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1953-02-18 第15回国会 衆議院 農林委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十八日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 井上 良二君 理事 足鹿  覺君       秋山 利恭君    大島 秀一君      小笠原八十美君    木村 文男君       高見 三郎君    寺島隆太郎君       松野 頼三君    金子與重郎君       高倉 定助君    高瀬  傳君       中村 寅太君    川俣 清音君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業政務次         官       小平 久雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         農 林 技 官         (大臣官房総合         開発課長)   庵原 文二君         通商産業事務官         (石炭局調整課         長)      町田 幹夫君         通商産業事務官         (公益事業局需         給課長)    大畑 哲郎君         通商産業技官         (軽工業局化学         肥料部長)   柿手 操六君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 二月十日  委員中馬辰猪辞任につき、その補欠として松  岡俊三君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員平川篤雄辞任につき、その補欠として三  木武夫君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員松岡俊三辞任につき、その補欠として中  馬辰猪君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十二日  美里別川流域造田計画に関する請願伊藤郷一  君紹介)(第一七一二号)  古谷沼排水工事促進に関する請願丹羽喬四郎  君紹介)(第一七九九号)  庄内村地内に林道開設請願砂田重政君紹  介)(第一八〇〇号)  入院患者用配給米増配に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第一八〇一号)  入院患者用配給米増配等に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第一八〇二号)  くりたまばち防除事業費国庫補助増額に関する  請願大石ヨシエ紹介)(第一八〇三号)  農村電柱敷地補償に関する請願大石ヨシエ  君紹介)(第一八〇四号)  海岸砂地地域農業開発臨時措置法制定に関する  請願川野芳滿紹介)(第一八〇五号)  南那珂郡外二郡を急傾斜地帯指定請願(川  野芳滿紹介)(第一八〇六号)  農業協同組合強化等に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第一八〇七号)  土地改良法の一部改正に関する請願江崎真澄  君紹介)(第一八〇八号)  林道坂部線開設に関する請願今村忠助君紹  介)(第一八〇九号) 同月十六日  国有林野所在町村に対する交付金増額請願(  池田清君外九名紹介)(第一九〇八号)  国有林野払下げに関する請願中馬辰猪君外九  名紹介)(第一九三七号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等による補助  対象単位引下げに関する請願大野市郎君紹  介)(第一九三九号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に基く総合助  成に関する請願只野直三郎紹介)(第一九  四〇号)  林道予算増額に関する請願只野直三郎君紹  介)(第一九四一号)  市町村農業委員会費国庫補助に関する請願(只  野直三郎紹介)(第一九四二号) の審査を本委員会に付託された。 二月十一日  農業団体等制度に関する陳情書  (第一一五九  号)  農業協同組合固定化資金流動化促進に関する  陳情書(第一一六〇  号)  農産物価格安定に関する陳情書  (第一一六一号)  肥料価格安定に関する陳情書  (第一一六二号)  飼料の需給並びに価格の安定に関する陳情書  (  第一一六三号)  海岸砂地地域開発に関する陳情書  (第一一六四号) 同月十二日  米価引上げに関する陳情書  (第一二六〇号)  農業委員会拡充強化に関する陳情書  (第一二六  一号)  食糧増産政策の確立に関する陳情書  (第一二六  二号)  食糧自給促進法立法化実現に関する陳情書  (第一二六三号)  農林漁業金融公庫法案に関する陳情書  (第一二  六四号)  農業災害補償法に基く農業共済事業に関する陳  情書  (第一二六五号)  つぐみ、あとり、かしらだかを猟鳥に加えるこ  とに反対の陳情書  (第一二六六号)  民有林道開設に要する昭和二十八年度予算増額  に関する陳情書  (第一二六七号) 同月十七日  米穀の統制撤廃に関する陳情書  (第一三六六号)  農業協同組合整備強化に関する陳情書  (第一三  六七号)  農村文化厚生運動の推進に関する陳情書  (第一三  六八号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置法による補助範囲拡大陳情書  (第一三六九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案野原正勝  君外九十九名提出衆法第三一号)  肥料に関する件     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案議題として、前会に引続き審査を進めます。質疑または御意見があれば、発言を許します。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 私はこの法案に対する質疑を行う前に、委員長に一言申し上げたいと思います。  現在の廣川農林大臣は、農林大臣に就任した直後、この常任委員会にあいさつ的な意味で姿を現わしたきりで、その後一度も来ていないのであります。このことは現在における日本の農業政策を担当する一番責任の重い位置にある大臣が、農林常任委員会に対してどういうよう考えでおるかということであります。もちろん自由党内部における最近のいろいろな動き等から考えると、農林大臣が非常に疲れておることはうかがわれるわけでありますが、しかし農林大臣としての政務が大事であるか、党務が大事であるかということのけじめは、おのずからつけてもらわなければならぬと考えるわけであります。二十八年度農林関係に関する予算あるいはそれの基本的な方針等についても、当常任委員会においてはいまだに説明を聴取しておらないわけであります。こういう点について坂田農林委員長は、今後どういうお考えを持つて農林大臣委員会に対する出席怠慢等に対して処置されるお考えであるか、これをお聞きしたいと思います。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 農林大臣農林行政についてはきわめて熱心で、予算委員会等には熱心に出席もし、またお答えもしておりまするし、農林委員会に対しても同様進むよう考えておりまするし、また私としてもさように進みたいと存じます。なお松浦政務次官は熱心に出席されておりますから、その点をつけ加えて申し上げます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 きよう議題になつておるこの海岸砂地の問題にしても、これは議員立法であるので、所管大臣出席して、このことに対しての所信を明らかにするのが当然であると考えるわけであります。本日農林大臣はこの委員会出席できるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  6. 坂田英一

    坂田委員長 松浦政務次官がかわりに出席しておりますから、つけ加えて申します。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣政務次官は同じではない、別な存在であつて次官が来ておれば大臣は来なくてもいいということは違うと思います。なおきよう予算委員会はおそらく審議に入ることはできないというような一つの予測もあるので、そういう場合においては、当然大臣はこちらへ出席が可能であると考えるのですが……。
  8. 坂田英一

    坂田委員長 農林大臣はでき得る限り農林委員会出席するように手はずをとります。  海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案に対する質疑または御意見を求めます。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣に対する措置委員長にまかせることにいたしまして、法案内容に入りたいと思います。  海岸砂地地帯地域規制ですが、先日来の当局お話によると、大体内陸を除いた海岸地帯というような抽象的な説明でありましたが、この海岸砂地地帯規制海岸からどのくらい奥までをさして指定するお考えでありますか。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 地帯指定につきましては、当然法律によつて設置せられます海岸砂地地帯農業振興対策審議会におきまして十分に審査をいたし、適当な意見主管大臣に答申をいたすことになり、意見を具申することになつておりますので、従来のこの種の特殊立法の一番大きい積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の場合の慣例等考えてみますならば、当然その範囲とか限度とかいうような問題につきましては、さらによく行政庁意見をも尊重いたしましてまた審議会意見をよく反映いたしまして、——その範囲海岸より何キロというよう指定をただちにここにおいて申し上げることは困難だとは思いますが、自然的条件が大体指定に該当するということになる範囲内において、当然立地条件に即応して決定されるものである、かように私ども考えておる次第であります。
  11. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、計画が立てられて予算化されなくて、予算ができてから審議会でそういう地域等指定予算に見合せて立てられるのでありますか、計画が立てられて予算化されるのでありますか、提案者にお伺いしたいと思います。  なお、これは松浦政務次官に伺いますが、本年度予算にはこれが入つておりませんが、この法案が通れば当然補正予算等によつて予算を組むのでありますか。またこの法案が通ることによつて初年度どのくらいの予算が可能でありますか。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 川俣さんの御質問でありますが、先般の年末の国会において通過いたしました湿田単作地域農業改良促進法の場合におきましても、必ずしも予算裏づけは十分でなかつたと思います。従つてわれわれとしましては、この法案が通過いたし成立を見ましたあかつきにおきまして、その法案に対する裏づけとして予算的措置が講じられなければならぬと深く信じ、また、その実現を期待しておるわけであります。従いまして提案者といたしましては、法案提出後において、審議会等の意向をもよく考えまして、すみやかに、政府に対して、適当な機会に補正措置等によつて予算的裏づけ実現するように、今後努力をして行かなければならぬのではないか、かよう考えておるわけであります。
  13. 松浦東介

