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原田参考人 私がただいま
紹介をいただきました戸山アーパトの
原田眞雄であります。御
質問に対しまして申し上げますが、御
承知の
ように私たちのアパートは鉄筋でありまして、約九百二十世帯のものが集団をしております。これはおそらく
東京一、すなわち日本一だと思います。そこにおきまして本日お呼びくださつた点は、
一般居住者とかわる点は、アパートに住んでおるということと、それからこの
停電によ
つてすぐ水がとまる。ここに特異性があるのでお呼びくださつたことだと思います。それで
停電時における
被害と
申しますと、取立てて申し上げることはない
ようなものの、まず状況を御判断くださればわかると思いますが、一棟が二十四世帯あります。それが約四十棟一シティをなして建
つております。でありますから普通の町と違いまして、しかもそれが四階でありますので、まことに通路が暗くなるわけであります。従
つて交通
関係に非常に支障を来す。しかもその建物が鉄筋でありますために、普通の民家の板べいの外あたりで犯罪が行われるよりか、たやすく犯罪が行われる例が多いということを私たち考えております。従
つて子弟婦女あたりが勤め先から帰
つて来るのに、実に困難をしております。昨年あたりは、その都度アパート内に入る通路のところへ痴漢が出て騒がした。また警劇察のごやつかいに
なつたという事実があります。交通のことに関しては、大体今申し上げたことで他のことも御想像できると思います。
それから屋内
関係でありますが、この屋内
関係も、やはり御想像くださる
ように鉄筋でありまして、階段を上る――ちよつとアパートと
申しますと、中廊下で入口が全部向い合
つておる
ようにお考えの方があるかもしれませんが、あのアパートはそうではございませんで、縦に二軒ずつならんで四階に行
つております。それが一階段に
なつております。それが三つあ
つていわゆる二十四世帯ある、いわゆる縦に伸びたアパートであります。でありますから、隣同士であ
つても、鉄のとびら一枚締めれば、あとは鉄筋のためにほとんど普通の民家の一町、二町離れた以上に間隔がある実情であります。まことに便利な点もあります。少々夫婦げんかをしても、隣には聞えないということもありますが、翻
つてもしもこの
停電時に、用事をかこつけてノックをして入り込んで来て、婦女子ばかりだと思う場合には、押入り強盗もできます。その場合に出口が
一つでありますので、逃げ場所がない。まあ一階の人でしたら、すぐ窓ぎわに飛んで行
つて窓から飛びおりるということもありますけれども、二階、三階となりますと、もうその入口をふさがれれば、上から飛びおりて骨を砕かなければならないということを非常に憂えておるのであります。最近の
停電時あたりでは、婦人などは特に戦々き
ようき
ようとしておりまして、私たち顔を見知つた人たちが訪問して行
つても、一応のぞき窓からのぞいて見て、そうして用事を聞かなければドアをあけてくれないという
ようなことで、日常
生活、あるいはわれわれの共同
生活に非常に支障を来しておるという事実があります。まず
停電時のおもなるものはそういうことでありまして、先ほど申し上げました
ように、まず
電燈における
被害はまだいろいろありますけれども、その
程度でおきまして、その
停電によ
つて断水するということがむしろわれわれのためにはまことに遺憾に思い、実に残念に思
つておることであります。と申すのは、あそこは御
承知の方もありますが、普通の水道を引入れたのでありません。これはいわゆる深井戸を二箇所掘りまして、その深井戸の水をポンプによ
つて、いわゆる
電力によ
つて揚水して、それをタワーのところから
一般家庭に給水しておるという水道でありまして、
一般水道とはそこに違う点があるので、
停電即断水ということであります。これはわれわれ今日日常茶飯事のごとく不自由しておりますが、まず日常茶飯事不自由しておることはあとで申し上げるとして、もし火事があつた場合どうするかということであります。この場合、私たちの部屋は六骨と八畳でありまして、実に設計がよくできておりますので、余分のバケツであるとか、余分のたらいとかいうものを置いておく
ような場所がないのであります。でありますから、
停電になると水がなくなる。もし火事があつたら困るから、水でもくんでおこうということがなかなか困難で、それに先ほど申し上げました
ように、いざ火事が起きた場合には、入口が
一つだから、また避難に困るということで、まだその事例はありませんけれども、これがもし起つた場合の仮定でありますけれども、こういう事態が起るということはわかり
切つております。
それから今申し上げました
