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1952-12-03 第15回国会 衆議院 農林委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月三日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君    理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君    理事 足鹿  覺君       青木  正君    秋山 利恭君       大島 秀一君   小笠原八十美君       高見 三郎君    中馬 辰猪君       寺島隆太郎君    松野 頼三君       高倉 定助君    高瀬  傳君       川俣 清音君    芳賀  貢君       中村 英男君  出席国務大臣        農 林 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         農林政務次官  松浦 東介君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         農林事務官         (農業経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (農業改良局         長)      清井  正君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         食糧庁長官   東畑 四郎君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 十二月一日  委員久野忠治君辞任につき、その補欠として大  島秀一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月三日  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(中  馬辰猪君外二十六名提出、衆法第三号) 十一月二十二日  農林水産業施設災害復旧事業に対する国庫補助  のわく引下げ等に関する請願川野芳滿君外五  名紹介)(第四九号)  蚕業技術指導強化に関する請願村上勇君紹  介)(第一二七号)  同外一件(中馬辰猪紹介)(第一二八号) 同月二十八日  林業技術普及事業費増額等に関する請願(井  上良二紹介)(第一八五号)  入院患者用配給米増配に関する請願勝俣稔君  紹介)(第二〇八号)  昭和二十七年産米供出割当に関する請願(福  井勇君外一名紹介)(第二〇九号) 十二月一日  蚕業技術指導強化に関する請願外一件(前尾繁  三郎紹介)(第三二二号)  桐樹栽植費国庫補助請願松浦東介紹介)  (第三六七号) の審査を本委員会に付託された。 十一月十二日  食糧増産計画促進に関する陳情書  (第六六号)  農村振興農家経済救済等に関する陳情書  (第六七号)  砂丘地帯開発改良に関する法律制定陳情書  (第六八号)  急傾斜地帯農業振興臨時措置法による補助率に  関する陳情書(第  六九号)  自作農維持のため自作農資金貸付制度の活用と  同資金わく増額陳情書  (第七〇号)  長野県下の耕地林道等水害対策に関する陳  情書(第七一号)  細島港輸出品検査所出張所設置に関する陳情書  (第七二  号) 同月十四日  食糧増産基本法仮称制定に関する陳情書  (第一五五号)  農業再建に関する陳情書  (第一五七号)  農業団体編成に関する陳情書  (第一五  八号)  積寒法に基く農業振興計画実施に対する補助増  額等に関する陳情書  (第一五九号)  湿田単作地帯農業改良に関する陳情書  (第一六〇号)  蚕糸業振興施策実現に関する陳情書  (第一六一号)  土地改良事業費国庫予算増額陳情書  (第一六二号)  代行干拓事業促進に関する陳情書  (第一六三号)  耕地災害復旧事業費予算措置に関する陳情書  (第一六四号)  耕地災害復旧につき原形復旧超過工事との区  分廃止の陳情書  (第一六五号)  北海道団体営かんがい排水事業溜池工事に対す  る補助率引上げ陳情書  (第一六六号)  有畜農家創設事業金融に対して特別会計設置等  に関する陳情書(  第一六七号)  草地農業振興に関する陳情書  (第一六八号)  林業技術普及体制強化確立に関する陳情書外十  一件(第  一六九号) 同月十九日  林業施設税制改革等に関する陳情書  (第二三九号)  農業災害補償法の施行に関する陳情書  (  第二四〇号)  国営家畜市場誘致に関する陳情書  (第二四一号)  干拓堤とうの災害復旧超過工事国庫補助高率  適用に関する陳情書  (第三〇〇号) 同月二十一日  林業技術普及事業強化拡充に関する陳情書  (第三四  七号)  急傾斜地帯農業振興促進に関する陳情書  (第三  四八号)  農業教育施設拡充強化に関する陳情書  (第三四九号)  農業団体編成に関する陳情書  (第三五〇号)  農業協同組合法改正に関する陳情書  (第三五一号)  不振農業協同組合整備強化に対する国庫助成  の陳情書  (第三五  二号)  でん粉価格調整に関する陳情書  (第  三五三号)  松山中島郷土開拓者復活に関する陳情書  (第三五四号) 同月二十七日  農業団体編成に関する陳情書  (第四四一号)  同(第  四四二号)  農業協同組合再建整備に関する陳情書  (第四四三号)  かんがい及び排水機電力料金国庫補助陳情  書(第四四四号)  耕土培養実施指定区に対する補助増額陳情書  (第四四五号)  土地良事業推進に関する陳情書  (第四四六号)  災害復旧耕地事業早期完成並びに農業施設防  災措置に関する陳情書  (第四四七号)  草地農業振興に関する陳情書  (第四四八号)  蚕糸業振興施策実現に関する陳情書  (第四四九号)  自作農創設維持に要する金融制度確立に関する  陳情書(第四五〇  号)  急傾斜地帯農業振興臨時措置法による補正予算  の大幅計上高率補助陳情書  (第四五一号)  有畜農業振興措置具体化促進に関する陳情書  (第四五二号)  民有林造林事業に対する国庫補助陳情書  (第四五三号)  台風災害地帯農林水産業振興法仮称制定に  関する陳情書(第  四五四号)  農林水産業施設災害復旧費国庫補助暫定措置  に関する法律一部改正陳情書  (第四五五号)  農林漁業組合並びに連合会再建整備方策の強  化に関する陳情書  (第四五六号) 十二月二日  食糧自給促進法立法化実現に関する陳情書  (第五四八号)  草地農業振興に関する陳情書  (第五四九号)  農協青年組織育成強化等に関する陳情書  (第五五〇号)  茶業振興に関する陳情書  (第五五一号)  木炭公営検査強化に関する陳情書  (第五五二号)  政府買上げ米代金渡制度法制化に関する陳  情書(第五五三  号)  碧海地方産米の政府買数量決定に関する陳情  書  (第五五四号)  開拓及び干拓工事早期完成に関する陳情書  (第五五五号)  森林組合に対する国庫助成に関する陳情書  (第五五六号)  造林補助費増額等に関する陳情書  (第五  五七号)  林業技術普及体制強化確立に関する陳情書  (第五五八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農政の諸問題の説明聴取に関する件     ―――――――――――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。  農林大臣予算委員会に緊急な問題で出席を求められておるような次第でありますので、農林委員会は午後一時から再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。     午前十時四十分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  3. 坂田英一

