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1953-03-10 第15回国会 衆議院 法務委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 田嶋 好文君    理事 松岡 松平君 理事 松山 義雄君    理事 小畑虎之助君 理事 猪俣 浩三君    理事 田万 廣文君       小林かなえ君    福井 盛太君       古島 義英君    大川 光三君       長井  源君    多賀谷真稔君       古屋 貞雄君  出席政府委員         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         検     事         (矯正局長事務         代理)     高橋  孝君  委員外出席者         法務事務官   樋口 忠吉君         判     事         (最高裁判所事         務総局第一課         長)      磯崎 良譽君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 三月九日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  山口丈太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員山口丈太郎辞任につき、その補欠として  多賀谷真稔君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月五日  売春等処罰法案伊藤修君外四名提出参法第  一〇号)(予) 同月六日  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一一〇号)  (参議院送付) 同月四日  売春法制定に関する請願福田赳夫紹介)(  第三四九四号)  同(高瀬傳紹介)(第三四九五号) 同月六日  釧路市に高等裁判所並びに高等検察庁支部庁舎  設置請願伊藤郷一君紹介)第三五七〇号) 同月七日  印章法並び印刻師法制定に関する請願松岡  松平紹介)(第三六六三号) 同月九日  十勝池田検察庁庁舎建築に関する請願伊藤  郷一紹介)(第三七七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聴会開会承認要求に関する件  少年法の一部を改正する法律案内閣提出第六  七号)  少年院法の一部を改正する法律案内閣提出第  六八号)  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案  (内閣提出第一一〇号)(参議院送付)     —————————————
  2. 田嶋好文

    田嶋委員長 これより会議を開きます。  公聴会開会に関する件についてお諮りいたします。すなわち現在審査中の刑事訴訟法の一部を改正する法律案は、刑事手続に関しきわめて重要な改正をなさんとするものでありますので、広く各界の意見を聴取するために公聴会を開きたいと存じます。公聴会を開くためには衆議院規則第七十七條によりまして、あらかじめ議長承認を得なければなりませんので、その旨議長に申入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお議長承認があれば開会することとし、開会日時の決定、公述人の選定、その他所要の手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければさようとりはからいをいたします。     —————————————
  5. 田嶋好文

    田嶋委員長 少年法の一部を改正する法律案及び少年院法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。  この際配付されました少年不純異性交遊原因調資料について政府委員より説明を聴取することといたします。
  6. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 先般猪俣委員から青少年犯罪問題に関しまして、昭和二十六年度から二十七年度にわたつて強姦罪数字を見ますと、それが急激に増加しておることなどの問題に関連しまして、これの原因というものがどこにあるかというような御質問がございましたが、その御質問に基きまして、犯罪原因等について一応調査いたしましたけれでも、的確な資料が見当りませんでしたが、警視庁調べました少年不純異性交遊原因調というものがございまして、これによつて少年犯罪の温床とも見られます不純異性交遊原因がどういうところから出ておるかというようなことに関連しまして、昭和二十五年度において警視庁で補導されました不純異性交遊少年数は、男が千二十名、女が千三百四十二名、合計二千三百六十二名になつております。このうち不純異性交遊を始めました原因調査いたしましたところ、お手元に配付いたしました参考資料にございます通りに、ダンス、映画、友人の猥褻談出版物、こういうふうな順序になつておりまして、猪俣委員から御質問がありました巷間に流布されておる出版物強姦罪急増について何らかの原因を持つておるのではないかというふうな御質問の点に関連しまして、いわゆる出版物——これは猥褻出版物のことでございますが、この出版物原因なつている不純異性交遊ば、全部のパーセンテージから見ますと、大体九・一%を占めておるようでございまして、相当原因と見られるような数字なつておるのでございます。以上の点から申しまして、強姦罪等急増につきましてもこの猥褻出版物相当影響力を持つているという結果になるのではないか、こういうふうに考えております。大体以上の通りでございます。
  7. 田嶋好文

