○
政府委員(
荒木茂久二君) お手許に配付申上げました
民間航空の現状と申しますのを見ながら、御説明いたしたいと思います。
御存じのように
講和條約が効力を発生いたしますまでは、日本における
航空活動は禁止されていたわけであります。一部解除になつたといいますか、
航空の解かれてないほうの仕事をやるということで、不自然な形で、
自主性のない形で一昨年の十月二十五日から
日本航空株式会社が
ノーウエストの
飛行機をチヤーターして事業を始めたわけであります。四月に
講和條約が効力を発生しまして、初めて七年間の拘束から脱しまして、自由な活動ができるというような状態になつたわけであります。現在
国際航空事業がどのくらい日本に入つて来ておるかと申しますと、
アメリカ・からは
南廻りでパン・
アメリカン、
北廻りでノース・ウェスト、カナダからカナダデイアン・パシフイツク、フイリツピンからはフイリツピンエアライン、中国のCAT、
タイ航空、
オランダの
KLM、イギリスのBOAC、それから
スカンジナビア三国が
作つております
スカンジナビア・システムというものが来ておつたわけでございますが、最近フランスの
国策会社であります
工ルフランス会社が参ることになりまして、二十一六日に第一番機が参りまして昨夜
帰つて行つたのであります。なおベルギーのサベナが乗入れたいということも申出て来ておりますが、まだ具体化しておりません。こういうふうに羽田は世界の
航空の要路といいますか、大きな一つのステーシヨンになつて来たわけであります。我々
運輸省といたしましても、
航空活動の自由が回復されました現在におきましては、海外に乗出して外貨を獲得し、或いは今まで外国に
払つていた外貨を節約し併せて
国際交通を促進し、
国民感情の高揚を図るというような見地から、速かに世界の主要の地へ、我が国と経済的へ政治的に密接な関係のあります世界の主要の地へ
航空路を開設いたしたいと念願しておるわけであります。現在この国際線に進出するということにつきまして
申請書を提出しておるのが、
日本航空株式会社、
日本国際航空株式会社、
日本国際航空株式会社は
大阪商船が主体となりまして会社を
作つて、
アメリカのカリフォルニア・イースタンという軍の
下請会社でございますが、軍の下請けをしておる会社と
チャーターしてやる。飯野海運が、
オランダの
KLMが現在東京まで飛んで来ておりますが、それを
タイム・
チャーターというよりもクリップ・チャターしてホノルルまで行くという申請が出ておるわけであります。これらにつきましては目下
申請書を検討しておる次第でございます。国内の事情は
御存じのように、
日本航空が去年の十月二十五日からノースウエストの
飛行機を
タイム・
チャーターをして参
つたのであります。四月に
講和條約ができて自由になりましたけれども、この契約は一年間の契約でありますために、去る十月二十四日までその状態を続けまして、十月二十五日からは
自主航空に移るという建前の下に
飛行機を買いまして、現在
ダグラスDCI四を四機持つて自分の手で
自主航空の一歩を踏み出しておるわけであります。併し
乗組員につきましては、まだ
日本人がやるという状態になつていない。なお近くDC四が二機参りまして六機、相当のフリートを整えるという状態になつております。現在
御存じのように
東京大阪二往復、
東京大阪福岡一往復、
東京札幌一往復をやつておるわけでありまして、その
座席効率は七〇%から七五%となつておるわけであります。昨年の下半期、即ち十月二十五日から本年三月末までに四千三百万円、本年の上期が三千万円程度の赤字を出しておるわけであります。昨年度におきましては、
御存じのように
ガソリン消費税その他の税金を完全に
払つておつたわけであります。この税金がなかつたとするならば、或いは赤字がなか
つたのじやないかと思います。今年度に入りましては
ガソリン消費税が一年間だけ減税になりました。
飛行機の
輸入税も同じく一年間減税、
ガソリンの
輸入税が二割から一割、
潤滑油その他が三割のところを二割に、一年間を限つて減税されておりますのでありますが、
もく星号その他の関係で現在のところこれだけの赤字を出しておるわけであります。
現在然らば
国内航空に関しましてどういうふうに
申請書が出されておるかと申しますと、定期、
不定期の
運送事業、それから
航空機使用事業と申しますのは、現在空を飛んでビラを撒いたり
航空宣伝をやつておりますが、ああいうのを
使用事業と称しておりますが、その
申請社は併せて十七社程度に上つております。この中で現在免許されましたものは
航空機使用事業については
青木航空、
日本国際航空と
極東航空、
極東航空と申しますのは関西汽船が主となつておる会社でありまして、
