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1953-03-03 第15回国会 衆議院 労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月三日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 持永 義夫君 理事 山村新治郎君    理事 前田 種男君 理事 青野 武一君       大平 正芳君    迫水 久常君       吉武 惠市君    菅  太郎君       森山 欽司君    春日 一幸君       菊川 忠雄君    矢尾喜三郎君       山口丈太郎君    山花 秀雄君       石野 久男君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君         労 働 大 臣 戸塚九一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁次長) 堀井 啓治君         労働事務官         (労政局長)  齋藤 邦吉君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君  委員外出席者         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君     ————————————— 三月三日  委員石田一松君及び矢尾喜三郎君辞任につき、  その補欠として松浦周太郎君及び池田禎治君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二日  技能者養成制度強化充実に関する請願(中助  松君紹介)(第三三二四号)  高知公共職業安定所山田出張所の昇格に関する  請願長野長廣紹介)(第三三三四号)  日本国有鉄道労働組合員不当処分に関する請  願(小松幹紹介)(第三三三五号)  同(原茂紹介)(第三三三六号)  同(吉田正紹介)(第三三七八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公述人の選定  電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法  の規制に関する法律案内閣提出)(第八八  号)  労働行政に関する件     —————————————
  2. 田中伊三次

    ○田中委員長 これより労働委員会を開きます。  電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案内閣提出第八八号)を議題といたします。前会に引続いて質疑を継続いたします。菊川君。
  3. 菊川忠雄

    菊川委員 私は通産大臣労働大臣緒方官房長官などに御出席を願つておるのでありますが、お見えになりません大臣につきましては、質問を保留したいと思います。  そこで労働大臣に、きのう御退席になりましたあと質疑について、重ねて一、二の点を確かめたいと思うので、お尋ねします、大臣がこの委員会で御説明なすつた法案提案理由一つには、電気事業及び石炭鉱業の両ストライキは、非常に大規模なものであつたということ、そして国民経済国民日常生活に甚大な脅威損害を与えたということが理由になつておるのであります。この理由であれば、あえてこの二つ産業に限らず、他の産業も含めた問題であつて、むしろ現行労調法、特に昨年改正された緊急調整の事項で処理すべき事柄と考えて御質問したのでありますが、この点について御見解お尋ねいたします。
  4. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お話のごとく、この両事業類似した公益事業で、性質的には同じように考えられるものがあるのでありますが、今回提案いたしました法案で、昨年の争議現実に被害と危険を与えた両事業だけに特に限りましたのは、同じ性質であつても、なるべくならば労使の間の自主的な解決にまつこと、つまり両当事者良識と理性に訴えて解決せられて行くことが望ましい、またそれを期待いたしたいという考えで、現実なる実績を現わしたものに限つて、この規制を行おうといたしたのでございます。  また、それならば緊急調整等制度もあるのだからというお話でございましたが、緊急調整は、申し上げるまでもなく、争議そのものが継続しておつて、だんだん悪化すると申しますか、争議の続いておる間に、事態国民生活なり国民経済を非常に不安あるいは危殆に陥れるというようなときに、やむを得ずこの命令で一時争議を押えて、その間に解決をはかろうという制度であります。今回の法案の方は、むしろその以前に、不当あるいは違法なるものをあらかじめ規制しよう、こういうのでありまして、つまり縦と横と申しましようか、両制度相補つて目的が達せられる、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 菊川忠雄

    菊川委員 ちよつと理解に苦しむのですが、争議というものが起つても、政府がきわめて積極的に、そうして適切な措置をもつて解決に当れば、争議長期化もしないし、従つて国民経済並びに国民生活に大きな影響を与えなくても済むのであります。従つて争議国民生活経済に大きな損害を与えるというのは結果であります。だから、このことは電気産業及び石炭鉱業のみに限られることじやございません。電気産業及び石炭鉱業の両争議に、他の理由からこれに規制を加える必要があるということならばわかりますけれども労調法という建前があるにかかわらず、特にこれを理由にされる必要はないじやないか、このことをお尋ねするのであります。と申しますのは、今日国民の通俗的な輿論の中には、やはりこの法案について最低限度争議行為規制は必要である、こう考え賛成をしておる向きが相当ございます。また私どものところに各地方からの経営者団体その他の名をもつて寄せられております陳情書などを見ますと、本法案に対して賛成するという陳情が相当参つておりますが、その理由の主たるものの一つに、やはり国民経済日常生活に大きな脅威を与えるから規制をしてもらいたい、こういう理由が取上げられておるのであります。従つて、こういうふうな理由が認められて、そうしてこの理由一つなつてこ法案が通過するようなことがありましたならば、今後輿論はこういう考え方のもとに労働争議を見るということを、われわれは黙認しなければならないのであります。従つて労働省見解は、これをやはり理由として、あくまでもこの法案の通過に努力されるのか、この点を明確に伺いたいのであります。
  6. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 理由先ほども申し上げた通りでありまして、性質上同様に考えられるものがあるかもしれないが、それは現実なる脅威を与えた実績を見たものでないので、実績によつて特にごの両事業考えたのであります。従つて、繰返すようでありますが、他の事業でそういう危険の察せられるものもありましようけれども、それは過去の実績においてまだ上つておるものでもなし、今後も、先ほど申し上げましたように、両当事者良識と自粛によつて自主的に解決せられることを期待いたしまして、その期待のもとにそういう面まで広げて行くような考え方をしなかつたのである、こういうふうに考えております。
  7. 菊川忠雄

    菊川委員 この点非常に将来重大だと思うので、重ねてお尋ねしますが、結局今はやらないが、将来また類似産業に及ぼすことはあり得る、そういう御見解に受取れるのであります。そういたしますれば、これは結局国民経済国民生活に大きな損害を与えるというふうなものについては、こういう措置が必要である、こういうお考え根本にあるというふうにわれわれは考えるのであります。従つて問題は、この間の両争議幹部指導の中に行き過ぎがあり、それが将来再び起るかもしれないということを心配されて、この法案を御立案なつたというならば、これは一つの御見解であつて、われわれはそれに賛成はできませんけれども十分検討の余地があると思うのであります。けれども、そうでなくてこういう性質争議国民経済日常生活に大きな損害を与えるおそれが将来もあるからして、とりあえずこれに適用したのだ、こういうことであれば、現に労調法がありながら、その労調法の活用を十分に研究し、考慮することに努力をしないで、さらにその事前において労調法において認められた労働者の権利すらも奪うということによつて労使関係の何らかの問題を解決して行こう、こういう意図でありまして、われわれら見ると、これは明らかに労働基本権を無視してやつておるところのやり方であり、これがそういう労働法本権を認めないで、今後労働者の問題を解決して行こうという橋頭墜になる、こういう点で重要視せざるを得ないのであります。従つて、問題は非常に簡単のようでありますけれども、今後の政府のおとりになるところの労働政策というものは、大きな岐路に立つておる、こう考えますので、この点を重ねてお尋ねいたします。問題は、国民生活国民日常生活脅威を与えるということが、この法案の重要な趣旨であるのか、そうでなくて、たまたま両争議幹部指導方針が誤つたがために、それに対する将来の不安というものを除去するために考えておられるのか、このことを重ねてお尋ねをするのであります。縦と横というふうな抽象的なことでなくて、もう少し明確にお願いをしたいと思います。
  8. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 重ねて申し上げるようでありますが、両争議実績においてあつたのみならず、将来の危険も非常に考えられるので、これはやむを得ざる限度において規制をしよう、こういうふうな意味であります。従つて、他の類似のもの、類推されるようなものにつきましては、先ほど申し上げましたように、これはなるべく組合健全発達のもとに自粛し、良識を持つて解決せられて行くことを期待しておる。橋頭墜してだんだん同じようなものを広げて行こうという考えのもとではないので、現に実績があり、しかもその危険が起り得る可能性があるという考えのもとにこれを規制いたしたい、かように考えたのであります。同時にまた、すでに不当と認められておつたもの、あるいはこれと同様に妥当性を欠くと認められておるものだけを規制したいという、内容そのものから参りましても、規制しなければならぬものである。それが類似のものにおいては、そういう性質のものであつて、類推すればやはり今あなたの御心配になられるように広げて行く可能性があると思われるようなものでありましても、私どもはそういうものまで拡大して行こうというふうには考えておらないのであります。この二つだけを特にやむを得ざるものとして規制をいたしたい、かように考えております。
  9. 菊川忠雄

