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1953-02-19 第15回国会 衆議院 農林委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 井上 良二君 理事 足鹿  覺君       秋山 利恭君    大島 秀一君      小笠原八十美君    木村 文男君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    松原 頼三君       金子與重郎君    高倉 定助君       高瀬  傳君    中村 寅太君       川俣 清音君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         食糧庁長官   東畑 四郎君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         通商産業事務官         (石炭局調整課         長)      町田 幹夫君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月十八日  榛名開拓幹線道路開設請願木暮武太夫君紹  介)第二一九三号)  東鷹栖村地内国有林野払下げに関する請願(佐  々木秀世紹介)(第二一九四号)  くりたまばち防除事業費国庫補助増額に関する  請願江崎真澄紹介)(第二一九五号)  薄荷増産事業設備助成等に関する請願永田良  吉君紹介)(第二一九六号)  同(中馬辰猪紹介)(第二一九七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  肥料に関する件  輸入食糧に関する件     —————————————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  輸入食料に関して調査を行います。最近昨年末から本年初めにかけて輸入されました外米中、相当大量が食糧に不適当であるということで問題を起しておりますが、貴重な財政資金を投じて輸入しておる外米にこのような不適格なものがあるということは、重大な問題であると思います。まずこの間の事情について、簡潔に政府説明を求めます。東畑食糧庁長官
  3. 東畑四郎

    東畑政府委員 輸入いたしました外米にいわゆる黄変米がございまして、黄変米配給問題にからみまして最近社会的な非難をこうむつておりますことは、まことに遺憾でありますとともに、深くおわびをいたす次第であります。昨年末から本年にかけまして入れましたビルマ米につきまして、まず事事関係を申し上げたいと思います。  昨年入れましたビルマ米のうちで、雨期を過ぎまして入れたものの中に、いわゆる黄変米というものが相当量ありましたことが、輸入港における、厚生省食品衛生検査と、私の方でやつております輸入検査によつて発見をいたされたのであります。問題になつておりますのは、清水名古屋、門司、最近芝浦等に入りました船のものでございまして、船名をあげますと、シドニー丸文洋丸那智山丸、神戸丸、日枝丸ノルウエー丸、英彦丸、山荻丸日向丸等輸入ビルマ米中、いわゆる黄変米として、食糧としての不適格品があつたのでございます。全体といたしまして、昨年の四月から本年一月までに入りましたビルマ米が十四万八千四百四十一トンございます。そのうちで四月から十月までに入りましたのはほとんど問題はないのでありますが、雨期を過ぎまして十一月以後に日本に到着のものが非常に品質が悪いのでございます。結論的に申し上げますと、われわれのところで今再調整をして、食糧には不向きであるというものが一万二千七十一トンという相当量に達したのであります。一万二千七十一トンというものは、食糧としての不適格数量になるのであります。これがいわゆる黄変米数字でございます。現実黄変米を決して配給はいたしておりません。輸入港におきましてこれは保留しておるのでありまして、配給は決していたしておらないのであります。最近東京等で問題になつておるのは、黄変米ではございませんで、麻袋等の臭みがついておる米であります。黄変米配給はいたしておりませんが、一万二千七十一トンというものを配給を保留いたしまして、目下、先ほど申しました港にとめ置いてあるわけでございます。  これを入れます経緯につきましては、ビルマ米は、政府政府の貿易と、入札でやるのでございますが、この米は全部ビルマ国政府食糧庁とが売買契約をいたしまして、ビルマでは国家農業販売局農業商品局、そういう局がございまして、これが国営輸出しておるのであります。食糧庁が直接ここと売買契約をいたしまして、現実売買契約は、現地総領事食糧庁長官の代理として実はいたしているのであります。商社日綿実業東西交易、第一物産、この三社を従来ビルマ米輸入商社に指定いたしまして、先ほど申しました各般は交互にこの三社が輸入をいたしておるのであります。現地におきまする政府政府売買契約の場合に、この商社がおのおの立会いをいたしまして購入をいたしておるのであります。ただビルマ国規格でいつも問題になつておりますのは、まずもみ混入量と、赤米混入量と、砕け米の混入量というものがビルマ国営検査規格に載つておりまして、日本で騒いでおりますいわゆる黄変米というものは、実はビルマでは検査規格に載つておらないのでございます。というのは、ビルマでは黄変米というのは実は大して問題にしていないものと考えます。従いまして、契約条件検査規格等につきましても、黄変米というものを全然取上げていないというところに根本的の欠陥があるのでありまして、これにつきまして、私の方といたしましても、外務省を通じまして、黄変米等日本では配給適格品であるし、非常に肝硬変等を起すものであるので、なるだけこれを検査規格に入れてもらうことを実は交渉いたしておりまして、本年になりましても一月の上旬に、外務省を通じまして現地総領事から、向うといろいろ折衝いたしているのでありますが、遺憾ながらまだ売手市場でございまして、ビルマ政府自体がその認識をまだしてもらえないというのが現状でございます。もちろん日本ではこれは不適格品でありますので、現地におきましては、われわれといたしましても、こういう米の入つているということ自体十分監視はしてもらつているのであります。雨期を過ぎました米に青がびがはえまして、それが輸送途中ではえたものであるかどうかという点も精査いたしております。数字を申し上げますと、一万二千トンというものが、現実配給適格品として保留しているわけであります。これは食糧としては絶対に配つてはならない米でございますので、昨年来、こういう米が参りました場合は、われわれといたしましては、非常に悪いものは工業用アルコールの原料にいたします。若干いいものは蒸溜酒用にこれを使います。さらにいいものは、みそ等の原材料に使えるのではないか、こういうふうに思つておりますが、昨年みそ用に渡したものはございません。昨年の例で申しますと、大体総合配給用でございますれば、五万一千三百円という払下げ価格であります。昨年の不良品は三万百四十五円二十八銭でアルコール用に払い下げたのが昨年の例であります。本年の不適格品のものをどういたしますかは、さらに現物を今よく当つておりまして、いろいろの仕訳をいたしまして、少しでも国損を少くするように努力をいたしておる次第であります。一応事実関係は今申し上げましたような次第であります。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 質疑の通告があります。これを許します。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上委員 ただいま食糧庁長官から報告された黄変米でございますが、今のお話によりますと、産地の方では黄変米というものについては、輸出する場合の規格に入れてない、こういうお話ですが、厚生省の方で、外米のうちに配給不適品として葉たびたび検査をされて、配給を停止せしめるという措置をとられて来ておるのでありますが、今まで黄変米というものが検査の結果どのくらい発見されておりますか。その発見されました年と量を伺いたい。  それからこの黄変米を発見いたしましたのは、清水名古屋芝浦等主要輸入港らしいですが、その他のものについては検査をしておりますか、してないのですか。  それから第三は、これが配給不適品であるということは、厚生省が決定をするのですか。農林省は全然それにはタツチせずに、ただ予算できめました外米輸入することに全力を尽して、一定の輸入量さえ確保すれば、品質はどうあろうと、米と名がついておればそれでいい。それが食糧になろうがなるまいが、そんなことは問題にしてないのではないか、こういうような疑いが、いろいろな点で考えられる。だから農林省としては、特に食糧庁としては、配給米として買い入れるのでありますから、その買入れにあたつて、それが食糧になるかならぬかということを当然考えられて、買付をされたものを買い入れることになろうと思うのですが、この場合の措置はどういうぐあいにしておりますか。現地では全然そういうことを考えずに、ただ商社の買いつけたものを政府が買い上げる。そして日本の港に来たときに、また倉庫に入つたときに検査をする、こういうことになつておりますか。その間どういうぐあいになつていますか。その点を伺います。
  6. 楠本正康

    楠本説明員 お答え申し上げます。今まで黄変米として私どもが発見いたしました数量は、約一万三千トンに達しております。なおこれは抜取り検査でありますために、検査した範囲についての数量でございます。  次に私どもは、ただいま申し上げますように、抜取り検査を実施しております関係上、必ずしもすべてを検査するとは限りません。つまり私ども検査官を主要の港に少数配置しておきまして、逐次抜取り検査をいたしておるわけであります。  次に食糧として不適なものと判定いたしましたものにつきましては、ただちに食糧庁の方に連絡をいたしまして、適当な御措置を願うことに相なつております。従いまして、食品として適当であるかいなかは、厚生省が決定いたしまして、その結果を農林省に連絡いたしまして、適当な御措置を願うというふうに相なつております。
  7. 東畑四郎

    東畑政府委員 食糧輸入につきまして責任のある食糧庁でございますので、食糧に不適当な外米輸入することは、これは毛頭考えておりません。従いまして輸入に際しまして、結果としてこういう厖大黄変米が生じましたことは、まことに申訳ないのでございます。現地におきまする検査等におきましては、実は総領事館農林省からは一名人を派遣しております。これはいろいろ売買のことにタツチしおるのでありますが、現実雨期を過ぎて入れることは、昨年の例にかんがみまして非常に危険なものであることは、実は承知しておつたのでありますが、端境期等を控えて苦しかつたために、雨期を過ぎた米を買つてこういう事態を引起したのであります。根本的の解決は、雨期前にこれを買う以外に方法はございませんし、雨期前に買つた米は絶対大丈夫、こういうように思つておりますが、雨期後におきましては、現地黄変米規格はないのでありますけれども、立会い等におきまして適正であつたかどうかということは、われわれとしても監督不行届きの点を重々おわびしなければならぬと考えておる次第であります。これは肉眼で見ても大体わかるそうでありますが、船の途中で温度が上つて非常にふえる場合等も往々にございますので、その間の事実について、今よく検討を加えておるような次第であります。
  8. 井上良二

    井上委員 どうも一昨年以来外米買付がまつた商社まかせといいますか、それが対外的に相当信用もあり、かつ実力も持つた商社が協定をいたしまして、数社それぞれの地帯に専門の人がおりまして、ときの経済事情や国際的な穀物の動き、そういうものを考えた上で買付をやるということになりますならば、買いあさることもなし、かつまた価格の上においても、品質の上においても、妥当なものが買い入れられるのにかかわらず、外米買付商社をどれもこれも暗躍をせしめて、いたずらに産地の相場を引上け、またその結果が価格において、品質において非常に悪いものをつかまされているということが、配給しております外米が実に千差万別といいますか、実にそのあらゆるものが配給されておるということから考えてもわかりますので、この買付の場合のやり力を、何とかこの際政府としても検討を加える必要がありはせぬかということが一つあります。  それから今のお話伺つてつても、黄変米産地輸出にあたつて適格品であるかどうかということの規格に入つてないというようなことは、およそこれは食糧庁としてはずさんもはなはだしいやり方じやないかと私は思います。もしそういうことが規格に入つてないとするならば、ただちにそれは規格に入れさすようにすべきであつて、そうしてもしそういうものが入つてつた場合は、その損害は当然その産地側において負担をさすことの処置をとるべきであろうと思います。船の中で発生をした病菌と違つて、もともとその積出しの場合にそういうものがあつたからこそそういうことになり得ると考えますので、伝染拡大するということはあつても、病原菌は原米の中にあるわけでありますから、そういう点についてもう少し責任のある相手方に対する措置を、それぞれの関係筋を通して厳重に規定させ、実行せしめる措置をとるべきである。またかくのごときものを買いつけて政府に売り渡した商社に対しても、責任を持たすべきであろうと思いますが、商社には何の責任もないと思うのでありますか、その点も伺いたい。
  9. 東畑四郎

    東畑政府委員 外米買付方法につきましては、井上さんおつしやいましたように、われわれとしまして箱当の欠陥があることは、これは従来たびたび御批判のあつた点であります。昨年来、この買付方法につきまして種々検討をいたしまして、商社の指定、さし値をきめましてそれ以下で買うというような、実はいろいろな手を考えておるのであります。これは需給の問題が違いますので、国によつて非常にうまく行つているところもあります。また国によつて売手市場になつておるものでありますので、なかながうまく行かないというところもございます。しかし昨年よりは本年はよほど買付米国際価格をいたずらに上げるということは避け得られるのではないかと実は考えております。漸次改善して参りたいと考えております。  それから黄変米規格がないという点は、はなはだこれは遺憾な点であります。ビルマ国政府自身厖大外米輸出しておるのであります。その輸出米食糧として不適格であるのが黄変米であれば、黄変米自体検査というものもしてもらうべきであるというので、食糧庁といたしましても、外務省を通じましてたびたび向うと話合いをしておるのであります。本年早々にも、この問題について総領事館から向うと話合いをいたしておるのでありますが、遺憾ながらまだそういう段取りに至らないことははなはだ残念であります。黄変外米につきましては、いろいろビルマに対するクレームを従来ともやつておりまして、昨年中に大体千六百三十万円ばかりのクレームの要求をいたして成立をいたしておるのであります。黄変米そのものクレームはなかなかできないのはまこと残念であります。われわれといたしましても、今回の厖大な量が黄変米として不適格ということでありますので、さらに強くこれは外務省を通じまして交渉いたしたいというように思つております。  それからこれに関する商社問題等につきましては、この輸出につきまして、もちろん食料庁代行人として現地で立ち会つておるのであります。契約上はビルマ国政府食糧庁でございますが、黄変米検査というものはないのでありますけれども配給適格品であるというので従来とも若干これにつきまして立会いをいたしまして、検査等商社がやつておるのであります。それを入れましたことについて、故意または重大な過失があつたかどうかという問題が非常に重要な点であります。この点につきまして、われわれといたしましてもさらによく取調べをいたしておるのでありますが、きようのところ、結果につきまして申し上げることができませんのははなはだ残念でございますが、われわれといたしましても、監督上の責任あるいは国損をいたした点は重々おわびを申し上げる次第であります。
  10. 井上良二