    田嶋委員長 質疑の通告がありますからこれを許します。田万廣文君。
  8. 田万廣文

    ○田万委員 青少年犯罪について私もいろいろ憂慮しておる点が多いのですが、ただいま政府委員お話でその犯罪原因たるいろいろの事実がわかつたのですが、ちよつと私がここでお聞きしたいのは、今お話なつたいわゆる出版物、俗にエロ本といいますか、そういうものに関する取締りは、当局の方ではどういうふうなことをやつておるのですか。
  9. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 法務省矯正局といたしましては、直接この犯罪検挙面にタツチしておりませんので、所管政府委員からお答えするのが相当だと考えますが、うかがい聞いておるところによりますと、あまりにはなはだしい猥褻的な出版物につきましては、適宜に調査し、検挙をやつておるようでございます。以上の通りでございます。
  10. 田万廣文

    ○田万委員 検挙の面にタツチしておられぬあなたに私がこういうことを聞くのは無理かもしれないのですが、全然わかりませんか。わかればちよつと聞きたいことがあるのですが……。
  11. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 直接関係しておりませんので、どうもはなはだ恐縮でございますが、所管政府委員の方が適当ではないか、この程度でございます。
  12. 田万廣文

    ○田万委員 終戦後特にひどくなつているのはばくちですが、このごろ町でおとなまで非常に熱狂してやつているパチンコ、このパチンコなんかが青少年犯罪にどういう影響があるか、よくお調べなつていると思いますが、どういう結果が出ておりますか。私は国の方で弁護士をやつておるのですが、パチンコに行く金がなくなつて窃盗をやつている青少年が非常に多いわけです。そういう点からお尋ねしておるわけです。
  13. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 ただいまの点でございますが、今のパチンコ青少年犯罪についてどの程度原因をなしておるか、これも的確な資料ではございませんけれども、私の個人的な経験から申し上げますと、窃盗、恐喝といつた犯罪につきましては、パチンコ等に深入りした結果に基くと認められるような場合が相当多いように考えております。
  14. 田万廣文

    ○田万委員 青少年犯罪原因はいろいろあろうと思うけれども家庭的に両親十分取締らなければならない年ごろの青少年を放置いたしまして、なすがままにまかせている。監督不十分であるというところにも、青少年犯罪が多くなる原因が私はあると思う。ただいま私の手元に出されております少年不純異性交遊原因調という書きものを見ましても、家庭状況青少年犯罪原因があるというようなことについて記載されておらぬわけでありますが、そういう点は全然ないのでございますか。
  15. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 これは先般お手元に配付しておきました青少年犯罪に関する諸表と題する参考資料の中に、簡単ではございますが、少年院在院者非行原因調という参考資料に、これは矯正局の方で昭和二十七年十月末現在で、在院者全員についてその犯罪原因につき調査いたしましたところ、参考資料にございます通り原因別といたしましては家庭環境が不十分である者、すなわち家庭が欠損しておりますとか家庭が不和でありますとか、家庭がふしだらでありますとかなお貧困でありますとか、そういうふうな家庭的環境が不完全であるということが原因一つ考えられる数字が全部の三三・八%を占めております。その次に教育上の欠陥、これが全体から申しますと一四・五%。次に本人経済上の欠陥、これが全体の数字から見ますと二二・二%大体おもな犯罪原因数字的に見ますと、そういう結果が出ております。ただいま御指摘のように家庭上の欠陥、これが少年不良化につきましては相当高い原因をなしているように考えられます。大体以上の通りであります。
  16. 田万廣文

