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1952-12-01 第15回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月一日(月曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            一松 政二君            高木 正夫君            小野  哲君            内村 清次君            中村 正雄君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省自動車局    長       中村  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般運輸事情に関する調査の件(鉄  道輸送に関する件)(自動車行政に  関する件) ○委員長の報告 ○公共企業体等労働関係法第十六條第  二項の規定に基き、国会の議決を求  めるの件(内閣送付)   —————————————
  2. 高田寛

    理事高田寛君) これより運輸委員会を開会いたします。  国鉄裁定の問題は只今運輸大臣国鉄総裁が間もなく見えますから、見えたらすぐこの議題にかかるとして、最初に一般運輸事情に関する調査議題といたします。先ず鉄道輸送現況について政府委員から御説明を願います。では鉄道監督局長植田純一君。
  3. 植田純一

    政府委員植田純一君) 私、鉄道監督局長植田でございます。どうかよろしくお願いします。  鉄道監督局所管事項につきまして御説明申上げまするが、その大要につきましては、お手許にお配りしておりますところの鉄道監督行政現状というプリントにつきまして御覧頂くことにいたしまして、このうち特に主な問題につきまして御説明申上げたいと存じます。  第一は輸送の概況でございまするが、五頁に国有鉄道輸送量がございますが、一般的に申しまして輸送量戦前に比べまして遙かに上廻つておりまして、国鉄について申しますると、昭和二十六年度のここに掲げてありますところの数量は、戦前昭和十一年度に比べまして、旅客が約三倍、貨物は約二・四倍となつているのでございます。私鉄につきましても、あと輸送量数字がございますが、輸送人員におきまして約二・三倍の増加を示しておるのでございます。ただこれに対しますところの施設、車輌の現況はどうかと申しますると、財源不足等のために著しく老朽いたしておりまして、戦争中或いは戦後の混乱期におきますところの施設酷使等によりまして、その後極力整備復旧に努めておりますけれども、まだまだ不十分と申すよりほかない状況でございまして、取替を緊急に必要といたすもののみにおきましても、国鉄におきまして実に千八百億円を要する、かような状況でございます。今後これが整備復旧ということにつきましては、その財源等につきまして極力努力を払つて参らなければならん、かように存じておる次第でございます。  次に今回問題になつておりますところの国鉄運賃改正につきまして申して見たいと存じますが、この運賃改訂につきましては、現在運輸審議会に諮問いたしておりまして、いずれ国有鉄道運賃法改正案といたしまして、本委員会におきまして詳細な御検討をお願いいたすことになるのでございまして、詳細はその機会に譲ることにいたしまして、簡単に国鉄から出て参つておりますところの大要につきまして申上げますると、お手許にお配りしてございますところの昭和二十七年度日本国有鉄道補正予算資金計画という一表がございます通り国鉄の二十七年度損益勘定は二千九十九億円余の収支で組まれておるのでございますが、これに対しましては、先に仲裁委員会から国鉄職員の給与につきましての裁定がございまして、この裁定によりますところの人件費増加或いは又国鉄で使用いたしますところの物品のうち、最大でありますところの石炭につきましては、予算単価よりトン当り約七百円り増加を示しておりますし、又購入電力料金につきましても、本年五月以降州三割の値上げが行われたような状況でございます。かような点を総合いたしますると、平年度におきまして約二日六十億円余の経費増加するということが考えられるのであります。一方収入の面におきましては、旅客収入買物収入、雑収入合わせまして約六十億円の増加が見込まれるのであります。輸送量増加いたします半面経費も、自然増加いたしますので、この経費のこれらに対応する増加が約十二億円と見込まれますので、差引いたしまして約四十八億円の増収ということが考えられる状態でございます。従いまして、先の経費増加を差引きまして約二百十五億円の経費増加ということ小考えられるのであります。なお先ほど申上げました荒廃施設取替のための減価償却も最近の物価に評価替いたしまして増加いたしますし、又サービスの向上にも資するためには、先に申しました経費増と合せまして、年間約六百億円程度経費が必要になつて来る、かようなふうに考えられるのであります。若しもこの経費運賃値上によりまして賄うことにいたしますると、現行運賃に対しまして約三割程度の値上を必要とする、かようなふうに考えられるのでありますりが、政府といたしましては、一般物価国民生活への影響等をも考慮いたしまして、この際は運賃値上を極力低くいたしまして、大体予算的措置といたしましては、運賃改訂によりまして約一割の増収を見込む、かような考えにおきまして補正予算案を内定いたしまして御審議を願うことにいたしておるような次第でございます。先に申しましたように、値上率その他運賃改訂内容につきましては、目下必要な手続の検討を進めておりますので、運輸審議会答申を待ちまして、詳細につきまして御検討をお願いいたす運びとなつておるのでございます。  次に国鉄線建設につきまして概略申上げます。新線建設につきましては、本年度におきましては二十億円の予算を以ちまして十一線の路線に着工いたしております。甚だ御覧になりにくいかと存じまするが、鉄道建設審議会議事録、この大きいほうの議事録でございますが、これの五十七頁以下に鉄道建設審議会会長答申がございまして、五十八頁の二項というところに本年度着工いたしておりますところの十線の線名が掲げられてございます。なお三項の十六線は年度内の予算補正により速かに建設に着手することを適当と認めるということで十六線の線名がございますし、更に六十三頁おきましては、同じく建設審議会の建議といたしまして、左の営業休線については予算補正により速かに営業を再開せられたいということで三つの線が掲げられてございます。この先の十六線と三線、合計十九線につきましては、本年度補正予算を以ちまして着工することが予定されておつたのでございまするが、補正予算におきまして本年度補正額が五億円ということに内定になりまして、この全部に対しまして着工することは困難な状況に立至りました。どの線にこのうち着工するかということにつきましては、目下改めて建設審議会に諮問いたして検討して頂いておるような状況でございます。  次に国鉄の電化でございまするが、差当り東海道線浜松以西を姫路まで延長するということを中心といたしまして、資金の許します限り輸送力の増強或いは経営合理化上特に必要であるという見地で計画いたしております。このため本年度工事分といたしましては、国鉄補正予算におきまして十五億円の政府資金の借入が内定いたしておる次第でございます。その他動力といたしましてデーゼル化を促進するという方針の下に、その計画実施を進めて参つておる次第でございます。  次に地方鉄道軌道につきまして簡単に申上げたいと存じます。現在我が国では地方鉄道軌道その他専用鉄道索道事業等合計いたしまして約四百八十の事業者がございまして、約九千キロの路線を有しておるのでございます。この経理状況を見ますると、営業費のうち動力費人件費等が依然として多額を占めておりまして、非常に苦しい状態にあります半面収入の面におきましては、運賃はすでに数回に亘り改訂値上いたして参つておりますが、一般物価指数に比べて運賃指数はまだまだ低いところに抑制されておりまして、地方鉄道軌道約百五十社につきまして、その営業収支を見ますると、営業収入に対しまするところの営業費の割合は八七%という数字を占めておるのでございます。併しこれは比較的規模の大きい大都市附近郊外電鉄影響が大きいためでございまして、他の一般地方的な鉄軌道はその設備の状態或いは又収支状態共に憂慮すべき実情にあるのであります。他面又事業発達に伴いまして、自動車との競争が目一日と激化いたしておる実情でございまするので、これに対しましては、これら民有鉄道が産業の発達或いは民生の安定に重要な役割を持つておるその公共的使命に鑑みまして、経営健全化施設改良のための資金融通等につきまして、できるだけ促進して参りたい。更に進んで資源開発重要使命を持ちまするところの地域の新線建設の場合或いは不慮の災害の場合におきますところの助成の方法につきまして、格別の措置を講じて参りたい、かように考えまして、目下慎重に検討いたしておるような次第でございます。  最後鉄道車両工業につきまして一言申上げたいと存じます。貿易振興が強調されます折から、鉄道車両機械輸出品の中で、船舶に次いで第二位を占めておるのでございまして、これに特需をも合せまして年に二十億円前後の輸出実績を上げておるのでございます。近時東南アジア、南米等地方から我が鉄道車両工業に対しますところの関心が次第に高まつてつておるような状況でございます。又実情視察のために来朝されるものも増して来て、前途に相当に明るい希望を持つている実情でございます。ただ残念なことは、主要材料でありますところの鋼材国際価格に比較いたしまして割高であるということが一つの弱点でございまして、これがために折角の契約が不成立になるというような場合もあるのでございます。でき得ればこの鋼材価格差に対しまして、一補給金その他適切な措置を講じたいものと考えているのでございますと同時に、この企業合理化余地も決して少くないのでございまして、そのための融資の斡旋等によりまして、この事業の助長をやつて参りたいと、まあかように存じている次第でございます。  以上現状の中で特に当面の問題となつております点につきまして御説明を申上げ、私の所管事項説明を終りたいと存じます。どうも有難5ございました。
  4. 内村清次

