○渡辺(喜)
政府委員 大蔵大臣及び
主計局長の
説明を補足いたしまして私の方で担当しております
租税及び
印紙収入の
予算の見積り、及びこれの基礎に
なつております
税制改正の案の
大綱について、御
説明を申し上げたいと思います。
お
手元に二つの資料を御配付申し上げてあるはずでございます。
一つは
「
昭和二十八
年度租税及び
印紙収入予算の
説明」と、もう
一つは「
昭和二十八
年度税制改正の要綱」でありますが、
説明の方をお開き願いますと、二ページに一応各税の見積りの
内訳が書いてございます。二十八
年度に見積
つております
租税及び
印紙収入の
総額はそこの(D)の欄にございますが、七千八十億円であります。この
数字は、(B)の欄の二十七
年度の
補正予算の額六千八百五十三億円に比べますと、二百二十七億円の
増加に
なつております。但しこれを(C)の欄の現行法による
収入見込額八千九十億円に比べますと、千九億円の減に
なつております。もつともこのうちには、備考に書いてありますように、六十七億円は
特別減税国債による減収の見込みでございます。なおついでにちよつと補足的に申し上げさせていただきたいと思いますが、この場合、現行法による
収入見込額と申しておりますのは、そごの備考の(1)に書いてありますように、臨時特例法及び超過供出の免税
関係がありましたが、ああいう今議会ですでに成立しました分も、まだ実施されない場合という意味の見込みを現行法の見込額として含んでおります。従いまして現行法によ
つてこの
予算に見積
つております見積額は七千八十億円でありますが、これが大体所得とかいろいろな
関係からしまして、どういうように
なつておるかという点につきましては、うしろの方に表が出ておりますのでごらん願いたいと思います。
三十八ページをごらん願いたいと思いますが、そこに直接税、間接税その他の比率の
関係が出ております。これは今申し上げました
租税及び
印紙収入のほかにたばこの専売
益金を入れまして、その上で直接税、間接税、その他の比率がどう
なつているか、
改正法によります比率は、直接税が五二・一%、間接税が四五・三%、その他が二・六%となります。これは二十七
年度の場合に比べまして直接税において減じ、間接税においてある
程度ふえております。最近におきます
減税の主たる対象が所得税その他の直接税に
なつておりますことと、経済が大分安定いたしまして間接税の対象に
なつております消費がふえたということが、こういう結果をもたらしているのではないかと思います。
なお
租税の
国民所得に対する負担の
関係につきましては、その次の三十九ページにございます。二十八
年度についてみますと、国税だけでは一五%、前年の一五・二%に比べますとやや
減税に
なつております。地方税を入れまして二〇・四%、これも前年の二〇・六%と比べましてやや減に
なつております。
話の順序といたしまして、今度の
予算の見積りの基礎に
なつております
税制改正につきまして、どういうことを考えているかにつきまして簡単に御
説明申し上げたいと思います。「
昭和二十八
年度税制改正の要綱」をごらんいただきまして、これについて逐次御
説明を申し上げて行きたいと思います。今度の
税制改正は、その中心は、「
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律」によ
つてすでに実施されております。すなわち臨時的に実施されております所得税の軽減
措置を平常化するということが一番中心でございます。そのほかに
相続税につきまして負担の軽減をしよう。それから
酒税について税率の引下げをしよう。ただしかし
酒税の税率引下げにつきましては、後に申し上げますように、価格の引下げによりまして
相当の消費増を期待いたしておりますので、これによる
収入の変化はきわめてわずかなものでございます。その他
租税負担の調整、課税の簡素化、資本の蓄積に資する
措置というものを幾つか加えまして、本
年度の
税制改正を行
つて行きたいと存じているわけであります。
まず所得税について申し上げますと、臨時特例法によ
つて実施した控除及び税率の
