○加藤勘十君 私は、
日本社会党を代表して、
吉田内閣の
経済政策、とりわけ労働問題、
経済不況と兵器
生産の
関係、
貿易に対する
対策、中小在業の
対策等について、
政府の
所信を問わんとするものであります。(
拍手)
政府は、さきにいわゆる五大政綱を発表し、さらに
総理大臣その他から、本議場においてこれを敷衍するがごとき施政
方針の
演説がなされたのであります。その多くは抽象的文字の羅列であ
つて、
国民を納得せしむるに足らないものであります。(
拍手)きのうの各党代表の
質問演説に対しても、そのお答えは大同小異であり、かつ
質問の
焦点をぼかし、
国民が触れんとする急所を避けておるのであります。かくして著しく
国民を失望せしめたのである。
政府は、そのようなおざなり的な答えではなく、この議場を通じて全
国民を納得せしむるに足る具体的な
方針をお答えあらんことを切望するものであります。(
拍手)
私の第一に問わんとする労働
対策について、私は率直に申しますれば、五大政綱を読み、施政
方針の
演説を聞いて、深い失望と憤りさえ感じたものであります。さらに、
日本の将来のために悲しみをさえ覚えたのであります。一撃一今、われわれは、
日本の代表的二大
産業である
電力と炭鉱の
産業にはげしい争議が展開され、争議の当事者は
もとより、全
国民は、はかりがたき打撃を受け、
社会不安におののき、争議の一日もすみやかに
解決せんことを要望しておるとき、
政府がその
政策を発表し、
国会に臨むにあた
つてこの
国民的
関心の
焦点である争議の問題に対し、一言半句も触れるところがなくてよいであろうか。
政府は、この二つの争議が
国民生活にどのような
関係を持ち、また労働問題が
日本の
経済全般にどのような重大な
性格を持
つておるかということを承知されないのか、理解できないのか、まことに驚くべきことであります。(
拍手)われ人ともに、これでよいのかと叫ばざるを得ないのであります。しかも、この二つの争議は、全
労働者の争議の先頭を切
つて立つた氷山の一角である。あとからあとからと巨大な波浪はひつきりなしに押し寄せて、
日本産業を麻痺せしめ、
国民生活を混乱に陥れるおそれなしとはしないのであります。そのような争議は、
政府の労働問題に対する無理解に基くものである。
政府はそのことを
責任をも
つて痛感しなければならないはずである。(
拍手)
ある
意味においては、
日本の運命を左右する重大なる
性格を持つとい
つても過言でない二つの代表的争議が、かくも長引いていることは、労使両者が、
一つは強固なる団結に、
一つは独占企業に安座しているからでもあるが、また実に
政府が労働問題に対する正当なる認識を欠いておることと、争議
解決のために尽す誠意と努力をしないことに、大きな原因があるといわなければならないのであります。(
拍手)
政府は、緊急調整の権力的手段を唯一の頼みとし、いまだその発動の時期でな、とばかりに、成行きにまかせて傍観しておるのであります。
アメリカの大統領は、
国民生活に重大な
関係のあるような争議に対しては、みずから乗り出してこの
解決のために努力し、労働長官の、ごときは、寝食を忘れて東西に奔走しておるありさまである。
日本においても、
政府が真に問題の性質を理解し、ぜひとも
解決しなければならないと欲する熱意があるならば、あえて緊急調整の法律などにとらわれることなく、裸にな
つて、至誠を労使両者の腹中にしき、
政府の運命をかけて
解決のために努力するならば、
解決は必ずしも困難ではない。(
拍手)
政府がこの挙に出ないで、傍観的
態度をと
つておることは、これを善意にとれば無能の表明であり、これを悪意にとれば、
政府の意図は、
労働者に対する
社会的反感を助長し、
国民の安易なる愛国心をあおり、弾圧法制定の口実を設けて、再軍備のための兵器
生産の問題を一挙に
解決せんとする底意を有するものとい
つても過言ではないのであります。(
拍手)
政府は何ゆえにあつせんに乗り出さないのか。ことに労働省は、他の行政官庁と異なり、サービス省であることがその
性格である。私には、
政府がこのような
態度をと
つておることは、どうしても理解できないのであります。
政府は、その真意を披瀝して、
国民の疑惑を一掃しなければならないと思う。
さらに、
国民の前には、
政府と
国会との協力によ
つて、ぜひとも