    内村清次君 まあ通例としては各業務説明をずつと次々と聞いておつたのですが、どうですか、そういうふうな形で今日もやりますか。
  5. 高田寛

    理事高田寛君) ちよつと速記を中止して……。    〔速記中止
  6. 高田寛

    理事高田寛君) 速記を始めて…。それでは次に自動車行政について政府委員より御説明を願います。
  7. 中村豐

    政府委員中村豐君) 私から自動車局所管事項の概要について御説明申上げます。  すでに自動車局関係の仕事については、たびたびの法律案審議その他によつて十分に御了承を得ていることと思いまするけれども、この機会に改めて概要を御説明申上げまして、又今後の問題についても触れて見たい思うのであります。お手許に配付いたしました九番の自動車馬所掌事務の概要という資料について概略を御説明して行きたいと思います。先ず二十五頁の自動車保有台数の推移というのがございますが、これを見て頂きたいと思います。最近自動車は非常に発達して普及増加をして参つたわけでありますが、その数字を見ますると、昭和十年においては合計において十七万台、戦前最高の年は十三年でありましたけれども、これが二十二万二千台に過ぎなかつたものが、最近の二十七年八月末においては実に六十万三千台に達しているわけであります。その内容を少しく仔細に見て頂きますと、貨物自動車普通車、小型車の合計は戦前最高は十五年の十二万七千台でありましたのが、最近ではこれが三十八万台になつている。乗合自動車は最高は十一年の二万八千台でありましたのが、これは二万三千台に復旧しております。乗用自動車営業用、自家用含めまして、十二年の六万台が最高でありましたのが、最近は七万三千台になつている。その他も合せまして合計は実に六十万台に達しております。最近の傾向を見ますると、日本において毎月々々一万台ずつ自動車は殖えている。一年間に十二万台余りが増加しまして、このままで参りますれば二年くらい先には百万台という大関門を突破するに至るであろう、かように思つておるのでありまして、最近の自動車普及状況を如実に現わしていると思うのであります。そこでそのような自動車について政府は如何なる体制をとつているかということになるわけでございますが、資料の三頁に戻つて頂きまして、自動車局の中央及び地方の機構でございます。これについては文書課のほうから運輸省全般の機構として説明があつたことと思いますが、簡単に申しますると、運輸大臣の下に各局があります中に自動車局がございまして、それに総務、財務という直属のものがあるほかに、業務部整備部があるわけでございます。業務部はバス、タクシーハイヤートラック、通運、道路、調査というようなもので、自動車運送事業などの業務の監督をするところでございます。整備部登録資材整備、車両というふうな自動車整備技術部門を担当する、こういうことになつているわけであります。  次に地方機構としまして陸運局が全国九ブロックにあるわけでございまして、その内容としては総務、鉄道自動車整備というふうにあるわけであります。更に末端になりますと、各県ごと産運事務所どいうのがございまして、これは知事の下に所属しているわけであります。ただこの性格は知事の下に所属はしておりまするけれども、人事及び予算については運輸大臣が直接これを握つているのでありまして、その意味では直轄機関言つても差支えないと思うのであります。  以上が自動車に関する機構のあらましでありますが、それでは如何なる仕事をしておるかということを申しますると、簡単に申しまして、先ほどの業務部においては、自動車運送事業、つまりバス、タクシーハイヤートラック、それから自動車道事業自動車道営業とする事業、それから通運事業日本通運その他の通運事業というものを監督すると共に、整備関係で登録、車体検査保安整備というような仕事、それから資材その他の仕事も兼ねておるということでございます。  そこでこのような仕事が国家事務であるか、或いは地方事務であるか、地方事務であるとすれば、これは運輸省が直接にやろよりも都道府県知事にやらせたほうがいいのではないかということで、地方分権思想の強化という考え方から、地方委譲問題がかねてから強く議論されたのでありまするが、運輸省としましては、自動車行政は極めて重要な国家事務であるという見解をとつておるわけでございます。その根本的な理由を極く概略申しますると、自動車事業というものは、常識的にもわかつて頂けますように、非常にその機動性が強くなつて、数時間にして一つの府県の境を越えて他の府県に行くというように、極めて行動性が広いもので、数府県に跨るものでありますから、これを小さい一府県の行政でやるということは自動車の実情に合わない。自動車行政広域行政であるということが先ず言えるのであります。  第二は自動車炉発達しまして、必ずそこに国有鉄道或いは地方鉄道軌道というものと競争関係或いは協同関係が起りまするし、又航空、海運というものともいろいろと調整問題が起るのでありまして、そのように全交通機関を通じて総合的に行政をする必要があるという意味から、自動車行政総合性ということが極めて重要になろのであります。そのような議論から自動車行政国家事務として極めて重呼、なものであつて、これを地方事務に対することはできないというふうに考えるのであります。その他通運行政にしましても、或いは車体検査、登録というふうな整備行政にしましても、ひとしく国家的に総合的にやるべき仕事である、かように思う次第であります。運輸省自動車局所管事務で、特に特色的なことは、自動車行政というものの、自動車行政に関するすべての事項を運輸省で所管しているのではないのでありまして、このうちの重要な部分が運輸省ではなくて、よその省によつて所管されておるということであります。六頁に書いてありますが、先ず自動車生産行政というものは、自動車行政の重要な一部門であるにかかわらず、これは通産省に所属しております。又道路行政も極めて重要な自動車に密接不可分な関係にあるにかかわらず、これは建設省でやつております。又道路交通取締と申しまして、自動車その他の車馬が道路上を交通する場合に、いろいろと取締をされるわけでありますが、この行政警察関係に所属しております。このように重要な三つの部門が運輸省ではなくて、よその官庁に所属するということが自動車行政一元化を阻害して、自動車行政の統一を欠き、混迷に陥らしめている理由でありまして、この点はかねがねから運輸省といたしましては、自動車行政総合一元化を是非図るべきであると申上げておるのであります。誠に現在の状態は完全なものとは言えないのでございます。  次に自動車行政を行なつて行く上につきまして、その根拠となるべき法律命令等について御説明申上げますと、先ず事業の管理を監督をする行政関係根拠法令といたしましては、道路運送法というものがございます。それに基きまして、いろいろ政令、省令が出ておるわけでございます。これによつてハスタクシーハイヤートラック等自動車道路事業参等監督がされるわけであります。その次の大きな法律としましては、八頁に通運事業法というものがございます。これは日本通運その他新らしく免許、されております通運事業者を対象とした法律でございます。このような道路運送法通運事業法は主として事業監督する法規でありまして、このような事業は非常に重要な事業でありますので、自由営業とせずに運輸大臣又は地方陸運局長の免許を受けなければ事業を開始することができないということにしてありまして、資力、信用のないものが勝手に営業をして社会公衆の利益を害することのないようにいたしているのであります。極めて公共性の強い事業として免許制度にしておる。又事業計画の変更とか、運賃の変更であるとか、譲渡、合併その他をすべて許可又は認可事項にしているというふうに法規制の程度の強いものでありまして、これはこの事業公共性から当然出て来る結論であると思うのであります。車両保安に関しましては、道路運送車両法といううものがございまして、昨年の国会で議決して頂いた法律があるわけでありまして、これによつて車両検査登録或いは整備保安ということに関して規定されまして、それに基くたくさんな政令、省令が出ているわけであります。その他重要な法律としましては、十頁にあります自動車抵当法道路交通事業抵当法という二つの法律がございます。この二つは自動車関係に対して金融の道を円滑ならしめるために国会において議決して頂きました法律でございまして、自動車抵当法一つ一つの動産である自動車抵当権の目的にすることを認めまして、車両購入資金を、短期小額資金を融通する道を円滑にした法律でございます。道路交通事業抵当法自動車運送事業自動車道事業或いは通運事業、その事業を全部一体として、その事業を構成するいろいろな動産、不動産その他のものを一体として財団を設定しまして、それを抵当権の目的にして長期多額資金を融通する方法を講じたのでございます。これらの法律はいずれも国会に恥いて御審議御決定を頂いた法律でございまして、その実施模様を見ますると、極めて時宜に適したものとして車両事業者から非常に歓迎されておりまして、その利用の回数は極めて多いのでございます。  それからあとは詳しく自動車行政の内容について説明してございますが、これは大体要点を御説明申上げましたので、詳しいことは資料について御研究願いたいと思います。  最後に、自動車行政として当面しているところの重要な問題について数項目に亘つて概略を御説明申上げたいと思います。十九頁以下にその項目を列記してございます。第一は、国営自動車に対する行政方針でございます。国営自動車の最も代表的なものは、日本国有鉄道で経営しているところのいわゆろ国鉄バスでございます。これに対する行政方針をどう考えるかということはたびたびの国会で問題になり、又いろいろな方面から陳情、請願を受けているわけでございますが、国鉄自動車については日本国有鉄道法によつて性格に制限があるのであります。それは日本国有鉄道に関連する自動車運送事業とありまして、国鉄との関係のない路線はできないことになつております。これを具体的に申しますると、国鉄建設予定線に対して、建設がされる前にあらかじめバスでやろうという先行線というものが第一であります。第二は、建設をする代りにハスで以て済ましてしまうという代行線というものが考えられます。第三は、鉄道の線と線との間を三角形の一辺を行くがごとくショート・カットをするという短絡線というものが考えられます。第四に、鉄道線を培養するところの、鉄道線に対して枝葉の使命を果すところの培養線というものが考えられます。まあこのような四つの性格に限定されると思うのでありますが、そこで各地方から国鉄バスを動かしてくれという非常に熱心な要望があるのでありますが、その場合に以上の性格に当嵌まして、それに該当するかどうかを検討するわけでありまして、それに該当すればよろしいが、該当しなければ、国鉄バスとしての性格に入らないということで、これはお認めすることができないわけであります。そこで該当した場合に、若しそこに民営事業者があつた場合に非常に問題が複雑になるのでありまして、多くの問題はそのような場合に発生して来るのであります。民営事業国営事業との関係については、運輸省としては従来から特に分け隔てをして考えておりません。公共事業であるから是非とも国営ですることが望ましいのである、民営ではいけないのであるということは考えてはいないのでありまして、民営事業とえども、先ほど申しましたような道路運送法その他の法律によつて厳重な監督に服する義務を負わされておりますから、公益事業として十分な適格性を持つておる。これは運輸大臣及び陸運局長が十分に監督指導をしておるのであるから、その責任、義務を十分に尽す限りは民営事業で十分であるという考えを持つておるのであります。そこで国営バスの申請がありました場合に、その土地にすでに民営事業者が存在しておるような場合に、果してその民営事業者が十分の責任と義務を尽しておるかを厳重に審査するわけでありまして、十分なサービスをしておれば、あえてそれに対して国営自動車を認める余地がないということで、地方の要望の熾烈なるにかかわらず、その場合には却下されることが多いのであります。ただ遺憾ながら民営バスが十分な責任と義務を尽していないというような場所で、而も反省し、改善する見込が到底ないというような場合には、その場合にはこれに対して取つて代るべきものとして国営自動車を認める、このようなことになるのでありまして、その辺の実情に即した慎重な考慮と判断が絶えずされろわけであります。国営自動車に対しては、このような考え方を以ちまして対処しておるわけであります。これらの点につきましては、前国会においても、前村上大臣から詳しく御説明申上げたいと思うのであります。  当面の問題の第二は、通運事業免許方針でございます。戦争中たびたびの統合によつて、日本の通運事業日本通運株式会社によつて殆んど一元化されたということは御承知の通りでございますが、終戦後、このような形は独占形態である、従つてこれを排除して複数制にすることが日本経済の民主化のために必要であるという議論が起つたのであります。で、運輸省としても慎重な研究の結果、独占の形態を改善すべきであるという結論に達しまして、各主要な駅において新らしく通運事業者を免許して、日本通運、従来の日本通運、又は地区統合の通運会社に対して競争業者を導入して、この間に公正自由な競争をさせるという体制をとつたのでございます。