ように火事ばかりでなく、場所が狭いので、水がとまるだろうということを想像して、くみ置きの水を過分に持つということができないので、勢い食器を洗うとか、あるいは炊さんをする場合に不衛生になりがちだというので、昨晩もある婦人の方からも、私は
停電に
なつて水が出なくなると、本日の物を食べない
ようにします、菜つぱを食べない
ようにしますという
ようなことを言
つております。
それから御
質問の中にもありました
ように、水洗便所の水洗が不可能になる。これは実に尾籠な話でありますが、端的に言えばくそ攻めにあう、つまりこのくそ攻めというものはまことに皆さんも御
承知の
通り気持ちの悪いもので、もちろん衛生にもよくありませんが、もしこの断水で水洗が使い得なく
なつたら、三町、四町ある普通の民家の方に頼んで便所に行くという
ような潔癖な方もおります。また潔癖でなくても、そういう
ようにしなくちやならぬ事態が現に生じております。
それから減水の場合、むろん断水は困りますが、減水の場合でも、四階となりますと、
電力の不足ばかりでなく、ふだんにとまつた場合に揚水しておく量が一定限度がありますので、ちよいちよいとまられると、貯水時間が少くなる、そのうちに出るから、みんな一時に洗濯する。そうすると四階の方面は圧力のために一滴も出ない。下の方は多少出る。そうすると、下の方が出なくて上が出るのならまだ話はわかります。下の方は隣の家とか近所の町にもらいに行くことは容易だけれども、その容易な下の方は出るけれども、一番困難な四階の方が出ないから、上の人がどんどん下の方にもらいに行く。一ぺんになるべくよけい持
つて来
ようというので、バケツに三つも四つも欲張
つて来る。現に特に御
質問の要綱の中に入
つておりますが、妊産婦の流産ということが、これはある産婆さんから――産婆さんがアパートにおります。はつきり私は診断書というものは出せないけれども、これはこのために流産したのだということを言い得る人が何人かおりますということを訴えております。
被害状況といいますか、また将来を想像した場合のことについては、大体そんな
程度であります。
それからもしもそういう場合に混乱をしたことはないかという御
質問の
ようでありますが、私の方は実は皆さんが御
質問される
ように、はたして混乱するのが当然なんです。ところが案外に混乱と取立てて申し上げる
ような混乱はなかつたということは、これは私昭和二十四年の暮れにあそこに入つたのでありますが、入つたとたんにその給水塔が不完全なために、ちよいちよい断水する、そうして一月四日にまず
東京都へわれわれ掛合つたわけであります。そんなことでその後給水塔の故障、あるいは
渇水停電、今日はなおひどいですが、そういう過程をもう丸三年経て来ておりますので、比較的今日は麻痺したとでも言いまし
ようか、
停電だ、じやあ、水をくんでおけという
ようなことでありまして、今までそういう過程がなくて、完全に水が出ておつたところに持
つて来て、突然今日の
ような
停電が起きたら、おそらくこれは
社会に相当迷惑をかける
ような、皆さんが同情してくださる
ような事態が生じていることだと思いますが、今申し上げました
ように、三間じりじりとそういうことにならされて来ているために――これは
東京都の責任だと思
つて、私
東京都と闘
つております。また国の方としても、この方面については一応お考えくださらなければならぬ点があるのじやないかと考えておりますが、そんなことで、混乱ということに対しては、むしろ自治的に混乱を起さない
ようにお互いがふだんから訓練されているということだけを申し上げておきたいと思います。では訓練されているからいいじやないかという意味ではなく、あくまでもわれわれは文化
生活をしなければならぬのだ。いわんやああいう場所でありますから、非常時の場合にもわれわれはわれわれとしての態勢を整えなければならぬ。それにはまず水だ。その水が設備が悪くて断水する。
停電で断水する。
渇水で断水する。いわんや
ストのために大きな迷惑をこうむ
つておるということでは、われわれは将来ここに命を託するわけに行かぬということで、いろいろ
対策を練
つておりますけれども、先ほどからもいろいろお話が出たと思いますが、そういう特殊の場所でありますので、ぜひ一級線を引いていただきたい。ただいま
東京電力の方がいらつしやらないのですが、それを申し上げたく思
つておりました。それから基本料金の問題もあります。これも先ほどそちらの
委員さんの言われた言葉に非常に共鳴しましたが、一方的な不可抗力だ、あるいは一方的な考え方で、使
つても使出わなくてもとるのだという
ようなことは、これは実に不都合千万だというので、水の問題でも寄り寄り寄
つておりますが、あるいは不払い同盟に加入しない限りもありません。まあ今後の問題でありますけれどもその点今まで実情を申し上げましたことと、この席をおかりして陳情の
ようなことにもなりましたが、よろしくお願いいたします。