    松浦政府委員 本法立法化されましたならば、これはわれわれといたしましては、補正予算を組んでも予算化したいものである、こういうよう考えておるわけでございますが、補正予算の問題につきましては、現在予算委員会においても、いろいろの問題もありますし、また、これはまだ私が、政府を代表して責任ある答弁を申し上げる段階ではございません。私どもとしましては、できるだけ補正予算を組んで御趣旨に沿いたい。そういう意味で研究して善処をいたしたいと思います。
  14. 川俣清音

    川俣委員 これは政務次官でも、あるいは提案者でもいいのですが、何年くらいの間にこれを完成したいという計画で提案されたか。また政府としては、何年間くらいでこれが完成を見るという方途を持つておられるか。
  15. 松浦東介

    松浦政府委員 これは、本法立法化いたしましたあかつきにおいて、十分研究し、善処をするつもりでございますが、大体これは予定通り計画が進行しますならば、七箇年間くらいの計画でいたしたい。こういうように予定いたしておるようなわけであります。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 この法律附則第二項に、「昭和三十五年三月三十一日限りその効力を失う。」ということになつておるわけであります。提案者としましてはかよう趣旨のものは、恒久立法を大体適当と考えました。しかしながら、他の特殊立法等事例等をも勘案をいたしまして、でき得る限り、長期にわたつてその目的が達成できることを希望しておつたわけでありますが、諸般の情勢上から、附則第二項の期日にわたる間、すなわち七箇年間を目途として事業の達成をはかつて行きたい、かよう考えておるわけであります。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま提案者からの御説明がありましたが、もう少しこれを具体的に、海岸という概念からいつた場合のこの地帯地域指定、それから砂土というような、そういう分布状態からの延長の場合、なかなか区分がつかぬ場合もあると思うのでありますが、この法案が通過して、地域指定をする場合においては、当然これらのことが問題として浮んで来ると思いますので、そういう場合も予想して、政府委員の方から、これらについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  18. 松浦東介

    松浦政府委員 ただいまの御質問につきましては、正確を期す意味において、事務当局より答弁させます。
  19. 庵原文二

    庵原説明員 海岸砂土地帯として指定が予定されますのは、海岸不毛地、林地、耕地が接続しておる所でございますが、潮風あるいは潮流に原因いたしまして、構成されました砂土によつておおわれた面積が、大体集団的に百町歩以上あるということを予想いたしております。この百町歩のうちで、海岸防災林あるいは現在耕地になつておるような所が二十町歩以上ある、あるいはまた今後海岸防災林を造成する必要があり、あるいはまた開拓が可能であるという面積が、二十町歩以上少くともある所を指定してはどうかというふうに、事務当局として一応考えております。なお砂土と申しますのは土性の種類でありまして、細土の中で粘土の含量が一二・五%以下のものでございまして、すなわち砂の含量が八七・五%以上の土壌を、砂土と申しておるのでありますが、それらの土地を大体対象といたしたいというふうに考えております。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 海岸砂地地帯が、大体全国的に約十五万町歩あるわけであつて、それが耕地と山林と不毛地と大体三分の一くらいずつにわかれておる。もちろんこの法案のねらいは、海岸地帯における防災林の問題、畑地灌漑問題等が、大きな事業目標となるわけでありますが、これをやる場合においては、今後十五万町歩余にわたるところの土地分布状態を、耕地あるいは防災林等をどういうような形に変貌さして行くことが合理的であるかという点に対するお考えをお聞きしたいと思う。
  21. 庵原文二

    庵原説明員 事業計画といたしましては、先ほど御説明になりましたように、審議会決議等によつてきまるわけでございますが、法律によりまして各県において、この地帯農業振興計画を樹立いたしますので、それの実現目標といたしてやるわけであります。事業のおもな内容といたしましては、海岸防災畑地灌漑開墾建設事業、そういつたようなものを、一応重要な事項として予定しておるのであります。初年度から七年度にかけまして、年度別に次第に事業量をふやして行くというつもりでおりますけれども、詳細の計画は、法律が成立いたしました、あとで、審議会等審議をまつて確定いたしたいと考えております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、国有不毛地の場合ですが、大体一万八千町歩くらいこの地域の中にあるわけであります。これらは全然放置された地積でありますけれども、この法案が通過したような場合においては、この二万町歩近い国有不毛地を、どういうふうに効果的に利用されて行くお考えであるか、その点もお聞きしたいと思う。
  23. 庵原文二

    庵原説明員 この法律の第十条でございますが、国有財産に関する規定を設けております。これによりまして、海岸防災林なり、開拓関係事業等を行います場合に、国有不毛地について、事業主体が、これを無償貸付あるいは譲与を受けることができるよう規定を設けてございますので、これによつて運営して参りたいと考えております。国有不毛地に対する事業といたしましては、防災林が主たる事業となると思います。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、松浦政務次官にお伺いします。この法案が通過した場合に、その振興計画を立てる場合において、当然積寒単作振興計画と重複して来る場合が非常に出て来るわけであります。特に青森県などの場合においては、面積も非常に多い関係があるので、こういう点の調節は、一方において積寒法によるところの振興計画を進めると同時に、一面においてはこの海岸砂地地帯振興計画を進めるという、このどちらも、この法案意義が持つところの効果性をプラスした形において運用されるお考えであるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  25. 松浦東介

    松浦政府委員 積雪寒冷単作地帯臨時措置法と急傾斜地帯農業振興臨時措置法本法とが、地域的に非常にダブる場合が多いのではないか、これをどういうふうにするかというような御質、問のように拝聴いたしましたが、これは地域としましては、当然二重に指定することも考えられますけれども事業的にはなるべく効果が上りますように、よくその間調節をとりまして、事業そのものとしてはダブらないようにいたしたい、こういうふうに考えておりますが、なおそういう面の詳しいことは、この法律ができましたあかつきに、いわゆる審議会において検討いたしたい、かよう考えております。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 問題はこの法案だけを通過するということよりも、むしろこの法案が成立したことによつての国の予算的、財政的な措置をどうするかというところにかかつておるわけであります。結局こういう劣悪な条件のもとにあるところの農業生産条件を、この法案によつて高めて行くというところにねらいもあるし、関係農民の願望もそこにあるということを考えた場合において、過去において通過したところのいろいろの特殊立法に対するその後の予算的措置を見ましても、非常にこれは満足のできがたいものが多いわけであります。それで問題は、この法案が通過した場合において、二十八年度においていかなる予算的な措置を具体的に行うかということにかかつて来るわけでありますが、先日の委員会における政府当局の御説明によりますと、大体現在組まれた予算の中から、これにまわすべきものが、これに類似したものが、一億一千万程度はあるというようお話を聞いたわけであります。そういう程度であれば、これは特にこういうよう特殊立法をつくつてやらなければならぬというよう意義も、そこから生まれて来ないわけだと思うわけであります。それでこの法案が成立した場合において、政府は積極的にこれに対しての予算的、財政的裏づけを行うということに対する、具体的なお考えを聞かしてもらいたいと思うわけであります。
  27. 松浦東介

    松浦政府委員 先ほども一度お答え申し上げたと思いますが、重ねての御質問でございますので、お答え申し上げます。これは法律をつくるのが目的ではなくて、食糧増産なり、あるいはこういう非常に条件に恵まれない土地に対していろいろな特別の保護を加えるという意味での立法でございますので、これが立法化されましたあかつきには、これはできるだけ財政的考慮を払つて善処するのが当然である、かよう考えておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、補正予算を組んでやるかどうかという問題につきましては、いろいろ議論もあり、また私の一存をもつて責任を持つてお答えする段階ではございません。でありますから、本法が成立いたしましたならば、十分政府は誠意をもつて研究し、これに対し善処をいたしたい、こういうふうに申し上げる段階でございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 私が特にこの点を申し上げるのは、本年度農林予算を一瞥しても、たとえば食糧増産に関する問題にいたしましても、政府食糧増産促進のために五箇年計画考えておるわけでありますが、この五箇年計画に対する二十八年度予算の要求が、五百八十億に対して、わずかに二百六十億しか決定になつておらぬというようなことを考えた場合においてどうしても今後における国内の農業生産を高める場合においては、国の財政投資が今まで以上積極的に行われなければ、その実効が現われて来ないということが指摘できるのであつて、この法案が通過した場合においても、今農林次官が言われたように、このことに対して責任を持つて具体的な財政措置をつけるべきであるということを、特に意見として申し加えまして、これで私の質問を終りたいと思います。
  29. 松野頼三