改正を平常化するということがまず第一でございます。1に書いてございます(イ)の基礎控除を五万円から六万円に引上げる。扶養控除の最初の一人につきまして、三万五千円に引上げる。勤労控除の最高限度額を四万五千円とする。社会保険料を控除する。また次の新しい税率をつくる等のことは、いずれも臨時特例法ですでに実施済みでございます。新しく顔を出しておりますのは、三百万円超、百分の六十、五百万円超、百分の六十五というこの二つの面でございます。これは冒頭に書いてございますように、片方で富裕税を廃止いたしますので、それと見合いまして高額所得者の税率をある
程度引上げたいと考えているわけでございます。
(2)以下は臨時特例法以外のものでございます。(2)は、生命保険料の控除限度額を四千円から八千円に引上げる。これは資本蓄積の一端と考えております。
(3)は、医療費控除の問題でございます。現行制度でございますと、医療費の額が総所得の額の一割を越えた場合に初めて医療費控除ができる。同時にその控除できる限度額は十万円ということに
なつております。それでは実効が少いと思われますので、今度それを広げまして、医療費が総所得の百分の五を越えた場合には医療費控除ができる。同時に控除限度額は十五万円ということで、控除できる場合も広げましたし、限度額も引上げようと考えております。
(4)は、青色申告の専従者控除とわれわれは申しておりますが、営業、農業等におきまして、家族の人がその仕事に従事している場合の控除でございます。現在は五万円に
なつておりますが、大体この
金額は基礎控除の額と合せてございますので、基礎控除を上げる場合に六万円になります。また親族の範囲を、現在は高等
学校卒業者以上を頭におきまして、十八歳以上と
なつておりますが、これを中学卒業者以上ということにいたして、十五歳以上に改めたい。
それから退職所得につきましては、控除額を現行の十五万円から二十万円に上げよう。現在は退職所得につきましては、まず退職金から十五万円差引きまして、残
つた金額をほかの所得とは別にしまして、半額にして税率を適用しております。今度は二十万円を差引きまして他の所得と別にして半額にして税率を適用する。半額にして税率を適用することは従来と同じように考えております。
有価証券の譲渡所得に対する所得税はこの際廃止しよう。
山林所得、不動産譲渡
所得等の一時的所得の課税につきまして、軽減簡素化しようということを考えております。山林所得につきましては、現在はシヤウプの勧告によりまして変動所得の
一つに
なつておりまして、かなり複雑な計算に
なつております。りくつの上からはいいことでありますが、何と申しましても実行上非常に難点がございまして、いろいろな批判を受けていたわけであります。今回考えておりますのは、山林所得をいわゆる五分五乗と申しておりますが、山林所得が百万円ありますと、それを五分した二十万円、この二十万円をほかの所得と合算いたしまして税率を適用して税額を出す。同時に残りの五分の四につきましては、前の税額対所得の
割合で平均税率ができておりまして、その平均税率を五分の四にかけましたその
数字を出して、両者の
合計額によるという考え方であります。なお山林所得、不動産譲渡
所得等の一時所得を合算しまして、現在十万円の控除を行
つております。少額のものに課税しないという趣旨だと思いますが、今度は山林所得につきましては、これを山林所得だけについて十五万円の控除をするということを考えております。
総額の山林所得に対する負担を考えての上であります。それから不動産の譲渡所得及びその他の一時所得につきましては、この両方を合算した上でも
つて現在の控除十万円を十五万円にしよう。それからなおこの分も現在は変動所得に
なつておりますが、これを半額にいたして、それを他の所得と合算して税率を適用して税額を出して行く、こういうようなことにしたいと思
つております。
それからもう
一つ山林所得につきましては、あとで御
説明申し上げますが、第三次の再評価を行うことに
なつておりますので、この点で
相当の負担の軽減があるものと思
つております。なおもう
一つ山林所得で一番議論の多い問題は、財産税当時の評価額を求めることがなかなか——たとえ間伐などの場合におきまして特にそうなんですが、むずかしいということなんでありますが、それを考えまして、いわば標準
経費といいますか、そういうようなものを見積りまして、
収入金額の何割を
経費と見積
つて所得を
算定してもよろしい、とい
つたような
措置を
措置法で講ずることを考えて、現在研究しております。もちろんその
措置によらないで、本来の姿でも
つて山林所得を計算することも、納税者の御自由であるというように考えて行きたいと思
つております。