    菊川委員 だんだんわかつて参りましたが、それでは、結局国民経済日常生活に大きな損害を与えるというふうな事案に対しては、昨年改正した労調法範囲でやるという建前であつたが、たまたまそれのみでは間に合わない両争議経過にかんがみてこの法案を提案された。従つて、これはあの両争議経過から生れた法案である、こういうふうに受取れる御説明でございますが、そういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  10. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 現行労調法で行き得るというふうにお考えのようでありましたが、先ほども申し上げましたように、緊急調整規制と、今岡規制しようとするものとは、おのずからその性質を異にいたしているのであります。その他のことは先ほど申し上げたようでありますが、この両関係につきまして労政局長から詳しく御説明申し上げます。
  11. 菊川忠雄

    菊川委員 私のお尋ねするのは、政府は昨年労調法を改正された場合に、これで大体券面の労働争議に対する措置としては万全であるとお考えになつたのであるが、しかし、たまたま昨年の両争議においてああいう経過と結果を見たので、そこで別個にこの法案をお考えなつた。従つてここに単独法という問題が起るのだというふうなことをおそらく御説明なさろうと思います。この説明はすでに承つているのであります。そういたしますれば、もし電気事業及び石炭鉱業のあの二つの争’議におけるようなああいう経過と結果が将来ほかに起らない限りにおいては、ほかに広げるという考えはないということが一点。従つてこの電気事業及び石炭鉱業二つストライキというものの認識いかんによつては、この法案の必要、不必要という議論が、この委員会における問題の中心にならなければならぬと考えるのであります。そういうふうに理解してこれから私は質問なり討論を続けようという考えでありますが、これについては、それでは困るというお考えがあるかどうか、そういう点であります。
  12. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私から申し上げるまでもなく、現行法緊急調整制度があるわけでありますが、これは労働関係調整一つ仕組みとしてできております。この仕組みのもとにあつても、実は今回の法案に出ているようなことは、すでに速決であると考えておつたものが大部分であるわけであります。すなわち緊急調整以外に新たに争議方法規制しようというのではなく、この労調法がすでにあるときにおいてすら、こうした今回規制しようとする争議方法は、すでに大半違法であり不当であると実は考えておつたものを、昨年の争議体験にかんがみ、疑議があつてはなりませんので、もう一回これを明文化しよう、こういうわけでありまして、頭で考えまして、公益事典についてはこういうものもある、こういうものもあるという考え方ではなしに、現行労調法の百緊急調整制度のもとにおいてすらなお違法であるというものを、去年の体験にかんがみ、これを明文化しよう、ただそれだけの考え方でございます。
  13. 菊川忠雄

    菊川委員 大体わかつたのであります。いろいろ言つておられまするが、結局中心労働争議経過と結果にかんがみて、そうして現行労働法における範囲では、政府は十分な取締りなり対策ができないというお考えのもとに本案を提出されたにほかならない、こういうふうに了解いたすのであります。そこでこの問題につきましては、あとで私労働争議経過と結果について、その間における政府のおとりにかつた方針と、そして組合がとつた方針と、あわせてどういう御認識であるかということについて検討したいと思いますが、今通産大臣もお見えでございますから、労働大臣通産大臣の両本臣にお尋ねしたいと思うのであります。  およそ今日産業の安定と興隆のためには、労働組合がいわゆる民主主義労働組合あり方徹底をして、そうして健全な進み方をするということが必要不可欠の条件であることは、言うまでもないのであります。政府も機会あるごとにこのことを主張しておられるのであります。ところが、健全な精神は健全な身体に宿るということがありますように、いかに労働組合のみに健全化を要望されましても、その企業あり方が健全でなければ、労働組合は健全であり得ないのであります。でありますから、いわゆる民主主義徹底が、産業においては産業民主主義現実となり、労働組合においては労働組合民主化徹底となる。これが相まつて行われなければならないのであります。しかるに今日政府がおとりになつておるところの労働政策、あるいはそういう企業に対する民主化の御方針、こういうものを見ます場合において、労働組合には健全であれということを大いに説かれるのでありますが、一方においては、経済あり方は、われわれからいえば、いわゆる自由放任に弄い御政策である。そうして資本蓄積の名のもとに高能率、低賃金というふうなやり方を強行しておられるのであります。しかも経営においては、その経営内容労働者生産努力の結果であるにかかわらず、何ら労働組合に対してありのままに示されておりません。経営がガラス張りの中の経営ではないのであります。でありますから、経営協議会という形のものはあるけれども、実態は単なる諮問機関、あるいはそれも、会社によりますれば、労働組合に対して賃金引上げの不可能であるという理由説明するための方便的な道具に使われておる、こういう状態であるのであります。こういうことを見ます場合において、はたして今日電産あるいは石炭のような公益あるいは重要基幹産業におけるのみならず、他の産業におきましても真に労使関係良識とそして健全な慣行を成熟させるための基礎ができておるかどうかという点であります。争議の予防ということは、単に労働法制上の問題ではございません。その前に根本的な問題があるのであります。こういう点について労働大臣並びに通産大臣はどういう関心を持つておられるか。なおかつ、単に調査研究中ということでなくして、具体的にどういうことを今やろうとしておられるか、この点を御説明願いたいのであります。これはこういう法案をわれわれが審議する場合にあたつて、この法案がはたして将来政府の所期されるような効果を収め得るかどうかという点を検討する上において、重要なる点であると思いますので、十分な御回答を願いたいと思います。
  14. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 労働組合経営者側の調和ということにつきましてはまことにお説の通りであります。しかし今回の規制案は、たびたび申し上げますように、従来とても規制せらるべきものとして考えられてあつたものを、普通ならば、組合良識と自制という考え方—もちろん相手方もあることでありますが—それで問題なく解決せられて行くべきものが、昨年のような状態になり、またその後の組合考え方等を察しまするに、どうしてもこの際最小限でも規制しなければならないという意味で、内容についても、先ほど申しましたように、規制せらるべきものを規制するという、明確化というような意味を多分に含んだものでありますので、経営者とあわせて組合の方を押えつけるというような意味のいわゆる基本権を奪うというようなものではない、かように考えておるのであります。なお、お説のごとく労使関係がもつと協調を保つて行くようになりますことは、何より必要なことでありまするし、また先般もどなたかお尋ねがありまして、今後そういう問題について一層政府といたしましても、研究では困るというお話でありましたが、何らかの方法を講じて参りたいと実は考えておるのでありますが、今回の規制のことは、先ほどからしばしば申し上げますような意味のものであると御了承いただきたいと思うのであります。
  15. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今回の規制のことは、今労働大臣からお話通りであります。今までの解釈上多少の疑いがあつたというものについてこれを明文化するというにとどまると考えておるのであります。ただお話の点につきましては、労働組合の健全な発達と、労使協調がよくとれますことは、これは生産を増加する根本でございますので、私ども衷心からこれをこいねがつておるのであります。従いまして、賃金について申しますならば、ごく合理的な能率的な賃金等が採用され、また従つて事業が繁栄すれば労使その再びをともにする、こういつたようなことをこいねがつて、私ども通産省としては労働行政を主管される労働省協調して参つておるつもりでございます。なお今お話経営協議会がいいかどうか、これは両方が良識的に取扱うなら、まことに望ましいことと思うのでありますが、どうかするとそれが今お話になつたようなぐあいに、一方的な、賃金引上げない理由説明になつてみたり、あるいは賃金要求のことのみになつてみたりするようなこと等もございますので、これらの点は、双方がもう少し良識的によく話し合われる時期までは、これを制度化するということは少し早いのではないか、こういうふうに考えておる次第でざごいます。
  16. 菊川忠雄