    松野(頼)委員 ただいま資料が出ましたが、これは大臣官房開発課のお調べのようですけれども、私は実はこの法案審議が始まつて以来非常に期待しておつたのです。御承知のように、私は全日本のことは知りませんけれども、たまたま私の郷里の県は、有明海に面して天草灘を控えて、玄海に臨んで、相当この法案に関与するところが多い。従つてこの法案に関しては非常に私も渇望しておつたのですが、さてきよう資料を見ますと、急いだために不完全なところもございましようが、何といいましても大事な所が抜けておる。これほど必要な所が抜けておる法案なら、これは私は初めの考えをかえなければならぬというのが現実の姿です。私は全日本を知つてれば別個ですが、私が一番知つておる、しかもこの法案に一番必要な所です。「農業生産力の向上を図り、もつて農業経営の安定と農民生活の改善を期することを目的とする。」この条項にぴつたり当てはまる土地が、たまたま資料の不完全によつて抜かされておるという事実を前にして、この法案採決賛意を表することは不本意であります。ただいま審議会があるからいいじやないかと言われますが、それじや審議会はいつころお開きになるつもりか。審議会の方にははなはだ御足労だが、私の所に来て見てもらいたいという気もするのです。採決を前にしていろいろ議論は抜かしますが、しかしこの疑問をこのままにして、この法案賛意を表するわけに行かないので、この点を確かめてから採否をきめたいと思います。資料をおつくりになつた農林省からお聞きいたしたいと思うわけであります。
  30. 庵原文二

    庵原説明員 お手元に配りました資料は、各府県の報告から調製したのでありますけれども期日関係で、十分細部まで調査が行き届いておるかどうか、御指摘のように疑問の点もございます。そういう所につきましては、今後なお詳細に調査をいたしまして、補正すべきところは補正して参りたいと考えております。
  31. 松野頼三

    松野(頼)委員 私は非常に必要だと思うのですが、入るのですか、入らぬのですか、それをひとつはつきり聞いておきたいと思います。
  32. 庵原文二

    庵原説明員 審議会においてきめられました基準に該当しますれば、当然入ることになります。
  33. 松野頼三

    松野(頼)委員 審議会はいつころお開きになつて、御決定になりますか。
  34. 松浦東介

    松浦政府委員 立法化されましてから、なるべくすみやかに開きたいと存じます。
  35. 松野頼三

    松野(頼)委員 審議会が開かれて、どのくらいたつた決定になりますか。
  36. 松浦東介

    松浦政府委員 なるべくすみやかに、法律ができましたならば審議会の構成をお願いいたしまして、いたしたいと考えます。
  37. 松野頼三

    松野(頼)委員 私もなるべくすみやかを要望しますが、私の所が入るかどうかが実は要件なのです。私はこの法案をずつと一生懸命審議しながら、自分で一番よく知つておる所、あそこが入るならいいな、農民が助かるなということを考えながらやつておる一人なんで、おそらく各人もそうだろうと思う。しかもその構想に当てはまつた法案ができて、実行においてこれが落されるというならば、私は妙な気持になる。これははなはだこまかい考えようですけれども、おそらく私の頭としては、自分の知つている所を中心農業を研究し、自分の知つている所を中心農業政策考えている一人としてはしかたがなかろう。従つて、私の所が入るかどうかは疑問ですが、ほかの所が入つていて自分の所が抜けていればいい気持がしないので、この点の見通しとして、はなはだ失礼ですが、ひとつ私の所まで調査に行つていただく時期があるかどうかを、この際確めておきたい。
  38. 松浦東介

    松浦政府委員 法律ができまして審議会が生れ、審議会決定になりました基準が出れば、松野さんがおつしやるような御指定の場所がその基準に合うならば、私はそれは自動的に入るであろうと思います。松野さんがおつしやる今のお話によれば、私は御心配がないではないかと思いますが、必要に応じましては調査いたすつもりでございます。
  39. 松野頼三

    松野(頼)委員 はなはだ皆様をお待たせして私も少々しつこいようだが、私としては大事だからがまんしていただきたいと思う。その今のお話で非常にいいのですが、自分の所が抜けていればいい気持がしない。誤りというならそれは別個の問題で、一応調査団を派遣するかどうかということをここできめていただきたい。それほど慎重に、この指定に重点を置くというなら、開発課長でもよいから来ていただきたい。あなた方はおそらく知つておらないのじやなかろうか。その点ははなはだおこがましい話だが、こういういい法案ができるならば、全農民にあまねくこの法案の恩恵を施さなければいけない。念を押しますが、これだけは審議の最後にきめるんだから、これが入らないというならば、法案は非常にいいけれども私の所は困る。
  40. 松浦東介

    松浦政府委員 調査の結果、必要があれば調査団を派遣いたします。
  41. 坂田英一

    坂田委員長 他に御発言もなければ、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。それではこれより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  43. 坂田英一

    坂田委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  45. 坂田英一

    坂田委員長 次に引続きこれより肥料問題について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを順次許します。井上良二君。
  46. 井上良二

    ○井上委員 肥料の需給関係を安定いたしまして、さらに当面いたします価格の問題について、本委員会は数回にわたつて慎重に審議を進めて、かつ委員会といたしましては、この結論として特に本会議に対して各党共同提案による肥料政策の確立に伴う価格の安定並びに引下げに関する決議案を満場一致をもつて可決をいたしたのであります。この決議案に対して農林、通産両大臣とも特に発言を求められまして、この決議に対して両大臣ともきわめて率直にも問題の重要性にかんがみて、通産大臣は、時期を失せずできるだけすみやかに措置を講ずる旨の発言があり、農林大臣は、真に農民の安心する価格とまたは対策を講ずるよういたし本院の決議にこたえたい、こういう答弁をされておりますが、これは御存じの通り、非常に時期を急ぎます関係で、国会の意思を表明したことに対し、両所管大臣よりこの国会の意思に沿うところの発言が行われたのでありますが、その後政府はこの国会の決議に対して、具体的にどういう措置を今日までとられて参りましたか。この点に関して農林大臣並びに通産大臣——通産大臣がいなければ、通産政務次官から、その後の措置についておとりになりました経過を、この際御説明を願いたいと思います。
  47. 松浦東介

    松浦政府委員 二月十二日衆議院でただいまお話ような決議案が満場一致通過されましたし、また参議院農林委員会からも同様趣旨の申入れが政府に対して行われたわけであります。そこでわれわれ政府は、国会において農林、通産両大臣から意思を表明せられました線に沿いまして、幸い目下政府の内部に諮問機関として設けられております肥料対策委員会がありますが、非常に熱心にその方面の調査を緊急進めておるよう段階にございますので、本会議の決議の趣旨に沿うべく、実はいろいろの方法をもつて促進方の申入れをいたしておるようなわけであります。二月十六日の第四回目の対策委員会におきまして一応の結論が生れたようなわけでございますが、それに対しましても、まだ実はわれわれ農林省側としましては満足すべき段階でございませんので、もう一段の努力が必要であると思いまして、私の聞いておる範囲では農林、通産両大臣において今後生産者側に対しましても政府の申入れ等を行い、その間御趣旨に沿うような線で努力を続けているようなわけであります。幸い農林大臣が御出席になりましたから、農林大臣からお話があると思います。
  48. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 連日予算委員会にくぎづけになつておるものですから、当委員会出席することができなかつたことを遺憾に存じます。  実はただいま政務次官から御報告申し上げた通り、肥料対策委員会を設けまして、その答申が出て参つたのでありますが、それのみでわれわれは満足できませんので、今朝通産大臣と協議の上、メーカーに会見申入れをいたし、そして本委員会において決定いたされました線に沿うて、強く私はメーカー側に対して申入れをいたしたいと思う次第であります。なおまたそれと関連いたしまして、政府部内においては、この生産コストを見れるだけの準備をしなければならぬと思つておりまするので、これの立法措置をあるいは講ずるようになるかもしれませんが、その辺まで切下げておかなければならぬと考えて、準備をいたしておるようなわけであります。
  49. 井上良二