国際航空株式会社、これは
自動車屋の小さい会社でございます。それから
日本航空の五社であります。定期、
不定期につきましては、地上の
保安施設の完備、乗員の
訓練等をいろいろ勘案いたしまして、運賃を取つて定期的に、或いは定期に近い
不定期の状態で運ぶということは非常に
安全性を要求いたしますので、我々としましては非常に慎重なる態度で臨まなければならないと考えているわけでございますが、現在は
日本航空一社を免許しているわけであります。
民間航空に対しまして政府はどういうふうな
助成策を講ずべきかという大きな問題があるわけでございますが、できるだけこの
自主運航ということを目途といたしまして、
航空審議会の答申にあります諸條項を勘案いたしまして
助成策を講じて、
自主運航と言いますか、
日本人の手によつてこの
国際航空路網を拡充して行きたいと考えているわけでございます。
四番目は、これは後廻しにいたしまして、五番目の
飛行場の現状でございますが、
飛行場は七月一日に羽田が返還になつたわけでございます。併しこれは形式上返還になつて
日本側が管理しているということにはなつておりますが、
日本側のコントロールしております部分は極く僅かな部分でございまして、ミリタリ・サービス、これは
マツツと称しておりますが、
マツツがあそこへ基地を置いておりますので、新しい事業を免許いたしましても、
航空機使用事業を許しましても、或いは又新聞社等におきましても格納庫その他に非常に困つている状百態でございます。我々は機会あるごとに返還部分を拡張してもらうように努力はいたしておりますが、なかなかはかばかしく行つていないわけでございます。なお松山、高知等二十三の
飛行場が返還されたわけでございます。これは小さい
飛行場がたくさん入つているのでありまして、その中には九つばかりのものはこれは返すけれども、滑走路だけは不時着用にいつでも使えるような状態にして置くという條付きのものであります。いずれにいたしましても将来
航空を再開するに当りまして、農地を買収して新たに
飛行場を作ることは実際上非常に困難でございますので、
航空路網の整備という見地から考えまして、必要最小限のものは
飛行場としてこれを保持して行きたいということを考えておるわけでございます。羽田という一番大きな
飛行場、それから小さいその他の
飛行場が一応形式上これは実際本当に役に立つと言いましても、現在の定期
航空上差当り非常に必要であるところの千歳、三沢、小牧、伊丹、岩国、板付、というような
飛行場は行政協定上、米軍の専用であるので、現在はこれのお許しを得て日本の
飛行機が降りておるという状況でございます。この状態を逐次そういうことのないようにしたいものであるということを念願しておるわけであります。
御存じのように
飛行機が天候がどうなつても飛べるという状態にいたすためには、地上における
航空保安施設を整備しなければならないわけでございまして、その整備施設は無線施設と照明施設とにわかれるわけでございます。現在
航空局が扱つております施設は、
保安施設二十二カ所であります。二十二カ所
航空局は運営しておりますが、そのうち七カ所は日本の民間交通と直接関係のないものとして、その経費はジヨイント・アカウントから日本政府に
払つておるものであります。照明施設といたしましては、
航空燈台がありまして、二十九カ所現在あるわけであります。又
飛行場の倉庫及びガス・タンク等に相当数の障害燈が点燈されておりますが、これらの障害燈につきましては、更に最近相当数を減少いたした次第であります。この
航空交通管制でありますが、今申上げましたように、地上の
保安施設を十分に整備すると同時に、これを利用して空の交通を管制するということが必要なわけであります。これによつて初めて安全なる
航空ができるわけであります。これは行政協定の実施に伴う日米合同委員会の取極によつて、安保條約によつて在日米軍が日本の防衛の責任のある間は管制組織の管理は在日米軍が行い、それからその管制業務の運用の責任は、これは
日本側が負う。管制業務の実際のオペレーシヨンは
日本側がやるという建前であります。現在は日本にその実力がないので向うがやつておるわけであります。日本がこれを引受ける、日本というのは
航空局でありますが、
航空局がこれを引受ける実力ありということが日米双方によつて認定されたときにこれを
日本側に移す、こういうことになつておるわけでございまして、
従つて現在は
御存じのように
航空交通管制は全部英語によつて行われております。非常に天気の好いときに小さい
飛行機で
飛行場の周辺を飛ぶというような場合を除いては全部英語によろ無線のコントロールを受けておるわけでありまして、日本の