それから(8)の源泉選択の税率でございますが、いろいろ議論がございます。片方では所得税の最高税率を上げる時期でございますので、むしろ現行より上げるべきではないかという議論があります。貯蓄奨励の
関係からいたしますと、もつと下げるべきではないかという議論もございます。いろいろ勘案いたしまして、現行の五十を四十に引下げるということを考えております。
それから
法人税でございますが、
法人税につきましては、税率を動かすことは現在考えておりません。他の方法によりまして、資本蓄積等に資することをできるだけ考えて行きたい。
第一は、企業合理化促進法及び
租税特別
措置法による特別償却の問題でございます。企業合理化促進法によりましては、業種、機械の種類等を限定いたしまして、所得の当初の
年度に五割、特別な償却をしてよろしい。それから
租税特別
措置法につきましては、三年間五割増しの特別償却をしてよろしいという制度に
なつております。この業種の範囲、機械等の範囲を広げて行きたいと思
つております。これは政令にそのことが譲られておりますので、政令で直して行くことになると思
つております。
それから貸倒れ準備金及び価格変動準備金の制度の拡張
改善でございますが、貸倒れ準備金につきましては、現在の制度といたしましては、期末の貸付金の一定
割合と、それから利
益金の一定
割合とのいずれか少い方を毎期積立てることができる。但し
総額について一定の限度があります。その場合における貸付金の一定
割合というのを、率をかえて行きたい。現在は卸小売等が千分の十、製造金融が千分の七、その他が千分の五に
なつておりますが、千分の十のものを千分の二十に引上げ、七のものを十に引上げ、五のものを七に引上げる等のことを考えております。それから価格変動準備金制、度につきましては、いろいろ
検討を加えておりますが、現在きま
つておりますところでは、国債を価格変動準備金の対象に入れようというのが
一つ、それから四期にわたりまして順次積立てる制度に
なつておりますが、もう大分たちましたので、その制限を撤廃しようということを考えております。
(3)は、貿易
振興の問題と結びつきまして考えた問題でございますが、輸出契約取消準備金について免税する制度をつくろう。現在考えておりますのは貿易商社の毎期の輸出契約の
金額の一定
割合と、利
益金の一定
割合とのいずれか少い方を積立ててよろしい、大体貸倒れ準備金制度と同じような考え方を入れまして、一定の制限をつく
つて行きたいと思
つております。それから海外の支店の設置につきましては、その設置費の特別償却を認める、大体企業合理化促進法の例にならいまして、半額をその年に償却してもよろしいということを考えて行きたいと思
つております。
なおここには書いてございませんが、やはりこれも貿易
振興の一環として多少役立ち得ると思いますが、現在の制度でございますと、二重課税に
なつております。たとえばアメリカに持
つておる支店でアメリカの税金を納めますと、これは
経費に認めますが、税金はやはりそれをも含めてかかる。これは
租税協定で別途話はしておりますが、それとは離れまして、アメリカで納めた税金につきましては、日本で納める
法人税からこれを差引く制度を考えて行こう、多少こまかい制限がつきますが、そういうことを考えて行こうと思
つております。
(1)の、交際費、機密費につきまして一定の限度額を越えるときは、超過額の二分の一を損金に算入しないものとする。税法でいろいろ資本蓄積の
措置を講じておりますが、片方で交際費、機密費等が算入されることになりますと、せつかくの資本蓄積の
措置も意味ないじやないかというような考え方から、こういう制度が一応考えられたものと思います。交際費、機密費等の範囲につきましては、一応法律で書くつもりでおります。なお一定限度につきましては、業種によりまして非常に差別がございますので、今せつかく資料を集めて研究しております。大体の考え方といたしましては、資本金の一定
割合、利益の一定
割合とい
つたようなものを一応の基準にし、さらに取引
金額の一定
割合というものを基準にしまして、大きく業種別に制限をつくる必要があろうと思
つております。ただどう制限をつくりましても、正確性に一応の限度がありますので、超過額の二分の一ということで、
全額を損金に算入しないということは避けたわけであります。
なお
個人の
有価証券の
譲渡所得税の課税が廃止されますので、清算所得に対して課税をしよう。清算所得の制度は昔や