    菊川委員 私お尋ねしておりますのは、そういう抽象的なことではないのであります。何か通産大臣の話を聞いておりますと、どこかの社長さんが職工さんを集めて一応あいさつをしておるような程度のことであります。やはり大臣が御答弁なさるのでありますから、具体的なことを伺いたいと思います。というのは、本法案が本会議において説明をされ、質問があじました際に、通産大臣も、また緒方官房長官も、労使関係を合理的に調整し、そして産業の平和を確立するためには、具体的な施策について研究中である、こう御答弁をいただいております。なおその中には、わが党の矢尾君の質問に対してであつたと思いますが、あるいは経営における共同決定権の問題、あるいはまた経営協議会法のごときものの問題、こういうことにつきましても政府研究するというお話であつたのであります。従つて、この問題がそれ以来この委員会にかかつておりますので、こういうことはやはり国会の間に明確な、あらましの御方針が立てられなければならぬ問題であります。従つて、今日そういうことについての何らかの御方針が伺えるものなら……、こういうことで御質問申し上げておるのでありまして、こういう点につきまして、政府は、この争議が起つたから、また将来起るおそれがあるから、労調法だけではいかぬから、こういう法律単行法でつくつてこういうものを明確にするんだ、こういう御説明でございますが、問題はこういう争議の起らないようにすることがやはり政治でなければならぬ。そういたしますれば、真に産業平和というものを確立するための施策いかん。このことは労働省のみならず、通産省のみならず、内閣あげての課題でなければならない。このことについて伺いたいのでありまして、そういう点につきまして、具体的に今町を計画をしておられるのか、具体的にいかなる方針でもつて産業の平和ということについての政策研究しておられるのか、この点であります。これはこの理由書の第二項に、そういう必要な施策を怠ることは許されないと考える、こういうことがあります以上は、この法案を審議するにあたつては、当然政府がこの時期に明確にされるべきものである、こう考えるのであります。それがなければ、単なる弥縫策であり、ごまかしであるというわれわれの非難もまた免れることができない、こう考えお尋ねをするのでありますから、もう一度御答弁を伺いたいと思います。
  17. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今お話にございましたように、私どもも昨年のようなことが重ねて起らないように、また平和的にすべてのものが処理されることを衷心からこいねがつておるのでありますが、これについては主管省ともよく相談した上できめませんと—そういう争議が起らないような環境をつくあ上げることが一番必要だと存じますけれども、それでは今具体的にこういうふうにする、ああいうふうにすると」うことは、まだ相談中でございまて、申し上げる時期に達しておりません。
  18. 菊川忠雄

    菊川委員 それではこの件については打切りますが、われわれはこう了解したいと思いますが、それでよろしゆうございますか。この法案は提案された。しかしながら、それ以上の重要たる産業平和に対するところの施策については、この法案うぃわれわれが審議するにあたつて政府から何ら具体案の用意が示されなかつた、まだ研究中である、こういうふうに了解してさしつかえございませんか。
  19. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 研究中であるという意味ももちろんでありますが、労使間の状態が、—先般本会議で、たしか官房長官もお答え申し上げておつたように承知いたしておりますが、積極的にこの問題について、今後のあり方について考えて行く時期が来たのではないか、こういうふうに申し上げたように承知いたしておりますが、私どももこの間の問題については、御心配のような点を十分考えて参らなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。
  20. 菊川忠雄

    菊川委員 どうもそういう大臣答弁だと、おかしくなるのですが、たとえば本委員会においてわれわれは電気産業及び石炭鉱業におけるこういう事態について、今後これがないようにしなければならぬ。国民もまた、それが希望であつて、起つた場合に困るからこうしてくれということのみが希望ではないはずであります。従つてこれについて、ちようど委員会が開会をされて、もうすでに相当になるにかかわらずまた政府はそういう点で立案あるいは調査についての十分な機能がないとは考えません。しかるにそういう重要な問題について、理由書には必要な施策を怠ることが許されないと書いておきながら、その項目については何らの具体的な説明ができないということであれば、われわれは場合よればこういう具体的なものについての提示を受けるまでは、委員会におけるところの決定を延期することも、われわれの責任であると考えるのであります。(「ヒヤヒヤ」)従つて、私はそういう点におきまして、こういう問題について研究をしておられるか、まだ発表する時期になつていないのか。そうすれば何日間でもつてそのアウトラインだけでも本委員会に御提示を願えるのか、こういうことを伺いたいのでありますが、そういうものがないというならば、ないでわれわれは考慮しなければならないい、こういうことでお尋ねするのであります。要するに、私はこういう点に  つきましては、政府ははたして今まで関心を持つてつたか、あるいは何らの関心を持たず、施策がなくしておるからこういう事態が起つたのか。私はこの点を明瞭にして本法案の審議を進めなければならぬ、こう考えるのであります。そのつもりで御答弁願いたい。
  21. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 理由書に、政府として施策考えなければならないのであるというふうな説明を申し上げてありますのは、今回のこの規制案をやむを得ず出さなければならなかつたという意味説明のつもりであります。  なおただいまの御質問で、研究をしていつまでにということでありますが、従来も、もちろんそういう点についていろいろの考慮をめぐらしてはおりましても、まだ労使の間の実情が、政府施策としつくり合うような状態にまで参つておらなかつたんではないかというようなことも考えられますので、今後これは研究して参りたい、かように考えておるのでありまして、ここで何日のうちにこの成案が出るというお約束までは申し上げかねるのであります。
  22. 菊川忠雄

    菊川委員 この点についてははなはだ遺憾と考えるということを申し上げておきます。要するに、吉田内閣は今日まですでに四年以上の政権をおとりになり、そうして常に労働組合に対しては、労働組合健全化を要求しておられる。しかもこういう面について、産業の平和についての何らの積極的な施策研究してなかつたにすぎないと思うのであります。言いかえますならば、吉田総理がしばしば放言されましたように、労働者は不逞のやからであると考え、あるいはストライキをやることはぜいたくな行為であると考えるところの、こういう考え方が現政府の中にやはり浸透しておる。これがこういう争議を生み、しかも争議弥縫策としてこういう弾圧法を生むという原因になつておるということを、私これによつて遺憾ながら再確認しなければならない、こう考えるのでありまして、従つてこれは私重要な問題として考慮をいたしたいと思うのでありす。次は、従つていろいろと理由について検討いたしましたけれども、結局私の認識によれば、本法案単独法として出さなければならぬということは、この二つ争議が起つた、その経過と結果にかんがみて、これに対するところの措置として法案をお出しになつたという以外にはとれないのであります。そこでこの両争議経過について、ひとつ御質問いたしたいと思います。まず炭鉱の問題でありますが、ここで問題になつておるのは、一般的には保安要員の坑内保安放棄の問題であります。一体、政府は今まで世界の炭鉱の労働争議の歴史を通じて、そしてまた日本の鉱山及び炭鉱におけるところの争議の事例を通じてみまして、労働者労働争議行為として坑内保安の放棄を現実にやつてたところの事実があるかないかということについて、どうお考えであるか、この点を最初にお伺いいたします。
  23. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 外国の例はあまり承知いたしておりませんが、わが国におきましては、炭鉱労働者の愛山心といいますか、山を愛する精神から申しまして、今日まで現実の問題として大規模な保安要員の引揚げというものはなかつたのではないか、かように存じております。
  24. 菊川忠雄