その根拠になつたの通運事業法でございます。それに従いまして、各地において通運事業の複数化を推し進めておるのでありまして、主要な駅についてはすでにその複数化が完了したのであります。十三頁を見て頂きますると、通運業者の業者数が書いてあります炉、昭和十二年頃には七千八百以上もあつた業者が、昭和二十年においては二百四十三に減少しております。これは戦時中の統合によつて、弱小な業者が……、国鉄の輸送能力を最高度に発揮するために弱小な業者を統合して、日本通運の直営によつて通運能力を向上する、又は地方の地区においては地区統合会社に統合するという方針がとられた結果、二百四十三まで減つたのであります、このうちの日本通運はその一つになるわけでありまして、二百四十二といものは地区統合会社その他の限定業者であります。ところがこの形を、先ほど申上げましたように複数制を推し進めることによつて逐次改善して参りまして、二十六年においては、業者数において七百七十三というところまで上りました。複数化の完了したのは全国主要駅千三百以上になつております。で、おおむね複数化は完了したのでありますが、今後残された問題として、地方の中間駅或いはそれ以下の小さい駅において複数化をどのように完了するかが残つておる問題であります。  第三の自動車運賃の問題は、道路運送法によつて新らしく定額制と現払制というものを認めて頂いたのでありますので、その実施の時期に丁度立至つておりますので、これを実施しようとしております。只今問題になつておりますのはトラック関係でございまして、この十二月から路線トラックについて定額制を実施いたすことになつておるのでありまして、大体業界も歩調を合せてくれまして、妥当な線がまさに出ておるのであります。タクシーハイヤーについては、すでに東京においては定額制が実施されまして、事実上は値下げという現象が起つておるのであります。バスについてはもうすでに早くから定額制が実施されております。で、今後も標準基本賃率を策定しまして、定額制、現払制の実施に遺憾なきを期して行きたいと思つております。  第四は輸送秩序の確立という問題であります。輸送秩序と申しますのは、道路運送法に従つてハストラックタクシーハイヤーのような事業運輸大臣の免許を受けなければできないというのにかかわらず、免許を受けずに自家用自動車が一般の貨物、旅客を扱つて違法な営業行為をしておる、それを十分に取締りしまして、輸送秩序を確立しなければ、業界の体制が混乱しまして、延いては荷主、公衆に対して非常な不便を与える。是非とも法律の権威のためにも、荷主、公衆のため、或いは公共の福祉のために輸送秩序を確立する必要があるというので、本年当初から、運輸省としては、全力を挙げてこの問題に乗出したのであります。で、最も弊害のひどいのはトラック界でありまして、自家用自動車が戦後どんどんと増加しまして、戦前は営業用が大部分でありましたのに、最近に至つては、営業用に対して自家用が大型車において二倍、小型車において十倍にも上るというふうに、大部分が自家用になりましたので、これらの自家用車が本来の自家用のみの仕事をしてもらうならば何ら問題がないのでありますが、それが営業の仕事をやりますために輸送界が非常な紊乱を来たしておるのであります。これを先ほど申しましたような趣旨から、何とかして一日も早く秩序を確立して、正当な、正常な姿に直したいと思つておるのであります。そのためには事業者免許を受けた事業者自身も公共的な運営をして頂いて、十分に荷主の満足の行くサービスをしてもらいたい、運賃を正当に守り、その他立派な業務を遂行してもらうことが必要なのでありましてこれも同様に業界に要望して協力を求めておる次第でございます。  第五番目は都市交通の調整問題でございます。大都市がだんだんと戦前の人口に復し、更に過大都市になるような傾向が起りますと同時に、都市交通も非常に混乱しまして、従来の国有鉄道或いは地方鉄道、軌道というもののほかに自動車、バストラックが非常に都市に集中して参つて、その輸送を混乱さしており、特に東京都においては御覧のごとく自動車の数が非常に殖えましたので、輸送状態が非常に混乱して、自動車があつても却つてスピードが出ずに不便であるというふうに過大都市の弊害が出て来つつあることは御覧の通りであります。そこで何とか都市の輸送力を増強し、併せてその間の調整均衡化を図りまして、鉄道、軌道、自動車がおのおのその分野において十分に使命を果して、而もその間に摩擦なき調整された、均衡化された状態を作り出す必要があると思うのでありまして、これは戦前に行われた都市交通調整とは別個の、もつとより高度の角度から調整均衡化を図りたいと思つておるのであります。特に自動車の問題として重要な問題は、路線を定めてハスやトラックを運行する、そのような事業のターミナルを整備する必要があると思うのであります。ターミナルと申しますと、まあいわば総合発着所というようなものでござまして、鉄道で言えば中央ステーシヨンというようなものに当ると思うのでありますが、バス、トラックも重要な交通機関として非常に発達して参りましたから、都心に総合発着所を設けまして、そこに各路線を集中することによりまして、相互の乗換えの便、連絡の便をよくし、又道路交通を阻害する弊害を防ぎまして、燃料、資材、運転費の節約を図るというふうに、又いろいろな旅客接遇設備、荷主に便益を与える方法を講じまして、利用者及び業者とも十分に能率を上げることを考える必要があるのでございまして、アメリカなんかに非常に発達している制度でございます。この方法を我が国においても是非確立して施設を整備いたしたいと思いまして、いろいろと研究を進めておるわけであります。都市交通の問題として最近特に重要な問題はパーキング施設、駐車場の問題で、ございまして、余りに自動車が都心に集中する結果、却つて自動車の能率を阻害して不便が起つておる、それを能率化するためには駐車場施設を整備して、自動車の駐車を整頓すると同時に、必要なときにはいつでも車の回転ができるようにする必要がございます。又その一つの形として車庫の問題が重要になつて来たのでありまして、かような点についても急速に将策を謹じたいと思つておる次第でございます。  第六番目は外国乗用自動車の輸入政策でありまして、これは前回の国会においてもいろいろと御審議を願い、御心配を煩わした問題でありまして、非常に立遅れた日本の乗用自動車の体制を整備する必要がある。車齢が平均十三年以上にも達したような老朽な乗用車を早く淘汰しなければ、保安上も非常に憂慮すべき状態だというので乗用車を外国から新らしく入れなければならないという問題でございます。ところがこの場合に問題になりまするのは、国産自動車の生産事業との関係でございまして、日産、トヨタその他の国産自動車を保護育成すべきであるという政策と抵触するわけでありまして、この間にいろいろと調整を図らなければなりません。これについては通産省ともその後たびたび折衝しておりまして、逐次考え方の調和点を見出して来つつあることは誠に結構なことと思うのでありますが、今後とも十分に国産自動車との調和を考えながら外国乗用自動車の輸入の促進を図りたいと思つております。  第七番目は自動車事故の防止方策てございまして、たびたび申しましたように、自動車の台数が極めて殖えために各地において自動車の事故が頻発しておる。そこで運輸省としましては、道路運送車両法に基きまして車両検査ということをしておりますが、その能力を拡充し、又検査施設を拡充する必要があるのであります。各陸運事務所の管下において車両検査場が各建ごとに一カ所乃至ニカ所あるのでありますが、そのうち車両検査というのは名ばかりであつて、実際何ら形のあス検査場を持たないところが二十数カ所もあるのでありまして、そういう、状態で十分な検査を行うことが到底不可能なのであります。運輸省としては、一昨年から車両検査施設整備五カ年計画を立てまして努力しておるのでありますが、予算折衝において十分な成果が得られずにおることは誠に残念でございます。今後とも予算において十文に検査施設の整備について努力いたしたいと思いますが、この点については十二分の御理解を持たれて御審議願いたいと思う次第であります。自動車事故を起す最も大きなポイントは鉄道の踏切でありまして、踏切における自動車事故は必ず人命に影響を及ぼすような結果になるのでありますので、鉄道施設の整備を図ると共に、その責任関係或いは権利義務関係を明確にする必要があると思いますので、鉄道踏切施設の保安に関する法規を制定いたしたいと思いまして、目下関係各所と極力折衝中でございます。鉄道踏切の問題は事柄は極めて重要でありますが、ただこれを改善するためには相当の費用を要しまするし、又鉄道踏切というものは鉄道線路であるのか、或いは道路であるのかという点について不分明な一点があるむしろ両方が丁度重複した点でありますので、さような点についても不明確なので、鉄道関係或いは道路関係からはその必要が十分あつたにかかわらず、法規を作つて明らかにするような機運が起らなかつたのであります。我々自動車関係者としては、そのために一番迷惑を受けろ立場にありますので、自動車局が音頭をとつて鉄道及び道路関係に賛成をして頂いて、今申したような踏切保安法というようなものを是非制定したい、かような努力をしておるのであります。又自動車運転技術を向上さして、間違いのない運転をさせるためにいろいろ努力をしておりまするし、最近は各バス業者の間から優秀な運転手を東京に集めまして、運転競技会を実施して非常な好成績を収めたこともあるのであります。  最後に重要な問題の第八番目として、自動車事故の賠償責任保障制度を確立いたしたいと思います。自動車が非常に殖えますると、如何に努力をしましても必ず事故の起ることを防止で貸ない。そうしますると、その自動車に棄つていたお客さん、或いは荷物の荷主、或いは道路上を通行する第三者に傷害事故を起すのでありまして、このような第三者を保護することは一種の社会保障制度として是非とも必要なことであるのであります。ところが現在はこのような事故が起つても、自動車所有者と被害者との直接の折衝に任せられておりますので、その間には泣き寝入りをするような問題も起り、ごたごたが絶えないのであります。これを何とか事務的に技術的に極めて明快に解決をする必要があるのでありまして、そのためには自動車業者と言わず自動車所有者に賠償責任を義務付けまして、それによつて事故が起ることに簡単明瞭に解決する方法を講じたいと思うのであります。その方法としては、例えば保険を必ず付けなけりやいけないと強制する方法とか、その他或いは他の自家保険の方法或いは補償制度を利用するとか、いろいろと財務責任を負わす方法が考えられるのでありまして、いずれの方法をとるかは今後の研究問題といたしましても、何とかこの際に賠償責任を補償する制度を確立いたしたいと思つております。これは欧米の文明国においては、ごとごとくこの制度が確立しておるのでありまして、我が国だけが文明国であるにかかわらず、未だこの制度が確立していないのは誠に残念なのでございます。その具体的な内容を如何に盛り込むかという点については、いろいろ問題がございますので、運輸省といたしましては、関係業界或いは学識経験者の御意見を篤と拝聴しまして、成るべく近いうちに成案を得て国会に提案したいと思いますから、その節は是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。  大体当面する問題をピック・アップしまして、大ざつぱに申上げましたが、その他来年度の予算を要求しておる新規事業として特に新らしい問題二、三を申上げておきまして、御参考に供したいと思います。第一は、自動車の輸送状態を調査いたしたいと思います。非常に発達した自動車の輸送が、果して如何なる状態になつているかを動態においてつかみたいと思つて、その予算を考えているわけであります。第二は、高速自動車道路の整備という問題でありまして、東海道を初め重要な幹線に高速自動車道路を整備する必要がある、それについては如何なる交通量があり、如何なる体系を作つたらいいかということを研究調査いたしたいと思つております。第三は、乗用自動車の動態調査並びに耐久性能を調査いたしたいと思います。これは自動車が発達して、乗用自動車の需要が非常に殖えるに従つてその動態がどうなつているか。又国産車或いはアメリカ、欧洲からいろいろな暫し薪型の車が輸入されるので、各種の自動車が如何なる耐久性を持つているかを調べまして、日本の国情に最も適合したものを作り出したい、かように思うわけであります。第四は、事業用旅客自動車の運転者の適性研究をいたしたいと思います。旅客自動車事業用旅客自動車、つまり、バス、タクシーハイヤーの運転者というものは貴重な人命を預るものでありますから、この運転者が如何なる適性を持たなければいけないかということを研究しまして、曾つて航空機の乗員についていろいろな方法が講ぜられたように、技術的な研究によつて運転者の適性を向上させたい、又不適格なものは端的にこれを発見できるような機械を製作いたしたい、かような点から適性研究を促進いたしたいと思つているわけであります。  大体以上で以て自動車局所管事項の概要の御説明を申上げました。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
  8. 高田寛

