○
辻原委員 愛国心の涵養なりあるいは道義の高揚という点につきましては、これはいくら議論をいだしましても
言葉のやりとりの問題でなしに、受けるニユアンスの問題であります。もう
一つは坂本
委員から指摘されましたように、今心配していることは、どういうふうにして具体的内容を教育の上に盛り込むかという点であります。
従つてこれはいろいろ論議しては時間もかかると思いますが、単純に地理、歴史とか、あるいは修身というふうに切り離して、現在の社会科の中から別個にわける
考え方は、まことに直接的であ
つて、そのおつしやる点も一応
言葉としては受取るわけでありますが、ただしかし、少くとも戦後の民主教育の基調というものはどこに根底があ
つたかということは、個の完成という点から見ました場合、はたして分離をしてそういう知識を与えることにおいて教育が成り立つかどうか、こういう点が私は最も大きな、今後の教育政策上の
考えでなければならぬ出発点だと思うのです。いくら教科をわけてそういう知識を与えても、結果として得られるものは何かといえば、私はか
つての修身書を見まして、その全体を流れている思想というものについては、これは問題があるけれ
ども、
一つ一つ切り離して
考えてみました場合には、やはり先ほど
大臣が申されたように、人間が
一つの共同社会の中にあ
つて行うべきことを羅列をしておるわけです。だからそういう
一つの与え方をして行
つた場合に結果がどうなるかということをよくわれわれとしては
考えなくてはならぬ。少くとも現在のこの社会情勢の中で、ほんとうに学ぶという態度を
国民教育の中にこれを与えて、みずから学ばせるというところに教育のむずかしさがあるのであ
つてそこを少くとも重点として
考えなくてはならぬ、いかにねらいが、これは過去のものではなくして、新しい
一つの民衆教育のやり方として、その範囲内において
考えるのだと申しましても、結果としては昔のものに帰
つて行くという姿が、今現われているこれらの愛国心なり道義の高揚についておそれられている点であると私は思う。
従つてこの教育政策の中に、具体的にこの問題を教科としてはどういうふうに設定し、その内容としてはどうして行く、まろそれを教える場合に、教授
方針としてはどのような形にこれを現わして行くのかとい
つたような点について、精細なものを慎重に
検討してやらなければ問題にならない。単純に教科をわけて、それによ
つてこういうものをねらおうとするならば、それは忠君愛国に結びつく愛国心の涵養であり、または頭から押つけて道徳精神をたたき込むという、か
つての教育
方針にもどることが必至であるということを必配するがゆえに、この点は十分具体的に
検討せられて、しかもその内容を明らかにして、
国民のあらゆる階層の
意見も聞いて打ち立てなければ、百八十度の転換をまたまたやるというふうに私は予想いたしております。
従つてこれに関連いたして、前
大臣から受継いで
考えられておると聞いておりますところ中央教育
審議会については、すでに政令が出されておりまするが、この中央教育
審議会においていかなる内容を
検討せられようとしておるのか、また本質的に中央教育
審議会をつく
つたという目的はどこにあるのか、今
一つは、その人選については、すでに、これは当初の予定ではもう発足しておらなければならないような時期だと思うのでありますが、いまだにそれが発足をしないというふうな点はどういうところに理由があるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのであります。