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1952-12-17 第15回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十七日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 田嶋 好文君    理事 松岡 松平君 理事 小畑虎之助君    理事 石川金次郎君       相川 勝六君    小林かなえ君       佐治 誠吉君    福井 盛太君       松永  東君    大川 光三君       後藤 義隆君    長井  源君       木下  郁君    田万 廣文君       多賀谷真稔君    古屋 貞雄君  委員外出席者         参  考  人         (東京電力株式         会社営業部長) 木川田一隆君         参  考  人         (東京電力株式         会社給電部長) 山崎 久一君         参  考  人         (東京電力労働         組合本部執行委         員長)     吉田 一吉君         参  考  人         (警視庁警邏交         通部長)    津田 忠太君         参  考  人         (井上病院顧         問)      篠井 金吾君         参  考  人         (井上病院外科         医長)     兒玉 三磨君         参  考  人         (戸山アパート         自治会連合委員         長)      原田 眞雄君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十二月十五日  委員松山義雄辞任につき、その補欠として倉  石忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員倉石忠雄辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十三日  旭川地方法務局天塩出張所庁舎建築に関する請  願(松浦周太郎紹介)(第八八二号)  天塩簡易裁判所庁舎建築に関する請願松浦周  太郎君紹介)(第八八三号) 同月十五日  福岡高等裁判所支部並びに同高等検察庁支部を  鹿児島市に設置の請願迫水久常紹介)(第  九七七号) の審査を本委員会に付託された。 同月同日  戦犯受刑者の助命、減刑、釈放内地服役等の  陳情書(第七一五  号) 同月十六日  戦犯者釈放に関する陳情書  (第八二七号)  同(第八二八号)  B、C級戦犯者釈放に関する陳情書  (第八  二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  電産スト等をめぐる国内治安に関する件     ―――――――――――――
  2. 田嶋好文

    田嶋委員長 これより会議を開きます。  電産スト等をめぐる国内治安に関する件について調査を進めます。本日は夫る九日の本委員会の決定に従いまして、参考人より各界の御意見を承ることにいたします。  ただいまお見えなつていられる参考人は、東京電力株式会社営業部長木川田一隆君、東京電力労働組合本部執行委員長吉田一吉君、警視庁警邏交通部長津田忠太君、以上三君であります。なお電気産業労働組合中央本部委員長藤田進君もお見えになる予定であります。また午後には、井上病院院長井上敬勝者及び戸山アパート自治会連合委員長原田眞雄君がお見えになる予定であります。  この際参考人の方に、委員長として一言ごあいさつを申し上げます。御承知ように、去る九月二十四日の第一次電源スト以来、すでに二箇月半を経過し、国民一般はこれが早期妥結を強く要望しているにかかわらず、ストによる送電停止は依然として行われ、一般社会生活物心両面に及ぼす影響は、もはや軽視できないものがあると思われます。当委員会といたしましては、ストによる長期停電が直接的には個人の生活の上に、広くは公共の福祉の画から、さらに社会治安を守る上にいかなる影響を与えておるかというような点について、参考人方々のそれぞれのお立場より、事情説明とともに貴重なる御意見を承りたいと存ずるのでございます。  参考人方々に念のために御注意申し上げておきます。参考人発言をしようとするときは、委員長の許可を受けなければならないことになつており、参考人発言はその意見を聞こうとする範囲を越えてはならないことになつております。また委員参考人に対して質疑することができますが、参考人委員に対して質疑をすることはできません。さよう承知置きを願います。  それではこれより順次参考人の御意見を承ることにいたします。
  3. 松岡松平

    松岡(松)委員 議事進行についてちよつとお諮りしたいのですが、参考人の方一人々々お聞きするのは何ですから、木川田さんと藤田さんと吉田さんが終りましてから一括して質疑をしていただきと思います。
  4. 田嶋好文

    田嶋委員長 今松岡君から発言がございましたように、一人々々聞かずに、一応御意見をお聞きして、あとで一括して委員方々質問にお答えを願う、こういうことでよろしゆうございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田嶋好文

    田嶋委員長 それではさようとりはからいます。  まず木川田一隆君の御意見の御開陳を願います。木川田一隆君。
  6. 木川田一隆

    木川田参考人 東京電力株式会社の常務、営業部長をやつておる木川田一隆でございます。参考人として電産スト等をめぐる国内治安に関する問題に対して意見を申し上げます前に、長期にわたる渇水の上の停電によりまして、電力ストによる停電によりまして、社会生活産業上に甚大なる御迷惑をおかけしましておる点を、公益事業経営者の一員として、日夜きわめて遺憾に存じ、深くお詫び申し上げたいわけでございます。根本問題として、なるべく早期解決したいという熱意をもつて交渉を続けておりますが、何分両者の主張の懸隔もございまして、東労の方は去る十二月八日短期間の実力行使をもつて妥結を見ております。電産の方はなかなか解決を見ず今日に至つておりますが、昨夜電産の関東地本との団体交渉が持たれまして、徹夜の交渉の結果、けさ方両者の歩み寄りができまして、一応今朝の四時に十七次の、二割以上の停電ストが二十四時間の延期になつて、さらに交渉の継続をはかることになつております。二箇月半という長期停電ストでございますが、その間の停電ストの内容と申しますか、方法申しますか、きわめて複雑でございまして、これに対する会社側対策は、第一番にあらゆる努力をいたしまして供給力を活用し、需給バランスをはかつて停電による電力スト最小限度にして、社会に及ぼす御迷惑を少くしようということを、現実的な停電ストによる電力不足対策の第一の項目といたしております。  第二番目といたしまして、需用分析申しまか、いろいろな観点から重要度をつくりまして、たとえば新聞放送、鉄道、官公庁、一部駐留軍軍関係上下水道ガスという公益的、社会的に見ましてどうしても停電することの不可能なものを第一階級の需用といたします。その次には一般工場の中で、たとえば化学の工場のごとく、停電いたしますれば、爆発するもしくはガスを発生する等の工場、もしくは人命危害を生ずる危険のある工場等に対しまして、ウエイトを置きまして、第二のクラスに入れておきました。その次の第三の部門といたしまして一般需用をとつて参りまして、需用分析を第一階級、第二階級、第三階級といたしまして、この分類に基きまして必要なる需給バランスをとり得まするようにはかつておるわけでございます。  第三の方針といたしましては、この必要なる第一需用並びに第二需用の一部を除きました電燈一般電力につきましては、会社方針といたしまして均衝調整をしたい、両方大体同じような時間の制限犠牲を忍んでいただくというよう方法をとりたいという方針で参つております。その他第一極、第二種の需用につきまして、もちろんそのウエイトを置きます観点といたしましては、社会的な不安あるいは公共的の危害の及ばないようにというよう観点からわけておるのでありまするが、第三級の電燈電力一般需用の方に対しまして、もし不足電力をまかなうために停電の余儀ない措置を講じまする場合といえども、それでもなおかつお客さん側に御迷惑を少くせんがために、極力予告方法に万全の備えを尽しておるわけであります。たとえば新聞会社側の正式の公表をいたします。それから放送をいたします。それから、八百もございますが、大口工場に対しましてはその都度電話連絡をいたします。それから職員を動員いたしまして、周知方法として各需用家に対しまして自動車をもつてお知らせする、あらゆる方法をとる方針で向つております。これらの方針は大体会社のやむを得ざる場合の電力不足に対する措置方法として講じておる根本の点でございます。  大体ただいまの電力不足は、冬季渇水による電力不足、それから電産の電源ストによる電力不足、この二つの面がございますが、渇水対策といたしましては、第一に電力スト区別してお客さんに理解していただいて協力を願うという建前をもちまして、常に渇水対策制限という点を明瞭にする努力をしております。渇水対策制限電源スト、すなわち電力ストによる制限との区別をなるべく明瞭にしたいというつもりで措置をしております。  以上のよう方針に基きまして、会社は第一番の最小限度の迷惑にとどめたいという方針をもちまして、具体的にどういう方法でやつておるかということを申し上げますと、第一の方法といたしましては、電力供給力増大する方法を講じます。これはたとえば水力発電所といたしますと、貯水式発電所調整式発電所とございますが、調整式発電所は、概括的に申しますと、日々の荷の動きによつて調整するようにできております。貯水式は少し長く見て冬季渇水に対しまして、水をたくさん猪苗代湖ようにためておく、そうして冬になりますれば、ためた水を利用して発電するというよう方式をとつておりますが、渇水の上に電力ストによつて需給バランスが破れて、非常に電力不足を来すような場合には、この冬季渇水のためにとつておいた猪苗代湖の水を、電力スト需給バランスを保つために活用するとか、あるいは夜のピーク時と申しますか、今四時から八時までが一番需用の多い時間でございます。この部分にためておいた水を昼間から使い放しをするというような、いろいろな方法をとりまして、供給力増大に第一番に努力いたします。  その次は、そうして生じた需用供給の差を埋めるために、実際問題としましては、その電力不足の実情に応じまして――大体電産の停電ストは九月十四日の第一次電源ストから先日の第十五次、きようから第十七次が始まつたわけでございますが、大体一割五分ないし二割の電源スト、そのベースといたしましては九月四日の――東京電力には出力百五十五万キロございますが、これをベースにしまして一割五分ないし二割、大体二割としまして三十  一万キロというようなものがとまるわけでございます。これらに対しまして供給力増大をはかつて、なるべく三十一万キロを少くしようという努力をいたしますと同時に、その不足分一般ウエイトの低い、と申しましては失礼でございますが、社会的に見まして犠牲をしのんでいただく、いわゆる第三紋の需用に第一番に制限をかけまして、次第に第二級の中でも調整制限をして、被害のない部分に及んで行くというよう方法をとるわけでございます。これが関東全体の荷とにらみ合せて、そうして不足分調整いたします方法地域別にとりまして、たとえば二割制限の三十一万キロ不足すると仮定いたしますれば、午前中の電燈と午後四時までの電燈区別いたしまして、午前、午後交代に半日休んでいただく、そうしてピーク時にはなるべく電燈確保する方針をとりまして、そうして動力の万を朝からずつと、ことにピーク時には休んでいただくというよう方法をとつております。それから第二の電燈電力均衡の問題でございますが、十一月までは電燈のこうむる犠牲電力の御迷惑とが大体同じ程度の時間でもつて均衡的に処理して参つたわけでございますが、十二月二日までの電産の電源ストの場合には、もし一般電燈線をとめれば給電所変電所職場放棄をするという電産のスト方法が講じられますので、もし電燈をとめまして給電所変電所職員職場放棄をすると仮定いたしますれば、人間にたとえますれば頭脳がなくなつた電気事業となりまして、需給調整はまつたくできなくなり、非常な大混乱を来すということをおそれまして、やむを得ず従来の均衡方式をやめまして、動力だけに犠牲をしのんでいただきまして、一般電燈送電するということに変更したわけでございます。大体今日までの時間にいたしますと、電燈の方が六十四時間休んでいただいておりまして、電力の方は二百三十二時間というふうに、非常に不均衡状態において犠牲をしのんでいただいておるという結論になつたわけでございます。これは会社方針といたしますれば、はなはだ遺憾とするところでございまして、両者均衡犠牲という方針スト方法によつて変更せねばならぬ結果、こういう状態なつたわけでございます。それから根本方針の重点的な措置とつたということでございますが、先ほど申し上げました通り、どうしても送らねばならぬ社会的に見まして公益的な事業私鉄上下水道新聞放送ガス等でございますが、その中には主要な大きな病院航空標識と一部交通標識燈というものも含んでおりまして、できるだけ社会の不安、被害最小限度にとどめるよう方法をとるわけでございます。  それから予知方法としましては、先ほど各種の予知方法に万全の措置をとるということを申し上げましたが、事際上御承知ように、労調法の三十七条によるスト予告義務、これが当事者にはございません。従つて法律上の観点から申しますれば、予告組合側から会社側に通知する意味はないわけでございますが、慣行的には抽象的に申入れがあるわけでございます。但しその申入れがきわめて抽象的でございまして、どこの発電所をいつどういう方法でとめるかということがございません。それもきわめて時間の切迫した際に申入れがございます。たとえば電産の場合におきまして、関東地方の場合におきましては一番短かいときは五分前に通知を受けたことすらございます。こういう労調法三十七条の問題につきまする予告義務当事者間にないということは、ことに電気事業ように複雑なストが行われて、しかもそれに対する対応策が――水力がとまるのか火力がとまるのか、あるいは水力のどの方式発電所がとまるのか、ABCどの場所がいつからとまるかという明確なる予告がございませんと適切な計画対応策が講じられません。そうしてお客さんに御迷惑をさらに及ぼす結果となる、しかも実施ほとんど直前のごとき通報によりますと、会社側といたしましてはその対応策にまつたく焦慮するわけでございます。そこら辺にいろいろと過誤が生じまして、結論的にはお客さんの迷惑を増大する結果になつております。この点はわれわれとしまして電気事業の特性から申しまして特に遺憾の点でございまして、従つてお客さんに予告する時間もございません。しかも現場職員がもしストに入つておりますれば、お客さんに知らせる方法としましては、本部から出ます新聞記事とかラジオ放送とかの手段を講ずるほかございません。現場に非組合員利益代表としておりますが、これはきわめて少数の人間でございまして、東京の中の一つの店には支店に五、六名、営業所に二名程度の者しかおりませんで、この者があらゆる努力をして担当全区域大口お客さん八百軒ございますが、五百キロ以上のお客さんに通報するだけでもえらい時間を要します。これが予告実施直前に行われますと、予告すらできないというような遺憾の結果を生ずるわけであります。この点は被害程度をより少くしたいという会社側の考えからすれば、きわめて遺憾とする点と存じます。  大体会社渇水対策の上に、こういう長期電力関係ストが行われた結果に対する会社側対策方針の大綱と、実施の大体の方法を申し上げたわけでありますが、要はこの争議の自主的解決に、公益事業経営者として、あらゆる努力を尽して、その早期解決をはかるべきでございまして、その認識のもとに努力したわけでありますが、きわめて長期にわたつて今日に至つていることは非常に恐縮に存ずるところであります。その手段対策といたしましては、根本精神社会被害、迷惑を最小限度にする、ことに治安問題の観点からいたしますれば、それをできるだけ少くする方法を考えておりますが、何分にも諸種の事情のたに、これが万全を期し得られない点がありますことを、おわびを申し上げたいと思います。
  7. 田嶋好文

    田嶋委員長 先ほど私からお願いをいたしましたように、結局当委員会といたしましては、国内治安に関する問題を重点的に取上げておるのでございますが、今の説明ではその点がまだ徹底していないようでございますが、このスト停電治安にいかよう影響を及ぼしておるか、これを会社側としてもう少し詳しく御説明を願いたい。
  8. 木川田一隆

