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1952-12-09 第15回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 山村治郎君 理事 前田 種男君    理事 青野 武一君       伊能繁次郎君    今松 治郎君       大平 正芳君    中  助松君       松山 義雄君    持永 義夫君       森山 欽司君    春日 一幸君       菊川 忠雄君    矢尾喜三郎君       山口丈太郎君    山花 秀雄君       石野 久男君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      中村 文彦君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         労働政務次官  福田  一君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         外務事務官   關 守三郎君         日本専売公社総         裁       秋山孝之輔君         日本専売公社総         務部長     小川 潤一君         参  考  人         (全専売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         参  考  人         (公共企業体等         仲裁委員会委員         長)      今井 一男君         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定  に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、  議決第二号)  労使関係に関する件  失業対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより労働委員会を開きます。  本日は御多忙中のところを、参考人におかせられましては御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。お礼を申し上げます。重要な案件についての御意見を伺うことでございますから、どうか隔意なき御意見をお伺い申し上げたいと存じます。  それでは公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出議決第二号)これを議題といたします。関係各位の御意見を求めることにいたします。  まず日本専売公社総裁秋山孝之輔君。  それから秋山さんにお願いをいたしますが、いろいろな都合で国会が遅くなつて時間がございませんので、今日までの経過は、委員各位は全部わかつておりますから、問題となる要点について、大体十五分くらいの範囲内で御意見をお述べいただきたいと存じます。     〔委員長退席山村委員長代理着席
  3. 秋山孝之輔

    秋山説明員 すでに組合からの申出によりまして、両者団体交渉をいたしまして、調停委員会調停もあり、かつ、これも両者の同意がなくて、結局仲裁裁定に入りました経過については、委員各位におかれても御承知及びのことと存じますから、そういう方面は簡略に申し述べたいと思います。  仲裁裁定の出ましたのは、十一月二十七日であります。裁定の要綱についても、御承知及びと存じますから、  一々私から条項については申し上げず、その要点について申し上げたいと存じます。   一項は、給与ベースにつきましては  一万三千百円という御裁定があつたのであります。二項は、前項による賃金の差額のうち、八月から十月までの分については、公社は十二月中に一時金として支払うことができる。三につきましては、新本俸の配分は、「通し号俸表」と「職種別号俸表」の二本建によつて行うこと。四は、扶養手当の額は現行通りとする。五は、公社は、夏季に支給した報償金のほかに、当初予定された額の報償金を支給する。六は、本年度決算において予定以上の利益を生じた場合は、公社はその一部を業績賞与として職員に支給する。七は、本裁定の解釈につき疑義を生じ、またはその実施にあたり両当事者の意見が一致しないときは、本委員会指示による、こういう裁定があつたのであります。  これにつきまして、公社といたしましては、もちろんこの仲裁裁定は申すまでもなく最終の決定でありますから、私どもはこれを承認したいということで、今日に立ち至つておるのでありますが、すでに大蔵省としては、こういうことを予期せざる補正予算を組んでおりますので、その後におきまして、大蔵省と何回となく交渉はいたしたのでありますが、しかし、公社希望するところと政府の見るところとは一致することができないで、今日公労法十六条二項によつて国会の御処置を願う、こういうことに立ち至つておるのであります。  私この機会に希望を申し上げますれば、公社の現況から見まして、私の口から申し上げるとはなはだ僣越でおこがましい次第でありますけれども、おそらく専売制度始まつて以来の専売事業の好成績を上げておるのであります。補正予算におきましても、益金において当初予算より百億の増収があり、かつ能率の点においても、一段と上昇しておるのでありますから、この仲裁裁定を完全にのみたいというのが、私の熱烈な希望であるのであります。しかし、これには予算措置がなければ、とうていのみ得ないものでありますから、この間に政府と私たちとの意見間階がある。はなはだ微力で政府承認を得ることができないので、この点について、国会委員各位の御指示によつて公社希望するところが実現するようにおとりはからいを願いたいと思います。  はなはだ簡単でありますけれども、要約して私の考えておるところを申し上げます。
  4. 山村新治郎

    山村委員長代理 次に、参考人各位の御意見を求めます。まず全専売労働組合中央執行委員長平林剛君。  平林君にお願いいたしますが、秋山君同様、なるべく簡単に要点お願いいたします。
  5. 平林剛

    平林参考人 私は全専売労働組合中央執行委員長平林剛であります。このたび国会に付議されました専売裁定につきまして、その概要を申し上げ、組合側考え方を明らかにいたしたいと思います。  この裁定の動機になりました昭和二十七年四月以降の基準賃金につきましては、この春以来、公社側との間に紛争を続けておりました組合側要求は、現行基準賃金一万四百円に対して、一人平均月額六千三百円を増額することを中心にした要求でありました。  組合がこの賃金改訂要求をいたしました理由を申し上げると、専売職員現行賃金は、昨年の昭和二十六年十月十二日付裁定第六号によりまして、八月以降一万四百円の基準賃金実施されております。しかし組合員の実際上の生活は、この現行賃金ではとうてい生活が維持できない。組合の手元に参ります組合員からの手紙でも、一つ一つ読むほどの時間がありませんけれども、とても涙なしには読めないような実情であります。そこでこの実情を改善するために、われわれは基準賃金において六千二百円の増額を要求いたしたわけであります。加えて公社昭和二十七年度歳入予定額は、千九百四十五億円に及ぶ厖大な予算国庫に納める役割を持つております。この計画を達成する基盤である職員生活は、私どもの見解としては、戦前水準に返してもらつてよいのではないか、戦前水準に返してもらつて労働力の再生産を確保、保障していただくことは、決して無理な要求ではない、こう考えたからであります。われわれがこれを主張いたしますのは、昭和九年ないし十一年の専売公社における製造本数は約六百六億でありました。かりにこれを一〇〇にいたしますと、昭和二十七年度においては九百一億本になりまして、指数だけから計算いたしますと、戦前水準を越えること一四五・五割合にわれわれの生産性は高まつておる。職員在籍人員が多少ふえておりますから、さようなことを考慮いたしましても、一二五・二という数字が出て参ります。これは仲裁裁定の中においても、専売職員労働生産性はおおむね一三八として認められておるところであります。ところが先ほど申し上げましたように、専売職員賃金は、組合側資料によりますと、昭和九年ないし十一年におよそ五十一円九十五銭であります。その当時から物価は政府資料を使いましても三百倍以上に達しております。ですから、当時でも低かつた賃金ではありますが、当時の生活を維持するにいたしましても、組合要求としての一万六千六百円を十分上まわるものである。加えて生産戦前一〇〇に対して一三五の割合にまで努力しておるのであるから、専売職員賃金をもう少し改善をしてもらいたい、そういう意味組合要求提出されておるのであります。しかもこの要求数字でも戦前一〇〇%にするのではなくて、約九〇%に達するというだけの数字であります。しかもその賃金の額がどれだけの生活内容を保障するかということにつきましても、われわれはマーケツト・バスケツトの方式によつて、どうしてもこれだけは生活に必要ではないかという資料を裏づけとして要求提出したものでありまして、詳細にその資料検討していただければ、人間はこれだけはどうしても食わなければ生きて行けないことは、だれでも理解していただけるものと確信をいたしておるのであります。この組合要求に対して、公社との交渉が妥結に至りませんことは、御承知通りでありまして、これは調停委員会に移されました。  私どもがここで強調しておきたいことは、調停委員会におきましては、八月以降基準賃金は一万四千円にしなさい、こういう調停案を出されたのであります。そして一般職員に対して一時金として平均一万九百円を可及的すみやかに支給しなさい、このような調停案が出されたのでありますが、遺憾ながらこの調停案も成立をいたしませんでした。専売公社は、やはり予算上の理由で、現段階においては実施しがたいということでありました。裁定でさえもなかなか困難な事情であります。裁定でさえもなかなか実施が出来ないでごたごたするときでありますから、調停案ではとてもだめだと考えまして、法律拘束力を有する仲裁委員会裁定を仰ぎたいと考えまして、組合側はやむを得ず調停案を受諾しなかつたのであります。この争いの結果、仲裁委員会において先ほど総裁説明をいたしましたような裁定が出されたのであります。  これでわかりますように、今度の裁定は、八月以降基準賃金月額一万三千百円が裁定されたのでありまして、調停案よりはるかに不まわつた金額であります。調停案は一万四千円、そうして一時金一万九百円支給とありましたが、裁定ははるかにこれを下まわりまして――特に仲裁委員会におきましては、四月にさかのぼるという理論の正当性を認めながら、しかもいろいろな面を考慮して八月ということにされたのであります。これは公労法上、裁定に服従する者に対して、いまさら私どもがいろいろなことを申し上げてもしかたがないことでありましようが、組合員のほんとうの気持といたしましては、労働組合要求提出いたしましてから裁定が出るまでに実に八箇月かかつておる。団体交渉がうまく行かないで第三者の手にゆだねてからでも、実に五箇月の期間経過いたしております。仲裁委員会審査お願いすれば法律では一箇月で裁定を出せ、こういうようなことを国会でお認めになつておる慣例でありましたが、これも今度の場合には、いろいろな事情がありまして、三箇月の期間を過してしまいました。言いかえれば、組合はこの間緩慢な餓死の状態にありながら、それでも公労法の定めるところによつてその手続を進め、その裁定をひたすら待つたのであります。その額が一万三千円であつたということは、組合要求を、まだわれわれとしては捨て去ることができないだけに、はなはだ残念に思つておるところであります。特に基準賃金一万三千百円と裁定されたことについては、仲裁委員会は、戦前昭和九―十二年の五十二円二十銭を基準として、それから三百倍、つまり一万五千六百六十円、しかしこの中には年末手当その他が含まれていたのだからというわけで、結局一万三千百円まで削りとられたかつこうになつておりますが、最近組合側が発見をいたしました資料によりますと、もつとはるかに高いものに裁定がされてよかつたのではないかということを見出すことができるのでありまして、もし許されるならば、われわれとしては仲裁委員会にこの資料をもう一度検討していただいて、裁定をしていただきたいような気持を持つほどであります。しかし公労法の定めるところによりまして、かりに非常に不満ではあるが服従せざるを得ないといたしましても、一万三千百円という数字は、御承知のように裁定理由その他を詳細に御検討願えば明瞭でありますように、年末手当一箇月分  一万三千百円が確保されて、初めて八月以降一万三千百円の数字が現われて来ておるのであります。ところが今、年末手当でも専売公社側交渉を進めておりますが、なかなかこれも思うように行きません。年の瀬が迫つても、いまだに専売公社職員に対して年末手当を幾らにするかが、最終的にきまらないような状態であります。もしこの年末手当が、裁定理由にあるように一万三千百円を下まわつたときには、一体八月以降一万三千百円の基準賃金数字はどうなるのか。こういうことを思い合せますと、組合は今度の裁定については、たいへん不満な気持を持つておるということを御理解願えるものと思うのであります。  しかし、私は、今裁定をし直してもらいたいということを申し上げているのではありません。ただ今度の裁定が、いろいろな角度から見て、時間がかかつた割合には、組合にとつてきわめて不満足なものであるということを申し上げたいのであります。同時に、さような不満足なものですらなかなか実施されないことは、たいへん遺憾なことであつて組合としては、裁定が完全に実施されることを要求いたしたいと思うのであります。そして今日まで組合としては、専売公社との間にきわめて友好的な関係生産に協力して参りましたが、今度こそは、この裁定が完全に実施されるまでは、専売公社約束した以上の勤務時間については応じないつもりであります。そればかりでなく、今日のような状態では、専売労働者には、生活を守るために憲法で保障された罷業権を行使する権利があるとさえ、私は信じておるのであります。国会におきまして公労法を定めましたのは、仲裁あるいは調停機関が、われわれの生活を保障する機関となるから、専売労働者にも罷業権は停止させようではないかとおきめになつたと思います。特に昭和二十三年七月二十一日に出されたマツカーサー元帥の書簡からこの公労法が形づくられた歴史を持つておるだけに、これらの理由が消滅をしたり、あるいはそのときのお約束がきわめて不安定な場合には、専売労働者は、憲法で保障された基本的人権が立ち返ることは当然であると思うのであります。特に専売労働者公労法に適用されていることは「公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする」ということが明らかにされておりますが、タバコに関する限り、さような事由国会におきましても再検討を願いたいと私は思つておるのであります。すなわち昭和二十三年七月二十一日当時の状態と、とにかく独立になつた今日の状態とでは、また情勢が違つているように思いますので、タバコに関する限りは、公労法の適用については再検討お願いいたしたいと思つておるのであります。  私が今これを申し上げるのは、特に次の点を指摘いたしたいからであります。それは、政府は少しも裁定を尊重してくれないではないかということであります。公共企業体等労働関係法によると、紛争の友好的かつ平和的な調整をするために、よい慣行と手続をとろうという定めがあります。ところが、公共企業体の正常な運営を破壊しているのは、いつも私は政府だと思うのです。去年の裁定の例を申し上げる前に、昭和二十四年の仲裁裁定第二項を思い出していただいてもいいと思います。国会は、この裁定に対しては労使双方が最終的に服従すべきものだということで、当時賞与制度を確立するという裁定が出されました。これは当時の政府においても、この問題については服従するという用意を明らかにいたしたのにかかわらず、今日に至るも賞与制度の実現はできておりません。昨年この労働委員会においても、政府の答弁によると、目下賞与制度については懸命に努力をしていると言われましたが、いまだにそれが実現しておりません。三年たつて公労法による裁定実施できない状態が続いていることは、公労法でお約束を願つたことは全部くつがえされておると言つてよいと思います。特に昨年この労働委員会において、一万四百円の仲裁裁定は尊重すべきものである、政府はすみやかに適当な措置を講ずべしという動議が成立いたしました。政府はこれに対して、御趣旨に沿い適当な措置をとりますということを明らかにいたしたのであります。ところが、少しも国会趣旨に沿つたような実行が行われておらないのが実情であります。これは、今度の補正予算においても明らかでありまして、決して国会の御趣旨沿つて政府は忠実に実施をしておりません。この問題は、単に専売労働者に対していろいろな事由をつけて円満な紛争の処理を行わないという政府の姿でなくて、国会で定められたことについてさえも、十分その通りのことが行われておらないということは、私は、今の政府公労法に対する考え方が、もう初めからどこかで筋が違つておるというような気がいたすのであります。  もう一つ組合側が申し上げておきたいことは、政府は、今度の場合も、裁定国会に十六条の第二項に関係があるとして提出をいたしてありますが、組合側は、予算上どうして不可能であろうかということについて、大きな疑問を持つております。公労法紛争を最後的に解決する意思がありさえすれば、裁定はただちに実施できるものであると思うのであります。裁定に要する経費は、世間一般並の年末手当を支給するというふうにして、その予算を含めましても九億四千五百三十二万五千円であります。専売公社の計算によりましても八億六千六百八十六万四千円になつております。かさは非常に多いようでありますが、専売裁定が、最終的に服従するものであるという建前からいつて、当然この措置が行われるべきものでありまして、専売公社は、昭和二十七年度の補正予算においてこの予算を若干修正をして、そしてそれによつて財源を得たいと大蔵大臣申請をしたようであります。しかし、先ほどの説明通りに、結局承認が得られないので、予算上不可能になつておりますが、組合としては、大蔵大臣承認を与えさえすれば、国会になんか持ち出して来なくても、実施が可能である性格を持つておると思う。特に予備費は当初予算でも十五億九千万円用意されておりました。今度の補正予算の中でも十三億七千六百万円が予定されております。もちろん予備費は、ただちに裁定に使うという金ではないでしようけれども、しかし予期せざるものに対して用意をしておる金であります。葉タバコその他について予期せざるものとして用意をしておるようであります。しかし、そういう予期せざるものに用意するくらいのものでありまして、現在はこれは当然法律によつて服従しなければならないものでありますから、これをただちに実施をしていただきたいと私どもは思うのであります。これによりますれば、国会に付議する必要は少しもなかつたはずであります。特に政府与党である自由党の幹部の諸先生の間におきましても、今度の専売裁定なんかは、国会に持つて来る必要はないじやないか、国会に持つて来ないようにして処理しようじやないかというふうに、私どもにお力添えをしていただいておるほどであります。かりに、公社大蔵省要求をいたしましたような方式をとりまして、国会で御承認を願うということにいたしましても、このために一般会計から一銭も借り入れる必要はないのであります。専売公社予算の一部を修正すれば、それで足りるものでありまして、他に影響させるものではないと思うのであります。今度の補正予算におきまして、歳入額を当初の予算よりも二百十七億円追加いたしてあります。これはたいへんな数字であります。専売公社職員は、当初予算では、これだけやればよいというふうに国会がおきめになつてくれました。ところが、今度の国会において審議お願いしておるところによりますと、さらに二百十七億円も働けということを、われわれにお示しになつている。しかし、私どもは、働けるだけは働こうと思つている。そうして働くに相当するだけの金額要求をいたし、その保障を求めたいと思つておりますから、そのような大きな数字についても、今とやかく言うつもりはありませんすでにわれわれは、この春から九月までの分でも、予定以上の百六億円も専売国庫に納めているほどでありますから、われわれに働きがいがあるようにやつてさえいただけば、私は、労働組合のために、専売公社職員と協力いたしまして、二百十七億円におきめになつたものを、さらに裁定に必要な額だけをふやしても、やつてみせるだけの自信は持つておるのであります。たいへんそれは苦労が伴うものでありますが、われわれはできるだけのことはしたいという気持はいつでも持つておるのでありまして、大いに努力する用意だけはあります。もしそのような措置をとれば、他に少しも影響を与えることなしに、裁定実施できるものであります。しかし国会は、今の専売労働者作業実態について御検討を願えば、そのような無理なことを言つて裁定実施させようなんていうことは、決してお言いにならないと思います。この点については、十分われわれの実情を御検討願つた上で御審議を願いたいと思いますが、言つてみればさような程度のものであるということであります。  国会にこれが付議された以上は、国会における御良識にまつ以外にはありません。何とぞ専売労働者生活が、一日も早く保障されるような裁定実施されるような御結論を生むことを、心からお願いをいたしまして、私の意見を終ります。
  6. 山村新治郎