    理事高田寛君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  9. 高田寛

    理事高田寛君) 速記を始めて…。  それでは一つ御報告申上げる事項がありますから、専門員から一つ御報告願います。
  10. 田倉八郎

    ○専門員(田倉八郎君) 去る十一月の十二日のこの委員会で、国鉄裁定問題に関しまして裁定内容の実施方を促進する中間的手段としまして、関係大臣に申入をするという御決議があり、その措置については委員長及び理事のかたがたに一任する、こういうお話があつたのであります。それに基きまして、同じく十三日に小泉委員長と岡田理事が、次に読み上げますような書類を携え、且つ官房長官、大蔵大臣、運輸大臣三人に会われまして、この旨を申入れたのであります。簡単でございますから、一度読みます。   昭和二十七年十一月十三日     参議院運輸委員長 小泉秀吉   内閣総理大臣   大蔵大臣(各通)   運輸大臣   政府は、公共企業体等仲裁委員会昭和二十七年八月仲裁裁定第八号を以つてなした裁定を完全に実施しうるよう、速かに予算上の措置を講ずることを、本日当委員会の決議に基き要請する。   以上であります。   —————————————
  11. 高田寛

    理事高田寛君) これより公共企業体等労働関係淡第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。御質疑のおありのかたは順次事質疑を願います。
  12. 内村清次

