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1953-02-28 第15回国会 衆議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十八日(土曜日)  議事日程 第三十三号     午後一時開議  一 警察法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑  二 恩給法の一部を改正する法律品案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑  三 私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑     —————————————  第一 生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 民生委員法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 司法試験法の一部を改正する法律案内閣提出) ●本日の会議に付した事件  湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員選挙警察法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑     午後二時三十五分開議      ————◇—————
  2. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) これより会議を開きます。
  3. 大野伴睦

  4. 山崎岩男

    山崎岩男君 湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員選挙については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
  5. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて議長は    青木  正君  原健 三郎君    平川 篤雄君  井上 良二君    小川 豊明君 以上五名を指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  7. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) これより警察法案趣旨説明に対する質疑に入ります。鈴木直人君。     〔鈴木直人登壇
  8. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は、今回提出せられました警察法案につきまして自由党を代表して政府に対し質問を試みんとするものであります。  まず、今回の警察法改正方針を見まするに、その第一点は、治安確保に対する政府責任を明確ならしめたこと、第二点は、現行制度をさらに効率的な組織に改めたこと、第三点は、あくまで民主警察美点を保持したこと、以上の三点に要約されるようであります。しこうして、その具体的内容を見まするに、中央には、治安警察に限定して責任を持つところの国務大臣を置くとともに、地方には、現在の国家地方警察自治体警察を廃止いたしまして、新たに一切の警察責任を持つところの都道府県警察を置き、さらに、大臣府県警察に対する指揮命令権を国の治安事務に限定して、もつて都道府県警察自治性を認め、一方においては、大臣府県警察本部長人事権を持たしめて、大臣治安維持に関する命令下部浸透をはかつたようであります。そこで、私は、以上の諸点より起る疑問について質問を試みたいと思うのであります。  新憲法においては、国の行政責任内閣にあることは明確に規定するところであります。しかるに、現行警察法におきましては、国の治安責任内閣にはないことになつておるのであります。そのために、国会が国の治安に対して政府責任を問わんとしても、その責任を問う方法がない現状であります。今回これを内閣責任として明確にいたしたことは、当然の措置であると考えるのであります。しか、しながら、一方において、警察権国務大臣に掌握せしめました結果といたしまして、大臣が直接都道府県警察本部長人事権を握り、都道府県警察本部長また巡査の末端に至るまでの人事権を掌握することになるのでありまして、かつて政党内閣が、警察権を一手に掌握いたしまして、これを政略的に濫用し、あるいは選挙干渉の具に利用した、あの昔日のごとき警察権濫用の端緒を開くことになるのではないかとする世論も、また傾聴に値する問題であると思うのであります。そこで、私は、総理大臣に御説明をお願いいたしたいのでありますが、一歩譲りまして、法務大臣の御説明をお願いいたします。すなわち、かくのごとき警察権濫用のおそれがないように、この法律の中に、どのようにこれを防止した規定がもうけてあるか、この点について具体的に御説明をお願いします。  次に、府県警察性格について法務大臣にお伺いいたします。政府は、民主警察立場をあくまでも保持する方針をとつたということでありますが、国家地方警察自治体警察の二本建を廃止した以上は、なぜ思い切つて府県自治体警察を設けなかつたのであるか。府県自治体警察とせずに、これを府県警察とした理由はどこにあるのか、この点について詳細に御説明をお願いしたいのであります。なお、府県警察は、国の警察であるのか、府県という自治体警察であるのか、この点がきわめてあいまいであります。府県警察性格についても御説明をお願いしたいのであります。  次に、本法案と国及び地方自治団体財政措置との関係について、大蔵大臣自治庁長官に御説明をお願いしたいのでありますが、まず第一に、本法案と二十八年度予算との関係につきましては、いまだごの法案が提出せられざる以前において、要綱によつてすでに予算委員会において論議が闘わされていたところでありまするけれども、今回いよいよこの法案内容を見ますると、警察官給与に関する限りにおきましては、来年の三月三十一日までは現状のまま続けて行くことに経過措置が講ぜられているようであります。これによりますると、国におきましても、府県におきましても、市町村におきましても、特に新たなる財政上の措置を二十八年度中にとる必要がないのであるか、あるいは必要があるのであるか、この点について御説明を願いたいのであります。さらに、自治体警察を廃止した市町村におきまして、それを廃止いたしました後におきましても、来年の三月三十一日に至るまでの間は、そこに勤めておりました警察官市町村給与を支払うようになつているのでありますが、かくのごとき措置は、感情上実際において可能なことであると思うのであるかどうか、この点に関して、あらかじめ市町村等と協議する等の措置政府において行われておるのであるか、この点についてお聞きしたいのであります。  次に、府県警察職員給与に関して法務大臣及び自治庁長官にお伺いいたしたいのであります。今回の改正によりまして、国家地方警察職員も、自治体警察職員も、ともに都道府県警察職員身分が切りかえられることになるのでありますが、これら職員の現在の給与状況を調べてみますと、自治体警察は、国警に比べて、上級者におきましては大体月一万円程度巡査につきましては平均二千円程度の高給をもらつているようであります。このでこぼこを今後いかに解決するかは、今次改正にあたつての最も大きな問題であり、これが解決がなされないときは、警察官の志気に及ぼす影響をおそれるのであります。この点に関していかなる方策がとられているのかをお伺いいたしたいと思います。  最後に、かくのごとき根本的な警察制度改革を、警察能率の低下なくして実施し得る確信があるか、法務大臣及び自治庁長官に御答弁をお願いしたい。すなわち、今回の改正法案に対しましては、世上いろいろの立場より、これに反対し、また賛成の声を聞くのであります。自治体警察側は、一応反対的な態度を表明しており、都道府県側また、財政的裏づけなくしては無条件にこれを受入れがたいと言つておるのであります。これらに対し、政府においてそれぞれ納得し得る方策が樹立せられてあるか、最後にこの点をお伺いいたす次第であります。  以上をもつて私の質問を終るのでありますが、各大臣の具体的にして明確な御答弁をお願いいたす次第であります。(拍手)     〔国務大臣犬養健登壇
  9. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 鈴木さんにお答えをいたします。  まず第一に、今度の改正についてのいろいろの重点については、まことに深い御理解をいただいて、感謝いたさなければなりません。ただ、何ゆえに思い切つて自治体警察としなかつたか、こういう問題でございます。そこで、このたびの改正にあたりましては、国家地方警察の方がまさつていたからとか、自治体警察の方がまさつていたからとかいう、そういう比較関係でやつているのではないのでございまして、一切を白紙に返して新たな構想をもつて府県警察をつくろう、こういう考えであります。  そこで、その府県警察性格というのは一体どうなんだ、こういう御質問でございましたが、それは自治体である府県機関でございます。府県には警察本部長が置かれますけれども、これは行政運営すべてをつかさどつている道府県公安委員会の管理のもとで働く身分のものでございまして、その公安委員会というものは、道府県の知事が議会に諮つて任命をいたすれけでございます。この公安委員会は、いろいろの御批評もありますけれども、警官を任命するときには、一々意見を徴せられますし、その警察長及び警察官を不適当とみなすときには、いつ何どきでも懲戒罷免勧告権を持つのでありますから、これらから考えまして、私は、完全に府県のものである、こういうふうに考えているのでございます。  それから給与の問題でございますが、これは今度の問題のうち一番大切なことであつて、その措置を誤つてはならない問題であると存じます。御承知のように、今年度限り、経費の支弁は従来通りの区分に従つていたしますので、本年度は変化はございません。問題は来年度でございます。そこで、給与標準をどこに置くかといいますと、今申し上げましたように、今度の府県警察官府県のものとなりますので、府県吏員給与標準といたしたいと思うのでございます。そうしますと、そこに自然今までもらつている月給よりも下る部分の人がありますので、この扱いが、今度の問題では、いろいろ抽象論はありますが、一番大切な問題だと思つております。それはどうしたらいいかといいますと、月給が事実減る人たちに対しましては、その減額に応じて一時金を考慮いたしたい。そのためには、来年度における財政措置というものが非常に大切な重点になると存じております。  それから、今度の改革能率はどうであるか。この問題は、いろいろ御議論もありますが、今申し上げたように、国警手落ちであつたとか、自警手落ちであつたとかいう議論を超越いたしまして私は、二つの形の警察が並んで存在しているということが非常に能率の上にぐあいが悪かつたと考えているのでございます。日本国民はいろいろ美点がございますが、欠点の方をあげますならば、同じような、似たような仕事を二つの異なつ命令系統で行う場合が、どうも一審うまく行かない素質を持つているように思うのであります。これは、個々の警察官が悪いというのでなく、そういう制度をしいる政治責任であると私は思いますので、この制度そのものに今度改革のメスを入れたいと考えた次第でございます。そこで、今までの国警自警はおのおの非常によくやつていましたが、その管轄区域相違より生ずる盲点というものがありまして、いろいろの地下に流れている運動のやり方を見ますると、この管轄区域相違より生ずる盲点を縫つて行くという傾向が現われておりますので、早く一本にしたい、一本にすると、とかく警察が強くなり過ぎるという心配を世人が持ちますので、さればこそ公安委員会監視権罷免懲戒権を厳重にいたしましてその抑制をする、こういうふうにして一本化して、能率化したいと考えた次第でございます。(拍手)     〔国務大臣本多市郎登壇