  7. 今井一男

    今井参考人 仲裁裁定というものは、一つ企業体、具体的に申せば、専売とか国鉄とかいう一つ公共企業体においての労働紛争を解決する一つの手段として設けられたものであつて、そういう見地に立つて裁定を行つているという点は、せんだつて連合審査会で申しましたから詳しくは申し上げませんが、特に今回の専売裁定につきまして、ぜひお耳に入れておかなければならぬと考えますことは、この裁定が二人の委員のみによつて行われたということであります。私どもは、公労法上から考えまして、この点に非常に大きな疑義を持つたのであります。申請があつた八月の末には、むろん三人の委員がおつたのでありますが、福井君が衆議院に出られるためにおやめになりましので、ここで一人の欠員ができた ところが、七月改正前の公労法におきましては、そういう場合には補欠委員制度がございまして、すぐさま仕事が実行されたのでありますが、補欠委員制度がなくなりました。補欠委員制度がなくなつたということは、ただちに三人の仕事を二人でやつてよいという意味には、われわれとして、法律建前からも、他の裁判の仕組みその他から考えまして、また三と二という数字の権衡からも考えまして、われわれとして遺憾ながら仲裁手続をそこで一応ストツプせざるを得なかつたのであります。仲裁委員中央調停委員会推薦候補者に基いて、労使双方相調をいたしまして、その相談がままつた上で手続がとられるのでありますが、その中央調停委員会が、十月になるまででき上らない。従つて、われわれとしてはどうにも動きようがなかつたわけであります。こういう行政機関の機能の問題は、もし政府の権威ある、たとえば法制局のようなところから、公文によつて、よろしいというお示しがあれば、私どもはいつでも動く用意をしておつたのでありますが、それも不幸にして得られなかつた。結局十一月になりまして、労使双方から、二人でもよろしいから出してくださいという公式な申入れを受けたのであります。そこで私は、同僚の今泉委員と相談の結果、この委員会労使双方労働紛争を解決することが目的であります以上、その拘束を受ける労使双方が二人でよろしいということならば、公労法疑義いかんにかかわらず断行してさしつかえないもの、またそれによつて法律上の疑義もひとまず解消し得る、こういう見解のもとにわれわれとして出したものでありまして、その点は、仲裁委員会始まつて以来のただ一つの異例でございますが、われわれといたしましては、問題の性質上、二人で出したことは、少くとも労使関係においては、その効力に全然疑義がない、かように存じておりますことをあらかじめ申し上げておきたいと思います。  なお、賃金につきましては、われわれといたしまして、労使双方の見解をただして、その見解の違つておるところを調整して出会わすという線において、でき得る限り努力を重ねたのでありますが、組合側の主張の中のマーケツト・バスケツト論は、もちろん公社側も反対でありましたし、われわれの見解としても、ただちにこの賃金の基礎には持つて行きにくいのでありますが、組合側の主張の中で戦前に関するもの、今、平林君が申し上げたような線については、これは理由があるものとして取上げて行つたのであります。そういつた線からこなして行つた数字と、また公社からは、公式には、われわれとしては幾ら幾ら出せる、また出すべきだと思う、こういつた数字は得られなかつたのでありますが、公社の最もよろしいと主張される資料から推測して行つた数字等をにらみ合せまして、またさらに公社大蔵省との折衝において、妥結というと変ですが、最終的に話がきまつ数字等が、公社の公式な意見とも見られるのでありますが、そういつたものともにらみ合せて、今回の数字に相なつた次第であります。  次に、この遡及の時期でありますが、改正前の公労法におきましては、少くとも毎年一回団体交渉を行わなければならないという明文がございました。これは八月から削除になりましたけれども、削除になつたということは、おそらく立法趣旨は、そういつたことは、労使の慣行にまかすべきであつて法律規定するのは出過ぎであるといつた意味だろうと考えられるのであります。旧法にございました趣旨は、私どもの解釈では、賃金を、少くとも一年一回はお互いに検討し直すという趣旨が含まれておつたものとも考えられるのであります。その意味で四月遡及という議論も考えられると思つたのでありますが、特に仲裁委員会が、こういつた事情で非常に手続が遅れまして、それによる不利益か組合に及ぶことは、まつたく公平の原則にもそむくとでありますがわれわれとしては、今年から実質的に夏季手当に相当するものが払われたことに着目いたしまして、それを中心として八月でしんぼうしてもらうという線を出した次第であります。本来生産報償に充てらるべき金が、実質的に夏期手当に充てられたので、その穴埋めを追加して裁定せざるを得なかつた次第であります。  なお、賃金体系につきましては、組合側公社側の主張も、かなり食い違つておりますが、結局三項にありますような妥協案ならば、労使間の話がつくという見通しのもとに、われわれとしては示したものであります。  なお年末手当につきましては、両者間に紛争ございませんでしたので――御意見がなかつたので、仲裁委員会裁定を避けております。もう一つ業績賞与制度に触れておるのであります。これは賞与問題そのものが、労使間の紛争として現実に起つてつたわけではないのでありますけれども、われわれのいろいろなそろばんの持つて行き方によりますと、八月遡及という程度にとどめたということは、戦前基準という立場から考えますと、多少不足ぎみでございます。さらにまた、今回の補正予算によりますと、専売労働者は、この下期によほど勉強しないと、予定専売益金が確保できないであろう。超過勤務というものは、単に割増し賃金を出せば、必要なだけやらしてよろしいという性質のものでございませんので、そういつた角度を越えまして、すでに二十四年末の専売裁定におきまして示した案ではございますけれども、この業績賞与が、この三年間たつても実際に行われておらないということは、労使の慣行の実例にかんがみて、もう一度述べることが適当であろうと考えました点と、双方の角度から、ここに一箇条を入れたわけでございます。なおこれに要する資金は、理由書にございますように、私どもの計算では約四億円内外でありまして、専売予算規模八百億に比べますと〇・五%、一%に足りない数字でありまして、これが専売事業の運営に支障を来す数字とは、常識的に見ても考えられませんし、また従来の予算遂行の実績から見ましても、数億、十数億等の違いは、むしろ出て来たのが従来の例であります。また現在の専売が、戦前に五〇%もまさるような大きな仕事を負担しておる現実にかんがみましても、この際専売職員に国家財政に対する大きな寄与を期待するためにも、こういつたものは公社当局において努力してでも、ぜひ捻出をははかるべきものと考えた次第であります。もちろん給与総額のわくがございます以上、これは国会のあらためての御審議がいる問題とは考えましたけれども、この数字専売事業の運営に具体的に影響が起るような数字でないということは、自信を持つて申し上げられるかと思います。  簡単でありますが、一応私の説明を終ります。
  8. 山村新治郎

    山村委員長代理 これにて参考人各位の御意見の御開陳は終りました。まことにありがとうございました。  この際参考人各位もお忙しいことと存じますので、一応質疑は参考人の方々にのみいたすことにいたしまして、政府当局に対する質疑は、その後に譲ることにいたしますから、この点御了承を願いたいと存じます。まず通告順によりまして森山欽司君に発言を許します。森山君。
  9. 森山欽司

    ○森山委員 今井委員長にお伺いいたしますが、今回の仲裁裁定書を拝見いたしますと、国鉄裁定の場合の仲裁裁定書と異なりまして、年末手当に関しては何ら触れておられないのであります。ただいまの御説明を伺いますと、労使双方からこれについての問題の提示がなかつたので、裁定を避けているというお話でございますが、まず年末手当について、どういうお考えを持つているか、はつきりしていただきたいと思います。
  10. 今井一男

    今井参考人 申し上げた通り、年末手当に対しましては、われわれの裁定期間中には、労使間に紛争がなかつた、かように認定いたしましたので、われわれとして意見を述べなかつた次第であります。
  11. 森山欽司

    ○森山委員 国鉄裁定には、「年末手当は、理由に示す趣旨に従い、両当事者の団体交渉によつて決める。」ということが書いてあるのです。これは当然出すべきものである、ただその額等については、両者団体交渉によるということになつておる。専売裁定については、年末手当には何ら触れておらない。出さなくともいいという趣旨なのか。またがつて裁定の実質上の扱いについて、年末手当を給与の中に織り込んだりなんかしたような臨機の措置がとられた例がございます。そういう意味で、今回出されました裁定書は、実質的に見ますと、十一月二十七日で、もう年末に近いのでございます。従つて、年末手当に対して何ら触れておらないということは、形式上から申せば、もとより今井委員長の言われる通り、労使の紛争がないから触れてないというのでありますが、仲裁委員会としては、年末手当は出すべきものであつて、また従来の慣行の方式によつてきめらるべきものであるというお考えを持つておられるのか、あるいはこれについて触れてないから、出さなくともいいというお考えなのか、そこのところをはつきりお示しを願いたいと思います。
  12. 今井一男

    今井参考人 労使からお申出がありますれば、いつでもわれわれとしては相談の上、われわれの見解は示す用意はございますが、専売につきましては、当時お申出がなかつたことは、すなわち紛争がなかつたもの――要するに仲裁委員会というものは、私、過日もこの席で申し上げましたように、権力によりまして――権力という言葉は悪いかもしれませんが、とにかく両当事者の意思を入れなくて、両当事者を拘束する意味におきまして、その発動はなるべく最小限度にとどめることが適当である。もちろん常識的に、どうしても甲の方へ行くと乙の方に響く問題もございますが、年末手当に関しましては、たとえば国鉄の方は、年度初めに全部一括して実は裁定を求めておられる。ところが専売の方は、基準賃金だけを申し出ておられます関係から、われわれとしては意識的に触れるのを避けたのであります。決してこれに対して意見がないわけではありません。問題が起りますれば、いつでもそれに対して意見を述べる用意はございます。
  13. 森山欽司

    ○森山委員 意見を述べる用意があるというのは、どういうところであるのでしよう。仲裁委員会まで持ち込むには、いろいろ手続、時間がかかるわけです。両者団体交渉とか、その調停、さらに調停で解決せられない際における仲裁委員会ということでは、年末が来てしまうわけです。そういう意味から申しまして、成規の手続によつてあなたのところの意見を聞くためには、非常に時間がかかる。一方本委員会といたしましては、国鉄の関係についても目下審議中でございます。専売も昨日から審議を開始しております。労使の紛争とかなんとかになつていないから載せないということは、形式論議からいえば言えるかと思うのでありますけれども、実質上の問題といたしまして、仲裁委員会がこの専売に関する仲裁裁定書を出されるにあたつて、年末手当に対する何らかの構想なしにお出しになつておるとは思いません。従つて仲裁委員会といたしましては、年末手当に対して、一体どういう構想の上に仲裁裁定書をお出しになつておるか、もう少しはつきりしてもらわなければ困る。形式論議については、あなたのおつしやる通りでございます。しかし、実質論議として、特に本委員会としては、国鉄の問題も論議し、しかも国鉄の裁定において、年末手当については団体交渉によるという明文がある。ところが、これだけ読んでおりますと、労使の紛争が形式上ないからといつて、何ら触れておられないのでは、これによつて年末手当を認める趣旨なのか、認めない趣旨なのか、そこのところがはつきりわかりませんので、ちよつとお伺いいたしたい。あなたのところまで成規の手続で参りますと、令回の仲裁裁定の例によりますと、来年の七月ごろでないと御返事を伺えないことになりますので、それではこの年末に間に合いませんから、年末に間に合う意味で、本委員会において仲裁委員会の意図するところを率直に披瀝されんことを望むものであります。
  14. 今井一男

    今井参考人 この前この席で申しましたように、われわれとしては、たとえば、団体交渉がもしまとまらないで、仲裁委員会できめてほしいという御要望があれば、いつでも、おそらくほかの委員も賛成されるであろうから、間に合うようにおきめいたします、こういつた御答弁をいたしております。われわれといえども、おる程度の常識は持つておるつもりでございますから、もし年末に出さなければ効果のない手当につきまして、両者からきめてくれろという要求があります際にはをそうそう長くひつぱるようなことはおそらくいたさないつもりであります。従いまして、両者からお申出さえあれば、われわれの方は、いつでもそれに対して見解は申し上げますが、森山委員の仰せは、もしそういうものが出た場合にお前は幾ら出すという考えを、この国会においてはつきりしろという御趣旨のように受取れるのでありますが、そういう御趣旨ならば、われわれの立場上ごめんをこうむりたい。これはあくまで労使間の問題でありますので、今井個人としては意見もございますが、今井個人の意見はここで申し上げても意味がありません。仲裁委員会としては、そういう労使双方のお申出があつた場合に、そのお申出に対する見解を述べることがわれわれの務めである、かように存じておりますので、その点みとつごかんべん願いたい。
  15. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、あなたのところに意見を聞きに行くのは、裁定の第七号にある「本裁定の解釈につき疑義を生じ、またその実施に当り両当事者の意見が一致しないときは、本委員会指示によつてきめる。」という条項によつて、聞きに来いという意味でございますか。あるいは年末手当の別個の問題であるから、あらためて団体交渉をやつて団体交渉でだめならば調停手続をやつて調停手続がだめならば仲裁手続をやつて、場合によつては八箇月経つてもかまわない、こういう御趣旨なのか、どつちの御趣旨なのか、ちよつと伺いたい。
  16. 今井一男

    今井参考人 労使双方からお話があれば、われわれの方は、すぐにでも――これは私一人でもお答えできませんが、おそらく他の委員諸君も異存はないのではないか、かように考えるわけでありまして、ただいま御指摘の一番末項にあります指示の問題でありますが、あの指示は、結局におきましてあの裁定の実行だけでありますから、年末手当というものが対象でない以上は、あの指示の中には入らないと、私どもはかように考えております。
  17. 森山欽司

    ○森山委員 私は、公共企業体等労働関係法を、そこまではよく読んでいないのですが、年末手当について直接あなたのところに提訴するとか、あなたのところに意見を求めに行くということが、法律上できるのでしようか、ちよつと伺いたい。私はあるいは法規についての理解が十分でないから、そういうふうに申し上げるかもしれませんが、普通の常識で言えば、団体交渉調停仲裁裁定というふうに行つてしまうのではないかと思いますから、お伺いするのであります。
  18. 今井一男

    今井参考人 双方からの申出なら、これはいつでもさしかえございません。
  19. 森山欽司

    ○森山委員 そこで今井さんにお伺いしますが、私は幾ら幾らというような額は指定しないまでも、年末手当は、少くとも国鉄の場合のように、理由の示す趣旨に従い、両当事者の団体交渉によつてきめるという程度のことは、御構想の中に入つているかどうかを伺いたいのです。要するに、年末手当というものは、額の問題は別として、そもそもこの裁定の中に認めておるのか認めていないのか。その点について御返事を承ることは、私は何らさしつかえないと思います。と申しますのは、これを通すにつきまして、この委員会といたしましては、もちろんこれをのむべしとか、のむべからずというような一応の結論は出るが、実際上のプロセスにおきましては、それだけでなくて、形式的に申しましても、給与総額幾ら幾らという額を示すような場合もあり得ましようし、またそういうものを出すことになりますと、予算上の積算をしなければならないわけでございます。そういう意味から申しまして、今井委員長から、少くとも出すか出さないかぐらいのことは、あるいは団体交渉によるにしろ、よらないにしろ、含まれるか含まれないかというくらいのことは、当然出るべきものだと思つておるのです。あなたから一言御返事を伺えると思つたところが、なかなか御返事をいただけないから、ちよつとその辺のところだけはお話願いたいと思います。
  20. 今井一男

    今井参考人 われわれは、もちろん両者団体交渉でおきめになつて、お話のつく限りにおいては、いかなることに対しましても異存はございません。極端な例を申し上げますと、たとえば、かりに一万三千百円とわれわれが裁定いたします。一万三千百円を考えてみたら、やはりこれは少な過ぎる、公社の方でもう千円出す、われわれはそれをけしからぬとは申しません。一万三千百円を越えても、少しも異存はございません。同時に、反対に組合の方が、これはいたし方がない、もう少しまけてやろうというふうにかりに話合いがつく、それもけつこうであります。私ども仲裁の形式的な権威は少しも主張しません。仲裁というものは、あくまでも労使紛争解決のための一種の手段にしかすぎません。労使紛争が解決できれば、それに越したことはございません。従いまして、この数字は片方が異議を述べた場合には、片方はそれによつて対抗できるというくらいの意味に、私どもはとつておるのであります。従いまして、事実今までの例でも、裁定の中で一部それを上まわつて話合いがついた例もございます。それでも、私ども仲裁の権威を失墜するものとは少しも考えておりません。そういつた意味におきまして、年末手当というものが両者団体交渉できめられる、むろん少しの異存もへちまもあろうはずはないのであります。また私、森山委員の仰せも、お立場上ごもつともと思いますので、これだけのことは申し上げられると思いますが、この裁定をお読みくださればおわかりになりますように、われわれとしては、民間給与なり全体の権衡なりを相当考えて出しておるつもりであります。従いまして、年末手当の問題につきましても、たとえば昨年の実績であるとか、本年のその後における民間の実態であるとか、公務員の実態であるとか、あるいは専売の業績であるとかいうような要素がおそらくありまして、われわれの方に参られたら、おそらく出るでしよう。これは私一人ではちよつと申し上げられぬのですけれども、常識的にそういうお答えはできるのではないか。これは仲裁委員長という今井個人では、ちよつとつろうございますけれども、そういつた御回答を申し上げた方が時間をとらないと思いまして、それだけ申し上げておきます。
  21. 森山欽司

    ○森山委員 それでは、確認するようでありますが、専売裁定書をお出しになつたその気持の中には、社会通念から――その通念が問題でしようけれども、年末手当は一応考慮はしてある、しかし正式の返事は正式の手続をもつてする、そういうことですか。
  22. 山村新治郎

    山村委員長代理 今井委員長、御返事ございますか。
  23. 今井一男

    今井参考人 それでけつこうであります。
  24. 森山欽司

    ○森山委員 さらにお伺いしたいのですが、決算賞与の問題です。これは専売公社関係で、長年の懸案でありますが、これについて裁定書は「決算賞与については、恐らく予算関係、法令関係に若干の手続を要するであろうから、公社当局は予めその準備を進められたい。」という文句があるのでありますが、「予めその準備を進められたい」というのは、この仲裁裁定では、これからのことをとらえているのかとも思いますが、しかし、すでに三年ほど前からこれが問題になつているところを見ますと、まさか公社当局も、これを見のがしておられたわけではないと存ずるのであります。そこで公社当局では、こういう決算賞与というようなことについて、従来どういう御構想で作業を進められて来たか。つまりやつて来られたか、それとも全然やつて来られなかつたか。やつて来られたとすれば、どういう程度にまでやつて来られたかというようなことについて、御構想を承りたいと思います。
  25. 秋山孝之輔