    内村清次君 国鉄裁定の問題は、御承知のごとく、国鉄が当局に昭和こ十七年度賃金の改訂に関する要求を出したのは二月です。そうして当局の態度が決定され、或いは公労法に基いて仲裁裁定を下したのが八月の十三日、こういう経路を辿つて、内閣の変更もありましたが、問題は二月にこの賃金の紛争が端を発しておりまして、すでに二十七年度におきましても、あと残り少い。而も又この要求の各点を見ましても、年末には是非とも解決をせなくてはならない大きな要素も含まれているのです。漸くにいたしまして、この特別国会が会期が六十日間に決定をして、そうして本格的にこの裁定問題が政府の不承認の態度によつて国会の問題になつて来た、こういうような一年間もかかるような賃金の紛争というものは、これは誠に事態拾収の上からいたしましても、又国鉄の正常な企業の運営からいたしましても、決してこれは好ましくない問題です。早急に解決しなくちやならん。そういうような重要性のありますのに対しまして、本委員会におきましても、すでに特別国会が開催せられましてから、十一月の十一日、十二日、十二日と、こう委員会が開催をされた。そうして本日この委員会も開催せられておりまするが、どうも政府の出席が、この問題に対しての取組み方において、全体的態度もそうでございまするが、出席の工合からみましても甚だ芳しくない。こういうことで一体この問題をどのようにお考えであるか、私たちはその真意がどうも解せられないのです。もともとこの委員会の要請によりまするところの大臣の出席というものは、これは殆んど絶対的なものにしてもらわなくちやいかん。勿論所管大臣も、或いは又要求大臣のうちにも、その所用の点におきまして相当広汎な政務の点につきましてのことも私たちは十分察しております。併しながら従来と比べまして、どうしてもこの委員会の出席の要求に対しましては、進んで一つ大臣が出席をせられるという気持の点におきまして、私は熱意が欠けているように考えるのです、この点は一つあと期間も残り少い期間でございまするから、要求されましたところの大臣の方々は、これは万障を一つ繰り合せて、国民の国会であるという点の真意を一つその実績において実現さして頂きたいということを私は特に強くこれは要求いたしておきます。特に又委員長のほうでも、是非この点は熱意を持つて委員会の開会につきましての要請は、一つ満足の行くようなことになつて来まするように、私は是非この点も要求いたしておきます。先ほど専門員のほうから御説明がありましたように、本委員会も十一月の十三日の日に委員の各位の御了解によりまして、而も全く満場一致の形におきまして決議がなされたのです。この決議の内容につきましても、先ほど報告の通りでございまするが、完全実施の予算予算閣議においては、これは是非一つ組んでもらいたいという強い決議でございました。この決議は私は本委員会といたしまして、この裁定問題に臨むところの各委員の方々の今後を私は拘束するところの重要な問題でもあろうと考えます。と同時に、又これは強い委員会の決議であります以上は、所管大臣は特にこの点に対しては努力せられたと思いまするが、その結果がどうであつたか、その点につきまして運輸大臣から御説明を願いたいと思います。
  13. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 只今お尋ねのありました第一段の出席が悪かつたために、誠にこの前は流会というようなことになりまして恐縮でございます。決して政府において委員会を無視することもなければ尊重しないわけでもなく、必らず出席すべきはずであります。この前のときは前日臨時閣議が予定されておりまして、時間が予定の時間では出席できないと思いまして、私も午後遅くであれば恐らくみんな出れるだろうということを申上げ、私も是非出たいと思い、ほかの閣僚にも伝えておきましたが、だんだん臨時閣議でありましたが時間が延びて、到頭皆さんがたが散会されるまで出席できなかつたというようなことで、誠に匆々の際でありましたためにうまく御希望に副うことができなくて甚だ遺憾でございます。併し特に主管大臣である私といたしましては、運輸委員会の要求がありますれば、ほかの委員会をおいても当然出る心持ちでおります。万止むを得ん場合或いは遅く参るというようなこと等がありますことは、今後ないとは言えないのであります。心持ちの熱意は一つも変らないのでありますから御了承を願います。又はかの閣僚たちも、できるだけの方法をとつて御希望に副えるように私からも伝えるつもりでございます。  それからこの間皆さんがたから、委員会からの要望を承わりましたが、直ちに関係閣僚とも話合つたことでありまするが、予算のほうにおいて要求、いたしておりまする通り、又前から政府が申しておりまする通り、今度は財源関係もありまするが、主として公務員との振合い上の問題等がございまして、甚だ私どもとしても遺憾でありまするが、公務員なみに十一月から実施したいということの政府のほうの心持ちには、これが変りがないのであります。その点甚だ遺憾でありまするが、そういうお答えをせざるを得ない状態であることを御了承願います。
  14. 内村清次

    内村清次君 これは私はどのように努力をされたかという点を聞きかつたのでありまして、結論としては政府の態度が十一月からだという、その間の運輸大臣はどのような努力をせられたか、こういう点を私はつまびらかに聞きたかつたのです。一体これにはどういうような大臣は、これは又閣議の内容ですから秘密があるだろうというようなことにもなりますが、とにかく大臣としてはこの裁定は尊重するけれどもが、遵守しない、先ほど本会議中村君が衝いた通りです。遵守しないという結論がもう出てしまつた。どうして遵守せられないかというその理由、この理由を明確にしてもらいたいということが、私は努力の点と併せて第一点にお尋ねしたいところです。  それから第二点といたしましては、国鉄総裁裁定問題についてはこれは神聖侵すべからざるものであるからして裁定は服従します。勿論法規的にもそのような精神が流れております。問題は、この国鉄総裁にして資金内容が現在の交付されておるところの、又許されておるところの国鉄の給与予算総額においてこれはできないけれども、併し自分たちは国鉄裁定を神聖侵すべからざるものとしての裁定として服従するというようなことを言つておられる。その当事者、直接の経営の当事者に対しまして政府のほうでただ公務員との振合だけでこの裁定というものを蹂躙していいかどうかという点、この点を一つ大臣のお考えを出して頂きたい。  それから第三点におきまして、政府のほうではこれは大蔵大臣も施政方針に出しておりまするが、安定経済を望む、こう言つておるのです。そうして今回の補正の基本的な態度につきましても、又内閣全体の方針に対しましても、安定経済の上に打ち樹てた補正予算の実施を考える、こういうことを言つておられる。これは重要な問題でありまして、勿論安定経済そのものは我我としては望むところです。望むところではあるけれども、その方針と、実際においてはこれは恐らく運輸大臣もその意に反しておることだと思いまするが、国鉄のこの運賃値上げの一割が本当に安定経済を望むところの政府方針の一部として現われたといたしますならば、基幹産業がこのような値上げをしたために、もうすでに値上げを計画しておるところの、相当重要なる物価影響をいたしまするところの諸物価というものは、やはりこの値上げの傾向になつておる。ただ今大きな争議となつておりまするところの炭労にしても電産にいたしましても、決してこれは値上げを目的としたところの争議ではない。資本家のほうで利潤が蓄積されておる、その利潤の部分を再配分してもらいたいという闘争です。これはこういう要求です。そうしてその不公平な利潤をやはり生産に携わるところの労働者に分けてもらいたいというのがこの争議の精神である。これに便乗して又値上げをしようと考える。政府は安定経済を考えておりながら、この安定経済の現われとして各産業の値上げを助長するような方策をなぜとるか。これで運輸大臣といたしまして、一割値上げに対しましてもやはり最後には賛成せざるを得ないような状態に現在ではなつておるのですが、そういうようなことに対しまして運輸大臣はどういうお考えで閣議においてこの問題と取つ組んで来られたかどうか、こういう点を一つ。以上三つの点につきましてお答えを願います。
  15. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 具体的にどういうふうな努力をしたかというお一尋ねでありますが、只今申しましたように、関係閣僚ともいろいろ懇談をし、閣議の席上においてもいろいろ話合いをいたしましたが、結局前申したような結論に到達したものと申上げるほかないのであります。  それからなぜ裁定をとらんか、公務員との比例だけではおかしいじやないかというお尋ねであります。裁定が成るべくその通り行われるようにありたいということは私も念願しておる一人であることはもうたびたび申しておる通りであります。併し政府といたしますると、この一項だけをとりまして、その通りやることのできなかつたということは只今申しましたように、公務員の関係等が一番大きな響きであります。一応この点で基本給の額は尤もとして、それは承認する。時期が成るほどおつしやる通り長い間の問題でありますが、公務員の関係におきましても、相当長い間の問題であり、而も公務員は人事院の案によりますると、もつと前からも実施してもらいたいというような意見も出ておりまして、それが十一月となつておりますというような建前もありまするので、いろいろな情勢からいたしまして、止むを得ず十一月ということにきめたわけであります。  それから第三の問題、一割値上げの問題でありまするが、これはまだ決定はいたしません。審議中でありまするが、私どもは物価に余り大きな影響を及ぼさない程度においての値上げということで、一割ということに賛成したのでありまするが、国有鉄道のいろいろな、これから老朽施設を直すとか、そのはかの問題につきましても、全体として相当大きな金が要るのであります。自然増も片一方にありまするが、それだけでは賄い切れないものも考えられますときに、この国鉄裁定という問題炉起つて来たのでありますが、国鉄裁定があるために直接にこの値上げをするというよりは、もつと広い意味において国有鉄道の財政的立場を考慮いたしまして、幾らか値上げをしなければならんではないか、そのためにはいろいろな案があつたのでありまするが、物価のはね返りを最小限にとどめ、そうして只今お言葉のありましたように、安定経済を保持して行くには最小限どこに置くべきかという問題を考えまして一割というふうにしたわけでございます。
  16. 高田寛

