○
政府委員(
中村豐君) 私から
自動車局所管事項の概要について御
説明申上げます。
すでに
自動車局関係の仕事については、たびたびの
法律案審議その他によ
つて十分に御了承を得ていることと思いまするけれども、この機会に改めて概要を御
説明申上げまして、又今後の問題についても触れて見たい思うのであります。お手許に配付いたしました九番の
自動車馬所掌事務の概要という資料について概略を御
説明して行きたいと思います。先ず二十五頁の
自動車保有台数の推移というのがございますが、これを見て頂きたいと思います。最近
自動車は非常に発達して
普及増加をして参つたわけでありますが、その数字を見ますると、昭和十年においては合計において十七万台、
戦前最高の年は十三年でありましたけれども、これが二十二万二千台に過ぎなかつたものが、最近の二十七年八月末においては実に六十万三千台に達しているわけであります。その内容を少しく仔細に見て頂きますと、
貨物自動車、
普通車、小型車の合計は
戦前最高は十五年の十二万七千台でありましたのが、最近ではこれが三十八万台にな
つている。
乗合自動車は最高は十一年の二万八千台でありましたのが、これは二万三千台に復旧しております。
乗用自動車は
営業用、自家用含めまして、十二年の六万台が最高でありましたのが、最近は七万三千台にな
つている。その他も合せまして合計は実に六十万台に達しております。最近の傾向を見ますると、日本において毎月々々一万台ずつ
自動車は殖えている。一年間に十二万台余りが
増加しまして、このままで参りますれば二年くらい先には百万台という
大関門を突破するに至るであろう、かように思
つておるのでありまして、最近の
自動車の
普及状況を如実に現わしていると思うのであります。そこでそのような
自動車について政府は如何なる体制をと
つているかということになるわけでございますが、資料の三頁に戻
つて頂きまして、
自動車局の中央及び
地方の機構でございます。これについては
文書課のほうから
運輸省全般の機構として
説明があつたことと思いますが、簡単に申しますると、
運輸大臣の下に各局があります中に
自動車局がございまして、それに総務、財務という直属のものがあるほかに、
業務部と
整備部があるわけでございます。
業務部はバス、
タクシー、
ハイヤー、
トラック、通運、
道路、調査というようなもので、
自動車運送事業などの業務の
監督をするところでございます。
整備部は
登録資材、
整備、車両というふうな
自動車の
整備、
技術部門を担当する、こういうことにな
つているわけであります。
次に
地方機構としまして
陸運局が全国九ブロックにあるわけでございまして、その内容としては総務、
鉄道、
自動車、
整備というふうにあるわけであります。更に末端になりますと、各
県ごとに
産運事務所どいうのがございまして、これは知事の下に所属しているわけであります。ただこの性格は知事の下に所属はしておりまするけれども、人事及び
予算については
運輸大臣が直接これを握
つているのでありまして、その意味では
直轄機関と
言つても差支えないと思うのであります。
以上が
自動車に関する機構のあらましでありますが、それでは如何なる仕事をしておるかということを申しますると、簡単に申しまして、先ほどの
業務部においては、
自動車運送事業、つまりバス、
タクシー、
ハイヤー、
トラック、それから
自動車道事業、
自動車道を
営業とする
事業、それから
通運事業、
日本通運その他の
通運事業というものを
監督すると共に、
整備関係で登録、
車体検査、
保安整備というような仕事、それから資材その他の仕事も兼ねておるということでございます。
そこでこのような仕事が
国家事務であるか、或いは
地方事務であるか、
地方事務であるとすれば、これは
運輸省が直接にやろよりも
都道府県知事にやらせたほうがいいのではないかということで、
地方分権思想の強化という
考え方から、
地方委譲問題がかねてから強く議論されたのでありまするが、
運輸省としましては、
自動車行政は極めて重要な
国家事務であるという見解をと
つておるわけでございます。その根本的な理由を極く概略申しますると、
自動車事業というものは、常識的にもわか
つて頂けますように、非常にその
機動性が強くな
つて、数時間にして一つの府県の境を越えて他の府県に行くというように、極めて
行動性が広いもので、数府県に跨るものでありますから、これを小さい一府県の
行政でやるということは
自動車の実情に合わない。
自動車行政は