    秋山説明員 この問題は今始まつた問題でないことは、ただいまお話の通りでありまして、私ども長年事業の経営に当つて来たその経験から申しましても、仕事の能率を増進するとか、創意くふうを社中において求めるという場合には、ああいう制度が最も必要であるという考えをもつて今日まで来ておるのでありまして、この点においては、私就任当時に政府当局と話をしたときに、アメリカの関係者がまだここにおつたために否決された問題でありまして、占領状態が続く間はこの制度はなかなかできないということであつたのでありますが、もし占領が解除されたあかつきにおいては、もちろん私はできるだろう。政府においても、これに反対の説はないようでありますが、そう思つて、寄り寄り今日までその実現に努力して参つたのであります。しかし、これは事務上非常に困難なことで、ただ益金が上つたからその幾分かを出すというような、そういう単純な制度は、かえつて害あつて益のないことだ。この制度の基礎は、すなわち生産コストの究明をせざる限り、実際には行われないというので、私どもの方に原価計算課というものを新設しました。これは専売公社発足と同時にできたのであります。そういう制度も、あの複雑した会計制度においては、なかなか一朝一夕には行かぬ。原価計算というものは、理論ではできるが、人の養成も要するし、その他いろいろなことから、さように早くは進展しないのであります。今日に至つて、やや目鼻もつきましたが、これは政府当局とよく話をし合つて仲裁裁定の一日も早く実現し得るように持つて行きたいと、私どもは考えておるわけであります。
  26. 森山欽司

    ○森山委員 決算賞与につきましての公社の御意図はわかりましたので、この国会または次の国会における政府のこれについての御推進を、われわれは注視するものであります。そこで、さらに公社にお伺いいたしますが、二十七年度の政府関係機関予算補正(機第1号)によりますと、タバコ売払い代の増加として、二百十七億三千九百万円が大体予定されております。「製造たばこの売払代であつて売払数量の増加並びに上級品たばこの売行良好なるために増加するものである」とういようなお話であります。最近のいろいろな公社仕事ぶりから見ておりますと、さらにもう少しこの売払い代の増加がはかられるのではないかという見解があるようでございますが、公社側として、もうこれぐらいしか出ないのか、あるいはもう少しやれば出るのかというところを伺いたいと思います。
  27. 秋山孝之輔

    秋山説明員 この売れ行き等については、市場を観測することはなかなかむずかしいのでありまして、私どもは、なるべく訂正の起らないように、非常に堅実な予想を立て、常に政府に報告しておるのであります。補正予算を組む当時の情勢から申しまして、こ  の予算書にあるような予測をしたのでありますが、その後の情勢は、一例を申しますと、私ども、初めは、包装を改めたピースが、かくのごとく売れるというようには、予測はしておらなかつたのであります。十月の売上げの締め高を見ますと、ほとんどレコードであつて、八億三千何百万円という一箇月においての売れ行きを示しております。しかしてこれが十一、十二、来年の三月まで、どういうふうな足取りで行くかということを考えてみますと、それからまた、十一月も過ぎ十二月にかかつても、売れ行きがあまり減退しないというところから考えてみますと、まだ少し売れるんじやないかということから、実はまだ七、八億程度の売上げを増進し得るのではないかという予想であります。そういう予想でありますが、やや確実性を持つた予想と私は申し上げてさしつかえないと思います。
  28. 森山欽司

    ○森山委員 そういたしますと、昭和二十七年度の予算、その予算は、最近補正をいたすわけでございますが、その補正予算を含め、さらに今総裁のお話のありました実質的な予算の力という面から見まして――形式的な予算ではございません、実質的な予算の力の面から見まして、予算上今回の裁定をのむについては、必ずしも不可能ではないのだという見解も持ち得るわけでございますね。
  29. 秋山孝之輔

    秋山説明員 大体今お話の通りであります。
  30. 森山欽司

    ○森山委員 そこで、もう一つ今井さんお伺いしたいのであります。「今次の賃金要求における特徴は、圧縮理論生計費としていわゆる「マーケツト・バスケツト」方式がとられた」と、この裁定理由書に書いてありますが、このマーケツト・バスケツト方式をとつたことについての政治的背景を、あなたはどういうふうにお考えになられるか。この見解をちよつと伺ひたいと思います。
  31. 今井一男

    今井参考人 少くとも専売組合要求に関する限り、単にこういつたものがなければ戦前生活ができないというだけの要求でありまして、政治的背景というような意味は、その意味では私よくわかりませんけれども、とにかく私にはそういうふうに感ずるものは何もございません。
  32. 森山欽司

    ○森山委員 今井さんにお伺いしますが、あなたはそういう返事をされて、何らさしつかえないと思いますか。ということは、マーケツト・バスケツトの方式を全産業的にとつておる現在、総評の方式について、そしてその方式の一部をなしておることについてのいわば政治的な背景を、あなたはどういうふうにお考えになりますかということを聞いておるのですが、専売に関する限り云々というお答えは、少くとも労働運動に対する練達の士であり、給与問題に対する日本の最高権威にしては、いささかそのお答えはいかがと思いますが、いかがですか。  それからもう一つ伺いたいのですが、平林君の話を聞いておると、従来は、全専売労組は友好的な関係公社と協力して来た、しかし政府がこの専売裁定を守らない、だから将来は約束した勤務時間に応ぜられない、あるいは罷業権行使の権利があるということをあなたは言い切つたのです。それは非合法というふうに見られても、もしそういう最悪の事態になれば、あなたの方は、一体そういうことをおやりになるのかどうか。ということは、われわれはこの裁定実施のために、おそらく与党の諸君といえども、非常に好意的であると思います。しかし、あなたがそこで一種のおどかし文句のような、罷業権の行使の権利があるというようなことを、一体本気で考えておるのかどうか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。気持はわかるのですが、一体そういうことを実施するつもりで言つておるのかどうか。
  33. 平林剛

    平林参考人 私が申し上げたのは、公労法によつて組合公社との紛争については、最終的には裁定によつて解決するものと規定しております。ですから、その限りにおいては、公労法上の定めに従つてわれわれは動きます。けれども、この慣例がいつもいつも破れるようなことであれば、それではどうしてわれわれの生活を保障してもらつたらいいか、こういうことになろうかと思います。国会においては、さようなことのないように、裁定に服従し、裁定を尊重せよというような規定をおつくりになつたのでありますから、政府がさような措置をとりさえすれば、われわれはそういう見解を持たなくても済むと思います。もし政府がさような措置をとらないで、政府国会でおきめになつたものについても従わないものであれば、民主主義はおしまいでありますから、その場合には、私は自分の意見としては、憲法で保障されたような基本的な権利がもどつて来るものと思つております。その点は、国会におきましても十分御検討を願いたいと思います。
  34. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、あなたの考え方は、かつて総評の機関紙に高野實氏が、この一連の弾圧法規が通過後―すなわち破壊活動防止法その他でありますが――通過後においては、合法、非合法、半非合法の各種の方法をあわせて労働運動を展開すると言われておるのですが、あなたは、それがかりに非合法であるとしても、それをあくまでも行うというのであるか、伺いたいと思います。あなたの要求といいますか、専売に勤めておられる方々の要求は、われわれはできるだけ実現したいと思つて努力しておるがゆえに、そういうような発言をされることは、われわれとして、はなはだ心外でありますからお尋ねするのであります。
  35. 平林剛

    平林参考人 私はこの国会において、非合法をやりますということは言いませんでした。私の見解として、公労法の定めに従つたような法律、慣例、手続等が行われないならば、民主主義はもうおしまいですから、さような場合においては、罷業権は立ちもどつて来るものであるというふうに解釈せざるを得ないということを、私は個人の意見として申し上げた。組合もみなそう思つております。組合としての見解をを申し上げたのでありまして、それを行動するということを申し上げたのではないので、御了承を願いたいと思います。
  36. 前田種男

    ○前田(種)委員 私は今井平林参考人には質問いたしませんから、関係ありません。秋山総裁説明員として午後もおつていただきたい。それで私の質問は十分間でいいですから、大蔵大臣にここに来ていただいて、大蔵大臣秋山総裁同席の上で質問いたします。その以外の質問はいたしませんから、ぜひ午後の再開の適当なときに大蔵大臣出席お願いします。
  37. 山村新治郎

    山村委員長代理 それでは午後一時半まで休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十八分開議
  38. 田中伊三次

    田中委員長 休憩前に引続いて労働委員会を開きます。  質疑を続行いたします。山花秀雄君。
  39. 山花秀雄

    ○山花委員 今井仲裁委員長にちよつと質問いたします。この裁定案を出される場合に、調停案がいろいろな角度から論議されたと思いますが、調停案は七月の末に発表されておりまして、八月以降一万四千円という金額が提示されているのであります。賃金の支払いは、大体四月からが妥当であると思われる、そういうような線から、四月から七月までの賃金差額として一万九千円を一時金として支払え、こういう調停案が出ているのであります。この四月から七月までの一時金を支払えという調停案趣旨を、今度の裁定案を作成するときに考慮したかどうか、これをお尋ねしたい。
  40. 今井一男

    今井参考人 私冒頭に申し上げましたように、われわれの委員会の態度は、極力両者意見の中から、賃金そのものに対する考え方賃金算出の仕方、そういつたところに合致点を見出しまして、できないところをわれわれの独自の見解で補つて結論を出して行きたい、これが仲裁委員会の労働運動の解決のあり方だろう、そういう態度で行つてつておるのであります。もし調停委員会の結論が、ほとんどのまれるに近かつたような場合におきましては、過去におきましても、調停委員会調停案通り裁定を下したこともございますが、両者の懸隔が非常にある場合には、われわれは新規まき直しに問題を検討することもございます。われわれといたしましては、独立の委員会であります調停委員会の批判になるようなことは、極力遠慮させていただかなけりばなりませんが、今回の裁定を新規まき直し的にやつたことは事実であります。ただ遡及問題につきましては、冒頭に申し上げましたように、四月以降ということも考えられ得ることは、われわれ考慮に入れたのです。しかしながら、三月末に要求された賃金要求であり、その間団体交渉等の関係も考えますと、四月までということは若干無理があろう。また本年新たに前年度までなかつた夏季手当に相当する給与を得ておるということ等から、この点はわれわれの一番議論したところでございますが、結局において八月実施。しかし、それでは若干気の毒な面がありますので、業績賞与というものでさらに補いをつける、こういつた形に相なつております。
  41. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいまの仲裁委員長のお話によりますと、前年度なかつた夏季手当が〇・五出ておる。また世間のいろいろな事情を勘案して、若干の業績手当云々というようなことを言われましたが、その若干の業績手当というのは、従来他の官庁その他民間企業に施行されておりますところの年末手当というような意味に理解していいのかどうか。年末手当の問題は、先ほど森山委員の方からいろいろ質疑がございましたが、あまり明確になつていないので、再度お尋ねしたいと思います。
  42. 今井一男

    今井参考人 年末手当は、全然別ものでございます。年末手当考え方は、私は若干業績の影響はあると思いますけれども、結局十二月に職員の生計費が膨脹する。その膨脹するところに着眼いたしまして、それをカバーするために設けられたのが、まず一番の中心のように考えます。この業績賞与は、そういつたものではございませんで、現実に国会から負荷されました責任を果して、それ以上の仕事の成果が上つた場合に初めて与えられるもので、そういつた年末等に生計費が膨脹するという観念とは、全然別個のものでございます。
  43. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま今井委員長のお話によりますと、年末には生計費が極度に膨脹するのが一般社会の習わしだ、こういうように自認されたような御発言でございました。そういう意味において、この裁定案は大体十一月に出されたと思いますが、当然年末賞与の件が考慮なされるべきだと思うのでありますが、そういう点についてあまり明らかに示されていないのは、一体どういうわけかということをひとつお聞きしたいと思います。
  44. 今井一男

    今井参考人 先ほど森山委員に申し上げましたように、年末手当に関しましては、両者からの申入れがございませんで、われわれとしては紛争が起つておる状態とは認められませんでした。すなわち、言葉をかえれば、両者はこれを団体交渉できめよう、こういう御趣旨のように受取りましたので、われわれとしては全然それに触れなかつた、こういうわけであります。
  45. 山花秀雄

    ○山花委員 両者からこの問題について申請がなかつたから、仲裁委員会としてはこの問題には全然触れないのだ、こういう御発言でございましたが、仲裁委員会としては、社会通念上、専売公社に対して年末手当を支給すべきであるか、それとも支給すべきでないかというような御見解でございましたならば、ひとつお聞かせを願いたい。
  46. 今井一男

    今井参考人 先ほど、これも森山委員にお答え申し上げたように、金額が幾らということは、むずかしい問題になるかもしれませんが、社会通念に従つて処理されるというのが、おそらく他の委員が集まつた場合においても同じような意見であろう、かように考えます。すなわち現在、年末に生計費の膨脹ということが現実問題としてあります以上、ここに年末手当が支給されるということは、きわめて自然の考え方であると思います。
  47. 山花秀雄

    ○山花委員 仲裁裁定に出す場合に、年末手当の問題が形式上出されてなかつた。また、それに対して回答を与えなかつたけれども仲裁委員会としては年末手当は社会常識上出すのがしかるべきであるという意思が表示されたと考えますが、そういうように理解してよろしゆうございますか。
  48. 今井一男

    今井参考人 具体的問題になりますと、われわれとしては労使間に対しまして具体的な見解を表明するのが任務でありますから、従つて仲裁委員会代表という資格において申し上げるのは、私いささか出過ぎておるような気がしますが、今までのわれわれの検討の経験からいたしまして、委員会を開いた場合においても、おそらく今、山花委員の仰せのような結論になるだろう、かように考えます。
  49. 山花秀雄

    ○山花委員 今井委員長のもとにおける仲裁委員会が、ここに裁定として結論を出されたことについては、前のいわゆる調停委員会の結論をあまり考慮しない新しい観点から出発をした、そうして大体この線であればまとまるという確信を持つてこの裁定案を出された、こういうような御発言でございましたが、相当新規の補正予算が組まれなくては、この裁定案の実施はなかなかむずかしいのでございますが、仲裁委員会としては、当然この程度の金額補正予算は出されるという見通しのもとにこの裁定案を出されたかどうか、この点御回答を願いたいと思います。
  50. 今井一男

    今井参考人 われわれが国会の御審議に対して、とやかく意見を申し上げるような結果になると、これは非常に出過ぎたことになるかと思うのでありますが、われわれの討議の過程におきましては、この程度の予算の補正は、専売事業の運営に別に支障を与えるものではない。のみならず、この程度までは出さなくては、かえつて専売事業の発展上、反対に害があるのじやないか、こういつた討論を内輪でやつたことがあります。
  51. 山花秀雄

    ○山花委員 総裁の方にちよつてお聞きしたいのですが、総裁は、先ほどの発言によりますと、仲裁裁定のこの結論は、専売公社総裁としては全幅的に履行して行きたいと思う、こういう発言がございました。私は、これを実施するには、国の予算関係があるので、あとは国会において十分審議をしてもらいたいという意味の中に、なるべく裁定が実現でき得るように努力してもらいたいというような意味に理解いたしましたが、この理解は間違いないかどうか、総裁の御意見を伺いたいと思います。
  52. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまの御発言は、私の念願するところと合致しておるのであります。この裁定の実現するように国会の各位にお願いを申し上げたい、こういうことでございます。
  53. 山花秀雄

    ○山花委員 この裁定を実現する場合には、専売公社といたしましても、大体履行したいという観点に立つて、いろいろ今まで御検討なすつたと思うのでありますが、どの程度の補正予算が成立をいたしますと、言いかえれば、どの程度の額が財源として与えられるとこの裁定案の完全実施ができるか。もう御検討なすつていらしやるだろうと思いますから、金額的に明示していただければけつこうだと思います。
  54. 秋山孝之輔

    秋山説明員 数字にわたりますので、当務者をもつてお答え申し上げた方が間違いないと思いますから、私にかわつて務部長からお答えを申し上げさせます。
  55. 小川潤一

    ○小川説明員 数字的に申し上げますれば、第一項、第二項の関係上、基本給で二億五千四百万円、それから私の方で世間並の年末手当というのは、若干問題がございますが、かりに一箇月分と想定いたしますと、四億九千八百万円、その他それに伴いまして超勤の単価の変化、共済組合の負担金などの動きがございまして、合計いたしまして若干数字の出入りはございますが、六億五千万円の不足を来す次第でございまして、この分を予算の修正をお願いしたい、こういう状態でございます。
  56. 山花秀雄

    ○山花委員 私もこの裁定案を完全に実施すると、現在とどのくらいの開きになるかという数字がはつきりいたしませんので、ただいまのお答えを中心に、ひとつしろうとくさい話でございますが、再確認したいと思うのであります。政府がただいま出している補正予算との開きが六億五千万円であるか、昭和二十七年度の通常予算に関連して不足が六億五千万円であるか、この点もう一度お答えを願いたいと思います。
  57. 小川潤一

    ○小川説明員 ただいま申し上げた六億五千万円という数字は、政府が今回国会提出しておられます補正予算との差額でございます。
  58. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま計数をあげられたのですが、この六億五千万円の計算の基礎がおわかりになつておれば、参考上聞かせていただけるとけつこうだと思います。
  59. 小川潤一

    ○小川説明員 八月から十月までの不足分――これはただいま政府補正予算に出しております予算では、一万三千百円のベース・アツプは十一月から認めるというような案のようでございますので、その差がつまり十一月からでなく、裁定通り八月から実施いたしますと、八月―十月の現在のベースと、今度裁定できめていただきましたベースとの差額が三箇月分で二億五千四百万円という数字がまずありまして、その次に政府がこの補正予算に出しております給与ベースというものは、今回の裁定と若干開きがございます。単価にいたしまして一人当り平均二十六円の差でございますが、その差がありますので、それを裁定通り一万三千百円といたしまして定員をかけますと、二十六円の不足が十一月以後も生じるわけでございまして、その分が七百十六万九千円、百万円単位で申し上げますと、七百万円という数字になります。今の二つがベース・アツプの問題と、それから八月までさかのぼるという問題からの不足で二億六千一百万円という合計の数字になります。  それから裁定に書いてはございますが、世間並の年末手当を出したいということを、まずかりにベースの一箇月分といたしますと、額が四億九千八百万円という計算になります。しかしてこれに対しまして今回の補正予算では若干の金額が追加計上をされております。その額は一億七百万円でございます。従いまして一箇月分の所要額四億九千八百万円から一億七百万円を差引きますと、三億九千一百万円というものは、なお年末手当の所要分として追加計上することを必要とする額でございます。今の大きな二つの柱を足した数字が、結局先ほど来申し上げました六億五、六千万円になるかと思いますが、そこのところは両方を足していただけばおわかりになると思いますが、その合計が今回の数字補正予算との差でございます。
  60. 山花秀雄