    菊川委員 御答弁があいまいでありますが、日本の労働者においては愛山心により、保安要員の引揚げがなかつたと記憶する、こういうことでありますが、これは何も日本の労働者のみが山を愛するのではありません、だれも自分の職場を愛するのであります。従つて、世界の労働者も炭鉱においては同様であります。そこで一体単になかつたと記憶するというふうな程度でこの法案立案されておるのか、この点であります。  いま一つは、大規模な保安要員の引揚げがなかつたというが、それでは小規模のものがどこにあつたかということをお尋ねいたします。
  25. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 大規模のものはなかつたと申し上げたのでありますが、小規模のものにつきましては、この資料によりますと、昭和二十三年でございますが、一箇所あります。それは井華鉱業奔別鉱業所奈井江というところでございます。この法案が出ましたのは、過去のそうしたあつたということではなくて、昨年の炭労争議にあたりまして、最後十二月十日付をもちまして、保安要員総引揚げの準備指令を発したのであります。幸いにその実施前に緊急調整等によりまして、この事件は解決いたしましたので、この指令は現実には実施されなかつたのでありますけれどの、私ども申し上げるまでもなく、この準備指令が出ましたときに、国民は精神的に非常な深刻なる打撃を受けたと考えております。幸いにしてなかつたのでございますけれども現実にやろうとしたことだけは事実だつた、かように存じております。
  26. 菊川忠雄

    菊川委員 この点、私非常に実証的に本法案考えたいと思うのでありますから、具体的に御答弁願いたいと思います。たとえば、炭鉱の労働運動、日本並びに世界のものを通じましても、なるほど小説にはゾラのいわゆる「木芽立ち」のごとく炭鉱を最後につぶすという小説がございます。これは当時のいわゆるアナルコ・サンジカリズムの幾分の反映の現われにすぎないのであります。でありますから、現実労働者が目分の生活を守るために労働組合をつくつて、やむを得ず争議をやる。しかもその結果、現実に目分の働くべき職場がつぶれるということ、これはいかに少数の者が思想的に労働者を扇動しましようとも、争議行為としてとられることはないのであります。いわんや日本の今日の労働組合は、民主的な立場をとつておりますので、こういうことが最後に行われるはずはありません。従つてこのことは、単に労働者の愛山心の問題ではないのでありまして、民主的な労働組合あり方からして、そうなんであります。それがあるがゆえに、今日まで世界にも日本にも、労働争議行為として鉱山坑内の保安要員の引揚げをやり、そのことが山を危殆に陥れるという覚悟でやるというようなことになつていないのであります。このことについて、労働者は保安要員の引揚げをやつて、そうして山をつぶそうという意思を持つてやるということにまで御心配なさつてこの法案立案されたのかどうか、そのことをお尋ねいたします。
  27. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 昨年の炭労争議にあたりまして、私どもといたしましては、労働組合民主化のためには、そうしたことがないようにということを考え、保安要員の総引揚げということは法律に違反するものであるという声明を出しましたにもかかわらず、保安要員総引揚げの指令を発したことは事実だつたと思つております。幸いにそれが実施されることなく事件は解決いたしたのでありますが、その声明にもかかわりませずそうした指令が出たということによつて国民は愕然としたものがあつたのであります。
  28. 菊川忠雄

    菊川委員 私の質問をそらしてはいけません。炭労争議経過については、これから別個に具体的に御質問いたします。私がただいま御伺いしておるのは、労働省労働者を保護監督する機関である。その労働省のお役人は、日本の炭鉱労働者、鉱山労働者は、場合によつては自分の山をつぶしてもいいような争議行為をとると、一体お考えになつておるかどうかということなんです。このことに限つて明瞭に御答弁願いたい。
  29. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私どもといたしましては、近来きわめて民主的になり、建設的になつて来ておりまする労働組合の傾向から申しまして、実は組合良識によつてそういうことの起らないことを期待しております。しかし、現実の問題として昨年そういう事例がありましたので、この法案を提案しよう、こうなつたわけであります。
  30. 菊川忠雄

    菊川委員 それでは、昨年のああいう事例があつたので、日本の労働者はあるいはこのままほつておけば炭鉱をつぶすようなストライキをやるかもしれぬと御判断になつてこれをお出しになつておる。昨年の事例さえなければ、日本の労働者は決して炭鉱をつぶすようなものでなく、愛山心に燃えた労働者であるが、その考え方をたまたまたまつがえしたのが昨年の事例である、こういう御説明考えてよろしうございますか。
  31. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私どもといたしましては、すでに組合良識によつて判断し行動せられることを期待いたしておつたのでありますが、昨年の騒験にかんがみまして、そういうことを保証することができなくなりましたので、今回法案を提案することに相なつた次第であります。
  32. 菊川忠雄

    菊川委員 わかりました。労働者の諸君が労働組合に入つておるのは、結局自分の生活をよくしようというので入つておるのであります。労働組合が自分の生活を守つてくれず、あるいは最後には自分の職場はそれでつぶれてしまうのだということになれば、労働組合は立つて行くものではございません。従つて労働組合は、一時そういう傾向があるかのように見えたところで、結局民主的労働組合は、大衆の意思の決するところ、決してそういう心配はあり得るものでない。そこにそういう自信と信頼を持たないところの労働政策が生れ、政府やり方なりあるいは労働省のお役人の考えが、今日の争議を紛糾に導いておる、こういうことを今日それによつて発見することができたのは遺憾と存じます。いわんや人間たれしも妻子をかかえて、いわゆる自分の飯びつと茶わんをこわすようなことをやるものではありません。あなた方でもそうだと思います。たとえばお役人が首になるということになれば、たれしも不安を感ずるのであります。いわゆる官庁の機構整備によつて整理されるということになれば、自分の職場はどうであろうかということを、事のよしあしにかかわらず心配するのが人情であります。でありますからして、そういうもの、か今日の人間であり、人間がやつておるところの労働運動でありますから、そういうことにつきましては、考えをかえていただかなければならぬ、こう思うのであります。そこで問題は、今伺つてみますと、いろいろ苦しい点もあつての御答弁と思いますが、要するに炭労の昨年の争議経過にかんがみてということであります。そこでお尋ねいたしますが、一体保安要員の引揚げの準備指令というものを出して、最後に保安要員引揚げの指令を出しておりますけれども、突如として、これがあとにも先にも一ぺんだけ出たという御認識なのか。そこに至るまでには、どういうふうな保安要員引揚げについての労使交渉があつたか、その点について御検討なさつているかどうか。これは詳しい説明はいりません、すでに本委員会にも炭労争議経過についての詳しい報告が載つておりますし、そうして十数次にわたるところの炭労の指令、あるいは鉱山監督局の指令の通達、こういうものが掲載をされておりますから—こういうものをお出しになる以上は、なおかつ、こういう資料を十分お持ちになるところの労働省のお役人が、ただ単に保安要員引揚げがあつたからけしからぬというお考えでもつてこの経過を判断をされるのか、その点についての判断をお伺いいたします。
  33. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 御承知のように、私その当時のことは実は承知いたしていないわけでございますが、私どもといたしましては、ここまでに至るまでには、いろいろ労使間におきまして種々むずかしい折衝等が行われて、最後のどたんばにこれが出たんだというふうに考えおります。私どもといたしましては、これがすぐに出たものとは考えておりません。こういうことを声明するようになるということは、やはりこれは事態が相当深刻になつたから出たものである、かように考えておりますし、こういう準備指令が出ないことを、実は期待をいたしておつたわけでございますが、種々折衡の過程の最後の段階に、こうした深刻な指令が出たのではないか、かように存じております。
  34. 青野武一