    坂田委員長 午前に引続き農林委員会を開会いたします。本日は、この前の委員会において延期いたしておりました農政に関する農林大臣の所信を承ることにいたします。すなわち政府は、さきに消費者米価その他当面の農林問題について決定を見、さらに先般新たに諸般の基本政策を取上げ、特にわが国社会経済基盤をなす農林関係につきましては、食糧自給強化をはかるための諸施策決定を見たやに承つております。従いまして本日は、これらの農林業における政府施策大綱及びかかる施策の背景をなす農林大臣農政に関する基本的な考え方について、御説明を願いたいと存じます。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 農林漁業に対しまする施策基本は、日本経済自立基盤といたしまして総合的な食糧自給度強化促進農林漁業経営安定向上をはかることにあると考えます。この目的を達成するためには、農林漁業生産力を急速に高めなければならないのでございますが、わが国農林漁業現状にかんがみますとき、相当な国の財政投資及び資金融通を必要とするのであります。私はこれを実現するために全力をあげて邁進いたしたい所存でございまして、その具体的な重要施策はおおむね次の通りであります。  第一に、食糧自給促進であります。わが国は、現在四億ドル以上の外貨を費して外国食糧を輸入しておることは御承知の通りでございますが、現在のままに推移いたしますれば、この不足食糧は、さらに将来において人口の膨張に伴う消費増加と、農地の壊廃、施設老朽化による生産減とによりまして、ますます増大して参るであろうと考えられるのであります。しかも、国際情勢の不安と国際貸借為替関係等にかんがみますとき、食糧自給達成こそはまさに経済自立基盤であり、日本の独立と安定の基礎条件でありまして、わが国農政に課せられた最大の責務といわなければならぬと存じます。ここに、食糧長期的かつ計画的な増産に関しまする根本的施策を強力に講ずる必要があり、このため次期国会におきまして食糧自給促進法案を提出いたしたい所存でございます。  その大綱といたしますところは、今後十年の間におおむね食糧自給達成することを目途といたしまして、さしあたり昭和二十八年度から三十二年度までの第一次の五箇年計画期間におきまして、農地の拡張及び改良によつて千三百十万石、耕種改善によつて四百四十五万石、合せて一千七百五十五万石の米麦増産しようとするものでありまして、その結果は、今後の食糧不足増加をカバーするのみにとどまらず、輸入食糧を現在よりも五百五十万石節減することになるのでございます。この計画遂行いたしますために必要な資金、すなわち国家支出が三千二百七十六億円、融資が一千七十二億円を要するのでありまするが、これにつきましては、予算上毎年度これを確保する措置を講じまするとともに、その効率的運用をはかり、また国営及び県営の大規模土地改良事業に対しましては、継続費予算制度を適用いたしまして、事業の円滑かつ迅速な遂行を期するものであります。  第二、畜産振興についてであります。農業経営を高度化する方途といたしまして、経営多角化地方培養による生産力増強の観点から、有畜営農普及推進が重要な意義を持つておりますし、国民栄養の上からも、体位向上の上からも、従来澱粉質中心食生活の偽向を打破して、特に動物蛋白及び脂肪の摂取量を増大いたしますることが強く望まれているのでありまして、この面からも畜産物増産が要請されるのでございます。  以上の見地から、今後畜産振興を積極的に推進して参るために、その長期計画につきましても目下慎重に検討中でありますが、具体的方策重点といたしましては、まず家畜増殖改良に関する施設拡充については、特に乳牛に重点を置きまするとともに、今後現在の有畜農家創設事業強化いたしまして、その融資制度を整備いたす方針であります。次に自給飼料増産確保のために、草生の改良飼料作物普及に十分な努力を払いますとともに、有畜営農基盤である施設強化いたしますために、サイロ、堆肥舎等の増設を大いに奨励いたしたいと存じます。  第三に、農水産物価格の安定をはかることであります。重要な農水産物価格の変動がはなはだしければ、結局増産意欲を阻害することに相なりますので、この際農漁業経営の安定を期するがために、それらの価格の安定をはかる措置制度的に確立いたしたいと考えておるのであります。すなわち米麦以外の農産物及び水産物につきまして、農水産物価格安定制度を創設いたし、必要に応じまして政府買入れを行う等の措置を講ずるのであります。さしあたりその品目としてはすでに過日やりましたが澱粉、菜種・甜菜糖、鯨油こういつたものを将来にわたつては考慮いたしておる次第でございます。  第四に、農林漁業金融公庫設置についてでございます。零細な経営が多く、かつ収益の低い農林漁業につきましては、その振興のために国の助成にまつところ大なるものがございますが、国家財政投資には一定の限界が存しまする以上、農林漁業者に対する長期低利資金融通制度は、農林漁業生産力向上のために、今後いよいよ整備拡充を必要といたすのでございます。これに伴う資金量及び貸付件数の急増、回収事務増加に対処いたすためには、現行特別会計制度をもつてては不十分な点の著しいことにかんがみまして、現行制度を廃止して、新たにこの資金を扱う恒久的な特別の政府機関として農林漁業金融公庫設置することとし、すでに成案を得ておる次第であります。なお、この公庫によりまする融通資金につきましては、食糧増産計画遂行等のために多額の増加を必要とする関係上、来年度予算において本年度当初予算の約倍額を要求中であります。  第五に、林業基本施策について申し上げます。洪水災害が累増いたしますることと森林資源荒廃及び林産物需給の逼迫の現状にかんがみまして、林業については長期にわたる総合的かつ計画的な施策が必要であると考えます。すなわち治山につきましては保安林整備強化をはかりまするとともに、八十三万町歩荒廃山地等に対する事業を強力に実施し、造林事業につきましては、現に存する造林未済地をすみやかに解消し、今後の伐採跡地伐採の翌年度必ず造林して五百五十八万町歩につき急速に植伐の均衡をはかるとともに、粗悪薪炭林生産性の高い人工林への転換をはかり、林道事業につきましては、奥地未利用林中心として六百四十一万町歩につき、八万八千キロの林道を開設し、二十六億石の未利用蓄積開発をはかるのであります。かくして永遠に繁茂する森林を維持して行きたいと考えております。
  5. 坂田英一

    坂田委員長 農林大臣は三時十分ごろから三十分ばかり通産関係で所用がありますので、農林委員会を中座いたしたいとの申出がありますから、御了承を願います。  これからただいまの御説明に対する質疑を行いたいと存じます。通告順によつて井上良二君。
  6. 井上良二

    井上委員 新農林大臣の就任にあたりまして、農林大臣として農林業に対する施策の御説明をただいま伺つたのであります。まことにわが国農林業が当面しております重要諸問題を取上げて、その内容に至りましてはきわめて具体的に御説明を得たのであります。その第一の食糧自給促進についてでありますが、この問題は、お説の通りわが国経済自立基盤といたしまして、何としても国をあげてこの問題の解決に全力を注がなければなりませんし、当農林委員会といたしましても、終戦以来の食糧の絶対不足現状から、いろいろの角度から国内食糧自給向上について必要な要請を政府にたびたびやつて参り、かつ食糧増産計画のすみやかなる具体化を要望して参つたのであります。本日の案の内容は、これが法案となり、予算化されます場合に、さらに具体的にいろいろ検討をせなければなりませんが、さしあたりこの食糧自給促進をやつて行きます場合の基本的なものの考え方であります。これは説明の最初にございますように、これをやりますためには農林業経営安定化ということが絶対に必要でありまして、従つて問題は食糧増産をする場合に、増産をすればどれだけ農家経済が安定するかということが一つの大きな考え方中心にならなければならぬではないかと考えるのであります。これだけ増産すればこれだけ農家はよくなつて行くという一つ増産計画は、政府机上プランや、政府の上から下へおろす命令あるいは指導によつて行われるのではなしに、農民がみずから増産意欲を振起するの結びつきが必要であろうと考えます。その点からまず当面します問題をわれわれが考えます場合に、一つ農産物価格を、一体政府は上からどう押えて行こうとするか。それからいま一つは、この計画は主として粒食を中心にした自給度向上計画でございますが、この主要食糧たる米麦増産計画と相呼応して、何ゆえに畜産増産計画というものを並行的に総合的対策として取上げないのか。御説明によると、何か畜産計画はまた別にこれと切離して御計画をされておるようでありますが、今御説明のように、澱粉食食糧では、日本食糧問題は解決しないということは、政府みずからつとに御存じのところであります。また今大臣からの御説明によりますと、国民栄養見地から、どうしても食糧構成を変更せなければいかぬということが述べられております。そういたしますと、米麦中心にする食糧自給度計画されます場合、これと相呼応して、これだけ増産をするのには一体どう勘案したらいいか、その結果主食の自給の上にどう変化を来すか、国民食生活改善にどういう結果をもたらして来るか、そういう総合的な計画が立てられなければならぬではないかと考えるが、どういうわけでこれを別々の計画にお考えなつたか。これは総合的、一貫的な計画経済としてやるべきでないか、こう考えますが、今の大臣の御説明によると、別個に考えられているが、この点をまず伺いたいと思う。
  7. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま井上さんの仰せられたことはまことに、ごもつともでありまして、私どもも総合的にそれを見ますことが最も必要であると考えております。従いまして局課関係上、こういうふうに食糧自給が開墾、開拓及び耕地改良等になつておりまするが、しまいのところに「耕種改善」という文句がありまして、私の意見としては、畜産と並行してこれはどうしてもやるべきものであり、また井上さんは一番よく知つておられると思いますが、金肥、硫安が減つているために、地方が枯れている。地方は何としても畜産を大きく取上げなければなりませんので、増産計画一つとして土地をふやすことによつて次三男をいくらか収容するというような、いつか申し上げたようなことも含まれておりますが、ねらいは増産でありますから、増産達成には地方培養することが一番必要でありまして、その点からも畜産計画をどうしても並行的に進めるべきものであると考えております。これは順序を一、二と区別しましたから、そのようにおとりになりましたが、私の頭はこの二つを同様に考えて進めるように考えているのでございます。  なお食生活改善お話がありましたが、まことに私どもは同感に存じているのであります。日本人はあまり含水炭化物をよけいとり過ぎるので、食生活を改めることはぜひ必要でありまして、その点から水産物とか畜産がきわめて重要なことになるわけでございまいます。この価格が現在の米麦生産原価計算として当時米価審議会でこれが非常に問題になつて、確かに米価審議会では一万四百円でしたか、その程度答申がされていると思います。そうすると農林大臣生産者代表消費者代表学識経験者等による法的な基礎をもつてできております米価審議会答申は妥当でないとお考えになる根拠、それから政府が七千五百円を妥当とするその根拠、これを一応お答え願いたいと思います。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は生産者価格七千五百円を妥当と認めるものでございます。この根拠は今お話になりましたように、いわゆるパリテイ計算にそれからあといろいろな費用を加算いたしまして七千五百円といたしているのでありまして、農林省の調査によりますと、これで相当採算が可能だ、こういうふうに見られているのであります。従いまして一万数百円と学識経験者の方のお話ではそういうことになつたかもしれませんが、農林省ではそういう数字が出て参りませんので、七千五百円を妥当であると考えます。しかしもし井上さんのお考えの中に二重価格をやつたらいいじやないかというお考えがありますれば、これは二重価格をやらないという考えから出ておりますので、その点御了承を願います。
  9. 井上良二

    井上委員 まだそこまで言つておりません。そうすると大臣が七千五百円を妥当とすると農林省考えたという根拠を示してもらわなければなりません。これは多分価格パリテイの示しております根拠を示されるであろうし、その後の経済事情等を参酌してという参酌の度合いが示されましようが、ここで私は角度をかえまして、農林大臣国務大臣として閣議現行公務員給与ベース一万七百十五円というものを、今度一万二千八百円に閣議決定で上げております。これは約二割見当の値上げであります。この公務員給与値上げ政府が認めた理由は、人事院勧告の一万三千五百十五円ですか、これは妥当と思うけれども国家財政上この程度でがまんを願わなければならぬとして、一万二千八百円に押えた。それでも二割値上げなのです。人事院勧告によると三割強の値上げになる。この値上げしました重要な理由は、生活費がそれだけ上つたということになつておる。そうすると農林省が使つております価格パリテイ基礎になつておる農家生活必需品、また農業生産に必要な資材、これは一向上つていないことになつておる。大体経営費全体が上つていないという勘定にはわれわれは考えられない。何か農民だけが日本経済から離れた別の世界で生活をしているならば別だけれども都市勤労大衆公務員給与体系を調べてみれば、生活指数はずつと上つておるから、これは給料を上げなければならぬとして政府値上げを認めた。これが二割上つておる。そうすると農村の方だけが上つておらぬという理由は一体どこにあるのですか、その点をひとつはつきり御説明願いたい。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 井上さんにお答え申し上げておきますが、推定パリティ指数のときに、一〇〇を一一三・五七と一割三分五厘七毛上げたことでパリテイ計算が出ておるのでありまして、ひとつついでですからこまかしく申し上げておきます。それはそれで、算定米価石当りは七千百六十三円になるのでありますパリテイ指数は一一三・五七、それに三百三十六円の加算行つたのでありますが、この加算額算定につきましては肥料等物的資本投下量増加したこと、それについても約六・三%これを見ております。さらに都市実質消費水準農村消費水準上昇率均衡をはかるための調整比率も三・九%見てあるのでありまして、私どもは今お示しのように、何も見なかつたのではなく、こういうふうに見てあるということを申し上げます。
  11. 井上良二

