておる。これはいわゆる蔑視ということはすでに日本何するものぞという態度を示しておる、これはやはり外交的の一つの紛糾です。適当な処置をとるということは現在とらなければならん、それでこれ以上紛糾したら適当な処置をとるということは、これは私は当局としてはそういう何と申しますか、先ほどの平林氏の言葉を借りて言えば、一種の怠慢的な私は態度だと思う。それよりも現に私どもこれを紛糾と見ておるのですが、それを解決する手段、方法、計画というものは外務省にはないのですか、それを一つ
  63. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) まだ韓国政府声明なるものが発表されただけでありまして、その内容の真偽のほども明瞭でありませんし、目下事実を調査いたしております。その程度ではまだ紛糾とは言えないのではないかと考えております。この上更に話がもつれて来るような場合におきましては必ず何らかの強硬な方法をとるというように進みたいと考えております。
  64. 中山福藏

    中山福藏君 それも大邦丸事件といい、或いは今度の竹島問題といい、これを共に日韓会談のときに持込まれるつもりでありますか、或いは日韓会談と別個にこれを処理するという意向があるのですか。向うのほうからいろいろなことを言つて来なければこれに対応する手を打たんというようにも聞こえるのですが、その点はどうでしようか。
  65. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 大邦丸事件につきましても日韓会談とは切り離して別個にこれはこれとして解決する、こういう方針で進んでおります。この点につきましては韓国との間のもつれが生じたそもそもが目撃談そのものではないのでありまして、李承晩ラインの一方的海洋主権宣言についての我が方の抗議から始まつた問題であります。従つてこの問題は日韓会談とは別個に取扱いたいと考えております。
  66. 中山福藏

    中山福藏君 その別個の方法と、並びにその着手せられる時期はいつ頃ですか。
  67. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) アメリカ大使館に事実の調査を依頼いたしております。これを督促いたしまして、その結果が明瞭になりました上でとくと考えたいと思います。
  68. 中山福藏

    中山福藏君 最後に一つお伺いしておきますが、先月の二十八日の午後一時半に伊関国際協力局長が大阪に来られて大阪クラブで講演をしておられるのですね。いわゆるアメリカの軍需品発註に関する註文というものが相当増大するだろうという前置きをして約二時間半に互つて演説された。そのうち地域防衛協定というもの或いは日米防衛協定というものをする時期が来るといつた、両当局者の間にこれが進行中であるという演説をされた。三、四日前ですね。そこでその地域防衛協定というようなことが、これは日米合同委員会理事ですか、委員ですかしておられる伊関さんの言葉でありますから、私はこれはまあうそだとは思いませんが、そういうときにこの地域防衛協定というのは竹島なんか入ることになつておるのですかどうですか。これは外務省として大阪に派遣された伊関さんの言葉ですから、一応一つ念を押しておきます。
  69. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 伊関局長が大阪でどういうことを言われたか存じませんが、恐らくそれは誤伝ではないかと考えております。なお地域防衛協定なるものは総理或いは大臣からも再々申上げておりまするごとく、今日日本は軍備を持つておらない、従つて地域防衛協定というようなことは考えておらない、こういうことを述べております。又なおこの竹島問題が地域防衛協定にどういう関係があるかということは、これはまあ地域防衛協定を考えておらないという点からいたしましてお答えすべき筋でないと思います。なおこれは日本領土であるという点から言えば、仮に若しそういうような協定を結ぶとすれば、日本領土の一部として防衛の対象にはなると思います。
  70. 中山福藏