    ○青野委員 ちよつと関連して—私は通産大臣に、せつかくおいでになつておられますので、一つ二つお尋ね申し上げたいと思います。私どもは社会党の立場から、今回出されましたスト行為の規制法案については、これは明らかに懲罰規定である、こういうように考えたその上に立つて質問いたしますが、今、同僚菊川委員からの御質問で、保安要員の引揚げについて、いろいろ質疑が行われております。私の知つておる範囲では、この炭労の争議六十三日間、私もたびたび日本石炭鉱業連盟の責任者と会つたのであります。それは争議をやつておる主体は労働者です、炭労です。しかし、冷酷無情な理解のない資本家を相手としては、争議中といえども労働者と資本家の話合いがなかなか思うようにつかない。聞くところによれば、大きな外国の勢力が、日本の労働者全体と日本の資本家全体の一大決戦であるから、われわれが責任を持つから相手にするな、電産と炭労の二大組合をつぶしてしまえ、こういう方向で争議が継続されたことが大きな理由一つである。そういう関係から、私が各方面にいろいろ手をまわして調査いたしてみますと、六十三日間の炭労の争議中に、炭鉱の株がじりじり値が上つてつたということは、いかに鉱業連盟の諸君にこの争議が打撃を与えていないか、争議の勝利は相手方の急所をつき、相手方の力より以上のものを持たなければ勝てない。保安要員の総引揚げを声明することによつて、がたつと株が落ちたということは、どういう意味か。それは痛いところをつかれたから、争議解決のために努力をしなければならぬ。しかも脱落した常磐炭鉱の事業者の諸君は、全国的に販路を広げて、内輪もめをやつて石炭の濫売をやつた。聞くところによると、一トンの正当な価格に千円、二千円の金を出さなければ石炭が貰えなかつた期間もあつた。この点について、通産省といたしましては、監督官庁として炭労争議中の六十三日間にどの程度に株が上つたか、保安要員引揚げについて、どの程度に数字上株が暴落して行つたか、じりじり下つてつたか。あなたたちがこれを御存じないはずはない、その点についての解釈。そうしてなおかつ、保安要員の引揚げを行わなかつたにもかかわらず、将来それを禁止するという今度の法律ですが、それでは争議を六十日間ひつぱつて来た当の責任者であり、相手方である資本家に対すには行われておらぬ。そうすると、それによつて国民全体の生活に大きな脅威を事実は与えなかつた緊急調整で遂にそれを押えて、将来あつたときにということになりますと、どこの国から、あるいは日本のどの人たちからあなた方は頼まれて、こんなばかげた法律をつくられたか、その点についての通産大臣の御見解を聞いておきたい。私は法理論的な問題もありますし、憲法問題もありますし、順序を追うて二十箇条ほど質問要綱を持つておりますが、十二時からどこかへおいでになるということでありますから、これらの点について明確に大臣としての御所見を承つておきたい。
  35. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は外国の勢力によつて組合運動をつぶすようにというような問題が起つたことは、全然承知もいたしておりませんし、またさような事実もないと信じます。  それから、この法案についての問題でございますが、この法案は、大体におきまして今まで出ているものの解釈の幾らか疑いのある点を正したものであつて、いわゆる明文化したにとどまるものであり、また今労働大臣から説明のあつたような事情のもとに、出されることが適当であると考えている次第であります。  それから株の問題についてのお話がございましたが、これは株界がどういうふうに動揺して行つたか、何の原因であつたか、株式の関係は大蔵省の所管でありまして、私どもがこれを所管するものではありません。しかしながら、炭鉱の株がどうなつたかということでなくて、おそらくこれはすべての株式がそういうふうに上つてつた、いわゆるダウ式で行きますと、上つているということになるのではないかと思います。この点は今は下つておりますが、その点は明らかでございません。そういつたことは、どうも私の御返事のできかねるところであります。なお、私どもとしましては、いつも申し上げる通り、あの当時におきましても、いわゆる炭鉱経営者に対しまして、できるだけ早く解決するようにということを数回勧告したことは、御承知の通りであろうと思います。何も法的根拠があつてではございませんが、私どもが数回、個人的資格ではございますが、早く労働争議問題を解決するようにということを申したことは、お聞き及びであろうと思います。  なお、これについては、ほとんど損害がなかつたようお話でございましたが、非常に大きな損害があつたことも数字的にしばしば発表されおるから、おそらくこれは御承知のことであろうと存じます。
  36. 青野武一

    ○青野委員 私は、ここで通産大臣と議論をしようとは思いません。順序を追うて申し上げたいことをたくさん持つておりますが、もう一点だけ菊川君の発言に関連しておりますので、お尋ねしておきたいと思う。  この三条に「鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設」と書いてある。不幸にして私は、日本の刑法のどこを調べても、法律の中に「重要」という文字が入つておることを記憶しておりません。「鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。」としてありますが、この「鉱山の重要」という文字が、将来いろいろな意味で非常に拡張解釈をせられるおそれがあるのですが、具体的に、こういう点はどういうことをさしておるかということ、この一点だけを重ねてお尋ね申し上げて、また別の委員会のときにお尋ねしたいと思います。
  37. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は私も専門でないので、はつきりいたしませんが、私どもが重要と考えております点を率直に申し上げれば、たとえば排水設備であるとか、あるいは空気を抜く設備、こういうものは、ただちに人命もしくは炭鉱の崩壊等を来すもとにもなりますので、これらはきわめて重要な施設であると考えております。これは私のただ常識的に申すことでありまして、法律的には主務大臣である労働大臣の方からの御説明を伺つていただきたいと存じます。
  38. 山花秀雄

    ○山花委員 通産大臣のおられますときに、一点だけ関連した質問をいたしたいと思います。  公共の福祉、公共の福祉ということをよく言われるのでございますが、電力会社が九分断されまして、これは一昨年であつたと思いますが、異常渇水のときに、しばしば停電をいたしまして、国民各位が迷惑をしたことは、通産大臣も御記憶であろうと思うのでありまするが、この問題は、石炭対策を誤つた、もつと端的に申し上げますと、事業会社が一定量の石炭を確保する対策を怠つていた、さらに話を進めて行きますと、火力による電気というものが、おおむね欠損をするということ、これは明らかでございますが、水力の方はロハで電気が出る。そういう建前で、それをチャンポンにして電力会社の経営が成り立つ、こういうふうに言われておるのであります。公益事業あるいは公共の福祉という建前からいたしますと、当然石炭確保をやらなければなりませんが、せんだつて争議が行われまして、しばしば停電がございましたけれども、公共の福祉の建前から、石炭確保に対して、通産当局は厳重なる監督をしておるかどうか。そしておおむねどの程度の石炭がこれらの電力会社の確保の量であるか。そういう量を維持しているか、維持しているのにもかかわらず停電が起きているのか、こういう点について、監督官庁としての御見解をお述べ願いたい。
  39. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 電力につきましては、需給計画がございまして、水力で幾ら発電をする、あるいは火力でどれだけ電力を供給する、こういう計画を立てまして、そのほかに、ごく渇水期には、電気の割当等いたしておるのであります。そのほか需給状況でいろいろ割当をいたしておりますので、石炭につきましても、火力発電に必要なる需給計画に基き、準備はいたさせておるのであります。ところが、異常なる渇水というようなことが起つて参りますと、ただいまのようなことが起つて参るのであります。またスト等のために幾らか石炭を会社へ搬入するのが遅れた、そういうようなことはすぐ手配をさせまして、その後外炭を買いつけるとかいろいろやりましたけれども、実はああいう長いことを予期しなかつたので、こういう点についての齟齬は若干あつたと思います。しかし、いつも年初から需給計画を立ててやつておるのでありまして、火力発電に必要なる石炭の確保は、火力発電をやつておる電力会社が全部やつておるはずであります。またさように監督いたしております。
  40. 山花秀雄

    ○山花委員  一昨年の異常湯水というのは、普通の渇水期でない時期に渇水をいたしましたから、異常渇水という言葉を使つたのでありますが、その上きに通産省で指定していた石炭を確保しておれば、あのような停電をしていなかつたと思うのであります。この問題に関して、ただいまの通産大臣答弁は、確保させておる、こういうように明確に言われたのでありますが、確保していなかつた石炭はもうからないから—特に電力が九分断された結果、そういう弊害が起きて来たのでありますが、こういう弊害に対する善処あるいは対策という点について、もつと明確な御答弁をお願いします。
  41. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は率直に申しまして、一昨年のことは私よく存じておりません。ただ昨年来はそういう需給計画に基いてやつておるので、その点を申したのでありまして、今後も需給計画は毎年立てて、きちつとやつて行きますから、今後の点は齟齬なきように処置いたします。ただ火力発電の方がもうからぬから云々というお話がございました。幾らかそういう点があるかも存じませんが、御承知のように火力発電のところと水力発電のところとは、電気料金に差があるのでありまして、火力発電の地帯でも、水力発電に比べれば若玉利益は薄うございますけれども経営上の収支の割合品から見れば不利益でございますけれども、火力発電でも料金の差があるのだから、あたまから損にはなつていない、こえいうように承知しております。なおこまかいことは今後取調べてみます。
  42. 春日一幸