広域行政であるということが先ず言えるのであります。
第二は
自動車炉発達しまして、必ずそこに
国有鉄道或いは
地方鉄道軌道というものと
競争関係或いは
協同関係が起りまするし、又航空、海運というものともいろいろと調整問題が起るのでありまして、そのように全
交通機関を通じて総合的に
行政をする必要があるという意味から、
自動車行政の
総合性ということが極めて重要になろのであります。そのような議論から
自動車行政は
国家事務として極めて重呼、なものであ
つて、これを
地方事務に対することはできないというふうに考えるのであります。その他
通運行政にしましても、或いは
車体検査、登録というふうな
整備行政にしましても、ひとしく国家的に総合的にやるべき仕事である、かように思う次第であります。
運輸省自動車局の
所管事務で、特に特色的なことは、
自動車行政というものの、
自動車行政に関するすべての事項を
運輸省で所管しているのではないのでありまして、このうちの重要な部分が
運輸省ではなくて、よその省によ
つて所管されておるということであります。六頁に書いてありますが、先ず
自動車の
生産行政というものは、
自動車行政の重要な一部門であるにかかわらず、これは通産省に所属しております。又
道路行政も極めて重要な
自動車に密接不可分な
関係にあるにかかわらず、これは
建設省でや
つております。又
道路交通取締と申しまして、
自動車その他の車馬が
道路上を交通する場合に、いろいろと取締をされるわけでありますが、この
行政は
警察関係に所属しております。このように重要な三つの部門が
運輸省ではなくて、よその官庁に所属するということが
自動車行政の
一元化を阻害して、
自動車行政の統一を欠き、混迷に陥らしめている理由でありまして、この点はかねがねから
運輸省といたしましては、
自動車行政の
総合一元化を是非図るべきであると申上げておるのであります。誠に現在の状態は完全なものとは言えないのでございます。
次に
自動車行政を行な
つて行く上につきまして、その根拠となるべき
法律、
命令等について御
説明申上げますと、先ず
事業の管理を
監督をする
行政関係の
根拠法令といたしましては、
道路運送法というものがございます。それに基きまして、いろいろ政令、省令が出ておるわけでございます。これによ
つてハス、
タクシー、
ハイヤー、
トラック等の
自動車道路事業参等の
監督がされるわけであります。その次の大きな
法律としましては、八頁に
通運事業法というものがございます。これは
日本通運その他新らしく免許、されております
通運事業者を対象とした
法律でございます。このような
道路運送法や
通運事業法は主として
事業を
監督する法規でありまして、このような
事業は非常に重要な
事業でありますので、
自由営業とせずに
運輸大臣又は
地方の
陸運局長の免許を受けなければ
事業を開始することができないということにしてありまして、資力、信用のないものが勝手に
営業をして
社会公衆の利益を害することのないようにいたしているのであります。極めて
公共性の強い
事業として
免許制度にしておる。又
事業計画の変更とか、
運賃の変更であるとか、譲渡、合併その他をすべて許可又は
認可事項にしているというふうに
法規制の程度の強いものでありまして、これはこの
事業の
公共性から当然出て来る結論であると思うのであります。
車両保安に関しましては、
道路運送車両法といううものがございまして、昨年の国会で議決して頂いた
法律があるわけでありまして、これによ
つて車両の
検査登録或いは
整備保安ということに関して規定されまして、それに基くたくさんな政令、省令が出ているわけであります。その他重要な
法律としましては、十頁にあります
自動車抵当法と
道路交通事業抵当法という二つの
法律がございます。この二つは
自動車の
関係に対して金融の道を円滑ならしめるために国会において議決して頂きました
法律でございまして、
自動車抵当法は
一つ一つの動産である
自動車を
抵当権の目的にすることを認めまして、
車両購入資金を、
短期小額資金を融通する道を円滑にした
法律でございます。
道路交通事業抵当法は
自動車運送事業、
自動車道事業或いは
通運事業、その
事業を全部一体として、その
事業を構成するいろいろな動産、不動産その他のものを一体として財団を設定しまして、それを
抵当権の目的にして
長期多額の
資金を融通する方法を講じたのでございます。これらの
法律はいずれも国会に恥いて御
審議御決定を頂いた
法律でございまして、その