    井上委員 このパリテイのとり方や、今のお話のような算定上昇等についての議論をいたしますと、これは非常に専門的になつて参りまして、当然事務当局の御意見を伺わなければならぬ点が出て参りますから、大臣に質問をするのについてこまかくなりますので、この点は省きます。ただここで伺つておきたいのは、七千五百円が妥当な価格として政府はきめた。そうすると超過供出一万五百円と大幅にきめたのは、どういう根拠に基いておりますか、経済的な根拠をお示し願いたい。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 供出につきましては、先ほども申し上げましたように、占領下であります場合には、いわば占領行政として行われまするから、強行的にこれを行うことができるのでありまするが、話合いであると、なかなかまとまりませんので、これが七千五百円のところでまとまつた数字が過日のような二千四百万石というぐあいに相なるのであります。それ以上のものにつきましては、農家の人は自分の食うべきものを食わずして出すというような、しかもそれだけの食糧は確保しなければならぬという点、及び外米を輸入しているような実情から見まして、需給関係からこれは出したものでありまして、この措置は、私はやむを得ざる措置だと考えております。
  13. 井上良二

    井上委員 七千五百円は正当であつて、一万五百円を出すのはやむを得ない、こうお考えになつて出しておるような政治的な考え方ですね。一万五百円の超過供出に対する報償的な価格をきめなければならぬというところに、現行米価の低いということを裏づけておりませんか。私はそう考える。現行義務供出の分は、価格は七千五百円で非常に安いが、そのかわり供出の割当は全体的な割当をせずに、個別折衝による割当方式に改めて、しかも米は、本年は相当の豊作であるにかかわらず、従来にない低い割当をいたしたのはどういうわけですか、伺いたい、
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 従来にない低いと言われますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたように、進駐軍というものがおる占領行政下でありますと、強権のもとにある程度やれますが、今はお互いに納得づくで話合いをつけなければならぬのであります。話合いがつくのはあの程度になるということは、これは私はやむを得なかつたかと思うのであります。     〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕
  15. 井上良二

    井上委員 それは名答弁じやありませんよ。占領下にあつたから、食糧供出は占領軍の圧迫によつて重割当がされた。ところが占領下から解けて、独立国家なつた以上は、これはあくまで納得でやつた結果ああなつた。そうなるとそれは食糧行政じやありませんよ。そんなべらぼうな食糧行政が一体ありますか。現実に占領下であろうとなかろうと、要は農民は生産したものを引合う価格で売ればいいのであります。その引合うか、引合わぬかということが問題になつておる。政府みずから従来にない方策であることは御存じであります。その方策の中において、当然この必要量を政府は確保せなければ、消費者に配給ができないということは、農林大臣の責任にかかつておるのです。国内では納得づくで相談をしたところが、これだけしか集まらぬ。そこで需給計画にこれだけ穴があくから、不足分だけは国庫の支出をまつて外米を輸入していいとあなたはお考えになりますか。そんなべらぼうな考え方はありませんよ。どうお考えになりますか。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 国の中において今のような納得づくでできる供出と、また今の自分の食うものを詰めても出すという篤志家に対して二千五百円、その後は特に三千円というように、一万五百円まで行ける。それによつて数量をふやす。さらにまた自由になりましても、指定機関等を通じて一万五百円程度でこれを買い入れることができるのであります。国内におけるものに重点を置くのはもちろんでありまして、私はそれこそ食糧行政であると考えるのであります。その不足分についてはやむを得ませんから、高いけれども、国内の需給関係から見て外米を入れる、あるいは麦を入れる。こういう措置をとつておるのであります。
  17. 井上良二

    井上委員 そこのところ大臣はちよつと思い違いをしてはおられませんか。というのは、あなたは七千五百円のいます。この価格が現在の米麦生産原価計算として当時米価審議会でこれが非常に問題になつて、確かに米価審議会では一万四百円でしたか、その程度答申がされていると思います。そうすると農林大臣生産者代表消費者代表学識経験者等による法的な基礎をもつてできております米価審議会答申は妥当でないとお考えになる根拠、それから政府が七千五百円を妥当とするその根拠、これを一応お答え願いたいと思います。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は生産者価格七千五百円を妥当と認めるものでございます。この根拠は今お話になりましたように、いわゆる。ハリテイ計算にそれからあといろいろな費用を加算いたしまして七千五百円といたしているのでありまして、農林省の調査によりますと、これで相当採算が可能だ、こういうふうに見られているのであります。従いまして一万数百円と学識経験者の方のお話ではそういうことになつたかもしれませんが、農林省ではそういう数字が出て参りませんので、七千五百円を妥当であると考えます。しかしもし井上さんのお考えの中に二重価格をやつたらいいじやないかというお考えがありますれば、これは二重価格をやらないという考えから出ておりますので、その点御了承を願います。
  19. 井上良二

    井上委員 まだそこまで言つておりません。そうすると大臣が七千五百円を妥当とすると農林省考えたという根拠を示してもらわなければなりません。これは多分価格パリテイの示しております根拠を示されるであろうし、その後の経済事情等を参酌してという参酌の度合いが示されましようが、ここで私は角度をかえまして、農林大臣国務大臣として閣議現行公務員給与ベース一万七百十五円というものを、今度一万二千八百円に閣議決定で上げております。これは約二割見当の値上げであります。この公務員給与値上げ政府が認めた理由は、人事院勧告の一万三千五百十五円ですか、これは妥当と思うけれども国家財政上この程度でがまんを願わなければならぬとして、一万二千八百円に押えた。それでも二割値上げなのです。人事院勧告によると三割強の値上げになる。この値上げしました重要な理由は、生活費がそれだけ上つたということになつておる。そうすると農林省が使つております価格パリテイ基礎になつておる農家生活必需品、また農業生産に必要な資材、これは一向上つていないことになつておる。大体経営費全体が上つていないという勘定にはわれわれは考えられない。何か農民だけが日本経済から離れた別の世界で生活をしているならば別だけれども都市勤労大衆公務員給与体系を調べてみれば、生活指数はずつと上つておるから、これは給料を上げなければならぬとして政府値上げを認めた。これが二割上つておる。そうすると農村の方だけが上つておらぬという理由は一体どこにあるのですか、その点をひとつはつきり御説明願いたい。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 井上さんにお答え申し上げておきますが、推定パリティ指数のときに、一〇〇を三・五七と一割三分五厘七毛上げたことで。パリテイ計算が出ておるのでありまして、ひとつついでですからこまかしく申し上げておきます。それはそれで、算定米価石当りは七千百六十三円になるのであります。パリテイ指数は一二・五七、それに三百三十六円の加算行つたのでありますが、この加算額算定につきましては肥料等物的資本投下量増加したこと、それについても約六・三考これを見ております。さらに都市実質消費水準農村消費水準上昇率均衡をはかるための調整比率も三・九%見てあるのでありまして、私どもは今お示しのように、何も見なかつたのではなく、こういうふうに見てあるということを申し上げます。
  21. 井上良二