    ○田万委員 どこの町に行きましても、青少年相当悪質になつている諸君をたくさん見受けるのでありますが、こういうある意味から言えば気の毒な迷つている小ひつじを矯正することについて、政府の側におきましてはどういうような方法によつてこれを矯正するか、その点についてお考えをお聞きしたい。
  17. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 まず矯正局所管の事柄から申しますと、御承知の通り犯罪少年につきましては、刑罰として少年刑務所に収容せられる者、次に保護処分といたしまして少年院に収容せられる者がございますが、特に少年院関係でございますと、少年院には少年院の種別といたしまして初等少年院中等少年院特別少年院医療少年院、この四種にわけてそれぞれそれに相当する矯正教育を施しているわけでございます。その内容につきましては概略を申し上げますと、まず一般の学校教育相当する者、それから職業補導を行う者、その間本人の性格を矯正するために、日常少年院の内部におきまして、教官がその矯正に当つている次第でございます。なお矯正教育を実施して参りますうちに、成績優秀なものについては処遇段階を設けまして、次第にすべての処遇面において緩和した処遇をし、社会に復帰できるような準備態勢をとつているのでございます。なお少年問題につきましては矯正局関係収容施設のみで決して事足りるわけでもございませんし、社会のすべての分野において、たとえば厚生省関係でございますとか、文部省関係でございますとか、そういうものと一環となつて、総合的な犯罪防止対策というものが考えられなければならないと考えます。かような意味中央青少年問題協議会というような機構も今度新たに設置されるように聞いておりますが、各省におきまして、青少年の問題については総合的な施策が特に必要になつて来るのではないか、かように考えております。
  18. 田万廣文

    ○田万委員 少年院において逃亡事件なんかがときどきあるように聞いているのですが、その実態について御報告願いたい。
  19. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 少年院におきましては、結論的に申しまして相当多数の逃走事故を出しております。昭和二十六年及び二十七年度におきます少年院における逃走事故の概数を申し上げますと、大体次の通りなつております。昭和二十六年度におきましては全部で六百九十三件、これを人員にしまして千五百四十七名、なおその内訳は構内から逃走しましたものが、六百三十三件、これを人員で見まして千四百七十六名、次に構外から逃走いたしましたものは六十件、人員にいたしまして七十一名、こういうふうになつております。昭和二十七年におきましては、二十六年より多少減つておりますが、全部で四百六件、八百六十六名、これを構内構外の区別で申しますと、構内における逃走事故が三百三十件、七百七十一名、構外から逃走しましたものが七十六件、九十五名。大体逃走件数は以上の通り数字を示しております。
  20. 田万廣文

    ○田万委員 そういうような逃亡事件が頻発しておる原因として、いろいろ考えられる問題があると思うのですが、一番大きな原因は何になつておりますか。それに対して矯正局ではどういうふうな手を打つておるか。
  21. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 少年院におきましては、少年刑務所と違いまして、その矯正教育的観点から、少年院施設自体を開放的な施設にいたしまして、運営管理をやつております。なお開放的という意味は、少年刑務所におきまするように鉄格子などを設けておらないような関係もございまして、少年取扱いが非常に開放的な取扱いなつておるというようなことと、次に少年院は、少年の年齢が従来十八を限界としておりましたところから、二十歳までに引上げられましたような関係もありまして、少年院も現在拡充の段階にございますし、さような関係職員の数等につきましてもまだ充実しておるとまで行つておらないような関係もございまして、逃走件数も、刑務所等に比較しますと、相当多い件数を示しておるような次第でございます。
  22. 田万廣文

    ○田万委員 それは報告だけであつて、どういうふうな対策を講じておるかということについての御答弁がないのです。  それとあわせてお尋ねしたいのは、私もある少年院を見に行つたことがございますが、非常に殺風景です。しかも遊び盛りの年ごろの子供がたくさんおる。そういうような場合において、やはり精神的に何らかの娯楽を与えてやるということが非常に必要なことじやないかと思います。ただでさえ冷たいところである。その冷たいところをあたたかくする、娯楽的な設備を何らか考慮する必要がある。逃亡原因は確かにそこにあると私はにらんでおる。それに対してあなた方は、従来どういう考え方をして、また今後どういうことをやろうとしておるか、それを聞きたい。
  23. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 ただいま御指摘のように、施設が開放的な施設をとつております関係上、この逃走事故を防止するためには、まず職員の精神的な少年に対する影響面から、逃走事故を防止するということが必要になつて来ると思います。  次に在院者に対するレクリエーシヨン等につきましても、少年に対するレクリエーシヨンをできるだけ充実して行くような方向で今努力しておる次第でございます。
  24. 田万廣文