実施模様を見ますると、極めて時宜に適したものとして
車両事業者から非常に歓迎されておりまして、その利用の回数は極めて多いのでございます。
それからあとは詳しく
自動車行政の内容について説明してございますが、これは大体要点を御
説明申上げましたので、詳しいことは資料について御研究願いたいと思います。
最後に、
自動車行政として当面しているところの重要な問題について数項目に
亘つて概略を御
説明申上げたいと思います。十九頁以下にその項目を列記してございます。第一は、
国営自動車に対する
行政方針でございます。
国営自動車の最も代表的なものは、
日本国有鉄道で経営しているところのいわゆろ
国鉄バスでございます。これに対する
行政方針をどう考えるかということはたびたびの国会で問題になり、又いろいろな方面から陳情、請願を受けているわけでございますが、
国鉄自動車については
日本国有鉄道法によ
つて性格に制限があるのであります。それは
日本国有鉄道に関連する
自動車運送事業とありまして、
国鉄との
関係のない路線はできないことにな
つております。これを具体的に申しますると、
国鉄の
建設予定線に対して、
建設がされる前にあらかじめバスでやろうという
先行線というものが第一であります。第二は、
建設をする代りにハスで以て済ましてしまうという
代行線というものが考えられます。第三は、
鉄道の線と線との間を三角形の一辺を行くがごとくショート・カットをするという
短絡線というものが考えられます。第四に、
鉄道線を培養するところの、
鉄道線に対して枝葉の使命を果すところの
培養線というものが考えられます。まあこのような四つの性格に限定されると思うのでありますが、そこで各
地方から
国鉄バスを動かしてくれという非常に熱心な要望があるのでありますが、その場合に以上の性格に当嵌まして、それに該当するかどうかを検討するわけでありまして、それに該当すればよろしいが、該当しなければ、
国鉄バスとしての性格に入らないということで、これはお認めすることができないわけであります。そこで該当した場合に、若しそこに
民営事業者があつた場合に非常に問題が複雑になるのでありまして、多くの問題はそのような場合に発生して来るのであります。
民営事業と
国営事業との
関係については、
運輸省としては従来から特に分け隔てをして考えておりません。
公共事業であるから是非とも国営ですることが望ましいのである、民営ではいけないのであるということは考えてはいないのでありまして、
民営事業とえども、先ほど申しましたような
道路運送法その他の
法律によ
つて厳重な
監督に服する義務を負わされておりますから、
公益事業として十分な
適格性を持
つておる。これは
運輸大臣及び
陸運局長が十分に
監督指導をしておるのであるから、その責任、義務を十分に尽す限りは
民営事業で十分であるという考えを持
つておるのであります。そこで
国営バスの申請がありました場合に、その土地にすでに
民営事業者が存在しておるような場合に、果してその
民営事業者が十分の責任と義務を尽しておるかを厳重に審査するわけでありまして、十分な
サービスをしておれば、あえてそれに対して
国営自動車を認める余地がないということで、
地方の要望の熾烈なるにかかわらず、その場合には却下されることが多いのであります。ただ遺憾ながら
民営バスが十分な責任と義務を尽していないというような場所で、而も反省し、改善する見込が到底ないというような場合には、その場合にはこれに対して取
つて代るべきものとして
国営自動車を認める、このようなことになるのでありまして、その辺の実情に即した慎重な考慮と判断が絶えずされろわけであります。
国営自動車に対しては、このような
考え方を以ちまして対処しておるわけであります。これらの点につきましては、前国会においても、前
村上大臣から詳しく御
説明申上げたいと思うのであります。
当面の問題の第二は、
通運事業の
免許方針でございます。戦争中たびたびの統合によ
つて、日本の
通運事業が
日本通運株式会社によ
つて殆んど
一元化されたということは御承知の通りでございますが、終戦後、このような形は独占形態である、従
つてこれを排除して複数制にすることが日本経済の民主化のために必要であるという議論が起
つたのであります。で、
運輸省としても慎重な研究の結果、独占の形態を改善すべきであるという結論に達しまして、各主要な駅において新らしく
通運事業者を免許して、
日本通運、従来の
日本通運、又は地区統合の通運会社に対して競争業者を導入して、この間に公正自由な競争をさせるという体制をと