飛行機が飛ぶにも常に英語のわかるパイロット、或いは天候のわかる者を乗せていないというと飛べないという状態であります。我が空は真の我が空ならず、
航空交通管制に関する限りは日本の空はまだ日本の空でないという状況であります。この状態を一刻も早く取り除きまして、日本語によつて日本の空を管制して行くという状態を一日も早く実現したいと考えて、
航空局から四名
アメリカの学校にやつて訓練し、更に十八名の定員をきめまして目下
飛行場のコントロール等において実習をいたしておるわけでありますが、これを日本語で全部やるという、こういうことになると、四百人以上の人を要するわけであります。そこで来年度においてご一の人の手配をいたして、十分の訓練を経て、再来年の六月頃までには日本の空が
日本人の手によつて管制される、日本語だけで国内は自由に飛べるという状態にいたしたいと考えておる次第であります。
航空乗員の状態でありますが、これは軍のほうは別といたしましても、終戦当時
航空機の
乗組員は民間だけで操従士四千八百人おつたわけでありますが、
航空士、機関士、通信士は合せて一万二千余人いたわけであります。その中にはもうすでに亡くなつた人もおりますし、老齢になつておる人もありますが、実に多い数でありまして、これらは長い者は一万時間以上の滞空記録を持つておるわけであります。短い者でも二千時間以上の者は相当たくさんおるわけでありまして、
飛行機並びに
飛行機の状態が進歩し、昔はなかつた現在の管制の実際を教えて六十時間乃至九十時間の実地訓練を行うならば、立派な
乗組員に仕立て上げることができるわけでありますが、現在それが実はできないという状況でありまして、
従つて日本航空なりその他の
航空会社ができても、今直ちに
日本人の手によつて運航するということは困難でございまして、若干の時日を要するわけであります。非常に高い。パイロットの運賃を
払つて飛ぶという状態は、一刻も早くなくしてしまわなければならないと思うわけでございます。
次は国際
航空條約の関係でありますが、
講和條約によつて連合国は効力の発生の日から四年間は日本に乗入れる権利を保証されておるわけでありますが、我がほうといたしましては、外国べ出るには一々外国の了承を受けなければならないと、いうことでありまして、そこで四年間の権利をとつておる所に対しても相互乗入れの協定を結ぶべく今各方面に努力をしておるわけであります。新聞等で
御存じのように、日米間においてはすでに調印を終つたわけであります。
アメリカ側においては批准を要しないわけでありますが、日本では批准がいるので遠からず今国会に提出されて、批准の手続が行われるものと思います。これはまだ調印だけでありますけれども、すでに
講和條約自体によつて日本は向うへ飛んでいけるという状態になつておるのでございます。なおイギリスとの間においてもいろいろの紆余曲折を経たわけでありますが、大体妥結いたして、遠からず調印の運びになる予定であります。なお最近
航空局から二人、外務省から一名参りまして、フランス、
オランダ、ベルギーと北欧三国、ノールウエー、スエーデン、デンマーク三国と
航空協定を結ぶ交渉を開始するごとになりました。そうむずかしいことではありませんので、比較的容易に円満妥結するものと期待しております。なお後ほど国際
航空路を開設して行く計画を御説明申上げますが、その相手方である国とは早急に交渉を開始し、話合いをつけたいものと考えておるの6あります。外務省を通じ在外公館と折衝を進めておるわけであります。
もう一つこの関係を申上げますと、国際
航空をやりますに当つては、各国政府としては国際
民間航空條約、俗にシカゴ條約と申しておりますが、そのシカゴ條約に加盟いたしまして、それによつてできております国際
民間航空機関(ICAO)、イカオとかアイケーオーとか言つておりますが、それに入るということが必要であり、又平和條約の宣言においても日本はその意思を表明しておりますので、この加入を申請した次第であります。先般ラジオ、新聞等で申しておりましたが、これが国連の総会にかかりまして、フィリピンを初め六カ国の欠席がありましたが、反対は一つもなく無事通過いたしたわけであります。併しこれは第一段階でありまして、更に来年五、六月の頃に開かれます国際
民間航空機関の総会におきまして審議されて、それを通過するごとによりまして正式のメムバーになれるわけであります。その條件は非常に厳重でありまして、日本によつて侵略され、又は攻略された国全部が用意して、なお且つ五分の四の多数決によらなければならん、こういうことになつているので折角外務省でも努力して頂いております。幸いにしてソヴイエトその他ソヴィエトの衛星国がICAOに入つておりませんので、ICAOの総会は通過するものと期待し、それを望んでおる次第であります。なお政府側がそういうふうな機構に入りますと同時に
