○木村国務大臣 お答えいたします。御承知の
通り軍艦というのは、いわゆる戦争を目的とする大きな線が一つ出ておるのであります。しこうしてその点から発足いたしまして、
国際法上不可侵権並びに一種の主権が認められております。形式的に申しますと、これに乗り組む船員はことごとく
軍人であります。しこうして
軍艦旗を掲げておるのであります。この目的と形式的の二つの点から、普通の
船舶とは全然その趣を異にしておると考えております。しこうして本件において問題に
なつておりますいわゆるフリーゲート、これはどうだ、これが御
質問の御趣旨であろう、こう私は考えております。もとより
フリゲート艦は
アメリカにおいて一時哨戒艇として使つてお
つたことは事実であります。また
LSSLは上陸支援艇として使つて、戦時的にこれを使用してお
つたということは申すまでもありません。しかし
日本においてこれを借り受ける目的は、これを何に使うのかということになりますと、全然これは戦争目的じやない。性格が一変しておるのであります。すなわち海岸の警備と
人命の救助、これを目的として使うということに
なつております。この前も
法制局長官がうまい例を引いております。いわゆる軍用犬であ
つたものをわれわれのうちで飼うと軍用犬でなくなる。軍馬を払い下げて百姓が使えば駄馬になる。この船は先ほど申しました
通り、
アメリカにおいて使つてお
つたものでありますが、
日本に来ては全然その性格は違つておるのであります。しかもこの船は今より十年前につくられたものでありまして、きわめて古い船であります。いくさの役には立たぬと考えております。
乗組員も百六十名、基準
排水量は千四百五十トン、普通海岸警備については、私としてはこんなものは借りたくありません。
日本でこれに適切な船を早くつくりたいのです。しかしやむを得ずこれを借りなければならぬ立場に置かれておるのであります。と申しますのは、
日本の財政です。普通一般の適切な
警備船をつくりますのには、相当な金がかかります。これを六十八隻もつくりますと、おそらく四、五百億円の金になるだろうと考えておるのであります。このような金を今出しようがありません。幸いに
アメリカが好意的にこれを無償で貸してやろうというのでありまするから、われわれはこれを使用いたしたい、こう考えておる次第であります。