解決しなければならない問題として、第一には、国鉄の裁定案、第二には、電電公社の調停案、第三には、人事院の勧告案、第四には、近く出されるであろう専売公社の裁定案等が相次いで
解決を迫
つておるのであります。私は国鉄の裁定案、電電公社の調停案、人事院の勧告案等が
政府によ
つて、あるいは
実施期日において、あるいはその
予算化において、裁定案、勧告案を裏切
つておることは実に不満であります。公共企業体の従業員並びに公務員
諸君は、法律によ
つて争議権を奪われておる。実力によ
つて生活条件を闘い取ろうとしても、その方法がないのであります。裁定は、法律によ
つて労使双方に服従の義務を規定しておる。
政府が財源不足に籍口して、その義務を履行しないことは、
政府みずから法律の精神を蹂躪するものであるといわなければならないのであります。(
拍手)これらは、いずれも
国家の公の機関が、公正に
経済の
実情、国の財源、勤労者の生活実態を勘案して決定したものである。
従つて、
政府は、道義上の義務としてもこれを実行しなければならないはずであります。
政府は何ゆえ法で定めた義務を実行することができないのか、明確にお答えを願いたい。
第二に、
中小企業に働く
労働者の生活安定と
向上化についての問題であります。大企業に働く
労働者諸君は、みずから組織し、みずから闘う力を持
つており、実力によ
つて必要な条件を闘い取ることもできるが、
中小企業、ことに小企業に働く
労働者諸君は、みずから組織することはできても、その運営に余力を持
つていない。憲法は
労働者に団結と行動の自由を保障しておる。だが、小企業に働く
労働者諸君は、生活
向上のために必要とする条件をみずから闘い取る力を用い得ないのである。同じ仕事に従事しながら、大企業に働く
労働者と比較して、あまりにも劣つた条件を押しつけられておるのであります。いかにしてこれが
均衡をはかるかは、
もとより大問題である。しかし、いかに困難な大問題であろうとも、ぜひとも
解決されなければならない問題であります。これを
解決する道はいろいろありましようが、なかんずく
社会保障制度を確立して、実質的給与の
均衡化をはかることが最善の道だと思われる。その
意味において、
社会保障制度は、
生産意欲増進の道だとも言うことができるのであります。
政府は、せめては
社会保障制度審議会の答申に基く程度のものは実行するのでなければならないと思うが、これを実行する意思ありやいなや、厚生大臣からお
伺いしたいのであります。
第三に、土木建築に働く
労働者諸君の生活安定に関する問題であります。同じ
労働者の中でも最も恵まれない運命にある人は、公共職業安定所を通じて働く自由
労働者の
諸君ではありますまいか。今日、これらの
労働者を加えて、土木
産業に働く
労働者の数はおよそ百五十万人といわれております。これらの
諸君は、低い賃金の上に、就業た安定を欠き、賃金以外には何らの保障もないのであります。憲法は文化的にして健康なる生活を営むことを保障しておりまするが、実際には、これらの
諸君は、絶えず生活不安に脅かされ、基本的人権すら保障されていないありさまであります。これらの
諸君に対し、せめては健康保険加入の道を開き、あるいは労働保護法を制定して生活の安定をはかることは、人道上の義務でさえあると考えられるのであるが、
政府は一体どのように考えられるか。(
拍手)あるいは、
政府は口ぐせのように、財源がないとか、手続がめんどうだとか言われるかもしれないが、大企業に対する保護
施策から見れば、百五十万人の
労働者が生活不安から免れる問題である。財源があるかないかの問題ではなく、
政府に誠意があるかないかの問題である。(
拍手)これらの
産業のある部門においては、架空の事業団体をつく
つて全額負担して、加入の形式をと
つている気の毒な
労働者さえあるのであります。私は、このような
実情に基き、ぜひともこれが実現について
政府の重大なる考慮を促さざるを得ないのであります。
次に、労働
関係法規の改廃の問題について
政府の
所信をお尋ねいたしたい。御承知の通り、労働組合法は、その沿革に徴するまでもなく、
労働者の団結と行動の自由を守るための
労働者保護法である。前
吉田内閣は、これを取締法的
性格に改悪したのである。また労働基準法は、職場における
労働者の最低生活を保障する保護法である。これまた
吉田内閣によ
つて反動的な改悪が行われた。労働
関係調整法についても同様であります。
労働者の、こうごうたる反対の中に、権力的干渉を許す改悪を行つたのであります。これらの労働