    井上委員 そうすると配給不適品としての黄変米損害は、商社に特別な手落ちがない限りこれはやむを得ぬ。また相手との間にもこれに対する具体的なとりきめがされていないので、泣寝入りにならざるを得ない状態ではないかと思うのです。そうなつて来ますとまつたくとんだものをつかまされたということになつて食糧庁としての責任は非常に重大になつて来ようと思います。そこで、食糧庁としては、一応配給適品としてのものを輸入をした。ところがそれを厚生省食品検査の見地から適当であるかどうかということを検査をした結果、黄変米が出て来た、こういうことになるわけです。そこで厚生省検査をしない限りはこれは一応配給適品として配給される危険性があつたわけです。同時にまた厚生省の方でも、今の御答弁を承つておりますと、抜取り検査をやつておるのであつて輸入米全体に対する検査をやつておるというわけではない、こういうお話です。そうすると相当検査のがれの米がありはしないかということが予想され得るのであります。今お話のように清水名古屋芝浦等倉庫に入りましたものは抜取り検査をしたが、その他のものは検査をしておりますか、いないのですか。この点も明らかにしてもらいたい。  それからこのトン数、約一割に近い一万二千トンというトン数は、これはその袋なら袋のままで計算をしたものでしようか。それとも大体黄変米があるというところから、その一つの山なら山を押えての計算ですか、これは実はこのトン数払下げの上に非常に重要な問題になつて参ります。黄変米として払い下げる場合に、それに接近しておる品質のいいのも一緒に、危険があるということで払下げを多くする、こういうことになるのであります。だからこの一万二千七十一トンというのは、完全な黄変米であるのか、それともこの中の一万トンなら一万トンが黄変米であつて、二千トンが危険な米である。つまり黄変米に接近しておるために、予防的に黄変米として払い下げる対象になるトン数ですか。ここが非常に問題なんです。その点を明らかにしてもらいたい。
  11. 楠本正康

    楠本説明員 現在私の方は、食糧検査食品衛生法に基いて実施いたしております。ところが現在実施しております食品衛生法におきましては、たとい食糧として衛生上不適当なものでありましても輸入できることに相なつております。そこにいささか混乱があるわけでありまして、この点は近く食品衛生法を改正いたしまして、かような混乱のないようにいたしたい考えであります。  次に抜き取り検査とおつしやいましたが、その通りでありまして、私どもの希望といたしましては、理想から申しますれば、もちろん全品検査が理想的なのでありますけれども、これを実施いたしますには厖大な人間を要する関係もありますので、一応現在私どもは常時抜き取り検査をいたしまして、その結果に基きまして全体を考えて行くというやり方をいたしております。従いまして、もちろん御指摘のように検査漏れ食糧もかなりあるものと考えなければならぬわけであります。
  12. 東畑四郎

    東畑政府委員 私が申し上げました数字は、実はごく最近入りましたビルマ米全量であります。一番危険なのはビルマ米でありますので、ビルマ米雨期以後に買つたものの全量を申し上げたのであります。ほかのものは配給いたしましても絶対御心配のないものと確信いたしております。今申し上げましたのは正味の数字でありますけれども、その付近の米もみな一応危険がありますので、そういうものを含めた数字でございます。一万二千七十一トンというのは、一応の見込みであります。その宗にいろいろ議案いたしまして配つておる米もございます。私が申し上げましたのは、危険性のある米であります。こういう米は配給はできない米だというものを含めまして、現物に当つて話をしておるのであります。さらにこれをよく精査いたしまして、このうちでもみそ用に向くもの、蒸溜酒のようなアルコールに向くもの、あるいは工業用アルコールに向くものといろいろ品讐つて蒙出て参ります。いろいろ調整をいたしまして、なるたけ国損を来さないようにいたしますが、やはり一番高く売れるものということになりますとみそ用であります。配給の不適格品でありましても、そういう形現物を一つく当りまして再調整をして払下げて参りたい、実はこう考えております。
  13. 井上良二

    井上委員 これは日本政府の方においても、買付けについて今後商社の選定でありますとか、方法について相当検討されて、従来の轍を踏まないようにするということでありますから、われわれはその実績を見守つておるわけでありますが、この問題は、ここで単に食糧庁の不始末を糾弾してみたつて片づかぬと思います。私どもこれは委員長にお願いをするのでありますが、本委員会といたしまして、外務省に対して、外交折衝かくのごとき重大な事実を指摘いたしまして、黄変米等のような配給不適品輸出について、当該国に対してすみやかに厳重な抗議を申し入れる措置をとり、同時に、今後そういうことがまた起らないように、クレームその他の対策をあわせてとられるよう要求する必要があろうと思いますので、この点に対して委員長考え方を伺いたい。  最後に、最近外米輸入によるいろいろな問題がございますが、特に砕瀞の問題、それから非常な悪臭を放ちます外米の問題、こういうものが政府外米輸入に関する悩みの種になつておりはせぬかと思います。そこで今後外米輸入についての基本的な対策を、もつと根本的に検討してみる必要があろうと考えます。これらについて、政府の方においてもひとつ十分検討されますとともに、価格の問題について何か日本が非常に買いあさつて、いたずらに外米価格をつり上げておるという印象が強くございますので、必要があります場合は外米を一部大麦に振りかえる、そんなに高ければ大麦を入れても食糧にし得るのだからというくらいな考え方を持つて相手お客さんにせずに、こちらがお客さんになるという考え方に立つた買付方法でもつと検討さるべきではないか。何か商社の買いあさりのために、食糧庁はまつたく操縦されておるようなことになり、その結果が国内の消費者に非常に大きな負担をかけておりますから、もつと外米輸入について根本的な対策検討されることを、私は強く要求しておきたいと思います。
  14. 坂田英一

    坂田委員長 委員長に対して井上委員から言われた件につきましては、お諮りの通りにいたしたいと存じます。
  15. 山本幸一

    山本(幸)委員 食糧庁長官にちよつとお尋ねしたいのです。実は今井上さんから相当詳しく御質問がありましたので、ほんの二、三点について質問さしていただきたいと思います。  まず第一に問題なのは、非常に尊い金をかけて食糧輸入されておるわけでありますが、その結果かような病変米輸入されて、国民の負担が二重になつて来るという形をとつておるわけであります。しかも先ほどの長官説明によりましても、昨年にもこうした事実が一回あつて、なお本年再びこうした問題が起きたという点は、私ども非常に遺憾だと思うのであります。そこでまずお尋ね申し上げたいことは、昨年こうした問題がありましたときに、当然事後の処置について対策が考えられなければならぬわけであります。たとえて言うならば、厚生省からは農林省に向つてどういう強い希望あるいは要望を出されたのか。あるいは農林省農林省の立場から、外務省その他の関係のところに、いかなる処置をとられておられるか。こういう点を先にまずお尋ねいたしたいと思うわけであります。
  16. 楠本正康

    楠本説明員 厚生省といたしましては、常にかような事例を発見する都度、総括的に農林省と密接に常時連絡をいたしまして、たとえばどの程度のものならば食糧として衛生上不適当であるかという限界につきましても、常にいろいろ連絡を密にして、お互いに協力してこの仕事に当つておるわけであります。
  17. 東畑四郎

    東畑政府委員 ビルマ米黄変米があるということが発見されましたのが、実は一昨年の十二月の中旬に、神戸と広島に陸揚げされました大烈丸のビルマ米であつたのであります。そこでこれは厚生省からの御注意等もあり、われわれも黄変米というのは危険なものだということがわかりまして、爾後外務省を通じまして、現地でいろいろ調べたのでありますけれどもビルマでは先ほど申し上げましたようになかなかこれの議がない。要するに黄変米というものは肝硬変症を起すということがあつても、ビルマではたいして問題にされていなかつたということで、認識がなかつた。私どもといたしましても、順次外務省を通じましてお話はしておるのでありますが、昨年たまたま米が凶作等で不足いたしましたために、やむを得ず端境期対策として雨期以後の米を買わざるを得なかつたので、また同じ問題を繰返したということはまことに遺憾であります。たびたびお話しておるのでありますが、本年も一月十二日に食糧庁から外務省を通しまして、現地でいろいろお話はしていただいておるのでありますが、まだ結果は出て参つておりません。
  18. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。今長官説明によると、厚生省から注意を受けて初めてわかつたという御答弁であつたのでありますが、これは注意を受けなければわからなかつたのですか。
  19. 東畑四郎

    東畑政府委員 二十六年の十二月の中旬の大烈丸で黄変米の混入があるとうことが、日本としては初めてわかつた、こういうわけであります。
  20. 山本幸一

    山本(幸)委員 先ほどの御説明によると、一万二千トンの黄変米というお話でありますが、これは全体としてどのくらいの損害なのか。あるいはまたこの黄変米が人体に与える影響がどんな程度のものであるか。なお先ほどの長官説明によりますと、昨年の黄変米処置については、五万一千三百円の米を三万百四十五円二十八銭で他の用途へ処分をした、今回のものについてはまだ研究中だというお話でありますが、一応専門家の食糧庁でありますので、ことさらに研究されなくても、大体次の用途についてはおわかり願えると思うのであります。従つてその用途は主としてどういう方面にまわされ、しかもその差引の損害はどの程度になるのかという点の御答弁を伺いたいと思います。
  21. 東畑四郎

    東畑政府委員 この黄変米は、総合配給用価格でありますと五万二千九百九十円ということになるのでありますが、この米の現物に当つた上でなければ、何に使うかということはなかなかきまりませんが、かりに昨年と同じような形で処分をいたすということにいたしますと、先ほど申し上げましたように三万百四十五円二十八銭ということになりますので、一万二千七十一トンを全部これで処分をいたすという仮定をいたしますと、二億七千五百七十六万円の国損を生ずるのであります。これは仮定の数字であります。
  22. 山本幸一

    山本(幸)委員 今度の問題の重要な点は、先ほど井上さんから質問がありましたが、商社買付であるところにあると思います。そこで私どもの伝え聞くところによりますと、たとえて言うと、日綿実業は三人、第一物産は一名、東西交易は一名、合せて五名の商社の駐在員が現地におられるそうです。ところが一方ビルマ政府側には、政府米の輸出業者がおられて、これらの諸君が量や質の内容を調べたり船積みをする建前をとつておるということを聞いておるのです。そこでそういう作業に対して商社の駐在員が立会うということでありますが、何でもいわゆるGG貿易以外の普通民貿と称するものとの関係において、ことさらに向うの政府輸出業者とこちらの商社の駐在員との間において暗い取引が行われて、日本向けのいい米が韓国あるいはアフリカに送られて、悪くて高い米にすりかえられたものが日本に送られておる。、こういう不正行為がたびたびあるということを伺つておるわけですが、そういう点について御調査なさつたかどうか、お尋ねいたします。
  23. 東畑四郎

    東畑政府委員 ビルマ米輸出につきましては二種類ございまして、先ほどお話しましたGGベースのものと国際入札のものとがございます。GGベースのものでありますと、政府政府の貿易でありますので、現地総領事——これは食糧庁の代理人ですが、この総領事とSAMBという局の局長とが契約をする。商社食糧庁の代理人という形でございますので、その間にビルマ輸出商というものは関係をいたしておりません。検査は公正検定局がやりまして、それに商社が立会うということであります。それから国際入札の米でありますと、ビルマ政府ビルマ人でないと入札に参加を許しませんので、そこでビルマ輸出商が入札に参加しまして、その米を日本の三社が買う。食糧庁はこれからまた買うということになつております。その間に向うの商社日本輸入商社との間に不正があるという事実につきましては、私どもの方といたしましてはいろいろ検討しておるのであります。まだそういう事実があるということは今のところございません。
  24. 山本幸一

    山本(幸)委員 今申し上げたことは、相当各地で調べておることですから、この際ひとつ長官の方でもすみやかに御調査をいただきたいと思います。  なおこれに関連して、現在日本政府が指定しております商社は三社でありますが、これはどんな事情であるかわかりませんけれども、結局三商社というようなきわめて限られた商社を指定することになると、その商社の行為が独占的になりがちである。従つて現地におけるさような取引につきましても、安易な考え方で仕事をやられるのではないかということも感ぜられるわけです。私どもはこういう機会に、他にも適当な商社があつた場合には、これは指定をふやして、まじめに商業行為が現地で行われるような、早く言えば、政府食糧行政に協力できるような措置をお考えになつたらどうかと思いますが、その点についての御意見を承りたいと思います。
  25. 松浦東介

    ○松浦政府委員 外米買付商社の指定につきましては、数をふやすというような御意見も多少あるようでございますけれども、むしろ合理的な買上げその他の関係を考えます場合は、商社をあまりふやすことは適切ではない、こういう意見の方が強いようでございます。但し、今回問題が起りましたビルマ米買付商社につきましては、十分調査をいたしまして、不正の点あるいは手ぬかりの点等、責任の所在をよく糾明いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
  26. 山本幸一

    山本(幸)委員 ただいまの政務次官の御答弁ではちよつと私どもも了解しかねるのです。もちろん考え方によつては、商社をいたずらにふやすことが、必ずしも合理的とは私どもも考えておりません。しかしこの三商社以外にもつと適任な商社があつた場合には、私は話は別だと思う。そこで私はそういう見地に立つて、今の次官の御答弁には了解しかねるのですが、しかしそのことをとやかくつてもしかたがありませんので、もう一点お伺いいたしたいのですが、一体商社の指定の要件はどういうものであるか、その点を伺いたいと思います。
  27. 東畑四郎

    東畑政府委員 これは国によつて非常に違つておりますが、国別に私の方は商社の指定をいたしております。実績等をまず非常に重要視いたしまして、実績主義が原則であります。それから実績のない場合におきましても、世界を通じまして食糧輸入が相当実績として多い商社があります。そういうものは一国を限つて認めるというので認めた例もございます。原則としては実績主義でやつておる次第であります。
  28. 山本幸一

    山本(幸)委員 商社の歴史的な状況についてはわかつたのですが、この際もう一つお伺いしたいのです。何でも私どもの聞くところによれば、日本政府買付する場合の現地における検査機構の確立をしておらぬという話です。それからそれ以外に、他の国では国際検定人というものを使用しておるという話ですが、日本政府はそれを使用しておらない。なぜそういうものを使用をせられないのですか。もし国際検定人を使用せられるならば、無責任なさような黄変米等輸入について相当阻止できるのではないか、こういうことも考えられますし、さらにまた国際検定人に対してこちら側の希望も主張できるのではないかと考えております。どうも今までの米の輸入の状況を見てみますと、ちようど現在の自由党政府の腰砕け外交が、やはり輸入食糧にも影響をいたしておりまして、頭を下げて高い米でも買わしていただくというようなパンパン的な商法をなさつておるようにうかがわれるわけであります。私どもは、先ほど井上さんの言われたように、さような頭を下げて高いものを買うような、パンパン的な商法はおやめになつて、やはり毅然たる態度で検査機構の確立とか、国際検定人を使用するという措置を講じていただきたいのですが、その点についての御所見を伺いたい。
  29. 東畑四郎