つたのでございます。その根拠にな
つたのが
通運事業法でございます。それに従いまして、各地において
通運事業の複数化を推し進めておるのでありまして、主要な駅についてはすでにその複数化が完了したのであります。十三頁を見て頂きますると、通運業者の業者数が書いてあります炉、昭和十二年頃には七千八百以上もあつた業者が、昭和二十年においては二百四十三に減少しております。これは戦時中の統合によ
つて、弱小な業者が……、
国鉄の輸送能力を最高度に発揮するために弱小な業者を統合して、
日本通運の直営によ
つて通運能力を向上する、又は
地方の地区においては地区統合会社に統合するという方針がとられた結果、二百四十三まで減
つたのであります、このうちの
日本通運はその一つになるわけでありまして、二百四十二といものは地区統合会社その他の限定業者であります。ところがこの形を、先ほど申上げましたように複数制を推し進めることによ
つて逐次改善して参りまして、二十六年においては、業者数において七百七十三というところまで上りました。複数化の完了したのは全国主要駅千三百以上にな
つております。で、おおむね複数化は完了したのでありますが、今後残された問題として、
地方の中間駅或いはそれ以下の小さい駅において複数化をどのように完了するかが残
つておる問題であります。
第三の
自動車運賃の問題は、
道路運送法によ
つて新らしく定額制と現払制というものを認めて頂いたのでありますので、その実施の時期に丁度立至
つておりますので、これを実施しようとしております。只今問題にな
つておりますのは
トラック関係でございまして、この十二月から路線
トラックについて定額制を実施いたすことにな
つておるのでありまして、大体業界も歩調を合せてくれまして、妥当な線がまさに出ておるのであります。
タクシー、
ハイヤーについては、すでに東京においては定額制が実施されまして、事実上は値下げという現象が起
つておるのであります。バスについてはもうすでに早くから定額制が実施されております。で、今後も標準基本賃率を策定しまして、定額制、現払制の実施に遺憾なきを期して行きたいと思
つております。
第四は輸送秩序の確立という問題であります。輸送秩序と申しますのは、
道路運送法に従
つてハス、
トラック、
タクシー、
ハイヤーのような
事業は
運輸大臣の免許を受けなければできないというのにかかわらず、免許を受けずに自家用
自動車が一般の貨物、旅客を扱
つて違法な
営業行為をしておる、それを十分に取締りしまして、輸送秩序を確立しなければ、業界の体制が混乱しまして、延いては荷主、公衆に対して非常な不便を与える。是非とも
法律の権威のためにも、荷主、公衆のため、或いは公共の福祉のために輸送秩序を確立する必要があるというので、本年当初から、
運輸省としては、全力を挙げてこの問題に乗出したのであります。で、最も弊害のひどいのは
トラック界でありまして、自家用
自動車が戦後どんどんと
増加しまして、戦前は
営業用が大部分でありましたのに、最近に至
つては、
営業用に対して自家用が大型車において二倍、小型車において十倍にも上るというふうに、大部分が自家用になりましたので、これらの自家用車が本来の自家用のみの仕事をしてもらうならば何ら問題がないのでありますが、それが
営業の仕事をやりますために輸送界が非常な紊乱を来たしておるのであります。これを先ほど申しましたような趣旨から、何とかして一日も早く秩序を確立して、正当な、正常な姿に直したいと思
つておるのであります。そのためには
事業者免許を受けた
事業者自身も公共的な運営をして頂いて、十分に荷主の満足の行く
サービスをしてもらいたい、
運賃を正当に守り、その他立派な業務を遂行してもらうことが必要なのでありましてこれも同様に業界に要望して協力を求めておる次第でございます。
第五番目は都市交通の調整問題でございます。大都市がだんだんと戦前の人口に復し、更に過大都市になるような傾向が起りますと同時に、都市交通も非常に混乱しまして、従来の
国有鉄道或いは
地方鉄道、軌道というもののほかに
自動車、バス
トラックが非常に都市に集中して参
つて、その輸送を混乱さしており、特に東京都においては御覧のごとく
自動車の数が非常に殖えましたので、輸送状態が非常に混乱して、
自動車があ
つても却
つてスピードが出ずに不便であるというふうに過大都市の弊害が出て来つつあることは御覧の通りであります。そこで何とか都市の
輸送力を増強し、併せてその間の調整均衡化を図りまして、