つてお
つたのであります。会社が解散いたしましたときの資本金を越ゆる剰余金の分配につきまして、
個人の方で課税することも考えられますが、なかなか複雑な点もございますので、
法人のところで課税しようというつもりで、清算所得の制度を昔のような姿においてつくることを考えております。
富裕税につきましては二十八年分から廃止します。
相続税につきましては、従来はシヤウプ勧告によ
つてできておりまして、われわれは、累積課
税制度と呼んでおりますが、人の一生を通じまして、その人が贈与を受け相続をしたその
金額を、順次毎年積重ね、それによりまして最初の三十万円になるまでは課税がありませんが、その後におきましては順次課税がある、こういう制度が現在の制度であります。しかし長くなりますと、税務署の方におきましても、なかなか記録が残りかねる点があります。特に納税者が住居を転々したような場合におきまして、その点が痛感されます。納税者におかれましてもなかなか困難があろうと思
つております。そのような点からいろいろ批判があ
つたわけであります。今度これを改めまして、取得者課税の制度はそのままにと
つております。従いまして遺産税の制度というわけではありません。遺産が千万円ありましても、五人の方が相続すれば、その二百万円ずつに課税がされて行く。昔の
相続税ですと、その場合は一千万円を課税の対象としたわけでありますが、今度は取得者に対して課税する。その場合におきまして、相続及び包括遺贈につきましてはその都度、贈与及び特定遺贈につきましては一年分を合算して課税して行こう。
基礎控除の額は現在の三十万円を五十万円に引上げる。贈与税につきましては、現在は
相続税と合せて控除が行われておりますから、贈与税だけの控除はございません。今度はこれにつきましては、
総額贈与に課税しないという趣旨から十万円の控除をつくりたい。死亡保険金及び退職金に対する控除も三十万円に引上げる。退職金につきましては、生前に退職金をもらうことになりますと、先ほど出ました退職所得の所得税課税になります。在職中になくなられまして、
遺族の方が退職金をもらう場合におきましては、この規定の適用を受けるわけでございます。
相続税の税率は、最高の一億円ちようど百分の七十の税率はそのままにすえ置きますが、下の方は少し高過ぎる面もございますので、これを五くらいずつ引下げて行きたい。ただ贈与税につきましては、どこの国でも同じ傾向のようでございますが、
相続税に対する補完税という趣旨が多分にございますので、
相続税よりも五くらいずつ
上つたくらいの税率、大体現行の税率をそのまま使
つて行
つたらどうかという案に
なつております。
それから
相続税の延納でございますが、現在は一時に金銭をも
つて納付することが困難と認められる場合においては、延納を認めるということに
なつておりますが、これを
相続税額一万円以上の場合におきましては五年、但し相続財産の中に不動産が五割以上占めておる場合は五年ないし十年の延納を認めて行こう、但し一回の年賦的なものは一年一万円を下らないということで考えて行つだらどうかと考えております。
酒の税につきましては、この三月一日から二割ないし三割の税率引下げをいたしたい。四月は花見酒が売れる時期でございまして、四月一日になりますと、ちようど酒が流通過程に入
つて、卸売、小売にたくさん手持ちのできる時期でございますので、端境の三月一日を実施期間にしたいというふうに考えております。なお税率につきましては、
収入予算の
説明のうしろの方に同じような要綱がついてございます。三十二ページでございますが、清酒二級、合成二級、しようちゆう二十五度、ビールというのが出ております。ただちよつとミス・プリントがございまして、しようちゆうの二十五度のところが一万二千七百円に
なつておりますが、これは一万四千三百円のミス・プリントでございます。現行が一万九千円に
なつておりますのは二万五百円のミス・プリントでございます。別途
正誤表は差上げてございます。これによりまして、小売価格は大体そこにも書いてございますような
金額になる見込みでございますが、実はこの小売価格につきましては、
相当の
生産者、販売業者の間のコストの切下げを一応予定しております。まだこの方は多少
検討の余地がございますので、この
数字は多少動くかもしれないと思
つております。もつとも動きましても、五円以上ということはないと思
つております。