    東畑政府委員 ビルマ米ビルマ自身が実は国営検査をいたしておりますので、食糧庁といたしましても、外交上の問題等も考えまして、受取り検査日本でやつております。現地検査官等を派遣して検査するということはいたしておりません。  それから国際検定人は、実はほかの国におきましては信用のある者を使つておるのであります。これもビルマ国営検査をいたしておりますので、今まで実は使わなかつたのであります。こういう点等にかんがみまして、外交上の問題もありますので、外務省と連絡をいたしましてやりたいと思います。要は、われわれがいたずらに外米を買いあさるということをやめまして、合理的な輸入をはかることが根本であるように実は考える次第であります。
  30. 山本幸一

    山本(幸)委員 もう一、二点伺います。先ほど私伺つたのですが、実は現地商社の健在員が、いい米と悪い米とをすりかえて日本に送るということでございます。これは新聞ですから責任は持てないでしようが、けさの朝日新聞の東京版によりますと、相当具体的に数字まで列挙いたしております。これによれば、現に二千トンがある国にまわされてしまつたということをはつきり指摘をいたしております。そのほかに駐在員と総領事館農林省側駐在員と、さらにビルマ側の商社との間において常に取引が行われて、相当の数量がすりかえられておるという点を明らかに、しかも責任を持つたような談話で発表いたしておるわけですが、長官はそういうことはないという御確信があるのでしようか。
  31. 東畑四郎

    東畑政府委員 今問題になりました黄変米は、これは先ほど申し上げましたように、政府政府の貿易でありますので、米をすりかえたということは今回の場合はないと思います。国際入札の米につきましては、これは商社がやりますので、そういうものは十分監督が行かないのであります。朝日新聞の記事はけさ実は読んだのであります。そういう事実につきましては十分調査をいたします。現地農林省の者も来ておりますから、十分調査の上で善処したい、こういうように考えます。
  32. 山本幸一

    山本(幸)委員 私にも、GGベースである限りは技術的にはできないように考えられます。しかし御説のように、GGベースのほかにいわゆる民貿のものが同じ時期にあつたということを聞いておるわけです。そこで民貿のものとGGベースのものとの取扱いについては、どういう形でもつて現地で現品を扱つておるのか、そういう点をちよつと伺いたいと思うのです。
  33. 東畑四郎

    東畑政府委員 GGのものは、これは政府政府との貿易でありますので、立会人は商社が立ち会いますけれども、向うの検定局が検査したものを直接買うのであります。商社はあくまで代理人であります。民貿のものでありますと、ビルマ商社が国際入札に参加して払い下げたものを、さらに商社から日本の三社が買つておるという点が非常に違つて来ると思います。
  34. 山本幸一

    山本(幸)委員 大体私の質問しようとした点が伺えたわけですが、私はさらに先ほど申し上げたように、長官説明にもございましたことく、今度の責任はあげて政府にあるというお話であります。なるほど責任政府にあろうけれども、しかし道義上の責任はやはり商社側にもあると思う。従つて政府は、この際商社に対して厳重な勧告をせられるとともに、先ほど申し上げたように、他に適当な商社がある場合にはその点についても御検討を願うことと、それからもう一つは、検査機構の確立やあるいは国際検定人の使用をすみやかに行われるような措置を講じられること、さらに井上さんのおつしやつたように、外務省を通じそれぞれの関係機関を通じて、外交的にもつと強い措置を考えてもらわなければならぬと私どもは思うわけです。そういう点を強く希望いたしまして、時間もありませんので私の質問を打切ります。
  35. 高瀬傳

    ○高瀬委員 先ほどから井上君あるいは山本君から詳細な質問がありまして、私から蛇足を加えるのもどうかと思いますが、山本君が先ほど二、三指摘しました朝日新聞の記事であります。「臭いビルマ米買付が原因」しかも元ビルマ南機関長鈴木敬司君がその点を指摘しておるのであります。「もうけ本位の商社ビルマ人さえあきれる」こういうことになりますと、私は日本食糧が不足しており、従つて外米輸入しておるときに、消費者の立場から非常にこれは問題であろうと思うのであります。鈴木君はどういう観点からこれを言われたかわかりませんが、外米をときどき国民の食糧として配給しておる。従つて消費者の立場でこの記事を見ますと、非常に問題な点が多々ございます。しかしながら概にこの鈴木敬司君の言われたことを、私は公平な立場から、うのみにできない点がある。たとえば黄変米ビルマでは鶏とか豚のえさであるという記事があります。もしこの黄変米が鶏や豚のえさだということになりますと——初めから黄変米というものはビルマにはあると思う。東畑食糧庁長官の言われたように、黄変米ビルマに存在するということは確かでありましよう。しかしてビルマ人でさえ食わない、鶏とか豚のえさだという黄変米の混入しておる米を、わが国の政府なり商社なりを通して、GGベースで買う、あるいは国際入札で買う、それを国民に配給するということになると、私は消費者の立場から、国会議員として大いにこの点をはつきりとしたい。実は政府に妙な点からお聞きしますが、その点を一応伺いたいと思います。
  36. 東畑四郎

    東畑政府委員 黄変米というものがビルマ米にあることは事実でございますが、ビルマでこれが輸出検査等においても問題にされてないというのは、私実は深い事情はよく存じません。いずれにしましても、両期にかびがはえるのがだんだん黄色種になつて来るのであります。豚とか鶏のえさになるということは、私実はそういう事実は知りません。ビルマ人がこれをほとんど問題にしてないから検定してないんだ、こういうように外務省を通して聞いております。肝硬変を起すといいましても、それだけを食うというのではないと思います。影響度いかんと思います。この点につきましては、私責任を持つてお答えするわけには行かないのであります。
  37. 高瀬傳

    ○高瀬委員 先ほど山本君が言われましたが、値段が安いからいい米が入つて来ないというようなことを鈴木君は言つておる。私はしろうとでありますが、政府がこのビルマ米を購入しますときに、国際入札と政府直接でやる、しかも国際入札で取引をした値段は一トン当り七万六千円、政府直接が五万五千円、この値段の開きと、もう一つ、どうしてこういうふうに政府直接で取引をする方法と、会社にやらせる方法とあるかという点、それから会社が一トン七万七千円で国際入札で買つた一万五千トンは、時期が適当であつたためかどうか、悪い点がないということを言つておりますが、政府が五万五千円で買つた四万トンはよくない、第二回目がよくない、こういうようになつておるようでありますが、これは時期が悪いということになるか、この点伺いたい。
  38. 東畑四郎

    東畑政府委員 ビルマ米政府貿易と民貿とございますが、これは実は、全部ビルマ政府が決定をいたすのであります。今回は政府政府の貿易でやる、今回は民貿にするということは、ビルマ政府輸出決定権があるのであります。日本はそれに対して折衝はいたしますけれどもビルマの決定権になるのであります。ただ政府政府の貿易のものは実は非常に価格が安いのであります。政府政府貿易で買うこと自体が、日本としては外貨その他の点から非常に有利になる、その点で安いのであります。民貿でありますとどうしても高い米が入る。それから品質の点になりますと、民貿のものがよくて、政府政府の貿易のものが悪いということではございませんで、規格は国際上ちやんとはつきりいたしております。その規格に合つたものを実は買うのであります。その規格現物違つております場合には、食糧庁としては商社に対して損害賠償の要求ができる。こういうことでありますが、遺憾ながら黄変というものについての検査をいたしておりませんので、それはビルマ検査からは出て来ない問題になつておるのであります。四万トンの問題は、これは雨期以後に割当があつて買つた米であります。雨期以後はどうしても青かびがはえやすいのであります。それでこういう問題が起つたのであります。買付時期が悪いというのは、雨期買つた米が悪い。それがたまたまこの四万トンのGGのものである、こういう形であります。
  39. 高瀬傳

    ○高瀬委員 そういたしますと、ビルマに関する限りは、雨期以後は政府としては買わぬという御方針をとられますか、その点をひとつ伺いたい。
  40. 東畑四郎

    東畑政府委員 雨期以後の米は買うとこういう問題を起すので、昨年も買いたくなかつたのでありますが、昨年は食糧需給が苦しかつたために買つたのが、結果として悪かつたのであります。今年は今までのところ実は九万トンくらいの割当が参つております。従いまして、雨期以後そうたくさんのものを買う必要がないのではないかと思つておるのであります。雨期を過ぎた米はなるべく買わないようにいたしたい、こういうことであります。
  41. 高瀬傳

    ○高瀬委員 なお私は非常に疑問を持つのは、よく外米は臭いとかあるいは砕けているとかいわれます。なるほど外米が砕けているのは品質が悪いから、いわゆる砕米を買つているから砕けているの、だろうと私は思いますけれども、多少欠点はあつてもそれほど悪くない米を輸入したと仮定します。そうすると日本の港に着いてから配給に至るまでの過程に、相当欠損も起きるということがあると思う。そういう保管して配給するまでの時期というものは、一体どんなふうになつていますか、たとえば輸入しましてから三月も四月も外米配給しないでほつたらかしておいて、いざ配給しようと思つたら黄変が非常に出ているというようなものもあるかもしれぬ。ですから、私は日本における保管方法あるいは保管時期ということが、品質を論ずる場合に問題だろうと思う。従つてそういう点についての日本政府外米に対する処置をちよつと伺いたい。
  42. 東畑四郎

    東畑政府委員 雨期を過ぎますとそういう問題を起しますので、外米として臭みのありますのは、実は船の中でむれまして、麻袋等の油のしみ込んでいるにおいが米につくというのが原因のようであります。輸送途中といいますか、船の中でむれた場合に、麻袋のにおいがしみ込むのが臭い。これは決して黄変米ではございません。最近東京等で問題になつたのも決して黄変米ではございませんので、その点は若干誤解もあるようであります。外米が着きましてから以後は、そう長期の保管はいたしておりません。順次これは配給にまわしております。たまたま黄変的なもの、今回のビルマ米のごときものになりますと、若干これを精査いたしたりするので、やむなく相当長期の保管をしておりますが、原則としては、港に着きましたものをすぐ検査をし、消毒をいたしまして、配給をいたしております。まず一箇月ないし二箇月程度、こういうように考えております。
  43. 高瀬傳

    ○高瀬委員 それではこの黄変米というものが出ているということは、初めから黄変米を買つたから、黄変米ということなんでありますね。
  44. 東畑四郎

    東畑政府委員 いや、黄変米であるということを、故意または重大な過失として知つていたか知らぬかということが、実は問題でありまして、初めから知つてつたとは決して私の方も思つておりません。重大な過失があり、故意があつたかどうか、こういう問題だと思うのです。ビルマから黄変米の黴菌の原因があるということは事実であります。こういうように考えざるを得ないと思います。
  45. 高瀬傳

    ○高瀬委員 そうしますと、鶏や豚のえさだということを初めから知つて買つて、われわれ幾ら戦争に負けたからといつて、こういうものを食わせるということは、はなはだふに落ちないことになつて来るのでありますが、どうもこれは相当公平な立場から、こういうことを鈴木という人が言つているかどうか私はわからないのですけれども、その点について一点の疑問を持つて私は伺つているのですが、ひとつ農林当局においても、この黄変米は豚や鶏のえさだということを言われたのでは、政府としての権威にも関すると思いますから、こういう点は厳重にお取調べの上、われわれ委員会に御報告を願いたい。別に私はこの鈴木という機関長をここへ呼んで聞く必要もないと思いますけれども、鶏や豚のえさだというようなことを断言しておりますから、事実だとすると、われわれは相当重大なる関心を持つわけです。
  46. 坂田英一

    坂田委員長 川俣君。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 時間もありませんから、簡単に質問いたしたいと思うのですが、今まで聞いておりますと、商社責任でなくて、政府責任だ、こういうことですが、政府責任だという理由を明らかにしていただきたいために質問いたしたいのであります。これは初めから黄変米ということを、無意識のうちに商社のものは買つたのであるから、その責任政府が負わなければならないという意味の政府責任であるかのごとき御説明であります。というのは、厚生省からの注意があつて初めてわかつたのであるから、政府が当然責任を負わなければならぬのであつて商社責任でない、こういう意味の政府責任だ、こういう意味か。または、こういうべらぼうな米を外国から買つて来て、内地米を非常に安く買つた、その責任政府責任だ、こういうふうにもとれるのでありますが、いずれの意味であるか。
  48. 東畑四郎

    東畑政府委員 黄変米責任でありますけれども商社自体が立ち会つておりますが、その立ち会つた場合に、はだして善良な管理者としての注意をして立ち会つたかどうかという問題を、今いろいろ調べております。これが非常に故意、過失であれば、これは当然商社自体責任であります。それをまた監督している食糧庁といたしましても責任があるわけであります。そういう点は実はまだ調査中でありまして、責任がないということを申し上げる段階ではないのであります。初から知つてつたということは、常識的に考えられないのであります。その間買付の立会いをした場合にどういう程度のことをしておつたかということを今調べているのであります。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 次に、これは国際入札で買われたものは、政府の代行手数料というような形において払われているのか、あるいはいわゆる民貿的な取引であるから損得は商社が負う、こういう意味で取引されているのでありますか。一体手数料は政府がどれくらい払つているのか、代行手数料として払つているのか、または民貿的な意味において損得は商社が負う、こういう意味で手数料が払われていないのかどうか。
  50. 東畑四郎

    東畑政府委員 その手数料を幾ら払つておりますか、今ちよつと記憶いたしておりませんので、まく調べましてその間の事情はお答え申し上げます。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 私は別に手数料の金額を聞いているのではなくて、いわゆる代手数料というような形で払つているのか、あるいは民貿的な意味において損得は商社が負う、こういう取引をしているのか、どちらか、この点を聞いているのです。手数料を何十何円払つているのかという意味じやない。手数料の支払い方がどんな方法で払われているか、いわゆる民貿的なものか、それとも政府のほんとうの代行手数料的なものであるか、代行手数料であれば、何分ということであろうと思う、その点をお聞きしております。
  52. 東畑四郎

    東畑政府委員 政府貿易でありますと、所有権は、政府が買つたときから移るわけであります。代金の支払いはBしが到達してからやる、現物の引渡しは輸入港で受取る、こういう形でずつと流れているのであります。所有権は当初から政府の所有権、それを代行して参るということになりますが、金銭の支払いは、BLが航空便で到着いたしましたときに食糧庁が支払います。そのBLのときに手数料を含めたものの金銭を支払うということになる。所有権が移る場合と、代金の支払いと、現物の引渡しの間に若干時間的のずれがございます。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 商社政府との契約はどんな契約になつておりますか。
  54. 東畑四郎