    井上委員 この。パリテイのとり方や、今のお話のような算定上昇等についての議論をいたしますと、これは非常に専門的になつて参りまして、当然事務当局の御意見を伺わなければならぬ点が出て参りますから、大臣に質問をするのについてこまかくなりますので、この点は省きます。ただここで伺つておきたいのは、七千五百円が妥当な価格として政府はきめた。そうすると超過供出一万五百円と大幅にきめたのは、どういう根拠に基いておりますか、経済的な根拠をお示し願いたい。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 供出につきましては、先ほども申し上げましたように、占領下であります場合には、いわば占領行政として行われまするから、強行的にこれを行うことができるのでありまするが、話合いであると、なかなかまとまりませんので、これが七千五百円のところでまとまつた数字が過日の一ような二千四百万石というぐあいに相なるのであります。それ以上のものにつきましては、農家の人は自分の食うべきものを食わずして出すというような、しかもそれだけの食糧は確保しなければならぬという点、及び外米を輸入しているような実情から見まして、需給関係からこれは出したものでありまして、この措置は、私はやむを得ざる措置だと考えております。
  23. 井上良二

    井上委員 七千五百円は正当であつて、一万五百円を出すのはやむを得ない、こうお考えになつて出しておるような政治的な考え方ですね。一万五百円の超過供出に対する報償的な価格をきめなければならぬというところに、現行米価の低いということを裏づけておりませんか。私はそう考える。現行義務供出の分は、価格は七千五百円で非常に安いが、そのかわり供出の割当は全体的な割当をせずに、個別折衝による割当方式に改めて、しかも米は、本年は相当の豊作であるにかかわらず、従来にない低い割当をいたしたのはどういうわけですか、伺いたい、
  24. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 従来にない低いと言われますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたように、進駐軍というものがおる占領行政下でありますと、強権のもとにある程度やれますが、今はお互いに納得づくで話合いをつけなければならぬのであります。話合いがつくのはあの程度になるということは、これは私はやむを得なかつたかと思うのであります。     〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕
  25. 井上良二

    井上委員 それは名答弁じやありませんよ。占領下にあつたから、食糧供出は占領軍の圧迫によつて重割当がされた。ところが占領下から解けて、独立国家なつた以上は、これはあくまで納得でやつた結果ああなつた。そうなるとそれは食糧行政じやありませんよ。そんなべらぼうな食糧行政が一体ありますか。現実に占領下であろうとなかろうと、要は農民は生産したものを引合う価格で売ればいいのであります。その引合うか、引合わぬかということが問題になつておる。政府みずから従来にない方策であることは御存じであります。その方策の中において、当然ごの必要量を政府は確保せなければ、消費者に配給ができないということは、農林大臣の責任にかかつておるのです。国内では納得づくで相談をしたところが、これだけしか集まらぬ。そこで需給計画にこれだけ穴があくから、不足分だけは国庫の支出をまつて外米を輸入していいとあなたはお考えになりますか。そんなべらぼうな考え方はありませんよ。どうお考えになりますか。
  26. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 国の中において今のような納得づくでできる供出と、また今の自分の食うものを詰めても出すという篤志家に対して二千五百円、その後は特に三千円というように、一万五百円まで行ける。それによつて数量をふやす。さらにまた自由になりましても、指定機関等を通じて一万五百円程度でこれを買い入れることができるのであります。国内におけるものに重点を置くのはもちろんでありまして、私はそれこそ食糧行政であると考えるのであります。その不足分についてはやむを得ませんから、高いけれども、国内の需給関係から見て外米を入れる、あるいは麦を入れる。こういう措置をとつておるのであります。
  27. 井上良二

    井上委員 そこのところ大臣はちよつと思い違いをしてはおられませんか。というのは、あなたは七千五百円の米価は正当な米価である。農林省はそう考えた。それなら、正当な米価であるならば、何もそんなに供出割当を安くして、超過供出割当を期待する必要はないじやありませんか。これが妥当な価格なら、義務供出がもつとよけい出るはずです。安いがゆえに次に待ち受けておる超過供出農民は期待をかけておるわけです。供米責任者はその方によつて埋め合せようとしておるのです。ここにあなたのおつしやる義務供出による政府買上米というものは妥当な価格でないということを現実に裏づけておるじやありませんか。そうでなければ勘定が合わぬのです。だからそれは、あなた自身が何と言明しようとも、これが大きな台風に見舞われたとか、病虫害の被害の面積が広範囲に及んだとか、あるいは冷害が発生して相当ひどい目にあつたとかという、国民すべてが納得し得る減収の実態が明らかにされておりますならば、二千三百万石台に下りましてもやむを得ないと考えますけれども、現実に、今年は幸いにして台風はなく、関東、東北、北陸、中部、近畿、四国、九州とも大体平年作を上まわる作柄であります。これはすべての人の認めるところであります。そのときにあたつて、ことさらに二千三百万石台の割当で終つておるということは、いかに農民がこの割当による供出の米価に納得することができず、後の超過供出に大きな期待をかけ、また早場供出に対して、政府みずからが一月も期間を延長してやつたという、これらのもろもろの処置というものは、結局は義務供出による米価の算定が非常に安いということを裏づけておるのです。あなたが一万五百円におきめになつておるこのことから考えるならば、現行七千五百円というのはどこから割出してもそろばんに合わぬ価格であるということが言い得られるのです。そういう価格で押えつける結果、結局はこれが正常なルートに乗らず、やみ米にまわつて、今日どこへ行つても無切符で白飯がどんどん出されており、どこの停車場へ行つたつて弁当が大手を振つて無切符で売られておるのです。こういう事実をあなた方は見のがしておいて、そうして国民には正規な配給によるものがずんずん削られて、逆にやみによるところのものを買わなければならぬという実情になつているのではないか。この点からお考えをくださいますならば、現行の七千五百円という基本米価は、このままこれがこの調子で来年の米価が推定をされ、はじき出される結果は、この食糧需給の促進というものは、これまた絵に描いたもちにひとしいものであつて農民みずから勇み立つてこれに協力することはできなくなるのではないか、私はそこを考えるのです。だから大臣の今のお考えで進みますならば、私はおそらく明年度の産米の価格というものも農民の期待する価格にはきまらないだろう。そうしていたずらに外米の価格をつり上げて、輸入補給金を大きくして、財政負担を大きくする結果になるんじやないか。そういう米価政策によつて食糧需給対策を計画的にやろうとしても、これはまつたく自由経済の中に立たされておる農家経済としては、やり得ないことになるんじやありませんか。その点を私はこの問題について伺つておきたい。
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまこれはどうも計算が合わぬではないかというお話でありましたが、私はそれで計算が合うというふうに認めるのでありまして、この点はどうもせつかくの井上さんのお話でありますが、私と考えが違うのであります。ただ一つこういうことだけは申し上げておきたいと思います。米価の方は二十七年産米もそうであるが、二十八年についてはどうであるか——これはここで申し上げることではありませんが、七千五百円ときめてございますが、それで増産ができるかどうかと仰せになりますと、これはひとり価格ばかりの問題でなく、価格がいいことも、これはもちろん増産の奨励になりましよう。これは私も間違いないと思いますが、しかしこれは私率直に申せば、国の財政負担として二重価格ということはどうもできませんので、これはやり得ない。そこで私どもはいろいろな各種の農業の面におきまする事業などにつきまして、あるいは補助をするとか、あるいは低利の融資をするとか、あるいは所得税とか、固定資産税の減免とかいうようなことを少し考えるとか、そういうことをだんだんやりまして、現在の米価のもとにおきましても、土地改良が行われ、米穀の増産が行われ、そうして農民の方々の生活条件が改善される、こういうことを実は期待しておるのでございます。
  29. 井上良二