関係法規を、本来の保護法的
性格に改善せんとする意思はないかどうか。私は、こうして
労働者に憲法によ
つて保障する権利を保護することによ
つて、初めて
労働者をして労働組合をして正常なる道を歩かしむることができると思うのである。(
拍手)
最後に、賃金問題に対する
政府の
所信をただしたい。ただいま川崎君は最低
賃金の問題について触れられましたが、労働大臣の
答弁はきわめて不満兄である。賃金は
労働者の唯一の生活の源であります。賃金が生活を維持し、明日のエネルギーを補給し、労働再年産を可能とするものでなければならないことは、賃金の
原則である。しかしながら、賃金はその国の
経済活動のわくの外に出ることは許されない。
経済の実態を無視した賃金は、いたずらに悪性インフレを助長するばかりで、
労働者の実質的な生活の
向上とはならないであろう。それゆえに、賃金はあくまでも
生産と伴う
生活水準を高める実質賃金に重点が置かれなければならないことはいうまでもありません。しからば、現在の
わが国の賃金の実態はどうであるか。それは
生産との比率において、また物価上昇との割合において、あまりにも低いのであります。たとえば、
生産が戦前の一三〇%以上に達し、
労働者一人当りの
生産性が著しく高められておるにもかかわらず、
生産上昇の根源である勤労大衆の
生活水準は、都会地においてはわずかに七〇%を出ずるにすぎない状態であります。物価の
上昇率に比べてもまた同様のことが言われる。このように
生産と物価と賃金とのアンバランスが、
労働者のたゆみなき闘争を呼び起すのである。ゆえに、
産業の平和を保ち、その
生産の上昇をはかろうとするならば、何よりもこのアンバランスを是正し、勤労者の生活安定が確立され、
労働者の
経営参加による
産業民主主義が徹底しなければならないのであります。この点に対する
政府の
所信をお
伺いいたしたい。(
拍手)
最近、最低賃金制制定の要求が現実に日程に上らんとするに至
つておる。ただいまの川崎君の御
質問も、この
意味にほかならないのであります。この最低賃金制制定の運動は、賃金と物価とのアンバランスを是正せんとする運動の現われにすぎない。われわれは、
原則的には最低賃金制に賛成である。要はその基準の定め方にあります。物価の変動期は最低賃金制制定の時期ではなく、物価の安定期を選ばなければならないことはいうまでもありません。現在は物価は比較的安定点にあるとは申しながら、
政府の高物価
政策、
米価の引上げ、ガス、電燈、鉄道料金の引上げ等のために、生活必需物資は安定化していない。
政府は、いかにして物価を引下げ、物価を安定せしめるとともに、実質賃金を引上げんとする方策を持
つておるか。また
産業の性質、企業
規模の大小によ
つて経済の実態が著しく異な
つておることはいうまでも、ございませんし、これは最低賃金制制定にあた
つては無視することのできない重要な要素であります。最近伝うるところによれば、労働組合総評議会は、マーケット・バスケット方式による理論生計費を根拠として最低賃金制の制定を
主張しておるようでありますが、中央賃金審議会が審議を進めつつある最低賃金制とは、
内容に非常に大きな相違がある。この点に関して、
政府はどのような
所信を持
つておられるか、明確にお答えを願いたい。
私の第二に問わんとする点は、
経済不況と兵器
生産との
関係についてであります。現在、
わが国の
経済は、
貿易の不振と、
国内購買力の非常なる減退、金詰まりとによ
つて一部の特需
関係を除いては、まつたく慢性的
不況の
実情にあります。ある業種では相当数の倒産者を出し、
失業者は増大の一途をたどり、憂うべき現象を呈しております。この深刻なる
不況を辛うじてカバーしておるものは、特需と変則的な
駐留軍費の散布とである。(
拍手)しからば、一体この
不況は克服することができないものであろうかどうか。私は決してこれは避けられないものとは思わない。現在のこの不
景気は、
自由党内閣の多年にわたる失政に基くものであるといわなければならない。
従つて、
政府の
政策さえ更新されるならば、現在の
不況から脱すること必ずしも困難ではないのであります。新内閣は、
日本の直面せるこの
経済難局を打開するために、今までの
政策を故郷して、新しき
政策を実行する勇気と、
国民に対する誠意をお持ちにな
つておるかどうか、これを聞きたい。
国土狭小、人口過剰、その上にさらに資源に乏しい
わが国としては、優秀なる
