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1953-03-14 第15回国会 衆議院 文部委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十四日(土曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 田中 久雄君 理事 松本 七郎君    理事 坂本 泰良君    永田 亮一君       長野 長廣君    貫井 清憲君       水谷  昇君    笹森 順造君       細野三千雄君    辻原 弘市君       山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     福田  繁君         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 三月十四日  高等学校定時制教育及び通信教育振興法案(  加藤精三君外二十一名提出衆法第五八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八九号)  義務教育学校職員法案内閣提出第七三号)  義務教育学校職員法の施行に伴う関係法律の整  理に関する法律案内閣提出第七九号)     —————————————
  2. 伊藤郷一

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、残余の質疑を行います。細野三千雄君。
  3. 細野三千雄

    細野委員 前会文部大臣に対する質問を保留しておきましたが、それを逐次お尋ねしてみたいと思います。  最初国立大学教授給与の問題につきまして、前会稻田政委員の御答弁を得ましたが、最近ある大学教授政府からの給与だけでは食つて行けぬ、こういうことを言つてやめた先生がある。これについて文部大臣はどういうふうな所見を持つておられるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。そういうことを新聞で私拝見してございますけれども、文部省へは辞表は出ておりませんし、何の公式の連絡もございません。ただ大学教授ばかりでもございませんが、大学教授の観点から見ましても、ただいままでの給与というものは昔の大学教授に比べましてもそうでございますし、少い、これでは十分の研究はできないだろうということは私考えております。これは昨年の暮れだつたと思いますが、予算閣議でいろいろ私は給与の問題を申しておりますときに、やはり大学教授のことも出て、これは義務教育教員のことから話が飛びまして、大学教授も十分手当しなければならぬということを申したことがあります。そのときに閣内でも異論は出ませんし、むしろ木村大臣は私の意見に賛成しまして、大学教授もやはり待遇をよくしなければいかぬ、こういうことを言われた。私もいろいろその後研究してみまして、この大学教授というものの待遇をもう少し何とか改善しなければいかぬ。文部省に聞きますと、事あるごとにこれを何とかしたいということで、いろいろの機会をつかまえてはその方向に行つているように私は伺いましたが、できることならばもつと給与を改善して行くという方向に私進んで行きたいと思います。この点は、この前めしが食えないからというようなことでやめるとかやめないとかいうことがありました以前に、私すでに考えておつたことでございまして、あの記事を読みまして、その後またその感を深くいたした次第であります。
  5. 伊藤郷一

    伊藤委員長 稻田局長から、先日の答弁内容のうち訂正したい部分があるそうでございますから、発言を許します。
  6. 稻田清助

    稻田政委員 関連いたしまして。前会細野委員からの御質疑に対しまして、中野教授俸給記憶違いを申し上げました。同教授俸給は十三級三号でありまして、本俸三万四千五百円、扶養手当勤務地手当等を合せますと四万五千六百二十五円でございます。いろいろ税その他を差引きますと、おそらく実収三万五千円前後だと考えます。
  7. 細野三千雄

    細野委員 私は今の文部大臣の御答弁に不満はございません。が、中野さんは、お年はたしか五十歳前後で、まだ今後十年間、どの程度まで給与が上るか知りませんが、私は、中野さんの場合はまだジヤーナリズムその他で別の収入がおありだと思う。問題は、むしろ研究盛りといいますか、若手の教授諸君、こういう方面の待遇について一段の御努力を願いたい、こういうふうに御希望を申し上げておきます。  続いて私は今度の国立大学設置法の一部改正によりまして、大分たくさんの短期大学ができるのでありますが、この短期大学というものは、将来ますますふえて行くのではないか、おそらくここではほんの少数、七つか八つでありますが、年々これはふえて行くのではないか。一方において大学院というものもだんだんとふえて行く傾向になると思うのでありまするが、そうなりますと、結局元の大学大学院に当り、元の高等学校大学に当り、元の専門学校短期大学に当るような傾向なつて行くのではないか。結局六・三・三・四という、あとの三・四という制度は、根本的にまた考え直さなければならぬような事態が生じて来るのではないか。この六・三・三・四の三・四の問題について、文部省ではどういうふうなお考えを持つておられるか。このまま将来も存続すべきものか、ある時期にはこれを検討して改変すべきものか、こういうような点についてのお考えを承りたい。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 六・三・三・四は、終戦後の混乱期にできた制度でございますが、私はこの点は、一応この線を堅持して行きたいと思います。  それからまた今回十二の大学大学院ができましたし、短期大学が少しふえておるというようなことが、お説の通りに学力とか何とかいうような点におきまして、すこぶる御同感な御意見でございますが、ただいま短期大学をふやしました点は、過渡期の場合でございまして、短期大学をうんとふやして行こう、こういうような趣旨ではございません。また大学院をつくりましても十二ありますし、学問蘊奥をきわめる制度としましては、大体これでいいのじやないかと思います。  それからこの三・四の再検討につきましては、教科内容とか、いろいろなことも考えなければなりません。この点は私まだ確たる見解を持つておりません。文部省事務当局の方でどう考えておるかをひとつ御説明申し上げます。私自身といたしましては、まだそこまで十分なる思想が固まつておりません。
  9. 稻田清助

    稻田政委員 一つは従来の短期大学基準でございまして、一般教育専門教育基準が定められておつたのでありますが、いろいろ実社会の要望等がございまして、一般教育を少くして、より専門的に短期大学をつくり得る道を昨年から開いたのであります。従いましてそういうような需要に合う意味短期大学、すなわち昔の専門教育を充足するような短期大学も出て参ると思つております。国において国立短期大学設置いたしまするのは、日本全国を見渡しまして、方々の地域の需要状況、学科の性質、それから基盤となりまする大学設備教授力というようなものを考えて配置いたしておるような次第であります。
  10. 竹尾弌

    竹尾委員 稻田局長にちよつとお尋ねします。できれば大臣でもけつこうですが、ただいま大臣は、大学院設置は十二大学の中に設置されたから、それで大体よろしかろうというようなお話でございましたが、文部当局としては、たとえば旧制医科の単科大学を持つておる大学であるとか、あるいは経済関係長崎経専とか、あるいは山口、こういう古い伝統を持つておるところに、学部だけに所属するような大学院を設けられる御意思はございませんか。
  11. 稻田清助

    稻田政委員 お話のように医学部関係につきましては、学年進行が遅れておりますので、昭和三十年には考えなければならぬと存じております。その場合旧制医科大学を包含いたしました大学につきましては、すでに学位も授与いたしておることでもありますので、現在の十二大学に加えて、この分は当然考慮せらるべき性質のものだと考えております。そのほか旧高専の充実したものを基礎とする学部に、大学院を置くかどうかという問題につきましては、それらの内容をさらに充実することが前提でございます。今日のところどの学部考えるかというようなことはまだ予見できない状況でございます。
  12. 竹尾弌

    竹尾委員 そうしますと、内容充実すれば、そういう大学にも大学院を置くというお考えはあるわけなんですか。
  13. 稻田清助

    稻田政委員 今日の十二大学をもつて限るということは私ども考えていないのでございます。と同時に、それ以上幾つ将来設置し得るかということは、遺憾ながらまだ予見できていないのでございます。
  14. 竹尾弌