鉄道、軌道、
自動車がおのおのその分野において十分に使命を果して、而もその間に摩擦なき調整された、均衡化された状態を作り出す必要があると思うのでありまして、これは戦前に行われた都市交通調整とは別個の、もつとより高度の角度から調整均衡化を図りたいと思
つておるのであります。特に
自動車の問題として重要な問題は、路線を定めてハスや
トラックを運行する、そのような
事業のターミナルを
整備する必要があると思うのであります。ターミナルと申しますと、まあいわば総合発着所というようなものでござまして、
鉄道で言えば中央ステーシヨンというようなものに当ると思うのでありますが、バス、
トラックも重要な
交通機関として非常に発達して参りましたから、都心に総合発着所を設けまして、そこに各路線を集中することによりまして、相互の乗換えの便、連絡の便をよくし、又
道路交通を阻害する弊害を防ぎまして、燃料、資材、運転費の節約を図るというふうに、又いろいろな旅客接遇設備、荷主に便益を与える方法を講じまして、利用者及び業者とも十分に能率を上げることを考える必要があるのでございまして、アメリカなんかに非常に発達している制度でございます。この方法を我が国においても是非確立して施設を
整備いたしたいと思いまして、いろいろと研究を進めておるわけであります。都市交通の問題として最近特に重要な問題はパーキング施設、駐車場の問題で、ございまして、余りに
自動車が都心に集中する結果、却
つて自動車の能率を阻害して不便が起
つておる、それを能率化するためには駐車場施設を
整備して、
自動車の駐車を整頓すると同時に、必要なときにはいつでも車の回転ができるようにする必要がございます。又その一つの形として車庫の問題が重要にな
つて来たのでありまして、かような点についても急速に将策を謹じたいと思
つておる次第でございます。
第六番目は外国
乗用自動車の輸入政策でありまして、これは前回の国会においてもいろいろと御
審議を願い、御心配を煩わした問題でありまして、非常に立遅れた日本の
乗用自動車の体制を
整備する必要がある。車齢が平均十三年以上にも達したような老朽な乗用車を早く淘汰しなければ、保安上も非常に憂慮すべき状態だというので乗用車を外国から新らしく入れなければならないという問題でございます。ところがこの場合に問題になりまするのは、国産
自動車の生産
事業との
関係でございまして、日産、トヨタその他の国産
自動車を保護育成すべきであるという政策と抵触するわけでありまして、この間にいろいろと調整を図らなければなりません。これについては通産省ともその後たびたび折衝しておりまして、逐次
考え方の調和点を見出して来つつあることは誠に結構なことと思うのでありますが、今後とも十分に国産
自動車との調和を考えながら外国
乗用自動車の輸入の促進を図りたいと思
つております。
第七番目は
自動車事故の防止方策てございまして、たびたび申しましたように、
自動車の台数が極めて殖えために各地において
自動車の事故が頻発しておる。そこで
運輸省としましては、
道路運送車両法に基きまして車両検査ということをしておりますが、その能力を拡充し、又検査施設を拡充する必要があるのであります。各陸運事務所の管下において車両検査場が各建ごとに一カ所乃至ニカ所あるのでありますが、そのうち車両検査というのは名ばかりであ
つて、実際何ら形のあス検査場を持たないところが二十数カ所もあるのでありまして、そういう、状態で十分な検査を行うことが到底不可能なのであります。
運輸省としては、一昨年から車両検査施設
整備五カ年計画を立てまして努力しておるのでありますが、
予算折衝において十分な成果が得られずにおることは誠に残念でございます。今後とも
予算において十文に検査施設の
整備について努力いたしたいと思いますが、この点については十二分の御理解を持たれて御
審議願いたいと思う次第であります。
自動車事故を起す最も大きなポイントは
鉄道の踏切でありまして、踏切における
自動車事故は必ず人命に影響を及ぼすような結果になるのでありますので、
鉄道施設の
整備を図ると共に、その責任
関係或いは権利義務
関係を明確にする必要があると思いますので、
鉄道踏切施設の保安に関する法規を制定いたしたいと思いまして、目下
関係各所と極力折衝中でございます。
鉄道踏切の問題は事柄は極めて重要でありますが、ただこれを改善するためには相当の費用を要しまするし、又
鉄道踏切というものは
鉄道線路であるのか、或いは
道路であるのかという点について不分明な一点があるむしろ両方が丁度重複した点でありますので、さような点についても不明確なので、