    井上委員 農林大臣は盛んに、私に二重価格の問題を聞け聞けと言わぬばかりの答弁を先にされておりますが、この問題について一言お聞きしておきますが、大臣は先般来、二重価格の問題について政府考えていないと答弁をされておりますが、現在外国食糧として輸入しております米麦について、補給金を財政支出いたしておりますが、これは二重価格でないとお考えになりますか。
  30. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 それは私は二重価格とは思つておりません。
  31. 井上良二

    井上委員 それならなぜ輸入した価格で小売価格に売らないのです。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 全体を通じまして考えた上でありまして、それは国の財政が支出し得る可能な範囲で問題を取扱つておるのでありまして、外米だから、——それでは井上さんに率直に申し上げますが、外米は一万二千円だから一万二千円でどれと申しましても、だれもとるものはありませんので、言葉として二重価格になるかどうかわからぬが、国民生活という大きな観点から見れば、できるだけのことをすることが必要でありますので、そうしたので、国内の米について二重価格をとる意思なしと私は申し上げておるのであります。
  33. 井上良二

    井上委員 あなたはそんなことを言うておるけれども、もつと勉強しなくちやいけません。超過供出や、完遂奨励金や、早場奨励金等その他政府供出米の確保のために必要な財政的な措置をとつておるのであります。内地米に対してもこれを消費価格の中に織り込むか織り込まないかということが議論になつております。また今のあなたのお話のように、外国米を輸入したそのままの価格では消費価格を圧迫するからというので、財政支出をやつているのでしよう。現実に今日低米価であり、これが低賃金の基礎要素になつているところから、働くすべての人人が何とか適正米価ということを主張している。また政府もその必要を認めて、さきに申したような諸般の奨励措置を講じて、全体の平均価格は確かに八千三、四百円になりはせぬかと私はにらんでいる。従つて七千五百円ではなしに、ほんとうは平均いたしますと、八千三、四百円というのが内地産米の生産者価格であります。ただいま現実にそこまで来ているわけです。そうなりますと、物価その他の上昇を考え経営費増加を参酌し、また都市給与ベースをも考慮して検討いたしますならば、相当生産者価格を引上げてやらなければならぬ要素が現実に強まつて来ています。そうすると、これをそのままに消費価格にぶつかけます場合には、ただちにこれが給与ベース改訂の要素になります。物価値上げ、運賃値上げの要素になります。そこに財政支出の必要を認めて二重価格制という問題が起つて来ているのです。あなたが外米に対して今御説明くださいましたお考えと一緒の考え方が内地米に起つているという、この事実を否定されちや農林大臣は勤まりませんぞ。これは単に農民の生産増強という問題ではなしに、国民生活わが国経済の安定をどうするかという基本が米価にかかつているのです。そういう見地から考えましたときに、この二重価格制は単なる一党のスローガンや、一党の党員のために主張しているのではありません。今日東亜諸地域における貿易の実情を見ましても、何としても日本の生産物は安くてよい物をつくらなければならぬ。そのためには国内の生産規模をもつと国際的水準に高めなければならぬ。それにはどうしても国民生活を安定させるという政策が強行されなければならぬ。不安動揺してこれが上昇して行くというようなことであつたのではならぬというところに、この二重価格制を主張している根拠をわれわれは持つておるのでありまして、この点に対して慎重に考えるべきであつて、単に野党側が党利的、党略的に言うておる、そんなものではありません。日本経済をどうするかという問題の一番の中心に今なりつつありますから、これは慎重に当面の所管大臣として御検討願いたいと思います。  次にお伺いしたいのは、脂料に対する対策であります、大臣はただいま農産物及び農業用資材の価格の安定という項目で説明された。農産物価格についての安定対策は二、三品目まであげて御説明されておりますが、かんじんの農業用資材についての対策は全然触れていない。こんな原稿はだれが書いたか知らぬけれども、えらく片手落ちだと思う。というのは、今農業用資材として一番重要になつている肥料の問題でございますが、これは大臣もすでにお聞きの通り、何とかして安定した価格で、年間を通して農家に適期にこれを確保し、配給するという処置を政府考え、国会もいろいろその点で対策を政府に要請して来たのでありますが、この肥料年度における需給状況から考えて、大体国内保有といいますか、一定の在庫を三十万トン程度常に持つておることが肥料価格を安定さす一つの安定帯であるという考え方に立つて、今まで議論が進められて参りました。ところが最近ヨーロツパ方面の肥料との国際市場における競争が始まりまして、特にアジア地域においてドイツを中心にする肥料の進出から、アジアの肥料市場をヨーロツパに荒されてはかなわぬという見地でしよう、インドに対して二万トン、それからフイリピンに対してたしか一万トンから五万トンくらいですか、それから朝鮮に対して二十二万トンくらい、これらのものが国内相場をはるか下まわる価格で輸出契約がされ、現に契約中のものもございます。そうなつて来て、全体を計算しますと、前に申しました三十万トンの国内保有から多少上まわる計算になつて参ります。そうなつて行くと、私ども昨年この委員会で、また本年もこの委員会で——特に最近のことを申しますと、この夏この委員会が肥料小委員会を設けて、肥料の生産事情をメーカーから聞き、その原価計算についていろいろ検討し、通産省の肥料部長ですか、それらの人々も出ていただいて、いろいろ検討いたしましたところ、大体採算の合う肥料価格は幾らかということについての資問に対して、メーカーを代表した、あれは藤山愛一郎という日東化学の社長じやないかと思うが、その人は大体十貫当り千五百円くらいでなければいかぬ、通産省は九百八十円から千円そこそこじやないか、こういう話でございます。ところがその後わずか六箇月たたぬうちに、今お話し申し上げました東亜地域への輸出の価格を見てみると、インド向けば確かにトン当り五十ドル三十三セント、これを日本の港で渡します場合は四十五ドル八十三セント、十貫目六百十六円、こういうことになつております。もちろんことしは豊水期で、肥料生産の事情には非常に都合のいい状況が出て参りまして、九月以降においては肥料は値下りの状況を示しましたので、肥料の大きな需要者であります全購連は肥料メーカーとの間に肥料安定の価格の打合せをいたしまして、大体八百九十円から最低八百五十円ぐらいのところで、中をとつて八百七十円ぐらいのところがどうであろうというような安定帯の価格協定をいたしておるやに承つております。ところが、今申しますように、これら安定帯の一つの話が進められており、かつ話が結論に多分到達したのではないかと想像されるときに、突如として今申しましたインド向けば六百十六円、あるいはまた朝鮮向けは七百九円、フイリピン向けは六百十円という法外な安値で契約をされておる。このニュースを知りました農民の間では、一体肥料生産というものはそんな値で売つて引合うであろうかということが一つと、もし引合わぬとするならば春肥にこれがおおいかぶさつて来はせぬだろうか、これが出血輸出であつて、肥料メーカーが大きな損をして輸出しておるとするならば、その損害が春肥にかかつて来はせぬであろうかということが一つ、それからいま一つは、海外の肥料市場の相場がそんなに安ければ、何ゆえにわれわれにそんなに高く肥料を売りつけるか、政府は一体何をしているんだ、これでは肥料政策はないじやないか、こういう声が昂然と最近起つておりますが、ここで、幸いにして通産大臣また経済審議庁長官を兼任されておる農林大臣に第一に伺いたいが、このメーカーの出血輸出の実情を、農林大臣はその後報告を受け、あるいはまた個々の契約プランについて相談を受け、これに対してどういう処置をされておりますか。通産省はこれに許可を与えましたか。もしかくのごとき価格で輸出をすることに許可を与えたとするならば、全購連を初め、国内の肥料需要者がドイツの安い肥料を買おうとする場合に、その輸入を認めますか、これを伺いたい。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 窒素肥料、特に硫安が世界的に見て非常に過剰の状態にあることは、井上さんよく御承知の通りであります。日本におきましても、二十七肥料年度では、ちようど四十万トンぐらい輸出余力があるというふうに見込まれますので、これが輸出に相なつておるのでありますが、しかし過日ぐらいのものが輸出されても、国内の需要量には何ら不足を来すものではありませんから、従つて国内価格は決してそれがために不当に高められることはない。こういうぐあいに考えておりますが、実はこの問題につきましては、今お話のごとくに両省の中においても、一ぺんよく意見を聞く必要もありますので、しばらく研究して正式に御返事申し上げたいと存じます。
  35. 井上良二

