○
小林(か)
委員 私が
大臣にお伺いしておきたいことは、
戦犯者全部に関する判決の問題でございますが、この
平和条約十一条による云々の
法律は、極東国際軍事
裁判所及び連合国
戦争犯罪法廷が科した刑の
執行に関することでありまして、その判決がもとより正しいということを基本にしてつくられた
法律でありましようから、あるいは私の
質問はいかがかと思いますが、私がいろんな方面からいろいろ開くところによりますると、この
戦犯の
裁判というものは、わが
国内における刑事
裁判のように非常に厳格な証拠によるというようなことがややもすれば欠けてお
つた、あるいは全然自己の関与しないようなことが犯罪として認められて刑罰に科せられる、いわば無実の罪によ
つて判決が下されておるというようなことをしきりに本人が言い、あるいはそうではないかと思われるような事案も
相当あるやに私は聞いておるのであります。でありますから、この
平和条約ができたときに、あるいはもう一ぺん
国内の
裁判にかけて、その真実であるやいなやを決するということの力がむしろ正しいのではないかとすらわれわれは考えておるのでありますけれ
ども、これは敗戦国という立場から、もとよりこの
裁判が正しいものとしての刑罰の
執行に関する問題ということに
なつております。そういうような、
戦犯の刑を受けておる者で、本人自身が無実を叫んでおる者が
相当にあるのじやないか、このことの正しいかいなかは別でありますけれ
ども、そういうのが
相当あるのではないか。もしそういうのがあるならば、外国に対して仮
出所あるいは
赦免を願うときにもそういうような
事情を
相当に書いて訴えられておるのであるかお伺いしたい。それからまたわが国の仮
出所、仮釈放などにはいろんな
事情が考えられて、仮
出所を許すところの要件というものがきま
つておるのでありますが、これらの
国々に対してそういう
勧告をされるときにどういうような―いろいろな条件を書いて向うと
交渉をしておられるのか、ただ
裁判の事案だけを述べて、仮
出所が正当であるからや
つてもらいたいということで、あるいは友人とか親戚などの歎願書的なものが書かれ、そういうようなものが内容に報告されておるのであるかというような、われわれから言えば一々のこれまで
勧告書を出されたものに対して、大体どういうような内容をも
つて交渉されたものであるかということを知ることができれば非常に幸福だと思います。
それから
大臣のただいま言われましたように、国際
関係の問題ですから非常にデリケートで強過ぎてもいけませんがしかしながらあまりに卑屈であ
つても私はいかぬと思う。占領後におけるわが国の政治がややもすれば請負政治、ドイツなどの
占領軍に対する態度とは比較にならぬほど弱過ぎる。欧米人というものは正しいことを強く主張して行けば
相当わか
つてくれるのであります。ただ頭を下げてお願いする、弱いというだけでは私はいかぬかと思います。でありますからあまりに慎重過ぎてこういうことをすればごきげんを害するから、ああいうことをすれば感情を害するからというようなことであ
つては私はならぬと思います。やはり誠心誠意、誤れる
裁判であれば、ほんように誤
つておるように心情を訴えて―無実の罪に服して、中には死刑に
なつたものもありましようけれ
ども、われわれが聞いてみても証拠がなくてついにそこまで行
つてしま
つたのではないかというようなものがあ
つたようにも考えられます。この点もし国際
関係の上に悪ければ、
速記を省いていただいていいと思います。あるいは秘密会でなければいかぬということであれば、そのときに御答弁を願
つてもけつこうです。私は
相当気の毒な方があるのではないかということを考えますので、抽象的でけつこうでありますから
大臣から御答弁をいただきたいと思います。