    竹尾委員 その数はそれでいいのですが、そういう場合には設置される御意思であるかどうかということなんです。
  15. 稻田清助

    稻田政委員 大学のそれぞれの特色を発揮するというような点から見まして、すべて一律に同じような計画をもつてすることは考えませんけれども、将来お話のように、新たに学部基礎といたしまして大学院考えるということもあろうかと考えております。
  16. 竹尾弌

    竹尾委員 積極的にそういうお考えなのですか、そこを聞きたいのです。
  17. 稻田清助

    稻田政委員 ものの順序といたしまして、学部充実、これは全面的に逐年力を入れて参りたい、その上においてただいまの問題を考慮いたしたい。私どもといたしましては、大学学問研究機関としても、教育研究機関としても、さらに充実することを期しておりますから、理想といたしましては、もつと積極的にこうした研究機関充実いたしたいと思います。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 あるいは御質問があつたかもしれませんが、この十二の大学を見ておりますと、これはすぐわかりますように、従来のいわゆる国立大学新制大学以前のものが主として対象になつておるという点から考えますと、今もお話がありましたが、大体学部充実は一応なつたという前提のともに、これが設けられたというふうにも了承できるわけですが、将来にわたつて、ただそういうふうに既存の大学、いわゆる昔の官学という立場にあつたそういう大学にだけ大学院設置して行くということに限定せられるのか、新制大学でも学部内容充実に並行して、大学院設置を考慮されて行く、そういう心組みを持つておられるのかそういうランクをはつきりつけておられるのか。その大学設置したという条件は、ただ一般学部が十分充実したということだけを条件にされておるのか、他に何か理由をお持ちになつておるのか、そこのところをひとつ伺いたい。
  19. 稻田清助

    稻田政委員 出発にあたりましては、先ほどお答えいたしましたように、現在すでに学位を授与いたしております旧制大学を包含する大学だけに限つて出発したわけでありますけれども、将来これに限る考えはないのでありまして、その他の学部も漸次充実して参りました場合に、さらにその基礎の上に大学院設置ということは考えて参りたいと存じております。
  20. 細野三千雄

    細野委員 次に大臣にお尋ねいたしたいのは、広島県立医科大学が、広島大学医学部となつたのでありますが、これは前回の稻田政委員の御答弁では、大学設備建物、そういつたものを国へ寄付するという形になつてできておると思います。政府でいろいろ何か機関を設ける——役所の出張所が都道府県にできるとか、あるいは鉄道の駅をつくるとかいつたような問題が起ります場合に、いつも民間の方で敷地を寄付するというふうなことがある。たとえば停車場を設ける場合に二つの候補地があつて、両方が競争するというような場合には、政府によけい——おれの方では土地だけじやない、建物まで寄付する、道路も寄付してやるというような、寄付の競争をするような事態がしばしばあるのであります。これは、何か政府に仕事をやつてもらうには、政府に利益を与えなければならぬ、こういうふうな気風を導きやすいのでありまして、文部省学校設置される場合に、やはり寄付を受けるのが当然だというふうなお考えであれば、これは特に考えなければならないというふうに私は考えるのでありますが、そういう点に関する文部大臣の御所見はいかがでございますか。
  21. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは学校にしろ、警察にしろ、従来そういうような慣例と申しますか、警察なら警察学校なら学校を、非常に熱心に自分のところへ置いてもらいたいと思いまして、寄付をする、土地寄付するといえば、土地ばかりではなく建物も出す、こういうことでいろいろやりますが、私はそれは邪道だと思います。そういうことで学校設置なんかが動かされることはよくないと思います。ですからこれは事務当局がどう考えているか知りませんけれども、私自身考えといたしましては、およそ学校設置をいたしますに、つきましては、十分いろいろな立地の条件とか、また学生——その学校へ入つて行くところの人の便宜とかいうようなことを主にして考える、また国立学校なら国費で十分まかなつて行くという方向に進むべきだ。こう思います。もつとも私の意見事務当局のとかわるかもしれませんから、事務当局からもう一ぺん聞いてください。
  22. 稻田清助

    稻田政委員 別にかわつていないのでございます。御指摘になりました広島のごときにおきましては、文部省といたしましても一緒にすることがよいと考えておりましたが、進んで県の理事者及び県会関係から御希望がございまして、一緒にしろというお話で成立したわけでございます。決してこちらで無理する考えは持つておらないのでありますが、ただ幸いにも各新制大学につきまして非常に地方が熱心で、いろいろ援助をいただいております。それが事実でございます。
  23. 細野三千雄

    細野委員 終ります。
  24. 伊藤郷一

  25. 坂本泰良

    坂本委員 第一に大臣に御質問いたしたいのは、これは先般稻田局長から御答弁になつたのでありますが、大学管理法案のことです。これについて大臣はどういうお見通しを持つておられますか、その点を承りたい。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大学管理法案は、私の承知いたしますところによると、この前我妻博士委員長になられまして、一応の案が出ました。そして国会でいろいろ論議がありました末、審議未了なつて、一、二年たつているようなことを伺つております。それからその概要をいろいろ私伺いましたところが、その後の情勢の変化とか、あるいはその国会における皆様方の御論議も相当出ておるようでございますので、それらの点を十分参考にして、あらためて案を立てたらどうかということで、この前の案並びにそれに対する御意見などを中央教育審議会にお示ししまして、ひとつ根本方向を御検討願いたい、こういうことにしております。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 中央教育審議会ができまして、二十名の委員が選任されて、すでに発足いたしておりますが、ただいまの大学管理法案だけは根本的の問題であるから中央教育審議会に諮問をしてやろう、こういうお話であります。現在かかつております義務教育学校職員法案なども、国家教育根本を云云するものではないかとわれわれは考えておるのでありますが、これは閣議決定になりまして、先般の公述人の小汀という人は、これはすでに閣議で決定しておいたのだから、中央教育審議会の方では聞きおくという程度でやつておると言つておる。そういたしますと、同じ教育根本問題を解決するにあたりましても、せつかく教育審議会にかけたりかけなかつたり、すでに政府閣議決定しておるから聞きおく程度だというような状態では、せつかく中央教育審議会を定めました意義がないように考えるのであります。大学管理法案は、根本の問題であるから審議会にかけてやる、義務教育学校職員法案はこれにかけずにやる、こういう点を考えますと、大臣の、教育方針に関しての機関の運用について、矛盾があるようにも考えられるのですが、その点についての御所見を承りたい。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは幾度も御答弁申し上げたように記憶しておりますが、御承知の通りに、今度の義務教育学校職員法案と申しますものは、予算をつくりますときにどうしても右か左かにきめなければならないことでございまして、急いで予算に織り込む意味におきまして、どうしても早くやらなければならない。その当時まだ中央教育審議会が発足しておりませんでしたから、かける余裕がなかつたのであります。ただ私として一応御了解を願いたいと思いますことは、義務教育職員給与を国が持つて地方公共団体平衡交付金の中に割込むということは困るのだというようなことを、ずつとわれわれ長い間経験しておつたものでございますから、大体予算方向もその方向に進んでおつたし、また同時に、現行法義務教育費国庫負担法をすでに一応国会で御審議なつていらつしやる点もございます。そういうようなこともありまして、かけるひまがなかつたわけです。ただ一月二十一日に中央教育審議会が発足いたしましたが、その日に一応皆様の御考慮を煩わしました。まだ十分御審議はいただいておりませんけれども、これから十分御審議を願いたいと思つております。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 この問題は義務教育学校職員法案の際に譲りたいと思いますが、一点だけお聞きしておきたいのは予算とかいろいろの関係もあつたけれども、また輿論動向がどうこうとおつしやいましたが、学校職員法案については、輿論動向は、全額国庫負担であれば輿論も賛成したようでありますが、単なる学校職員法という身分法になりまして、そしてそれが教育中央集権制になるというので、非常な反対もあつたわけであります。また聞くところによりますると、中央教育審議会委員のうちでも、非常な反対者があつたということも承つておるのでありまして、こういうものこそこの審議会にかけて、それから国会法案提出をする、これが私は順序ではないかと思うのであります。それをそうせずに、国家最高学問蘊奥をきわめるところの大学制度について、まだ審議会にかけないからゆるゆるかけてやる、この点を考えますと、矛盾をするように考えられます。その点についての御所見を承りたいと思います。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 審議会にかけて、そしてこの義務教育学校職員法を出すべきが順序である、これはお説の通りでございます。ただ問題は、先ほども申し上げましたように、予算編成期にどうしてもこれを決定しなければならない情勢になつたものでございますから、それでこういうことになつたことは御了承を願いたいと、たびたび申し上げ次第でございます。  それから輿論反対だというようなことも仰せになりましたが、なるほど先般の公聴会におきましても、いろいろ御説がありました。しかしこれはここまで参りますれば、やはり皆様方の御良識にまつて、そして国家最高権威たるところの国会に十分御検討をお願いするということよりほかしかたがないだろうと思います。
  31. 松本七郎