    中山福藏君 それは誤伝であるとか何とか絶対に私はあなたから言われたくない、これはもう事実です。厳然たる事実です。伊関局長はこう言つたのですよ。今アメリカから軍備のために要求されておる兵数は三十二万五千人だ、併し本年度は四万しか増員ができない、こう言うのです。ですから誤伝とか何とか言うには伊関さんが大阪で言われたということをお調べになれば誤伝か真伝かよくわかるのです。ですから私は念を押しておくのです。だから、そういう次第でございますから、私はこの地域防衛協定なんかというようなものができれば或いは我々の心配しておることも解消されるか知りませんが、それができるまで待つておることはできんというような立場から早急にこれは解決すべき問題である。この竹島問題は解決すべき問題であると思つておるから私はこう言うのですが、紛糾した場合に適当な措置をとるなどということは、これは私どもはあなたがいつおやりになるか知りませんが、百年河清を待つような政府の答弁を頂きたくない。だからこれは特に私は念を押して政府の覚悟を促さなければならんと思うのです。今まで日本外務省というものはいつもこの手で国民をだまして来た。私どもはもうだまされたくない。だからできるだけ速かに私は何らかの措置を講ぜられんことを切にお願いして私の質問を終つておきます。
  71. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ちよつとお尋ねしますが、竹島李承晩ラインからどのくらい朝鮮から言うと内側にあるのですか。
  72. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 李承晩ラインの殆んど線すれすれのところにございます。正確にまあ距離を申述べることはできませんが、これもなお調査いたしまして御報告いたします。
  73. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 李承晩ライン日本領土である竹島すれすれに引いたとすると、そこには非常に大きな問題がなければならん。李承晩ライン声明に反対の申入れをしたときにこの竹島のことについて言及されておるかどうか。
  74. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 李承晩ライン宣言に対する我が方の抗議の際に、最後に付け加えまして竹島李承晩ラインの中にあるが、これは我が方としては絶対に容認できないということをはつきりそのとき伝えてあるのであります。
  75. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 この李承晩ラインをそのときに韓国の方ではこれを韓国領土として入れようとするインテンシヨンがあつたのじやないかと思いますが、外務省はどういうふうに解釈されますか。
  76. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その点は韓国側の意図ははつきりいたしませんが、李承晩ライン魚族保護という見地からこのラインを引いておるのでありまして、直接領土というものとは関係ないのじやないかというようにもとれますが、御説のような考え方も想像できるわけであります。いずれにありやはつきりいたしません。
  77. 團伊能

    團伊能君 竹島問題は一種の岩礁の人のいない島の問題でございますけれども、こういうことが起つて来ると仮定いたしますと、日本国民がその領土として住んでおるところの地域に対して国民といたしまして、一種の大きな不安を抱かせられる問題だと思います。事竹島のみならず、日本は御承知のごとく周辺海をめぐらしておりまして、数多の島がございます。ポツダム宣言その他で書いてある極みて大ざつぱな四大島及びそれに附属する島嶋というようような観念で日本領土考えることができない。もつと非常に正確な微細に亘る地域の決定を何らかの方法においてして頂かなければこれは我々として安心できないような印象を持ちます。殊に歯舞群島のごときがこれが果していわゆる条約にございますキユーリル・アイランドであるかどうか、即ち千島であるかどうか。若しも千島でない、北海道附属島嶋であるといたしましたとき、それは国籍は日本にあつて只今ソ連軍の占領下にあるという状態になりますが、ほかのいろいろそういう島嶋もございますが、併し先ずこれに連関して歯舞群島のステータスはどうか。キユーリル・アイランドと申されますのは日本領土であるかないか、その地域は。日本の現状の姿を簡単に、できたら併せて御説明を伺つておきたいと思います。
  78. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約規定によりましてそういう不明確な問題は発生しないわけなんでありますけれども、誠に根拠のない韓国のような横紙破りを主張するから問題が起るのであります。現在のところ只今御指摘の歯舞、色丹両島とこの竹島以外に何ら紛争の発生が現実にございませんし、又ありそうな島もないわけでございまするから、その点は御懸念が不要ではないかと存じます。なお先ほどの政務次官の御説明を補足さして頂きますと、この間の国防部発表のありました直後に私アメリカ大使館員と会いましたのですが、念のため聞きますと、米大使館は一笑に付しておりました。これは余りにも明白な問題であつて取るに足らんという態度であつたのであります。それで米軍関係者と伝えられておりますのも軍の人間でありますし、韓国国防部発表でありまして、両政府の立場を代表する立場にある者が言つたことではないのでございまして、アメリカ自体が一笑に付しているような問題を日本が余りに大きく取上げて行くということは均衝を失しているのではないか。そういう考慮もありまして単に調査を求めて、そうしてその回答を待つておりましたが昨日回答がございました。内容はこれはただ軍で爆撃の演習を停止したというだけの事実の回答でありますので、迫つて米国政府見解アメリカ大使館から正式にあることと存じます。
  79. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ほかに御質疑はございませんか。
  80. 杉原荒太

    杉原荒太君 これはまだ連合委員会ですか。
  81. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) そうです。
  82. 杉原荒太

    杉原荒太君 それじや若しほかのかた御質問がなければこれを一度閉じてもらつて外務委員会としてやられては……。
  83. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 若しほかに御質疑がなければ御質疑は尽きたものと認めます。従つて法務、外務連合委員会はこれを以て閉じることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めこれを以て連合委員会を閉じます。    午後三時三分散会