    ○井上委員 当面する春肥の価格の引下げに関しまして、政府から委嘱しました肥料対策委員会もまた、二月十六日肥料の生産費の内容については検討すべき点も多いが、最終的な結論を得るには若干の日数を要するので、とりあえずこの際当委員会としては関係官庁もこれがあつせんに当り、メーカー及び全購連、卸売業者において、さきに決定した安定価格を引下げる趣旨をもつて、早急に再検討されるよう勧告する。これとともに政府においても、肥料価格を可及的に低下せしめるため、至急左の措置を講ぜられるよう要望する。そこでその第一はコスト低下の一方策としてとりあえず安価な外国炭の輸入、標準電力割当量の増加、財政資金の金利引下げ及び輸送費の低減に関して必要な措置を講ずること、こういうことと、その次は春肥の需給を円滑にせよということでございますが、問題はここにかかつて来ております。すなわち価格を下げるべきであるという前提を一応うたい、下げるにあたつては石炭とか、電力とか、金利とか、輸送費とかを見て必要な措置を講ぜよ、こうなつている。政府はこの答申通り値下げをするとすれば、その対策もあわせてやるつもりですか。それとも安定帯価格を、一応肥料輸出によつて生じました海外価格と国内価格とのあの大きな開きを何とかこの際一応調整をし、農民の不平と不満を緩和し、その後に起る肥料生産の経営の面に出て参ります諸問題について後ほど対策を講じようというか、これは非常に技術的に重要な問題でありますので、この際石炭、電力、金利等総合的に解決しようとするのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  50. 小平久雄

    ○小平政府委員 先ほど農林省側からお答えがあつた通りの経過をもちまして、二月の十六日に肥料対策委員会から答申があつたのでございますが、ただいまお尋ねの春肥の価格引下げに関します委員会の答申の中に、御承知の通りの四つばかりの条件が掲げてあるわけであります。そこでお尋ねの件は、いわゆる出血輸出によつてこの問題が起つた関係もありますから、それとの関連において春肥を下げるということが第一と思いますが、通産省としましては、いわゆる出血輸出による赤字という問題は別個の問題といたしまして、これはあくまでもその損失というものを国内の需要家には転嫁いたさないという、別途の道においてこれが解決をしたいという考えであります。従いまして今度の春肥の価格の決定につきましては、この委員会の答申と申しますか、その申入れの趣旨を尊重いたしまして、ここにあげられました四つほどの条件につきましてそれぞれ道を講じて参りたいと考えているわけであります。この四つのうち安価な外国炭の輸入及び標準電力の割当量の増加、この二つは申すまでもなく、通産省の主管でございますので、それぞれ早急に善処いたしたいと思つております。特に電力量の割当につきましては、御承知の通り大体大口割当電力としましては、全体で年間に百二十億キロワツト・アワーばかりあるのでございますが、そのうち化学肥料が三十三億キロワツト・アワーでございます。さらにそのうち硫安につきましては、大体二十三億キロワツト・アワー程度となつておりますが、本年三月までの分につきましては、すでに割当が済んでいるわけであります。従いましてこれが増加ということも、結局四月以降にならなければならないという事情に今置かれているわけであります。その他第三の財政資金の金利の引下げ、第四の輸送費の低減、これにつきましては、それぞれ主管省に向いましてすでに交渉を開始いたしているような状況であります。
  51. 井上良二

    ○井上委員 政務次官大臣の答弁と食い違つております。そうしますと、政務次官は現在の農林、通産、経済審議庁のあつせんでつくりました安定帯価格というものは、妥当な価格と考えていますか。今出血輸出の赤字をどうとかこうとか言つておりますが、これが出血であるか、出血でないかということについては、先般も予算委員会において議論がされました結果、政府の方では生産コストを調べていないし、それが損であるか、損でないかはわからないという答弁を通産大臣みずからいたしておるのであります。つまり生産コストを調べる権限が、統制をはずしております今日できませんので、そこで出血輸出が行われたと言うておるけれども、はたして出血であるか、それに伴う赤字はどれだけあるかということについては、実際上わからないというのがほんとうでないか、こうわれわれは了解しておるのであります。上がるに今のお話では出血輸出であり、赤字をどうするかということについては、農民にそれを転嫁させないように、こういうお考えようでございますが、問題は、現在当面しておる価格を引下げるということについて、この出血が問題になつているのであつて、われわれは今日国際的な肥料価格が国内価格よりもはるかに下まわつておるという事実から、当然国内価格は下げるべきであるという見地に立つており、またそれだけ増産もされておりますから、当然価格は引下げるべきであるという見地に立つておるのであります。そういう関係から、通産省では現在の安定帯価格を妥当な価格と、こうお考えになつておりますか、これは非常に大事な問題でありますから伺いたいと思います。
  52. 小平久雄

    ○小平政府委員 昨年の輸出が出血であつたかどうかということは、ただいまのお話の通り正確なところはわからないのであります。従いまして、私は先ほども、いわゆる出血という言葉を用いたつもりなのであります。ただそれが事実とすればという前提をあるいは申し上げなかつたかと思いますので、言葉が足りなかつたかと思いますが、事実とすればそれを国内需要から転嫁しない、こういう意味お話申し上げたのであります。もちろん現在の安定帯価格が決してこのままでよろしいと思つているわけではありませんで、肥料対策委員会もそのために設けまして検討を願つたのでありまして、この答申にも、これを引上げるという趣旨において業者間の協議をしよう、しかもあつせんもしよう、こううたつてあるのでありますから、通産省としましても、できるだけ引下げるように努力したいという考えでおることは当然であります。
  53. 井上良二

    ○井上委員 現在のよう肥料の自由取引の形におきましては、妥当な安定価格というものは一体どこを標準にしてきめるかということが問題になつて来ると思います。その場合通産省としましては、現在のわが国の肥料の生産実績から勘案をし、また国際的な肥料の動きから見まして、国内肥料の価格というものはどの線を妥当な線とお考えになつていますか。これが明らかにされませんと、事後の対策は立て得ないのじやないかと私は考えます。そこで私自身の考えを申し上げますと、今日、少くとも自由価格に肥料を放任してある現状におきましては、やはり肥料の価格は国際価格が妥当な線でないかと考えております。そこで国際価格より生産コストが高い場合に、国際価格と競争でき得る価格に下げ得るような生産施設の合理化をはかつて行かなければならぬじやないか、こういうように私ども考えております。だから今通産省は、肥料価格を一体どのくらいが妥当な価格と考えておるか、これを一応伺いたい。
  54. 小平久雄

    ○小平政府委員 肥料の価格の妥当な点はどういう線かというお尋ねでありますが、先ほどお話申し上げました通り、われわれとしましては、できるだけ国際価格一本で行ける線まで肥料工業の合理化、近代化をはかつて行きたいということで、あらゆる努力をいたしておるわけであります。遺憾ながら昨年来の事情は、国内価格と国際価格との相当の開きを見たというところに問題が生じておるわけでありますが、この国際価格が非常に安くなる。特にそれが船賃の低落等によりまして一増はなはだしくなりまして、西独等の硫安が東亜にまでもやつて来るというような事態が起きておるわけでありまして、通産省としましても、国内価格、国際価格一本で行ける線までこの肥料工業を合理化いたして行くという目標に向つて努力をいたしております。現実の問題としまして、しからば国内価格をただちに国際価格と同じところまで持つて行くかという問題になりますと、肥料工業は申すまでもなく、わが国の化学工業のいわば最も大切なるものとしまして、輸出工業としましてもこれを育てて参りたい、こういう考えを持つております。遺憾ながら現実のような両価格の差ができておるわけでありますが、これをどう調節するかということは、これはまつたくむずかしい問題であります。従いましてとりあえずとしましては、この春肥の値段をどうするかということは、われわれはなるべく安い線で、国際価格になるべく近い線で、しかも肥料工業が成り立つ範囲において下げて行くという方針であります。
  55. 井上良二