  10. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御質問要点は、市町村自治警察を持つていたところが、その自治警察府県警察性格がかわるのに、その負担をその市町村に命ずることは感情上どうであるか、その財政措置適当なりやいなやという御質問であると存じます。  これは、二十八年度財政措置といたしまして従来通りということになりますので、市町村が持つことになるのでございますが、その間、理論といたしましては、住民にとりましても治安確保ということはまことに大切なことでございますので、必ず理解協力が得られるであろうということと、もう一つは、財政的な裏づけでございますが、現状通りで引継がれるということになりますと、その金額においても同様でございます。その裏づけはできておりますので、今まで自治警察のための自主的負担であつたということが、今度は、二十八年度限りは暫定措置として義務づけられる義務的負担ということに性格はかわりますけれども地元治安確保のためであり、さらにまた今回法律できまることでございますから、必ず理解協力のもとに円満に遂行されるものと考えております。(拍手
  11. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 床次徳二君。     〔床次徳二登壇
  12. 床次徳二

    床次徳二君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま上程せられました警察法案に対し、吉田総理大臣並びに関係大臣に対して質疑を行わんとするものであります。  占領下政策是正を行い、特に現行警察制度につきましては、現下のわが国情に対しまして適合しないと思われる点につきましては、すみやかに検討を加えまして、能率的かつ民主的な治安機構運営をいたしますることは、これは全国民のひとしく要望するところでありまして、私どもも、これに関しましてすでに十分なる成案を得ておるのでございます。しかしながら、ここに政府によりまして提案せられましたものは、周知のごとく、あらゆる方面より峻烈なる批判を受けておるのでありまして、すでに本院におきましても、予算総会におきまして暴露せられましたことく、吉田内閣施政方針におきます革新的要素を占めておつたところの重要政策といたしましては、あまりにもずさんであり、また準備不足であつたのであります。(拍手占領政策是正に便乗いたしまして、敗戦によつてわれわれがかち得ましたところの民主化の効果を抹殺し、復古以上の警察国家の出現をなすものではないかと憂えられておるのであります。(拍手)よつて、この際、本案に対する幾多の疑念をただしまして、断固としてこれを修正し、かかる暴案の撤回を求め、もつて独立日本の正しい民主政治の進路を確保せんことを期しておるのであります。(拍手)  まず総理大臣に対して御質問をいたしたいのであります。  警察制度改正要点は、民主警察精神確保しながら、その能率を増進するにあることは、先ほども申し上げました通りであります。しかるに、本案の骨子と見られますものは、民主的理念を基調とするということは単なるカムフラージュでありまして、一に人事権中央集権化、二に公安委員会弱体化、三に自治体警察国警一本化という、官僚警察的特徴が主体となつておるのでありまして、治安確保責任明確化ということを名目といたしまして、民主警察成長発展の場をまつたく圧殺いたしておるのであります。しかも、政府の言うところの治安責任明確化は、すでに第十三国会におきましても、この吉田政府提案によりまして改正が行われておるものであります。これを今回重ねて改正せんとするところの結果は、行き過ぎ是正を越えまして、警察国家への完全な復帰でなくして何でありましようか。戦前以上の警察中央集権が行われんとしておるのであります。私ども考えによりまするならば、現在は、占領行政下に取入れられましたところの民主主義美点長所は、これを涵養し、育成いたしながら、わが国情に適合するごとく改善を加えまして、その徹底に努力すべき時期であると信じておるのであります。よつて占領政策是正と称しまして民主主義に逆行するがごときことは、断じてこれは許されないのであります。(拍手)たとい能率におきまして若干の欠陥がありましようとも、この欠陥を補いつつ民主的警察を擁護することは、国家大局の利益と考えておるのであります。総理大臣は、はたして、現在のわが国国情において、民主化に対する努力はもうこれ以上必要としないと考えておるのか、あえてお伺いいたしたいのであります。  また、政府は、警察法改正と同時に、教育制度あるいは労働法等にわたりまして改正案を提出いたしておりまするが、いずれも中央集権化とともに民主的な運営または地方自治に対する著しい制限を加えておるので、これはいずれも同一思想から出て改正せられておるものと認められるのであります。元来、占領政策行き過ぎ是正に争」ましても、広く民間の意見を開きまして、民主的に行うことがよろしいと考えるのでありまするが、政府のとりました処置はいかがでありましよう。その思想におきまして、さらにその改正手続におきまして、まつたく民主主義に反すると思いまするが、総理大臣見解を伺いたいのであります。  わが国民主化の過程におきまして、民主警察を廃することが、わが国民主政治にいかなる影響を及ぼすかということに関しましては、十分深い思いをいたさるべきであつたのでありますが、はたして総理はこのことを考えられたでありましようか。国民は、民主的自治体警察国情に合わないのだろうか、民主主義に反する中央集権化がはたして占領政策是正であろうか、民主的運営犠牲とせずしてもつと能率化をはかる方法がなかつたろうかというような疑問を持つておるのでありまして、この国民の疑問には明確なる答えが必要と思います。われわれは、敗戦という重大なる犠牲によりまして初めて民主主義への道を得たのであります。私どもは、過去五年の間の努力によりまして民主主義の基礎をつちかうべく、あらゆる努力をいたしておつたのであります。吉田総理は、往々にして民主主義を無視し、ワン・マンあるいは独善との評を受けておるのでありまするが、その傾向を、今あらためてこの国内の警察教育等制度にまで及ぼしまして、民主主義の萌芽を蹂躪せんとするのでありまするか。私は、国民とともに、この政府の真意を伺いたいと思うのであります。(拍手)  次に、犬養法務大臣にお尋ねいたしたいのであります。  本案を見まするに、占領中の政策行き過ぎ是正ではなくして、是正行き過ぎであります。今日までの民主化努力全面的否定と言えるのであります。一例をあげますると、今回の改正におきまして、現行警察法前文まつたく抹殺しております。念のた下めに一部を読み上げますると、現行警察法前文には、〔国民のために人間の自由の理想を保障する日本国憲法精神」と、「地方自治真義を推進する観点から、国会は、」「国民に属する民主的権威組織を確立する目的をもつて、ここにこの警察法を制定する。」とあるのであります。政府は、今回の改正機会に、この前文を抹殺してしまつたのでありまするが、前文のどこが悪いのであるか。政府は、おそらく良心に恥ずるの余り、これを削つたことと思うのでありまするが、特に注目すべきことは、警察民主化のために地方自治真義を尊重すべきことを、この前文を削るのみでなく、法全体から抹殺しておるのであります。何ゆえこの精神を抹殺してしまつたのか。地一万自治真義を尊重せざるところの警察は、その民主的性格を一変して、国警的警察なつたと害われてもいたし方がないのであります。すなわち、政府に尋ねたいことは、政府は、本案におきまして、警察の本質を変更いたしまして地方自治権に対して重大なる侵害をいたしておると思うのでありまするが、これに対して政府はいかなる見解を有するか、伺いたいのであります。  なお、今回の政府提案を見まするのに、著しい中央集権化があります。警察庁長官には国務大臣を当て、次長及び警視総監、都道府県警察本部長は、いずれも長官公安監理会意見を聞いて任命することとし、国家公安委員会公安監理会となつてまつたく骨抜きの諮問機関と化してしまつたのであります。微力なる公安監理会が、はたしてよく国民立場を代表いたしまして、政府警察を私有化し、中央政府が全警察統制、官僚化するのを防ぐことができるのでありましようか、この点を伺いたいのであります。  なお、現在の警察職員十三万人中、自治体警察職員はその大半を占めておるのであります。先ほど法務大臣の言葉によりますると、国警自警を廃して新しい警察制度をつくつたと言われるのでありますが、何ゆえにこの悪くないところの自治体警察を廃したのか。現在の自治体警察が悪くない以上は、国警自治体警察に統合一元化いたしまして、自治体警察としてその能率向上をはかるべきであつたと思うのであります。(拍手)これを避けまして人事的に中央統制に服するところの府県警察にしてしまつたということは、いかに政府が弁明せられましても、自治体警察という性格はまことに薄くなりまして、国警化したということを否定することはできないのであります。民主的警察が今後はたしてよく伸び得るでありましようか。私どもは、まつたく寒心にたえないのであります。