    松本(七)委員 関連して。先ほどの大臣の御答弁におきまして、管理法の問題に触れられましたときに、十分に国会意向を聞いて、その上で案をつくるというようなお言葉があつたようですが、その案をつくつて、そして国会審議にまつ、こういう意味なのでしようか。それとも、案をつくられる前に、問題点なつておるところについて、あらかじめ国会意向を聞いてする、そういうふうにも聞えたのですが、そういう意味なのかその点を伺いたい。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の言葉が足りませんでそういうことになつたと思いますが、先ほど申し上げましたのは、この前に出しましたところの案について国会でいろいろ御論議がありました。その御論議がありました点を参考につけまして、中央教育審議会に、こういうことも言われておつた、ああいうことの御議論もあつたということを詳細にお伝えしまして、そして審議会の御意見をまず根本的にまとめて行きたい、こういう考えであります。国会の御議論を聞いてじやなくて、今までありました国会の御議論審議会に移した、こういうことを申し上げた次第であります。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、先日稻田さんの御答弁がありましたが、おもに審議せられた問題点というようなことを中心に、今までの国会審議状況はすでに中央教育審議会に伝えられておるのですか、これから伝えられようとするのですか。
  34. 稻田清助

    稻田政委員 これからでございます。一応の経過を簡単に御説明いたしました。
  35. 坂本泰良

    坂本委員 次に大学教授の選任の問題であります。もちろん助教授も含みますが、聞くところによりますと、国立大学は東大と京大、私立大学は早稲田、慶応、これは各教授会で決定すれば、それで決定することになるわけですが、他の大学は、各大学教授会で決定しまして、教育審議会の認可と申しますか、許可と申しますか、それを受けなければならないということに承つておりますが、もしそうだといたしますと、同じ国立大学の中におきまして、また同じ私立大学の中におきまして、甲乙の区別をするというふうに考えられるのであります。その点についての現在の状態並びに今後の文部当局の御方針を承つておきたいと思います。
  36. 稻田清助

    稻田政委員 お話の点は、新制大学が発足いたしますときに、大学設置審議会に諮問いたしまして文部大臣が認可いたしました。そのときに、非常に厳密に状況審査して行きますと、ずいぶん問題の残る、認可しがたい状況学校が非常に多かつたのでございます。取扱いといたしましては、条件を付して、たとえば教授力をすみやかに充実するとか、設備を増強するというような条件を付して、認可いたしたわけであります。その条件の中に、教授力充実ということに関連いたしまして、教授を選任する場合には、大学設置審議会審査を受けるように、大学設置審議会にその大学教授力がどの程度充実しておるかということがわかるように、という方法をとつたわけでございます。御指摘大学は、そういう条件を付しておる大学であります。これらの大学ももうすでに完成年度に達して、教授力も相当充実しておると見ますので、大学設置審議会におきましては、最近の機会に、書面審査等方法をもつてそれぞれの教授力充実状況を再検討して、もうこれでよいとなれば、そういう条件を逐次解除して行きたい、こういうような方針であります。従いまして多くの大学につきましては、やがてそうした審査手続はいらなくなると考えております。
  37. 坂本泰良

    坂本委員 次に大学院の問題です。これはもうすでに質問し尽されておると思いますが、一点だけお聞きしておきたいのは、十二大学大学院設置することになつておるわけですが、このほかになお大学院設置すべき国立大学があるかどうか、また今後近い機会大学院設置する大学が多数あるかどうか、これは見通しになるかもわからないと思いますが、その点についての御答弁を伺いたいと思います。
  38. 稻田清助

    稻田政委員 先ほどお答えいたしましたように、昭和三十年は、新制医学部最初の卒業生を出す年であります。従いまして現在国立大学の十二の医学部一つの歯学部、そのほか関連した問題もございますが、それらを中心といたしまして、昭和三十年にはさしあたり大学院を増設しなければならぬと考えております。それ以外にもその後あり得るだろうと思つておりますが、これはただいまのところ予見いたしかねております。
  39. 坂本泰良

    坂本委員 旧制大学院はなお五年間続くということになれば、この五年間内においてこの大学院研究生はいわゆる博士号を受けることになると思うのでありますが、その点について承りたい。
  40. 稻田清助

    稻田政委員 旧大学令手続によりまして、旧大学院、旧研究科に対しまして論文提出いたしますのは、大体ことしから五年を予見いたしておるわけであります。これは医学部は別であります。従いましてそれから先になりますと、新しい大学院に対して論文提出することになるだろうと思つております。
  41. 坂本泰良

    坂本委員 次に短期大学の点でございますが、先般資料をいただいたのを拝見いたしますと、約十の大学設置希望しておる。そのうち今度の設置法では五つの大学設置することになつておりますが、それを選択された点について承りたいと思います。
  42. 稻田清助