    ○田万委員 私の聞きたいのは、具体的な問題です。政府委員は非常にかた苦しい答弁をしておられますが、もつと砕けて、どういうようなレクリェーシヨンをやつておるか、どういう娯楽を与えておるかというような点を、ひとつ砕けて話を聞かしていただきたい。
  25. 樋口忠吉

    樋口説明員 ただいま少年院逃走が非常に多い。その原因は何であるか、またその対策としてどういうことを考えておるかというお尋ねがありました。私ども少年院逃走が非常に多いということにつきましては、まことに申訳ないと考えておる次第でございまして、その対策としましては、これはいろいろあるのでございますが、ただいま政府委員からも数字をあげて御説明申し上げました通り逃走件数及び逃走人員は順次毎年々々減つておるのでございます。これはどういうことが原因でこういうふうに減つておるか、減つておるといいましてもなおかつ相当件数はあるのでございますけれども、しかし年々減りつつあるということは事実なのでございます。これはどういう点にまずその原因があるかということをいろいろ考えてみますに、昭和二十四年に少年院が一時にたくさんできました関係で、予算的な措置が十分にとれなかつたということが、まず一番最初に逃走相当多かつたということの原因一つとして考えられるのであります。しかしながら一年たち二年たちますと、だんだんいろいろなレクリエーシヨンの道具とかその他の設備も漸次整つて参りまして、二、三年前に比べますと、どの少年院も少しずつ内容的にはよくなつておるということを申し上げることができると思うのでございます。従いまして逃走件数どもてきめんに減りつつあるということになつておるのでございます。  それから娯楽内容でございますが、これも新しくできました当時は、初度設備費として、各少年院にありましたものは収容費関係で約五万円くらいなものであります。五万円といいますと、たとえば野球のグラヴを一組全部買うに不十分な程度予算しかまわせなかつたのであります。なるべくそういう方面への予算をよけいもらうように逐年少しずつ努力いたしておりますし、また現実に少しずつふえてもおります関係で、いろいろ少年院の中でのレクリエーシヨン種類もふえておりますし、内容もまた漸次充実しております。こういうようなことがまず逃走が非常に多かつたのが、この程度まで少くなつた原因一つじやないかと考えるのでございます。そのほかにもう一つは、昭和二十四年に少年院が一時にたくさんできました関係で、新たに職員を採用いたしました。これは大体経験のない職員でありました関係で、いろいろ子供取扱いとか、指導の方法教育の技術的な面、そういう面で当初は不十分な点も確かにあつたかのように見受けられるのでございますが、これなども毎年逐次経験を積みますに従いまして、職員の方もなれて参りまして、だんだんそういう面での、当初私どもがねらつておりましたところへ一歩々々近づきつつ現在あると思うのです。今後も職員研修、これは初等研修、それから専科研修というふうに、いろいろ段階をわけまして、一年中ほとんど何人かは常時中央に集めたり、ないしはブロツクごとに集めまして、職員研修もしておるのでございますが、こうして職員の質的な向上も一面はかつておる次第でございます。この逃走件数が非常に多いということにつきましては、私ども社会に与えます不安もございますし、また出ました子供は、もちろん金を持つておるわけでもございませんし、何かまたいたずらなどをいたしますと、いろいろな点で子供自身も不幸になると思いますので、こういうことの少しでも少くなりますように努力しておる次第でございます。
  26. 田万廣文

    ○田万委員 最後に一つだけ……。ただいま逃亡した少年であつて逃亡後においていろいろ犯罪を犯しておると思われるのですが、その実例なんか相当つておると思うので、あなたの方で凶悪犯なんかそのうちでありますか。ありましたら一つ……。
  27. 樋口忠吉