    理事高田寛君) ほかに御質問ございませんか。
  17. 内村清次

    内村清次君 只今の第三の点に対しましては、これは最も不十分な答弁でありまして、これは恐らく運輸大臣も肯定していらつしやる。私たちはこの物価のはね返りは、大蔵省から出しておりまするところのこの統計では満足しない。同時に又これは主食の値上げや或いは又ガス、電燈料、石炭、或いはその他これに附属しますところのお互い大衆といたしまして、毎日身の廻りの消費問題と取つ組んでおりまするそういう営業部門の値上げあたりを勘案いたして見ますると、それは実際の生計費に及ぼしますところの影響というものは、相当今大臣が言われたような実際の生計費に影響が余り及ばない関係を考慮して、又経済の安定を考えての値上げ一だ、そういうような簡単なことに対しましては、私たちは承服できないのであります。この問題は又論議の余地あとに残されておりまするからして、これは差控えまして、ただ国鉄総裁のほうではこの裁定を完全に実施するというような考え方からして、運輸大臣を通じての予算計画を出して、そうして裁定に臨む態度を明らかにしてあつたはずです。この予算資金が不足しておりまするところの面に対するところの補充に対しましては、これは委員会といたしましても責任がありまするから、当然この結論を出す上については考えなくてはなりません。併し先ず当事者といたしまして、今回の政府の決定によりまして、この予算自体というものがどのように圧縮されて来たのであるか。又この一歩も余裕のないような予算として政府のほうでは臨んで来ておるのかどうか、こういう点につきまして国鉄の総裁から一つ教えて頂きたい。
  18. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 御承知のように二十七年度予算の給与総額では裁定は安全にこれを履行できなかつた。従いまして今回の補正におきましては、八月からの完全履行ということで無論予算は要求いたしました。ところがいろいろな財源の都合その他からいたしまして、あらゆる面で節約も図り、ぎりぎりに見込まれおるのが現在の補正予算でございます。
  19. 高田寛

    理事高田寛君) ほかに御質問ございませんか。
  20. 内村清次

    内村清次君 この問題は数字に亘りますから、やはり総裁の代理者でもよろしいのですが、責任のある数字的な面から一つ説明して頂きたい。
  21. 長崎惣之助

    説明員長(長崎惣之助君) この数字の詳細な点につきましては、この次の機会説明いたします。
  22. 高田寛

    理事高田寛君) 内村君よろしうございますか。ほかに御質問。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 ちよつと速記をとめて下さい。
  24. 高田寛

    理事高田寛君) 速記をとめて。    〔速記中止
  25. 高田寛

    理事高田寛君) 速記を始めて。
  26. 中村正雄

    中村正雄君 一応今までの委員会におきましても相当議論をされておるし、各委員仲裁委員会裁定について如何にこれを実現しなければいけないかという公労法関係の精神等につきましては、相当質問もされておりまするし、又本会議におきましても私質問いたしておりますので、一応総括的な質問としてあの出されておりまする案件につきまして、一応総括的に質問いたしたいと思います。ただ新らしい大臣をいじめるとかという意味で質問するわけではないので、できるだけ裁定を完全に実施しようという意味の意向を十分お考えになつて、できるだけ明瞭な答弁を願いたい、かように考えましてまして質問いたします。  第一にお尋ねしたい点は、この一公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件として出されましたこの案件は、公労法の規定の関係上、国会の開会後五日以内に出すということで出されておりまするので、出ておりまする理由書なり説明書につきましても、この裁定に対する政府方針がきまつていない前に出ているので、現在出されておりまするこの案件についての事由なり、理由については、これは止むを得ないものと思いますが、ところがその後政府におきましては、すでに補正予算を出して来ている。従つてこの裁定に対しまする政府の態度が一応きまつているので、きまつているなれば政府みずから出しました案件に対して、政府の意思表示が当然加えられなければならない、これは十六條二項にはつきり明示されておりまするし、又国会に出します案件について、政府がこの裁定をどうしてもらいたいという意思表示のつけてない法律案は今までその例を見ません。従つて公労法十六條に規定しておりますこの案件につきましても、その例外ではないはずでありまするので、私たちの考えによりますると、一旦出されておりますこの裁定を取り下げまして、新たに政府としてはこの裁定を完全に実施してもらいたいという承認を求めるのか、或いは一部の承認を求めるのか、或いはこの裁定については国会で否決してもらいたいという意思で出して来るのか、或いはその内容を例示いたしまして改めて出す必要があるのではないかと私は考えるわけなんですが、これに対してどう政府はお考えになつているか。これを第一にお聞きしたい。
  27. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 只今お話の問題点は、この前の本会議のときの御質問にもあり、その後もあつたように思いますが、どなたでありましたか、私も何かの機会に申上げたように、誠にあの規定というものは私は初めてぶつかつたものでありますが、非常に不思議な、私どもが昔考えておつたような議会に提案する問題についての非常な特殊な形のものであると私は思うのであります。いろいろああいう方法の形をとつた場合には、皆さんがた参議院、それから前の衆議院でもいろいろ論議されておきまりになつたということを承知いたしております。それによりますと、公労法の規定によつて議会の承認を求めるといいまするか、議会に提出する場合には、一応どういうわけで提出するのだという事由を述べるのであつて、これをどうしてくれ、承認してくれとか、或いは承認せずにおいてくれということは付けて出さないのが今までのあの規定の制定された精神だというふうに私どもは承知いたしておりますので、その通り会議においても中村君にお答え申上げ、審議の途中において政府の態度がきまり次第、何かの機会に申上げると、それは意見がないのではない、規定の精神がそうだということであるからと申上げたわけでありまして、法理論は、そういうような行きがかり上のことを承知いたしておりません。実際問題といたしまして、政府の態度がきまつたならば、それを案を引下げて、新たにそういうことにして承認を求めるとか、不承認を求めるとか、或いは一部承認を求めるという手順をとるべきかという問題のお尋ねでありますが、そうなりますと、やはり同じことに法の解釈上そういうことになるのでありますかどうでありますか、私どもは今の考えではさつき申上げましたような解釈の筋をそのまま受継いでおりますので、あれはあれとして提出したままにいたしまして、その審議をどうやつてやる、これから先御審議願う途中において政府の態度、さつきすでに申しました返答の一部でありますが、そういうことを政府が今日まで考えおることを申上げたいと、そういうふうに思つております。
  28. 中村正雄