    稻田政委員 個々の大学について事情は異なつておりますが、たとえば弘前大学及び埼玉大学、それから岡山大学の経済あるいは法律経済関係の夜間大学予算に組まないといたしました理由としては、基盤になります学部が文理学部あるいは法文学部というような学部でございまして、その上に経済あるいは法律の専門課程を置きますのには、なお基盤の学部教授力充実していないというような関係で、これを見送つたものであります。さらに茨城大学につきましては、地域の関係から——これは多賀にあるわけでありますが、利用度が多少少いのではないかというような見込みから、やはり近くにあります群馬大学と比較考量いたしました結果、桐生の方に置くことにいたしたわけであります。それから広島大学につきましては、大学自体の計画において、医学部の合併であるとか、そのほかいろいろ他にもつと緊急とする計画がありましたので、自然短期大学の方は見送つた次第でございます。これらにつきましても、大学においてなお希望もありまするし、地元の熱意もございまするから、後年度において諸般の状況が充足いたしますれば、われわれとしては考慮いたしたいと考えております。
  43. 坂本泰良

    坂本委員 大体地域性とか、学課内容、あるいは地元の要望、熱意等から選ばれたという趣旨だと承りました。やはり現在全国的に相当この要望があると思いますが、教授力、それから今申しました要件が整えば、設置についての数の制限とかそういうことはなくして設置される御意向であるかどうか、その点を承りたい。
  44. 稻田清助

    稻田政委員 お話のように、その地域の利用度が非常に高く、また基盤になります学部設備教授力が充足いたしておりますれば、われわれとしては、せつかく昼間の施設があるわけでありますから、なるべくこれを利用するような意味において、短期大学設置も考慮して参りたいと思います。
  45. 坂本泰良

    坂本委員 次に研究奨学生の問題でございますが、資料によりますと、一、二、三年までは研究生の数が非常に多いけれども、四年は三分の一になり、昭和二十七年度におきましては五年は一名もない、こういうことになつておりますが、これはどういう関係でこういうふうになつたか、その点をひとつ承りたい。
  46. 稻田清助

    稻田政委員 五年が一名もないのは、これは学年進行でございまして、二十八年度には五年に達するわけであります。それから各学年の数の相違でございますが、これは従来前期後期とわけてございまして、前期二年、後期三年であつたのであります。ところが研究奨学生の実態を見ますると、大体三年まで研究して、四年目に助手になるとか、あるいはまた研究機関に入るというような者が非常に多いので、前期を二年とするよりは三年に延長してもらいたいという希望研究奨学生にもございましたし、われわれもそれを妥当と考えまして、二十七年からは前期三年、後期二年といたしたわけであります。従いまして三年と四年の間が一段階でありまして、おおよそ三年研究して助手その他に転換する者を予測いたしまして、四年の定員を三年の約四分の一にいたした次第であります。
  47. 坂本泰良

    坂本委員 ただいまの点は、前期三年終りますと、助手その他に転換するという関係があるのですが、現在助手その他に転換する余地がほとんどなくて、せつかく三年間研究しまして、四年目にその研究を捨てなければならぬ、こういう現実があるということを承つておるのであります。そういたしますると、せつかく研究しましてもそれがむだになるし、金のない者は放棄しなければならない。こういうことになりますると、最後までこの研究をやるというのは、結局金がある者でなければできないというような結果になると思います。従つてこの点についてはなお予算の問題もあると思いますが、その予算を増額いたしまして、後期もやはり前期と同じ人員を補助費で研究させなければならぬ、こういうふうに考えられるのでありますが、この点について御見解を承りたい。
  48. 稻田清助

    稻田政委員 お話の点を非常に重要な問題に考えまして、まず第一の段階として前期三年に延長いたしまして、三年目にそういう苦しみを受ける方を非常に救つたわけでございます。さらにそれでも足りないで、三年から四年に進む場合に適当な就職を見出さない方もあるだろうと思います。これも私どもはなるべく救いたいのでございますけれども、漸進計画で参つた点につきましてはおくみとりいただきたいのであります。なおそういう方々に対しましては、各研究機関において十分御あつせんするようにも、助言、勧告もいたしまするし、また育英会自体といたしましても、多少他の経費等の残等を見合いまして、できる限りこの予定計画以上の人員を配当いたしたいという計画もあるようでございまして、そういう点において苦痛をできるだけ緩和いたしたいと考えております。
  49. 坂本泰良

    坂本委員 ベースの問題につきましては、今度育英会の改正案が出ておるわけでありますが、それを見ましても、特に大学を卒業して研究する場合においてはなお低いんじやないか、こう考えられるのであります。なおまたその返済の点についても、今度の改正では相当緩和されておるようでありますが、なおそれでも不十分だと思うのであります。もちろんこれは育英会法の改正にあたつて質問したいと思つておりますが、この際この研究生の問題について、もう少し補助を与えてやらなければ、せつかく制度もむだになり、金持の者は勉強できるけれども、貧乏人の子供は研究もできない、こういう状態になりますから、教育機会均等にも反するじやないか、こういうふうにも考えるのであります。この点について文部省としても十分研究されて善処してもらいたいと思いますが、その点の御所見を伺いたい。
  50. 稻田清助

    稻田政委員 この研究生の単価でございますが、これは助手のベース・アツプに伴いまして、それと相当数を税引きの計算において計上いたしておつて、その上の方は助手並の扱いにいたしておるわけであります。しかしさらに研究生のことを考えまして、ただいま御指摘の点につきましては予算の許す限り将来とも力をいたして参りたいと思います。
  51. 松本七郎

    松本(七)委員 大臣大学の自治についての基本的な考えをお聞きしておきたいと思います。今までも再三問題になりましたし、今後大学管理法などが再び制定される場合に、必ず中心の問題になるであろうと思いますが、大学自治の問題について大臣はどのような基本的な考えを持つておられますか。
  52. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大学自治は学問の自由等から考え合せまして、とにかく憲法上尊重しなければならぬことでありますから、私どもといたしましては、できるだけ学問の自由の線に沿いまして、大学の自治を推進して行きたいと考えております。
  53. 伊藤郷一

    伊藤委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑がなければ、これにて質疑を終了いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 伊藤郷一

    伊藤委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を討論に付します。——討論がなければこれを省略して、ただちに採決したいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 伊藤郷一

    伊藤委員長 御異議ないものと認めます。討論は省略せられました。  国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  56. 伊藤郷一