生産技術による加工
輸出による以外には、国の平和と
繁栄をもたらす道はないのである。周知のように、
吉田内閣の
経済政策は、いろいろの形による
アメリカの援助によ
つて日本経済復興を進めて行くという、その基礎の上に立てられたものであります。すなわち、ガリオアによる救済費、イロアによる
経済復興援助費、特需、新特需による物や労務の買入れ、米国からの原料物資の供給、さらに今後の問題としては、電源開発や企業合理化のための外資の導入、東南アジヤ開発に基く
輸出の
増加や、兵器
生産の拡大による特需の維持あるいは増大など、形はいろいろかわ
つておりまするが、結局は、これらの
政策が、これまでと同様に、
アメリカの恩恵にすがろうとする卑劣なる従属
政策であるといわなければならないのであります。(
拍手)
日本国民にと
つて、
日本の
経済再建の根本
方針は、何と申しましても、独自の立場において
生産と労働との
均衡の上に立てられた
貿易の
発展をはかる以外にはないのであります。しかるに、
政府は、
経済不況の打開策として、兵器
生産に重点を置かんとしておりまするが、およそこれくらい危険きわまる
政策はないのであります。(
拍手)かくのごとき
政策をとることは、第一に、
日本をして知らず知らずの間に
世界争覇の火中に巻き込むことになり、不幸にして、もし
大戦が勃発せんか、全
国民の意思に反し、戦争の仲間入りを余儀なくされることにな
つてしまうのであります。また第二には、兵器
生産に依存するときは、その受注に変動がありましたとき、
わが国の
経済は、ただちにパニックに襲われる危険さえなしとしないのであります。いずれの点から見ましても、
政府が、現下の不
景気を兵器
生産によ
つて打開せんとする
方針をとることは明らかに誤りであり、われわれは断じて承服しがたいのであります。
か
つて、吉田
総理は、また昨日の議場においてもそうでありましたが、
世界の情勢は戦争よりは平和の方向に動いておると言つたことがあります。今日なおこの考えを持
つておいでになるとするならば、
政府はこの
総理の
方針に基いて平和的
経済政策を樹立し、
輸出貿易の
発展にこそ主力が注がるべきであるにもかかわらず、戦争への近道としての兵器
生産に重点を置くということは、吉田
総理の考え方と矛盾しておる。(
拍手)それでも、吉田
総理は、いつの間にか
世界情勢は平和よりは戦争への方向にかわ
つておるとでもお考えをおかえに
なつたのかどうか。
世界戦争を予想し、無条件にこれに追従するが、ごとき兵器
生産の拡大育成の
方針には、新
日本の建設、国際平和への寄与、
国民生活の安定のために、私は断固として反対する。(
拍手)かくのごときは、極度に戦争を嫌悪し、平和をこいねがう
国民の意思と感情を無視した反
国民的
政策であると断ぜざるを得ないのである。(
拍手)この点に関し、私は特に
吉田総理大臣から、腹をすえた、明確なる御
答弁を願いたい。(
拍手)
第三に問わんとする点は、
日本の
貿易政策についてであります。御承知のように、今日の
貿易状態は、
政府の予想を裏切
つて沈滞に沈滞を続け、遂に今日の
不況を見るに至つたのであります。これが原因を追究しますれば、
もとより一、二にしてとどまらないであろうが、
政府の
貿易政策もまた
貿易不況の主要なる原因の
一つであると数えなければならないのであります。
日本は、食糧、綿花、鉄鉱石、粘結炭を初め、重要物資の大部分をドル
地域から輸入しておるにもかかわらず、ドル
地域への
輸出はこれと
均衡が保たれていない。
従つて、正常
貿易だけについて見れば、常に輸入超過であります。特需とか、その他の
貿易外収入によ
つて、わずかにこれを補
つておるありさまである。
わが国は、今やドル
地域、ボンド
地域、オープン・アカウントの
地域全体にわた
つて再検討しなければならない
段階に来
つておるのであります。
元来、
日本経済の
実情は、ドル
地域よりはポンド
地域と深い
関係があり、
日本が
経済自立を達成しようとするためには、どうしてもポンド
地域との
貿易の拡大をはからなければならないのである。しかるに、現状はまつたく反対であります。ポンド
地域への
輸出は、
英連邦諸国の輸入の制限措置によ
つてますます減少の一途をたど
つておる。もし、このままの状態で推移するならば、繊維製品を初め多くの商品は頭打ちとならざるを得ない状態である。ポンド
地域に対する
政府の
方針は、ここ数年題動揺常なく、