    中村正雄君 政府の今までの取扱いは一貫して今のような御説明になつておるわけなんですが、私はその考え方、取扱い方は今の日本の法体系から考えて私は間違つておると思つておりますこれは私の解釈と政府の解釈が違つておるわけなんで、私の解釈を幾ら押しつけてみても止むを得ないと思いますので、法理論の問題は別といたしまして、若し政府のような解釈で出されておつてこのまま取り下げる意思もないし、法改正をするという意思、もないなら、一応それを前提としてお尋ねしたいのは、審議の途中におきまして政府の態度がきまつたならば、この案件についての改正はしないけれども、政府の態度ははつきりするとおつしやつておりますが、すでに本年度に対しまする国有鉄道の機関に対する補正予算が出ております。予算総則の第七條の補正で現在までの給与総額が七百八億余りのものを八百十五億弱の補正予算として国会に出しております。そうすると政府の意思ははつきりしおるから、こういう補正予算案として正式に国会に提出になつておる。従つてここに組まれております給与総額の百六億強の給与予算補正をする意思というものは裁定の実施にあると思うのですが、そうなりますと、裁定をどの程度実施する政府は意図を持つているのですか。国会に対してこの裁定について、どういう方向で承認を得たいという意思は裁定の案件には載つておりませんが、別個の補正予算案として正式に国会に出しておる。従つて政府として、裁定の意思が決定がしていないとは言えないはずだ。従つてどういうふうにして国会の承認を求めるというように政府は思つているのか、この意思を明確にして頂きたい。これが第二の質問です。
  29. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 裁定の第一項の基本給額はさつきも申しましたようにそのまま実施をして頂くようにして頂きたい。その実施が裁定によりますと八月となつておりまするが、これはさつきから御説明申しましたような事由によりまして十一月から実施とういことにして頂きたい。第二項から四項までの問題は、これは国鉄との団交に俟つということになります。それに応じ得るような何がしかの予算も組んであるのでありますから、それによつて話を進めて頂きたいというのが私どもの考えておる線でございます。
  30. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと第一項については一万三千四百円を十一月から実施する。八月から実施できない。こういうふうな政府の意思、態度を本委員会で表明なさつたわけなんです。二項以下については団体交渉だから団体交渉によつてきめてもらいたい。従つてそれに必要な予算の枠を組んである、こういうわけですが、ところが出されております予算書を見ろと八百十一四億九千九百九十七万八千円という給与総額の枠に予算補正しております。こういう詳細な枠が出ている以上は、少くとも一項から四項までにつきまして政府としての考えがなければこういう詳細な数字は出ないわけなんです。従つて今度予算補正に出しております八百十四億九千九百九十七万八千円という給与総額の内訳を一応御説明願いたい。これは事務当局でも結構でありますから、これをお聞きしたいと思います。これを聞きますれば政府の大体裁定に対しまする実施の内容が明らかになると思うのです。
  31. 内村清次

    内村清次君 この点は私は先ほど国鉄総裁にも実は要求いたしまして内容の点について数字を出してもらいたいという要求とこれは並行したわけですが、問題は先ほど中村君が言われたことが重大でありまして、今回の公労法の改正の問題の第十六條にも理由を附しということが明確になつて来たのですね。これは予算を附しと、お互いは改正を出したわけですが、それが絞られて、理由を附して国会に付議しなくてはならない、こういうようなことに改正がなされたわけです。そうしますると、これは何としても政府が出したところの十月二十四日に委員会に付託されました十六條第二項の規定に基く国会の議決を求めるの件、これだけの案件では何にも事由が附してない。これで大臣はいいのだ、勿論この法律的の問題は自分としては余りよく知らないが、とにかく閣議の決定もなされておらないから、次第に委員会の席上で内閣の意思を出して行きますと、こういうような話だつたわけですね。これでは法律上から言いましても全くこれは政府の一方的な、而も又これはずるずるになすような解釈でありまして、これは許されないのです。やはり政府の態度が明確になつたならば、この案件というものはこういう理由によつて国会の承認を求めるというような正式なやはり案件として出してもらわないとこれはいかん。態度が明確でない。だからこの点は法律を守る政府の意思があるとするならば、やはり法律通り一つつて頂きたいどいうことを私は特に要求いたしておきます。それであとの問題は私の要求と同じことでございますから、これは一つ出して中村君の質問に答えて頂きたい。
  32. 中村正雄

    中村正雄君 ちよつと速記を止めてもらつてもいいのですが……。
  33. 高田寛

    理事高田寛君) それではちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  34. 高田寛

    委員長高田寛君) それでは速記を始めて。
  35. 中村正雄

    中村正雄君 只今質問をしました点につきましての御答弁は後日で結構ですが、ただそのとき一つだけお願いしておきたい点は、この予算補正の第七條を見ますと、前の給与総額の中に載つておらない項が新たな補正の額には載つておるのです。  その項は一番最後に奨励手当というのがあつて八百十四億九千九十七万八千円となつておりますが、従つてこの点も明らかにした数字を後日の答弁にお願いしたい。この点だけお願いしておきます。  それから取扱いかたに対する第二の質問ですが、これは仲裁委員会裁定の線が出ました際、これは両当事者を最終的には拘束するわけで、ただ国鉄人件費については予算できまつておるから、出されました裁定予算で履行できないという場合に、十六條の適用で国会の承認を求めるという案件で出すようになつておるんで、従つて国会に出されておる裁定は、一項から五項まであるわけですが、政府国会の承認を求めようと考えられておるもの言い換えれば予算上不可能な裁定というものは、一項から五項まで全部含んでおるものか、言い換えれば国会審議の範囲をどこに求めて政府はお出しになつておるか、この点についての政府の御答弁を願いたいと思います。
  36. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 予算に載りました金額は第一項から五項までを含むつもりで予定しておるわけでございます。併し国会でおきめ願5問題は、第一項の基本金額はそのまま、基本給はそのままで、十一月から実施とういこと。一第二項以下は国鉄と労組との間の団交によつてその通りやるという線でお話合をして行きたいと、こういうふうに思つております。
  37. 中村正雄

    中村正雄君 私のお尋ねしておるのは、一項から五項までありますが、予算と離れまして、裁定自体の案件について、政府国会の議決を求めておりまする項は、一項だけを求めておるのか、一項から五項まで全部、裁定書全般について承認を求めておるのか、これをお聞きしておるわけです。
  38. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) それは裁定害全体を提出いたしておるんでありますから、一項だけではないというふうに私は思います。
  39. 中村正雄

    中村正雄君 そういたしますると、二項、三項、四項は、なぜ予算上不可能な裁定か、それをお聞かせ頂きたい。どれだけ予算上不可能な金額になつておるか。
  40. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) これは全体一項から五項までを通しまして、予算の上で賄つて行く。これを全体として考えまして、これを提出いたしたのでありまして、全体としてお考え願う。それに若干の増額をそれに見積つておるという心持でございます。
  41. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、全体として足らない金額は事由書にもはつきり示されておりませんが、一項から四項までを完全に実施するとして、現在の七百八億の予算の枠では賄なえないから国会の議決を求めている。賄なえない金額は総計幾らになるか、お聞かせ願いたい。総額で結構です。
  42. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) これは只今申上げましたように、裁定により若干を考えられるのでありますが、どれだけそれじやこれから先団交によつて出すことになるか、これはふところ勘定等も見合わせ、今までの例は全体から見ますと、足りないのは第一項の問題は強く頭に入れるのでありますが、第一項の基本給も認め、その後もずつとこれから先の折衝ですが、何がしか増すという点になりますと足りないういとごとでございます。
  43. 中村正雄

    中村正雄君 私出し方の問題並びに公労法の規定から考えますと、裁定に示されておりますのは第一項であつて、これは八月から一万三千四百円、それが現在の給与予算で足るか足らないか、足れば問題はありませんが、足らない場合これによつて一応国会に出さなくちやならん。二項、三項、四項については当局と組合と団体交渉をやつて、そうして決りました金額が現在の予算で足らな場合、いわゆる十六條の本則の予算上不可能な協定になるわけなんですが、これを国会に出して来る。これが大体公労法の規定の私は精神じやないかと思う。言い換えれば示されております金額は一万三千四百円を八月からということで、現在の予算では何ぼ足らないということははつきりいたしております。従つてこれについて国会の承認を求める。二項、三項、四項は、これはそれまでに間に合えばよろしいが、裁定が出まして、直ちに団体交渉を開始せよと書いてありますが、組合と団体交渉を開始して、二項の協定ができた、三項の協定ができた、四項の協定ができた、その協定全体の額をそろばんした場合に、現在の予算で不足するということになれば、これは予算上不可能な協定ですからそれを国会の承認を求めるという十六條の二の本則に悖る、こういう出し方をするのが本当であつて、今大臣の答弁のように一項から五項までですと、二項、三項、四項は、これは団体交渉をやつて見なければわかりませんが、無限に数字は拡がる。或いは又予算上可能な結果になるかもわからない。或いは政府の想像以上の予算上不足な金額になるかもわからない。零から無限に拡がるわけなんです。それから一項、二項、三項、四項まで出しておりますという政府考え方、これは公労法を拵えましたときの精神、今の公労法の建前から言つて、私は扱いとしては間違つていると思う。これは間違つているかどうか、これはあるわけで、政府の解釈は間違つておらないという解釈であれば、一応私の意見として申上げておくわけなんですが、そういたしますと、今大臣のお考えによると、二項から四項までは団体交渉によつてはつきり数字はする、こうおつしやつておりますが、これは団体交渉によつて組合の要求が通るか当局の主張が通るかわかりませんけれども、今後団体交渉をするまでに裁定について国会に意思表示をするまでにすでに予算案が出ております。八百十五億弱という給与総額の枠を出して来ている、そうすると政府としては今後の団体交渉は八百十五億弱という給与総額の枠の中で、二項から四項までの団体交渉をさす意味か、或いはこれは当局と組合と自由な立場で団体交渉をやつて出ました結論が補正予算が通つたのちにおきまして、八百十五億弱という給与予算の枠を上廻わるということになれば、いわゆる予算上不可能の協定として次の国会の承認を求める意思で出して来るお考えかどうか、その点をお聞きしたい。
  44. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今のお尋ねでございまするが、政府予算は一応の見込みだけでございますので、団体交渉は飽くまで双方の話合いによつてきまる。その結果政府予算上、資金上不可能であるという場合には更に改めて公労法によりまして国会の議決を求める、こういうことに考えております。
  45. 中村正雄