    木川田参考人 委員長からストによる停電治安に及ぼす影響の御質問を受けたのでございますが、スト範囲方法等によつて、いろいろな場合が出るのでございますが、大体電源ストという問題に限つてお答え申しますと、現実的に行われたのが大体一五%ないし二〇%の電源ストという程度において、お答えいたしますればよいと思います。治安的に申し上げて一番留意いたしますのは、警視庁の警備の方ともお打合せをした結果によりますと、深夜の電燈確保ということが第一でございます。その次初夜の、と申しますと、今の時刻でございますと四時から八時、なかんずく六時から七時の程度のいわゆる夕食時を中心とした夕刻時の電燈確保ということになると存じますが、この点は今まで深夜は絶対にとめないというようなくふうをいたしまして、ようやく切り抜けて参つたわけでございます。初夜につきましては、二〇%の制限ということになりますと、どうしても避け得ない結果になりまして、はなはだ遺憾でございますが、はなはだしい場合には一時間飛んでまた一時間、飛んでまた一時間と三時間の停電をせざるを得なかつたというような現実の結果になつておりまして、この点につきましては、その期間を予告することは治安上どうであろうかという点を、われわれいろいろと考えたのでございますが、やはり予告せずに停電することの方が治安的には悪い結果が出るであろう。予告しますれば、この時間は消えるのだから、この時間に治安的な不法行為がやられるという計画的な犯罪が出るんじやないかと思いましたわけでございますが、いろいろ相談の結果、やはり予告して、無警告停電を避ける方が治安上よろしいというような点におきまして、大体三時間をとめた場合がございます。それからさらに十二月の初めでございましたが、申訳ないことは一定の計画予告して立てておきましたところ、その日の天候がきわめて悪化しまして、曇天のために電燈電力需用がうんとふえまして、どうしても計画通りにはできないことになりまして、一次変電所――発電所から一次変電所、二次変電所と来ているわけでありますが、この一次変電所をとめる。そうしますと全部がとまつてしまいます。しかもこれを無警告でやりまして、私鉄まで一部は三十分程度停電が行われたというような、非常な危殆に瀕した場合がございましたが、こういう予期せざる場合の治安に対しては、どうした方法がよろしいか、あらかじめきようは非常に需給状態がぐあい悪いから御注意願いたいということは、新聞記事にもできるだけ書いていただくようにしておりますがこの緊急に生ずる事態に対する措置方法については、非常に困難を感じておる次第でございます。  それからもう一つつけ加えて申し上げますれば、重要なる需用の中で、たとえば病院等におきまして、今手術をしておる。これも治安申しますか、人命の問題でございまして非常な注意をもつて会社側としてはその調整方法をとつておるわけでございます。たとえば第一次需用、第二次需用の大きなとめない需用に入つておる病院はよろしいわけでございますけれども、一般の普通の電力線につながつている病院のごとき場合をとりますれば、たとえば現に手術最中である、盲腸を切つておるという場合を考えますと、大体の計画的な予告をいたしておきますが、きようの八時から九時までの一時間切れると仮定します。その間にどうしても医療上手術をせなければならぬという場合には、病院の方から会社出先機関に対しまして、今手術をやりたいから特別に送つてくれ、こういう申入れがございます。こうした場合には何とかしてできるだけの切りかえをいたしまして、お送りするよう努力をいたします。全体の総合的な需用供給との両方からにらみ合つておる計画でございますから全部とは申し上げられませんけれども、大体におきましてその申入れの点は各所において善処しておるわけでございます。
  9. 田嶋好文

    田嶋委員長 そこでもう一つお聞きしますが、電源スト停電スト区別があるのですか、あるとすればどういうふうな区別があるのでしようか。
  10. 木川田一隆

    木川田参考人 電源ストは、先ほど申し上げましたように、送電のやり方と申しますか、潮流と申しますか、たとえば発電所で十五万ボルトのものが送電線通りまして、一次変電所というところへ参りまして、それから六万ないし二万ボルトに落しまして、二次変電所――東京の近郊にたくさんありますが、二次変電所に参ります。それから三千ボルトに落しまして、ごらんの通り街路の電柱の上に柱上変圧器がございますが、それからまた落しまして電燈は百ボルト、動力は二百ボルトというボルトで送つておりますが、電源でとめます場合には一次変電所の出口でとめる、そうしますとあらゆる需用が大体においてとまつてしまうという結果になります。停電ストの方はある特殊の専用線、たとえば動力線というものは二次変電所から出ておりますが、そこでもつて特殊のものだけを切つてとめさせていただくというよう方式をとつております。
  11. 田嶋好文

    田嶋委員長 今日行われているスト電源スト停電スト両方とも行われているのですか、一方だけ行われているのですか。
  12. 木川田一隆

    木川田参考人 電源ストの第一の場合が行われておるわけであります。
  13. 田嶋好文

    田嶋委員長 次に配給指令申しますか、給電指令申しますか、これはどういうようにして発せられるのですか。発せられるとすれば、その責任者はどなたでしよう
  14. 木川田一隆

    木川田参考人 給電関係、いわゆる電力供給神経系統申しま部分でありますが、技術的に申し上げねばなりませんので、ここに給電部長山崎君が見えておりますが、中央給電所というものが東京電力の本社にございます。これがいわゆる頭悩的中枢機関でございます。そのほかに猪苗代、信濃川、甲信系等というよう重要ポイントに大きな給電所ブランチがございます。それがその下にまた給電所がございます。大体中央給電所から二つブランチ機関を通じまして、中央給電所におきましては、東京電力全体の需給をにらんでおるわけでございまして、そこから命令が各下部の機関給電所に参ります。第一の給電所は、たとえば猪苗代ですと、その附近の発電所の総合的な命令中央から出て動くわけでございます。その下の給電所はまた小さい部分給電調整をやつているということになりまして、神経系統が三つの部分において行われておるというわけでございます。なお詳しいことは給電部長見えておりますから、もし御不審の点がございますれば、技術的に御説明申し上げます。
  15. 田嶋好文

    田嶋委員長 給電関係労働組合員は参加するのですか、参加しないのですか。
  16. 木川田一隆

    木川田参考人 東京電力に関する限りにおきましては、組合二つございます。約三万の職員のうちで、二万三千名が東京電力労組――いわゆる東労申します。この組合員は、主として二次変電所、いわゆるお客さんに近い部分変電所から、支店、支社、常業機関におる職員、それから本店その他の中央機関におる職員、こうなつております。それからもう一つの電産の単一組合関東地方組合員は、三万人の職員中約七千名ございます。その構成は大体火力発電所水力発電所、それから二、三の一次変電所、こういう部門のいわゆる電源側に属する組合員でございます。従いまして、電産が第一次ストを九月二十四日に開始しまして以来、電源ストを行う場合には、この電源側のストが最も強烈に行われたという実情でございます。
  17. 田嶋好文

    田嶋委員長 次に、給電指令は今度の電源ストによつてどういうふうな変化をたどつて来たでしようか。スト給電指令との関係説明願います。
  18. 木川田一隆

    木川田参考人 これは技術問題でありますので、よく存じておる山崎給電部長にお答えさせてよろしゆうございますか。
  19. 田嶋好文

    田嶋委員長 ちよつと待つてください。  委員の諸君にお諮りいたしますが、参考人として本日山崎給電部長は呼んでおりませんが、ここに御出席でございますから、参考人として決定して御意見を聞くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは山崎君を参考人として決定して、その関係意見を承ることにいたします。  参考人山崎君には、先ほど委員長から申し上げましたような趣旨により、今木川田一隆君の御意見の補充的な、主として給電指令ストによつていかに影響を受け、いかに変化をして来たか、この点を承りたいと思います。山崎久一君。
  21. 山崎久一

    山崎参考人 ただいま御質問をいただきました山崎でございます。給電指令ストによつてどういう影響を受けたか、あるいはどういう変化を遂げたかという御質問でございますが、給電指令申しますものは、そのうちの一番重大な仕事は、需用家のお使いになる電気に対しまして――その電気は一日中時々刻々変化をいたしておりますので、その変化をいたしております需用の電気量に相当いたしまして、即刻その瞬間にそれだけの発電をいたすのでございまして、それを数百の水力発電所、これは貯水池式も調整池式もございますが、それと火力発電所、そのほか他社からの受電電力などを組み合せまして、需用に相当するところの発電力を常に用意するのでございます。これを用意することができませんと、周波数が維持できなくなりまして、その周波数が維持できなくなりますと、ある限度に達します場合には、その電力系統が全画的につぶれるというような危険性があるのでございまして、給電指令はこの仕事を四六時中常に種々のメーターを監視しながら、そういうような操作をやつておるのでございますが、これがこの電源スト停電ストによりまして、どういう影響を受けたかと申しますと、普通の業務の間におきますところの給電指令におきましては、電源状態はある予想をすることができます。明日の発電力はどういうものであるかということが予想できるのでございますが、電源ストの場合には、先ほど木川田が御説明申し上げましたように、場合によりましては、予告期間が非常に短時間でございますので、その予告に対しまして、あらかじめわかつておりますならば、それに相当するところの発電力を用意いたしましたり、また需用の面におきまして、先ほど御説明申し上げました需用調整計画を立てまして、需用家の方にお知らせをいたすのでございますが、そういうような点で、直前にそういうよう電源ストの内容がわかります場合がありますので、その場合には給電指令は非常に困難をいたすわけでございます。従いまして、周波数の維持ということが非常に困難に相なりまして、あるいは予想以上に低下するような場合が起つております。このためにストの期間中におきましては、給電指令業務に従事いたします者は、通常の業務以上にこのストのために非常な仕事の上の影響を受けておるわけでございます。 それから先ほど停電スト電源ストという言葉が言われておりますが、電源スト申しますのは、発電所の方で組合員発電所の職場を放棄いたします場合、それから停電スト申しますのは、配電線の方を停電いたすのでございますが、配電線の方の停電をいたしますストにおきましては、これは今度は発電所の方でそれに相当する発電所の発電力を減少いたしませんと、今度は周波数が上りすぎまして、モーターのスピードとかその他が上りすぎまして、またいろいろ需用家の方に御迷惑をおかけするというような形がございますので、これに対しましても当然これの対応策をやります。こういうようにいたしまして、給電指令所はストのために通常の業務以上に非常に荷がかかるのでございます。  それからどういうふうな変化を遂げたかということでございますが、これは給電指令の仕事の内容そのものにつきましては、ただいま申し上げましたような内容の仕事がふえたという以外に、根本的にはかわつたものはございません。以上であります。
  22. 田嶋好文

    田嶋委員長 つけ加えまして、先ほど木川田さんからもお答えがございましたが、また委員長から尋ねた点でございますが、給電指令責任者はあなたでございますが、あなたの部下に労働組合員はどの程度参加しておりますか、その点。それから最後に給電指令というものが、ストによつて全然効果がなくなる、給電指令の作用がきかなくなるというようなことが起きるか起きないか、この点をお尋ねいたします。
  23. 山崎久一

    山崎参考人 給電指令の業務に従事いたしておりまする者の中に、非組合員組合員がどういう分布をいたしておるかという御質問だと了解いたしますが、現在の会社の組織によりますと、一つ給電所の定員が二十名以上の給電所に限りまして、会社側のその所長を非組合員とすることができるというようなことになつておりまして、現在東京電力管内におきましては、三十二箇所の給電所がございますが、その中で非組合員のおりますのは、三箇所でございまして、大部分組合員によつて運営されております。そうして、概して申し上げますと、発電所方面に分布しております給電所は、主として電産の組合員でございまして、需用家側に近いところに配置してあります給電所の勤務員は、主として東電労組の組合員でございます。それから両者組合員が一緒に入つております給電所は、群馬県に一箇所ございます。それから全部を統轄しておりますところの本店にございます中央給電指令所は、東電労組と電産と両方半々くらいに組み合わさつてつております。非組合員組合員との組合せは大体そのようでございます。
  24. 田嶋好文

    田嶋委員長 最後の、スト給電指令にどのよう影響するか。給電指令がそれによつてとまるようなこと、指令が不可能になるようなことがないものかどうか、この点伺いたい。
  25. 山崎久一

    山崎参考人 この問題につきましては、従来はスト給電指令の勤務そのものに直接影響のある問題は非常に微微たるものでございましたが、現在流布されておる問題といたしまして、給電所の勤務員の職場放棄という問題がございます。この問題につきましては、給電指令全般から申しますと、原則的には非常に危険なものでございまして、ただこれが会社側の非組合員をもちましてわかり得るかどうかというところに、非常な大きな問題があるのでございまして、これは現在の電力系統――と申しますと、発電所から変電所需用家に至るところの送電線その他一切の電力設備が、組み合わされまして一つの有機体のような形で運営されておるものを、私どもは電力系統と申しておりますが、この電力系統の規模なりあるいはその組織なりが大きいか小さいか、あるいは複雑であるか簡単であるかによりまして、これは一概には言えないのでございまして、その給電所職場放棄をいたしました場合に、これを非組合員をもつて代替し得た実例もございますが、またこれは東京電力あるいは関西電力、九州電力ような複雑な系統におきましては、もしも給電指令の全面的職場放棄ような事態が起つた場合には、この結果は完全に全停電を起すことは必至であると私は信じております。そういたしまして、この職場復帰が行われなかつた場合には、これを復旧いたします場合に、きわめて長時間を要する、あるいはある場合には全面的には復旧は不可能であるのではないかというくらいに私どもは心配いたしております。そういうようなことが考えられるのでありますが、幸い東京電力管内におきましては、組合員の諸君もこの点は十分了解せられておりまして良識をもつて判断をいたされますので、現在までにおきましてさような事態は起つておりません。
  26. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは今度のスト給電関係には影響を来してない、こう聞いておいていいですか。
  27. 山崎久一

    山崎参考人 全然影響がないというわけではございませんで、こういうようストの間におきましては、給電指令というものが平常よりも非常にむずかしい状態に相なつております。従いましてこの場合、実際に運営いたしておりますところの当直員の者は、ロボツト運転、ロボツト化という言葉を用いまして、会社側の指令は全部聞くけれども、自主的にはやらないのだ、つまり責任は自分では持たないのだというような形の、ロボツト化というようなことをやつております。これは実際の仕事におきましては、何ら平常とかわりませんが、必ず会社側の責任のある職員がその給電指令所に勤務いたしまして、常に一緒に仕事をするというようなことが違うだけでございまして、そのほかにはかわつたことはございません。
  28. 田嶋好文

    田嶋委員長 ロボツト化というと、組合命令は聞くんだが、会社命令は聞かない、こういうのがロボツト化ですか。
  29. 山崎久一

    山崎参考人 さようでございませんで、普通の状態におきましては、当直員というものは、非組合員でございましても、夜となく昼となくそこに勤務いたしておりますので、会社側責任者がそこに必ずしもおらないわけでございます。その場合でも、自分のまかせられたる範囲内におきまして、独断専行をいたすことのできる組織になつております。さようなことはこの際いたしません。但し会社の人がおりますれば、実際の仕事はその通りつております。ただ会社責任者がそこにいなければ困る、こういう形だけでございます。
  30. 田嶋好文

    田嶋委員長 命令は……。
  31. 山崎久一

    山崎参考人 受けます。
  32. 田嶋好文

    田嶋委員長 命令は受けるが、命令通りに動くのであつて、自分の意思によつては動かない、こういうことですか。
  33. 山崎久一

    山崎参考人 結局その場合は命令は受けます。従いまして起つた事態に対しましては、会社側において責任を持つてもらいたい。普通の場合には当直の者は自分の当直のときに起りました事態に対しては、その当直の責任者は責任を持つことになるわけです。そういう場合を会社側に持つてもらいたい、非常に困難な事態であるので、常に会社側の人がおつて、それの責任は持つてもらいたい、こういうことでございまして、きわめて良心的な行き方ではありますが、そういうような点だけが、かわつたと申しますればかわつた点でございます。
  34. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは委員諸君からの質問があると思いますが、もう一つ納得しない点があるからお聞きします。そうすると、電源スト本部の指令というものは、この給電関係を一部受持つておる労働組合には、どういうような指令が渡つているのでしようか。これは組合員の方から聞いた方がいいかもしれませんが、あなたから考えられなければ、あとで組合員の方にお聞きすることにいたしますが、あなたの方でおわかりの点。あなたは会社側ですから、おわかりにならないかもしれない。
  35. 山崎久一

    山崎参考人 われわれの今まで承知いたしております点は、現在までロボツト化というその指令だけでございます。
  36. 田嶋好文

    田嶋委員長 あなたの知つておることはその程度
  37. 山崎久一

    山崎参考人 はい。
  38. 田嶋好文

    田嶋委員長 ありがとうごさいました。  次は東京電力労働組合本部執行委員長吉田一吉君にお願いをいたします。吉田君には、先ほども申し上げました線に沿うてお述べを願いたいのでございますが、電源スト渇水停電との関係、それからスト方法として、社会治安上または公共の福祉を守る上に、どんな配慮を組合はなさつておるのか、電源スト等の指令は、全国的にいかように発せられているのか、特にただいま山崎君にお尋ねいたしましたように、電源ストの指令が給電部分の労働組合に対してどのよう影響し、どのような指令が行き渡つて給電関係はどのような活動をしているのか、この点を中心にしてお述べを願いたいと思います。
  39. 吉田一吉

    吉田参考人 東京電力労働組合執行委員長吉田でございます。ただいま委員長から、いろいろこの点を中心にお話しろということでございましたが、それらの御質問は、多く電産中央執行委員長藤田君に発すべきものだろうと思います。私は東京電力労働組合であるということを申し上げておきます。
  40. 田嶋好文