国際航空事業者の協会、俗にIATAと称しておりますが、IATAに入りまして、その運賃がかかつておる。コンフエレンスの同盟運賃でありますが、そのコンフエレンスに入りまして、IATAの運賃によつて運営するという体制でございます。現在飛んで来ておりますものの中には、CATのようにそれに入つていないものもありますが、国際
航空をやる立派な会社は全部これに加入する、そうしてそこのルールによつて公平に競争するという建前になつております。
「世界の
航空事情」と非常に見出が大きくございますが、御承知のように
飛行機も非常に進んで来、第二次大戦後非常に進歩いたしまして、又地上の施設も非常に進歩しまして、我々日本が七年間惰眠をむさぼつている間に目覚しい進歩を遂げてしまつたわけであります。現在
航空会社はパン
アメリカン、BOAC、エールフランス等大きいものから小さいものを合せますと、二百数社に上つております。その輸送実績も戦前一九三七年の十四億人キロに対しまして、一九五〇年度にはこ百六十四億人キロとなつておりますが、現在ではこれは更に飛躍的に増加しております。この
アメリカの一つの資料として非常に興味ある資料だと思うわけでありますが、それは
アメリカにおける国内の旅客収入の一番多いものをベスト・テンを拾つてみますという
と、ベスト・テンの中の四つは
航空会社であります。一番がペンシルヴアニヤ鉄道、二番目が
ニューヨーク・セントラル、それから
アメリカン・イースタン・エヤースとか、三、四、五、六、この四つか
航空会社でございます。そのあとに続きましてサウザン・パシフイツクとか、ユニオン・パシフイツクとか地理で習つた有名な鉄道か下に来ております。
航空旅客の数は飛躍的に進んで来ておるのであります。なおもうすでにお聞き及びかと思いますが、
アメリカにおきます
航空旅客の八〇%以上のものが三百マイル、即ち大体
東京大阪の距離でございますが三百マイル以下の
利用者で、
従つて日本の狭い土地におきましても
航空旅客か相当にあり得るということはこの数字からも言えるのじやないかと考えるわけであります。なおもうすでに言い古されたことでございますか、汽車のコーチと
飛行機のコーチとの運賃を比べますと、殆んど全部の国におきまして
飛行機のコーチのほうか安いということになつておる次第であります。なおBOACのごときは非常に優秀なる
飛行機を飛ばして順次整備を行いましてこれは国際会社、パブリックコーポレーシヨンでありますが、国際会社たるBOACは最近に終了いたしました事業年度は相当の黒字を出して、政府から一文の補助も頂かないでいい状態であります。なお勿論優秀なる
航空会社は全部黒字を出しておるわけでございます。
なおここで附加えておきたい点は、産業
航空、まだ慣熟しない言葉でございますが、これは
航空写真測量を始め魚群捜査、気象観測、人工降雨、農業(種播、肥料又は薬液を撒布する)或いは海上保安、救難、広告、宣伝、森林巡視に広く
飛行機が使われまして、これらの用途に総計延約九千五百機が
アメリカで使われているという状態であります。
あと助成の問題は併せて申上げることといたしまして、一応は大体お粗末でございましたが、
航空の現状を申上げたわけであります。
然らば、日本の
航空は如何にするつもりであるかということございます。それにつきまして、いわゆる日本の
民間航空を再建するためには如何にすべきかということにつきまして
運輸省としても十分に検討をはたしておつたわけでございますが、前国家会に通過いたしました
航空法に基きまして
航空審議会ができましたので、
航空議会に対一して我が国
民間航空の再建方策について諮問いたしたわけであります。その諮問炉出て来たわけでございますが、政府といたしましてはこれを尊重いたしまして、この線に沿つて施策を進めて行きたい、こう考えておるわけでございます。この方向は先ず第一にここ数年間といいますか、二、三年間において国内路線及び国際路線をどういうふうに拡充して行くかというめどをきめることが先ず第一に必要であります。日本の国力、或いは国際情勢、日本との経済的、政治的な関係の深さというような点から考えまして、三カ年計画ぐらいの間においてどの程度の国際線を整備するかということで検討されて答申になりましたのがごの答申の三ページに出ておるのでございますが、これは二十七年度、今年度でございますが、東京―釜山、東京―沖縄―台北、―東京―台北―香港―バンコック―ラングーン―カルカツタ―カラチ、東京―ホノルル―サンフランシスコ、二十九年度も相当進んでおりますので、これが全部実現されるということは困難でありまして、一部来年度に廻るということにならざるを得ないと思いますが、一応の計画はこういう計画であります。二十八年度につきましては、釜山を京城に延ばし、カラチまで行つていたのをロンドンまで延ば、サンフランシスコまで行つていたのを南米まで延ばす。十九年度におきましては、東京から台北、マニラ―サイゴン―シンガポール―ジヤカルタ、この線を延ばすということであるというふうに答申になりまして、我々も又この程度は是非寅現したいものと考えておるのであります。なお細かく話しますれば、この表の中で現在どこどこが行けるかという問題もございますが、逐次行ける場所との向うとの話で、
