○古井
委員 私は警察費と義務教育費国庫負担金とを中心として御
質問いたしたいと思います。この両問題については、あるいは要綱が提出せられ、あるいは
法律案が提出せられ、それに
関連してある
程度の質疑応答も行われました。しかしまだ明らかにな
つておらぬいろいろな問題があると思います。また御説明によ
つてかえ
つて疑問を深めた事柄もあるのであります。この両経費と、これと深い
関係を持
つております平衡交付金とを合せて約二千億という金額でございます。この二千億の金がわれわれの幸福のために使われるかどうか、これについては、さだめし
政府あるいは与党の皆さんは心がお急ぎでありまし
ようけれども、しかし納得の行く説明を伺わなければならぬと思うのであります。これはわれわれの国民に対する務めだと思うのであります。
私はまず警察費に
関連して御
質問いたしたいと思います。今日の警察制度にいろいろの欠陥があることは常識でございます。たくさんございまし
ようが、とりわけ機構の分立という点は大きな欠陥だと思います。ことに国警と自治警というものが分立しておる、また自治警においては、多数の単位の警察が分立しておるということは一番大きな欠陥だろうと思います。そこで、これらの機構に対して一元化の方向に向
つて改革を加えるという必要は、これを認めざるを得ぬと思うのであります。問題はその一元化というものを一体どういう方向に向
つて、どういう形で実現するかというところにあると思います。
政府の改革の御案を拝見いたしますと、どういう方向に向
つておるか、また
数字がすつきり通
つておるかという点についていろいろ解のしにくい点があるということは、率直にだれしも認めなければならぬと思うのであります。
まず
政府案におきましては、中央に国家公安
委員会の組織に準じた
ような国家公安監理会を置いてあります。また地方に従来のごとき公安
委員会を存置し
ようとされております。あたかも従前の警察の理念と体制を維持し
ようとなさ
つておるかのごとくであります。しかし
政府の案におきましては、中央の公安監理会はもはや警察の責任者ではありません。警察の責任者は新しい警察庁長官であり、監理会は単なる諮問機関とされておるのであります。都道府県の公安
委員会は、この要綱の上では行政管理、運営管理をつかさどるとされておる
ようでありますけれども、すでに警察長の任免権も持たぬのであります。その下の警察職員の任免につきましても、単に意見を聞かれる、それだけであります。これは従前の公安
委員会とはまつたく似て非なるものとな
つておるのであります。都道府県の警察職員は、一部の上級幹部を国家公務員として、その他の多数を地方公務員とされております。また警察の経費を都道府県費の負担ということにされております。あたかも自治体警察の体制を維持するかのごとくであります。しかし地方公務員たる警察職員も、その任免権は中央
政府が任命し、かつ国家公務員たる身分を持つた警察長がこの任免権を持
つておるのであります。経費の支弁につきましても、都道府県は単に財政的負担と支弁事務の負担とを課せられるだけでありまして、自治体自体としては何ら関与するところはありません。むしろかかるからくりを通して、経費の不足を転嫁され
ようとしておるだけであると思います。この
政府の案におきましては、か
ように幾多あいまいな点があるのでありますけれども、しかしその本質は、明らかに国警的なものであると私は思います。なぜかと申しますと、警察の中心機関は中央では警察庁長官、地方では都道府県の警察長、この
二つが中心機関であります。中央の監理会はもとより、地方の公安
委員会もほとんど私はロボツト的な存在であると思います。公安
委員の資格要件が緩和されましたことも、これもいわばロボツト化に役立つことであろうと思います。また中央の警察庁長官は閣議に列席される、かつ総理から
指名された国務
大臣であります。地方の警察長はその長官の任命する国家公務員である。ここに一貫した筋金が通
つておると思うのであります。そうして長官は、列挙された警察事務だけについて指揮監督権があると言われておるけれども、その列挙なるものはまことに漠然たる列挙であ
つて、限界がないにひとしいのである。かつまたすでに任免権を掌握いたしました以上は、もう指揮監督権は万能であります。それは今日、国警本