それから2の点でございますが、従来基本税と加算税——加算税という制度は、これは自由販売酒ができましたときに、配給酒は基本税だけで、自由販売酒は基本税のほかに加算税を加えた税額を課税するという制度で、自由販売酒ができた機会にできた制度でございますが、現在におきましては、配給酒がどちらかと申しますと、量的には非常にわずかに
なつてしまいましたので、同時に税率全体が大分低く
なつておりますから、この部分は一応廃止いたしまして、一本の税率にしよう、但し配給酒の制度、指定販売業者の制度は向う一年間存置をする、こういうことを考えております。
砂糖消費税につきましては、税率を二割
程度引上げる。但し鹿児島県とか高知県とかでできております黒糖いわゆる含密糖でありますが、これは現在四百円という非常に安い税率に
なつておりますが、これは現行のままですえ置くつもりであります。
物品税につきましては、貴石、貴金属製品等につきまして、現在製造課税をや
つておりますが、これは物品税ができた当時は小売課税であ
つたのでありまして、終戦後一時製造課税に直りましたが、どうもや
つてみますと施行上おもしろくない点が
相当にありますので、これをこの際小売課税に改めたい。また同時に日用品の性格の強い物品につきましては、税率の軽減と負担の調整を行う。多少新しく負担をかけてよいものもありはしないかと思
つておりますが、二十億くらいの
減税財源を考えておりまして、
内容については目下
検討を続けております。
次に
有価証券取引税でありますが、
有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止する機会におきまして、
有価証券の移転に対して
有価証券取引税を課税することにいたしたい。これは譲渡所得に対する代償とは考えておりませんが、この機会に課税したらどうか。但し
公社債等につきましては、現在まだ市場等も十分に立
つておりませんので、一年間を限
つて課税しない。なお課税の方法といたしましては、大体昔の
有価証券移転税の例にならうつもりでありますが、従来は譲り受け人を納税義務者としてお
つたが、今度は売渡し人を納税義務者とする。税率については、いろいろ議論がありまして目下
検討いたしておりますが、しろうとの場合においては千分の二を考えております。それから
有価証券業者が売る場合におきましては、ここには千分の一
程度と
なつておりますが、大体一万分の八にしたらどうか。
説明の方の資料には一応一万分の八で計算してあります。
それから次は第三次再評価であります。か
つて第一次の再評価が行われ、第二次の再評価が行われましたが、第二次再評価はどちらかと申しますと、基準日もまた再評価の限度も第一次再評価と同じでありまして、ただ再評価のなし得る時期が第一次再評価の方で一応限られておりましたので、第一次再評価をやり得なか
つた方に新しくやり得るような道を開いたのが第二次再評価であります。第三次再評価はそれと多少意味が違いまして、基準日も従来二十五年一月一日と
なつておりますのを、二十八年一月一日というように、三年ほど遅らせます。従いましてその後における値上り——土地などに顕著に現われておりますが、値上り等を考えまして、再評価限度額も引上げることにしたいと思
つております。
なお
法人税で再評価をする場合におきまして、あまり再評価の期日を短かくいたしますと、第二次再評価の必要がまた出て来ますので、とい
つて、あまり長くするのもいかがかと思われますので、今後二年間の間に一回限り行い得る。また再評価の税率につきましては、従来の通り百分の六とする。その他
減価償却等につきましては大体従来の一次、二次の再評価のあのやり方が、納税者の方もなれておりますので、できるだけ従来のやり方をそのままやるような方向をと
つて参りたいと思
つております。
特別減税国債を購入した場合の
減税の点につきましては、
理財局長から御
説明があると思いますが、一応
租税の
関係といたしましては一定の
減税をしよう、考え方としましては、
法人の場合をお考えくださると一番簡単だと思いますが、購入額の二分の一に
相当する所得に対する
法人税を軽減する。百万円一応国債をお買いになりますと、百万円の半額五十万円に対する分の税金を課税しない。税額にしますと四割二分に
なつておりますから、五十万円の四割二分、百万円お買いになりますと、二十一万円税金が軽くなるわけであります。
個人の方は累進税率に