    東畑政府委員 契約は、食糧庁代理人の現地総領事と、向うの農業市場局長というものがやつております。商社食糧庁代行人という形で、代行契約というものが別にありまして、それでいろいろなことをやつおります。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、国際入札によつてつたものも、政府の買つたものも同じような形式になりますか。その点がちよつと不明瞭ですが……。
  56. 東畑四郎

    東畑政府委員 国際入札のものでありますと、向うのビルマ人でないと国際入札に参加できません。日本商社は国際入札に参加いたしておりませんので、ビルマ商社が落したものを、ビルマ商社輸入三社とが契約をしている。これは単なる民間貿易であります。食糧庁は、BLが到着したときにそれを買つている。そのときに初めて所有権が移る。GGだと、初めから所有権が出る。そこに若干の法律的な差が出て来ておるという以外に、価格の点については大きな差はございません。
  57. 川俣清音

    ○川俣委員 この点はもつと続けて尋ねたいのですが、時間がありませんから、次に移ります。  問題は赤字補填です。これは政府責任になりますか、それとも食糧特別会計が背負うのですか。もしも食管が赤字を負うということになりますと、消費者が負うことになる。政府責任ということになると、政府が負わなければならない。食管の責任ということになると、これは消費者が負うことになる。これは非常に重大だと思うのですが……。
  58. 東畑四郎

    東畑政府委員 先ほど申し上げました仮定の二億七千万円をどうするかという問題につきましては、政府としても方針をきめておる段階でございます。
  59. 川俣清音

    ○川俣委員 これは松浦政務次官にお答え願いたい。
  60. 松浦東介

    ○松浦政府委員 今度の問題で、食管会計から大体二億七千万円余の赤字を予定せられておるわけでありますが、その赤字の処分につきましては、ただいま食糧庁長官から申し上げましたように、まだ申し上げる段階でございません。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 これは非常に問題なのでして、今朝日新聞の記事を高瀬君が指摘され、あるいは山本君から指摘されておる。これがもしも消費者が負わなければならぬということになると、事態が非常に重大な段階に至ると思うのであります。これ以上この点について質問はいたしませんが、重大な結果が来るということだけを警告いたしておきたいと思います。  さらにお尋ねいたしたいのは、ビルマ米に限らず、外米を買われて、これを原材料として売り払う場合に、大体輸入価格で売り払われておられるようでありますが、外米を売り払う場合に、一般消費者に売り払う場合と、原材料として売り払う場合と、二通り価格があるようです。問題は原材料に払い下げる場合に、輸入価格で払い下げるといたしますれば、政府自体がやみ価格で売るような結果になる。というのは、一般の消費者には、そういう非常に高い外米買つて来て、安く売らなければならぬ。内地米よりもまずいから、高く売れないのは当然でありますが、原材料として払い下げる場合は、大体輸入価格で払い下げておられる。そうすると、非常に高い価格になる。高い価格でもほしいということで、売り払つておられるようでありますが、それよりもむしろ内地米をやみで買つた方がいいということで、実は原材料の外米を買うのは、表面の形式だけで、実際は内地米の横流しの合理化のために外米を買うというようなことが、往々行われておるようであります。従つて政府がやみを助長しておるようなことになると思うのですが、この点についての御見解を伺いたい。
  62. 東畑四郎

    東畑政府委員 それは輸入砕米の問題だと思います。大体計画といたしまして、やむなく四万トン程度砕米を入れます計画でございます。そのうちでただいま申されました総合配給にいたしましたものが、大体一万トン程度であります。これはシフ百五十ドルのものを、ドメスチツク・シフといいますか、百一ドルくらいに予定いたしております。差額が四十九ドル、これは補給金がつくのであります。今おつしやいました原材料用の砕米は、やみ価格で決して売つておるわけではございませんが、百一ドルに対しまして、百二十二ドルを予定しております。差額二十ハドルが、やはり安くなつておる。シフは一応百五十ドルに対して百二十二ドルですから、二十ハドル程度補給金が出ておるのでありまして、決してやみで流しておる価格ではございません。
  63. 川俣清音

    ○川俣委員 私がやみと申し上げたことについて誤解が生じておるようですが、その前にひとつ問題を糾明しておかなければならぬのは、今までの普通の払下げは砕米に限られておつたようですが、最近黄変米が出たり、いろいろな砕米が出ましたために、必ずしも砕米ばかりではないようですが、この点は長官におわかりにならぬと思いますから、これ以上お尋ねしませんが、それは砕米ばかりではないということなんです。それも含めて、私がやみだと言つたのは、内地米の砕米といわゆる輸入砕米との間に大きな開きがある。あなた方が非常に検査を厳重にされました結果、農村に砕米が相当多く出て来ておる。この砕米の値上げがどこから出て来るかというと、こういう外米の砕米が比較的高い価格で払い下げられるものでありますから、内地の砕米の価格を引上げて、この結果になつておる。これがやみを助長しておる、こういうふうに申し上げておる。この砕米値上りの結果として、あなた方が供出を勧説されましても、なかなかうまく行かない点は、むしろ不合格米いわゆる砕米にして処分する方が、割合に得だというような結果も、近県においては出て来るわけであります。大消費県の近県からは、こうした問題も出て来るので、この点をお伺しておきます。
  64. 東畑四郎

    東畑政府委員 私ちよつと取違えておつたのでありますが、原材料用の外米の砕米の払下げ価格が、内地米の砕米のやみ価格を上げるということであれば、これはもう一ぺん考えなければならぬ思います。われわれのドメスチツク・シフの算定は、いつも内地米を基準にして算定しております。その闇米にもいろいろ種類がありますから、もう少しよく検討いたしたいと思います。
  65. 坂田英一

    坂田委員長 これにて一時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  66. 野原正勝

    ○野原委員長代理 午前中に引続き会議を開きます。  午前中の委員会におけるビルマより輸入黄変米に関する件につきまして、井上君より発言を求められております。これを許します。井上良二君。
  67. 井上良二

    井上委員 午前中の委員会におきまして、ビルマより輸入せられた黄変米に関して、政府に対して必要な対策を立て、実行してもらうように本委員会として要請をいたしたいと思います。要請案文を読んでみます。    ビルマより輸入せられた黄変米に関する件   昨年末以降わが国に輸入しつつある日本国とビルマ国との政府契約による米穀約一万二千トンについて、人体に重大な危険を及ぼすおそれのある黄変米が発見せられ、保健上、経済上憂慮すべき事態を惹起しつつあることは、真に遺憾とするところである。   わが国の外米買付方法においても相当の欠陥の存したことは否定しがたいところであつて、これを是正すべきことはもちろんであるが、今回多量に輸入せられた黄変米のごときものを検査規格中に加えおらざる輸出国側においても重大責任の存することは疑いないところである。   よつて政府は黄変輸入米に対する貿易上のクレームを付するは当然なるも、さらに正規の外交機関を通じて遅滞なく本件に関する厳重折衝を行い、今後かかる不祥事を根絶するよう、ビルマ国政府の善処を要請すべきである。   右決議する。    昭和二十七年二月十九日            農林委員会  これを総理大臣、外務大臣、農林大臣あてに出したいと考えます。提案いたします。
  68. 野原正勝

    ○野原委員長代理 ただいま井上良二君より御提案の、ビルマより輸入せられたる黄変米に関する決議案に対しまして御意見はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 野原正勝

    ○野原委員長代理 別に御意見もないようであります。満場一致の決議といたしたいと思います。  なお本件の議長に対する報告並びに関係国務大臣に対する参考送付方につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますので、御了承願います。
  70. 野原正勝

    ○野原委員長代理 引続きこれより肥料問題につきまして、昨日に引続き調査を進めます。質疑を許します。井上良二君。
  71. 井上良二

    井上委員 昨日事務当局に対する質疑を保留してありましたので、昨日に引続いて質疑を行いたいと思います。この際私は特に通産省当局に対して申し上げおきたい点は、われわれは肥料問題を単なる農民の利己的な立場から、肥料価格の引上げだけを問題にして論議をしておるのじやありません。肥料がわが国の化学工業として、また今後これが従来の綿紡、繊維製品等による輸出の最近の悪化にかんがみて、東南アジアを得意先とする肥料の輸出が非常に重大な段階に来ておりますので、肥料産業は、国内の食糧増産の面と、農家経済の安定の面と、さらに進んで外貨獲得による国際収支の改善の面からも、肥料を輸出産業として保護育成して行かなければならぬという重大な段階に当面して来ておりますので、その立場から、今後この問題に対して、政府がどう取組んでこの問題を解決しようとするがということが、われわれの論議の中心課題でございます。これからお伺いする点も、そういう基本的な一つの立場に立ちましてこの問題を掘り下げて、いろいろ具体的に質疑をいたしたいと考えております。  そこで、昨日も質疑をいたしました通り、問題は、肥料を国際競争に耐え得る生産にまで高める、つまり国際価格競争に耐え得るだけの国内肥料の生産の合理化をどうしてはかるかということが、当面の一番大きな問題でございます。そこでまず本年の肥料生産に関する需給の見通しでございますが、特にこの生産見込みについて、本肥料年度は、硫安で約二百万トン余りを目標にしておるようでございますが、一月末までの生産実績と、二月から七月に至る生産の計画について、具体的に御説明を願いたい。  さらに伺いたい点は、肥料の今までの実績と、これからの生産の見込みに  ついてでございますが、その場合、電解法による場合はどのくらいになるか、ガス法の場合はどうなるかという数字を明らかにしてもらいたい。現行の操業度で、生産能力から計算しますと、電解法では約四十五万トン、ガス法で約百六十万トンが予定されておるのじやないかと思いますが、これらの点について、一応生産の見込みを、ガス法がどう、電解法がどうというふうに御説明をいただきたいと思います。
  72. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。  御質問の根本の方針につきましては、通産省としても化学肥料工業を輸出工業として、特に経済的に緊密でございます東南亜市場を、日本輸出市場として今日以後確保して参りたいと考えておるのでございます。この点につきましては、井上委員の御趣旨に沿いたいと考えております。  御質問の中にございました数字の問題について申し上げたいと思います。最初に硫安の生産状況を申し上げます。本年の十二月までの実績は八十二万七千トンでございます。一月以降の、いわゆる本肥料年度の七月末までの計画をそのまま実現するものと考えまして、百十三万四千トンの生産見込みを立てております。従いまして、本肥料年度の生産は百九十六万一千トンに相なる見込みでございます。一月の生産実績は、ただいま申し上げました数字の中では十四万一千トンの計画を持つておりますが、最終的の確実な数字は多少異なるかもしれませんが、一万トン増産いたしております。一月は十四万一千トンが十五万一千トンに相なると思います。従いまして、最終の合計実績に対する見込みは、百九十七万一千トン程度に相なると考えます。  次に、硫安の電解法とガス法との操業度と申しますか、われわれ稼働率と申しておりまするが、電解法が六〇・四%、ガス法が八三・六%という操業度でございます。これが年間を通じての生産計画上におきます割合でございます。従いまして、今後におきます生産の振合いもこの原則に従つてつて行きたいと思います。なお数字の点につきましての御答弁はその程度にいたしまして、先ほど最初に井上委員の御質問の基本の問題につきまして、通産省の基本的な考えを申し上げたいと思います。硫安工業は、今日二百万トン前後の生産を維持する段階になつておりますが、通産省といたしましては、化学工業は国内資源にほとんど全部を依存しておる産業でございますので、政策上これが所要とする電力その他資源の面について、全力を上げて今日の操業度に到達いたしたのでありますが、今後におきます国際競争からいたしまして、特に西欧のドイツあるいまこれの周」辺にこざします化学工業国の東南亜への進出に対しまして、適当な措置をとつて参るというのが主眼でございます。これを数字的に、やや概略的に基本の流れを申し上げますと、欧州硫安のFOB価格は大体四十五ドル見当とにらんでおります。欧州から東南亜への船運賃は大体ハドルから十ドルの辺でございます。この船運賃の低下の傾向はすでに昨年末終りまして、やや上昇の傾向かと思いまするが、安全弁をとりまして、当時の船運賃の最悪のときの数字を申し上げます。欧州硫安の東南亜に対します価格は、FOB四十五ドルに対して船運賃がハドルないし十ドルでありますので、CIF五十三ドルないし五十五ドルと想定いたします。わが国の硫安の現状でございまするが、わが国から東南亜への船運賃は、これは遠い所と近い所とございますが、大体三ドルから五ドル、わが国硫安の東南アジアヘのCIFは大体六十八ドル見当くらいににらんで考えておるのでありますが、最近の海外からの引合いを見ますと、大体六十三ドルから六十五ドルの線に来ております。それ以上のものもございますが、大体その見当を確実とにらんで申し上げたのでございます。この状況から判断いたしまして、この両者の東南亜市場、たとえばインド市場、あるいはパキスタン市場、これは西から来るも日本から参りますも、大体運賃が似通つたところになる地域でございますので、どちらかと申せば、競争が一番激甚だと考えられるのでございます。しかしこれに反しまして、韓国、台湾、フイリピン、こういうところは運賃の関係からいたしますと、日本側が有利でございます。そういう観点からいたしまして、両者のCIFにおきます価格上の差を十三ドルないし十五ドル見当、こうにらんでみればよいのじやないか。この地域的な差異を考え、同時に先ほど申しました運賃のハドルないし十ドルは、どちらかと申せば、普通の運賃から見れば半額程度低いといわれておるのでございまして、そういう情勢から考えますと、硫安工業のコスト引下げの具体的な目標を大体十ドル程度に置きますれば、東南亜に対する硫安の市場確保ができるのじやなかろうかと思うのであります。  この目標をいかにして実現するかということになりまするが、もちろん化学肥料工業だけの合理化というような見地では、この目標を果し切れませんので、硫安工業の基礎的な資源でございます石炭あるいは電力につきましての合理化、あるいは開発、増強に努力をいたさねばならぬかと思うのであります。通産省のわれわれの考え方からいたしますると、電源開発に伴います電解法の操業度を——先ほど申しましたように、今日の電解法は六〇%でございますので、これをさらに引上げることによりまして、数ドルの引下げをいたす。わが国の硫安の主要の地位を占めますコークス法につきましては、石炭工業の合理化というようなことを考えねばならぬのでございまして、この問題につきましては、通産省として石炭開発、特に縦坑開発計画を取上げて、大幅のコスト引下げの対策といたしておるのであります。この対策の結果これまた数ドル下げられる。同情に化学肥料工業自体の合理化もいたさねばならぬのでございまして、コークス法において割高といわれております石炭の、特に粉炭の完全ガス化というような——最近外国におきまして最も進んだ発明に属しまして、コツパース法と申しまして、西ドイツではすでに実施いたしておるものでございますが、わが国の石炭、特に下級炭を利用しております肥料工場に技術の導入をいたしたいと考えるのでございます。もちろんこういつた大きな技術合理化のほかにいろいろの合羅もございますが、これによりまして数ドル、それから硫安工業の総合的な経営化、たとえば有機合成化学工業を併行して行うというような、そういつたいろいろの問題もございますが、これらの問題においてもなお合理化の余地がある。これらのことを目標として考えますると、先ほど申しました東南亜市場におきます十ドル程度の価格上の差異というものは、これを補つてなお余りある状況になると考えるのであります。これはもとより長い目で見ました硫安工業の長期合理化計画でございまして、現在の輸出の状況に対応して、できるだけ即効的な対策ということですでに考え、実施に移しておるものも二、三あるのでございます。これを補足的に説明さしていただきたいと思います。  一つには、本年の一月優先外貨の制度を適用いたしまして、輸出上の不利をカバーするように努めております。優先外貨の制度はドル地域に対します関係で認められたものでありますが、最高一五%のフリー・ダラーを認めております。硫安工業につきましてもこの一五%を適用して、輸出上の有利性を確保するよう努力いたしておるのでございます。なおバーターの方法によりまして、できるだけ輸出に有利になるような措置も考えております。最近問題になつておりますカリ肥料対策の一環として、金利の引下げということを考えておりますが、この金利の引下げはもちろん早急の対策でありますと同時に、長い目で見ました肥料工業の基本的な合理化政策の一環でもございます。なお安い外国炭の輸入ということにつきましても、外貨の割当等において善処するよう努力いたしております。大体以上であります。
  73. 井上良二