    田嶋委員長 その範囲でけつこうでございます。
  41. 吉田一吉

    吉田参考人 私どもは、東京電力という公共事業の従業員をもつて組織しておる二万三千の組織でございます。従いまして常に公共の福祉ということにつきましては、真剣な努力を払つて参つたつもりでございます。もちろん労働組合でございますから、会社側と紛争を起すことは間々ございます。しかしその場合におきましても、常に交渉相手、闘争相手は会社であるということ、お客様には御迷惑をかけないようにしなければならないということ、こういう点を常に考えてやつて参りました。今次の闘争におきましても、従いまして、会社側には痛い、しかしお客様には御迷惑のかからない、こういう戦術を常にとつて来たということをまず申し上げます。  その内容を申し上げますと、第一番に事務ストというような戦術をとりました。第二には、職場放棄という戦術をとりました。第三には、野放し送電という戦術をとりました。大体以上三つが中心でございます。  事務ストとは何ぞ。事務スト申しますと、第一番に上部機関との連絡を遮断いたします。なお会社側の主催するところの会議に出席を拒否いたします。あるいはまた、出張命令等に対しましても、この争議中拒否する、こういうよう程度のものであります。なお宿直は大体従業員のわれわれがやるのでございますが、この争議中に限りまして、特に課長、係長とかいうような非組合員の方に宿直していただく、もちろんこの場合におきましても、電気がつかない、あるいはまた漏電しておる、こういうような場合におきましては、それらの諸君では直りませんので、当然われわれがそれを直すべき義務を持つておりますから、それらの要員は確保しておることをつけ加えておきます。  それから次に職場放棄でございますが、この職場放棄をやります場合におきましても、電気事業の性格から見まして、全然お客様に御迷惑をかけないようにするならば、みんなが職場放棄することはできません。従つて、その必要なる人員は常に確保しながら職場放棄をやつたということ。  それから野放し送電でございますが、この野放し送電は三級の三を中心にいたしまして、全需用家停電のない電気を送りたい、これがねらいであるということも申し上げておきます。もちろん渇水の場合で電気が足りないというようなときに、どうしても明りをとめなければならぬというような事態が起きました場合は、これは大きな需用家にがまんしていただくとして、三級の三だけは絶対に確保する。この三級の三とは、一般需用家電燈であり、動力であるというふうにおとり願いたいと存じます。しかるにこういう野放し送電をやるにいたしましても、電産が電源ストをやる、こういうときにわれわれが野放し送電をやりますと、非常に混乱が参ります。一方において元をとめ、一方において野放しをやるというようなやり方をしますと、非常な不安が起きて来ると存じますので、われわれの方では常に計画いたしまして、野放し送電をやろうということを考えたときにでも、電源ストがあつた場合にはこれを中止して混乱を防ぐ、こういうふうなやり方で闘つて参りました。従つて治安維持の問題につきましては、結果的ですけれども、常に協力したかつこうになつておるということをあわせて申し上げます。  渇水の問題でございますが、これは今申し上げたように、私どもは一番初めから二箇月以上闘つておりますが、お客様に電気をとめるという停電ストをやつておらないのであります。従つて電気をとめたというのは、われわれの方でないのでございます。従つて今度の闘争を通じましても、渇水によるところのお書様に対しておわびしなければならないような事態があつたことは、先ほどもお話があつたようでございますが、私もここで深くおわび申し上げます。しかし電気をわれわれの手によつてとめたということはないのでございますから、その点も御了承願いたい。以上申し上げておきます。
  42. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは先ほどお尋ねいたしました、ストの指令が給電関係の労働組合にどのように発せられて、どのようにその給電関係の労働組合が受けておつたか。
  43. 吉田一吉

    吉田参考人 お答えいたします。私の方は給電関係は今度の争議から除いております。従つて関係はございません。
  44. 田嶋好文

    田嶋委員長 次は警視庁警邏交通部長津田忠太君にお願いをいたします。  津田忠太君には先ほど委員長からお願いをいたしましたような点、これにつけ加えまして東京都内の交通信号の現状、停電によつて交通信号機使用不能となつた場合があるかどうか、またなつた場合に対する処置、ストによつて交通混乱が巻き起る、その交通混乱の事故の件数、事故の実情、交通信号機をいかにして守るか等の措置方法、これらについて特にお述べを願いたいと思います。
  45. 津田忠太

    津田参考人 ただいま御紹介をいただきました私が警視庁の警邏交通部長であります。ストによりましてさしあたり交通に及ぼした影響を申し上げます。  交通の頻繁な交叉点におきましては信号機を設置いたしておりますが、現在信号機の装置数は二百二十箇所であります。また信号機によつてのみでなくて、特に交通頻繁なる交叉点におきましては、いわゆる交通専務員を配置いたしまして、手信号によつる信号とあわせて交通整理をやつております。なお白バイによりましての管内の全体的な交通整理もあわせてやつております。せんだつて起りましたストによりまして、二百二十基のうち停電した信号機が百四十一基、停電しない信号機が七十九基であります。私の方では停電しない信号機、これは一級線でありますが、これが七十九基あるのです。これを全面的に、二百二十基を一級線にとりかえたいという計画を持つておりますが、何分にも予算の関係で、非常に距離の遠い関係もあつたりいたしまして、全部がこれにとりかわつていないのであります。これを全部とりかえるといたしますと、費用が総計二千五百八十四万円いるのであります。この停電によりまして、警察署におきまして、たとえば場所によりますと、交通専務員にかわつてパトロールというのがあります。これを交通専門にとりかえて交通信号に当つておるところもたくさんあります。あるいはまた停電によりまして信号ができないために、ちようちんその他の代用品をもつて信号にかえるという場所も大分あります。  停電による交通の混乱状況は、自動車交通の円滑を欠いたという問題が大分大きいのであります。それから自動車の速度低下によるところの交通の混乱と混雑でございます。それから交叉点における都電の左折、右折、これに自動車との接触を防止する指示方法、いわゆる矢じるしの信号がないために支障が起つたというような問題、それから車両の混乱の問題でありますが、特に歩行者の歩車道横断が困難になつて来ましたり、また夜間のちようちん整理のため、整理の警察官自身の危険もあつたというような問題があげられるのであります。十二月十五日までにこの停電日の交通整理のために動員された警察官の数は、交通専務員といたしましては千二百二十四名、これに警邏隊員を動員しましたのが七百六十五名であります。  交通事故の問題でありますが、御承知ように、交通事故は常時起つておりますが、特にこの停電に基因した交通事故にはどういうふうなものがあるか、ここに四件あがつておりますからちよつと例示しますと、停電のため優先交通の見当がつかず、同時に交叉点に入つたため、普通乗用自動車と貨物自動車が衝突し、それぞれ一万五千円に上る物件破損をした。あるいはまた交叉点で前記同様の状態のところにおいて、普通乗用自動車同士が衝突し、七千円、一万四千円の物件破損の被害があつた。あるいは信号機が停電していたために、同時に交叉点に入つた普通乗用自動車とラビットが衝突し、その上にラビットに後続進行して来たダットサンのブレーキが間に合わず、三重衝突して千円、三千円、一万円というようなそれぞれの物件破損が起つた。また当時者が泥酔運転中、品川区役所前交叉点の信号機が停電していることに気づかず進行したため、電柱に追突し、ウインド・ガラスに顔面をつつ込んで、十四日間の傷害を負つたというような事件があがつております。これは特に報告があつたりあるいは被害者の方から届出があつたものが、ここにあがつておるのでありますが、きわめて軽微な事故ということになりますと、これはちよつと数がわかりません。私の方で見るとかあるいは届出を受けたものでなければわからぬのでありますが、この数がどの程度であるかということは今のところまだ調べがついておりません。  停電による事故発生の状況でありますが、十二月十一日から三日間における午後四時から午後九時までの停電時間中の都内の事故数を調べてみますと、大体三十六件起つておりまして、停電のなかつた十二月八日から三日間における同時間中の都内の件数は二十六件であつた。その割合から申しますと、停電中におきましては三八%の増ということになつております。その事故の種類を申し上げますと、十二月八日から十日までの三日間におきましては死亡が二件、重傷が七件、軽傷が九件、従つて死傷の計は十八件、物件破損は十三件ということになつております。  大体交通関係は以上でございます。
  46. 田嶋好文

    田嶋委員長 あなたは交通部長さんですから防犯関係はどうかと思いますが、防犯関係でお知りになつている範囲のお答えが願えますれば、まことにありがたいと思います。たとえば停電によつて起る犯罪の実情、それから電産スト反対の集会及び著名運動等の実情はどうなつておるか、電気料金不払  いによつて争議が起つたような実例があるのか、こうしたことを専門外のことですから、しいて申し上げないのでありますが、お答えになつていただける範囲がありましたら……。
  47. 津田忠太

    津田参考人 それでは停電に起因するおもな犯罪の状況を申しますと、停電に起因する犯罪としてあげられたものは総計五十二件であります。それのおもなものは窃盗その他ということになつておりますが、停電に起因するおもな犯罪事例をちよつと申し上げますと、ラビットの荷台から商品をとつたというようなもの、あるいは売上げの箱の中から現金を窃盗した、あるいは店舗から商品を窃取した、あるいは宿泊料を踏み倒してやみに乗じて逃げた、あるいは奥の間に入つてつて現金在中のハンド・バッグを窃取して逃走した、あるいは窃盗の目的で屋内に潜入しておつた、あるいは宿泊客を装つて二重まわしを盗んで行つてしまつた、あるいはやみに乗じて強姦未遂事件が起つた、事例といたしましてはこういう問題であります。警視庁といたしましては停電のため暗くなることによる犯罪を未然に予防するという関係から、各署長には犯罪予防という問題について、民間の協力、また警察官もそういう時期に特に町に出て犯罪の予防検挙をするように指示をいたしておりますので、普通の状態より警察のそういつた準備態勢もありますので、被害最小限度であつたというふうにも考えております。きわめて簡単でありますが、犯罪状況はその程度であります。  次に停電ストに対して一般の輿論が反対をしまして、たとえば反対の集会を催すとかあるいは署名運動をする、あるいは内閣その他関係方面への陳情嘆願というような形で現われたものを申し上げますと、電産スト反対運動として十一月以降における集会の状況は、集会数は八箇所起つております。その参加人員は九百二十名、それからスト反対運動としまして署名運動をやつている者が、署名人員が一万五千四百三十名、著名運動は二箇所で起つております。それから電産スト反対の陳情は、十二月の三日と四日に二回首相官邸に陳情に行つているのがあります。  先ほど委員長から申されましたように、私は警備の関係とかあるいは犯罪の関係は主管でありませんので、この程度にいたします。
  48. 田嶋好文

    田嶋委員長 これにて木川田一隆君、山崎久一君、吉田一吉君及び津田忠太君、以上四人のお方の御意見の開陳は終りました。委員より質疑の通告がありますから順次これを許します。松岡
  49. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは木川田さんからお伺いいたします。先ほど労組委員長からのお話によりますと、組合側では会社には手痛いがお客様には痛くない方法によつてストをやつた、そうしてまず第一にあげておられるのは事務スト職場放棄、野放し放電、こういうことをおつしやつてお客が少しも影響を受けてないはずだ、受けているとすればそれは渇水による停電だというように私はお聞きしたのですけれども、そうするとストというのは会社内部だけのことで、要するに上部の命令が下部に徹底しないために会社内部に混乱が起き、損害が発生し、事務の系統を乱したということはあり得るかもしれぬが、電気の需用者側に対しては何らの影響がないということになると、客観的に見た場合にこれをストとははたではとれないわけです。それをもしストだと言うならばまことにおかしな話で、それは会社の内部の一つの争いにしかすぎない。私ども考えているストというものは電気がとまるということであります。それは結局発電のストあるいは変電所におけるスト、あるいは給電所におけるところのストによつて組合一つの経済闘争の手段として、具体的に電気の需用が連日ストップするということが生れて来なければならぬはずなのです。組合委員長の御説明によると、ストではない、現在行われているのは渇水季で電気の需用に対して供給が減少しているというだけにしかすぎないと考えられる。それでは社会一般の人が理解しているところと御説明との食い違いは天地の差異があると思う。私どもこの点について非常に疑問を持つております。御承知通り今は渇水季です。例年おそらく一五%や二〇%の減少を来していることは常識的に明らかだと思いますが、そうすると、先ほどのあなたの御説明なり山崎さんの御説明によりましても、結局一五%ないし二〇%の影響のあるストが行われている。そうすると、渇水の現象とどういう関係が起つているのか。つまり百五十五万キロを基準にしての一割ないし二割、概数にして三十一万キロ程度とおつしやいましたが、これは渇水現象を引いたものを言つておられるのか、あるいはひつくるめての意味か。この点おそらく委員諸君もおわかりにならなかつたと思う。私もわからない。この点を明確にしていただくことであります。  それから給電にはストがないような感じを私ども御説により持つのですが、これは私どもは理解できない。発電でもストを行えるし、変電所でも行えるし、給電所でも行えると思う。言いかえて申しますと、先ほど組合側からロボット・ストという言葉が出て参りましたが……。
  50. 田嶋好文

    田嶋委員長 松岡君に、これは御注意ではございませんがお諮りいたしますが、一問一答の方が徹底していいのではないでしようか。お答えを願う上において便利じやないでしようか。
  51. 松岡松平

    松岡(松)委員 今申しました百五十五万キロの基準に対する渇水量との関係。それから現在行われている一割ないし二割のスト関係はどこから起つているか。発電からか、それとも変電、給配関係であるか、その関係をまず御説明願いたいと思います。
  52. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えいたします。御質問の要点は、渇水電力不足対策停電スト電力不足対策のけじめの問題ということになります。その前提としてお話がございました、事務ストが行われておるということは、それは労使の内部的な問題であつて社会的には影響はないということは、全然事実と反するのではないかという前提の問題に、ちよつと触れてお答えをさせていただきたいと思います。  先ほど東電労組の委員長から意見がございましたが、東電労組のスト方法としまして、委員長から意見が述べられた通り、できるだけ社会に迷惑を及ぼさぬ方法でやりたいという方法とつたというのでございますが、事実行われておる停電ストという、重大なる社会的な御迷惑をかけているゆえんは、結局電産という別組合停電スト電源スト、これによつておるということをはつきりお含みおきを願いたいと思います。  それから問題の、渇水電力不足対策停電ストによる電力対策の計数的な状況を申し上げます。先ほど申し上げました、電産の停電ストの一割五分ないし二割の減電量をいたすという問題でございますが、その基準は先ほど申し上げました通り、九月四日をべースとした出力百五十五万をとつております。従つて三十一万キロが概数として出て参りまする二割の場合の減電力量でございます。これは純粋の停電による減少電力量でございます。その以前に渇水電力不足がございます。これは大体昼間は十七万見当ございます。それから夕方の最も需用の多い場合には、不足電力が十九万程度ございます。十七万と十九万、この点は先ほど申し上げました電源ストの三十一万とは別個の不足でございます。これに対しまして現在お願いしておりますのは、全体として二割程度の節電をしていただきたいということ、それから日曜を除きまして二回休んでいただきたい。これは一般線その他線別に休んでいただいております。この二日の休電と一般的な節電の御協力という方式によりまして、十七万の不足あるいは十九万の渇水の不足を何とか切抜けておるという状態でございます。
  53. 松岡松平

    松岡(松)委員 大体今の渇水の十七万と十九万はわかりました。そうしますと、この三十一万のストによる減少というのは、火力から来るのですか、水力からですか。
  54. 木川田一隆

    木川田参考人 その場合はスト方式はいろいろございますが、現在行われておる百五十五万は両方加えたものであります。それである場合には火力を中心にしてやる、ある場合には水力を主としてやる。それからそのコンビネーシヨンの場合、いろいろの方式をとつておりますが、先般は火力中心の場合と水力中心の場合と両方ございました。
  55. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、火力発電でも水力発電でも、責任者会社側である。ストを起す場合においては、組合ストを決意し、これを会社側責任者に通告するのでしよう会社側はこの通告を受けた場合に、何らかこれに対する措置対策というものを講ずるのかどうか、この点を伺いたい。
  56. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えいたします。スト予告の有無の問題でございますが、先ほど私の卑見の中で申し述べました通り労調法三十七条には当事者スト予告の責任はございません。但し慣行的に組合側からスト予告がございます。それにつきまして、その方法がきわめて不明確である。それから時日が実施直前というふうに、非常に短かい時間の前に申入れがあるということで、対策上非常に困難を来しておるということを申し上げたわけでございます。その場合の対策は、いろいろの対策を実情に応じてとつておるわけで、その点は御了承願つたと思いますが、御質問対策とは、現実にそれを防止する方法をとつておるか、とつていないかということの御質問かと存じますので、その意味においてお答えいたします。たとえば水力発電所をA、B、Cをとめるという場合でございますと、会社側はあらゆる方法を講じまして非常組合員を動員いたします。そしてあらかじめ発電所に駐在いたさせまして、そしてA、B、Cの組合員が放棄した職場を、非組合員、いわゆる利益代表側、会社側におきまして維持、運転いたします。こういう方法を講じたわけでございます。ところが組合側はその対抗方法といたしまして、A、B、C以外の次の発電所を、同じ出力だけをまたとめるのでございます。そういういたちごつこを盛んにいたしますので、非常に給電の瞬間的需給調整が困難になりましたので、勢いこの非組合員の運転ということは非常に困難を来す。それから水力をとめたものを会社側が運転いたしますと、今度は火力に飛び火いたします。そうすると、火力の方はよけいサイクルの維持、調整に国難を来すわけでございますので、その非組合員の運転問題は、努力をいたしましたが、結果的には効果が薄かつたということを申し上げておきます。  それからもう一つ組合からスト申入れがございます。その場合は会社側の代表、いわゆる非組合員が過激なストの行われないように、あらゆる手段方法を講ずることはもちろんでございますが、何しろ非組合員は、発電所においても五千キロ以上というような、あるキヤパシテイーの制限がございまして、それ以上のところには非組合員がおりますが、小さいところにはいないという実情になつておりますので、会社側の防止手段の活動範囲は非常に狭い。直接防止手段の対抗手段がないということを申し上げておきます。
  57. 松岡松平

    松岡(松)委員 この第一級、第二級、第三級の需用者の順位というのは、これはスト関係なく、電気の需用度によつてきめられておるものでありましようか。
  58. 吉田一吉

    吉田参考人 私の発言に対して誤解があつてはいけないと思いますので、ちよつと一言しやべらせていただきます。私はストライキによつて全然御迷惑をかけないと言つたのではなくして、ストライキによつて御迷惑をかけないように努めたということを申し上げたのであつて、その点を御了承を願いたいと思います。 それから給電の問題でありますが、この給電の方はストの方へ参加させなかつた、こういうことでございます。
  59. 松岡松平

    松岡(松)委員 今の順位は……。
  60. 木川田一隆

    木川田参考人 配電線を三つのブロックに区分いたしました理由は、いろいろな観点がございますが、要約いたしますれば、重点的に最も大切な需用、どんな場合でも電気をとめるわけにはいかぬというのが第一級、その次にくらいするのが第二級、その次が第三級と、重点的区分によつておるのであります。
  61. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、大体今行われているスト電源ストである、こう私どもは理解しまして、電源水力も火力も全面的にとまつた場合には、電気というものは全然来ない、こういう状態であることに間違いないというふうに理解されるのです。ところが現在電源ストが行われている状態において、会社側ストが起つてもそう痛くないじやないかという疑問が一つ出て来る。これはどういうところから出て来るかというと、会社は基本料金というものをとつている。大口についても小口についてもこれはあるのですが、ストライキによつて給電していないにかかわらず、依然として徴集しておられる。それを今参議院のある方から、特に聞いてくれというので指摘されているのですが、集金人が電気料の不払いで警察に来い、証文を書いて捺印しろとおどかし、これによつて民心に与える影響が非常に大きい。また一方損害賠償を請求して、不払いの波が広がつているというように、治安に及ぼすことも起つている。大体大口需用者でも小口需用者でも、渇水による場合において給電されないのは、これは電気企業者の責任でなく、自然から起つて来るのでしようが、ストの場合においては、結局その企業自体が需用者に対して責任を負わなければならぬと考えられる節が出て来るのですが、現在基本料金は依然取立てられるかどうか。定額制の料金をとつている。つまり一口に言いますと、需用者の犠牲において、企業者と労働者でストライキをしておられたのではたまらないという声があるのです。それについての解釈をひとつ説明していただきたい。
  62. 木川田一隆

    木川田参考人 ストライキの犠牲が、労使双方になければならぬと私は思つておりますが、電気事業の場合におきましては、おおむね手段方法によりますれば、社会に大きな犠牲をおかけする結果になる特殊の場合と存じます。お話の料金の問題でございますが、これは政府の御認可を得て実施しているわけでございますが、その制度は、その構成せる電力原価を分析しますれば、固定費に該当するものが需用料金、それから可変費と申しますか、常業費に該当するものが、いわゆるキロワット・アワーの電力量料金、こういう建前になつております。そして固定費は、電気をお送りするとしないとにかかわらずかかる費用でございますので、これでいただいているということになつております。そのかわりお使いにならぬ、お送りしないキロワット・アワーの使用料金の方は減るわけであります。但し固定費は御使用の有無にかかわらずちようだいしなければ、会社の運営ができない。ことに水力発電の部分においては非常に経費がかかるので、料金の建前がそういうふうになつております。それにつきまして会社側と元の公益事業委員会、今の通産省でございますが、認可をいただく場合に、他国に例のない割引料金制度を電気料金においては実施いたしまして、ある規定のもとに割引を申し上げておるということにいたしております。それから集金人が、こういう社会的に非常な御迷惑をかけたにもかかわらず、なお強い料金の御要請をし、あるいは送電停止というようなことをもし、申し上げるといたしますれば、それは会社の意思でございません。はなはだ遺憾とするところでございまして、そうした強制的手段方法をもつてお客さんからお金をいただくということのないように、十二分に注意いたさせます。従来もいたしておるわけでございますが、特に注意したいと思います。大体検針してから五十日料金をいただかなければ送電を停止するという規定になつておりますが、その規定をそのままやつて、はなはだ失礼をしている向きもあるかと思いますが、大部分の者は、このスト影響の重大さと、社会的責任を十分認識しておるつもりでありますから、一部そういう不心得の者がございますれば、今後十分注意したいと思つております。
  63. 松岡松平

    松岡(松)委員 現在の東京電力は設備をいつされたかというと、現在の貨幣価値によつてつくられたものは少いのです。それは以前の貨幣価値の時代につくられたものであるが、現在の基本料金並びに料金というものは、現在の貨幣価値のもとにとられているのです。需用者とすれば、電気を現実に送つてもらう現在の段階において、これは支払う建前なんです。会社側にすれば、固定資産の償却に振り向けることをお考えになつているが、これが合わないのです。結局会社側の都合によつて電気はストライキを起してとめておいて、そうして基本料金はおとりになり、メーター制の場合は使つたものだけとるのだ、こういうことでは、一つのあるわくを設けて、ちようどおりの中で芝居をしているようなものです。その影響を受けるものは一般大衆です。こういう点に電気ストが緩漫に、そしてだらだらと広汎に行われる特質があるのじやないかと私どもは考える。ですからこの料金というものは、それは法律ではとれるということは規定しておりますが、企業者としてとり得るかどうかということは問題であります。必ずとらなければならぬものじやない。これは免除してもよろしいし、減額してもよろしい。会社としては、法律できまつておる範囲だからとれるというお考えでやつておられたのじや、おそらく電気のストライキというものは、永久にとまりません。しよつちゆうこういうことが行われると私どもは考える。これではたして社会治安並びに公共の利益というものを会社側が守つておるということは、私どもは考えられないと思うのです。これに対して木川田さん、電力会社の幹部の意向というものはどう考えておるか。そこにつまり電気のストライキの微妙性が残されておると私思うのですが、いかがでしよう。忌禅なくひとつ一御意見を承りたいと思います。ここが非常に重点であります。
  64. 田嶋好文

    田嶋委員長 簡単にお答えを願います。
  65. 木川田一隆

    木川田参考人 簡単にお答え申し上げます。ストは労使双方の責任において解決すべく、その損害も被害も、当事者にあるべきであると私は信じます。しかし電気事業の現法律下におきましては、それができませんので、事実社会に非常に御迷惑を及ぼしておるということをはなはだ遺憾と存じます。
  66. 松岡松平

    松岡(松)委員 今のお言葉ですが、なるべく時間を節約して、簡単に終結しておきたいと思つておるのですが、問題が問題ですから……。おとりにならなくたつていい。会社は減額なさつたらどうです。別に法律はこれを禁止しておりません。とることはできる、できるが、会社社会に及ぼしたるその損害に対してどう考えるか。一例をあげますと、中小企業なんかは倒産しておる。このために小さな争議がうんと起つておる。池田通産大臣がやめた事件の根本は、池田通産大臣の口というよりは、現実にそういう生々しい問題があるから、こういう問題が起つて来る。その原因をなしておるのは電産ストである、これが大きく影響しておるのです。法律で規定しているから銭をとるという。これでは電気はくれない、金はとられるで、国民はたまつたものではない。そこで私どもに言わせれば、これは組合の方も楽です。私がかりに組合委員長であつたら、これくらい楽な争議はありません。痛くもかゆくもないところをお互いにたたき合つているのですから、楽なものです。一番困るのは国民であります。この点について、おそらく国民の大多数はこのままでは承知しないと思う。私ども委員として、特にこの問題についてあなた方に出ていただいて、お伺いしたいところは、企業者側が社会公共の利益をほんとうに守る努力をしておるかどうか、こういう点について私どもは不可解しごくなものがある。これは組合側にもあとでお聞きしたいと思うのです。もう少しつつ込んで――あなた方はただ法律で規定しているから銭をとつているので、なにも無理にとつているのじやないとおつしやるけれども、とるのをおやめになつたらどうですか。今に損害賠償の訴訟が山のごとく起つて来ますよ。そういう場合に、私は法律の規定によつてとるので、あなた方に損害を与えたのは労働組合ですといつて、逃げるわけには参りますまい。この点に対するあなた方の対策いかん。何も損害賠償に対する責任をお伺いしておるのではない。
  67. 田嶋好文

    田嶋委員長 その点のお答えを願いたいのですが、これは国会の立法措置にも影響いたしますので、あなたとしてお答えできる範囲でけつこうです、
  68. 木川田一隆

    木川田参考人 会社側としましては、法律云々という問題よりも、社会的に非常な御迷惑をかけておる結果になつておることに対しまして、非常に心痛しておることは冒頭において申し上げたわけでありますが、この料金問題は、御承知ようにきびしい原価計算のもとに、政府の承認を得て行つておるものでありまして、かつ今公共事業令の廃止によりまして、準拠する法律はございませんが、お客さんとの間に契約を引継いで、すべての運営をやつておるわけでありますから、法律上きまつておるからどうというわけではございません。会社も、公益事業であると同時に、私企業としての独立責任を持つて運営せねばならぬという観点から、この需用料金というものはぜひいただかせていただきたい。そうしまして、被害の場合の料金は、すべてお使いになつたものだけの料金をいただく、その上割引制という特殊の制度がございまして、それをできるだけ広範囲に、できるだけ正直に、むしろ積極的に今度は実施するようにという通知をすでに出しております。そのほかにわれわれ企業の責任者としましては、もちろん委員長からも申されたように、立法措置の問題は別といたしまして、会社として自主的に、再度こういうことの発生しないような方途を、今後具体的にいろいろ考えねばならぬと思います。同時に営業的には、さらにサービスの改善の点をよく強調実施して、そしてこの償いをしたいと考えておる次第であります。
  69. 松岡松平

    松岡(松)委員 藤田さんがお見えにならぬので、――むしろ私の聞きたいところは藤田さんに多かつたのですけれども、それを吉田さんに振り向けるわけではないのですが、やはり同じ労働組合委員長として、私参考までにぜひ伺つておきたいことがあるので、お答え願いたい。  ストライキは一つ手段で、目的であつてはならない。少くとも電気企業労働組合の幹部の一員として、電ストの限界というものをどこまで考えておられるか、つまり公共の福祉との調整をどこに置いておられるか。これがかなり重大な問題で、もし全電力を停止する範囲までこの手段を用いるということならば、これは手段ではありません。まさしく社会の破壊でありまして、ストが目的に転じて参る。そういうときに私どもは、それが正しいストとは考えられないのでありますが、委員長はどういうお考えをお持ちでありますか、ぜひこれを承らせていただきたいと思います。
  70. 吉田一吉

    吉田参考人 お答えいたします。先ほど来申し上げましたように、私たちは今御指摘の通り、自分たちの要求をかなえることが目的でございまして、ストはやむを得ざるときの一つ手段にすぎません。従いまして、できるだけお客様の御迷惑にならないよう手段方法をとつてつて参つたわけでございます。また将来もそういう方法をとつて、闘うような時期が来たときには、そういうような考えのもとにやつて行きたいと思つております。そして今言うよう社会不安を大きく起させるようストは、絶対に避けるよう努力を払う決意を持つております。
  71. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではお伺いいたしますが、本来は、同一会社内において二つ組合ができるということは、私どもの常識では何らかの理由があるのではないか、あるいは一つの考え方の相違、あるいは行動上におけるいきさつ、その他地理的条件では、組合二つできる理由として私どもは受取りかねるのであります。現在伺つてみますと、発電する水力、火力の地点における旧日発系統のものが電産に属していて、全日本的に及んでおる。それで今お伺いしますと、吉田さんの属しておられる組合の二万三千は、東京電力だけの中における単独組合で、その考え方、組合の行き方を異にして別々にわかれたそうですが、その原因と、現在の考え方の相違は、どういう点に重点がありますか。それを伺わせていただきたい。
  72. 吉田一吉

    吉田参考人 お答えいたします。たいへんに長くなると思いますので、簡単に言わせていただきます。  私どもは、現在電力事業が再編成されまして、九つの電力会社にわかれまして、そうして責任経営がなされております。こういつた情勢を二、三年前から察知しまして、こういつた経営者側に対処する組織としては、最低賃金制も確立されていない現状においては、企業別の組織で行くべきではなかろうか、こういう考えのもとに、まず第一番に、単一の組織からわかれなければならぬ運命になつたということを申し上げておきます。それからもう一つは、電産の組織というものがどういうところからできたかということにさかのぼらねばならないのでありますが、大まかに申し上げまして、電産の組織はわれわれがつくつたのであります。その当時三つの思惑――というとおかしいのですが、考え方の人たちが集まつたと思います。一つは共産党の諸君だと存じます。これは電気事業が非常にいい武器で、この武器を利用して、大きくこれを利用して自分たち党勢の拡張に努めようということで、当時非常に党員がおりましたものですから、これら党員を使つて、大きな組織にしようとねらつたことが一つ。それからもう一つは、御指摘になりました日発でございますが、日発は集中排除法によりまして、おそらくばらばらになるだろうということが、二、三年前からいわれておつたのであります。そこでこの九つにわかれるところの従業員諸君が一つの組織の中にいたい、こういう気持のために、単一といいますか、全体的な一つの組織になりたいという気持が動いておつた。それからいま一つは、組織労働者としては当然考えるべきですが、それははつきり言いますと団結心、早く言うならば大きい組織、強い組織をもつて、一本になつて闘つて行く、大きく団結して行く、こういうねらい、おおまかな言い方ですが、こういう三つの考え方の人たちが寄りまして、大体つくり上げたと言つてさしつかえない。ところが、たいへん長くなりますので非常に端折りますが、この共産党の諸君が、フラク活動、細胞会議等の決定されたようなものを、全面的に組合へ持込んで来るというような点から、これでは民主的な組合としていけないというようなところから、産別に民同というものができまして、これが両者で争つたということは御存じの通りです。その後まあ共産党の方は、レツド・パージでみんないなくなりまして、今の民同の諸君が、今の電産中央の中心になつていると存じますが、その当時、私たちが脱退した当時は、その勢力を両方が拡張するための争いが非常に熾烈をきわめまして、労働組合か政党かわからないよう状態にあつたということと、こういう組合がはたして健全な組合の行き方であるかどうか、こういう点についてわれわれ疑惧を持つおりました。それからこの組織が大きくなります場合に、今まで各労組が持つておつた既得権、こういつたものは完全に守るとともに、より以上有利な条件で闘いとるために、この大きな組織にするということが一つのねらいである。ところが実際におきましては、われわれのかちとりましたところの過去の退職金というような問題も、この組織になつて逆に何といいますか条件が悪くなつたというような声も出て来た。それからまた当時におきまして、一時町場といなかとの生活が非常に違いまして、やみ相場といいますか、こういつたことから、経済的にいなかと東京とか都会とかいうものの生活がうんと違つておるので、たとえば東京電力においては、これだけもらわなければならぬというものが、いなかへ行くと大きな賃金になる、こういう点、今言う統一賃金の無理ということがはつきりわれわれとしては考えられる。長くなりますから簡単に申し上げますと、いろいろな条件がございますが、大体おもな点でそういうようなところから、組織がわかれたのだ、こういうふうにおとり願いたいと思います。そこで私たちは、それでは組合の行き方はどうか、電産との違いはどうか、私はここで組合委員長という立場において、よその組合、電産の批判をすることは避けたいと思います。しかし一つの考えとしては、先ほど来申し上げますような考えのもとに、まあどつちかといいますと、経済闘争を中心として政治闘争を従と見るような行き方、何と申しまようか、どこまでも一つの経済団体、こういう建前を守つてつて行くのだ、また将来もやつて行きたい、かように考えております。こういうふうにおとり願いたいと思います。
  73. 松岡松平