はたして公安委員会が、住民意思を代表して、警察の専横を防止するため、十分な活動ができるでありましようか、これも伺いたいのであります。  なお、自治体警察を廃止するには、従来住民の投票を要しておつたのであります。自治体警察を有することは、本来住民の固有の権利からであつたのでありまするが、今回政府が、住民意思まつたく無視いたしまして、自治体警察を全廃いたしまして、国家警察的な府県警察にいたしたということは、まことに地方自治警察精神を冒涜し、国民への基本権の無視を行つたものと思うのでありまするが、政府の所見を伺いたいのであります。自治体警察美点をさらに助長し、その欠点欠点としてこれを改め、その是正をいたしまするために、これを府県単位自治体警察として統合強化し、府県公安委員会を守りながら、その能率を増進し、地方自治警察民主化理想に進むことが適当と思つたのでありますが、何ゆえにこれに改めることができなかつたかということにつきしまして伺いたいのであります。  次に、政府警察職員国家公務員地方公務員の二種類にいたしておるのであります。義務教育職員につきましては、政府の弁明を聞きますと、山村に勤務する職員も大都会の職員も、給与を均等にし、教育確保するために、一律に国家公務員にしたと言つておりますが、この政府考え方をもつていたしましたならば、全警察職員を当然国家公務員にすべきではないかと思うのであります。何ゆえ警察職員の幹部を国家公務員とし、一般職員地方公務員といたしましたか、これは不可解であります。おそらく予算編成上の無理から生じたものかとも思いしまするが、二種類公務員があるということに対しましては、あるいは戦前警察官官吏待遇官吏との二種類つたのと同じように、当時の差別感を復活するおそれがあると思いまするが、その懸念についてはいかが考えたか、伺いたいのであります。  なお、先ほども指摘せられました通り現行国警職員自治体警察の間には、その給与並びに退職金に著しい差があるのでありまして、退職金の方は三倍以上の差があると思います。本年はともかくとして、明年度以降におきましては、この是正に対しましては十分なる政府努力を必要とするのでありまするが、政府答弁は、給与に不利益なきよう万全の配慮をする、その方法は、明年度財政措置によるということを、ただいま答弁せられておりまするが、かかる口頭の誠意のみをもちまして、何人が納得し得るでありましようか。その具体的な措置を明らかにすべきであると信じております。合理化によりまして、当然相当の定員の余裕ができて参りましたこの機会において、給与の引上げ、待遇改善素質向上をはかるべきことこそ、ほんとうだと思うのでありますが、政府は低い待遇平均化そうと考えておるようでありまして、まことにこの点遺憾に思うのであります。  次に、新制度実施に伴います財産措置について疑いがありますので伺いたいのであります。従来、市町村が所有いたした町村警察用財産物品は、さしあたり無償で国や都道府県が使用し、明年度よりは、当該市町村で不必要のものは無償で譲渡されることになつております。もちろん、現行警察法実施にあたりまして、市町村が国または都道府県から無償交付を受けましたところの財産物品でありまするならば、これを再び無償で返還することはさしつかえないのであります。しかしながら、市町村が、財政の窮迫の中から、起債にもよらず、税金または寄付金等、莫大なる辛苦の結果築き上げましたところの自治体警察財産物品等を、単に市町村が使用せざるのゆえをもちまして、無償譲渡せしむるということが、はたして一片の法文にて規定するをもつて妥当でありましようか。また可能でありましようか。この点は大なる疑いをを持つておるのであります。(拍手市町村の難産権に対する事実上の重大なる侵害であります。地元市町村の十分なる理解協力なくして、はたして円滑に警察運営ができると考えられましようか。現在の地方財政の窮迫の状態から見ましても、これに対しましては相当の補償を行うべきものと考えておりまするが、この点、先ほど法務大臣答弁は、あまりにも形式的であると思います。  また、本年度警察費の負担の状況を見まするならば、本来ならば国または都道府県負担でありまするものを、特例として市町村をして引続き支弁せしめておるのであります。これに対しまして、先ほど自治庁長官よりも御答弁がありましたが、なお、この点納得の行かないところがある。すなわち、市町村自治的に負但しておりまするものも、今後義務として負担せしむるのでありまして、本多国務大臣は平然としておられまするが、これは明らかに地方財政上、または平衡交付金法の精神から申しまして、違反であると断せざるを得ないのであります。(拍手)基準財政需要に見ておらないところの自治的な負担自治体警察に対する市町村負担に対しましては、当然本年度におきましても、国家においてその補償をすべきものであると考えるのでありまするが、政府意見を聞きたいのであります。この点は、政府が、過般の義務教育俵におきますると同じような過誤を、この警察法においても実施せんとするのであります。たとい法律上におきまして支出義務が規定せられましようとも、市町村は容易に納得いたしません。これは私どもの予想せられるところでありますが、政府はいかにして必要なる措置の支出に遺憾なきを期するか、伺いたいのであります。  なお、犬養法務大臣並びに本多自治庁長官に対し、お尋ねいたしたい。私どもは、常々、民主政治の基盤たる地方自治の発展のためには地方財政の確立を必要として見ておるのであります。かくのごとき立場からいたしましたならば、今回のごとき義務教育制度警察法等の改正機会において、地方財政負担を緩和軽減し、これを地方財源として財政の確立に資すべきものと思うのであります。しかるにもかかわらず、政府の処置は、ますます地方財政を窮迫に陥れておるのであります。政府は、かかる処置は本年度限りの暫定処置であつて、将来の財源並びに税制の調整は地方制度調査会の結論にまつと言つておるのでありまするが、まことに任責任であるのであります。政府は、かつてに義務教育制度あるいは警察法改正いたしましてその跡始末たる財源の整理、これを地方制度調査会に押しつけるのでありましたならば、地方制度調査会の設置の意義というものはほとんど失われるのであります。すでに、地方制度調査会におきましても、今回の両法案に対しましては何ら責任なきことを明らかにいたしております。制度調査会は、当然教育制度あるいは警察制度その他全般の地方制度にわたりまして検討を加え、おそらく近き将来、政府の案とは相当異なつた結論が出ることと予想せられるのであります。従つて提案せられましたところの両法案は、当然近い将来におきまして、根本的に再修正を余震なくせらるべきことが予想せられておるのであります。もし政府が、将来の地方制度に関する大体の腹案、構想を持つて警察法改正を行うものであるならば、この際その政府の腹案を聞かしていたたきたい。もし政府が何ら構想を持たずして今回提案いたしたといたしましたならば、何ゆえ調査会に諮問し、その成案を得た後に提案するところの処置を講じなかつたか、伺いたいのであります。何ゆえ政府は、内容の整備をせず、準備不十分、予算編成におきましても未熟で、経費の裏づけも不十分でありまするところの今回の法案を、唐突として提案し、不必要な混乱を各方面に巻き起してまで、これを急速に実施せんとするか。政府のあせりは何に原因しておるのでありましよう。私どもは、その理由を聞きたい。この点、政府の根本的な誤りがあると思います。(拍手)与党の一部におきましては、しばしば、近き将来国家の異なる危機に対処せんとするために警察法提案するのだと言つておりまするが、かかる方法に対しましては、もつと率直に、しかも国民とともに処置すべきではないか。政府の官僚的な中央集権的な警察制度によつては、この問題は決して解決できるものではないと考えておるのであります。(拍手)  最後に、吉田総理大臣に伺いたい。現行憲法のもと、総理大臣は、行政の首班といたしまして、全文官を統御し、また立法府たる国会におきましては、与党の総裁として多数の議員を統率し、思うところ行われざるなき絶大なる権限を有しておるのであります。さらに、今回の改正によりまして、国務大臣たる警察庁長官を通じて、全国の警察人事権を一手に掌握集中するごととなるのであります。他面、すでに直接保安隊、警備隊を支配するところの権力をあわせ持つておりますることを考え、さらに検察権を法務大臣を通じて掌握せんと企図しておりますことを聞きまするときに、かくのごとき立法、行政、警察、検察及び事実上の軍隊の指導権等を一身に集中するところのわが国総理大臣は、アメリカの大統領以上の権力を保有するものでありまして、これはしいて例を求めますならば、わずかにスターリン首相ただ一人であると思うのであります。(拍手かくのごとく総理大臣一人に権力を集中することは、まさに総理大臣独裁制の実現に近く、たといその政治的基盤を民主政治の上に置いていると強弁せられましても、それは言葉の上の遊戯でしかないのであります。かくのごとき現実に直面して、国民の心中には深い危惧と不安の感情が横溢しておるのであります。われわれは、特に吉田総理大臣においてその危険の大なるをおそれておるものであります。よつて、この際、特に吉田総理大臣の心境を率直に伺いたいのであります。吉田総理大臣は、総理大臣として将来かくのごとき重責をになつて、はたして国民の負託にこたえ、民主政治の万全を確保し得るところの決意ありや。あえて明白なる答弁を要望いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)     〔「総理大臣を出せ」「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  13. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 総理大臣は、病気のため、今日は登院されておりません。ゆえに、総理大臣に対する質問答弁は、適当な機会総理からすることにいたします。     〔国務大臣犬養健登壇