方針が定まらなかつたのであります。すなわち、
輸出増加が問題に
なつたかと思うと、翌年はその不振に悩み、輸入減少が心配されたかと思うと、次には過剰輸入が問題になる。こういうありさまは、一にこれ
アメリカの依存という安易さから来たものであるといわなければならないのであります。
政府は、最近、鉄鋼製品、また極度に
輸出不振に陥
つておる繊維製品に対して米綿
輸出リンク制を採用して
輸出の
振興をはからんとしておりまするが、この程度の措置では、ポンド
地域への
貿易振興は困難と思われる。業者はもちろん、識者は、
日本の
貿易の不振と
国内経済不況とを結びつけて、先行きを非常に憂えておるのであります。
政府は、本
国会において科学的根拠に基く
貿易増大の将来の見通しを明確にして、
不況打開の具体策を示し、
国民の不安と憂慮を一掃することに努められたい。
政府は、日英支払い
協定の
改訂、英国が
行つておる輸入制限の措置に対し、その打開のために、積極的に
交渉すべきであるし、また
交渉しつつあることと思うが、現在一体どの程度に
交渉が進行しておるか、その点を明らかにしてもらいたい。また
アメリカに対しては、
アメリカが一方においてガリオア、イロア等によ
つて日本の
経済復興を援助するかと思えば、他の一方においては、
日本の商品に対し、関税の障壁を設けてこれを阻止せんとしておる。これは明らかに
アメリカの矛盾である。ことに共和党の新政権下においては、共和党の
性格から、この
傾向は一層強まるものと思うが、
政府はこの
傾向に対してどのように観察し、どのような
方針をも
つて対処せんとするつもりであるか。この点に対して、
通産大臣、外務大臣等から、その
所信のほどをお
伺いいたしたい。
また、隣国中国との
関係であるが、元来中国は、
わが国にと
つて有力なる原料供給国であり、有数なる
市場であつた。
両国が密接な
関係にあつたことは、あまねく人の知るところであります。戦後、中国の政治的変革が行われ、これに伴
つて経済構造が変化し、
わが国の
生産内容の変化と相ま
つて戦前の状態を再現することは不可能であるが、しかしながら、
両国の
関係が回復するならば、
日本にと
つて、中国は、東南アジア諸国と同様に重要なる
関係を持つことは、争われない事実であります。
日本は中国に対しても正常な
関係を回復するために、できれば
両国間の平和
関係を回復するために政治
交渉が行われることが望ましい。しかし、現在の国際情勢の
もとでは、ただちにそのことを望むことはできないであろうが、せめては
経済関係の正常化をはかるために、
政府は一体どのように考えておられるのか。(
拍手)
われわれは、
日本を
独立国とするために、
日本との平和
条約に署名し、批准した国々が、
日本が完全な
独立国となるために、その裏づけとしての
経済自立のために必要とする諸
外国との
経済交渉を妨害するとは思われない。
日本は、道理のあるところ、国際正義に従う限り、だれに遠慮することはない。
所信に向
つて邁進すべきである。(
拍手)
政府は、
アメリカの鼻息をうかがうにきゆうきゆうとしてかえ
つて他の国々からあなどりと反感を招いているとさえ思われる。
政府は、このようなそしりをしりぞけるためにも、卑屈な
態度を一擲し、
アメリカに対して堂々たる
交渉を進めなければならないと思う。この点に対しても、私は外務大臣から、ほんとうの腹を割つた御
答弁を願いたいと思うのであります。
さらに、東南アジア諸国、近・中東諸国との間にも、どうして国交の調節をはかり、
貿易の
振興をはからんとするか。われわれにと
つては、こうした国際
貿易上の問題を総括して
政府の具体的な説明を聞かんとするものでありまするが、さらにわれわれにと
つて一層重要なことは、
貿易不振による
国内の
不況、
中小企業の倒産、
失業者の増大をかかえて、一体企業
対策をどうしようというのか。この点に対しても、何ら
政府は具体的に案を示すことがないのであります。
さらに、いま
一つ重要なことは、輸入食糧と内地
生産との
関係であります。食糧は
国民生活の基礎物資として、その供給の潤沢なことは
もとより望ましいのでありまするが、年々巨額の輸入は、
国民経済に耐えがたき重圧を加えておる。現在、米、麦などの輸入の
状況は、どこの国から、どの程度に輸入されつつあるか。またその将来の見通しいかん。この点に対しては、
農林大臣から、次の項とあわせて、
所信ある