    松岡(松)委員 現在東京電力で、電産側と東労側とは一致の闘争方針によつてやられておられるのですか。
  74. 吉田一吉

    吉田参考人 別々です。全然別のやり方でやつております。
  75. 田嶋好文

    田嶋委員長 大川光三君。
  76. 大川光三

    ○大川委員 木川田さんに最初に伺います。電源ストによる停電と、渇水対策による停電との割合というのは、先ほど松岡さんのお尋ねで大体わかりましたが、そこでこの冬季渇水時における電力不足というものは、年々繰返されておつて、あらかじめ予見ができる。そういう場合に、いわゆる公益事業の本質から考えて、冬季渇水時における対策をどうしておられるかということを伺いたい。
  77. 木川田一隆

    木川田参考人 お答え申し上げます。冬季渇水という問題は、現在の電力需給状況からいたしまして、すなわち供給力が、開発が種々の原因によりまして、予期の通り進んでいない。それから反面需用の面におきまして、非常なふえ方でございます。戦前に比較しますれば非常なふえ方で、この需用のふえ方と、供給力がそのふえ方に均衡的に増加してないという実情からいたしまして、冬季渇水時には、ここ当分の間どうしても不足を来しまして、そしてその対策を講じても、御迷惑をかけるということに予定されるわけでございます。それで会社側といたしましては、あらかじめこの対策を確立いたしまして、需用家の皆さんの御協力を得て進んでおるのでございます。昨年は大体七月の十日ころからこの運動を開始したわけでございます。今年は上半期が非常に需給の状況がよろしゆうございまして、九月ごろまで御迷惑をかけずに済みましたが、どうせ冬場には渇水が参るということを予定しましたものですから、対策を立てまして、十一月初めに猛運動を開始しようというときに、たまたまこの両組合ストが起りまして、この運動に一大支障を来したのであります。そこで今年は非常に遺憾でございまするが、去年ほどの――去年は、全国的に見ますれば関東は非常に渇水対策が、自画自讃に陥りますが、うまく行きまして、御迷惑を相体的にはおかけすることが少なかつたわけでございますが、今年はそういう特殊の事情によりまして遅れまして、御迷惑をおかけするようなことがひどい状態なつておりまするが、根本方針としましては、動力は昼間お使いくださいまして、夜は電燈確保さしていただきます。ことに夕刻から十時ごろまでの一番大切な家庭の需用に対しましては、絶対に確保するという方針で、不足分対策を、いろいろと計画的に立てまして、予告お客さんにいたしまして、そうして御協力を願つておるというような実情であります。
  78. 大川光三

    ○大川委員 いま一つつてみたいのですが、東京都内の配線の工合を見ておりますと、大体において繁華街あるいは交通量の多い場所というものについては、特に一級線が設けられておるようでありますけれども、さらによく検討してみますと、たとえば品川の方面、あるいは上野駅方面、ないしは新宿の駅前方面というのが、依然として三級線のままになつておるのであります。こういうことでは、治安維持の上にたいへん支障を来すというように思われますが、特に警視庁の方から要求があれば、重点的にこういう分を三級から一級線に切りかえるというようなことができるのでしようか。またその要望を満たすだけの電力というものはできて来るかどうか、この点について伺いたいと思います。
  79. 木川田一隆

    木川田参考人 繁華街の現状が、配電線を観察すると、いわゆる私が先ほど申し上げました一、二、三の重点的なブロックの中で、一番下の部分が非常に多いようであるが、これに対する方策いかんという御質問と拝聴いたしますが、この繁華街、非繁華街という観点からこの一級、二級、三級の区分をわけておるわけではございませんで、重点的に、先ほど申しました公共事業公益事業私鉄、水道、ガス新聞放送、官庁街というものに第一種のものを送りまして、その次に第二種は、工場の中で爆発するものとか、あるいはどうしても保安電力がある程度までは絶対に必要であるという部門に重点的にわけておりますので、繁華街は一般電燈お客様が多うございますので、どうしても第三の部類が多いかと思います。但しその中でも交通信号というふうな、先ほど警視庁津田さんからもお話がございましたが、できるだけ繁華街の中の交通信号等は第一種の中に編入いたして行きたい。但しそれがためには、お話にもありましたように工事負担金が多うございます。それらを転嫁する方法とか、いろいろ支障がございますので、なかなかその運びには至つておりませんが、逐次その方針で進んでおりまして、そういう治安的な問題につきましては、できるだけ重点的扱いをしたい方針で進んでおります。
  80. 大川光三

    ○大川委員 ちよつと関連して津田さんに伺いますが、今私質問いたしましたように、いわゆる治安の維持、あるいは防犯という見地から、特に品川駅あるいは新宿駅前とか、上野駅前について、多少の経費をかけても、ぜひ警視庁の管内ではやらなければならぬというお考えがあるかどうかということをお伺いしたい。
  81. 津田忠太

    津田参考人 ただいまの御質問につきましては、私の方でもかねがねそういつた繁華街はもちろんのこと、現在一級線にあるものがきわめて少いのでありまして、でき得れば全面的に一級線に切りかえたいというふうに考えておりますが、先ほども申しましたように、これがやはりある程度財源の関係もありまして、なかなか予算がとれないので思うように運んでおりません。けれども、お説のようにできるだけ治安の問題として重点的に扱つて、できるだけ可及的に全面的にこれを切りかえたいという方針で進んでおります。
  82. 田嶋好文

    田嶋委員長 今の点と関連して木川田さんに伺いますが、一級線に切りかえるだけの費用が警視庁の方にあれば、あなたの方では……。
  83. 木川田一隆

    木川田参考人 問題は二つにわかれると思いますが、切りかえの配電線の費用でございますが……。
  84. 田嶋好文

    田嶋委員長 費用が警視庁にあれば、全部一級線に切りかえていただけるのですか。
  85. 木川田一隆

    木川田参考人 会社の方には費用がございません。そうして今の料金でペイしない部分は、工事負担金でお客さんからいただくという仕組みになつておるのでございます。それで会社の負担もございますが、できるだけ繁華街の交通信号等は一級にする方針で、特に京橋方面は進んでやります。
  86. 田嶋好文

    田嶋委員長 そこで費用があなたの方でできたと仮定して、電力の方は全部切りかえてやれますか。
  87. 木川田一隆

    木川田参考人 これはたいしたことはございませんと思います。費用の問題が第一番の問題です。
  88. 大川光三

    ○大川委員 ちよつと吉田さんに伺いたいと思います。さつきあなたのお言葉の中に、別に組合側は電気はとめていないのだ。それは電源ストの結果だというようなことでしたが、もう少しその点を詳しく伺いたい。
  89. 吉田一吉

    吉田参考人 お答えいたします。私の方はおもに配電部門を扱う部門であります。そうして送電の方に関係ございません。従つて電源ストというのは送電線がやられるのですから、都内あるいは市内へ入つて来る私ども配電線の方は、これはとめなくても向うのもとがやられればやはり来ない。こういうことなんでありまして、私の方ではやつておらない、こう申し上げたのであります。
  90. 石川金次郎

    ○石川委員 津田さんにお伺いいたします。あなたの御説明をお伺いいたしますと、停電によつて信号機が故障した、また交通事故が発生した、犯罪があつたということですが、停電ストライキが原因でなくて、渇水が原因であるとすれば、ストライキによつてこの犯罪や、交通事故や、あるいは信号機の事故が起つたということはないと思います。御説明くださいました説明資料は、そういう意味でございますればストライキが起した事故だとはおつしやることができないかと思いますが、どうでございますか。
  91. 津田忠太

    津田参考人 これは犯罪の発生も同様なんでございますが、夜間における交通事故、これと、中途で暗くするためにこういつた事故が起つたというものをわけて実は研究したわけであります。それから考えてみますと、電燈がついておればこの事故は起らなかつたろう、消えたためにこの事故が起つたという限定の事故なのであります。     〔委員長退席、松岡(松)委員長代   理着席〕
  92. 石川金次郎

    ○石川委員 でございますが、消えたということはストライキがあつて消えたのか、渇水のために消えたのか、その他の事故によつて消えたのかわからないのでありますが、これらの責任をストによつて起つたとあなたはごらんになつていないか。もしもストライキによつてこういう事故が起つたと言もれるとすれば、罷業をやつている人に不当の責任を負わせることになりはしないか。ストライキではなく、電気が消えたから起つた事故だ、こういう意味ではございませんか。
  93. 津田忠太

    津田参考人 私は何もこの問題をストライキに責任を寄せようという考えでも何でもありません。平たく言えば、いわゆる電気が消えたために起つた事故という結論じやないかと思います。
  94. 石川金次郎

    ○石川委員 それで私はわかりまた。
  95. 古屋貞雄

    ○古屋委員 会社にお尋ねしたいのでありますが、東電の五十五万キロに対する大口需用者と、一般需用者の配電量の比率はどのくらいになつておりますか。
  96. 木川田一隆

    木川田参考人 停電ストの一割五分、二割というベースでございますが、これは九月五日の出力の……。
  97. 古屋貞雄

    ○古屋委員 そういうことでございません。
  98. 木川田一隆

    木川田参考人 分析いたしますと、電燈電力需用はどうなつて……。
  99. 古屋貞雄

    ○古屋委員 大口需用者と一般需用者の、あなたの方で配電している比率を承りたい。
  100. 木川田一隆

    木川田参考人 それによりますと、一級、二級、三級で申し上げた方があれはいいのじやないかと思います。一番重要な確保すべき第一級部分が、昼間の需用が五十六万キロ、それから夕刻時一番ピークの出ますときが同じ需用が六十九万キロございます。これが第一でございます。  その次にいわゆる第二級の需用でございますが、全然停電をすることができない部分が二十二万キロございます。これは昼間でございます。それから夕刻時は十九万キロございます。それから少しの間なら、停電してもそう工場の損傷その他人命の危険がない、大体二時間以内と認めておりますが、このお客さんの需用が昼間十一万キロ、夕刻時は八万キロ、こうなつております。  それから第二級の中で停電ができるもの、そういうお客さんの需用が昼十二万キロ、夕刻九万キロとなつております。これが第二フロックの需用量であります。  それからいわゆる一般線、商店、家庭の電燈その他小口の動力でございますが、その線のいわゆる三級のブロックに属しますのが、昼間が五十四万キロでございます。それから夕刻時が最も各種需用の中で需用がふえまして、八十万キロと了承いたします。それを合計いたしますと昼間の負荷が百五十五万キロ、夜間、夕刻ピーク時の電力が百八十五万キロという結果になります。
  101. 古屋貞雄

    ○古屋委員 ただいまの御説明は、ストライキの起つている状況においての配電の状況ですか。普通のときでしよう
  102. 木川田一隆

    木川田参考人 普通の状況でございます。
  103. 古屋貞雄

    ○古屋委員 今度ストに入つてからの給電の比率は、いかようなつておりますか。
  104. 木川田一隆

    木川田参考人 お答え申し上げます。電源ストを二割と仮定いたします。それが三十一万キロ。夕刻時、昼間同じ最大電力でございます。需用電力の予想は先ほど申し上げました百五十五万の百八十五万、それに対してストを二割と仮定いたしますと、百五十五万の二割が三十一万キロ、これを減らすといたしますと、差引勘定が御質問への答え、こういうことになります。
  105. 松岡松平

    松岡(松)委員長代理 ちよつと木川田さんに伺いますが、渇水にとられるわけですね。だからそれを引かなければならぬ。
  106. 木川田一隆

    木川田参考人 そうでございます。十七万キロか十八万キロ。
  107. 古屋貞雄

    ○古屋委員 そうすると、そこに数字では現われませんが、私の承りたいことは、一般大衆に迷惑をかけないような配電操作ができるかできないか。言いかえますと、大口需用者を停電して大衆への給電を平常通りやれるかやれないか。そういう操作ができるかできないか承りたい。
  108. 木川田一隆

    木川田参考人 スト程度によりますが、今停電ストを二割、三十一万キロ、それから渇水の不足が十七万ないし十九万キロと仮定いたしますと、可能な制限のできます部分は、第三ブロックの五十四万キロとその上の十二万キロもしくはその二時間以内にできる十一万キロ、この部分に集中されるわけでございます。これでもつてまかなうことになります。ですからその程度に応じまして、五十四万でよろしければ五十四万、一般線がとまるわけでございますが、それ以上になりますと、二級の電力に参ります。ただ一般線をとめずに、動力だけでカバーできるかどうかということになりますと、大口でとめる可能の部分は大体十二万キロと十一万キロ、夕刻時は八万、九万ということになりますから、二割も停電するということになりますれば、動力だけではどうしてもまかないきれない。一般お客さんにも迷惑をかけなくちやまかないきれないという現状であります。
  109. 古屋貞雄

    ○古屋委員 ただいま一般も多少は停電をしなければならないという御説明ですが、先刻の御説明によれば、一般電燈は六十四時間のストップ以来停電が行われている。それが今の二割程度の現在においてはどのくらいの停電でまかなえるわけですか。
  110. 木川田一隆

    木川田参考人 六十四時間の一般電燈停電の計算の根拠でございますが、これは二つの階段がございまして、ごく大ざつぱに申しますと、一番先は電燈電力に平均して犠牲を忍んでいただこうというわけで、同じ時間だけ最初十一月末までやつて参つたわけです。その後は電産が、給電所並びに変電所一般線をとめれば放棄する。そうすると、全停電のおそれがあるから、やむなく公平な方法をやめまして、動力だけにお願いするという方法とつたわけであります。そして最近の場合、またこの一両日の最後の十五次ストの場合は、今度はストの戦術が少しかわりまして、一般線でも部分的には認めるというようなことになりましたので、少し電燈の方にお願いして、一般線がとまるという三段階を経まして、六十四時間の二百三十何ぼとかいう結論になつたわけであります。ですからスト方法によつてかわつて参つたわけであります。
  111. 古屋貞雄

    ○古屋委員 私の承りたいのは、大口需用者を停電して一般需用者は停電しないような操作が現在結論として出るか。もし出ないとすれば、どのくらいの率だけ出ないのか。それを御説明願いたい。     〔松岡(松)委員長代理退席、委員長   着席〕
  112. 木川田一隆

    木川田参考人 現在の渇水状態、それから最近の二割停電ストライキ停電ということから、どうしても動力だけではまかないきれません。夕刻時やむなく電燈を三時間程度とめていただきまして、昼は午前午後半々に半日分とめていただく。そして動力は、ほとんどその可能な動力工場はとめていただくという非常な調整段階に入つているわけであります。ですから動力だけでは絶対にまかないきれない。その比率を申しますと、工場に重点を置きましても、結局自主的に御協力を願う部分と、こちらが消さしていただくという部分があるわけでございますから、工場の方は二十二万か二十三万しかできません。一般の方に五十四万ありますから、三十一万の電源スト、二割がございますとすれば、その比率においてわけられる。十一万の一部分と十二万のフルの部分、これが工場部分。それに対しまして一般線が五十四万という比率にわけられるわけです。ですから三十一万に対して二十万そこそこが動力でカバーできる。その残りが電燈線犠牲になる、こういうことに簡単に申せばなるわけであります。
  113. 古屋貞雄

