○春日
委員 ただいま
小笠原さんは、それぞれ影響のある面を強調されておるが、これは文字に表わされておるものをそのまま読んでいただければわかるのであ
つて、すべてそういうような事故があ
つたけれ
ども、全般的に影響はないとか、概して被害は僅少なる見込みであるとか、保安に与えた影響はないということが、みんな結論として述べられてお
つて、総合的に受けるところの印象は、こういうストは、すなわち大した影響はない、こういうことがうたわれておるのでございます。
そこで申し述べたいことは、当時こういう二大ストが
国民生活に与える影響の甚大さにかんがみて、アメリカにおいてルーズヴエルトなりトルーマンなりがこういうような
争議が起きたときに、みずからその渦中に飛び入
つて、
争議解決のために彼らは善処した。これを引例して、日本の総理なり責任者なりは、このストの中にみずから介入して、そうして
争議の円満な
解決のために善処すべきであるということをわれわれは数次にわた
つて申入れをした。しかるに、その当時における
答弁なるものは異口同音に、
労働大臣も
緒方官房長官も、あるいはまた総理も、こういう
労働争議の問題については、
労使の円満なる話合いによ
つて解決することが望ましい。
従つてわれわれ
政府がそれに対して介入すべきではない、こういう態度をとられた。しかもその態度を裏づける資料として提出されたのが、この十二月十三日の「電産ストによる被害状況」なるものであ
つて、それはすなわち
国民生活、国家
経済に対して、概して被害は僅少である、すなわち
緊急調整を発動する必要はない、かくのごとく認定を裏づけるものとしてかくのごとき資料が提出されておる。
そこで、私
どもが
考えなければならないことは、当時においてはそのストを放任しておいて、すなわち
緊急調整というところの伝家の宝刀があるが、これを抜きもしない。
緊急調整に至るまでには相当のスペースがあるということが、この被害状況において示されておる。すなわち国家の
経済を破壊しようということであるならば、
緊急調整でこれをとめればいい。そうして救済ができる。しかしそこまでに至らないということは、なおかつ相当のスペースがあるということを明らかに証明するものである。ところが、それをやらないでおいて、緊急調調だに発動しないで、今回ここにスト禁法を立法しようとしておる。このことを私
どもかれこれそんたくして
考えますと、こういうことが想定できるのではないかと思う。すなわちそのストを両方けしかけて自由自在にやらせておいて、最後のばくちまでこれを馳せしめて、しかしてここで
国民の反動、反感を沸き立たせてこういうスト禁法を出させる、こういうような資本家と
政府の結託によ
つて出したのではないかということを、私
どもは
考えなければならぬ。青野君が指摘しておりますように、こういうような
法案によ
つて、
石炭単価が高まり、あるいは滞貨が一掃され得るというような問題もあります。
そこで私が申し述べたいことは、この十二月十三日付の資料なるものは、そういうストをどんどんやらして行く、けしかけて行く。悪い言葉でいえば、これを扇動して行く、こういうような形によ
つてこれが出された資料であるとするならば、これは政治的に重大問題でなければならぬと思う。そこで私
どもはこの資料が正確な資料であるならば、われわれは何もこういうスト禁法を出す必要はないと思う。
国民生活に対する被害は僅少であ
つたならば、何もスト禁法を出す必要はない。重大であ
つたならば当時
緊急調整を出さなければならなか
つた。彼らはその当時
緊急調整を出しもしない、その議に及ばずという態度をと
つてお
つた。しかるに、ここに至
つてこれを出して来るということは
政府の陰謀、資本家と
政府と結託した形において出すということは、これは当然
労働者が被害を受ける立場において、
労働者が承認するはずはないと思う。この点について
小笠原さんからひとつ明確な御
答弁を願いたい。