    ○井上委員 なるべくというそのお考えはわれわれも了といたしますが、なるべくを裏づける具体的な対策を示してもらいませんとわれわれは納得できません。あとから質問をいたしますけれども、御存じの通り肥料の輸出問題が再びメーカー側から要求をされております。この輸出をめぐりまして、はたしてこの輸出が外国相場を下まわらなければ——、上まわつてつたんでは輸出はできませんから、そうなつて来た場合、当然国際価格との問題が再び大きな議論になつて参ります。だから通産省としては大体国際価格にさや寄せして行く、さや寄せするには、たとえば現在の肥料生産に必要な原材料が非常に高い。石炭とか、あるいはまた硫化鉱とか電力というものが総合的に計画されて、石炭をこの値でこれだけまわせばこの分でこれだけ下る。電力はこれだけ増配すればこれだけ増産されるからこれだけ下る。また金利や輸送等においても、こういう措置をとればこれだけ安くなる。そういう具体的な国際価格を目的にしておるならば、すぐ輸出問題にからんで来て、国内価格との差額がそこに生じて再び今日議論して、おるようなことが国会で議論せられなければならぬことになりますから、そこで通産省としては、肥料価格は国際価格に持つて行くんだ、そうしなければ輸出産業として育てる意義もありませんから、どうしても国際価格にせなければならぬ。国際価格にするのには石炭はどうする、電力はどうする、金利や輸送はどうする、それでこれだけ安くなる、こういうことでなかつたらあなたの説明は生きて参りません。だからその下げられる具体的な内容を示していただきたい。
  56. 小平久雄

    ○小平政府委員 お示しの通り、硫安の価格を国際価格まで持つて参りますためには、総合的な施策をしなければならぬわけであります。その点につきましては、通産省におきましても具体的に研究を進めておりまするが、何と申しましても一番さしあたつて問題になりますのは、石炭の価格の問題でございますので、この炭価の引下げという面につきましても、ただいまいろいろ研究をいたしております。特に一口に申しますならば、わが国の炭鉱の若返り法とでも申すべきいわゆる縦坑方式の採用、あるいはその他税制の方面、金融の面、これらのもろもろの面から炭価を引下げて参りたい、こういうことで目下努力をいたしておるわけであります。
  57. 井上良二

    ○井上委員 そういう抽象的なことでは問題は解決できません。メーカーの方でも、お聞きでございましようが、この際価格を下げることは政治的にやむを得ないとして、価格を下げる裏づけとして必要な措置をとつてもらいたい。また同時に輸出も相当のわくをもらいたい、こういうことを言つておるわけであります。だから当面の責任当局である通産省としましては、当然これにこたえる具体的な対策を立てなければなりません。しかるに今お話の石炭の問題を取上げてみても、重要炭鉱を縦坑に直す、縦坑の開鑿を始める。そのために資金を四百九十億まわして七十九本の縦坑をつくる。しかもこれは五箇年の長い日時を要する。そういうことでただちにそれだけ石炭が多く、安く肥料にまわされるということは、今日直面しておる価格値下げの問題には効果的ではあらません。恒久的な一つの対策としてはそういう対策も必要でございますが、即効的な対策としては外炭の輸入である。外炭をかりに輸入するとして、一体どのくらい外炭を輸入しようとするか。そうしてその輸入したものを今度はコークスにつくり直さなければならないが、この際ガス会社は国内炭と外炭との価格差をコークスの場合もつけられるかどうか。ここに問題があるのでありますが、その点が明らかにされておりません。外炭の輸入はどれくらいの量を輸入すれば、肥料側が要求しておるだけの石炭を間に合わすことができる。またそれだけ入れて、これをガス会社にまわしてコークスをつくつた場合、国内炭と外炭との格差がコークスの生産費の場合においても出て来るかどうか。ここが問題になつて来る。その点を明確にしてもらいたい。縦坑をどうするこうするというような気の長いことをやつてつてもらつたのでは、今日の当面する問題の解決にはなりませんから、即効的には外炭を入れるよりしかたがない。外炭を入れるとすれば、コークスにつくり直さなければなりませんが、その際の価格をどうするかということが問題になつて来る。その点をまず第一に伺いたい。その次に電力の問題を伺うことにいたします。
  58. 小平久雄

    ○小平政府委員 外炭を入れる問題につきましては、先ほど最初にお答えいたしたのでありますが、ただいまお尋ねの点につきましては、事務当局においてもいろいろ具体的に研究しておりますから、説明員から答弁いたさせます。
  59. 町田幹夫

    ○町田説明員 外国炭の輸入の問題につきまして申し上げます。原料炭を輸入してガス会社に供給いたしまして、コークスの値段を安くするという問題でございますが、コークスの値段をはたしてガス会社がそれだけ安くするかどうかという問題は別にいたしまして、われわれといたしましては、ガス会社の方の要望もございまして、昨年度今のガス料金に算定しておりまする三十五万トンの外国炭の輸入を見込んでおりますが、それを本年度は相当大幅にふやしたいと考えております。ただまだ外貨予算が全面的に決定いたしておりませんので、その数量を幾らにするかという問題は、いまだもう少し時間を要すると思いますが、いずれにしろガス関係の外国炭の輸入をふやしまして、それによつてガス会社の方の採算も国内炭を使うよりはよくなりまして、その関係の面はガス会社のコストが下る、こういうふうに考えております。
  60. 井上良二

    ○井上委員 この際農林大臣に向います。農林大臣としましては、現在の価格が、国際価格に対して当然下げなければならぬ情勢が起つており、また国際価格へ肥料は下げるべきであるという考えをわれわれは持つておりますが、この点に対して、農林大臣は消費者側である農民を代表する大臣としてどうお考えになつておりますか。国際価格にするとすれば、農林大臣としては具体的にどういう処置をおとりになろうとしますか。
  61. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農民気持は、端的に国際市場にメーカーが出した価格を直視いたしておるのでありまして、国内で消費される肥料も当然下り得るものであると私は考えておるのであります。またこの輸出をした場合に——これはかりに出血と言つておりますが、メーカーが出す場合に、政府に対して同時に条件をつけたことを私承知いたしていないのであります。かりに金利の引下げなり、あるいはまた電力の増配なり、あるいはまた外炭の輸入なりという条件をメーカーがつけたことを承知いたしておりません。でありますから、これはメーカーが相当自信をもつて輸出をしたと私たちは承知いたしておるのであります。そういうような観点から見ますと、国内にこれから流通せんとする肥料に対しては、メーカー側に相当下げ得るという考えがあるのじやないかと私たちは思うのであります。それからまたこの肥料対策委員会からの答申を拝見いたしましても、下げることを勧告いたしておるのでありまして、今後国際市場においてこれをどう切り抜けて行くかということについては、通産省からるる説明もあつたようでありますが、これは今後の問題として私たちの目前に迫つておる春肥に対しましては、これは端的に正直にメーカーから腹を割つて話を伺つて、そういう安い肥料を使いたいという農民の要望にこたえるように、われわれとしては努力いたしたいと思うのであります。
  62. 坂田英一

    坂田委員長 ちよつと委員長から申し上げたいが、農林大臣に御質問の方は、一応その方へ集中して御質問願いたいと思います。
  63. 井上良二

    ○井上委員 それではもう一点だけ大臣にお尋ねして、あとは事務当局に対してお尋ねいたします。今の農林大臣お話を伺つておると、この春肥の価格の引下げの問題は、輸出をいたしましたことから生じた問題であつて、当然この際価格は下げるべきである。従つて爾後の国際競争に耐え得る対策は、あとでいろいろ諸般の対策を考慮すべきである、こう私は解釈をいたしておるが、われわれもそういう解釈であります。そこで問題は、大臣も御承知の通り、時期を非常に急ぐのでありますから、いつごろまでにこれを解決するつもりでありますか、これを伺いたい。
  64. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 今朝通産大臣と協議の上、事務よりメーカー代表に対して本日申し入れて、明後日から会議を持ちたいと思うのでありますが、できるだけ早くメーカー側の真意を聞き、またわれわれ側農民によつて代表されておる声をはつきり伝えて、春肥に間に合うようにしたいと考えております。
  65. 坂田英一