    ○古屋委員 それではこう承りましよう。そうすればはつきりする。現在の状況において大口需用者を停電すれば、一般需要者には何時間くらいの停電でまかなつて行けるか、操作ができるかということを承りましよう
  114. 木川田一隆

    木川田参考人 繰返すようでございますが、現在の渇水、二割の電源ストという状況に応ずる現在の供給力からいたしますれば、動力は夕刻時のピーク時には全部とめていただきます。そうしてなおかつ電燈におきまして、昼四時までと夜と半々に半日とめていただきまして、夕刻時には一時間おきに三時間とめていただかなければまかない切れません。こういう具体的な結果になります。
  115. 田万廣文

    ○田万委員 先ほど松岡さんから料金の問題でお尋ねがあつたのですが、それで木川田さんにお尋ねしたい。基本料金というお話でございましたが、これはどういう基準で出ておるのでしようか。簡単にわかりやすくひとつ説明願いたいと思います。
  116. 木川田一隆

    木川田参考人 先ほど料金の原価の大ざつぱなことを申し上げたわけでございますが、基本料金は電気の使用の有無にかかわらずかかる費用、言葉をかえますれば、固定費の利子償却等の部分でございます。
  117. 田万廣文

    ○田万委員 やはり電力料金という名前を使つていることは間違いないですね。そうすると、使つた電力量に対してそれ相当の電燈料ということを計算されることが一番科学的であろうと考える。しかしお話によれば、そういうものとは関係なくして、会社自体の経営が成り立つて行くために、諸般の計算を遂げてきめたものが基本料金であるというお答えであつたように思うのであるが、私はこれは非常に非科学的な、会社の一方的な計算ではなかろうかと思う。これは常識的な質問なのですが、どうですか。
  118. 木川田一隆

    木川田参考人 料金の建前は、商品の価格としての電気料金である以上は、お使いになつたきまつたアワーの部分だけに対してペイする価格でなければならぬのじやないか、それを二つのブロックに分析して、固定費とか可変費として、固定費が幾ら可変費が幾らときまつた使用料金というのは非科学的ではないかと、こういう御質問と思いますが、料金の研究は、アメリカを中心にして非常に厳密に行われまして、どうしても電気分量と地域独占の料金で、しかもなお水力を中心にする場合には、固定費が大部分を占めておる、これが料金の原価の大部分である、それから使用料金の部分二つあるから、科学的にコスト分析するとどうしても二つ部分になる。それを一緒くたにする制度もございますが、科学的な料金制度としては、現在のところこの二つの料金の構成から成り立つている制度がよろしいのであるというふうに考えられているようでございます。
  119. 田万廣文

    ○田万委員 私は電気のことは明るくないので、どうもよくわからないのでありますが、電気も商売であつて営利事業なんですから、品物を売つて金をもらうというのが建前でしよう。それを、売らない品物を料金をとるというのはちよつとおかしいと思うのですが、特殊な事業で、電力料金だけにたよつて行くのだから、会社が成り立たないということから、そういう基本的な料金というものをお組みになつているという状態だと思うのでありますが、私が言いたいのは、ストライキによつて工場に、特に一般大衆に迷惑をかける、迷惑をかけた方から言えば、送電すべきものを送電ができなかつたのだから、その差引計算だけは会社側においてこれを免除するとか――免除するのではなく、当然それは請求できないものである、請求権を放棄するというようなお考えが当然起つて来ると思うのであります。これに対しては、先ほど松岡さんからお尋ねがあつた際もお答えがあつたようでありますが、私はそれを強く会社側に要求したいのですけれども、どういうことになりますか。
  120. 田嶋好文

    田嶋委員長 営業部長さん、お答えできますか。お答えになれる範囲で、できなければできないでいいですよ。
  121. 木川田一隆

    木川田参考人 先ほど松岡先生にもお答えしたのでございますが、この点は非常に心苦しい次第でありますが、補填と申しますか、かわりと申しますか、それで割引制度というものがありまして、これを積極的に実施して少しでもお客様の気持に沿いたいというふうに考えております。
  122. 田万廣文

    ○田万委員 大体一般大衆だけのものを計算したならばどのくらいの電力料金になりますか。
  123. 木川田一隆

    木川田参考人 大体日量三千万キロワット・アワーというのが現在の量でございます。そうして販売電力量が、三千万キロワット・アワーの中で、従量電燈が一三・九%、定額電燈が八・六%でございます。それが従量電燈と定額電燈の占めるキロワット・アワーのパーセンテージであります。
  124. 田万廣文

    ○田万委員 八・六%というお話がございましたが、これを料金的に計算すればどのくらいの金額になるわけでありますか。
  125. 木川田一隆

    木川田参考人 需用の高はわかりますが、料金の計数は持つて参りませんでしたので、あとでお届けいたします。
  126. 田万廣文

    ○田万委員 今おわかりにならなければ、あとでもひとつお知らせ願いたいと思います。今度のストライキは大なり小なりいろいろの面に経済的影響を与えておるのでありますし、特に私どもは先ほどからいろいろのお話を三人の方から承りましたが、吉田さんからお話のあつた、いわゆる大衆に迷惑をかけないという基本方針をもつて臨んでおつたということであるからして、その方針に沿わないような、大衆に不測の迷惑をかけたという分は、あなたのお話では労使の側においてということだが、その点からいつて、当然料金は免除して差上げるべき性格のものではないかと考えるから、それをお尋ねしておるのです。  それから次にお尋ねしたいのは、一級、二級、三級に区分しておる送電順位でございますが、この三級の一番最下位に一般という文字があるのです。これは私は少し飛躍した話になるかもしれないが、主権在民という時代に、国民大衆というものは一番トップに置かなければならぬものではないか、そうすると一般というのは、どうしても第一級の中にはうり込まなければならないクラスのように私は考える。こんなめちやくちやな一級、二級、三級というようなきめ方をだれがしたのですか。こういうものを会社側だけでなすつたのですか。
  127. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えいたします。三ブロックの編成はどこでやつたかという御質問と思いますが、これは戦前、会社側で立案いたしまして、当局とお打合せをいたしまして、それから戦後再びこれを再検討いたしまして、お打合せをしてでき上つたもので、会社としまして自主的にきめたものであるということを申し上げます。但し一般が最上位――上位、下位という考えでございませんで、一ブロック、二ブロック、三ブロックという考えでやつております。そうして一ブロックがどうしても電燈を送らなければ危険その他社会的において重要であるという観点でやつておるわけであります。
  128. 田万廣文

    ○田万委員 一般をして三級の一番どんじりに置いておくということは、わかつたようでどうしてもわからぬのです。だからして私は、今言つた通り一級のトツプまでは行かぬとしても、一級のクラスにはめておくべきが至当でないか、これは会社側が自主的にきめた、きめたのは戦前にきめて、戦後も再検討してやつたというが、その再検討の仕方は、私たちは間違つておると思うが、あなた方は間違つておらないと思うならば、どういうところから間違つておらぬか承りたい。
  129. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えいたします。先ほども申し上げました通り、一ブロツク、二ブロツク、三ブロックは上下というよう観点でございませんで、危険、公安その他社会的に送らねばならぬ需用、その次に送らねばならぬ需用というふうな考え方で、普通のお客さんのは三ブロックに入つております。何といいますか、社会的価値判断という、社会性から立脚した問題でございませんで、中心都市でありますればやはり送らねば危険、公安を害するという観点を多分に盛つて区分をしておるつもりでございます。
  130. 田万廣文

    ○田万委員 これは物の考え方があなたと大分違いますから、あるいは水かけ論になると思うのですが、送らねばならないという観点は、やはり一般大衆の生活というものが国民経済の基本になるのであるから、それに送るべきではないかというのが私の考えなんです。それは食い違いがありますから、どこまで行つてもこれは並行線で話がつきませんが、ひとつ会社側も、営利会社であるけれども公共性を持つておる限りにおいては、ストライキ問題について、工場も困るかもしらないけれども、ほんとうに困つておるのは末端の勤労大衆なんで、勤労大衆の生活が安定することによつてストライキも円満に解決できる可能性も出て来ると思う。だから先ほどから警視庁の方から津田さんが出おつていろいろお話があつて、いろいろ陳情があるということだが、その陳情は末端の勤労大衆の奥さん方の声がそこに出ておるのであつて、大工場のお偉方の金持ちさんの南ではないのだということを考えるときに、これは木川田さんだけにお聞きするのも無理ですけれども、会社に帰つたら、衆議院の中にそういう声があるということを大いに発表して、その最下位にある一般というのを第一級の中にはうり込むように、ひとつ考えてもらいたいと思います。  次に吉田さんにお尋ねしたいのですが、これはストライキに関係のある問題でして、私どもうわさに聞けば、ストライキによつて社会面にいろいろな問題が起きておるが、必要以上にストライキが非常に悪いんだという印象を与えるようなことを会社側で策謀してやつておるということを、ある地区において聞くのですが、こういう事実をお聞きになりませんか。またあつたとしたら、どういうふうな方法を講じておるかということをおつしやつていただきたい。
  131. 吉田一吉

    吉田参考人 必要以上な闘争をやらざるを得ないところに会社が追い込んでおる、こういうことについて何か聞いていないか、こういうお話でございます。これは先ほど松岡先生のときにもちよつとお答えしましたが、私は電産の組合員でございませんし、従つて、何と申しますか、他の労組のことに関してあまり発言することはどうかと思いますが、ただ言えることは、ああいうふうな闘争をやらざるを得ないところへ、それは会社が追い込んだか、だれが追い込んだか私は知りません。知りませんが、とにかく何といいますか、皆さんに非常な御迷惑をかけておることは、電産の諸君だつて十分知つておると思います。従つて、できるなら避けたい気持は持つておるであろうということは、これは私自身が労働者ですからよくわかります。そのことを、とめるにとめられないというところに追い込まれておるところの理由が、会社の策動か、あるいはどこの策動か、それは私はよく存じておりませんけれども、早く解決をつけたいというつもりで電産の諸君も苦しんでおろう、こういうふうに思つております。ちよつと答弁が的はずれかもしれませんが、あまり電産の内部に入つて言うことは控えたいと思います。
  132. 佐治誠吉

    ○佐治委員 ずつと静かにいろいろの質問、御意見を承つておりましたが、この問題は敗戦後の虚脱状態から皆がぼけておるんじやないか、いくら法律をつくつてもだめです。新憲法をよく読んだらわかるんじやないか。電気を供給することが公益事業、だから公益事業というのであります。電気を供給することそれ自体が、すでに公共の福祉であります。憲法には労働運動の基本権を認めております。しかしその一面において、公共の福祉を害してはならない、それを保持することに努めなければならぬ、この点に違反しておりませんか。労使双方の皆さんの御意見を承りたいと思います。
  133. 吉田一吉

    吉田参考人 労働者側から先にお答えいたします。先ほど来繰返し申し上げましたように、私たちはストライキ権を持つておるとしても、やはり扱つておる事業、それから公共の福祉という点について真剣に考えておりますから、できるだけお客様に御迷惑のかからないように、需用者に迷惑のかからないような考えのもとに終始闘つて来た、かように申し上げておる。また将来もその気持に立つてつて行くことはかわりございません。電産の諸君といえども、その気持は決してかわつておらないと思います。ただたまたま解決がああいうふうに延び延びになつたということは、その間いろいろの関係もごさいましようが――私はよその組合のことを申し上げるのは何ですが、少くとも私の方の組合に関する限りは、そういうふうな考えのもとにきようまでやつて来たつもりでおりますし、大体同じように二箇月ばかり闘つて来ましたが、その間一回も停電ストというような行為にはわれわれは出ないで闘つて来たということを先ほど来申し上げておるのは、今先生が御指摘のような点に十二分に考えがあるからさようつて来たというふうに御理解願いたいと思います。
  134. 佐治誠吉

    ○佐治委員 重ねて質問いたしますが、諸外国の労働運動の例で、停電ストをやつておるというところが実例がありますか、お聞きしたい。
  135. 田嶋好文

    田嶋委員長 経営者側の意見を聞かなくてもよろしゆうございますか。
  136. 佐治誠吉

    ○佐治委員 どちらでもけつこうです。
  137. 吉田一吉

    吉田参考人 私はよその国のことをよく存じてはおりませんが、ただ現在の日本の労働者が置かれている立場と、それからことにアメリカあたりの労働者の置かれている立場とは、相当の開きがあるのではなかろうかと思います。たとえば同じ電気労働者としましても、アメリカの労働者としては、ストをやらなくても十二分に生活するだけの賃金が保障されておるのではなかろうかと思つております。しかしこれは何といつても、私たちだけがそれを言つてはいけません。やはりほかの働く労働者みんなもそうですが、とにかくこれはやむを得ないことではありますけれども、敗戦によるところの相当の経済の混乱等のために、われわれの生活が決して恵まれた形に今なつておりません限り、これをアメリカあたりの労働者と比較されて御批判をいただくということは、相当われわれとしてはつらい、こういうふうに思つております。なおストライキがあるかないかというようなお話につきましては、よくは存じませんけれども、そういつた恵まれた状態の中に好んでストをやるものはないだろう、こういうふうに存じます
  138. 木下郁

    ○木下(郁)委員 木川田さんにちよつとお聞きします。繰返し聞いたことですけれども、もつとはつきり聞きたいことは、あなたは基本料金の点につきまして、お使いになろうとなるまいと、それだけは頂戴することになつておる、これは理解が行くのです。しかしそれは需者者側の都合でお使いになろうとなるまいとの問題であつて供給者の方が全面的に責任のあることで、供給しないでおつても、なお基本料金というものはとり得るものだ、その基本料金に関する立法の趣旨はさようなものだということの根拠が、はつきり何かありますかどうか。あなた方がその解釈をなさる根拠――極端なことを申しまするならば、自分の方ではストライキもなく、雨も十分降つてつても、供給するだけの電力量はないのに、たくさんの人と基本料金の約束をしておいて、そして自分の方の都合で全然供給をしないでおいても、なお基本料金だけはとれる、さような残酷な趣旨の基本料金の規定であるとお考えになつておるのかどうか、あればその根拠をはつきり伺いたい。
  139. 木川田一隆

    木川田参考人 たいへんお答えしにくい問題でございます。今は電気事業が私企業である、そうして公益事業であるという建前から、一般の商品価格とは別個に、御承知通り認可制度になつております。その際諸種の聴聞会等の民主的な手続が経られてきまるわけでありますが、会社の立場というものは、そういう行政的な措置をつけた上で、こういう制度ができておるわけでございます。根拠はどこかとおつしやいますが、やはり供給規定に根拠を置いておると申し上げるほかはございません。
  140. 木下郁

    ○木下(郁)委員 それで今お話の、あなた方のその根拠となさつておるのは、供給規定について認可を受けておる、これは電気事業法等その他にもあることですが、それをあなた方の今おつしやるように、需用者の方でかつてに使わない、あるいは需用者の方で十分の設備ができないために使わないというようなときには頂戴しますというのは、これはわかります。しかしながらその認可の趣旨が、供給者の側に全面的に責任のある場合においてもなおかつとり得るんだというふうに御解釈になつておるらしいのですが、それは行き過ぎではないか。しかしながらその認可の条項の中に、ストライキのためにできたことは知らないぞとか、あるいは一揆のためにできたことは知らないとか、いわゆる世間でいう免責約款みたいなものがはつきりあるのかどうかということを私は伺つておる。
  141. 木川田一隆

    木川田参考人 供給規定の中に、不可抗力の送電停止、中止等におきましては免責されるということになつておりますので、このストライキが不可抗力なりやいなやという法律問題が発生すると思いますが、私たちの解釈では不可抗力と存じております。従いまして会社の一方的責任と考えてはいないわけでございます。
  142. 木下郁

