○砂田
委員 私は今年度のこの
予算が、国家
財政、地方
財政を通じて千億程度の金がよけい出るというので、それがインフレになるかならぬか、まるでいまに国がつぶれるような論議が繰返されておるのを見まして非常に遺憾に思う。
ただいまの
お話はよくわかりましたが、その貿易上の問題につきましても、もう少し
大蔵大臣に達観したお
考えを持
つてい
ただかなければならぬと思う。
終戦以来今日までに、繊維品については世界第一位まで回復して来たといわれながら、戦前の鍾数にまで1回復しておるかというと、まだ回復しておりません。しかしながらこれはもうすでに過去のものであ
つて、それだけの消費を全部フルに動かせば、どうしても
日本の一国の物が外に向
つて出るだけの余地がない。また鉄鉱石にしても、戦争以来まだ今日、鉄鋼は年産六百万トンを出ない。こんなこで、しかもその資源はことごとく外国に仰いで、非常な高い運賃を払
つておることも御
承知の
通りです。それでもようやくにしてそれだけのものができ上
つたが、昨年の夏は、せつかくでき上
つたものを
アメリカのボイコツトによ
つて一ぺんに破壊されて、結んでおる輸出契約なんというものは全部キヤンセルされて
しまつて、そのために
日本の産業は進まない。要するに現在の状態では、輸出入貿易の上から見ますと、もし
アメリカの生産のうちの一割がボイコツトをすれば、
日本の産業は全滅です。これをいくら理解を求めるとい
つても、あの民主主義の国で、統制
経済は行われておるのでない。しかもこれらの人々がか
つてにやる場合に、
政府の力で押え切る力はありません。かような状態の中におる
日本が、これからどう進んで行くか。これは根本に関する問題でありまするが、それは今までの産業だげに目をつけるとそういうことになる。私どもは二十年から以前に、山本条太郎さんと
経済国策の提唱を論じた一人であります。あの当時の生産
経済から、もはや今日は消費
経済に進んで行かなければならぬ。しかし肥料を一つ送るにしても、外国と競争すれば今日は負ける状態です。でありまするから、ここには新たな計画を立てて、彼らにできないものを
日本でつくるということにも相当力を入れなければならぬ。それが現にできておる。今日では生糸の輸出が振興しないというので、たいへん皆さん心配されておるようでありまするが、生糸はなるほど価格は上
つておりませんが、これも
向うの企業が全般的に整備されたときには、そんなに悲観すべきものでない。一定の価格を維持して行く以上は、
日本の生糸というものはそんなに心配ない。今日は科学の力によ
つて、生糸よりも蚕の糞の方でつくる葉緑素というものがある。この方が値段が高い。生糸よりもこの葉緑素をつく
つてやれば、現在の
日本で生産しておるあの虫の糞だけで四百億ドルの輸出が、今の価格の半分にしてもあがるということを、すでにこれは非常は権威ある科学者によ
つて発明されておる。こういうものは、世界中どこの国でも供給する力は持たぬが
日本の蚕の糞からはこれがとれる。そういうものに対しても、もう少し研究を進めて行くように支援してやらせることが必要だと思う。
その次には、
日本全国、北海道から鹿児島までの間の全土にありまする御
承知の砂鉄です。あの砂・鉄をと
つた残りのかすの中からチタンがとれる。世界中で七〇%以上のチタン鉱はありません。今でも五〇%程度のものをあるいはカナダから輸入し、その他のところから輸入して、
アメリカもイギリスもわずかにその転入によ
つてや
つておる。チタン鉱業というものが
ほんとうに発達しなければ、原子爆弾に負けたのと同様、
日本の産業界、
経済界及び国防上にも非常な危険があることをわれわれは早くから痛感して、大学の先生方にこれを進言してお
つた。ところがこれも最近に、七〇%ないし八〇%の鉱石が、砂鉄をと
つた残りの砂中から明確にとれることがわかりました。すでに
アメリカからもその他の国からも注文が殺到するようにな
つている。しかしながらこれらの工業化に対しては、
政府は何らの支援もしない。科学の発達等に
ほんとうに力を注いで行かれるなら、
日本の資源によ
つて外に向
つて供給し、さらにこれを精製して金属チタンにまですれば、世界中のどこの国にでも持
つて行ける。しかもこれは、今の外国の鉱石を輸入して来るごとく大きな運賃をかける必要はない。全土の砂の中からとれることが明瞭にな
つて来た。農村の生糸に対する助成の問題よりも、この糞を精製して送り出すことによ
つて何百億ドルの金が入るという見すえのついたようなものは、
政府の方から先に進んでこれを工業化することに努力をされて、こういうことに金を惜しむべきものではない。四兆億円かかるとか、五兆億円かかるとかいうことでたいへん御心配にな
つて論議されておりますが、もう一歩進めてそういうものによ
つて、
日本の資材を外に向
つて供給することのできる対策に向
つては、思い切
つてひとつ
政府の方も奨励をし、支援をして、こういうものを完成することによ
つて日本の産業の発達をはかり、彼らの消費地におけるすべてのものを
日本から供給のできるくふうに一歩を進めて行くということにすれば、
日本の国がそう心配して一兆億円足らずの
予算くらいでびくくしなくても行けるのだ、こう私は
考えておりますが、こういうものが完成するようにするためには発明家を支援し、そしてこれらのものに対しては相当思い切
つた支援を
政府がしなければならぬ。今のチタン鉱業だけについても、
アメリカはすでに何億ドルの金をかけて奨励をしております。それでもなお今日五〇%以上のものができないのに
日本国内では七九%、八〇%のものができるようにな
つた。それだから、窮すれば通ずという言葉がありますが、こういう方面には、
政府の
予算は前年
通りというようなことをいつまでも固執しないで、もつと思い切
つた政策をや
つて行けば、
日本の産業はそう心配するととはないと思う。
もう一つは、これは各派の人々でいろいろ議論もありますが、たとえばこの間の講和
条約のときに、
日本の国が東南アジアの各地に対して、相当の賠償はこれを認めろということを言われた。私はその当時、これは
日本にと
つては最大の福音なりと
考えた。このことを講演等でも言うておりましたが、今現実にそれなんです。これらの東南アジア諸国は、今や世界中の目標にな
つております。しかしながらその中で、これらの国に相当の
債務を負うて、これにかわるべき商品を持
つて行くこととの権利を持つ国は、
日本よりない。賠償のために行くということは一つの権利なんです。これによ
つて市場を開拓して行くというためには、少々のことをいつまでも議論をしておらぬで、相当のところでまとめをつけて、そうして賠償のかわりという意味でその市場を開拓して行くのでなければできません、しかしながらこれは、
政府がやろうとすると、戦争の余波を受けまして、今日でも賛成して来ない。民間の人々がみずから先んじてこれらのことに当
つて、いわゆる
国民外交の力によ
つて彼らにあらゆる開発をさせ、そうして開発したものを
日本に持
つて来て、さらに
日本の市場はこれによ
つて開拓されるということに行かなければならぬと思います。これらの方法については、
大蔵大臣だけにこれを
伺つてもいけませんが、しかし
大蔵大臣がその心持でひとつ奮発してくださるなら、今の閣僚の諸君みな同意すると思います。私は
大蔵大臣がこの点にひとつ十分御協力を願いたいということを
希望する。
もう一つは、これは小さな問題ですが、このごろは
議会人に対して、至るところから圧迫的の運動が盛んに来ます。私のところなんかでもはがき、電報が一日に二、三百通も来ます。あまり夜通し寝させないで電報の配達があるから、陳情の電報は朝持
つて来てくれと郵便局へ頼んで置くと、間違えて人が上京するという電報がその中に入
つてお
つたり、人が死亡した電報が遅れたり、まことに煩雑にたえない。ところがその中に最もひどいのは、義務教育学校職員法案に対して教組から出た指令で、まるでうそ八百を書いた宣伝をや
つておる、驚き入
つたものだ。これからは、全額国庫負担にな
つたなれば給食費などはなくな
つてしまうというようなことを宣伝している。給食費だけでも本年度は前年度より二億円増加した
予算が出ておる。また学校の先生を三千人必ず首を切るという宣伝がある。何ぞ知らん、教育費はいかなる僻村に至るまで定員数に対する
予算が計上されている。こういうでたらめなのが来るのですが、しかし私はこの方は適当な方法でやれると思うておる。ところがここに私は今朝受取
つて、諸君に聞いてみると、諸君のところにも来ておるという。各県の知事が赤十字社の支部長をしておるが、その知事が電報をよこして、財源が乏しいために困難しておるから、ハイアライ法を通してくれ、こういう電報を赤十字社の支部長である知事の名前でわれわれのところによこしておる。驚き入
つたものだ。これはやはり教組同様に、中央の指令によ
つて各地の支部がこういうことをや
つておるものとすれば、赤十字社というものの精神は没却されて
しまつておる。丁半をや
つたり株をやるのと同じような賭博の奨励によ
つて、それで事業資金を得たいために、府県知事がおどらされて、こういうことを赤十字社の代表者としてや
つてくるというようなことなら、これらの人には宗教的の信念もなければ道義の精神もない。こういう者が中央の役員にな
つて賭博奨励案を出してくれなどということを要望して参るに至
つては、さたの限りであります。そんな思想の者なら、厚生省の
予算にある赤十字社に対する
予算は全部これを削
つてしまうがよろしい。このくらいのことを御決心なさ
つたらどうですか。私はこういう不都合な、いわゆる
道義心も何も失
つてしま
つたような府県知事をそのままに置いておくことは、はなはだよくないことだと思う。私はこういう
考えを持
つておりますが、
大蔵大臣はその点に対してはどうお
考えになるか、ひとつ承
つておきたい。