  14. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 床次さんにお答えをいたします。順序不同になりまして、落ちたところがありましたら、御注意を願います。  今度の警察は、たいへんな中央集権をやつて、復古以上の逆コースではないか、こういうような御質問であります。第一、警察庁長官に対しては、直接総理大臣の所管のもとに国家公安監理会ができまして、これは大臣待遇を受けます。この人たちに一々相談しなければ、一つの人事もできないようになつております。なるほど、意見を聞くとたけ書いてあつて、聞きつはなしではないかというお考え、御心配もあろうかと思いますが、いやしくも大臣待遇の、国家の中央に位する公安監理会委員の意見にそむいて、矛盾した、まことによくない人事でありますならば、この公安監理会委員は連挟辞職をするでございましよう。まして、自由党員のみの公安監理会というわけでなく、一政党に属する者は二人以上禁止しているのでございますから——ただいまでも、総同盟に属する、りつぱな長老が委員になつておられる。これらの人々が連袂辞職をいたしますならば、ゆゆしい政治問題となりまして、その政治問題化すという現実の政治現象から、私はりつぱな制約ができると考えておるのでございます。(「ノーノー」拍手)また府県会姿委員会は、層行政運営の全管理権を持つておりまして、これは府県警察の主人でございます。警察長といえども、この公安委員会の下で働くのでございまして、しかも、いつ何どき罷免懲戒の勧告を受けるかもわからないというのでありますから、一警察長身分、地位をもつてしては、地方警察に溶け込まなければ、一日として職が果せないと私は信じている次第でございます。  それから、今度の警察というものはどういう本質のものだ。これは、たびたび申し上げたのでありますが、今日までの国警自警という観念をすつかり洗い去りまして、白紙にもどつて府県警察というものを考えたのでございます。昨日提案理由に述べましたように、ごく露骨に申し上げますと、今までの国警は国家的性格が強過ぎて自治的要素に乏しく、また自警は完全自治に過ぎて国家性を欠如しているので、その両者を兼ね備えたものにしたいと考えたのでございます。しかし、ここでお断りいたすのでありますが、大体地方生活における警察の仕事というものは、これは軽犯罪とか、交通違反とか、あるいは普通の強盗とかいうものは、これは地方自治体にまかせてよいのでありまして国家が干渉しては間違いのもとになるのでございます。しかし、しばしばし上げましたように、暴力主義的破壊活動の底を流れている軍事方針を見ますると、一つの県以上の、二つや三つの県に、同時多発的な不祥事が起らないという判断はつきかねますので、それに備える新しい警察組織をつくるということは、これすなわち国民に対する政府の義務であると私は考えているのであります。(拍手)ただ、いかにも国に事ありげに吹聴してそうして大げさなかけ橋を国から地方生活の平和なところへするのはよくございませんから、そこで、できるだけ国から地方へのかけ橋を少くする意味におきまして、警視以上だけ、やむを得ざるぎりぎりの少数の者だけを国家公務員にしたのでございますから、この点は御承知を願いたいと思います。  それから、前文をなぜ省いたか、何かやましいことがあつて、省いたのじやないか、こういう御意見でございます。そこで、これは、大体日本の法律体系の最近の一般の例にならいまして、前文というものをやめまして、その内容を、御承知の第一条、第二条、第三条に移したわけでございます。御承知かと思いますが、今前文が残つておりますわが国法律は、憲法と、教育基本法と、今度改正いたします前の警察法だけなのでございます。従つて、私どもは、わが国の本来の法律体系の例にもどるという考えで、こういうふうにいたしたのでございます。  それから、地方市町村財産をいきなり取上げるのは乱暴ではないか、こういう御議論でございます。純粋の私の財産をいきなり取上げれば、これは憲法二十九条に違反をいたします。しかるに、市町村財産というものは、警察行政のために必要な行政財産とも言うべきものでございまして、一般の私有財産とはいささか異なるので、別個の考えを持つている次第でございます。しかも、当該市町村に不必要なものだけを譲渡させるのでございまして、その必要、不必要という判所は町村にさせるのであります。しかも、町村が不必要と認めたものにつきましても、譲渡する旨の市町村の議会の議決を行わせるのでありまして、普通の譲渡手続によらせようというのであります。しかも、その譲渡についての争いが起りました場合に、これは内閣総理大臣が裁定いたすのでございますが、それになおかつ不服の場合は、当該町村が一般の司法手続をいたすことを認めておるのでありますから、きわめて丁重な手段だと考えておる次第であります。(拍手)     〔国務大臣本多市郎登壇
  15. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今回の警察法改正自治権の侵害にならないかという御質問でございましたが、これは治安確保に対する国の責任明確化するという大きな目的のためであり、地方のためにもさらに治安確保が効率的になるということによつて理解せらるべきものであると思うのでございますが、それが法律的に何か自治権の違反になるかならないかという問題になりますと、自治法の第二条に、地方事務としてたくさん列挙されております。その中に、秩序の維持ということも地方事務となつておりますけれども、現に市町村警察国家地方警察で担当しておつたところもあるのでございまして、地方事務として列挙されている事柄でも、法律をもつて別段に規定することは何らさしつかえないことでございまして、理論的にも法的にも自治の侵害にはならないと考えております。  次に、今回の警察制度改正について住民投票の必要がありはしないかという御意見に対しましては、一般的に適用される法律をもつて行われるのでありますから、今回は住民投票の必要はないと考えております。  二種類公務員を配置するということは不合理ではないかという御質問でありましたが、これはまつたく今回できまする府県警察性格から来ることでございまして国家的事務の性格地方的事務の性格とを持つておる。これは、国家地方警察自治警察とを廃止して一本化いたしましたこの性格から来ることでございまして例外ではあると存じますけれどもかくすることが今回の警察制度改正の目的を達するゆえんであると考えております。何ら法律に違反する点は特にないと存じます。  さらに、財産無償譲渡については、法務大臣から御答弁がございましたが、実はこれにつきましては前例もあることでございまして、私も非常に苦心したところでありますが、昭和二十三年警察制度改革のときに、府県財産を国あるいは自治体へ移譲いたしましたときも、同じ措置が講じられておるのでございます。また、自治警察を廃して、国警へ昨年あたりたくさん統合されましたが、その場合の措置も同じ措置でございまして、何ら今まで憲法違反などという疑いの起きたことはないことでございますから、さしつかえないことと考えております。  次に、今日まで自治警察の経費は自主的負担であつたのに、これが義務的負担にかわる関係から、新たなる負担を課することになるので、新たな財政措置が必要ではないかという御質問でございましたが、これにつきましては、さいぜんお答えいたしました通り、必要な財政措置はすでに講じており、その範囲内でまかない得ることでございますから、地方財政法にも抵触するところはないと存じております。  さらに、将来の地方財政の確立につきましては、今回の教育制度改革、さらにまた警察制度改革によつて、ますます財源調整の必要を感じて来るものでございまして、この財源調整につきましては、地方制度調査会の結論を待つて講じたいという政府の根本方針でございますので、ここに個人的な見解を申し述べることは差控えたいと存じます。
  16. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 総理大臣はただいま予算委員会に出席されるため……(議場騒然、聴取不能)委員会に出席せねばならぬとのことでありますから、総理大臣に対する御質問については、先刻申し上げました通り、適当な機会答弁を願うことといたします。鈴木義男君。     〔鈴木義男君登壇
  17. 鈴木義男

    鈴木義男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されておりまする警察法改正案に対して基本的な問題若干について、主として総理大臣並びに法務大臣、本多国務大臣等に質問せんとするものであります。総理大臣が出席されないことは、はなはだ遺憾に存じます。  政府は、近来、占領政策行き過ぎ是正すると称して、わが国民主化のために最も必要なる諸制度を廃棄して、戦前または戦時中の旧制度に還元しようとしておるのでありますが、これは、政府がいかに民主主義理解せず、いたずらに行政の安易だけを求めて保守反動独裁におもむかんとしているかを示すものでありまして、この警察法改正のごときは、そのクライマックスにあるものと信ずるのであります。(拍手警察制度のごときは、単に占領政策行き過ぎというがごとき片の抽象的お題目によつて葬り去るには、あまりにも国家の性格の根本に触れる重大な問題であります。(拍手)この際、われわれは、終戦後いかなる理由と経緯とをもつて警察制度現行警察制度のごとく改革されたかを、いま一度回顧する必要があると信ずるのであります。  戦前並びに戦時中におけるわが国は、世界にも類例の少い、組織の完備した警察国家であつたのであります。百内務大臣、警保局長のもとに、全国津々浦々まで警察の触手が張りめぐらされ、どろぼうや強盗を捕えるよりは、国民の反政府的言動の抑圧、換言すれば、言論と思想の自由に対する弾圧並びに政府与党を多からしめるための選挙干渉に汲々としていたことは、天下公知の事実であつたのであります。(拍手)人はよく、警察民主化されたために、たとえば地下にもぐつた共産党の幹部諸君がなかなかつかまらないではないかと言うのでありますが、これは、正しい警察ならば、なかなかつかまえにくいのが当然でありまして、旧警察能率の高かつたのは、主として医大な機密費の濫費によるおとり政策、スパイ政策のたまものであつたのであります。たとえば、治安維持法時代においては、共産党を一網打尽するために、幾多の青年に官費で共産主義を勉強させ、やがて入党させ、各段階に活躍させておいた。その中には、警視庁から月給をもらいながら、党の最高幹部にまでのし上つた者があつたのであります。一網打尽することが、いとたやすいことであつたわけであります。このために、党の内部には混乱を起し、疑うべからざる者を疑い、幾多のリンチ事件を起して、遂に無事にして殺された者も出だことは、諸君御承知の通りであります。(拍手)はなはだしきに至つては、学費を警察からもらい、大学に通い、教授や講師の言動を一々警察に報告する任務を果していた者も少くなかつたのであります。(拍手)博徒の親分などは、たいてい警察の犬であつた、自分だけが免れて仲間を警察に売ることを業としていたと申しても過言ではなかつたのであります。犯罪がなくなれば、警察の成績を上げるためには、あえて犯罪を製造することをもいたしたのであります。