    ○春日委員 本法案提案理由説明書によりますと、国民経済国民生活に甚大な被害を与えた、損失を与えたから云々ということがうたわれておるわけであります。ところが昨年十二月十三日付の労働省労政局資料「電産ストによる被害状況」というプリントがあるのでありますが、この資料によりますと、こういうことが明示してあります。この資料は十二月十三日に出されておりまして—電産ストは九月二十四日に第一次ストが行われ、十二月二十五日終息をいたしております。この十二月十三日付の資料には、電産のストライキがほぼクライマックスに達した時期における産業経済に及ぼした影響なるものが収録されておるのであります。そこで電産ストが産業経済に及ぼした集約的なものがこれであると指摘してもさしつかえないと思うのでありますが、ここに記録されているものは、産業別の影響で、鉄鋼関係においては、鋼材全般の需給には支障なき模様、金属工業においては、生産は七〇%ないし八〇%となつて、大体三割程度の減産になつた。鉱山製練においては、生産に及ぼした影響は僅少である。造船関係においては、設備及び製品の保安に与えた影響はない。機械関係においては、全般的に考えて大きな支障を与えていないものと認められる。化学肥料関係においては、製品の需給には支障ないものと認められる。その他ソーダ関係においては、ソーダ全般の需給にはほとんど影響ないものと認められる。塩酸関係には若干の問題が云々、薬品関係においては、操業生産にはほとんど影響を受けていない。製氷冷凍関係では、影響は僅少である。国鉄関係においては、運転用のいろいろなものに対しては電力が確保された、鉄道工場はしばしば停電し、多少の影響を受けた。私鉄関係においては、直接送電停止はほとんど受けていない、すなわち支障はないということがうたわれている。かくのごとくに「電産ストによる被害状況」という労働省調査資料によつて、この電産の停電ストライキがかくのごとくに盛り上げられて来た当時においてすら、産業経済に与えた影響は概して僅少であるということが明確に示されておると思うのであります。しかるところ、今次ここに政府が提案したところのスト禁法の提案理由説明によりますと、国民経済並びに国民生活に甚大なる損失を与えたと言われておる。これは一箇月前の政府見解と、一箇月後における政府見解とがまるきり反対である。これははなはだしく豹変した態度であると思われるのである。この政府見解は、一箇月前においては、産業経済に対して影響がない、概して僅少であると言うておるにかかわらず、一箇月後においては、突然としてこれは重大云々というようなことがうたわれておる。ここに両ストに対する政府認識が齟齬を来しておると思われるのであるが、これに対していずれが本ものであるか、またどういうわけでかくのごとくに激変をしたものであるか、この点についてひとつつまびらかにいたされたい。
  43. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのはごく初期の話でありまして、ここに資料がありますから少しく申し上げますと、その後の影響がありまして、炭労ストによりまして、石炭の減産が五百九十八万一千トン、価格にいたしまして約百三十億円……、
  44. 春日一幸

    ○春日委員 私の申し上げておるのは、電産ストにおける被害状況……。
  45. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 電産ストでも同様でありまして、初期においては同じであつても、その後におきましてのことを申し上げますと、大口工場等におきましての損害は、生産面で一五%ないし二〇%の減少を来しております。しかし、そのほかに輸出特需品等、注文生産品の生産遅延とか、あるいはコスト高等、あるいは不良品が発生した等の損害は、数字にちよつと表わせませんから書いてございません、生産面の減少だけであります。  さらに業態別に申しますると、機械等の生産工程が長く、かつ分化しておる企業の一部における作業遅延が、非常に製品完成に大きな支障を与えておるのであります。それから特殊な注文生産、特に特需等においては、納期の遅延すら起りまして、損害賠償等の問題も生じております。なお化学工業、にとえばソーダについて申しますと、平均生産量の一二ないし一三%の減産を見ておるのであります。中小企業について申しますると、生産の減少は、平日につきまして大体一五%くらいでございますけれども、時間外労働による労働賃金の増加、品質の低下、不良品の発生、契約の破棄等の実例がたくさん出まして、減産の程度以上の損害があつて、これが企業、また労働者側においても、一〇ないし二〇%の収入減を来しておるのであります。数字に計上し得ないこういう資金のずれとか品質の低下とか、不良品の増加注文に支障を来した等の問題は、これは数字以上に電産ストについても大きな影響があつたことは、春日さんもよく御了承くださることと信ずるのであります。
  46. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま小笠原さんは、それぞれ影響のある面を強調されておるが、これは文字に表わされておるものをそのまま読んでいただければわかるのであつて、すべてそういうような事故があつたけれども、全般的に影響はないとか、概して被害は僅少なる見込みであるとか、保安に与えた影響はないということが、みんな結論として述べられておつて、総合的に受けるところの印象は、こういうストは、すなわち大した影響はない、こういうことがうたわれておるのでございます。  そこで申し述べたいことは、当時こういう二大ストが国民生活に与える影響の甚大さにかんがみて、アメリカにおいてルーズヴエルトなりトルーマンなりがこういうような争議が起きたときに、みずからその渦中に飛び入つて争議解決のために彼らは善処した。これを引例して、日本の総理なり責任者なりは、このストの中にみずから介入して、そうして争議の円満な解決のために善処すべきであるということをわれわれは数次にわたつて申入れをした。しかるに、その当時における答弁なるものは異口同音に、労働大臣緒方官房長官も、あるいはまた総理も、こういう労働争議の問題については、労使の円満なる話合いによつて解決することが望ましい。従つてわれわれ政府がそれに対して介入すべきではない、こういう態度をとられた。しかもその態度を裏づける資料として提出されたのが、この十二月十三日の「電産ストによる被害状況」なるものであつて、それはすなわち国民生活、国家経済に対して、概して被害は僅少である、すなわち緊急調整を発動する必要はない、かくのごとく認定を裏づけるものとしてかくのごとき資料が提出されておる。  そこで、私ども考えなければならないことは、当時においてはそのストを放任しておいて、すなわち緊急調整というところの伝家の宝刀があるが、これを抜きもしない。緊急調整に至るまでには相当のスペースがあるということが、この被害状況において示されておる。すなわち国家の経済を破壊しようということであるならば、緊急調整でこれをとめればいい。そうして救済ができる。しかしそこまでに至らないということは、なおかつ相当のスペースがあるということを明らかに証明するものである。ところが、それをやらないでおいて、緊急調調だに発動しないで、今回ここにスト禁法を立法しようとしておる。このことを私どもかれこれそんたくして考えますと、こういうことが想定できるのではないかと思う。すなわちそのストを両方けしかけて自由自在にやらせておいて、最後のばくちまでこれを馳せしめて、しかしてここで国民の反動、反感を沸き立たせてこういうスト禁法を出させる、こういうような資本家と政府の結託によつて出したのではないかということを、私ども考えなければならぬ。青野君が指摘しておりますように、こういうような法案によつて石炭単価が高まり、あるいは滞貨が一掃され得るというような問題もあります。  そこで私が申し述べたいことは、この十二月十三日付の資料なるものは、そういうストをどんどんやらして行く、けしかけて行く。悪い言葉でいえば、これを扇動して行く、こういうような形によつてこれが出された資料であるとするならば、これは政治的に重大問題でなければならぬと思う。そこで私どもはこの資料が正確な資料であるならば、われわれは何もこういうスト禁法を出す必要はないと思う。国民生活に対する被害は僅少であつたならば、何もスト禁法を出す必要はない。重大であつたならば当時緊急調整を出さなければならなかつた。彼らはその当時緊急調整を出しもしない、その議に及ばずという態度をとつてつた。しかるに、ここに至つてこれを出して来るということは政府の陰謀、資本家と政府と結託した形において出すということは、これは当然労働者が被害を受ける立場において、労働者が承認するはずはないと思う。この点について小笠原さんからひとつ明確な御答弁を願いたい。
  47. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 こまかいことは、いずれ政府委員からお話申し上げますが、今春日さんが言われたことは、その時分の資料はそうでありますが、その後における損害が大きいのであります。これは初期のものでございますから、そういうことになつておる。この書いた当時のこまかい事情はあとで申しましようが、結論的に申すと、私がさつき申した方が正しいのであります。このことはそういうふうに了承願います。それではなぜその時分通産大臣などがもつと入つてやらないか、ルーズヴェルト式にやらぬかというような仰せともとれるのでありますが、実は私どもも円満なる解決衷心から希望して、さつきも申した通りたびたび経営者の側その他にも話はして来ておつたのでありますが、しかし春日さん知つておられる通り、法制上通産大臣はこれに介入する権能を何も持つておりません。従いまして、一個人としての話合いしかできなかつたのであります。やはり法制上労働委員会がその役割を果すことになつておりますので、それはその方でやつてもらう。しかし私ども衷心から、ああいうことが日本産業に及ぼす影響の大きいことを考まえして、早く妥結するように骨を折つたことは御了承願えると存じます。なおこまかいことは政府委員から……。
  48. 田中伊三次