    ○山花委員 大体わかりました。ただいまの説明によりますと、基準賃金と世間並の賞与と大体この二つの点を明示されたと思うのでありますが、当然専売の人員の不足等から、相当基準賃金専売職員はかせいでおるのではなかろうかと思うのであります。それから賞与にあらざる生産報償金という一つ制度があると思うのでありますが、これらが予算的に一体どうなつておるかということをお伺いいたしたいと思います。
  61. 小川潤一

    ○小川説明員 私の方の専売の経理には、先ほど来問題になつております年末手当のほかに、いわゆる報償金という制度がございまして、このルートを用いることによりまして、職員に入ります手取りの額というものは、若干動かし得る状態にあると思いますので、ともにこれをからみ合せて考えて行かなければならないということはまず前提でございますが、この報償金裁定にも書いてありますように、一応大部分というものは夏季手当を世間並に〇・五十しましたときに使用しておりますので、現在の予算上残つておる報償金というものは、一億足らずになつておる次第でありまして、この点は今回の補正予算案で、仲裁裁定でお示しなつた夏季手当に出した分の埋合せはやらなければいけないじやないかということは、政府にお認め願えるのではないかと思つております。
  62. 山花秀雄

    ○山花委員 まあ政府が認めるのじやないかということですが、今度の補正予算には出ていないような気がするのでありますが、いかがですか。
  63. 小川潤一

    ○小川説明員 ごらんの通り補正予算には補償金の件は触れておりませんが、制度として将売公社に実際上の余裕が生じたときは、大蔵省に届出いたしまして流用をなしてもよいという建前になつておりますので、われわれとしては、経営のくふうをいたしまして、予備金を捻出して、この報償金にまわして行きたい、こういうふうに考えておりますので、おそらくその点は政府承知されるだろうと思つております。
  64. 山花秀雄

    ○山花委員 従来の慣例かどうかわかりませんが、大体予備金はそういう方面にまわして行きたい。従つて、完全実施の場合には、六億六千万円ほど再補正をしてもらえば間に合う、こういうような御意見のようでございますが、予備費というものは、大体どの程度計上されておるものであるか、一応お聞かせを願いたいと思います。
  65. 小川潤一

    ○小川説明員 本予算では十五億九千万円計上されておりましたが、今回の補正予算では組みかえられまして十三億七千六百万円の計上になつております。しかしこの十三億七千六百万円のうち約十億は、葉タバコの収納が予定以上に金額が上りそうである、ただ条件が不確定であるから、予備費に持つて来てあるという状況でございまして、十三億七千六百万円のうち十億円は、まずひもつきでとつておかなければならないのではないかと、われわれ経理当局は思つております。
  66. 山花秀雄

    ○山花委員 大体十三億組まれているうちの十億は、葉タバコの方の予備費ということになると、残る三億がこれに該当する形になるのでありますが、夏季手当に〇・五を一応流用したといたしますと、その穴埋めが問題になつておるのでありますが、穴埋めができるかどうですか。
  67. 小川潤一

    ○小川説明員 お尋ねの点は、今後災害その他が起きるかどうかにも問題があるのでございますが、もうあと三月でございますし、先に穴埋めしても、大して支障ないのではないかと思つておりますので、われわれ経理当局としては、報償金に関する限りは、穴埋めできると予想しております。
  68. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま総裁は、この仲裁裁定をなるべく実現して行くために努力したいという御発言がございましたが、仲裁裁定案が出た後の専売公社としましては、どういう措置をとられたか、ただいまの総裁の発言の裏づけになるような措置をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 秋山孝之輔

    秋山説明員 裁定をのむということに対する裏づけの説明をお求めでありますが、裏づけと申しても、結局大蔵省交渉するのが私の第一の責めでありますから、これについては、極力事務当局においても、また私と大蔵大臣との間で、交渉も重ねて参つたのでありますが、そこに何としても乗り越えられない意見の相違があり、今日はなはだ遺憾でありますが、国会のごやつかいにならなくてはならないような状況に立ち至つたのであります。
  70. 山花秀雄

    ○山花委員 大蔵当局の方へ懸命の努力を払つておると総裁は言われました。また先ほどの総裁のいろいろなる御発言を承りましても、相当御理解ある御発言でございますし、それを私どもも大いに信用をして、国会で努力して行きたいと考えております。  そこで問題になりますのは、今度専売裁定に出ました一万三千百円という給与ベースは、民間企業の給与ベースあるいは同じ公社関係にある国鉄などに比べて見ましても、たいへん安い線が出ているのでございますが、専売公社職員給与ベースは、予算その他一切を離れて、どのくらいが妥当とお考えになつておりますか。
  71. 秋山孝之輔

    秋山説明員 賃金裁量については、非常にむずかしいいろいろなフアクターがあつて、ただ感じから申し上げて、かえつて誤解の生ずるおそれもありますし、私はともかく四万人の社員を預かつて統率の任にありますから、私の一言は影響するところが相当大きいのであります。この点は、私単なる感じで申し上げることは差控えたいと思います。
  72. 山花秀雄

    ○山花委員 こういう席上でありますから、秋山総裁は御遠慮なさつたように私も理解して、あえてこの席上言えというようなことは申し上げませんが、他の会合の席上では、一万三千百円を相当上まわるような賃金がおれのところの職員には妥当だというような発言をされておるのを、私は知つておりますので、それを再確認の意味で申し上げたのでございます。私の発言が相発重大な影響を及ぼすから言えないというのを、無理に言えというわけには行きませんから、このお尋ねはこれでやめにいたします。  そこで、これは国会内における政府与党と野党との勢力関係もございますので、もしこの仲裁裁定に関して、国会で不承認という結論がかりに出た後の専売公社のあり方について、専売公社としてはどういうふうにお考えになつておられるか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  73. 秋山孝之輔

    秋山説明員 これまた非常にむずかしいお尋ねでありますが、さような不承認なつたという仮定的の結論から、私の今考えておることを申し述べることも、私は差控えたいと思います。
  74. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま組合側の代表者の発言によりますと、従来たびたび裁定が不承認になつておる、今度ももし不承認ということになると、公企労法の精神を政府みずから蹂躙した結果になると考えられる、そういう場合には、憲法上保障されたる労働者の団結権、さらに罷業権というような形に公企労法を乗り越えて逆もどりするような懸念がある、こういうことでありましたが、かりに公企労法において許された組合の行動として――かりにと私は申し上げましたが、これは現実になつて現われて来ると思うのでございます。たとえば超過勤務を拒否する。これは公企労法においても、私は禁止してないと思うのであります。組合側がそういう態度をとつた場合、たとえば一月完全基準内労働時間を守るという態勢をとつた場合に、タバコ生産あるいは専売公社の収益に与える経済的影響がどういうようになるかということぐらいは、専売公社としては御検討なさつておられると思うのでありますが、その場合に、どういう結果が現われるか、お聞かせいただきたい。
  75. 秋山孝之輔

    秋山説明員 私も公労法の遵法せられるか、せられないかということについては、重大な関心を持つておるのであります。この点については、あるいは山花委員の御心配に相なつておるより以上の心配を私はしておるのであります。この点については、はなはだ微力でありますけれども――何とか専売公社法の根本にさかのぼつてこれを考え直す必要もあるのではないか、そういう点において、私は常に考えてはおりますけれども、もし万一さようなことが起つた場合には、私全幅の責任を負わざるを得ないのであります。これは私一人が責任を負つても、国家財政に対する非常な影響であります。私、これは一身を賭しても相済まぬと考えております。しかし、それ以上公労法の改正についての根本的な点からも、また私総裁としての地位からも、もう少し国会政府がこれを尊重するような方に努力してみたいと思つております。
  76. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいまの総裁の御答弁は、私の問いに対して答えをそらされたと思うのであります。この仲裁裁定政府が完全に実施するように努力されるという点は、もうしばしば聞いて、よく了承しておるのでございます。自分らといたしましても、この仲裁裁定は、最終的に双方が服従する義務を負つておると考えておりますので、あとは予算措置だけの問題が残つておると思うのであります。そこで、ただいま申し上げたようなことを予想して、収益関係をお尋ねしておるのですが、専売公社におきましては、生産計画をちやんとお立てになつておると思うのであります。その生産計画は、労働時間なども勘案してお立てになつておると思うのでありますが、公企労法の範囲におきましても、基準内労働時間を守つて行くという組合の態度は、違法でも何でもないと私は考えておるが、基準外労働がはずれた場合に、専売公社が立てておられる生産計画にどの程度の狂いがあるか。その狂いによつてどの程度の収益の減少を来すか、その減少の率と、この補正予算との関係が相当考慮さるべき点がありますので、その一点を聞いておるのでございます。従つて専売公社の計画に基いて、その一点だけを明瞭にお答え願えれば、私は満足するのであります。
  77. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまの御質問に対しまして、お答え申し上げます。かりに、一箇月間の超勤が製造部門において拒否されるとするならば、製造数量は約八億五千万本の減少を来し、益金においては約十五億円を上げ得ないということに相なります。
  78. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま総裁のお言葉によりますと、専売労働組合が、一箇月、俗にいう遵法精神に基いて作業に従事すれば、概算十五億の収入減になる、こういうようなお話でございます。ところが完全実施をする場合には、六億六千万円の再補正をすればいいというお話でございました。この二点だけは、私だけでなく、ここにおられる各党の委員の方によく聞いていただきまして、この問題の審議を進めていただきたいことを希望いたしまして私の質問はこれで終りたいと思います。
  79. 田中伊三次

    田中委員長 前田君。
  80. 前田種男

    ○前田(種)委員 私は大蔵大臣出席を求めておきましたが、予算委員会並びに特別の用件で、本委員会出席されないといつておりますので、時間はとりませんから、左の点について、秋山総裁並びに大蔵当局から答弁を願いたいと思います。  今まで質問が繰返されておりますが、私はいろいろないきさつ等は、もう聞こうとは思いません。この裁定を完全実施するためには、国会承認を得なくても、大蔵大臣の裁量によつて、問題が処理できる方法があるかどうかという点について秋山総裁にお聞きしたいと思います。
  81. 秋山孝之輔

    秋山説明員 すでに国会補正予算提出しておる今日におきまして、単に大蔵大臣と私との話合いで、はたして政府が私の申し分を聞き入れてくれるかどうか、この点については、私は確信を持たないのであります。やはり国会の御審議をいただくほかないのではないか、こういうふうに考えております。
  82. 前田種男

    ○前田(種)委員 裁定が下つて、その後の公社の動きを見ますと、大蔵大臣意見と一致いたしますならば、国会審議を煩わさなくとも、裁定実施はできるということを、私は責任ある人から聞いております。すなわち、形式上の国会承認は、あるいは必要であるかもかわりませんが、実質的には国会審議を煩わさなくともやつて行ける。しかし、不一致のために国会審議を煩わすということになつておると思いますが、両者一致すれば国会審議は必要ないことということになるかどうかという点を、もう一ぺんお聞きしたいと思います。
  83. 秋山孝之輔

    秋山説明員 その点につきましては、どのたのお説がお耳に入つておるか存じませんけれども、私の今日まで重ねて来た交渉においては、私は不可能であると思つておるのであります。単に大蔵大臣と私が話をしてもこれ以上は進まない、私はこういうふうに考えております。
  84. 前田種男

    ○前田(種)委員 それなら大蔵当局にお聞きしますが、この問題に対して、裁定が完全にのめないということは、資金上予算上不可能だからのめないということであるかどうか、あるいは大蔵省当局は、この裁定を完全実施するかしないかということについては白紙で、国会がしかるべくきめてもらいたいという態度であるのか、その点をお答え額いたいと思います。
  85. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 裁定の第一項、第二項をのみますには、先ほど専売当局からもお答えがありましたが、私どもが今形式的にとつておりますのは、予算上質金上不可能なりという解釈は、現在成立いたしておりますところの本予算について、不可能である。それから第二段階といたしまして、かりに補正予算が通つても、この裁定金額がその内輪に入つておらなければ不可能である。年末手当は別にいたしまして、その金額が本予算に対しましては九億三千百万円余り、補正予算にいたしまして二億六千百万円、これだけは予算総則上給与総額においてきまつておりますから、かりに財源的に通り得る見通しがあるといたしましても、国会議決がなければ、完全にこれをのむということに相ならぬわけでございます。但し、この第五項に書いてあります増償金の問題は、給与総額に含まれておりませんから、公社が予備金その他の措置から、総裁の責任においてお出しになるということになれば、国会議決がなくてもできる。それから第六項に書いてありますところの業績賞与の問題は、本年度決算が終りまして、おそらく来年の六月ごろになると思いますが、その実績が出た上でなければ、はたしてこういう剰余が生ずるかどうかということもわかりませんので、これは先に残される問題でございます。政府といたしましこは、目下検討中でございます。     ―――――――――――――
  86. 田中伊三次

    田中委員長 この際議事の都合によりまして、労使関係に関する件を議題といたしたいと存じます。これに関する質疑を許します。  菊川君、前田君に申し上げますが、調達庁から中村労務部長、外務省の国際協力局から關説明員が参つております。菊川君。
  87. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私が質問通告をいたしましたのは、大蔵省、調達庁、労働省関係でありまして、問題は駐留軍労務者の問題であります。一つは駐留軍労務者の退職金現金支給の件でありますが、調達庁の方には、すでに御承知のように調達要員労働組合連盟の方からも、この件については請願そのほか、たびたびの要請が行つておると思うのであります。講和条約が効力を発生して、駐留軍の労務者は、その業務が占領軍の業務から駐留軍の業務にかわり、また身分は、従来の国家公務員の特別職から、単なる駐留軍の労務者というふうに変更をいたしたのであります。でありますから、当然それに伴つて、この機会に、全国二十万の駐留軍労務者の要求に応じて、今までの退職金の清算をすべきであると私は考えておるのであります。ところが、法律第百七十四号によつて、一応退職したとみなして退職金は精算されているけれども、現金支給すべきものを、一片の計算書を渡しておるというのが現状のようであります。そこで、この件について労働者当局にもまず伺つておかなければならぬのでありますが、労働省の政府委員はお見えになつておりましようか。
  88. 田中伊三次

    田中委員長 今来ておりません。間もなく来ます。
  89. 菊川忠雄

    ○菊川委員 それでは労務省関係はあとまわしにいたします。  そこで、これはわれわれから見れば退職金であつて、退職金規定によれば、当然これは労働条件の一部であり、また労働基準法の第十一条にいうところの賃金とみなすべきものであります。従つて、退職したとみなした場合においては、当然第二十四条の規定するごとく、請求があれば即時支給すべきものであると考えておるのであります。しかしその後、今なおこれが支給されていないように聞いております。この経過並びにどういう理由でこれが今なお支給されていないか、さらにこの点について今後どういう方針であるのか、このことをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  90. 中村文彦

    ○中村(文)政府委員 お答えいたします。ただいまの、講和条約発効前におきます駐留軍の労務者の退職金現金化のことでございますが、ただいま御指摘がありましたように、十四国会において法律百七十四号の御審議がありましたときにも、御指摘のようなことは、いろいろと論議いたされたのでございます。そのときにおきましても、われわれとしては退職とみなす事態が起つたと考えておりますので、できますれば、ただいまお話のように、同時に現金で労務者にそれぞれ手渡すような措置を講じたいと存じたのでございますが、何分にも当時資金としても非常に詰まつてつたような状態でもあり、なお大よそ二十万の労務者の退職金でございますので、大まかに申しまして約九十億近い当時の資金を必要とする事態でございました。従つて、遺憾ながらさような措置は講じ得ないという事情にありましたので、法案として後日出ました百七十四号の法律趣旨で、将来その者が退職いたします時期に、それらの金を現金化しようという考え方を実はとつたのでございます。われわれといたしましては、かような事態は、本来から申し上げますれば、本筋ではないのでございますけれども、資金経理上やむを得ない事態でありますので、さような措置をとつた次第であります。  なお、今後の考え方につきましてお尋ねございますが、このことにつきましては、われわれといたしましても、できるだけ本筋の線にもどすような努力をしなければならないというふうな考えを持つております。軍とも、いろいろ今後の資金の操作問題その他もありますので、話合いもいたしておりますけれども、なお大蔵省方面におきましても、そのことにつきましては、十分好意ある努力を願つておるわけでありますので、できますれば、一日も早く現金化の方法を講じたいものだというふうな考えで努力いたしておる次第でございます。
  91. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今のお話ですと、本筋ではないが、遺憾ながら資金のやり繰り上やむを得ないという御答弁に尽きるようであります。  そこでお尋ねしますが大体退職金に必要な金額は、大きく見ても九十九億円ぐらいのものであろうと思う。しかもその中で七十五億円ほどは日本政府の負担、残りが米国政府の負担ということになつておるようであります。しかも日本政府の負担分七十五億円は、すでに終戦処理費から退職金引当金として調達庁に移行しておるはずだと思う。この点はどうなつておりますか。金がないからと言うけれども、すでに予算は組まれ、終戦処理費から調達庁に移行しておるのならば、ないとは言えないわけであります。  それからいま一つは、その金をドルから円に切りかえるために回転資金に充当しておるのではないかというようなことも考えられるのであります。一体そういつた事実があるのかどうか、こういう点であります。  それからいま一つは、ついででありますが、もしそういうことがあるとすれば、一体退職金の引当金というようなものを、こういう回転資金に調達庁で運用するというのは、どういう根拠があつてつておるのか、こういう点についてお伺いしたい。
  92. 中村文彦

    ○中村(文)政府委員 お答えいたします。ただいまのお尋ねの七十五億の問題でございますが、これは御承知の昨年の七月、労務提供契約が結ばれましたその直前にスキヤツプ・インが出まして、それらの契約が締結実施されます際の運転資金として利用するようにというふうな趣旨から、七十五億のリザーブが考えられたわけでございます。その後におきまして、それが退職金に充てられるのだというような意見も出ておりますけれども、事実七十五億が別にあるわけではございませんので、その七月一日から、契約されました当時からの回転資金として留保されておる金でございます。従いまして、それらをわれわれといたしましては、月々利用いたしまして、普通の給与の支払いに充てておるのでありまして、そのほかに退職金として別にあるわけではないのであります。従いまして、今のお話のように、もし退職金としてこれがあるものでありますれば、それを転用することについては、いろいろな御批判もありましようけれども、われわれといたしましては、そのほかには持つていないというのが実情でございます。なおその後におきましていろいろ軍と交渉の結果、契約後の退職金に相当すべきものにつきましても、いろいろと議論がありまして、それらも別途に経理するようにというような意見も出ております。しかしながら今日の状況におきましては、先ほども御指摘になりましたように、九十億を越すような退職金の捻出の道は、目下のところつきませんので、遺憾ながら先ほど御説明いたしましたような事態にあるわけであります。
  93. 菊川忠雄