    井上委員 この際伺つておきますが、通産省といたしましては、現在の国内の肥料生産目標を、どのくらいに高めることによつてコストを下げることができるか、電解、ガスを平均して七八%かそこらになるのでありますが、それを百パーセントフル運転にした場合、硫安だけで二百四、五十万トンが生産されはせぬかと押えておりますが、二百四、五十万トンの生産まで持つて行くつもりか、それとも二百万トン台で必要な合理化的処置を講じて行こうというのか、これがまたコストの上に非常に影響して来ると思いますので、現在の硫安工場の施設を能率的に運転しまして、操業度を百パーセントまで高めるということによつて、年間二百四、五十万トンの硫安ができる、その結果コストはこれだけ安くなつて行く、そういうところへお考えになつておるのか、それとも二百万トンなら二百万トンを、大体現在のわが国の他産業との関連においては、これ以上引上げることは無理と考えておるか、その操業度の引上げの問題と、それからこれはコストの問題に関係して参りますので、その点どうお考えでありますか、伺いたい。
  74. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。なおこれは具体的な計画として提案いたしたものではございませんが、先ほど申しました電解法とガス法の操業度をどの程度に上げて、それに要します電力なり石炭なりその他が現状の価格ですえ置かれた、こういつた場合に、今日のいわゆる安定帯価格との開きがどの程度になるか、こういつた概算の御答弁を申し上げたいと思います。今日の硫安の電解法六〇・四%の操業度を七二・一%、ガス法を八三・六%から九一・八%という程度に上げますと、生産量におきまして大体二百二十九万トン程度に相なると思います。このような生産をかりに実現いたしますると、コストの計算、特に比例費の関係等から見まして——大体四十円見当の引下げが可能である、こういうぐあいに考えます。ただ、ただいまの御意見で、百パーセントの操業はいかがか、こういう御意見のようでございますが、私の考えで申しますと、コークス法というのは、すでに操業度としては最高に来ているのではないかと見ていいと思います。九一%に上げることが技術的にいいか悪いかは研究の余地があると思います。従いまして、われわれの今後の肥料の生産目標としては、どうしても電解法の操業度を上げるという点に集中しまして、一般的にコークス法よりも電解法の方が生産費が安い、こういう原則を推進して行くことが、国際競争力の面から行きましても、当然かと考えるのであります。それで電解法の操業度を上げると申しますことは、これは理論としまして、あるいは主張としては当然ではございますが、日本の現在の電力の状況、開発の状況というものから申しまして——一昨年の秋、非常に渇水のひどい時がございました。まつたく肥料の生産が減つて、特に需要家方面に問題がしげかつた時と思いますが、あの時に、硫安工業の電力を一割増すというような問題を取上げて、約八考の標準料金によります電力の割当を実施いたしたことがございます。当時の思想といたしましては、もちろんコークス法に重点を置きません限り、硫安の量的な確保ができませんので、そのような方法をとつたのでありますが、順次水の状況が、特に本肥料年度は水については非常に恵まれた、こう考えていいような状況がありますので、この電解法によります生産計画の数字を、どの程度にすべきかということは、各般の検討をしなければ、なかなか結論を出しにくいのではないかと思いますが、方法としては、やはり電解法に重点を置くという政策をとりたいと思います。
  75. 井上良二

    井上委員 将来の硫安工業の生産の主力を電解法に持つて行くという考え方は、当然であろうと思うのであります。しかしそこまで参りますのには、非常に困難な電源の開発、他産業との電力の振り当て等の問題が横たわつており、施設その他においても莫大な資金を要するというようなことから、今日の場合、国際競争にできるだけ耐え得るようなコストに引下げて行くという場合は、やはりガス法の生産に対しての手が、最も手取り早い対策でないか、現実問題としては、それと取組まざるを得ないのではないかと思います。それで、昨日も伺いましたように、私ども通産当局や経済審議庁の方に要求しておきたいのは、今申しましたように、生産目標をどこへ置くか、その生産目標を一応今お話のように、二百二十万トンなら二百二十万トンという線を確立いたしまして、この場合における石炭はどういうものをどうまわすか、その石炭の手当によつてどれだけの生産が確保され、それによつてどれだけ価格が引下げられるか、あるいはまた電力の場合においても、それぞれ電力を増配した場合、どういう生産になり、どれだけコストが下るか。さらに金利あるいはまた輸送等における合理化をやつて、それでどれだけ価格が下つて来るか。最後の絶対下らぬものは、どこに原因があるかということになると存じます。その場合にわれわれは、その絶対引下らぬ、さや寄せできない部分がありましたものに対して、これを輸出産業としてどういう手を打つか、また国内へのはね返りをどう一体カバーして行くかということに、結論はなつて行くと思います。そういう考え方から、政府の方で単なる目安というのでなしに、これは非常に急を要する問題でございまして、すでに春肥の問題が解決いたしますと、輸出問題が頭をもたげております。これがただちに国際競争との関係で解決しなければならぬ問題になつておる。そういう問題を考えます場合においても、一応国際価格にさや寄せするには、政府は総合的にどういう具体的な対策を、それに対して立てておるかということを示してもらいませんと、単なる抽象論では問題は解決しません。またそれでは実際農民も困りますし、業者も困りましようし、国会もやはり対策を立てるのに困るのでありますから、事務当局としては、そういう問題を総合的に検討されて、一応の計画的な案というものをお示し願いたい。特に私が申し上げたいのは、昨日もちよつと触れたのですけれども、当面の石炭対策の問題であります。これもいろいろ掘り下げて検討いたしますと、なかなかやつかいな問題が横たわつていまして、今お話のように、国内の炭鉱について、縦坑を開鑿して、炭価の引下げに充てたい、こういう考え方ですけれども、これも四百八十億か九十億の国家資金を投じて、約七十本からの縦坑を開鑿する。しかしそれが完成するのはいつかというと、ほど遠い話であります。だから今当面する価格引下げの問題の応急対策としての問題ではありません。これは恒久対策として、三年後なり、五年後になつて、初めてその効果が現われる対策でありますから、少くとも私どもは、そういう非常に気の長い対策を当面の問題の解決に考えられません。そこで問題は、外炭の問題でありますが、外炭は御存じの通り現実にコークスの問題にからんで参りまして、石炭をコークスにいたしております会社のうちで、肥料に使うコークスを生産しておりますコークス会社は、四つか五つではないかと私は考えております。この場合外炭がただちにコークスに使えるものと、それから今度はガスを発生いたします場合のウインクラー炭が、年単位約九万トンから十万トンではないかと押えております。ボイラ—炭がそのほかにあります。だから実際コークスとして使います分と、それからウインクラー炭、ボイラー用と、こうわけて考えますと、一体肥料工場の立地諸条件から考えまして、今申しますかりに外炭をコークスにつくり上げまして、これを肥料工場に渡そうとしても、外炭の陸揚げいたします地帯、それからコークスにこれを直します工場、そこから肥料工場と、こういうぐあいに考えて行きますと、なかなか外炭はただちに肥料価格引下げに、大きな効果を及ぼすような立地条件にないということが一つには言い得られる。そういう諸条件から考えまして、外炭を入れればただちに肥料にうまく行くのだという考え方は、甘い考え方ではないかということを一応私どもは考えておかなければならぬ。それといま一つは、これがコークスに転化しました場合、——現在国内炭で八千円、アメリカものは六千五百円、インドもので五千円、こういう開きがあります。この開きが、ただちにコークスになつた場合にはたして維持できるかどうかという問題がある、というのは、現にコークスを提供しておりますガス会社はすでに外炭を使つております。そうしてガスを供給しておるのでありますが、その中でも、たとえば東京のものを見ますと、東京瓦斯においては七五%まで外炭を使つておる。そういう関係から今申しますように、国内炭の縦坑その他による新しい施策よりも、外炭にたよらなければならぬというものは——外炭による場合のいろいろの諸条件が寒しおるのでありますが、この石炭対策によつて、ただちに硫安の価格がこれだけ下るという具体的なデータをお持ちでございますか。それをお持ちでございましたら、ひとつお示しを願いたい。これをまず第一点として伺つておきたいのであります。
  76. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの井上委員の御質問の、外炭の輸入によつて硫安の価格がどの程度に下るかという問題でございますが、大体お説の通りでございまして、私ども事務当局といたしましても、この外炭の輸入によります硫安コスト引下げという点を数度にわたつて検討いたしたのでございます。一つには輸入炭の価格の問題がございます。さらにはその品質の問題がございます。同時に工場立地の関係もございまして、これによります硫安コスト引下げということは、特殊の工場につきましては効果を考える余地もございまするが、全体の硫安工業のコスト引下げということから考えますると、重要度は著しく低いように考えております。従いまして私たちが外炭の輸入の問題を考えます際には、これを入れることによつて利益のあるというような特定工場の要請に対して協力して参りたいという考えで、現に各工場の考え方を照会、検討中でございます。なお石炭の開発計画等につきましてのコスト引下げの問題につきましては、関係官が別に参つておりますので、その方からお答え申し上げたいと思います。
  77. 町田幹夫

    ○町田説明員 外炭によりまして硫安のコストが下るかどうかという問題でございますが、石炭が硫安にどういうふうに使われておるかと申しますと、生産目標がいろいろございますが、わけわけがかりに来年度を想定して硫安を二百十万トン程度と考えました場合、それに要しまする石炭は、原料炭が二十万トン程度、それから一般のボイラー炭が百四十万トン、そのほかにコークスが四十三、四万トンございます。このコークスは六割七分の歩どまりでございますので、これを石炭に直せば約六千万トンということになつております。それでお説のように一般炭につきましては、現在の需給状況からいたしますと、最近はストによりまして相当きゆうくつのようでございますが、本年度四月以降の一般炭の需給は相当緩和して参りまして、昨年度も九月ごろには約七百万トンばかり、約二箇月分の貯炭を持つていたような事態もございまして、国内的には相当余つて来る。四月以降は石炭が余るのじやないか。従いまして、現在の価格も相当程度下押しされて来るのじやないか、こういう見通しをわれわれは持つております。事務当局といたしましては、原料炭につきましてはこれは輸入という問題が考えられるのでございますが、国内にあり余る一般炭を非常にたくさん輸入するということは、これまた国内産業の大きな保護という面もございまして、これはわれわれとしては現在あまり考えておりません。昨日も申し上げましたし、今もお説にありましたように、硫安工業に参つておりますコークスは、これはガス会社のものが相当に多量に参つております。従いまして、ガス会社等におきましては、肥料工業の要請もございまして、なるべく良質廉価なコークスを供給するために、ガス会社の方の輸入炭をふやしてもらいたいと、こういう希望がございまして、これにつきましては、目下来年度の外貨予算で検討いたして、なるべく御希望に沿いたいと考えております。昨日も申しましたように、それだけ間接的になるものですから、はたしてそれだけすぐコークスの値撃安くなるかどうかという問題は、これまたガス会社の採算の問題とも関連いたしまして別個の問題になつて来ると思いますが、少くとも外炭をふやせばそれだけコークスの値段が下る可能性が出て来る。こういうことは事実だろうと思います。
  78. 高瀬傳

    ○高瀬委員 ただいま井上君から詳細なる質問に対して、私は簡単に関連質問を申し上げたいと思います。実は昨日か本朝の新聞紙の報ずるところによりますと、政府は農林大臣と通産大臣と会議いたしまして、いわゆる肥料生産者の代表であるところの藤山愛一郎君に対して硫安の値下げをしろということを申入れた。しかも百円程度値下げをしろということを申し入れた、こういうことであるが、一体そういうことは事実であるかどうか、これをちよつと伺いたい。
  79. 小倉武一

    ○小倉政府委員 なるほどそういうように出たような新聞もございますが、私その会談の内容は記憶しておりません。御承知の通り両者委員会の協議によりますると、メーカー、全購連、卸売業者が安定帯価格を引下げるということで交渉するということになつておりますので、その交渉方は進めておるのでありますが、しかしそれにつきましては政府があつせんをするということになつておりますので、そのあつせんをもちまして業界代表と両大臣がお会いになつたのだろうと私推察しております。会談の内容は詳細に存じておりませんので、ひとつ御寛容を願いたいと思います。
  80. 高瀬傳

    ○高瀬委員 そういう点は新聞にも発表されておるのでありますから、この際政府は権威を持つて、当委員会に対してその事実あるいはいかなる根拠でこれを申し入れたか、こういう点は私は当然政府の義務として農林委員会に報告し、われわれの批判を受くべきだと思うのですが、いかがでしよう。
  81. 小倉武一