    伊藤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決せられました。  なお報告書の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それではさよう決定いたします。辻原委員
  58. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま可決せられました大学設置の問題に関連をいたしまして、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。やはり大学設置の中に包括される分校統合の問題につきまして、先般具体的な問題として、新潟大学の新発田分校統合の問題について種々現地の調査を行い、かつそれに基いて本院におきましても決議をして、その実行方を当局に強く要請をいたしておつたのであります。当時の決議の中に織り込まれておりますところの統合の時期の三月下旬というのは、すでに差迫つて来た問題でありますが、その後この決議の内容に盛られておりました二つの要望事項について、どのようにとりはからつておられるか。大学とその後折衝せられておるかと思いますので具体的なその後の経緯、並びに第一点に要望いたしておきましたが、特に本問題につきましては、統合によつて受入れ態勢の問題が完備しない限り、これを強行するということは、爾後の大学教育活動の上において非常に支障を来すということを私どもは認めまして、特にこの受入れ態勢の完備を文面には盛り込んでおりませんでしたけれども、この問題を調査し、かつ審議する過程におきまして、具体的に指摘をいたしておつたはずでありますが、まず施設の点については、どういうふうにその後文部当局としては努力せられておるか。  次に、この統合によりまして、通学の便、あるいは寄宿の不便、こういつた点についても、種々現地から意向が持ち込まれておりまして、私どもの当時考えるところによりますと、これは文部省並びに大学及び地元の協力を得れば、相当量改善の余地があることを認めておりましたが、それがどのようにとりはかられたか。  次に、それらの地域が、通学区域が非常に遠方になります関係と、それから生活環境が異なる関係におきまして、特に従来分校に入学をするという約束をされて入つた学生に対する生活保障なり、あるいは通学費等に対する補償の面、こういつた点につきましてはどの程度その後考慮せられたか。これについてお伺いをいたしておきたいと思います。  同時にただいまの状況としては、第二の要望事項としてあげておりましたが、大学当局が地元なりあるいは直接この問題に関連をしておるところの学生の意向、父兄の意向といつたものについて、この統合問題が起る当初に十分意見を聴取せずにやつたということが、非常に問題化している原因であるということを私どもは認めまして、今後はこの問題を推進して行くにあたつても、十分それらの意見を参酌して、不要なトラブルを起さないようにということを要望しておつたわけでありますが、そうした点について、具体的に大学当局は父兄並びに学生等の意見をその後聞いて、そうして三者が一体の上でこの問題の解決に当つておるかどうか、そういう点についてひとつ詳細に承りたいと思います。
  59. 近藤直人

    ○近藤政府委員 ただいま新潟大学の新発田分校の件につきまして御質問でございましたが、新発田分校統合の問題につきましては、前回の国会におきまして、衆参両院の文部委員の方々の現地視察によりまして結論が出まして、それによりまして、ただいま事が進行中でございます。それによりますと、三月末をもちまして新発田分校が新潟大学に統合するということになつております。但しその際には受入れ態勢を十分整備しろという御注文でございまして、文部省並びに学校当局といたしましては、その方向に向いまして着々整備して参つておるのでございます。ただいままでのところは、学校当局の報告によりまして、宿舎あるいは教室等の整備もほぼ完了いたしております。但しその詳細につきましては、目下学校当局に照会いたしておりますので、また次の機会にでも皆様に御報告申し上げることができるかと思つておりますが、大体の方向といたしましては、前回の決議の線に沿いまして、態勢の整備をいたしております。またその方向に向つて整備がなされておりますので、三月末までには、整備された態勢の新潟大学に新発田分校が統合されることと考えております。現に本年の入学試験等につきましても、新潟大学におきましてこれを施行いたしましてまたその学生に対しましても、四月以降は新潟大学の方で勉強するように手配をいたしております。それから通学の問題でございますが、地元の学生並びに岩船郡等の遠方からの学生につきましては、前回も申し上げました通り、十分通学上の不便を除くように県当局とも話合いいたしまして、これに対して若干の経費の補助をするということにつきましても話合いを進めております。それらにつきましても、いずれ詳細な報告が参るはずでございますので、次の機会におきまして詳しく申し上げたいと思つております。大体前回御決定の線に沿いまして整備されておりますことを御報告申し上げます。
  60. 辻原弘市

    辻原委員 決議の線に沿われて努力せられておるということをただいま承つて、まことに私ども喜んでおるわけであります。その通り具体的に実行せられておるならば、この問題についてわれわれが調査をし、あるいは相当長期間にわたつて問題を取上げて検討いたしましたそのことも、結果的に実を結ぶわけであります。しかしながらやはり問題は相当具体的な取扱いになつておりまするので、ただいま現地に向つて調査をやられておるような御報告でありまするが、この問題につきましては、できる限り詳細にわたつた調査の上、先ほど私が三つに分類してお尋ねを申し上げましたように、その後この決議をして以来、宿舎の点についてはどういうふうに進捗をして、どの程度の収容人員を確保できるような施設をいかなる方法によつて確保したか、あるいは学校につきましても、従来の校舎建築の棟数をその後どのような経費を充てがつて増築の計画を進めておるか、または通学につきましても、これは調査いたしました当時にも、すでにそのことが考慮されておりましたが、なお不十分であるということを私どもは認めたのでありまして、従つて岩船郡その他の連絡、遠隔の通学生に対しては完全に収容できるだけのバスその他の施設も完備したのか、あるいは職員につきましても同じように職員の寄宿舎あるいは一般の住宅、そういうものがどの程度に確保されておるのか、そういつた点につきましても詳細を私どもに御報告願いたいのであります。なお最後に触れられました若干の補償を、県当局あるいは新発田市との間に話合いが進められておるという点につきましても、具体的にどの程度の額で、しかもその対象は、これは調査をいたしました当時には本年三月末までというふうな補償の方法でありましたが、それにつきましては、三月末までやりましても、現在の在学生は何ら恩典に浴さない、いわゆる三月以降の在学生について恩典に浴さないということでありまして、実際問題としてはこれは補償ということには当らないということを私どもも再三当局にもまた大学にも申し上げておきました。そういつた点がその後どの程度の学生まで、またどの程度の期間まで補償するのか、そういう点について詳細を承りたい。私どもの申し上げました真意は、少くともここ当分の間はそうした補償が必要であろう、そうして統合せられたことによつて通学生が何ら心理的にも経済的にも不便を感じないというある程度の時期までは補償して行かなければ、この問題は依然として受入れ態勢完備というところには参らない、こういう前提で決議の趣旨が織り込まれておりますので、そういう点につきましてできる限り詳細にわたつて現地の意向を調査していただきたい。  なおいま一つ、調査される際に、こうした問題につきまして、その後関係当局は積極的学生の意向をたたき、場合によれば了解を求める方法も講じられておるが、父兄との関係はその後どうなつておるのか、特にこうした岩船郡その他この問題に対して非常に不便を感じておる側の父兄の方々の意向というものを大学当局はその後どう把握されておるか、そういう点につきましてもひとつ御報告をお願いいたしたい、かように思います。報告がありましてからこの問題につきましてまたお伺いいたします。     —————————————
  61. 伊藤郷一

    伊藤委員長 義務教育学校職員法案及び義務教育学校職員法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を一括して議題とするに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 伊藤郷一

    伊藤委員長 それでは前会に引続き質疑を行います。
  63. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ちようど管理局長が見えておられますので、ちよつとお尋ねしたいのですが、実は先日私大臣に対する御質問の途中にちよつとこの問題を出したのでありますが、現在全国の市町村各地でもつて建築の実施に関して、相当の混乱を教育委員会と市町村議会との三者の間で起しているという事実があるのでありますが、管理局長はそれを御承知でしようかどうでしようか。
  64. 近藤直人

    ○近藤政府委員 実はまだその点につきましては承知いたしておりません。
  65. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 建築関係はあなたの関係だと思うのですが、承知いたしておりませんというのは事実ですか。
  66. 近藤直人