部長官はただ管区本部長の人事権だけを持つ、また管区本部長が地方の警察隊長の任免権を持つ、ただそれだけで何の指揮監督権もないにかかわらず、ごらんのごとく全国各府県の警察を駆使しておるのが実情であります。補助機関が地方公務員であるとか、警部以下が県費の支弁であるとかいう
ようなことは、これは何ら本質に触れるものではない。
政府の意図される警察というものは、まことにその性格は明らかにな
つておると私は思います。
そこで
政府にお伺いしたいのであります。警察の一元化は必要であるといたしましても、何ゆえかかる国警体制、少くとも国警的色彩の非常に濃厚な警察をつくらなければならぬか。終戦後今日までの七年間に、国民は徹底的な民主化の洗礼を受けました。今日の国民は、戦時あるいは戦前の国民ではないと思います。私どもはこの歴史的な大きな事実に目をおおうことはできないと思います。われわれ七年間、いわゆる追放の境遇におりました者等は、特にこの点について反省をしなければならぬと思うのであります。この大きな事実、これを元といたします以上は、今後の政治にいたしましても、行政にいたしましても、民主主義の基礎の上に全国民の努力と責任とでこれを展開し、発展をはか
つて行かなければならぬと思うのであります。また今日の警察の現状を見ますると、十三万二千余の警察官のうち、国警に属するものが四万八千余、すなわち三六%、自治警に属するものが八万四千余、約六四%、すなわち三分の二に近い警察官は自治体警察に属する職員でございます。警察事務が一番困難で繁劇なのは、申すまでもなく都市であります。都市における警察は、今日とにかく自治体の態勢で維持されておるのであります。いろいろ言い
ようもありまし
ようけれども、とにかくこれは大きな事実であると思います。自治警につきましては、あるいは人事の行き詰まりであるとか、素質の低下、志気の沈滞、非能率、地元との結託、いろいろなことがいわれております。しかしこれらのことは、おおむね小単位の警察であるということから起
つておるのであります。これを府県単位に再編成するならば、その欠陥の大
部分は補えるはずであると思うのであります。
なお、特に自治体警察のために弁明したいことがございます。よく自治隊警察においては、犯罪の検挙率が悪いということが
指摘されます。しかしこれは、そもそも都市における犯罪の検挙そのことがむずかしいのであります。昔から都会地における犯罪の検挙率は悪いのであります。その点はしばしば
指摘されますけれども、私はここで陳弁をしなければならぬと思うのであります。欠陥というならば、国警にもやまやまございまし
よう。いろいろ国警には優秀な人物も集ま
つておいでになると思いますが、しかし今日の国警の一番大きな欠陥は、批判機関がついていない警察であるということであると思います。府県における警察は、府県において常時批判を受けないところに致命的な欠陥があると思います。権力機関であるだけにそうだと思います。
政府は警察官適格審査会を設けるというお
考えがある
ようであります。しかしこういう機構は、まつたく有名無実であります。一体
一般市民のだれがわざわざ煩雑な手続きをいとわずに、また場合によれば、後難を意に介しないで苦情を持ち込むでありまし
ようか。やはりこれは常時大衆に接触したり、大衆を背景にして立つ国会とか地方議会にして初めてその務めが尽せると思うのであります。私はこの問題の要点は、自治警の短所という
ようなことでなくて、国警と自治警とが分離しているというところにあると思うのであります。なぜ
政府は自治警の短所を補
つてこれを育成し
ようとしないで、せつかちにこれを抹殺して全警察を国警化し
ようとなさるのか、この点について私はまず第一に伺わなければなりません。ことにつけ加えておきたいと思いますことは、今日はすでに十一万の保安隊がおります。私は保安隊を
政府のおつしやる
ように警察機構とは思いません。しかし何であろうが、従前の軍隊のときにおきましても、治安については、これが平素無言の大きなうしろだてにな
つておりました。また非常の場合には、直接に治安の確保にも当つた事実があるのであります。こういう点をもあわせ
考えまして、なぜ
政府は、この自治警の短を補
つてこれを育成し
ようという方向をおとりにならないのか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。これは
緒方副総理から
お答えを得たいのですが、いつも簡略な御
答弁が多い
ようでありますので、それならばなお詳しく
犬養大臣から御
答弁を願いたいと思います。