    樋口説明員 逃亡後におきまして凶悪犯を犯した者があるかどうかというお尋ねでありますが、私の持つております資料には、凶悪犯を犯したということを聞いておりません。窃盗相当つておるようでございますけれども、強盗とかそういつたような種類のものをやつたということをまだ聞いておりません。
  28. 田万廣文

    ○田万委員 けつこうです。
  29. 猪俣浩三

    猪俣委員 これはきよう資料をお持ちでなければ後日でもよろしいのですが、今御存じのように、駐留軍基地における風紀の頽廃が、教育界の大きな問題になつております。被害者が日本の少年に多数あると思うのであります。そこで駐留軍基地少年犯罪との関係をお調べなつたことがあるかないか。もしさような調査ができまするならば、本委員会に御報告願いたい。ただ、ここで答弁をいただけるなら、それに越したことはありませんが、それについての御意見を承りたいと思います。もう一ぺん繰返しますが、駐留軍基地を中心とした少年犯罪調査統計であります。
  30. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 現在までのところ、駐留軍基地との関係犯罪状況調べたことはございませんので、後刻調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
  31. 猪俣浩三

    猪俣委員 いま一つ青少年問題協議会設置法というような法案がほかの委員会で審議されておるようでありますが、これは法務省で立案されたのであるか、あるいは厚生省あたりの立案であるか、その内容は一体どういうものであるか、もし御説明願えれば説明していたたきたい。
  32. 樋口忠吉

    樋口説明員 ただいま内閣中央青少年問題協議会設置に関する法律案のことについてお尋ねがございましたが、これは主務官庁内閣でございます。内閣で起案いたしまして、今国会提出しておるはずであります。この内容は、私の聞いておるところによりますと、もともとこの中央青少年問題協議会と申し上げますのは、青少年不良化防止に関する一つの国家的な機関として、関係各庁、たとえば法務省でございますとか、厚生省文部省、労働省、こういつた各関係省が寄り集まりまして、そうして有機的な連携をとつて一つ対策を立てて動かして行こう、こういうねらいで従来できておつたのでございますが、それを今国会において法制化するというふうに聞いております。
  33. 古島義英

    古島委員 少年院に関する改正案が出ておるのでありますが、少年犯罪がどうして起るかという根源をつかずして、ただいたずらに枝葉末節改正いたしても、何もならぬと思うのでありますが、どういうわけでこういう少年犯罪がだんだんふえて来るかということの根源をつきとめて見ましたか。もしあなたの方でそういう根源をつきとめたならば、その御発表を願い、それに対してどういう対策があるか承りたい。
  34. 高橋孝

    高橋(孝)政府委員 犯罪少年犯罪原因がどういうふうになつておるかという点につきましては、先ほども簡単に御説明いたしましたように、参考資料として、配付いたしました少年犯罪に関する諸表というものの中に、一応昨年十月末現在で少年院在院しておる者の全部につきまして、その犯罪原因調べたものがございます。それによりますと、家庭環境が不完全であるために犯罪を犯したというものが、全部の三三・八%を占めております。なお家庭環境が不完全であると申しますのは、両親がないとか、家庭的に不和があるとか、家庭関係が非常にふしだらであるとか、そういう家庭上の欠陥に基くものが、先ほど申しましたように、三三・八%こういうふうな数字を示しております。次に教育上の欠陥があるというふうに認められるものが、全部の一四・五%を占めております。次に少年がたとえば失業しておりますとか、生活をして行くだけの技能を持たないとか、そういうような本人経済上の原因に基くものが全部の二二・二%、その他社会的生活をなして行くために本人欠陥を持つておる、たとえば不良な者と交遊しておるとか、考え方普通人に比べて偏向しておりますとか、趣味や娯楽に耽溺するとか、そういうことが犯罪原因と見られますものが二二・五%、大体こういうふうな数字を示しております。なお少数ではございますが、本人の身体上の欠陥に基くもの、このために犯罪に陥つたというようなものが一%、次に精神上の欠陥に基くと認められる者が五・九%、大体数字的に原因別にあげますと、以上のような結果を示しております。従いまして犯罪を予防するためには、ただいま御指摘のように犯罪原因を除去するということが第一番に考えられなければならないところでございますので、在院中におきましては、犯罪原因家庭関係に基くような場合には家庭環境矯正をして行く、なお教育上の欠陥犯罪原因と認められるような者については、在院生活中にそれぞれ適当な教育を済ましてこの欠陥を補う、なお本人生活して行くだけの職業を持たないとか、なまけぎみのために十分の佳酒資料を持たないとか、そういうものにつきましては本人社会に復帰した場合にまじめに職業につき得るように、在院期間にその方面教育を個別的にやつて行く、こういうような方法犯罪原因を取除くということで教育を実施しておるのでございます。なお少年院を出ましたならば、これは保護局関係施設におきましてそれぞれ退院後の少年について、ただいま申しましたような欠陥があればその欠陥を取除くというようなことで、できるだけこの犯罪原因なつておるものを除くということで、再び犯罪に陥らないように運営しておるような実情でございます。
  35. 古島義英