    ○近藤政府委員 どのような問題でございますか、承知いたしておりません。どういう問題ですか、お聞かせ願いたいと思います。
  67. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 それは教育委員会法の五十四条の三項に当ります。「教育委員会は、学校その他の教育機関の建築の実施を、地方公共団体の長に、原則として委任するものとする。この場合において、建築の実施に関し、教育委員会において意見があるときは、地方公共団体の長は、これに従わなければならない。」これに関係をする建築関係であります。御存じないというはずはないのでありますがね。
  68. 近藤直人

    ○近藤政府委員 五十四条の三の規定につきまして、これは市町村長といたしまして、学校建築の場合には市町村長の責任でございますので、自主的な学校建築を進めたいという意見に対しまして、この規定は教育委員会意見に従わなければならないというところに市町村側の反対と申しますか、そういう声があるのではないかと考えますが、ただいま原則におきましては大体この規定によつて実際は行われておると考えております。中には町村側から強い意向がある向きも承知しておりますけれども、大体これで行つておると了承いたしております。
  69. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私がお聞きしておりますのは、そういう混乱の事実があるかどうかということをお聞きしておるのであつて、もう少し明確な御答弁を願いたいのですが……。
  70. 福田繁

    ○福田説明員 この教育委員会法の第五十四条の三によりまして、お話のように建築の実施を地方公共団体の長に原則として委任する、こう書いてございまして、お話の点はおそらくこの建築の実施という点についていろいろ解釈その他についてあるのではないかと想像いたしますが、具体的な問題について申さなければわからないと思いますけれども、結局この条文によりまして、たとえば請負契約をどつちでやるかとか、あるいはまた予算の取扱いをどつちでやるかというような点につきましては、われわれも若干話は聞いておりますが、そういつた面についてもしトラブルがあるとすれば、これは今後の指導によつて直し得る面もありますので、極力円滑な実施を期したいと考えております。
  71. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ここは大事な点なのでありまして、非常に御答弁が漠然としておるのですが、そういうトラブルがあるからこそ、文部省におかれましては昨年末にこの問題で御協議なさつておるじやありませんか。私は何だつたら書類をお見せしてもいいのです。相当お困りになつておるじやありませんですか。要するにこの法案の解釈によつて、今いう建築の実施という問題について、教育委員会意見を言うた場合には、市町村長はそれに従わなければならない。しかし法の建前は、原則としては教育委員会へまかすという、この間の行政上の実際面においてかなり方々でトラブルを起しておる。その建築の工事、設計、見積り、監督、そういう問題について、末端では、御承知のように皆さんのような法の解釈の常識のある人ばかりいないのでして、こういう両方がどつちが権限を持つておるのかわからない。私たちが見れば、この五十四条の三項は、明らかに教育委員会が建築の実施に関しての主体性は持つておるはずなんであります。はずなんでありますが、いわゆる市町村の行政の衝におられる人は、そこまでは詳しく考えずにやられるのが普通なのであります。そういう点でかなりトラブルを起しておる。文部省もその点をお認めになつておられるはずなんでありますが、どうなんですか。
  72. 近藤直人

    ○近藤政府委員 お話の点はよく了承いたしました。ただ私ただいままでのところでは、地方においてトラブルを起しておるという話はあまり承知いたしておりませんので、ただいまのお話によりましてさつそく取調べまして、もしそういう例がございますれば、これをどういうふうに調節するか、なお研究いたしたいと思います。
  73. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ただいままでのところ、その憂いがございますればこそ、これから調査研究するというのでなしに、もうすでに皆さん方はこの問題については御協議なさつておられる事実があるのです。現に困られておるはずなのであります。私はここに文部省の書類を持つておるのです。そこまで私が申し上げたくないので……。
  74. 田中義男

    田中(義)政府委員 私ひとつ申し上げます。教育委員会法の施行につきましては、私の所管いたしております関係で、従つて昨年の十一月に、市町村にそれぞれ義務設置をいたしまして、この委員会法を施行いたします場合に、やはり実際問題として確かにこの建築の円滑な施行をいたしますために問題になつたかと思います。そこでこれはもう私が申し上げるまでもなく、いろいろお話のように、とかく従来は地方公共団体でそれぞれの手当を持ち、施設その他すべての組織を持つて建築をしておりました。その地方公共団体の権限を、教育委員会ができましたために、その方に主体性を持つて行く、こういうので、その権限の委譲については、そこに人情としていろいろ円滑を欠くこともあり得ることでございまして、そういつたふうなことで、この条文の施行を円滑ならしむるためにいろいろ協議をし、あるいはこの条文の施行の円満のためにいろいろ御相談したことが、おそらく一般の協議の場合にもあわせてやつたことがあるだろうと私も考えるのであります。そこで私が承知いたしておりますのでは、特に東京都なんかでいろいろ何かそこいらで話合いをしたというようなことも耳に入つておりますが、確かにこの条文を施行いたしますにつきましては、お話のように、また私のただいま申しますような点について、よほどこの施行についての良識にまちますか、あるいは理解を持ちませんというと、トラブルを起すおそれは確かにあるということは言えると思うのであります。
  75. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 大分明確になりましたので、今東京都のお話も出ましたが、東京都でもこの問題でかなり大きな問題を起しております。地方の問題は新聞その他で問題になりませんけれども、私の知つておるだけでも、学校の石がき一つ築くにも、その石がきの築き方で教育委員会と村長、議会の三つがけんかをやつておる村も知つておりますし、その他にもこの五十四条の解釈について現実に非常な問題を起しておる。それで私も先日申し上げましたのは、この義務教育学校職員法案の十条の五項の、教育委員会は、市町村長と人事のことに関しては協議しなければならないという条項は、決して人事の円滑を期するゆえんのものではない。現に施行されておりますこの教育委員会法の五十四条の三の建築の実施一つを見ても、その通りなのでありますが、事人事に至つては、こういうふうな条項がある以上は絶対に円滑に私は行かぬ、とこう申し上げたわけなんであります。私の質問はこれで終ります。
  76. 伊藤郷一