    坂田委員長 次は申出の順によりまして木村文男君
  66. 木村文男

    ○木村(文)委員 農林大臣にお伺いいたします。肥料の問題につきましては、エキスパートである他の委員の方方から、十分こまかい点まで御質疑があつたようでありますが、二月十二日の決議案に対する農林大臣のきわめて簡略なしかも当を得た御答弁で、御決意のほどはよくわかりました。その後における農相のこの問題に対する動き方についても、農民の代表として敬意を表しておる次第であります。ついては当委員会は、農林大臣に対しては、きわめてこまかい点まで質問申し上げて、あるいは失礼であるといつたようなことも起るかもしれませんが、私は委員会は、いわゆるひざを交えてというような形をとるのが一つの大きなねらいでもあろうかと考えますので、そういうことを抜きにして率直にこまかい点についてこの問題に対する決意をお伺い申し上げたいと思います。  新聞の伝えるところによりますと、農相は通産相、一万田氏と三者会談をやつて、強硬な意見を出すという決意を固めておる、こういうことが報道されておりますが、まず第一に、この春肥の問題はきわめて急を要しておりまして、時期的に解決をつけなければならない問題でありますが、あの決議案が出されてから、農相はこの問題に対してどういう動きをして来たか、そしてその結果が具体的に——委員会でありますから抽象的でなく、具体的にどういうようになつておるか。そして農相は、これに対して値段を引下げるにあたつては、一体どこまでの線をおれは堅持する、しかし最後に至つてこれはまた政治的に解決をつけなければならぬ問題があるかもしれぬが、国際価格と国内価格との調整をとつて、この価格こそが農民の代表である農相としてのおれの腹であるという、この点をまず第一に明らかにしていただきたいと思う。  第二番目は時期の問題でありますが、松浦政務次官あるいは通産政務次官も、みなきわめてすみやかにという言葉を使われますが、これはおざなりの言葉です。私の失言であれば後輩としておわび申し上げますが、この機会にそういうようなことでなく、ほんとうに率直に言つてもらいたい。われわれがほんとうに農民の代表として農林委員になろうとするのにはずいぶん骨を折ると思う。そういうような苦労をしてまでも農民の味方としての道を歩きたいという考え方からお聞きするのですから、おざなりの言葉でなく率直に、ここまでこうしたいんだ。これはできないかもしれないが、とにかくここまでにはきめてやる。こういう決意を、あの烏を飼つて農民の苦労を味わつておる廣川農林大臣に私はお聞きしたいと思う。     〔発言する者多し〕
  67. 坂田英一

    坂田委員長 静粛に願います。
  68. 木村文男

    ○木村(文)委員 それから委員長並びに満堂の皆さんに御了解を得たいと思いますが、私新米でありますので、なかなか質問する機会が与えられないので、この機会に時間を拝借して、肥料の問題と関係のないことをやりたいと思いますが……。
  69. 坂田英一

    坂田委員長 肥料関係がないのですか。
  70. 木村文男

    ○木村(文)委員 肥料に全然関係がないというわけでもないのです。これは肥料があつてこそできた品物でありますから、関係があると私は思います。
  71. 坂田英一

    坂田委員長 関係があれば許します。
  72. 木村文男

    ○木村(文)委員 農林大臣をつかまえることはなかなかできないから、この機会に申し上げたい。それは青果物に対する運賃の問題です。私は青森県でありますから、主としてりんごの問題について伺いたい。青果物を生産しておる、しかもその地方の財政の大部分をまかなつておるような青果物の運賃の値下げに対して、農林省はどういうような対策を講じておられるか、この点をお聞き申し上げたいと思う。
  73. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 この方法ですか、肥料が非常に高くなつてこれを安くするについてどういう具体的なことをやつたかということですか。これは御存じのよう肥料対策委員会をつくつて、そうして肥料対策委員会の人たちの意見並びにあの人たちの力によつてある程度のものが生れるという考えからいたしまして、この委員の人選等については慎重に通産省と相談いたしまして、今後の肥料行政に資するために努力いたしたのであります。特に一万田君を委員長にわれわれが推薦申し上げておつたことは、この肥料業界に対して、将来間違いのないような方向を示してもらうために、特にああいう人を選んだのであります。一万田氏は御存じのように農林省の顧問をやつておる方でありまして、農林行政には非常に明るい方でありますので、特にお願い申し上げておるような次第であります。  それからまたどのくらいの価格にということでありますが、これはこれからわれわれが委員会意見が出ました上で、真剣にこれからぶち当つてつくつて行くことになるであろうと思うのであります。これは先ほども申し上げたと思いますが、生産コストが実際つかめないというのが実情なのであります。毎日予算委員会でこの問題を問い詰められるのでありますが、これは完全にわれわれの負けでありまして、どうしてもかつきりしたものがつかめない。これはどうしてもつかむ方法をつくらなければならぬと思つて、われわれとしては今検討をいたしておるわけでありますが、どの線からどの線ということは、今のところは言えないと思います。  それから、運賃につきまして、特にりんごの運賃等についてどうするかということは、実は私記憶いたしておりませんので、官房長からこまかくお話をいたすようにいたしたいと思います。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 私は農林大臣にお尋ね申し上げたいと思います。今、肥料問題の焦点は、当面の春肥対策にある。これは私もその通りであろうと思います。しかしながら先刻井上委員からも小平通産次官質問されたように、安定帯価格そのものが私どもは妥当であつたかいなかということをまず問題として取上げられなければならぬと思う。その当時のことを振りかえつて考えてみますと、昭和二十七年の秋ですが、九百円を中値とし、上下六十円の差をつけた一応の安定帯価格というものを農林省があつせんをしてつくられた。そのことそれ自体に対してわれわれは問題があると思うのであります。事実肥料の出血輸出は、与党の有力な人々でも、これがほんとうの出血輸出であるか、ダンピングであるかわからないというような意向をすら端的に披瀝されておることを私ども聞いておる。出血輸出の際において、肥料輸出奨励対策とかいうものをメーカー側の方ではつくりまして、明らかに損失補償の制度をつくつて計画的な輸出対策を講じておることも私仄聞をしております。これは明らかに私的独占禁止法と事業者団体法の違反に該当する事実ではないかとすら私ども考えておるのでありますが、そういう重大な問題が、この問題審議の際において、従来取上げられておらない。農林省がその当時、安定帯価格をあつせんした。しかし業者側は、その直後において、インド向けに対して、数量はわずかであつたが、二万トンの出血輸出を現に契約し、現にそれをやつておる。その間隔が相当ずれておるならともかくも、安定帯価格を一応つくつて、一箇月たたないうちに、インド方面においてそういう出血輸出のまず第一歩を踏み出している。そのことは、非常に安定帯価格に対する一つの疑惑を持つといいますか、農民としては納得し得ない非常に大きな問題だと思うのであります。結論的に農林大臣の御所見を承りたいことは、その当時において、農民を犠牲にする独禁止法違反の疑いが多分にあり、事業者団体法違反の疑いが多分にあるこの出血輸出に対し、どういう検討をされ、どういう対策を持つて進まれたか。当面の春肥問題はもちろん重要でありますが、その問題が起きて来ているのは、そのときに遡及して起きて来ておるのでありまして、ただ単に春肥対策の金額の問題を論ずることによつては解決がつかないと思うのであります。この点について公取の意見を徴されたとか、いろいろ農林省としては対策を立てられたと思うが、その際における農林省の態度、措置、その後における農林省の見解はどういう御見解でありますか、この機会に承つておきたいと思います。
  75. 小倉武一

