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1952-11-24 第15回国会 衆議院 法務委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年十一月二十四日(月曜日) 午前十一時二十分
開議
出席委員
委員長
田嶋
好文君
理事
松岡
松平
君
理事
小畑虎之助
君
理事
石川金次郎
君
理事
猪俣 浩三君 相川 勝六君 熊谷 憲一君
小林かなえ
君 花村 四郎君 福井
盛太
君 古島 義英君 松永 東君 大川 光三君 清瀬 一郎君 後藤 義隆君 長井 源君
木下
郁君 田万
廣文
君 多
賀谷真稔
君 古屋 貞雄君
木下
重範君
出席国務大臣
法 務 大 臣
犬養
健君 外 務 大 臣
岡崎
勝男君
出席政府委員
法務政務次官
押谷 富三君 検 事 (
刑事局長
) 岡原 昌男君
委員外
の
出席者
検 事 総 長 佐藤
藤佐
君 参 考 人 (
警視総監
)
田中
榮一
君 専 門 員 村 教三君 専 門 員 小木 貞一君 ――
―――――――――――
十一月二十四日
委員風見章
君辞任につき、その補欠として
木下
重範君が議長の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
十一月二十二日
石川
町に
簡易裁判所設置
の
請願
(
白井正明
君紹 介)(第二九号) 久万の
台附近
に
少年院設置反対
の
請願
(
關谷勝
利君
紹介
)(第一一八号) の審査を本
委員会
に付託された。 同月十九日
住民登録費増額
に関する
陳情書
(第二〇五号)
戦犯者
の
釈放
に関する
陳情書
(第二〇七号) 同(第二 〇八号) 同外一件(第二〇 九号) 同 (第二一〇号) 同外四件 (第二一一号) 同 (第二一二号) 同月二十一日
戦犯者
の
釈放
に関する
陳情書外
一件 (第三〇八号) 同(第三 〇九号) 同(第三一〇号) 同(第二二一号) 同外四件 (第二二二号)
戦犯者
の助命、
減刑
、
釈放
に関する
陳情書外
十 一件 (第三一三号) 同 (第二二四号)
戦犯者
の
釈放
と
家族救済
の
陳情書
(第三一五 号)
戦犯者
の
減刑
、
釈放
並びに抑留同
胞引揚促進
に 関する
陳情書
(第三一六号)
死刑撤廃
に関する
陳情書
(第三一七号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
国連軍
の
裁判管轄権
に関する件 ――
―――――――――――
田嶋好文
1
○
田嶋委員長
これより
会議
を開きます。
国連軍
の
裁判管轄権
に関する件について
調査
を進めます。去る二十二日
緊急逮捕
された
英濠兵
の
自動車強盗容疑事件
について、各
関係当局
より
実情
を聴取分ることにいたします。 この際お諮りいたします。本件について
実情
を聴取するため、
警視総監田中榮一
君を
参考人
に決定することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり)
田嶋好文
2
○
田嶋委員長
御
異議
なしと認めさ
よう
決定いたします。それでは
田中参考人
より
実情
を聴取することにいたします。
田中参考人
。
田中榮一
3
○
田中参考人
ただいま御
紹介
にあずかりました
警視総監
の
田中榮一
でございます。今回まことに遺憾なことでありまするが、
首都東京
の
都内
におきまして、
白晝堂々
と
英濠軍
の三人の
兵士
が
自動車強盗
を行いましたことは、
国際親善
の上から真に遺憾にたえないのであります。すでに
皆さん
も御承知の
よう
に、
神戸市内
におきまして
英連邦
の水兵が
強盗事件
を犯しまして、その
刑事裁判権
が国際問題にいろいろ紛議をかもしておるそのやさきに、再びこうした事態が
東京都内
に発生いたしましたことは、まことに痛恨にたえない次第でございます。幸いにいたしましてその
犯人
は、一名は
濠洲
の
エビス・キヤンプ
内の
MP
の手によ
つて
逮捕
せられ、他の二名は
容疑者
として
日本警察
の手によ
つて
逮捕
せられたのでありまするが、その
犯行
の
状態
と
捜査
の
概要
につきまして一応御
説明
を申し上げたいと存じます。
犯行
は
昭和
二十七年十一月二十一日午後二時二十分ごろ、
新宿
区の
明治神宮外苑陸上競技場
の前の
道路
上でございまして、
被害者
は杉並区天沼一ノ百七十二、
日ノ出自動車株式会社運転手合田忠一
君二十三歳で、
被害
の金額は
現金
二千八百円、それから
銀座
から品川、五反田、六本木を経て
現場
に至る
自動車賃
、これだけが
被害
の
概要
であります。
犯行
の
概要
は、同日午後一時三十分ごろ、中央区
銀座西一
ノ一
ホテル金竜方
の前から
濠洲兵
らしい三人の人物を乗せて
外苑
に到着したところ、そのうち一名に
拳銃
で脅迫せられ、
運転台
の
道具入れ
の中から
現金
二千八百円を強奪し
逃走
いたしましたが、
犯人
はさらに
現場
に通りかか
つた
ロビンス交通会
のタクシーに乗車いたしまして、
銀座方面
に
逃走
を企てたのであります。 それから第二の
自動車
の乗り逃げの
状況
を申し上げますと、
運転手
は
ロゼンス交通株式会社
の
常深幸三
君二十三歳でありまして、これは別に金は強奪されないのでありますが、
自動車料金
六百八十円は支払いを受けないのであります。ただ
犯人
が
逃走
の目的をも
つて
自動車
に乗りました
関係
上、乗車するやただちに
日本
語で「
銀座
」と言いまして、大型の
拳銃
を持
つて
左の脇腹のところに突きつけられまして、「急げ急げ」と言われました。それでその
運転手
は非常に恐怖を感じまして、フルスピードで
道路
を走りまして、そうして港区
南佐久間
町ニノ四
イースタン
・
モーター株式会社
の前あたりでその
自動車
を乗り捨てまして
逃走
を企てたのであります。そこで
常深運転手
は、ただちに
付近
の
通行人
の応援を得ましてこれを追つけたのであります。ところがあるところに参りまして
拳銃
を擬しまして
通行人
を脅迫しまして、やがてその
拳銃
を遺棄してさらに
逃走
を企てたのであります。 か
よう
な事実が発生いたしましたので、この
通報
は
本庁
といたしましては、午後二時三十三分ごろ港区
南佐久間
町
イースタン
・
モーター株式会社
の社員の
川島三義
君から一一〇番の電話で、ただいま
自動車強盗
があ
つた
旨の急報を受けたのであります。そこで
愛宕署員
はただちに
現場
へはせ参じましてその
付近一帯
を捜索いたしました。
本庁
としましては午後二時四十五分ただちに全
管内
に
指令通信
をも
つて
、
濠州兵
らしき三人の
兵隊
が
自動車強盗
を
犯行
して
逃走
した旨を
通報
いたしまして、その
手配
をいたしたのであります。さらに引続きまして午後三時二十三分
指令
第二号をもちまして、
被害者
である
常深運転手
の
陳述
をまちまして、
犯人
の三人の人相並びに
服装
、
特徴等
をとりまして、これをただちに全
管内
に流したわけであります。それから午後四時四十六分
四谷署
から
緊急警戒
をしいている旨の
連絡
がありました。そのほか全
管内
としましてはただちに
緊急警戒
をいたしまして、要所々々にあるいは
自動車
の
検索
を行うとか、あるいは
職務一般
のそうした疑わしい者に対して追尾するとか、いろいろな法をも
つて
警戒
をして
参つたの
であります。さらに午後十一時十分、
刑事部長名
をもちまして、特に
自動車
と宿屋について徹底的な
検索
と申しますか、
臨検
を行いまして、もし
容疑者
とおぼしき者が宿泊してお
つた
ならば、ただちに
逮捕
する
よう
に
手配
をいたしたのであります。 さらに事の
重大性