北廻りのルートもできるもと考えております。それからシャトルに行く線についても、輸送需要を勘案して、これを南のルートばかりでなしに、
北廻りのルートも進めたいと思います。
国内の
航空ルートのことでございますが、これはいわゆる需要供給という点を勘案ずると同時に、又
御存じのように
飛行場を新たに作るとか、或いは
飛行場を農地を買収して拡張するとかというようなことが非常に困難な実情でありますので、現在あります
飛行場施設等を勘案しまして考えられた計画であります。二十八年度には大阪―高松―岩国―大分―福岡―大村、四頁でざいますが、その線、福岡―熊本―鹿児島、東京―新潟―小松―大阪。二十九年度に大阪―美保―岩国、福岡―大分―宮崎、大阪―徳島―高知、函館―丘珠―千才―旭川―帯広―釧路。大分先になりますが、三十年度において東京―軽井沢―長野―富山、大阪―松山―小倉という線くらいは少くともやるごとにしたいと我々も考えている次第でございます。
第二番目の問題は、
航空事業やりますためには、どうしても初期の段階において各国とも非常な政府の補助をいたして参つておるわけであります一
アメリカが現在
御存じのように、国際線としてパン
アメリカン、ノースウエストというようなものがございますが、第二次大戦まではパン
アメリカンに勢力を注入いたしまして、これが世界に航権を確立することに対して非常な努力をいたし、他のものの進出を一切許さなかつたわけであります。これに対して郵便料金等を以ちまして非常なる補助を与えて来たわけでありまして、この会社が第二次大戦中非常な貢献をいたしたことは申すまでもないのであります。その他現在日本に飛んで来ている
航空会社で見ましても、BOAC等PSブチツク・コーポレーシヨンでありまして、殆んど全額政府出資であります。なおイギリスではイギリス国内とヨーロツパ大陸とを運営している。パブリック・コーポレーシヨンでBEACという会社がありますが、これは共に労働党内閣の政策措置としてではなくして、保守党時代にそういうことが行われているのであります。濠州のカンタス、これも政府出資一〇〇%、フランスの先ほど申上げました、昨日初めてこちらから第一機が飛びましたエールフランス、一これも一〇〇%政府出資であります。三〇%の民間の投資もありますが、
オランダの
KLM、これは民間資本が入つておりましたけれども、逐次これは買収いたしまして、現在員〇〇%の政府出資になつているのであります。先ほど申上げましたが、その他スカンジナビヤン・エアーライン・ズ。システムはノルウエー、デンマ―ク、スエーデンでおのおの五〇%政府出資の会社を
作つて、三国の会社が、何と言いますか、一つの組合を作りまして、スカンジナビヤン・エアーラインズ・システムを
作つているのであります。実質的に政府出資であります。フィリピンのフィリピン・エアーラインズは四八%の政府出資というわけであります。そこで又これに対しまして年々歳々相当の赤字補助を一いたしているのであります。逐次その額は事業の進展に伴いまして減つて来ておりますが、航路を維持するために相当の
補助金を各国とも支出しているのであります。又
補助金を支出する代りに、或いは政府が
飛行機を買いまして、そうして年賦で安い価格で以て
航空会社に貸付けている国もあるのであります。こういうふうに世界の現在東京へ乗り入れて来ている国も、
アメリカを除きましては全部殆んどが政府出資をやり政府がやつている。強力なろ肩を入れまして、そうして相互の猛烈な競争をいたしているのであります。そこへ日本が進出するということになりますというと、勢い後進国のハンディキャップと言いますか、それもありまして、政府として相当の
助成策を集中的に考えまして、国際競争に堪え得る情勢を整えなければならないと思います。
先ず第一に問題になりますのは、
飛行機の購入の資金であります。
飛行機の購入資金は、先ほど申上げました国際線をやるにつきまして八十億前後の金を要すると思います。その資金を要するわけ一でありますが、これが調達につきましては民間資本によつてこれを賄なうということが一番望ましいわけでございますけれども、