    ○小倉政府委員 それはもちろん適当なときに中間報告なり、あるいは御了解なり、あるいはまとまればその事情の詳細な、御説明が大臣あるいは政務次官からあると思います。
  82. 高瀬傳

    ○高瀬委員 ただいまの御答弁でございますが、私はその申し入れた事実があるかどうかということが一つと、それからもし百円下げろということを申し入れたといたしますならば、それに対するいわゆる政府当局の理論的な根拠を、できるだけすみやかに資料として当委員会に報告を願いたい。なぜかといいますと、春の肥料の値下げというものは、その製造過程とか、あるいは外国肥料の値段とのバランスとかいうことを別にいたしまして、現在われわれ農民が非常に重大なる関心を持ち、一刻も早く決定していただきたい点なのであります。従つて私は政府に対して、当農林委員会に対し、そういうふうな申入れがあつたとするならば、その金額、それからその理論的根拠を一刻も早く報告をいただかなければ、幾らいろいろなことを論議しても肥料の値段は下らぬし、配給も促進されない、かような見地に立つて私は関連質問としてこの点を政府に申し入れる次第であります。
  83. 井上良二

    井上委員 問題は石炭手当というものが、当面の肥料価格の引下げに非常に重要か要素になつてつて、具体的にこれだけ下げられるかということについては、まだ政府も腰だめのようであります。だからこの点に対してさらに具体的に、コークス用はこうなる、ボイラー炭はこうなる、そうして地域的にはこうなつて行くという諸事情を十分検討されて、この面における引下げの部分についての必要な具体的な資料をひとつお出しを願いたい。  それから次には電解法による場合の電力の問題でございます。御存じのように現在硫安は電解法によつて四十五万トンほど生産をしておりますが、このために総電力のうちの一一%、約三十三億キロワツト・アワーが肥料生産に使われております。このうちさらに細分しますと、約二十億キロワツト・アワーくらいが硫安の生産に使われているのではないかとにらんでおります。そうしますと、今局長のお話通り、将来電解法に主力を注いでやつて行きたいというお話でございますが、また通産大臣におきましても、電力の増配を何とか考えるということでございますが、もうすでにこの問題が政治問題化しましてから、相当日時もたつておりますので、この電解法による電力の割当に対して、政府は一体どのくらい電力の割当をしようとしているのか、もうこれは三月一ぱいで割当の期間が過ぎるのでありまして、四月から新しく割当を改訂することになつておりますので、どれだけ電力を肥料生産の方に割当をしようとするのかということについて、具体的に御説明願いたいと思います。
  84. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 第一点のコークス炭の問題でありますが、目下検討中でございます。それから電力の増配問題でありますが、四月以降の来年度の電力の配当計画につきましては、目下検討中でございまして、全部具体的になりましてから、御説明いたしたいと思います。
  85. 野原正勝

    ○野原委員長代理 井上君に申し上げますが、まだ質問の通告がありますので、なるべく簡潔に願います。
  86. 井上良二

    井上委員 もう二点で終ります。かりに電力が新たに幾ら割当てられるかということが具体的にきまつて参りませんと、春肥の需要が終つた後において滞貨されると予想されます硫安、その他に対して輸出問題をきめます場合に、その価格をきめるわけには行かぬことになると思います。だから問題は、少くとも政府が硫安工業なり、肥料工業を非常に重要な輸出産業として今後積極的に育成したいというならば、この際大いに手を打たなければなりません。そういう問題からも、電力の割当に対して具体的にこれだけまわせばこれだけ下るということについて、一応の腹案をお持ちになつているのではないかと思います。ただ及ぼす影響が多いから、こういう公開の席上では話ができぬといえば、それまででございますけれども、もうすでにこの問題は大きな一つの政治問題化されております問題ですから、これに対して何ら腹案を持つていない、これから検討するというのでは、話の仕方がないのでありますから、この点に対して至急に電力関係の当局との間で十分検討されて、具体的な案をお示しを願いたい。  最後に伺つておきたいのは、問題は、どうも私どうもそういう石炭とか、あるいは電力であるとか、あるいはまた金利というような、そういう当面する諸対策に問題をそらしまして、本質的には、やはり工場の生産施設が近代化一の道をどんどん進んでいるかぎかということではないかと思うのです。それから問題は、外安と競争するだけの施設能力が硫安工場に整備されつつあるかどうかということが、非常に重大な問題だと思います。そうでないと、現有施設をもつて石炭をもらえたらこうなる、電力をまわしてくれたらこうなる、金利操作をしてくれたらこうなるということであつて、少しも欧州の近代化された新しい施設と対応して行く近代化への拡充の線が打出されませんと、ほんとうは競争ができぬことになりやせぬかと私は思います。そういう点についてどうお考えになつておりますか。そうだとすれば、大体全体の工場の何パーセントくらいは新しい施設に更新しなければならぬ。新しい施設に更新するとすれば、その更新する場合の所要資金はおよそどのくらいか。そうして更新するとすれば、およそ年間どのくらいかければ何年くらいで最も新しい、近代化された能率的な工場になるか、そういうことが具体的に示されませんとだめでありまして、そういう点について御検討されておりますか、これを伺いたい。
  87. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 第一点の電力の問題でございますが、御質問の通りでありまして、更新の観点から見ましても早急にきめなければならぬので、鋭意関係局と相談をいたしております。  なお肥料工業の根本的な合理化計画でありますが、これにつきましては各会社と具体的に計画を検討しております。そのうちで特に先ほど来強調しております粉炭完全ガス化という問題につきましては、すでに相当具体的な計画をつくつておる会社もございまして、この基本的な計画につきましては、個々の会社と具体的に話しております。
  88. 井上良二

    井上委員 最後に確かめておきますが、私が今各般の問題について、質問をいたしましたのは、やはり肥料工業の国際競争性を高めるということが原則でありまして、その立場から考えます場合、当面輸出問題が起つておりますから、この輸出問題に対して、そういう問題が具体的に裏づけされまして、これならこうなるという一つの見通しを農民にも与え、そうして国会へもそういうことについて了解を与えるということでなかつたら、輸出問題は再び大きな政治問題になりますぞ。その点を私は特に通産当局に警告しておきます。そうしておかなければ論議の余地はありません。今のような御答弁ではさつぱり案がないじやありませんか。そういう不安定な状況のもとにおいて、この四月、五月に春肥の後にもし輸出をしようとしても、それはできないことなのですよ。その点をもつと掘り下げて、ほんとうに国会との間に具体的肥料対策についての検討をして、これなら国際競争に耐え得る——今は負けておるけれども、一年後なり二年後なりにこうなつて行くという明るい一つの計画を立ててもらわなければ、年百年中こういうような問題をこんがらかして、混乱混乱を重ねて行くだけです。その点はかえつて外国資本に必要以上の利潤を獲得されるということになつてしまつて、何にもならぬことになりますから、これはひとつ客観的な見地から御検討を願いたい、私は強くそれを警告しておきます。
  89. 野原正勝

    ○野原委員長代理 足鹿覺君。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 ちよつと中村さんに最初お伺いしたいのですが、安定帯価格をつくつた当時は、中村さんは事務当局の責任の地位においでになつたかどうか。
  91. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 安定帯価格の決定は、硫安については自分が現職にありました。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 昨日私は農林大臣に対しましてお尋ねを申し上げました。そのときの小倉農林経済局長は、安定帯価格設定直後におけるインド向けの輸出に対しては、農林省として警告を発したということを、小倉さんはこの委員会において昨日特に御答弁になりました。その警告はそのときはつきり承りましたが、通産当局に対してなされたものであるか、あるいはメーカー筋に対してなされたものであるかは存じませんが、一応輸出会議制という立場から、メーカーにも通産当局にも、両者に向つて私はその農林省の意向というものが伝達されたものと解しておるのでありますが、このようなことに対して、通産当局としてはどのような御処置をおとりになりましたか、この点をお伺い申し上げたい。
  93. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 インドの入札の場合にはどの程度の国際価格になるか、日本としてはそれについての市場確保として非常に大事な地域でもあるので、われわれとしてはできるだけこれを何とか実現したいというぐあいに考えております。小倉局長との話合いは私は直接聞いておりませんが、メーカーあるいは私の局内の者に直接お話があつたと思いますが、何とかいろ、いろ話を取進めましてあのように実現したものと存じております。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは小倉さんに伺いますが、昨日は私は農林大臣に対して御答弁を求めたら、農林大臣から小倉さんをしてかわつて御答弁があつた。私は少くともあれは農林大臣にかわつて小倉さんが御答弁になつたのであるから、農林省の意思を、どういう形式であつたかは知りませんが、警告の形式をもつて通産省あるいは関係方面に御警告になつたものだと解したのであります。でありますからあまりしつこくは申し上げなかつたのですが、今お話を聞きますと、中村さん自体が軽くこの問題を取扱つた、知つているような、知つておらぬような、一下僚にまかせ切つたような御答弁でありますが、そのようなことではたして農林当局は省議をもつて、あるいは農林当局の意向として関係方面に出された警告を、そのような取扱いをされておるということを今お聞きになつて、何らの矛盾をお感じになりませんか。全国の農民はやはり農林省に対して非常に期待を持つておる。昨日私がある質問に対して深く追究しなかつたのは、農林省としても同じ政府の指揮下においでになるのであるから、いろいろ穏当な、適当な方法で相当おやりになつたものだと私は解しましたから、一応済んだことではありますし、あえて御追究申し上げなかつた。今聞いて私は唖然たらざるを得ません。一体どういうふうに御警告になり、それに対するところの関係方面からの回答はどういうものであつたか、今の中村さんの御答弁をお聞きになつて、小倉さんの御意見をこの際お聞き申し上げておきたいと思います。
  95. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、インド向けの輸出につきまして相当安値であるということ、につきまして、あらかじめある程度推察と申しますか、予想がそういう予想でございましたので、著しく安定帯価格の下値を下まわるということになれば、これは安定帯価格自体にいろいろの影響があるということもありますので、そういう取引はなるべく考慮してもらいたい、こういうことをメーカーの方の輸出関係の代表者に実は申し入れをいたしたのであります。しかしながら輸出価格につきまして、当時必ずしも一般的に国際価格が安いという見通しは持つておりませんでしたので、二、三の例を申すと誤弊がございますが、多くの輸出のケースの中において、一事例ということでもつて安定帯価格を割るということも、これは当然予想し得ますので、その点は実は深く問題にしなかつたのであります。ところがその後実はインド向けの輸出がやはり国内価格よりも相当下まわるという事態になつて参りましたので、現在御承知のような安定帯価格の再検討といつたことに実はなつてつておるのであります。私どもも、もし輸出数量が相当に上り、しかもその相当の量が国内の価格を下まわるということになりますと、これは硫安の採算いかんにかかわらず、国内価格についても再検討の必要性が起つて来るということは承知いたしておりますので、そういう趣旨のことはそのつど業界の方には特に申入れまして、国際価格より下まわらぬようにということを希望しておつたのであります。また安定帯価格を設定するときも、三省間の覚書にも輸出価格は安定帯価格によつて形成される価格をあまり下まわらないように指導するという趣旨もうたわれておりますので、そういう趣旨で実はわれわれも措置をいたして参つたのであります。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 あまり過ぎ去つたことをとやかく申しましても、そのことは返えらぬわけではありますが、昨今の輸出に対して、農林省が同意をしなければ問題が具体的に進まないということは、内容的に見ますならば、今小倉さんが申されましたように、国内価格をあまり下まわらないという点に尽きると私は思うのであります。そういう点で具体的にあつせん案を出された立場において、また輸出の同意を求める立場においてお話合いなつたというならば、中村さんが先刻御答弁になつたようなあいまいなことではなく、相当の誠意を持つてこの問題に対してはお当りにならなければならないはずだと思うのでありますが、先刻の御答弁では、まつたく私は不可思議な感じを受けたのであります。通産省は通産省のお立場があるでしよう。しかしながらわれわれ農林委員としても、日本の軽工業をぶつつぶして行こうというような意図でやつておるのではない。大きな意味から考えるならば、農民の共同資産というような考え方もわれわれは強く一面に持つておるのであります。従つてわれわれが一にも二にも通産省に対してむやみやたらに業界を圧迫するような意向でやつておるのではない。少くとも安定帯を設置した一月直後においてインド向けの二万トンの契約が行われて出ておるのであります。引続き韓国の問題が起きて、初めてこれが大きな政治問題に口火を切つた。当時は量が少いからあまり問題にならなかつたが、最近はだんだん量がふえて来たので、これが大きな問題になつたが、そういう前から当時の安定帯の問題に対して私たちは少からず不満を持つております。先刻同僚委員からの御質問に対しまして、いろいろ中村さんは御答弁になりました。私どもが現在春肥の値下げ問題を問題にしておりますのは、ただ単に春肥というものを、安定帯から切り離して若干の値下げをするという考え方ではなしに、安定帯そのものを再検討して行くという一つの大前提に立つて、春肥の引下げ問題をわれわれは論じおるのであります。そうしなければならぬと私は思います。そういうふうに私どもとしては、少くとも安定帯そのものをやはり適切妥当なものとし、そうして農民の納得の行くような安定帯の是正というところに重点を置いておると考えておりますが、そういう点について中村さんはどういうふうにお考えになりますか。私は当面の春肥の値下げの問題から出発して、将来の肥料メーカーの肥料工業の合理化の問題にまで先刻井上さんも言及されました。私もこの合理化の問題につきましては、あとでもう二、三点お尋ね申し上げたい点がありますが、まず今の春肥の値下げの問題は、いわゆる安定帯価格を適切妥当にして行く一つの前提としてわれわれは議論しておると思うのです。この点について通産省の御意向を承つておきたいと思います。
  97. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問でございますが、通産省としまして肥料の恒久的な合理化政策というものを一面考えておりますし、また同時に今日の段階において即効的な方式につきましても、検討をいたしておりますことは、ただいまの御質問の安定帯価格そのものの合理的な検討策の趣旨の線に沿うものと考えております。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 私は昨日も通産省側にお尋ね申し上げたいと思いましたが、将来の問題もありますし、最近は独禁法の改正の問題も相当具体的な段階に入つて来ているように思います。そういうことと関連いたしまして、去年の十一月ごろにメーカー側がつくつたと伝えられております硫安輸出奨励要綱というものがあるように私は聞いておりますが、肥料工業に対する最高の監督官庁として、中村さんは御存じかどうか伺いたい。
  99. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの硫安輸出奨励要綱というものにつきましては、一切——もちろん正式に私のところに提出されたということもございませんし、公式に意見や相談を受けたこともございません。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 私が仄聞いたしますところによりますと、メーカー側がつくつた奨励要綱の目的は、輸出契約価格が国内販売価格を下まわる場合に、その差額の一部を会社の共同負担において補償上云々ということがうたつてある。これはもう明らかに独禁法に抵触する、いわゆるカルテルの思想に基いたものであることは明瞭であります。従つて私は昨日も肥料メーカーのとつ二ていることは、独禁法違反に該当の疑いが濃厚であるということを申し上げましたが、まあ独禁法に抵触するかしないかは別といたしまして、今度の出血輸出の問題が、少くともこの目的にうたつておりますように、国内販売価格を下まわる場合にと、こういうふうにちやんと書いてある。いわゆる生産費を下まわる場合ということは言つておらない。そういう点において確かに出血輸出に対するところの被害を農民に転嫁した疑いが多分にあるということは、ただ抽象的に言つているのではない。生産費を下まわつた場合に各社が共同計算をやるというなら、趣旨は明らかでしよう。しかし国内価格を下まわる場合に共同負担をするからというのは、これはカルテル化であり、その出血の負担を農民に転嫁しているのであると考えざるを得ない。私は日本の肥料工業の強化育成という点について何ら疑義を持たないものであり、これがすみやかに国際水準に復活して行くということについては、何らの一点の疑義も持たないものであるが、今日のこの事態が明らかに農民の犠牲の上に立つているこの事実は見のがすことはできないと思う。しかもその内容に至つては、各社に対しまして奨励金の負担金すらもきちんと出している。そういう点を一つの事例としてあげました場合に、業者が自主的に、少くとも農民の犠牲の上において、いわゆる各社の合理化を行い、そうして肥料会社の近代化を促進している、その過程においてこういう事態が起きている。最近においては藤山愛一郎氏あたりは、何か輸出を許可するならば考えてもいい。電力やその他石炭の問題を考えるならば若干の引下げは考えてもいいというような、代償を先にとつて後に少しぐらいは考えるというような御態度のように私どもは拝聴しておりますが、今中村さんが構想されております——別に私見として述べられましたから多く私申し上げませんが——いろいろの肥料合理化対策というものを現実に推し進めて行く場合におきましては、相当国家権力によつて、あくまでも公正妥当に、農民を犠牲にしないところのそこに一つのひもをくつつけて行かなければ、このような精神でもつて今までやつておいでになるような人たちに、われわれ農民は信頼することができません。そういうことも私どもとしては問題にせざるを得ないのであります。そのひもをくつつける方法ということは、まず合理化の基礎的な条件というものにいわゆる国家権力がある程度働く。少くとも公正なるところのコストの問題や、あるいは国家の援助の内容の決定、近代化の条件というものをやつて行く場合に、そこに一つの立法的な裏づけなしには、ただ話合い農林省が警告しましても、一向とんちやくしないで、どんどん自分たちのことをやつてしまう。あとになつて農林委員会がわいわい騒いで、そうしてようやく年を越して本年になつて、衆議院の本会議で通過した決議案の具体的な裏づけになれば、わずかのことで行き詰まつて停頓状態である。こういうことで、いわゆる四大重点産業の一つといわれる、日本の軽工業の中心であるといわれるような、こういう大事な肥料産業を、少くとも国家がある程度責任を持つて合理化して行く、そうして具体的な援助をして行くというならば、それに対するところの合理化に対しては、国家権力によつて一つのひもをくつつけるような措置なしにはとうてい考えられません。その点について、いわゆる合理化の基本的な構想については、先刻は石炭が下ればどうなる、電力増配になればどうなるというような技術的のお話でありますが、私は経営をしたことがありますからわかりません。基本的ないわゆる構想について中村さんの御所見を承つておきたいと思います。
  101. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問は、硫安メーカーの間に一種のカルテル的なあれがあるんじやないかということのようです。私はこの点については、全然了知しませんし、こういつたような消極的な方針で進むことは、将来の合理化計画にはむしろ障害になるという面もございますのて、私は微力ではございますが、そういつた合理化を推進するための業界自身の消極的態度というものについては、極力戒めて参りたいと思います。  なお工業の基本的な考え方についての御質問、特に合理化を重点的に行います場合の基本的な構想でございますが、これは今日の肥料工業にとりましては、おそらくは空前の操業度に到達いたしまして操業いたしております。こういう局面と申しますのは、おそらく国際競争上から見ましても、あるいは国内の問題につきましても、相当過表に経験のなかつた事態が逐次起つておる。こういうことを私も直観するのであります。これらの事態を解決いたします考え方としましては、産業の合理化というものを推し進める一つの気持の問題、と申しますと軽いように思いますが、やはり重点的に、いわゆる国際競争にも十分耐える、またそういう方向で進む様式の合理化に全力をあげて努力して参るというのが一つの考え方かと思います。  なお産業政策の基本に触れます根本問題を御質問のように考えられますが、この点につきましては、いささか私から答弁する資格がないように考えられますので、なおその基本の問題につきましては、上司の御意見あるいは上司自身に御質問くださることを希望いたします。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 予算委員会理事会で休憩中だから、少くとも通産大臣並びに農林大臣に御出席をお願いしたいと思うのです。もう肥料の問題は最終の段階に来ているのです。われわれ農林委員会の審議もおそらくきよう、あすで、そう長く続ける余地はなかろうと思う。本日一番大事なときに政務次官もおいでにならないということは困りますので、ひとつお願いいたします。それで、その点についてはさらに大臣か次官がおいでになりましてから、ただいま中村さんのお答えになりました点については御質問申し上げます。
  103. 野原正勝