にかんがみまして、零時四十三分、異例な
措置
といたしまして、
警視総監名
をもちまして、特に
旅館
、それから
売春婦等
の常に宿泊する
よう
な
安宿
その他必要と認めらるべき場所について緊急に
取調べ
、あるいは
臨検
を行う
よう
、徹底的な
捜査
をいたす
よう
に命令をいたしたのであります。 大体
犯罪
の
概要
並びに
本庁
といたしましてとりました
措置
の
概要
につきましては以上の
よう
な
状況
でございますが、
犯行
を犯した二十一日の午後三時過ぎでありましたか、
脱走兵
らしい者が一名、
銀座
のニユー・トーキヨーにおきまして、濠州人の
MP
によ
つて
逮捕
せられた旨の
通報
があ
つたの
であります。われわれの方の
捜査方針
といたしましても、
捜査
上の一つの勘で、大体
濠州兵
の
脱走兵
がや
つたの
ではないかという
よう
なことを予感いたしまして、ただちに
エビス・キヤンプ
の方にも
連絡
をとりまして、
脱走兵
の
状況
につきましていろいろ承
つたの
であります。ところが大体今回
逮捕
にな
つて
お
つた
よう
な者も
脱走兵
としておるということもほぼ承
つたの
であります。それから二十二日の午前三時ごろこの
緊急手配
によりまして、各署から
濠州兵
らしい者が現在
管内
の
安宿
に
売春婦
とともにとま
つて
おるという
情報
を受取りまして、その都度宿泊せる
旅館等
につきまして、一々厳重に
調査
をいたしたのでありまするが、大体において、いずれも
該当
の
容疑者
ではないことが判明いたしたのであります。ことに
代々木警察署
から
報告
を受けました
濠州兵
らしい者が二人とま
つて
おる、どうもその
特徴
が非常に似ておる。一人は
あばた顔
である。一人は歯が抜けておる。そして
あばた顔
の男は非常に背が高い。一人の男は歯が抜けてお
つて
少し額のところにきずがあ
つて
、血が流れておるという
よう
なところまでわか
つて
おりますので、どうもそれに似た者が宿泊しておるということで、これはまさに
容疑者
に違いなかろうと、非常に張り込んで警察官と
参つて取調べ
をいたしたのでありますが、当
つて
みましたところ全然それではなくて、ま
つた
く人違いであ
つたの
であります。それから二十二日の午前十一時ごろ、
神楽坂警察署
から、実は今
管内
の
白鳥巡査派出所
に、
国際交通株式会社
の
自動車運転手
である
三橋正
四君から、どうもそれこ
該当
した
濠洲兵
らしい者を
自分
が乗せて、
新宿歌舞伎町
の
喜鶴ホテル
にきのう連れて行
つた
が、どうもそれではないかと思う、
自分
は今朝新聞を見て、そういう事実を
知つて
、あるいに
自分
の乗せた
兵隊
さんがそれではないかと思うが、御
参考
までにお知らせするという
届出
があ
つた
。その
届出
で、ただちに
神坂警察署
から、こういう
届出
があつから
参考
に知らせる、ただちに
本部員
並びに
被害者
を遮れて
現場
に行きたいからというので、
本部
と
神楽坂警察署
と協議の上で、第一の
被害者
でありまする
合田運転手
を伴いまして、ただちに
新宿歌舞伎町
の
喜鶴ホテル
に急行いたしたのであります。そして、そのとま
つて
おる
濠州兵
らしい二人に
面通
をいたしましたところが、
合田運転手
がこの二人に間違いないということを即座に断言いたしたのであります。そこで二人を
任意同行
の形式で
四谷警察署
に
同行
を求めたのであります。それで
任意同行
を求めましていろいろ
様子
を見ましたところが、非常にぶるぶるふるえておりまして、
様子
が
ただごと
でない。もし白であ
つた
ならば何もこんなにふるえる必要はないのでありますが、非常に
挙動
がおどおどして身ぶるいしておる。
合田運転手
の
面通し
でこの者に間違いありませんというその言葉と、
本人
らのさ
よう
な
挙動
からいたしまして、大体においてこの二人に間違いなかろう、か
よう
な点から
緊急逮捕
をいたして、ただちに右両名の
取調べ
に当
つたの
であります。 なお
国連軍
の
将兵等
の
犯罪
につきましては、
法務
府からの
通達
の筋もございます。すなわち
日本側
において
国連軍将兵
の
身柄
を拘束したときは、すみやかに
当該国連軍将兵
の所属する軍の
当局
にその旨
連絡
して、なるべく円満な
了解
を得る
よう
努力するごとという
通達
の筋もございますので、ただちに
責任者
を
エビス・キヤンプ
に派遣いたしまして、ただいま
日本警察側
によ
つて自動車強盗
を働いた貴部隊の兵十三名を
緊急逮捕
いたしたからその旨
連絡
するということを正式に
連絡
いたしたのであります。その際
英当局側
からも、その事実はよく了承しておる。いま一名
共犯者
らしい者がある。それに対して当
キヤンプ
においても一名
逮捕
しておる。大体において
自動車強盗
の事実を
本人
は認めておるからして、その
旨参考
にお知らせするという好意的な
報告
を受けております。私は今回のこの
自動車強盗
がたまたま
国連軍
の
兵士
によ
つて
行われたことは、いろいろの点につきまして今後の
捜査
上にも非常に支障を来すので、いろいろその点を心配したのでありますが、今までの
英濠軍
の
捜査
に対する態度はきわめて
協力
的でありまして、この点は、いろいろこまかい点につきましては
向う
も立場がありますので、いろいろ要求することは要求いたしますが、総じてこの
犯罪者
を必ず検挙する、事実をはつきりする、隠し立てはしないという点については、きはめてフランクリーに、またフレンドリーに
当方
に
協力
をしていただいておりますことは、われわれとしてまことに好感が持てるのでりまして、今後こうした
事件
が絶対に起らぬことをわれわれは念願いたしておるのでありますが、将来こうした問題がかりに不幸にして起
つた
場合につきましても、われわれとしましては
国連軍
の
捜査
に信頼を持
つて
さしつかえなかろうと考えております。 それからただいままでに判明しました事実について申し上げますると、
当方
で
喜鶴ホテル
におきまして
逮捕
いたしました者は、一名は
濠州兵
の
パットン一等兵
、それから一名は
英連邦軍
の
ヘツプレス一等兵
であります。これらの
捜査
のこまかい点でございますが、この点はまだ
捜査過程
にございますので、
皆さん
もこの点はよく御
了解
いただけるものと考えておりますが、詳しい点につきましては今後いろいろ
外交折衝
の問題も将来起るのでありまし
よう
し、また
公判等
におきますいろいろな論議もかわされるでありまし
よう
し、また今後
検察庁側
におきましてもなおかつ詳細に
取調べ
を重ねることであろうと考えますので、私から具体的なことにつきましてここで申し上げることは、いたしたいのでありますが、さ
よう
な
状況
でありますので、ひとつ御了承を願いまして、さしつかえない程度において一応
お話
申し上げて、御
了解
を得たいと思います。 この
ヘツプレス一等兵
は
日本
の
警察当局
並びに
日本
の
社会
に対して、
自分
がこうしたことを犯したことに対してはまことに申訳ない、ここにつつしんで謝罪をするという
ステートメンテ
を書いて、それに署名をしております。だがその
犯行
の具体的な
内容
については依然として黙秘をいたしております。これは
自分
は
英軍
の
警察当局
が調べたならば、一応
陳述
はするけれ
ども
、目下のところは
陳述
したくないということであります。
従つて
この
日本
の
警察当局
並びに
日本
の
社会
に対してこういうことを犯したことはまことに申訳ないということをおわびをしておるということは、大体
犯罪
の
内容
を認めておるというふうに考えてまずさしつかえないのではないかというふうに、これは
捜査当局
の考え方でありますが、さ
よう
に考えております。 それから
濠洲兵
である
パツトン一等兵
の方は、大体この
犯罪
の
概要
を自供いたしております。非常に詳細具体的に自供いたしております。これも、まことに悪いことをして済まなか
つた
ということを述べております。 それからなお本日午前十時二十分に
警察当局
としては一応二名の
取調べ
を完了いたしまして、その他
被害者並び
に
目撃者
その他
参考人
の
陳述書
も添付いたしまして、
事件
一切を
東京地方検察庁
の方へ送致を完了いたしました。一応
事件
としましては第一線である
警視庁
の手を離れて、
検察庁
の方へ移
つた
わけであります。 それからなお三人で
犯行
いたしたのであります。実は
あと
の一名も
日本警察
でぜひ
逮捕
したか
つたの
でありますが、一名は
濠洲軍
の
MP側
において
逮捕
せられたのであります。この者は多分
シンクレア
であると考えております。これは
パツトン一等兵
の
陳述
からいたしましても、
あと
の一名が
シンクレア
であるということがわかるのであります。なお
濠洲軍当局
におかれましても、一名の
脱走兵
が
自動車
の
拳銃強盗
を犯したということを
参考
に実にフランタリーにこちらに
通報
していただいておりまする
関係
上、この
シンクレア
がや
つて
いることには間違いなかろうと思います。 それからなお正式には
シンクレア
であるということを私
ども
には通告しておりませんが、
シンクレア
であるという事実は、この
共同正犯
の一人である者が
陳述
していることと、昨日の午後二時に
濠洲軍
の恵比寿の
キヤンプ
の
司令官
から、一名わが方で
逮捕
している
容疑者
があるが、その
容疑者
が
自動車拳銃強盗
を犯したかどうか、
被害者並び
に
目撃者
、
参考人
に
面通し
を許すから、ぜひ来てもらいたいという
正式通報
がございましたので、
日本側
から
関係
の
捜査官
とそれから第一の
自動車運転手
の
合田運転手
と第二の
自動車運転手
の
常深運転手
、それから二十日の晩にこの二人が
銀座
一丁目
金龍ホテル
という
ホテル
に宿泊しておりますが、その
金龍ホテル
の
レストラン部
の主任の
柴田
君と
ルーム
・
ボーイ
、これは通訳も兼ねておるそうですが、
ルームボーイ
の
山本
君、それから最後の
現場
において
拳銃
を遺棄した当時の
目撃者
の平野君の五人を帯同いたしまして、午後二時に
恵比壽
の
エビス・キヤンプ
に
参つたの
であります。その
面通し
の
方法
としましては、
キヤンプ
内の
修理工場
内の六十坪ぐらいのガレージに、同じ
服装
をした
濠洲兵
十三名を一列に並べまして、まず一人ずつ
面通し
をして行きまして、もし
該当者
があ
つた
ならばその肩をたたくというのが合図であります。そして一人が済みますと
向う
に連れ去
つて
、その十三名の列を全部かえてしま
つて
、次にまた
面通し
をする。それが済むとまたそれを離して、列を組み直して
面通し
をするという
よう
な
方法
でや
つた
結果、
合田
、
山本
、
柴田
の三者が的確に
シンクレア
の肩をたたいたそうでありまして、
あと
の二人はあまり確かでなか
つた
よう
であります。五人のうち三人までが的確に、見た瞬間に肩をたたいているのでありますから、これはもう間違いなく
シンクレア
であるということは一応これをも
つて
推定できるのであります。 なお
犯罪
の動機でありますが、
パツトンはじよう
だんで
拳銃
を擬したと言
つて
おりますけれ
ども
、それでは金を奪
つたの
もじ
よう
だんかと聞いてみると、これは沈黙しているわけであります。酒を飲んでお
つた
とか言
つて
いる
よう
でありますが、
意識
が不明なほど酒は飲んでおりません。
自動車
で
逃走
する
よう
な企てまでいたしておりますから、
意識
はしごく明瞭でありまして、全然
酔つた
といううちには入らぬのであります。 二人の
身柄
の
取扱い
方でございますが、
警視庁
といたしましては
一般
の
自動車強盗事件
として
取扱
つて
おりまして、これを特別な
事件
として
取扱
つて
おりません。
留置場
も
本庁
に連れて来ずに、一応現在としましては
四谷
の
警察署
の
留置場
に留置いたしております。ただ将来いろいろ国際問題の発生した場合におきまして、
待遇等
についてまたいろいろ問題が起ると申訳ございませんので、二人の
取扱い
につきましては、やはり国柄が違い、
寝具
、
食事
その他
日本人
とは大分違いますので、
向う
の
生活風習
を十分に尊重いたしまして、
食事
、
寝具
その他の
取扱い
については
日本人
と
違つた取扱い
をや
つて
おりまして、この
取扱い
については右二人の
被疑者
も十分満足してくれております。また
濠洲人
の
将校
の方も、二人の
取扱い
について非常に心配して参りましたが、この点については絶対に心配せぬでよろしい、
取扱い
は十分に考えているということで、安心して帰られました。現在
取扱い
について
はさよう
に慎重な
方法
でや
つて
いるわけであります。 なおこうした
事件
が発生いたしましたので、私
ども
としましても今後またこうした
事件
が発生いたしましたならば非常に困ると存じまして、今後も
治安保持
の上からこうい
つた
ことが再び起らぬ
よう
に特に注意をいたしたいと思
つて
いる次第であります。
田嶋好文
4
○
田嶋委員長
これにて
田中参考人
の
説明
は終りました。
発言
の通告がありますから、順次これを許します。
発言者
にお願いをしておきます。後刻
岡崎外務大臣
、
犬養法務大臣
の御
出席
があることにな
つて
おりますが、御存じの
よう
に本日は一時から本
会議
がございます。そこで
委員会
もそれまでに切り上げなければならぬと思
つて
おりますので、
田中参考人
に対する御質疑はなるたけ
簡易
にお願いしたいと思います。なお
田中参考人
におかれましても、重複を避けて
簡易
なる御答弁を願いたいと思います。
松岡松平
。
松岡松平
5
○
松岡
(松)
委員
田中
さんにお尋ねいたします。先ほどの
お話
で、
向う側
に抑留されている一名は
脱走兵
らしいという話がありましたが、
当方側
に抑留されている
パットン一等兵
、へ
ツプレス一等兵
というのは
脱走兵
なのか、あるいは
脱走兵
でないのか、この点がちよつとわからなか
つたの
です。 さらに
向う側
に抑留されているシンクレヤの
引渡し
を要求されたかどうか、さらに引続いて
取調べ
をなさる意思があるのかどうか。また
英濠軍
の方で
取調べ
を認めるのかどうかということ。 それから
パツトン一等兵
が
日本側
に対してステートメントを出して陳謝の意を表しているが、一方において
日本側
の
裁判
を受けたくない、逆に言うと
向う側
の
裁判
ならば
犯罪内容
をつまびらかにしたいということをはつきり言
つて
いるのかどうか。 それからあなたは
ヘツプレス
が言
つて
いるとおつしや
つた
が、
パツトン
はどう言
つて
いるか。 またお聞きすると、
犯罪捜査
の上で非常に
民衆
が
協力
しているということですが、
一般
の
国内犯罪
の場合に比して、
民衆
か非常に
協力
的であるという感じをお受けになりましたか。 これらについての
田中
さんの御意見を伺いたい。
田中榮一
6
○
田中参考人
脱走兵
であるかどうかということは、実は最初私
ども
にはわからなか
つたの
であります。ただその
犯行
の
状態
からいたしまして、多分これは
脱走兵
の所為であろうということを
捜査当局
としてはまず予感いたしたのであります。
脱走兵
の
取扱い
につきましては、従来ときに
脱走兵
これこれの者がおるからこの
情報
について提供してもらいたいということを依頼される場合があるのであります。その場合にその
脱走兵
らしい者がお
つた
ならば、ただちにその
所在
を突きとめまして
国連軍警察当局
に
通報
しておるのであります。またしもそれを追いかけて
逮捕
してほしいという
よう
な特別な依頼があ
つた
ときには
逮捕
いたすのでありますが、普通
逮捕
してくれとは言わずに、その
所在
に関する
情報
を提供してくれということを言
つて
来ますので、その場合にわれわれとしてはできるだけの
協力
をいたしておるのであります。ところが従来
英濠軍
の
脱走兵
につきましては、他は存じませんが、
警視庁管内
においては
脱走兵
の
通報
は今まで受けておりません。
従つて
われわれの方としましては
脱走兵
であるかどうかということは存じません。また
脱走兵
であるということも正式に
英濠軍当局
からは
通報
を受けておりません。ただ
関係
の
将校
がこれは
脱走兵
だということを言
つて
おるだけでありまして、われわれとしましてはこれ
脱走兵
であるかどうかということは了承してお りません。それから
引渡し
を要求したかどうかということでありますが、一応われわれといたしましては、この二人が完全に
犯行
を自供しまして、そしてもう一人の者が
共同正犯
であるということが確実にわか
つた
ときに
引渡し
を要求いたしたいと考えております。ただ現在の
過程
におきましては、
警察側
といたしましては四十八時間の持時間内にこれを処理して
検事局
に送致いたすのでありますけれ
ども
、もう
捜査
の
過程
は先ほど
説明
申し上げました
よう
に大体完了いたしましたので、今
引渡し
を要求するかどうかということは今後十分
検察当局
とも協議しました上で、
引渡し
の必要があるならばこれは
捜査当局
から
英軍当局
に申し入れるのではなくして、やはり筋道を通しまして外務省から正式に、国と国との間の交渉で
引渡し
を要求するのが当然であると考えておりますので、もしさ
よう
な場合におきましては、さ
よう
な正式な手続をも
つて
要求してみたいと考えております。 それから
日本側
の
裁判
を受けたくない、
国連側
の
裁判
を受ければいい、こういうことの
お話
でありますが、これは正式にそういう話を
容疑者
から聞いたのではなくして、
容疑者
としましては、ことに
ヘツプレス
という
一等兵
は、当初
英国大使館
の
弁務官
が来たならば立ち会わしてもらいたい、そうしたならば
自分
は
陳述
するからということを申し出たのでありますが、
英国
の
弁務官
を立ち会わせる必要はありませんので、私
ども
は拒否いたしました。やがてまた、
向う
の
英軍
の
調査
官が調べるならば
自分
は逐一自供してよろしい、こんなことを言
つて
いたのであります。しかしもし持時間内に自供しないならば、第三者の目撃談あるいは証拠物件その他の傍証を固めて、これが
犯行
を犯したものであるという
捜査官
の認定によ
つて
事件
を処理してもさしつかえないのであります。これは
裁判
を受ける、受けないは別問題といたしまして、さ
よう
な
方法
で
事件
を送致いたしてしま
つた
わけであります。 それから今回の
事件
について
民衆
の
協力
が特に著しか
つた
かどうかという話でありますが、これは今回の
事件
についてのみ非常に
協力
してくれたのではなくして、従来いろいろ新聞紙等によりまして報道機関も非常に
協力
してくれまして、
犯人
の人相とか風体とか、そうしたものを逐一詳細に報道していただいておりますので、そうしたことを十分
一般
の
民衆
の方々も読みまして、これではないかというのでいろいろ
参考
に、聞き込みあるいは事実を持ち寄
つて
いただいております。特に今回非常に多か
つた
というわけではありませんが、か
つて
本年の三月ごろでしたか、千住の富士銀行に外人のギヤング
事件
が起
つた
。このときも相当
協力
していただいております。そのほか特に著しい
日本人
の手による普通の刑事
事件
につきましても、第三者の目撃談なりその他いろいろな聞き込みなり、いろいろな
報告
をしていただいておりまして、これらが私
ども
の
捜査
の大きな力にな
つて
いることは、ま
つた
く感謝いたしております。
松岡松平
7
○
松岡
(松)
委員
今の
脱走兵
のあ
つた
場合、
向う
は
一般
的には通知して来ないのですか。
田中榮一
8
○
田中参考人
ただいまの御質問は、特に
脱走兵
で何か非常に重大なる
犯罪
を犯してそれが脱走したという
よう
なときには、
国連軍警察当局
におきましてもさ
よう
な必要から、これこれしかじかの者が脱走したから至急に
情報
を提供してくれということはあ
つた
よう
でありますが、特に
脱走兵
があ
つた
から、ただちに階級、氏名まで
日本警察
に
通報
はいたしておりません。
松岡松平
9
○
松岡
(松)
委員
そうすると
脱走兵
というのは、もちろん必ず
犯罪
を犯すとは限りませんが、
犯罪
を犯す確率が非常に多いわけでありますね。そういう場合に相手軍隊から、
日本
の治安を守るために通知してもらわないとお困りになりませんか。
田中榮一
10
○
田中参考人
この点につきましては時折軍の憲兵
当局
とも
連絡
をとりまして、憲兵
当局
からも特に
脱走兵
等について
情報
提供の特別な依頼もあるのでありますが、現在私
ども
としましては、この
脱走兵
というのは要するに
国連軍
の軍規違反者であります。
従つて
日本警察
がこれを
逮捕
するとかしないとかいうことは、軍規違反者でありますから警察としてこれにタツチはいたしておりません。ただ今
お話
の
よう
に
脱走兵
はややもすれば
犯罪
を犯しやすいのでありまして、この点につきましては憲兵
当局
にも、
脱走兵
はなるべく
日本警察
の方にも
連絡
をと
つて
、こうした者が一名も国内にいない
よう
にぜひお願いしたいということは、かねがね
連絡
会議
等におきましても申し入れておる次第であります。
田嶋好文
11
○
田嶋委員長
大川光三君。
大川光三
12
○大川
委員
いわゆる
英濠兵
強盗事件
というものは、結局被疑事実は三つになるのでし
よう
か。言いかえますと、第一の日ノ出
自動車運転手
の
合田
に対する
現金
強奪、乗車賃の強奪、第二のロビンス交通の
常深運転手
に対する乗車賃の強奪、第三に
通行人
を脅迫したという
事件
は、一つですかあるいは三つですか。
田中榮一
13
○
田中参考人
今
捜査当局
として考えておりまするのは、大体
合田運転手
をピストルをも
つて
脅迫しまして二千八百円の
現金
を強奪したという点と、それから
銀座
から方々乗りまわして
外苑
まで来た
自動車賃
の乗り逃げをいたしております。この二つであります。それから
常深運転手
の方は
拳銃
で脅迫しまして、そうして港区芝まで来まして脅迫して
自動車賃
を払わぬ。これは金を強奪したものではありません。
自動車賃
を乗逃げしてしま
つた
。この二件であります。第三の
通行人
を脅迫したということにつきましては、まだ十分事実が判明いたしておりませんので、やはり
捜査当局
としては、はつきりした事実のみを取上げてこれを地検と協議したい、か
よう
に考えております。
大川光三
14
○大川
委員
そうしますと、第一事実の
合田運転手
のときには
拳銃
を使用いたしたというふうに承りましたが、もう少し詳しく申しますと、どういう手段、
方法
で金を強奪したかということです。
田中榮一
15
○
田中参考人
先ほどちよつと申し上げたと思いまするが、三人で乗り込みまして、そのうちの一名は、多分
シンクレア
一等兵
じやないかと思いますが、現在その
拳銃
も
シンクレア
一等兵
の物らしいのであります。そのうち一名が、
拳銃
で
本人
をうしろから脅迫しまして、そうして他の者が、
運転台
に
道具入れ
の箱がございます、その中からいきなりわしづかみに、ありました二千八百円の
現金
を強奪しまして、その
自動車
をおりたということであります。それからいま一人の
常深運転手
の脅迫の仕方は、停車せしめて、ただちにどかどかと三人が乗り込みまして、
日本
語で
銀座
々々と呼びまして、
常深運転手
の席の向
つて
左側にいた男が、体を
運転台
の方に乗り出した、左手に大型のピストルを持
つて
、私の左のわき腹のところに突きつけて、ハバ・ゴー・ヘヤと言
つたの
で、私はびつくりして
自動車
をつつ走
つた
、こう言
つて
おるのでありますが、大体一人が
拳銃
を突きつけて、早く行け早く行け、こう言
つて
脅迫したのではないかと思います。
大川光三
16
○大川
委員
そうすると
犯行
に使用した
拳銃
は一ち
よう
ですか。
田中榮一
17
○
田中参考人
喜鶴ホテル
で、バツトン、
ヘツプレス
の二人の
兵隊
を
逮捕
いたしましたときに、それぞれ
拳銃
を持
つて
おるのではないかというので、ただちにポケツトへ手を入れまして、全部身体検査をいたしましたところが、全然
拳銃
は二人とも持
つて
おりません。それから宿も
捜査
しましたが、
拳銃
を隠匿しておりません。
従つて
この二人は
拳銃
を持
つて
おりません。結局
拳銃
は、遺棄してあ
つたの
を今警察が一ち
よう
手に入れておりまするが、その
拳銃
一ち
よう
だけの
よう
であります。
大川光三
18
○大川
委員
それからもう一つ、聞き漏らしたかもしれませんが、結局
犯人
逮捕
の時刻はいつの何時ごろになるのでありますか。これがやがて四十八町時間の起算点になると思いますので、
犯人
逮捕
の時刻を……。
田中榮一
19
○
田中参考人
犯人
逮捕
は、二十二日の午後十二時十五分に
逮捕
いたしたことにな
つて
おります。
田嶋好文
20
○
田嶋委員長
田万
廣文
君。
田万廣文
21
○田万
委員
先ほど
松岡
さんからの御質問に対して、
シンクレア
という
濠州兵
の
引渡し
の請求については、
共同正犯
であるということが確認された場合に、これを請求するという
よう
な御答弁がございましたが、間違いございませんな。
田中榮一
22
○
田中参考人
日本側
の
取調べ
によりまして、三人が
共同正犯
で
犯罪
を犯したという事実が確認されました場合、当然
引渡し
要求の事由があると考えております。
田万廣文
23
○田万
委員
共同正犯
であるということの確認は、私
ども
考える場合において、今の
シンクレア
というのが相手側の方に行
つて
おりますから、それをこちらへ
引渡し
てもら
つて
、
日本側
において調べることによ
つて
、確認されるものと思うのです。ぜひとも
引渡し
ということが先決問題でなければならない。それを確認されたと言うのであるが、どういう段階に来た時分に確認されたということになるのでありますか。あるいは
パツトン
という
濠州兵
が自供をしているその自供によ
つて
、
関係
を確認なさるのですか。
田中榮一
24
○
田中参考人
私の方では確認はいたしております。その確認の心証といたしましてはいろいろあるのです。その一つは、
銀座
一丁目の
金龍ホテル
から三人が
合田運転手
の
自動車
に乗り込みました際に、これは二十一日の午前中のことですが、先ほど申し上げました
柴田
という
レストラン部
の主任と、
ルーム
・
ボーイ
をしておりました
山本
という
ボーイ
さん、それからもう一人の
ボーイ
さんが
合田運転手
を呼びとめまして、その三人を乗つけてや
つた
わけです。ですから三人が一つの組にな
つて
いることはわか
つて
おります。それから今度
合田運転手
が三人をうしろに乗つけて、これが三人の顔を
面通し
て確認いたしております。これでも三人一組であるということがわかるわけです。それから第二の
常深運転手
がやはり三人を確認いたしております。これによ
つて
三人が一組であるということが一応わかるわけです。それから第二の事実としましては、昨日の午前十時五人の者が行きまして、午後三時に
エビス・キヤンプ
内のガレージで十三人の
兵隊
を
面通し
ました際に、その三人までがこれだとい
つて
肩をたたいたのです。それが
シンクレア
一等兵
であります。右の事実によ
つて
、三人が一組で
共同正犯
であるということは確認されるわけです。
田万廣文
25
○田万
委員
それほどはつきりと確認される要件がそろ
つて
いるのであるからして、なぜ
引渡し
の請求を厳重になさらないかということを私たち言いたいのです。それに対する御答弁を聞きたい。外務省
関係
だけに今後一切まかしておくわけですか。
田中榮一
26
○
田中参考人
この点につきましては、私の方から、
引渡し
の必要がある旨を述べまして、
事件
を
向う
へ送
つたの
であります。なお
法務
省の方にも、ぜひこれを
引渡し
てもらいたいということを申し入ております。直接
英軍当局
には私の方は申し入れる権限はないのですから、やはり
犯人
引渡し
は外交上の手段によ
つて
やるのが至当でありますから、私の方からも
引渡し
の必要があるということを
法務
省の方へ申入れしてございます。
田万廣文
27
○田万
委員
その申入れはいつなさ
つたの
ですか。
田中榮一
28
○
田中参考人
これは検事正の方にも私の方から申入れをしてございます。検事正の方からも多分最高検の方にその旨申入れがしてあると思います。
田嶋好文
29
○
田嶋委員長
それについて今日ただいま
身柄
はどうな
つて
おるか。
田中榮一
30
○
田中参考人
シンクレア
の
身柄
は現在
濠洲軍
の方で抑留いたしております。それから
あと
の二名の
身柄
はなお
日本警察
署の
留置場
の中に抑留いたしております。
田万廣文
31
○田万
委員
この申入れに対する回答の
内容
はどういうふうにな
つて
おりますか。回答はありましたか。
田中榮一
32
○
田中参考人
まだ
捜査当局
としては回答の
内容
は承
つて
おりません。
田万廣文
33
○田万
委員
そういう問題は今日
刑事裁判権
が非常に国民的な関心の的にな
つて
おる際に、すみやかに公表すべきものはせなければいかぬ。回答のあ
つた
場合には、その回答を周知せしめる。それがいわゆる国際
関係
の円満な解決になると思うのでありまして、いたずらに事を遷延しておる
よう
な感じを国民に抱かしむる
よう
な結果にな
つて
おると思う。それでもう一つお尋ねしたいのは、連合国に対してやはり
引渡し
の申入れというか、申入みというか、その形式でや
つて
おりますか。
田中榮一
34
○
田中参考人
国連軍
、すなわち濠州軍
当局
に対しましては、私の方からは
捜査当局
第一線でありますので、これは
引渡し
の要求をいたしておりません。
田万廣文
35
○田万
委員
なぜ申込みをなさらないのですか、何か根拠があるのですか。
田中榮一
36
○
田中参考人
身柄
の
引渡し
の要求等については、やはり国際間の問題でありますので、
捜査当局
から要求するよりも、むしろ外交上の手段によ
つて
要求すべきが至当かと考えまして、
捜査当局
から直接要求はいたしておりません。
田嶋好文
37
○
田嶋委員長
この場
合田
万君にお諮りいたしますが、ただいま政府より岡原政府
委員
、佐藤検事総長がお見えになりましたので、一応佐藤検事総長より
検察当局
のこの
事件
に対する方針を承ることにいたしたいと思います。―ただいま佐藤検事総長より
検察当局
のこの
事件
に対する考えを聞くことにいたしましたが、ただいま
犬養法務大臣
が
出席
されましたので、大臣より先に承り、続いて佐藤検事総長より承る
よう
に変更いたしたいと思います。その前に
警視総監田中榮一
君よりただいままでに
説明
した部分以外で重要事項があるからとの
発言
を求められておりますので、これを許します。
田中
警視総監
。
田中榮一
38
○
田中参考人
ただいま
身柄
の
引渡し