(「ヒヤヒヤ」)戦争中に至つては、国民相互がスパイとなり、風呂屋でしやべつた、床屋でしやべつた、隣組でしやべつたというので検挙され、拉致されたる者幾千に及んだのであります。警察が用いた最大の武器は、長期の勾留と拷問とであつたということはもちろんであります。かくて、一糸乱れざる統制を誇つたのであります。もしこういうことを警察能率化と言うならば、こういうことは、われわれが最も歓迎せざるところであります。(拍手)窃盗や強盗や詐欺や横領は、いかなる社会においても捕えられなければならず、また、たいてい検挙されるものであります。こういう点では、今日の警察も次第に成績を上げて、戦前のそれに近づきつつあることは申すまでもないのであります。ただ恐るべきは、少数のこれらの者を検挙するために、多数の良民までが戦々きようきようとして、安心して生きて行けないような警察制度行き過ぎであります。(拍手)  およそ民主主義の要諦は、モンテスキユーがきわめて適切に喝破しました通り国民が安心して生きて行ける制度、トランキリテ・デスプリ、すなわち国民が心の平らかさを得ることであります。そのために、牽制と平衡、チエツク・アンド・バランスの方式にのつとつて一つの権力が濫用されない保障を制度の上に樹立するにあるのであります。こういう見地からして終戦後非常な困難を冒して手をつけられたのが、世界中央集権の完璧を誇つていたわが警察権地方分権化し、民主化する仕事であつたのであります。現行警察法前文は、先に床次君が引用いたしました通り、「人間の自由の理想を保障する日本国憲法精神に従い、又、地方自治真義を推進する観点から、」——ずつと読むことは省略いたしますが、とにかく、こういう大切な項目のために警察法改革するということ、すなわち国民の権利と自由を保護するために、お上の警察でなく、われらの警察をつくるということにあつたのであります。この精神は、当時自由党の諸君も賛成されたはずであります。これを実施してわずかに三、四年の経験で、早くもこの精神を捨てる理由と必要とがどこにあるのでありますか。まずお伺いをいたしたいのであります。(拍手)  今度の改正において最も注目すべき点は、床次君が指摘したように、この前文を削り去つたことであります。そのかわりに第一条、第二条に警察の任務を規定したと犬養法務大臣はお答えになつたのでありまするが、しかし、ここには大事なものが抜けておる。すなわち、前文にあつた「地方自治の輿義を推進する」ためという、この制度の根本特徴を抹殺しておるのであります。(拍手民主政治とは、地方自治地方分権の確立の上に立つ政治であります。しかるに、この自治を蹂躪して何の民主主義ぞやと申すべきであります。何ゆえ政府はこの最も大切な文句を削除したのであるか、これでもなお民主的警察制度であると強弁されるのであるか、伺いたい。(拍手)なお、改正案の第二条、第二項は、前の前文の一半を温存して警察は、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利、自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない、こう銘打つておりますが、第四条以下の組織を見ると、権力を濫用しようと思えば幾らでもできるようになつておるのであります。これでは、序論と本論とが少しも平仄が合わないのであります。法衣のもとからよろいがのぞいておるとは、まさにこのことであります。深憂にたえない次第であります。  もちろん、現行制度を樹立するとき、分権化の行き過ぎのあつたことは、われわれも認めるのであります。当時、総司令部にも、行き過ぎはせぬかという牽制論もあつて火の出るような論争も行われたのでありますが、軍隊的、封建的警察民主化するには、し過ぎるくらいの分断をしなければだめだという見解から、五千以上の町村にはみな自分自身の警察を持たせ、その間隙を埋めるために国家地方警察をもつてしたのであります。五千は小さ過ぎるとか、三万、五万を単位にすべしとかいうことは十分論議の対象となり得ましようが、一気にすべての自治体警察を抹殺し去るということは、民主主義そのものの否定と存ずるのでありまするが、政府はいかなる見解を持たるるのであるか、承りたいのであります。  地方分権化された後の警察を批評する者、異口同音に、能率が下つたと言うのでありますが、われわれも、ある面では能率が若干下つたことを認めるにやぶさかではないのであります。しかし、民主的制度は、若干の能率犠牲としても、権力の濫用を阻止するように仕組まれるのが原則であります。(拍手)旧時代のように、むしろ能率の上り過ぎることをわれわれはおそれるのであります。ことに、わが国は、終戦までは名にしおう封建的国家であつたのであります。警察官だけが短時間に民主化し得るはずはないのであります。頭の切りかえは、完全にはゼネレーションをかえることを必要とするのである。三年、五年で思うように行かないというので元に返すということは、制度をもてあそぶことであります。民主化されたはずの警察ですらも、昔の「おいこら」式が今なお跡を断たないことは、至るところに伝えられておるのであります。これをやめて、国民に親しまれる警察にするには、すなわち国民の善意と良識とに信頼して、国民による国民のための警察をつくるには、かすに時をもつてし、教育と啓蒙と制度の補強を続けて行くほかはないと信ずるのでありまするが、政府は、この労力を捨てて、あたかも国民を敵のごとく考えて、一気…官僚的中央集権の昔に返そうとするのは、はたしてまじめに民主化を育成せんとする誠意があるのでありますか、お伺いいたしたいのであります。(拍手)われわれは、占領政策行き過ぎよりは、警察権行き過ぎの方をはるかにおそれるものであることを断言いたすものであります。(拍手)  政府は、今回の改正において一気に旧制度に復元するという印象を避けるため、国家地方警察市町村自治体警察とをともに廃止して、その中間体として、都道府県警察を置くというのでありますが、これは、名称をもつてごまかすだけであつて制度の全体は完全に中央集権化されることはきわめて明瞭であります。中央治安警察庁を置き、国務大臣をもつてその長官とし、——すなわち警察大臣である。その任命する次長、地方警備局長、すなわち府県ブロックとしてそこに警備局長を置くというのであります。これらが治安事務全般について府県警察を指揮監督するというのであります。それで、いかなる事務について指揮監督をするのかというと、濫用しないために列記限定するというのであるが、これを読んでみると、国の治安にかかる次の事案として——一々読むことを略しますが、その中には、「国の利害に係り、又は国内全般に関係若しくは影響ある事案」などとありまして、ほとんど警察行政の全部が含まれておるのであります。どんなにでも拡張解釈ができる。私は、将来必ず、国会議員の選挙も国内全般に影響ある事項だと言い出す治安大臣の現われることを予言いたすものであります。このほか、さら  に「前六号に掲げるものの外、警察行政における調整に関すること。」などとありまして、何でもこの中に入るようにできておるのであります。かくては、昔の内務大臣とどこが違うのかを伺いたいのであります。いな、昔の内務大臣は、そのほかにもいろいろのことをしたのであるが、今度の大臣は、警保局長を昇格させたにすぎないのでありますから、フランス革命における、かの有名なるフーシエとなり、あるいはゲー・ぺ一・ウーの長官となる危険性はすこぶる大であります。最も警戒を要するのは、警視総監並びに府県警察本部長及び警視以上の高級職員が官選になることであります。命令一下、時の政府の自由に使うことができる警察となるのであります。政府責任明確化ということを言うのであるが、単独でなければ明確でないというものではありますまい。今日の国家公安委員会を活用して、これをして直接国会に対して責任を負わしめてよろしいはずであります。  今回の改正で最もよろしくない点は、警察民主化のために最も重要な役割を果すところの中央地方公安委員会を有名無実のものにしてしまうことであります。すなわち、中央のは国家公安監理会とし、一つの諮問機関として飾りものにしてしまうこと、地方府県公安委員会も、最も大切な警察長の任免には関与できないのでありますから、これまた一種の諮問機関性格しか持たないのであります。政府はこれで警察民主的運営ができると思つておいでになるのでありますか、伺いたいのであります。  行政制度において最も大切なことは、機関体の任免権がどこにあるかということであります。今後わが国においては常に政党内閣だけができるものと思わなければなりません。しからば、原則として政党員が警察大臣となるのである。ここから次長、地方警備局長、警視総監、警察本部長及び警視以上の高級職員の任免が一元的に行われるということになりますれば、旧時代よりも一層悪い警察の政党化ということが起るおそれは十分であります。警察は、検察、裁判とともに政党に対しても中立でなければなりません。この改正案において、どこにこれら警察が政党の私兵化することを防ぐ保障があるのでありまするか、伺いたいのであります。  なるほど、都公安委員会は警視総監について、府県会安委員会は警察本部長について罷免の勧告をすることができるというのであるが、しきりに犬養法務大臣がそこのところに力を入れて、それだから大夫夫だと仰せられるのでありまするが、われわれの心配するのは、罷免ではなくして、むしろ、よい人があつさり他府県に転任させられたり、大臣の意のままにならないというので罷免されることを阻止する権能を与うべきではないかということにあるのであります。  今度の改正は、平仄の合わない点が多々あるのでありまするが、その弊の最も強く現われる面は、政党政治の時代において、国家公安監理会府県公安委員会の選任方法をほぼ今日のままにしてすなわち内閣総理大臣や知事に選任させ、しかも従来の政党別割当制や資格条件の制限を撤廃してさらに府県会安委員会にあつてはその人数を増加し、副知事や府県会議員を加えて一層政党勢力の進出を許すという点であります。吉田内閣のごとく、同一の政党の政権が比較的長く続く場合にあいては、公安監理委員も次第に同一内閣によつて選任された者に片寄つて行く傾向を持つのであります。これに厳正な監視を求めることは困難である。府県にあつては、知事の党派別または府県会の多数派の副知事や議員が加わるのであり手から、いよいよ政党色を濃厚にして、警察本部長以下は常に中央地方の政党勢力の鼻息をうかがいつつ仕事をして行かなければならなくなると思うのであります。われわれは、自治体警察を本体とし、公安委員はすべからく公選にせらるべきものであると考えておるのでありまするが、政府は、今回のごとき改悪によつて、どうして政党政治の弊を警察行政の中に持ち込む危険なしとせられるのであるか、伺いたいのであります。  また、この改正案によれば、前に警察を持つていた自治体並びに現在警察を持つている自治体は、その警察都道府県に移管されましても、その費用は支出することとなつて、庁舎や率両、装備等の施設も無償都道府県警察に移されるというのであります。かく自治体財政負担によつて警察を国家権力化しようとする考え方は反動的であるとともに、自治体財産無償で取上げる点は、地方財政法第八条や、憲法財産権保障の精神にも反するのではないか。この点は、先ほどからお答えになつておりまするけれども、われわれは断じて納得が行かないのであります。国家が自治体にくれる場合と、自治体が今日貧弱で、他の事業を犠牲にして警察に多くの投資をしております。る場合に、これをただで取上げるということとは、大いに問題を異にすると思うのであります。いかなる自治体においても、従来何をおいても教育警察とには全力を尽したのであります。そのために、幾多重要な公益事業を犠牲にしてやつて来たのである。この際、過去に、おいて警察に注ぎ込まれた経費が償われまするならば、自治体のなすべきことは、はなはだ多いのである。それを無償で取上げるというのは実に冷酷である。今後よい施設をしても、随時無償で国に坂上げられるという例を開けば、自治体はまじめに公共事業に経費を出すことを渋るに至ると思うが、いかがでありますか。(拍手)  また、二十八年度自治体に経費を持たせると言つておるが、年度半ばにして移管されることがわかつておるので、そのために多くの予算をさくことを渋るということは人情の自然であるが、その場合、政府はいかなる方策をもつて運営の万全を期するつもりでありまするか。自治体が少き予算を組んだことを矯正するということは、今日の法制上ないと存ずるのでありまするが、本多国務大臣に明快な御答弁を願いたいのであります。  次に、国家消防本部を治安大臣のもとに置くのでありまするが、消防行政は純然たる自治行政であり、地方行政でありまして現在の消防本部は、消防機能の調査研究の機関であつて、権力的機関ではないのであります。これを警察の一部のように考えて、国家権力の中に取入れるのは、まつたく過去の制度への復元でありまして、はなはだ不当と信ずるのでありまするが、この点に対する政府の所見を承りたいのであります。  さらに、現在の自治警察と国家警察との職員給与について、先ほど来繰返して問答がありましたように、勤続年数の五年、十年、十五年、二十年等に応じて違いますが、少くも二千四、五百円、多きは一箇月一万円、五千円の開きがある。退職金に至つては、自治体国家地方警察職員の間には、何倍という開きを持つておるのでありますが、これを法務大臣は一時金で調節すると言うのであるが、はたして一時金で調節し得る程度の開きであるか。了われわれはそうは信じないのであるが、これをいかにして真に公平に調整することができるのであるか、もう少し具体的に御説明を願いたいのであります。  その他のこまかいことは、時間の関係上委員会の質疑に譲りまするが、思うに、警察行政は、地方自治体のおのおのの性格によつて行われる面が多いことを度外視してはならないのであります。画一的警察権の行使は、地方住民の反感と恐怖心とを挑発するのである。犯罪の防止、検挙は、地方住民の協力と理解とによる警察への信頼と親しみによつてのみその効果をあげるのでありまして、イギリスやアメリカにおきまして、いわゆる自警団から自然発生的に市町村警察ができ上つて、これが警察の母体となつて国家地方警察はただその間隙を縫うために補充的に活躍しているのが、まさに健全な形であると思うのであります。権力と威圧だけでは、決して警察の目的を達するものではないのであります。われわれは、数年前、わが国民主化の最も大切な根幹として、農地改革と、地方自治の確立と、警察地方分権化を実施したのであります。われわれがこれを立案して、吉田内閣に譲つたのである。しかるに、民主主義に好意も理解も持たざる自由党政府は、弱小市町村がその財政負担に耐えられないのを助けようとはせず、これを国家に回収することに専念したのである。負担能力の弱小を理由に自治体事務を取上げるという考え方は、地方自治の否定であり、民主政治の放棄であります。政府努力すべきは、自治体の財源確保について助力するか、または保安隊に投ずる額の数分の一をこれにさくことであつたのであります。(拍手)これをなさずして自治体警察を非難するのは、あたかも石炭を投げ込まずして汽車の走らないことを責めるにひとしいと思うのであります。(拍手)  さらに、警察が分断されましたために、犯罪の検挙や治安確保の上に能率が低下したとの非難でありますが、これは当然最初から予想されたところであります。さればこそ、連合軍が撤退した後は、この間隙を縫うものとして国家警察が整備され、科学化されまして、アメリカのFBIのように、全国に無電網を敷設し、各警察署にジープその他の機動力を備えて、管区本部の予備隊と相まつて、連絡調整並びに機動性の充実に資する約束であつたのでありはす。このために必要とする予算は、保安隊の予算の何分の一で足りたのであります。こういう方面に少しも努力することなく、一旦与えた警察椎を国家にとりもどすことにのみひたすら専念する政府方針は、われわれの解しがたいところであります。政府ほ何ゆえ自治体警察の育成に努力しないのであるか。もはや、政府は、国民を敵視し、国民にあいそをつかしたのではないかと思うのでありますが、所見を承りたいのであります。  政府は、口を開けば内外の情勢緊迫を告げていると称して、警察中央集権化を呼号するのであるが、これは一種の恫喝ではないか。政府は共産党の蜂起を恐るること虎のごとくであるようであるが、共産党は悪魔でもなく、強面でもないのであります。ただ、その持つている政見がラジカルだというだけであつて、これを弾圧するだけのために、水も漏らさぬ警察網——保安隊のほかに警察網をもつてするというがごときことは、犬養大臣のお答えでありまするが、間違いであります。警察も軍隊も共産党を排除し得るものではないのである。ただ、よい政治のみが共産主義を阻止することができるものであることを銘記すべきであります。(拍手)のみならず、警察は、軍隊とは異なり、また軍隊の代用でもないのである。国外の緊迫を理由として中来集権化の必要を説くのは、鬼面人をおどかすものであります。また、国内にあつては、悪いことをした者が警察を恐れるのは当然であります。大切なことは、そのために善良な国民に恐怖と反感と威圧とを感ぜしめてはならないということであります。  政府は、警察民主化のために、一応本法案を撤回して、警察機構についてわれわれとともにさらに再思三考される雅量がないかということをお尋ねして、私の質問を終る次第であります。(拍手)     〔国務大臣犬養健登壇
  18. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 鈴木さんにお答えをいたします。失礼ながら、前の質問の方にお答えをいたしました点は、あるいは省かしていただくかもしれません。  共産党対策はよい政治を持つことが場大切だ。その通りでございます。しかし、それかといつて警察組織を万全ならしめることをやめておくということはできないのでございます。そこで、スパイをする警察というものは、私も大きらいでございます。また、スパイ政策の徹底によつて、過去に共産党が検挙できたというならば、スパイ政治をやわらげることによつて、共産党の逮捕が低下してもいいという議論は、ある程度同感でございますが、同時に、国民は火炎びんその他の暴力主義的破壊活動に対しても心安らかでないのであります。(拍手)  それから、戦前警察組織と同じではないかというお話でございますが、戦前の内務大臣警察全般にわたつて指揮をしておりましたのと違いまして、このたびは、ただいま御指摘のように、警察法第六条によつて中央警察庁の行う職務は厳然と明確に制限しておるのであります。その文句が不明確であるということならば、委員会においてさらにこれを明確に御答弁をいたしまして、みずから喜んで諸君の制約を受けたいと考えておるのであります。  また、過去の警察と違いますところは、たびたび申し上げますように、国家公安監理会の監視、助言というものが光つておりまして、その上に都道府県公安委員会が、たびたび申し上げるように、すべての運営の主人でありまして警察長といえども、この下で働きまして、しかも懲戒罷免勧告権をいつでも受け得る、受身の身分であるということを御了承願いたいと思います。  能力の低下よりも権力の濫用を慎め、これも御同感でございますが、われわれも本法案考えますについて——警察というものは、本質的に能力を上げなければ、国民に対して責務が足りないのであります。しかし、この前もこの席で申し上げましたように、あまり能力化のみ考えますと、つい警察の心もおごりがちでありますし、国民に迷惑をかけますので、そこで国民の代表によつて制約を受ける組織にしなければならないと考えましたが、その点において、府県警察は完全に府県のものといたしまして、たびたび申し上げるように、公安委員会行政運営のあらゆる管理権を握ることにいたしたのでございます。  それから次に、アメリカのFBIのお話がございました。これも、私は、この問題をよほど考えてみた時期があるのでございます。しかし、鈴木さんはよく御承知と思いますけれども、FBIの組織というものに二つ欠点があると考えまして、この方式を捨てたのでございます。その一つは、これは非常に大なる経費を要するわけでございます。また第二には、ふだんは府県警察でやつていて、FBIが出動いたしますときは、よほど国家の重大事なのであります。そこで、警官も私どもと同じに人間でありますから、大事件のときに手柄をしたいという気持がある、これは無理からぬことでございます。ふだん東京かどこかにいるFBIが、大事件の際に突然来てその楽しみにしている大事件の捜査、俗に言えば手柄をさらつて行くということは、凡人の心理にはおだやかならぬ影響を与えるのでありましてそれを見抜くということが、私はやはり政治ではないかと考えたのであります。  それから、消防を警察と一緒にするのは穏やかでないではないか、ごもつともでございます。ただ、これはあるいは私ども表現が悪いのかもしれませんが、消防を警察担当の国務大臣と同じ大臣のもとに置くというわけでございまして、言いかえれば、消防次長と警察庁の次長は、二つにわかれて相独立することを御了承願いたいと思います。  一時金の制度は、これは今度の問題で一番重要な問題でございますから、極力慎重に考えまして、明年度適当にはからいたいと思います。     〔議長退席、副議長着席〕     〔国務大臣本多市郎登壇
  19. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方自治に対する影響について御質問があつたのでございますが、今回の制度改正は、地方自治にも若干の制約はあるのでございますけれども警察行政の国家性と、さらに治安機構現状にかんがみまして、主管大臣の言われます通りに、民主的、能率的にして、しかも治安確保責任明確化という制度に改められることでございますので、やむを得ないと考えております。  さらに次の点は、経費負担と施設、財産の委譲についてでございますが、これはさいぜんも御説明申し上げました通り市町村の公有として持つております財産は、純然たる私有財産とは性質を異にする、憲法の私有財産というものには当らない、かように考えているのであります。さらにまた、今日までの実例といたしましても、さいぜん申し上げました通りに、二十三年の警察制度改正のときにも、自治警から国警に編入になりました場合にも同じことをやつておりますので、これについて十分理解、協力を得て無理なことはないと考えております。  さらに財政措置の問題につきまして二十八年度自治警察府県警察性格がかわるのに、その自治警を持つていた市町村警察費を負担させることは間違いではないかという趣旨の質問であつたのでありますが、これもさいぜんお話申し上げた通りでございまして、同一地域の治安確保ということは、その地域内の住民にとつて最も重要なことでございますので、理解を得られるであろうということと、もう一つは、法的根拠を示せというお話でありましたが、その法的根拠は今度の改正でございます。  さらに地方財政の確立ということにつきましては、お話の通り、まことに重要なことと存じます。これについては、ただ単に予算の面からのみ論じられないのでありまして、地方財政は、結局うらはらになるものが他方行政事務の量でございますので、この行政事務、さらに財政、この両面にわたつて研究を進めて行かなければなりません。このことにつきましては、地方制度全般に関する根本的な検討が必要でございますので、地方制度調査会の御審議をまつて政府方針を決定いたしたいと考えております。
  20. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 横路節雄君。     〔横路節雄君登壇
  21. 横路節雄

    ○横路節雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております警察法案について、吉田総理大臣並びに関係大臣に対して、重要なる諸点について質問いたしたいと存じます。  政府がただいま提案いたしました警察法案は、一言にして言えば、わが国における民主主義の一切を弾圧し、時の政治権力が治安に名をかりて警察権力を掌握し、言論の自由、思想の自由、結社の自由を束縛し、戦前のごとき警察国家の再現をはからんとする、いな、それ以上の悪法であります。警察庁長官である国務大臣が一切の人事権を掌握しているこの機構は、明治時代の藩閥内閣、昭和十年代におけるところの軍閥内閣にもなかつたことで、明らかに警察中央集権化であり、警察への政党支配の現われであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  今回提案された警察法案は、さきに十三国会で制定された破壊活動防止法とは不離一体であつて治安維持の美名のもとに、全警察官を一挙に総動員できる態勢を整えんとしていることは、この法案全文にみなぎつており、まさに破壊活動防止法と警察法とは相まつて民主主義の一切を刈りとることは必然でございます。(拍手)かるがゆえに、本提案にあたつて国家公安委員会、全国知事会、全国市長会、全国町村長会、全国都道府県議長会、全国市議会議長会、全国町村会議長会、全国自治体公安委員会連合会等の各団体がこぞつて反対している事実を吉田総理大臣は知つておられるかどうかということであります。(拍手)もし、以上私が申し上げた、それぞれの各地方自治団体または関係団体が反対していることを御承知なく、今初めて聞くのであるならば、よろしく本法案を撤回され、広く衆知を集めて、民主主義国家にふさわしい法案として提出されんことを期待するものであり、この点についての所信をお尋ねいたしたいと思うのであります。(拍手)しかし、関係団体が反対していることを百も承知で提案しているのであるならば、まさに多数の暴力のもとに成立しているフアツショ的政権以外の何ものでもないと言えるのであります。(拍手)  一体、吉田内閣は、何ゆえに世論に抗して、かかる法案提案するのでありましようか。治安確保は、国民大衆の生活が安定され、国民全体が時の政府を信頼することによつてのみ得られ、社会の秩序が維持されるものであると信ずるのであります。吉田内閣が、治安立法、弾圧立法のみさえ完璧を期するならば、社会の不安は立ちどころに解消するかのごとき錯覚を抱くということは、明らかに権力中心の独善的思想であり、いやしくも民主主義国家たるものの採用づべきことでは断じてないのであります。(拍手)かかる治安立法と称する警察制度改悪法案を提出したことは、政府みずからが国民大衆を信頼しなくなつた証拠であり、もはや民主国家の当局者たる資格を喪失した吉田内閣の末期的症状とも言うべきもので、政局を担当する能力と自信に欠けていることをみずから物語るものであることは明白であります。(拍手)  時の政局を担当するものが、次第に国民にあきられて、また政府みずからも国民大衆に信を置かなくなつたとき、世界いずれの国を問わず、一切の権力機構を強化して大衆を弾圧して来たことは、卑近な例として、東条軍閥内閣が、太平洋戦争の末期に、民心すでに政府を離れ去つたにかかわらず、強力な権力をもつて自己の政治権力を保持せんとして特高警察を強化し、さらに憲兵まで動員して、一切の進歩主義者を初めとして、名ばかりの自由主義者、民主主義者のすべてを投獄して、遂にあの敗戦を招いたことは、吉田総理大臣みずからがよくその心の奥底深く銘記されているところであります。(拍手)  今や、政府与党の中においてさえ、白昼公然と吉田内閣の総退陣を要求し、これを新聞に発表しているのは、われわれのよく知るところであります。(拍手)去る二月二十五日の朝日新聞に、自由党総務会長三木武吉氏が高松市での談話として、吉田内閣を、無血革命で平和のうちに内閣を交代できる自信を持つに至つた、党内の大勢もこのような方向に動いていると言い、さらに二月二十七日の朝日新聞の記事によると、二十六日の午後二時より開かれた自由党代議士会でこの点の追究を受けた。三木氏は、自分の常識と世間一般の見方では、現内閣はそう遠い先まで抗かないと思う旨をくりかえし述べた、と書かれてあつて、(拍手)もし、かかることが事実とすれば、与党からさえ見離され、民心すでに去つた今日、吉田内閣は、ただ一つ、権力のみが命の綱というべきであります。(拍手「ノーノー」)  第二には、民主政治の基盤である地方政治を破壊していることは明瞭であつて現行警察法前文については、床次議員並びに鈴木議員等々からもそれぞれお話がございましたけれども、明らかに、この警察法精神は、民主主義を推進するために公安委員会制度を採用し、民主政治の基盤である地方自治の推進という意味で市町村自治警察制度を採用したところにあるのであります。新しきわが国政治形態は、民主主義をその理念とし、政治の基盤を市町村に置き、従つて日本国憲法にわざわざ地方自治の章を設け、これに従つて地方自治法、地方財政法、地方公務員法等を制定したのであります。今回提案された警察法案のどこに民主政治の基盤たる市町村自治行政を推進させる精神が盛られているか、どこに民主主義を理念とした機構の運営があるか、われわれの深く了解に苦しむところであります。任免権のない公安委員会を設置することによつて民主主義の飾りをつけて糊塗せんとする、欺瞞政策の一環たる本法案は、地方自治行政の全面的破壊を意味するものと思うのであるが、この点について総理大臣の明確なる御答弁を願うものであります。(拍手)  次に総理大臣に重ねてお尋ねしたい点は、占領政策行き過ぎ是正という点でございます。吉田内閣は、本警察法案をもつて、第三次吉田内閣から熱望して来た自治体警察の全廃、警察権力の政府による完全の支配はまつたく目的を達成する寸前にあると言えましよう。そのかわり、昭和二十二年九月、マッカーサ院元帥から当時の片山首相にあてられた、警察権力の政府からの分離と名づけられた警察制度改革に関する覚書の趣旨は、根本からくつがえざれたのであります。過去の日本の警察制度が、極度に中央集権化され、軍閥政府の民衆支配の支柱となつて日本を戦争にかり立てる上に重要な役割を果した点に着目して思い切つて改革を断行したのであります。このことは、政府がさきに提出した義務教育学校職員法案が、教育民主化地方分権を、再び教育中央集権化によつて戦前のごとく教育を国家統制のもとに置いて、軍閥政府の政権維持のための精神的支柱となつていたのを吉田、内閣が再現させんとしている意図と相並んで、明白であると私は思うのであります。(拍手占領政策行き過ぎ是正とは、この二つ法案によつて、一つは権力支配で、一つは国民への精神的支配で、再び過去の権力中心の国家として軍国主義的復古をはかり、もつて再軍備を強行せんとするものであると私は思うのでありますが、(拍手吉田内閣総理大臣のこれに対する所信をお尋ねいたしたいのであります。  私が担当の犬養法務大臣にお尋ねしたい点は、現行警察法を最終的に修正せられました第十三国会においては、当時政府から、国家地方警察本部長官の任免権を国家公安委員会から内閣総理大臣に改めて、内閣総理大臣国家公安委員会意見を聞かなければならないと改正して国家公安委員会から警察本部長官の任免権を取上げ、過去において斎藤国警長官の罷免を実行しようとして以来の宿望を達しようといたしたのであります。この改正法案を出しましたところ、一体だれがこれに反対し、一体だれがこれを現行警察法にいたしたのでありましようか。昨年の六月十日、これが法案の担当の地方行政委員会において、政府与党たる自由党みずからが政府改正案に対して修正案を提案し、国警本部長官の任免権は従前通り国家公安委員会、ただわずかに、公安委員会内閣総理大臣意見を聞かなければならないといたしたのであります。ことに修正案を提出いたしました政府与党たる自由党は、代表の提案者をして、かように言わしめておるのであります。内閣総理大臣に指示権を与えるとともに、任免権を与えようとしておることに対して、われわれ自由党は同意を表さない次第であります、その理由の第一は、警察行政の民主的運営を保障するために設けられました公安委員会の重大な権限を取上げて、これを内閣総理大臣の手に移すということは、警察法精神に合致しないのみならず、厳正公平であるべき警察権運営に政党的干渉のおそれを生じ、かつて選挙干渉のごとき重態を生ずるかもしれないというような心配もありますが、少くともそのような印象を与える結果となることは厳に戒めなければならないと思うので、本修正案を提出する次第でありますと、自由党の代表の諸君は言つているのであります。まさに、政府与党たる自由党は、昨年の六月、十三国会において、明らかに民主的警察の最大の特徴は、公安委員会に独自の権限、すなわち重大な人事権を樹立させることであつて、これなくしては警察国家政治警察選挙干渉になることは明らかであると断定しているのでありまして、本法案に対して自由党の諸君が賛成をしておるかのごとき印象を与えていることは、自由党の公党としての面目いずこにありやと私は思うのであります。(拍手)  今日の警察法案の中で、一貫した中央集権人事権を掌握して、どこに一体民主政治の実態がありましようか。直接の責任者である犬養法務大臣は、今やまつたく旧内務官僚、旧警察官僚の言うままに立案し、自分の責任を持たず、かつて政府与党たる自由党の諸君が心配しているごとく、公安委員会をただ単に民主主義の装飾と化せしめて、警察権運営に政党的干渉を生ずるが、ごときものに立案したのはどういう理由でありますか、第一にお尋ねいたしたいのであります。  さらに、ただいまの件について、犬養法務大臣は、この警察法案に関連して警察官適格審査会設置法案を準備し、また刑事訴訟法の一部を改正する法律案を用意せられると聞くが、それは事実であるかどうか、明らかにされたいのであります。もしも事実とするならば、警察官適格審査会設置法案なるものは、審査会は、警察官が一般人に対して人権蹂躪を行つた場合に、訴えに基いて審査を行い、理由があると認めたときは、当該都道府県公安委員会に対して警察官の懲戒ないし罷免を要求しようとするものと言われているが、これは明らかに、政府みずからが、警察法案によると、警察官が一般人に対して人権蹂躪を行うことが従前よりはるかに多くなるということを確認しておることではないかと思うのであります。(拍手)この一事をもつても、少くとも本警察法案は弾圧法案の証拠であると私は考えるのであります。(拍手)  さらに、警察法案と並んで私のお尋ねしたい点は、刑事訴訟法の一部を改正する法律案が用意されていると聞くのであります。現行法によると、司法警察職員が第一次責任を有する捜査機関であつて、検察官は第二次的な補充的責任を持つ捜査機関であります。現行法は、司法警察職員を捜査の主体とすることによつて、捜査と訴追とが別個の機関で行われることを意図していると見てよいのであります。裁判官に要求されております予断排除の原則が訴追機関としての警察官にも要求されておるのでございますが、政府考えられているところの刑事訴訟法の一部改正法案については、この解釈、適用によつては、旧法の建前にもどつて司法警察職員が捜査上検察官の従属機関となる危険があり、さらに第百九十九条の逮捕状の請求についても同様のことが言えるのであります。これは検察当局が司法警察官行き過ぎ是正するためであると称せられていると言われているが、しからば、明らかに政府部内における対立であり、みずからが司法警察官の権力の濫用をおそれていることを示したものにほかならないと思うのであります。警察法案警察国家を再現するところの危険なものであるならば、この刑事訴訟法の改正は、往年の、まさに検察フアツシヨ時代を再現させるものと断じても私はよいと思うのでございますが、この点について明確なる御答弁を願いたいのであります。  さらに私が犬養法務大臣にお尋ねいたしたい点は、一体、今回設けられる都道府県警察は、国家警察であるか、自治体警察であるか、そのいずれにも属さないものであるか、その性格について明らかにしていただきたいと思うのであります。なぜならば、少くとも府県警察自治体警察である限りにおいては、その警察官は、地方公共団体の機関が任命するのでなければ地方公務員としての意味をなさず、従つて都道府県警察自治体警察とはならないのでございます。さらに、この警察法前文にありますように、わが国民主政治市町村自治をその基幹としておるのでございまして、従つて市町村自治体警察を廃止した理由は一体どこにあるのか、私は明らかにいたしていただきたいと思うのでございます。  次に法務大臣質問いたしたい点は、治安確保は、権力によるか、それともわれわれが考えているように、独立国家として完成することであつて、現在のような駐留軍の暴行事件が解決できぬ行政協定は、即時破棄することによつて、かえつて治安確保されると私は考えるのであります。また、国民みずからが国家に信頼できる社会保障制度実施、これなくして何の治安であるか、この点、法務大臣治安に対する根本的な考え方についてお尋ねをいたしたいのであります。  次に私が、自治庁長官にお尋ねいたしたい点は、一月以降の国会において、朝には地方行政の重大なる教育地方行政からとられ、夕べには、地方自治行政の大事なる地方住民のいわゆる福祉という点について、警察行政を市町村から剥奪されているのであります。一体、自治庁長官は、責任を持つて全国の都道府県並びに市町村に対して自治行政を推進することができるでございましようか、これについて承りたいのであります。さらに、地方財政法の第二条、第十三条、第二十四条に照しまして、今回の経過措置に伴うところの市町村自治体警察が持つている財産権のいわゆる無償貸与、あるいは都道府県にこれを移管することについては、明らかに違法措置であると考えておるのであります。最後に、私は犬養法務大臣に一つだけ言つておきたい。犬養法務大臣は、現行警察法前文は、わずかに日本国憲法と、教育基本法と、警察法にだけ前文があるから、今回の警察法改正にあたつては、これを本来の姿に返すと言つておるが、これは明らかに、警察制度に対するものの考え方、教育に対するものの考え方、日本国憲法に対するものの考え方が、美本的に、従前のごとき権力国家、従前のごときいわゆる軍国主義的な国家以外にないということであります。(拍手)この点は、先ほど予算委員会において、犬養法務大臣は、私は答弁できないから、警察法ではなぜ除かれたかという点については、総理大臣からかわつて答弁していただくと言われておるので、私はあえてここで総理大臣より答弁をいただきたいと思うのでございます。  以上で私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎君登壇
  22. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。  ただいまの御質問の大半は、警察法に対する御批判として伺いましたが、政府といたしましては、過去五年間の経験をしさいに検討し、また各方面の意見をも参考にいたしまして、慎重に考究を重ねたものであり、これは、民主的にしてしかも効率的なものとし、地方自治を侵害することなく、政府治安責任明確化をはかるというような、種々の要請を調和せしめた理想的な制度だと確信するのみならず、現下の治安情勢にかんがみるときには、これを放置すべからざるものと考えるものでありまして、これを撤回する意思はもちろんございません。  それから、政府はしばしば再軍備をいたさないと言うておるが、これは再軍備の準備ではないかという御質問でありましたが、政府は、これまでもたびたび申しました通り、再軍備はいたさない方針でありますから、御質問のような解釈はまつたく当らないと存じます。(拍手)     〔国務大臣犬養健登壇
  23. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 横路さんにお答えをいたします。大体前の質問の方々にお答えいたしました点は省かせていただきます。  ただ、私は、横路さんよりも一層国家公安監理会都道府県公安委員会の地位と働きを期待し、重視しておるのでございます。これらの委員会は、あくまで府県単位警察に対する監視役として責任を果すことを私は信じておりまして、かりに政府選挙干渉などをやるならば、断固としてこれに対して監視上の役目を果すべきものであると信じておる次第でございます。  それから、刑事訴訟法の改正は、警察官行き過ぎを是認して、あわててやつておるのじやないかというような御趣旨でありましたが、そうではございません。刑事訴訟法の改正は、前の議会において審議未了になりました内容を、さらに今回在野法曹団の意見も入れまして控え目に直して提出しておるのでございます。また、司法警察官の適格審査委員会というような案も今練つておりますが、これも御承知のように、刑事訴訟法の百九十四条におきまして司法警察官ゆえなくして検察官の指揮にそむいたときは一種の罰を受けるが、そのやり方は別に定めるところによると書いてあつて、定めてございませんのを、今度定めるだけのことでございますから、御了承願いたいと思います。(拍手)     〔国務大臣本多市郎登壇
  24. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御質問の第一点は、市町村自治警察をなくすることは間違いではないかという御趣旨でございましたが、今日、御承知の通り市町村自治警察が特に独立していることが一つの欠陥であることは、世論の認めるところでございます。これを是正せんとするのが本案でございまして、私はまことに適当であると信じております。  さらに、財政法に対する違反ではないかという御質問でございましたが、これも、さいぜんからお答えいたしております通りに、政府が新たなる義務を地方団体に課する場合には、必ず必要なる財政措置を講じてやらなければなりません。その必要なる財政措置は講じてあるのでございますから、財政法に違反するとは存じません。  さらに、両制度改正につきまして、地方自治制また地方行政に重大な関係のあることであるから責任を感じておるかというお話でございますが、私も、まことにこの問題につきましては十分検討を加えなければならぬ、——その結果、国家のためによいことであると信じて賛成をいたしておる次第であります。(拍手
  25. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて警察法案趣旨説明に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  26. 山崎岩男

    山崎岩男君 残余の日程は延期し、明後三月二日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  27. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会