    ○田中委員長 それでは午後二時まで休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十六分開議
  49. 田中伊三次

    ○田中委員長 午前に引続いて会議を再開いたします。  まず労働行政に関する件を議題といたします。簡単に森山君。
  50. 森山欽司

    ○森山委員 証券取引所にありました米海軍司令部に勤務しておりました四百五十余者の者が、昨年十一月中旬から十二月中旬までに逐次全員解雇されたのであります。この米軍側の処置が不法であると、関係筋に陳情いたしましたところ、これについて東京労働基準局長は、かかる米軍の措置は労働基準法第二十条違反に該当するものだということを認定いたしたのであります。これによつて、特別調達庁に対して解雇手当の支給を求めたのでありますが、米軍との関係上、その支払いが遅々として進まず、すでに三箇月余を経過するに至つておるのであります。これらの人々は、最近の就職事情等から考えますと、非常に苦しい状況に置かれておるのでありますが、依然としてそれらの人たちそれぞれの立場からのあらゆる措置が功を奏せず、今日に至つておるのでありまして、私ども非常に気の毒に思う。この問題について、何がゆえに日本政府内においてすみやかなる措置がとれないか。少くも昨年の四月二十八日以降、わが国は独立したはずである。わが国独自の立場から、これらの人たちに対して、あたたかい思いやりのある措置が急速になされなければならないはずであるにかかわらず、それがなされておらない、その理由について労働基準局長、特別調達庁の次長さんもおいでのようでありますので、その間の事情について御釈明を願い、かつ、これがためのすみやかな解決の方途、たとえば立てかえ払いというような方法がないかどうか、そういつた点についてのお答えをお願いいたしたいと思います。
  51. 堀井啓治

    ○堀政府委員 ただいお尋ねの点に関しまして、調達庁の関係につきましてお答え申し上げます。ただいま御指摘の通り、昨年末の事件でございます。労働基準法違反であるという判定につきまして、いろいろ軍との間に紛議がございましたが、一応わが方といたしましては、労働基準局長の名前をもちまして、基準法違反であるという判定が下されました。調達庁といたしましては、この判定に基きまして、ただちにこの事務を委託しております東京都に対しまして、予告手当を支払うように通告をいたしまして、ただいまその措置を促進いたしております。  ただ問題は、第一に手続上の問題といたしまして、これは実費償還を受くべき性質のものでありますので、軍の承認を経ることが第一要件になつております。しからざればドルをもつて償還されないということになりますので、国といたしましては、第一に軍の承認を経て、いわゆるサインをとりまして支払いをするという手続の措置が必要でございます、第二に、軍におきまして、現地の軍といたしましては、その判定に対して多少疑問を持つておるようでございまして、昨日東京都に対して文書が参りました。そういうただいま申し上げるような意味を含めた文書が参つておりますが、調達庁といたしましては、ただちに極東軍に対しまして、その文書の内容に対して、承服しがたいという抗議を申し入れまして、至急に軍がこれを承認するような措置とりたいと考えております。問題の発端からは、御指摘のように三箇月を経過いたしておりますが、基準局長の判定の文書をいただきましたのが一月二十一日であります。また私の方から東京都に対して、ただちに支払いの促進を命じましたのが、一月二十八日でございます。大体そういう経過でございます。ただいま軍に対して、至急にこの承認をとりつけるように、調達庁といたしましては努力をいたしておる次第であります。
  52. 龜井光

    龜井政府委員 ただいま御質問のございました件につきましては、昨年末解雇されました労働者から申告がありまして、ただちに事実の調査をいたしました。その結果、労働基準法第二十条違反であるということを認定をいたしまして、調達庁労務部長あて、文書をもちまして、東京労働基準局長からその趣旨を通達いたしたわけでございます。労働省としましても、できるだけこの認定が実効の上において現われまするよう、調達庁にお願いをしまして、その実現方を現在も期しておる次第でございまして、できるだけ早く解雇されました労働者の方々に基準法上の解雇手当が支給されるよう、われわれとしては期待をしておる次第でございます。
  53. 菊川忠雄

    菊川委員 今御尽力を願つておることはわかりました。なおこの上とも御尽力を願いたいのでありますが、大体当事者から見ると、三箇月も非常に苦しい中をしんぼうしておられるのでありまして、こういう問題は大体いつごろになれば、解決がつくお見込みでしようか。またそれが非常に長引くような場合には、何らか—やはり、立てかえ払いは困難かもしれませんが、便宜的な方法がお考え願えるかどうかをお尋ねしたいのです。  それからいま一つは、この問題は、人数などからいうと、あるいは小さな問題かもしれませんけれども、問題の性質は私どもは非常に重大な問題だと考えております。たとえば、今問題になつております駐留軍労務者と米軍との、いわゆる労務基本契約の問題に関連いたしましても、性質は非常に重大だと思つております。今までほかにこういうような問題でひつかかるものがあるかないか、ありましたならば、お教えを願いたいと思います。
  54. 堀井啓治

    ○堀政府委員 どのくらい時日を要するかという第一の御質問でございますが、これは米軍という相手のある折衝でございますので、私ども日を限るわけに参りませんが、今までの例といたしましては、十分もののわかつた労務主幹との折衝の場合には、一日でも解決する場合もございますし、非常に長くなつていることもあります。しかし事の性質が、私どもとしては基準局の御判定の通り、あまり疑問のある問題でない、その点で練達した労務主幹との話合いにおいては、長時間を要することはないのじやないかというふうに考えております。  なお米軍とのデイスピユートで、支払い等でいろいろ遅延をしておる問題が、なお多少ございます。予告手当について遅れておるかどうかという点につきましては、私ちよつと承知いたしませんが、デイスピユートのために支払いの遅延しておるものはあります。
  55. 石野久男