    ○木下(郁)委員 私の伺いたいのはそこだ、不可抗力という言葉はありそうに予想いたしております。しかしながら今問題になつておる電産のストライキその他のストライキにおきましても、電気会社においては相当の高率の配当をなしておるという現実の事実があるというような意味で、これを不可抗力と一方的に解釈して、善意な、少しも欠点のない一般の大衆――大衆だけでなくて、大口でも私に言わせればそうです。自分の方でも仕事ができないで非常な損害を間接にはこうむつておるが、それは別問題といたしましても、結局給料その他の福祉設備なんかの問題もありましようが、給料の問題について会社ストライキを長引かして、会社がこれを全面的に不可抗力なりとしておるんだというふうに承つてよろしゆうございますか。会社の責めに帰すべきものじやなくて――ストライキによる電気の供給をしないことは、片一方から片一方にまわせばできることなんだ。それをしないことも不可抗力だというふうに会社はお考えになつておるわけですか。
  143. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えいたします。その前提といたしまして、会社側としましてはできる限り電力供給する義務を尽した上でのストライキでございまするから、不可抗力と考えております。
  144. 木下郁

    ○木下(郁)委員 それでは、今当面しておるストライキの争いの条件をいれた場合には、会社は全然成り立たない、将来存立することができないという見通しの上に立つておるのですか。それとも会社は相当の企業成績をあげて、株主にも普通の配当はするという程度のことは保持しながら、なお解決ができない場合も不可抗力だというふうに解釈いたしておるわけですか。
  145. 木川田一隆

    木川田参考人 これも非常にお答えしにくいむずかしい問題でございますが、最後にあつせん案を会社側はのんでおります。これは、この金額そのままで会社の経営が健全に運営できるかという問題になりますと、やはりこれはそのままではのみにくくて、ほかに財源をある程度出さねばならぬということで、二十四時間という労働時間の延長、それによる時間外の点から縮小いたしまする財源をその方に捻出するとか、その他の労働関係の面において財源を捻出し得るという期待を持つて見ておるわけでございます。それと基本条件としまして、企業の内部を徹底的に合理化いたしまして、料金を上げずにこの賃金のあつせん案をのもうということになつたわけでございまして、その中にはもちろん公正なる利潤を得て、事業運営についての資本蓄積上正当部分確保したいという方針でおるわけでございまして、これ以外におきましては、料金の面において上げない、そしてサービスしたい。それから資本の運営関係におきましては、適当な公正利潤を確保したい。労働関係につきましては、できるだけあつせん案に沿うた努力をして行きましよう。この三者の調和した形において本問題を取扱つたわけでございます。
  146. 木下郁

    ○木下(郁)委員 調停案、あつせん案というようなものも それはまつたくのしろうとのやつたものではありませんし、相当有権的なものだと思いますけれども、それが完全なものということは言い得ない、そこに争いがあつて続いておるものと思うのでありまするが、今のお答えで、会社は今一般大衆の基本料金を、百ワットとか五十ワットとかいう電燈について、一燈についてはなんぼというようにきめて、これは使おうと使うまいととる。また工場なんかで特に約束しておる基本料金の契約料なんかも、不可抗力であるから法律的には当然とるということが今はつきりいたしました。その点については大いに争いがあると思います。これは裁判の上ではつきりすることです。しかしわれわれが常識的に考えましても、よくこれ以上できないといつて争議をやつておりながら、やはり次々と条件を譲歩する。これが最後と言いながら、それが最後でなくして片づいたり、しかもなお相当の高率の配当をし、また会社の経営の面においても、相当多額のむだな費用が使われておるということが世間にたくさんあり、ほとんど常識のようなつておるといつてもさしつかえないような姿であります。電燈会社としましても、こういう点については将来十分に反省してもら  いたいということを希望しておきます。
  147. 松岡松平

    松岡(松)委員 今の質問に関連して、先ほど木川田さんから水力並びに火力のストに対して阻止手段を講じている。一方を押えれば一方が起る、波状的に来るとおつしやつているのですが、新聞なんかによれば、各大口需用者で変電所を持つておるところがたくさんある。そこには四人ないし五人の電気技術者の常置員がおるはずです。そういうところから協力を惜しまないという声すら出ておるように承つておりますが、そういうことについて、はたして十全の手が打たれておるかどうか、これは承りたいことなんです。一体応援してもらうような手配について、組合と協議会か何か持つておられますか。
  148. 木川田一隆

    木川田参考人 ストの際における阻止手段の点でありますが、組合ストによつて停電した場合に、非組合員発電所においてこれの阻止手段として運転する、これは技術的に第一番に困難な問題がございます。各発電所水力発電所、火力発電所ともおのおの性能が箇所々々によつて違うのであります。その他諸種の場所になれません  で、日ごろ運転しておりませんと、いろいろの故障を生ずる。それから長時間の非組合員の運転ですと、やはり熟練者がやる場合と比較しましていろいろな故障が出るということがございますが、一応の手段といたしましては、非組合員を派遣いたしまして、常駐させてやつておるわけです。それから外部のいわゆる技術者の応援態勢でございますが、これは今次ストの途中からそういう動きがございまして、まだ完全な協力態勢には入つておりません  それからもう一つ最後に、先ほどもお答え申し上げたのでありますが、水力発電所の場合は、次々と別の発電所組合の停止命令が行くということで、実行が非常に困難であると今考えておるわけでありますが、もしこれから次に移らないと仮定すれば、可能な努力をいたす方針と組織をつくつておるわけでございます。
  149. 松岡松平

    松岡(松)委員 かなりそれは問題になるところで、おそらく発電所の従業員の数というものは、全体の従業員の数から見ればわずかなんです。電気の技術者というものは、全部が技術者でなくても済むはずなんで、補助員もありましようし、こういう問題をここで掘り下げますと、一時間や二時間かかると思うのですが、結論は社会の声というものをこの機会に私最後に申し上げておきたいのです。要するに、電気企業者も電産も社会犠牲において自分からの交渉を続けておるということです。だから、他人の迷惑において自己の満足を果そうという考え方、これは社会がもう許さなくなつて来ておる。ですから、ほんとうのことを申し上げますと、私は電産の委員長ときようは大いに論戦しようと思つておつた。一時間や二時間で話せつこない、電産の根本的な思想問題にまで追究申し上げたいと私は思つておつた。それはなぜかというと、公共福祉の関係から、私は法務委員会委員として見のがすことのできない段階に来ておる。これはもちろん労働委員会にも関係するし、通産委員会にも関係いたしますので、いずれそこへ発展すると思いますが、現在の段階において、この電気のストに対する社会の輿論というものはもう爆発しかけている。この点についてただいま協議中だとおつしやいますから、私どもはその調停の内容に干渉申し上げるわけではありませんが、少なくとも輿論というものを考えて、企業者も組合側ももう少し反省をされる必要があると思う。それは先ほど吉田さんから、日本の労働者の地位とこうおつしやいますが、私らをして言わしめるならば、日本の経済自体が世界に占めている状態というものが劣勢、弱体なので、それがまずどこへ出て来るかというと、労働者の給料とか賃金に出て来るのです。これはしかたがないのです。それだけに企業者はお考えにならなければならぬと思う。ですからこの点は不可抗力という考え方自体が間違いであつて、現在の段階において、もし全面ストをやつたらどうするか、全部組合の要求をのまれますか。またそれとも政府に何らかの対策を要望されますか。ここが問題である。そこに労働者のくさいところがあると思うのです。ですから全面ストもやり得るかもしれない、またやり得ると主張するかもしれない、やつた場合にどうしますか。そういう場合に会社はどういう態度をとられますか。私は御返事を伺おうとは思いませんが、輿論が高まりつつあることだけを申し上げておきます。これで終ります。
  150. 田嶋好文

    田嶋委員長 午前中の参考人木川田一隆君、吉田一吉君、津田忠太君、いずれもまことに長時間にわたつてありがとうございました。本委員会のために格別に御協力願いましたことを、委員長として心から厚く御礼申し上げます。  予定しておりました井上病院院長井上敬勝君が病気のため、そのかわりといたしまして、井上病院顧問篠井金吾君が出席いたされましたので、さよう御了承を願います。  それではただいま申し上げました篠井金言君及び戸山アパート自治会連合委員長原田眞雄君より順次御意見を伺うことにいたします。  篠井金吾君。篠井君にはよくお聞き願いたいと思いますが、あなたの病院の専門科、病室の数及び入院患者数はどうなつておるかという点。それから手術をやつているうちに、停電ストによつて人命にかかわるような危険が起つたことがあるかどうか。それから急患者、たとえば外傷患者でもいいのですが、その手当をするとき、停電中の場合はどういうようにしてやつたのか、その状況、それからその結果等についてお答えが願いたいと思います。
  151. 篠井金吾

    ○篠井参考人 お答え申し上げます。井上病院は渋谷にございますが、そこの顧問をしておりまして、実は私自身がそこの診療に携わつているのではございません。ただ本日は院長が御病気のため参れませんので、概略の説明を申し上げるだけでありますが、実際の任務に携わつておるところの外科の主任の兒玉君を連れて来ておりますから、詳しいことはそちらからお話願うことにいたします。  井上病院は大体外科及び内科で、内科は特に呼吸器を専門としております。病室の数は、私ははつきりした数は存じませんが、おおむね四十内外であります。現在大略三十七、八名くらいの患者が入院しております。一番困りますのは外科手術が非常に多い。それからたいへんけが人が多い。小田急あるいは帝都線のいろいろの外傷患者を特約的に取扱つております関係上、外傷患者が非常に多い。従つて停電あるいはガス供給の中絶というようなことによつて、しばしばそれらの手術が阻害されるということを経験しておりま。たまたま最近盲腸炎の患者がありまして、ガス及び電気の中絶によつて、非常にたいへんな迷惑をこうむつたことがありまして、その事実を保健所の方に報告しておいた次第でありますが、特に外傷手術などは、電気会社に非常に懇望しても電気を供給してくれません。外傷といつても、簡単なものから、あるいは内出血の非常にひどいものだと即刻に手術を要するというものがありますが、幸いにして今まで外傷で非常にそういうような手はずの狂つた、そして人命影響を与えたということはございませんが、これは将来必ずあり得ることでありまして、もし内出血のはなはだしいような患者がありましたならば、おそらくはその患者の生命に影響を及ぼすことがあり得るということを申し上げておきます。
  152. 田嶋好文

    田嶋委員長 この際お諮りいたします。井上病院の外科医長であります兒玉三磨君が出席されておりますので、兒玉三磨君を参考人として決定し、お聞きしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認めまして、兒玉三磨君を参考人として決定してお聞きいたすことにいたします。兒玉三磨君。兒玉君には今篠井金吾君から申し述べました以外の点につきまして、委員長から今篠井金吾君にお尋ねいたしました点についてお答え願いたいと思います。特に手術中に停電ストで危険が起つたようなことがあるかないか、こういう点についてお答え願いたいと思います。
  154. 兒玉三磨

    ○児玉参考人 お答えいたします。私の勤務いたしております病院は、一町医者ではありますが、ちよう一般の開業医と、そのあとにあります大学病院あるいは国立病院、そういうような大きな病院の中間的存在でありまして、深夜近所の開業医が急な患者を発見し、そういう大病院まで送れないので、中途的な私たちの病院に患者を紹介して来ることは間々あります。それから私の病院では、消防庁の救急指定病院なつております。それから労働者災害補償保険法によります労災の指定病院、そのほか近辺の交通機関の嘱託医、そういう関係上、非常な急な患者を間々扱うことがあるのでありますが、今回電産スト、あるいは炭労ストの結果起りましたガスの時間供給、こういうもののわれわれ医療期間に及ぼした影響といたしまて、いろいろな面においてはなはだ迷惑をこうむつておる事例が多いのであります。私の病院はただいま毎週木曜日と、それから土曜日の午前七時半から午後四時までが休電日となつております。この二日間はレントゲンその他電気を使う治療診断、もちろんその時間中の手術は一切不可能であります。残された週四日間だけをフルに使つてやるのでありますが、その四日の間にもなおかつ警告停電、あるいは抜打ち停電がございまして、いろいろな画ではなはだ困つた事例が多いのであります。その都度、私のところは電力会社の渋谷の営業所の管轄下でありますが、電話で連絡いたしまして、種々電力の特配、そういうことを懇望することも再々でありますが、電気会社の方の基準がどこにあるのか知りませんけれど、生命に別条がなければ電気は送らない、この一線ではねられるのであります。しからば生命に別条のある疾患がどれほどあるか、私はそんなに多くはないのじやないかと思います。ただ私たちが心配いたしますのは、なおるか死ぬかのその経過が非常に問題になると思います。電気会社の方では、その経過がよくても悪くても、たとい悪くてわれわれがいかに苦労し、患者が苦しみまして、そしてなおつたといたしましても、その間のことは一切心配していただけない現状であります。たといそのときは生命には別条ないと思いましても、生き身でありますから、どういう結果になりましてその患者が死に至るかもわかりません。幸いにして現在まではそういうことはございませんが、これからこういうことがしばしば行われますと、私どもはどういうふうにしてよいのかまつたく思案に暮れている次第であります。先ほど篠井先生からもお話がありましたように、外傷のような場合には、これは原則として電気を送つてくれない、生命に別条がないと見た場合は。しかしつい最近の例でもありますが、小田急が追突事故を起しまして、相当数の負傷者を出しました。そのとき私の病院で収容した人員が、正確な数字は記憶いたしませんが、四十数名であります。これをトラック、救急車を利用いたしまして玄関にぼつと四十何名吐き出された場合、もしそれが停電中であつて、なおかつ電気を送つてもらえなかつたとしたら、はたしてどういう結果になるだろうか。そういうことを考えますと、非常に身の毛のよだつような思いがしないでもありません。私どもといたしましては、命を預かつている商売でありますので、でき得れば休電日というようなものも解除していただきたい。それから生命に別条があるなしにかかわらず、少くとも困つているときは連絡するのでありますから、その都度は電気を送つていただきたい。こういうふうに考えている次第であります。
  155. 田嶋好文

    田嶋委員長 あなたの病院で盲腸の手術の最中に、電源ストのために停電が起つて生命の危険を来したというよう新聞記事があつたのですが、これは事実ですか。事実としたらどういう状況でしたか。それをお答え願いたい。
  156. 篠井金吾

    ○篠井参考人 私はそのときは別に関係がなかつたのでありますが、あとでいろいろ話を聞きまして――一体新聞記事は少し誇大であつたかもしれません。生命の危険を起したということはあるいは誇大であつたかもしれません。ということは、手術によつて直接にその患者の生命に危険は与えなかつた。しかし結果として、その手術の結果が、停電がなかつた場合に比べて非常に悪かつただろう、あるいはそのために手術が遅延して、そうしてもつと早くやれば早くなおり得るものを重くして、治癒を長引かしたというような事実は確かにあるだろうということを私は感じたのであります。詳しい事実を申し上げなければならないのならば、児玉君から申し上げます。
  157. 田嶋好文

    田嶋委員長 次は原田眞雄君にお願いをいたしますが、原田君には都営アパートというような集団住宅における停電の場合、主としてその停電から起る混乱状況ということになりましようが、そういうことを御説明願いたい。それから集団住宅にこういう混乱状況が起きた場合に、対策としてどんなことを考えておるか。続いて水道、水洗眞所の使用等は停電によつてどうなるのか。それから出産、重病人等に対する障害事例が停電のためにアパート内で起つたことがあるかどうか。こういう点をひとつ説明を願いたいと思います。
  158. 原田眞雄