御存じのような資金情勢からして、これを全部民間に仰ぐということは困難な状態でありますので、開発銀行の融資に待つ、或いは政府の持つておりますドル、ポンド、これの貸付ということを期待いたしておりますが、それでも足りませんので、再来年度におきまして約十億程度くらいの民間資本を、これは政府出資を行う、ほぼそれと近い民間出資を行う、そうして
飛行機のフリートが揃いました後においては民間資本の業績も挙るし、民間投資も容易になりますので、逐次政府出資のほうを減らしまして、純民間に戻すというふうな体制で以てこの資金調達をやろというの炉答申案の趣旨であります。
なお海運の問題ですでに
御存じの通りでありますが、日本の借入金の利子は国際水準より非常に高いわけでございまして、その
飛行機を買うのに四分というふうな例も出ておりますが、日本の利子の高いために、国際水準と日本の利子との差額を政府で補給するというような点も当然考慮すべきであるということであります。なおその他いろいろ書いてございますが、免税につきましては先ほど申上げましたように
ガソリン消費税、
輸入税につきましても、
航空機材はゼロ、
ガソリンは一割、
潤滑油は二割という税金になつております。これが一年間ということになつておりますが、その無税のものは更に延長してもらうし、
航空用
ガソリンも、例えば小さい今飛んでいるセスナというふうなものにありますと、単価が安くていいわけでありますが、極く単価の高いものにつきましては
輸入税も消費税も、又
潤滑油についても又
航空機資材の輸入は当分日本で生産する見込がありませんので、この免税について延ばして行つたらどうか。それから通行税の問題でございますが、この通行税は国鉄におきましては三等、一、二等を合わせまして全体的な配慮において片が付くわけでありますが、ここでは全部二割というふうなものがフルにかかつて来まして、運賃を高からしめ、
従つて旅行客の誘引に困難でありますので、初期の段階の
航空事業を補助育成するという見地と、又交通事業の交通税というものの本質から考えて、
運輸省としては通行税は全廃してもらいたいということを考えておるわけでありますが、この答申の中に又そういう意見が出ておるわけであります。なお事業税に関しましても
航空機の
固定資産税に関しましても、すでに
運輸省が多年主張しておりますように、事業税は収益課税にするということ、又
固定資産税に対しましても独立税を作りまして、低率のものとすべきであるというようなわけでありますが、そういうことをやるべきであると考えられるわけであります。なおこれは
航空法を作る際に当然
作つておくべきではなかつたかと思うわけでありますが、
航空機の抵当制度の確立ができていないわけであります。
航空機の金融士非常に困るわけでありますから、早急に
航空機を客体とした抵当権の設定ができますように法制を整備したいと思つております。これは来国会には間に合うように準備を進めて、更めて御審議を仰ぐつもりであります。よろしくお願いしたいと思います。
それからも5一つ問題になりますのは、
航空要員の養成でございます。これは先ほど申上げましたように、日本では十分に使える、言葉は悪うございますが、人的資源をふんだんに持つていながら、高い金を払つた外国人をパイロットに使つておるということは、経済上の実質的な面から申しましても、又
国民感情の面から申しましても速かにこれをなくすべきであると思いますので、これを色あげするといいますか、差当り一年間の色あげで、将来に至れば本当にずぶの素人から養成しなければならんという問題も起ると思いますけれども、当分の問題としては色あげをして、再訓練をして、現在に間に合わせるという措置をとらなければならないのでありまして、それについては早急に
航空機要員養成所を作りまして訓練をいたしたいと考えて、予算の要求をいたしている次第であります。なおもう一つ
航空関係要員の問題といたしましては、先ほど申上げましたように、
航空交通管制というものを我々
日本人の手によつて、日本語によつて行うということを、できるだけ早く実現するというために、四百人以上の人を要するわけでありますが、それを養成して行きたいという予算の要求をいたしている次第であります。この点につきまして、皆様方から御鞭撻、御後援をお願いしたいと考えておるのであります。要しまするに、我々といたしましては、速かに国内及び国際の
航空路を拡充整備いたしまして、それを自主的に運航いたしたいということを念願いたしまして、これが具体化に努力いたしておる次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
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