○
井上委員 この際
肥料問題に関しまして、二、三私から
政府にだめを押しておきたい問題がございます。それは
一つは、今春で
政府の
価格引下げに関する問題を
中心としての御
答弁を伺
つておりますと、出血輸出だ、出血輸出だというて、何か大きな損をして輸出をしておるような印象を与えて、そして国内
価格はこれから安定帯
価格よりも安く引下げることは困難であるような印象を与えるがごとき
答弁が繰返されております。硫安が国内需要をはるかに上まわりまして、年間二百万トンにも近い
生産がされております今日、当然硫安
価格が引下げられることを、多くの
農民は期待をしておるわけです。また
現実にわれわれが各地方の
肥料の取引の実情を調査いたしましても、たとえば十一月から十二月にかけましては、事実八百四十円という
価格でも
つて硫安が取引されております。ただ一月、二月になりましてからは、電力の
事情や輸送の条件等が出て参りまして、先高の気配を示しておりますけれども、現に八百四十円台で硫安が取引されておるという事実を、われわれは無視するわけには行きません。そういう点から
政府といたしましては、非常に困難な事業でありましようけれども、何としてもこの国内
肥料価格を引下げるということに、この際政治的な手を打
つていただきたい。と申しますのは、私ども終戦以来のわが国
肥料生産の跡を顧みて、いかに
肥料生産が
食糧増産の上に重大な
政策であるかということから、必要以上の国家的な保護と、その事業の助成に力をいたして来ているのです。莫大な国家資金が投ぜられ、必要な
価格補給金が出され、また金融的な
処置が講ぜられて、終戦当時硫安が二十七、八万トンの
生産にまで低下しておりましたものを、今日のように二百万トンまで飛躍的に増産する裏には、国家の保護
政策というものが非常に大きく働いておることは事実であります。この国家から保護を受けてここまで増産をされて国内需要を上まわるものができているのに、
肥料価格を下げることができないということは、何としてもこれは割切れぬ問題であり、しかも海外で二、三百円も安い
価格で取引されているという事実に当面して、これは何としても、この際ひ
とつ価格を下げるように努力をしてもらわなければ
農民感情が納まらないということを、私は強く
政府に要請をしておきたい。同時にわれわれは、
肥料が採算も合わず減産になるような
政策は望んでおるわけではありません。
肥料が国内の
食糧増産の上に重要な役割を演ずるのみならず、かつ増産をされた分についたは、これが輸出産業として非常に大きな経済的効果、財政的役割を果すのでありますから、今後の
肥料増産に対しては、
政府としても国会としても、必要なる
予算的、
法律的
措置を講じて、これの保護助成をはからなければならぬとわれわれは
考えておる。そういうことから
考えて、この際目先の私利にメーカーを動かすことなく、将来の発展といいますか、この産業の確立の上からも、この際
国民の協力を求める手として、ここに春肥に対する安定帯
価格を大幅に引下げることが何としても必要であるということを御了承願いたいと思います。そういう面で
政府としても、それぞれの対策を講ぜられるだろうと思いますが、この問題は、春肥の最盛期を目の前に控えておりますので、時期的に処理されませぬと何の役にも立たぬことになりますので、そういう点は十分御
考慮されているとは思いますが、
政府としては、われわれの意のあるところに対してどういうお
考えでおりますか。それからまたその解決のおよそのめどはどういうところに置いおりますか。この際この二つについて、
一つは経済審議庁の
政務次官から、
一つは当該の責任であります
農林政務次官からお答えを願いたいと思います。
なお通産省の方におきましても、
価格引下げに対して必要な石炭の
価格の引下げであるとか、電力の
割当の強化であるとか、資金的裏づけであるとか、あるいは輸出によるところの外貨獲得に対する諸般の対策に応じて、十分メーカーをして採算の合う経営に持
つて行けるとわれわれはにらんでおりますが、そういう
処置をおとりになりますか、この際通産省の
政府委員から御
答弁をいただきたい。