    古島委員 政府委員説明ちようど肺病患者が多いが、かぜを引いているやつが多いから肺病が伝染するのだ、そこでかぜを引く者をなくすというような考えと同様であります。そんなことではとてもこの少年犯罪というものは減少するわけにはいかぬ、家庭の環境が悪い者はつい悪に伝染しやすいのです、あるいは学校の教育が未熟であつた者は伝染しやすいのです、あるいはまた自分が経済上恵まれなかつたのでそういう悪に感染しやすいと言うだけで、その悪の起るもとを尋ねてそれを芟除するにあらずんばとうていこれは改良できるものではない、犯罪がどういうわけで起つたか——家庭の環境が悪かつた、あるいは経済上の状況が悪かつた、教育が未熟であつたという途中からあなた方は考えて行くから根本的な改良ができないのであります。子供はどんなことがありましても模倣性がはなはだ強い。何を模倣するかというと、いろいろな悪いことをやつている者が世間にあるからそれを模倣してやるので、今猪俣君が質問をいたしました進駐軍所在地は犯罪が多いかどうか、その資料さえも集めてないというようなことが——一週間ほど前に横須賀で集会をしたではないか。それで進駐軍所在地は至るところ少年犯罪が多い、これを何とかせねばならないということでこの間それを新聞にまで発表しております。ところが政府の諸公がまだこれを研究していない、表がとつてないということなどはあまりに手ぬるいやり方なんです。たとえて言えば進駐軍の所在地においては変なエロ行為のようなまねをする者がなかなか多い、そうしてまた一方今度は競馬場のまわり、競輪場のまわりにばくちのまねをする者がはなはだ多い。しかも今度はハイアライを始めるというようなばかげたことをやつている。だんだん犯罪の温床をこしらえて途中からかぜを引いたものをなくすれば肺病が少くなるというようなつまらない考えでおつてはだめなのだ。その根源を突き詰めて、その根源の悪のもとを芟除するというようにしなければだめだと私は思つている。しからばまず進駐軍の所在地においてそんな春を売るようなああいうものを根底からなくすということの要がある。あるいは競馬場へは普通のものは入れぬということもよかろう。競輪場へは子供を近づけないということもよかろう。そうしてどこの政党かわからぬが、今のハイアライ法案を出すというようなばかげた連中がある。こんなことが毎日毎日繰返されることになれば、いくらあなたが途中でためて行きましてもだめだ。その根本を直すということに何かあらためて計画をお立てにならなければだめだ。その点を突きとめてやる考えがあるかどうか、それを承りたい。
  36. 田嶋好文

