○大矢
委員 私はごく簡単に二、三お尋ねを申します。前の
委員会またきようの
委員会で、武器は全部借物である、しかもその管理は駐留軍によ
つてこれがなされておる、しかもその修理は、大きなものは向うでやるということでありますが、この保安隊はもちろんのこと、海上警備隊におきましてもフリゲート艦その他はアメリカから借りている、こうい
つた保安隊あるいは海上警備隊を合せて十三万に余る人たちが、一切借りておる。借りたものは返さなければならぬ、いつ取上げられるかわからない、こういう情勢のもとにほんとうの魂の入
つた、いわゆる自衛権の効果というものがあるかどうか、これはもちろん時が解決すると思いますが、いろいろ
計画もあるようであります。すべてがこういうふうに借りているということになりますと、ちようど傭兵です。これは完全な独立したいわゆる自衛権を行使するところの——私どもはこれは軍隊と見ますが、保安隊でもよろしい、その保安隊という名実ともに魂の入
つた、隊員みずからがほんとうにわれわれによ
つて守るんだという感じがどうしても起きないと思う。これはやはり借りるなら借りるで相当の契約をし、自分らのものとして使うような気持を隊員に起さすことが必要である。特にいわゆるフリゲート艦を借りまして、そのために約二千七百人からの警備官を増員することに
なつておる。あのフリゲート艦というのは最高十八ノットですか、十六ノットぐらいしか出ないとなると、結局商船より低いということになる。ことに警備隊である限り単なる沿岸だけではなしに、
日本の国土である国境まで出て行
つて警戒することは当然でありますが、そういう場合にしばしば問題になるところは、国境を越えた越えぬということで必ず国際問題が起きている。現に李承晩ラインを侵したとか侵さぬとかい
つて、
日本の漁船が拿捕されるだけではなしに、すでに銃殺されている。けさの新聞によりますと東ドイツに入
つたとか入らぬとかい
つてイギリスの飛行機が撃墜され、過去欧州においてもしばしばそういうことがありますが、もし国境を越えたという口実をつけて、向うから攻撃を受けたときに逃げて帰るのか、あるいは自衛権を発動してこれに対して発砲をすれば、必ずそこで国際紛議の原因となりますし、結局そういう非常に性能の低いものを持
つて行
つて国際紛議を起すところの原因をつくるんじやないか、特に自衛権のいわゆる外敵の仮装国としてどこを見るかといえばソビエトでしよう。そのソビエトにアメリカが貸しお
つたあのぼろぼろのブリキで張
つたようなフリゲート艦をそのまま
日本へ借りて来た
つて、おれのところで使い古した、アメリカでもいらぬ三十年もた
つたものでは、かえ
つて日本は——悪い言葉で言うとみくびられて、侵される危険がさらにふえて来るんじやないか、こういうことを考えますので、一体ほんとうに先ほど言われた密貿易を監視する
程度ならば、いわゆる
日本の海上
警察で沿岸を厳重に守
つた方がまだましだ。あるいはまた今度のフリゲート艦その他においても、あんな速力のおそい、小さな、しかもあれには高射砲がすわ
つておりますが、ずつと上の方を飛行機が通
つたらあんなものは届くものではない。これは専門家が見たらわかる。われわれしろうとだ
つてわかる。そういうものを借りて人間だけやたらにふやしても、いざというときに
なつたら私はほかに何も手がないような気がしてならない。その点ははたしてこの船で国境を警備できるだけの考えがあるのか。あるいはまたそれによ
つてかえ
つて諸外国との間に国境を中心にして紛争が起きて——これは仮定、想像ではない、現に越えたとか越えぬとかい
つて実際に起
つておることです。そういうことでかえ
つてこれが
日本の治安の上に、あるいは外国から一つの因縁をつけられる原因になりはしないかということを非常に心配しておるのですが、その点に対する
政府の考え方、あるいはまたそこまで出て行くのだ、あるいはそうではない、最も陸に近いところを守るだけだ、こう言われればそれでもけつこうですから、簡単にその点についてお答え願いたい。