のことにつきまして、いろいろ御質問がございまして、お答えした中で一つ落したことがございますので、私から補足いたしておきます。一昨日の午前中に
四谷
の末次
警察署
長が
エビス・キヤンプ
に参りまして、これは
捜査当局
でありますので、正式の
引渡し
要求ではございませんが、非公式にぜひ君の方で
逮捕
した一人の
兵隊
をわが方で
取調べ
をさせてほしいということを要求いたしたのであります。ところが
英濠軍当局
とせられましては、それならばこの
キヤンプ
内に警察官が来て
取調べ
をしたらどうかという回答があ
つた
そうであります。われわれの方としては英
キヤンプ
内に行
つて
取調べ
をする必要はない。当然こちらへ来て
取調べ
をすべきだという考えから、一応それで終
つた
わけです。そうして
捜査
当風がこれ以上や
つて
もむだであるという考えから、むしろ今度は正式の手続によ
つて
引渡し
を要求した方がいい、こういう考えで私たちとしてはこれ以上
引渡し
要求をしないわけであります。御了承を願います。
田嶋好文
39
○
田嶋委員長
犬養法務大臣
には、ただいま
警視総監
から
捜査
並びに今日までの
警視庁
の
取扱い
につきましての
報告
を聴取いたしましたので、それ以外の点で
法務
省として今日まで対処いたして参りました経過並びに
法務
省としてのこの
事件
に対する考え方を承りたいと思います。
犬養法務大臣
。
犬養健
40
○
犬養
国務大臣 先刻
警視総監
から
事件
の概略について御
説明
を申し上げたと存じますが、去る二十一日の午後、イギリス兵及び
濠洲兵
の三名の者が強盗を働きました。一名相手国側によ
つて
逮捕
せられました。二名はこちら側において
逮捕
せられたことは御承知の通りでございます。わが方におきましては、この
犯罪
は軍人の公務以外の時間に相手国の軍事施設の外において行われたのでございますから、当然わが方に
裁判
権ありとの解釈のもとにその態度で
取調べ
を行わせている次第でございます。
従つて
中途におきまして
犯人
の
身柄
を
引渡し
てくれ、こういう交渉がありましたが、これに対してはそういうわけには参らぬということで、こちら側で調べている次第でございます。われわれの根本態度はそういう態度で引続き今後とも参りたいと思
つて
おりますが、これについて何か御質問がございますれば、
あと
う限り率直に御答弁をいたしたいと思います。
田嶋好文
41
○
田嶋委員長
次は佐藤検事総長より承ることにいたします。佐藤検事総長に対しましては、同様に
警視総監
の
説明
以外の点で今日まで
検察当局
の
取扱
つて
参りましたこの
事件
に対する方針、覚悟を承りたいと思います。
佐藤藤佐
42
○佐藤
説明
員 議題にな
つて
おります件は十一月二十一日の晝中に行われたのでありまして、その後
警視庁
においてイギリス兵及び
濠洲兵
の二人の
犯人
を
取調べ
たのであります。本日午前十時二十分と記憶しておりますが、十時二十分に
警視庁
からこの二人の
犯人
の
身柄
を
東京地方検察庁
の方に送
つて
参りましたので、即刻
検察庁
におきましては三名の係検事を選任いたしまして、
取調べ
を急いでおるのであります。この
取調べ
の模様は、まだ送検を受けたばかりでありますから、今後の
取調べ
の進行のぐあいの見通しはつかないのでありますが、これまで
警視庁
で調べられた
報告
によりますと、
犯人
がすなおに
取調べ
に応じておるとも見えないのでありまして、そのうちの一人は思う
よう
に
取調べ
に応じたというなことも聞いておりますので、今後
検察庁
の
取調べ
に対して
犯人
がどういう態度に出まするか、そのぐあいによ
つて
取調べ
が早く進行するか、あるいは相当手間どるかという問題になるだろうと思うのであります。他面濠州及びイギリスの大使館の方からは、外務省を通じて
法務
当局
の方に
身柄
の
引渡し
請求がある
よう
でありまするが、
検察当局
といたしましては、一応の
取調べ
が済まなければ
身柄
引渡し
の要求に応ずるわけにも行きませんので、今のところいつ引渡すかという
よう
な見通しもつかない
状態
でおります。しかしながら一応の
取調べ
が終えて、今後必要な場合にはいつでも
身柄
を出頭せしめるという
よう
な保障が得られまするならば、なるべく
向う
の希望にも沿うて
引渡し
の要求に応じたいつもりでおります。
田嶋好文
43
○
田嶋委員長
外務大臣の
出席
がまだない
よう
でございますから、
犬養法務大臣
、佐藤検事総長に対する質問を順次許すことといたします、猪俣浩三君。
猪俣浩三
44
○猪俣
委員
今
法務
大臣からわが国に
裁判
権あり、
取調べ
捜査
の権利ありとして、
引渡し
要求には応じないで調べておるというお答えがあ
つたの
でありますが、本日の新聞を見ますと、何か外務省筋でありますか、条件をつけて
身柄
を相手国方に引渡す
よう
な新聞記事が見えるのでありますが、さ
よう
な外務省の動きがありやいなや、あるい
はさよう
なことについて
法務
省は何らかの
連絡
があ
つたの
であるか、ないのであるか、それを第一に承りたいと思います。
犬養健
45
○
犬養
国務大臣 外務
当局
におきましては、御承知の吉田書簡の線に沿いまして、将来こちらで
取調べ
の必要があるときにはいつでも渡すという
よう
な問題が吉田書簡にも書いてありますし、第二清原
通達
にも書いてありますので、その線に沿
つて
何らかの外交交渉をしておられるものと察知いたします。しかしこの条件はまだ両方の話合いできま
つて
おりません。
従つて
端的に申し上げますならば、外交の折衝中でございます。
当方
といたしましては、その
外交折衝
の結果を見まして
身柄
を引渡すか、引渡さないかをこれから定め
よう
、こういう考えでおるのでございます。
猪俣浩三
46
○猪俣
委員
そうすると、ただいまのところでは具体的な
身柄
の
引渡し
の問題がきま
つた
わけではない―新聞論調を見ますと本日引渡すことにな
つた
よう
な論調がありますが、これは早過ぎたので、実際
はさよう
なことにな
つて
おらぬ、こう承
つて
よろしいのですか。
犬養健
47
○
犬養
国務大臣 さ
よう
でございます。これは新聞の人たちの見通しを書いておられるのであります。
猪俣浩三
48
○猪俣
委員
そこで、将来あるい
はさよう
な相手国から
身柄
引渡し
の交渉があるやもわかりませんので
法務
省の態度をお聞きいたしておるのでありますが、これは先般の
法務
委員会
におきましても問題になりました。で、私
ども
は、どうも吉田・マーフイー書簡と第二清原
通達
との間には何か矛盾があるということを申したのでありますが、
法務
省において
はさよう
なことがないという御答弁でありました。そこで
昭和
二十七年六月二十三日付の刑政長官の
通達
を見ますると、殺人、放火、傷害致死、強盗または強姦の罪に当る
事件
は
日本側
において
身柄
を確保する、また
身柄
を
日本側
が
逮捕
する以前に
国連軍
に
逮捕
された場合にはこれに対して
引渡し
を要求する、か
よう
なきつい通牒にな
つて
おると思うのであります。これが吉田書簡と何らの矛盾がないのだということになるならば、これは
日本
国の態度でなければならぬと考えるのであります。そこでこの趣旨からすれば、事案は、今
警視総監
からお聞きいたしますとピストルをも
つて
の
強盗事件
、さればまさにこれは
日本
国が
身柄
を
逮捕
して、これを審判することにならなければならぬと思うのであります。これにつきまして外務省で
身柄
を引渡すとかどうとか、あるいはまた
法務
省で
身柄
についてはまた
あと
で考えるとかどうとかいう
よう
なことは、私はこの
通達
からは出て来ないと考えるのでありますが、それはいか
よう
なものでございますか。
犬養健
49
○
犬養
国務大臣 お手元に第二清原
通達
は差上げたと思うのでありますが、猪俣さんの言われます
よう
に殺人、放火、傷害致死、強盗または強姦の罪に当る
事件
は(二)ということになりますが、その次の三に、「(二)に
該当
する
事件
であ
つて
も
日本側
において
身柄
を拘束する実質的な必要がないと認められるものについては、できる限り
逮捕
後四十八時間内に当該
国連軍
係官の「
日本側
の
捜査
及び
公判等
のため必要があるときは、
身柄
を出頭せしめる。」旨の確約を条件として
身柄
を
国連軍
側に引渡すこと。」この線に沿
つて
今や
つて
いるのでありますが、その条件なるものが外務省のなされております外交交渉においてどうなるかということを、私
ども
は待機して待
つて
いる次第であります。
猪俣浩三
50
○猪俣
委員
なお重ねてお尋ねいたしますが、そうすると外務省で
法務
省の意見を聞かずにさ
よう
な条件をきめて引渡すという
よう
なことをやり得る権限が外務省はあるのであるか、ないのであるか。か
よう
な権限がありとして、外務省がか
つて
にそういうことをする
よう
な傾向があるかないか。それに対して
法務
省は外務省とどういうふうな
連絡
をするのであるか、それをお聞かせ願いたい。
犬養健
51
○
犬養
国務大臣 外務省において
法務
省の意見を聞かずに、何らかの
措置
をとることはないと信じております。また現に密に
連絡
しておる次第であります。
猪俣浩三
52
○猪俣
委員
今
法務
大臣がお読みにな
つた
清原
通達
の三項、これは文意から見るならば、すべて
日本
政府が自主的に考えて必要だとした場合の
よう
に書いておると思います。外国からいろいろ注文をつけられてやる場合ではなくて、わが国の自主的な判断において
身柄
を彼らに
引渡し
てもよろしいという場合に条件をつけて引渡す、こういう趣旨に考えられるが、その通りでありますか。
法務
省のお考えもやはりその線で今後お進めになるつもりであるかどうか承りたい。
犬養健
53
○
犬養
国務大臣 今の
お話
の通りであります。
猪俣浩三
54
○猪俣
委員
なおただいまの
通達
を見ますと、
強盗事件
なんかはもし
身柄
お
国連軍
側が
逮捕
した場合においても、こちら側からその
引渡し
を要求することが書いてありますが、
法務
省はこの
引渡し
要求をなされたか。あるいは事実が明らかにな
つた
際に、共犯
関係
ありとするならば、
引渡し
を要求する御意思でありますか、その点をお聞かせ願いたい。
犬養健
55
○
犬養
国務大臣 すでに外務省を通じて、
身柄
の
引渡し
を要求しております。
田嶋好文
56
○
田嶋委員長
先ほどお諮りいたしました
よう
に、
岡崎外務大臣
がお見えになりましたので、これより
岡崎外務大臣
の
発言
を求めることといたします。
岡崎外務大臣
には、ただいままで
警視総監
、
犬養法務大臣
、佐藤検事総長が、今回起りました
濠洲兵
並びに
英国
兵の
強盗事件
に対する経過を述べられましたが、この経過以外の点につきまして、この
事件
に対する今日までの経過並びに外務省としてのこの
事件
に対する方針、大臣としてのお覚悟をここで承りたいと思います。
岡崎
国務大臣。
岡崎勝男
57
○
岡崎
国務大臣
国連軍
との協定がまだ妥結に至
つて
いないこの際でありまして、こういう問題が起ることはわれわれとしてもはなはだ困
つた
ものだと考えております。もつとも先方もすでにこの
事件
に対しては遺憾の意を表しておりまして、損害等の問題についてもできるだけの手を打つと申しております。これにつきましては一昨日先方からは、新聞報道によればこれこれの者が
日本
の官憲に
逮捕
されておる。これはすでに
国連軍
側で留置している者であ
つて
、それが脱走したのであるから、
引渡し
てもらいたいということを要求して参りました。これにつきましては
法務
省と
連絡
をいたしまして、
警察側
と
法務
省側の意向、
検察当局
の意向等を勘案いたしまして、ただいま先方と話合いを続けておるのであります。なおこういう問題がしばしば起ることは、
取扱い
の基準がきまらないためにかえ
つて
混乱を生ずる。われわれとしてはこういう
事件
を起さない
よう
に、先方も特に注意し、
司令官
等が十分なる計戒を与えるべきは当然と考えており、その点は従前から先方に要求しておるわけでありますが、こういう点から見ましても、人間のことでありますから何らかの
事件
が起ることも絶無とは言えますまいが、先方の十分なる自重を望み、同時に
国連軍
との協定を早く妥結に至る
よう
にいたしたいと考えておりまして、折から一昨日の午後には、土曜日でありましが、
関係
国の大使を私のところに呼びまして、
国連軍
との協定の話合いをさらに続けてお
つたの
でありますが、たまたまその最中にこういうことがありまして、なおさら協定を早くつくり上げて基準をはつきりする必要があると考えるのでありまして、話合いはただいまのところ非常に友好的には進んでおりますが、双方の意見はまだまだ一致していない
よう
な次第であります。
田嶋好文
58
○
田嶋委員長
なおこの際
岡崎
国務大臣に対しまして、先般行われました
国連軍
との協定の
刑事裁判権
に関する第二回円卓
会議
の結果をあわせて当
委員会
に御
報告
を願いたいと思います。
岡崎
国務大臣。
岡崎勝男
59
○
岡崎
国務大臣 この前の段階におきましては、当時あまり長くこういう問題を国民が知らない
よう
な
状況
でもどうかと考えまして、その経過を発表いしたのでありますが、一昨日土曜日の会談におきましては、さらにこの問題についていろいろ意見を交換しました。大体におきましてこの前先方の
陳述
は、われわれの方から出しまし意見に対しての反論といいますか、意見に対する先方の意向をずつと述べまして、それを念のため覚書の形にして残して行
つた
ものであります。従いましてわれわれの方は、これに対しましてさらに
日本側
の考え方を一々詳細に述べまして、先方の反省を促したのであります。その
日本側
の考え方と申しますのは、すでに何回か申しておる
よう
なことで、大体繰返してのことにすぎないのでありますが、たとえば先方は北大西洋条約が効力を発生するまでの暫定的の協定だからアメリカ側と同じ
よう
な待遇を与えてもいいじやないか、こういう意見でありましたが、われわれの方は暫定的すぐに直るということがわか
つて
おるならば、ことさらにまた直すという予想のもとに協定をつくるよりは直るときの
状況
を見て、こつちの方は直さなくてもいい
よう
な協定にするのが一番簡単ではないかという意見を述べておきました。またこれは国際慣行としてどこの国でもや
つて
おることだ、こういう
説明
でありましたので、われわれの方は、むしろこれは国際慣行から離れておるものじやないだろうか、一九四二年にイギリス政府がアメリカ政府との間に
裁判
権についての約束をいたしたときも、イギリス側の書簡の中には、これは
向う
の言葉で言いますと、コンシタラブル・デバーチユアー、普通のやり方から見ると非常に違
つた
やり方である、しかしこの際だから
裁判
権は承諾する、こういうふうに書いてある。むしろこれは普通のやり方とは非常に違
つた
ものじやないか、
従つて
こういう一九四二年という
よう
な戦争のまつさい中のときならともかく、こういう普通の事態にあ
つた
ならばやはり普通のやり方でよいのじやないかという
よう
な意見を述べましたところ、これに対しては、いやそれは一九四二年である、というのは今から十年前のことであるが、その後いろいろの国といろいろの協定ができたが、
裁判管轄権
についてはみなイギリスと同じ
よう
な
取扱い
をされておる、たとえば一九四八年の―ちよつと間違
つた
かもしれませんが、アメリカとベルギーとの協定、一九五一年のアメリカとデンマークとの協定、一九五二年つまり本年のアメリカと西ドイツとの協定等は、みなそういうふうにな
つて
おる、
従つて
新しい慣行が今各地で行われておるのだ、またカナダの軍隊もフランス、ベルギーその他にもいるけれ
ども
、やはり同様の
裁判管轄権
を軍側に委譲することにな
つて
おるという
よう
な話でありました。そこでわれわれの方は、その点は実は前から
調査
して知りたいと思
つて
お
つた
ところであるけれ
ども
、的確な資料がなくてわからなか
つたの
であるが、そういう資料があるならば出してもらいたいという要求をいたしましたところ、これは
了解
事項であるものもあり、協定にな
つて
おるものもあると思うが、至急資料を調べてこちらに提出し
よう
、こういう
よう
な話でもありました。そういう
よう
なことでいろいろ
日本側
の主張を述べたのでありますが、前回は先方の主張を述べわれわれの方で了承しなか
つた
が、今回はわれわれの方の主張を詳しく述べたのでありますが、これまた先方の了承を得るには至らなか
つたの
であります。しかしながら先ほど申した通りに、非常に友好的に話合いは進めておるのでありまして、さらに今後もこういう会談を続けるつもりでおりますし、その間におきましても、いわゆるテクニカル・コミテイーといいますか、専門
委員
の方の外交も続けて、今までまだ結論に到達していないとこるはできるだけ再び専門
委員
の間で話合いを進めてみ
よう
ということにな
つて
、一昨日はわかれた
よう
な次第でおります。
田嶋好文
60
○
田嶋委員長
質疑の通告がありますからこれを許します。
松岡松平
君。
松岡松平
61
○
松岡
(松)
委員
岡崎外務大臣
にちよつとお尋ねいたします。今おつしや
つた
新しい国際慣行ということですが、西ドイツ、カナダにおいて行われておるのはいずれも西ドイツ並びにカナダのそれぞれの国の事情によ
つて
外国の軍隊が駐在しておる。今の
よう
な場合とはおよそ事態が違うのじやないか。この点について外務大臣はどうお考えにな
つて
おりますか。私
ども
考えますと、西ドイツにおけるそういう協定なりあるいは申合せがかりにあ
つて
も、それは西ドイツの場合における国防上の必要において軍隊が駐在し、カナダの場合においてもそういう事情で駐在するのではないか。今の
よう
に朝鮮動乱のために
日本
の領土を使用するという
よう
なこととはおよそ事情が違うのじやないか、この点についてお答えを願いたいと思います。 さらに
犯人
の
引渡し
の問題でありますが、先ほど大臣から先方が実害について賠償云々という
よう
な穏やかな意思を述べておられるという
お話
がございましたが、わが国にとりましてこの問題は実害の
自動車賃
や、得られなかつは金をもら
つた
くらいで済む問題ではございません。ことに
強盗事件
というものは、しかく示談で話のつく
よう
な問題ではない、まことに重大な
犯罪
でありまして、いかに賠償されましても、これは簡単に引渡せることではありません。外国人がわが国内において強盗を働き、これが実害を賠償すれば外交上の折衝によ
つて
事なきを得るということでありますと、わが国民が国内において
犯罪
を犯せば少くとも三年なり五年の懲役、はなはだしきに至
つて
は七年くらいの懲役に処せられるのであります。こういう事態を国民が
知つて
何と
了解
いたしますか。外務大臣におかれましては、今後の外交上の折衝においてよろしくこの点を徹底していただきたいと思うのであります。
強盗事件
というものはなかなかそう簡単な問題ではありません。
道路
において小便したり、頭をなぐ
つた
程度の微罪ではございません。暴行にはいろいろ程度がございまして、微罪もありますし、あるいは重い罪もございまし
よう
が、強盗になれば重罪であります。かかる重罪
犯人
を新聞で伝えられる
よう
に外交上の折衝によ
つて
もし渡される
よう
なことがあれば事重大でありまして、これは私
ども
の杞憂に終ればけつこうであります。大臣におかれましてはこの
強盗事件
が持つ
社会
的な意義、国民が受ける感情上の問題をよく御勘考にな
つて
、よろしく
引渡し
を拒否していただきたいと思います。 先ほど検事総長からも
お話
がありましたが、
引渡し
ということと、
裁判
上の
身柄
釈放
という問題について考えが違うと思うのです。私はこの際一括して申上げますが、
身柄
引渡し
ということは外交上の問題であります。しかし国内手続上におきましては、一旦起訴されたら
被疑者
を
釈放
するということは
引渡し
ではない。これは保釈の手続によ
つて
身柄
を
釈放
する以外にはなかろうと私は思います。でありまするから検事総長がお答えになりました
引渡し
ということは、検事総長の立場におきましては保釈手続や何かのことをお考えにな
つて
いるのか、それとも外交上の
引渡し
をお考えにな
つて
いるのか、もしこれをうやむやのうちに
引渡し
されては、一旦起訴になりまして公判にかかるべき
事件
を簡単に
身柄
を引渡されることにもなる。われわれ
日本
の国民が起訴されれば保釈の手続によらなければ出られない。しかし外国人の場合においては外交上の折衝によ
つて
身柄
を簡単に引渡すことができることになると問題は非常に大きいと思います。この点について外務大臣の
あと
で、検事総長あわせて
法務
大臣からもお答え願いたいと思います。
岡崎勝男
62
○
岡崎
国務大臣 まず第一の御質問でありますが、お説の通り各地、各国おのおの事情が異なるわけであります。その問題についてまだ的確な資料が入
つて
おりませんから、私もはつきり申し得ないのでありますが、先方の
説明
は必ずしも一国と一国との間の協定ではない。たとえば北大西洋条約に基く協定あるいは欧洲防衛軍に基く協定、こういう
よう
な問題によ
つて
自分
の方で欲しない場合も外国軍隊が来ることがある。また
自分
の方で欲しない場合でも外国に軍隊を出さなければならない場合もある。そういう場合のとりきめであるという
説明
であります。 なお第二の御質問につきましては、ただいま
法務
大臣その他検事総長とよく
連絡
をいたしまして、納得の行く
よう
な
措置
でなければ講じられないわけであります。ただ今までおつしや
つた
中で、ちよつと
説明
を加えますれば、国内におる在留外国人については、これは
日本人
と同様の
取扱い
であるので、問題はないのです。ただ軍隊に関する問題である。その軍隊は、いろいろ御意見はありまし
よう
が、
日本
の将来にも非常に重要なる関連を有すべき朝鮮における
国連軍
の行動に従事しておる軍隊である。こういう点で
一般
の外国在留民とはいささか趣を異にしておる点があると私は考えておる。
佐藤藤佐
63
○佐藤
説明
員 先ほど私から、強盗
犯人
の
身柄
引渡し
の問題につきまして、一定の条件が整えば
身柄
を引渡すことも考えておるということを申し上げたのでありますが、この
身柄
引渡し
という言葉を使いましたのは、このたび外務省を通じて、オーストラリア並びにイギリスの大使館の方から
身柄
引渡し
の要求を受けておりまするし、なお、先般来当
委員会
においても問題にな
つて
おりまする清原刑政長官の依命通牒並びに吉田首相のマーフイー米国大使あての書簡にも、
身柄
引渡し
という言葉を使
つて
おりますので、そのまま
身柄
引渡し
という言葉を用いたのでありまして、
身柄
引渡し
はどこまでも
外交折衝
にゆだぬべきものと私は思
つて
おるのであります。しかしながら
検察当局
が現に調べているその
身柄
を
釈放
する、あるいは引渡すという問題は、どこまでも国内の刑事訴訟法にのつと
つて
やらなければならぬというふうに考えております。
田嶋好文
64
○
田嶋委員長
本日の質疑はこれで打切り、なお質疑につきましては、この質疑を続行することにいたしたいと思います。次会の期日は追
つて
公報をも
つて
お知らせすることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会