    田嶋委員長 古島君にちよつと申し上げますが、この法案は明日にならぬと上らないのです。そこで実はこの人たちではちよつとその質問は無理だと思うのですから、責任ある答弁を機会を改めて求めてみたらどうですか。——それではこの法案は明日上げることにいたします。     —————————————
  37. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際お諮りをいたします。本案について最高裁判所長官またはその指定する代理者が出席説明したいとの要求がある場合には、これを承認するに御異議がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それではこれより関係当局より本案の内容について説明を聴取いたします。
  39. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 それではただいま提案になりました下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案についての御説明を簡単にいたします。  法案をごらんになるよりは、もし提案理由書をお持ちでございましたならば提案理由書をごらんいただいた方がわかりやすいかと存じます。     〔委員長退席、松岡(松)委員長代理   着席〕  改正の要点は三点ございまして、第一点は簡易裁判所の管轄区域の変更であります。これは四箇所ございまして、そのうち三箇所は行政区画の変更に伴うものであります。すなわち先般岡山県の西大寺市、それから同じ県の吉備郡の真備町及び鳥取県の八頭郡の船岡町が設置されました結果、同一の市なり町なりが二つの簡易裁判所の管轄にまたがることとなつたので、その管轄を統一するためにこれを変更しようとするものであります。他の一箇所の管轄区域の変更は、高知県の土佐郡の本川村を、現在の本山簡易裁判所管轄から、高知簡易裁判所の管轄に変更しようとするものであります。これは土地の状況、交通の便否等の関係から、地元民の要望によりまして変更しようとするものでありまして、これについては関係官公署及び関係弁護士会等の同意を得ております。反対はございません。  それから第二点の改正は簡易裁判所の所在地と名称の変更であります。所在地の変更と申しますのは、青森県の下北郡大湊町にあります大湊簡易裁判所を、同郡の田名部町に移転しようというのであります。これは裁判所法の制定当初は田名部町に簡易裁判所が置かれておつたのでありますが、建物の関係上やむなく大湊町にこれを移転しておつたのであります。しかし地元の方では郡の中心地が田名部であり、ほかの官庁もほとんど田名部にあるという関係から不便でしようがないというので、移転してもらいたいということがその後言われておつたのでありますが、今年の初めから今まで大湊町にありました自治体警察も廃止になりました結果、ますます連絡が悪くなつたということで、この際ぜひこれを田名部に元通りに移転したいというのであります。これは当法務委員会におきましても、昨年の三月その旨の請願を採択になつたと承知しております、その趣旨に沿いまして、これをこの際この法案内容といたしたものであります。  それから簡易裁判所の名称の変更でありますが、これは二箇所でございます。そのうちの一箇所は富山県の東礪波郡の出町というところにあります出町簡易裁判所の名称を礪波簡易裁判所と改めようとするものであります。これは出町外数箇町村が新たに礪波町という町を設立いたしましたので、地名変更に伴うものであります。それからいま一つの簡易裁判所の名称の変更は、岩手県の大船渡市の設置に伴うものでありまして、これも地名の変更に伴うものであります。以上がこの法案による実質的な変更であります。  第三点は市町村の廃置分合に伴う行政区画の変更、市町村の名称の変更等に伴うこの法律の別表の整理でありまして、これは特に御説明申し上げるまでもございません。なお申し落しましたが、名称の変更それから所在地の変更等につきましても、地元の市町村あるいは官公署、弁護士会等の意見を十分しんしやくして立案いたしたものであります。  以上で一応の説明を終ります。
  40. 古島義英