言明をお
伺いしたいのであります。(
拍手)
すなわち、
農民が食糧
生産に精魂を打込んでその生活を楽しみ得る、換言すれば
生産費を償
つてなお若干の余裕がある
価格で買い上げ、自給自足の体制を整え得られるように、食糧
価格の引上げの問題、農村の総合的開発に関してのお考えを
伺いたいのであります。ただいま川崎君の
質問に対してお答えに
なつた点は、多少この点に触れておるようでありますが、私の
質問の
焦点と、川崎君の
質問の
焦点とはおのずから異
なつたものがありますから、この点は決して省略することなく、具体的な説明をしてほしい。もちろん、この場合、買上げ
価格が消費者の負担に転嫁されないように、二重
価格制をとる必要があることは言うまでもありません。二重
価格制のために
政府が
財政上の負担となるにしましても、高価な輸入食糧のために負担しておることを思えば、大した苦痛ではないはずである。
農林大臣はどのようにお考えになるか。この点もあわせて御説明を願いたい。
第四に私の問わんとする点は、
中小企業対策についてであります。
わが国の中小工場は、その数において全工場の九割以上を占め、その
生産高において六割、その従業員数において全工業
労働者の七割を占めているのであります。言葉をかえて言えば、
中小企業は
日本の
経済の中核をなすものであるといわなければならない。このような
日本経済の上に重要な地位を占めている中小工業が、今日見るような窮乏状態に陥つたことは、ある
意味から言うならば、
日本経済の
活動を半身不随に陥れたものであるといわなければならないのである。(
拍手)
中小企業のこのような困窮は、単に重大なる
経済問題であるばかりでなく、実に大きな
社会問題であるといわなければならないのであります。しかるに、
政府は、もつぱらこれを
金融の面からのみ取上げようとしておる。しかも、
政府の言う
金融施策は、わずかに
国民金融公庫などに若干の
政府の出
資金を増額し、年末融資のある程度のわくを広げようというのにすぎない。
中小企業に対する本格的な
金融措置を講ずるがためには、第一に
中小企業の
生産性を高めるに必要なる
生産技術の
向上、第二に設備の更新、第三に精密技能の助成、これらを科学的に分析し、
長期融資を目的とした
政府出資の専門的
金融機関の設置をぜひとも必要とするのである。この
構想に対し、
大蔵大臣は一体どのようにお考えになるか、確固たる御
答弁を願いたい。官僚の書いたメモでは不足である。(
拍手)
中小企業の極端な行き詰まり、金詰まりを打開するために、応急策として
金融措置が講じられなければならないことはいうまでもありません。だが、
中小企業行き語まりの原因は、必ずしも金詰まりが第一義的なものではなく、むしろ
政府が
日本の
産業、
経済における
中小企業の価値を正当に認識せず、
産業、
経済、
金融政策を樹立する場合に、常に
中小企業を無視もしくは軽視して立案されたところに、ほんとうの原因が存在しておるのである。(
拍手)この根本的原因に触れないで、単に
金融措置を講じても、一時的、弥縫的な応急策としてより以上に出ることはできないであろう。
中小企業問題に対し、
政府や
金融業者が最近著しくあわて出した。このことは、
中小企業の窮状があまりにも深刻化し、大企業との関連において放置することができなく
なつたからであ
つて、大企業は、特需の危険を
中小企業に分散せしめる必要から、にわかに
対策としてあわて出したにすぎないのである。ほんとうに
中小企業の価値を正当に認識し、その上に立
つての
中小企業の自主的
発展を考慮した結果ではないのであります。
自由競争を最上のものとして
主張して来た
自由党の
経済政策は、別な言葉で言えば弱肉強食である。大きなものが小さなものを、強いものが弱いものを搾取するに都合のいい考え方である。(
拍手)池田
通産大臣は、か
つて大蔵大臣の当時、
中小企業者が五人や十人死んでもしかたがないと放言したが、これは無意識に
自由主義経済の本音を吐いたものであるといわなければならないのであります。(
拍手)池田
通産大臣は、今もなおこのような考え方を持
つておいでになるかどうか、この席上においてはつきりと御
答弁を願いたい。
中小企業が関連下請工場として大企業から受けておる重圧は、数字には明示し得ない大きなものがあります。
中小企業の金詰りの原因は、
中小企業庁が発表した
中小企業金融実態調査の示している通り、その第一が税負担の……。