    井上委員 通産大臣を兼任されて間もないことでありますし、あまり掘り下げて質問をしても御迷惑と思いますが、しかし所管大臣として一番お考えを願わなければならぬことは、今私が質問をいたしましたこの法外に安い、国内価格から十貫当り二百円も下まわつておる値段で売られておるということに対して、日本農民は、米価は外国の相場に比べて石当り二千五、六百円から三千円近くも安い価格で買い上げられ、肥料は国際市場より二百円も高い値に売りつけられておる。これでは農民は何としても納得できません。そこであなた方も事務当局と御相談をされます場合に、特に伺つておきたいのは、今私が申しましたそういう法外な価格で海外に輸出を許可した場合は、当然その輸出に対する見返りとして、何か米を入れるとか、あるいは必要な重要物資を入れるとかいう、一つの処置を講ぜられる必要があろうと思うが、それらについて一体どういうことになつておるか。それから今申します通り、もしこの安い価格で輸出するならば、それが国内価格にどう影響するかということを当然考えなければなりませんし、そうなりますと国内価格の安定という上に非常に重大な支障を来します。そこでどうしてもここに一つの安定帯的な対策を講じます処置を、政府みずから講ぜられることは当然でありますが、こういう重大な、しかも春の肥料に大きな影響を持つて来るこの問題について、ひとつこの際各界の権威者を集められて、肥料対策審議会というようなものを設置されて、この問題の妥当な解決に乗り出される必要があろうと考えるがそういう必要を政府は認めないのか。それともこの際諸般の事情を検討されて、そういう公正妥当な審議会を設けて善処することが必要であると考えられて、審議会設置を妥当と考えられるかどうかという点。いま一つは、速急に肥料需給安定に関する立法的、資金的な処置を講ずる必要があろうと思うが、これらについても農林大臣はお考えになつておるかおらぬか。この点を伺うとともに、第三番目は、一番農民が心配をしておりますのは、さきに申しました通り、外国には二百円も安く売つて出血しておいて、それを春肥の場合にぶつかけて来はせぬか。これを一番心配しておりますから、農林大臣としては、絶対この損害を春肥の価格の上にぶつかけるようなことはしないという言明をしてもらいたいと思うが、これができますか。その三つの点についてお答えを願いたい。なお詳しいことはいずれ大臣が当局と十分打合せをされた上で、さらに別の機会に質問をすることにいたします。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 肥料の需給状態及び輸出関係等につきましては、綿密に一応調査いたしまして対案を至急に練りたいと考えております。その場合お話の審議会等をつくつて、各界の権威者に御相談を申し上げ、さらにまた消費者の意向、生産者の意向等も十分に取入れて、円満な解決の道をそこにつければよいということになりますれば、さようなものを設置しても、皆さんが納得し各方面とも納得の行くようにとりきめたいと考えております。第三番目の、出血をしたためにこの春肥にかけるかどうか、これは私は農林大臣として申し上げますが、春肥にかけることはいたさないという考え方を特つております。
  37. 井上良二