    ○小倉政府委員 安定帯価格を設定いたしました当時の事情でございまするが、九百三十円から八百七十円ということで、中値といいますか、基準を九百円といたしましたにつきましては、当時大量のストツクがございまして、相当量の輸出ができる。輸出によりまして現在の価格が高騰に転ずるということでは困りますので、当時の需給状況、価格といつたものを参照いたしまして、当時の価格以上には上らぬようにということをもちまして、九百円ということにいたしたのであります。九百三十円から八百七十円でありますが、秋肥につきましては九百円を最高とする。こういうように私どもの農林省といたしましては希望をいたしまして、さようにまた業界の方とも連絡をし、さようなことで全購連との話合いがついたのであります。ところが、その後におきまして、今お述べになりましたような、インドあるいは後には朝鮮といつたような諸国に対しまして、国内価格よりも大幅な下値をもちまして輸出が始まつたのであります。このインド向けの輸出につきましては、私どもが聞きましたところによると、相当これは下値だということを入札前に聞きまして、業界の輸出の責任者でありまする輸出の関係委員長に対して、実は書面で一種の警告を発しておいたのであります。警告と申しましても、もちろんこれは特別にわれわれが行政的にどうこうするという手段はございませんけれども、こういうように相当安値で輸出されるということになりますと、国内価格についても再検討をしなければならぬというような実情になるから、輸出価格については十分慎重に取扱われたい、こういう趣旨の申出をいたしております。それからまた、特に輸出に関連いたしましての業界のいろいろの措置が、公正取引に違反するかどうかという点につきまして、私ども実は所管でございませんので、正確なことはわかりませんが、ごく事務的には、その辺の事情について内々向うの事務的の意見を聞いたことがございます。しかし公正取引委員会が、この硫安の業界の措置につきまして、どういう見解を持つていらつしやるか、私はつきりここで申し上げるわけに参りませんし、また承知をいたしておりません。お尋ねの点につきましては、大体以上のようなことで御了承願いたいと思います。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 私がただいまお尋ね申し上げたことに対しては、大臣から伺いたかつたのでありますが、小倉さんからの御答弁で、大体考え方についてはわかりました。しかし先刻廣川農相が、出血輸出の際に、何ら条件を付しておると了解しておらないという重大な発言をしておられます。従つてこれは明らかにメーカーの責任による輸出である。こういう農林省の明確な見解を表明されました。しかし当時の状態を見ますると、輸出については農林省との会議を必要とするとわれわれ承知しておりまするが、その点について、どういう形態で御了承になつたのでありますか。今後の輸出との関連において、農民の犠牲による出血輸出をして、その出血を農民に転嫁するということが問題になつておるのでありますが、将来このような問題については、通産省とも会議が完了しなければ、今後とも輸出に対して農林省は同意を与えないという強い御決意がありますかどうか、その点について、廣川農相にお尋ねを申し上げたいと思います。
  77. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 さきほど申し上げましたのは、国内の価格よりも安く輸出をするから、それについて政府がこうこうこういう助成をしてくれという条件があつたということは、私は承知しないということを言つておるのです。今後輸出する場合においては、やはり通産省とはつきり会議をいたしまして、こういう紛淆を来さないようにしたいと私は思います。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 通産省と会議をするということは、いわゆる農民へ犠牲を転嫁して輸出をやつて行くような従来の行き方というものに対しては、農林省としては同意をしない、こういう意味に解していいのですか。
  79. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農民の犠牲において輸出することについては、もちろんその通りであります。
  80. 坂田英一

    坂田委員長 川俣清音君。
  81. 川俣清音

    川俣委員 私は端的に農林大臣にお尋ねいたしておきたいと思いますが、農林大臣の御説明によりますと、肥料製造業者の代表と会見をされる予定のようでありますが、これはおそらく本委員会及び国会の決意を伝えまして、農林行政の面から強硬な引下げを要望されるものだと信じます。そこでこれら引下げの決意をもつて農林大臣が臨まれるのでありますから、私はその点は非常に了承するのであります。しかあるべきものだと思うのであります。しかしながらその要望がもしも入れられない場合は、農林大臣はどういう決意をせられるか、この点をちよつとお聞きしたい。
  82. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 熱意というものは私は通るものだと信じております。また通るように努力をいたしたいと思いますが、それと並行して考えておるのは、あなた方のすきな統制や何かでなく、やはり生産コストを見れる立法処置ぐらいはどうしても講じなければならぬ、こう私は考えております。
  83. 川俣清音

    川俣委員 大臣の答弁はまことに私は了承するのです。それで生産コストを見るぐらいな力が政府になければならないということも了承いたします。しかしながら予算委員会の答弁並びに本日の答弁から見ましても、コストがつかめないのだということが私はほんとうは了承できないのです。なぜかと申しますと、過去において統制時代がありまして、最高と最低の開きはどのくらいあつたかというようなこともはつきり数字が出ておるわけです。従つて今日の段階においてはたしてその開きが縮まつたか、あるいはもつと開きができたかというようなことも、大よそわからぬわけじやない。ということは、金融方面から、あるいは証券界からみまして、どの会社がどのくらい伸びたか、あるいはどの会社がどのくらい縮んで来たかというようなことは、これはもう世間の常識で、あるいは証券界あるいは金融界から一応つかまれておるわけです。一般の財界からつかまれておる事柄を政府がつかみ得ないということが大体解せない。御承知の通り当時の統制時代におきましては、最高と最低では開きが二割二、三分あつたはずであります。今一応九百円が国内価格として最高価格であるとしますれば、その七掛七分ぐらいが一流メーカーのコストである、こう見て行きますならば、これは七百円台になるわけです。あるいは九百三十円として、七掛七、八分と見ると、これは七百十円台になるわけです。一流メーカーと二流メーカーが接近したことはわれわれも認めます。これは一般の株式市場から見ましても、あるいは銀行方面、金融方面から見ましても、もう二流メーカーが一流メーカーのところに追いつきつつあるということは認めていいのでありますから、一流メーカーと二流メーカーとのコストはあまり開きがなくなつたということは、これは今日の情勢から妥当だと思うのです。ところが四流メーカーと一流メーカーの開きは最近ますます激しくなつている。四流メーカーは、もう破産と申しましようか、会社自体の経営が非常に困難になつて来ているという状態です。従つて問題は、一流メーカーと四流メーカーとを合せているところの硫安工業協会自体としてのコストというものは非常につかみにくいということになりますけれども、おのおのの会社のコストはそうつかみにくい現状ではない。株を一般から公募いたしまして証券市場に乗つている以上、このコストがわからぬというようなことは、普通の経済界の概念に当てはまらない。市場に乗らないような会社のコストでありますならば、これはつかみにくいということは確かに言える。大臣がもし株に投資しようと思つたら、山一証券なり、ほかの証券会社に、赤字出血であるか、あるいは投げ売りであるか、これはどのくらい会社に打撃を与えているかということを問合わせれば、即答が出て来る。それらのものをにぎつておられないということがおかしいのであつて、にぎろうと思えばにぎられるのでありますが、さてにぎつた以上どうするかという、あとの処置が困難だから、にぎれない、つかめないというのなら別であります。にぎつたけれども、あとの処置が困る、こういうことであれば、それは政府が逃げているのでありまして、つかみ得ないのではないと思う。この点について御答弁を願います。
  84. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実はわれわれは経済審議庁の出しておるいわゆる生産コストというようなものを信じておつたのでありますが、これもつつつかれて参りますと、くずれてしまうのでありまして、それからあなたの御指摘のように、証券界方面にも、この中からもすでに行つて調べている人に秋は聞いておりますが、それと、この審議庁で出した生産コストを見ますと、こんなにも違う。どれをとつていいか、これは実際わからない。わからないということがほんとうなんであります。それをわからせるようにして初めて、これでは高い、これでは安いということが言えるのでありまして、どうしてもそこまで政府で見れる方途を講じなければならぬ、私はこう考えております。
  85. 川俣清音

    川俣委員 コストの問題を論じたのではなくて、大よそのものをつかみ得るのであるからして、肥料の値下げのために相当努力をさるべきであるし、また努力をするという決意をされたのであるから、この裏づけとして私は今説明しただけでございますが、問題はしかし今後に残されておるのでありまして、将来日本が一流メーカーから四流メーカーを加えての総合的な輸出というようなことは、私は破綻するであろうということを予想されるのであります。幸いにしてもしも輸出がなかつたならば、業界において各会社間においておそらく整理が行われた。この輸出があつたために、むしろ業者間の相互融通というか、共済が行われて、つぶれる会社がつぶれないでおるような状態だと思う。もしもこれが四流メーカーあるいは三流メーカーの下がつぶれるということになりますならば、あと残されたメーカーのコストというものは当然安くなるということは、銀行方面でもみな認めておるところです。ただ問題は、コストを下げなければならない。これらの四流メーカーをどう処理して行くかということが残されている問題でありまして、石炭対策であるとか、あるいは電気の対策、あるいは利子の補給というような問題も、これは四流メーカー、あるいは会社によつても違いますが、電解法によりましても、電気が七〇%行つているところもあれば、また六〇%のところもある、あるいは設備からいつて九〇%近い電力を受けておるところもあるわけであります。従つて電力を十分にするから非常な生産が上る会社もあるし、あるいは同じ電解法でありましても、電力を十分供給することによつて生産が上る会社と、上らない会社が出て来るわけでありまして、通産省の説明ように、いわゆる硫安業界全体を対象にして考えるというようなことであつたのでは、なかなかコストの引下げも困難であろうと思う。また妥当な価格を出すことも困難であろうと思う。従つてこの際思い切つた引下げを行つて、しかる後に業界に合理化を促進し、あるいは四流メーカーの救済等はあらためて考えよう措置が望ましいと思うのでありまして、問題は農林省あるいは通産省がこの際積極的に、将来国外の競争にも耐え、外肥の輸入にも耐え得るような情勢をつくつて行かなければならないと思うのでありまして、それらの合理化のためにもこの際思い切つた処置が必要だと思うのですが、この点に関して大臣の御所見を伺いたい。
  86. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 御意見よく拝聴いたしました。通産省とよく相談いたしまして、手落ちのないように努力いたしたいと思います。
  87. 川俣清音