    ○菊川委員 その点念のためにもう一ぺんお尋ねしますが、そうしますと、調達庁でお持ちの回転資金というのは、七十五億だけなんですか。それとも、総額で幾らお持ちであるか。それからその中には明らかに退職引当金と認められるものは、一文も入つていないのか。もしそうだとすれば、終戦処理費の中に当然含まるべきこの切りかえによる退職引当金というものは、予算には含まれていないのか。この三点についてお尋ねします。
  94. 中村文彦

    ○中村(文)政府委員 ただいまの七十五億の内容の御質問だと存じますが、七十五億円が運転資金でございまして、そのほかに足らない場合の借入れをなし得る措置が講ぜられております。これは御承知のように、特別調達資金設置令に基きまして認められていることでございます。従いまして、もし借り入れますれば、たしか五十億の借入れができることになつているはずでございますので、百二十億程度の基金が手に入れ得るわけであります。ところが、御承知のように、今日の経理状況を申し上げますと、毎月の支払いが約四十億を越す実情でございます。従いまして、これが次から次と完全に支払つたその月に、必ず向うから補償されて参りますならば、今お尋ねのような問題は起らない事態だと考えますけれども、遺憾ながら、これがいろいろな手続その他におきまして、非常な日数を食うことでもあり、また支払いの内容につきましても、いろいろ意見が出ましたり、あるいは検討しなければならないような事態もありまして、償還の状況が非常に円滑に参つておりません。従いまして、われわれといたしましては、月々の給与に充てるべき支出につきましても苦慮しているような次第であります。  それから七十五億の中に、退職金が含まれるのかという御質問だと思いますが、これにつきましては、当時はさような考え方はなかつたのでございます。先ほど申した通り、特別調達資金設置令の資金として七十五億を使うという趣旨で、終戦処理費からまわされたものでございますが、その後におきましていろいろと軍と交渉しております間に、それが退職金に充当し得るような話がぼつぼつ出て来るような次第でありまして、その点は非常に明確を欠いております。ただ将来、労務者がほとんどない事態が参りますれば、さような多額の金を留保する必要もございませんので、退職金に振り向けることもあるかもしれませんけれども、ただいま申し上げました事態におきましては、この金を退職金に充てるということは至難な次第でございます。  それから、そのほかに退職金があるのかというお尋ねかとも存じますが、この点、七十五億の中に退職金に振り当てるものがあるだろうということにつきましては、先ほど申したようなことでございまして、もちろん日々退職者がございますから、それらの者には、それらの金を振り当てまして支払つておりますけれども、一時に二十万の労務者に支払うような資金は、とうてい含まれるものではないというふうにわれわれは考えております。
  95. 菊川忠雄

    ○菊川委員 どうもふしぎな話になつて来るのですが、このごろぼつぼつそういう話が出て来て、またここで明確を欠くような御答弁、そうしますと非常に重要な問題になると思います。言うまでもなく国の経済でありますから、一商店のやり繰りとは違うのです。そこで二十万近くの人間を、とにかく雇用の切りかえをやつている。その際には、どういう会社であろうが、一応今までの退職資金をそこで払い出すのであります。ところが払い出せないために、今計算書を渡しておられる。従つて、それには当然払うべき計画がなければならぬ。それはどこに入つているのか、そのことを明確にしてもらいたい。終戦処理費にも入つていないというし、七十五億円の中にも入つていないのだが、ぼつぼつそのうちにそういう話が出て来る。二十万のものを講和条約によつて駐留軍労務者に切りかえた際に、当然計上さるべきものである。それがどこに入つているのか、明瞭にしてもらいたい。
  96. 中村文彦

    ○中村(文)政府委員 現在の実情は、先ほど申し上げました通り法律百七十四号におきまして、四月二十八日まで在職したものとみまして、それまでの退職金につきましては、将来本人がその職場を退く際、その当時までの退職金は軍命解雇によるものとして、全額法律規定に定められたところによつて退職金を支払う、四月二十九日以降については別途に計算して支払う、こういう二段構えの措置法律百七十四号はとつております。従いまして、この法案が提出されました当時においてのいろいろの論議の中心は、今菊川委員の御指摘の線でいろいろと御批判があつたのでございますけれども、経理の事情が許さない次第でありますので、やむを得ず法案のような措置をとらざるを得なかつたというのが実情でございます。従いまして、その後一斉の退職金の現金化につきましては、再々労働組合等からも強い要望がありましたが、法律がさような線で審議されおりますので、われわれといたしましては何とも希望には沿いがたい。しかし、先ほど申した通り事情はよくわかつておりますので、資金の操作の見通しがつくものならば、一日も早くその点は労務者の希望に沿うようにしたいというのがわれわれの考えであります。  それから先ほど、私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、現に日々あるいは相当異動がありますので、それらの労働者がやめる際におきましては、法律百七十四号の附則三項によりまして、もちろん四月二十八日までの退職金とその後におきます退職金とそれぞれ計算して支出いたしております。この財源は七十五億の金と、軍が補助して参つております金、それらを相殺して支払つているわけであります。従いまして、退職金として特別に別途にわけて経理しているような金はありませんので、その点あるいは言葉が足りなかつたかもしれませんが、さような次第でありますので、御了解願います。
  97. 菊川忠雄

    ○菊川委員 そうしますと、結局今の法律百七十四号のお話の点は、附則の第三項のことを言つておられる。これは、結局やめるときということになつておる。そうすると、当人から請求のあつたとき、こうすれば、調達庁としては非常にこういう問題が順調に運ぶというお考えのようでありますが、結局調達庁としては、計算書は渡しておるが、こういう給与の低い特殊な状態において、いろいろの不時の出費があるので、これを現金化したいという切なる要望であると思うのであります。その場合においてただ法律の百七十四号の附則第三項がこうなつておるから、従つて自分の方には、この法律建前上どうにもできないのだということだけで、調達庁は、このことについてそれ以上の何らかの折衝を官庁内でやつておられるか、このことをお尋ねしたい。たとえば、補正予算なり予算編成の際に、一応民間工場などにおきましては、解決しなければならない問題でありますから、この問題を解決するのに、どういうお考えで努力しておられるかお尋ねしたい。どこに障害があるのか。
  98. 中村文彦

    ○中村(文)政府委員 どこに障害の根拠があるのかという御質問でありますが、これは結局金のないことが問題でありまして、われわれ調達庁といたしましては、もちろん金の融通がきくことでありますれば、労務者の勤労の意欲にも影響することでありますし、できるだけ早急に現金化をはかるということを日常考えておりますので、経理の許されるものならば、適当な法律の改正なりも御審議いただきまして、措置をいたさなければならぬのじやないかという考え方を持つております。この件につきましては、大蔵省方面でもすでに同意見でありまして、軍との折衝なども再々重ねておる次第であります。要は、九十億を越すような多額の資金の見通しの問題だと考えます。どこに障害があるというものではなく、もし金の見通しさえつくならば、一日も早く支払いをしたいというのは、大蔵省としても、またわれわれといたしましても、同様だというふうに考えております。
  99. 菊川忠雄

    ○菊川委員 この問題については、この次の機会にお尋いたします。     ―――――――――――――
  100. 田中伊三次

    田中委員長 それではもとにもどりまして、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(内閣提出議決第二号)を再び議題といたしまして質疑を続行いたします。前田君。
  101. 前田種男

    ○前田(種)委員 先ほど大蔵当局の答弁を聞いておりますと、結局裁定を実行するためには国会承認を得なければならぬという点を、数字をあげて言つておられました。これはあたりまえのことであるが、そうなつて参りますと、裁定というような場合は、常に予算をはみ出すことは当然なことであつて予算の範囲内でやれる裁定なら、裁定の必要がないということになる。そこに仲裁裁定の問題が起き、仲裁裁定が下つたわけでありますから、形式上は国会承認をなす必要があるということも私は了承します。しかし、昨年までの数回の実績から徴しますと、専売裁定の場合は、国会に提案されましても、案件を取下げられまして、そうして当事者の間に裁定をのむという処置も講じられたわけです。そこで私のお尋ねしたいのは、形式上国会承認は必要であるかわかりませんが、本心は、この程度の裁定であるならば、企業内においてやりくりができ、ただ予算総則その他予算上縛られている点があるにいたしましても、これはほんとうに大蔵大臣がやるという決意のもとに操作いたしますならば、やれる。やれない部分は形式上国会承認を求めるということで足れりと私は考えます。腹の底からほんとうにこの裁定が完全実施できないという考え方でおられるかどうか、もう一ぺんその点をお尋ねしておきたいと思います。
  102. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 形式上の問題と実質上の問題が、本件にからむのでございますが、今日の段階において、国会公労法の第十六条に基いていかなる御決定をなされるか、その以前において、政府が実質的にそういつた措置をするかどうかということは、今日の段階で申し上げかねる次第でございます。
  103. 前田種男

    ○前田(種)委員 もし責任者で答弁ができなければ、結局大蔵大臣が出て来なければ、審議が進まぬということになる。私はここでもう一ぺんだめを押したいのは、それならば、国会がここで完全に実施せよという決議をしますならば、簡単にお認めになると思いますが、その場合に、企業の実態からいつて、財政上あるいは資金上非常な無理があるというふうにお考えになりますかどうか。その点を大蔵当局は、どうお考えになりますか。
  104. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 これは監理官といたしましては、公社要求、それから組合の御要望等も十分体しまして、このくらいの金額の範囲内であれば、政府としても認めてあげたいという点は、やぶさかではございませんが、事財政資金に関する問題でございまして、何億まではのめる、何億以上はのめないという点は、大蔵大臣のお考えもあることでございましようから、私が今日のこの席から御答弁申し上げる限りではないと思います。
  105. 前田種男

    ○前田(種)委員 私は今の答弁では不満足でございます。これ以上大蔵当局に質問する必要もないので、あらためて大蔵大臣出席要求いたしまして、この点の審議をして行きたいと思いますので、私の質問は留保いたします。
  106. 田中伊三次

    田中委員長 ちよつと申し上げますが、今日は組合側、それから仲裁委員会にとつて、非常に重要な時間だと思うので、なるべくこの参考人に対する質疑に集中して、簡単明瞭にお願いしたいと思います。それでは青野君。
  107. 青野武一

    ○青野委員 委員長の御希望もありましたので、ほかの委員から御質問になりました点で、重複になる点はなるべく避けて、御質問申し上げたいと思います。  一番先に、今井仲裁委員長に一点お尋ねを申し上げたいと思います。お尋ねをいたしますことは、国鉄の裁定とか、電通の調停案とかとは、また経理内容が違いまして、専売仲裁裁定に関する限りは、秋山総裁から大蔵当局の了解があり、国会議決をしてくれれば、完全に実施するという意思のあることが、ほかの委員の質問によつて明瞭になつたのでございます。     〔田中委員長退席、山村委員長代理着席〕 御承知のように公労法という法律そのものが、これはマツカーサーの占領政策の一環であつて、四月二十八日からの、形式的にもせよ、日本の独立が効力を発生いたしました以後は、こんなばかげた公労法というようなものを中心にして、常に非常な苦心を払い、貴重な資料を集めて、そうして責任を持つて仲裁委員会が出した案が、外国軍隊の制約を受けない今日、まだいつの国会でも問題になるということは、私ども非常に遺憾に思うものでございます。それで第一に今井仲裁委員長にお尋ねをいたしたいと思いますことは、私もその当時いろいろな情報を中心にして、調停案よりも仲裁裁定案の方が金額が下まわるとは、私ども常識的に考えておりませんでしたが、不幸にして結果から見ると、調停案は一万四千円で、一万九百円の一時金がこれについている。ところが仲裁裁定になつて九百円下つた一万三千円になつた。この点は、全専売労組の諸君が不満に思うだけでなく、この間の開きは、どのような数字的根拠があつたのか、ほかの委員もお尋ねになつておりましたけれども、どうも私は納得が行きません。そこで大事な点としてお尋ねを申し上げたいのでありますが、調停案仲裁裁定金額の開き、それから一万三千百円というベース・アップが――民間産業、特に都会の民間産業労働者の給与平均は大体一万八千円と考えます。それから全電通の調停案が一万四千七十五円、人事院の勧告の国家公務員が一万三千五百十五円、地方公務員もそれに伴うて決定をするでございましようが、今のところでは専売のこの裁定によりますと、この給与が一番低いのではないか。どこから根拠を求められてこういう裁定を出されたかということを一応承つておきたいと思います。
  108. 今井一男

    今井参考人 実はそういつたことに御質問がないようにと思つて理由書に相当書いたつもりでございますが、はなはだ不行届きで恐縮に存じます。但し先ほど申し上げましたように、われわれとして、調停委員会調停案というものに対して、実は立場上批判はしたくございません。おそらく御了解願えると思うのですが、やむを得ない範囲で一言いたしますと、調停案自身は、昨年十月の労働者の調査というものが基礎になつて、それをいろいろ修正されておるようであります。われわれは仲裁にあたりまして、毎度申し上げますように、一つ企業体における賃金紛争であるとしております。われわれは、決して賃金委員会ではない。すなわちその企業を縦にながめ、むろん横にもながめますが、一個の企業体といたしまして、その企業の特殊性、縦における生産性の推移とか、企業の経理能力といつたようなことを中心に考えまして、今までもやつて参り、今後もやつて参りたいと考えております。今回の裁定は、理由書にございますように、一つ戦前の一応のレベルを復活させる――むろん専売戦前賃金がはたして妥当であつたかどうか、これは十分議論の余地があろうと思います。思いますが、われわれの立場といたしまして、両者意見のうち、もつともなものを組み合せて参りまして、そのうちの足りない部分だけにわれわれ独自の意見を加える。こういう立場に立ちますれば、私どもはやはりそう動かざるを得ない。われわれにも、われわれ独自の意見はありますが、独自の意見だけで、両者意見がいかようにあろうとも、われわれの意見を押しつける、こういうことは紛争解決のための仲裁委員会の立場ではなかろう、かように考えるのであります。そういつた意味合いにおきまして、組合の言い分の中で、もつともな点を引伸ばして参つた線、公社側の言い分の中で、もつともなものと認められる線を引伸ばしたもの、こういつたにらみ合わせが筋道になつております。
  109. 青野武一

    ○青野委員 そういたしますと、これは簡単なことでお尋ねしなくてもよいと思いますが、順序から行つてお尋ねしておきたいと思います。この一万三千百円という裁定基準賃金で、かりに団交の結果、この裁定通り一箇月分の年末賞与がきまるとして、秋山総裁は、その程度は出してもよいというお考えのように承つております。それがいろいろな関係で支障が出ておりますことは、了解することはできるのでありますが、この一万三千百円というものの中には、〇・五の夏季手当と同じように、新しいベースによる一箇月分の年末の手当は含まれておらないと承知してよろしゆうございますか。
  110. 今井一男

    今井参考人 先ほど来申しますように、年末手当は全然ほかであります。
  111. 青野武一

    ○青野委員 そういたしますと、私は平林労組委員長秋山総裁にお尋ねいたしたいと思います。まず秋山総裁にお尋ねいたしますが、この基準賃金は国家公務員にいたしましても、地方公務員にいたしましても、たとえば専売にしても、国鉄にしても、全電通にしても、全印刷庁にしても、大体の組合としての賃金に対する具体的な要求は、統一されて一万六千八百円の要求額を掲げておる。総評あたりが中心になつて、最低賃金制という一つの法案を議会に出して、かりにそれが通過するといたしますならば、大体基本給は九千九百七十円――先ほど山花君の質問であつたか、全専売賃金は大体どの程度が妥当と思うかという質問が総裁になされておりました。それに対しては、立場上意思表示することができないということはよくわかりますけれども専売の1場合は、他の場合とは違いまして、たとえば専売の諸君が一律に合法的な方法で、実質はストライキをやると、推定大体一日一億円の損害が起る。これはこの前の専売裁定のときにも、そういう意見なり、あるいは答弁が出ておりました。今日もその程度であろうと思います。大体八時間当りの益金が大ざつぱに見て八千五百万円程度、それから組合側が今要求しておりますのが、大体において九億四千万円、公社側にとつて自然増収額が、先ほどからいろいろ質問がありましたが、大体二百十七億円見当、四月から九月までにすでに国庫に納入した金が百六億円、しかも予備金が大体十三億円ある。このように、すべての条件がそなわつておるときに下された仲裁裁定が、なるほど国会審議権と決定権を持つおります。いろいろな関係もありましようが、大蔵当局が、完全に実施せられないと、国会に持ち込んで国会議決を求めなければならぬということは、私は非常に残念だと思います。こういう点は、公労法仲裁制度を尊重して、労使が大体この仲裁裁定を完全に実施することが妥当だという線に来た以上は、公共企業体等労働関係法という法律からいつても、私は妨害すべきではない。幾多の波瀾があつても、今の国会が、自由党も改進党も社会党も労農党も、政党政派を問わず、反対賛成はあつても、自分たちが一応大多数で国会できめた公労法という法律を、蹂躪する場合は別ですが、尊重するなら、この仲裁制度もまた尊重しなければならぬ。こういう一つの最高裁判所の判決にひとしい線が出た以上は、これは一応完全実施の線に持ち込むべきが当然だと私は思うのでございます。総裁は、大蔵当局といろいろ具体的な折衝をしても、うまく行かないから、国会に御迷惑をかけて御決定を願いたいとおつしやつていましたが、そういう一、二の障害が解決ついたときは、秋山総裁は、この専売裁定を完全に実施すると、もう一度御確認を願いたい。  それから労働組合平林委員長に、同じ内容でございますが、その点についての考え方を、もう一ぺん、ほかの委員からも質問があつたと思いますけれども、これは各党が完全実施を中心にしていろいろな話合いをする上において、ぜひ必要な内容になつて来ると思いますので、あらためてお尋ねをいたします。
  112. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまこの裁定に対する御意見の入つた御質問がありました。この裁定の当不当は、私論ずる必要はないのでありまして、前からこの裁定は完全にのみたいという考えで、先ほど来委員の方々に御答弁を申し上げております。もしこれが国会の御承認を得るならば、私は完全に履行し得る自信を持つております。
  113. 青野武一