    ○石野委員 ただいま菊川委員からもお聞きいたしましたので、関連するわけですが、実際にいましばらくのところで出るということが、今の次長さんのお話で大体わかりました。しかし問題は、基準局の方で支払うべきだということの判定を出しておるということになれば、労務者の方からすれば、いただくべき権利を持つたということになるわけであります。しかも、この問題は、すでに二箇月も三箇月もたつておりまするし、本人たちの生活も非常に苦しい。こういう事情になつて参りますと、当局におけるところの実費償還の問題がごたごたしておるいうことにかかわらず、労務者の方としては、それを要求することは当然だと思うのであります。そこで願わくばわれわれといたしましてはその実際に支給されるまでの期間が短かいことが非常に望ましいわけであります。次長さんは先ほどから、もののわかつた相手であれば案外に早いだろう、こういうお話でありましたが、しかし事実上は皆さん方の方で問題が提起されて、一月二十八日に都の方にいろいろ通知をしましてからでも一箇月たつておるわけであります。これがもし非常に遅れておるということになると困るので、私どもといたしましては、相手のあるこれで非常に困難ではありましようけれども、あなた方の胸三寸で、大体どの辺のところでその支給ができる可能性を持つておるかということを、ひとつ最初に聞かしていただきたいと思います。
  56. 堀井啓治

    ○堀政府委員 御趣旨は非常に私どもよくわかつておりますが、時日を明言いたしますことは、ちよつと困難に存じます。出先の労務主幹には不練達な人が多いし、中央には練達の人がいますので、私はそういう見込みを申し上げたのであります。
  57. 石野久男

    ○石野委員 今期日を明言することは、いろいろな事情上困難であるということも、わからないわけじやないです。そこで私はもう一度、菊川氏の質問と関連するわけですが、仮払いとか立てかえ払いとか、前払いであるとか、何とかそういうような方法で、この駐留軍との間における実費償還の手続の問題とは別途の形で、何か裁量的措置はできないかどうかということについて、そういう方途の見出し方があるかどうか。先ほど雑談の中では、支弁の仕方に二通りあるということをおつしやられております。一つは軍との関係において、一つは一般会計の中からの予算的処置において……、こういうお話があつたわけであります。私はやはり軍との関係におけるところの事情が非常に困難であるとすれば、一般会計の中で何かそういう処置の仕方とか、別途なやり方がありはせぬか、こういうように考える。そういう方向についてのあなた万の及ぶ範囲における可能性の問題を、ひとつお聞かせ願いたい。これだけぜひひとつ聞いておきたいと思いますので、御答弁願いたい。
  58. 堀井啓治

    ○堀政府委員 立てかえ払い等の方法がないかという御質問でございますが、今までそういう例は私ども承知いたしておりませんし、特に私ども感じ方から申しますと、アメリカ側のオージツトを現在も受けておるような状態でございまして、支払い上に予算措置と違いました性格があることは、相手の信用を害するおそれもありますので、できるだけそういうことは避けなければならぬと考えております。現在は立てかえ払いというような方法はございませんので、便宜な処置をとるということについては、私はあるいは絶対不可能ではないかもしれませんけれども、予算の取扱い上、ことに対米軍との信用問題もございまするし、そういうことは避くべきではないかというふうに考えております。
  59. 前田種男

    ○前田(種)委員 ちよつと関連して。新聞の報ずるところによると、今度行政協定の改訂に基きまして十二条によるところの駐留軍の労務員の取扱いを、直接雇用か間接雇用かということについて、相当問題があつて、日本政府が譲歩するかどうかというような大事な問題が、いろいろ話が進んおると聞いておりますが、斎藤労政局長なり特調として、あるいは当面の責任者は、あるいは外務省であるかわかりませんが、特に英濠軍の方が強く主張しておる直接雇いを—特に呉地区を中心にして、間接雇用では非常に経費がかさむというような問題があるといわれております。これはあらためて聞きたいと思いますが、大事な問題です。特に私は行政協定の審議にあたつて、日本の国民に対しましては、完全に労働三法を適用すると政府は強く答弁しておるのです。岡崎外務大臣も特に答弁しておるのです。しかし、雇用主が軍である限りにおいては、日本の法律の適用外であるから完全なる労働三法の適用は不可能だ、その不可能な分をいかにして補うかということがいまだに疑問として残つておるのです。その意味において、特調を残しておいて間接雇用にすることによつて日本政府当事者になるということで、ある程度駐留軍の希望をつないで今日まで来ておりますが、最近の情勢から行くと、そういうように直接雇用にしたいという強い軍側の要望がある。この折衝の内容がどの程度になつておるか、あるいは日本政府はどういう方針で今後ごの折衝をやつて行こうと考えておられるか、労働省と特調から答弁をお願いしたいと思います。
  60. 堀井啓治

    ○堀政府委員 雇用の問題につきましては、政府内におきましても論議の結果、労働者保護の立場から間接雇用が適当であるという線で、ただいまもそういう見地から間接雇用を実施し、また英濠軍に対しましても、そういう線で折衝をされておると存じております。ただいま直接雇用という軍側の希望が強いというお話がございましたが、これは一部にそういう話があることは私ども承知いたしておるのであります。米軍全体の意見とはまだなつておりませんし、特に私はこれは日本との外交折衝における大きなフアクターでもあり、軽々に結論が出される問題でもない。従つて、今日間接雇用の線が米軍においてただちにくずれるということも、私どもとしては考えられないというふうに思つております。
  61. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 日米行政協定による駐留軍労務員につきましては、これは間接雇用で問題がないと承知いたしております。国連軍協定に基く英濠軍との雇用形式を間接にするか、直接にするかというような問題につきましては、労働省といたしましては、やはり現在は直接雇用でやつておりますが、やはり駐留軍労務と同じように間接雇用の方が適当ではないだろうかという考えをもつて、外務省にもその意見を申しておるわけであります。そこで外務省といたしましても、国連軍協定にあたりましては、英濠軍との関係もやはり間接雇用がいいということで、目下折衝していることと承知いたしておりますが、英濠軍の方では、直接雇用の方が経費もかからなくていいというようなことを言うておりまして、日本と英濠軍との間に話が今順調に進んでいるということを承つております。私どもの気持といたしましては、やはり言語も思うように通じないような点もあるという状態でありますので、やはり駐留軍労務と同じように、間接雇用が適当ではないかと私ども存じておりますが、折衝の過程においては相当いろいろのむずかしい問題が起つて来るのではないだろうか、まだ協定が妥結するまでには相当の日数を要するのではないだろうか、かように存じている次第でございます。
  62. 菊川忠雄

    菊川委員 今の問題については、相手のいることであつて、一日でも早ければ早いほどいいのでありますが、実情は御承知の通りですから、国会でも取上げて、われわれも非常な関心を持つておる問題であります。そのことを含めて一日も早く解決してもらいたいのであります。なお長引くようなことがございましたならば、私ども委員会において、もう一度いろいろと問題を検討しなければならぬと考えております。
  63. 田中伊三次

    ○田中委員長 それから調達庁に委員長からも一言希望しておきますが、この問題は非常に重大な影響のある問題だと考えております。重要法案の審議中に、特に御出席を願つて質疑をしておるような状態であります。どうかあとう限り急速に解決ができるように尽力せられんことを希望いたします。  暫時休憩いたします。     午後三時八分休憩      ————◇—————     午後四時二十一分開議
  64. 田中伊三次

    ○田中委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案内閣提出第八八号)を議題といたします。  ただいま議題といたしました法律案に関する公聴会の公述人の選定に関してお諮りをいたします。公述人への通知、また公述人の出頭の日時等の関係から、この際公述人の選定をしておきたいと思いますが、公述人は諸般の状況より勘案いたしまして、その数を総員十一名といたします。労働者代表、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君、東京電力労働組合中央執行委員長吉田一吉君、日本炭鉱労働組合中央副執行委員長諸富義高君、労働者代表は以上三名。それから使用者代表、日本経営者団体連盟法規委員長箕浦多一君、日本化学工業協会労働委員長磯村乙己君、電気事業連合会事務局長平井寛一郎君、以上三名。公益及び消費者代表、中央労働委員会委員吾妻光俊君、早稲田大学教授野村平爾君、主婦連合会代表春野鶴君、京都婦人団体代表川合良子君、東京商工会議所中小企業委員会委員長石田謙一郎君、以上十一名の方々にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 田中伊三次

    ○田中委員長 御異議なきものと認めてさよう決定いたします。  それでは来る七日午前十時より本案に関して公聴会を開催いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会