鉄道関係或いは
道路関係からはその必要が十分あつたにかかわらず、法規を作
つて明らかにするような機運が起らなか
つたのであります。我々
自動車関係者としては、そのために一番迷惑を受けろ立場にありますので、
自動車局が音頭をと
つて鉄道及び
道路関係に賛成をして頂いて、今申したような踏切保安法というようなものを是非制定したい、かような努力をしておるのであります。又
自動車運転技術を向上さして、間違いのない運転をさせるためにいろいろ努力をしておりまするし、最近は各バス業者の間から優秀な運転手を東京に集めまして、運転競技会を実施して非常な好成績を収めたこともあるのであります。
最後に重要な問題の第八番目として、
自動車事故の賠償責任保障制度を確立いたしたいと思います。
自動車が非常に殖えますると、如何に努力をしましても必ず事故の起ることを防止で貸ない。そうしますると、その
自動車に棄
つていたお客さん、或いは荷物の荷主、或いは
道路上を通行する第三者に傷害事故を起すのでありまして、このような第三者を保護することは一種の社会保障制度として是非とも必要なことであるのであります。ところが現在はこのような事故が起
つても、
自動車所有者と被害者との直接の折衝に任せられておりますので、その間には泣き寝入りをするような問題も起り、ごたごたが絶えないのであります。これを何とか事務的に技術的に極めて明快に解決をする必要があるのでありまして、そのためには
自動車業者と言わず
自動車所有者に賠償責任を義務付けまして、それによ
つて事故が起ることに簡単明瞭に解決する方法を講じたいと思うのであります。その方法としては、例えば保険を必ず付けなけりやいけないと強制する方法とか、その他或いは他の自家保険の方法或いは補償制度を利用するとか、いろいろと財務責任を負わす方法が考えられるのでありまして、いずれの方法をとるかは今後の研究問題といたしましても、何とかこの際に賠償責任を補償する制度を確立いたしたいと思
つております。これは欧米の文明国においては、ごとごとくこの制度が確立しておるのでありまして、我が国だけが文明国であるにかかわらず、未だこの制度が確立していないのは誠に残念なのでございます。その具体的な内容を如何に盛り込むかという点については、いろいろ問題がございますので、
運輸省といたしましては、
関係業界或いは学識経験者の御意見を篤と拝聴しまして、成るべく近いうちに成案を得て国会に提案したいと思いますから、その節は是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。
大体当面する問題をピック・アップしまして、大ざつぱに申上げましたが、その他来年度の
予算を要求しておる新規
事業として特に新らしい問題二、三を申上げておきまして、御参考に供したいと思います。第一は、
自動車の輸送状態を調査いたしたいと思います。非常に発達した
自動車の輸送が、果して如何なる状態にな
つているかを動態においてつかみたいと思
つて、その
予算を考えているわけであります。第二は、高速
自動車道路の
整備という問題でありまして、東海道を初め重要な幹線に高速
自動車道路を
整備する必要がある、それについては如何なる交通量があり、如何なる体系を作つたらいいかということを研究調査いたしたいと思
つております。第三は、
乗用自動車の動態調査並びに耐久性能を調査いたしたいと思います。これは
自動車が発達して、
乗用自動車の需要が非常に殖えるに従
つてその動態がどうな
つているか。又国産車或いはアメリカ、欧洲からいろいろな暫し薪型の車が輸入されるので、各種の
自動車が如何なる耐久性を持
つているかを調べまして、日本の国情に最も適合したものを作り出したい、かように思うわけであります。第四は、
事業用旅客
自動車の運転者の適性研究をいたしたいと思います。旅客
自動車の
事業用旅客
自動車、つまり、バス、
タクシー、
ハイヤーの運転者というものは貴重な人命を預るものでありますから、この運転者が如何なる適性を持たなければいけないかということを研究しまして、曾
つて航空機の乗員についていろいろな方法が講ぜられたように、技術的な研究によ
つて運転者の適性を向上させたい、又不適格なものは端的にこれを発見できるような機械を製作いたしたい、かような点から適性研究を促進いたしたいと思
つているわけであります。
大体以上で以て
自動車局の
所管事項の概要の御
説明を申上げました。どうか今後ともよろしくお願いいたします。