○
山崎(始)
委員 地方
教育委員会が設置されます過程において、反対の論拠というものはいろいろございましたが、結局反対の集約されました要点というものは、あまりに末端の町村にまで置くということは、
行政の適正規模でなさすぎる、これでは非常に人事の面において不円滑を来すであろう、また同時にそういうような小規模の
行政区域内において、適当なる
教育委員というものが五人も選ばれるかどうか、この点が反対の要点だ
つたろうと私は思うのであります。今文部省の方では、その後日が浅いから、どういうふうな長所が出て来たか、どういうふうな欠点が出て来たか、まだお調べでないと言われておりますが、これは当時私たちは、調べる調べぬの問題ではなくて、こういう地方の末端まで
教育委員会を置いたならば、絶対に
日本の
教育行政というものはうまく行かないのだという推察を下してお
つたのであります。はたせるかな、文部省の方ではお調べにな
つておられません。私も
日本全国全部調べたわけではございませんが、ただいま
日本全国どこへ行きましても、おそらく
学校の教員の異動期でございます。御
承知のごとくほとんどの県で、三月末から四月の初めにかけましてのこの異動期には、二千人になんなんとするところの大量の異動があるはずであります。これが現在いかなる実態にな
つておるか、この一点、私は
文部大臣としては非常にお
考えにな
つていただかなければいけないんじやないかと思う。と申しますことは、私たちが心配をしておりましたごとく、大体町村末端の
教育委員に選ばれておりまする民選の四人の方、この方がはたして
日本全国において公正な、適正な、まことに
教育行政に携わるところの人にふさ
わしい
委員が選ばれておるかどうかというところに、私は根本の原因があると思うのであります。これは大切なところですから、私は実際の民間の事情を申し上げておきまするが、
教育委員選挙のときに
自分が立候補するのには、この
学校に好ましくない教員が二人おる、これを
わしが当選をしたならば首にするのだ、こういうことをすら豪語して立候補しておる
教育委員はたくさんあるのであります。また同時に、
教育委員の全部とは私は申しませんが、相当程度の人は、いわゆる町村会
議員の選挙の
一つの腹いせとか、あるいは町村長に対する
一つの対抗意識、反対意識というようなもので出ておられる人が多々あるのであります。これがこの三月現在の異動期へ持
つて行つて、今日りつぱにその欠点が出て来ておるのが現実なんであります。と申しますことは、私は
日本全国の全部を調べたわけでございませんで、狭い範囲ではございまするが、おそらく一県において二千人になんなんとする教員異動をやりまする今の異動期、この異動期は御
承知のように一月の初旬から異動の
教育計画というものを各県ともつくるはずであります。しかも昨年十一月から発足しました
教育委員会法におきましては、その人事権たるや、町村の
教育委員会が持
つておる。県の
教育委員会は例年のごとく数千人になんなんとする異動の
教育計画を組んでも、悲しいかな権限は狭い末端の市町村にあるわけであります。その点ただいま申し上げましたような人事に対するところの
一つの希望、人事権がいじられるのだという
一つの希望が、
教育委員に出ておるところの人の大部分の
気持なんであります。こういう
気持が片方にある。しかも時間的には三月の末日までにこの異動を完了せなければならぬという点にぶつか
つておる。どういう結果が出ますか、これは御想像にしても私はおわかりになると思うのであります。大体今日、例年の統計から言いますると、おそらく県の
教育委員会の異動計画というものは六割くらいしか計画されておらぬはずであります。あちらの村の
学校の
先生をこちらの方へ移そう、あるいは甲の地から乙の地に移そうといたしますると、おつとどつこい、そいつは待
つてくれ、この
先生はかえることは相ならぬのだ。しかしながら
教育的な観点から見て、あなたの方の村のその
先生はおかえに
なつた方がよろしいぜと言
つても、いらぬ世話してくれるな。こういう町村がたくさんあるのであります。あるいは町村によりますると、無条件降伏をして、おれは何も知らないのだから、県の
教育委員会の方へ人事の異動はおまかせすると言うているところもございますが、もともと出ておるところの
教育委員その人の
気持というものは、今も言いますように、おのれが
教育委員に
なつたら、人事権だけは絶対に離さぬぞという
気持の人がたくさんおられるのであります。その面が今日
行政の上に、ただいま申しますようにたいへんな混乱を起しておるのでございます。
なおここで
一言申し上げておきまするが、本年度は
教育大学を卒業する新卒で、初めて四年制の人が出て来るはずであります。今までは二年制の卒業生しか出ておりません。地方
教育委員会の人たちはもともと
教育にはしろうとでありますると同時に、様子がわからない。
教育長も助役がかりにな
つても、
なつたほやほやで人を入れることは非常に得意でありますが、この
先生にあるいは退職を勧告するとか、やめてもらうとか、よそへ異動してもらうとかいういやなことは言いたくないのであります。だから例年に倍加する卒業生が出て来るのにもかかわらず、実際異動するその穴といいますかポストというものは、ちつとも動かないというのが現状なのであります。言いかえますると、昨年十一月のあの地方
教育委員会ができたばつかりに、これだけの混乱を起しておるのが現実なのであります。その現実の上にかてて加えて、この
義務教育学校職員法案の第十条に、今後は人事の異動に対しては市町村長に協議しなければならないという条項が加わ
つた。今までは市町村長は関与しておりません。それですらこれだけの混乱を起し、これだけの停頓を起しておるのにかかわらず、この上へ持
つて来て、市町村長がくちばしをいれるという
一つの
教育行政に
なつた場合に、いわゆる人事権を持つものは町村長、地方
教育委員会、県の
教育委員会、おまけに
文部大臣、この四者が人事権を持
つておるというような、まことに複雑怪奇な
法案というものは
文部大臣が言われるように人事の円滑が期されるのだというようなことは、こんりんざい起らないと私は思うのであります。文部広報を見ましても、この人事の円滑化に対して非常に声を大にして文部省が宣伝しておられまするが、昨年の十一月から今日に至るわずか数箇月の間でありまするが、地方
教育委員会制度のこの欠点がどういうふうに出ているか、ちようど今が異動期の原案作成の最中でございます。非常に困
つておるのが実態なのであります。こういう点に対しまして、
大臣の御
所見と、
局長の御
所見もこの点は重要でありますから、重ねてお二人に御
答弁をお願いしたい。