    中村正雄君 それでは大臣に僕は一つ確認しておきたいのですが、今までの例から参りますると、確かに国鉄の従事員団体である労働組合と当局との間におきまして、賃金問題については団体交渉によつて解決できるように、公労法という規定では法的措置が講ぜられております。これは形式上組合にも団体交渉権があり、国鉄当局にも賃金問題に関しまする団体交渉に応じまする当事者能力は認められおります。併し実際上は予算総則という給与総額を先にきめてしまつて、この枠内で団体交渉をやらしておりますから、いつの場合でも賃上げ問題に関しましては、当事者間の団体交渉で解決を見た例はありません。すべて次は協定に行き、最後仲裁委員会に持つてつて、而も出されました裁定は現在の予算を上廻る裁定でありますから、最後国会に持つて来て国会の承認を求めるということで国会が解決すると、こういう経過に過去の賃金争議はすべてその例を踏んでいるわけなんです。従つて、若し今大臣に代つて政府委員が答弁せられましたように、二項から四項まではこれは団体交渉によらなければきまらない。従つて政府が出しておりまする八百十五億弱の予算補正というものは、これは一応の枠をきめたものであつて、当事者間の自由なる意思によつて団体交渉をやつてもらい、きまつた結論がこの枠で賄えない場合には、改めて本則に戻つて、私の言うように十六條の予算上不可能な協定として国会に提案すると、こういう御答弁でありますが、これは一応形式上はそのまま受取れると思いますけれども、実際上の問題として、二項から四項に亘りまする国鉄当局と労働組合との団体交渉につきまして、政府がこの枠で押えるような牽制を国鉄当局にせられますると、今ねつしやつたことは単なる国会の言い逃れの答弁にしか過ぎなくなる。これは私先ほども申上げましたように、私は新らしい大臣をいじめようというような考えで質問しているわではございません。これはお互いが皆協力して裁定を完全に集現しようという共同目的のために質問しているわけなんでありますので、今私の言いました点について、大臣は責任を持つて二項から四項までの当事者間の団体交渉については制約を加えないと、自由なろ団体交渉によつて完全なる結論を出してもらいたいということをこの委員会でお約束できるかどうか、もう一遍確認したいと思います。
  46. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 只今のお尋ねでありますが、どういうところに落着きまするか、只今のお話でありますと、予算の範囲内ではできない場合の問題の御質問と思いますけれども、これは私ども政府の者として、今の予算を組む場合に、いろいろ、な方面の情勢も考慮して一応予算を決定しておるのでありますから、予算の範囲内において妥結されることを熱望しております。万が一それができない場合にはどうなるかというと、それはそのままそれでは是非承認をするというお約束は私としてはできないのでありまするが、どういうふうな折衝になりまするか、私は両者の間に、両方を尊重し、両方譲り合つてここいらで辛抱して行くと、両方辛抱し合うような線が出て来ることを期待いたしております。
  47. 中村正雄

    中村正雄君 予算の枠内で決定せられることを望むという一応の意思は、これは立場を変えれば政府の意思はわかります。併し若しその意思が八百十五億弱のこの予算補正というものは二項から四項までに正確な数字を出してのこれは総額がきまつております。そうなれば、当事者間の自由なる団体交渉によつてきめるとおつしやいますけれども、すでに政府は二項から四項までについてはどれだけの金を出そうという意思を決定してこれを国鉄当局に押付け、国鉄当局は労働組合との団体交渉においてこの既定方針を堅持して押付けるということになれば、今おつしやいました自由なる団体交渉において結論を出すということは、実際的には政府の意思によつてもうきまつてしまうという結果になる。勿論今の国鉄の財政から考えて、国鉄自体の金で十分賄えるのであれば、これは国鉄当局も自由な立場でやれるでしよう。併し今め国鉄の独算制は、政府が非常に両足を縛つた独算制ですから、政府からの援助がなければ国鉄の財政はやつて行けないと、こういうときにおきましては、でなくても国鉄の財政は政府によつて牽制される。そとときに、表向は団体交渉によつてきまると言つておきながら、裏に廻つては既定方針を出して、これ以上は団体交渉に応じてはいけないと言つて国鉄予算の細目をきめた枠を嵌めておいて、これで団体交渉しろと言えば、総裁の手と足を括つてこれで走れというのと同じですから、それではあなたの今の御答弁ではその場限りの言い逃れの答弁にしか過ぎない。従つて、どういう団体交渉の結論が出るかわかりませんが、八百十五億弱の予算というものは、一応政府考えであつて、これによつて縛るものではないと、両当事者間の自由なる団体交渉によつてこの枠で収まれば、これは政府の希望通りでしようが、枠を超える場合があつても、それが妥当な結論であれば、予算措置が講ぜられる講ぜられないは別として、国鉄当局に一応妥当な結論を出すように指示をして、この枠で縛るような牽制はやらないということだけは、僕はこの委員会で大臣の今までの御趣旨から行けば明言できると思う。その明言をもう一度確認したいというのが私の最後の質問なんです。
  48. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私は両者の間に、只今申しましたように、ここいらで辛抱しようじやないかという、両方から思いやりの気持を持ちながら話のつくことを勿論期待しておるわけであります。その意味におきまして、どこまでどうだということをもうそれ以上御追求にならないで、両者の心を開いての話合いをさせようじやないかという線で、一つ私もそれをパックするという心持にお取りおき願いたいと思います。
  49. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますると、出されておりまする補正予算の枠は、一応政府の希望であり、枠ではあるけれども、当事者間の自由なる団体交渉によつて適当な結論の出るということを政府は期待いたしておると、若し出まして適当な結論がこの予算の枠を超える場合であれば、これは予算上不可能な協定として国会にもう一度提案すると、その場合におきまして国鉄当局を予算でがんじがらめに縛るような牽制をしないというところまでは大体了解してよいわけですね。
  50. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) そこまで押し詰められてのお答えは遠慮いたしたいと思います。
  51. 中村正雄

    中村正君 いろいろ質問もありますが、お約束の一時が参りましたので、明日に一応譲ります。
  52. 内村清次

    内村清次君 関連いたしますが、先ほどの監督局長が言われました、今回の自由な団体交渉によつてこの予算の八百十四億九千万円の枠を超えるようなことがあつた場合においては次の国会においてそれは提出をしますと、これはやはり大臣もその言葉に対する責任は、これはもうはつきり御確答ができますですね。これは大臣の分身として言われた、次の国会におけるところの予算国会承認の予算額の問題になつて来ますがね。だから、この点は責任持てますですね。
  53. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) それは今政府委員からお答えいたしました通り、それが筋だと私は思つております。そのときの情勢もあるかもわかりませんが、筋は私その通りだと思つております。
  54. 内村清次

    内村清次君 問題は、これは委員会としても重要な問題でありまして、今回の差額が約百六億九千三百万円くらいになつて来ているんですが、八月から実施いたすといたしまして、八十八億六千万円になるわけですね。その差額が第二項以下の団体交渉の枠であつて、この枠というものは我々には承服することはできない、又これは大臣自体も先ほど自由なろ団体交渉を拘束するものではないというようなお話にもなつておりますからこれは了承いたしますが、問題は年末にすべてを解決しなくちやならないという大きな問題があるのです。年末にですね、この点はやはり年末でこの問題は解決し得るところの、即ち予算の問題の経路、それから次の国会に要求するというような手続の問題、こういう問題も含めて大臣はこの裁定問題に臨んでおられるかどうかという確言を一つしてもらいたいと思います。
  55. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私どもの一番心配、いたしておりますのは、だんだん時が経つて年末に手当も出せないようなことになることを一番虞れる。成るべく早くこれを出したいと思います。話合いをきめてもらいたいということをお願しておきます。
  56. 高田寛

    理事高田寛君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  57. 高田寛

    理事高田寛君) 速記を始めて。それでは次回は明日の午後一時に又会議を開くことといたします。本日はこれを以つて散会いたします。    午後一時二分散会