    古島委員 下級裁判所の管轄はなかなかめんどうであります。今までには警察の管内で、どの警察とどの警察はどの簡易裁判所に管轄を持たせるとかいうようなことでやりましたから、とんでもない場所の遠隔なところまでその簡易裁判所に管轄させねばならないことに相なつたのです。その後これを改めて、実地についてその距離もしくは交通の便等をはかつてやれば何でもないので、たとえていえば一定の警察があり、警察が分署を持つております。ところが分署は離れたところにあるから、その分署をはさんで、分署は別のところに管轄させて、その手前と向うは別の裁判所が管轄する。そこにほかの簡易裁判所が深く入り込んでおるというような場所が常にあつたのであります。今あなたの方で提出したのは、もちろんそういうことはありますまいが、まだわれわれの実際知つておる場所にもそういうところがある。そこでそういうものを今回あなたの方に提出すれば、このあなたの方の原案でなく、原案は原案のままで、これに追加して改正をする、修正をするということはお認めになるでしようか、どうですか。
  41. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいま御指摘のような場所もあり得るかと存じております。もしお気づきの点がございますれば、御注意いただけますればさつそく調査いたしまして、それが妥当である、関係者の間においても異議がないということでありますれば、さつそく立案して御審議を仰ぐ、あるいは適当な方法で修正していただくというようなことは、これは当然いたすべきものと考えております。ただ時間の関係上、この法案をただちに修正していただくというところまでは、調査などの関係がありますから、そこまでの運びに至りますかどうか、これはやつてみないとわかりませんが、しかしできる限り早く御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  42. 古島義英

    古島委員 たとえば東北沿線のごときは、そういう場所がなかなか多い。川口に簡易裁判所がある。そこで草加もしくはその他の場所は、私が先年提出いたした法律案で直しましたが、その隣りの新田などのごときは、川口に行くにはたいへんな距離である。ところが東武という鉄道があるので、電車に乗つて行けば越ヶ谷に行くのにはわずかに十五分かそこらで行く、川口に行くのには約一時間近くもかかる。しかも自転車以外には何らの便宜がない、こういう場所がある。それから春日部は岩槻警察の管内になつております。そこで手前は越ヶ谷の管内、向うの杉戸は越ヶ谷の管内、その中に細く春日部が入つてつて、これは大宮の管内であつたが、ようやくこれを越ヶ谷に移した。こういうふうになつておる。この部分は訂正いたしましたが、まだそこに新和という村があつて、これは大宮に行く。もし越ヶ谷に来るということになれば、これまたきわめて便利である。こういうことに向つては、あなたの方では警察の管内、警察の管内というからこういうようないろいろ抜けたところがあると思うのだが、地図を調べていま一応練つて、警察の管内というよりは、その裁判所の所在とどれくらいの距離があり、どれくらいの交通機関があるかということをはかつて出してもらえばそういう間違いがなかろうと思う。もし気のついたところはわれわれがそれを出しますから、この提出されたる法案のこの修正で間に合せるわけに行きませんか。
  43. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ただいま御指摘の具体的な場所の関係は、まだ政府なりあるいは最高裁判所の方へはその事実がわかつておりません。従いましてなお調査を要するのでございますが、政府といたしましては、警察の管轄に従つて管轄をきめて行くというふうな考えは毛頭持つておらないのでありまして、ただ、警察の管轄の関係も合致すれば一つの便利な点として考えるという程度考えておるにすぎないのであります。実質的にそれが便利か不便か、妥当かどうかということで決定いたしていたつもりでありますし、将来もそのつもりで参りたいと思つております。ただ今度の法案にそれを盛るかどうかということは、なお調査相当の日時を要しますので、でき得べくんばこの次の機会に譲つていただければ非常に幸いだと思つております。
  44. 古島義英

    古島委員 提出されたこの法案は、陳情だとか請願とかを基礎としてやつたのですか。あなたの方からの直接の調査に基くものですか。おそらくは陳情や請願に盛られた分だけがここに入つておるのだと思いますが、直接調査いたしましたか。
  45. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 これはほとんど問題にならないと申しますか、全然関係者に争いがない。それから書面上見ましても、おそらく疑問の余地がないというふうに認められる分につきましては、一々実地に行つておりませんが、少しでも問題になりそうな分につきましては、政府なり裁判所から係員が参りまして、一々実地調査の上検討してこのような案を提出いたしたわけであります。
  46. 松岡松平

    松岡(松)委員長代理 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ本日はこの程度にとどめておきます。  次会は明十一日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三分散会