    ○青野委員 平林君の発言の前にちよつと…。それではつきりした、私にとりまして非常に参考になる点が、具体的に総裁から発表になりましたが、そうすると、これは裁定とは全然別個になりますが、夏季手当が〇・五支給されておる。新しいこの一万三千百円で一箇月分年末賞与を、かりに労組の方が団交を通じて要求なさいますときには――国鉄の場合は一・七、〇・三五支給済み、それが国会各派へ持つてつてどんな線が出て来るか、私はここで言明いたしませんが、とにかく専売労組に対する年末手当よりは多くなることは間違いございません。そこで専売労組に対して、総裁は、新しいベースによる一箇月分の年末手当をお出しになる意思があるか。手続上不備があり、かりに政府が反対したとしても、予算総則その他に抵触してもお出しになる意思があるかないかということを、これを裁定外ですが、ひとつ承りたい。
  114. 秋山孝之輔

    秋山説明員 手きびしい御質問でありますけれども専売では、やはり給与総則もあり――予算総則もありますから、ここで一箇月出す意思があるかという御質問についても、私は確答はいたしかねますけれども、意思はある。できるかできぬかは、将来の問題で確言はできない。
  115. 平林剛

    平林参考人 今度の裁定については、私どもは、先ほど申し上げましたように、法律上当然裁定が完全に実施されなければならぬものだと思います。同時に、予算上も、大蔵大臣承認さえすれば可能だと私は思います。実質上に予算があるものですから、この意味からも国会に上つて来る必要がないもののように考えております。  なお、たいへんおかしな話でありますが、公社側におきましても、この裁定については、当然規則として服従したいと、声をからして育つております。われわれも、不満でありますが、公労法の定めるところによつて、最終的にこれに服従をするように義務づけられております。これが実施されさえすれば、紛争はぴたりと解決することになつております。ただ、それがぴたりと解決できないようになつているところが、われわれが最も公労法上の疑義を持たざるを得ないところであります。しかし、予算上も可能であり、法律上も当然であり、両者の意思は、これによつて紛争を解決するという意思が合致しておるのでありますから、国会におきましても、この裁定が完全に実施されるような措置をおとりになることを、お願いいたしておきたいと思うのでおります。  なお、ちよつとつけ加えますが、今度の裁定につきまして、国会が完全に実施をさせるように御努力を願いたいというのはもちろんでありますが、私は、昨年の裁定につきましても、今度国会で明確なる御結論を願いたいと思うのです。つまり、先ほど申し上げましたように、昨年の国会におきましては、専売裁定一万四百円を、政府国会の結論に従つて尊重するということになつたのであります。ところが、そのときの専売公社補正予算を見ますと、少くともその通り実施されておらないということであります。国会において、当然今度の裁定は尊重すべきものである、完全実施すべきものであるということで、いろいろ補正予算上の手続をとつていただきましても、もしそれだけで終ると、昨年の国会が、裁定を尊重すべしとおきめになつたことが、そのままその趣旨に沿わないで、政府予算を組んでいるような結果になりまして、これはやはり、私どもが昨年国会に絶大な期待をいたしましたことが、政府考え方で、それさえもだめになることになるというような結果になろうかと思います。この点につきましては、十分御配慮願いたいと思うのであります。これを具体的に申し上げますと、今度の補正予算では、政府は、本年の十一月から本年三月までの分については一万三千七十四円の基準賃金で組んであります。これはむろん今度の裁定の八月から十月までの分、あるいは多少一万三千百円に足りない分については、公社大蔵省に折衝し、また国会においても予算上の修正を願うように手続は進められておりますけれども、昨年の裁定、すなわち本年の四月から七月までの分については、裁定は昨年一万四百円と決定をされましたが、そのときの補正予算としても一万三百八十一円にしか組んでいないということであります。これは昨年の裁定を想起していただけば明確になりますが、昨年は、昭和二十六年十月を基準にして一万四百円という裁定が下されて、これを尊重するということになつた。ですから本年の四月になりますれば、当然これは昇給その他がありますから、一方五、六百円、もしくはその上になるのです。ところが一万三百八十一円しか組んでいない。しかも、これは年末、手当を先食いしてしまつている。国会は、専売労働者に年末手当を一箇月分くらいやるということで、予算科目をおきめになつたが、それを食つて、しかも一万三百八十一円しか出していない。こういう事実が現われておるのでありまして、この点は、今度の裁定と同じように、昨年の裁定がどう実施されたかということも、ぜひ御検討願いたいと思うわけであります。
  116. 青野武一

    ○青野委員 あとの質問者の関係もありますので、もう一、二点だけお尋ねをいたしておきます。今ここに私の持つております資料にも、大体そういうような点が明確に記されております。かりに裁定を完全に実施するとしても、大蔵省関係とか公社の方が、かつてにそういうことをやれば、せつかく国会議決をしても、一万四百円が一万三百八十円そこそこになつて二十円くらいの開きができるということになる。今度の補正予算においても、十一月から実施することになつて、一万三千百円という裁定に対して、一万二千八百十九円程度で二百八十一円という差額が出ている。この資料は正しいかどうかわかりませんが、予算項目から見たらそういうことになる。それではせつかく国会がきめても、いろいろな資料に基いて労働委員会が非常に熱心に会議を進めても、結果的に見ますれば、逆効果を来しているということになる。そういう点のないようにひとつ御注意を願いたい。  最後に一点お尋ねを申し上げたいと思いますのは、公社は夏季に支給した報償金のほかに、当初予定された報償金を支給するということが五項に出ております。この報償金は、大体国会議決を経ておるようであつて予算総則にもないということを御説明なつた。それから六に、「本年度決算において、予定以上の利益を生じた場合は、公社は、その一部を業績賞与として職員に支給する」――これは三年もたつが、ほとんど実施されておらないから、この一項を入れましたということを、今井仲裁委員長は、先ほどの公述の中でおつしやつておられたことを私は記憶しておるのでございます。大体報償金が一億円で、業績賞与に対しては四億円程度あると言うているように、今井委員長説明のときに私は承つております。こういう点でやりくりのできる点を総合してみますと、実際に国会議決を求めるまでは六億六千万円足りないと言つているというお話がありましたが、そうまでしなくても、やりくりがつくのではないかと思う。ましていわんや、先ほどの御説明では、二十七年度の予算で大体予備費が十五億九千万円あつたが、今度は組みかえられて十三億七千六百万円になり、そのうちの十億円は葉タバコ予備費であるというお話があつたのであります。こういう予備費、たとえば報償金あるいは業績賞与というものの予算が相当あるので、これらをやりくりすれば、公社内の経理内容は、裁定実施するのに相当都合のよいようにできておるのではないかと思うが、この点をまずはつきりしてもらいたいと思います。
  117. 秋山孝之輔

    秋山説明員 事こまかい数字にわたりますから、小川総務部長に願います。
  118. 小川潤一

    ○小川説明員 今の御質問に対しまして、最後の第六項の決算剰余の問題は、法律の改正を要する、あるいはそれがなくても、少くとも予算総則に書いてもらわなければ実行できない。従いまして、このルートは、仲裁委員から一つのやり方を命ぜられた、といつては語弊がありますが、やり方が示されただけであつて、この道を使うことは、現段階においては、全然不可能で言るということが、われわれとしては考えなければならぬ点でございますが、これは誤解のないようにしていただきたいと思います。第六項の道は使えない。  それから二番目の報償金のルートは、先ほど来申しましたように、公社の責任におきまして予備費より出すことができる。しかしこの限度は十三億のうち約三億であるということは、何回も申しましたから、夏季手当の、仲裁委員会でお示しになつて、それを穴埋めしろと言われます一億九千九百万円を埋めますと、残りわずかになりまして、この問題の解決にはさほど役に立たないのではないかと思います。あと問題の八月、十一月の問題と、あるいは給与差額の予算との差、それから年末手当の世間並の支給というものは、どうしても技術上給与総額というわくを通つて行かなければならない建前になつておりますので、これは国会補正予算でそういうふうに予算を出していただけるようにしていただけなければ、たとい大蔵省との話合いがあつても、裁定の完全実施ということは不可能といわざるを得ません。従いまして大蔵省との話合いがどうしてもできない部面がございます。それは先ほども申しました八月、十一月にさかのぼる問題と、世間並の年末手当、この二点は予算規定していただけなければ出す道がないという実情でございます。但し、大蔵省は今度の補正予算に一億七百万円だけの奨励手当を見てありますので、これは約〇・二くらいになります。この点は補正予算がそのまま通りましても、めんどうを見ることができる数字でございます。
  119. 青野武一

    ○青野委員 よくわかりました。数字的な御答弁はいろいろ参考になつたのでありますが、最後に平林委員長に一点だけお伺いをしておきます。先ほど申し上げましたように、調停案が一万四千円、仲裁裁定が一万三千百円、それから今度の国会に間に合うかどうかはつきりわかりませんが、総評あたりの要求で、最低賃金制度の法案を出すとすれば、九千九百七十円見当と考えております。大体日本の国家公務員その他の関係労組の要求しておりますのは、一万六千八百円。この点につきまして、おそらく三万八千の全専売の労組の諸君は、心から満足してこの仲裁裁定に服したとは考えません。結局一万三千百円という裁定が下されましても、これは公労法を尊重する、仲裁制度というものを極力尊重する建前から、涙をのんでこれを承認しているということは、私どもも了解するのでございますが、大体今の専売公社の経理内容から見て、しかもタバコの製造高、あるいは自然増収額二百十七億、こういう点を考慮に入れて、率直なところ一体労働組合の責任者として、全専売の従業員は、基準賃金はどの程度が一番正しい、またわれわれはこの線を要求しておるということを、この機会に明確にお示し願いたい。これは裁定に関すること以外になりますが、諸般の事情を考慮して、委員長として三万八千の労組の諸君を代表して、私どもはこういう点を現段階で要求しておる、またそうあるべきだという数字を、ひとつ示していただきたい。
  120. 平林剛

    平林参考人 今回の仲裁裁定について、その裁定がわれわれとしてはたいへん不満足であることは、先ほど申し上げた通りであります。しかし、公労法の定めるところによつて紛争はこれで最終的に解決すべきものと定められておりますから、組合はこれによつて紛争を解決いたしたいと思つておるのであります。しかし、お尋ねの私のただいまの見解は、組合が当初要求いたしました一万六千六百円は、現在の情勢から行きましても、不当な要求であるとは考えておりません。これは戦前水準に回復せしめるという組合要求理念について、仲裁委員会がやはり仲裁理由の中においても認められておるところであります。つまり仲裁委員会は、戦前昭和九年ないし十一年に五十二円二十銭であつて、今日物価が大体三百倍になつているから、一万六千六百円は当然ではなかろうかという趣旨のことが、理由に明らかにされております。ただこの中からいろいろなものを引いて行つて――年末手当が前にも相当額あつたであろうからこれを引くとか、あるいは超過勤務もやつていたであろうから、そういうものも引くというふうにして、引かれて、多分常識的に判断をされて年末においても一箇月分程度の年末手当はあろうから、こういうことを総合的に判断されて一万三千百円とされておるのでありますが、この点は最初申し上げましたように、まだ政府の態度も明確ではありません。同時に、公社との交渉も、目下組合要求をしておるのでありまして、不安定なものであります。でありますから、この段階において私は組合が当初要求いたしました一万六千六百円が、要求としては無理な要求ではなかつたと思つております。ただ先ほどのような趣旨で、これによつて紛争を解決せざるを得ない立場にあるということであります。
  121. 山村新治郎

  122. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 もうすでにわれわれの問わんとするところは、出尽しておりますから、私はきわめて簡単に二、三点について御質問申し上げたいと思います。  総裁のお話によりますと、専売については、当初の予定額からいつて、相当の増収を見込んで行けるのであるから、この裁定実施についても、何ら経理には支障がないように言われたのであります。そういたしますと、私は公労法第十六条第一項に該当するから、第十六条第二項に基いて国会議決を求めるということが無意味ではないかと思うのでありますが、その点につきましてもう一度御説明いただきたい。
  123. 秋山孝之輔

    秋山説明員 私はただいま、もう少し売上げがふえるのではないかと申し上げましたけれども、これは確実性は持つておりますが見込みであります。まつたく見込みは見込みで、これをもつて裁定が全部のみ得ると申し上げたつもりはないのであります。やはり給与総額をふやしていただかなければ、給与面においてはいかんともすることはできない、こういう意味合いでございます。
  124. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 給与総額をふやすということは、いわゆる収益のいかんを論ずるのではないと思う。給与総額の予算承認さえすればいいのであつて裁定そのものから生じます承認、言いかえますと、裁定承認、不承認という問題を議題に供するのではなしに、予算でこの裁定に必要な費用を予算化してもらいたい、こういうための意味に解していいのでありますか。
  125. 秋山孝之輔

    秋山説明員 今お話の通りであります。
  126. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そうすると、今言われるように、公社の方では、経理上から見ても、生産上から見ても、生産状況をにらみ合せ、さらに組合員の勤務状況から見て、このくらいの裁定はのんでもいいということを、総裁は言明されておるのである。そうしてその言明されることは、結局は、その企業が独立採算制で行つても、ただ国会のこの裁定実施するにあたつての財源を承認してもらえばいい、承認する財源は十分にあるということを暗に言明されておるものと考えるが、それに対して、この公労法の第十六条第一項に該当するから、第二項の規定に基き国会承認を求めるというふうなことが、どういうふうにして出たのか。その経緯については、大蔵省は当局局であるから一番よく知つておると思うが、具体的に説明をいただきたいと思います。
  127. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 公労法の第十六条に申します予算上、資金上不可能なりという解釈は、この前の裁定のときも問題になりまして、それぞれその意味が明らかになつたはずでございますが、現在政府のとつております見解といたしまして、予算上不可能なりということは、現在成立いたしておりまする予算に対して超過する金額は出せない。たとい財源の調達が可能であつても、現在成立しておる予算でまかない得ない金額は、やはりここでいう予算上不可能なりという判定をいたしまして、そして国会にこれが議決を求める。国会の方でその裁定をのむべしというような御決議が成りますならば、それが政府に返つて予算をさらに補正してその調停案をのむ、こういうかつこうになるのではないかと思います。従つて、この解釈といたしましては、財源のあるなしということではなくて、現在成立いたしております予算を基礎にいたしまして、それを超過する金額について、政府はかつてに出してはいけない。その二項にもございますが、かつてに出してはいけない。やはり超過する金額については、そういう協定がなされた場合は、必ず国会にこれを出して、そしてその承認、不承認を求めなければならぬ、こういう解釈に相なつている次第であります。
  128. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは、この裁定の出し方についても、私は矛盾があると思うのです。今の給与ベースを実行する予算だけしか予算にないことは、これはもう明らかなんです。当初予算で明かなことであります。そうすると、こういう給与の変更がその年度内に行われる勧告が出されたとすれば、それについて、政府としては、この裁定をのむにはこれだけの財源がいるが、国会ではこれを承認するかいなかというふうにかけるのが当然であります。しかるに、政府の言明から行きますと、そうではなくて、今成立しておる予算上から見れば、予算上、資金上これは不可能であるから、国会承認を求める。そうすると、言いかえれば、これは不承認承認を求めているのと一緒であるという結果になると私は思います。そういうことは、非常にりくつに合わない問題だと私は考えるのであるが、どうでありますか。
  129. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 これは時期的なずれがございまして、現在出しております補正予算国会提出に相なりましたのは、十一月の二十四日でございます。それからこの裁定が下されたのは二十七日でございます。従つて裁定の方が、補正予算国会に出した後に出た、こういうことでございまして、もしもこれを政府がのむとするならば、さらに出しました補正予算を最修正して国会に出すという段階になるかと思いますが、現在まだその手続はやつておらない。形式的に申しますと、さつき申し上げました通り、最初の予算に対して予算上不可能なり。これは形式論でございます。さらに一歩譲りまして、それでは補正予算に対してはどうかと申しますと、今言つたように補正予算でも――先ほど申し上げました年末手当は別にいたしましても、二億六千万何がしというものがこの裁定をのむためには足りない。こういう状況でございますから、すでに成立いたしております本予算になつてもしかり、補正予算にとつても、やはり今出しております補正予算をさらに再修正の御決議がなければ、政府といたしましてはこの裁定通りのむことでがきない。従つて予算上、資金上不可能なりというわけで、この提案をいたした次第であります。
  130. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは詭弁であつて、きわめて矛盾したことだと私は思う。
  131. 山村新治郎

    山村委員長代理 山口君、ちよつと待つてください。今井委員長に先に質問していただきます。
  132. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連しておりますから…。それはさきの国鉄の裁定に対する議案とこれと同じ形で出されている。しかるに、総裁の言明によりますと、大蔵省交渉をしたけれども、どうしても大蔵省が了解してくれないから、それでこういう問題になつて、まことに遺憾であるというふうに言われておる。そこの矛盾をわれわれは十分説明してもらわないと、承知ができないのであります。これをひとつ大蔵省から答えていただきます。  時間を急いでおられますから、今井委員長に御質問をいたします。こういうふうに、国鉄の裁定にいたしましても、専売裁定にいたしましても、仲裁委員会としては、十分の財源の裏づけありという認定のもとでなければ、私はこういう裁定はできないと考えるのであります。そこで、もし政府の方で、この裁定に対して、財源がないからできないということになりますと、結果においては、この裁定というものがきわめて無責任であるか、政府の方で、この裁定を権威あるものと認めて実施する誠意がないのか、このどちらかになるという問題が起きて来ると私は考えるのでありますが、その点に関する御見解を承ります。
  133. 今井一男

    今井参考人 これがもし中央労働委員会等の問題であるといたしましたならば、事専売に関する限りは、いわゆる企業の経理能力から申しましても、ほとんど一点の疑う余地はないと私は思います。但し、国鉄につきましては、とにかく運賃というものが法律できまつております。われわれとしては、運賃もある程度上げることが妥当であるというふうな意見を述べました。しかし、また一方において、国民の要請による例の復旧、復興の問題がございます。しかしながら、そういうふうに今の企業の経理能力が非常に悪いといたしましても、なおかつこの程度の賃金は必要である、こういつた立場で、企業の経理能力は、われわれとして与えられた時間内において、十分検討したつもりであります。その点については、これは御批判いかんでありますから、私はしいて抗弁いたしませんが、決して無責任というつもりではないわけであります。但し、国鉄等につきましては、結局そういつた関係がございますので、国会のごやつかいには相なるわけであります。この点はやはり御了承を願いたいと思います。
  134. 山村新治郎