なつておりますので、多少それと違
つたやり方をとろうという意味におきまして、購入額の二割五分、
法人に比べて
個人の方が軽減が大きい、割がよいということに考えております。なお軽減を受けることができる購入額は、
法人の場合には所得の百分の四十と考えております。所得が百万円あれば、購入限度額は四十万円、その二分の一の二十万円の所得に対する軽減を受けるわけでありまして、二十万円の四割二分、八万四千円ということになるわけであります。これは所得
金額百万円に対する税額四十二万円に対しては二割にあたります。それと同じように、
個人の場合におきましては、軽減額は所得税額の百分の二十を限度といたしております。
その他の問題といたしましては、
収入印紙の不正使用の防止のための登録税法の
改正。登録税法は古い税法でございまして従来その欠陥をあまり感じていなか
つたのでありますが、最近不正使用等がありますと、どうも現在のままではぐあいが悪いというので、少し直す必要があろうというので行う
改正であります。
それから間接税につきましては、従来は利子税をと
つておりませんでしたが、直接税との見合いからしまして、やはり利子税をと
つた方がいいのじやないかというので、利子税の制度をつくりたい。もつとも現在担保を
提供して延納しておる場合がありますが、これは大体代金の回収の時期を見合
つておりますので、この延納分につきましては利子税をとることは考えておりません。
なお(3)の方は、これは
税制と直接の
関係はございませんが、何と申しましても酒の税金が非常に高い。酒類の値段の中で占める酒の税金の額が非常に大きいことを考えまして、現行法ですと、
酒税法の五十二条に
政府に
相当大きな権限が与えられておりますが、これは現在の時期ではいささか行き過ぎのように思いますので、
酒税法を全部
改正いたしまして、五十二条のような規定は
酒税法からははずしますが、それのかわりといたしまして、ある意味において酒類業者団体法とも申すべきものをつくりたい。独禁法の特別法になるものと思
つております。現在
政府がや
つております公定価格は、これは
物価統制令でや
つているわけでございますが、できればこういう団体の協定価格に順次移して行きたいという意味においてこういう法律を考えております。
その他税法の規定について必要な
整備をはかることを考えております。
大体以上が
税制改正のおもな点でございますが、これを織り込みました
歳入の見積りにつきまして、
予算の
説明の方で簡単に申し上げたいと思
つております。今の
税制改正を行いますことによりまして、どれだけの減収が生ずるかという見積りにつきましては、三ページに事項別の増減収額が出してございますから、これをごらん願いたいと思います。
見積りの方法につきましては四ページ以下に詳細に書いてございますが、おもな税金につきましてだけ特に簡単な御
説明を申し上げたいと思います。
まず所得税でございますが、源泉所得税につきましては、四
ぺージ以下に
説明が書いてございますが、一番大きなものは給与所得に対する源泉徴収の所得税でございます。
昭和二十六年における支給人員及び支給
金額を基礎といたしましてその後における支給人員の
増加、雇用の
増加、給与額の
増加、こういうものを経済
審議庁の資料とかいろいろなものも勘案しまして、大体二十八年における支給人員は二十六年に比べれば三%増、二十七年に比べれば二%増、給与額は二十六年に比べれぱ三二%増、二十七年に比べれば八・九%増、これによりまして
総額におきましては二十七
年度に対しまして一一・一%増という推計をいたしまして、各種の控除を差引いて一応
数字を出しているわけでございます。まず現行法による平
年度の
数字を出しまして、これから
改正法による人員の減、課税額の減を差引きます。結局、
改正法によりますと、課税見込人員は、六ページにございますが、七百八十万人に減る見込みでございます。
それから申告所得税につきましても、大体同じような計算方法でございますが、
昭和二十六年の課税の実績をもとにしております。七
ぺージにございます。これに
生産、
物価の
増加割合、それから同上の相乗積、申告及び調査能率の増とい
つたようなものを見込みまして、総合的にどれだけ
増加するか、これでも
つて現行法による場合におきましての課税人員は三百五十万人になる。これに対しまして、九ページ以下にございますが、
