○岡野国務大臣
お答えを申し上げます。第一点でございますが、御
承知の
通り、
日本の
教育制度は終戦後
アメリカの勧告もありまして、また新
憲法に出ております文化
国家というような
意味によりまして、こういうような新しい画期的の
教育改革を見たわけであります。ただ問題は、あまりに大きく急激でございまして、
国情に合わぬ節もたくさんあるのでございます。文部省といたしましては、六・三・三・四の
制度につきましては、これは地方公共団体の長とか、地方公共団体が非常な苦心をして、財政のゆたかでないときに、とにかくある程度までほぼ完成した形にな
つておりますので、この方針は堅持して行きたいと思
つております。ただ、先ほども申し上げましたように、
国情に合わぬ点はたくさんあると思いますから、この点をひとつ十分検討し、今後改善して行きたいと思
つております。たとえて申し上げますれば、
教育内容につきましても、またその方法なんかにつきましても、中学校とか小学校とか
教育の面におきまして、これは前
文部大臣も主張されたことでありますが、地理とか歴史とか修身とかいうことにつきまして、いろいろ計画されたものもありますが、私はやはり前
文部大臣と同じような
考えを持ちまして、そういう
方面の改善をして行きたいと思
つております。それからまた高等学校以上、
大学方面につきましても、どうも急速に高等専門学校が
大学に
なつたということで、何か画一的になり、同時にその
教育内容も実際に
日本の産業界、
社会に合うかどうか私は疑問を持
つております。そのうち一番気がつきますことは、産業
教育の点が欠けておると思いますので、今般は来年度約九億円の予算をとりまして、それで職業
教育をや
つてみたいと思
つております。
それからちよつと飛びますが、中央
教育審議会がたいへん遅れましたことは、これはちようど天野さん
時代にいろいろ苦心されておりましたのを私が引継ぎまして、その後またいろいろ検討を加えまして遅れたわけであります。これは私としては恐縮に感じておりますが、しかし、この中央
教育審議会と申しますのは、
文部大臣の最高の諮問
機関でございますから、十分いろいろなことの検討をこの審議会にお諮りして参考にいたしたいと存じております。
それから
教育委員会の問題でございますが、これは昨年各市町村にやらせたのでありますが、大体
教育民主化の建前から申しますと、地方の住民の公正な意思を反映さして、ローカル・カラーを生かして行くという
意味においては、私は行政組織としては適当だと思
つております。しかし、非常にこまかい規模の団体では非常に運用上問題もありますし、それから私は自治庁の長官をいたしておりますときから
考えたことでございますが、今の
日本の町房規模は、実はいろいろの点からあまりに小さ過ぎる。これをもう少し大きくして行きたいと
考えておりますから、これは自治庁長官と共同いたしまして、地方の規模を大きくし、同時にまたその他の点ではやはり実情に合わぬ点を直して行きたいと思いますが、これをこのまま続けて行くかどうかということにつきましては、私は一つの
意見を持
つております。しかし、これは独断をも
つて専行しようとは思いませんが、私が
文部大臣になりましたときの感想といたしましては、諮問
委員会であ
つてほしい、こう
考えております。これは私個人の見解でございますがそういう
方向に進んだらどうか、こう思
つております。
それから
道徳教育でございますが、これはきのうも申し上げました
通り、戦後
道徳がわれわれの目から見ますと、非常に頽廃しておるよろな感じもいたしますので、これはやはりどうしても何とか
教育の力をかりて、直して行かなければならぬと
考えておりますので、今まで
社会科というものによ
つて道徳教育をしたこともありますけれども、私が修身科を置きたいと申しますと、よく論語読みの論語知らずをつく
つたつてしようがないではないかという人があります。しかし、その論語読みの論語知らずという
言葉は、少くとも実践に移して教えて行けば、大多数はとにかく
道徳律を守
つて、
自分の身を修めて行く。たまたま論語を読んでよく覚えてお
つても、それが実行に移らぬという例外を論語読みの論語知らずとい
つておるので、私自身としては、今後経験の少い、またこれから新しくものに携わ
つて行くところの小さな子供に対してこういうことはしてはいかぬ、お父さんお母さんの経験上こういうことは
社会生活としてよくない、だからお前はこういうことをしなければならぬということを先入感として教えて行けば、実際に
自分自身が
社会に出て見たとき、なるほどと思うこともあるのではないかと思いますから、私はこの点におきましてやはり修身科は
独立のものとして置きたい。同時にそればかりにたよらないで、各学科に総合的に
道徳教育を入れる、
社会科に、算術に、そういうものを復元しまして、
道徳の
方面をもう少し直し、大きくな
つて人権を尊重するような
教育の仕方をしたいと思
つております。
それから日教組の問題でありますが、これは御
承知の
通り教職員で構成しておりましてただいまの団体は任意団体でございまして、公務員法上の保護を受けた団体ではございません。私の
態度といたしましては、政治交渉とかいうようなことは決してしたこともありませんし、将来もそういうことはせぬつもりであります。ただ
文部大臣といたしましては教職員の身分を保障し、また安寧幸福を祈るという
意味においては、その組合の
諸君あたりの
考えが、むろんそういうことで発足していると思いますから、そういうことにつきましては、私はおおらかな気持でも
つて意見は聞いております。しかしながら私の感ずるところによりますれば、はなはだ無秩序に流れ、秩序を失して、学校の先生方の
態度とは思われないようなことが始終あります。それからまた政治
活動方面においてあまり行き過ぎた
活動をしておるというように私は感じております。ことに先ほど仰せになりましたような都教組のビラとか、あるいは一月二十日の決議、あれなどを見ると、
教育者の集まりではなくて、いかにも一党一派に偏した政治団体だ、学校の先生がああいうことを言うものでないと断言してはばからない。私はこのことについて
相当な決意をも
つて対処したいと
考えております。
それから義務
教育費全額国庫負担法を今度出しますが、予算編成最中に実はかわ
つたものでありまして、その
準備が整
つておりませんので、はなはだ申訳ありませんが、本年度内に税制
改正などの措置をとりまして、平衡交付金の
行つていないところとか、あるいはわずかばかりしか
行つていないところとか、少い負担しかしない、また減額をしてやるというようなところを全部差上げるようにするつもりでございます。それにつきましては、閣議の決定によりまして、税制措置をして、できるだけ最近の機会にこれをやる、こういう決意でありますから、さよう御
承知をお願いいたしたいと思います。
それから教材費の問題でありますが、この教材費は、そういうような予算の編成の結果によりまして得たものでございますから、十分とは申しませんが、十九億と
つてございます。しかしこれは全市町村に差上げたいと思
つております。ところがその点におきまして、私はなるべく小さいところの市町村に厚くしまして、大きな市町村には薄くして、そうして全般に行き渡るようにしたい、こう
考えております。大体御
質問の要旨は尽したつもりでございます。