    ○野原委員長代理 今来ますから……。
  104. 足鹿覺

    足鹿委員 それからこれは事務的なことでありますが、外安の輸入価格の見通しについて先刻お話なつたと思いますが、私ちよつと聞き漏らしましたので、外安を日本に入れた場合に具体的にトン当り幾らにつきますか。
  105. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 外国硫安の輸入価格は、個々の引合いを見て調べたものでありませんので正確であるかどうか、私として責任を持ちかねるのでありますが、大体一月前あたりに私どもの調べたところでは、シフで約六十ドルと考えます。(「どこのものですか。」と呼ぶ者あり)西独のものでございます。最近幾分値上りしておるかと思いますが、その点につきましては、実は日本輸出の引合いに参ります各国の引合い値段が、シフ価格で申しますと、たとえば韓国で六十七ドルという引合いがございます。台湾で六十五ドル、フイリピン、インドあたりは五十七ドルから五十ドル程度で、これは低目でございます。あとは少量の取引で例として申し上げるのは不適当かと思いますので省きます。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 それから事務的な点でありますが、先刻合理化の諸条件としていろいろな事項をお述べになりましたが、電解法の操業度の引上げ、石炭鉱業の合理化、化学工業自体の合理化の問題、総合経営の問題、優先外貨の問題、いろいろな問題がありましたが、そういう構想のうち、それが具体的に進んで行きます場合の一つの手段として、国の負担に帰するものと、あるいはその他の業者の負担によるもの、そういうものを具体的に——もし公表をおさしつかえになるならばいたし方もありませんので、また別の機会に承りたいと思いますが……。     〔野原委員長代理退席、高見委員長代理着席〕  そういう基本的なものについて御検討になつて、何かそこに相当分厚いものをお持ちになつてお読みになつたようでありますが、そういうものはわれわれ議員には公開できないものでありますか。少くともある程度の計画が私はあると思うのですが、それは全部もらえなければともかくとして、大体きようあたりの農林委員会を見ておるというと、農林時報だ、「弘報タヨリ」というような、ああいう一般市販になつおるものはわれわれ盛んに頂戴しておりますが、ほんとうの問題の核心に触れるような資料は、要求してもなかなかもらえない。黙つておればなおさらいただけませんが、今の井上さんに対する局長の御答弁は、私は聞いておつてつくづくこれは一朝一夕の御答弁ではない。少くともそれの基礎的な検討がなされ、ある程度の数字の上に立つた、当局としては相当練られたものがあるのではないかという感じを私は持ちまして、それを限定配付でもけつこうです、それをちようだいしたいと思いますが、どうでしよう。そうすればこれ以上申し上げません。
  107. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの合理化計画を推進する場合に、国が援助する程度、あるいは民間企業がみずから調達する限度、こういうものはおのずから計算上政策としてある程度出ます。石炭の開発計画等につきましては、財政投資を何十億にするという計画は相当はつきりいたしております。私の方の化学肥料工業の合理化計画も相当大幅な案が一応あるのでありますが、そのうちには技術的に優先順位をつけて実施する問題もございまして、その間の調整は実はできておりません。どのくらいかけてやるか、たとえば粉炭ガス化の問題で考えますと、これは会社が何工場あるかということによつて多少違つて参りますが、そのために十億とか十五億とか、おのずからそういう計画がございます。ただいま口頭で詳しく申し上げることはできにくいのでありますが、そういう意味での検討はいたしております。
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 それは通産省としておやりになつておるのでありますか。少くとも経済審議庁における、日本の産業構造の問題との関連の上において、日本の化学工業の水準をどう高めて行くか、その生産力向上のためにどういう施策をとるかという点において、一つの基本的なものに連なつたものと解してよろしいものかどうか。
  109. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの合理化計画は、事務的には経済審議庁に提出してございます。経済審議庁の方の化学肥料工業に対します何箇年計画の一環という思想であくまでもまとめて参りたいと思います。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻から聞いておりまして、私が一番奇異に感じますことは、昨日も他の同僚議員からしばしば触れられましたが、特にそういう一つの日本の化学工業の大きな立場から、肥料工業の合理化の面が具体的に立案計画化されておる。そうした場合に、操業度を幾らにしたならば幾らの増産ができるとか、そういうこまかいものが、一つの現実なり理論的な基礎に立つて割出されて立案されているにもかかわらず、コストの問題になると、なぜかはたと行詰つてしまう。私はこの点を非常に遺憾に思いますが、中村さんにお伺いしたい点は、現在コストの強制調査権がありません。ですから、これをお伺いするのもどうかと思いますが、これは業者の自主的な協力によつてコストが正確にわかることが期待できるかいなか。できるとお考えになりますか、困難だとお考えになります喜か。この点は今後の肥料の恒久対策の上におきまして相当考えて行かなければならぬ問題だと思いますが、業者の自主的な協力によつて、少くとも正確に近いものが得られるかどうか、この点について事務当局としての良心的な御判断を承つて私の質問を打切りたいと思います。     〔高見委員長代理退席、野原委員長代理着席〕
  111. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 現在考えておりますのは、業界自身から自主的に——各社に要請すれば、ある程度出します。これに対しまして専門家の意見を徴して、それの妥当性を検討するということが、われわれの現在考えている線でございます。さらにこまかい点までつつ込みますと、それは価格統制令か何か発動してやるということがやりいいんじやないかとも思いますけれども、業界自身だけでなく、専門家の意見を徴してやる。肥料対策委員会検討しておりますが、これも良心的に専門の方がやつているようであります。  これを一概に疑つてかかるのもどうかと私は考えております。これは非常に専門家の御意見で、われわれ以上に各業界のいろいろな業務形態の検討をやつておりますので、これは強権発動がよいかどうかということを比較いたしますと、やはり専門家の意見を十分検討して行くという方が、非常に正鵠に近いものを得るんじやないかという個人的な考えを持つております。形だけでなしに、実質的にその方がベターじやないか、この問題につきまして人を得るということが一番大事じやないかと思います。
  112. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がないので、ごく簡単に中村局長にお尋ねいたしますが、将来増産見込みがあるのは電解法だけだと思つておるのですが、今までの御説明の中にはガス法によつても増産の見込みがあるようなお説もあつたようですが、今のまま放任されておりますならば、七月末に二十万トンあるいは二十五万トンという増産計画が成り立つておるのは電解法による会社であろうと思うのです。そうじやないのですか。
  113. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 私が操業度上昇によるコスト引下げの一つの考え方として、電解法六〇%を七一%程度に引上げ、ガス法を八十何ぼを九一%くらいに引上げる、こういうことを申し上げましたが、実はこの案自体に御質問のような基本的な問題がございます。もちろんコークス法の八十数パーセントというのは、一つの経済経営的な立場で、純技術的に増産できるじやないかという意味でなしに、石炭の購入あるいは経営の仕方等から見まして、やはり八十数パーセントが合理的な限度じやないかと私は考えております。しかし電解法を増強します段階的な一つの過渡期がございまして、電源開発がおそらく本年の下期には相当具体的なものが現われまして、東北その他には相当の電力が増強されると思います。そういうものから考えまして、電解法に電力が供給されることが望ましい。御意見の通りだと思います。
  114. 川俣清音

    ○川俣委員 粉炭から来るガス法は別問題ですが、現在の石炭からコークスにしたガス法によるところの増産は、私も大体限度であろうと見ているのです。従つてこれからの増産は電解法による部分によつてのみ見込まれるであろう。メーカーが相当増産の見込みを立てておりますのも電解法だと思うのですが、この点ではまつたく同一なんです。そこでお尋ねしたいのですが、ガス法によるコストと電解法によるコストとの開きは、これはメーカーによつても違いますが、少くとも私どもは二割ぐらい開きがあると見ておかますが、この点はどうですか。
  115. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、電解法の現在までの流れから行きますと、電解法が実は一番操業度の安定しない経営規模でありまして、ガス法の方は比較的安定いたしますので、コストから見ました安定性ということが非常にあると思うのでありますが、電解法の場合は、豊水の場合と、あるいは渇水の場合とで非常に電圧が違いますし、立地条件が工場ことに違うのであります。普通の技術から申しますと、電解法の方が安くつく、これは一つの標準と言えると思いますが、その程度が二割であるかどうかということは、操業度と比較いたしませんと、申し上げかねると思います。
  116. 川俣清音

    ○川俣委員 今までの実績から見まして、渇水期がありましたり、あるいは停電が非常に行われたような不安定な場合を除きますれば、現在のガス法と電解法とでは、少くとも二割以上の開きがあるというようなことは大体常識になつていると思うのですが、この常識をもお認めになりませんか。
  117. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 これは今の御質問の答弁になるかどうかわかりませんが、私が物価庁で調べた当時の電解法とガス法の違いは、工場によつてクラスをつけておりましたので、一概には申せませんが、二千円前後と記憶しております。
  118. 川俣清音