    山村委員長代理 石野君。
  135. 石野久男

    ○石野委員 今井委員長が非常にお急ぎでありますので、一問だけお伺いしておきます。この問題は公社の方にも、あるいは大蔵省関係にも関連してお聞きしたいのでありますが、さしあたり、委員長に私はお伺いいたします。先ほどの公述の際に申されました委員長の言葉でありますが、われわれは賃金委員会ではないから、両者紛争をそこで調停あるいは仲裁する任務を持つておる。従つて労働組合意見も、また公社側意見も十分そんたくして、一万三千百円その他のものを出したのである。そのときに、公社側意見については、大蔵省との話合いができるような観点に立つて、こういうような裁定をしたのだという趣旨のことを言われたと私は記憶しておるのでございますが、大体そのように理解してよろしゆうございますかどうか。それだけを伺いたい。
  136. 今井一男

    今井参考人 私ども両者が、自分の方はかりに一万八千円なら一万八千円を要求する、自分の方は一万二千円なら一万二千円以上は出せない、こういつたような数字を具体的に示してもらつて、その理由を解明して、その理由の納得のできるものから積み上げて参るという方式が、最も望ましいと思つております。ところが不幸にいたしまして、専売当局の方は数字については遂に明確に出しませんでした。しかしながら、考え方としては、一応こういう考え方がよろしいのじやなかろうかというような意見は得ました。その意見と、もう一つ大蔵省と話合いをして内定した数字、この数字は、おそらく専売公社としては責任の持てる数字だと思うのであります。少くとも補正予算が組まれるにつきましては、大蔵省といろいろ折衝があつたろうと思う。その数字と、要するに三つの数字を総合勘案した、こういつたことを申し上げておきます。
  137. 春日一幸

    ○春日委員 今井委員長にお伺いいたしますが、国鉄裁定に関連する問題でありますから、国会の本労働委員会の意思は、ここ数日中に決定しなければならぬはめに差迫つておると思うのでございます。そこで第十六条の二項は、協定に達したる場合ということがうたわれておりまして、しかもあなたの裁定は二、三、四の項目について団交にゆだねるという形になつております。そこでその団交は現在開かれていないというようなことでございまして、なお今明日に開かれたとしても、私ども審議中にはその結論に達しがたいということが推測されるのでございます。そこで私どもは、この労働委員会の席において決定するにあたりまして、二、三、四の項目につきましては、われわれに示されたる一つの原案のない形で審議をしなければならぬのでございますが、こういうような場合、法律的に、われわれは何を根拠としてこれを審議すべきであるか、この点についてあなたのお考えを伺いたいのであります。
  138. 今井一男

    今井参考人 どうもこれはなかなかむずかしい問題でございまして、国会の御審議がどうやつて行くのがよかろうかということまでは、私も実は思い及んでおりませんので、ただ少くとも労使の意見を十分御参酌くだすつて、お進めになれば一番適当じやなかろうか。思いつきではございますが、さように思つております。
  139. 春日一幸

    ○春日委員 私ども法律によつてのみ審議ができるのでございまして、法律はやはり、協定に達したるものを議案とするということになつておるのでございます。そこで私どもは、労使の意見というものは、すなわち仲裁裁定以前のものであり、法律的には何の根拠も持たないのであります。従つて、これは国会の議案たるの資格を欠くものと思うのでございますが、これはいかがでございましようか。
  140. 山村新治郎

    山村委員長代理 今井君からは、御答弁がないそうであります。  それでは御退席を願いまして、あとほかの参考人に御質問願います。
  141. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの山口君の質問に対する今泉さんの御答弁は、十六条の二項に関係するいわゆる予算上、資金上不可能の定義でございます。これはすなわち議決予算のわく内ということを示すものであるという御答弁に相なつております。そこで、ここに提出されている議案でございますが、国会がこれをしかるべくその意思によつて決定されて、それがさらに再補正を必要とするような場合は、それが再び政府の方にはね返つて来て、政府が再びその再補正に応ずるかどうか、こういうことになつて来るという御答弁でございます。私もその説は当然そうであるべきであり、法律はありのままに解釈すると、その解釈しか成り立たないのでございます。  そこであなたにお伺いいたしたいことは、法律はその通りのものであるということを、あなたはお考えになつておるにもかかわらず、国鉄にしろ、専売にしろそこへ中間的な、あなたの方の一方的な補正予算を付してこれを国会承認を求めておられるこの態度について、私どもは非常に疑義を持つものでございます。これは先般来審議されておつたところでございますが、ただいま青野君も指摘したように、三十五条の決定は最高裁判所の決定と同じようなものであり、しかもこれに対して予算上、資金上不可能というような場合には、これを国会に付議して来るという建前におきまして、仲裁裁定委員会は、これはある意味において国会に対して予算の提案権を持つかもしれないというような一つの解釈もあり得るわけでございます。そういうような場合におきまして、その裁定をありのままに白紙で国会に付議するのが当然であるにもかかわらず、暫定的な、中間的な補正を付して、そうして国会の意思に対して事前に影響力あるいは拘束力をそこに加えるということに対しては、これは国会審議権に悪い影響を与えるものであろうと考えるのでございますが、これはどういうふうにお考えになつておりますか、ちよつとお伺いいたしておきます。
  142. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 先ほどちよつと申し上げたのですが、この補正予算は、裁定の出る前に国会に出ております。かりに補正予算の前に裁定が出ておつて、一応考えた数字でありまするが、裁定がこの補正予算編成前に間に合つて政府としてこれをのむかのまないかということで、かりに審議になりましたならば、今回提出になつている補正予算はかわつているかもしれません。しかし、遺憾ながら補正予算の方が先に出て、裁定があとになつた。こういう段階においては、さらに政府が再補正して国会に出すか出さないかという意思決定にあるわけでございます。
  143. 前田種男

    ○前田(種)委員 今の答弁だが、先般の専売裁定の場合は補正予算が先であつたが、国鉄裁定の場合の裁定補正予算以前に出ている。しかし政府は、国鉄裁定の場合も、専売裁定の場合も同一の態度で臨んでいる。今の答弁は一つの詭弁だと私は考えております。要するに、国鉄裁定の場合の大蔵省の態度はどうかという点を明確に御答弁願わなければ、今の答弁では不十分だと思う。この点はつきりしてもらいたい。
  144. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 私の申し上げましたのは、専売裁定についてだけでございまして、国鉄裁定から言えば、やはりのめないということで補正予算政府から出ているわけであります。
  145. 春日一幸

    ○春日委員 いずれにいたしましても、三十五条の決定が国会審議の議案になるものであろうと思うのでございます。従いまして、国鉄の場合にいたしましても、専売の場合にいたしましても、現実に裁定がおりている、こう思うのでございます。しかるところ、その裁定の線とあなた方がすでに補正をされて国会提出されておる補正予算とは、全然相いれない形になつていることはあなたもお認めにならなければならぬところだと思います。従いまして、こういう関係補正予算は、三十五条の精神に相反するところの補正であろうと考えるのでございますから、すみやかにこれを撤回されまして、しかしてその裁定の決定に基くところの補正を組まれるか、あるいはそれを白紙で国会において審議されるか、私は、中間的に国会議決に先だつて政府の財源措置をここに表明するということは、国会審議権を無視するものであろうと思うのでございますが、これに対してあなたのお考えはどうでございましようか。
  146. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 毎度繰返して恐縮でございますが、形式的には、成立いたします本予算でまかなえない金額は、やはり国会にこれを提出して、国会の意思決定をまつて政府が善処する以外には道はないと思います。
  147. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは、矛盾だらけになると思うのです。とにかく国鉄の予算においては、今前田委員も春日委員も言いますように、ちやんと一つの制限限度を付して国会に諮つている。同時に、この専売裁定の問題にしても、同性質のものとして諮つているのです。そこで、それは事務的な時間のずれでやむを得なかつたと言つているのであるから、それを推し進めて行きますと、政府が出している予算措置は、推定に基くものといわなければならぬ。今日これが明確になれば、政府に誠意があつたなら、この勧告に基く裁定をもつて、すなおに再補正をして提出すべきが当然だと私は思う。しかるに、それを否定しておいて、一方ではこういうふうに制限を付して出すということは、私は国会審議権にも大きな支障を来すものであると考えざるを得ない。同時にまた今日の裁定においても、総裁がきようの証言で、これを実行するにあたつての財源はありますと言明している。言明しているならば、なぜ政府の方でその言明に従つて誠意を持つて出さないか、これを私はさらに追究せざるを得ない。答弁していただきたい。
  148. 山村新治郎

    山村委員長代理 山口君にちよつと申し上げますが、この答弁を今泉監理官から求めるのは、ちよつと無理だと思います。明日大蔵大臣が参りますから、大蔵大臣に答弁を求めていただきたいと思います。
  149. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは私は深くは追究いたしませんが、この問題は一つの政治問題としても重要な問題であり、国会審議権に関する問題だと思いますから、速記録を調べた上で、所管大臣から責任のある答弁をしていただきたいと思います。
  150. 山村新治郎

    山村委員長代理 委員長においてしかるべくとりはからいます。  石野君。なお石野君に申し上げますが、大蔵大臣の責任に属する答弁でしたら、明日にお願いいたします。
  151. 石野久男

    ○石野委員 委員長からの御注意もありますので、今泉専売監理官のおいでになることを無視するわけではございませんが、大蔵省関係の問題については、また後ほどいろいろお聞かせ願いたいと思います。     [山村委員長代理退席、委員長着席〕  秋山総裁にお尋ねいたしますが、総裁専売公社の業績内容からすれば、なるべく裁定実施はしたいということを、すでに繰返し申しておられます。そこで、私どもにとりまして今一番大切なのは、今度の補正予算が組まれる前に、当局と組合側及び仲裁委員会との間の折衝が、いろいろと行われておつたと思うのでございますが、そのときに総裁は、おそらく公社側の立場から、大蔵省との間に種々御折衝なさつたこと、だと推測するのであります。先ほど私が今井仲裁委員長にお聞きしましたことは、そのことに触れるのでございますが、今井仲裁委員長は、この問題を考えるにあたつては、総裁の方からは確実な数字は承つていなかつたけれども、大体の御意見は承つてつたというふうに言つておるのであります。そのときに問題になつて来るのは、結局補正予算でございます。われわれは、補正予算ついては、政府から出ているものが悪ければ、これを是正する権限を持つているのですから、これは幾らも是正するわけでありますが、問題になるのは、政府関係機関としての専売公社補正予算が組まれる際に、あなたは大蔵省と一の間にどういう折衝をなさつたかということであります。その当時の事情を、特に今度の係争問題と関連して御説明いただきたいと思います。
  152. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいま今井委員長から申し上げましたように、専売側からは、数字的には何も聞かなかつたという通りでありまして、当時引続いて大概省との交渉においては、まだ仲裁委員にすら私どもの内意をお示しする運びには行つていなかつたのであります。公社側としましては、人事院の勧告、その他公務員の二割増俸というようなことを勘案しまして、大蔵省とるる折衝して参つたのでありますけれども大蔵省と私ども意見の間隔が相当大きくて、これを説得する力が私どもになく、遂に補正を組む段階にまで行つてまつたということは、はなはだ遺憾でありますけれども、事実はその通りであります。
  153. 石野久男

    ○石野委員 秋山総裁の力が足りなくて、補正予算が組まれてしまつたというお話でありますが、その当時あなたの方としては、裁定に盛られている今日のような事情等は、十分に考えていたであろうし、その前には、すでに調停委員会の線も出ているわけでありますが、調停委員会の線をあなたの方ではけつている。しかし専売では、業績等が予想以上に出ているということをあなたがおつしやつておりますので、当然そういうことを含んで折衝なさつたものと理解してよろしゆうございますか。
  154. 秋山孝之輔

    秋山説明員 もちろん私は業績その他から勘案をして、大蔵省との折衝に当つたつもりであります。
  155. 石野久男

    ○石野委員 この補正予算の中には、先ほど同僚委員からも言つたように、タバコ売払代の増加が約二百十七億あるわけであります。これだけの増加が行われれば、労働者の側にとつて当然それだけの生産量あるいは労働の強化等が伴つて来ると考えるのは、第三者の順当な考えであろうと思う。総裁はそういう点については、労働の強化なくしてこういう事態が出て来るというようにお考えになりますか。
  156. 秋山孝之輔

    秋山説明員 もちろん業績の向上ということは、いろいろな要素が入りますけれども一つの要素としては、労働強化ということも必要な条件であります。
  157. 石野久男

    ○石野委員 これだけの業績が出てくる場合に、賃上げの問題あるいは人員の増加等が考えられなければならないと考えますが、その点については、総裁は今のところどういうふうに考えておりますか。
  158. 秋山孝之輔

    秋山説明員 人員の増加というのは、どういう意味でありますか。
  159. 石野久男

    ○石野委員 相当程度作業量の業績が上つて来るということになれば、当然人員の増加、あるいは逆に言えば、就労時間の増加か何かによらなければならない。
  160. 秋山孝之輔

    秋山説明員 それはもちろん超過勤務の時間もふえましよう。それから現状から見て労働強化と申しますのは、やはり熟練ということも入つておりますから、必ずしも分量のふえただけ、終戦後のような標準で人間をふやすということは考え及ばぬところであります。
  161. 石野久男

    ○石野委員 私がなぜこういうわかり切つたことを聞くかというと、今まで裁定の問題を論じ来るのを聞いておりますと、公社は払つていい、ところが大蔵省ではだめだと言うから、おれの方はできないのだということで、うまく逃げられてしまう。その辺のところを経営者の方ではなれ合いになつているのじやないか。従つて秋山総裁自身は、どうも労働組合の前でのつくろいをするために答弁をしているのではないかというふうに、誠意のほどがはつきりしない。だから、私はそういう点について、ほんとうにあなたが、この労働者要求が妥当なものであり、裁定委員会の出しているものを当然払う能力があるということをしばしば言つているのに、なぜそれが大蔵省との間であなたの意思が貫徹するようにならないかということについて、われわれはわからないわけだ。そこで、あなたのほんとうの気持を、いま一度ここではつきりわかるようにさせてもらいたいのです。
  162. 秋山孝之輔

    秋山説明員 私はこういう席において言うことが不なれでありますし、かつて私はさようなうそを言つたこともなし、私の評価はひとつ御自由になさつていただきたい。ただいままで申し上げましたことは、私の奥意であるということに御了承を願いたいのであります。
  163. 石野久男

    ○石野委員 総裁は非常に誠実のこもつた答弁をしておられるようでありますので、私もその点は認めたいと思います。従つて、この問題の解決点については、われわれが委員会を通じて政府等にまだまだいろいろ聞かなければならぬこともありますし、特に大蔵当局の意見を十分にここで聞からければならぬ問題がたくさん出て来たというふうに私は思うのであります。同僚議員が、すでに大蔵当局に対する意見を留保しておりますので、私もまた大臣の来るまで、それらの問題は留保しておくことにいたします。
  164. 森山欽司

    ○森山委員 平林専売労働組合中央執行委員長から、昨年の裁定について、二十七年度予算においては、それを尊重しないような予算の組み方であつたという御発言がありました。私も前回の裁定については、その実施のために最善の努力を尽したのでありますが、大蔵省といたしましては、そういう問題についてその後一万三百七十円だか、八十円だかの数字しか組んでいなかつた。確かにそういうような面も見られるので、昨年の裁定についての大蔵省の二十七年度予算における態度を、この際御説明願いたいと思います。特に、これは公社側におきましても、小川総務部長がおられますから、その点についての忌憚のない御所見を承りたいと思います。  それから、今泉監理官にお伺いしたいのでありますが、先ほど総裁からも御言明がありました決算賞与に関する資料に関して、予算上法令関係に若干手続を要する、その点について、公社としては相当積極的なように思いますが、政府側においては、これについてどういうような御所見を持つておられるか、この際明らかにしていただきたい。  それから、平林委員長にお伺いしたい。それは年末手当を、具体的にあなた方はどのくらい要求されているのか。もちろん数字は、現在要求されているあなた方の数字と、同時にあなた方が少くとも最小限度このくらいだという、ぶち割つたところを、この際お伺いできますれば幸いであります。
  165. 小川潤一

    ○小川説明員 前回の裁定のてんまつの径路を中心として、簡単に申し上げます。  御承知のように、九千六百円のベースから一万四百円ということは、裁定が下されましていろいろの経過をたどりまして、国会としては尊重すべしということで、政府もこれに同調されたのでございますが、遺憾ながらそれに伴う予算措置の修正がなかつた。   (委員長退席、山本委員長代理着席〕 この点が非常に重大でありまして、そのとき成立した予算でその気分を尊重してやれということががんになりまして、その当時組まれておりました夏季手当、年末手当をなしくずしに使いながら、前回の裁定を実行して来ている状況であります。従いまして、裁定が一万四百円という裁定にかかわらず、一箇年分の夏季手当と年末手当が入つておりましたのを合計してなしくずしますと、一万四百円に若干及ばなくて、さつきから議論になりました一万三百八十何円という数字になりまして、今日まで来たわけであります。従いまして、われわれ経理当局といたしましては、当然今回の補正でもつて解決していただいて、年末手当なり夏季手当の穴埋めを政府から積極的にやつていただけるのだろうと思つていたわけでありますが、今度の補正では、遺憾ながらそれが現われていないという状況であります。
  166. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 従来の経緯は、今小川総務部長から申し上げました通りで、一万四百円ということはのむべしということにいたしましたが、予算の修正がなかつたために、従つて特別手当を食つて一万四百円を実行すべく努力したのでございますが、特別手当を全部食つても、十九円だけはどうしてもまかない得なかつたので、既定予算の範囲内でまかなうという建前から、そうせざるを得なかつたという実情でございます。
  167. 森山欽司

    ○森山委員 今度の補正予算で、どうして穴埋めをしないのか。今回の裁定実施の問題は、ひとまずおくとしても、前回の裁定実施に伴う穴埋めをなぜやらないのか。
  168. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 今度の金額をきめる際も、やはり昨年一万四百円はのむべしというここでの御決定はあつたのでございますが、いかんせん、補正でそれを修正しなかつた。そのことがやはりがんになりまして、主計局当局と公社との間に、この前は既定予算の範囲内で、ベースの中にそういつた特別手当も含めて一万四百円がきまつたのだ。こういう経緯から、今回の補正に盛つております基準給与の中にも、やはりそういつた特別手当を含めてこうなるのだ、こういう主計局の見解で、予算も計上されておる実情でございます。
  169. 森山欽司

    ○森山委員 あなたに聞いても、むだでありましようけれども、しかし、いずれにしろ今度の裁定実施が今問題になつておるのだが、前回の裁定の際に、国会の意思は裁定を尊重すべし、政府も尊重いたしましようと言つてひつ込めたものです、それすら実施しないのでは、今度の新しい問題に対してどういう態度をとるかということは、火を見るよりも明らかです。あなたは、その当時はまだ監理官に御就任になつておらなかつたのでありますが、私は政府のこの態度を追究しなくてはならないと思います。そこで、今泉監理官にこのことを聞いたところで、押し問答でありますので、あすでも大臣、またその当時の主計局長は依然として健在でありますから、ゆつくりこの問題を論議することにしたいと思います。  その次に、業績賞与の問題について、大蔵省としてはどういうことを考えておるか。
  170. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 せつかく仲裁裁定でいういつた制度を設けるべしという御勧告もあり、ぜひやりたいということで意思を表明されておりますので、大蔵省といたしましても、せつかくそれが実現方について検討を重ねておる実情でございます。
  171. 森山欽司

    ○森山委員 せつかく検討を重ねるというような、その種の答えは、もう三年間聞いている、そこで、この際ひとつ今年中に案をつくるとか、来国会には必ず出すとか、もう少し具体的な御言明をいただけないでしようか。
  172. 山村新治郎

    山村委員長代理 もうその問題は明日にしてはいかがでしようか。
  173. 森山欽司

    ○森山委員 それではやめておききす。組合側からひとつ御見解を承りたい。
  174. 平林剛

    平林参考人 年末手当について、目下組合専売公社に対して交渉を行いつつあります。その交渉の内容は、年末当としては一万八百円、報償金として六千七百円、計一万七千五百円の支給を要求しております。これは公務員その他公共企業体組合、民間の組合等と比較をいたしまして、過大な要求をいたしてはおらないつもりであります。当然現在の専売労働者としては、この程度の年末手当、特別手当要求は、世間並以下である、こういうふうに考えております。加えて、仲裁委員会におきましても、裁定の一万三千百円を試算して行きます資料の中にも、明瞭にありますが、仲裁委員会が一万三千百円というような低い賃金にきめるには、多分年末には一万三千円程度の年末手当はあるに違いない、だから、一万三千百円にした、こういうことが試算の中に現われております。こういうところから参ましても、われわれは、専売公社との間に今組合要求中である一万七千五百円が支給されることを、これから後におきましても交渉を続けて行きたいと思つております。
  175. 森山欽司

    ○森山委員 平林君に伺いますが、御承知通り、今、国鉄裁定の問題もあるわけです。これらの裁定の処置は、予算の裏づけがなければなりません。もちろん専売の場合には、ある程度予算の実質的裏づけがあるということはわかるのですが、形式上の予算措置を必ず伴わなければ、無理だと思います。そこで、国鉄との関係その他で、ある程度あなた方がのみ得るであろう現実的な数字は、これらの数字を固執はされないのですか。あくまでもそれでなければいかぬということですか、そのことをちよつと…。それは団体交渉の場合ではなくて、国会裁定の実質的処理の段階において、あなた方は弾力性のある態度をとられるかどうかという点だけを、御返事願いたい。
  176. 平林剛

    平林参考人 今度の補正予算の中に、政府は奨励手当として〇・二五箇月分の予算を組んでおります。これは公務員その他にもやる、当然確保される予算だと思います。それから今御指摘になつておりました昨年の裁定の処理が、もし国会の責任において御処理を願えるものであれば、そこからも財源が生まれて参ります。同時に、さような措置がとられで参りますれば、当初予算に組んでありました一人頭九千五百八十三円の予算が復活して来るわけです。そうすれば、われわれが要求しております一万八百円は、予算上完全に実施できる。それから六千七百円の方は、報償金でありまして、これはわれわれ四月から十月まで百六億円の予定以上の益金をあげておる。これから後においても二百十七億もかせぎ出すというようなことを国会がお認めになろうとしておるときでありますから、当然この程度の報償金は、国会においても、あるいは政府においても承認されるものと思います。そこで私は組合要求しております一万七千五百円は、さような予算上のところから行きましても、あるいはわれわれの今果しつつある役割からいいましても、公社と妥協せず、まるまるもらいたいものだ、こう思つておるのであります。目下私どもとしては、ただいまのような考え方に立ちまして、交渉を行つております。
  177. 森山欽司

    ○森山委員 団体交渉の場合はそれでいいのですが、ただ問題は、国会でもつて具体的な数字を考えて行く場合において、あなた方に非常に好意ある立場で物事を考えて行く場合においてすなわち非常に抽象的な言葉でいえば、裁定の完全実施というようなことで物事を考えて行こうとする場合に、あなた方の一万七千円という数字を全部のめるかどうかわからぬわけです。そういう際において、あなた方は弾力性ある態度をとれるかどうかということだけをお聞きしたい。これ以上一歩もひかないというのか、いや、われわれとしてはその場合考えがあるというのか、そのことだけを伺いたい。     〔山村委員長代理退席、田中委員長着席〕
  178. 平林剛

    平林参考人 組合側といたしましては、国会に対してもお願いしたいことは、昨年のように、裁定実施するために年末手当を削つてしまつて、〇・四ぐらいしか支給しないで、世間並以下にしてしまつたり、あるいは定員を削るというようなことがないように、国会の御配慮をお願いする次第であります。     ―――――――――――――
  179. 田中伊三次

    田中委員長 それでは諸君にお諮りをいたします。これにて参考人各位に対する質疑は終了いたしましたが、この際あらためて日雇い労働者の越年資金に関する問題を議題にいたしたいと存じます。これに関する質疑を続行いたします。本日は労働大臣が出て来て御答弁を申し上げるはずでございましたが、やむを得ざる事故のために、政務次官が参つております。質疑は通告順によつて許します。山村君。
  180. 山村新治郎

    山村委員 日雇いの方々の年末並びに年始、いわゆる越年資金の問題につきまして、労働省に質問いたしたいと存ずる次第であります。現状におきまする日雇い労務者の実態というものは、ある程度まで定着性のある職業化しておるというのが実態であろうと思うのであります。すなわちこの失対事業を始められた当時におきましては、そのころ疲弊困憊のただ中にあつた日本の社会におきまして、仕事もなく、その日その日をあぶれておつた方々を目先救おうという計画のもとに、この事業が始められたと思うのでございます。しかし現在におきましては、もちろんいろいろな原因があつてその結果を生んでおるのでありますが、この事業に従事している労務者の方々は、ある程度まで定着的職業化しておると思うのでございます。このようなときにおきまして、一面年末を控えまして、各労組の越年資金要求の声がようやく高まりつつあるのでございます。特にこの日雇いの方々の非常な低賃金の実態並びにこの方々の生活の状況等に思いをいたしまするときに、一時は、日雇いといえば、ややもすれば何か乱暴をし、あるいは世間を騒がせるような、非常な騒動が起きやすかつたのでございますが、現在におきましては、この年末を控えましての彼らの要求も非常につつましやかに、しかも実際には、切迫して参りました年末に際しまて、なかなかその暮しも容易でないということを思うときに、われわれはあの気の毒な方々に、せめてもち代の何分かを、あるいはまた楽しい正月を迎え得るような人並の生活をさせるべく何とか考慮しなくてはならないと存ずるのでございます。これに対して労働省としては、はたしていかなる具体策をお持ちになつておりますか、見解を伺いたいと思います。
  181. 福田一

    ○福田政府委員 お答えいたします。お説の通り、失業救済事業が、今は恒久化といいますか、一時の臨時的な性格を脱却いたしまして、かなり永続的な性質を帯びて来ておることは、おつしやる通りでございます。またこの年末にあたりまして、職安に来られる労働者の方々が、非常にお困りの状態にあられるということにつきましても、政府といたしまして、また労働省として非常に御同情を申し上げておることは事実でございます。従つて、これに対しましては、何らかの措置をいたしたいと思つて、いろいろ考えを練つておるところではございますが、御承知通り、失業救済事業は、あの法律によつてちやんとその目的が定められておる。その法律を改正しないでこれを実施するという考えからいたしますと、いわゆる言われておりますような手当というようなものによつてこれを解決することができるかどうかということについては、われわれはまだ非常に大きな疑問を抱いておるようなわけであります。しかしながら、ただいま御熱心な御希望がございましたことについては、われわれとして何らか実質的にこれを解決いたしたいという熱意を持つておる次第であります。
  182. 田中伊三次

    田中委員長 山花君。
  183. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいまの質疑応答で、大体のことはわかつたのですが、ちよつとお尋ねしたいのは、現在失業対策事業に働いておる、俗にいう登録労働者は、全国でどのくらいの数がありますか。
  184. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 全国に登録いたしております日雇い労働者の数は、大体三十二、三万程度でございます。
  185. 山花秀雄

    ○山花委員 現在登録されておるのは三十二、三万という話でありますが、土地によつて賃金に若干の高低があるように聞いておるのです。一番低い標準と一番高い標準、それから平均すればどのくらいになるかをお聞かせ願いたいと思います。
  186. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 御承知のように失業対策事業に従事します労働者賃金は、その地方々々の民間賃金との調整をはかつて定められておるものでありまして、しかもまた、その地方における重作業、軽作業によりまして、さまざまでございます。全国平均賃金といたしますれば、二百四十九円五十二銭だと記憶しておりますが、大体二百五十円が全国平均でございまして、最高が東京の三百円と承知いたしております。最低は二百十八円だつたと記憶いたしております。
  187. 田中伊三次

    田中委員長 春日君。
  188. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま山村委員から、非常に同情ある進歩的な御意見を拝聴いたしまして、深く敬意を表するものでございます。自由労働者が歴年心をこめて嘆願これ努めておりましたこの問題が、そういうような深い御理解によつて、逐次解決への道を前進しておることは、まことに欣快にたえないところでございます。そこで私は政務次官にお伺いいたしたいのでございますが、ただいま賃金外の越年資金というようなものを給付するということについては、やはり法律上多少疑義があるかのごとく御答弁がございました。これに対してなお御検討を願つておる様子ではございますが、これは私どもの見解と研究の結果に基きますと、法律の目的は、失業者の生活の安定をはかり、しかしてその経済の復興云々ということがうたつてあるのでございます。従いまして、この越年給付を、そういう低収入の議君に与えること自体が、法律の目的にかなうゆえんの一つではないかと思うのであります。従いまして、法律はそういう賃金外給付を行うことを、全然一言一句も禁止していないと思うのでございます。ただいま山村委員から、いろいろ御回情深い御見解をお述べいただいたのでございますが、しよせんこの問題は、ヒューマン・ビーイングの問題といたしまして、とにかくお互い日本人同士がお正月が越せないのだから何とかしてやろう、こういうことであり、しかも今国会は越年国会といわれるほどの使命、性格を持つております。こういうような意味合いにおきまして、どうか政府におかれましては、実質的に何とか本年中におもち代なり、メリヤス代なり、また子供のためのげた代なりが送り届けられるように、あたたかい措置を講じてくださるようお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  189. 福田一

    ○福田政府委員 先般も春月委員から、たいへん御熱心な御要望があつたことは、深く考えているところであります。そういうことにも関連をいたしまして、実はいろいろと研究を続けておつたという実情でございます。しかし、法律の問題をここで論議することは、ちよつと差控えさせていただきたい意いますけれども、われわれといたしましては、今ただちにあなたの御意見のようにできるかどうかということについては、かなりの疑問を持つておりますけれども、しかしお説の通り、今、暮れを控えまして非常に困つておられる方々を、何とかして救済するという気持においては、政府としてもかわりはないわけでございます。従つて、何らかの措置をいたしたい、かように考えている次第であります。
  190. 田中伊三次

    田中委員長 石野君。――簡単に願います。
  191. 石野久男

    ○石野委員 今、委員長から簡単にというお話がありましたが、同僚委員からいろいろと話がありまして、大体政府の年末の自由労務者諸君に対する考え方は、おおむね了知することができたのであります。ただ、この機会に一つだけお聞きしておきたいと思いますのは、そういう臨時的な措置と同時に、やはりこれらの人々を完全就労をさせるような、できるだけ失業者を多く働かせるというようなことが希望されている点だと思うのです。そういう意味で、何か政府がそういつたことに対する具体的な考慮を払つているかどうかという点だけを、政務次官からお聞かせ願いたいと思います。
  192. 福田一

    ○福田政府委員 就労日数の件につきましては、相当程度これをふやすように心がけておるのでありますけれども、はたして全部に対して仕事が十分にあるかどうかということは、来年度予算の問題にも関連をいたしまして、われわれとしては慎重に研究をいたしております。またこれについては、相当程度努力をいたしまして、多数の人たちに職を与えるように努力いたしたいと考えている次第であります。
  193. 田中伊三次

    田中委員長 山口君。
  194. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 来年度の問題について、私も尋ねたいと思つたのですが、今非常に理解のある御答弁がありましたから、これは政務次官においても、労働大臣などとよく御相談していただいて、来年度予算には、ぜひともこれらの人々が多数救われるように、実質的にあぶれのないような方法、措置の講ぜられるようにしていただきたいと存じます。  それから、先日、春日君とも相談をして、お願いをしておいたのですが、この委員会で何らかの意思表示をして、さらに政府の救済を行おうとする措置に対して裏づけをすることを是認されるかどうか、お答え願いたい。
  195. 福田一

    ○福田政府委員 十分御意思を尊重して研究いたします。
  196. 田中伊三次

    田中委員長 青野君。
  197. 青野武一

    ○青野委員 私は同僚委員が御質問をしておりますから、実は御遠慮しておつたのでありますが、齋藤局長の御答弁で、大体日雇い労務者諸君の全国平均賃金が二百四十九円五十二銭、大体二百五十円、これが補正予算で四億円ほど組んである。この点は了解します。東京が最高の三百円、最低が二百十八円、わずかの差でありますが、昨日私は、全国からお集まりになりました日雇い労働者の代表諸君の中で、青森県の代表としておいでになりました人が、青森県では、相当の年配で三百十円、それも仕事がひどい。親子六人の家族で、二百十円では生活がささえられぬ。しかも、ひどいときは十日、平均して十五日しか稼働日数がない。東京あたりでは、今度の予算で、大体年末の十二月から来年の一月は、二十五日ぐらいの保障をしようということの方法がとられておるのでありますが、少し東京から離れた辺鄙なところに参りますと、また労働省の手の届かぬところでは、親子六人で、しかもひどい労働に従事して二百十円程度では、やつて行けません。これは齋藤局長の手で至急にお調べになつて、あなたが言うように二百十八円が最低ということになつておるなら、わずかであるが、八円の開きがある。もらう者の身になつてみると、やはりこれは向うの規則違反である。そういう点について、まだ尋ねたいことはいろいろありますが、もう一点だけ――失業対策仕事に行けば、千葉県の例をとると、大体男が二百四十五円。ところが川崎製鉄所に働きに行くと、男は同じく二百四十五円ですが、女が失対事業に携つておりますと、その割に仕事はひどくないのに二百三十五円くらいもらつておるのが、川崎製鉄所に行くと、二百二十五円から二百三十円、ひどいのは最低百九十円、男と一緒に六尺をかつぎ、重たいものをかついで時間のぎりぎり一ぱいまで働いて、失対事業で二百三十五円もらえるのに、川崎製鉄所に行くと百九円しかもらえない、仕事は倍も三倍も忙しい、そして無理に操作上そつちの方にやられる。こんな開きをつけたのは、労働省の責任です。私は近いうちに川崎製鉄所に行つて実態調査をして来たいと思いますが、こういうでこぼこが、全国には相当ある、ところが日雇い労務者は、組合を持つてつても、そんなに権力に対して抵抗ができませんから、大体が泣き寝入りが多い。そういう事情が判明次第、労働者のサービス機関としての労働省が、やはり率先してこういうでこぼこを修正して行かなければならぬ、特に下関においては、失業事業に関係しておる責任者が、吏員の給与の方に失対事業の費用をまわすとかいろいろな問題が起きておる。東京では赤手帳を持つている人と白手帳を持つている人が非常な対立関係に入つておる。白は御承知通り失業対策事業に関係している人でありますが、こういう点は、具体的なことは労働省に持ち込みますし、明日からの労働委員会でも申し上げようと思いますが、日本の労働者のうちで一番気の毒な日雇い労務者のために、もつとあたたかい気持で、労働省は、こういうような不正が行われて、給料の懸隔のはなはだしい、しかも重労働に、やはりボスの手でひどい目にあつておるというようなのに対しては、極力警告を発して、そういうことが一日も早く改まるように、われわれも努力するが、特に労働省の関係者は努力してもらいたい。この点についていろいろお尋ねしたいこともありますが、さようひとつ御承知おきを願いたいと思います。
  198. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 青森の事例は、私承知いたしておりませんでした。多分これは割前の賃金ではなかつたかと思いますが、これは十分調査いたします。それから千葉県の例は私も承りまして、目下千葉県当局が川崎製鉄と話合いを進めておる次第でございます。その他の事例につきましては、いろいろ不都合な点がありますれば、十分調査いたしまして善処いたします。
  199. 田中伊三次

    田中委員長 この際諸君にちよつと申し上げます、ただいまいろいろ御発言になりました失業者に対する就労率の増加の問題、それから自由労働者賃金のでこぼこを改めようとする問題、年末越年手当等の諸問題、いずれも重要な差迫つた問題であると考えられます。このうち就労率の増加を実現することができるように努力をすること、それから自由労働者賃金のでこぼこを修正することについては、この席に列しております齋藤局長が全責任を持つて、全力をあげてその御要望に沿うように努められんことを、委員長からも重ねて希望をいたします。  それから最後の差迫つたこの年末越年の資金の問題でございますが、この問題は、ただいま福田労働政務次官よりも熱意のあるお答えがあつたので、大体実現をすべく労働省は省をあげて努めておると考えるのでありますが、この重要問題をあくまでも本年の年末までに実現をして参りますために、特に当委員会は、この際失業対策事業に就労しておる失業者の越年措置に関して決議を行いたいと存じます。  まずその決議の案文を委員長から朗読をいたします。   失業対策事業に就労している失業者の越年措置に関する決議  失業対策事業に長期に亘り就労している失業者に対し、これが年末年始の生活実態に鑑み政府は速かに之にたいし賃金増額の具体的措置を講じ、これを年内に支給することを要望する。   右決議す。  ただいま読み上げました案文を、当労働委員会の決議として決定をいたすことに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 田中伊三次

    田中委員長 それではこれを決議として決定をいたします。  この決議案の取扱いに関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。委員長は当委員会を代表いたしまして、必ず年内に実現をするようにいたしまして、追つて御報告を申します。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は明十日午前十時三十分より開会をいたします。     午後四時五十八分散会