    川俣委員 せつかくの引下げの熱意が、今の答弁で非常にあいまいになるおそれがある。私どもは、少くともこれは安定帯価格を百円以上引下げることが可能であるという信念で今申し上げたのでありまして、この点をはずさないように御努力願いたい。この点についてもう一度お答え願います。
  88. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 十分通産大臣と相談して努力いたしますが、相手のあることでありますから、どの点で参りますかわかりませんが、最大の努力をいたします。
  89. 坂田英一

  90. 中村寅太

    中村(寅)委員 簡単に農林大臣に一言お尋ねしたいのであります。この肥料問題は非常に重要な問題であります。輸出の問題が中心になつて農民は内地物の価格に輸出の犠牲がしわ寄せされておるということを考えておりますし、同時に国会でもこれが大きく取上げられて、政府でもこの問題をすみやかに解決せなければならないということで非常に苦慮せられておる点は、われわれも了とするのでありますが、この姿を見てみるときに、私は何らかの方法で肥料価格の安定方策についての立法措置が必要な状態と考えなければならないのではないか、こう考えるのでありますが、その点について農林大臣の見解をひとつ聞かしていただきたい。
  91. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 先ほどから申し上げておるように、その流通に関する法律であるとか、あるいはまたその他の統制の法律とかいうものは私は考えておりませんが、しかし生産コストを調べるくらいの最低の法律は、私はあつていいのじやないか、こう考えておるわけであります。
  92. 中村寅太

    中村(寅)委員 生産コストを調べる程度立法措置も、これは私は一つの段階であると思いますが、現在政府が価格を下げるようにいろいろ努力をしておる姿は、これはやはり一つの価格の規制であると私は思うのであります。そういう点から、やはり今農林大臣が言われるように、コストを完全につかんで、それから割出した正しい価格によつて肥料の取引ができて行くよう立法措置を早急にやる必要がある、かようにわれわれは考えておるのでありますが、その点コストをつかみ、さらにそのコストから割出した正しい価格をもつて農家が肥料を買い得るような線まで考慮した立法措置考えていただきたい、かよう考えるのでありますが、農林大臣の心境を伺いたい。
  93. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実は国際市場における価格の安くなつたことは、市場獲得の大きな意味が私はあると思います。ドイツにおける製品に対する助成等も、思い切つた助成をやつておるようでありますから、そういうことからして日本の内地の農民を犠牲にしての輸出は、われわれはいかぬと言つておるのであります。現在完全に物が流通するかしないかということは、これは流通はしておるのであります。ただ価格の問題だけが今問題になつておることなのでありまして、その価格を、真に生産のコストをつかんで、そうしてどうしてもこれが成り立たないものであるならば、大事な商品でありますから、政府で思い切つた助成もするがよろしいし、それからまたほんとうにメーカーのみもうけておるというならば、これはまた打つ手があると考えておるので、そういう意味からして、まず第一に生産コストだけ見るくらいをやつたらいいのではないか、こう考えた次第でありまして、それ以上のことはいまだに考えておらないのであります。
  94. 中村寅太

    中村(寅)委員 大臣の見解はわかりましたが、さらに一点お尋ねしておきたいのは、現在の肥料の価格と、それから今年きめられました基本米価との関係が、これは米価から想定して、今の実質価格というものはやはり正しい線であるとお考えになりますか。われわれは肥料の方が高過ぎると考えておるのでありますが、農林大臣はその点についてどう考えておられますか。
  95. 小倉武一

    ○小倉政府委員 現在の米価がきまりますときのパリテイ計算当時の市価は九百円程度であつたと思います。従いましてそのパリテイ計算が正しいということになりますと、現在の肥料の価格は、計算上は大体それにマツチしておる状況ではないか、かよう考えております。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣にお伺いしたいことは、先ほど、輸出をやる場合において、これは出血であるからというので、何らそれらに対する要求的な条件も出ておらないし、これに対してはメーカーは十分自信をもつてつておるというふうに判断したということを大臣は答えられておるわけですが、そのことは、それが出血でないというふうに考えたとすれば、その輸出に許可を与える場合において、国内価格と輸出価格との間において一かます三百円もの差がある。この不合理性に気がつかなかつたかどうかということを第一にお伺いしたいのであります。そういう場合においては、当然そこに生ずるところの価格の不合理に気がついて、当然国内の安定帯価格が非常に高過ぎるということに気がつくはずであるし、気がついた場合においては、当然これに対しても適切な手を打つということに善処さるべきであつた考えるわけでありますが、そのとき大臣はどのような判断を持つておられたか。これが一点であります。  もう一つは、メーカーが出血をとなえることによつて、通産省は今年の一月一日からこれに対して優先外貨を一五%割当てておるわけであります。これらのことは、当然出血に対する一つの補償的な措置として、このことが講ぜられておるというふうに思われるわけでありますが、これらのことが行われておることを農林大臣はすでに御承知になつておるかどうか、これが第二点であります。  それから最後にもう一点、大臣は当面の国内肥料の需要期に対応して、価格の引下げに対しては自信と決意をもつてやるということを表明されておるわけでありますが、最近における大臣の通力というものは、かつてより相当減殺されておるというふうに、私たちは非常に心配をしておるわけであります。かつての通力を復活させるためには、どうしても政治的な強い手段を、メーカーが引下げに応じなければ打つということが必要になつて来るわけであります。その場合に、コストの計算をして、メーカーが要求しているような現在の安定帯価格を妥当なるものとして、外炭の輸入であるとか、電力の割当であるとか、そういうよう措置を講ずるということは、むしろ劣弱メーカーの救済までもあわせて行うということにならぬとも限らないのであります。それでこの問題に彼らが乗つて来るというようなことを防ぐと同時に、当面した価格の引下げを行う場合においては、農林省の一つの政治的な意図として、先ほども足鹿委員が言われたように、今後の輸出に対しては、価格引下げの実効が現われて来ない限り許可に同意をしないという問題が一つ。  もう一つは、この需要期に対して外国の安い硫安を思い切つて十五万トンとか二十万トン入れるということに対する措置を行うということも、非常に効果的になると思いますし、それらの強い政治的な措置を講ずることによつて、国内における肥料生産の自然的な合理化というものも行われて、そうしてコストの引下げも当然それによつて現出されるということがうかがわれるわけでありますが、大臣としてこれらの具体的な、最悪の場合においてはこの手を打つということの決意の上に立つた御答弁を、三点にわたつてお願いしたいと思うわけであります。
  97. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 あなたは三点でなく六点問うておるようであります。  第一は、インドに対して輸出する場合にどういう判断をしたかということは、先ほど経済局長から説明した通り、農林省としては方法を講じておるのであります。ただその場合に、私は出血輸出であるから金利や運賃やその他外炭等を入れるよう条件は聞いてなかつたと言つておるのであります。  それからこの優先外貨の割当については、これはあとになつて承知いたしております。  それから当面の問題についてのことでありますが、これは当面の問題は相手がありますので、でき得る通り努力をいたしますが、私もともと神通力は持つていないのでありまして、一介の人間であります。人間の力の限度を発揮して努力をいたすつもりであります。  それからまたこの許可に対しての話でありますが、許可は先ほども申し上げておる通り、内地の農民を犠牲にしての許可についてはあくまで反対であるということを表明いたしておるのであります。  また輸入につきましては、ただちにこれを輸入させるということについては、しばらく考えさしてもらいたいと思います。
  98. 坂田英一

    坂田委員長 残余の質疑は次会に継続することにいたしますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  99. 坂田英一

    坂田委員長 御異議なしと認めます。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十三分散会