    ○川俣委員 もちろんメーカーによつてコストの違うことも明らかでありますし、今ガス法と電解法によつてコストの違うことも明らかになつております。将来輸出を考えておりますのは、おそらくガス法によるメーカーよりも、電解法に期待をかけて、電解法から来るメーカー側の進み方が、輸出を要望するような結果になつて現われて来るであろうということが想像せられるのであります。そこでこういう出血輸出とか、あるいは投売り輸出というものがなくても、もう統制が解けてから三年もたちますと、業界にも当然合理化の問題が起つて来るはずだと思います。またお互いのメーカー自体にいたしましても、業界の整理というものが当然行われて来なければならないはずだと思うのです。統制が解けた直後でありますれば、その惰性に乗りまして、あるいはメーカ治同士の今までの協定とか、あるいは同業組合的な組織によつて幾分救済されると思いますが、もう限度が来ているのだと思うのです。そこでこれらの硫安がほんとうの自由価格であれば、当然競争が行われて、コストが安くなる部分と、安くできない部分とができて、業界の整理が行われておるものと思うのですが、この点についての御見解はどうですか。
  119. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの輸出に関して、どの工場が優位性を持つかという基本の問題になりますが、私は現在の段階では、実はいろいろの工場立地について検討したのでありますが、港に近い、非常に積出しの有利な工場が、輸出上最も右利でございます。そういう意味小合いにおいて、一般コストの点から申しますと、将来を考えますと電解法の線が出ますが、工場立地の、特に港湾における優位性と、石炭あるいは電力、こういう二つの線が、この輸出上の優位性を決定するものと考えております。御意見の点に工場立地の点をあわせお考え願うことが適当じやなかろうかと考えております。
  120. 川俣清音

    ○川俣委員 将来天然ガスをもつて今の石炭ガス法にかえるような計画をする場合に、政府はどういう援助の方法をとられるか。
  121. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 天然ガスを肥料工業に利用するかどうか、これは非常に新しい課題でございまして、実はこの問題につきまして業界からの計画も、一、二ございまして、その内容等を検討したこともございますが、天然ガスを化学工業に利用する場合に最初に解決せねばならないことは、天然ガスの埋蔵量を相当確実につかみませんと、肥料工業をやる場合には、特に大量のガスがいりますので、その具体案をとるかとらぬかという問題よりも、まず最初に天然ガスの埋蔵量を現実に把握いたしまして、その上に計画を立てねばならぬ、こう考えておりまして、その意味合いにおきまして、今日の段階では、天然ガスをただちに肥料工業に使うという点については、確たる見通しはございません。
  122. 川俣清音

    ○川俣委員 これは商工省時代から軍需省にかわり、通産省にかわりました間におきまして、天然ガスの調査は相当進んでおるはずでありまして、これのデータがない、あるいは不確実だという御答弁でございますが、それは局長が資料を十分ごらんになつておらないのじやないかと思うのですが、この点どうですか。
  123. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 その点ただいまの答弁は少し舌足らずでございました。埋蔵量はある程度わかつておりますが、それを経済的に採取するという、その計画と結びつけた場合に、具体的な計画が立つておらない、こういう意味であります。
  124. 川俣清音

    ○川俣委員 それは新しく計画する場合の技術的な困難さでなくて、今新しく肥料工場をつくるといういろいろな条件が整わない、こういう意味に解釈してよろしいのですか、それとも技術的に不可能だというふうに解釈していいのですか。
  125. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 肥料工業以外の化学工業にも、そういつた天然ガス利用の見地から計画を立ててあるのでありまして、これは経済的に安く採取するという技術の問題に関連しまして確実な見通しが立つておらぬ、こういう意味なのであります。
  126. 川俣清音

    ○川俣委員 日本のような石炭資源の不足な、また石炭採掘について相当のコストを要しておる国の現状からいたしまして、同じ地下資源である天然ガスの利用率はもつと高まつてよろしいのではないかと思うのです。こういうところに将来の化学工業の行く道が考えられなければならぬ。単に既存の会社を擁護するというだけでは、国内の競争におきましても、国際競争におきましてもたえられない状態が起つて来ると思うのです。この方面について特段の努力が必要だと思いますので、この点についてもう一度お答え願いたい。
  127. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御意見の通りでありまして、硫安工業のみならず、有機化学合成工業の原料として天然ガスを使う方面にいろいろ研究補助、あるいは具体的に計画しておる個々の事業に対して、開発銀行の融資等をやつて、一部助成もいたしており歯すので、基本的には御説の通りだと私は考えております。
  128. 木村文男

    ○木村(文)委員 肥料の問題につきましては、もうすでに委員の方々から、議が尽きるぐらい論議されたと思います。私与党の者としてはなはだ遺憾に思う点を一、二申し上げたいと思います。  私の昨日の質問に対しまして、また二月十二日における決議案に対する関係各大臣の答弁によつて、大体の方針は確立されておると思う。ただ要は、ここまで議論になつておるということは、関係局長の勉強の足らざる結果だと思う。こういうことは申し上げたくないのですが、私自身十九年役人をやつたものとして、皆さんの答弁は、実に局長の答弁でなく、大臣か政務次官が答える答弁である。まさに事務的な答弁は一つもない。そこにこういう議論が出るのです。資料のない答弁をしておるためにこういう議論が出るのでありますから、私はあえて三つの点を申し上げて御答弁を承りたいと思います。  一つは肥料の問題についてであります。一つは各省連絡の事務的な折衝がどういう状況で進んでおるか。また先程も足鹿委員から、核心に触れるような資料を出せという要望があり、井上委員からもそういうような意味を含めた要望があつたわけであります。私どもことに一年生議員で新米でありますので、特にそういうような資料が必要であります。各局長の答弁は、まるで大臣にでもなつたような答弁である。こういうことは、委員会の性質からいつてもあり得べからざる姿であると思う。その意味において各省の肥料に対する十二日の決議案が、上程されて決議になりましてから大分時間がたつておる。政務次官は十日までには何とかしなければならぬと言つて、方針を明らかにしておる。それに沿うた事務的処置を講じ、研究を常に重ねておかなければならぬのは局長であると思う。その資料を持たぬでこの席に出るということは、私は事務官としての姿ではないと思う。その意味においてあえて農民の代表として申し上げたいことは、春肥は今解決しなければならぬ問題で、農民が最も関心を持つているのです。春肥の問題についての解決策は皆さんの双肩にかかつておる。大臣の方針はきまつておる。でありますから、早急にこれを解決するための資料を、もしないならば、調査のために徹夜をしても、みずから陣頭に立つてつくらなければならぬ。その資料を出してもらいたい。  二番目は、事務当局として、メーカーとの折衝は大臣だけに預けておかないで、中核的な局長の立場において、メーカーと引下げ問題についてどういうような折衝が進められておるかということを聞きたい。  第三番目には、事務当局として外郭的な、たとえば皆さんに関係の浅い電力の問題であるとか、あるいはまたガスの問題であるとか、あるいはその他どれだけの基礎的な資料を持つておるか。そこでその上に立つたところの値下げの資料がここまで行つておるということを明示してもらいたいということ。  第四に、結局は農林大臣は、生産コストをつかめないのががんであると昨日私にお答えいたしました。生産コストをつかめないのががんであるというのですが、各局長が私が今申し上げたことを完全につかんでおれば、生産コストをつかめないのががんであるという言葉は出ないはずである。これを解消するためにも、この資料を近日中に御提出願いたいということ。  最後にこれに関連して、昨日青果物の運賃問題について、これは皆さんの御了解を得てお尋ねしたところが、農林大臣は官房長に調査せしめてお答え申し上げるということでありましたので伺いたいが、青果物生産者の擁護のためには、農林当局はどういうような対策をとつておるか。私はこう考える。現在青果物が非常に値下りをしておるが、この打開策は何であるかというと、二つあると思う。それは運賃の引下げと生産コストの引下げであると思う。そこで私はそのうちの一つである運賃の問題について、どういうようにして生産者を守ろうとしておるかということを、お尋ね申し上げたいと思う。
  129. 小倉武一

    ○小倉政府委員 肥料に関しまして御必要な資料はできるだけ調製して御提出いたしますから、その都度言つていただきたいと思います。  それから各省との連絡でございますが、経済審議庁を中心といたしまして、肥料対策委員会の運営につきましても、絶えず連絡をいたしております。  それからメーカーの折衝でございますが、これは一昨日以来同業者関係においてやつておりますので、その成行も私ども注視しております。事務的に私どもが出てやつた方がいいという時期には、もちろん関係官庁と打合せ、また個々にもその筋へいろいろ進言し、あるいはあつせんする、こういうことにいたしたいと思つております。
  130. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま農林経済局長のお答えになつたのと別の点で私が二、三お答え申し上げます。  引下げの問題に関連しまして、金利の引下げ、それから外炭の輸入の問題、電力という問題につきましては、省内関係で事務的に連絡いたしております。  なお業界との連絡につきましては、農林経済局長と同様でありますが、業界代表者の方には個々に意見を聞いております。私は聞いておりませんが、局内のそれぞれの担当課において別途やつております。私の方に情報を全部集めております。
  131. 木村文男

    ○木村(文)委員 その問題が解決つかないと、これはいくら議論したつてまとまらないことになるのですよ。ですから希望意見にすぎないことになる。あなた方にどんなに詰め寄つても、その答弁だけしかないということになれば、いつまでたつても同じです。そうして日にちを切つて、引下げのことはいつごろ発表ができるということ、政務次官なりあるいは大臣なりが、最高方針を決定し得る腹をきめるまでの時期がどれくらいであるか、それを承りたい。
  132. 松浦東介

    ○松浦政府委員 木村君にお答え申し上げますが、今この肥料は御承知のように統制品でなくて、自由価格品でございますので、そこで政府は、生産者に対して強制的にこれをこうやれ、こういうふうな命令を発する権限もなければ、また生産コストを確実につかむような強制的な方法をとることもできないのであります。しかしながら、この問題はいろいろ経緯もあるのでございまして、いわゆる需給関係からいつて、現在の安定価格というものを政府と生産者側との間にとりきめられたのは御承知の通りでございますが、その後の国際的ないろいろな変化、国際価格と国内価格との間に相当の幅があつたことは厳然たる事実でございますので、これはどうしてもこの際調整をはかる必要がある、政府はこういう一致した見解を持つておりますことは、木村君御承知の通りであります。農林省、通産省におきましても、事務はもちろん、両大臣もそこに何ら意思の疏通に欠くる点はございません。昨日小平通産政務次官も、現在の段階では、肥料の価格は下げなければならぬということを当委員会において言明されました。われわれはそういう問題と取組んで現在最善の努力を払つておるような次第でございます。実はぎよう午前十時から約一時間四十分にわたりまして、農林、通産両大臣に、政府部内に設けられました肥料対策委員会委員長である一万田氏並びに生産者代表である藤山氏、私はオブザーバーとしてその場に臨んでおつたのでございます。これは調整のために、言いかえれば、値段を引下げるために政府があつせんに乗り出しましたことは事実でございますが、実ははなはだ遺憾なことでございますけれども、会談いたしましたが結論に到達できなかつたようなわけでございまして、明日十時から続行することに相なつておる次第でございます。私がこの前の小委員会におきまして、大体二月十日ころまでには結着を見るであろう、そういうような見通しを申し上げましたことは事実でございますが、しかしながら先ほど申し上げましたように、政府はこれを強制する何らの権限も持つていないところに非常に悩みがあるわけでございます。私どもは、引下げのために最善の努力をいたしておるようなわけでありまして、農林、通産両大臣の間にも何ら意思の疏通に欠くる点はなかつたことを報告申し上げます。
  133. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 りんごの運賃の問題であります。これはもうすでに御承知であると思いますが、結果はどうなつているかと申し上げますと、新等級で五級、遠距離割引は六百五十一キロ以上が五%、千二百キロ以上は一〇%引きということになつております。従いまして、問題の発端は二つあるのであります。一つは、運賃を旅客、貨物について両方とも一割上げるということ、それから従来戦時中に、鉄道の側から言えば、貨物の負担力に応じないで相当無理した割引をやつてつた。割引をやつたのは全体の貨物の八五%になり、原則と例外とが逆になつているから再調整しよう、こういう二つの点から出ておるのであります。結論を申しますと、従来は五級でありまして、改正後も五級でありますが、指数の従来の一〇〇が一〇二になつたのであります。それに一割の運賃値上げをかけますから一一〇になつたわけです。つまり全般的に軒並み一割上つたことになります。そこでりんごの生産者に対する影響を考慮しまして、ただいま申し上げましたように中距離は五%、遠距離は一〇%、こういうように遠距離割引をすることにしたのであります。それによりまして、東京までは大体五%だと思いますが、大阪以西に行くのは一〇%見る、従来の運賃とあまりかわらない、こういうふうになつております。結論は、りんごについて等級改正の影響はほとんど出なかつた、ただ一般的な値上りが出て、それをカバーするまでの処置ができていない、こういうふうになつております。
  134. 木村文男

    ○木村(文)委員 今の御答弁でありますが、私ども生産者側から申し上げますと、実にわれわれを冷遇しているということになるわけです。非常に考えていない。農林省はわれわれ草物を生産しておる者を非常に冷適していると申し上げたい。その理由は、かりに十五トン車に例をとつて申し上げると、十五トン車をわれわれが一車買いますと、実際は三トンだけ損している。それは積荷の関係で、あなたはよくおわかりだろうと思う。その三トンの損失をわれわれに負担させて、鉄道はむざくとも存ている、こういう結果になるのです。こういう点も考慮して、将来ぜひともこれを引下げてもらわなければならないのみならず、現在のりんごの値段の問題から考えてみましても、生産者から税金だけとることを考えないで、生産者擁護の意味から、引下げるところの対策を考えてもらわなければならないということを申し上げたい。実はぎよう時間があれば、ここに資料をたくさん持つて来ておるから、この資料を皆さんにごひろう申し上げて、皆様にお諮りを願いたかつたのですが、時間がありませんので、次回に譲りたいと思います。
  135. 野原正勝

    ○野原委員長代理 この際お諮りいたします。農業団体に関する小委員高瀬傳君より小委員を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 野原正勝

    ○野原委員長代理 御異議なしと認めます。次に、ただいまの辞任に伴いましてその補欠選任をいたしたいと思います。これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 野原正勝

    ○野原委員長代理 御異議なしと認め、金子與重郎君を指名いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時三十五分散会