○菊川
委員 どうも具体的な御答弁がない
ようで遺憾であります。私のお尋ねするのは、そんな一般的なことを次官にお尋ねはしないのです。そういうことを質問する場合には、総理大臣か通産大臣か、あるいは
労働大臣か、責任ある人に聞くのであります。私がお尋ねするのは、この間の両
争議について、今
言つたような賃金が安いか高いかという
ようなことだけでなしに、少くともこれが最初言われておる
ように、公益的な
性質を持
つておる
争議であり、しかも
国民経済、
国民の日常生活に大きな
影響を及ぼす
争議である以上は、
政府はその解決について何らかの方針と信念を持
つてやらなければならぬ。か
といつて、
政府が面接こ解決に乗り出すべきではない。それには中労委という機関がある、自主的な解決をはかるべきでありまし
よう。
従つてそういう
立場から、
労働者に対しては
労働省がやるかもしれませんが、
労働省以外に、やはりそれぞれの監督官庁があるのでありますから、そういう官庁も全力を尽して当らなければならない。今伺
つておりますと、結局そういうこともあまりおやりにならない。
従つて争議は、自由的解決という名のもとに、
政府は実は無為無策、無能に終
つたということになるのであります。こういう点について、具体的にいろいろおやりにな
つた事例が実はない、しなか
つたということであります。それで一体、するのがいいのか悪いのかという御
見解であれば、おそらくするのが悪いとはおつしやらないでし
よう。中労委を通じていろいろ資料を提供して
政府の意向を表明するということは、
国民の利益を代表するものとして当然であります。それをやらないところに
政府の怠慢と無能があるのであります。
従つてここに書いてあるところのことは、結局これは単なる抽象的なことであ
つて、理由にはな
つていない、こういうことを私は申し上げたいのであります。しかしながら、これをいくら追究しても、ないものはないのでありますから、これ以上の質問はこの項目についてはいたしません。
そこで、その理由の第三としては、
政府は
電気事業及び
石炭鉱業の
特殊性及び重要性並びに
労使関係の現状にかんがみて、
争議権と公益の
調和をはかり、も
つて公共の
福祉を擁護するためにこの法案を出しておる、こういうのでありますが、ここで問題になりますのは、
労使関係の現状の問題と、
争議権と
公共の
福祉の問題をあげておられるとわれわれは見るのであります。そこで第一にお尋ねしたいのは、
争議権と
公共の
福祉ということについて、一体これがこの法案の提出の理由として
正当性があるかどうかという点であります。このことは、すでに今まで倉石君あるいは
森山君などの御質問で、しばしば
政府も答弁をされておるのでありますから、そのことを私は重複してお尋ねはいたしませんが、
政府の御答弁の中で大きな疑問を残しておる点は、緒方官房長官は、
公共の
福祉と
労働者の基本権というものは、全体と部分の
関係であるという御説明をなざ
つた、そしてまた
労働省当局もその御説明を繰返しておられるのであります。
従つて、この点については、今後の労働行政なり労働立法というものについて、少くとも見のがすことのできない一つの理論的な大きな問題である、私はこう
考えるのであります。この
観点から二、三点御質問いたしたいと思うのであります。
一体
憲法における民主主義の建前に立
つて言
つておるところの
公共の
福祉という言葉、従来しばしばいわれるところの全体主義的な言葉として使われる全体と部分という場合の全体を
意味するものとお
考えなのかどうか。これはいささか
議論めきますが、きわめて軽々しく使われて、いろいろの弊害をもたらすおそれもあるので、お尋ねいたします。