    原田参考人 私がただいま紹介をいただきました戸山アーパトの原田眞雄であります。御質問に対しまして申し上げますが、御承知ように私たちのアパートは鉄筋でありまして、約九百二十世帯のものが集団をしております。これはおそらく東京一、すなわち日本一だと思います。そこにおきまして本日お呼びくださつた点は、一般居住者とかわる点は、アパートに住んでおるということと、それからこの停電によつてすぐ水がとまる。ここに特異性があるのでお呼びくださつたことだと思います。それで停電時における被害申しますと、取立てて申し上げることはないようなものの、まず状況を御判断くださればわかると思いますが、一棟が二十四世帯あります。それが約四十棟一シティをなして建つております。でありますから普通の町と違いまして、しかもそれが四階でありますので、まことに通路が暗くなるわけであります。従つて交通関係に非常に支障を来す。しかもその建物が鉄筋でありますために、普通の民家の板べいの外あたりで犯罪が行われるよりか、たやすく犯罪が行われる例が多いということを私たち考えております。従つて子弟婦女あたりが勤め先から帰つて来るのに、実に困難をしております。昨年あたりは、その都度アパート内に入る通路のところへ痴漢が出て騒がした。また警劇察のごやつかいになつたという事実があります。交通のことに関しては、大体今申し上げたことで他のことも御想像できると思います。  それから屋内関係でありますが、この屋内関係も、やはり御想像くださるように鉄筋でありまして、階段を上る――ちよつとアパートと申しますと、中廊下で入口が全部向い合つておるようにお考えの方があるかもしれませんが、あのアパートはそうではございませんで、縦に二軒ずつならんで四階に行つております。それが一階段になつております。それが三つあつていわゆる二十四世帯ある、いわゆる縦に伸びたアパートであります。でありますから、隣同士であつても、鉄のとびら一枚締めれば、あとは鉄筋のためにほとんど普通の民家の一町、二町離れた以上に間隔がある実情であります。まことに便利な点もあります。少々夫婦げんかをしても、隣には聞えないということもありますが、翻つてもしもこの停電時に、用事をかこつけてノックをして入り込んで来て、婦女子ばかりだと思う場合には、押入り強盗もできます。その場合に出口が一つでありますので、逃げ場所がない。まあ一階の人でしたら、すぐ窓ぎわに飛んで行つて窓から飛びおりるということもありますけれども、二階、三階となりますと、もうその入口をふさがれれば、上から飛びおりて骨を砕かなければならないということを非常に憂えておるのであります。最近の停電時あたりでは、婦人などは特に戦々きようようとしておりまして、私たち顔を見知つた人たちが訪問して行つても、一応のぞき窓からのぞいて見て、そうして用事を聞かなければドアをあけてくれないというようなことで、日常生活、あるいはわれわれの共同生活に非常に支障を来しておるという事実があります。まず停電時のおもなるものはそういうことでありまして、先ほど申し上げましたように、まず電燈における被害はまだいろいろありますけれども、その程度でおきまして、その停電によつて断水するということがむしろわれわれのためにはまことに遺憾に思い、実に残念に思つておることであります。と申すのは、あそこは御承知の方もありますが、普通の水道を引入れたのでありません。これはいわゆる深井戸を二箇所掘りまして、その深井戸の水をポンプによつて、いわゆる電力によつて揚水して、それをタワーのところから一般家庭に給水しておるという水道でありまして、一般水道とはそこに違う点があるので、停電即断水ということであります。これはわれわれ今日日常茶飯事のごとく不自由しておりますが、まず日常茶飯事不自由しておることはあとで申し上げるとして、もし火事があつた場合どうするかということであります。この場合、私たちの部屋は六骨と八畳でありまして、実に設計がよくできておりますので、余分のバケツであるとか、余分のたらいとかいうものを置いておくような場所がないのであります。でありますから、停電になると水がなくなる。もし火事があつたら困るから、水でもくんでおこうということがなかなか困難で、それに先ほど申し上げましたように、いざ火事が起きた場合には、入口が一つだから、また避難に困るということで、まだその事例はありませんけれども、これがもし起つた場合の仮定でありますけれども、こういう事態が起るということはわかり切つております。  それから今申し上げましたように火事ばかりでなく、場所が狭いので、水がとまるだろうということを想像して、くみ置きの水を過分に持つということができないので、勢い食器を洗うとか、あるいは炊さんをする場合に不衛生になりがちだというので、昨晩もある婦人の方からも、私は停電なつて水が出なくなると、本日の物を食べないようにします、菜つぱを食べないようにしますというようなことを言つております。  それから御質問の中にもありましたように、水洗便所の水洗が不可能になる。これは実に尾籠な話でありますが、端的に言えばくそ攻めにあう、つまりこのくそ攻めというものはまことに皆さんも御承知通り気持ちの悪いもので、もちろん衛生にもよくありませんが、もしこの断水で水洗が使い得なくなつたら、三町、四町ある普通の民家の方に頼んで便所に行くというような潔癖な方もおります。また潔癖でなくても、そういうようにしなくちやならぬ事態が現に生じております。  それから減水の場合、むろん断水は困りますが、減水の場合でも、四階となりますと、電力の不足ばかりでなく、ふだんにとまつた場合に揚水しておく量が一定限度がありますので、ちよいちよいとまられると、貯水時間が少くなる、そのうちに出るから、みんな一時に洗濯する。そうすると四階の方面は圧力のために一滴も出ない。下の方は多少出る。そうすると、下の方が出なくて上が出るのならまだ話はわかります。下の方は隣の家とか近所の町にもらいに行くことは容易だけれども、その容易な下の方は出るけれども、一番困難な四階の方が出ないから、上の人がどんどん下の方にもらいに行く。一ぺんになるべくよけい持つてようというので、バケツに三つも四つも欲張つて来る。現に特に御質問の要綱の中に入つておりますが、妊産婦の流産ということが、これはある産婆さんから――産婆さんがアパートにおります。はつきり私は診断書というものは出せないけれども、これはこのために流産したのだということを言い得る人が何人かおりますということを訴えております。被害状況といいますか、また将来を想像した場合のことについては、大体そんな程度であります。  それからもしもそういう場合に混乱をしたことはないかという御質問ようでありますが、私の方は実は皆さんが御質問されるように、はたして混乱するのが当然なんです。ところが案外に混乱と取立てて申し上げるような混乱はなかつたということは、これは私昭和二十四年の暮れにあそこに入つたのでありますが、入つたとたんにその給水塔が不完全なために、ちよいちよい断水する、そうして一月四日にまず東京都へわれわれ掛合つたわけであります。そんなことでその後給水塔の故障、あるいは渇水停電、今日はなおひどいですが、そういう過程をもう丸三年経て来ておりますので、比較的今日は麻痺したとでも言いましようか、停電だ、じやあ、水をくんでおけというようなことでありまして、今までそういう過程がなくて、完全に水が出ておつたところに持つて来て、突然今日のよう停電が起きたら、おそらくこれは社会に相当迷惑をかけるような、皆さんが同情してくださるような事態が生じていることだと思いますが、今申し上げましたように、三間じりじりとそういうことにならされて来ているために――これは東京都の責任だと思つて、私東京都と闘つております。また国の方としても、この方面については一応お考えくださらなければならぬ点があるのじやないかと考えておりますが、そんなことで、混乱ということに対しては、むしろ自治的に混乱を起さないようにお互いがふだんから訓練されているということだけを申し上げておきたいと思います。では訓練されているからいいじやないかという意味ではなく、あくまでもわれわれは文化生活をしなければならぬのだ。いわんやああいう場所でありますから、非常時の場合にもわれわれはわれわれとしての態勢を整えなければならぬ。それにはまず水だ。その水が設備が悪くて断水する。停電で断水する。渇水で断水する。いわんやストのために大きな迷惑をこうむつておるということでは、われわれは将来ここに命を託するわけに行かぬということで、いろいろ対策を練つておりますけれども、先ほどからもいろいろお話が出たと思いますが、そういう特殊の場所でありますので、ぜひ一級線を引いていただきたい。ただいま東京電力の方がいらつしやらないのですが、それを申し上げたく思つておりました。それから基本料金の問題もあります。これも先ほどそちらの委員さんの言われた言葉に非常に共鳴しましたが、一方的な不可抗力だ、あるいは一方的な考え方で、使つても使出わなくてもとるのだというようなことは、これは実に不都合千万だというので、水の問題でも寄り寄り寄つておりますが、あるいは不払い同盟に加入しない限りもありません。まあ今後の問題でありますけれどもその点今まで実情を申し上げましたことと、この席をおかりして陳情のようなことにもなりましたが、よろしくお願いいたします。
  159. 田嶋好文

    田嶋委員長 これにて篠井金吾君、兒玉三磨君、原田眞雄君の御意見の開陳は終りました。質疑の通告がありますから、順次これを許します。福井盛太君。
  160. 福井盛太

    ○福井(盛)委員 篠井先生、兒玉先生、いずれでもいいですが、ただ一点お尋ねしておきたいと思います。井上病院におきまして、最近外傷患者の入院者が多いというお話でしたが、この原因は、直接、間接たるとを問わず、やはり停電によるものが多いというようにお考えになるか。
  161. 篠井金吾

    ○篠井参考人 井上病院における外傷患者は主として交通関係のものが多いので、停電による直接の外傷というものは、さほど多いとは考えられません。
  162. 福井盛太

    ○福井(盛)委員 東京医大の教授をなさつておるようですが、東京医大の病院などでは、こういう停電による外傷その他の入院患者は多いのですか。
  163. 篠井金吾

    ○篠井参考人 私の現在主として関係しております東京医科大学病院におきましては、私の関係は主として外科の方面だけでありますが、特に停電による外傷患者が多いというようなことはないと思います。
  164. 松岡松平

    松岡(松)委員 篠井さんにちよつとお尋ねしたいのです。近代医学一般として電気を用いることが考えられます。そしてこれは直接治療上に必要なものと間接的に必要なものがあると思いますが、電気がとまつた場合に、外科、内科、眼科、耳鼻咽喉科についてどの程度にお困りになるものですか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
  165. 篠井金吾

    ○篠井参考人 近代医学におきまして電気がどの程度必要かという御質問かと思いますが、医学における電気の必要性は、一般社会における電気の必要性とちつともかわつていないのでありまして、なくてはならないものであります。たとえばレントゲン診断というものは電気なくしてはできない。あるいはその他の心臓の電気的診断、あるいは眼科方面におきましては眼科の検眼、あるいは耳鼻科の検査、いずれもこれは電気なくしてはできないものであります。また治療面におきましても、電気による治療一切、すなわちレントゲンを初めとし太陽燈、赤外線、あるいは超短波、その他たくさんの電気治療がございますが、特に外科手術においては、照明がなくてはとうていこまかい手術はできない。特に手術中に電気が消えたという場合は、外科手術の続行が不可能でございます。特に夜間の手術においては、当然申すまでもなく電気なくしては手術は続行できません。
  166. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうしますと、電源ストによつてある地域、または広汎な地域に電気の供給が断たれた場合には、少くとも医者の立場から見て、国民の生命、身体に及ぼすところは甚大なものがあるとお考えになりませんか。並びに医者の立場から電気のストは公共の福祉をどの程度に侵害しているとお考えになつておりますか。それをちよつと簡単に。
  167. 篠井金吾

    ○篠井参考人 電気が供給されないためにいかほど医療上に妨げがあるか、またそれは医者の立場からどういうふうに考えるか、こういう御質問かと思いますが、もし電気がない場合は、一体そのまま手をつかねて黙つて見ておるかと申しますと、そうではございません。わかりやすい例をとりますと、戦時中あるいは終戦後の混乱時代の医療というものは、一体どうなつておつたかということを御説明申し上げればわかると思いますが、空襲下におきましては、電源が切られて一切電気がありません。そのような場合には、われわれも経験がございますが、おびただしい空襲の災害患者を地下室に収容して、ろうそくの光によつて手術をしたという経験もございます。しかしろうそくの光によつて手術ができ得たということをもつて、それが文明の、しかも平和時代の手術に許され得るものかということをお考えくだされば、それはとうてい許されない。少くとも文明国で、しかも平和時代の今日であつてみれば、あくまで科学的な治療方針をとつて行かなければならないと思うのであります。
  168. 松岡松平

    松岡(松)委員 兒玉さんにお聞きしたいのですが、何か子供さんの手術中で、えらく困られたという話が新聞に載つておつたのですが、あなたのところの病院ですか。
  169. 兒玉三磨

    ○兒玉参考人 さようです。
  170. 松岡松平

    松岡(松)委員 それではそのときの模様を少し簡単にお話願えぬでしようか。
  171. 兒玉三磨

    ○兒玉参考人 先日医師会の方から通知がありまして、被害状況があつたら委細を報告しろというお話がありまして、私ちよつと報告した事例がございますが、そういう事例があつたのは事実であります。これは盲腸炎の患者でありますが、私のところに参りましたときは、すでに自覚的にはもちろん、医学的にわれわれが見まして、はつきりした盲腸炎の症状が出ていたのであります。御存じないと思いますけれども、手術室と申しますのは、一定度以上の暖房と、それから暖房に伴つた湿度、各照明装置が必要でありますが、私のところでは、戦後ガス供給が完全になりましてから、サーキュレーターというのでありますが、あのガスの暖房設備にかえまして、なおかつ消毒施設を全部ガスでやるようにいたしました。そのために、室内の暖房がなかなか必要の温度以上に上らない。ところが手術室といいますのは、その部屋の前にもう一つ消毒室あるいは準備室というのがありまして、非常に密閉された部属でありますので、木炭あるいはれんたん、石油こんろ、そういうものでの暖房あるいは消毒をいたしますと、われわれしよつちゆうそこにいる者の人命に危険がありますので、非常にそれをきらつております。事実万やむを得なくて、一日三べん手術をするためにそれを用いましたところが、医者が二人、看護婦が六人ガス中毒で倒れまして、大騒ぎしたのが最近ございます。このときもちようガスがとまつておりまして、部屋を暖房するのに弱つておりました。患者さんが見えました時間から大体五時間くらい遅れまして手術をいたしたのでありますが、そのときは刻々容態が悪化して行きまして、来院時に見た所見並びに刻々変化して行く所見を見まして、なおかつ手術所見を照し合せまして、私の考えといたしましては、そのために明らかにこの患者は起らないで済んだような重症例にまで追いやられた、こういうふうに思つております。なおかつこの患者は遠距離でありましたので、ふとんを持つて来いと言いましたところが、とりに行こうとしましたところが、当日は電車も――これは京王線でありますが、とまつておりまして、ふとんも持つて来れない。家族の嘆きようは一方ではありませんでした。
  172. 篠井金吾

    ○篠井参考人 ちよつと今のお話でおわかりにくいところがあつたと思いますから……。要するにガス、電気の供給がとだえておつたために、単純な盲腸炎であつたものが、四時間後にはその盲腸が穿孔して腹膜炎を起した、こういう状況であります。
  173. 大川光三

    ○大川委員 篠井さんに一点だけ伺いますが、先ほどのお話の中に、生命に別条がない限りは送電はしないのだという建前を電力会社がとつている、こういうことで、ございましたが、生命に別条があるかないかという認定は病院の方でなさるのでしようか。
  174. 篠井金吾

    ○篠井参考人 先ほどちよつとこのことは申し上げたのでありますが、生命に危険を及ぼすか及ぼさないかという電力会社の見解は、おそらくはそのために直接にさような危険を起すかどうかということを申しているのであろうと思います。ただいまのように、単純な盲腸炎がそのために穿孔して腹膜炎を起した、しかしそれは手術によつて助かつたということになりますと、これは直接生命に危険を及ぼしたと言えないのじやないかと私は思います。
  175. 大川光三

    ○大川委員 病院の方の御認定で、これはあぶないのだというようなことを強く主張される場合には、送電はするのですか。
  176. 篠井金吾

    ○篠井参考人 私は井上病院の直接治療に携わつておりませんので、その点は兒玉君から……。
  177. 兒玉三磨

    ○兒玉参考人 生命に別条があると申しますれば、向うでは何分か後には送電してよこしますけれども、ただ生命に危険があるという判定が、なかなか私たちと向うとむずかしい。それは送電してくれます、こちらがそう申しますれば。しかし生命に危険があるというのはなかなかむずかしいのじやないか。
  178. 大川光三

    ○大川委員 それからこれはちよつと統計の問題でありますが、井上病院級の外科病院は、たとえば東京都だけでは大体幾つぐらいあるでしようか。常識的でけつこうです。
  179. 篠井金吾

    ○篠井参考人 はつきりしたことはわかりませんが、おそらく東京都内に百以上はありましようか。統計をとつたことはありません。
  180. 田嶋好文

    田嶋委員長 他に御発言はありませんか、御発言がなければ、本日はこの程度にとどめておきます。  この際参考人方々に申し上げます。各位は本委員会のために終始熱心に御協力くださいまして、いろいろ貴重なる御意見を承りましたことを厚く感謝いたします。どうも御苦労さまでした。  次会は明十八日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十八分散会