    井上委員 非常に力強い言明をいただきまして、ぜひひとつさようおとりはからいを願いたいと思います。  次に伺いたいのは、先ほど質問をいたしました畜産振興に関しての問題で、畜産振興の場合何よりも今日重要な問題は、家畜の増殖、改良に関する施設拡充の問題と飼料対策であろうと思います。有畜農家創設三箇年計画を立てられて本年実施されましたが、その実施の跡は至るところに問題をいろいろ起しておりまして、その一番大きなのは導入家畜が足らなかつたということ、資金的な準備をしたにかかわらず、導入家畜がこれにマッチしなかつた。そのために乳牛のごときは三割から四割も当初の価格から上つた。その他家畜はこれにならえで、全体的に家畜の相場が非常に高まつた。そのことと、いま一つはえさの対策であります。この問題については、前国会以来いろいろな方面から検討がされておりますが、政府は単に海外から飼料を輸入すれば、それで国内飼料の価格は安定するという安易な考え方に立つて、いたずらに日をかせいで参つたが、爾来三、四箇月たつた今日、まだ依然としてふすまを中心とするその他の濃厚飼料の価格は安くなつておりません。農林大臣はこの際畜産増殖計画の裏づけとして、この家畜の導入について一体どういう具体的な対策をお持ちになつておるか。たとえば乳牛の問題を取上げてみましても、かりに乳牛をあの計画通り実施するといたしますれば、少くとも一万頭からの乳牛が計画的に導入される道を確立しなければなりませんが、その導入する家畜は一体どこにあるのだということが全然明らかにされておりません。それから飼料の問題についても、私は何ら個人的な利害に立つてものを言うておるのではなしに、この政府計画を何とかして正常なルートに乗せて、農家経済わが国農業生産を高めるために、この計画のすなおな進行を協力する立場から、政府が現に一手に押えております外麦から出て来るふすまを全部飼料の方にまわせば、どれほど国内価格が安定するかわからないので、前国会以来やかましくこの問題を取上げております。ところがこれに対しては政府当局は何ら具体的な手を打たない。現にふすま八貫俵で四百円から高々五百円で生産されておるのに、これが市場価格で七百円から七百五十円に売られておるのであります。高いところでは八百円を越しております。われわれが買うておるのは八百円以上です。一体何ゆえに製粉会社にわずか八貫でもつて二百円の金もうけをさせてやらなければならないのか。一体何ゆえに有畜農家をそんなにえさの面で圧迫しなければらないのか。片一方ではどだい大きなことを言つても、裏ではなつてないじやないか。五大製粉会社がかわいいか、全国三千万の有畜農民がかわいいか、こんなことを言わないでもはつきりわかつておる。わかつてつてやらないから困る。これはぜひひとつあなたの決断力をもつて御解決を願いたいと考えるが、どうお考えになつておるかという点を伺いたい。
  38. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大体乳牛に重点を置いて畜産振興をはかりたいと考えておりますが、先ほどちよつとお話もありましたが、国内の資源に重きを置きまして、現在の有畜農を強化して融資制度をもつと整備して参りたいと考えております。なおその飼料が安定して行くことは非常に望ましいことでございますので、いろいろそれについては研究を進めておるのでございますが、ちよつと率直に申し上げますと、これを末端まで、機構整備をしませんと、中間搾取の問題で、井上さんのお話にもちよつと出ておつたが、同じようなことが出て来るのじやないかと考えられますので、この問題はまだもう少し研究して、この次の議会に出す方がよいのじやないかと思つて、この議会には出さなかつたのであります。しかしこの問題については、閣議で飼料を入れるときの為替については割当をしてもらうことをはつきり了解を得ておきましたので、さしあたりのところは飼料の需給関係はよく行くと思いますが、今皆さんの御研究になつておる法案については、ただいま申し上げた通り、末端まで配給機構を整備すればよいのですが、これは少し自由党の考え方から逆行するような点も考えられますので、もう少し研究させていただきまして、研究が熟しましたら次の議会には提案したい、かように考えております。
  39. 井上良二

    井上委員 もう二点ほど聞いておきたいのですが、一つは、さきに大臣は、米価はまだ妥当な価格考えておるが、農民がかりに採算が合わないとしても、裏づけのいろいろな対策を総合してやればよい。その一つとして減税措置考えておるというような御答弁がございました。そこで当面しております供米に対して、免税措置の問題が議論の中心になつている。これに対して大蔵大臣とあなたの答弁とは食い違つております。大蔵大臣超過供出に対しては減税は今考えてないという答弁を、この間参議院の本会議でいたしました。ところがあなたは、国会の意思によつてきめたらいいという御答弁をされたよう承りました。われわれは超過供出のみならず、今日わが国農家経済を安定する必要がいろいろな条件から絶対に必要であると考えて、特に政府の今回の減税の措置内容を見てみますと、農民の面にかかる減税というものはほとんど見るべきものがありません。そういう点からこの際食糧自給度向上し、かつ政府供出促進する上からもこの減税という問題はきわめて重大でございまして、われわれは供米全般に対して減税処置を主張しておりますが、昨年は超過供出に対して免税処置がとられておりますが、この問題について農林大臣はどうお考えになつているか、この一点を伺いたいと思います。  次に農業団体の再編成に対しても、政府は自分でさつさと必要なときには必要な新聞記者に会見をし、また必要なことを発表しておいて、いかにも政府農業団体の再編成指導するがごとき印象を対外的に与えて来たことは事実であります。ところがこの問題に対しても、新農林大臣はなかなか慎重にしてしつぽを出しません。非常に輿論を重視しているようでありますが、この問題に対してお答えをこの際明確にされたいと思います。  それからこれは特に緊急を要する重要な問題ですから、伺つておきたいのは、最近政府は入院患者に対して米で配給しておつたものを、ハンやその他の雑穀にすりかえております。加配の分については多少手心を加えてくれているようですけれども基本配給の分に対して——結核患者その他重症患者、また入院患者中とくに年をとつた人は、米食になれている関係がありまして、パン食その他の雑食は配給上あるいは給食上病院当局が非常に困つております。表の上では配給をしているけれども内容は全然違つておる。これはほんとうに入院患者をして一日も早く健康ならしむる上からも、またいろいろな面でやみ買いのでき得ない困つている人が入つているところも多数ありますから、せめて入院しているときに対する食糧だけは、内地米で配給してやることが必要であると思います。この点に対してほんとうに親心あるおとりはからいを願いたいと思いますが、大臣の御所見を伺いたいのであります。
  40. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 超過供出免税の事柄につきまして、過日大蔵大臣との答弁が違うではないかということでございましたが、私が申し上げましたのは、あのときの速記録をごらんくださればわかると思いますが、国会の御意見を尊重いたしますと言つた次第で、国会がおとりきめになればそれを尊重することは日本国民として私は当然のことだと考えておるのであります。一般供出の問題につきましては、従前そういう取扱いもございませんし、私どももまだこの問題を相談いたしたこともございませんので、ここで御即答は申し上げかねます。  二番目の団体再編成の問題につきましては、今新聞をどうこうというお話がございましたが、私は別に今新聞の方にあれこれ申しておるわけではございません。過日もちようど申しました通りに、私はでき得るだけ関係団体間で話をとりまとめてもらつて、その結論を得られましたならばそれに従いたい。いわば自主的に民主的にこれを解決することを望んでおるのでありまして、農林省はこういう案を持つておるからといつて、上から押しつける考えは毛頭持つておりません。この点ははつきりと申し上げておきます。但し、どうもこれはまとまらぬから何とかひとつしてくれというお話が出ましたならば、これはまた別にそのときは考えなければならぬと思います。  第三番目の問題は、私はわかりかねる点もありますので、食糧庁長官から申し上げた方がいいと思いますから、そうさせていただきます。
  41. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 入院患者中結核、癩等の患者につきましては、内地米一〇〇%渡すことに決定をいたしております。その他の一般の入院患者等につきましては、近畿地区において、端境期に操作上従来渡しておつたものを若干切つたことは事実であります。それが若干問題になつておりますけれども、われわれとしては、急激な変化を与えることもいかがかと考え、最近そういう実情もよくわかりましたので、漸次これを修正して行くという意味において調整をいたしておりますので、御了承願います。
  42. 坂田英一

    坂田委員長 残余の質疑は、次会に続行することにいたします。  なお本日開会予定の畜産委員会、農林金融小委員会は、いずれも都合により延期することといたします。  次会は明午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四分散会