  77. 細野三千雄

    細野委員 私の質問が、前会一問をいたしましただけで中断になつております。その後公聴会などが中に入りまして、ちよつと気が抜けた形でありますが、前会の大臣のお答えは——私の不当なる支配ということについての質問に対して、正当なる支配ならよろしい、不当なる支配はやらぬからという、きわめて明確ならざる御答弁がありましたので、この点について重ねてお尋ねいたしたいと思います。  一体この教育委員会法ができましたときの議会の速記録を見てみますると、やはりこの不当なる支配ということにつきましては、公聴会においても、委員会においても、ずいぶん問題になつておる。不当なる支配を排斥するというこの立法の趣旨は、非常な賛成を得ております。そうしてこの委員会におきまする速記録を読みますと、不当というものは意味がない。支配するというのが問題なのです。その当時の速記録によりますと、圓谷委員は、であるからこの不当という文字を削つたらどうかというような御意見を述べておられます。また前会私が申し上げました教育基本法の解説——文部省の安達事務官が出しております本によりましても、この不当なる支配——支配というのは要するに一つの外部からの力であります。この教育に侵入してならない現実的な力として政党のほかに官僚、財閥、とにかく国民全体でない一部の勢力が考えられる。教育はこれら現実的の勢力の侵入に対してしつかりした態度を取り、自主的に行われなければならない。もちろんここでは現実的な党派的な力としてこれらの勢力が教育に介入して来るのを排斥するのであつて、その限りにおいて不当である。つまりある外部からの力が教育に作用すれば、それがすなわち不当なる支配になる。正当なる支配ということはない。つまり外部からの干渉はすべてこれ支配であり、それはまた不当なる支配である。この教育委員会の趣旨を全国に普及するために、文部省は二十三年九月付をもつて、「教育委員会法のしおり」と題するパンフレツトを出しておられます。その六ページにおいて「教育委員会は、国民と国民の代表者に対して責任を負い、法令の規定に従つて仕事をするので、ほかからの干渉を受けることはありません。これが教育の自主性を確保しようとする考えで」云々、つまりほかからの干渉は一切これを受けないというのがこの教育委員会法における「不当な支配に服することなく」のほんとうの意味だと思うのであります。私はその意味において、文部大臣が第六条によつて指揮、監督をするということは、明らかにこの教育委員会法の不当なる支配になるのだと私は思いますが、もう一ぺん重ねてこの点を念を押してお尋ねしておきます。
  78. 岡野清豪

    岡野国務大臣 不当なる支配の点につきまして、私はこの不当なる支配ということを一連の言葉として見ておるわけであります。そこで不当なる支配はどういうものかと申しますれば、今仰せのように、財閥とかあるいは右翼団体とか、また左翼団体とかいう方面の支配がありとしますれば、これは私は不当なる支配だと思います。ただ義務教育というものは一体どういうふうにして経営せられておるかと申しますと、やはり国と地方公共団体とが相関関係を持ちまして、一体となつてやつて行くべき筋合いのものであり、同時に教育基本法とか、学校教育法なんかを精読してみますと、国そのものがやはり大本を指示し、もしくは指導して、そうして義務教育をやつて行くということになつております。それから国がやるということはだれがやるかと申しますれば、結局民主主義的にできましたところのこの政府、すなわちどこにも不当なる支配を受けないで、公選によつて出て来たところの内閣が、中央において根本の指導要領を持つておるわけでございますから、その意味において国そのものがある程度の指示をし、また指揮監督するということは、これは不当の支配にならない、こう私は考えておる次第でございます。
  79. 細野三千雄

    細野委員 この不当な支配の関係につきまして、前の井出委員の御質問に対して大臣は「私のような党人が大臣になるよりは、学者がなつた方が公平だろうと考えます。」「そういうような御非難、御批判が出やせぬかということをいつも心配いたしまして」云々と答えておられるその大臣の御謙虚なる御気持に対しましては、非常に敬意を表するのでありますが、文部大臣自身も言われましたように、われわれは、民主政治で政党政治でありますから、やはり党人が文部大臣になるということも将来考えられるわけであります。ともあれ私は、そういう関係からいたしましても、文部大臣が指揮監督するということは、やはり一つの政党の支配になるので、これは不当な支配だという見解をかえるわけには参りません。この点に関しましてさらに第六条につきましては、田中局長にもお尋ねしたいのでありますが、まず先に大臣の方からお尋ねいたしますと、その関係において、大臣はしばしば国の責任ということを言われます。その国の責任ということの根拠につきまして、憲法二十六条を先日もあげられたようでありますが、義務教育は無償であるということを憲法二十六条がうたつている。その裏面の解釈からして、国は義務教育に対して責任があるんだ、こういうような御解釈のように拝聴いたしました。しかし憲法二十六条は、義務教育は無償であるといつているだけで、義務教育に要する費用は国が負担しなければならないと、別に規定しているわけではありません。都道府県地方公共団体義務教育の費用を負担しても一向さしつかえないように解釈ができるのでありますが、この点について憲法二十六条の裏面解釈によつて国に責任があるんだという大臣のお考えはいかがなものでありましようか。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は憲法二十六条につきまして、日本国憲法註解なんとかいう、東大のその方面の学者が十数人寄りまして出しておるところの本を一度見たことがございます。それには、二十六条に書いてあることは、国民の権利として、そうして国民は能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する、またすべて国民はこういう義務を負うということであつて、国民を主にして書いてありますけれども、それをどう解釈すると申しますれば、やはりこの二十六条は、国が責任を負つて経営をしなければならない、こういうふうに私はとつておる次第でございます。この二十六条は、単に無償の義務だけをいうておるのではありませんで、教育機会均等というようなことをいつておるわけであります。その意味におきまして、私は、私自身はあまり法律に詳しくございませんけれども、そういうような学者たちの言つておるところから、私の常識で判断いたしますれば、二十六条は、すなわち国民の側から、こういう権利を有し義務を有しておる、それじやその権利の相手方、義務の相手方はだれかといえばこれは国である、こういうふうに私は解釈いたしております。
  81. 細野三千雄

    細野委員 今の御答弁にも満足はできないのでありますが、さらに文部大臣は、義務教育文部大臣にも責任があるのであるということの根拠といたしまして、先日学校教育法第百六条を御援用になりました。なるほど百六条によりますと、学校教育法のたくさんの条項について、文部大臣が監督庁というものになつておりますが、しかし百六条は、これはこの法律の附則であります。附則というものは、従来どの法律におきましても、これは一種の経過規定である。この百六条もなおよく読んでみますと、「監督庁は、当分の間、これを文部大臣とする。」というのでありまして、これは一種の経過規定——むしろ当分の間文部大臣が監督庁になるのであつて、本質的には文部大臣は監督庁ではないというふうにも解釈できるのであります。なおこの学校教育法につきましてやはり文部省の有力な官吏で、課長をしておられる内藤君の著書があります。この内藤君の著書によりますと、「本条に掲げてある特定の重要事項については、当分の間、文部大臣にその権限を保留して置いたのであつて地方分権の進行に従つて、何時でも文部大臣はその権限を下級機関に委任できることになつている。」これは地方分権がまだ完成しない間の当分の経過規定であるということになるのであります。こういう経過規定からして、文部大臣が監督庁である、従つて義務教育は、文部大臣にも責任があるというふうな結論を導き出されるのは間違いであると思うのであります。この点につきまして重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の法律解釈といたしましては、ここに「当分の間」と書いてありましても、この当分の間という条項を削除しない以上は、やはり文部大臣がそのまま法にうたわれている通りのことをして行くということだと思います。なるほどお説の通りに占領下にできまして、地方自治がどこまで発達するか、またどのくらい完成するか、いつそれができるかということについては見通しがつかなかつただろうと思いますが、いろいろの情勢上、地方自治も相当発達して来ておりますから、その意味におきましてこの附則は無効じやないか、もしくは援用しなくてもいいんじやないか、こういうような御趣旨かとも存じますけれども、しかし少くともここに法律としまして出ています以上は、「当分の間」という文句が消えません以上は、文部大臣はやはり学校教育法というものを尊重して、そのままやつて行く方が穏当じやないか、こう考えております。
  83. 細野三千雄