改正法におきましては、控除の引上げ等によりまして人員も減りまして、二百七十九万人、約二百八十万人の納税人員になる。営業が百十六万六千人、農業が九十八万三千人その他事業が十四万六千人、その他が四十九万六千人、こういう見積りをしております。これをもとにしまして、あと繰越決定額の分とか滞納の分の
収入を見積りまして、結局七百五十九億円の
歳入を見積
つております。
法人税につきましては、十二ページ以下に詳細書いてございますが、調査課の所管の分と税務署の所管の分の申告の実績をもとにいたしまして、
生産、
物価の相乗を出しまして——ここで
生産とか
物価が調査課所管の分と税務署所管の分と多少
数字が違
つておりますのは、税務署所管の分におきましては、どちらかと申しますと、物品販売業が多いとい
つたようなことで計数を少しかえておるわけであります。同時に最近の
状況から見ますと、会社の所得率は
相当減るだろうというので、所得率の減を一割見ております。これによりまして一応の申告見込みの利益額を出しまして、ほかに更正決定による
増加額等、さらに
法人成りの分あるいは滞納の
収入、こうい
つたようなものを全部計算しまして、まず現行法を出しまして、その現行法による見積りから
改正税法による減を一応見積りまして最終的に千七百六十七億という
数字を見込んでいるわけでございます。
相続税につきましては、二十六
年度の課税実績をもとにいたしまして、課税価格の
増加を一応見込んでおります。土地とかそういうものにつきましてはその値上り、それから預金とか株式のようなものですと、全体の量の
増加をも見込みまして、そうしますと
相当ふえるわけでございますが、これをもとにしましていろいろな計算をして出してありますが、一応そこに書いてございますので、さらに御質問によりまして詳しく御
説明申し上げたいと思
つております。
富裕税は、現行法によりますと、二十七億円
程度の
歳入が見積れるのでありますが、
改正法によりますと、八億三千二百万円になるわけであります。これは残
つている分だけでございます。
再評価税でございますが、再評価税は第一次、第二次の分が
相当残
つております。これと第三次の分を一応
改正法の案におきましては入れまして、
総額を百二十七億と見積
つてございます。
それから
酒税につきましては、大体考え方としましては、今度米が九十四万石にふえましたので、それによる酒の
増加を見込まれる。しかし現在
相当量がふえておりますので、しようちゆう、合成酒につきましてはかなり供給過多の姿がございますので、清酒がふえれば、合成酒、しようちゆうの消費は、現在の価格のままだ
つたら
相当減るだろうということで、ふえただけすぐ増になりませんで、減を片方で見ております。そういうふうにしまして、現行法による場合の一応酒に使われる消費
金額を出しまして、それが新しい価格によ
つてその消費
金額程度はまず使われるだろう、量がそれに従
つてふえます。そのほかに多少安くなるので、さらに消費も多少
増加するだろう、これはわずかであります。それと密造酒の方がこちらの方へまわ
つて来るのじやないか、これらのことを考えて計算してございます。その総体の数量としましては、六百七十九万石を予定しております。なおこのほかに二十万石繰越しを見ておりますが、これは
減税の前に買控えがあ
つて、
減税後にそれが出て来るものだというふうに考えております。
砂糖消費税につきましては、一応こまかい税率が出ておりますが、もう少し多少の手直しが必要じやないかと考えておりますが、
総額としましてはこの
程度確保できる、大体一〇%ないし一五%の消費増を見込みまして、増税は見込んでおりますが、増税による消費減は一応考えておりません。
それから揮発油税につきましては、最近の消費の
状況から見まして、七%
程度の
増加を考えております。
それから物品税につきましては、従価税と従量税の二つの種類にわけまして、従価税のものにつきましては、
物価、
生産の見通しからしまして、あるいは消費の見通しからしまして、二割
程度ふえるだろう、従量税の方につきましては一割
程度ふえるだろうということを予想しまして計算ができております。
なお、
有価証券取引税につきましては、これほ十月から十二月までの実績を一年間に引延ばすということで計算の基礎をつく
つております。
ほかにこまかい税もございますが、一応の
説明がついてございますので、時間もございませんようですから、この辺であとは御質問についてお答えしたいと思います。