    細野委員 この関係につきましてなお田中局長にあとでお尋ねしたいと思うのですが、大臣の方をまとめてやりたいと思います。  文部大臣は現在教育委員会制度というものについてどういうふうにお考えなつておるかということは、昨年のあの解散直前まで、政府地方教育委員会制度の実施を向う一年延期するか、あるいは諮問機関にするか、いろいろ御意見もあり、とにかく当分研究しようじやないかということで一年延期の案を考えられておつたようでありますが、当時文部大臣は関西方面に行かれる汽車の中で、談話といたしまして、教育委員会制度反対をし、こんなような二年に一度ずつ二十数億円の国費を教育委員会の選挙に使うよりは、ほかの方面に投ずべきだ、こういうふうな談話を発表された。これは事実かどうか知りませんが、とにかく一応教育委員会制度に疑問を持つておられたことは事実だと思うし、その後議会が解散になつてから、参議院の緊急集会でそういうことを提案することがいいか悪いか議論なつて、結局これは提案にならなかつたようであります。そのままいよいよこれは政府意思でなく、地方教育委員会制度が実施せられるようになつたのであります。これは法律があるから実施せられたので、政府意思によつて実施せられたのではなく、法律があるからの一つの反射作用としてここに実施を見たのであります。従いましてその後、実施になつた以上はこれを育成しなければならぬということに文部省は態度をきめておられるようであります。しかし教育委員会制度というものに対する文部大臣の疑問、あるいはそれに対する批判は、何か新しい事情が発生しない限りは、今もなお私は同じ疑問を持ち同じ批判を抱かれておると思うのです。文部大臣地方教育委員会制度のどの点について、どういう点が悪いのだというふうなことを考えておられるか、忌憚のないところを承りたいと思います。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。まず第一に、これはもう一つさかのぼつて考えますと、今の地方公共団体の規模というものが非常に小さく分断されておりますので、それに——私そういうことがあるかどうか知りませんけれども、人から聞いたところですが、三人か五人しか教員を持つていないところで教育委員会を置いたら、かえつて煩雑になるんじやないかということも聞いたことがございますし、また先ほども山崎委員から仰せになつたように、教育委員会というものと市町村長というもの、また市町村議会というものとが、この現行法通りではたして円満に行くものだろうかどうかということも考えております。これはむろんしろうと議論でありますが、大勢といたしまして、教育委員会制度につきましては地方公共団体の規模をもとにし、同時に委員会のあり方そのものに対してもいろいろの批判がありましたので、そういうように批判のあるものなら一応一年延期しておいて、これをよく検討したらいいじやないかということが私の趣旨でございます。そこで法に従つて実施せられました以上は、私の考えといたしましては、文部当局ともよく相談いたしまして、これを育成して行くべきじやないかということが一つ方針として現われて来たわけであります。しかし育成するにしましても、やはり欠陥とかまた不完全な点があるとするならば、それを追い追いに是正して行かなければならぬ。しかし追い追いに是正して行くにしましても、私が実施しない前に考えましたことは、これはいろいろのうわさとか、極端に言えば空理空論で再検討をしようと考えられたものであつたかもしれませんが、しかし実施された以上はできるだけこれを育成して、そうして実績によつていかに検討せらるべきかという二とをわれわれは考えるべきだと存じまして、当分と申しますか、一応その教育委員会が運営されて、その運営は育成をもととして運営して行きながら、そこにもし欠陥がありとすれば適当な時期にこれを再検討して行きたい、こう私はただいま考えております。
  85. 細野三千雄

    細野委員 私は今度出ました義務教育学校職員法というのは、教育委員会法に対する非常に本質的な改正だと思います。重大な改正だと思う。そこで教育委員会法の第二条によりますると、「教育委員会の組織、権限及び職務は、この法律の定めるところによる。」こういう明瞭な規定があるのであります。従つて教育委員会に関する改正なりは、教育委員会法の改正という形で行われなければ違法だと思う。そういう意味において、このたびの義務教育学校職員法教育委員会に関する部分というものは、すべてこういう立法の形式では違法だと私は思うのでありますが、その点に関する大臣のお考えを承りたいと思います。
  86. 岡野清豪

    岡野国務大臣 なるほど第二条には「教育委員会の組織、権限及び職務は、この法律の定めるところによる。」とありますが、しかし今までの法律の改正とか是正とかいうようなことは、ある一つ根本方針というものがございまして、それをほかの特殊の法律によつてどう解釈するとか、どうかえるとかいうことはやはり法に許されたる立法措置でございますから、もしお説のように教育委員会法の趣旨に沿つていないようなことがありましても、それは立法措置としましては私はできると思います。  それからもう一つこの際申し上げておきたいと思いますことは、教育委員会というものが地方に分権的に設置されまして、その上でこの職員法を出しますことはますます地方分権を尊重して行ける、そして国と地方公共団体とが共同して義務教育に当ることができる、こう考えますので、義務教育学校職員法が出ますにつきましては、教育委員会法が実施されたということも一つ前提としてわれわれはこの職員法案を出したのであります。
  87. 細野三千雄

    細野委員 法律家であられないところの文部大臣の今の法律解釈につきましては私は満足いたしませんが、問題は後日に保留いたします。  もう一つ大臣にお尋ねをしておきたいことは、この義務教育学校職員法案によりますと、給与は、小中学校地方公務員としての高等学校の先生とは別になるわけであります。この学校の先生方の給与については、従来二本建案とか三本建案とかいろいろ意見がありますが、この法律の結果において三本建になるわけであります。文部大臣はこの三本建を御支持になるかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  88. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今回の職員法案は、御承知の通り義務教育充実して行くために、義務教育に従事していらつしやる教職員の方々の身分の安定をして行きたい、こういうことが主眼でございまして、高等学校はただいまその考慮の中に入つておりません。自然そのために給与が分離される結果になるかもしれません。そこで三本建がいいか悪いかというお話でございます。ただいまの給与の体系といたしましては、いろいろ検討しなければならぬ点がございますが、それは不合理な点もあるように存じます。詳しいことは事務当局から申し上げますが、もしできますならば、今までの生活給からだんだん能率給に進んで行きたい。そういう意味から申しましても、やはり三本建がいいのではないか。こう考えております。
  89. 細野三千雄

    細野委員 大臣に対する質問はまだありますが、もう時間ですからこの辺でやめたいと思います。ただこの法律によりますと、「政令の定めるところにより」とか「政令で定める」という文字がずいぶんだくさん出て来ます。六条、八条、九条、十条、十四条、十七条、十九条、二十条、二十一条、二十七条、附則等にありますが、将来に出さるべき政令の内容の輪郭だけでもわからなければ、ほんとうはこの職員法案審議はできないので、この点につきましては、要綱だけでもすみやかなる機会に示されるように希望いたしまして、私の質問は一応この程度で打切つておきます。事務当局に対する質問はまだありますが、本日は保留しておきます。
  90. 伊藤郷一

    伊藤委員長 午前中はこれにて休憩いたします。なお今日の情勢では午後はどうなるかわかりませんが、一応二時半再開ということにいたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた